JP6888364B2 - 強化繊維シート - Google Patents

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Description

本開示は、強化繊維シートに関し、特にRTM成形に好適な強化繊維シートに関するものである。
従来、生産性に優れた繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:「FRP」と称することがある。)の成形方法として、いわゆるRTM(Resin Transfer Molding)が知られている。RTMにおいては、強化繊維布帛からなる基材積層体を成形型内に配置し、成形型内にマトリックス樹脂を注入して、基材積層体に含浸させ、樹脂を硬化させた後、成形品を脱型させる。
一般には、平板状に形成された基材積層体(例えば、複数枚の強化繊維基材)を所定形状に賦形して、プリフォームを作製する。そして、そのプリフォームを成形型内に配置して、マトリックス樹脂を型内に注入し、基材に含浸した樹脂を硬化させる。
RTMにおいて用いられる強化繊維布帛として、織物やノンクリンプファブリック(Non Crimp Fabric:「NCF」と称することがある。)がある。織物においては、強化繊維束の縦糸と緯糸とが織り合わさることで布帛形態が形成される。一方、NCFにおいては、一方向に引きそろえられた強化繊維束からなる層が2層以上積層され、ステッチ糸もしくは樹脂バインダ等を用いて厚み方向に接合されることで、布帛形態が形成される。
これらの布帛形態の違いにより生じる強化繊維布帛の特徴の違いとして、外力を受けた際の強化繊維布帛のせん断変形のしやすさがあげられる。織物においては、それぞれの強化繊維束が別の強化繊維束と接合されておらず、互いの接触部における摩擦により、強化繊維束間で外力が伝搬される。このため、織物は、縦糸と緯糸とが規定する平面内において、せん断変形することができる。
一方、NCFにおいては、それぞれの強化繊維束が別の強化繊維束と接合されており、強化繊維束同士が拘束されている。せん断力を受けた場合には、NCFは、接合箇所の近傍においてヨレながら変形する。このため、NCFは、織物にくらべて、縦糸と緯糸とが規定する平面内において、せん断変形しにくい。よって、とりわけ複雑な形状のプリフォームを製作する際には、変形性に優れた布帛形態である織物が好適であった。
これらの強化繊維布帛は、織機もしくは経編機等により、一定幅のものが連続的に生産され、ロールに巻き取られて保持され、搬送される。このため、前記のプリフォームを製造する場合には、ロールから必要な量だけ強化繊維布帛が引き出され、所望の形状に裁断されて、積層される。
ところが、上記の方法においては、一定幅の(すなわち、略矩形の)強化繊維布帛から製品形状の強化繊維布帛を切り出した後に残る端材が多く生成され、強化繊維の廃棄量が増加する。このため、上記の方法は、製造コストが高いという課題があった。
そこで、一定幅の(すなわち、略矩形の)強化繊維布帛から製品形状の強化繊維布帛を切り出すのではなく、最初から製品形状に合わせて必要箇所に強化繊維束を順次配置していく、ファイバープレイスメント法が注目されている。ファイバープレイスメント法によれば、廃棄される端材の量を大幅に低減することができる。
ファイバープレイスメント法でプリフォームを生成する場合には、(i)3次元形状を有する型に強化繊維束を直接貼り付けていくことにより、3次元形状の基材積層体(プリフォーム)を得る方法と、(ii)平面状の強化繊維シートを作製し、これを積層して基材積層体を生成したのちに、これを賦形して3次元形状のプリフォームを得る方法と、が知られている。
3次元形状を有する型に強化繊維束を直接貼り付ける場合には、例えば、タック性を有する強化繊維束を型上にダイレクトに配置し、強化繊維層を型に固着させながら成形品形状に形成していく。このため、賦形によりプリフォームを作製する工程が不要である。しかし、強化繊維束を型上に配置する際には、強化繊維束を配置するヘッドを、3次元空間内において、型の形状に沿わせて動かす必要がある。このため、以下のような課題がある。すなわち、型の形状が複雑な場合には、強化繊維束配置ヘッドと型が干渉するため、強化繊維束を配置できないことがある。また、型の形状が複雑な場合には、強化繊維束を高速に配置することができず、生産性が低い。
一方、平面状のシートを作製する場合においては、以下のような処理が行われる。タック性を有する強化繊維束もしくはドライの(すなわち、タック性を有さない)強化繊維束を、一方向に沿って、平面状かつ所望の2次元形状に並べて、ひとつの強化繊維層を形成する。その際、隣り合う強化繊維束が拘束される。そして、複数の前記強化繊維層が積層されて、層同士が拘束される。その結果、シート形態、すなわち平板状の基材積層体が形成される。この技術においては、強化繊維束配置ヘッドは3次元的に動く必要がないため、強化繊維束は高速に配置され得る。ただし、後工程として、平板状の基材積層体を賦形してプリフォームを製作する工程が必要となる。
このように、ファイバープレイスメント法は、製品の形状に合わせて、必要箇所に強化繊維束を順次配置していくため、所望の形状の強化繊維布帛を得るために矩形形状の強化繊維布帛から端材を切り離す必要がない。よって、ファイバープレイスメント法は、廃棄量を大幅に低減できるという特徴がある。しかし、ファイバープレイスメント法は、強化繊維束を順次配置していく方式であるために、製作できるシート形態には制限がある。すなわち、ファイバープレイスメント法で製造された強化繊維布帛は、織物のような、強化繊維同士が立体的に交差する織構造のシート形態をとることができない。このため、ファイバープレイスメント法によって製造されるシートは、NCF同様、ステッチ糸もしくは樹脂バインダ等を用いて厚み方向に強化繊維束を接合した形態に制限される。そのため、ファイバープレイスメント法で製作した強化繊維シートは、外力を受けた際の平面内でのせん断変形しにくいという課題があった。
