JP6901518B2 - 荷電粒子線装置および荷電粒子線装置の光学系の制御方法 - Google Patents

荷電粒子線装置および荷電粒子線装置の光学系の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、荷電粒子線装置および荷電粒子線装置の光学系の制御方法に関する。
透過電子顕微鏡や、走査電子顕微鏡などの荷電粒子線装置では、観察や分析を行う前に、光学系の調整が行われる。例えば、照射系のレンズの光軸に沿って電子線が入射するように、電子線の位置や角度を制御する偏向器の調整が行われる。また、例えば、透過電子顕微鏡では、試料に対して平行に電子線が入射されるように、電子線の照射角度を制御するレンズの調整が行われる。
例えば、特許文献1には、荷電粒子線の微小な傾斜角を補正するための方法として、荷電粒子源と対物レンズとの間に反射板を配置し、当該反射板で得られる試料から放出される放出荷電粒子による走査像に関する情報に基づいて、荷電粒子線の傾斜補正を行う方法が開示されている。
特開2017−10608号公報
上記のような光学系の調整は、短時間で正確に行われることが好ましい。
発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
荷電粒子源と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、
前記光学系を制御する制御部と、
前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、
を含み、
前記光学系は、
第1光学素子と、
前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有し、
前記制御部は、
前記第2光学素子の設定値の初期値を求める処理と、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める処理と、
を行い、
前記初期値を求める処理では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
前記第2光学素子の設定値を求める処理では、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第1変化量を求め、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第2変化量を求め、
前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに、前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める
本発明に係る荷電粒子線装置の一態様は、
荷電粒子源と、
前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、
前記光学系を制御する制御部と、
前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、
を含み、
前記光学系は、
第1光学素子と、
前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有し、
前記制御部は、
前記第2光学素子の設定値の初期値を求める処理と、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める処理と、
を行い、
前記初期値を求める処理では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
前記第1光学素子は、試料に前記荷電粒子線を照射する照射レンズであり、
前記第2光学素子は、前記荷電粒子線の照射角度を調整するための照射量調整レンズであり、
前記第2光学素子の設定値は、前記荷電粒子線の照射角度を制御する値であり、
前記第2光学素子の設定値を求める処理では、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第1変化量を求め、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第2変化量を求め、
前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める。
このような荷電粒子線装置では、制御部が、記憶部に記憶された第2光学素子の過去の設定値に基づいて第2光学素子の初期値を求めるため、第2光学素子の調整を、短時間で正確に行うことができる。
発明に係る荷電粒子線装置の光学系の制御方法の一態様は、
荷電粒子源と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、を含み、前記光学系が、第1光学素子と、前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有する荷電粒子線装置の光学系の制御方法であって、
前記第2光学素子の初期値を求める工程と、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める工程と、
を含み、
前記初期値を求める工程では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
前記第2光学素子の設定値を求める工程では、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させ
たときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第1変化量を求め、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第2変化量を求め、
前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに、前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める
本発明に係る荷電粒子線装置の光学系の制御方法の一態様は、
荷電粒子源と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、を含み、前記光学系が、第1光学素子と、前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有する荷電粒子線装置の光学系の制御方法であって、
前記第2光学素子の初期値を求める工程と、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める工程と、
を含み、
前記初期値を求める工程では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
前記第1光学素子は、試料に前記荷電粒子線を照射する照射レンズであり、
前記第2光学素子は、前記荷電粒子線の照射角度を調整するための照射量調整レンズであり、
前記第2光学素子の設定値は、前記荷電粒子線の照射角度を制御する値であり、
前記第2光学素子の設定値を求める工程では、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第1変化量を求め、
前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第2変化量を求め、
前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める。
このような荷電粒子線装置の光学系の制御方法では、記憶部に記憶された第2光学素子の過去の設定値に基づいて第2光学素子の初期値を求めるため、第2光学素子の調整を、短時間で正確に行うことができる。
