[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。図1は部品実装システム10の構成の概略を示す構成図であり、図2は部品実装機20の構成の概略を示す構成図であり、図3はフィーダ30の構成の概略を示す構成図である。また、図4は交換ロボット50の構成の概略を示す構成図であり、図5は部品実装システム10の制御に関する構成図である。なお、図1の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。
部品実装システム10は、図1に示すように、基板上にはんだを印刷する印刷機12と、印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査機14と、フィーダ30から供給された部品を基板に実装する複数の部品実装機20と、部品の実装状態を検査する実装検査機(図示省略)と、ライン全体を管理する管理装置80などを備える。部品実装システム10では、印刷機12と印刷検査機14と複数の部品実装機20とが、この順番で基板の搬送方向(X方向)に並べて設置されている。
また、部品実装システム10は、各部品実装機20との間でフィーダ30の自動交換を行う交換ロボット50を備える。交換ロボット50は、複数の部品実装機20の前面に基板の搬送方向(X方向)に対して平行に設けられたX軸レール18に沿って移動可能となっている。なお、図2では、X軸レール18の図示を省略した。
部品実装機20は、図2に示すように、基板Sを搬送可能な基板搬送装置21と、フィーダ30が供給した部品を吸着する吸着ノズルを有するヘッド22と、ヘッド22をXY方向に移動させるヘッド移動機構23と、装置全体を制御する実装制御装置28(図5参照)とを備える。また、部品実装機20は、基板Sに設けられたマークを上方から撮像するマークカメラ24と、吸着ノズルに吸着された部品を下方から撮像するパーツカメラ25とを備える。部品実装機20は、2つのレーン(例えば、Y方向前方側の第1レーンとY方向後方側の第2レーン)を有する。基板搬送装置21は、各レーンの基板Sをそれぞれ搬送可能である。実装制御装置28は、CPU28aとROM28bとHDD28cとRAM28dなどで構成されている。実装制御装置28は、基板搬送装置21とヘッド22とヘッド移動機構23とフィーダ30などに駆動信号を出力したり、マークカメラ24とパーツカメラ25に撮像指示を出力したり、マークカメラ24とパーツカメラ25から撮像画像を入力したりする。
フィーダ30は、部品を所定ピッチで収容するテープを送り出すテープフィーダとして構成されている。フィーダ30は、図3に示すように、テープが巻回されたテープリール32と、テープリール32からテープを引き出して送り出すテープ送り機構33と、突出する2本の位置決めピン34を有するコネクタ35と、下端に設けられたレール部材37と、フィーダ全体の制御を行うフィーダ制御装置39(図5参照)とを備える。フィーダ制御装置39は、CPUとROMとRAMなどで構成され、テープ送り機構33に駆動信号を出力する。また、フィーダ制御装置39は、フィーダ30が取り付けられている部品実装機20の実装制御装置28とコネクタ35を介して通信可能である。
部品実装機20は、図2に示すように、前方にフィーダ30を取り付け可能な上下2つのエリアを有する。上のエリアはフィーダ30が部品を供給可能な供給エリア(部品供給エリア)20Aであり、下のエリアはフィーダ30をストック可能なストックエリア20Bである。供給エリア20Aとストックエリア20Bには、それぞれ複数のフィーダ30が搭載される(セットされる)フィーダ台40が設けられる。フィーダ台40は、側面視がL字状の台であり、フィーダ30のレール部材37が挿入可能な間隔でX方向に複数配列されたスロット42と、フィーダ30の2本の位置決めピン34が挿入可能な2つの位置決め穴44と、2つの位置決め穴44の間に設けられコネクタ35が接続されるコネクタ45とを備える。なお、各フィーダ台40は、上限搭載数Nまでフィーダ30を搭載可能である。
ここで、図6はHDD28cに記憶された供給エリア情報とストックエリア情報の一例を示す説明図である。供給エリア情報は、供給エリア20Aにセットされているフィーダ30の情報である。ストックエリア情報は、ストックエリア20Bにセットされているフィーダ30の情報である。供給エリア情報は、供給エリア20Aにおけるフィーダ30の取付位置の位置情報に対応付けて、フィーダ30のID情報やフィーダ30に収容されている部品種の情報、残り部品数の情報などが記憶される。なお、位置情報は、フィーダ台40の複数のスロット42のうち基準スロット(例えば左端のスロット42)を先頭位置「001」として順に定められている。また、フィーダ30のID情報や部品種の情報,残り部品数の情報は、コネクタ35,45の接続を介して、フィーダ30のフィーダ制御装置39から取得したものを記憶する。同様に、ストックエリア情報は、ストックエリア20Bにおけるフィーダ30の取付位置の位置情報に対応付けて、フィーダ30のID情報や部品種の情報、残り部品数の情報などが記憶される。このため、供給エリア情報とストックエリア情報は、フィーダ30が着脱された場合や部品実装処理中に部品が供給された場合に適宜更新されるものとなる。なお、ストックエリア情報の位置情報が「003」の位置には、フィーダ30が取り付けられていないことを示す。
交換ロボット50は、図4に示すように、X軸レール18に沿って交換ロボット50を移動させるロボット移動機構51と、フィーダ30を部品実装機20に移載するフィーダ移載機構53と、交換ロボット全体を制御するロボット制御装置59(図5参照)とを備える。ロボット移動機構51は、交換ロボット50を移動させるための駆動用ベルトを駆動するサーボモータなどのX軸モータ52aと、X軸レール18に沿った交換ロボット50の移動をガイドするガイドローラ52bなどを備える。フィーダ移載機構53は、フィーダ30をクランプするクランプ部54およびクランプ部54をY軸ガイドレール55bに沿って移動させるY軸モータ55aとを搭載するY軸スライダ55と、Y軸スライダ55をZ軸ガイドレール56bに沿って移動させるZ軸モータ56aとを備える。交換ロボット50は、この他に、X方向の移動位置を検出するエンコーダ57(図5参照)と、交換ロボット50の左右の障害物(作業者)の有無を監視する赤外線センサなどの監視センサ58(図5参照)などを備える。
フィーダ移載機構53のY軸スライダ55は、Z軸モータ56aの駆動により部品実装機20の供給エリア20Aに対向する上部移載エリア50Aと、部品実装機20のストックエリア20Bに対向する下部移載エリア50Bとに移動する。ロボット制御装置59は、クランプ部54によりフィーダ30をクランプしているY軸スライダ55を、Y軸モータ55aの駆動により上部移載エリア50Aから供給エリア20Aに移動させてフィーダ30のレール部材37をフィーダ台40のスロット42に挿入させる。続いて、ロボット制御装置59は、クランプ部54のクランプを解除することにより、フィーダ30を供給エリア20Aのフィーダ台40に取り付ける。また、ロボット制御装置59は、供給エリア20Aのフィーダ台40に取り付けられているフィーダ30をクランプ部54によりクランプして、Y軸モータ55aの駆動によりY軸スライダ55を供給エリア20Aから上部移載エリア50Aに移動させることにより、フィーダ30を供給エリア20Aのフィーダ台40から取り外す(上部移載エリア50Aに引き込む)。ロボット制御装置59は、ストックエリア20Bのフィーダ台40へのフィーダ30の取り付けやストックエリア20Bのフィーダ台40からのフィーダ30の取り外しは、Z軸モータ56aの駆動によりY軸スライダ55を下部移載エリア50Bに移動させて、上部移載エリア50Aに代えて下部移載エリア50Bで行う以外は同様の処理を行うため、説明は省略する。
管理装置80は、図5に示すように、CPU80aとROM80bとHDD80cとRAM80dなどで構成され、LCDなどのディスプレイ82と、キーボードやマウスなどの入力デバイス84とを備える。管理装置80は、基板Sの生産プログラム(ジョブデータ)などを記憶している。基板Sの生産プログラムは、基板Sの種類(基板種)毎に、どの部品種の部品を何個実装するか、どの部品種の部品から実装するか(部品種の実装順)、各レーンにどの基板種の基板Sを何枚搬送するか、各基板種の基板Sを何枚生産(実装)するかなどを定めたプログラムをいう。管理装置80は、実装制御装置28と有線により通信可能に接続されると共にロボット制御装置59と無線により通信可能に接続される他、印刷機12や印刷検査機14、実装検査機の各制御装置と通信可能に接続される。管理装置80は、実装制御装置28に基板Sの生産プログラムを送信したり、実装制御装置28から部品実装機20の実装状況に関する情報やフィーダ30の搭載状況に関する情報を受信したり、ロボット制御装置59から交換ロボット50の駆動状況に関する情報を受信したりする。例えば、管理装置80は、各部品実装機20の供給エリア情報およびストックエリア情報を、必要に応じて各部品実装機20の実装制御装置28から通信により取得する。
以下は、こうして構成された部品実装システム10の処理の説明である。まず、管理装置80が行う処理を説明する。なお、以下では、主に部品の実装処理に必要なフィーダ30を供給エリア20Aにセットするための処理について説明する。説明の便宜上、部品の実装処理に必要なフィーダ30は、供給エリア20Aおよびストックエリア20Bのいずれかにセットされているものとする。なお、管理装置80は、部品の実装処理に必要なフィーダ30が供給エリア20Aおよびストックエリア20Bのいずれにもセットされてない場合には、作業者にその旨を報知して必要なフィーダ30のセットを指示したり、交換ロボット50を図示しないフィーダ30の保管場所に移動させて必要なフィーダ30を取り出して運搬させたりすればよい。
図7はフィーダ交換指示送信処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、所定時間毎に実行される。図7の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、フィーダ初期セットタイミングの部品実装機20があるか否か(S100)、いずれかの部品実装機20からフィーダ交換要求を受信したか否か(S105)、をそれぞれ判定する。また、CPU80aは、フィーダ交換要求を受信したと判定すると、さらに、部品切れに基づくフィーダ交換要求であるか否かを判定する(S110)。フィーダ初期セットタイミングは、基板種に応じて部品実装機20の各種生産部材(例えば、吸着ノズルやヘッド22など)を取り替える段取り替え作業などが作業者により行われた後などにおいて、実装処理を開始するのに必要なフィーダ30を交換ロボット50により供給エリア20Aにセットさせるタイミングである。また、フィーダ交換要求は、実装処理中に、供給エリア20Aにセットされているフィーダ30の残り部品がなくなって部品切れが生じた場合に送信される他、供給エリア20Aとストックエリア20Bなどとの間でフィーダ30を交換する必要が生じた場合に、各部品実装機20から送信される要求である。CPU80aは、S100でフィーダ初期セットタイミングの部品実装機20がないと判定し、且つ、S105で各部品実装機20からフィーダ交換要求を受信してないと判定すると、そのまま本処理を終了する。
