JP6887815B2 - 耐熱性熱伝導性シリコーン組成物 - Google Patents

耐熱性熱伝導性シリコーン組成物 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品などの熱伝導部品などに使用される熱伝導性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、耐熱性と熱伝導性を有するシリコーンポリマーベースのゴム,ゲル,パテなどの放熱材料組成物を提供し、またそれら放熱材料の製造に有用な前駆組成物に関する。
コンピュータ(CPU)、トランジスタ、発光ダイオード(LED)などの半導体は使用中に発熱し、その熱のため電子部品の性能が低下することがある。そのため発熱するような電子部品には放熱体が取り付けられる。放熱器は金属であることが多いためCPUと放熱部との密着をよくするため、シート状やゲル状にした熱伝導性組成物を挿入して密着度を高める方法がとられている。このような熱伝導性組成物は、最終目的である放熱材料の熱伝導率を向上させるためには熱伝導性無機粉体を大量に含有させなければならないが、熱伝導性無機粉体の配合を単純に増加すると、エラストマー状の放熱材の場合には硬度が高くなり過ぎて、電子部品と放熱器の間隔を規定の薄さにセットできない問題、電子部品と放熱器の間隙を期待どおりに埋めることができないなどの問題があった。また、エラストマーやゲル状放熱材の場合には、圧縮永久歪みが大きくなって長期信頼性も低下する傾向があった。さらに高温熱履歴によって硬さが上昇する問題もあった。
これらの問題を解決するために、従来からさまざまな手法が提案されてきた。本出願人は特許文献1において、小粒子のアルミナをアルキルシラン化合物で表面処理することを提案している。また、10〜50μmの球状アルミナと、10μm未満の非球状アルミナを使用する放熱材料の提案(特許文献2)、0.1〜5μmの無定型アルミナと5〜50μmの球状アルミナを使用する提案(特許文献3)などがある。さらに特許文献4には、フタロシアニンを添加することにより長時間高温で保持しても硬化後に所望の柔軟性を有するシリコーン組成物が開示されている。
再表2009−136542号公報 特開昭62−251466号公報 特開平2−41362号公報 特表2014−503680号公報
しかし、従来の熱伝導性シリコーン組成物は耐熱性が十分ではなく、とくに高温熱履歴によって硬さが上昇する問題は未解決のままであった。
本発明は前記従来の問題を解決するため、高温熱履歴を受けても硬さの変化が少ない耐熱性熱伝導性シリコーン組成物を提供する。
本発明の耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、シリコーン樹脂と、熱伝導性フィラーと、耐熱性向上剤を含む耐熱性熱伝導性シリコーン組成物であって、前記熱伝導性フィラーは少なくとも球状溶融固化アルミナを含み、前記耐熱性向上剤は下記A及びBから選ばれる少なくとも一つであり、
A テトラヨードフタル酸金属塩、アセチルアセトン金属塩、2−エチルヘキサン酸金属塩、及びフタロシアニン金属から選ばれる少なくとも一つの有機金属錯体
B ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから選ばれる少なくとも一つの希土類金属
前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、発熱性電子部品からの発熱を放熱するための放熱材料組成物であることを特徴とする。
本発明は、熱伝導性フィラーとして少なくとも1種類以上の球状溶融固化アルミナを用い、耐熱性向上剤を含むことにより、高温熱履歴を受けても硬さの変化が少ない耐熱性熱伝導性シリコーン組成物を提供できる。すなわち、球状溶融固化アルミナと耐熱性向上剤を組み合わせることにより、高い耐熱性が得られる。