第1実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 入射位置の最適化処理の一例を示すフローチャート。 入射位置の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 入射位置の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 入射位置の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 初期値H1および変化量ΔHの算出方法を説明するための図。 初期値H1および変化量ΔHの算出方法を説明するための図。 設定値H0の算出方法を説明するための図。 設定値H0の算出方法を説明するための図。 設定値H0の算出方法を説明するための図。 入射角度の最適化処理の一例を示すフローチャート。 入射角度の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 入射角度の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 入射角度の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 初期値H1および変化量ΔHの算出方法を説明するための図。 第3実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 照射角度の最適化処理の一例を示すフローチャート。 照射角度の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 照射角度の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 照射角度の最適化処理における光学系の動作を説明するための図。 初期値I1および変化量ΔIの算出方法を説明するための図。 設定値I0の算出方法を説明するための図。 設定値I0の算出方法を説明するための図。 設定値I0の算出方法を説明するための図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
また、以下では、本発明に係る荷電粒子線装置として、電子線を照射して試料の観察や分析を行う電子顕微鏡を例に挙げて説明するが、本発明に係る荷電粒子線装置は電子線以
外の荷電粒子線(イオンビーム等)を照射して試料の観察や分析を行う装置であってもよい。このような荷電粒子線装置としては、例えば、透過電子顕微鏡、走査透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、集束イオンビーム装置などが挙げられる。
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡の構成
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を示す図である。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、荷電粒子源の一例である電子源10と、光学系20と、検出器30と、制御部40と、記憶部50と、を含む。
電子源10は、電子線を発生させる。電子源10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線として放出する電子銃である。
光学系20は、電子源10から放出された電子線に作用する。光学系20は、多段偏向器22と、照射レンズ系24と、結像レンズ系26と、を含む。なお、照射レンズ系24は第1光学素子の一例であり、多段偏向器22は第2光学素子の一例である。
多段偏向器22は、電子源10から放出された電子線を2次元的に偏向させる。図示の例では、多段偏向器22は、光軸に沿って配置された2つの偏向コイルによって構成されている。なお、多段偏向器22は、光軸に沿って配置された3つ以上の偏向コイルによって構成されていてもよい。
多段偏向器22は、照射レンズ系24に入射する電子線の状態を制御するために用いられる。具体的には、多段偏向器22は、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置、および照射レンズ系24の光軸に対する電子線の入射角度を制御するために用いられる。
照射レンズ系24は、電子源10から放出された電子線を集束して、試料Sに照射する。照射レンズ系24は、多段のレンズ系である。図示の例では、照射レンズ系24は、光軸に沿って配置された2つの照射レンズで構成されている。すなわち、照射レンズ系24は、2段のレンズ系である。なお、照射レンズ系24は、光軸に沿って配置された3つ以上の照射レンズによって構成されていてもよい。
図示はしないが、電子顕微鏡100は、試料Sを保持する試料ステージを備えている。試料ステージによって、試料Sを位置決めすることができる。
結像レンズ系26は、試料Sを透過した電子で透過電子顕微鏡像(TEM像)を結像する。検出器30は、結像レンズ系26で形成されたTEM像を撮影する。検出器30は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等のデジタルカメラである。検出器30で撮影されたTEM像は、制御部40に送られ、記憶部50に記憶される。
制御部40は、電子源10、光学系20、および検出器30を制御する。制御部40は、後述するように、多段偏向器22の設定値の初期値を求める処理と、多段偏向器22の設定値を初期値から変化させることによって電子線の状態を変化させ、電子線の状態を変化に基づいて多段偏向器22の設定値を求める処理と、を行う。第1実施形態では、電子線の状態は、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置である。すなわち、制御部40は、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置を制御する処理を行う。制御部40の処理の詳細については後述する。
制御部40の機能は、例えば、各種プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)など)でプログラムを実行することにより実現することができる。また、制御部40の機能の少なくとも一部を専用回路によって実現してもよい。
記憶部50は、制御部40のワーク領域となるもので、その機能はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびハードディスクなどにより実現できる。記憶部50は、制御部40が各種の制御処理や計算処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部50は、制御部40が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部50は、光学系20の過去の設定値を記憶する。
1.2. 光学系の制御方法
次に、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の光学系の制御方法について説明する。
1.2.1. 入射位置の最適化処理
電子顕微鏡100では、制御部40によって光学系20が制御される。以下では、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置が最適な位置となるように、制御部40が多段偏向器22を制御する処理について説明する。以下、当該処理を、入射位置の最適化処理ともいう。
ここで、電子線が光軸に沿って照射レンズ系24の中心に入射する場合、照射レンズ系24の設定値を変化させても、照射レンズ系24を通過した電子線の位置は変わらない。そのため、最適な入射位置とは、照射レンズ系24の設定値を変化させても、照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化が最小となる入射位置である。
図2は、入射位置の最適化処理の一例を示すフローチャートである。図3〜図5は、入射位置の最適化処理における光学系20の動作を説明するための図である。なお、図3〜図5では、便宜上、電子源10、多段偏向器22、照射レンズ系24、および試料Sのみを図示している。
制御部40は、ユーザーが入射位置の最適化処理の開始の指示(開始指示)を行ったか否かを判定する(S100)。制御部40は、例えば、入射位置の最適化処理の開始を指示するための開始ボタンの押下操作が行われた場合や、入力機器などから開始指示が入力された場合に、ユーザーが開始指示を行ったと判断する。
開始指示が行われたと判断された場合(S100のYes)、制御部40は、多段偏向器22の設定値Hnの初期値H1および多段偏向器22の設定値Hnの変化量ΔHを算出する(S102)。多段偏向器22の設定値Hnは、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置を制御する値である。初期値H1および変化量ΔHの算出方法は後述する。
