以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は文字画像の一部を拡大して示しており、画像部分と非画像部分がある。非画像部分は画像部分の外側のほか、画像部分で囲まれているものもある。以下、画像部分で囲まれた非画像部分を「閉鎖非画像部」という。
図2は、図1に示すようなトナー画像の「閉鎖非画像部」を通る線に沿う断面を拡大して示す。図2(a)は、文字画像を横切る線分に沿うトナー層の断面を示している。細線上においては図2(a)に示すように山なりのトナー付着分布をなしており、裾の部分が実際の画像範囲を超えている場合が多い。この裾の部分が、閉鎖非画像部に対してぼやける作用を及ぼし、閉鎖非画像部の識別性を悪化させて文字の可読性を低下させる。
図2(b)は、前記閉鎖非画像部へのトナーの付着がなく、さらに、閉鎖非画像部に隣接する文字画像部の輪郭部のトナー付着量が最も多くなっている。図2(b)に示すように、電子写真プロセスで画像を現像する際に、閉鎖非画像部に隣接する画像部の、内側すなわち閉鎖非画像部側の書き込み幅を狭くし、かつ、トナー付着量を増やす。こうすることにより、画像部の輪郭を強調することができ、閉鎖非画像部を明確化することができる。以下、このような輪郭強調技術を備えた画像形成装置の実施形態について説明する。
●画像形成装置(1)●
図3に示すように、画像形成装置2000は、複写機、プリンタ、ファクシミリの各機能を有する複合機であり、本体装置1001、読取装置1002、自動原稿給紙装置1003などを備えている。
本体装置1001は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色を重ね合わせてフルカラーの画像を形成して印刷物の生産方法を実行するタンデム方式の多色カラープリンタである。本体装置1001には、感光体ドラム2030の周りに、帯電、露光、現像、転写、クリーニングという電子写真プロセスを実行するための装置が、感光体ドラム2030の回転方向に沿って上記の順に配置されている。また、本体装置1001は、以上の電子写真プロセスを実行するための装置を制御する装置として、通信制御装置2080と、プリンタ制御装置2090とを有する。
本体装置1001は、帯電プロセスを実行する帯電装置2032、露光プロセスを実行する光走査装置2010、転写プロセスを実行する転写体としての転写ベルト2040及び転写ローラ2042を有する。また、本体装置1001は、感光体ドラム2030と、現像プロセスを実行する現像ローラ2033およびトナーカートリッジ2034、クリーニングプロセスを実行するクリーニングユニット2031を有する。また、本体装置1001は、定着ローラ2050と、給紙コロ2054と、レジストローラ対2056と、排紙ローラ2058と、給紙トレイ2060と、排紙トレイ2070とを有する。
通信制御装置2080は、通信ネットワークなどを介してパーソナルコンピュータなどの上位装置との双方向通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)とを有する。また、プリンタ制御装置2090は、RAM(Random Access Memory)と、A/D(Analog/Digital)変換器とを有する。プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて画像形成装置2000が備える各部を統括的に制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
RAMは、CPUの動作に必要な一時書き込み可能なメモリである。ROMには、CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及びこのプログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されている。A/D変換器は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
転写ベルト2040の紙面下方には、光走査装置2010によって露光され静電潜像が形成される像担持体として円筒状に形成された光導電性の感光体ドラム2030が設けられている。感光体ドラム2030は、転写ベルト2040の移動方向すなわち図3の紙面に向かって反時計回りの上流側からイエロー用2032d、マゼンタ用2030c、シアン用2030b、ブラック用2030aの順に配設されている。感光体ドラム2030の周りに配置されている画像形成のためのプロセスユニットを示す数字の後ろに、それぞれの感光体ドラムを示す数字の後ろに付した添え字と同じ添え字を付した。