これらの課題を解決する手段として、ノンクリンプファブリックの形態で製作した強化繊維シートの変形性を向上する試みがなされている。例えば、一方向に引きそろえられた強化繊維層の2層以上を、ステッチ糸で厚み方向に接合する際、ステッチ糸の種類やステッチパターンを選択することで、シートの変形のしやすさを向上させる方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、ステッチ糸によるシートの拘束具合をコントロールすることで、変形の必要性に併せてシートの変形しやすさを制御することができる。
また、複数積層された基材がステッチ糸により厚み方向に一体化された多軸ステッチ基材において、ステッチ糸が一部切断されている技術が提案されている(特許文献2参照)。この方法では、積層基材の厚み方向にステッチ糸で一定の拘束を与えつつも、ステッチ糸が一部切断されているため、ステッチ糸の切断具合をコントロールすることで、変形の必要性に併せてシートの変形しやすさを制御することができる。
特表2011−530014号公報 特開2007−092232号公報
ステッチ糸によるシートの拘束具合を緩めて変形性を向上させる特許文献1の技術においては、外力を受けた場合に、強化繊維束がヨレながら変形しやすい一方で、シート全体のせん断変形性を十分向上させることはできない。また、特許文献2の技術においても、外力を受けた場合に、強化繊維束がヨレながら変形しやすくなる一方で、シート全体のせん断変形性を十分向上させることはできない。そのため、ファイバープレイスメント法で製作される強化繊維シートは、外力を受けた際の変形性に関して、依然として、改善の余地があった。
本開示は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、強化繊維シートが提供される。この強化繊維シートは:互いに略平行に配される複数の第1のストランドを備え、前記強化繊維シートの一方の表面に位置する第1の強化繊維層と;互いに略平行に配される複数の第2のストランドを備え、前記強化繊維シートの他方の表面に位置する第2の強化繊維層と;互いに重ならないように略平行に配される複数の第3のストランドをそれぞれ備え、前記第1の強化繊維層と前記第2の強化繊維層との間に位置する1以上の第3の強化繊維層と、を備える。前記第3のストランドと前記第1のストランドとがなす角の大きさは、前記第2のストランドと前記第1のストランドとがなす角の大きさよりも、90度に近い。前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとは、それぞれ前記複数の第3のストランドに接合されず、前記複数の第3のストランドの間の複数の部位において、互いに接合されている。
このような態様とすれば、第3のストランドは、第3の強化繊維層の層内かつ第3のストランドの長手方向に垂直な方向については、第1のストランドと第2のストランドとが互いに接合されている複数の部位によって位置を拘束される。そして、第3のストランドは、強化繊維シートの厚み方向については、第1のストランドと第2のストランドの間の位置に配される。そして、複数の第3のストランドは、互いに重ならないように配され、第1のストランドと第2のストランドにも接合されていない。このため、複数の第3のストランドは、長手方向については、相対的に変位することができる。また、複数の第3のストランドは、第1のストランドと第2のストランドに対して傾くことができる。よって、強化繊維シートがシートの面内で作用するせん断力を受けた際に、複数の第3のストランドが互いに変位することによって、強化繊維シートは、複数の第3のストランドの相対位置が固定されている態様に比べて、より容易に、せん断変形することができる。
(2)上記形態の強化繊維シートにおいて、前記各第1のストランドと前記各第2のストランドとは、互いに平行かつ向かい合うように配されている、態様とすることができる。このような態様においては、相互に接合される第1のストランドと第2のストランドの複数の組は、長手方向について、相対的に変位することができる。よって、強化繊維シートがシートの面内で作用するせん断力を受けた際に、第1と第2のストランドの複数の組が互いに変位することによって、強化繊維シートは、第1と第2のストランドの複数の組の相対位置が固定されている態様に比べて、より容易に、せん断変形することができる。
(3)上記形態の強化繊維シートにおいて、複数の前記第3の強化繊維層を備え、前記複数の第3の強化繊維層がそれぞれ備える前記複数の第3のストランドは、互いに略平行に配されている、態様とすることができる。このような態様とすれば、複数の第3の強化繊維層の複数の第3のストランドは、互いの変位を阻害することなく、長手方向について、相対的に変位することができる。よって、強化繊維シートがシートの面内で作用するせん断力を受けた際に、複数の第3の強化繊維層の複数の第3のストランドが互いに略平行ではない態様に比べて、強化繊維シートは、より容易に、せん断変形することができる。
