JP6901770B2 - ハナカメムシの忌避剤 - Google Patents

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本発明は、オリウス属(Orius)に属するハナカメムシに対する忌避剤に関する。本発明はまた、当該忌避剤を散布または設置することを含む、オリウス属(Orius)に属するハナカメムシの離散行動を促進する方法に関する。
ハナカメムシ(Orius属)は、アブラムシやアザミウマ、ハダニといった微小害虫の捕食者であり、有望な天敵昆虫として世界的に期待されている。ナミヒメハナカメムシ(Orius sauteri)は日本全土でごく普通に見られるハナカメムシである。天敵利用・保護の一環で、圃場での選択的薬剤や天敵温存植物と呼ばれる植物の混植が実施されている(非特許文献1〜3)。最近では、特定波長を持つ光源と天敵温存植物との併用によりナミヒメハナカメムシを効率的に農業生態系へ導入する試みが提唱された(非特許文献4)。これらによって、ハナカメムシは、効果的に誘引し天敵温存植物上で維持することが可能である。しかし、ハナカメムシを天敵温存植物上から作物へ移行させることが困難であった。長時間ハナカメムシを天敵温存植物上へ留めておくことは、作物上での害虫の捕食効率を著しく低下させる可能性がある。
ハナカメムシは、同種他個体または植物の放つ情報化学物質を食物の探索や交尾行動に用いていることが知られている。例えば、ハナカメムシは、作物や天敵温存植物の花粉の香気やアザミウマによって食害された作物から放出される香気を好むとされている(非特許文献5〜7)。北米に生息するオリウス・インシドーサス(O. insidossus)のオスは、メスの性フェロモン成分である(E)−2,7−オクタジエナールと(E)−2−オクテナールの混合物に誘引される。コヒメハナカメムシ(O. minutus)では長鎖不飽和炭化水素が足跡性フェロモンとして同定されており、オスはメスの足跡の残る場所へ長い間留まることが知られている(非特許文献8)。O. insidiosusとO. sauteriでも足跡性フェロモンの存在も示唆されているものの、物質は明らかになっていない(非特許文献9、10)。以上のように、ハナカメムシの様々な行動と情報化学物質との関係性が示唆されているものの、物質が分かっているものはわずかである。
プッシュ−プル・ストラテジー(Push-pull strategy)は、害虫やその天敵昆虫を圃場へ誘引したり(プル)押し出したり(プッシュ)を組み合わせることによって達成する害虫管理法としてCookらによって提唱された(非特許文献11)。プッシュ−プル・ストラテジーは一般的に、視覚や化学受容等の感覚刺激を介して行動制御技術によって成り立っている。害虫では、誘引行動と忌避行動の両技術がよく研究されている。しかし天敵昆虫においては、研究が誘引行動に関わる技術に限られており、忌避行動に関わる研究はほとんど研究されていない。
特許文献1は、(E)−2−オクテナールを含有するクモヘリカメムシに対する忌避剤を記載している。しかし、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)は、半翅目ホソヘリカメムシ科に属する昆虫であり、ハナカメムシが属するハナカメムシ科とは、「科」レベルで異なる種類の昆虫である。
特開2005−68021号公報
Nagai, K., Jpn. J. Appl. Ent. Zool., 34: 109-114 (1990) Imura, T. and Kamikawa, S., Ann. Rept. Kansai. Pl. Prot., 2012, 54: 163-165 (2012) Ohta, I., and Takeda, M., Ann. Rept. Kansai Pl. Prot., 56: 1-5 (2014) Ogino, T., et al., Sci. Rep., Vol. 6, Article number 32302 (2016), doi:10.1038/srep32302 Carvalho, L.M., et al., J. Appl. Entomol., 135:177-183 (2011) Mochizuki, M. and Yano, E., Entomol. Exp. Appl., 123: 57-62 (2007) Xu, X. and Enkegaard, A., Entomol. Exp. Appl., 132: 93-98 (2009) Maeda, T., et al., J. Chem. Ecol., 42: 433-443 (2016) Aldrich, J.R., et al., J. Chem. Ecol., 33: 1477-1493 (2007) Nakashima, Y. and Hirose, Y., Ecol. Entomol., 24: 115-117 (1999) Cook, S.M., et al., Ann. Rec. Entomol., 52: 375-400 (2007)