本発明者らは、シリコーン組成物について、従来から知られている耐熱性向上剤を添加してスクリーニングテストをしたところ、驚くべきことに、球状溶融固化アルミナと耐熱性向上剤を組み合わせると特異的に耐熱性が向上することを見つけた。とくに従来のシリコーン系熱伝導性ゲルは、高温履歴によって硬さが上昇するのが大きな問題であり、非常に柔軟な特性を有するゲルであるゆえに、硬さの大幅な上昇は、用途を拡大する際の制約になっていた。たとえば、高温履歴で硬さが70度(アスカーC)を超えないことは、その温度での使用可能性を判断する尺度になっている。ところが、球状溶融固化アルミナと耐熱性向上剤を組み合わせると、この問題を解決できることを見出した。球状溶融固化アルミナと耐熱性向上剤を組み合わせると特異的に耐熱性が向上する理由は定かではないが、球状溶融固化アルミナは、一般的に比表面積が小さく、シリコーン樹脂に含んだ際には、シリコーン樹脂と球状溶融固化アルミナとの界面面積(接触面積)が小さい。更には、球状溶融固化アルミナは高温履歴では破砕などの球状溶融固化フィラーでない他の熱伝導性フィラーと比べると高温履歴でのフィラー表面の活性が小さくシリコーン樹脂への熱劣化を抑制すると考えられる。このため、シリコーン樹脂と熱伝導性フィラーとの界面面積(接触面積)が大きいほど硬さ上昇などの悪影響を受け易いと考えられる。ただし、球状溶融固化アルミナを用いただけでは、シリコーン樹脂の熱劣化を抑制するのみに留まり、耐熱性の向上は期待できない。そこで耐熱性向上剤を組み合わせることで特異的に耐熱性が向上することを確認した。
本発明において、シリコーン組成物はエラストマー、ゲル、パテ、及びグリースから選ばれ、硬化システムは過酸化物、付加、縮合等いかなる方法を用いてもよい。本発明の耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、シリコーン樹脂と、熱伝導性フィラーと、耐熱性向上剤を含み、熱伝導性フィラーは球状溶融固化アルミナを含み、熱伝導率は0.8W/m・K以上である。好ましくは0.8〜10W/m・K、さらに好ましくは1〜10W/m・Kである。前記の範囲であれば、発熱体からの熱を効率よく放熱体又は大気に熱伝導させることができる。
前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、ゲルの場合、大気圧下、220℃、250時間の熱処理後のアスカーC硬度が60度以下であることが好ましい。さらに好ましくは50度以下である。また前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、エラストマーの場合、大気圧下、220℃、2000時間の熱処理後のショア―A硬度が80度以下、又は伸びが60%を下回らないことが好ましい。また前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、パテの場合、大気圧下、120℃、1000時間の熱処理後のアスカーC硬度が60度以下であることが好ましい。また前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、グリースの場合、大気圧下、150℃、250時間の熱処理後の熱抵抗値の変化幅が0.5℃・cm2/W以下であることが好ましい。前記の範囲であれば耐熱性は十分である。
前記耐熱性向上剤は、下記A〜Dから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
A テトラヨードフタル酸金属塩、アセチルアセトン金属塩、2−エチルヘキサン酸金属塩、及びフタロシアニン金属から選ばれる少なくとも一つの有機金属錯体
B セリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから選ばれる少なくとも一つの希土類金属
C 銅、亜鉛、アルミ、鉄、ジルコニウム、及びチタンから選ばれる少なくとも一つの金属又はこれらの酸化物、水酸化物、酸化鉄フェライト、又は炭酸ニッケル
D アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、及びファーネスブラックから選ばれる少なくとも一つのカーボン粉もしくはナノ粒径カーボン粉。
前記耐熱性向上剤は、耐熱性熱伝導性シリコーン組成物を100質量部としたとき、0.0001〜100質量部含むのが好ましい。さらに好ましい添加量は0.0005〜50質量部である。前記の範囲であれば好ましい耐熱性が得られる。