一方、管理装置80のCPU80aは、S100でフィーダ初期セットタイミングの部品実装機20があると判定すると、その部品実装機20に対する初期セット対応処理を実行する(S115)。CPU80aは、S105,S110で部品実装機20からフィーダ交換要求を受信し且つ部品切れに基づくフィーダ交換要求であると判定すると、部品切れ時の交換対応処理を実行する(S120)。また、S105,S110で部品実装機20からフィーダ交換要求を受信し且つ部品切れに基づくフィーダ交換要求でないと判定すると、非部品切れ時の交換対応処理を実行する(S125)。そして、CPU80aは、S115,S120,S125の各対応処理で交換対象のフィーダ30が設定済みとなったか否かを判定する(S130)。CPU80aは、各対応処理で交換不要あるいは交換待ちなどと判定するなど、交換対象のフィーダ30を設定済みとなっていない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、CPU80aは、交換対象のフィーダ30が設定済みであれば、その交換対象のフィーダ30の位置情報に基づく交換指示を生成し(S135)、対象となる部品実装機20を指定してフィーダ30の交換指示を交換ロボット50のロボット制御装置59に送信して(S140)、本処理を終了する。なお、CPU80aは、交換対象のフィーダ30の位置情報を、対象となる部品実装機20がHDD28cに記憶している供給エリア情報やストックエリア情報から取得する。交換指示を受信したロボット制御装置59は、指定された部品実装機20の前に交換ロボット50が移動するようロボット移動機構51を制御する。また、ロボット制御装置59は、指定された部品実装機20において、フィーダ30の交換処理を行うようロボット移動機構51とフィーダ移載機構53とを制御する。これにより、交換ロボット50は、供給エリア20Aから不要なフィーダ30を取り出してストックエリア20Bに取り付けたり、ストックエリア20Bから必要なフィーダ30を取り出して供給エリア20Aに取り付けたりする。なお、実装制御装置28のCPU28aは、セットされたフィーダ30の情報をコネクタ35,45の接続を介してフィーダ制御装置39から取得して、HDD28cの供給エリア情報やストックエリア情報を更新する。以下は、S115の初期セット対応処理の詳細の説明である。以下の説明は、1つの部品実装機20に対する初期セット対応処理を説明するが、フィーダ初期セットタイミングにあると判定された各部品実装機20に対して同様な処理が行われる。なお、S120,S125の各交換対応処理は、部品実装機20の処理を説明した後に説明する。
図8は初期セット対応処理の一例を示すフローチャートである。図8の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、処理対象の部品実装機20が実装処理を開始する基板Sの生産プログラムなどに基づいて、実装対象の部品種と部品種の実装順,実装処理に必要なフィーダ30の数(部品種数,必要フィーダ数)など、フィーダ30の初期セットに必要な情報を取得する(S200)。次に、CPU80aは、必要フィーダ数が供給エリア20Aの上限搭載数N以下であるか否かを判定し(S205)、必要フィーダ数が上限搭載数N以下であると判定すると、全部品種のフィーダ30を初期セット対象に設定する(S210)。そして、CPU80aは、処理対象の部品実装機20がHDD28cに記憶しているストックエリア情報から、ストックエリア20Bにある初期セット対象のフィーダ30を交換対象に設定する(S230)。また、CPU80aは、処理対象の部品実装機20がHDD28cに記憶している供給エリア情報から、供給エリア20Aにある初期セット対象以外のフィーダ30のうち、S230で交換対象としたフィーダ30と同数のフィーダ30を交換対象として(S235)、本処理を終了する。このように、CPU80aは、必要フィーダ数が上限搭載数N以下の場合には、全てのフィーダ30をセット可能であると判定して初期セット対象に設定するのである。そして、CPU80aは、図7のフィーダ交換指示送信処理のS135において、S230,S235で設定した交換対象の各フィーダ30について、実装処理に必要な全てのフィーダ30が供給エリア20Aにセットされると共に供給エリア20Aにセットされている不要なフィーダ30がストックエリア20Bにセットされるよう交換指示を生成する。
一方、CPU80aは、S205で必要フィーダ数が上限搭載数Nを超えると判定すると、実装順が1〜N番目の部品種のフィーダ30を初期セット対象に設定する(S215)。即ち、CPU80aは、実装処理に必要な全てのフィーダ30を供給エリア20Aに搭載できない場合には、そのうち一部のフィーダ30を初期セット対象に設定する。続いて、CPU80aは、残りのフィーダ30、即ち、実装順が(N+1)番目以降となる部品種のフィーダ30を実装中交換対象に設定し(S220)、実装中交換対象のフィーダ30のセット順を(N+1)番目以降の実装順と同じ順序に設定する(S225)。そして、CPU80aは、処理対象の部品実装機20のストックエリア情報から、ストックエリア20Bにある初期セット対象のフィーダ30を交換対象とする(S230)。また、CPU80aは、処理対象の部品実装機20の供給エリア情報から、供給エリア20Aにある初期セット対象以外のフィーダ30の全て(実装中交換対象を含む)を交換対象として(S235)、本処理を終了する。このように、CPU80aは、実装処理に必要なフィーダ30の全てを供給エリア20Aに搭載できない場合には、実装順が1番目〜N番目のN個(上限搭載数N)のフィーダ30を初期セット対象に設定すると共に、実装順が(N+1)番目以降の残りのフィーダ30を実装中交換対象に設定するのである。そして、CPU80aは、図7のフィーダ交換指示送信処理のS135において、S230,S235で設定した交換対象の各フィーダ30について、実装処理に必要な一部のフィーダ30が供給エリア20Aにセットされると共に供給エリア20Aにセットされている不要なフィーダ30(実装中交換対象を含む)がストックエリア20Bにセットされるよう交換指示を生成する。
ここで、一の基板S(1枚の基板S)の実装処理における部品種の実装順は、部品の実装効率などに基づいた順序に予め定められている。しかし、第1実施形態において、必要フィーダ数が上限搭載数Nを超える場合、管理装置80のCPU80aや実装制御装置28のCPU28aが実装順を変更してもよい。例えば、CPU80aは、一の基板Sの実装処理において実装される各部品種の部品数(実装点数,供給点数)に基づいて実装順を変更してもよい。CPU80aは実装点数の多い順に実装順を変更してもよく、その場合、初期セット対象は実装点数の多い順からN番目までの部品種のフィーダ30となり、実装中交換対象は実装点数(供給点数)が比較的少ないフィーダ30となる。あるいは、CPU80aは実装点数の少ない順に実装順を変更してもよく、その場合、初期セット対象は実装点数の少ない順からN番目までのフィーダ30となり、実装中交換対象は実装点数(供給点数)が比較的多いフィーダ30となる。
次に、部品実装機20が行う処理を説明する。図9は基板搬送処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、各部品実装機20の実装制御装置28のCPU28aにより所定時間毎に実行される。図9の処理では、実装制御装置28のCPU28aは、まず、第1レーンまたは第2レーンのいずれかに対応付けられた搬入待ち基板があるか否かを判定する(S300)。CPU28aは、搬入待ち基板がないと判定すると、上流側に隣接する部品実装機20からの基板搬出可能信号を受信したか否かを判定する(S305)。基板搬出可能信号は、上流側に隣接する部品実装機20において、一の基板Sへの部品の実装が終了しその基板Sを搬出可能となったときに管理装置80に送信される信号である。この基板搬出可能信号は、基板Sの基板種の情報と、基板Sが搬送されるレーンの指定情報などを含んでおり、上流側に隣接する部品実装機20から管理装置80を経由して下流側の部品実装機20に送信(転送)される。CPU28aは、基板搬出可能信号を受信してないと判定すると、S340に進む。また、CPU28aは、基板搬出可能信号を受信したと判定すると、次に実装処理の対象となる基板種の情報とレーンの指定情報とを基板搬出可能信号から取得し(S310)、指定されたレーンで基板Sを受入可能(搬入可能)であるか否かを判定する(S315)。なお、CPU28aは、指定されたレーンにおいて、基板Sの実装処理中である場合や基板搬入前に作業者による段取り替え作業が必要となる場合などに、基板Sを受入可能でないと判定する。また、CPU28aは、指定されたレーンにおいて、既に基板Sを搬出しており基板Sがない場合に、基板Sを受入可能であると判定する。
CPU28aは、S315で基板Sを受入可能でないと判定すると、基板搬出可能信号で指定されたレーンに対応付けてその基板Sを搬入待ち基板に設定して(S320)、S340に進む。CPU28aは、S320で搬入待ち基板に設定すると、S300で搬入待ち基板があると判定しS305,S310をスキップして、S315に進む。一方、CPU28aは、S315で基板Sを受入可能であると判定すると、受入可能なレーンの指定情報を含む基板受入可能信号を管理装置80に送信する(S325)。この基板受入可能情報を受信した管理装置80は、上流側に隣接する部品実装機20に基板受入可能信号を送信(転送)する。上流側の部品実装機20は、基板受入可能信号を受信すると、基板搬送装置21を制御して指定されたレーンにある基板Sを搬出する。このため、CPU28aは、上流側の部品実装機20から搬出された基板Sを搬入するよう基板搬送装置21を制御する基板搬入処理を行うと共に(S330)、基板Sを搬入したレーンと搬入した基板Sの識別情報や基板種とを対応付けてRAM28dに記憶されている生産中基板情報(図示省略)に登録して(S335)、S340に進む。なお、CPU28aは、搬入した基板Sに付されたマークを撮像するようマークカメラ24を制御し、撮像により得られた基板Sの識別情報を生産中基板情報に登録する。
次に、CPU28aは、第1レーンまたは第2レーンのいずれかに対応付けられた搬出待ち基板があるか否かを判定する(S340)。CPU28aは、搬出待ち基板がないと判定すると、第1レーンまたは第2レーンのいずれかに実装処理が終了した基板Sがあるか否かを判定し(S345)、実装処理が終了した基板Sがないと判定すると、本処理を終了する。一方、CPU28aは、実装処理が終了した基板Sがあると判定すると、その基板Sの基板種の情報と基板Sが搬送されるレーンの指定情報などを含む基板搬出可能信号を管理装置80に送信する(S350)。基板搬出可能信号を受信した管理装置80は、下流側に隣接する部品実装機20にその基板搬出可能信号を送信(転送)する。そして、CPU28aは、下流側の部品実装機20から基板受入可能信号を受信したか否かを判定し(S355)、基板受入可能信号を受信してないと判定すると、実装処理が終了した基板Sを搬出待ち基板に設定して(S360)、本処理を終了する。一方、CPU28aは、S355で基板受入可能信号を受信したと判定すると、基板受入可能信号で指定されたレーンの基板Sを搬出するよう基板搬送装置21を制御し(S365)、搬出した基板Sに関する情報をRAM28dの生産中基板情報から削除して(S370)、本処理を終了する。