帯電装置2032には、例えばオゾン発生の少ない接触式の帯電ローラや、コロナ放電を利用するコロナチャージャを用いることができる。帯電装置2032は、感光体ドラム2030の表面に均一に帯電させる。
帯電装置2032は、図4に示すコロトロン型帯電装置であってもよいし、図5に示すスコロトロン型帯電装置であってもよいし、あるいはローラ型帯電装置であってもよい。
図3に示すように、感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、クリーニングユニット2031aは、ブラック(K)の画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、クリーニングユニット2031bは、シアン(C)の画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、クリーニングユニット2031cは、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、クリーニングユニット2031dは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
光走査装置2010は、感光体ドラム2030に光書込みを行う光書込装置であって、電子写真プロセスの露光プロセスを実行する。光走査装置2010には、通信制御装置2080に接続されている上位装置からの多色、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエローの画像情報信号が入力される。光走査装置2010は、前記多色の画像情報信号に基づいて、各色に変調された光ビームを、対応する帯電された感光体ドラム2030の表面に照射する。感光体ドラム2030の表面では、光ビームが照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、いわゆるネガ潜像であって、感光体ドラム2030の回転に伴って、対応する現像ローラ2033の方向に移動する。光走査装置2010の詳細については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナー、トナーカートリッジ2034bにはシアントナー、トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナー、トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されている。トナーカートリッジ2034に格納されている、現像剤としての各色のトナーは、対応する現像ローラ2033に供給される。
現像ローラ2033の表面には、現像ローラ2033の回転に伴い、対応するトナーカートリッジ2034からのトナーが薄く均一に塗布される。現像ローラ2033の表面に塗布されたトナーは、各色に対応する感光体ドラム2030の表面に接すると、感光体ドラム2030の表面に形成されている静電潜像に付着する。もって、静電潜像が顕像化され、トナー画像(以下「トナー像」ともいう。)が形成される。形成されたトナー画像は、感光体ドラム2030の回転に伴い、転写ベルト2040の方に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写されて重ね合わされ、カラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には、記録媒体である転写紙が収納されている。給紙トレイ2060の近傍には、給紙コロ2054が配置されている。給紙トレイ2060に収納されている転写紙の最上位の1枚が給紙コロ2054で引き出され、引き出された転写紙は、その先端部がレジストローラ対2056に捕らえられる。レジストローラ対2056は、感光体ドラム2030上のトナー画像が転写位置へ移動するタイミングに合わせて、転写紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。送り出された転写紙には、転写ベルト2040上のカラー画像が転写される。カラー画像が転写された転写紙は、定着ローラ2050に送り出される。
