図1aの吐出容器10は、外ボトル11と、外ボトル11に収容される内ボトル12と、外ボトル11に取り付けられ、外ボトル11と内ボトル12を閉じるバルブアッセンブリ13と、バルブアッセンブリ13の下部に装着され、内ボトルの首部内に嵌合している流路部材14とからなる。図1aは、吐出容器10の内ボトル12と外ボトル11の間の円筒状の空間(加圧室)S1に加圧剤Pを充填し、内ボトル12内の空間(原液室)S2に原液Cを充填した状態(吐出製品20)で示している。この吐出製品20は、バルブアッセンブリ13を操作し、内ボトル12内と外部とを連通することにより、内ボトル12を圧縮し、原液Cを吐出するものである。なお、この吐出容器10は、バルブアッセンブリ13のステム26に押ボタン15等を取り付けて使用する。図1bは原液Cを吐出させた後の内ボトル12の潰れた状態を示している。
外ボトル11は、図1aに示すように、底部11aと、円筒状の胴部11bと、その胴部の上端から上方に向かって縮径するテーパー状の肩部11cと、その肩部の上端から上方に延びる円筒状の首部11dとを備えた合成樹脂製の容器である。底部11aは、胴部11bの下端から連続した半球状としている。そのため、内圧に対する強度が高い。しかし、底部11aの形状は特に限定されるものではない。たとえば5個の脚部が周方向に等間隔に並んで突出する、いわゆるペタロイド形状であってもよい。
外ボトル11は所定の内圧に耐えうる耐圧性を備えている。外ボトルとしては、少なくとも内圧が1.0MPa(ゲージ圧)で破裂しないものが好ましい。外ボトル11は、射出成形により外プリフォームを製造し、外プリフォームをブロー成形して所定の形状の底部11a、胴部11b、肩部11cに成形することにより製造することができる。そして、例えば、外ボトル11をポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で成形する場合、胴部11bの肉厚を0.2〜0.6mm、特に0.25〜0.5mmとするのが好ましい。なお、外ボトルは、内圧により胴部11bが弾性変形するものでもよく、胴部11bの弾性変形に伴い底部11aや肩部11cも弾性変形するようにしてもよい。この場合、胴部11bに縦方向に伸びる凹溝(プリーツ)を設けることにより、弾性変形により凹溝が目立たなくなり、加圧剤が充填されていることが目視で確認することができる。しかし、胴部11bの硬性は、特に限定されるものではなく、上記外ボトルの内圧において胴部11bが変形しないように構成してもよい。
首部11dの外周には、バルブアッセンブリ13を固定するための雄ネジ11d1が形成されている。その雄ネジ11d1の下方には、外ボトル11とバルブアッセンブリ13のキャップ23との間をシールする外シール材18を保持するための外シール保持部11d2が形成されている。この実施形態では外シール材18はOリングで、外シール保持部11d2はOリング溝である。
内ボトル12は、底部12aと、円筒状の胴部12bと、その胴部の上端から上方に向かって縮径するテーパー状の肩部12cと、その肩部の上端から上方に延びる円筒状の首部12dとを備え、首部12dを除き、底部12a、胴部12b、肩部12cが可撓性を有する合成樹脂製の容器である。首部12dの上端には外方に突出したフランジ部12d1が形成されている(図1b参照)。
内ボトル12の首部12dの外径と外ボトル11の首部11dの内径は実質的に同一の寸法である。そして加圧剤Pが通る首部通路(縦通路溝12P)を除いて内ボトル12の首部12dの外面と外ボトル11の首部11dの内面は密接している。ただし内ボトル12の首部12dと外ボトル11の首部11dの間に隙間があってもよい。
内ボトル12は射出成形により内プリフォームを製造し、内プリフォームをブロー成形して所定の形状の底部12a、胴部12b、肩部12cに成形することにより製造することができる。内ボトルは内プリフォームを外プリフォームに挿入して同時にブロー成形してもよく、内プリフォームを外ボトルに挿入して外ボトル内でブロー成形してもよい。この内ボトル12の底部12a、胴部12b及び肩部12cはブロー成形のときに拡がって薄肉となっているので可撓性を有し、首部12dはプリフォームのままであるので硬性を有している。そのため、原液を吐出しても首部は収縮せず、底部12aから肩部12cは収縮変形する。