図10は部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、各部品実装機20の実装制御装置28のCPU28aにより所定時間毎に実行される。図10の処理では、実装制御装置28のCPU28aは、まず、基板Sの生産プログラムに基づいて、実装対象の部品種と部品種の実装順,各部品の実装位置,実装点数など実装処理に必要な情報を取得する(S400)。そして、CPU28aは、実装処理対象の基板種の基板Sが実装処理の対象レーン(第1レーンまたは第2レーンのいずれか)に搬入済みになるのを待つ(S405)。CPU28aは、実装処理対象の基板種の基板Sが対象レーンに搬入済みになると、部品種の実装順を変更する必要があるか否かを判定し(S410)、変更の必要があれば実装順を変更し(S415)、変更の必要がなければS415をスキップする。なお、変更の必要が生じる場合については、後述する。
次に、CPU28aは、実装順に基づく部品種の部品を供給エリア20Aにセットされている複数のフィーダ30のうちいずれかのフィーダ30から供給させ(S420)、供給された部品を吸着ノズルで吸着する(部品を採取する)ようヘッド22を制御する(S425)。続いて、CPU28aは、ヘッド22がパーツカメラ25上(所定位置)を経由して基板S上に移動するようヘッド移動機構23を制御すると共に(S430)、吸着ノズルに吸着された部品がパーツカメラ25上にあるときに部品の画像を撮像するようパーツカメラ25を制御する(S435)。そして、CPU28aは、撮像した画像における部品吸着姿勢に基づいて実装位置を補正した補正後位置に部品を実装するようヘッド22とヘッド移動機構23とを制御して(S440)、基板Sに部品を実装する。CPU28aは、こうして部品を基板Sに実装すると、フィーダ30の交換の必要があればフィーダ交換要求を管理装置80に送信するフィーダ交換要求送信処理を実行し(S445)、実装対象の一の基板Sに全ての部品を実装したか否かを判定する(S450)。CPU28aは、全ての部品を実装してないと判定すると、S420に戻り処理を繰り返し、全ての部品を実装したと判定すると、本処理を終了する。
S445のフィーダ交換要求送信処理は、図11のフローチャートに基づいて行われる。図11の処理では、実装制御装置28のCPU28aは、一の部品種の部品の実装を終了したタイミングであるか否かを判定し(S500)、一の部品種の部品の実装を終了したタイミングであると判定すると、現在の実装処理に必要な他の部品種のフィーダ30のうち供給エリア20Aにセットされていない未セットのフィーダ30(実装中交換対象のフィーダ30)があるか否かを判定する(S505)。ここで、前述した初期セット対応処理で実装処理に必要な全部品種のフィーダ30が初期セット対象に設定されてセットされていれば、CPU28aは未セットのフィーダ30がないと判定する。一方、初期セット対応処理で一部の部品種のフィーダ30が初期セット対象に設定され、実装中交換対象のフィーダ30の全てがまだ供給エリア20Aにセットされてなければ、CPU28aは未セットのフィーダ30があると判定する。CPU28aは、S505で未セットのフィーダ30がないと判定すると、そのまま本処理を終了する。一方、CPU28aは、S505で未セットのフィーダ30があると判定すると、HDD28cに記憶している供給エリア情報から実装終了した部品種のフィーダ30の位置情報を取得し(S510)、供給エリア20Aに未セットのフィーダ30(未セットフィーダ)との交換を要求するフィーダ交換要求を管理装置80に送信して(S515)、本処理を終了する。なお、CPU28aは、S510で取得したフィーダ30の位置情報をフィーダ交換要求に含めて送信する。
また、CPU28aは、S500で一の部品種の実装(供給)を終了したタイミングでないと判定すると、収容している部品の残数が値0即ち部品切れのフィーダ30が発生したか否かを判定する(S520)。CPU28aは、部品切れのフィーダ30が発生してないと判定すると、そのまま本処理を終了する。一方、CPU28aは、部品切れのフィーダ30が発生したと判定すると、HDD28cに記憶している供給エリア情報から部品切れとなった部品種のフィーダ30の位置情報を取得し(S525)、部品切れ時のフィーダ交換要求を管理装置80に送信して(S530)、本処理を終了する。なお、CPU28aは、S525で取得した位置情報と部品種の情報とをフィーダ交換要求に含めて送信する。
このようなフィーダ交換要求が実装制御装置28から送信されると、管理装置80のCPU80aは、図7のフィーダ交換指示送信処理のS105でフィーダ交換要求を受信したと判定する。また、CPU80aは、部品切れ時のフィーダ交換要求を受信した場合には、S120の部品切れ時の交換対応処理を実行し、未セットフィーダとのフィーダ交換要求を受信した場合には、S125の非部品切れ時の交換対応処理を実行する。S120の部品切れ時の交換対応処理では、CPU80aは、部品切れとなったフィーダ30と、ストックエリア20Bにある同じ部品種のフィーダ30とを交換対象に設定するなどの処理を行うが、第1実施形態の要旨をなさないため詳細な説明は省略する。なお、CPU80aは、同じ部品種のフィーダ30がストックエリア20Bになければ、作業者にその旨を報知して必要なフィーダ30のセットを指示したり、交換ロボット50をフィーダ30の保管場所に移動させて必要なフィーダ30を運搬させたりするなどの処理を行う。
また、S125の非部品切れ時の交換対応処理は、図12のフローチャートに基づいて行われる。図12の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、受信したフィーダ交換要求から、一の基板Sの実装処理において部品の供給を終了したフィーダ30の位置情報を取得し(S600)、そのフィーダ30の位置がパーツカメラ25の正面位置を含む近傍位置(カメラ近傍位置)であるか否かを判定する(S605)。CPU28aは、例えば、パーツカメラ25のX方向(左右方向)の中心に対向する(前方の正面位置にある)フィーダ30と、そのフィーダ30の左右に隣接するフィーダ30との計3つのフィーダ30を、カメラ近傍位置にあるフィーダ30と判定する。CPU80aは、S605でフィーダ交換要求がなされたフィーダ30の位置がカメラ近傍位置にないと判定すると、そのまま本処理を終了する。
CPU80aは、フィーダ交換要求がなされたフィーダ30の位置がカメラ近傍位置にあると判定すると、図8のフィーダ初期内容セット処理のS225で設定した実装中交換対象のフィーダ30のセット順に基づいて、セット順が次となるフィーダ30を交換対象のフィーダ30に設定する(S610)。このように、CPU80aは、部品の供給が終了したフィーダ30が発生すると、実装中交換対象のフィーダ30のうちセット順に基づいて次にセットするフィーダ30を設定する。そして、CPU80aは、交換対象に設定したフィーダ30を実装中交換対象のフィーダ30のセット順から除外して(S615)、本処理を終了する。CPU80aは、図7のフィーダ交換指示送信処理のS135において、部品の供給が終了したフィーダ30がストックエリア20Bにセットされると共に実装中交換対象のフィーダ30(S610で交換対象に設定したフィーダ30)が供給エリア20Aにセットされるよう交換指示を生成する。このため、収容部品の残りがあっても、フィーダ30が、交換ロボット50によって実装中交換対象のフィーダ30と交換されることになる。このため、部品実装機20は、実装処理に必要なフィーダ30の全てを供給エリア20Aに搭載できない場合に、実装順が1番目〜N番目のN個のフィーダ30を初期セット対象に設定して実装処理を開始した場合でも、一の基板Sの実装処理中に、実装順が(N+1)番目以降の残りのフィーダ30(実装中交換対象のフィーダ30)を順次供給エリア20Aにセットすることができる。また、実装中交換対象のフィーダ30は、実装処理中にパーツカメラ25の近傍位置にセットされるから、供給された部品を吸着ノズルで吸着したヘッド22が、パーツカメラ25上を経由して基板S上に移動する際の移動時間を短縮することができる。したがって、実装中交換対象のフィーダ30を、ヘッド22の移動効率のよりよい位置にセットして実装処理を行うことができるから、実装処理を効率のよいものとすることができる。なお、前述したように、CPU80aが実装点数の少ない順に実装順を変更した場合、実装中交換対象は実装点数(供給点数)が比較的多いフィーダ30となる。このため、実装中交換対象のフィーダ30が実装処理中にパーツカメラ25の近傍位置にセットされることにより、ヘッド22の移動効率をよくする効果を一層高めることができる。
図13は、第1実施形態で実装処理中にフィーダ30を交換する様子を示す説明図である。図13(a)に示すように、実装処理開始時(初期セット時)には、部品種A〜*までのフィーダ30が初期セット対象フィーダとして供給エリア20Aにセットされると共に残りの部品種O,P,Qの3つのフィーダ30が実装中交換対象フィーダとしてストックエリア20Bにセットされている。なお、ストックエリア20Bには、他のフィーダ30もセットされているが、図示を省略した。また、パーツカメラ25の左右方向の中心に対向する位置にある部品種Gのフィーダ30とそのフィーダ30に左右に隣接する部品種F,Hの2つのフィーダ30とが、カメラ近傍位置にあるものとする。CPU80aは、実装処理中に部品種A,Bのフィーダ30の非部品切れ時の交換要求を受信しても、カメラ近傍位置にないと判定して、フィーダ30の交換は行わない。また、CPU80aは、実装処理中に部品種F,G,Hのいずれかのフィーダ30の非部品切れ時の交換要求を受信すると、カメラ近傍位置にあると判定して、実装中交換対象フィーダとの交換を行う。これにより、実装中交換対象フィーダの部品種O,P,Qの3つのフィーダ30が順次供給エリア20Aにセットされることになる(図13(b)参照)。このようなフィーダ30の交換を作業者が行うものとすると、作業者は各部品種の部品の供給が終了するタイミングを見計らって作業を行わなければならず、作業負担の増加に繋がるものとなる。本実施形態では、交換ロボット50により、実装処理中に、ストックエリア20Bの実装中交換対象フィーダ30を供給エリア20Aのフィーダ30と交換するから、作業負担を増加させることなく、適切なタイミングでフィーダ30を入れ替えることができる。
また、前述したように、管理装置80のCPU80aや実装制御装置28のCPU28aが実装順を変更してもよい。例えば、実装制御装置28のCPU28aは、先に実装処理される基板Sを本来の実装順とし、同じ種類の次に実装処理される基板Sを本来の実装順とは逆の実装順(本来の実装順で末尾となる部品種を先頭とする順)とし、以後、本来の実装順と逆の実装順とを交互に変更する。その場合、一の基板Sの実装処理を終了したときのフィーダ30のセット状態が図13(b)の場合、図13(a)の状態に戻すことなくそのままのセット状態で、CPU28aが次の基板Sの実装処理を開始すればよい。また、図13(b)の状態で実装処理を開始する場合、CPU28aは、図10の部品実装処理のS410で実装順の変更が必要と判定し、続くS415で逆の実装順に変更するものなどとすればよい。勿論、管理装置80のCPU80aは、一の基板Sの実装処理中や実装処理を終了する度に、フィーダ30を初期セット状態(例えば図13(a)の状態)に戻してもよい。
