JP6888983B2 - 作業車輌 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクタ等の作業車輌に係り、詳しくは機体が旋回する際に報知を実行する作業車輌に関する。
従来、特許文献1に示すように、畦際で旋回を開始した時に機体の走行距離の計測を開始し、この走行距離が予め定められた設定距離に達すると、旋回の終了と判断して作業装置を自動的に下降する田植機が提案されている。この田植機は、機体が旋回を開始した時と旋回を終了して作業機を下降する時にブザーによる報知を行う。また、従来、特許文献2に示すように、畦際で旋回を開始した時に旋回内側の後輪の回転数の計測を開始し、この回転数が予め設定された回数に達すると旋回の終了と判断して作業装置を自動的に下降する田植機が提案されている。この田植機は、機体の旋回中にブザーによる報知を実行し続け、旋回の終了と判断されるとブザーによる報知が終了する。
特許第4605622号公報 特許第5751314号公報
このように機体が畦際で旋回を行う場合、車輪のスリップや、オペレータが走行経路の修正を行うために操縦ハンドルを左右に操作すること等により、機体が旋回の終了を判断する機体の位置と、例えば枕地の幅が一定となるようにオペレータが旋回の終了を希望する機体の位置と、に差が生じることがある。
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、機体が旋回を開始してからの走行距離をオペレータが知る方法がなく、旋回を終了する際のブザーによる報知がいつ行われるかが分からなかった。また、上記特許文献2に記載のものは、機体が旋回を開始してからの後輪の回転数をオペレータが知る方法がなく、ブザーによる報知がいつ終了するかが分からなかった。このため上記特許文献1及び特許文献2に記載のものは、旋回中において、オペレータが希望するタイミングで作業機が下降するか否か作業機に注意を向け続ける必要があり、オペレータの負担が大きかった。
そこで、本発明は、作業車輌が旋回の終了と判断するタイミングを知らせることが可能な作業車輌を提供することを目的とするものである。
本発明は、機体(2)を操向する操向手段(12)を備え、前記操向手段(12)の操向によって前記機体(2)の旋回が可能な作業車輌(1)において、
前記操向手段(12)による操向操作がある操向有状態又は操向操作のない操向無状態を検出する操向検出手段(15)と、
前記機体(2)の走行距離を検出する走行距離検出手段(11)と、
報知を実行可能な報知手段(53、54)と、
前記機体(2)の旋回開始時の位置を原点とする座標系上で、現在位置における前記機体(2)の進行方向(N)と、予め設定された旋回を完了した状態における前記機体(2)の進行方向と、の角度差(θ )を仮想的に演算し、前記機体(2)の旋回中において前記角度差(θ に応じた報知を、前記報知手段(53、54)に実行させる制御手段(52)と、を備え、
前記制御手段(52)は、前記操向手段(12)が前記操向有状態となった場合に前記機体(2)が最大旋回角度で進行するとみなし、前記操向手段(12)が前記操向無状態から前記操向有状態に遷移してからの前記機体(2)の走行距離に基づいて前記角度差(θ )を演算し、かつ前記機体(2)の旋回中に前記操向手段(12)が前記操向無状態となった場合には前記機体(2)の角度変化量を0とする、
ことを特徴とする。
例えば図7、図18、図19及び図20を参照して、前記制御手段(52)は、前記角度差(θ に応じた周期(t5、t6、t7、t8)で前記報知手段(53、54)に報知を実行させる。
例えば図1、図6及び図7を参照して、前記制御手段(52)は、前記機体(2)の走行に伴い作業機(3)により作業を行う作業走行モードと、前記作業走行モードより高速移動が可能な路上走行モードと、を切替え可能に設けられ、
前記制御手段(52)は、前記路上走行モードであるときに、前記報知手段(53、54)による前記角度差に応じた報知を不実行にする。
例えば図6及び図7を参照して、前記報知手段(53、54)は、ランプ又はブザーである。
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。
請求項1に係る本発明によると、制御手段は、機体の旋回中における角度差に応じた報知を報知手段に実行させるので、オペレータに作業車輌が旋回の終了と判断するタイミングを知らせることができる。
請求項2に係る本発明によると、制御手段は、機体の旋回中における角度差に応じた周期で報知を報知手段に実行させるので、簡易な制御により、オペレータに作業車輌が旋回の終了と判断するタイミングを知らせることができる。
請求項に係る本発明によると、制御手段は、路上走行モードであるときに、報知手段による機体の旋回中における角度差に応じた報知を不実行にするので、例えば路上を走行しているときに報知手段により角度差に応じた報知が実行されることの防止を図ることができる。
請求項に係る本発明によると、ランプ又はブザーにより簡易かつ安価な構造でオペレータに作業車輌が旋回の終了と判断するタイミングを知らせることができる。
本実施の形態に係るトラクタを示す側面図。 運転部の後部を示す斜視図。 サイドパネルを示す斜視図。 サイドパネルの一部を示す拡大図。 運転部の前部を示す斜視図。 フロントパネルを示す斜視図。 制御部のブロック図。 オートダウン制御のメインルーチンを示すフローチャート。 制御状態処理のフローチャート。 機体情報取得処理のフローチャート。 機体角度処理のフローチャート。 角度演算のフローチャート。 位置演算のフローチャート。 位置フラグ処理のフローチャート。 位置判定処理のフローチャート。 下降開始処理のフローチャート。 自動終了処理のフローチャート。 液晶表示装置に表示される内容を示す図で、(a)から(g)はそれぞれ異なる状態を示す図、(h)は旋回進行度表示の拡大図。 旋回の進行度と旋回進行度表示及び旋回進行度報知の関係を示す図で、(a)から(p)はそれぞれ旋回の進行度に応じた異なる状態を示す。 トラクタの走行経路の一例を示す概略図。
<全体構成>
以下、本実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る作業車輌としてのトラクタ1は、前輪5及び後輪6に支持されている機体2と、機体2の後部に設けられて、回転するロータリ3bを有する作業機としてのロータリ耕耘機3を昇降可能に連結する昇降リンク機構16と、を有する。前輪5及び後輪6は、それぞれ一対ずつ左右に配置されており、前輪5の向きが左右に変えられることにより機体2が操向される。また、機体2の中央部付近には、オペレータが搭乗する運転座席23を有する運転部10が設けられている。なお、本実施の形態では、特に記載が無い限りは水平面に載置されたトラクタ1の運転座席23に着座したオペレータが向く正面方向を前方、又は機体2の進行方向としての機体方向Nとし、これを基準に前後左右方向を定義する。
<動力伝達構造>
機体2には、前輪5及び後輪6を駆動するための動力を発生する図示しないエンジンと、エンジンが収納されるエンジンルーム9と、左右の後輪6の間に配置されている図示しないミッションケースと、各電気信号の入出力を制御する制御手段としての制御部52(図7参照)が設けられている。ミッションケースの内部には、エンジンの動力を変速する図示しない走行トランスミッションが収納されており、走行トランスミッションには、エンジンの動力を多段状に変速する図示しない主変速機構と、主変速機構で変速された動力を更に多段状に変速する図示しない副変速機構と、図示しないPTO軸への動力を変速するPTO変速機構と、が組み込まれている。主変速機構及び副変速機構を経由した動力は、図示しない後輪駆動軸によって図示しない後輪差動機構を介して左右の後輪6に分配されると共に、図示しない前輪変速機構及び図示しない前輪駆動軸によって図示しない前輪差動機構を介して左右の前輪5に分配される。後輪差動機構及び前輪差動機構により、機体2が前輪5の向きの変化に伴い左右へ操向される際に内輪と外輪との回転数に差を許容することにより、円滑な走行が可能となるように構成されている。また、前輪変速機構は図示しない摩擦多板式の油圧クラッチを備え、油圧クラッチが断接されることにより、前輪5への動力の断接や、前輪5と後輪6との回転数の比を変更することができる。
後輪駆動軸及び左右いずれか一方の後輪6の回転数は、走行距離検出手段としての車速センサ11(図7参照)によりそれぞれ独立して検出される。なお、車速センサ11は、具体的には車輪の回転数を検出する回転センサであり、単位時間当たりの回転数に車輪の外周長を乗算して、後輪6の回転軸上における左右の後輪6の中心点である機体基準点2a(図20参照)の単位時間当たりの移動距離である車速が求められている。演算時点における車速の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。制御部52に送信された車速の情報は時間で積分されて、機体基準点2aの移動距離、即ち機体2の走行距離が演算される。
PTO軸の回転はロータリ耕耘機3に伝達され、ロータリ3bがロータリ軸3aを中心として回転することにより圃場が耕耘される。ミッションケースの内部は潤滑油で満たされており、この潤滑油はエンジンの動力によって駆動する図示しない油圧ポンプへ供給され、油圧ポンプによって発生した油圧はリフトアームバルブ20(図7参照)の操作によりロータリ耕耘機3を昇降する図示しないリフトアームシリンダに伝達される。
<昇降リンク機構>
