JP6886385B2 - 押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法に関するものである。
押出成形によりダイから押し出されるゴム部品の速度分布が不均一であると、目標通りの部品形状が得られない等の問題が発生する。このため、ゴム部品の速度分布を把握し、この速度分布が均一になるように流量やダイ形状を調整する必要がある。
一般に、流体の速度を測定する方法として、トレーサ粒子を混入させカメラで撮影するなどの可視化手法がとられる場合が多い。しかしながら、このような方法が適用できるのは、材料が半透明である等の一定の条件を満たす必要があり、ゴムへの採用は難しい。
ゴムの速度を測定する方法として、レーザで表面速度を測定する方法も考えられる。しかし、レーザを使用する場合、当然ながら内部の速度分布まで把握することはできない。また、ゴムが断面扁平形状で、表面が波打った状態で吐出される場合の測定は難しい。
特許文献1には、ゴム押出し機からのゴムを、押出しヘッドのヘッド流路を案内し、プリフォーマのプリフォーマ流路で加熱しながら予成形して押し出してゴム押出体を成形するゴム押出し装置が開示されている。
特許文献2には、スクリューから供給されたペースト状の原料組成物を流路から抵抗管を介してダイへと移送する途中に、流量調整板を設けた押出成形装置が開示されている。
しかしながら、いずれの特許文献にも押し出すゴムの速度分布の測定方法についての開示はない。
特開2015−85544号公報 特許第5753006号公報
本発明は、ゴム部品を得る際の速度分布を簡単かつ安価な方法で得ることができる押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
ゴム押出機から押し出されたゴムを、ゴム押出成型用ダイに供給し、口金から押し出す押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法であって、
前記口金に、複数の測定用貫通孔を有する測定用ブロックを取り付ける第1工程と、
前記測定用ブロックの各測定用貫通孔から吐出されるゴムの長さ及び押出時間をそれぞれ測定する第2工程と、
前記第2工程で測定したゴムの長さ及び押出時間に基づいて前記各測定用貫通孔でのゴムの流速を算出する第3工程と、
前記第3工程で算出した各測定用貫通孔でのゴムの流速に基づいて、前記口金でのゴム部品の速度分布を作成する第4工程と、
を備える、押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法を提供する。
これによれば、口金の前端面に測定ブロックを取り付けただけの簡単かつ安価な構成で、ゴム部品の速度分布を測定することができる。すなわち、測定用ブロックの各測定用貫通孔から押し出されるゴムの長さと押出時間を測定するだけで、簡単に速度分布を求めることが可能である。また、この方法であれば、種類の相違する複数のゴムを押出成型する場合であっても、ゴムの流速を測定することができる。
前記第3工程では、前記測定用ブロックの各測定用貫通孔から押し出されるゴムの押出時間が設定時間に到達した時点で、前記各測定用貫通孔から押し出されたゴムの長さを測定することによりゴムの流速を算出すればよい。
前記口金は、断面矩形状の開口を有していてもよい。
前記測定用ブロックの測定用貫通孔は、前記口金の開口に対して均等に形成されているのが好ましい。
これによれば、口金の通路の全範囲の速度分布を測定することができる。
前記測定用ブロックの測定用貫通孔のうち、前記口金の開口に対してはみ出して配置されるものがある場合、前記口金の開口に完全に連通するもののみをゴムの流速の測定対象とするのが好ましい。
これによれば、口金の前端面での開口形状の違いに拘わらず、単一の測定用ブロックを用意しておくだけでよく、測定用貫通孔のレイアウトの相違する複数の測定用ブロックは不要とすることができる。
本発明によれば、口金を複数の測定用貫通孔を揺する測定用ブロックに交換し、各測定用貫通孔を通過するゴムの長さと押出時間に基づいて速度分布を測定するようにしているので、簡単かつ安価な構成で、適切な速度分布を得ることができる。
第1実施形態に係るゴム押出成型装置の概略図である。 図1に示す測定用ブロックの斜視図である。 口金に測定用ブロックを取り付けた状態で、口金の後端面側から見た図(背面図)である。 不均一なゴム流れの例を示す速度分布図である。 均一なゴム流れが得られるように対策した後の速度分布図である。 第2実施形態に係るゴム押出成型装置の概略図である。 測定用貫通孔と口金8の開口との関係の他の例を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るゴム押出成型装置の概略を示す。このゴム押出成型装置は、ゴム押出機1とゴム押出成型用ダイ2を備える。以下、各部材の部位を説明する用語として、ゴム押出成型用ダイ2からゴム押出機1に向かう方向に「後端」、その反対方向を「前端」と記載することがある。