ここで、第1実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。フィーダ30が部品供給ユニットに相当し、交換ロボット50がユニット交換装置に相当し、部品実装機20が部品実装機に相当する。ロボット制御装置59とロボット制御装置59に交換指示を送信する管理装置80とが交換制御装置に相当する。なお、以上の対応関係は、第2〜第4実施形態においても同様である。また、図8の初期セット対応処理のS200を実行する管理装置80のCPU80aが情報取得部に相当し、初期セット対応処理のS205を実行するCPU80aがユニット数判定部に相当し、初期セット対応処理のS215〜S225を実行するCPU80aがセット内容決定部に相当する。図11のフィーダ交換要求送信処理のS515で部品実装機20から送信される未セットフィーダのフィーダ交換要求を受信して図7のフィーダ交換指示送信処理のS125(図12の非部品切れ時の交換対応処理),S135,S140を実行するCPU80aが指示出力部に相当する。
以上説明した第1実施形態の部品実装システム10は、複数のフィーダ30により供給される部品を基板Sに実装する複数の部品実装機20と、各部品実装機20にセットされているフィーダ30を交換する交換ロボット50と、交換ロボット50を制御するためのフィーダ30の交換指示を生成して送信する管理装置80とを備える。また、部品実装システム10の管理装置80は、一の基板Sの実装処理に必要な複数のフィーダ30のうち一部のフィーダ30が供給エリア20Aにセットされている状態で実装処理が開始された場合、その基板Sの実装処理中に部品の供給を終了したフィーダ30を、部品の残りがあっても実装中交換対象のフィーダ30と交換するようロボット制御装置59に交換指示を送信する。即ち、部品実装システム10は、実装処理に必要な複数のフィーダ30のうち一部の初期セット対象のフィーダ30が部品実装機20(供給エリア20A)にセットされると共に残りのフィーダ30(実装中交換対象のフィーダ30)が部品実装機20(供給エリア20A)にセットされない状態で実装処理を開始する。また、部品実装システム10は、一の基板Sの実装処理中に部品の供給が終了したフィーダ30を、交換ロボット50により残りのフィーダ30と入れ替えながら実装処理する。これにより、部品実装機20の上限搭載数Nの範囲内で必要なフィーダ30に交換しながら実装処理することができるから、実装処理の効率を向上させることができる。また、フィーダ30の上限搭載数Nを増やすために部品実装機20が拡大するのを抑制することができる。
なお、第1実施形態では、管理装置80は、部品の供給を終了したフィーダ30がカメラ近傍位置にある場合に、実装中交換対象のフィーダ30と交換するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、管理装置80は、部品の供給を終了したフィーダ30がカメラ正面位置にある場合に、実装中交換対象のフィーダ30と交換するものとしてもよい。こうすれば、ヘッド22の移動時間を短縮する効果をより一層高めることができる。あるいは、管理装置80は、このようにフィーダ30の位置を特定することなく、部品の供給を終了したフィーダ30が発生した場合に、そのフィーダ30を実装中交換対象のフィーダ30と順次交換するものとしてもよい。このようにすれば、管理装置80は、実装中交換対象のフィーダ30による部品の供給が開始されるまでに、実装中交換対象の各フィーダ30を供給エリア20Aに順次セットして、フィーダ30の交換により実装処理(部品の供給)が中断しないようにすることができる。また、管理装置80は、ヘッド22による各部品の実装処理に要する時間と、フィーダ30の交換に要する交換時間などとを考慮して、実装中交換対象のフィーダ30から部品の供給を開始するまでに(部品の供給が中断しないようにしつつ)、実装中交換対象のフィーダ30をできるだけカメラ近傍位置やカメラ正面位置にセットするよう、各部品種の実装順やフィーダ30の交換タイミングを定めるものなどとしてもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態および後述する第3,第4実施形態の部品実装システム10(部品実装機20,交換ロボット50)の各構成は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。第2実施形態では、図8に代えて図14の初期セット対応処理が実行される。図14の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、これから実装処理される今回の基板種の各情報と次に実装処理される予定の次回の基板種の各情報とを取得する(S200a)。なお、各情報は、前述したように、実装対象の部品種と部品種の実装順,実装処理に必要なフィーダ30の数(部品種数,必要フィーダ数)などの情報である。次に、CPU80aは、全部品種のフィーダ30を初期セット対象に設定する(S210)。なお、図14では、必要フィーダ数が上限搭載数Nを超えないものとするが、必要フィーダ数が上限搭載数Nを超える場合があってもよい。その場合、図8のS215〜S225の処理を行うなど、第1実施形態と同様な処理を行うものとすればよい。
続いて、CPU80aは、上限搭載数Nから必要フィーダ数を減じることにより、供給エリア20Aに必要フィーダ数をセットした際の残りのセット可能数である余裕搭載数Mを算出し(S240)、余裕搭載数Mが値0を超えるか否かを判定する(S245)。CPU80aは、余裕搭載数Mが値0を超えると判定すると、次回に実装処理される基板種の各情報に基づいて、実装順がM番目までの部品種のフィーダ30を初期セット対象に追加し(S250)、S230,S235の処理を実行して本処理を終了する。なお、CPU80aは、余裕搭載数Mが値0を超えない、即ち今回の基板種の実装処理に必要なフィーダ30を供給エリア20Aにセットすると、供給エリア20Aに空きスロットはないと判定すると、S250をスキップし、S230,S235の処理を実行して本処理を終了する。これにより、今回の基板種の実装処理の開始時に、今回の基板種に必要なフィーダ30に加えて、次回の基板種に必要なフィーダ30の少なくとも一部を予め搭載しておくことができる。なお、余裕搭載数M分のフィーダ30は、今回の基板種の実装処理に不要なフィーダ30である。このため、余裕搭載数M分のフィーダ30を全てセットする前に、今回の基板種の実装処理を開始するものなどとしてもよい。
また、第2実施形態では、図11に代えて図15のフィーダ交換要求送信処理が実行される。図15の処理では、実装制御装置28のCPU28aは、まず、今回の基板種(実装処理中の基板種)における一の部品種の供給を終了したタイミングであるか否かを判定し(S500)、供給を終了したタイミングでないと判定すると、図11と同様にS520〜S530の処理を実行して本処理を終了する。即ち、CPU28aは、部品切れのフィーダ30が発生していれば、部品切れ時のフィーダ交換要求を管理装置80に送信する。一方、CPU28aは、一の部品種の部品の供給を終了したタイミングであると判定すると、次回の基板種で実装処理される部品種に基づいて今回部品の供給を終了したフィーダ30が次回の基板種の実装処理で用いられるものであるか否か(S503)、次回の基板種の未セットフィーダ数Qが値0を超えるか否か(S505a)、をそれぞれ判定する。この未セットフィーダ数Qは、次回の基板種の実装処理に必要なフィーダ30のうち、供給エリア20Aにセットされていないフィーダ30(未セットフィーダ)の数を示すものであり、その設定は後述する。CPU28aは、今回部品の供給を終了したフィーダ30が次回の基板種の実装処理で用いられると判定したり、未セットフィーダ数Qが値0を超えないと判定したりすると、そのまま本処理を終了する。一方、CPU28aは、S503で今回部品の供給を終了したフィーダ30が次回の基板種の実装処理で用いられないと判定し、且つ、S505aで未セットフィーダ数Qが値0を超えると判定すると、HDD28cの供給エリア情報から実装終了した部品種のフィーダ30の位置情報を取得する(S510)。続いて、CPU28aは、次回の基板種の未セットフィーダとの交換を要求するフィーダ交換要求を管理装置80に送信し(S515a)、未セットフィーダ数Qを値1デクリメントして(S535)、本処理を終了する。なお、CPU28aは、S510で取得したフィーダ30の位置情報をフィーダ交換要求に含めて送信する。このフィーダ交換要求を受信した管理装置80のCPU80aは、非部品切れ時の交換対応処理を行う。ただし、第2実施形態では、CPU80aは、図12の非部品切れ時の交換対応処理におけるS605の判定処理を省略する。このため、管理装置80は、次回の基板種の未セットフィーダとのフィーダ交換要求を受信すると、今回の基板種の実装処理で部品の供給を終了したフィーダ30を、次回の基板種の実装処理に必要なフィーダ30に交換することになる。これにより、次回の基板種の実装処理が開始される際に、フィーダ30を交換する必要をなくしたり、あるいは、交換に必要な時間を短縮したりして、次回の基板種の実装処理を速やかに開始することができる。
次に、未セットフィーダ数Qの設定処理について説明する。図16は、未セットフィーダ数設定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、実装制御装置28のCPU28aが、今回の基板種の実装処理中に次回の基板Sの生産プログラムを取得した場合、あるいは、今回の基板種の実装処理中に図9の基板搬送処理のS310で次回の実装処理の基板種の情報を取得した場合に実行される。図16の処理では、CPU28aは、まず、次回の実装処理が今回の実装処理と別レーンで行われるか否か(S700)、次回の実装処理が今回の実装処理と異なる基板種を対象とするか否か(S705)、をそれぞれ判定する。CPU28aは、図9の基板搬送処理のS335,S370で更新される生産中基板情報や基板Sの生産プログラムなどを用いて、これらの判定を行う。CPU28aは、次回の実装処理が、別レーンで行われないと判定したり、異なる基板種でないと判定したりすると、そのまま本処理を終了する。一方、CPU28aは、次回の実装処理が別レーンで行われ、且つ、異なる基板種であると判定すると、次回の基板種の実装処理に必要な部品種(フィーダ種)の情報を取得する(S710)。そして、CPU28aは、HDD28cの供給エリア情報から、次回の基板種の実装処理に必要なフィーダ30のうち供給エリア20Aにセットされていない未セットフィーダがあるか否かを判定する(S715)。CPU28aは、未セットフィーダがあると判定すると、その未セットのフィーダ30の数を未セットフィーダ数Qに設定して(S720)、本処理を終了し、未セットフィーダがないと判定すると、そのまま本処理を終了する。このように、CPU28aは、実装処理中に、現在実装処理中(今回の実装処理中)の基板種と異なる種類の基板種が、現在の実装処理と異なるレーンで次回に実装処理されると判定すると、次回の基板種の実装処理に必要なフィーダ30の全てが供給エリア20Aにセットされてない場合に、未セットフィーダ数Qを設定するのである。なお、未セットフィーダ数Qの初期値は、値0とする。