前記球状溶融固化アルミナは、耐熱性熱伝導性シリコーン組成物を100質量部としたとき、1〜3000質量部含むのが好ましい。さらに好ましい添加量は10〜2000質量部である。前記の範囲であれば好ましい耐熱性が得られる。前記球状溶融固化アルミナとそれ以外の熱伝導性フィラーを併用する場合は、熱伝導性フィラー全体を100質量%としたとき、前記球状溶融固化アルミナは5質量%以上が好ましく、さらに好ましくは10質量%以上である。また、前記球状溶融固化アルミナとそれ以外の熱伝導性フィラーを併用する場合は、耐熱性熱伝導性シリコーン組成物を100質量部としたとき、熱伝導性フィラー合計で1〜3000質量部含むのが好ましい。さらに好ましい添加量は10〜2000質量部である。前記球状溶融固化アルミナ以外の熱伝導性フィラーとしては、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、炭化物など、一般的な熱伝導性フィラーがあり、例えば、シリカ(石英)、酸化マグネシウム、フェライト、窒化硼素、人工ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素、銀、カーボンファイバー、破砕アルミナ(無定形)、破砕多角形アルミナ、球状窒化アルミニウムなどがある。
前記球状溶融固化アルミナは、平均粒子径が0.1〜500μmが好ましい。さらに好ましくは0.2〜300μmである。前記の範囲であれば熱伝導性を良好に保てる。前記の範囲であれば、大粒子、中粒子、小粒子を組み合わせて添加してもよい。粒子径の測定はレーザー回折光散乱法により、50質量%粒子径を測定する。この測定器としては、例えば堀場製作所製社製のレーザー回折/散乱式粒子分布測定装置LA−950S2がある。前記アルミナ粒子の表面にR(CH3aSi(OR’)3-a(Rは炭素数1〜20の非置換または置換有機基、R’は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるシラン化合物、もしくはその部分加水分解物で表面処理してもよい。R(CH3aSi(OR’)3-a(Rは炭素数1〜20の非置換または置換有機基、R’は炭素数1〜4のアルキル基、aは0もしくは1)で示されるアルコキシシラン化合物(以下単に「シラン」という。)は、一例としてメチルトリメトキシラン,エチルトリメトキシラン,プロピルトリメトキシラン,ブチルトリメトキシラン,ペンチルトリメトキシラン,ヘキシルトリメトキシラン,ヘキシルトリエトキシシラン,オクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシラン,デシルトリメトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン,ヘキサドデシルトリメトキシシラン,ヘキサドデシルトリエトキシシシラン,オクタデシルトリメトキシシラン,オクタデシルトリエトキシシシラン等のシラン化合物がある。前記シラン化合物は、一種又は二種以上混合して使用することができる。表面処理剤として、アルコキシシランと片末端シラノールシロキサン,片末端トリアルコキシシリルジメチルシロキサンを併用してもよい。ここでいう表面処理とは共有結合のほか吸着なども含む。
前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、エラストマー、ゲル、パテ、及びグリースから選ばれる少なくとも一つの用途に向けられるのが好ましい。エラストマーはシート状に加工してもよい。
本発明の組成物には、必要に応じて前記以外の成分を配合することができる。例えばベンガラなどの無機顔料、フィラーの表面処理等の目的でアルキルトリアルコキシシラン、流動性調整剤、接着付与剤、硬化速度調整剤、補強性充填剤、難燃剤などを添加してもよい。フィラー表面処理などの目的で添加する材料として、アルコキシ基含有シリコーンを添加しても良い。
以下実施例を用いて説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜2)
この実施例及び比較例は、熱伝導性フィラーのスクリーニングを行った。
<配合>
・2液付加型ゲルベース
・CY52−276A/B(メーカー:東レ・ダウコーニング):100質量部
・熱伝導性フィラー各種:600質量部