なお、図1bに示すように、内ボトル12は原液を吐出すると内面同士が密着して単に扁平に変形するだけでなく、下端が持ち上げられたり、途中で屈曲したりするなど、不規則に潰れていく。すなわち、内ボトル12はその構成のみならず、原液Cの吐出経路(通路の位置)、原液Cの粘度、吐出速度等にも応じて、不規則に変形しながら潰れていく。
内ボトル12のフランジ部12d1の下面から首部12dの外面を経由して肩部12cの上端の外面までには、連続して形成された上下に延びる縦通路溝12Pが複数本等間隔で環状に配列されている。この縦通路溝12Pは、加圧室S1とバルブアッセンブリ13(大気)とを繋いでおり、加圧剤の充填時および排出時の通路の一部となる。なお、この縦通路溝12Pは、外ボトル11の首部11dの内面に設けてもよく、または、外ボトル11の首部11dの内面および内ボトル12の首部12dの外面の両方に設けてもよい。少なくとも加圧室S1と外気(バルブアッセンブリ13)とを連通する通路が形成されればよい。
内ボトル12は、外ボトル11と同軸にして挿入される。そして、フランジ部12d1は、外ボトル11の首部の上端面に係合配置される(図1a参照)。そして、底部12a、胴部12b、肩部12c及び首部12dは、それぞれ外ボトル11の底部11a、胴部11b、肩部11c及び首部11dの内面形状と実質的に同じとなっている(図4a参照)。つまり、加圧室S1に加圧剤Pを充填するとき、底部12a、胴部12b及び肩部12cは内ボトル12の容量が小さくなるように収縮変形する(図1a、図4c参照)。そして原液室S2内の原液Cを吐出したときは、先ず変形しやすい円筒状の胴部12bが中間部から半径方向に収縮するように潰れる。原液Cは原液室内の上部から吐出されるため、胴部の内面同士が密着するように扁平に潰れると上部側に収縮し、半球状の底部12aも反転して上方に持ち上がり、肩部12cから底部12aが上下方向にも収縮する。(図1b参照)。他方、首部12dは、プリフォームの形状のままでブロー成形されないので硬性を有し、原液Cの充填・吐出で変形しない。
内ボトル12は、原液Cを吐出させることにより、底部12a、胴部12b、肩部12cがそれぞれ潰れていくものであれば、外ボトル11の内形と異形としてもよい。例えば、成形時の内ボトル12の自然な形状を外ボトル11の内面形状より小さくしてもよい。
内ボトル12の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂が挙げられる。外ボトル11と内ボトル12の材料の組み合わせは同じでもよく、異なる材料を用いて、たとえば、外ボトルにポリエチレンテレフタレートを、内ボトルにポリプロピレンを用いて、ブロー成形後の収縮性の違いを利用して外ボトルと内ボトルの間に隙間を設けやすくするなど、用途や目的に応じて適宜選択することができる。
バルブアッセンブリ13は、外ボトル11および内ボトル12を塞ぐと共に、加圧室S1と外気との間の加圧剤通路(図2cのR1)ならびに原液室S2と外気との間の原液通路(図2cのR2)を同時に連通/遮断するバルブ機構21を備えた蓋体である。詳しくは、図2aに示すように、バルブ機構21と、そのバルブ機構21を収容するハウジング32を備えたバルブホルダー22と、バルブ機構21およびバルブホルダー22を外ボトル11および内ボトル12の開口部に着脱自在にねじ固定するキャップ23とを備えている。バルブ機構21は、バルブホルダー22のハウジング32内に収容され、キャップ23で保持・固定されるステム26、ステムラバー27a、27bなどからなる。
この実施形態では、バルブ機構21は、2つの独立した第1ステム内通路(外側)26aおよび第2ステム内通路(中心側)26bならびにそれらの通路とそれぞれ連通する第1ステム孔26a1および第2ステム孔26b1が形成された二重のステム26と、第1ステム孔26a1を閉じる第1ステムラバー27aと、第2ステム孔26b1を閉じる第2ステムラバー27bと、ステム26を常時上方に付勢する弾性体28と、第1ステムラバー27aと第2ステムラバー27bの間に設けられ、それらを所定の間隔をあけて支持する筒状の支持部材29とからなる。
