JP6898354B2 - 手術器具、具体的には電気手術器具 - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

本発明は、手術器具、具体的には電気手術器具に関する。本発明はさらに、ＦＲＡＭ記憶装置の使用に関する。
電気手術器具は、例えば、電気手術における生物組織の凝固及び／又は切除に使用されることが知られている。使用時、器具の電極には、異なる電位（バイポーラ）の高周波電圧（ＨＦ電圧）が供給され、人体のタンパク質が変性される程度まで電極周辺の組織が加熱される。

さらに、高周波手術（ＨＦ手術とも呼ぶ）中に意図的に組織を損傷又は切開するために、手術処置を施す組織に高周波交流電流を流すことも知られている。この手術方法の場合、関連する血管を個々に閉塞又は萎縮させるため、切開とともに止血も同時に行うことができる。高周波手術では、外科用メスの代わりに電極が配備され、電極は例えば切除用内視鏡等の手術器具に配置される。

多くの場合、電気手術システムは定格が数百ワット、動作電圧が１０００ボルト以上のＨＦ発生装置を備えている。ＨＦ発生装置により生成されたＨＦ信号はＨＦ電極に印加される。モノポーラＨＦ手術では、高電圧出力の一方のコネクタがＨＦ電極に接続される。第２のコネクタは、大型の患者対極板と接触する。処置に使用される電流は、ＨＦ電極を通って患者へ流れ、患者対極板へ戻る。バイポーラＨＦ手術では、処置に使用されるＨＦ電極は２本の電極を備え、ＨＦ発生装置により生成された電流は、その２本の電極間を流れる。高電圧を放電中、ＨＦ電極にプラズマが形成される。このプラズマにより、医療処置、すなわち切断作用及び／又は凝固が可能となる。

さらに、手術器具は、いわゆるＲＦＩＤ（無線周波数識別子）タグを備えており、器具に特有な情報をＲＦＩＤチップに記憶することにより、手術器具の明確な識別が保障されることが知られている。ＲＦＩＤチップは個々に有線又は無線で読み出し又は書き込みが行われる。

この先行技術から出発して、本発明の目的は、手術器具、具体的には電気手術器具の操作性を向上させることである。
この目的は、手術器具を個別に認識又は検出するＦＲＡＭ記憶装置を有する手術器具、具体的には電気手術器具により達成される。

不揮発性電子記憶装置類は、ＦＲＡＭ（強誘電体ランダムアクセスメモリ）技術に基づき手術器具のＲＦＩＤタグの記憶装置に使用される。これにより、手術器具を確実に識別することが可能であり、例えば処置及び／又は手術器具の製造履歴を文書化することが可能である。手術器具のＲＦＩＤタグがＦＲＡＭメモリを備えている場合、例えば、これまで単回使用として使われてきた手術器具をガンマ線照射で殺菌することが可能になる。このようにすることで、ガンマ線照射を用いて殺菌した後でも、ＦＲＡＭメモリに記憶された情報が削除されず利用可能となり、殺菌済みの器具を再度利用することができる。現在まで、バイポーラのアプリケータは高周波手術に、例えば単回使用の器具として使われてきた。本発明によれば、このようなアプリケータはＦＲＡＭメモリを備えて構成される。この結果、ガンマ線照射で殺菌後、メモリに記憶された利用可能な情報と、適切であれば器具とを使い続けることができる。

これにより、使用済み器具を常に、確実に、そして自動的に認識することができる。この場合、具体的にはガンマ線照射で殺菌された後の殺菌済み器具を認識することが可能であり、手術使用のために特定の手術器具を動作させることができる。また同様に、単回使用の器具として使う手術器具の場合、ＦＲＡＭメモリを備えて構成された器具を殺菌後、再利用されることを防ぐことができる。これは、ガンマ線照射で殺菌後、単回使用の器具は個々に検出又は認識され、ＦＲＡＭメモリに記憶された情報やデータが認識された後、再利用されないためである。