・耐熱性向上剤:フタロシアニン銅:0.25質量部
<熱伝導性フィラー各種>
・実施例1:球状溶融固化アルミナ、AL35−75R(メーカー:新日鉄住金マテリアルズ)600質量部
・実施例2:球状溶融固化アルミナ、AZ35−125(メーカー:新日鉄住金マテリアルズ)600質量部
・実施例3:球状溶融固化アルミナ、AX35−125(メーカー:新日鉄住金マテリアルズ)600質量部
・実施例4:球状溶融固化アルミナ、AZ2−75(メーカー:新日鉄住金マテリアルズ)600質量部
・比較例1:破砕アルミナ、AL47H(メーカー:昭和電工)600質量部
・比較例2:破砕多角形アルミナ、AA−3(メーカー:住友化学)600質量部
<耐熱試験方法>
・環境:恒温器(PHH−101、エスペック製)220℃/250時間
・測定方法:日本ゴム協会標準規格(SRIS0101)アスカーC硬度
・評価方法:硬さと硬さ変化(耐熱試験後硬さ−初期硬さ)
<結果>
条件と結果を表1にまとめて示す。表中、添加物の数値単位は「質量部」であり、硬さ(アスカ―C)の単位は「度」である。また、耐熱添加剤は耐熱性向上剤のことである。以下の表においても同じ。
Figure 0006887815
表1のとおり、球状溶融固化アルミナを使用することで熱による劣化を抑制できた。シリコーン系熱伝導性ゲルは、高温履歴によって硬さが上昇するのが大きな問題であった。非常に柔軟な特性を有するゲルであるゆえに、硬さの大幅な上昇は、用途を拡大する際の制約になっていた。たとえば、高温履歴で硬さが70度(アスカーC)を超えないことは、その温度での使用可能性を判断する尺度になっている。実施例1〜4は、エージング後の硬さは28以下であり、耐熱性が高いことが確認できた。
(実施例5〜10、比較例3)
この実施例及び比較例は、耐熱性向上剤のスクリーニングを行った。前記実施例1も再度記載する。
<配合>
・2液付加型ゲルベース CY52−276A/B:100質量部
・熱伝導性フィラー AL35−75R:600質量部
・耐熱性向上剤 各種
<耐熱性向上剤各種>
・実施例1:フタロシアニン銅0.25質量部
・実施例5:フタロシアニン鉄(PcFe)0.5質量部
・実施例6:2−エチルヘキサン酸セリウム0.1質量部
・実施例7:2−エチルヘキサン酸鉄0.1質量部
・実施例8(参考例):三酸化二鉄(弁柄:MR−270E)、(メーカー:森下弁柄工業)1.0質量部
・実施例9(参考例):Z−1025(ZrO2:CeO2=23:77)、(メーカー:第一稀元素化学工業)1.0質量部
・実施例10(参考例):Z−1206(ZrO2:CeO2=74:26)、(メーカー:第一稀元素化学工業)1.0質量部
・比較例3:耐熱性向上剤なし
<耐熱試験方法>
・環境:恒温器(PHH−101、エスペック製) 220℃/500時間
・測定方法:日本ゴム協会標準規格(SRIS0101)アスカーC硬度
・評価方法:硬さと硬さ変化(耐熱試験後硬さ−初期硬さ)
<結果>
条件と結果を表2にまとめて示す。
Figure 0006887815
表2から明らかなとおり、耐熱性向上剤を添加することで耐熱性が向上した。耐熱性向上剤を添加してないものは64ポイント上昇した(比較例3)。
(実施例11(参考例)、比較例4)
この実施例、比較例ではシリコーンの種類を比較した。
<シリコーンエラストマー>
[実施例11(参考例)
・付加型シリコーンエラストマー:ミラブルベース,SH432BASE(東レ・ダウコーニング)100質量部
・熱伝導性フィラー:球状溶融固化アルミナ、AL35−75R(メーカー:新日鉄住金マテリアルズ):270質量部
・耐熱性向上剤:CP21(東レ・ダウコーニング)三酸化二鉄(III)のマスターバッチ 50wt%:3質量部
・硬化剤: RD7(東レ・ダウコーニング):0.8質量部
・白金系金属触媒:MR91(東レ・ダウコーニング):0.4質量部
[比較例4]
・付加型エラストマー:ミラブルベース, SH432BASE(東レ・ダウコーニング)100質量部
・熱伝導性フィラー:球状溶融固化アルミナ、AL35−75R(メーカー:新日鉄住金マテリアルズ):270質量部
・硬化剤: RD7(東レ・ダウコーニング):0.8質量部
・白金系金属触媒:MR91(東レ・ダウコーニング):0.4質量部