(4)上記形態の強化繊維シートにおいて、前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとが接合されている前記複数の部位は、一つの前記第3の強化繊維層の前記複数の第3のストランドの向きと平行に並ぶ、態様とすることができる。このような態様とすれば、第1と第2のストランドが接合されている複数の部位が、第3のストランドの向きと平行ではない態様と比べて、第3のストランドは、接合部位の間において、長手方向に垂直な方向により大きく変位することができる。よって、強化繊維シートがシートの面内で作用するせん断力を受けた際に、強化繊維シートは、より容易に、せん断変形することができる。
(5)上記形態の強化繊維シートにおいて、前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとが接合されている前記複数の部位は、前記第1のストランドの長手方向について、等間隔に配されている、態様とすることができる。このような態様とすれば、第1と第2のストランドが接合されている複数の部位が、第1と第2のストランドの長手方向について等間隔ではない態様と比べて、複数の第3のストランドは、接合部位の間において、長手方向に垂直な方向に互いに同程度に変位することができる。よって、強化繊維シートがシートの面内で作用するせん断力を受けた際に、強化繊維シートは、より容易に、せん断変形することができる。
(6)上記形態の強化繊維シートにおいて、前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとは樹脂バインダで接合されている、態様とすることができる。
本発明は、強化繊維シート以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、強化繊維シートの製造方法、強化繊維シートを使用して製造された繊維強化樹脂成形体等の形態で実現することができる。
本開示によれば、外力を受けた際のせん断変形性が良好な強化繊維シートが得られる。
本開示の一実施態様に係る強化繊維シート100を模式的に示す断面図である。 本開示の一実施態様に係る強化繊維シート100を模式的に示す平面図である。 本開示に係る強化繊維シート100が面内方向の外力を受けた際のせん断変形の様子を示す平面図である。 本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート300を模式的に示す平面図である。 本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート400を模式的に示す平面図である。 本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート500を模式的に示す断面図である。 本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート500を模式的に示す平面図である。
A.実施形態:
本開示の強化繊維シートは、1方向に引きそろえた強化繊維層を少なくとも3層以上積層し、層間の一部を接合した強化繊維シートであって、次の条件を満たす強化繊維シートである。
A)最外層同士が少なくとも一部接合されている。
B)内層のストランド間に隙間を有する。
C)最外層の接合位置は、内層の隙間位置に含まれる。
以下で、本開示の強化繊維シートを実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
A1.第1の実施形態:
図1は、本開示の一実施態様に係る強化繊維シート100を模式的に示す断面図である。図2は、本開示の一実施態様に係る強化繊維シート100を模式的に示す平面図である。強化繊維シート100は、強化繊維層が少なくとも3層以上積層されることにより形成される。各強化繊維層101,102,103は、一方向に引き揃えられた複数の強化繊維束(以下、「ストランド」という)を備える。各層内のストランドの幅は略一定である。最外層の強化繊維層を強化繊維層101,102として示す。すなわち、強化繊維層101,102は、強化繊維シート100の表面に位置する。強化繊維層101,102の間に位置する内層としての強化繊維層を、強化繊維層103として示す。
強化繊維層103のストランド103sと強化繊維層101のストランド101sとがなす角の大きさは、90度である(図2参照)。なお、本明細書において、二つのストランドがなす角の大きさは、二つのストランドがなす二つの角度のうちの小さい方の角度の大きさである。また、一つのストランドの向きは、ストランドの両端におけるストランドの幅方向の中央の点を結んだ直線によって、規定される。
強化繊維層102のストランド102sと強化繊維層101のストランド101sとがなす角は、0である。すなわち、ストランド102sとストランド101sは、互いに平行に配される(図2参照)。そして、強化繊維層102の各ストランド102sと強化繊維層101の各ストランド101sとは、互いに向かい合うように配される(図2参照)。すなわち、ストランド102sとストランド101sとは、ストランド103sの長手方向(図2において上下方向)について、同じ位置に配される。互いに向かい合う一対のストランド101s,102sを、ストランド対107sと呼ぶ。
強化繊維層103のストランド103s同士は、互いに隙間104を有している。すなわち、強化繊維層103のストランド103s同士は、互いに重ならないように配されている。最外層の強化繊維層101,102のストランド101s,102sは、互いに複数の部位105において、接合されている。接合される部位105は、円形であることが好ましい。強化繊維層101,102,103の積層方向に沿ってみたときに、強化繊維層101,102のストランド101s,102sの長手方向(図1および図2の左右方向)について、各接合部位105は、強化繊維層103の隙間104の範囲内に含まれる(図2参照)。