ステム26は、下端が閉じられた内筒部30aと外筒部30bを同軸上に重ねたものであり、内筒部30aは、外筒部30bより上方にも下方にも突出している。そして、内筒部30aと外筒部30bの間の環状の空間が第1ステム内通路26aを構成し、その第1ステム内通路26aと同軸の内筒部30a内の円柱状の空間が第2ステム内通路26bを構成する。第1ステム孔26a1は、第1ステム内通路26aの下部と連通するように、外筒部30bを半径方向に貫通して形成された孔である。第2ステム孔26b1は、第1ステム孔26a1より下方(外筒部30bより下方に突出した内筒部30a)に、第2ステム内通路26bの下部と連通するように、内筒部30aの下部を半径方向に貫通して形成された孔である。
第1ステムラバー27aおよび第2ステムラバー27bは、それぞれその外端が支持部材29によってバルブホルダー22内に支持され、内端はそれぞれ第1ステム孔26a1および第2ステム孔26b1を塞ぐ。そして、ステム26が下方に移動することにより、第1ステム孔26a1および第2ステム孔26b1が第1ステムラバー27aおよび第2ステムラバー27bの内端から開放される。
弾性体28は、バルブホルダー22のハウジング32に一体に成形されている。詳しくは、ハウジング32の底部に上方に突出するように形成された複数枚の板バネからなる(図2b参照)。しかし、独立したバネをハウジング32の底部とバルブ機構21のステム26との間に配置させてもよい。
支持部材29は、バルブホルダー22のハウジング32内に挿入され、2つのステムラバーを保持する部材である。詳しくはステム26を通す円筒体であり、下部にその内外を連通するスリット29aが形成されている。
バルブホルダー22は、図2bに示すように、筒状のハウジング32と、そのハウジング32の中部側面から外方に延びる環蓋部33と、そのハウジング32と同軸にして環蓋部33の下面から下方に延びる円筒状の周壁部34とを有する。ハウジング32は、上部の側面にハウジングの内外を径方向に連通する連通孔32aを有しており、下部の側面にハウジングの内外を径方向に連通する側壁開口32bを有している。この実施形態では、側壁開口32bは上下に長いスリットの形状を呈している。ただし孔であってもよい。連通孔32aおよび側壁開口32bは複数設けてもよい。
また、ハウジング32の上端には、バルブ機構21の第1ステムラバー27aを支持する第1ラバー支持部32cが形成されており、内側面であって連通孔32aと側壁開口32bの間にバルブ機構21の第2ステムラバー27bを支持する第2ラバー支持部32dが形成されている。さらに、ハウジング32の連通孔32aの上方外周が、段部32eを介して拡径している。この段部32eにはキャップ23の係合突起37aが係合され、バルブホルダー22とキャップ23とが互いに固定される(図2a参照)。
ハウジング32内は、バルブ機構21の第2ステムラバー27bによって上下2つの空間に分けられる。つまり、ハウジング32内は、第1ステムラバー27aと第2ステムラバー27bの間の空間(上空間)と、第2ステムラバー27bより下方の空間(下空間)とに分けられる(図2a参照)。
環蓋部33は、連通孔32aと側壁開口32bの間においてハウジング32の側面から外方に突出しており、内ボトル12のフランジ部12d1の上方に配置される。環蓋部33の上面には、横通路溝33Pが複数本等間隔で放射状に設けられている。この横通路溝33Pは、内ボトル12の縦通路溝12Pと同数とし、その配置を縦通路溝12Pと平面視で重なるように設けられている。
周壁部34は、環蓋部33の中部から下方に伸びる筒体であり、内ボトル12の開口部内面に沿って挿入される(図1参照)。周壁部34の下部側面には、内シール材19を保持する環状の内シール保持部34aが形成されている。この内シール保持部34aの底部が内ボトル12の内周面と対向し、内シール材19を半径方向外側に圧縮する。ハウジング32の下端から下向きに突出する筒部32fは、流路部材14の装着部14aの穴に嵌入され、流路部材を保持する部位である。