上述のように、長時間ハナカメムシを天敵温存植物上へ留めておくことは、作物上での害虫の捕食効率を著しく低下させる可能性がある一方、ハナカメムシを天敵温存植物上から作物へ移行させることは困難であった。これらの問題を解決するものとして、ハナカメムシの行動制御法が求められている。
本発明は、オリウス属(Orius)に属するハナカメムシに対する忌避剤、および当該忌避剤を散布または設置することを含む、オリウス属(Orius)に属するハナカメムシの離散行動を促進する方法を提供する。
以上に鑑み、本件の発明者は、ハナカメムシの虫体抽出物に注目し、研究を開始した。鋭意検討の結果、(E)−2−オクテナールがハナカメムシの離散行動を促進することを見いだした。当該知見に基づいて、本発明は完成された。
すなわち、一態様において、本発明は以下のとおりであってよい。
[1](E)−2−オクテナールを有効成分として含有する、オリウス属(Orius)に属するハナカメムシに対する忌避剤。
[2]オリウス属に属するハナカメムシが、ナミヒメハナカメムシ、タイリクヒメハナカメムシ、コヒメハナカメムシ、ツヤヒメハナカメムシ、ミナミヒメハナカメムシである、上記[1]に記載の忌避剤。
[3]上記[1]に記載の忌避剤で処理または当該忌避剤を設置することを含む、オリウス属に属するハナカメムシの離散行動を促進する方法。
本発明の忌避剤により、オリウス属に属するハナカメムシの離散行動を促進することができる。
図1は、(E)−2−オクテナールの離散効果について濃度依存性を評価した結果を示すグラフである。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書で特段に定義されない限り、本発明に関連して用いられる科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。
本発明は、(E)−2−オクテナールを有効成分として含有する、オリウス属に属するハナカメムシに対する忌避剤を提供する。
オリウス属に属するハナカメムシは、オリウス属に属する昆虫であれば特に限定されない。好ましい態様において、オリウス属に属するハナカメムシは、ナミヒメハナカメムシ(Orius sauteri)、タイリクヒメハナカメムシ(Orius strigicollis)、コヒメハナカメムシ(Orius minutus)、ツヤヒメハナカメムシ(Oriusu nagaii)、および/またはミナミヒメハナカメムシ(Orius tartillus)であってよい。特に好ましい態様において、オリウス属に属するハナカメムシは、ナミヒメハナカメムシ(Orius sauteri)であってよい。
本発明の忌避剤は、(E)−2−オクテナールのみを含むものであってもよく、あるいは、固体担体、液体担体、ガス状担体等の担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤をさらに含有するものであってもよい。本発明の忌避剤に含まれる(E)−2−オクテナールの量は特に限定されず、(E)−2−オクテナールを0.01〜100重量%含有するものであってよい。
本発明の忌避剤の形態は、(E)−2−オクテナールを散布または放散できる形態である限り特に限定されないが、固体製剤、液剤、マイクロエマルジョン、油剤、乳剤、水和剤、水和性顆粒剤、水中懸濁剤・水中乳濁剤等のフロアブル剤、粉剤、粒剤、錠剤、マイクロカプセル剤、エアゾール剤、加熱燻蒸剤、加熱蒸散剤等であってもよい。
固体担体は、農薬の製剤化において許容可能な担体であれば特に限定されないが、例えば、ろ紙、綿、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化ケイ素、タルク類、セラミック類、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、塩化アンモニウム等)等の微粉末や粒状物、高分子材料(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル鹸化物、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、PVDCコートフィルム又はシート、アルミ蒸着フィルム又はシート)が挙げられる。
液体担体は、農薬の製剤化において許容可能な担体であれば特に限定されないが、例えば水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、非芳香族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド、植物油(大豆油、綿実油等)等が挙げられる。