次に、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値H1にして、照射レンズ系24の設定値を変化させたときの照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量である第1変化量ΔP1を求める(S106〜S116)。
具体的には、まず、n=1として(S104)、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値H1に設定する(S106)。初期値H1は、ステップS102の処理で算出した値が用いられる。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S1に設定する(S108)。設定値S1は、例えば、試料S上において電子線のビーム径が最も大きくなる値である
。制御部40は、多段偏向器22の設定値が初期値H1に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S1に設定された状態で、図3に示すように、試料S上における電子線の位置Paを測定する(S110)。制御部40は、例えば、検出器30で撮影されたTEM像を取得し、取得したTEM像から位置Paを測定する。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S2に設定する(S112)。設定値S2は、S2=S1+ΔSである。設定値S2は、例えば、試料S上において電子線のビーム径が最も小さくなる値である。制御部40は、多段偏向器22の設定値が初期値H1に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S2に設定された状態で、図3に示すように、試料S上における電子線の位置Pbを測定する(S114)。制御部40は、例えば、検出器30で撮影されたTEM像を取得し、取得したTEM像から位置Pbを測定する。
次に、制御部40は、第1変化量ΔP1=Pb−Paを算出する(S116)。以上の工程により、第1変化量ΔP1を求めることができる。
次に、制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S118)、n=3でないと判定された場合(S118のNo)、n=n+1として(S120)、ステップS106に戻る。そして、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値H1から変化量ΔH変化させた設定値H2にして、照射レンズ系24の設定値を変化させたときの照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量である第2変化量ΔP2を求める(S106〜S116)。
具体的には、まず、制御部40は、多段偏向器22の設定値を設定値H2に設定する(S106)。設定値H2は、初期値H1を、ステップS102で求めた変化量ΔHだけ変化させた値である。例えば、H2=H1+ΔHである。制御部40が多段偏向器22の設定値を設定値H1から設定値H2に変更することによって、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置が変化する。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S1に設定する(S108)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が設定値H2に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S1に設定された状態で、図4に示すように、試料S上における電子線の位置Paを測定する(S110)。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S2に設定する(S112)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が設定値H2に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S2に設定された状態で、図4に示すように、試料S上における電子線の位置Pbを測定する(S114)。
次に、制御部40は、第2変化量ΔP2=Pb−Paを算出する(S116)。以上の工程により、第2変化量ΔP2を求めることができる。
次に、制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S118)、n=3でないと判定された場合(S118のNo)、n=n+1として(S120)、ステップS106に戻る。そして、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値H1から変化量ΔH変化させた設定値H3にして、照射レンズ系24の設定値を変化させたときの照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量である第3変化量ΔP3を求める(S106〜S116)。
具体的には、まず、制御部40は、多段偏向器22の設定値を設定値H3に設定する(
S106)。設定値H3は、初期値H1を、ステップS102で求めた変化量ΔHだけ変化させた値である。例えば、H3=H1−ΔHである。制御部40が多段偏向器22の設定値を設定値H2から設定値H3に変更することによって、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置が変化する。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S1に設定する(S108)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が設定値H3に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S1に設定された状態で、図5に示すように、試料S上における電子線の位置Paを測定する(S110)。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S2に設定する(S112)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が設定値H3に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S2に設定された状態で、図5に示すように、試料S上における電子線の位置Pbを測定する(S114)。
次に、制御部40は、第3変化量ΔP3=Pb−Paを算出する(S116)。以上の工程により、第3変化量ΔP3を求めることができる。
制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S118)、n=3であると判定された場合(S118のYes)、第1変化量ΔP1、第2変化量ΔP2、および第3変化量ΔP3に基づいて、照射レンズ系24の設定値を変化させたときに、照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量がゼロとなる多段偏向器22の設定値H0を求める(S122)。設定値H0の算出方法については後述する。
制御部40は、多段偏向器22の設定値を、ステップS122で求めた設定値H0に設定する(S124)。そして、制御部40は、処理を終了する。
1.2.2. 初期値H1および変化量ΔHの算出
次に、ステップS102における初期値H1および変化量ΔHの算出方法について説明する。
制御部40は、記憶部50に記憶された多段偏向器22の過去の設定値に基づいて、初期値H1および変化量ΔHを求める。図6は、初期値H1および変化量ΔHの算出方法を説明するための図である。図6に示すグラフの横軸は時刻Tであり、縦軸は多段偏向器22の設定値H0である。