<耐熱試験方法>
・環境:恒温器(PHH−101、エスペック製) 220℃/2000時間
・測定方法:日本ゴム協会標準規格(SRIS0101) ショアA硬度
・評価方法:硬さ、伸び、引張強さ、変化率(数)
<結果>
条件と結果を表3にまとめて示す。
Figure 0006887815
表3から明らかなとおり、付加型エラストマーにおいても溶融固化アルミナと耐熱性向上剤を使用することで耐熱劣化を抑制できた。シリコーン系熱伝導性エラストマーは高温履歴によって大きく柔軟性を損ない、ひどい物では亀裂や割れが発生する問題があった。実装されるユニットやデバイスによっては機能低下や重大な損傷を与える懸念もあった。たとえば、高温履歴で硬さが80度(ショアA)を超えないこと、もしくは伸びが60%を下回らないことはその温度での柔軟性を維持でき、亀裂や割れが発生しないための尺度になっている。
(実施例12、比較例5)
この実施例、比較例ではパテの実験をした。
<配合>
[実施例12]
・パテ:2液付加型ゲルベース、粘度1500Pa・s(メーカー:モメンティブ):100質量部
・熱伝導性フィラー:シラン表面処理した平均粒径75μの球状溶融固化アルミナ:970質量部(熱伝導率フィラーの表面処理剤はオクチルトリエトキシシランもしくはそれと類似したシランとした。以下の表面処理剤も同じである。)
・シラン表面処理した平均粒径2μmの不定形アルミナ:510質量部
・シラン表面処理した平均粒径0.3μmの不定形アルミナ:260質量部
・平均粒径80μmの球状窒化アルミニウム:70質量部
・平均粒径15μmの球状窒化アルミニウム:280質量部
・白金系金属触媒:0.6質量部
・耐熱性向上剤:フタロシアニン銅:4質量部
[比較例5]
・パテ:実施例12の耐熱性向上剤フタロシアニン銅を0質量部にしたもの
<耐熱試験方法>
・環境:恒温器(PHH−101、エスペック製) 120℃/1000時間
・測定方法:日本ゴム協会標準規格(SRIS0101) ショアC硬度
・評価方法:硬さと硬さ変化(耐熱試験後硬さ−初期硬さ)
<結果>
条件と結果を表3にまとめて示す。
Figure 0006887815
表4から明らかなとおり、球状溶融固化アルミナと耐熱性向上剤を使用することで熱による劣化を抑制できる。シリコーン系熱伝導性パテは、高温履歴によって硬さが上昇するのが大きな問題であった。非常に柔軟な特性を有するパテであるゆえに、硬さの大幅な上昇は、用途を拡大する際の制約になっていた。たとえば、高温履歴で硬さが60度(アスカーC)を超えないことは、その温度での使用可能性を判断する尺度になっている。
(実施例13、比較例6)
この実施例、比較例ではグリースの実験をした。
<配合>
[実施例13]
・グリース:ジメチルシリコーンオイル、粘度1000mPa・s(メーカー:東レ・ダウコーニング):100質量部
・熱伝導性フィラー:平均粒径35μmの球状溶融固化アルミナ:100質量部
・シラン表面処理した平均粒径2μmの不定形アルミナ:600質量部
・平均粒径20μmの非晶質シリカ:200質量部
・耐熱性向上剤:フタロシアニン銅:2質量部
[比較例6]
・グリース:実施例12の耐熱性向上剤フタロシアニン銅を0質量部にしたもの
<耐熱試験方法>
・環境:恒温器(PHH−101、エスペック製)150℃/250時間
・測定方法:熱抵抗測定(ASTM D5470)
・評価方法:熱抵抗値変化
<結果>
条件と結果を表5にまとめて示す。
Figure 0006887815
表5から明らかなとおり、球状溶融固化アルミナと耐熱性向上剤を使用することで熱による熱抵抗値の上昇を抑制できた。シリコーン系熱伝導性グリースは、高温履歴によって熱抵抗が上昇するのが大きな問題であった。グリースを使用する上で熱抵抗が安定することは、実装されるユニットやデバイスの機能を保持することが出来る。たとえば、高温履歴で熱抵抗値の変化幅が0.5℃・cm2/Wを超えないことは、その温度での使用可能性を判断する尺度になっている。
(実施例14(参考例)実施例15(参考例)
この実施例では硬化システム(過酸化物硬化)の実験をした。
<過酸化物硬化>
・実施例14(参考例):アルキル系過酸化物反応、硬化剤(加硫剤)RC4(東レ・ダウコーニング)