定着ローラ2050に送り出された転写紙には、熱と圧力とが加えられて、トナーが転写紙上に定着される。トナーが定着された転写紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送り出されて、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
クリーニングユニット2031は、トナー画像が転写された後の感光体ドラム2030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム2030の表面は、再度、対応する帯電装置2032に対向する位置に戻る。
以上説明した画像形成装置の実施の形態において、帯電装置と、光走査装置と、感光体と、画像パターンを光出力に変換するための画像処理部とにより、静電潜像が形成される。
複写機やレーザプリンタといった電子写真方式における出力画像を得るためのプロセスは、以下のとおりである。電子写真方式では、帯電工程において潜像担持体の一つである感光体を均一に帯電させ、露光工程において感光体に光を照射して部分的に電荷を逃がす。このようにすることで、電子写真方式では、感光体に静電潜像を形成することができる。
●光走査装置2010
次に、画像形成装置を構成する光走査装置2010の構成について説明する。
図6に示すように、光走査装置2010は、光源11と、コリメートレンズ12と、シリンドリカルレンズ13と、ミラー14と、ポリゴンミラー15と、第1走査レンズ21とを備える。また、光走査装置2010は、第2走査レンズ22と、ミラー24と、同期検知センサ26と、走査制御装置とを備える。光走査装置2010は、光学ハウジングの所定位置に組み付けられている。
なお、以下の説明において、感光体ドラム2030の長手方向(回転軸方向)に沿った方向を、XYZ3次元直交座標系のY軸方向とし、ポリゴンミラー15の回転軸に沿った方向をZ軸方向とし、Y軸とZ軸の双方に垂直な方向をX軸方向とする。
以下の説明において、各光学部材の主走査方向に対応する方向を主走査対応方向とし、副走査方向に対応する方向を副走査対応方向とする。
光源11は、例えば2次元配列された複数の発光部を有している。各発光部は、全ての発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等しくなるように配置されている。光源11には、半導体レーザ(LD:Laser Diode)や、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などを用いることができる。
図7において、光走査装置2010の光源11Aは、マルチビーム光源として、4個の半導体レーザが配列されて構成される半導体レーザアレイである。また、光源11Aは、コリメートレンズ12の光軸方向に対して垂直に配置されている。
図8において、光走査装置2010の光源の別の例である光源11Bは、発光点がY軸方向とZ軸方向とを含む平面上に配置された、例えば波長780nmの垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)である。
光源11Bは、例えば、主走査方向、つまりY軸方向に3個、副走査方向、つまりZ軸方向に4個、計12個の発光点を有する。光源11Bは、光走査装置2010に適用する場合に、一つの走査線上を水平方向に配置した3つの発光点により走査することで、垂直方向の4本の走査線を同時に走査することもできる。2つの発光部の中心間距離を「発光部間隔」という。
図6に戻る。コリメートレンズ12は、光源11から射出された光の光路上に配置され、光を平行光または略平行光に屈折させる。
シリンドリカルレンズ13は、ポリゴンミラー15の偏向反射面の近傍において、コリメートレンズ12を通過した光を副走査方向にのみ集束させる。シリンドリカルレンズ13は、ポリゴンミラー15の反射面近傍に、主走査方向(Y軸方向)に長い線像として光源11から出射された光を結像させる。
ミラー14は、シリンドリカルレンズ13を通過して結像した光をポリゴンミラー15に向けて反射する。
光源11とポリゴンミラー15との間の光路上に配置されている光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。