キャップ23は、図2cに示すように、バルブホルダー22のハウジング32の開口部を閉じる円板状のカバー部36と、その縁部から下方に延び、ハウジング32の上部外周に配置される上筒部37と、その下端から半径方向外側に延びる環状のリング部38と、その外端から下方に延びる下筒部39とを有する。カバー部36は、ステムラバー27a、27bの上方への飛び出しを防止するものである。カバー部36の中央には、ステム26を通す中心孔36aが形成されている。
キャップの上筒部37は、バルブホルダー22のハウジング32を保持し、ハウジング32との間に加圧剤の通路を形成する部位である。上筒部37の内面には、ハウジング32の段部32eと係合する係合突起37aが形成されている。そして、カバー部36と係合突起37aとでバルブホルダー22(ハウジング32)を挟むことにより、バルブ機構21をバルブホルダー22(ハウジング32)に固定し、かつ、バルブホルダー22を保持する(図2a参照)。つまり、キャップ23とバルブホルダー22とを一体化できる。なお、上筒部37の下部内面(係合突起37aより下方内面)は、ハウジング32の外周面と環状の隙間G1を形成する(図2a参照)。この隙間G1は、ハウジング32の連通孔32aと連通しており、加圧剤Pの通路となる。
キャップ23のリング部38は、バルブホルダー22が外ボトル11から抜け飛ばないようにバルブホルダー22の環蓋部33の上面を覆う部位である(図2a参照)。なお、環蓋部33には横通路溝33Pが形成されているため、リング部38と環蓋部33との間に放射状に延びる通路が複数形成される。この通路は、加圧剤Pの通路となり、隙間G1と連通している。
下筒部39は、外ボトル11と連結し、バルブホルダー22との間に加圧剤の通路を形成する部位である。下筒部39の上部内面は、バルブホルダー22の環蓋部33の外縁と隙間G2が空くように設計されている(図2a参照)。下筒部39の中部内面には、外ボトル11の雄ネジ11c1と係合する雌ネジ39aが形成されている。そして、下筒部39の雌ネジ39aの下方の下部内面であって、外ボトル11の外シール保持部11c2の位置に内円筒部39bが形成されている。この内円筒部39bは、外ボトル11の外シール保持部11c2との間で外シール材18を半径内側方向に圧縮する部位である(図1a参照)。
このように構成されているバルブアッセンブリ13では、加圧室S1(縦通路溝12P)と外気とは、図2cの太線矢印の経路(加圧剤通路)R1によって連通する。詳しくは、経路R1は、キャップ23の下筒部39とバルブホルダー22の間の隙間G2、キャップ23のリング部38とバルブホルダー22の環蓋部33との間の横通路溝33P、キャップ23の上筒部37とハウジング32の外周面の間の隙間G1、ハウジング32の連通孔32a、ハウジング32内の上空間、ステム26の第1ステム内通路26aとからなる。一方、内ボトル12内の原液室S2と外部とは、ハウジング32の側壁開口32b、ハウジング32内の下空間、ステム26の第2ステム内通路26bからなる経路(原液通路)R2によって連通する。
図1bの流路部材14は、図3に示すように、全体として円柱状の形態を備えている。そして上部はハウジング32に取り付けるための装着部(装着穴)14aであり、上下方向の中央部は内ボトルの首部に内挿される円柱状の胴部14bであり、下端は内ボトル12の首部より下方に突出する通路確保部14cである。装着部14aはハウジング32の下部と嵌合する浅い穴14a1と、筒部32fと嵌合する深穴14a2からなる。そして胴部14bの外周から下面にかけて、複数本の縦溝14dが形成されている。前記ハウジング32の側壁には、ハウジングの内外を連通する側壁開口32bが複数本形成されており(図2a参照)、それらの側壁開口32bは、ハウジング32と周壁部34の間の空間を介して前記流路部材14の縦溝14dと連通している。このような流路部材14は、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール等の合成樹脂材料から、射出成形によって製造することができる。
