以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、作業工具として、先端工具91を揺動駆動して、被加工材(図示せず)に対して加工作業を行う電動式の振動工具100を例示する(図1参照)。振動工具100には、装着可能な先端工具91として、ブレード、スクレーパ、研削パッド、研磨パッド等の複数種類の工具が用意されている。使用者は、これらの先端工具91のうち、切断、剥離、研削、研磨等、所望の加工作業に適した1つを選択して振動工具100に装着し、加工作業を行うことができる。なお、以下で参照する図面では、先端工具91の一例として、ブレードが振動工具100に装着された例が図示されている。
まず、振動工具100の概略構成について説明する。図1および図2に示すように、振動工具100は、長尺状のハウジング1を備えている。本実施形態では、ハウジング1は、2層構造のいわゆる防振ハウジングとして構成されており、振動工具100の外郭を形成する長尺状のアウタハウジング2と、アウタハウジング2に収容された長尺状のインナハウジング3とを含む。
図2に示すように、ハウジング1の延在方向における一端部には、スピンドル51およびモータ53が収容されている。スピンドル51は、その軸線A1が、ハウジング1の延在方向に直交するように配置されている。スピンドル51は、軸線A1方向における一端部がハウジング1から突出し、外部へ露出している。この部分には、先端工具91を着脱可能である。また、ハウジング1の延在方向における他端部には、モータ53への給電用のバッテリ93が着脱可能である。振動工具100は、モータ53の動力によってスピンドル51を軸線A1周りに所定の角度範囲内で往復回動することで、先端工具91を、軸線A1に直交する揺動面OP内で揺動させるように構成されている。
なお、以下の説明では、便宜上、振動工具100の方向に関し、スピンドル51の軸線A1の延在方向を上下方向と定義し、先端工具91が装着されるスピンドル51の一端部側を下側、反対側を上側と定義する。また、軸線A1に直交し、且つ、ハウジング1の延在方向(つまり、ハウジング1の長軸方向)に対応する方向を前後方向と定義し、スピンドル51が収容されているハウジング1の一端部側を前側、バッテリ93が装着される他端部側を後側と定義する。また、上下方向および前後方向に直交する方向を、左右方向と定義する。なお、先端工具91として、図示されたブレードが装着されている場合には、先端工具91の揺動方向は、概ね左右方向に対応している。
以下、振動工具100の詳細構成について説明する。まず、ハウジング1を構成するアウタハウジング2およびインナハウジング3について、順に説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態では、アウタハウジング2は、互いに別体として形成された上側シェル27と、下側シェル28と、スイッチホルダ20とが連結されることで形成されている。上側シェル27、下側シェル28およびスイッチホルダ20は、各々、合成樹脂で一体成形された部材である。詳細は後述するが、アウタハウジング2は、スイッチホルダ20が間に配置された状態で上側シェル27と下側シェル28とが上下方向に重ねられ、複数個所においてネジで連結されることで、形成されている。
また、前後方向に関して、アウタハウジング2は、前端部21と、後端部23と、前端部21と後端部23を接続する中央部25とを含む。
前端部21は、概ね矩形箱状に形成されており、内部には、後述するインナハウジング3の前端部31が配置されている。前端部21の上前端部には、後述するロック機構6(図7参照)を動作させるU字状の操作レバー61が、上下方向に回動可能に支持されている。後端部23は、後方へ向けて広がる(断面積が大きくなる)筒状に形成されており、内部に固定されたスイッチホルダ20を含む。なお、スイッチホルダ20の構成および配置については、後で詳述する。また、後端部23の内部には、後述するインナハウジング3の弾性連結部37および後端部33が配置されている。
中央部25は、概ね均一径の筒状に形成されており、直線状に前後方向に延在する。中央部25は、使用者による把持が可能な把持部を構成する。このため、中央部25は、使用者が把持しやすいように、前端部21および後端部23よりも細く形成されている。なお、以下では、中央部25を把持部25ともいう。中央部25の上面と前端部21の上面との境界領域には、スライダ290が設けられている。スライダ290は、前後方向にスライド操作可能に配置されており、後述するスイッチ29のオン、オフの切り替え用の操作部材として構成されている。
次に、インナハウジング3について説明する。図2〜図4に示すように、本実施形態では、インナハウジング3は、互いに別体として形成された金属ハウジング38と樹脂ハウジング39とが連結されることで形成されている。
金属ハウジング38は、後述する先端工具駆動機構5を収容するハウジングであって、一体形成されたスピンドル収容部381と、モータ収容部383と、当接部387とを含む。スピンドル収容部381は、上下方向に延在する円筒状に形成された部分である。モータ収容部383は、全体としてはスピンドル収容部381よりも大径の円筒状に形成された部分であって、スピンドル収容部381の後方に配置されている。当接部387は、モータ収容部383の後端から後方に延在する厚板状の部分である。当接部387は、ハウジング1の左右方向の中心線を含む仮想的な鉛直面VP(軸線A1および軸線A2を含む平面ともいえる)に沿って、板厚方向が鉛直面VPと交差するように配置されている。
樹脂ハウジング39は、合成樹脂製であり、互いに別体として形成された左側シェル391と、右側シェル392とで形成される。なお、本実施形態では、左側シェル391と右側シェル392は、ネジで連結される部分等を除き、概ね左右対称(鉛直面VPに関して面対称)に形成されている。詳細は後述するが、インナハウジング3は、金属ハウジング38の後端部が左側シェル391と右側シェル392に左右方向から挟まれた状態で、ネジで連結されることで形成されている。
また、前後方向に関して、インナハウジング3は、前端部31と、後端部33と、前端部31の後端から後方に延在する延在部35と、延在部35と後端部33とを弾性的に連結する弾性連結部37とを含む。
前端部31は、金属ハウジング38と、樹脂ハウジング39の前端部とを含む部分である。なお、樹脂ハウジング39の前端部は、モータ収容部383の上端部に対応する形状に形成されており、モータ収容部383上端の開口部を覆うモータカバー部311を構成している。なお、図5に示すように、モータ収容部383の上端面384は、モータカバー部311との合わせ面であって、軸線A2に直交する平面として形成されている。また、モータカバー部311の下端面312は、モータ収容部383との合わせ面であって、軸線A2に直交する平面として形成されている。
図2〜図4に示すように、後端部33は、樹脂ハウジング39の後端部であって、概ね矩形筒状に形成されている。本実施形態では、後端部33の後側部分は、バッテリ93がスライド係合可能な係合構造を有するバッテリ装着部331を構成している。後端部33の前側部分は、制御ユニット4を収容する制御ユニット収容部332を構成している。