制御部40は、設定された時間間隔で、多段偏向器22の設定値を記憶部50に記憶させる。また、制御部40は、設定値とともに、設定値が記憶された時刻を記憶部50に記憶させる。図6に示す例では、時間間隔ΔTで多段偏向器22の設定値H0が記憶部50に記憶されている。具体的には、時刻T、時刻T、時刻T、時刻T、時刻T、時刻T、時刻Tにおける設定値H0が、記憶部50に記憶されている。時間間隔ΔTは、任意に設定可能である。時間間隔ΔTは、例えば、24時間であってもよいし、168時間であってもよい。
制御部40は、例えば、記憶部50に記憶された設定値H0を読み出して、設定値H0の時間平均HTを算出し、算出された時間平均HTを初期値H1とする。すなわち、H1=HTとする。このように、過去の設定値H0から、現時点Tnowでの設定値H0を推測して、初期値H1を決定する。また、制御部40は、例えば、設定値H0の標準偏差σを算出し、算出された標準偏差σを変化量ΔHとする。すなわち、ΔH=σとする。このように、過去の設定値H0のばらつきから、設定値H0のばらつきを推測して、変化量Δ
Hを決定する。
なお、上記の例では、制御部40は、時間間隔ΔTで、時刻Tおよびその時刻Tにおける設定値H0を記憶部50に記憶させる場合について説明したが、時刻Tおよび設定値H0を記憶部50に記憶させるタイミングはこれに限定されない。
例えば、図7に示すように、制御部40は、一定の時間間隔で、時刻Tおよび設定値H0を記憶部50に記憶させなくてもよい。例えば、制御部40は、図2に示す入射位置の最適化処理が終了した後に、当該処理で求めた設定値H0を記憶部50に記憶させてもよい。すなわち、制御部40は、入射位置の最適化処理が終了したタイミングで、設定値H0を記憶部50に記憶させる。制御部40は、例えば、入射位置の最適化処理の終了と同時に、設定値H0を記憶部50に記憶させる。
また、制御部40は、時間間隔ΔTで、時刻Tおよび設定値H0を記憶部50に記憶させ、かつ、入射位置の最適化処理が終了した後に当該処理で求めた時刻Tおよび設定値H0を記憶部50に記憶させてもよい。
1.2.3. 設定値H0の算出方法
次に、ステップS122における設定値H0の算出方法について説明する。
図8〜図10は、設定値H0の算出方法を説明するための図である。
設定値H1、設定値H2、および設定値H3と、第1変化量ΔP1、第2変化量ΔP2、および第3変化量ΔP3は、線形関係にある。したがって、これらの値から関係式を求めて、照射レンズ系24の設定値を変化させたときの照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量ΔPがゼロとなる多段偏向器22の設定値H0を求める。
例えば、まず、次式で示すa1,a2,b1,b2を求める。
a1=(ΔP2−ΔP1)/(H2−H1)
a2=(ΔP3−ΔP2)/(H3−H2)
b1=(H2×ΔP1−H1×ΔP2)/(H2−H1)
b2=(H3×ΔP2−H2×ΔP3)/(H3−H2)
ここで、図8に示すように、a1=a2の場合、設定値H0は、次式で求める。
H0=|b1/a1|
また、図9に示すように、|a1|>|a2|の場合、設定値H0は、次式で求める。
H0=|b1/a1|
また、図10に示すように、|a1|<|a2|の場合、設定値H0は、次式で求める。
H0=|b2/a2|
なお、設定値H0の算出方法は、上記の例に限定されない。
例えば、上記の例では、多段偏向器22の設定値を、H1,H2=H1+ΔH,H3=
H1−ΔHと変化させたが、多段偏向器22の設定値を、H1,H2=H1+ΔH,H3=H1+2×ΔHと変化させてもよい。また、例えば、多段偏向器22の設定値を、H1,H2=H1−ΔH,H3=H1−2×ΔHと変化させてもよい。
また、上記の例では、第1変化量ΔP1、第2変化量ΔP2、および第3変化量ΔP3の3点から関係式を求めて設定値H0を求めたが、例えば、2点から関係式を求めて設定値H0を求めてもよいし、4点以上から関係式を求めて設定値H0を求めてもよい。
1.3. 効果
電子顕微鏡100は、例えば、以下の効果を有する。
電子顕微鏡100では、制御部40は、多段偏向器22の設定値の初期値H1を求める処理と、多段偏向器22の設定値を初期値H1から変化させることによって電子線の状態を変化させ、電子線の状態を変化に基づいて多段偏向器22の設定値を求める処理と、を行う。また、多段偏向器22の設定値の初期値H1を求める処理では、記憶部50に記憶された多段偏向器22の過去の設定値に基づいて、初期値H1を求める。
このように、制御部40は多段偏向器22の過去の設定値に基づいて入射位置の最適化処理における初期値H1を求めるため、過去の設定値から推測される設定値を初期値H1とすることができる。したがって、電子顕微鏡100では、多段偏向器22の調整を、短時間で正確に行うことができる。また、電子顕微鏡100では、制御部40が、入射位置の最適化処理を行うため、ユーザーが調整を行うことなく、最適な電子線の入射位置で観察や分析を行うことができる。また、例えば、ユーザーが手動で多段偏向器22の調整を行う場合、ユーザーのスキルによって設定にばらつきが生じてしまう。これに対して、電子顕微鏡100では、ユーザーのスキルによる設定のばらつきが生じない。
電子顕微鏡100では、初期値H1は、記憶部50に記憶された多段偏向器22の過去の設定値の時間平均である。そのため、電子顕微鏡100では、多段偏向器22の調整を、短時間で正確に行うことができる。
電子顕微鏡100では、制御部40は、初期値H1からの変化量ΔHを求める処理を行い、多段偏向器22の設定値を求める処理では、多段偏向器22の設定値を初期値H1から、求めた変化量ΔH変化させる。また、変化量ΔHを求める処理では、記憶部50に記憶された多段偏向器22の過去の設定値に基づいて、変化量ΔHを求める。また、変化量ΔHは、記憶部50に記憶された多段偏向器22の過去の設定値の標準偏差である。そのため、過去の設定値のばらつきから推測される設定値のばらつきから、変化量ΔHを求めることができる。したがって、電子顕微鏡100では、多段偏向器22の調整を、短時間で正確に行うことができる。
電子顕微鏡100では、制御部40は、設定された時間間隔で、多段偏向器22の設定値を記憶部50に記憶させる。そのため、多段偏向器22の設定値の時間変化を記憶することができる。したがって、電子顕微鏡100では、多段偏向器22の調整を、短時間で正確に行うことができる。
電子顕微鏡100では、制御部40は、多段偏向器22の設定値を求める処理を行った後に、求めた多段偏向器22の設定値を記憶部50に記憶させる。そのため、多段偏向器22の設定値の時間変化を記憶部50に記憶させることができる。また、電子線の入射位置がより最適化された状態での設定値を記憶部50に記憶させることができる。
2. 第2実施形態
2.1. 電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について説明する。なお、第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成は、図1に示す第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成と同じでありその説明を省略する。
2.2. 光学系の制御方法
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡の光学系の制御方法について説明する。なお、以下では、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡の光学系の制御方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
2.2.1. 入射角度の最適化処理
上述した第1実施形態では、多段偏向器22の設定値は、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置を制御する値であり、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置が最適な位置となるように、制御部40が多段偏向器22を制御する処理について説明した。
これに対して、第2実施形態では、多段偏向器22の設定値は、照射レンズ系24の光軸に対する電子線の入射角度を制御する値であり、照射レンズ系24に対する電子線の入射角度が最適な入射角度となるように、制御部40が多段偏向器22を制御する処理を行う。以下、当該処理を、入射角度の最適化処理ともいう。