図1a、図2aの流路部材14の下端は半球状を呈している。そのため、内ボトル内の原液Cが減って胴部12bの内面同士が密着して扁平に潰れた部分が上昇する際に、流路部材14の下端により上昇を抑制すると共に、下端の半球面と扁平に潰れた内ボトルとの間に隙間を確保することができ、最後まで原液Cの吐出通路を確保することができ、原液が残りにくい(図1b参照)。なお、流路部材14の下端の形状は円錐状ないし円錐台状など、下向きに細くなっていくものであればよい。そして流路部材14が首部12d内の空間を埋めているため、多量の原液が首部内に残ることがない。前記縦溝14dの下部は通路確保部14cの下面まで延長されている、それにより内ボトル12が潰れるとき、縦溝14dが塞がりにくい。縦溝14dは複数本形成するのが好ましく、それによりいずれかの縦溝14dが塞がっても、他の縦溝を通って原液Cが吐出される。
原液Cは、流体であれば特に限定されない。透明であっても不透明であってもよい。また粘度の低い液体あるいはクリームやゲルなどの高粘度流体であってもよい。原液Cとしては、例えば、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤などの空間噴霧用液体、シャンプー、リンス、シェービングなどの日用剤、制汗剤、収斂剤、保湿剤、日焼け止め等のスキンケア、染毛剤、ヘアクリーム、ヘアオイルなどのヘアケア、消炎鎮痛剤、かゆみ止めなどの薬液、オリーブオイルなどの食用品、害虫駆除剤などの園芸用品などが挙げられる。
加圧剤Pとしては、窒素、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素などの圧縮ガスが挙げられる。充填後の圧力は、例えば25℃において0.3〜1.0MPa程度である。
つぎにこの吐出製品20の製造方法を説明する。初めに外ボトル11内に内ボトル12を収容した二重ボトルを準備する(図4a参照)。二重ボトルの製法としては、外ボトル11および内ボトル12をそれぞれ成形し、その後、内ボトル12を折り畳んで外ボトル11に挿入する方法が挙げられる。
二重ボトルの第2の製法としては、外ボトル11を成形し、その内部に内ボトル用の内プリフォームを挿入して外ボトル11の内面を金型として肩部以下をブロー成形する方法が挙げられる。内プリフォームには、首部12dにフランジ部12d1および縦通路溝12Pが形成されている。この場合、内ボトル12の外形を外ボトル11の内面と当接する形状、つまり、外ボトル11の内面と実質的に同一形状とすることができる。
二重ボトルの第3の製法として、外ボトル用の外プリフォーム内に内ボトル用の内プリフォームを挿入した二重プリフォームを準備し、外ボトル11および内ボトル12を同時にブロー成形する方法が挙げられる。詳しくは、首部11dに雄ネジ11d1が形成された外プリフォームおよび首部12dにフランジ部12d1および縦通路溝12Pが形成された内プリフォームを射出成型などにより個別に成型し、内プリフォームを外プリフォームに挿入し、二層プリフォームを準備する。そして、この二層プリフォームを2軸延伸ブローなどで外ボトル11および内ボトル12の肩部以下の部位を同時に成形する。首部11dはブロー成形工程においても変形しない。
二重ボトルを準備した後、内ボトル12の原液室S2へ原液Cを充填する(図4a参照)。原液Cは内ボトル12の上部に空間SPを残すように、内ボトル12の胴部の途中まで充填する。ついであらかじめ流路部材14を装着したバルブアッセンブリ13を外ボトル11の上端に取り付ける(図4b参照)。このとき、キャップ28を外ボトル11の雄ネジに螺合させるが、螺進するに従って、流路部材14を内ボトルの首部内に深く押し込むことになる。内ボトルの首部を外ボトルの首部より長くしてもよい。それにより、内ボトル12の上端を押し下げると、首部12dの下端12d2が外ボトル11の首部11dの下端11d4より下がり内ボトルの肩部が外ボトルの肩部より下にずれ、内ボトル12の肩部12cと外ボトル11の肩部11cの間に隙間ができるので、外ボトル11と内ボトル12の間の加圧室S1に加圧剤を充填する際に縦通路溝12Pが塞がれにくくなる。なお、流路部材14はあらかじめ内ボトルの首部12dに挿入しておき、バルブアッセンブリ13を外ボトル11に取り付ける際に流路部材14をバルブアッセンブリに装着させてもよい。