延在部35は、樹脂ハウジング39のうち、モータカバー部311の後端から後方に延在する筒状の部分である。なお、延在部35の上下方向の高さは、モータカバー部311よりも大きく設定されている。詳細には、延在部35は、その上部がモータカバー部311の後方に連続して延在し、下部がモータカバー部311よりも下に突出するように形成されている。そして、延在部35の下部の前端がモータ収容部383の外壁面に当接するように配置されている。また、延在部35は、アウタハウジング2の把持部25の少なくとも一部に対応する部分である。なお、ここでいう「把持部25の少なくとも一部に対応する」とは、「把持部25の少なくとも一部に、延在部35の一部または全部が収容されている」と言い換えることもできる。本実施形態では、延在部35の前後方向の長さは、把持部25の前後方向の長さと同程度に設定されており、延在部35の概ね全体が把持部25に収容されている。
弾性連結部37は、樹脂ハウジング39のうち、延在部35の後方に延在する部分である。弾性連結部37は、延在部35と後端部33とを前後方向に連結する複数の弾性リブ371を含む。複数の弾性リブ371は、前後方向に延在するインナハウジング3の長軸周りの周方向に関し、互いに離間して配置されている。言い換えると、隣接する弾性リブ371の間には、弾性連結部37の内部空間370と外部とを連通する開口部が形成されている。本実施形態では、左側シェル391と右側シェル392に2本ずつ、合計4本の弾性リブ371が設けられている。左側シェル391および右側シェル392の各々において、2本の弾性リブ371は、上下方向に離間して配置され、後方へ向かって上下方向の間隔が若干広がるように延在する。また、左右方向については、左側シェル391の弾性リブ371と、右側シェル392の弾性リブ371は、後方へ向かって互いから離れるように、左右方向の間隔が広がるように延在する。
各弾性リブ371は、湾曲した帯状に形成され、可撓性が付与されている。これにより、弾性リブ371は弾性変形可能とされている。更に、本実施形態では、4本の弾性リブ371は、樹脂ハウジング39の他の部分(つまり、モータカバー部311、延在部35、および後端部33)よりも弾性係数の低い材料で形成されている。具体的には、他の部分はガラス繊維強化ポリアミドで形成されている一方、弾性リブ371は、強化繊維を含有しないポリアセタールで形成されている。但し、樹脂ハウジング39の材料はこの例に限られるものではない。例えば、他の部分がガラス繊維強化ポリアミドで形成される場合には、弾性リブ371は、ポリカーボネートまたはABS樹脂(いずれも強化繊維を含まないもの)で形成されてもよい。なお、本実施形態では、左側シェル391と右側シェル392は、各々、弾性リブ371のみ、材料が異なるものの、全体としては一体成形された部材である。このように、本実施形態では、各弾性リブ371は、樹脂ハウジング39の他の部分に比べ、弾性変形しやすい形状に形成され、且つ、弾性係数の低い材料で形成されることで、他の部分よりも弾性係数が低く形成されている。
ここで、インナハウジング3の金属ハウジング38と樹脂ハウジング39の連結構造について説明する。本実施形態では、当接部387と、樹脂ハウジング39のうち延在部35の前端部を構成する部分が連結されることで、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39が前後方向に連結されている。また、上下方向に関しては、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39とは、モータ収容部383の上端部とモータカバー部311を介して連結されている。以下に、詳細を説明する。
図6に示すように、当接部387の左右両側面は、夫々、鉛直面VPに平行な平面(つまり、法線方向が左右方向である平面)として形成されている。当接部387の左右両側面は、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39が連結された場合、樹脂ハウジング39の第2当接面390と当接する面である。このことから、以下では、当接部387の左右両側面を、第1当接面380ともいう。また、図7に示すように、当接部387には、左右方向に当接部387を貫通する2つの貫通孔388が設けられている。なお、2つの貫通孔388は、左右方向および上下方向において互いからオフセットされた位置に配置されている。
一方、図6に示すように、延在部35の前端部において、左側シェル391および右側シェル392の内側には、夫々、鉛直面VPに向かって突出する2つの突出部394が設けられている。図8に示すように、各突出部394は、当接部387の貫通孔388よりも大径の円柱と、貫通孔388と概ね同径の円柱とが同軸状に連続した形状を有する。以下、大径の円柱部分を大径部395、小径の円柱部分を小径部396という。大径部395の環状の突出端面は、鉛直面VPに平行な平面(つまり、法線方向が左右方向である平面)として形成されている。大径部395の突出端面は、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39が連結された場合、第1当接面380と当接する面である。このことから、以下では、大径部395の突出端面を、第2当接面390ともいう。小径部396は、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39が連結された場合、貫通孔388に挿入される部分である。このため、左側シェル391および右側シェル392の各々において、2つの突出部394は、貫通孔388に対応する位置に配置されている。また、左側シェル391の各突出部394には、その軸線に沿って左右方向に貫通する段付きの貫通孔397が形成され、右側シェル392の各突出部394には、その軸線に沿って左右方向に貫通するネジ穴398が形成されている。
振動工具100の組立作業者は、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39とを連結する場合、金属ハウジング38の後端部を、左側シェル391と右側シェル392とで左右方向から挟む。これにより、図8に示すように、大径部395の第2当接面390が当接部387の第1当接面380に当接するとともに、当接部387の貫通孔388に、左側シェル391と右側シェル392の小径部396が左右から挿入される。なお、小径部396の大径部395からの突出長さは、当接部387の板厚(左右方向の幅)の概ね二分の一とされている。作業者は、この状態で、左方から左側シェル391の貫通孔397に固定用のネジ389を挿通し、右側シェル392のネジ穴398に螺合することで、左側シェル391、当接部387、および右側シェル392を連結する。ネジ389の軸力により、左側シェル391、当接部387、および右側シェル392は、を左右方向に隙間なく強固に連結される。
また、図6に示すように、モータ収容部383の周方向の4箇所には、モータ収容部383の径方向外側に断面半円状に突出し、上下方向に延在するネジ挿入部385が設けられている。一方、図5に示すように、モータカバー部311には、ネジ挿入部385に対応する4箇所に、上下方向に延在するネジ穴313が形成されている。作業者は、モータ収容部383の下方から、ネジ挿入部385とモータ53の間に形成された貫通孔にネジ386を挿通し、更に、ネジ穴313に螺合することで、モータ収容部383とモータカバー部311とを連結する。なお、ネジ挿入部385とモータ53の間では、ネジ386は遊嵌状に配置される。