ポリゴンミラー15は、感光体ドラム2030の長手方向に直交する方向の回転軸まわりに回転する多面鏡である。ポリゴンミラー15の各鏡面は、偏向反射面である。ポリゴンミラー15は、駆動用IC(Integrated Circuit)がモータ部に適切なクロックを与えることで、所望の速度で等速回転する。ポリゴンミラー15は、モータ部により矢印方向に等速回転されると、偏向反射面で反射された複数の光ビームが、それぞれ偏向ビームとなって等角速度的に偏向される。
第1走査レンズ21と、第2走査レンズ22と、ミラー24と、同期検知センサ26は、走査光学系を構成する。走査光学系は、ポリゴンミラー15で偏向された光の光路上に配置される。
第1走査レンズ21は、ポリゴンミラー15で偏向された光の光路上に配置されている。
第2走査レンズ22は、第1走査レンズ21を介した光の光路上に配置されている。
ミラー24は、長尺平面鏡であり、第2走査レンズ22を介した光の光路を、感光体ドラム2030に向かう方向に折り曲げる。
ポリゴンミラー15で偏向された光は、第1走査レンズ21と、第2走査レンズ22とを介して感光体ドラム2030に照射され、感光体ドラム2030表面に光スポットを形成する。
感光体ドラム2030表面の光スポットは、ポリゴンミラー15の回転に伴って感光体ドラム2030の長手方向に沿って移動する。感光体ドラム2030表面上の光スポットの移動方向が主走査方向であり、感光体ドラム2030の回転方向が副走査方向である。
同期検知センサ26は、ポリゴンミラー15からの光を受光し、受光光量に応じた信号光電変換信号を走査制御装置に出力する。同期検知センサ26の出力信号は、同期検知信号ともいう。
図6に示すように、光走査装置2010では、ポリゴンミラー15の1つの偏向反射面による走査で感光体ドラム2030の被走査面上の複数のラインを同時に走査する。各発光点の発光信号を制御する画像処理部内のバッファメモリには、各発光点に対応する1ライン分の印字データが蓄えられている。
印字データは、ポリゴンミラー15のそれぞれの偏向反射面ごとに読み出され、潜像担持体としての感光体ドラム2030上の走査線上で印字データに対応して光ビームが点滅し、走査線にしたがって静電潜像が形成される。
次に、本発明に係る画像形成装置のプリンタ制御装置及び走査制御装置について説明する。
図9は、プリンタ制御装置2090及び走査制御装置16を示すブロック図である。図9に示すように、プリンタ制御装置2090は、画像形成装置2000の各構成部を統括的に制御する制御部、画像処理部1060a、露光量設定部1060b等を有している。
画像処理部1060aは、後述する画像処理が施された画像データ、オブジェクト情報を識別するタグデータ等を露光量設定部1060bに出力する。
露光量設定部1060bは、画像処理部1060aからの画像処理後の画像データの各露光画素の露光量の設定を行い、露光量設定後の画像データ、タグデータ等を走査制御装置16に出力する。
画像処理部1060aから露光量設定部1060bに送られる画像データは、非露光部である白部と、露光部である例えば黒部とが画素ごとに指定されている。露光量設定部1060bについては、後で詳細に説明する。
走査制御装置16は、露光量設定部1060bからの露光量設定後の画像データ、タグデータ等に従い、感光体ドラム2030の表面を走査して、感光体ドラム2030の表面に静電潜像を形成する。
走査制御装置16は、露光量設定部1060bからの画像データ及びタグデータ等に従い光源の駆動情報を生成し、駆動情報を用いて光源の各発光部を駆動する。
走査制御装置16は、基準クロック生成回路422、画素クロック生成回路425、光源変調データ生成回路407、光源選択回路414、書込みタイミング信号生成回路415、及び光源駆動回路420を有している。
図9における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
基準クロック生成回路422は、光源駆動回路420の基準となる高周波クロック信号を生成する。
画素クロック生成回路425は、主にPLL(Phase Locked Loop)回路からなる。画素クロック生成回路425は、同期信号s1と基準クロック生成回路422からの高周波クロック信号とに基づいて、画素クロック信号を生成する。
画素クロック信号は、周波数が高周波クロック信号と同一であり、位相が同期信号s1と一致している。