機体2の後部には、機体2とロータリ耕耘機3とを連結すると共に、ロータリ耕耘機3を昇降する昇降リンク機構16が設けられている。昇降リンク機構16は、機体2の後部に突設された図示しないリンクブラケットと、リンクブラケットに対し上下へ揺動可能に軸支されて後方へ延出する一本のトップリンク17と、トップリンクの下方に設けられてリンクブラケットに対し上下へ揺動可能に軸支されて後方へ延出する左右一対のロワリンク18と、を有し、トップリンク17及び左右のロワリンク18の後端部は、ロータリ耕耘機3に対し上下へ揺動可能に軸支されて3点リンク機構を形成している。左右のロワリンク18は、それぞれ左右に設けられた図示しないリフトロッドを介して図示しないリフトアームにより吊持されている。リフトアームは、前端がリンクブラケットに上下へ揺動可能に軸支されており、リフトアームシリンダの伸縮に伴うリフトアームの上下の揺動に伴ってロワリンク18が上下に揺動し、ロータリ耕耘機3が昇降する。リフトアームの揺動角は、リフトアームに設けられたリフトアームセンサ21(図7参照)により検出されて、電気信号により制御部52へ送信される。
<ステアリング装置>
機体2には、操向手段としてのステアリング装置12が設けられている。ステアリング装置12は、運転座席23の前方に配置されて前輪5の向きを変化させるためにオペレータが回動操作するステアリングホイール13と、ステアリングホイール13と一体に回動するステアリングコラム14(図6参照)と、左右に延設されてステアリングコラム14の回動を左右方向の略直線運動に変換する図示しない操舵機構と、操舵機構の両端と左右の前輪5とを接続する図示しないタイロッドと、を有する。オペレータがステアリングホイール13を回動させるとステアリングコラム14が回動し、ステアリングコラム14の回動角及び回動方向に基づいてタイロッドが左右に移動して左右の前輪5の向きが変化する。
ステアリング装置12には、ステアリングホイール13を一方向への所定以上の回動が規制される図示しないストッパ部が左右の回動方向のそれぞれに設けられている。機体2が略直進するステアリングホイール13の中立位置から一方向への最大回動角度は、他方向への最大回動角度と略同角度となるように構成されている。ステアリングホイール13が中立位置から最大回動角度より小さい所定角度以上、即ち最大回動角度の少し手前まで回動されると、操向検出手段としてのステアリングセンサ15(図7参照)がオフ状態からオン状態、即ちステアリング装置12が作動中となり、ステアリングホイール13が上記所定角度以上回動されていること及びステアリングホイール13の回動方向が検知される。ステアリングセンサ15のオン状態若しくはオフ状態及びステアリングホイール13の回動方向の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
<運転部>
次いで、運転部10について図2に沿って説明する。運転座席23の左側方には、揺動自在に支持されて副変速機構を変速操作する副変速レバー27が、運転座席23の下方には、回動可能に支持されてロータリ耕耘機3の下降速度を調節する図示しない下降速度調節バルブを操作可能な作業機下降速度調節ノブ29が、設けられている。副変速レバー27は高速段、中速段、低速段の3段階の変速位置に操作可能に設けられており、副変速レバー27の変速位置が高速段に位置するとき、エンジンの回転数を後輪駆動軸の回転数で除算した減速比が3段階のうちで最も小さく、低速段は減速比が最も大きく、中速段は減速比が高速段と低速段との間となるように構成されている。また、作業機下降速度調節ノブ29は、オペレータにより時計回りに回動されると下降速度調節バルブが操作されることによりロータリ耕耘機3の下降速度が低下し、反時計回りに回動されると下降速度が上昇する。副変速レバー27の変速位置の情報及び作業機下降速度調節ノブ29の回動位置の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
<サイドパネル>
図2、図3及び図4に示すように、運転座席23の右側方には、各種の操作具やランプ等が配置されているサイドパネル26が設けられている。サイドパネル26には、揺動自在に支持されて主変速機構を変速操作する主変速レバー30、ロータリ耕耘機3を昇降操作するポジションレバー31、ロータリ耕耘機3の最大上昇高さを設定する上げ高さボリューム32及びオートダウンタイミングボリューム33が配置されている。
主変速レバー30による主変速機構の変速操作は、副変速レバー27による副変速機構の変速操作とは独立して行うことが可能であり、1段から8段まで8段階の変速位置、動力を前輪5及び後輪6へ伝達しない中立位置、並びに図示しないアクセルペダルの操作により4段から8段までを自動で変速すると共にエンジンの回転数を調節可能なアクセル変速位置に操作可能に設けられている。アクセルペダルを使用せずに主変速レバー30及び副変速レバー27により車速を変更する場合と比較して、アクセルペダルによるエンジンの回転数を調節する場合は機体2の高速移動が可能となる。1段は主変速機構による減速比が最も大きく、段数が大きくなるにつれて減速比が小さくなるように構成されている。主変速レバー30の変速位置の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
ポジションレバー31は、前後へ揺動可能に支持されており、オペレータが操作の手を離した時の揺動位置が保持されるように構成されている。ポジションレバー31が前後に揺動操作されると、ポジションレバー31が保持されている位置に対応する高さまでロータリ耕耘機3が昇降する。ポジションレバー31が保持されている位置の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
上げ高さボリューム32は、回動可能に支持されており、回動位置により、所定の回動範囲に設けられている上げ高さ調節位置と、油圧取り出し位置と、を選択可能に設けられている。上げ高さボリューム32の回動位置が上げ高さ調節位置に位置しているときは、オペレータが上げ高さボリューム32を時計回りに回動するとロータリ耕耘機3が昇降する際の上限高さが拡大し、反時計回りに回動すると上限高さが縮小する。上げ高さボリューム32の回動位置が油圧取り出し位置に位置しているときは、トラクタ1は、図示しない油圧取り出し口より油圧が伝達されて、例えばフロントローダー等を作動させることができる状態になると共に、リフトシリンダへの油圧が遮断されてロータリ耕耘機3が昇降しない状態となる。上げ高さボリューム32の回動位置の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
オートダウンタイミングボリューム33は、回動可能に支持されており、所定の回動範囲に設けられているオン位置とオフ位置とに変更可能に設けられている。オートダウンタイミングボリューム33の回動位置がオン位置であるときは、後述するオートダウン制御において、回動位置に対応してロータリ耕耘機3の下降開始タイミングを調節することができる。オートダウンタイミングボリューム33の回動位置の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。また、サイドパネル26には、自動入ランプ48が設けられており、自動入ランプ48は、オートダウンタイミングボリューム33の回動位置がオフ位置であるときは消灯し、オン位置であるときは、後述するオートダウン許可条件の成立又は不成立により点灯又は点滅する。
図5に示すように、ステアリングホイール13の下方には左右の後輪6を独立して制御可能な図示しない一対のブレーキ機構を操作するブレーキペダル25、25及び図示しないアクセルペダルが配置されている。ステアリングホイール13の周囲には、トラクタ1のメインスイッチであるスタータスイッチ34、オペレータが機体2の前進と後進とを切替え操作するシャトルレバー35及び予め設定された上限高さと下限高さの間でロータリ耕耘機3を昇降操作するクイックアップレバー36が配置されている。シャトルレバー35は前進位置、中立位置及び後進位置に操作可能に設けられており、シャトルレバー35が前進位置に位置するときは機体2が前進し、中立位置に位置するときは機体2の走行は停止し、後進位置に位置するときは機体2が後進する。シャトルレバー35の操作位置の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
クイックアップレバー36は、上げ位置、中央位置及び下げ位置の間で揺動可能に支持されており、オペレータがクイックアップレバー36を上昇位置へ上げ操作又は下げ位置へ下げ操作をした後で操作の手を離すと中央位置に復帰するように、図示しない付勢部材が設けられている。ロータリ耕耘機3の昇降が停止している状態において、クイックアップレバー36の短上げ操作をするとロータリ耕耘機3は上限高さまで上昇し、短下げ操作をするとロータリ耕耘機3は下限高さであるポジションレバー31の揺動位置に対応する高さまで下降する。クイックアップレバー36の操作方向及び操作時間は、電気信号により制御部52へ送信される。
<フロントパネル>
図6に示すように、ステアリングホイール13の前方には各種の操作具、表示装置及びランプを備えるフロントパネル24が配置されている。フロントパネル24は、トラクタ1の、バックアップモードのオン状態とオフ状態とを切り替えるバックアップ切替スイッチ37と、旋回アップモードのオン状態とオフ状態とを切り替える旋回アップ切替スイッチ39と、を備える。トラクタ1が、バックアップモードのオン状態であるとき、バックアップランプ40が点灯し、ロータリ耕耘機3が上限高さに位置していない状態でシャトルレバー35が中立位置から後進位置へ切り替わる後進操作が行われるとロータリ耕耘機3が上限高さまで上昇する。旋回アップモードのオン状態であるとき、旋回アップランプ41が点灯し、ロータリ耕耘機3が上限高さに位置していない状態でステアリングセンサ15がオフ状態からオン状態へ切り替わるとロータリ耕耘機3が上限高さまで上昇する。バックアップ切替スイッチ37及び旋回アップ切替スイッチ39の切り替え情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