以上の連結箇所のほかに、組立作業者は、図2および図4に示すように、複数個所において、左側シェル391と右側シェル392に形成されたボスを嵌め合わせ、ネジによって連結する。このようにして、本実施形態のインナハウジング3は、非常に容易に組み立てることができる。
以下、インナハウジング3の内部構造について説明する。
まず、前端部31の内部構造について説明する。図7に示すように、インナハウジング3の前端部31には、先端工具駆動機構5と、ロック機構6とが収容されている。
先端工具駆動機構5について説明する。図7に示すように、先端工具駆動機構5は、先端工具91を揺動駆動する機構であって、スピンドル51と、モータ53と、伝達機構55とを含む。
スピンドル51は、中空の略円筒状の長尺部材である。本実施形態では、スピンドル51は、スピンドル収容部381の下部に収容され、2つの軸受によって、軸線A1周りに回転可能に支持されている。スピンドル51は、ハウジング1から外部へ露出する下端部に、径方向外側に突出するフランジ状の工具装着部511を有する。工具装着部511は、先端工具91を着脱可能に構成された部分である。本実施形態では、先端工具91は、工具装着部511と、後述のロック機構6によってクランプ位置に保持されたクランプシャフト52のクランプヘッド521との間に挟持される。
駆動源としてのモータ53は、ロータとともに回転する出力シャフト531の軸線A2が、スピンドル51の軸線A1と平行に(つまり上下方向に)延在するように、モータ収容部383に収容されている。本実施形態では、出力シャフト531はロータから下方向に突出している。本実施形態では、モータ53として、小型で高出力なブラシレス直流モータが採用されている。
伝達機構55は、モータ53の回転運動をスピンドル51に伝達し、スピンドル51を軸線A1周りの所定の角度範囲内で往復回動させるように構成されている。なお、伝達機構55は、金属ハウジング38内において、スピンドル収容部381の下部とモータ収容部383の下部に亘って配置されている。本実施形態の伝達機構55は、偏心シャフト551と、揺動アーム553と、駆動軸受555とを含む。なお、伝達機構55の構成は周知であるため、ここでは簡単に説明する。偏心シャフト551は、モータ53の出力シャフト531に同軸状に連結されており、軸線A2に対して偏心した偏心部を有する。偏心部の外周部には、駆動軸受555が取り付けられている。揺動アーム553は、駆動軸受555とスピンドル51とを接続する部材である。図9に示すように、揺動アーム553の一端部は、環状に形成され、スピンドル51の外周部に固定されている。一方、揺動アーム553の他端部は、二股状に形成され、左右から駆動軸受555の外周部に当接するように配置されている。
モータ53が駆動されると、出力シャフト531と一体的に偏心シャフト551が回転する。偏心シャフト551の回転に伴い、偏心部の中心が軸線A2周りを移動するため、駆動軸受555も軸線A2周りを移動する。これにより、揺動アーム553は、スピンドル51を支点として所定の角度範囲内で揺動される。揺動アーム553は一端部がスピンドル51に固定されているため、スピンドル51は、揺動アーム553の揺動運動に伴って、軸線A1回りに所定の角度範囲内で往復回動する。その結果、スピンドル51(より詳細には、工具装着部511)に固定された先端工具91が揺動面OP内で揺動駆動され、加工作業が遂行可能となる。
以下、ロック機構6について説明する。ロック機構6は、クランプシャフト52を、スピンドル51との間で先端工具91を挟持可能なクランプ位置(図7および図10に示す位置)にロックするように構成された機構である。図7および図10に示すように、クランプシャフト52は、軸線A1方向にスピンドル51内部に同軸状に挿通可能に構成された、略円柱状の長尺部材である。クランプシャフト52は、下端部にフランジ状のクランプヘッド521を有する。また、クランプシャフト52の上端部には、溝部523が設けられている。溝部523は、クランプシャフト52の全周に亘って掘られた溝が、上下方向に複数形成された部分である。
本実施形態のロック機構6は、スピンドル収容部381内において、スピンドル51の上方に配置されている。ロック機構6は、圧縮コイルバネ63と、カラー65と、一対のクランプ部材67とを含む。なお、ロック機構6の構成については周知であるため、ここでは簡単に説明する。カラー65は、環状に形成され、スピンドル収容部381の上部内に保持された軸受によって、回転可能に支持されている。カラー65は、スピンドル51とカラー65の間に配置された圧縮コイルバネ63によって、常時上方へ付勢されている。一対のクランプ部材67は、常時下方へ付勢された状態で、カラー65の内側に形成された空間内に、前後方向に対向するように配置されている。一対のクランプ部材67の互いに対向する面には、突条部671が設けられている。突条部671は、水平方向に延在する突条が上下方向に複数形成された部分である。
ロック機構6は、使用者による操作レバー61の回動操作に連動して動作するように構成されている。操作レバー61は、回動シャフト62に連結されている。回動シャフト62は、ロック機構6の上方で、左右方向に延在する回転軸周りに回動可能にアウタハウジング2に支持されている。回動シャフト62は、操作レバー61の回動操作に伴って回動する。
図10に示すように、回動シャフト62には、その回動軸に対して偏心した偏心部621が形成されている。操作レバー61が図1に示すロック位置に配置されると、図7および図10に示すように、偏心部621のうち径がより小さい部分が、カラー65から離間して上方に配置されるため、圧縮コイルバネ63によってカラー65が上方へ付勢され、最上方位置に配置される。一方、クランプ部材67は下方へ付勢されている。このため、カラー65の内周面の一部とクランプ部材67の外周面の一部に形成された傾斜面の作用により、クランプ部材67はカラー65の径方向内側へ移動される。これに伴い、突条部671と溝部523とが係合し、クランプシャフト52はクランプ部材67によって挟持される。クランプシャフト52がこの状態で圧縮コイルバネ63によって上方に付勢され、クランプ位置でロックされることで、先端工具91は、工具装着部511とクランプヘッド521との間で挟持され、スピンドル51に対して固定される。
一方、操作レバー61が図1に示すロック位置から上方に回動され、ロック解除位置に配置されると、偏心部621のうち径がより大きい部分が上方からカラー65の上端部に接触し、圧縮コイルバネ63の付勢力に抗してカラー65を押し下げる。クランプ部材67も、カラー65と共に下方へ押し下げられるが、所定位置でそれ以上下方への移動が禁止される。この状態でカラー65のみが更に最下方位置まで移動されると、カラー65とクランプ部材67に形成された傾斜面の接触が解除され、クランプ部材67は径方向外側へ移動可能な状態となる。つまり、クランプシャフト52のロックが解除され、使用者がクランプシャフト52をスピンドル51から引き抜くことが可能となる。
後端部33の内部構造について説明する。図11および図12に示すように、後端部33の後側部分を構成するバッテリ装着部331内には、バッテリ93がバッテリ装着部331に係合されるのに伴ってバッテリ93の給電端子と電気的に接続可能な受電端子等が設けられている。なお、バッテリ装着部331とその内部構造自体は周知であるため、詳細な説明は省略する。後端部33の前側部分を構成する制御ユニット収容部332には、制御ユニット4が収容されている。本実施形態では、制御ユニット4は、モータ53の駆動を制御するCPUや、CPUからの制御信号に基づいて動作するスイッチング素子等が搭載された基板を含む。
