JP6885247B2 - 粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、例えばパーソナルコンピュータ、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビゲーションシステム、タッチパネル、ペンタブレットなどのような画像表示装置を形成する際に好適に用いることができる粘着シートに関する。
パーソナルコンピュータ、モバイル端末(PDA)、タッチパネルなどの画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を、粘着剤で充填する際、粘着シートを用いる方法が知られている。
この種の粘着シートに関しては、例えば特許文献1において、紫外線によって1次架橋した粘着シートを画像表示装置構成部材に貼合後、画像表示装置構成部材を介して粘着シートに紫外線照射し2次硬化させる方法が開示されている。
上述のような画像表示装置構成部材は、被着面に印刷部が形成されているなど、被着面に凹凸部を有していることが多く、視認性を高めるためには、そのような凹凸部にも粘着剤が充填されることが好ましい。このため、大きな印刷段差に追従して隅々まで充填することができる粘着シートが求められることになる。
しかし、このような大きな印刷段差に追従する性質を有する粘着シートは、それだけ流動性が高いため、保管・運搬時に粘着層が流動して形状を保持するのが難しいという問題を生じることがあった。
そこで、このような問題を解決するべく、例えば特許文献2は、半硬化状態の粘着層と、前記半硬化状態の粘着層を挟むように積層された一対の基材層とを備える積層体を5〜100枚重ね、重ねた方向に対して側面側から波長360nm以下の光を照射する画像表示装置用粘着シートの製造方法を開示している。かかる製造方法によれば、5〜100枚重ねられた積層体であっても、側面側に特定の光が照射され粘着剤層の端部のみが硬化されているため、保管・運搬時に粘着剤層が流動して変形するおそれがない。
特許第4971529号公報 特許第5991531号公報
しかし、特許文献2が開示しているように、粘着シート積層体に対して、側面側から光照射した場合、粘着シート自身の光吸収によって光が十分な深さまで進行しないため、または、光の照射強度の振れによって端縁部の硬化幅にムラが生じるため、粘着剤層の端縁部の硬化は必ずしも十分ではなく、粘着シートの形状保持性が低いことから、保管しているうちに粘着剤層が流動して変形する可能性があった。
また、被着面の凹凸部に追随して粘着剤を充填できるように、加熱すると軟化乃至流動するホットメルト性を持たせた粘着シートは、加熱した際に粘着剤層が流動して被着体の外側に食み出してしまうことがあった。
そこで本発明は、保管している間に粘着シート端面から粘着剤が食み出すことがないような“保管安定性”に優れると共に、粘着シートを加熱して被着体に積層した際に、被着面の凹凸部に追随して充填することができる“段差吸収性”に優れている粘着シート、さらには、加熱しても被着体の外側に粘着剤が食み出すようなことがない“ホットメルト形状安定性”にも優れた新たな粘着シートを提供せんとするものである。
本発明は、平面視において、粘着シートの周縁端部に沿う領域であって、かつ、当該周縁端部から内側に向かって幅w[mm]に渡る領域(「第二領域」と称する)のゲル分率が15〜100%であり、当該第二領域の内側の領域(「第一領域」と称する)のゲル分率が15%未満である粘着シートであって、
第二領域の幅w[mm]と粘着シートの厚さd[mm]とが次の式(1)の関係を満たすことを特徴とする粘着シートを提案する。
式(1)・・・1.3d≦w≦14d
本発明が提案する粘着シートは、粘着シートの周縁端部に沿う領域であって、かつ、当該周縁端部から内側に向かって幅w[mm]の第二領域のゲル分率を15〜100%とし、当該第二領域の内側の第一領域のゲル分率を15%未満とし、さらに第二領域の幅w[mm]と粘着シートの厚さd[mm]とが上記式(1)の関係を満たすように設定することにより、保管している間に粘着シート端面から粘着剤が食み出すことがないような“保管安定性”に優れると共に、粘着シートを加熱して被着体に積層した際に、被着面の凹凸部に追随して充填することができる“段差吸収性”に優れている。
しかも加熱しても被着体の外側に粘着剤が食み出すようなことがない“ホットメルト形状安定性”にも優れている。
本発明の一例に係る粘着シートを示した平面図である。
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、かかる実施形態に本発明が限定されるものではない。
<本粘着シート1>