ここで、最適な入射角度とは、照射レンズ系24の設定値を変化させても、照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化が最小となる入射角度である。
図11は、入射角度の最適化処理の一例を示すフローチャートである。図12〜図14は、入射角度の最適化処理における光学系20の動作を説明するための図である。なお、図12〜図14では、便宜上、電子源10、多段偏向器22、照射レンズ系24、および試料Sのみを図示している。
制御部40は、ユーザーが入射角度の最適化処理の開始の指示を行ったか否かを判定する(S200)。
開始指示が行われたと判断された場合(S200のYes)、制御部40は、多段偏向器22の設定値Dnの初期値D1および多段偏向器22の設定値Dnの変化量ΔDを算出する(S202)。多段偏向器22の設定値Dnは、照射レンズ系24の光軸に対する電子線の入射角度を制御する値である。初期値D1および変化量ΔDの算出方法は後述する。
次に、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値D1にして、照射レンズ系24の設定値を変化させたときの照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量である第1変化量ΔP1を求める(S206〜S216)。
具体的には、まず、n=1として(S204)、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値D1に設定する(S206)。初期値D1は、ステップS202の処理で算出した値が用いられる。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S1に設定する(S208)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が初期値D1に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S1に設定された状態で、図12に示すように、試料S上における電子線の位置Paを測定する(S210)。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S2に設定する(S212)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が初期値D1に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S2に設定された状態で、図12に示すように、試料S上における電子線の位置Pbを測定する(S214)。
次に、制御部40は、第1変化量ΔP1=Pb−Paを算出する(S216)。以上の工程により、第1変化量ΔP1を求めることができる。
次に、制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S218)、n=3でないと判定された場合(S218のNo)、n=n+1として(S220)、ステップS206に戻る。そして、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値D1から変化量ΔD変化させた設定値D2にして、照射レンズ系24の設定値を変化させたときの照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量である第2変化量ΔP2を求める(S206〜S216)。
具体的には、まず、制御部40は、多段偏向器22の設定値を設定値D2に設定する(S206)。設定値D2は、初期値D1を、ステップS202で求めた変化量ΔDだけ変化させた値である。例えば、D2=D1+ΔDである。制御部40が多段偏向器22の設定値を設定値D1から設定値D2に変更することによって、照射レンズ系24の光軸に対する電子線の入射角度が変化する。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S1に設定する(S208)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が設定値D2に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S1に設定された状態で、図13に示すように、試料S上における電子線の位置Paを測定する(S210)。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S2に設定する(S212)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が設定値D2に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S2に設定された状態で、図13に示すように、試料S上における電子線の位置Pbを測定する(S214)。
次に、制御部40は、第2変化量ΔP2=Pb−Paを算出する(S216)。以上の工程により、第2変化量ΔP2を求めることができる。
次に、制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S218)、n=3でないと判定された場合(S218のNo)、n=n+1として(S220)、ステップS206に戻る。そして、制御部40は、多段偏向器22の設定値を初期値D1から変化量ΔD変化させた設定値D3にして、照射レンズ系24の設定値を変化させたときの照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量である第3変化量ΔP3を求める(S206〜S216)。
具体的には、まず、制御部40は、多段偏向器22の設定値を設定値D3に設定する(S206)。設定値D3は、初期値D1を、ステップS202で求めた変化量ΔDだけ変化させた値である。例えば、D3=D1−ΔDである。制御部40が多段偏向器22の設定値を設定値H2から設定値H3に変更することによって、照射レンズ系24に対する電子線の入射位置が変化する。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S1に設定する(S208)。制御部40は、多段偏向器22の設定値がD3に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S1に設定された状態で、図14に示すように、試料S上における電子線の
位置Paを測定する(S210)。
次に、制御部40は、照射レンズ系24の設定値を設定値S2に設定する(S212)。制御部40は、多段偏向器22の設定値が設定値D3に設定され、かつ照射レンズ系24の設定値が設定値S2に設定された状態で、図14に示すように、試料S上における電子線の位置Pbを測定する(S214)。
次に、制御部40は、第3変化量ΔP3=Pb−Paを算出する(S216)。以上の工程により、第3変化量ΔP3を求めることができる。
制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S218)、n=3であると判定された場合(S218のYes)、第1変化量ΔP1、第2変化量ΔP2、および第3変化量ΔP3に基づいて、照射レンズ系24の設定値を変化させたときに、照射レンズ系24を通過した電子線の位置の変化量がゼロとなる多段偏向器22の設定値D0を求める(S222)。設定値D0の算出方法については後述する。
制御部40は、多段偏向器22の設定値を、ステップS222で求めた設定値D0に設定する(S224)。そして、制御部40は、処理を終了する。
2.2.2. 初期値D1および変化量ΔDの算出
次に、ステップS202における初期値D1および変化量ΔDの算出方法について説明する。図15は、初期値H1および変化量ΔHの算出方法を説明するための図である。
初期値D1および変化量ΔDの算出方法は、上述した初期値H1および変化量ΔHの算出方法と同様である。すなわち、制御部40は、記憶部50に記憶された多段偏向器22の過去の設定値に基づいて、初期値D1および変化量ΔDを求める。
例えば、制御部40は、図15に示すように、設定された時間間隔で、多段偏向器22の設定値D0を記憶部50に記憶させる。また、制御部40は、設定値D0とともに、設定値D0が記憶された時刻を記憶部50に記憶させる。