図17は、第2実施形態で実装処理中にフィーダ30を交換する様子を示す説明図である。図17(a)に示すように、基板種1の実装処理開始時(初期セット時)には、今回(基板種1)の実装処理用の部品種A〜*までのフィーダ30と次回の基板種(基板種2)の実装処理用の部品種a,bのフィーダ30とが初期セット対象フィーダとして供給エリア20Aにセットされている。また、ストックエリア20Bにセットされている(供給エリア20Aにセットされていない)、次回の基板種の実装処理用の未セットフィーダとして、部品種c〜gの5つのフィーダ30を例示する。実装制御装置28のCPU28aは、第1レーンにおいて今回の基板種1の基板Sの実装処理中に、次回の実装処理が第2レーンで行われ且つ現在と種類が異なる基板種2であると判定すると、未セットフィーダ数Qを値5に設定する。そして、今回の基板種1の基板Sの実装処理中に部品種A,B,C,D,Eの各部品種の部品の供給を終了する度に、未セットフィーダとのフィーダ交換要求を管理装置80に出力する。管理装置80のCPU80aは、フィーダ交換要求を受信する度に、今回の基板種1の実装処理において部品の供給を終了したフィーダ30と、次回の実装処理用の未セットフィーダとを順次交換する。このため、図17(b)に示すように、第1レーンで基板種1の実装処理を終了して基板Sを搬出する際には、供給エリア20Aには、第2レーンの基板種2の実装処理用のフィーダ30が全てセットされることになる。これにより、基板種が変更する場合において、実装処理をスムーズに切り替えることができる。また、次に第1レーンに基板種1の基板Sが搬送される場合には、CPU80aは、第2レーンで基板種2の基板Sの実装処理中に、部品種a,b,c,d,e,f,gの各部品種の部品の供給を終了する度に、基板種1の未セットフィーダである部品種A,B,C,D,Eの各フィーダ30と順次交換することになる。このため、各レーンにおいて実装処理される基板種が毎回異なる場合などにおいても、レーン切り替わり時のフィーダ30の交換時間をなくしたり、あるいは、交換時間を短縮したりして、次のレーンでの異なる基板種の実装処理を速やかに開始することができる。このようなフィーダ30の交換を作業者が行うものとすると、作業者はレーンの切り替わりタイミングを見計らって作業を行わなければならず、作業負担の増加に繋がるものとなる。本実施形態では、交換ロボット50により、レーン切り替わり前の実装処理中にフィーダ30を交換するから、作業負担を増加させることなく、次のレーンでの異なる基板種の実装処理を速やかに開始することができる。
ここで、第2実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。図9の基板搬送処理のS310,S335,S370を実行する管理装置80のCPU80aが情報取得部に相当し、図16の未セットフィーダ数設定処理のS700,S705を実行するCPU80aが基板種判定部に相当し、図15のフィーダ交換要求送信処理のS515aで部品実装機20から送信される未セットフィーダのフィーダ交換要求を受信して図7のフィーダ交換指示送信処理のS125,S135,S140を実行するCPU80aが指示出力部に相当する。
以上説明した第2実施形態の部品実装システム10は、並列に設けられた2つのレーン(第1レーンと第2レーン)に搬送される基板Sに各部品実装機20が実装処理を行うよう構成されている。また、部品実装システム10は、2つのレーンのうち一方のレーンで実装処理されている基板種(今回基板種)と他方のレーンで次回に実装処理される基板種(次回基板種)とが異なる場合、今回基板種の実装処理中に、交換ロボット50により、今回基板種の一の基板Sの実装処理において部品の供給を終了したフィーダ30を次回基板種の実装処理に必要なフィーダ30と交換する。即ち、部品実装システム10は、今回の実装処理(実装処理中)の基板種と異なる種類の基板種が、今回の実装処理と異なるレーンで実装処理される際に、今回の基板種の実装処理中に、一の基板Sの実装処理で部品の供給を終了したフィーダ30を、次回の基板種の実装処理に必要なフィーダ30に順次交換しながら実装処理する。これにより、今回基板種の実装処理が終了すると、速やかに次回基板種の実装処理を開始することができる。また、2つのレーンで異なる基板種の基板Sが搬送される際に、各基板種の実装処理に必要なフィーダ30の合計数が上限搭載数Nを超える場合でも、部品種およびレーンの切り替えをスムーズなものとすることができる。
第2実施形態では、本発明を第1レーンおよび第2レーンの2つのレーンに適用した場合を説明したが、これに限られず、複数のレーンに適用するものであればよく、例えば3つのレーンに適用するものなどとしてもよい。
第2実施形態では、供給エリア20Aにおける初期セット対象フィーダに、次回の基板種の余裕搭載数M分のフィーダ30を含むものとしたが、これに限られず、余裕搭載数M分のフィーダ30を含まないものとしてもよい。即ち、次回の基板種に必要な各フィーダ30は、今回の基板種の基板Sの実装処理中にセットし始めるものとしてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、図8に代えて図18の初期セット対応処理が実行される。図18の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、実装対象の部品種と部品種の実装順,各部品種の混載可否に関する情報を取得して(S200b)、各部品種の混載可否を確認して(S260)、混載不可の部品種があるか否かを判定する(S262)。ここで、CPU80aは、部品の特性上、一の基板内に製造ロットが異なる部品(異なるフィーダ30から供給される部品)を混載してはいけないことが定められている部品種について、混載不可と判定する。各部品実装機20は、混載不可と判定される特定部品種について、同じフィーダ30を共用して同じフィーダ30から供給された部品を実装する必要がある。CPU80aは、S262で混載不可の特定部品種がないと判定すると、全部品種のフィーダ30を初期セット対象に設定し(S210)、S230,S235で交換対象のフィーダ30を設定して、本処理を終了する。なお、図18では、必要フィーダ数が上限搭載数Nを超えないものとするが、必要フィーダ数が上限搭載数Nを超える場合があってもよい。その場合、図8のS215〜S225の処理を行うなど、第1実施形態と同様な処理を行うものとすればよい。
また、CPU80aは、S262で混載不可の特定部品種があると判定すると、特定部品種のフィーダ30(特定フィーダ)を共用する部品実装機20である共用実装機を設定済みであるか否かを判定する(S264)。CPU80aは、共用実装機を設定済みでないと判定すると、基板Sの生産プログラムなどに基づいて、特定部品種の部品を実装するために特定フィーダを共用する部品実装機20を設定し(S266)、共用実装機を設定済みであると判定すると、S266をスキップする。ここで、混載不可の特定部品種を実装する一例として、隣接する2つの部品実装機20に跨がって一の基板Sが配置されている状態で、2つの部品実装機20でその一の基板Sの実装可能範囲(各ヘッド22の移動可能範囲)で実装処理を行うものを考える。このため、CPU80aは、S266で、隣接する2つの部品実装機20を共用実装機に設定する。
続いて、CPU80aは、今回の初期セット対応処理の処理対象が共用実装機であるか否かを判定し(S268)、共用実装機でなければ、全部品種のフィーダ30を初期セット対象に設定し(S210)、S230,S235の処理を行って本処理を終了する。一方、CPU80aは、処理対象が共用実装機であると判定すると、さらに処理対象が共用実装機(隣接する2つの部品実装機20)のうち一方(ここでは上流側とする)の部品実装機20であるか否かを判定する(S270)。CPU80aは、処理対象が上流側(一方)の部品実装機20であると判定すると、特定フィーダのうち一部の特定フィーダを初期セット対象に設定すると共に(S272)、残りの特定フィーダを初期セット対象から除外し(S274)、上流側の部品実装機20における部品種の実装順を、一部の特定フィーダの特定部品種から実装するよう変更する(S276)。
一方、CPU80aは、処理対象が下流側(他方)の部品実装機20であると判定すると、特定フィーダのうち残りの特定フィーダ(S274で初期セット対象から除外されたもの)を初期セット対象に設定すると共に(S278)、一部の特定フィーダ(S272で初期セット対象に設定されたもの)を初期セット対象から除外する(S280)。また、CPU80aは、下流側の部品実装機20における部品種の実装順を、残りの特定フィーダの特定部品種から実装するよう変更する(S282)。即ち、CPU80aは、特定フィーダを、一方の共用実装機の初期セット対象に設定すると共に、他方の共用実装機の初期セット対象から除外する。また、CPU80aは、各共用実装機において、初期セット対象に設定された特定フィーダの特定部品種から実装するよう実装順を変更する。なお、CPU80aは、特定フィーダが1つだけの場合には、その特定フィーダを一方の共用実装機の初期セット対象に設定すると共に他方の共用実装機の初期セット対象から除外すればよい。CPU80aは、こうして初期セット対象を設定して実装順を変更すると、特定部品種以外(特定フィーダ以外)の必要なフィーダ30を初期セット対象に設定し(S284)、S230,S235で交換対象のフィーダ30を設定して本処理を終了する。
また、第3実施形態では、図11に代えて図19のフィーダ交換要求送信処理が実行される。図19の処理では、実装制御装置28のCPU28aは、まず、一の部品種の供給を終了したタイミングであるか否かを判定し(S500)、実装を終了したタイミングでないと判定すると、図11と同様にS520〜S530の処理を実行して本処理を終了する。一方、CPU28aは、一の部品種の部品の実装を終了したタイミングであると判定すると、その部品種が特定部品種であるか否かを判定する(S505b)。CPU28aは、特定部品種でないと判定すると、そのまま本処理を終了する。一方、CPU28aは、特定部品種であると判定すると、実装終了した特定部品種のフィーダ30(特定フィーダ)の位置情報をHDD28cの供給エリア情報から取得し(S510)、特定フィーダの交換を要求するフィーダ交換要求を管理装置80に送信して(S515b)、本処理を終了する。なお、CPU28aは、S510で取得したフィーダ30の位置情報をフィーダ交換要求に含めて送信する。このフィーダ交換要求を受信した管理装置80は、図20に示す非部品切れ時の交換対応処理を行う。
図20の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、受信したフィーダ交換要求から部品の供給を終了した特定フィーダの位置情報を取得する(S600a)。また、CPU80aは、今回のフィーダ交換要求の送信元と異なる他方の共用実装機において、HDD28cに記憶されている供給エリア情報から、供給エリア20Aにある各フィーダ30の使用状況や供給エリア20Aにおけるフィーダ30のセット状況を取得する(S630)。CPU80aは、S630で、交換待ちとなっている特定フィーダの情報と供給エリア20Aの空きスロット42の情報とを取得する。そして、CPU80aは、取得した情報に基づいて、他方の共用実装機に交換待ちの特定フィーダがあるか否か(S635)、他方の共用実装機の供給エリア20Aに空きスロット42があるか否か(S640)、をそれぞれ判定する。CPU80aは、S635で他方の共用実装機に交換待ちの特定フィーダがあると判定すると、受信したフィーダ交換要求の送信元の共用実装機にある特定フィーダと他方の共用実装機の交換待ちの特定フィーダとを交換対象に設定して(S645)、本処理を終了する。このため、一方の共用実装機(部品実装機20)で特定フィーダからの部品の供給が終了した場合、CPU80aは、他方の共用実装機(部品実装機20)で既に部品の供給が終了した特定フィーダがあれば、それらの特定フィーダを互いに交換する(入れ替える)よう交換指示を作成して交換ロボット50に送信する。