ガス状担体は、農薬の製剤化において許容可能な担体であれば特に限定されないが、例えば、フロンガス、ブタンガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、炭酸ガス等が挙げられる。ガス状担体は、噴射剤として利用されてもよい。
界面活性剤は、農薬の製剤化において許容可能なものであれば特に限定されないが、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレン化合物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体、等が挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、糖類(澱粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールおよび3−tert−ブチル−4−メトキシフェノール)、シクロデキストリン、植物油、鉱物油、脂肪酸、脂肪酸エステルが挙げられる。
固体製剤は、有効成分である(E)−2−オクテナールをろ紙、綿および高分子担体等の固体担体に含浸させたものであり、当該有効成分を継続的に大気中に拡散させることのできる形態の製剤である。固体製剤の形状は特に限定されない。固体製剤は、そのまま設置することにより使用することができる。
液剤、マイクロエマルジョン、油剤、および乳剤は、原液でまたは希釈して使用することができる。これらの製剤またはその希釈液は、散布または噴霧することにより使用することができる。これらの製剤またはその希釈塩基を散布または噴霧する手段としては、当業者に公知のものを利用することができ、例えばスプレー容器または噴霧器に充填して使用してもよい。
水和剤、水和性顆粒剤、およびフロアブル剤は、通常、水等で希釈して使用される。これらの製剤の希釈液は、散布または噴霧することにより使用することができる。散布または噴霧する手段は上述のとおりである。
粉剤、粒剤、錠剤、およびマイクロカプセル剤は、そのまま散布または設置することにより使用することができる。
エアゾール剤は、有効成分がガス状担体とともに適切な噴霧器に充填された形態の製剤であり、有効成分を噴霧することにより使用することができる。
加熱燻蒸剤、および加熱蒸散剤は、加熱により有効成分をガス化または微粒子化して分散させる製剤である。
本発明の忌避剤は、ハナカメムシの離散行動を促進すべき区域、例えば天敵温存植物やその周辺、に施用(散布、噴霧もしくは分散等の処理、または設置)される。したがって、本発明は、本発明の忌避剤で処理または当該忌避剤を設置することを含む、オリウス属に属するハナカメムシの離散行動を促進する方法、を提供する。
本発明の忌避剤の施用量は、ハナカメムシの離散行動を促進する量であれば特に限定されない。例えば、ハナカメムシの離散行動状態を観察しながら適宜決定してもよい。通常、1mあたり(E)−2−オクテナールが0.1mg〜100mgとなるように施用される。あるいは、施用する1箇所あたり、(E)−2−オクテナールが100μg以上となるように施用してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、これらは例示目的とするものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1:ハナカメムシの離散行動を促進する物質の同定および評価
1.材料及び方法
供試昆虫
2011年に茨城県つくば市で捕獲し、それ以降、実験室内にて維持したナミヒメハナカメムシを実験に用いた。飼育はプラスチック製の容器内で行い、スジコナマダラメイガの卵を餌として、メキシコマンネングサの葉を産卵基質及び湿度調節のために用いた。飼育条件は室温25±1℃、湿度60〜70%、光条件16時間明期8時間暗期とした。湿度を保つため、水で満たしたプラスチック管を飼育容器へ入れた。
抽出条件
冷凍庫内へ虫を移し麻酔をした後、30個体をガラスバイアルへ移し、100μlのヘキサンへ浸漬した。ガラスバイアルを超音波洗浄器に浸し、5分間室温で虫体抽出を行った。抽出物は実験に使用するまで-20oCの冷凍庫で保存した。
供試試薬
(E)−2−オクテナール、(E)−2−デセナール及び標準炭化水素は東京化成工業(東京都、日本)より購入した。
化学分析