弾性連結部37の内部構造について説明する。図13に示すように、弾性連結部37の内部空間370(弾性リブ371に周方向を囲まれた空間領域)には、スイッチホルダ20が配置されている。スイッチホルダ20は、スイッチ29を保持するように構成された部材である。また、本実施形態では、スイッチホルダ20は、後述する変速ダイヤルユニット8も保持している。前述したように、スイッチホルダ20は、弾性連結部37の内部空間370内に配置されるものの、上側シェル27および下側シェル28にネジで固定され、アウタハウジング2の一部分を構成する。また、詳細は後述するが、スイッチホルダ20は、インナハウジング3の後端部33と弾性的に連結されている。
延在部35の内部構造について説明する。図2および図3に示すように、本実施形態では、先端工具駆動機構5(つまり、スピンドル51、モータ53および伝達機構55)が前端部31に配置され、バッテリ装着部331が後端部33に設けられていることから、延在部35に配置される部品を最小限とすることができる。そこで、延在部35には、制御ユニット4とモータ53の基板等を接続する導線や接続端子が配置されるが(図示略)、その他の部品は特に配置されていない。このため、延在部35は、把持部25を把持しやすい細さとすべく、前端部31、弾性連結部37、および後端部33に比べて細く形成されている。
以下、アウタハウジング2とインナハウジング3との弾性的な連結構造について説明する。本実施形態では、アウタハウジング2とインナハウジング3とは、前後方向において複数の位置で弾性部材を介して連結されている。具体的には、アウタハウジング2の前端部21と、インナハウジング3の前端部31との間には、2つの前側弾性部材71が介在している(図6参照)。また、アウタハウジング2のスイッチホルダ20と、インナハウジング3の後端部33との間には、4つの後側弾性部材76が介在している(図12参照)。
まず、前側弾性部材71の配置について説明する。図4に示すように、金属ハウジング38のうち、スピンドル収容部381とモータ収容部383の境界領域には、側面視楕円状の凹部382が設けられている。前側弾性部材71は、凹部382内に嵌め込まれている。前側弾性部材71は、上下方向に互いに離間して配置された3つの貫通孔711を有する。これらのうち真ん中の貫通孔711には、凹部382の底部に設けられた突起が嵌合されている。なお、図14に示すように、凹部382は、前端部31の左側と右側に左右対称に設けられている。なお、本実施形態では、前側弾性部材71は、超微細発泡構造(超微細セル構造ともいう)を有する材料で形成されている。例えば、超微細発泡構造を有するウレタン発泡体(超微細発泡構造を有するウレタン系樹脂)を採用可能である。本実施形態では、そのようなウレタン発泡体の中でも特に振動吸収性および耐久性に優れているとされる超微細セルポリウレタンエラストマ(microcellular polyurethane elastomer)と称される材料が採用されている。
本実施形態では、前側弾性部材71は、アウタハウジング2に固定された連結部材72と連結されている。連結部材72は、略U字状に形成されたベース部721(図9参照)と、ベース部721の両端部からベース部721に直交する方向に延在する一対の円筒部724(図14参照)とを含む。連結部材72は、ベース部721が、金属ハウジング38の下方で下側シェル28の底部に配置され、円筒部724が、上方に突出して前側弾性部材71に対向する状態で、アウタハウジング2に固定されている。
具体的には、図15に示すように、アウタハウジング2の前端部21の左前端部と右前端部において、下側シェル28には、一対の貫通孔281が形成されており、上側シェル27の対応する位置には、下方に突出する一対の円筒部271が形成されている(図15では、左側の貫通孔281と円筒部271のみ図示)。円筒部271の内周面には雌ネジが形成されている。上側シェル27の円筒部271が、連結部材72の円筒部724の上端部に形成された大径部に嵌め込まれた状態で、貫通孔281の下側からネジ726が円筒部724に挿通され、円筒部271に螺合されることで、連結部材72がアウタハウジング2に固定されている。言い換えると、連結部材72は、アウタハウジング2の一部分を構成している。
なお、上側シェル27と下側シェル28とは、前端部21の左前端部と右前端部で円筒部271を介して連結されるのみならず、図15に示すように、前端部21の左後端部と右後端部においても、ネジで固定されている(図15では、右後端部のみ図示)。
図14に示すように、連結部材72の各円筒部724は、インナハウジング3へ向かって突出する2つの突出部725を有する。2つの突出部725の先端部は、夫々、前側弾性部材71の3つの貫通孔711(図4参照)のうち、上側と下側の貫通孔711に嵌め込まれている。なお、突出部725の先端部は、前側弾性部材71を凹部382の底部へ向けて押圧した状態で、底部との間に隙間をあけて配置されている。また、突出部725の外周部は、全周に亘って、前側弾性部材71によって覆われている。このため、突出部725は、上下方向、前後方向、左右方向のどの方向についても、前側弾性部材71を圧縮しつつ、凹部382内で相対移動可能である。このように、アウタハウジング2の前端部21は、前側弾性部材71を介して、全方向に相対移動可能な状態でインナハウジング3の前端部31に連結されている。
以下、後側弾性部材76の配置について説明する。図12、図13、図16に示すように、インナハウジング3の弾性連結部37の内部空間370には、スイッチホルダ20が配置されている。スイッチホルダ20は、本体部202と、一対の第1保持部203と、一対の第1アーム部204と、一対の円筒部206とを有する。
図12に示すように、本体部202は、スイッチ29の収容部分であって、内部空間370において左右方向の中央部に配置されている。一対の第1保持部203は、夫々、本体部202の左側部および右側部に設けられ、左方および右方に夫々開口する凹部を有する。各第1保持部203の凹部には、後側弾性部材76が嵌めこまれている。後側弾性部材76は、中央部に貫通孔761を有する。後側弾性部材76として、例えば、超微細発泡構造を有するウレタン発泡体を採用することができる。本実施形態では、後側弾性部材76として、前側弾性部材71と同じ超微細セルポリウレタンエラストマ(microcellular polyurethane elastomer)が採用されている。一対の第1アーム部204は、本体部202の左後端部および右後端部から、夫々、左方および右方に突出する部分である。図16に示すように、一対の円筒部206は、本体部202の左後端部および右後端部から下方へ突出する円筒状の部分である。
一方、図12に示すように、インナハウジング3の後端部33には、一対の第2保持部333と、一対の第2アーム部334とが設けられている。一対の第2保持部333は、後端部33の左前端部および右前端部に設けられている。なお、第2保持部333は、一部が制御ユニット収容部332よりも前方へ突出するように設けられている。一対の第2保持部333は、対向するように右方および左方に夫々開口する凹部を有する。各第2保持部333の凹部には、第1保持部203と同様、後側弾性部材76が嵌めこまれている。第2保持部333に嵌め込まれた後側弾性部材76の内側(鉛直面VP側)には、スイッチホルダ20の第1アーム部204が配置されており、第1アーム部204の先端部205が貫通孔761に嵌め込まれている。一対の第2アーム部334は、前方に向かって互いに近接するように、一対の第2保持部333から斜め前方に突出している。第2アーム部334の先端部には、第1保持部203に嵌め込まれた後側弾性部材76に向けて突出する突出部335が設けられている。突出部335は、第1保持部203に嵌め込まれた後側弾性部材76の貫通孔761に嵌め込まれている。