強化繊維シート100においては、内層の強化繊維層103のストランド103sは、最外層の強化繊維層101,102のストランド101s,102sとは接合されていない。すなわち、強化繊維層103のストランド103sは、最外層の強化繊維層101,102のストランド101s,102sとは接触するのみである。その結果、ストランド103sと、ストランド101s,102sとは、互いに独立している。
一方、最外層の強化繊維層101,102のストランドのうち、互いに向かい合う一対のストランド101s,102sであるストランド対107sは、一部の部位105において接合されている。しかし、一つのストランド対107sは、他のストランド対107sとは、接合されていない。
図3は、本開示に係る強化繊維シート100が面内方向の外力を受けた際のせん断変形の様子を示す平面図である。上記のような構成を備える結果、強化繊維シート100が、強化繊維シート100の面の方向に沿ったせん断力である外力106を受けたとき、強化繊維層103の複数のストランドは、それぞれ相対的に変位し得る。また、強化繊維層101,102の複数のストランド対107sも、それぞれ相対的に変位し得る。そして、強化繊維層103の複数のストランドと、強化繊維層101,102の複数のストランド対107sとは、互いの接触部での摩擦により外力を伝搬する。このため、強化繊維シート100は、繊維束同士が干渉することなく布帛全体でせん断変形することができる。すなわち、本開示に係る強化繊維シート100は、一方向に引き揃えられた複数のストランドからなる層を複数積層したノンクリンプ構造でありながら(図1〜図3参照)、織物と類似したせん断変形をすることができる。
ここで、強化繊維層101,102,103において用いられる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維、アルミナ繊維および窒化珪素繊維などが挙げられる。特に、より成形体を軽量化できることから、強化繊維層101,102,103において用いられる強化繊維としては、炭素繊維が好ましく用いられる。
また、強化繊維層101,102,103において用いられるストランドとして、複数種の強化繊維または強化繊維と有機繊維の合繊糸から構成されるストランドを用いることもできる。その場合に用いられる有機繊維としては、例えば、ポリアミド系合成繊維、ポリオレフィン系合成繊維、ポリエステル系合成繊維、ポリフェニルスルフォン系合成繊維、ポリベンゾオキサジン系合成繊維、アセテート、アクリロニトリル系合成繊維、モダクリル繊維、ポリ塩化ビニル系合成繊維、ポリ塩化ビニリデン系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、ポリウレタン繊維、ポリクラール繊維、タンパク−アクリロニトリル共重合系繊維、フッ素系繊維、ポリグリコール酸繊維、フェノール繊維、およびパラ系アラミド繊維などが挙げられる。
ストランドを構成する強化繊維の単繊維数は、3000本〜60000本であることが好ましく、10000本〜60000本であることがより好ましい態様である。ストランドが細くなるほど、ファイバープレイスメントでのシート製作時に、強化繊維層の形状を製品形状に合わせた所望の形状に近づけることができ、繊維の廃棄量を減少させることができる。一方、ストランドが細くなるほど、より多くの本数のストランドを配置することとなる。その結果、ストランドの配置に時間を要し、生産性を低下させる。
ストランドとしては、例えば、事前にサイジング処理、開繊処理およびバインダ付与等の前処理を施したストランドを用いることもできる。例えば、サイジング処理を施すことにより、ストランドの集束性を向上させ、毛羽の発生を抑制させることができる。また、開繊処理を施すことにより、前記ストランドの厚みと幅の比(アスペクト比)を調整して、後工程のプリフォーム工程、RTM成形工程の条件に適したアスペクト比に設定することができる。さらに、バインダ付与等の前処理を施すことにより、ストランド間の固着状態を均一なものにすることができる。
本実施形態の強化繊維層101が、[課題を解決するための手段]における「第1の強化繊維層」に対応する。強化繊維層101に含まれるストランド101sが、「第1のストランド」に対応する。強化繊維層102が、「第2の強化繊維層」に対応する。強化繊維層102に含まれるストランド102sが、「第2のストランド」に対応する。強化繊維層103が、「第3の強化繊維層」に対応する。強化繊維層103に含まれるストランド103sが、「第3のストランド」に対応する。
A2.第2の実施形態:
図4は、本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート300を模式的に示す平面図である。強化繊維シート300においては、最外層の強化繊維層301,302の間に位置する強化繊維層303a,303bは、2層ある。
強化繊維層303aの各ストランド303asと強化繊維層303bの各ストランド303bsとは、互いに向かい合うように配される。すなわち、ストランド303asとストランド303bsとは、最外層の強化繊維層301のストランド301sの長手方向(図4において左右方向)について、同じ位置に配される。ストランド303asとストランド303bsとは、互いに接合されていない。