本器具のさらなる一実施形態において、ＦＲＡＭ記憶装置が手術器具のシャフト又はハウジング、例えばハンドルに配置又は搭載されることをさらに特徴とする。

また手術器具においては、手術器具にケーブル、具体的には電源ケーブル又は接続ケーブルを有し、ＦＲＡＭ記憶装置がケーブルの中又は上に配置又は設置されること、又は、ケーブルがＦＲＡＭ記憶装置を備えて構成されることが有益である。具体的には、この場合のケーブルは、手術器具に恒久的に接続されており、このため手術器具の認識が明確となる。

さらに、手術器具の一実施形態において、手術器具のケーブルが接続継手、具体的にはプラグを備えて構成され、接続継手はＦＲＡＭ記憶装置を備えて構成される。この場合、ＦＲＡＭ記憶装置は接続継手の中又は上に配置又は設置される。具体的には、接続継手として構成されたプラグは、好ましくは個々にプラグの内側に配置された、又はプラグのハウジングに配置されたＦＲＡＭ記憶装置を有する。

さらに手術器具は、電気手術における生物組織の凝固及び／又は切除に用いるアプリケータ、好ましくはバイポーラのアプリケータとして構成されることが好ましい。この場合、手持器具として構成されるバイポーラのアプリケータは、高周波（ＨＦ）手術又は無線周波数（ＲＦ）手術で使用される。本発明の範囲内において、モノポーラ高周波（ＨＦ）アプリケータ又は超音波アプリケータ又はマイクロ波アプリケータにＦＲＡＭ記憶装置を備えることがさらに可能である。

本目的は、手術器具、具体的には上述の電気手術器具とともに、又はその中においてＦＲＡＭ記憶装置を使用することでさらに達成される。繰り返しを避けるため、上述の実施形態を明示的に参照する。

請求項及び添付した図面とともに、本発明の実施形態の記載から、本発明のさらなる特徴が明らかになるであろう。本発明の実施形態は、個別の特徴又は複数の特徴の組み合わせを含むことができる。

本発明は、図面を参照し、例示的な実施形態を用いて、本発明の一般概念を制限することなく以下に記載される。本文に詳細に記載されない本発明にかかる全ての詳細については、図面を参照する。

電気手術器具を概略的に示す。 電気手術器具のプラグを概略的に示す平面図である。 電気手術器具のプラグを概略的に示す断面図である。

電気手術器具１０を図１に概略的に示す。ここでは、電気手術器具１０は、好ましくはバイポーラの電気手術器具として構成される。
電気手術器具１０はシャフトの形状のハンドル１２を備える。ハンドル１２の一端にアプリケータ針１４が配置されている。アプリケータ針１４は、絶縁体により互いに電気的に分離した２つの凝固電極を先端に有するよう構成されている。この凝固電極により、生物組織の切開及び凝固が可能となる。

電気手術器具１０を操作するため、手術器具１０は、アプリケータ針１４とは反対のハンドル１２の端部において、ケーブル１６により給電ユニットに接続されている。手術器具１０が接続されると、ケーブル１６を介して凝固電極に電圧が供給される。

加えて、手術器具１０を操作するため、ハンドル１２に適したスイッチ又は起動スイッチを個々に備えることもできる。
本発明によれば、概略的に示すＦＲＡＭメモリ（強誘電体ランダムアクセスメモリ）２０を備えて構成されたＲＦＩＤタグ１８がハンドル１２に配置されている。ＦＲＡＭメモリ２０により手術器具１０の個別の特徴を記憶することが可能であり、必要に応じて読み取り機でその特徴を読み出すことができる。これにより、手術器具１０を確実に、かつ自動的に認識することが可能である。具体的には、ＦＲＡＭメモリ２０を使用することにより、殺菌中、又は殺菌後にＦＲＡＭメモリ２０からデータが削除されることなく、手術器具１０をガンマ線照射で殺菌することが可能である。