このように、スイッチホルダ20の第1保持部203および第1アーム部204と、後端部33の第2保持部333および第2アーム部334とは、スイッチホルダ20の左側と右側で、互い違いに組み合わせられている。よって、スイッチホルダ20および後端部33の一方に後側弾性部材76の保持部が2つ設けられ、他方に後側弾性部材76に先端部が嵌合されるアーム部を2つ設ける場合に比べ、4つの後側弾性部材76のコンパクトな配置が実現されている。
なお、前述のように、周方向に隣接する弾性リブ371の間には、内部空間370と外部とを連通する開口部が形成されている。このため、図13に示すように、弾性リブ371の間の開口部を通してスイッチホルダ20を内部空間370に容易に配置することができる。また、本実施形態では、スイッチホルダ20のうち、本体部202以外の部分は、開口部を介して内部空間370から外部に突出している。つまり、弾性リブ371の間の開口部が、スイッチホルダ20と後端部33との連結経路として利用されている。このため、スイッチホルダ20を内部空間370に配置した後、開口部を介してスイッチホルダ20と後端部33とを容易に連結することができる。
以上の構成によって、スイッチホルダ20は、本体部202の左右において、一対の後側弾性部材76を介して後端部33と連結され、且つ、本体部202の左右斜め後方において、一対の後側弾性部材76を介して後端部33と連結されている。更に、スイッチホルダ20は、アウタハウジング2の一部分として、一対の円筒部206を介して上側シェル27と下側シェル28に連結されている。
具体的には、図16に示すように、アウタハウジング2の後端部23において、下側シェル28の下面には、左右一対の貫通孔283が形成されており、上側シェル27の対応する位置には、下方に突出する左右一対の円筒部273が形成されている。円筒部273の内周面には雌ネジが形成されている。上側シェル27の円筒部273が、スイッチホルダ20の円筒部206の上端部に形成された大径部に嵌め込まれ、貫通孔283の下側からネジ207が円筒部206に挿通され、円筒部273に螺合されることで、スイッチホルダ20が上側シェル27と下側シェル28に固定される。なお、ハウジング1の組立作業においては、スイッチホルダ20は、後側弾性部材76を介して後端部33と連結された後、上側シェル27と下側シェル28に固定される。この場合も、弾性リブ371の間の開口部が、スイッチホルダ20とアウタハウジング2との連結経路として利用されている。これにより、弾性連結部37の内部空間370に、アウタハウジング2の一部分であるスイッチホルダ20を容易に組み付けることができる。
図12に示すように、第1アーム部204の先端部205と第2アーム部334の突出部335は、夫々、後側弾性部材76を、第2保持部333と第1保持部203の凹部の底部へ向けて押圧した状態で、底部との間に隙間をあけて配置されている。また、先端部205および突出部335の外周部は、全周に亘って、後側弾性部材76によって覆われている。このため、先端部205は、上下方向、前後方向、左右方向のどの方向についても、後側弾性部材76を圧縮しつつ、第2保持部333の凹部内で相対移動可能である。同様に、突出部335は、上下方向、前後方向、左右方向のどの方向についても、後側弾性部材76を圧縮しつつ、第1保持部203の凹部内で相対移動可能である。このように、アウタハウジング2の一部分としてのスイッチホルダ20は、後側弾性部材76を介して、全方向に相対移動可能な状態でインナハウジング3の後端部33に連結されている。
また、図11に示すように、スイッチ29には、スライダ290(図2参照)の操作に応じて、可動接点を固定接点に対してオン位置とオフ位置との間で移動させるように構成されたスイッチレバー291が連結されている。スイッチレバー291は、スイッチホルダ20に回動可能に支持された回動部292を有する。回動部292は、スイッチ29に連結された作動部(図示せず)に回動可能に連結されている。図13に示すように、回動部292は、弾性リブ371に干渉することなく、上側の2本の弾性リブ371の間に形成された開口部からインナハウジング3の上方へ突出している。図2に示すように、回動部292の上端部は、連動部293の一端部に回動可能に連結されている。連動部293は、インナハウジング3とアウタハウジング2の間で前後方向に延在し、他端部において、スライダ290に連結されている。このような構成により、スイッチレバー291は、スライダ290の操作に応じて、可動接点を固定接点に対してオン位置とオフ位置との間で移動させる。
本実施形態では、スイッチホルダ20は、スイッチ29のみならず、変速ダイヤルユニット8の保持部材としても構成されている。具体的には、図13に示すように、スイッチホルダ20の後側部分の上部に、変速ダイヤルユニット8が嵌合可能なダイヤル保持部209が設けられている。変速ダイヤルユニット8は、ダイヤル87の回転軸(後述する回転シャフト822の軸線A3)が前後方向に延在するように配置されるとともに、その上側部分がダイヤル保持部209から上方に露出した状態で保持されている。そして、前述のように、スイッチホルダ20が上側シェル27と下側シェル28に固定されると、図11に示すように、ダイヤル87の外周部の一部が、アウタハウジング2の上面に形成された貫通孔275を介してアウタハウジング2の外部に露出する。変速ダイヤルユニット8の構成については、後で詳述する。
図12に示すように、前側弾性部材71および後側弾性部材76に加え、アウタハウジング2とインナハウジング3の間には、中間弾性部材78が配置されている。詳細には、延在部35の左後端部および右後端部は、夫々、左右方向の中心に向けて凹んだ段差部353として形成されている。各段差部353には、直方体状の中間弾性部材78が接着されている。本実施形態では、中間弾性部材78は、左右方向において、アウタハウジング2(把持部25)との間に僅かな隙間をあけて配置されており、常時、延在部35と把持部25とを弾性的に連結しているわけではない。前側弾性部材71および後側弾性部材76とは異なり、中間弾性部材78は、スピンドル51の往復回動方向である左右方向のみに対応しており、インナハウジング3が、アウタハウジング2に対して左右方向に相対移動することを規制する。本実施形態では、中間弾性部材78も、前側弾性部材71と同じ超微細セルポリウレタンエラストマ(microcellular polyurethane elastomer)で形成されている。
以下、振動工具100の動作について説明する。使用者は、所望の加工作業に応じた先端工具91を工具装着部511に装着し、把持部25を把持して、スライダ290をオン位置に切り替える。これにより、スイッチレバー291を介してスイッチ29がオンとされる。制御ユニット4(詳細にはCPU)は、スイッチ29がオンとされたことに応じて、モータ53の駆動を開始する。なお、制御ユニット4は、後述する変速ダイヤルユニット8を介して設定された抵抗値に基づいて、モータ53の回転数を設定する。モータ53の駆動に伴って、スピンドル51が所定の角度範囲内で軸線A1周りに往復回動し、先端工具91を揺動面OP内で(図示のブレードの場合、概ね左右方向に)揺動させる。使用者が先端工具91を被加工材に押し当てることで、振動工具100は加工作業を行うことができる。