また、フロントパネル24は、油圧クラッチの断接操作をする4駆切替スイッチ42と、油圧クラッチの断接操作及びブレーキ機構による制動操作をする旋回倍速切替スイッチ43と、を備える。オペレータが4駆切替スイッチ42を操作する毎に、トラクタ1は、動力が前輪5及び後輪6に伝達される4駆モードと、動力が後輪6のみに伝達される2駆モードと、が切り替わり、4駆モードである際には、4駆切替ランプ45が点灯する。
4駆モードにおいて、旋回倍速切替スイッチ43を操作する毎に、トラクタ1は、前輪倍速オフ4駆モード、前輪倍速オン4駆モード及びオートブレーキモードが順次切り替わる。前輪倍速オフ4駆モードにおいては、左右の前輪5の平均周速度が左右の後輪6の平均周速度に対して略等速駆動される。前輪倍速オン4駆モードにおいては、左右の前輪5の平均周速度が左右の後輪6の平均周速度に対して増速駆動されて小さい半径での旋回が可能となる。オートブレーキモードにおいては、左右の前輪5の平均周速度が左右の後輪6の平均周速度に対して増速駆動されると共に、機体2が操向される際の内側の後輪6を自動で制動して更に小さい半径での旋回が可能となる。前輪倍速オン4駆モードにおいては旋回倍速ランプ46が点灯し、オートブレーキモードにおいては、オートブレーキ旋回ランプ47が点灯する。4駆切替スイッチ42及び旋回倍速切替スイッチ43による切り替え操作の情報は、電気信号により制御部52へ送信される。
フロントパネル24は、トラクタ1が圃場で耕耘作業等を行うための作業走行モードと主に圃場外で路上等を走行するための路上走行モードとを切替可能なおまかせ切替スイッチ49、及びトラクタ1が作業走行モードと路上走行モードとのいずれであるかを表示するおまかせ切替ランプ50を備える。オペレータがおまかせ切替スイッチ49を操作する毎に、トラクタ1の作業走行モードと路上走行モードとが交互に切り替わるよう構成されている。トラクタ1が作業走行モードから路上走行モードに切り替わると、バックアップモード及び旋回アップモードが共にオフ状態となり、前輪倍速オン4駆モード又はオートブレーキモードであった際には前輪倍速オフ4駆モードとなり、2駆モードであった際には2駆モードを維持し、クイックアップレバー36を操作してもロータリ耕耘機3が昇降されなくなると共に、主変速レバー30がアクセル変速位置である際には、アクセルペダルの操作により主変速機構の変速操作が可能な状態となる。
トラクタ1が路上走行モードから作業走行モードに切り替わると、作業走行モードから路上走行モードに切り替える前の、バックアップモード及び旋回アップモードのオン状態及びオフ状態のいずれかの状態になると共に、前輪倍速オン4駆モード、オートブレーキモード及び2駆モードのいずれかの状態になり、クイックアップレバー36の操作によりロータリ耕耘機3の昇降が行われる状態になると共に、アクセルペダルを操作しても主変速機構の変速操作が行われない状態となる。おまかせ切替スイッチ49による作業走行モード及び路上走行モードの切り替え情報は、電気信号により制御部52へ送信される。また、フロントパネル24は、後述する報知手段としての報知ランプ54を備える。報知ランプ54は、制御部52から出力される電気信号により点灯する。また、フロントパネル24は、トラクタ1の各種情報や、後述するオートダウン実行状態における機体2の旋回の進行度等に応じて異なる内容を表示する液晶表示装置51を備える。
<ブロック図>
図7は、本実施の形態における制御ブロック図を示しており、後述するオートダウン制御を実行可能な制御部52は、CPU52b、ROM52c、RAM52d、インターフェース52e等を有するマイクロコンピュータ52aを備えている。制御部52の入力側には、ステアリングセンサ15、リフトアームセンサ21、車速センサ11、クイックアップレバー36、主変速レバー30、副変速レバー27、ポジションレバー31、おまかせ切替スイッチ49、オートダウンタイミングボリューム33、上げ高さボリューム32、シャトルレバー35、旋回倍速切替スイッチ43、4駆切替スイッチ42、バックアップ切替スイッチ37、旋回アップ切替スイッチ39、作業機下降速度調節ノブ29及びスタータスイッチ34が接続されている。制御部52の出力側には、リフトアームバルブ20、リフトアップランプ22、おまかせ切替ランプ50、旋回倍速ランプ46、4駆切替ランプ45、旋回アップランプ41、バックアップランプ40、オートブレーキ旋回ランプ47、自動入ランプ48、報知ランプ54、液晶表示装置51が接続されている。また、制御部52には、報知手段としての報知ブザー53が接続されている。報知ブザー53は、制御部52から出力される電気信号により音を発する。
<オートダウン制御>
次に、制御部52が実行するオートダウン制御について図8から図19に沿って説明する。図20に示すように、オートダウン制御は、機体2が前方への直進走行及び枕地Jで機体方向Nを略180°変える旋回を繰り返して往復走行をしながら行う圃場Hの耕耘作業において、枕地Jに到達した機体2が、ロータリ耕耘機3を上昇させて旋回を行った後で、機体方向Nと制御部52が旋回の終了と判断する方向との角度差θ0が所定の範囲にある状態で後述する下降開始線に到達すると、自動的にロータリ耕耘機3の下降が開始される制御である。
<メインルーチン>
図8は、オートダウン制御のメインルーチンを示すフローチャートである。オペレータがスタータスイッチ34をオン状態にすると制御部52によりメインルーチンが開始され、スタータスイッチ34がオフ状態になるまで、データ取得処理(ステップS1)から自動終了処理(ステップS9)までを順次繰り返す。まず、オペレータにより、図20に示すように、機体2が枕地Jで旋回を繰返しながら経路L1及び経路L2の方向に往復走行して圃場Hの耕耘作業を行う場合における適切な枕地幅Mの測定が行われる。具体的には、例えば畦際Eにロータリ耕耘機3の右端又は左端を近接させて畦際Eに沿って機体2を走行させて、ロータリ耕耘機3による耕耘の幅が分かるような目印を付ける。
次いで、オペレータにより、耕耘作業を行う事前の準備として、各種の設定が行われる。メインルーチンが開始されると、制御部52により、各スイッチやセンサ等の状態を検知するデータ取得処理が行なわれ(ステップS1)、図18(a)に示すように、液晶表示装置51の右部にはエンジンの温度及び燃料の残量が、液晶表示装置51の中央部にはエンジンの回転数及び使用時間が表示される。
<制御状態処理>
図9は、制御部52により、機体2の位置や方向の変化を演算するか否かが判断される制御状態処理(ステップS2)のサブルーチンを示す。制御状態処理(ステップS2)が開始されると、まず、制御部52により、トラクタ1がオートダウンオン状態か否かが判断される(ステップS201)。オペレータにより、おまかせ切替スイッチ49が操作されてトラクタ1が作業走行モードに設定され、上げ高さボリューム32の回動位置が上げ高さ調節位置に操作された後で、オートダウンタイミングボリューム33の回動位置がオフ位置からオン位置にされると、トラクタ1は、オートダウンオフ状態からオートダウンオン状態となり、自動入ランプ48が点滅を開始する。その他、オペレータは、必要に応じて旋回アップ切替スイッチ39及びバックアップ切替スイッチ37の操作により、トラクタ1を旋回アップモード又はバックアップモードのオン状態としておく。
トラクタ1がオートダウンオン状態で(ステップS201のYES)、かつ機体2の旋回の進行度を演算する後述のオートダウン実行状態でない、即ちオートダウン非実行状態であるとき(ステップS202のNO)、制御部52により、オートダウン開始条件が成立しているか否かが判断される(ステップS203)。旋回開始動作とは、バックアップモードのオン状態でかつロータリ耕耘機3が上限高さに位置していない状態におけるシャトルレバー35の中立位置から後進位置への切り替え、旋回アップモードのオン状態でかつロータリ耕耘機3が上限高さに位置していない状態におけるステアリングセンサ15のオフ状態からオン状態への切り替え、及びロータリ耕耘機3の昇降停止状態におけるクイックアップレバー36の所定時間t1以上の短上げ操作である。
オペレータが、図20に示す経路L1に機体方向Nを合わせ、経路L1に沿って枕地Jに向かって機体2を前進走行させながら耕耘作業を行い、ロータリ軸3aが枕地幅Mの目印が付けられた作業境界Cに到達したことを目視で確認した時、オートダウンオン状態で旋回開始動作のいずれか一つを行うと、オートダウン開始条件が成立して、オートダウン開始フラグがONとなる。オートダウン開始条件が成立すると(ステップS203のYES)、制御部52により、一旦オートダウン開始フラグがOFFに設定され(ステップS204)、オートダウン許可条件が成立しているか否かが判断される(ステップS205)。
オペレータにより、旋回倍速切替スイッチ43及び4駆切替スイッチ42が操作されてトラクタ1が前輪倍速オン4駆モード又はオートブレーキモードとなって、かつ主変速レバー30及び副変速レバー27が変速操作されて主変速機構による変速段と副変速機構による変速段の組み合わせにより決定される総減速比が所定のオートダウン減速比より大きい状態となると、オートダウン許可条件が成立し、自動入ランプ48が点灯する。ステップS205にて、オートダウン許可条件が成立しているときは(ステップS205のYES)、トラクタ1はオートダウン実行状態となる(ステップS206)。
ここで、トラクタ1がオートダウン非実行状態からオートダウン実行状態に変化した時を旋回開始時と、旋回開始時における機体方向Nと180°逆の方向を、旋回を終了する方向、即ち旋回終了方向と定義する。トラクタ1がオートダウン実行状態になると、報知ブザー53が短音を1回発すると共に報知ランプ54が短時間1回点灯してオペレータにトラクタ1がオートダウン実行状態になったことを知らせ、図18(b)に示すように液晶表示装置51の右部には「AUTODOWN/下降注意」が表示されると共に、旋回の進行度に応じて変化する、後述する旋回進行度表示51aが表示される。また、トラクタ1がオートダウン実行状態になると、PTO軸からロータリ耕耘機3への動力伝達が遮断されてロータリ耕耘機3は上限高さまで上昇し、制御部52により、平面視において、旋回開始時の機体基準点2aの位置を原点Oとして、左右方向を横軸X及び前後方向を縦軸Yとする2次元の直交座標系が設定されると共に、圃場Hにおける機体2の旋回の進行度の演算が開始される。Y軸のプラス方向は旋回終了方向と一致するように設定され、座標系上における機体2の位置は、機体基準点2aのX座標及びY座標により特定される。