このような態様とすることにより、複数の強化繊維層303a,303bの複数のストランド303as,303bsは、互いの変位を阻害することなく、長手方向について、相対的に変位することができる。よって、強化繊維シート300がシートの面内で作用するせん断力を受けた際に、ストランド303as,303bsが互いに略平行ではない態様に比べて、強化繊維シートは、より容易に、せん断変形することができる。
また、強化繊維シート300においては、強化繊維シートを構成する最外層の強化繊維層301,302のストランド301s,302sの向きが図1および図2の強化繊維シート100とは異なる。
強化繊維層301,302のストランド301s,302sは、互いに平行ではない。すなわち、強化繊維層302のストランド302sは、強化繊維層301のストランド301sに対して、約5度の角度をなすように配される。強化繊維層301のストランド301sは、強化繊維層301,302に挟まれた内層の強化繊維層303a,303bのストランド303as,303bsに対して、90度の角度をなすように配される。強化繊維層302のストランド302sは、ストランド303as,303bsに対して、90度より小さい角度(約85度」)をなすように配される。
強化繊維シート300においては、一つのストランド302sは、2以上のストランド301sと接合される。一つのストランド301sは、2以上のストランド302sと接合される。
強化繊維シート300の他の点は、強化繊維シート100と同じである。すなわち、最外層の強化繊維層301,302を構成するストランド301s,302sは、複数の向かい合う部位305において、接合されている。接合部位305は、強化繊維層301,302に挟まれた内層の強化繊維層303a,303bのストランド303as,303bsの層内の隙間304内に位置する。そして、ストランド303as,303bsは、強化繊維層301,302のストランド301s,302sとは接合されていない。
本開示の強化繊維シートを構成する最外層の繊維束の向きは特に制限されていない。たとえば、図4の強化繊維シート300のように最外層の強化繊維層301,302のストランド301s,302sの配向が異なっていてもかまわない。しかし、最外層同士が複数のストランドをまたぐように接合されると、接合された複数のストランドが一体となり拘束されてせん断変形しにくくなる。また、シートの形態保持が安定しにくくなる。このため、最外層の繊維配向は一致することが特に好ましい(図2参照)。
本実施形態の強化繊維層301が、[課題を解決するための手段]における「第1の強化繊維層」に対応する。強化繊維層301に含まれるストランド301sが、「第1のストランド」に対応する。強化繊維層302が、「第2の強化繊維層」に対応する。強化繊維層302に含まれるストランド302sが、「第2のストランド」に対応する。強化繊維層303a,303bが、「第3の強化繊維層」に対応する。強化繊維層303a,303bに含まれるストランド303as,303bsが、「第3のストランド」に対応する。
A3.第3の実施形態:
図5は、本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート400を模式的に示す平面図である。強化繊維シート400は、強化繊維シートを構成する最外層の強化繊維層401,402に挟まれた強化繊維層403a,403bの数、ならびに強化繊維層403aのストランド403asの向きが、図1および図2の強化繊維シート100とは異なる。なお、図5において、強化繊維層401は、もっとも奥に位置する層であるため、明示的に示されていない。強化繊維層401は、ストランド401sによって構成される層である。
強化繊維シート400においては、最外層の強化繊維層401,402の間には、二つの強化繊維層403a,403bが存在する。そして、強化繊維層403a,403bのストランド403as,403bsは、互いに約3度の角度をなすように配される。強化繊維層403bのストランド403bsは、強化繊維層401,402のストランド401s,402sに対して、90度の角度をなすように配される。強化繊維層403aのストランド403asは、強化繊維層401,402のストランド401s,402sに対して、90度より小さい角度(約87度)をなすように配される。
強化繊維シート400の他の点は、強化繊維シート100と同じである。すなわち、最外層の強化繊維層401,402を構成するストランド401s,402sは、複数の向かい合う部位405において、接合されている。そして、強化繊維層401,402に挟まれた内層の強化繊維層403a,403bのストランド403as,403bsは、強化繊維層401,402のストランド401s,402sとは接合されていない。
本開示の強化繊維シートを構成する最外層以外の繊維配向は特に制限されていない。たとえば、図5の強化繊維シート400のように、最外層に挟まれた強化繊維層403a,403bのストランド403as,403bsの向きが異なっていてもかまわない。しかし、最外層に挟まれた強化繊維層403a,403bのストランド403as,403bsの向きが異なると、内層としての強化繊維層403a,403bにおける隙間404が狭まって、強化繊維層403a,403b内の隣のストランドと接触しやすくなる。その結果、強化繊維シート400のせん断変形のしやすさが低下する。このため、最外層に挟まれた強化繊維層403a,403bのストランドは、互いに平行であることが特に好ましい。
本実施形態の強化繊維層401が、[課題を解決するための手段]における「第1の強化繊維層」に対応する。強化繊維層401に含まれるストランド401sが、「第1のストランド」に対応する。強化繊維層402が、「第2の強化繊維層」に対応する。強化繊維層402に含まれるストランド402sが、「第2のストランド」に対応する。強化繊維層403a,403bが、「第3の強化繊維層」に対応する。強化繊維層403a,403bに含まれるストランド403as,403bsが、「第3のストランド」に対応する。