加工作業時には、先端工具駆動機構5を収容するインナハウジング3の前端部31において、比較的大きな振動が発生しやすい状況となる。このうち最も大きく支配的なのは、揺動面OP内における先端工具91の揺動方向の振動である。本実施形態では、図6および図8に示すように、揺動面OPに交差する第1当接面380と第2当接面390とが互いに当接した状態で、金属ハウジング38の当接部387と樹脂ハウジング39の突出部394とが連結されている。これにより、揺動方向に関する相対移動を効果的に抑制しつつ、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39を連結することができる。また、第1当接面380および第2当接面390が揺動面OPに交差していることから、両者の間に相対的な滑りが発生するのを抑制することができる。このため、相対的な滑りに起因する発熱や異常振動の発生を効果的に抑制することができる。このように、本実施形態のインナハウジング3では、簡素で合理的な連結構造が実現されている。
特に、本実施形態では、2つの突出部394に対応して、第1当接面380と第2当接面390とが夫々当接した当接領域が2箇所に形成されるため、かかる当接領域が1箇所にのみ設けられる場合に比べ、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39とが揺動方向に相対移動するのを、より確実に抑制することができる。また、当接部387を左側シェル391と右側シェル392とで挟んでネジ389で固定することで、当接部387と、左側シェル391および右側シェル392との強固な連結構造を実現することができる。
なお、モータ収容部383の上端面384およびモータカバー部311の下端面312(図5参照)は、いずれも揺動面OPに平行な合わせ面であるが、本実施形態では、金属ハウジング38と樹脂ハウジング39の揺動方向に関する相対移動が抑制されているため、上端面384と下端面312が摺動して発熱する可能性を効果的に低減することができる。
また、インナハウジング3からアウタハウジング2への振動の伝達に関しては、まず、金属ハウジング38の凹部382と、アウタハウジング2に固定された連結部材72の間に介在する前側弾性部材71(図14参照)が、前端部31からアウタハウジング2(特に、把持部25)への振動の伝達を抑制することができる。
本実施形態では、振動工具100における重量物であるスピンドル51、モータ53、および伝達機構55が前端部31に集中して配置される一方、後端部33に設けられたバッテリ装着部331に、バッテリ93という相応の重量物が装着される構成が採用されている。これにより、バッテリ装着部331が前端部31の近傍に設けられた場合に比べ、バッテリ93が装着されたときのインナハウジング3の慣性モーメントを大きくすることができるため、インナハウジング3に発生する振動自体を低減することができる。また、先端工具91にある程度の負荷がかかった場合でも、インナハウジング3がスピンドル51を中心としてアウタハウジング2に対して無用に回動してしまうのを抑制することができる。
更に、延在部35と後端部33を連結する複数の弾性リブ371(図13参照)が前端部31から後端部33への振動の伝達を抑制することで、バッテリ装着部331およびバッテリ93の端子等の電気部品の保護が図られている。特に、弾性リブ371が、延在部35および後端部33よりも弾性係数が低くなるように形成されていることで、延在部35から後端部33への振動の伝達をより効果的に抑制することができる。また、弾性リブ371は、延在部35の左側部分と右側部分(左側シェル391と右側シェル392)の各々に対して2本ずつ設けられているため、延在部35と後端部33とを、左右方向において安定した状態で連結することができる。
また、後端部33は、後側弾性部材76を介して、アウタハウジング2の一部分(スイッチホルダ20)に連結されている(図12参照)。後端部33に伝達される振動は、弾性リブ371によって、前端部31で生じた振動に比べて低減されている。よって、後側弾性部材76を介して後端部33をアウタハウジング2に連結する場合、他の部分(例えば、延在部35)を連結する場合に比べ、アウタハウジング2に伝達される振動を低減することができる。また、前端部31に加え、バッテリ装着部331が設けられた後端部33もアウタハウジング2と弾性的に連結することで、アウタハウジング2とバッテリ93との位置関係を安定化することができる。特に、本実施形態では、前側弾性部材71は、インナハウジング3の左右に1つずつ配置され、後側弾性部材76は、インナハウジング3の左右に2つずつ配置されているため、より確実に安定化を図ることができる。
本実施形態では、弾性連結部37の内部空間370に、後端部33と連結されるアウタハウジング2の一部分として、スイッチホルダ20が配置されている。これにより、内部空間370を有効活用しつつ、電気部品であるスイッチ29を、インナハウジング3に比べて振動が少ないアウタハウジング2で保持することができる。また、スイッチホルダ20を、同じく電気部品である変速ダイヤルユニット8の保持部材としても活用することで、部品数を増加させることなく、変速ダイヤルユニット8を効率的にアウタハウジング2で保持することができる。
なお、先端工具91に過度の負荷がかかり、インナハウジング3がスピンドル51を中心としてアウタハウジング2に対して左右方向に回動しようとする場合、延在部35の後端部の左右に配置された中間弾性部材78が、それを妨げる。これにより、インナハウジング3がアウタハウジング2に接触し、アウタハウジング2に伝達される振動が増大するのを防止することができる。このように、使用者は、効果的な制振対策が施された振動工具100を用いて快適に加工作業を遂行することができる。
以下、変速ダイヤルユニット8の構成について説明する。変速ダイヤルユニット8は、使用者のダイヤル87の回動操作に応じてモータ53の回転数を無段階で設定するための操作装置として構成されており、図17および図18に示すように、本体部81と、ダイヤル87と、導線840と、隔壁88とを含む。以下、これらの構成要素について、順に説明する。
図19に示すように、本実施形態では、本体部81は、可変抵抗器82と、カラー83と、回路基板84と、ケース85とを含む。
可変抵抗器82は、周知の構成を有する回転型可変抵抗器として構成されている。よって、簡単に説明すると、可変抵抗器82は、抵抗体を内蔵する本体821と、本体821から軸線A3方向に突出するとともに、可動接点を有する回転シャフト822とを備えている(図では、本体821と回転シャフト822を含む可変抵抗器82全体が一体として簡略化されて図示されている)。可変抵抗器82は、回転シャフト822が軸線A3周りに回動されることにより、本体821内の抵抗体上を可動接点が摺動し、可動接点と抵抗体との接触位置に応じて抵抗値が変化するように構成されている。回転シャフト822は、軸線A3に直交する断面形状がD字状に形成されている(図18参照)。