次いで、オペレータが円弧状の経路Tに沿って機体2を走行させるにあたり、ステアリングホイール13の回動角度がステアリングセンサ15がオン状態となる所定角度以上となってかつ車速が0を超えると、制御部52が、報知ブザー53及び報知ランプ54に旋回の進行度に応じて変化する、後述する旋回進行度報知の実行を開始させる。オペレータは、旋回進行度表示51aや旋回進行度報知の変化により、機体2の旋回の進行度とオペレータが希望する耕耘再開位置との差を判断しながら、ステアリングホイール13を時計回りに最大回動角度まで回動した状態を維持しつつ、経路Tに沿って機体2の旋回を行う。
トラクタ1がオートダウン実行状態であるときに(ステップS202のYES)、オートダウン許可条件が成立していない状態となったとき(ステップS207のNO)、即ち、オートダウン実行状態のトラクタ1が旋回や耕耘作業を行っていたが、オートダウン許可条件が成立しないこととなる何れかの操作が行われたとき、制御部52は、自動入ランプ48を所定時間点滅させてオートダウン許可条件が成立していないことをオペレータに知らせる(ステップS208)。これは、例えば、耕耘作業が終了したことにより、オペレータがおまかせ切替スイッチ49を操作してトラクタ1を作業走行モードから路上走行モードへ切り替えた場合等である。
トラクタ1が、オートダウンオフ状態であるとき(ステップS201のNO)、オートダウン実行状態であるときにオートダウン許可条件が成立しなくなったとき(ステップS208)、又はオートダウン実行状態(ステップS202のYES)でかつオートダウン許可条件が成立している状態(ステップS207のYES)で後述するオートダウン解除条件が成立したとき(ステップS209のYES)、制御部52により、オートダウンリセット処理が実行される(S210)。オートダウンリセット処理が実行されると、オートダウンオフ状態であるときはオートダウンオフ状態が維持され、オートダウンオン状態であるときはオートダウンオン状態が維持されたままオートダウン非実行状態となる。オートダウン非実行状態となると、報知ブザー53及び報知ランプ54による旋回進行度報知の実行が停止され、図18(a)に示すように液晶表示装置51の右部にエンジンの温度及び燃料の残量が表示される。
<機体情報取得処理>
図20に示すように、畦際Eからの枕地幅Mを揃えて耕耘作業をするためには、旋回開始時のロータリ軸3aの位置と旋回後に着地したロータリ軸3aの位置を一致させれば良い。そのためには、旋回後の機体方向Nが旋回終了方向と一致する状態において、機体基準点2aのY座標が、後輪6の回転軸とロータリ3bの着地時におけるロータリ軸3aとの平面視における距離であるヒッチ長さAの2倍と等しくなる位置、即ち作業再開位置Gであるときに、ロータリ耕耘機3が着地すればよい。また、経路L2に沿って機体2が走行中に、作業再開位置Gに対して、ロータリ耕耘機3が下降を開始してから着地するまでに機体基準点2aが移動する距離である下降走行距離D手前で、ロータリ耕耘機3の下降が開始されると、機体2が枕地Jで旋回をする際に機体2の走行を止めることなく、作業再開位置Gから耕耘作業を再開することができる。この場合における、作業再開位置GのY座標から下降走行距離Dを減算したY座標が、下降開始線を演算する基準となる下降基準線FのY座標となる。
図10は、トラクタの種類や設定等の情報や旋回開始時の機体2の位置に基づいて下降基準線Fの座標が演算される、機体情報取得処理(ステップS3)のサブルーチンを示す。機体情報取得処理が開始されると、制御部52により、馬力設定の取得として制御部52に予め記憶されているエンジンの最大出力の読み込み(ステップS301)及びタイヤ設定の取得として前輪5や後輪6等からなる走行装置の種類や寸法に関する情報が読み込みが行われる(ステップS302)。本実施の形態では、前輪5及び後輪6からなる走行装置を備えたトラクタ1について説明を行うが、走行装置はこれに限られず、前輪5とクローラとの組み合わせでもよいしクローラのみでもよい。走行装置の種類には、例えば、一対の前輪5及び一対の後輪6並びに一対の前輪5及び一対のクローラ並びに一対のクローラのみ等があり、走行装置の寸法には、例えば、クローラの長さ、前輪5と後輪6若しくはクローラとの距離、左側の前輪5及び後輪6と右側の前輪5及び後輪6との距離等がある。次いで、制御部52により、トラクタ1が前輪倍速オフ4駆モード、前輪倍速オン4駆モード及びオートブレーキモードの何れであるかが読み込まれる(ステップS303)。
制御部52には、ステップS301、ステップS302及びステップS303の結果の様々な組み合わせに対応する旋回内周及び旋回外周が予め記憶されており、制御部52により、上記結果の組み合わせに対応する旋回内周及び旋回外周の値が読み込まれる(ステップS304)。旋回内周及び旋回外周とは、ステアリングホイール13が左右いずれかの最大回動角度まで回動された状態で機体2が360°旋回した場合における旋回内側及び旋回外側の後輪6の移動距離である。
次いで、制御部52により、ステップS304により読み込まれた旋回内周及び旋回外周の値に基づいて、旋回内周及び旋回外周の平均値である旋回円周が演算され(ステップS305)、この旋回円周に基づいて旋回半径rが演算される(ステップS306)。旋回半径rは、ステアリングホイール13が左右何れかの最大回動角度まで回動された状態で機体2が旋回する場合に、機体基準点2aが描く円弧軌跡である経路Tの半径であり、旋回円周を円周率の2倍で除算して得られる。
次いで、制御部52により、制御部52に予め記憶されているヒッチ長さAが読み込まれる(ステップS307)。また、車速センサ11により測定された車速が読み込まれ(ステップS308)、ダッシング高さ、上げ高さボリューム32の回動位置及び作業機下降速度調節ノブ29の回動位置が読み込まれる。これらに基づいて、下降走行距離Dが演算され(ステップS309)、座標系上にY座標のみで定義されて下降開始線の演算基準となる下降基準線Fが設定される(ステップS310)。ダッシング高さとは、ロータリ3bが回転した状態で接地した際にロータリ3bの回転力により機体2が急加速しないよう、ロータリ耕耘機3が所定の高さまで下降した後は下降速度を減少させてゆっくりと接地させる際に、予め設定される下降速度の変化点となる高さである。
また、オペレータは、オートダウンタイミングボリューム33の操作により、ロータリ耕耘機3の下降を開始する位置のY座標を、プラス方向又はマイナス方向へ所定の範囲で調節することができる。下降基準線FのY座標にオートダウンタイミングボリューム33により指定された調節距離Sを加算又は減算した値が、下降設定線KのY座標として設定される。
<機体角度処理>
図11は、座標系上の演算時点の機体基準点2aの位置、即ち現在位置Pにおける機体方向Nと旋回終了方向との角度差θ0が演算される、機体角度処理(ステップS4)のサブルーチンを示す。演算時点における機体方向Nと旋回終了方向との角度差θ0は、旋回開始時における機体方向Nと演算時点における機体方向Nとの角度差、即ち機体角度θ1を演算することにより、間接的に演算される。制御部52により、トラクタ1がオートダウン実行状態、機体2の車速が0以外、かつステアリングセンサ15がオン状態であるか否かが判断され(ステップS401)、上記条件を全て満たすとき(ステップS401のYES)、車速及び旋回半径rに基づいて微小時間dtにおける機体方向Nの変化、即ち角度変化量が演算され(ステップS403)、角度変化量を累積して、機体角度θ1が演算される(ステップS404)。ステップS401にて、上記いずれかの条件を満たさないとき(ステップS401のNO)、角度変化量は0として(ステップS402)演算される(ステップS404)。
次いで、制御部52により、機体角度θ1が90°以上であるか否かが判断される(ステップS405)。機体角度θ1が90°以上であるとき(ステップS405のYES)、制御部52により、旋回済状態と判断されて(ステップS407)、旋回角度条件を達成しているか否かが判断される(ステップS408)。旋回角度条件の達成とは、機体角度θ1が旋回を終了したと判断される所定の旋回終了角度範囲内、即ち演算時点における機体方向Nが、旋回終了方向を中心とする所定の角度範囲内にあることをいう。旋回終了角度範囲は、α3<α4、である所定角度α3及びα4を用いて、機体角度θ1が180°±α3の範囲外から180°±α3の範囲内に変化後は、旋回終了角度範囲は180°±α4となり、機体角度θ1が180°±α4の範囲内から180°±α4の範囲外に変化後は、旋回終了角度範囲は180°±α3となる。このように、機体角度θ1が旋回終了角度範囲内にあるか否かで旋回終了角度範囲を変化させることにより、機体角度θ1が旋回終了角度範囲の上限又は下限付近であるときに頻繁に処理が切り替わることを防いでいる。ステップS408にて、旋回角度条件を達成していないとき(ステップS408のNO)は、制御部52により条件未達状態と判断され、旋回角度条件を達成しているとき(ステップS408のYES)は、制御部52により条件達成状態と判断される。
<角度演算>