また、CPU80aは、S635で他方の共用実装機に交換待ちの特定フィーダがないと判定し、且つ、S640で他方の共用実装機の供給エリア20Aに空きスロット42があると判定すると、受信したフィーダ交換要求の特定フィーダのみを交換対象に設定して(S650)、本処理を終了する。このため、一方の共用実装機(部品実装機20)で特定フィーダからの部品の供給が終了した場合、CPU80aは、他方の共用実装機(部品実装機20)の供給エリア20Aに空きスロット42があれば、部品の供給が終了した特定フィーダを他方の共用実装機に受け渡すよう交換指示を作成して交換ロボット50に送信することになる。一方、CPU80aは、S640で他方の共用実装機の供給エリア20Aに空きスロットがないと判定すると、受信したフィーダ交換要求の特定フィーダを交換待ちとする旨の指示を、フィーダ交換要求の要求元の共用実装機(部品実装機20)に送信して(S655)、本処理を終了する。この場合、CPU80aは、次に、他方の共用実装機から特定フィーダの交換要求を受信した場合に、S635で交換待ちの特定フィーダがあると判定して、それらの特定フィーダを互いに交換するよう処理を行うことになる。なお、CPU80aは、他方の共用実装機における特定部品種以外の部品種のフィーダ30について、一の基板Sの実装処理中に部品の供給が終了している(一の基板Sの実装処理中に使用されない)ものがあれば、その部品の供給が終了したフィーダ30と、受信したフィーダ交換要求の送信元の共用実装機にある特定フィーダとを交換対象に設定するものとしてもよい。即ち、特定フィーダの交換(入れ替え)対象は、別の特定フィーダに限られず、特定フィーダ以外の通常のフィーダ30としてもよい。こうすれば、フィーダ交換要求がなされた特定フィーダを速やかに他方の共用実装機に受け渡すことが可能となる。
図21は、第3実施形態で実装処理中にフィーダ30を交換する様子を示す説明図である。図21では、隣接する2つの部品実装機20(1),(2)に跨がって一の基板Sが配置されている状態で、その基板Sに対し各部品実装機20(1),(2)がそれぞれの実装可能範囲で実装処理を行うものを示す。また、混載不可の部品種として、部品種X,Y,Z,Wを例示する。即ち、これらの部品種X,Y,Z,Wは、それぞれ同じフィーダ30(特定フィーダ)から供給された部品が一の基板Sに実装される必要がある。管理装置80のCPU80aは、部品実装機20(1)の部品種X,Yの特定フィーダと、部品実装機20(2)の部品種Z,Wの特定フィーダとを、部品の供給が終了したものから交換ロボット50により互いに交換させる。図21では、一例として、部品種Xの特定フィーダと部品種Zの特定フィーダとが交換され、部品種Yの特定フィーダと部品種Wの特定フィーダとが交換される。これにより、一の基板Sの実装処理中に、特定フィーダを2つの部品実装機20(1),(2)で受け渡しながら、特定部品種(部品種X,Y,Z,W)の部品を供給して実装処理することができる。このような特定フィーダの受け渡しを作業者が行うものとすると、作業者は受け渡しタイミングを見計らって作業を行わなければならず、作業負担の増加に繋がるものとなる。本実施形態では、交換ロボット50により、各部品実装機20間で特定フィーダの受け渡しを行うから、作業負担を増加させることなく、スムーズな受け渡しを可能とすることができる。なお、一の基板Sの実装処理が終了したときには、各共用実装機において、セットされている特定フィーダが入れ替わることになる。このため、管理装置80のCPU80aや実装制御装置28のCPU28aが実装順を変更してもよい。例えば、実装制御装置28のCPU28aは、セットされている特定フィーダが初期セット対象から入れ替わっている場合、図10の部品実装処理のS410で実装順の変更が必要と判定し、続くS415で実装順を変更するものとすればよい。この場合、CPU28aは、入れ替わってセットされている特定フィーダの特定部品種から実装するよう実装順を変更するものとする。勿論、管理装置80のCPU80aは、一の基板Sの実装処理中や実装処理終了時に、特定フィーダを初期セット状態に戻してもよい。
ここで、第3実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。図18の初期セット対応処理のS200bを実行する管理装置80のCPU80aが情報取得部に相当し、図18のS260,S262を実行するCPU80aが供給元判定部に相当し、図19のフィーダ交換要求送信処理のS515bで部品実装機20から送信される特定フィーダのフィーダ交換要求を受信して図7のフィーダ交換指示送信処理のS125(図20の非部品切れ時の交換対応処理),S135,S140を実行するCPU80aが指示出力部に相当する。
以上説明した第3実施形態の部品実装システム10は、基板Sの搬送方向に沿って複数並べて配置された部品実装機20で実装処理を行うものであり、同一種の基板Sの実装処理を継続している間に、複数の部品実装機20のいずれかにセットされているフィーダ30を交換ロボット50により各部品実装機20間で受け渡しながら実装処理することができる。また、部品実装システム10は、同一種の基板Sの実装処理において、部品の供給元を同一のフィーダ30とすべき特定の部品種(混載不可の部品種)がある場合に、その特定の部品種の1つのフィーダを交換ロボット50により各部品実装機20間で受け渡しながら実装処理する。このため、部品実装システム10は、部品の供給元を同一のフィーダ30とすべき特定の部品種がある場合に、フィーダ30を受け渡して効率よく実装処理することができる。
第3実施形態では、2つの部品実装機20に跨がって配置される一の基板Sに対して、同一のフィーダ30(特定フィーダ)から供給される部品を実装処理する場合を例示したが、これに限られるものではない。1つの部品実装機20内に収まるサイズの基板Sに対して、同一のフィーダ30(特定フィーダ)から供給される部品を実装処理するものなどとしてもよい。また、同一のフィーダ30(特定フィーダ)を共用する共用実装機として隣接する2つの部品実装機20を例示したが、これに限られず、隣接しない2つの部品実装機20としてもよいし、隣接するか否かを問わず3つ以上の部品実装機20を共用実装機としてもよい。なお、共用実装機を複数台とする場合、全ての特定フィーダを最も上流側の共用実装機の初期セット対象に設定するものとしてもよいし、特定フィーダを各共用実装機の初期セット対象に均等に割り振って設定するものなどとしてもよい。
第3実施形態では、混載不可の特定部品種として、一の基板S内に異なるフィーダ30から供給される部品を混載してはいけないをものを例示したが、これに限られるものではない。例えば、部品の特性上、異なる部品種の部品同士をセットにして一の基板S内に実装することが定められている場合にも、同様に同じフィーダ30を各部品実装機20間で受け渡しながら実装処理することができる。また、同じフィーダ30を各部品実装機20間で受け渡しながら実装処理するのは、そのような特性の部品(特定部品種)を実装処理する場合に限られるものではない。フィーダ30を各部品実装機20で使い回すことができれば、フィーダ30を部品実装機20の数だけ準備できていない場合などでも、効率よく実装処理を行うことができる。あるいは、部品切れのフィーダ30が発生した場合に、その部品切れと同じ種類のフィーダ30を各部品実装機20間で受け渡しながら、実装処理を行うものとしてもよい。以下、この変形例について説明する。
この場合、図7のフィーダ交換指示送信処理におけるS120の部品切れ時の交換対応処理は、図22のフローチャートに基づいて行われる。この処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、フィーダ交換要求から部品切れのフィーダ30の位置情報と部品種とを取得する(S800)。次に、CPU80aは、他の部品実装機20の供給エリア情報およびストックエリア情報に基づいて使用途中のフィーダ30の情報を確認し(S805)、部品切れのフィーダ30と同じ部品種の使用途中のフィーダ30があるか否かを判定する(S810)。CPU80aは、部品切れのフィーダ30と同じ部品種の使用途中のフィーダ30がないと判定すると、部品切れのフィーダ30と同じ部品種の新たなフィーダ30を交換対象に設定して(S815)、本処理を終了する。CPU80aは、S815では、部品切れのフィーダ30と、ストックエリア20Bにある同じ部品種の新たな(使いかけでない)フィーダ30とを交換対象に設定する。なお、同じ部品種のフィーダ30がストックエリア20Bになければ、CPU80aは、作業者にその旨を報知して必要なフィーダ30のセットを指示したり、交換ロボット50を他の部品実装機20のストックエリア20Bに移動させて同じ部品種の新たなフィーダ30を運搬させたりするなどの処理を行う。
また、CPU80aは、S810で他の部品実装機20に、部品切れのフィーダ30と同じ部品種の使用途中のフィーダ30があると判定すると、その使用途中のフィーダ30の残り部品数を取得して(S820)、残り部品数の合計を算出する(S825)。CPU80aは、同じ部品種の使用途中のフィーダ30が1つであれば、そのフィーダ30の部品数をS825で合計数として取得し、同じ部品種の使用途中のフィーダ30が複数であれば、複数のフィーダ30の残り部品数の合計数を算出する。続いて、CPU80aは、実装処理中の基板種における残りの基板数(生産枚数)と、部品切れの部品種の一基板当りの実装点数(供給点数)とを取得し(S830)、残りの基板数と一基板当りの実装点数とに基づいて実装処理中の基板種の実装終了までの必要部品数を算出する(S835)。そして、CPU80aは、S825で算出した残り部品数の合計が、S835で算出した必要部品数以上であるか否かを判定し(S840)、残り部品数の合計が必要部品数以上でないと判定すると、部品切れとなったフィーダ30と、同じ部品種の新たなフィーダ30とを交換対象に設定して(S815)、本処理を終了する。一方、CPU80aは、残り部品数の合計が必要部品数以上であると判定すると、使用途中のフィーダ30を使い回しながら実装処理を継続すると判断する(S845)。そして、CPU80aは、いずれかの部品実装機20にセットされている使用途中のフィーダ30(部品切れと同じ部品種のフィーダ30)のうち、一の基板Sの実装処理中に部品の供給を終了したフィーダ30を交換対象に設定して(S850)、本処理を終了する。なお、CPU80aは、部品の供給を終了したフィーダ30がないときには、いずれかの部品実装機20において、部品切れと同じ部品種のフィーダ30のうち部品の供給を終了したフィーダ30が発生するのを待って交換対象に設定する。