したがって、画素クロック生成回路425は、画素クロック信号に画像データを同期させることで、走査ごとの書込み位置を制御することができる。
生成された画素クロック信号は、駆動情報の1つとして光源駆動回路420に供給されるとともに、光源変調データ生成回路407にも供給される。光源変調データ生成回路407に供給された画素クロック信号は、書込みデータs16のクロック信号として使われる。
光源変調データ生成回路407は、本発明に係る画像形成装置の光源駆動部に相当する。光源変調データ生成回路407は、画像処理ユニット(IPU:Image Processing Unit)などからの画像情報に基づいて、発光部毎の書込みデータs16を作成する。書込みデータs16は、駆動情報の1つとして、画素クロック信号のタイミングにより光源駆動回路420に供給される。
光源変調データ生成回路407は、本実施の形態に係る静電潜像形成方法による潜像を形成するために、画像処理ユニットからの画像パターン情報やタグ情報に基づいて画像データをPM+PWM信号による露光パターンに変換する。
光源選択回路414は、光源が発光部を複数含む場合に用いられる回路である。走査光の像面が走査終端に達すると、光源選択回路414は、次の走査の開始を検知するのに用いられる発光部を複数、例えば32個の発光部から選択し、選択された発光部を指定する信号を出力する。この光源選択回路414の出力信号s14は、駆動情報の1つとして光源駆動回路420に供給される。なお、光源に単一の発光部を用いる場合には、光源選択回路414を設けなくてもよい。
書込みタイミング信号生成回路415は、同期信号s1に基づいて書き込み開始のタイミングを求め、そのタイミング信号である出力信号s15を上記駆動情報の1つとして光源駆動回路420に出力する。
光源駆動回路420は、駆動情報に基づいて光源の各発光部の駆動電流、例えばパルス電流を生成し、発光部に駆動電流を供給する。
画像形成装置2000では、画像部における主走査方向の位置に対応して、つまり画像部の露光開始からの時間に対応して、光出力値を変化させながら露光を行う。図9に示す構成により、光源駆動回路420は、パルス幅変調(PWM変調)と光量変調(PW変調)とを同時に実行することによって光源駆動電流を生成することができる。
光源駆動回路420は、光源変調データから得られる光源変調信号を電流に変換することができるため、画像形成装置2000では、光出力と点灯時間を同時に制御可能なPM+PWM変調信号を生成することができる。
図10のブロック図に示すように、画像処理部は、画像処理ユニット101と、コントローラ部102と、メモリ部103と、光書込出力部104と、スキャナ部105と、を備える。
図11のブロック図に示すように、画像処理ユニット101は、濃度変換部101aと、フィルタ部101bと、色補正部101cと、セレクタ部101dと、階調補正部101eと、階調処理部101fと、を備えている。
濃度変換部101aは、ルックアップテーブルを用いてスキャナ部105からのRGBの画像データを濃度データに変換して、フィルタ部101bに出力する。
フィルタ部101bは、濃度変換部101aから入力される濃度データに対して、平滑化処理やエッジ強調処理等の画像補正処理を施して、色補正部101cに出力する。
色補正部101cは、色補正、つまりマスキング処理を施す。
セレクタ部101dは、画像処理ユニット101の制御下で、色補正部101cから入力される画像データに対して、C(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(Key Plate)のいずれかを選択する。セレクタ部101dは、選択したC、Y、M、Kのデータを階調補正部101eに出力する。
階調補正部101eには、セレクタ部101dから入力されるC、M、Y、Kのデータが予め格納されている。階調補正部101eには、入力データに対してリニアな特性が得られるγカーブを設定する。
階調処理部101fは、階調補正部101eから入力される画像データに対してディザ処理等の階調処理を施して、信号を光書込出力部104に出力する。
図10に戻り、コントローラ部102は、画像データに対して回転・リピート・集約・圧縮伸張などの処理を行ったあと、処理後の画像データを再度IPUに出力する。
メモリ部103には、種々のデータを記憶するためのルックアップテーブルを用意しておく。