制御部40は、記憶部50に記憶された設定値D0を読み出して、設定値D0の時間平均DTを算出し、算出された時間平均DTを初期値D1とする。すなわち、D1=DTとする。このように、過去の設定値D0から、現時点Tnowでの設定値D0を推測して、初期値D1を決定する。また、制御部40は、設定値D0の標準偏差σを算出し、算出された標準偏差σを変化量ΔDとする。すなわち、ΔD=σとする。このように、過去の設定値D0のばらつきから、設定値D0のばらつきを推測して、変化量ΔDを決定する。
2.2.3. 設定値D0の算出方法
次に、ステップS222における設定値D0の算出方法について説明する。
設定値D0の算出方法は、上述した設定値H0の算出方法と同様である。すなわち、設定値D1、設定値D2、および設定値D3と、第1変化量ΔP1、第2変化量ΔP2、および第3変化量ΔP3が、線形関係にあることを利用して、これらの値から関係式を求める。そして、この関係式から、照射レンズ系24の設定値を変化させたときに変化量ΔPがゼロとなる多段偏向器22の設定値D0を求める。
例えば、まず、次式で示すa1,a2,b1,b2を求める。
a1=(ΔP2−ΔP1)/(D2−D1)
a2=(ΔP3−ΔP2)/(D3−D2)
b1=(D2×ΔP1−D1×ΔP2)/(D2−D1)
b2=(D3×ΔP2−D2×ΔP3)/(D3−D2)
ここで、a1=a2の場合、設定値D0は、次式で求める。
D0=|b1/a1|
また、|a1|>|a2|の場合、設定値D0は、次式で求める。
D0=|b1/a1|
また、|a1|<|a2|の場合、設定値D0は、次式で求める。
D0=|b2/a2|
2.3. 効果
第2実施形態に係る電子顕微鏡は、例えば、以下の効果を有する。
第2実施形態に係る電子顕微鏡では、制御部40が、多段偏向器22の過去の設定値に基づいて、入射角度の最適化処理における初期値D1および変化量ΔDを求めるため、多段偏向器22の調整を、短時間で正確に行うことができる。
3. 第3実施形態
3.1. 電子顕微鏡
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図16は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の構成を示す図である。以下、第3実施形態に係る電子顕微鏡300において、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
電子顕微鏡300では、照射レンズ系24は、照射量調整レンズ240と、照射レンズ242と、を有している。なお、照射レンズ242は第1光学素子の一例であり、照射量調整レンズ240は第2光学素子の一例である。
照射量調整レンズ240は、電子線の照射角度、すなわち電子線の開き角を制御することによって、試料Sに対する電子線の照射量を制御するためのレンズである。照射レンズ242は、試料Sに電子線を照射するためのレンズである。照射レンズ242は、例えば、照射量調整レンズ240の後方に配置されている。照射レンズ242は、図示の例では、試料Sの直上に配置されている。
照射量調整レンズ240は、例えば、試料Sに対して電子線を平行照射するために用いられる。すなわち、電子顕微鏡300では、照射量調整レンズ240によってケーラー照明を実現できる。
3.2. 光学系の制御方法
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡の光学系の制御方法について説明する。なお、以下では、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡の光学系の制御方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
3.2.1. 照射角度の最適化
電子顕微鏡300では、制御部40によって光学系20が制御される。以下では、試料Sに照射される電子線の照射角度が最適な角度となるように、制御部40が照射量調整レンズ240を制御する処理について説明する。以下、当該処理を、照射角度の最適化処理ともいう。
最適な照射角度は、任意の角度に設定可能である。以下では、試料Sに対して電子線が平行照射されるように、照射量調整レンズ240を調整する場合について説明する。
図17は、照射角度の最適化処理の一例を示すフローチャートである。図18〜図20は、照射角度の最適化処理における光学系20の動作を説明するための図である。なお、図18〜図20では、便宜上、電子源10、照射量調整レンズ240、照射レンズ242、結像レンズ系26、および検出器30のみを図示している。
制御部40は、ユーザーが照射角度の最適化処理の開始の指示を行ったか否かを判定する(S300)。
開始指示が行われたと判断された場合(S300のYes)、制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値Inの初期値I1および照射量調整レンズ240の設定値Inの変化量ΔIを算出する(S302)。照射量調整レンズ240の設定値Inは、電子線の照射角度を制御する値である。初期値I1および変化量ΔIの算出方法は後述する。
次に、制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値を初期値I1にして、照射レンズ242の設定値を変化させたときの照射レンズ242を通過した電子線のビーム径の変化量である第1変化量ΔR1を求める(S306〜S316)。
具体的には、まず、n=1として(S304)、制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値を初期値I1に設定する(S306)。初期値I1は、ステップS302の処理で算出した値が用いられる。
次に、制御部40は、照射レンズ242の設定値を設定値O1に設定する(S308)。設定値O1は、任意の値に設定可能である。制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値が初期値I1に設定され、かつ照射レンズ242の設定値が設定値O1に設定された状態で、図18に示すように、検出器30上における電子線のビーム径Raを測定する(S310)。制御部40は、例えば、検出器30で撮影されたTEM像を取得し、取得したTEM像からビーム径Raを測定する。
次に、制御部40は、照射レンズ242の設定値を設定値O2に設定する(S312)。設定値O2は、O2=O1+ΔOである。変化量ΔOは、任意の値に設定可能である。設定値O2は、設定値O1とは異なる値に設定される。制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値が初期値I1に設定され、かつ照射レンズ242の設定値が設定値O2に設定された状態で、図18に示すように、検出器30上における電子線のビーム径Rbを測定する(S314)。制御部40は、例えば、検出器30で撮影されたTEM像を取得し、取得したTEM像からビーム径Rbを測定する。
次に、制御部40は、第1変化量ΔR1=Rb−Raを算出する(S316)。以上の工程により、第1変化量ΔR1を求めることができる。
次に、制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S318)、n=3でないと判定された場合(S318のNo)、n=n+1として(S320)、ステップS306に戻る。そして、制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値を初期値I1から変化量Δ
I変化させた設定値I2にして、照射レンズ242の設定値を変化させたときの照射レンズ242を通過した電子線のビーム径の変化量である第2変化量ΔR2を求める(S306〜S316)。
具体的には、まず、制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値を設定値I2に設定する(S306)。設定値I2は、初期値I1を、ステップS302で求めた変化量ΔIだけ変化させた値である。例えば、I2=I1+ΔIである。制御部40が照射量調整レンズ240の設定値を設定値I1から設定値I2に変更することによって、電子線の照射角度が変化する。
次に、制御部40は、照射レンズ242の設定値を設定値O1に設定する(S308)。制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値が設定値I2に設定され、かつ照射レンズ242の設定値が設定値O1に設定された状態で、図19に示すように、検出器30上における電子線のビーム径Raを測定する(S310)。