抽出物中の成分の構造はガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)によって行った。GC-MS分析は、split/splitless インジェクターとDB-5MS キャピラリーカラム(30 m × 0.25 mm diam. × 0.25 μm film thickness;アジレントテクノロジー、カリフォルニア州、米国)を装着したガスクロマトグラフAgilent 6890N(アジレントテクノロジー)及び5973質量検出器(アジレントテクノロジー)にて行った。ヘリウムガスをキャリアーガスとして用い、1.1ml/分の流速とした。温度条件は、インジェクションポートを250℃で維持した。オーブンは50℃で2分維持したのち、10℃/分で250℃まで昇温し、250℃で10分間保持した。GC分析は、異なる極性のカラムとしてDB-5MSとDB-23(30 m × 0.25 mm diam. × 0.25 μmfilm thickness;アジレントテクノロジー)を用いた。検出器として水素炎検出器(FID)を用いた。温度条件は、GC-MS分析に準じた。
離散行動評価
(E)−2−オクテナールの生物検定は、プラスチック製のケージ内(24.2×14.7×20.8cm)にて25±1℃の環境下で行った。ケージの床面はろ紙で覆った。湿度調節のために、メキシコマンネングサの茎と葉を床面の中心に配置した。虫は飼育容器からアスピレーターを用いて回収し、行動観察ケージへ移した。すべての実験は、虫の活動活性が低下する午前8時から10時までに行った。虫を扱うことによる実験への影響を最小化するため、10頭の個体を前日の晩のうちに行動観察ケージのメキシコマンネングサへ移動させ、逃避しないよう実験開始までガラス製のペトリ皿で植物体を覆った。この操作により、実験にはより落ち着いた虫を使用することができ、虫の自発的な行動を観察することが可能となった。ペトリ皿を取り除いた後、すぐに1μlのヘキサンに溶解した(E)−2−オクテナール(0.01〜1000μg)をろ紙の中心に滴下した。成分に対する離散効果は、成分を滴下してから10分後の植物体−虫間の距離に基づいて評価した。実験前に植物体から離れ、ペトリ皿を歩いていた個体は実験前に除去し、データから除いた。
統計解析
虫に対する(E)−2−オクテナールの離散効果は半数有効濃度(EC50)を使用して評価した。(E)−2−オクテナールを処理後、植物体から5cm以上離れた虫を応答した個体、植物体から5cm未満に留まった虫を応答しなかった個体として処理し、応答−非応答の2値データをロジスティック回帰分析した。
2.結果
虫体抽出物由来物質の同定
幼虫及びオス、メスの虫体抽出物の比較から、(E)−2−オクテナールを共通成分として検出した。GC-MS分析から、共通成分のフラグメントイオンは、m/z 125(M−1、1%)、108(4%)、97(19%)、83(73%)、70(ベースピーク)、69(49%)、55(88%)であった。分子イオン −1及び脱水イオンm/z 108([M−18])が観察された。また、14ずつ離れたフラグメントイオン(m/z 97、83、69および55)からは、不飽和直鎖脂肪族化合物が示された。これらの結果から、分子式C14Oが示唆され、(E)−2−オクテナールが共通成分であるという結果に矛盾しなかった。異なる2つのカラムにおける保持指標を比較したところ、共通成分は1062及び1492であり、(E)−2−オクテナールの保持指標1062、1492と一致した。これらの結果から、ナミヒメハナカメムシにおける幼虫、オス、メスの共通成分として(E)−2−オクテナールを決定した。
離散行動評価
(E)−2−オクテナールの離散効果について調査した。結果を図1に示す。実験の開始前、前日に離したほとんどの虫は、植物体に集まり、留まっていた。虫は0.1μgの濃度までは、(E)−2−オクテナールを与えてもほとんど応答しなかった。しかし、より高い濃度の(E)−2−オクテナールを与えると、直ちに植物体からの離散行動が観察された。離散行動は1μgから顕在化し、これは一頭がもつ(E)−2−オクテナールの1.6〜6倍に相当した。幼虫及びオス、メスの半数有効濃度(EC50)は、それぞれ93.78μg(67〜120.55、(95%信頼区間))、31.34μg(12.82〜49.85)、140.14μg(101.16〜179.13)であり、オスが最も鋭敏に(E)−2−オクテナールに対して応答した。
化学分析及び行動評価の結果から、(E)−2−オクテナールはナミヒメハナカメムシの虫体抽出物の主要成分であり、濃度依存的に本種の離散行動を解発することが明らかになった。
本発明の忌避剤は、オリウス属に属するハナカメムシの離散行動を促進するものである。ハナカメムシを天敵温存植物から作物へ移行させることはこれまで困難であったが、本発明の忌避剤で天敵温存植物を処理することにより、ハナカメムシを天敵温存植物上から作物へと移動を促すことが可能となる。

Claims (2)

  1. (E)−2−オクテナールを有効成分として含有する、ナミヒメハナカメムシに対する忌避剤。
  2. 請求項1に記載の忌避剤で処理または当該忌避剤を設置することを含む、ナミヒメハナカメムシの離散行動を促進する方法。
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