光書込出力部104は、制御ドライバにより点灯データに応じて、光源11の光変調を行い、感光体ドラム2030に静電潜像を形成する。光書込出力部104は、後述の階調処理部からの入力信号に基づいて静電潜像を形成する。形成された静電潜像は、上述の現像装置1032、転写装置1033などにより、記録紙に画像を形成する。
スキャナ部105は、画像を読み込み、この画像に基づいてRGB(Red Green Blue)データなどの画像データを生成する。
画像処理ユニット101は、画像処理前の画像データ又は画像処理後の画像データ、つまり濃度データを必要に応じてコントローラ部102に出力する。
●画像形成方法
以上説明した画像形成装置による画像形成方法について説明する。
本画像形成方法において、潜像形成に用いる光出力波形は、ライン画像やベタ画像を含む画像部に対して、目標とする画像濃度を得るのに必要な光出力値で所定時間だけ感光体を露光させる波形である。
なお、画像部とは、複数の画素で構成され、画像パターンにおいてトナーを付着させて画像を形成するための部分である。また、非画像部とは、画像パターンにおいてトナーを付着させず画像を形成しない部分である。
以下の説明において、目標とする画像濃度を「目標画像濃度」という。また、以下の説明において、目標画像濃度を得るために必要な所定光出力値を「目標露光出力値」あるいは「基準光出力値」という。また、以下の説明において、目標画像濃度を得るために目標露光出力値で画像部の画素全体を露光させる所定時間を、「目標露光時間」という。
以下の説明において、目標露光出力値で目標露光時間だけ露光させる露光方法を「標準露光」という。以下の説明において、ベタ画像(solid image)とは、線画像に比較して大面積の画像部をいう。
以下の説明において、目標露光出力値より強い光出力値で目標露光時間より短い露光時間だけ感光体を露光させることを、「時間集中露光」という。時間集中露光では、例えば、1画素を露光する際に、1画素分の目標露光出力値に3画素分の目標露光出力値を加算した合計4画素分の光出力値を1画素分の露光時間で露光する。
以下の説明において、時間集中露光のことをTC(Time Concentration)露光ともいう。
図12は、画像形成方法の参考例であって、標準露光により静電潜像を形成する方式(以下これを「露光方式1」という。)を示す。露光方式1は、ライン画像やベタ画像を含む1ドットの画像部に対して、上述の通り目標露光出力値で目標露光時間だけ感光体を露光させる。ここで、目標露光出力値を100%の光出力値とし、目標露光時間をデューティ比100%とする。
図13は、本実施の形態に係る画像形成装置により、時間集中露光を行って静電潜像を形成する方式の例(以下「露光方式2」という。)を示す。露光方式2は、目標露光出力値の200%の光出力値で目標露光時間に対してデューティ比50%で感光体を露光させる。ここで、画像部の幅を1とすると、露光させる区間の幅は4/8画素である。
図14は、本実施の形態に係る画像形成装置により、時間集中露光を行って静電潜像を形成する方式の別の例(以下「露光方式3」という。)を示す。露光方式3は、目標露光出力値の400%の光出力値で目標露光時間に対してデューティ比25%で感光体を露光させる。画像部の幅を1とすると、露光させる区間の幅は2/8画素である。
図15は、本実施の形態に係る画像形成装置により、時間集中露光を行って静電潜像を形成する方式の例(以下「露光方式4」という。)を示す。露光方式4は、目標露光出力値の800%の光出力値で目標露光時間に対してデューティ比12.5%で感光体を露光させる。画像部の幅を1とすると、露光させる区間の幅は1/8画素である。
以上説明した露光方式2から4では、露光方式1と比較してパルス幅が狭い。つまり、露光方式2から4では、露光方式1と同じ光量で露光させると、形成される潜像が小さくなる。そのため、潜像形成時の積分光量が同等となるようにパルス幅に応じて光量を制御している。また、時間集中露光による露光方式2から4では、標準露光による露光方式1と比較して、短いパルス幅で強い露光強度により露光が行われる。
以上の説明では、露光方式2から4は、いずれも積分光量が一定となるように光出力値を設定しているが、本実施の形態に係る画像形成方法における光出力値は、これに限定されるものではない。