次に、制御部40は、照射レンズ242の設定値を設定値O2に設定する(S312)。制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値が設定値I2に設定され、かつ照射レンズ242の設定値が設定値O2に設定された状態で、図19に示すように、検出器30上における電子線のビーム径Rbを測定する(S314)。
次に、制御部40は、第2変化量ΔR2=Rb−Raを算出する(S316)。以上の工程により、第2変化量ΔR2を求めることができる。
次に、制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S318)、n=3でないと判定された場合(S318のNo)、n=n+1として(S320)、ステップS306に戻る。そして、制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値を初期値I1から変化量ΔI変化させた設定値I3にして、照射レンズ242の設定値を変化させたときの照射レンズ242を通過した電子線のビーム径の変化量である第3変化量ΔR3を求める(S306〜S316)。
具体的には、まず、制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値を設定値I3に設定する(S306)。設定値I3は、初期値I1を、ステップS302で求めた変化量ΔIだけ変化させた値である。例えば、I3=I1−ΔIである。制御部40が照射量調整レンズ240の設定値を設定値I2から設定値I3に変更することによって、電子線の照射角度が変化する。
次に、制御部40は、照射レンズ242の設定値を設定値O1に設定する(S308)。制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値が設定値I3に設定され、かつ照射レンズ242の設定値が設定値O1に設定された状態で、図20に示すように、検出器30上における電子線のビーム径Raを測定する(S310)。
次に、制御部40は、照射レンズ242の設定値を設定値O2に設定する(S312)。制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値が設定値I3に設定され、かつ照射レンズ242の設定値が設定値O2に設定された状態で、図20に示すように、検出器30上における電子線のビーム径Rbを測定する(S314)。
次に、制御部40は、第3変化量ΔR3=Rb−Raを算出する(S316)。以上の工程により、第3変化量ΔR3を求めることができる。
制御部40は、n=3であるか否かを判定し(S318)、n=3であると判定された
場合(S318のYes)、第1変化量ΔR1、第2変化量ΔR2、および第3変化量ΔR3に基づいて、照射レンズ242の設定値を変化させたときに、照射レンズ242を通過した電子線のビーム径の変化量がゼロとなる照射量調整レンズ240の設定値I0を求める(S322)。設定値I0の算出方法については後述する。
制御部40は、照射量調整レンズ240の設定値を、ステップS322で求めた設定値I0に設定する(S324)。そして、制御部40は、処理を終了する。
3.2.2. 初期値I1および変化量ΔIの算出
次に、ステップS302における初期値I1および変化量ΔIの算出方法について説明する。図21は、初期値I1および変化量ΔIの算出方法を説明するための図である。
初期値I1および変化量ΔIの算出方法は、上述した初期値H1および変化量ΔHの算出方法と同様である。すなわち、制御部40は、記憶部50に記憶された照射量調整レンズ240の過去の設定値に基づいて、初期値I1および変化量ΔIを求める。
制御部40は、設定された時間間隔で、照射量調整レンズ240の設定値を記憶部50に記憶させる。また、制御部40は、設定値I0とともに、設定値I0が記憶された時刻を記憶部50に記憶させる。
制御部40は、例えば、記憶部50に記憶された設定値I0を読み出して、設定値I0の時間平均ITを算出し、算出された時間平均ITを初期値I1とする。すなわち、I1=ITとする。このように、過去の設定値I0から、現時点Tnowでの設定値I0を推測して、初期値I1を決定する。また、制御部40は、例えば、設定値I0の標準偏差σを算出し、算出された標準偏差σを変化量ΔIとする。すなわち、ΔI=σとする。このように、過去の設定値I0のばらつきから、設定値I0のばらつきを推測して、変化量ΔIを決定する。
3.2.3. 設定値I0の算出方法
次に、ステップS322における設定値I0の算出方法について説明する。
図22〜図24は、設定値I0の算出方法を説明するための図である。
設定値I1、設定値I2、および設定値I3と、第1変化量ΔR1、第2変化量ΔR2、および第3変化量ΔR3は、線形関係にある。したがって、これらの値から関係式を求めて、照射レンズ242の設定値を変化させたときの照射レンズ242を通過した電子線のビーム径の変化量ΔRがゼロとなる照射量調整レンズ240の設定値I0を求める。
例えば、まず、次式で示すa1,a2,b1,b2を求める。
a1=(ΔR2−ΔR1)/(I2−I1)
a2=(ΔR3−ΔR2)/(I3−I2)
b1=(I2×ΔR1−I1×ΔR2)/(I2−I1)
b2=(I3×ΔR2−I2×ΔR3)/(I3−I2)
ここで、図22に示すように、a1=a2の場合、設定値I0は、次式で求める。
I0=|b1/a1|
また、図23に示すように、|a1|>|a2|の場合、設定値I0は、次式で求める
I0=|b1/a1|
また、図24に示すように、|a1|<|a2|の場合、設定値I0は、次式で求める。
I0=|b2/a2|
なお、設定値I0の算出方法は、上記の例に限定されない。例えば、上記の例では、照射量調整レンズ240の設定値を、I1,I2=I1+ΔI,I3=I1−ΔIと変化させたが、照射量調整レンズ240の設定値を、I1,I2=I1+ΔI,I3=I1+2×ΔIと変化させてもよい。また、例えば、照射量調整レンズ240の設定値を、I1,I2=I1−ΔI,I3=I1−2×ΔIと変化させてもよい。
3.3. 効果
電子顕微鏡300は、例えば、以下の効果を有する。
電子顕微鏡300では、制御部40が、照射量調整レンズ240の過去の設定値に基づいて、照射角度の最適化処理における初期値I1および変化量ΔIを求めるため、照射量調整レンズ240の調整を、短時間で正確に行うことができる。
3.4. 変形例
なお、上記の例では、照射角度の最適化処理として、試料Sに対して電子線が平行照射されるように、照射量調整レンズ240を調整する場合について説明したが、照射角度の最適化処理において、照射角度を任意の角度にすることも可能である。上述したように、設定値I1、設定値I2、および設定値I3と、第1変化量ΔR1、第2変化量ΔR2、および第3変化量ΔR3は、線形関係にある。そのため、あらかじめ変化量ΔRと、照射角度との関係を求めておくことによって、照射角度の最適化処理において、所望の照射角度となるように照射量調整レンズ240を調整することも可能である。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子源、20…光学系、22…多段偏向器、24…照射レンズ系、26…結像レンズ系、30…検出器、40…制御部、50…記憶部、100…電子顕微鏡、240…照射量調整レンズ、242…照射レンズ、300…電子顕微鏡

Claims (11)

  1. 荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、
    前記光学系を制御する制御部と、
    前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、
    を含み、
    前記光学系は、
    第1光学素子と、
    前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有し、
    前記制御部は、
    前記第2光学素子の設定値の初期値を求める処理と、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める処理と、