図12は、機体角度θ1に基づいて、現在位置Pの座標が演算される角度演算(ステップS5)のサブルーチンを示す。まず、制御部52により、角度変化量、機体角度θ1及び車速が読み込まれ(ステップS501)、角度変化量、機体角度θ1及び車速に基づいて微小時間dtにおける座標系上における現在位置Pの座標の変化量が演算される(ステップS502)。次いで、制御部52により、機体2の車速が0以外であるか否かが判断され(ステップS503)、車速が0であるとき(ステップS503のYES)は現在位置Pの座標を維持し(ステップS504)、車速が0以外であるとき(ステップS503のNO)は、現在位置Pの座標に上記座標の変化量を累積して新たな現在位置Pの座標を得る(ステップS505)。
<位置演算>
図13は、下降開始線の座標が演算される位置演算(ステップS6)のサブルーチンを示す。下降開始線とは、Y座標のみによって定義されるX軸に平行な直線であり、位置演算(ステップS6)及び後述する位置判定処理(ステップS7)により、下降基準線F、下降設定線K、現在位置P、機体角度θ1及び機体2の経路に基づく演算結果に基づいて変化し、機体基準点2aが到達することでロータリ耕耘機3の下降が開始される直線である。トラクタ1がオートダウン実行状態でないとき(ステップS601のNO)、下降設定線KのY座標が下降基準線FのY座標以上であるとき(ステップS603のYES)、及び下降設定線KのY座標が下降基準線FのY座標未満でかつ現在位置PのY座標以上であるとき(ステップS605のYES)、下降開始線のY座標として下降設定線KのY座標が採用される(ステップS602)。
トラクタ1がオートダウン実行状態である場合において、下降基準線FのY座標が下降設定線KのY座標を超えてかつ現在位置PのY座標以下であるとき(ステップS607のYES)、下降開始線のY座標として下降基準線FのY座標が採用される(ステップS608)。トラクタ1がオートダウン実行状態である場合において、現在位置PのY座標が下降設定線KのY座標を超えてかつ下降基準線FのY座標未満であるとき(ステップS607のNO)、ステアリングセンサ15がオン状態である又はシャトルレバー35が後進位置に位置しているか否かが判断され(ステップS609)、ステアリングセンサ15がオン状態である又はシャトルレバー35が後進位置に位置しているとき(ステップS609のYES)、下降開始線のY座標として現在位置のY座標に所定のヒステリシス値γを加えた値が採用される(ステップS610)。ステップS609にて、ステアリングセンサ15がオン状態又はシャトルレバー35が後進位置に位置している状態の何れでもないとき(ステップS609のNO)は、下降開始線のY座標が維持される。
<位置フラグ処理>
機体基準点2aが下降開始線に到達した場合でも、機体角度θ1が旋回終了方向から大きく乖離しているとき、ステアリングセンサ15がオン状態であるとき及び機体2が後進しているときは、機体基準点2aが適正に下降開始線に到達したとは判断されず、ロータリ耕耘機3の下降は開始されない。図14は、位置条件フラグ及び位置通過条件フラグがONであるかOFFであるかに基づいて、機体基準点2aが下降開始線に到達したか否かが判定される位置フラグ処理(ステップS10)のサブルーチンを示す。位置条件フラグとは、後述する位置判定処理において、制御部52がロータリ耕耘機3の下降を開始するための条件の一つであり、機体基準点2aが下降開始線に到達したか否かの判断に用いられるフラグである。また、位置通過条件フラグは、機体基準点2aが下降開始線に到達したがロータリ耕耘機3を下降するための他の条件が整わずに下降開始線を通過したか否かの判断に用いられるフラグである。現在位置PのY座標が下降開始線のY座標にヒステリシス値γを加算した値を超えているとき(ステップS11のYES)、制御部52により、位置条件フラグがOFFに設定され、位置通過条件フラグがONに設定される(ステップS14)。
現在位置PのY座標が下降開始線のY座標にヒステリシス値γを加算した値以下であるとき(ステップS11のNO)、制御部52により、現在位置PのY座標が下降開始線のY座標からヒステリシス値γを減算した値未満であるか否かが判断され(ステップS12)、現在位置PのY座標が下降開始線のY座標からヒステリシス値γを減算した値未満であるとき(ステップS12のYES)、位置条件フラグと位置通過条件フラグが共にOFFに設定される(ステップS13)。ステップS12にて、現在位置PのY座標が下降開始線のY座標からヒステリシス値γを減算した値以上であるとき(ステップS12のNO)、制御部52により、位置通過条件フラグがONであるか否かが判断される(ステップS15)。ステップS15にて、位置通過条件フラグがONであり(ステップS15のYES)かつ現在位置PのY座標が下降開始線のY座標未満であるとき(ステップS16のYES)及び位置通過条件フラグがOFFであり(ステップS15のNO)かつ現在位置PのY座標が下降開始線のY座標を超えているとき(ステップS17のYES)、制御部52により、位置条件フラグがONに設定される(ステップS18)。
<位置判定処理>
図15は、位置フラグ処理(ステップS10)の結果に基づいてロータリ耕耘機3の下降要求が発せられる位置判定処理(ステップS7)のサブルーチンを示す。制御部52により、車速が0でない(ステップS701のYES)、ステアリングセンサ15がオフ状態かつシャトルレバー35が前進位置に位置している(ステップS702のYES)、位置条件フラグがONでかつ旋回角度条件が達成されている(ステップS703のYES)の、全てを満たすとき、制御部52により、下降遅延操作がタイムアウトしているか否かが判断される(ステップS704)。下降遅延操作とは、オートダウン実行状態において、クイックアップレバー36が上げ操作された状態でt1より長い所定時間t2以上保持される長上げ操作のことで、下降遅延操作がされている状態においては、図18(d)に示すように液晶表示装置51の右部に一時休止シンボル51fが表示される。このとき、ロータリ耕耘機3は下降が規制される一時的な休止状態となり、ロータリ耕耘機3の下降が開始される他の条件が成立してもロータリ耕耘機3は上限高さの位置が維持される。
また、下降遅延操作において、クイックアップレバー36が上げ操作された状態で、t2より長い所定時間t3を超えて保持されると、下降遅延操作がタイムアウトされる。ステップS704にて、下降遅延操作がタイムアウトされているとき(ステップS704のYES)、制御部52により、タイムアウト処理として、図18(c)に示すように液晶表示装置51の右部に所定時間が経過するまで停止シンボル51eを表示させ、トラクタ1はオートダウンオン状態が維持されたままオートダウン非実行状態となる(ステップS707)。ステップS704にて、下降遅延操作がタイムアウトされていないとき(ステップS704のNO)、制御部52により、ロータリ耕耘機3の下降を開始する作業機下降要求が発せられる(ステップ706)。また、下降遅延操作後、所定時間t3以内にオペレータがクイックアップレバー36から操作の手を離すと下降遅延操作は解除され、再びロータリ耕耘機3の下降が開始可能な状態となり、液晶表示装置51の一時休止シンボル51fが非表示となる。
<下降開始処理>
図16は、下降要求に基づいてリフトアームバルブ20が作動することによりロータリ耕耘機3の下降が開始される下降開始処理(ステップS8)のサブルーチンを示す。まず、制御部52により、作業機下降要求が発せられているか否かが判断され(ステップS801)、作業機下降要求が発せられているとき(ステップS801のYES)、オペレータによる下降遅延操作がされていないかどうかが判断される(ステップS802)。ステップS802にて、オペレータによる下降遅延操作がされていないとき(ステップS802のYES)、制御部52により、作業機下降要求が停止される(ステップS803)と共に、ロータリ耕耘機3の下降が開始される(ステップS804)。このとき、図18(e)に示すように液晶表示装置51の右部に下降中シンボル51gが表示されると共に、報知ブザー53及び報知ランプ54に連続音及び連続点灯による作業機下降中報知が実行されて、オペレータにロータリ耕耘機3が下降中であることを知らせる(ステップS805)。
オペレータは、ロータリ耕耘機3の下降が開始された状態で機体2の前進走行を継続し、PTO軸からロータリ耕耘機3への動力伝達が再開されてロータリ3bが回転し、ロータリ3bが着地すると耕耘作業が再開される。このように枕地幅Mを揃えて圃場Hの耕耘作業を行い、最後に枕地Jを耕耘することで、圃場Hの耕耘作業が完了する。
<自動終了処理>
次いで、トラクタ1がオートダウン実行状態からオートダウンオフ状態となるオートダウン終了条件や、オートダウンオン状態を維持したままオートダウン非実行状態となるオートダウン解除条件を判定する自動終了処理についての説明を行う。図17は、オートダウン実行状態における機体2の走行経路に基づいてオートダウン実行状態が解除される自動終了処理のサブルーチンを示す。
まず、第1のオートダウン終了条件であるオートダウン終了位置条件について説明を行う。現在位置Pの座標が、終了距離ε1及び終了距離ε1より小さい所定の注意距離ε2に基づいて、−ε1≦X座標<−ε2、若しくは、ε2<X座標≦ε1、かつ、−ε1≦Y座標<−ε2、若しくは、ε2<Y座標≦ε1、で定義される注意位置範囲内となったとき(ステップS903のYES)、位置注意処理が実行されて、図18(f)に示すように液晶表示装置51の中央部に「位置制限を越えます」が表示され、オペレータに、更に原点Oからの離れるとオートダウンオフ状態となることが予告される(ステップS904)。
現在位置Pが更に原点Oから離れ、現在位置Pの座標が、所定の終了距離ε1に基づいて、X座標<−ε1、若しくは、ε1<X座標、かつ、Y座標<−ε1、若しくは、ε1<Y座標、で定義される正方形の外側である終了位置範囲となったとき(ステップS901のYES)、自動終了処理が実行されて、図18(g)に示すように液晶表示装置51の中央部には「位置制限で自動を切ります」が所定時間表示されると共に、トラクタ1がオートダウンオフ状態となる(ステップS902)。