本実施の形態に係る画像形成装置は、画像対応部を露光する第1露光手段と、閉鎖非画像部を露光する第2露光手段と、を備えている。第1露光手段は画像対応部を露光する露光手段が、第2露光手段は閉鎖非画像部を露光する場合に閉鎖非画像部を露光する手段がそれぞれ相当する。例えば、後述するように画像対応部に黒(K)トナーを載せ、閉鎖画像部に白トナーを載せる場合、黒(K)に対応する感光体を露光する手段が第1露光手段に、白トナー(所謂特色トナー)に対応する感光体を露光する手段が第2露光手段に相当する。
前記第1露光手段は、画像対応部を、第1領域と、第2領域と、第3領域と、に分けて露光する。第1領域は、画像対応部の一部であるにもかかわらず露光しない領域である。図13に示す露光方式2において露光しない領域が第1領域に該当する。第2領域は、第1領域よりも画像対応部の内側であって通常露光より強い露光強度で露光を行う領域である。図14および図15に示す露光方式3,4の、強い露光強度で露光される領域が第2領域に該当する。第3領域は、第2領域よりもさらに画像対応部の内側であって通常露光の露光強度で露光を行う領域である。
前記第1領域と、前記第2領域と、前記第3領域は、前述のように第1露光手段によって露光される。第1露光手段は、第1領域と、第2領域と、第3領域と、における積分光量を、画像データによって全領域を通常露光量で露光したときの積分光量より少なくする。
第1露光手段が上記のように画像対応部を3つの領域に分け、それぞれ露光しない領域、通常露光より強い露光強度で露光を行う領域、通常露光の露光強度で露光を行う領域としたことにより、画像の解像度が高まる。これにより、小ポイント文字であっても良好に再現することができ、可読性を高めることができる。
非画像部が画像部で取り囲まれて閉鎖非画像部となっている場合、文字のポイント数が小さくなるに従い、像と像の間隔が狭くなり、光学的ドットゲインも発生して可読性が損なわれやすい。本発明の実施例によれば、上に述べたような3領域に分けて露光条件を異ならせたことにより、より小さな文字でも可読性を高めることができる。
画像部に囲まれた閉鎖非画像部を露光するときは前記第2露光手段により光源が駆動される。従来の画像形成装置では、非画像部が露光されることはないが、以下に説明する実施の形態に係る画像形成装置では、一定の条件下においては閉鎖非画像部の一部が露光される場合がある。この露光された部分には特定のトナー、例えば非画像部の色すなわち用紙の地色と同じ白色のトナーが載せられる。
●画像形成装置(2)●
図16は本発明に係る画像形成装置の別の実施例を示す。この実施例が前述の実施例と異なるのは、K(Key Plate)、C(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、の作像ユニットのほかに第5作像ユニット203eを有していることである。図16において、4つの作像ユニット203a,203b,203c,203dは、それぞれ上記K、C、M、Yの作像ユニットであり、それぞれ感光体ドラムと、その周囲に配置された所定のプロセスユニットを有してなる。
図16に示す実施例は、第5作像ユニット203eを有していることのみが前述の実施例と異なるものであるため、図16では、画像形成装置を簡略化して模式的に示している。図16において、符号201は光走査装置、204は転写ベルト、205は定着ローラ、206は給紙トレイをそれぞれ示している。
図16に示す実施例における第5作像ユニット203eは白トナーによる現像ユニットを具備している。第5作像ユニット203eは前記第2露光手段によって露光されるもので、画像部で囲まれた前記閉鎖非画像部の作像に用いられる。
図17(a)は、閉鎖非画像部の所定の範囲に白トナー200を載せた様子を示す。図17(a)において、両側が文字部分で囲まれた閉鎖非画像部があり、この閉鎖非画像部に対応する部分は、第5作像ユニット203eによって作像される。第5作像ユニット203e感光体ドラムが、光走査装置201で露光されて潜像が形成されると、現像ユニットで白トナー200が供給されて閉鎖非画像部に載せられ、白トナー200で現像される。
このように、閉鎖非画像部に用紙の地色である白トナー200を載せて画像部とともに定着することにより、文字つぶれを解消し、小ポイント文字の可読性を改善することができる。図17(b)は、閉鎖非画像部の面積に対して白トナーによる作像面積の望ましい割合を検討した結果を示す。図17(b)において符号Tは文字認識率の許容レベルを示す。図17(b)のグラフから、白トナーによる作像面積の割合は少なくとも70%であることが望ましい。これにより文字つぶれを主観的に解消でき、小ポイント文字の可読性を向上することができる。