その後、ステム26を押し下げてバルブアッセンブリ13の加圧剤通路R1を介して加圧剤Pを内ボトル12と外ボトル11の間の加圧室S1に充填する。このとき原液通路R2を介して上部空間SPの空気が外部に押し出され、内ボトル内に原液Cが充満する(図4c参照)。最後にステム26に押ボタン15を取り付けて吐出製品20が得られる(図1a参照)。なお、原液Cと加圧剤Pの充填する順番を逆にしてもよい。その場合、バルブアッセンブリ13を二重ボトルの外ボトル11に仮装着した状態で加圧剤Pを加圧室S1に充填し、バルブアッセンブリ13を二重ボトルの外ボトル11に取り付ける。次いでステム26を押し下げて原液通路R2のみを連通させて原液室S2内の空気を排出し、その後、原液通路R2から原液Cを加圧充填することができる。
この吐出製品20の使用方法は、押ボタン15を介してバルブアッセンブリ13のステム26を押下操作する。これによりステム26の第2ステム内通路26bは開放され、原液Cは吐出される。このときステム26の第1ステム内通路26aは押ボタン15によって閉じられているため、加圧剤Pが噴出されることはない。そして、原液Cの吐出量と比例して、内ボトル12が収縮する。
このように原液Cを吐出することにより、内ボトル12が内面同士が密着するように潰れていく。しかし、流路部材14の縦溝14dが内ボトル12内とバルブアッセンブリ22とを連通しているので、原液室S2とバルブアッセンブリ13との間の連通が確保される。原液室S2の体積が減少し、原液Cが全量吐出されると、内ボトル12は図1bのように不規則に潰れ、内ボトルの内面同士が密着する。
全量吐出後(使用後)、押ボタン15を取り外してステム26を押し下げることにより、加圧室S1内の加圧剤Pを、加圧剤通路R1を介して外部に放出することができる。それにより使用者がバルブアッセンブリ13を外ボトル11から取り外して各部品をリサイクルしやすくなる。
つぎに図5a、図5bを参照して本発明の吐出容器の他の実施形態を説明する。図1aの吐出容器10では、流路部材14を予めハウジング32に装着してからバルブアッセンブリ13を外ボトルに取り付けていたが、図5aの吐出容器40では、流路部材41は内ボトル12に係止させることができ、バルブアッセンブリ42とは別に外ボトル11に取り付けることができる。
図5aの流路部材41は、円柱状の胴部の上端から半径方向外側に突出するフランジ部43を備えており、そのフランジ部43は環状シートからなる内シール材44を介して内ボトル12のフランジ部12d1の上面に係止されている。また、胴部14bの上部中心にはハウジング32を装着するための装着部(装着穴)14aが設けられ、下部は内ボトル12の肩部12c内に突出する突出部14fが設けられている。装着部14aはハウジング32の下端と嵌合する浅い穴14a1と、ハウジング下部の筒部32fと嵌合する深穴14a2とからなる。さらに、胴部14b外周には、高さ方向の中央位置から下端に伸びる縦溝14dが設けられており、縦溝の上部と装着部14aの深穴14a2とは横孔14gで連通している。
ハウジング32の底部の中心には底孔45が形成され、筒部32fはその底孔を囲むように設けられている。筒部32fの高さは深穴14a2の深さより短い。そして前記横孔14gは筒部32fの下部で塞がれない深穴14a2の下部に設けられている。流路部材41の下端の突出部14fは円錐台状であり、円柱状の胴部14bの下端から下方に突出している。突出部14fの中心部には上方にへこんでいる凹部14hが設けられており、凹部の中心から外周の縦溝14dと連通する横溝14iが放射状に3本設けられている(図5c参照)。