A4.第4の実施形態:
図6は、本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート500を模式的に示す断面図である。図7は、本開示の他の実施態様に係る強化繊維シート500を模式的に示す平面図である。強化繊維シート500においては、最外層の強化繊維層501,502を構成するストランド501s,502sの接合部位505が、図1および図2の強化繊維シート500の接合部位105とは異なる。強化繊維シート500の他の点は、強化繊維シート100と同じである。
強化繊維シート500においては、最外層の強化繊維層501,502を構成するストランド501s,502sの接合部位505は、強化繊維層501,502に挟まれた内層の強化繊維層503のストランド503sの長手方向に沿って配されている。ストランド503sの長手方向に沿って配されている複数の接合部位505を、図7において、破線で囲んだ領域506で示す。強化繊維層503の隣接するストランド503s,503sの間に配される接合部位505は、強化繊維層503のストランド503sと平行に並んで配される。
接合部位505が強化繊維層503の隣り合うストランド503s,503sの間にランダムに配されていると(図2参照)、強化繊維層503のストランドの長手方向に垂直な方向(図6および図7において左右方向)について、強化繊維層503のストランド503sと隣接する隙間504にある任意の接合部位505との最短距離が小さくなる。すなわち、強化繊維層503のストランド503sが、その長手方向に垂直な方向に変位しうる余地が小さくなる。その結果、強化繊維シートのせん断変形のしやすさが低下する。
これに対して、強化繊維シート500においては、最外層の強化繊維層501,502を構成するストランド501s,502sの接合部位505は、強化繊維層501,502に挟まれた内層の強化繊維層503の長手方向に沿って配されている。すなわち、強化繊維層503のストランド503sと隣接する隙間504にある任意の接合部位505との最短距離が最大化されている。このため、強化繊維層503のストランド503sが、その長手方向に垂直な方向に変位しうる余地が大きい。その結果、強化繊維シート500がせん断変形しやすい。
また、向かい合う一対のストランド501s,502sであるストランド対507sにおいて、接合部位505は、両端の部位を除いて等間隔に配されている。そして、接合部位505は、隣り合うストランド503s,503sのすべての間に配されている。このような態様とすれば、ストランド501s,502sが接合されている複数の部位505が、ストランド501s,502sの長手方向について等間隔ではない態様と比べて、複数のストランド503sは、接合部位505の間において、長手方向に垂直な方向(図7において左右方向)に互いに同程度に変位することができる。よって、強化繊維シート500がシートの面内で作用するせん断力を受けた際に、全体として均等に、せん断変形することができる。
なお、強化繊維層503の長手方向に沿って伸びる複数の領域506の並びの間隔は、均一であり、強化繊維層503のストランド503sの幅の1.2倍よりも大きいことが好ましい。複数の領域506の間隔は、強化繊維層503のストランド503sの幅の1.5倍よりも大きいことが、さらに好ましい。領域506の間隔が強化繊維層503のストランドの幅の1.2倍未満の場合、強化繊維層503のストランド503sが隣のストランド503sと接触しやすくなり、強化繊維シート500のせん断変形のしやすさが低下するためである。なお、本明細書において、ストランドの「幅」とは、ストランドを強化繊維シートの積層方向に沿ってみたときの、ストランドの長手方向に垂直な方向の寸法である。領域同士の「間隔」とは、それぞれの領域に含まれる互いに最も近い地点の距離である。
本実施形態の強化繊維層501が、[課題を解決するための手段]における「第1の強化繊維層」に対応する。強化繊維層501に含まれるストランド501sが、「第1のストランド」に対応する。強化繊維層502が、「第2の強化繊維層」に対応する。強化繊維層502に含まれるストランド502sが、「第2のストランド」に対応する。強化繊維層503が、「第3の強化繊維層」に対応する。強化繊維層503に含まれるストランド503sが、「第3のストランド」に対応する。
A5.強化繊維層の接合:
本開示の強化繊維シートにおいては、強化繊維層もしくはストランドの少なくとも片面に、樹脂バインダが存在していることが好ましい。樹脂バインダは、強化繊維層もしくはストランドの表層に固着させることができ、強化繊維シートの最外層同士を固着して接合する作用を得ることができるものである。樹脂バインダとしては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリイミドおよびポリアミドイミドなどの樹脂が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂などが挙げられる。
強化繊維シートの層間および表層に存在する樹脂バインダの付与量は、前記の強化繊維シートが100質量部であるのに対して、0.1〜20質量部の範囲であることが好ましい。固着材としての樹脂バインダの付与量が0.1質量部より小さい場合は、強化繊維層同士および/またはストランド同士を樹脂バインダで結合しても、強化繊維シートとして形状を保持することが困難となる。一方、固着材としての樹脂バインダの付与量が20質量部よりも大きい場合、強化繊維シート全体における樹脂バインダの拘束が強いために、型への形状追従性を阻害する可能性がある。特に、樹脂バインダの付与量が、強化繊維シートが100質量部に対して、2〜10質量部であるとき、シートの形状を保ちつつ型への形状追従性が比較的良好なため、より好ましい態様である。
樹脂バインダの形態は、例えば、粉末状や線状であってもよい。また、樹脂バインダは、不織布形態として層間に配することもできる。
樹脂バインダを強化繊維に付着する際の付着方法は、例えば、前処理としてストランドに樹脂バインダを散布して付着させてもよく、ファイバープレイスメント法でストランドを引き揃えた後に、強化繊維層の上に樹脂バインダを散布して、ストランドに樹脂バインダを付着させることもできる。
樹脂バインダによって強化繊維シートの層間を固着する方法としては、例えば、強化繊維シートの層間に樹脂バインダが存在する状態で、赤外線ヒータを用いて樹脂バインダを加熱し溶融する方法や、加熱した金属平板で強化繊維シートの全面を加熱し加圧する方法が挙げられる。
前記の強化繊維シートとマトリックス樹脂を用いて繊維強化樹脂成形体を作製する場合、使用するマトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に限らず、アクリル樹脂やポリアミド樹脂、およびポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができる。
本開示の強化繊維シートは、RTM成形方法による繊維強化樹脂成形体を作製する場合に用いられ、その繊維強化樹脂成形体の用途は、例えば、自動車のフード、ルーフ、ドア、フェンダ、トランクリッド、サイドパネル、リアエンドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジなどの、自動車外板、自動車ボディー部品、および自動車構造材などに用いられる。
B.実施例:
次に、本開示の強化繊維シートについて、実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
<強化繊維>
強化繊維として、予めサイジング処理を施した、東レ株式会社製炭素繊維“トレカ”(登録商標)T800SCを使用した。実施例においては、ストランドの幅が6.5mmで、一つのストランドの単繊維数が24000本のストランドを使用した。
<樹脂バインダ付与>
散布装置を用いて、エポキシ樹脂粒子(Huntsman社製LT3366、粒径:100μm、融点:80℃)をストランドに散布し、赤外線ヒータを用いて、表層の強化繊維層を130℃の温度の状態で30秒間加熱して、エポキシ樹脂粒子をストランド上に付着した。
<強化繊維層>
ファイバープレイスメントヘッドを用いて、架台上にストランドを一方向に沿って配し、200mm×300mmの長方形形状となるように強化繊維層を作製した。その際、1層内における隣接するストランド同士の隙間が6.5mmになるようストランドを配した。そのような強化繊維層を3層積層した。
<積層と固着>
最下層の強化繊維層の上に、繊維束の向きが1層目の繊維束の向きに対して90度となるように、2層目の強化繊維層を形成した。2層目の強化繊維層の上に、繊維束の向きが1層目と一致するように、3層目の強化繊維層を形成した。2層目の強化繊維同士の隙間において、ランダムな位置で1層目と3層目の層間を固着して強化繊維シートを製作した。
<賦形>
湾曲形状の凹部を有する型(幅:100mm、高さ:70mm、長さ:1000mm、曲率:3000mm)の上に作製した強化繊維シートを配置して、型温度が20℃であることを確認した後、プレス賦形を実施した。その後、型を110℃に加熱し、50kPaで加圧し、30秒間保持することにより、プリフォームを作製した。型を30℃まで冷却し、プリフォームを取り出した。強化繊維シートはせん断変形により繊維束のアライメントを失うことなく型形状に沿うことができ、良好な賦形性能を有することが確認できた。
<成形>
上記プリフォームを110℃の温度に保ったRTM成形用両面型の下型に載置し、上型を閉じ、真空ポンプによって型内の空気を排出した。次いで、型内に2液性エポキシ樹脂(主剤:Momentive社製、硬化剤:東レ株式会社製、酸無水物系硬化剤)を、注入圧0.5MPaで注入し、プリフォームに含浸させ、10分間放置した。このようにして、繊維強化樹脂成形品を得た。
得られた繊維強化樹脂成形品は、表面に見えるストランドに大きな乱れはなくシワも存在しない滑らかな表面を有しており、繊維強化樹脂成形品として特に優れたものであった。
C.他の実施形態:
(1)強化繊維シート100(図2参照)においては、強化繊維層103のストランド103sと、強化繊維層101のストランド101sと、がなす角の大きさは90度である。一方、強化繊維層102のストランド102sと、強化繊維層101のストランド101sと、がなす角は0である。強化繊維シート500においても同様である。
これに対して、強化繊維シート300(図4参照)においては、強化繊維層303のストランド303as,303bsと、強化繊維層301のストランド301sと、がなす角の大きさは90度である。強化繊維層303のストランド303as,303bsと、強化繊維層302のストランド302sと、がなす角の大きさは約85度である。一方、強化繊維層302のストランド302sと、強化繊維層301のストランド301sと、がなす角は約5度である。