●画像形成装置(3)●
本発明に係る画像形成装置のさらに別の実施例について説明する。この実施例は、閉鎖非画像部を白トナーで現像するとともに、白トナーの周囲の画像部の輪郭を強調することを特徴とするものである。図19(a)はこの実施例によって形成された画像部および閉鎖非画像部を示すもので、画像部の前記第2領域を通常露光より強い露光強度で露光し、前記第3領域を通常露光の露光強度で露光している。
本実施例では、閉鎖非画像部に形成する白トナー200の像に対し、前述の画像部の輪郭強調を行うことで、文字つぶれを解消し、小ポイント文字の可読性を上げることができる。
●画像形成装置(4)●
本発明に係る画像形成装置のさらに別の実施例は、上に述べた白トナー200による作像部分を強調するものである。図19(b)はこの実施例によって形成された画像部および閉鎖非画像部を示す。図19(b)に示すように、白トナー200で現像するための露光強度は、周辺の画像部に対して相対的に強くなっている。こうすることにより、閉鎖非画像部が潰れることなく、小ポイント文字の可読性を上げることができる。
図19(b)に示す例ではまた、閉鎖非画像部の周辺部の露光量がそれらの内側の露光強度よりも強くなっていて、閉鎖非画像部の周辺部が白トナー200で強調されるようになっている。閉鎖非画像部の周辺部で囲まれた内側の領域の露光強度は通常の露光強度で露光されるようになっている。
第2露光手段によって形成される閉鎖非画像部を、第1非画像領域、第2非画像領域、第3非画像領域に分け、各領域の露光強度を異ならせるとよい。閉鎖非画像部の輪郭の一部であって露光しない領域を設け、これを第1非画像領域とする。第2非画像領域は、第1非画像領域の内側であって通常露光量より強い露光強度で露光を行う領域である。第3非画像領域は、第2非画像領域の内側で前記通常露光強度で露光を行う領域である。
閉鎖非画像部を白トナーで現像するための前記第2露光手段は、前記第1非画像領域から前記第3非画像領域に至る積分光量を、画像データによって全領域を通常露光量で露光したときの積分光量より少なくする。
このように、閉鎖非画像領域を3つの領域に分け、各領域の露光強度を異ならせることにより、白トナーで現像する閉鎖非画像領域のエッジをさらに強調することができる。これにより、閉鎖非画像部が潰れることなく、文字再現性をさらに向上させることができる。
●画像形成装置(5)●
図20は、本発明に係る画像形成装置のさらに別の実施例による画像形成の各種例を示す。いずれの例も閉鎖非画像部が斜めに配列されている場合の、感光体ドラムの潜像パターンおよびトナー付着パターンを示す。図20の(a)(b)(c)のいずれも、左側に潜像パターンを、右側にトナー付着パターンを、ベタ画像で示している。
閉鎖非画像部が斜めに配列されている場合、文字のポイント数が大きく、閉鎖非画像部相互に一定以上の間隔がある場合には特に問題はない。しかし、文字が例えば3ポイントのような微細な文字の場合、文字の識別が難しくなるので、前述のように白トナーによる閉鎖非画像部の作像を行う。図20(a)は、閉鎖非画像部を忠実に露光して形成した潜像パターンの例を示す。この例のように、斜めに連なっている閉鎖非画像部の潜像パターンを忠実に現像すると、斜めに連なる閉鎖非画像部相互が途切れやすく、文字を正常に再現するのが難しくなる。
そこで本実施例では、閉鎖非画像部が互いに隣接する部分における前記閉鎖非画像部の潜像の電位を、通常露光より高くする。図20(b)、(c)は、閉鎖非画像部の潜像の電位を通常露光より高くして現像した例を示す。閉鎖非画像部に加えて閉鎖非画像部の周辺部の潜像の電位を通常露光より高くしてもよい。閉鎖非画像部およびその周辺部の潜像電位は、通常露光の潜像電位の1.5〜2倍とする。
閉鎖非画像部およびその周辺部の潜像電位を高くすることにより、図20(b)、(c)に示すように、閉鎖非画像部付近のトナーの付着量を増加させ、途切れのない画像を得ることができる。このように、閉鎖非画像部が斜めに連なる場合であって、極めて微細な文字を作像する場合であっても、閉鎖非画像部に白トナーを十分に付着させることで、十分な視認性を持って文字を再現することができる。