上記所定時間が経過後、図18(a)に示すように液晶表示装置51の右部にエンジンの温度及び燃料の残量が表示される。このように、オートダウン終了条件によりオートダウンオフ状態となった場合、再びオートダウンオン状態とするためには一度オートダウンタイミングボリューム33をオフ位置に回動した後に、トラクタ1が作業走行モードであること及び上げ高さボリューム32の回動位置が上げ高さ調節位置に位置していることを共に満たす状態において再びオートダウンタイミングボリューム33の回動位置をオフ位置からオン位置に変更しなくてはならない。位置注意処理が実行された後に、現在位置Pの座標が、注意距離ε2及び注意距離ε2より小さい所定のリセット距離ε3に基づいて、−ε3<X<ε3、かつ、−ε3<Y<ε3、で定義される正方形の内側である終了位置リセット範囲となったとき(ステップS905のYES)、終了位置リセット処理が実行されて、液晶表示装置51の中央部の表示は図18(b)に示すエンジンの回転数及び使用時間に戻る(ステップS906)。
次いで、第2のオートダウン終了条件であるオートダウン終了角度条件について説明を行う。機体角度θ1が、終了角度λ1及び終了角度λ1より小さい所定の注意角度λ2に基づいて、λ2<θ1≦λ1、により定義される注意角度範囲内となったとき(ステップS908のYES)、角度注意処理が実行されて、液晶表示装置51の中央部に「角度制限を越えます」が表示され、オペレータに、更に機体角度θ1が拡大するとオートダウンオフ状態となることが予告される(ステップS909)。更に機体角度θ1が拡大し、所定の終了角度λ1を超えたとき(ステップS907のYES)、液晶表示装置51の中央部に「角度制限で自動を切ります」が所定時間表示され、トラクタ1をオートダウンオフ状態とする自動終了処理が実行される(ステップS902)。
上記所定時間が経過後、図18(a)に示すように液晶表示装置51の右部にエンジンの温度及び燃料の残量が表示される。角度注意処理が実行された後に、機体角度θ1が注意角度λ2より小さい所定のリセット角度λ3未満となったとき(ステップS910のYES)、終了角度リセット処理が実行されて、液晶表示装置51の中央部の表示は図18(b)に示すエンジンの回転数及び使用時間に戻る(ステップS911)。
次いで、第3のオートダウン終了条件であるオートダウン終了積算距離条件について説明を行う。前進、後進及び一時的な走行停止の有無に寄らず、トラクタ1がオートダウン実行状態となってからオートダウン実行状態でなくなるまでの機体基準点2aの移動距離の全てを加算した距離である積算走行距離と、所定の終了積算距離ξ1と、ξ1より小さい所定の注意積算距離ξ2と、に基づいて、積算走行距離が、ξ2<積算走行距離≦ξ1、により定義される注意積算距離範囲となったとき(ステップS913のYES)、積算距離注意処理が実行されて、液晶表示装置51の中央部に「走行制限を越えます」が表示され、オペレータに、更に積算走行距離が拡大するとオートダウンオフ状態となることが予告される(ステップS914)。更に積算走行距離が拡大し、積算走行距離が終了積算距離ξ1を超えたとき(ステップS912のYES)、液晶表示装置51の中央部に「走行制限で自動を切ります」が所定時間表示されると共に、トラクタ1をオートダウンオフ状態とする自動終了処理が実行される(ステップS902)。上記所定時間が経過後、図18(a)に示すように液晶表示装置51の右部にエンジンの温度及び燃料の残量が表示される。
次いで、オートダウン解除条件である解除前後進条件について説明を行う。トラクタ1がオートダウン実行状態になってからステアリングセンサ15が一度もオン状態とならないうちに、機体2が前後進のみで行った後方への移動距離である直進後方移動距離が、所定の解除前後進距離ρ1及び解除前後進距離ρ1より小さい所定の注意前後進距離ρ2に基づいて、ρ2<直進後方移動距離≦ρ1、により定義される注意前後進範囲となったとき(ステップS917のYES)、前後進注意処理が実行されて、液晶表示装置51の中央部に「走行制限を越えます」が表示され、オペレータに、更に直進後方移動距離が拡大するとトラクタ1がオートダウン非実行状態となることが予告される(ステップS918)。
また、トラクタ1がオートダウン実行状態になってからステアリングセンサ15が一度もオン状態とならないうちに、機体2が前後進のみで行った前方への移動距離である直進前方移動距離が、上記注意前後進範囲となったとき(ステップS917のYES)、前後進注意処理が実行されて、液晶表示装置51の中央部に「走行制限を越えます」が表示され、更に直進後方移動距離が拡大するとトラクタ1がオートダウン非実行状態となることが予告される(ステップS918)。直進後方移動距離又は直進前方移動距離が更に拡大し、直進後方移動距離又は直進前方移動距離の何れか一方が解除前後進距離ρ1を超えたとき(ステップS915のYES)、自動解除処理が実行され、液晶表示装置51の中央部に「走行制限で制御解除します」が所定時間表示されると共に、トラクタ1はオートダウンオン状態を維持したままオートダウン非実行状態となる(ステップS916)。上記所定時間が経過後、図18(a)に示すように液晶表示装置51の右部にエンジンの温度及び燃料の残量が表示される。また、前後進注意処理が実行された後、直進後方移動距離及び直進前方移動距離が共に、注意前後進距離ρ2より小さい所定のリセット前後進距離ρ3未満となったとき(ステップS919のYES)、解除前後進距離リセット処理が実行されて、液晶表示装置51の中央部の表示は図18(b)に示すエンジンの回転数及び使用時間に戻る(ステップS920)。
また、上記以外のオートダウン解除条件としては、クイックアップレバー36の操作による解除条件が設けられている。オートダウン実行状態において、クイックアップレバー36が下げ操作された状態で所定時間以上保持されたとき、図18(a)に示すように液晶表示装置51の右部にエンジンの温度及び燃料の残量が表示されると共に、トラクタ1はオートダウンオン状態が維持されたままオートダウン非実行状態となり(図8のステップS1)、制御部52によりロータリ耕耘機3の下降が開始される。オートダウン実行状態において、クイックアップレバー36が上げ操作された状態で所定時間t2未満保持されたとき、液晶表示装置51の右部に図18(c)に示す停止シンボル51eが所定時間表示された後、図18(a)に示すように液晶表示装置51の右部にエンジンの温度及び燃料の残量が表示され、オートダウンオン状態が維持されたままトラクタ1はオートダウン非実行状態となる(図8のステップS1)。
次いで、本発明の要部である、旋回の進行度に応じた報知について説明をする。図19は、機体角度θ1及び現在位置Pの座標と下降開始線との位置関係により判断される旋回の進行度、旋回の進行度に応じた旋回進行度表示の表示内容、及び旋回の進行度に応じた旋回進行度報知のタイミングチャートを示す。オートダウン実行状態においては、制御部52は、図18(b)に示すように液晶表示装置51の右部に旋回進行度表示51aを表示させ、報知ブザー53及び報知ランプ54に旋回進行度報知を実行させる。
まず、旋回進行度表示について説明を行う。図18(h)に示すように、旋回進行度表示51aは、中央部に表示される前後方向表示51bと、前後方向表示51bの左右に表示される左右方向表示51cと、からなる。左右方向表示51cは、矩形の表示部51dが、前後方向表示51bの左右両側に3個ずつ左右方向へ並べられており、それぞれ外形線のみが表示される非表示状態と、外形線の内部が外形線と同一色で表示される表示状態と、が切り替え可能に構成されている。例えば図19(b)に示すように、表示状態の表示部51dが前後方向表示51bの右のみに表示されているときは、オペレータがステアリングホイール13を中立位置から時計回りに回動した状態で機体2を走行させると、下降開始線に近づくことが出来ることを示している。反対に、例えば図19(e)に示すように、表示状態の表示部51dが前後方向表示51bの左のみに表示されているときは、オペレータがステアリングホイール13を中立位置から反時計回りに回動した状態で機体2を走行させると、下降開始線に近づくことが出来ることを示している。また、例えば図19(d)に示すように、前後方向表示51bに隣接する左右の表示部51dが共に表示状態であるときは、旋回角度θ1が旋回終了角度範囲内であることを示している。
機体角度θ1が図19(a)に示す範囲であるとき、全ての表示部51dは非表示状態となり、機体角度θ1が図19(b)に示す範囲であるとき、右端の表示部51dのみが表示状態となり、機体角度θ1が図19(c)に示す範囲であるとき、右端から2番目の表示部51dのみが表示状態となる。また、機体角度θ1が図19(f)に示す範囲であるとき、左端の表示部51dのみが表示状態となり、機体角度θ1が図19(e)に示す範囲であるとき、左端から2番目の表示部51dのみが表示状態となる。
前後方向表示51bは、液晶表示装置51の表示に対する垂直方向視において、上向き又は下向きの略三角形の表示であり、外形線のみが表示される非表示状態と、内側が外形線と同一色で表示される表示状態と、が切り替え可能に構成されている。図19(a)のように前後方向表示51bが下向きに表示されているときは、機体2からみて下降開始線が現在位置Pの後方にあることを示しており、図19(c)のように前後方向表示51bが上向きに表示されているときは、機体2からみて下降開始線が現在位置Pの前方にある又は下降開始線と機体方向Nとが平行であることを示している。また、図19(g)のように前後方向表示51bが表示状態であるときは、機体2からみて下降開始線が現在位置Pの前方で、旋回角度θ1が旋回終了角度範囲内で、かつ現在位置PのY座標が下降開始線のY座標より小さく、その差が所定距離β以下であることを示している。このように、旋回進行度表示は、現在位置Pにおける大凡の機体角度θ1と、機体2からみて下降開始線が現在位置Pの前後どちらにあるのかを表示するように構成されると共に、前後方向表示51bの色により下降開始線までβ以内へ到達したか否かを表示するように構成されている。