なお、以下では、振動工具100に組み付けられていない状態の変速ダイヤルユニット8の方向に関しては、軸線A3方向を上下方向と定義し、回転シャフト822の突出端側を上側、本体821側を下側と定義する。
図18〜図20に示すように、カラー83は、環状に形成され、回転シャフト822の軸線A3と同軸状に、可変抵抗器82の周囲に配置されている。カラー83は、後述する隔壁88を取り付け可能に構成されている。具体的には、カラー83の外周部には、隔壁88の一対の係止アーム882が係合可能な一対の係止凹部831が設けられている。隔壁88とカラー83との係合については後述する。また、カラー83のうち、回転シャフト822の周囲に配置された部分の内周部には凹部が形成されており、この凹部にOリング832が嵌め込まれている。Oリング832は、摩擦抵抗によりダイヤル87を保持する一方、使用者によるダイヤル87の無段階の回動操作を許容するように構成されている。また、カラー83のうち、Oリング832よりも下側には、内周部の一部から径方向内側に突出する規制片833が設けられている。規制片833は、後述するダイヤル87の突起872(図22参照)に当接することでダイヤル87の回動を規制するように構成されている。
図19に示す回路基板84は、略長方形状に形成されており、その長手方向の一端部の領域に、導線接続領域841を有する。導線接続領域841は、導線840が接続される接続孔842を含む領域である。なお、本実施形態では、回路基板84には、可変抵抗器82の端子の数に対応して、3つの接続孔842が設けられている。導線840は、各接続孔842に挿入され、回路基板84に半田付けされることで、回路基板84と電気的に接続されている。回路基板84のうち、導線接続領域841以外の領域には、可変抵抗器82およびカラー83が固定されている。可変抵抗器82の端子825は、回路基板84の接続孔844に挿入されて半田付けされており、夫々、導線接続領域841の接続孔842に半田付けされた導線840と電気的に接続されている。なお、上下方向および回路基板84の長手方向に直交する方向(図20の上下方向)を、変速ダイヤルユニット8の左右方向と定義すると、回路基板84にカラー83が固定された状態で、前述の一対の係止凹部831は、カラー83の左右方向の中心線に対して左右対称に配置されている。
ケース85は、上方向に開口する箱状に形成されている。ケース85は、可変抵抗器82、カラー83、および回路基板84を収容する容器として構成されている。なお、導線840、可変抵抗器82、およびカラー83は、回路基板84の同一面から同じ方向に突出するように配置されている。そして、回路基板84は、導線840、可変抵抗器82、およびカラー83がケース85の開口部から上方へ突出する状態で、ケース85の内部に配置されている。導線840、可変抵抗器82、およびカラー83が搭載された状態で、回路基板84は、ケース85内に注入された樹脂845(典型的には、エポキシ樹脂)によって封止されている。
図17、図21および図22に示すように、ダイヤル87は、使用者によって回動操作される円盤状の部材であって、中央部に、回転シャフト822に対応する断面D字状の嵌合孔871を有する。ダイヤル87は、回転シャフト822に対して軸線A3方向に嵌合されることで、回転シャフト822に取り付けられている。また、ダイヤル87の下面には、軸線A3を中心として、上方へ向けて凹む環状の段付き凹部873が形成されている。段付き凹部873には、カラー83の上端部が挿入され、カラー83とダイヤル87の下部中央部の間にOリング832が配置されている。ダイヤル87が回動操作されると、ダイヤル87の下部中央部がOリング832に摺動しつつ、ダイヤル87と回転シャフト822とが軸線A3周りに一体的に回動される。これにより、可変抵抗器82の抵抗値が変更される。ダイヤル87の下部中央部の一部分には、可変抵抗器82に向けて下方に突出する突起872が設けられている(図22参照)。突起872がカラー83に設けられた規制片833に当接する位置までダイヤル87が回動されると、ダイヤル87のそれ以上の回動が規制される。つまり、ダイヤル87の回動範囲は、規制片833と突起872によって、一定の角度範囲に制限されている。
隔壁88は、ダイヤル87と導線接続領域841に接続された導線840との接触を阻止するように構成された壁部である。また、本実施形態では、隔壁88は、カラー83に対して着脱可能に構成されている。図18、図23、図24に示すように、隔壁88は、取付け部881と、介在部884と、抜け止め部887とを含む。
取付け部881は、カラー83の外周部に沿って配置される隔壁88の下側部分である。カラー83の周方向における取付け部881の両端部は、可撓性を有する一対の係止アーム882として構成されている。一対の係止アーム882は、カラー83の径方向に弾性変形可能とされている。隔壁88は、係止アーム882の弾性変形により、係止アーム882の先端部の爪が係止凹部831に係止されることで、本体部81(詳細には、カラー83)に取り付けられている。
介在部884は、取付け部881の上方に延在する隔壁88の上側部分であって、ダイヤル87の外周部と導線840の間に介在して、ダイヤル87と導線840とが接触するのを阻止するように構成されている。介在部884は、取付け部881からダイヤル87の下面に沿ってダイヤル87の径方向外側に延在し、ダイヤル87の上端まで、ダイヤル87の外周部に沿って延在する。なお、ダイヤル87の外周部に沿って配置された部分の周方向の両端部は、ダイヤル87から離れる方向に突出している。介在部884は、回転シャフト822の軸線A3の延在方向からみた場合(つまり、上方向または下方向からみた場合)、回路基板84の導線接続領域841とオーバーラップするように配置されている。なお、本実施形態では、ダイヤル87も、導線接続領域841とオーバーラップするように配置されている。言い換えると、介在部884およびダイヤル87は、導線接続領域841の真上の領域に少なくとも一部が含まれるように配置されている。
このため、図21に示すように、接続孔842に接続され、ケース85内で樹脂845により封止された状態の導線840は、導線接続領域841から上方に延在して樹脂845から露出する。この上方には隔壁88の介在部884が、ダイヤル87の下面から外周部に沿って配置されている。よって、導線840がそのまま上方に延在すると、介在部884がダイヤル87との間に介在し、ダイヤル87との接触を阻止する。このため、導線840は、介在部884の下方で湾曲して、介在部884の外周部側を延在する。なお、介在部884のうち、ダイヤル87の外周部に沿って配置された部分の周方向の両端部は、導線840が左右方向に逸れないようにガイドするガイド部として機能する(図17参照)。
抜け止め部887は、介在部884の上端から軸線A3に向けて(ダイヤル87の径方向内側へ)へ突出し、ダイヤル87の上面の僅かに上方に配置されている。これにより、回転シャフト822に嵌合されたダイヤル87が、上方(回転シャフト822の突出方向)に移動することが規制されている。つまり、抜け止め部887によって、ダイヤル87が回転シャフト822から抜けることが防止されている。