図23は、第3実施形態の変形例で実装処理中の部品切れ時にフィーダ30を交換する様子を示す説明図である。図23では、隣接する2つの部品実装機20(1),(2)で同じ基板種の基板Sをそれぞれ実装処理しているときに、部品実装機20(1)の供給エリア20Aにセットされている部品種Xのフィーダ30が部品切れとなった場合を示す。この場合において、管理装置80のCPU80aは、部品実装機20(2)にある部品種Xの残り部品数が、実装処理中の基板種の実装処理が終了するまでに、部品実装機20(1),(2)で必要となる部品種Xの部品の実装点数よりも多いと判定したと仮定する。そのように判定すると、CPU80aは、部品実装機20(2)での部品種Xの部品の実装(供給)終了後に、部品実装機20(1)の部品種Xのフィーダに代えて、部品実装機20(2)の部品種Xのフィーダを用いて、部品実装機20(1)で部品種Xの部品の実装処理を継続する。また、部品実装機20(1)で一の基板Sの実装処理中に、部品種Xの部品の実装(供給)を終了すると、交換ロボット50により部品種Xのフィーダ30を部品実装機20(1)から取り外して部品実装機20(2)に再度セットさせる。そして、部品実装機20(2)で一の基板Sの実装処理中に、部品種Xの部品の実装(供給)を終了すると、交換ロボット50により部品種Xのフィーダ30を部品実装機20(2)から取り外して部品実装機20(1)に再度セットさせる。これにより、部品切れのフィーダ30が発生した場合でも、新たなフィーダ30を用いることなく、使用途中のフィーダ30を効率よく用いて実装処理を継続することができる。
このように、第3実施形態の変形例では、実装処理中にいずれかの部品実装機20で部品切れのフィーダ30が発生した際、同一種の基板Sの実装処理が終了するまでに部品切れの部品種で必要となる必要部品数よりも、各部品実装機20にセットされている別のフィーダ30における残り部品数の合計の方が多い場合に、その部品種で部品切れとなっていないフィーダ30を交換ロボット50により各部品実装機20間で受け渡しながら実装処理する。このため、部品切れのフィーダ30が発生した場合に、新たなフィーダ30を用いなくても実装処理を継続することができる。このため、使いかけのフィーダ30が増えるのを防止することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、図8に代えて図24の初期セット対応処理が実行される。図24の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、実装対象の部品種と部品種の実装順,部品種数(フィーダ数)を取得して(S200)、全部品種のフィーダ30を初期セット対象に設定する(S210)。なお、図24では、必要フィーダ数が上限搭載数Nを超えないものとするが、必要フィーダ数が上限搭載数Nを超える場合があってもよい。その場合、図8のS215〜S225の処理を行うなど、第1実施形態と同様な処理を行うものとすればよい。
次に、CPU80aは、初期セット対象のうち実装順が1番目の部品種のフィーダ30のセット位置(部品供給エリア20Aにセットするセット位置)をカメラ正面位置に設定する(S290)。カメラ正面位置は、前述したように、パーツカメラ25のX方向(左右方向)の中心に対向するスロット42に挿入される位置である。このため、フィーダ30がカメラ正面位置にセットされた場合、そのフィーダ30の部品供給位置からパーツカメラ25上にヘッド22が移動する移動距離が最も短いものとなる。続いて、CPU80aは、残りのフィーダ30のセット位置を実装順に基づいて、カメラ正面位置を挟んで左右交互となる位置に設定する(S295)。このため、フィーダ30は、実装順が後になるほど、カメラ正面位置から遠ざかる位置に配置される。CPU80aは、こうして全部品種のフィーダ30のセット位置を設定すると、部品実装機20のストックエリア情報からストックエリアにある初期セット対象のフィーダ30を交換対象に設定する(S230)。また、CPU80aは、部品実装機20の供給エリア情報と設定したセット位置とに基づいて供給エリア20Aにあるフィーダ30を交換対象に設定して(S235a)、本処理を終了する。
この第4実施形態では、部品実装機20の実装制御装置28のCPU28aは、一の部品種の実装処理が終了する度に、管理装置80にフィーダ交換要求を送信する。第4実施形態のフィーダ交換要求送信処理の図示は省略するが、例えば、図11のフィーダ交換要求処理においてS505を省略するものなどとすればよい。また、図11のS515では、実装前の他のフィーダ30との交換要求を送信する処理などとすればよい。
第4実施形態では、図12に代えて図25の非部品切れ時の交換対応処理が実行される。図25の処理では、管理装置80のCPU80aは、まず、部品の供給を終了したフィーダ30の位置情報を取得し(S600)、取得したフィーダ30の位置がカメラ正面位置であるか否かを判定する(S605a)。CPU80aは、フィーダ30の位置がカメラ正面位置でないと判定すると、そのまま本処理を終了する。一方、CPU80aは、フィーダ30の位置がカメラ正面位置であると判定すると、部品実装機20の供給エリア情報から実装順が次の部品種のフィーダ30について現在の位置情報を取得する(S660)。そして、CPU80aは、フィーダ30の現在位置(部品供給位置)からパーツカメラ25上の位置(部品が撮像される際の撮像位置)までのヘッド22の移動時間を取得し(S665)、取得したヘッド22の移動時間とカメラ正面位置(部品供給位置)からパーツカメラ25上の位置までのヘッド22の最短移動時間との差分を算出する(S670)。この差分は,ヘッド22が部品を採取してパーツカメラ25上に移動する際の、一回当りの移動における移動時間の短縮効果分となる。ここで、スロット42毎に各部品供給位置からパーツカメラ25上の位置までの移動時間を予めHDD80cに記憶しておき、フィーダ30がセットされているスロット42に対応する移動時間やカメラ正面位置に対応する最短移動時間を、CPU80aがHDD80cから読み出して取得するものなどとすればよい。あるいは、スロット42毎に各部品供給位置からパーツカメラ25上の位置までの移動距離を予めHDD80cに記憶しておき、フィーダ30がセットされているスロット42に対応する移動距離やカメラ正面位置に対応する移動距離を、CPU80aがHDD80cから読み出し、その移動距離をヘッド22の平均移動速度で除して移動時間を取得するものなどとしてもよい。
続いて、CPU80aは、一の基板Sの実装処理中において、実装順が次の部品種のフィーダ30が供給する部品の点数(供給点数,実装点数)を取得し(S675)、移動時間の差分と部品の供給点数とに基づいてフィーダ30の位置をカメラ正面位置に変更した場合のヘッド22の移動短縮時間を算出する(S680)。CPU80aは、移動時間の差分に供給点数を乗じることにより移動短縮時間を算出する。なお、ヘッド22が複数のノズルを備えており、複数の部品を吸着してからパーツカメラ25上に移動するものにおいては、一回当りの移動において部品の吸着点数が複数となる。このため、CPU80aは、移動時間の差分に、供給点数を吸着点数で除した値を乗じることにより移動短縮時間を算出するものなどとすればよい。また、CPU80aは、フィーダ30の位置を現在位置からカメラ正面位置に配置変更するのに必要な配置変更時間を取得する(S685)。CPU80aは、配置変更時間として、交換ロボット50がX方向に移動する時間と、交換ロボット50がフィーダ30の現在位置やカメラ正面位置などでフィーダ30を出し入れする時間などとの合計時間を取得する。なお、CPU80aは、交換ロボット50が他の部品実装機20で交換作業中であれば、その交換に要する予定時間を加味して合計時間を取得するものとしてもよい。あるいは、CPU80aは、配置変更時間として予め定められた一定の時間を取得するものとしてもよい。次に、CPU80aは、S680で算出した移動短縮時間が、S685で取得した配置変更時間を超えるか否かを判定する(S690)。即ち、CPU80aは、フィーダ30を現在の位置からカメラ正面位置に位置を変更した場合において、ヘッド22の移動時間が短縮される時間的効果が、フィーダ30の配置変更に要する時間を上回るか否かを判定する。CPU80aは、S690で移動短縮時間が配置変更時間を超えると判定すると、次の部品種のフィーダ30とカメラ正面位置にあるフィーダ30とを交換対象に設定して(S695)、本処理を終了する。一方、CPU80aは、移動短縮時間が配置変更時間を超えないと判定すると、次の部品種のさらに次のフィーダ30とカメラ正面位置にあるフィーダ30とを交換対象に設定して(S697)、本処理を終了する。
図26は、第4実施形態で実装処理中にフィーダ30を交換する様子を示す説明図である。図26では、部品実装機20は、一の基板Sの実装処理において部品種A,B,C,D,E,・・・の順に部品を実装する。図26(a)に示すように、実装処理開始時(初期セット時)の供給エリア20Aには、パーツカメラ25の前のカメラ正面位置に部品種Aのフィーダ30がセットされ、部品種Aを挟んで左右に部品種B,Cのフィーダ30がセットされ、さらに外側に部品種D,Eのフィーダ30がセットされている。また、各部品種の部品は、多数(例えば、数百点から千点以上)実装されるものとする。このため、CPU80aは、部品種B〜Eの各フィーダ30を初期位置からカメラ正面位置に配置変更することによる移動短縮時間が、各フィーダ30の配置変更時間よりも大きいと判定する。部品実装機20は、部品種Aの部品の供給を終了すると、交換ロボット50により部品種Aと部品種Bの各フィーダ30の位置が変更され(入れ替えされ)、図26(b)に示すように、カメラ正面位置に部品種Bのフィーダ30がセットされた状態で部品種Bの部品の供給(実装)を行う。以下、同様に、部品実装機20は、一の部品種の部品の供給が終了する度に、次の部品種の部品を供給するフィーダ30をカメラ正面位置にセットして、部品の供給を行う(図26(c),(d))。このため、いずれの部品種の部品を実装する場合でも、ヘッド22が部品供給位置でノズルに部品を吸着してからパーツカメラ25上の位置に移動するまでの移動時間を短縮することができる。しかも、ヘッド22の移動時間の短縮効果が生じる場合にのみ次の部品種のフィーダ30の位置を変更するから、フィーダ30の交換に伴う時間ロスを抑えて、実装効率を向上させることができる。なお、CPU80aは、例えば、部品種Dのフィーダ30をカメラ正面位置に移動することによる移動短縮時間が、配置変更時間を超えないと判定した場合、部品種Dはそのままの位置で実装処理を行い、部品種Dに代えてさらに次の部品種Eのフィーダ30をカメラ正面位置に配置変更する。
このようにして実装処理を行うと、一の基板Sの実装処理を終了した際に、実装順が最後の部品種のフィーダ30がカメラ正面位置にセットされていることになる。このため、部品実装機20は、カメラ正面位置にある実装順が最後のフィーダ30と、実装順が最初(先頭)のフィーダ30との位置を変更してから、次の基板Sの実装処理を開始するものなどとすればよい。あるいは、実装順が最後のフィーダ30がカメラ正面位置にある場合には、CPU28aは、図10の部品実装処理のS410で実装順の変更が必要と判定し、続くS415で実装順を変更するものとすればよい。その場合、CPU28aは、カメラ正面位置にある、本来の実装順が最後の部品種から実装するよう、実装順を逆の順序に変更するものなどとすればよい。なお、このようなフィーダ30の交換を作業者が行うものとすると、作業者は各部品種の部品の供給が終了するタイミングを見計らって作業を行わなければならず、作業負担の増加に繋がるものとなる。本実施形態では、交換ロボット50により、実装処理中に、供給エリア20A内の各フィーダ30を入れ替えるからから、作業負担を増加させることなく、適切なタイミングでフィーダ30を最適な配置に変更することができる。