次いで、旋回進行度報知について説明を行う。機体角度θ1が図19(a)、(b)又は(f)に示す範囲でかつ機体2からみて現在位置Pが下降開始線より前方であるとき、制御部52は、報知ブザー53及び報知ランプ54に所定時間t5の周期で繰り返される短音又は短時間の点灯による報知を実行させ、機体角度θ1が図19(c)又は(e)に示す範囲でかつ機体2からみて現在位置Pが下降開始線より後方にあるときは、t5より短い所定時間t6の周期で繰り返される短音及び短時間の点灯による報知を実行させる。また、図19(d)に示すように、機体角度θ1が旋回終了角度範囲内で、機体2からみて現在位置Pが下降開始線より後方でかつ現在位置PのY座標と下降開始線との距離がβを超えているとき、制御部52は、報知ブザー53及び報知ランプ54にt6より短い所定時間t7の周期で繰り返される短音及び短時間の点灯による報知を実行させる。また、図19(g)に示すように、機体角度θ1が旋回終了角度範囲内、機体2からみて現在位置Pが下降開始線より後方、かつ現在位置PのY座標と下降開始線との距離がβ以下であるとき、制御部52は、報知ブザー53及び報知ランプ54にt7より短い所定時間t8の周期で繰り返される短音及び短時間の点灯による報知を実行させる。
図19(h)から(p)は、機体基準点2aが下降開始線に到達したがロータリ耕耘機3の下降が開始されずに下降開始線を通過したときの状態を示している。図19(h)に示すように、機体角度θ1が旋回終了角度範囲内でかつ機体2からみて現在位置Pが下降開始線より前方であるとき、制御部52は、報知ブザー53及び報知ランプ54にt7の周期で2度ずつ繰り返される短音及び短時間の点灯による報知を実行させる。また、機体角度θ1が図19(k)、(n)又は(p)に示す範囲でかつ機体2からみて現在位置Pが下降開始線より後方であるとき、制御部52は、報知ブザー53及び報知ランプ54にt5の周期で2度ずつ繰り返される短音又は短時間の点灯による報知を実行させ、機体角度θ1が図19(i)又は(m)に示す範囲でかつ機体2からみて現在位置Pが下降開始線より前方であるときは、t6の周期で2度ずつ繰り返される短音及び短時間の点灯による報知を実行させる。このように、機体角度θ1が旋回終了方向に近づく程、また機体角度θ1が旋回終了角度範囲内であるときは現在位置Pが下降開始線に近づく程、旋回進行度報知の周期が小さくなるように構成されている。また、機体基準点2aが下降開始線に到達したがロータリ耕耘機3の下降が開始されずに下降開始線を通過したときは、旋回進行度報知が2度ずつ繰返されることにより、下降開始線を通過したことをオペレータが認識し易いように構成されている。
<本実施の形態の効果>
以上より、制御部52は、機体角度θ1、及び現在位置Pと下降開始線との位置関係に基づく旋回の進行度に応じた報知を、報知ブザー53及び報知ランプ54に実行させるので、オペレータに制御部52が旋回の終了と判断するタイミングを知らせることができ、ロータリ耕耘機3の自動下降による耕耘再開位置とオペレータが希望する耕耘再開位置との差をオペレータが予測することができる。また、演算時点における機体方向Nと旋回終了方向との角度差θ0の減少に伴って、報知ブザー53及び報知ランプ54による報知の周期が段階的に減少するので、簡易な制御により、オペレータに制御部52が旋回の終了と判断するタイミングを知らせることができる。制御部52は、トラクタ1が路上走行モードであるときにはオートダウン非実行状態を維持し、報知ブザー53及び報知ランプ54による機体角度θ1等に応じた報知を不実行にするので、例えば路上を走行しているときに報知ブザー53及び報知ランプ54による機体角度等θ1に応じた報知が実行される虞を低減することができる。また、旋回の進行度に応じた報知はランプ及びブザーにより実行されるので、簡易な構造でかつ安価に、オペレータに制御部52が旋回の終了と判断するタイミングを知らせることができる。
また、旋回角度条件を達成しない状態で機体基準点2aが下降開始線を通過すると、報知ブザー53及び報知ランプ54による報知が変化するので、ロータリ耕耘機3の下降を開始しない状態で下降開始線を通過したことをオペレータに知らせることができる。また、制御部52は、トラクタ1がオートダウン実行状態になると液晶表示装置51に表示される旋回進行度表示51aにより、現在位置Pにおける大凡の機体角度θ1と、機体2からみて下降開始線が現在位置Pの前後どちらにあるか方向を表示させ、また下降開始線までの距離に応じて表示を変化させるので、オペレータに機体2を操向すべき方向を知らせることができると共に、下降開始線が近いことを事前に知らせることができる。これにより、オペレータの操作負担を軽減すると共に、ロータリ耕耘機3が下降を開始する前にオートダウン制御のロータリ耕耘機3の自動下降による耕耘再開位置とオペレータが希望する耕耘再開位置との差をオペレータが予測することができる。
また、オートダウン実行状態におけるクイックアップレバー36の所定時間t2以上の長上げ操作により、ロータリ耕耘機3の下降を一時的に休止状態にできるので、オペレータは、前輪5又は後輪6のスリップやオペレータが操向操作を誤る等により、オートダウン制御によるロータリ耕耘機3の下降が開始されるタイミングがオペレータの希望する下降が開始されるタイミングより早いことが予想された際に、ロータリ耕耘機3の下降の開始を一時的に休止することができる。また、オペレータは、報知ブザー53及び報知ランプ54による報知の周期が変化することによりロータリ耕耘機3が下降を開始するタイミングが早すぎると判断した際には、ロータリ耕耘機3を一時的に休止状態として目視で作業の再開位置を確認しながらロータリ耕耘機3の下降を開始することができる。また、オートダウン実行状態において、クイックアップレバー36の所定時間t2未満の短上げ操作により、トラクタ1はオートダウン実行状態からオートダウン非実行状態となるので、ロータリ耕耘機3の下降を容易に中断できると共に、更なるクイックアップレバー36の上げ操作によりトラクタ1を再度オートダウン実行状態とすることができ、オペレータは容易に旋回のやり直しを行うことができる。
機体2の旋回開始時における機体基準点2aの位置を原点Oとして下降開始線を座標系上に設定し、機体基準点2aが下降開始線に到達するとロータリ耕耘機3を下降するので、機体2が往復走行して圃場Hの耕耘作業をする場合において、オペレータは、任意の経路を選択して機体2を旋回させることができると共に、ロータリ耕耘機3の下降を開始するタイミングを自ら判断する必要がなく、容易に畦際Eからの枕地幅Mを揃えることができる。また、オペレータがロータリ耕耘機3の下降を開始するタイミングを誤る等の誤操作、圃場Hの未耕耘部の形成及び重複耕耘作業等を防ぎ、効率的な耕耘作業を行うことができる。
また、制御部52は、前輪倍速オン4駆モード、前輪倍速オフ4駆モード及びオートブレーキモードのそれぞれにおける旋回内周及び旋回外周を予め記憶して、選択されているモードに対応する旋回内周及び旋回外周に基づいて現在位置を演算するので、これらのモードの違いによる下降開始線の演算結果とオペレータがロータリ耕耘機3の下降開始を期待する位置との誤差を低減し、畦際からの枕地幅Mを所定の幅に高い精度で揃えることができる。また、制御部52は、ロータリ耕耘機3の上限高さ及びオートダウン実行状態における車速に基づいて下降開始線を設定するので、ロータリ耕耘機3が下降を開始してから接地するまでに要する時間の違いによる接地位置のばらつきを防ぎ、畦際からの枕地幅Mを所定の幅に高い精度で揃えることができる。また、制御部52は、上げ高さボリューム32の操作により調節されたロータリ耕耘機3の上限高さに基づいて下降開始線を設定するので、ロータリ耕耘機3が下降を開始してから接地するまでに要する時間の違いによる接地位置のばらつきを防ぎ、畦際からの枕地幅Mを所定の幅に高い精度で揃えることができる。
また、作業機下降速度調節ノブ29の操作により、オートダウン制御によるロータリ耕耘機3の下降速度を調節可能とし、制御部52は、ロータリ耕耘機3の下降速度に基づいて下降開始線を設定するので、利便性を向上すると共に、ロータリ耕耘機3が下降を開始してから接地するまでに要する時間の違いによる接地位置のばらつきを防ぎ、畦際からの枕地幅Mを所定の幅に高い精度で揃えることができる。また、オートダウンタイミングボリューム33により、下降開始線のY座標を調節可能としたので、前輪5及び後輪6等の走行装置のスリップにより現在位置Pの座標に誤差が発生する場合や、矩形でない圃場、例えば台形等の圃場で耕耘作業を行う場合にも容易に対応ができ、利便性を向上すると共に、畦際からの枕地幅Mを所定の幅に高い精度で揃えることができる。また、前輪倍速オン4駆モードやオートブレーキモードが選択されているか否かに基づいて機体2の旋回半径rを演算し、この旋回半径rにより機体2の現在位置及び機体角度θ1を演算するので、機体2の現在位置の演算精度が向上し、畦際からの枕地幅Mを所定の幅に高い精度で揃えることができる。
また、オートダウンオン状態かつオートダウン非実行状態において、バックアップモードのオン状態でかつロータリ耕耘機3が上限高さに位置していない状態でのシャトルレバー35の中立位置から後進位置への切り替え、旋回アップモードのオン状態でかつロータリ耕耘機3が上限高さに位置していない状態でのステアリングセンサ15のオフ状態からオン状態への切り替え及びクイックアップレバー36の所定時間t1以上の上げ操作のうち少なくともいずれか1つを検知したことを契機としてトラクタ1がオートダウン実行状態となり、旋回開始時における機体基準点2aの位置を原点Oとする座標系上に下降開始線を設定するので、オペレータの好み等により異なる多様な旋回操作手順に対応でき、オペレータが行う操作の自由度を向上すると共に、不要な操作手順を減らしてオペレータの操作負担を軽減することができる。また、下降開始線は、旋回開始時における現在位置Pの前後方向の座標のみによって定義されるので、作業再開時における機体2の左右方向の位置についてはオペレータが自由に選択することができ、例えば1列分おきに耕耘作業をすることができるので、操作の自由度を向上すると共に制御部52の処理負担を軽減することができる。