以上のように構成された変速ダイヤルユニット8によれば、ダイヤル87と導線840の接触を阻止するように配置された隔壁88(特に、介在部884)により、導線840を保護することができる。なお、本実施形態では、ダイヤル87の回転軸方向(軸線A3)に関して、回路基板84側にデッドスペースが生じやすい点に着目し、軸線A3方向にみて、ダイヤル87および隔壁88のうち少なくとも一方にオーバーラップするように導線接続領域841を配置している。これにより、図21に示すように、導線840がこのデッドスペースを通過することを許容しつつ、隔壁88によって導線840とダイヤル87との接触を阻止することで、導線840を保護することができる。これにより、径方向における変速ダイヤルユニット8の大型化を回避しつつ、導線840を保護する構成を設けることができる。
なお、変速ダイヤルユニット8は、具体的には、次の第1工程から第5工程までを含む製造方法(組立方法)によって製造することができる。第1工程では、可変抵抗器82とカラー83が搭載され、且つ、導線接続領域841に導線840が接続された回路基板84が、上方に開口したケース85に収容される(図25参照)。第2工程では、未硬化の樹脂845が、ケース85の上方の開口から、少なくとも、導線接続領域841に対する導線840の接続部と、可変抵抗器82の端子825の接続部が埋まる高さ位置まで、ケース85内に注入される(図19参照)。第3工程では、樹脂845が硬化される。第4工程では、可変抵抗器82の回転シャフト822がダイヤル87の嵌合孔871に嵌合されることで、ダイヤル87が回転シャフト822に取り付けられる(図18、図26参照)。第5工程では、弾性変形を利用して一対の係止アーム882を係止凹部831に係止させることで、隔壁88がカラー83に対して横方向から取付けられる(図17、18、図21参照)。
この製造方法によれば、第1工程の前段階において、導線840が接続孔842に接続される場合、導線接続領域841の近傍に、接続作業のためのスペース(典型的には、半田付けの器具を配置するためのスペース)が必要となる。また、第2工程において、樹脂845がケース85の上方の開口から注入される注入作業が行われる際には、ケース85の上方には、樹脂845の注入器具を配置するためのスペースが必要となる。これに対し、本実施形態では、第1工程の前段階や第2工程では、ダイヤル87および隔壁88が本体部81には取り付けられておらず、導線接続領域841の上方には十分な空きスペースが確保されているため、必要な作業を容易に遂行することができる。
また、第5工程では、一対の係止アーム882を弾性変形させ、係止凹部831に係止させるだけで、ダイヤル87と導線840の接触を阻止する介在部884を含む隔壁88を、本体部81に取り付けることができる。更に、第4工程で、回転シャフト822をダイヤル87の嵌合孔871に嵌合し、第5工程で、一対の係止アーム882の弾性変形を利用して、横方向から隔壁88を取り付けるだけで、ダイヤル87を、回転シャフト822と一体的に回動可能、且つ、回転シャフト822から抜け止めされた状態で連結することができる。つまり、ダイヤル87も隔壁88も、ネジ等の固定具を用いることなく、本体部81に組み付けることができる。これにより、変速ダイヤルユニット8の組立時の作業効率を向上するとともに部品コストを抑制することができる。
本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。振動工具100は、本発明の「作業工具」に対応する構成例である。モータ53、出力シャフト531、軸線A2は、夫々、本発明の「モータ」、「出力シャフト」、「第1の軸線」に対応する構成例である。スピンドル51、工具装着部511、軸線A1、揺動面OPは、夫々、本発明の「スピンドル」、「工具装着部」、「第2の軸線」、「揺動面」に対応する構成例である。インナハウジング3、金属ハウジング38、樹脂ハウジング39は、夫々、本発明の「ハウジング」、「前側ハウジング部」、「後側ハウジング部」に対応する構成例である。当接部387、第1当接面380は、夫々、本発明の「第1当接部」、「第1当接面」に対応する構成例である。突出部394(大径部395)、第2当接面390は、夫々、本発明の「第2当接部」、「第2当接面」に対応する構成例である。
モータ収容部383の上端面384は、本発明の「第1合わせ面」に対応する構成例である。モータカバー部311の下端面312は、本発明の「第2合わせ面」に対応する構成例である。左側シェル391、右側シェル392は、夫々、本発明の「左側部分」、「右側部分」に対応する構成例である。左側シェル391の突出部394(大径部395)は、本発明の「左側当接部」に対応する構成例である。右側シェル392の突出部394(大径部395)は、本発明の「右側当接部」に対応する構成例である。当接部387の左側面としての第1当接面380は、本発明の「左側第1当接面」に対応する構成例である。当接部387の右側面としての第1当接面380は、本発明の「右側第1当接面」に対応する構成例である。左側シェル391の第2当接面390は、本発明の「左側第2当接部」に対応する構成例である。右側シェル392の第2当接面390は、本発明の「右側第2当接部」に対応する構成例である。アウタハウジング2は、本発明の「外側ハウジング」の構成例である。前側弾性部材71および後側弾性部材76の各々は、本発明の「弾性部材」の構成例である。
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る作業工具は、例示された振動工具100の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す振動工具100、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
金属ハウジング38と樹脂ハウジング39との連結構造は、当接部387と突出部394によるものに限られず、適宜変更が可能である。例えば、当接部387は、先端工具91の揺動方向である左右方向に交差する当接面を含む限りにおいて、大きさや形状が変更されてもよい。この場合、樹脂ハウジング39は、金属ハウジング38の当接面に当接する面を含む部分が設けられていればよい。上記実施形態では、当接部387の左側面および右側面である2つの第1当接面380に対して、左側シェル391の2つの突出部394の第2当接面390と、右側シェル392の2つの突出部394の第2当接面390とが当接している。つまり、第1当接面380と第2当接面390は何れも複数設けられ、複数の位置で互いに当接している。しかしながら、金属ハウジング38の当接面と、樹脂ハウジング39の当接面は1つずつであってもよい。なお、金属ハウジング38の当接面と、樹脂ハウジング39の当接面は、平面であっても、湾曲面であってもよい。また、金属ハウジング38の当接面と、樹脂ハウジング39の当接面は、先端工具91の揺動方向に交差していればよいが、概ね直交していると好ましい。
また、金属ハウジング38および樹脂ハウジング39のその他の構成や内部構造についても、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では、金属ハウジング38のうちモータ収容部383の上方の開口部は、樹脂ハウジング39の一部分であるモータカバー部311ではなく、金属ハウジング38の一部分で覆われていてもよい。また、樹脂ハウジング39は必ずしも左側シェル391と右側シェル392に分けられている必要はなく、筒状に形成されて、金属ハウジング38の後端部に連結されてもよい。また、把持部25への振動伝達を抑制するという観点からは、ハウジング1は、インナハウジング3と、インナハウジング3に弾性的に連結されたアウタハウジング2の2層構造とされることが好ましいが、1層構造とされてもよい。