代替的な一実施形態において、手術器具１０を好適に認識するために、ＦＲＡＭメモリ２０を有するＲＦＩＤタグ１８をケーブル１６上に配置することが可能である。

（ここでは図示しない）電気手術器具の差込プラグ３０の平面図を概略的に図２ａに示す。図２ｂは図２ａに示すＩＩｂ−ＩＩｂの点線に対応した、プラグ３０の断面を概略的に示す。

（電気手術用）高周波ユニットは、例えば差込プラグ３０により手術器具に接続されている。高周波ユニットから電気手術器具へ電流、具体的にはＨＦ電流を流すため、差込プラグ３０は接続ケーブル３２、例えばＨＦ接続ケーブルに接続されている。差込プラグ３０は、接続継手として構成され、差込側に接触部又は接触ピンとして２本の差込ピン３４を有する。差込ピンは高周波ユニット等の、例えばプラグ受けに差し込まれる、又は差し込むことができる。発明をよりよく説明するため、さらなる詳細については省略している。

差込プラグ３０は、好ましくは絶縁性を有するハウジング３６を有し、ＦＲＡＭメモリ２０はハウジング３６に配置される又は収容される。ハウジング３６の内側において、ＦＲＡＭメモリ２０はプラグ３０の被覆材に囲まれている。差込プラグ３０を備えた、及び差込プラグ３０に接続された手術器具を確実に識別することが可能であり、ＦＲＡＭメモリ２０に記憶されたデータ及び情報から、例えば処置履歴及び／又は手術器具の製造履歴を文書化することが可能である。

図２ａ及び図２ｂに示す、ＦＲＡＭメモリ２０を備えた差込プラグ３０は、平板状プラグとして構成される。本発明の範囲内において、差込プラグ３０は、１本のピン３４又は２本以上の差込ピンを有することが可能であり、すなわち少なくとも１本以上の差込ピンを有することが可能である。差込プラグ３０はさらに平板状プラグ形状とは異なる形状で構成することもできる。

図面のみから推測される特徴も含めたすべての特定された特徴、及び他の特徴と組み合わせて説明された個別の特徴は、単独で及び組み合わせて本発明に本質的な特徴と考えられる。本発明の実施形態は、個別の特徴により、又は複数の特徴を組み合わせて実施されてもよい。本発明の文脈において「具体的には」又は「好ましくは」と表された特徴は、任意的な特徴であると考えられるべきである。

１０… 電気手術器具、１２…ハンドル、１４…アプリケータ針、１６…ケーブル、１８…ＲＦＩＤタグ、２０…ＦＲＡＭメモリ、３０…差込プラグ、３２…接続ケーブル、３４…差込ピン、３６…ハウジング

Claims (8)

1. 手術器具（１０）を個別に認識又は検出するためのＦＲＡＭ記憶装置（２０）を備え、
   前記手術器具はケーブルを有し、
   前記ケーブルは、ハウジングを含むプラグを有し、
   前記ＦＲＡＭ記憶装置は、前記ハウジング内に配置されている、手術器具（１０）。
2. 前記手術器具（１０）は、電気手術器具である、請求項１に記載の手術器具（１０）。
3. 前記ケーブルは、電源ケーブル又は接続ケーブルである、請求項１又は２に記載の手術器具（１０）。
4. 前記手術器具（１０）は、電気手術による生物組織の凝固及び／又は切除を行うためのアプリケータとして構成される、請求項１から３のいずれか一項に記載の手術器具（１０）。
5. 前記アプリケータは、バイポーラのアプリケータである、請求項４に記載の手術器具（１０）。
6. 前記ＦＲＡＭ記憶装置（２０）には、処置履歴及び／又は前記手術器具の製造履歴が記憶されている、請求項１〜５のいずれか１項に記載の手術器具（１０）。
7. ＦＲＡＭ記憶装置（２０）の使用方法であって、請求項１から５のいずれか一項に記載の手術器具（１０）においてＦＲＡＭ記憶装置（２０）を使用する、使用方法。
8. 前記手術器具（１０）は、電気手術器具である、請求項７に記載の使用方法。

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