ゴム押出機1は、モータ3により内蔵するスクリュー4を回転させることにより、投入口5から投入したゴム6を混練し、可塑化して押し出すものである。
ゴム押出成型用ダイ2は、ゴム押出機1から押し出されたゴム6をタイヤ成型用ゴム部品として押し出すものである。ゴム押出成型用ダイ2は、押出機側に接続されるプレダイ7と、その先端側に一体化される口金8とで構成されている。
プレダイ7は、ゴム押出機1から押し出されたゴム6を口金8へと集約するもので、前端側で前端に向かうに従って徐々に横断面積が小さくなっている。
口金8は、直方体形状で、前記プレダイ7の前端面に配置される。口金8には、前端面と後端面とを連通する横断面矩形状の通路9が形成されている。通路9の横断面積は、後端面から前端面に向かうに従って徐々に小さくなっており、ゴム6がこの通路9を通過することによりゴム部品が得られる。
前記構成のゴム押出成型装置では、次のようにして成型するゴム6の押出速度の分布を測定できるようになっている。
まず、口金8の前端面に測定用ブロック10を取り付ける(第1工程)。
図2に示すように、測定用ブロック10は、直方体形状で、後端面から前端面に向かって複数の測定用貫通孔11が形成されている。測定用貫通孔11は、横断面円形の同一形状であり、ここでは直径が1mm以上で、かつ、口金8の開口の上下方向の幅寸法以下に形成されている。図3も併せて参照すると、測定用貫通孔11は、口金8の前端面での開口に対してほぼ均等に配置されている。ここでは、測定用貫通孔11は、縦3列、横8列の合計24個で構成されている。この場合、口金8の開口面積に対する測定用貫通孔11の開口面積の合計は、ゴム6の流動抵抗が大きくならないように、80%以上、好ましくは90%以上とされている。また、測定用貫通孔11の長さは、ゴム6の流動抵抗が大きくならないように、2cm未満とし、好ましくは1cm未満とされている。
続いて、口金8から押し出すゴム部品の長さ及び押出時間を測定する(第2工程)。
さらに、測定されたゴム部品の長さ及び押出時間等に基づいてゴム部品の押出速度を算出する(第3工程)。この速度の算出方法としては、例えば、次の2つが考えられる。
(1)測定用ブロック10の各測定用貫通孔11から押し出されるゴム部品の押出時間が設定時間に到達した時点で、各測定用貫通孔11から押し出されたゴム部品の長さを測定する。この場合、光センサ等の測定手段で、測定用ブロック10の前端面からのゴム部品の到達位置までの長さを測定するようにしてもよい。これによれば、測定作業を自動化することができる。
(2)測定用ブロック10の各測定用貫通孔11から押し出されたゴム6の重量Wを測定し、そのゴム部品を押し出すにかかった時間t、測定用貫通孔11の横断面積S、ゴム6の比重dに基づいて次式に従ってゴム部品の押出速度Vを算出する。
V=W/(t×S×d)
このようにして各測定用貫通孔11でのゴム6の流速が求められれば、市販のソフトウェア等を使用して口金8の開口での速度分布図(コンター図)を作成する(第4工程)。
ところで、各測定用貫通孔11から押し出されるゴム部品の押出速度は、できるだけ均一にするのが好ましい。一般に、口金8の開口が左右に広がった扁平の矩形状であるので、中央部から左右に向かうに従ってゴム部品の流速が低下する傾向にある(図4参照)。そこで、算出されたゴム部品の流速が不均一であれば、ゴム押出成型用ダイ2の調整等を行う。例えば、中央部で速くなり過ぎている場合、ゴム押出機1とプレダイ7の間、あるいは、プレダイ7と口金8の間で、流路の中央部分にハニカムフィルタ等を設置して流動抵抗を増すことにより、全体に均一なゴム流れを得るようにすればよい(図5参照)。
ゴム6の押出速度がばらついて不均一なゴム流れとなると、押し出されたゴム部品に波打ち現象が発生し、厚みが不均一となったり、側縁部に切れ目が出現したりする。しかしながら、前述のように、均一なゴム流れが得られることにより、これらの問題は発生しにくくなる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係るゴム押出成型装置の概略を示す。このゴム押出成型装置では、ゴム押出成型用ダイ2の構成は、前記第1実施形態と同様であるが、種類の異なるゴム6を押し出し可能な2台のゴム押出機1A,1Bを備えている点で相違する。各ゴム押出機1A,1Bは、モータ3A,3Bの駆動により内蔵するスクリュー4A,4Bを回転させて投入したゴムを混練する点で、前記第1実施形態と同様である。また、ゴム押出成型用ダイ2のプレダイ7は、各ゴム押出機1A,1Bからのゴム6を合流させることができるように後端側が分岐している。