    を行い、
    前記初期値を求める処理では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
    前記第2光学素子の設定値を求める処理では、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第1変化量を求め、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第2変化量を求め、
    前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに、前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める、荷電粒子線装置。
  2. 請求項において、
    前記第1光学素子は、多段のレンズ系であり、
    前記第2光学素子は、多段の偏向器であり、
    前記第2光学素子の設定値は、前記第1光学素子に対する前記荷電粒子線の入射位置を制御する値である、荷電粒子線装置。
  3. 請求項において、
    前記第1光学素子は、多段のレンズ系であり、
    前記第2光学素子は、多段の偏向器であり、
    前記第2光学素子の設定値は、前記第1光学素子の光軸に対する前記荷電粒子線の入射角度を制御する値である、荷電粒子線装置。
  4. 荷電粒子源と、
    前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、
    前記光学系を制御する制御部と、
    前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、
    を含み、
    前記光学系は、
    第1光学素子と、
    前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有し、
    前記制御部は、
    前記第2光学素子の設定値の初期値を求める処理と、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める処理と、
    を行い、
    前記初期値を求める処理では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
    前記第1光学素子は、試料に前記荷電粒子線を照射する照射レンズであり、
    前記第2光学素子は、前記荷電粒子線の照射角度を調整するための照射量調整レンズであり、
    前記第2光学素子の設定値は、前記荷電粒子線の照射角度を制御する値であり、
    前記第2光学素子の設定値を求める処理では、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第1変化量を求め、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第2変化量を求め、
    前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める、荷電粒子線装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記初期値は、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値の時間平均である、荷電粒子線装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記制御部は、前記初期値からの変化量を求める処理を行い、
    前記第2光学素子の設定値を求める処理では、前記第2光学素子の設定値を前記初期値から、求めた前記変化量変化させ、
    前記変化量を求める処理では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記変化量を求める、荷電粒子線装置。
  7. 請求項において
    前記変化量は、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値の標準偏差である、荷電粒子線装置。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記制御部は、所定の時間間隔で、前記第2光学素子の設定値を前記記憶部に記憶させる、荷電粒子線装置。
  9. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記制御部は、前記第2光学素子の設定値を求める処理を行った後に、求めた前記第2光学素子の設定値を前記記憶部に記憶させる、荷電粒子線装置。
  10. 荷電粒子源と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、を含み、前記光学系が、第1光学素子と、前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有する荷電粒子線装置の光学系の制御方法であって、
    前記第2光学素子の初期値を求める工程と、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める工程と、
    を含み、
    前記初期値を求める工程では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
    前記第2光学素子の設定値を求める工程では、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第1変化量を求め、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量である第2変化量を求め、
    前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに、前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線の位置の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める、荷電粒子線装置の光学系の制御方法。
  11. 荷電粒子源と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子線に作用する光学系と、前記光学系の過去の設定値を記憶する記憶部と、を含み、前記光学系が、第1光学素子と、前記第1光学素子に入射する前記荷電粒子線の状態を制御するための第2光学素子と、を有する荷電粒子線装置の光学系の制御方法であって、
    前記第2光学素子の初期値を求める工程と、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させることによって前記荷電粒子線の状態を変化させ、前記荷電粒子線の状態の変化に基づいて前記第2光学素子の設定値を求める工程と、
    を含み、
    前記初期値を求める工程では、前記記憶部に記憶された前記第2光学素子の過去の設定値に基づいて、前記初期値を求め、
    前記第1光学素子は、試料に前記荷電粒子線を照射する照射レンズであり、
    前記第2光学素子は、前記荷電粒子線の照射角度を調整するための照射量調整レンズであり、
    前記第2光学素子の設定値は、前記荷電粒子線の照射角度を制御する値であり、
    前記第2光学素子の設定値を求める工程では、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値にして、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第1変化量を求め、
    前記第2光学素子の設定値を前記初期値から変化させ、前記第1光学素子の設定値を変化させたときの前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量である第2変化量を求め、
    前記第1変化量および前記第2変化量に基づいて、前記第1光学素子の設定値を変化させたときに前記第1光学素子を通過した前記荷電粒子線のビーム径の変化量がゼロとなる前記第2光学素子の設定値を求める、荷電粒子線装置の光学系の制御方法。
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