・実施例15(参考例):アシル系過酸化物反応、硬化剤(加硫剤)Noviper DB50 (2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドの50wt%ペースト)
<耐熱試験方法>
・環境:恒温器(PHH−101、エスペック製)220℃/2000時間
・測定方法:日本ゴム協会標準規格(SRIS0101)ショアA硬度
・評価方法:硬さ、伸び、引張強さ
<結果>
条件と結果を表6にまとめて示す。
Figure 0006887815
表6から明らかなとおり、過酸化物硬化システムにおいても本発明の効果は認められた。
(実施例16)
この実施例では硬化システム(縮合型)の実験をした。末端にメチルジメトキシシリル基を有するシリコーンポリマー(25℃における粘度2220mPa・s)にフィラーと耐熱性向上剤を加えて混合して均一なペーストを作成した。そのペーストに縮合触媒として有機スズを加え、シートを作成して三日間硬化させた。
<耐熱試験方法>
・環境:恒温器(PHH−101、エスペック製) 220℃/250時間
・測定方法:日本ゴム協会標準規格(SRIS0101)アスカーC硬度
・評価方法:硬さと硬さ変化(耐熱試験後硬さ−初期硬さ)
<結果>
条件と結果を表7にまとめて示す。
Figure 0006887815
表7から明らかなとおり、縮合型硬化システムにおいても本発明の効果は認められた。

Claims (6)

  1. シリコーン樹脂と、熱伝導性フィラーと、耐熱性向上剤を含む耐熱性熱伝導性シリコーン組成物であって、
    前記熱伝導性フィラーは少なくとも球状溶融固化アルミナを含み、
    前記耐熱性向上剤は下記A及びBから選ばれる少なくとも一つであり、
    A テトラヨードフタル酸金属塩、アセチルアセトン金属塩、2−エチルヘキサン酸金属塩、及びフタロシアニン金属から選ばれる少なくとも一つの有機金属錯体
    ンタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから選ばれる少なくとも一つの希土類金属
    前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、発熱性電子部品からの発熱を放熱するための放熱材料組成物であることを特徴とする耐熱性熱伝導性シリコーン組成物。
  2. 前記耐熱性熱伝導性シリコーン組成物は、エラストマー、ゲル、パテ、又はグリース用であり、下記の耐熱性を有する請求項1に記載の耐熱性熱伝導性シリコーン組成物。
    (1)ゲル:大気圧下、220℃、250時間の熱処理後のアスカーC硬度が60度以下である。
    (2)エラストマー:大気圧下、220℃、2000時間の熱処理後のショア―A硬度が80度以下である。
    (3)パテ:大気圧下、120℃、1000時間の熱処理後のアスカーC硬度が60度以下である。
    (4)グリース:大気圧下、150℃、250時間の熱処理後の熱抵抗値の変化幅が0.5℃・cm2/W以下である。
  3. 前記耐熱性向上剤は、耐熱性熱伝導性シリコーン組成物を100質量部としたとき、0.0001〜100質量部含まれる請求項1又は2に記載の耐熱性熱伝導性シリコーン組成物。
  4. 前記球状溶融固化アルミナは、耐熱性熱伝導性シリコーン組成物を100質量部としたとき、1〜3000質量部含まれる請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性熱伝導性シリコーン組成物。
  5. 前記球状溶融固化アルミナは、平均粒子径が0.1〜500μmである請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性熱伝導性シリコーン組成物。
  6. 前記球状溶融固化アルミナとそれ以外の熱伝導性フィラーを併用する場合は、熱伝導性フィラー全体を100質量%としたとき、前記球状溶融固化アルミナは5質量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の耐熱性熱伝導性シリコーン組成物。
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