第4実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。図25の非部品切れ時の交換対応処理のS600,S660〜S685を実行する管理装置80のCPU80aが情報取得部に相当し、図25のS690を実行するCPU80aが配置変更判定部に相当し、フィーダ交換要求送信処理のS515で部品実装機20から送信されるフィーダ交換要求を受信して図7のフィーダ交換指示送信処理のS125(図25の非部品切れ時の交換対応処理のS695),S135,S140を実行するCPU80aが指示出力部に相当する。
以上説明した第4実施形態の部品実装システム10は、部品実装機20がフィーダ30により供給される部品をヘッド22で採取した後に、ヘッド22をパーツカメラ25上(所定位置)を経由して基板S上に移動させて実装処理を行う。そして、部品実装システム10は、一の基板Sの実装処理中に部品の供給が終了したフィーダ30のうち、ヘッド22が部品を採取してからパーツカメラ25上に移動するまでの移動距離が最も短い位置にセットされているフィーダ30を対象として、一の基板Sの実装処理中に、交換ロボット50により部品の供給が終了していないフィーダ30と配置変更しながら実装処理する。このため、部品実装システム10は、ヘッド22の移動時間が最短となる位置に交換ロボット50によりフィーダ30を順次セットしながら実装処理を行うことができるから、実装処理を効率よく行うことができる。
また、管理装置80のCPU80aは、実装順が次の部品種のフィーダ30がセットされている現在位置(第1のセット位置)からパーツカメラ25上の位置にヘッド22が移動するまでの移動時間と、カメラ正面位置(第2のセット位置)からパーツカメラ25上の位置にヘッド22が移動するまでの移動時間との差分である移動短縮時間を取得する。そして、CPU80aは、次の部品種のフィーダ30を配置変更するのに要する配置変更時間を取得し、移動短縮時間が配置変更時間を超える場合に、次の部品種のフィーダ30を配置変更するよう交換ロボット50に交換指示を送信する。このため、ヘッド22の移動短縮時間がフィーダ30の配置変更時間を上回る場合に、フィーダ30を配置変更することができるから、フィーダ30の配置変更に伴う時間ロスを抑えて実装処理の効率を適切に向上させることができる。なお、CPU80aは、移動短縮時間が配置変更時間を超えると判定した場合において、移動短縮時間が配置変更時間を超える時間(差分の時間)が所定時間以上である場合に、次の部品種のフィーダ30を配置変更するものなどとしてもよい。
第4実施形態では、ヘッド22が部品を採取してからパーツカメラ25上に移動するまでの移動距離が最も短くなる位置であるカメラ正面位置(パーツカメラ25の正面の位置)を変更先の位置としたが、この位置に限られるものではない。例えば、カメラ正面位置と、その位置の左右に隣接する位置とを含むカメラ近傍位置(ここでは3つの位置)を変更先の位置としてもよい。この場合、図25の非部品切れ時の交換対応処理のS605aでは、部品の供給を終了したフィーダ30の位置がカメラ近傍位置のいずれかの位置にあるか否かを判定すればよい。また、S670,S685,S695,S697では、カメラ正面位置に代えて、カメラ近傍位置のうち部品の供給を終了したタイミングにあるフィーダ30の位置を用いるものとすればよい。また、フィーダ30の配置変更先として、そのような複数位置を有する場合、管理装置80のCPU80aが配置変更可否を判定するタイミングは、部品の供給を終了したフィーダ30が発生したタイミングに限られるものではない。例えば、CPU80aは、複数位置のいずれかの位置(現在の供給位置)にあるフィーダ30から部品の供給が行われている間に、実装順が次のフィーダ30を複数位置の別の位置(現在の供給位置とは異なる位置)に配置変更することができるか否かを判定して、次の部品種のフィーダ30を配置変更するものなどとしてもよい。また、この場合、現在の供給位置にあるフィーダ30が部品の供給を行っている時間と、次の部品種のフィーダ30を配置変更する時間とを比較して、部品の供給を行っている時間が配置変更の時間を超える場合に、次の部品種のフィーダ30の配置変更を行うものとしてもよい。こうすれば、フィーダ30を配置変更するための待ち時間が生じるのを防止して、実装処理の効率をさらに向上させることができる。
第4実施形態では、部品の供給位置(ヘッド22が部品を採取する位置)とパーツカメラ25上の位置(部品を採取したヘッド22が経由する所定位置)とに基づいて、ヘッド22の移動時間がより短くなる位置にフィーダ30を配置変更するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、部品の供給位置とパーツカメラ25上の位置と部品の実装位置とに基づいて、ヘッド22の移動時間がより短くなる位置にフィーダ30を配置変更するものとしてもよい。
例えば、パーツカメラ25上の位置(部品を採取したヘッド22が経由する所定位置)を基準として左右方向(X方向)の一方側(例えば左側)にフィーダ30があり他方側(例えば右側)に実装位置がある場合、ヘッド22は、供給位置で部品を採取した後、パーツカメラ25上(所定位置)で一旦停止することなく通り抜けながら、実装位置まで移動することができる。これに対し、パーツカメラ25上の位置(部品を採取したヘッド22が経由する所定位置)を基準として左右方向(X方向)の一方側(例えば左側)にフィーダ30があり同じく一方側(例えば左側)に実装位置がある場合、ヘッド22は、供給位置で部品を採取した後、パーツカメラ25上に移動し、パーツカメラ25上で一旦停止してから、左右の移動方向を変えて実装位置まで移動することになる。このように、部品の供給位置とヘッド22が経由する所定位置(パーツカメラ25上の位置)と部品の実装位置との位置関係によって、ヘッド22がパーツカメラ25上で一旦停止する必要が生じたり、一旦停止する必要が生じなかったりする。ヘッド22が一旦停止する必要がなければ、速やかに実装位置に到達することができるから、実装効率を向上させることができる。このため、管理装置80のCPU80aは、例えば、部品種毎に各部品の実装位置を取得して、パーツカメラ25を基準として基板S上の右側の領域または左側の領域のいずれに実装される部品が多いかを部品種毎に判定する。そして、CPU80aは、実装される部品が基板S上の右側の領域に多い部品種と判定した場合には、パーツカメラ25(カメラ正面位置)に対して左側となる位置にフィーダ30をセットすればよい。また、CPU80aは、実装される部品が基板S上の左側の領域に多い部品種と判定した場合には、パーツカメラ25(カメラ正面位置)に対して右側となる位置にフィーダ30をセットすればよい。即ち、CPU80aは、実装される部品が多いと判定した領域と反対側となる位置にフィーダ30をセットするものとすればよい。さらにいえば、ヘッド22が部品の供給位置からパーツカメラ25上の位置(所定位置)を経由して部品の実装位置まで、一直線状に移動できる方が移動効率がよいものとなる。このため、CPU80aは、パーツカメラ25上の位置(所定位置)と部品がより多く実装される実装位置(領域)とに基づいて、ヘッド22の移動経路を一直線状に近付けることができるような位置にフィーダ30をセットするものとすることもできる。
第4実施形態では、実装処理中に供給エリア20A内にあるフィーダ30の配置を変更するものとしたが、これに限られず、ストックエリア20Bから取り出したフィーダ30と配置を変更してもよいし、交換ロボット50が外部から運搬してきたフィーダ30と配置を変更してもよい。
第4実施形態では、供給エリア20Aにセットされるフィーダ30とは別に、部品を収容した平板状のトレイから部品を供給するトレイフィーダやヘッド上で部品を直接供給するバルクフィーダなどから部品を供給可能に部品実装機20を構成しておくものとしてもよい(部品供給ユニットとは異なる部品供給部から部品を供給可能に構成してもよい)。そして、管理装置80は、移動短縮時間が配置変更時間を超えない場合には、部品実装機20に実装順変更指示を送信して、トレイフィーダやバルクフィーダなどから部品を供給させ、その間にフィーダ30の配置を変更するものなどとしてもよい。また、移動短縮時間が配置変更時間を超え易くなるように、部品種の実装順を設定したり、フィーダ30の初期セット対象位置を設定するものなどとしてもよい。例えば、部品の供給点数が多いなど配置変更した方がよい部品種のフィーダ30であれば、予め配置変更時間が短くなるような位置を初期セット位置として設定するものなどとすることができる。
この第4実施形態の処理は、各部品実装機20で実行可能であるが、同時に複数台の部品実装機20で交換タイミングが生じると、交換ロボット50の作業時間(移動時間)が増えるため、ヘッド22の移動短縮時間がフィーダ30の配置変更時間を超えないと判定し易いものとなる。このため、管理装置80は、複数台の部品実装機20のうち選択した部品実装機20で、第4実施形態の処理を行うものとしてもよい。例えば、管理装置80は、一の基板Sに実装する各部品種の部品点数が多い部品実装機20を優先的に選択するものなどとしてもよい。
このように、第1〜第4実施形態では、一の基板Sの実装処理中に、部品実装機20にセットされている複数のフィーダ30のうち収容部品の残りがあるフィーダ30を交換ロボット50により別のフィーダ30と交換しながら実装処理するから、一の基板Sの実装処理中にフィーダ30を効率よく交換しながら実装処理することが可能となる。
第1〜第4実施形態では、部品実装機20からフィーダ交換要求を管理装置80に送信し、管理装置80のCPU80aがフィーダ交換要求に基づいてフィーダ30をどのように交換するか(交換対象)を決定し、交換対象のフィーダ30の指定を含む交換指示を交換ロボット50に送信するものとした。また、その交換指示を受信した交換制御装置59が、交換ロボット50を制御して、フィーダ30の交換を行うものとした。しかしながら、このような形態に限られるものではない。例えば、部品実装機20は、フィーダ交換要求を送信する際に、部品種の実装順や各レーンで実装処理される基板種,部品種の実装順などの必要な情報を取得して、予めフィーダ30をどのように交換するか(交換対象)を判定し、交換対象のフィーダ30の指定を含むフィーダ交換要求を管理装置80に送信するものとしてもよい。この場合、部品実装機20の実装制御装置28(CPU28a)は、他の部品実装機20にセットされているフィーダ30の状況などの必要な情報を、管理装置80を介して取得してもよいし、他の部品実装機20から直接取得してもよい。あるいは、交換ロボット50を制御するロボット制御装置59のCPUが、フィーダ30をどのように交換するか(交換対象)を決定するものとしてもよい。即ち、管理装置80のCPU80aにより実行されるものとした、初期セット対応処理や部品切れ時の交換対応処理,非部品切れ時の交換対応処理の一部または全てを、実装制御装置28が行うものとしてもよいし、交換制御装置59が行うものとしてもよい。また、このようにする場合、実装制御装置28とロボット制御装置59とが直接情報をやり取り可能に構成してもよい。
第1〜第4実施形態では、部品実装システム10が2つのレーンを有する部品実装機20を複数備えるものとしたが、いずれの実施形態においても、このような構成とするものに限られない。例えば、第1,第3,第4実施形態では、部品実装機20が1つのレーンのみを有するものとしてもよい。また、第1,第2,第4実施形態では、部品実装システム10が部品実装機20を複数備えることは必須ではなく、1台の部品実装機20であっても適用可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。