第2実施形態では、種類の異なるゴム6が2層で押出成型されるので、当然、測定用ブロック10の各測定用貫通孔11から押し出されるゴム部品の種類が相違し、場合によっては混合することがある。このため、前記(2)の方法では正確にゴム6の押出速度を求めることは難しい。したがって、第2実施形態では、前記(1)の方法によりゴム6の押出速度を求めるようにすればよい。
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
前記実施形態では、ゴム押出機1を1台又は2台としたが、3台以上としてもよい。
前記実施形態では、口金8の開口を矩形状としたが、台形状、五角形状、楕円形状、円形状等、種々の形状とすることができる。この場合、測定用ブロック10の測定用貫通孔11は、口金8の開口形状に合わせて、その領域内に均等に配置するようにすればよい。また、口金8の開口形状に拘わらず、測定用貫通孔11を設けるのは特定の領域内としてもよい。但し、測定用貫通孔11を設ける領域は、口金8の開口を全て含む範囲とする必要がある。例えば、図7に示すように、口金8の開口を台形状とした場合であっても、測定用貫通孔11を設けるのは、この開口を全て含む矩形領域とする必要がある。この場合、測定用貫通孔11のうち、口金8の開口に対して開口していない測定用貫通孔11a、あるいは、部分的に開口するだけの測定用貫通孔11bは測定の対象とせず、全て開口している測定用貫通孔11cのみを対象とするのが望ましい。
前記実施形態では、測定用ブロック10の測定用貫通孔11を円形状としたが、格子状、スリット、三角形状等、種々の形状とすることができる。格子状の場合、各四角形の一辺は1mm以上とするのが好ましい。またいずれの場合であっても、サイズ及び形状共に同一とするのが好ましい。これは、各測定用貫通孔11でのゴム部品の流動抵抗を同一にするためである。
1…ゴム押出機
2…ゴム押出成型用ダイ
3…モータ
4…スクリュー
5…投入口
6…ゴム
7…プレダイ
8…口金
9…通路
10…測定用ブロック
11…測定用貫通孔

Claims (5)

  1. ゴム押出機から押し出されたゴムを、ゴム押出成型用ダイに供給し、口金から押し出す押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法であって、
    前記口金の前端面に、複数の測定用貫通孔を有する測定用ブロックを取り付ける第1工程と、
    前記測定用ブロックの各測定用貫通孔から吐出されるゴムの長さ及び押出時間をそれぞれ測定する第2工程と、
    前記第2工程で測定したゴムの長さ及び押出時間に基づいて前記各測定用貫通孔でのゴムの流速を算出する第3工程と、
    前記第3工程で算出した各測定用貫通孔でのゴムの流速に基づいて、前記口金でのゴム部品の速度分布を作成する第4工程と、
    を備える、押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法。
  2. 前記第3工程では、前記測定用ブロックの各測定用貫通孔から押し出されるゴムの押出時間が設定時間に到達した時点で、前記各測定用貫通孔から押し出されたゴムの長さを測定することによりゴムの流速を算出する、請求項1に記載の押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法。
  3. 前記口金は、断面矩形状の開口を有する、請求項1又は2に記載の押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法。
  4. 前記測定用ブロックの測定用貫通孔は、前記口金の開口に対して均等に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法。
  5. 前記測定用ブロックの測定用貫通孔のうち、前記口金の開口に対してはみ出して配置されるものがある場合、前記口金の開口に完全に連通するもののみをゴムの流速の測定対象とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の押出成型装置に於けるゴム部品の押出速度分布の測定方法。
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