また、機体角度θ1が旋回角度条件を達成していない状態においては、機体基準点2aが下降開始線に到達してもロータリ耕耘機3の下降を行われないので、オペレータが意図せずロータリ耕耘機3が下降する虞を低減することができる。また、圃場Hでの耕耘作業に不適な2駆モード又は所定の減速比以下の高速段が選択されている際にはトラクタ1はオートダウン実行状態とはならないので、オペレータが意図せずロータリ耕耘機3が下降する虞を低減することができる。また、制御部52は、オートダウン実行状態における現在位置Pの座標及び機体角度θ1を演算し、機体2が旋回開始時の位置から所定距離ε1を超えて離れたとき、機体角度θ1が終了角度λ1を超えたとき又は機体2の積算走行距離が所定距離ξ1を超えたときに、オートダウンオフ状態となるので、例えば圃場Hを往復しながら行う耕耘作業を終えて枕地を走行する際や圃場外へ出た後等において、オペレータが意図せずロータリ耕耘機3が下降する虞を低減することができる。また、直進後方移動距離が所定の前後進解除距離ρを超えたとき又は直進前方移動距離が前後進解除距離ρを超えたとき、トラクタ1は、オートダウンオン状態を維持したままオートダウン非実行状態となるので、オペレータが意図せずロータリ耕耘機3が下降する虞を低減することができると共に、少ない操作で再びトラクタ1をオートダウン実行状態とすることができる。
また、オートダウン実行状態における現在位置Pの座標は、高価なジャイロセンサやGPS等を使用せず、安価な接点スイッチや光学センサ等を使用可能なステアリングセンサ15及び車速センサ11によって演算しているので、コストを抑制できる。また、オートダウン制御において、エンジンの最大出力、前輪5及び後輪6等の走行装置の種類や寸法により異なる旋回半径rの値に基づいて現在位置Pの座標及び機体角度θ1を演算するので、旋回半径rが異なるトラクター間で制御部52を共通化できる。
なお、報知ランプ54は、制御部52からの電気信号により点滅可能な発光源であればよく、ハロゲンランプでもよいし、LED等でもよい。また、報知ブザー53は、制御部52からの電気信号によりオペレータが認知可能な音を発することが可能な音源であればよく、コーン紙等を有するスピーカーでもよいし、圧電素子等でもよい。また、報知ブザー53による報知の実行は、短音の繰り返しに限られず、音の強弱によることとしてもよい。また、同様に、報知ランプ54による報知の実行は、点灯と消灯の繰り返しに限られず、光の強弱の変化によることとしてもよい。
また、機体方向Nと旋回終了方向との角度差θ0の減少に伴って、報知の周期が段階的に小さくなることとしたが、例えば放音及び発光の時間が長くなるに伴って消音及び消灯の時間が短くなるように変化させて報知の周期は一定としてもよい。また、報知ブザー53及び報知ランプ54は、いずれか一方でもよいし、これらの代わりにステアリングホイール13や運転座席23等を振動する振動装置等でもよい。また、操向手段はステアリング装置12に限られず、図示しない操作レバーと操作レバーの操作を検出するセンサーと当該センサーの検出内容に基づいて左右のクローラの回転数を変化させるプログラムとにより構成されることとしてもよい。また、制御部52は、機体角度θ1により、機体方向Nと旋回終了方向との角度差θ0を間接的に演算することとしたが、演算時点における機体方向Nと旋回終了方向との角度差θ0を直接的に演算してもよい。
また、車速は一方の後輪6の回転数及び後輪駆動軸の回転数を検出することにより演算されることとしたが、代わりに他の部分の回転数を検出してもよく、例えば後輪駆動軸の回転数の代わりにエンジンからの出力軸である図示しないドライブシャフトの回転数を検出しても良いし、左右両方の後輪6の回転数を検出してもよい。また、主変速機構及び副変速機構は多段状の変速機構であることとしたが、エンジンの回転数と後輪6の回転数の比である総減速比が所定の変速比以上であるか否かが検知できるように構成されていれば、主変速機構及び副変速機構は無段状の変速機構でもよいし、主変速機構及び副変速機構の何れか一方のみを備える構成としてもよい。また、旋回開始動作としてポジションレバー31の操作によるロータリ耕耘機3の上昇操作を加えてもよい。
また、ステアリングホイール13は、揺動又は水平動可能なレバーやボタン等でもよいし、ステアリングホイール13の操作はオン状態とオフ状態とのいずれかの検知に限られず、操作角度を数値で検出可能として操作角度に応じて演算した旋回半径rに基づいて制御部52が演算を可能な構成としてもよい。また、ステアリングセンサ15はステアリングホイール13の回動を直接検知してもよいし、タイロッドの移動量や前輪5の傾き量で検知する構成としてもよい。
また、オペレータに対する視覚的な報知は報知ランプ54並びに液晶表示装置51の図柄及び報知文の変化によることとしたが、代わりに液晶以外のELディスプレイや、LEDランプのドットマトリクス表示装置による表示でもよいし、発光源の色や位置の変化で報知を行ってもよい。また、トラクタ1は、予め決められた経路、図示しないカメラ等によるトラクタ周囲の映像又はGPSによるトラクタの現在位置の情報等に従って図示しないアクチュエータ等により自動運転されてオペレータが適宜に修正することとしてもよいし、これらの情報に従ってオペレータの操作をアクチュエータ等により補助することとしてもよい。また、搭乗していないオペレータがトラクタ1とは切り離されているコントローラー等により、トラクタ1から離れたところでトラクタ1を操縦する遠隔操作装置を備える構成とし、アクチュエータ等によりステアリング装置が駆動されて前輪5の向きが変化する構造としても良い。この場合、報知ブザー53及び報知ランプ54は上記コントローラーに設けられることが望ましい。また、制御部52に対する入力を行う各種の操作具は、代わりに液晶表示装置51に設けられたタッチパネルであってもよいし、上記トラクタ1とは切り離されている入力装置であってもよい。また、制御部52はディスクリート回路により形成されていてもよいし、半導体集積回路素子として一体に形成されていてもよい。
また、本実施の形態においては図20に示すL1、T及びL2の経路で説明を行ったが、枕地Jにおける旋回時の走行経路はこれに限られず、例えば機体2が畦際Eへ向かって直進前進し、畦際Eまで達してからオペレータがステアリングホイール13を時計回りに最大回動角度まで回動させ、バックアップモードのオン状態で機体2を後進させながら旋回させて機体方向Nを経路L2に合わせてもよい。また、例えば、機体2が畦際Eへ向かって直進前進し、枕地Jでロータリ軸3aが作業境界Cに到達した時、オペレータがステアリングホイール13を反時計回りに最大回動角度まで回動させて機体2を前進させながら左へ略90°旋回させた後、ステアリングホイール13の回動角度を中立位置まで戻した状態で適当な位置まで機体2を直進後進させ、次いでステアリングホイール13を反時計回りに最大回動角度まで回動させた状態で前進させながら左へ90°旋回させて機体方向Nを経路L2に合わせてもよい。
また、上記実施の形態はロータリ耕耘機3を昇降可能するトラクタ1について説明したが、これに限られず、作業機は代掻き作業機、プラウ及び田植機等、機体2に昇降可能な作業機が設けられている他の作業車輌にも同様に適用可能である。
1 作業車輌(トラクタ)
2 機体
3 作業機(ロータリ耕耘機)
11 走行距離検出手段
12 操向手段(ステアリング装置)
15 操向検出手段(ステアリングセンサ)
52 制御手段(制御部)
53 報知手段(報知ブザー)
54 報知手段(報知ランプ)
N 進行方向
t5 周期
t6 周期
t7 周期
t8 周期
θ0 角度差

Claims (4)

  1. 機体を操向する操向手段を備え、前記操向手段の操向によって前記機体の旋回が可能な作業車輌において、
    前記操向手段による操向操作がある操向有状態又は操向操作のない操向無状態を検出する操向検出手段と、
    前記機体の走行距離を検出する走行距離検出手段と、
    報知を実行可能な報知手段と、
    前記機体の旋回開始時の位置を原点とする座標系上で、現在位置における前記機体の進行方向と、予め設定された旋回を完了した状態における前記機体の進行方向と、の角度差を仮想的に演算し、前記機体の旋回中において前記角度差に応じた報知を、前記報知手段に実行させる制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記操向手段が前記操向有状態となった場合に前記機体が最大旋回角度で進行するとみなし、前記操向手段が前記操向無状態から前記操向有状態に遷移してからの前記機体の走行距離に基づいて前記角度差を演算し、かつ前記機体の旋回中に前記操向手段が前記操向無状態となった場合には前記機体の角度変化量を0とする、
    ことを特徴とする作業車輌。
  2. 前記制御手段は、前記角度差に応じた周期で前記報知手段に報知を実行させる、
    請求項1に記載の作業車輌。
  3. 前記制御手段は、前記機体の走行に伴い作業機により作業を行う作業走行モードと、前記作業走行モードより高速移動が可能な路上走行モードと、を切替え可能に設けられ、
    前記制御手段は、前記路上走行モードであるときに、前記報知手段による前記角度差に応じた報知を不実行にする、
    請求項1又は2に記載の作業車輌。
  4. 前記報知手段は、ランプ又はブザーである、
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の作業車輌。
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