また、強化繊維シート400(図5参照)においては、強化繊維層403bのストランド403bsと、強化繊維層401,402のストランド401s,402sとがなす角の大きさは、90度である。強化繊維層403aのストランド403asと、強化繊維層401,402のストランド401s,402sとがなす角の大きさは、約87度である。一方、強化繊維層402のストランド402sと強化繊維層401のストランド401sとがなす角は、0である。
しかし、各層のストランドのなす角は、上記の態様に限られない。すなわち、本開示においては、内層の第3のストランドと一方の最外層の第1のストランドとがなす角の大きさは、他方の最外層の第2のストランドと第1のストランドとがなす角の大きさ(たとえば、強化繊維シート100,400,500において0。強化繊維シート300において約5度)よりも、90度に近ければよい。
(2)上記実施形態においては、最外層である強化繊維層101,301,401,501のストランド101s,301s,401s,501sは、互いに離れている。しかし、最外層の複数の第1のストランドは、互いに重なっていてもよい。
上記実施形態においては、最外層である強化繊維層102,302,402,502のストランド102s,302s,402s,502sは、互いに離れている。しかし、最外層の複数の第2のストランドは、互いに重なっていてもよい。
(3)上記強化繊維シート300においては、一つのストランド302sは、2以上のストランド301sは、と接合される。一つのストランド301sは、2以上のストランド302sは、と接合される。その結果、3以上のストランド301s,302sが互いに固定され得る。しかし、強化繊維シート100,400,500のように、互いに向かい固定されているストランド対107s,407s,507sが、他のストランド対に対して固定されていないことが好ましい。
(4)上記実施形態においては、最外層の強化繊維層は、樹脂バインダで接合される。しかし、最外層の強化繊維層は、互いに縫合されて接合されてもよいし、ステープラーなどの部材によって結合されてもよい。
本開示は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
100…強化繊維シート
101…強化繊維層
101s…ストランド
102…強化繊維層
102s…ストランド
103…強化繊維層
103s…ストランド
104…隙間
105…接合部位
106…外力
107s…ストランド対
300…強化繊維シート
301…強化繊維層
301s…ストランド
302…強化繊維層
302s…ストランド
303a…強化繊維層
303as…ストランド
303b…強化繊維層
303bs…ストランド
305…接合部位
400…強化繊維シート
401…強化繊維層
401s…ストランド
402…強化繊維層
402s…ストランド
403…強化繊維層
403a…強化繊維層
403as…ストランド
403b…強化繊維層
403bs…ストランド
404…隙間
405…接合部位
407s…ストランド対
500…強化繊維シート
501…強化繊維層
501s…ストランド
502…強化繊維層
502s…ストランド
503…強化繊維層
503s…ストランド
504…隙間
505…接合部位
506…領域
507s…ストラインド対

Claims (2)

  1. 強化繊維シートであって、
    互いに略平行に配される複数の第1のストランドを備え、前記強化繊維シートの一方の表面に位置する第1の強化繊維層と、
    互いに略平行に配される複数の第2のストランドを備え、前記強化繊維シートの他方の表面に位置する第2の強化繊維層と、
    互い略平行に配される複数の第3のストランドをそれぞれ備え、前記第1の強化繊維層と前記第2の強化繊維層との間に位置する1以上の第3の強化繊維層と、を備え、
    前記第3のストランドと前記第1のストランドに垂直な方向から見たときの、前記第3のストランドと前記第1のストランドとがなす二つの角度のうち小さい方の角度の大きさは、前記第2のストランドと前記第1のストランドに垂直な方向から見たときの、前記第2のストランドと前記第1のストランドとがなす二つの角度のうち小さい方の角度の大きさよりも、90度に近く、
    前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとは、
    互いに平行かつ向かい合うように配されており、
    それぞれ前記複数の第3のストランドに接合されず、
    前記複数の第3のストランドの間の複数の部位において、互いに接合されており、
    前記複数の第3の強化繊維層がそれぞれ備える前記複数の第3のストランドは、一つの第3の強化繊維層内において互いに重ならず、かつ、互いに略平行に配されており、
    前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとが接合されている前記複数の部位は、一つの前記第3の強化繊維層の前記複数の第3のストランドの向きと平行に並び、かつ、前記第1のストランドの長手方向について、等間隔に配されており、
    前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとが接合されている前記複数の部位の、前記複数の第3のストランドの向きと平行な並びの間隔は、均一であって、前記第3のストランドの幅の1.2倍より大きい、強化繊維シート。
  2. 請求項1記載の強化繊維シートであって、
    前記複数の第1のストランドと前記複数の第2のストランドとは樹脂バインダで接合されている、強化繊維シート。
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