この吐出容器40も、流路部材41が内ボトル12の首部12dの空間を塞いでいるため、原液が首部12d内に残るのを防止することができる。さらに流路部材41の下部に、胴部内に突出する突出部14fを設けることにより、内ボトル12が潰れていく状態をある程度コントロールすることができる。すなわち内ボトル12内の原液が少なくなると胴部12bの内面同士が密着し、上方に収縮する。このとき突出部14fにより内ボトル12の変形部が流路部材14の底面に強く密着するのを抑制することができる。さらに、横溝14iにより、縦溝14dへの通路を確保することができる。
なお図5aの吐出容器40のバルブアッセンブリ42は、二重タイプのステムを備えた図1aのバルブアッセンブリ13とは異なり、内ボトル12内の原液室S2と連通する通常のステム46と、ステム46を上方に付勢するスプリング(弾性体28)と、一枚のステムラバー27を備えたバルブ機構を採用している。この吐出容器40に加圧剤を充填するには、キャップ23と外ボトル11の間のシールをしていない、バルブアッセンブリ42の仮装着状態で、キャップ23と外ボトル11の隙間から縦通路溝12Pを通して、いわゆるアンダーカップ充填法で充填する。あるいはキャップ23とステムラバー27の間から充填する。なお、この流路部材41はフランジ部43を内シール材44を介して内ボトル12のフランジ12d1の上面に係合させているため、加圧剤が内ボトル12内に入り込むのを防止することができる。
図5a、図5bのバルブアッセンブリ42では、ハウジング32は、図1のバルブアッセンブリ13と同様にバルブ機構を収容するが、環蓋部(図2bの符号33)も周壁部(図2bの符号34)も有さず、いわゆるバルブホルダーの形態を備えていない。そしてハウジング32の外周はキャップ23の上筒部37によって直接保持されている。そして周壁部を有しないため、前述のように流路部材41のフランジ部43の下面と内ボトル12のフランジ部12d1の上面との間に内シール材44を設け、キャップ23の取り付けに伴い上下方向に圧縮してシールしている。ハウジング32と流路部材41の間のシールは、ハウジング32の筒部32fと装着部14aを嵌合させているが、ハウジングの外周にシール材を設けてもよい。
そしてハウジング32の内部と内ボトル12の内部の間の連通は、ハウジング32の下端に設けた底孔45と、流路部材41に形成した半径方向に延びる横孔14gと、流路部材41の外周面に形成した縦溝14dを介して連通している。縦溝14dは流路部材41の上端には達してなく、中間位置で止まっている。なお、想像線で示すように、流路部材41の中心に形成した縦孔47によって、ハウジング32と内ボトル12の間を連通させることもできる。縦孔47は、凹部14hの下面で開口している。縦孔47と縦溝14dはいずれか一方でもよく、両方設けてもよい。
図6に示す吐出容器50は、図5aの吐出容器40のバルブアッセンブリ42を採用すると共に、図5a、図5bとほぼ同様の流路部材51を採用している。ただし流路部材51には、周壁面を通る縦溝14dと横孔14gがなく、内ボトル12とハウジング32を連通する通路としては、中心部を通る縦孔47のみ形成されている。図5aの流路部材41と同様に、縦孔47は凹部14hの下面に開口しており、その周囲には突出部14fと横溝14iが形成されている。そのため、内ボトル12の内面が図5bのように突出部14fに密着しても、縦孔47の開口の閉塞を防止し流路を確保することができる。
図1a、図1bの吐出容器10では、ハウジング32の側壁に形成した側壁開口32bと流路部材14の外面に形成した縦溝14dとによって内ボトル12が潰れたときの流路を確保している。しかしこの吐出容器10においても、図6のバルブアッセンブリ42と同様に、ハウジング32の下端に底孔45を形成し、流路部材14の中央に縦孔47を形成することにより、流路を確保することもできる。
前記実施形態では内ボトルで仕切られて形成される収容室が2つであるが、3室以上であってもよく、少なくとも1つの収容室に加圧剤が収容され、他の収容室の原液(たとえば混合して使用される2液)を加圧するようにすればよい。