本発明の実施形態の一例に係る粘着シート(「本粘着シート1」と称する)1は、図1に示すように、平面視において、粘着シート1の周縁端部2に沿う領域であって、且つ当該周縁端部2から内側に向かって幅w[mm]に渡る領域(「第二領域」と称する)20のゲル分率が、当該第二領域20の内側の領域(「第一領域」と称する)10のゲル分率よりも大きいという特徴を備えた粘着シートである。
本粘着シート1は、平面視した状態で周囲を周縁端部によって囲まれた形状であれば任意の形状でよい。例えば長方形、正方形等の矩形状(矩形の四隅を面取り加工した状態も含める。)であってもよいし、多角形状であってもよいし、丸形状であってもよいし、被着体形状に合わせて裁断された形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。例えばロール状に捲回された粘着シート捲回体を巻き戻して、前述のような所定形状に裁断して形成することができる。
本粘着シート1において、第二領域20すなわちゲル分率が高い部分の幅w[mm]が粘着シートの厚さdに対して所定の比率よりも小さいと、第二領域20のゲル分率を高めたとしても、例えば保管時に粘着シート端面から粘着剤が食み出したり、ホットメルトして粘着剤が軟化乃至流動したときに、形状安定性を保持することができなくなり、被着体の外側に粘着剤が食み出したりすることがある。
これに対し、第二領域20の幅w[mm]と粘着シート1の厚さd[mm]とが、1.3d≦wの関係を満たすと、保管時に粘着シート端面から粘着剤が食み出したり、ホットメルトした際に被着体から粘着剤が食み出したりするのを効果的に抑制できることが確認されている。
但し、第二領域20の幅wが大き過ぎると、十分な段差吸収性を確保することができなくなる可能性がある。
かかる観点から、1.3d≦w≦14dであるのが好ましく、中でも3.0d≦w或いはw≦11d、その中でも5.0d≦w或いはw≦8.0dであるのがさらに好ましい。
以上より、3.0d≦w≦14d、3.0d≦w≦11d又は3.0d≦w≦8.0dであることが好ましく、中でも5.0d≦w≦14d又は5.0≦w≦11dであることがさらに好ましく、8.0d≦w≦14d又は8.0≦w≦11dであることが最も好ましい。
したがって、例えば本粘着シート1の厚さdが0.1mmである場合は、第二領域20の幅w[mm]は0.13mm〜1.4mmであるのが好ましく、厚さdが0.15mmである場合は、幅w[mm]は0.195mm〜2.1mmであるのが好ましい。
なお、本粘着シート1が、厚さが異なる部分を有する場合は、第二領域20の厚さの平均値を本粘着シート1の厚さdとする。
本粘着シート1において、上記第二領域20における粘着シートのゲル分率は15〜100%であるのが好ましい。
本粘着シート1において、周縁端部2から所定の幅w[mm]に渡る第二領域20のゲル分率が15〜100%であれば、保管時に粘着シート端面から粘着剤が食み出したり、ホットメルトした際に被着体から粘着剤が食み出したりするのを効果的に抑制することができる。
かかる観点から、第二領域20における粘着シートのゲル分率は15〜100%であるのが好ましく、中でも20%以上或いは99%以下、その中でも25%以上或いは95%以下、さらにその中でも30%以上或いは90%以下であるのがさらに好ましい。
なお、本粘着シート1が、加熱により軟化乃至流動するホットメルト性を有する場合には、第二領域20におけるゲル分率は15%以上100%以下であることがより好ましく、中でも20%以上或いは90%以下であるのがさらに好ましい。
このような範囲とすることで、被着体への貼着時に軟化乃至流動させた場合であっても、高い形状安定性を保持することができる。
第二領域20のゲル分率の標準偏差は3.0%以下であるのが好ましく、中でも2.5%以下、その中でも2.0%以下であるのがさらに好ましい。
なお、標準偏差は以下の計算方法で求められる値である。
<標準偏差の計算方法>
まず、任意の箇所のゲル分率測定で得られた値のゲル分率の平均値を求める。次に、各測定で得られたゲル分率とゲル分率の平均値の差を求める。続いてこの値の2乗平均を求め、最後に2乗平均の平方根を計算して標準偏差を求める。
本粘着シート1の側端面に対して水平横方向或いは斜めから光を照射して硬化させた場合には、第二領域20の内側部分まで硬化しないため、第二領域20全体のゲル分率の標準偏差は高くなってしまうことが確認されている。これに対し、後述するように、本粘着シート1のシート面に対して、垂直方向から光照射することにより、第二領域20の内側部分まで均一に硬化させることができ、光の直進性に優れたLEDを使用することにより、さらに均一に硬化させることができるため、第二領域20のゲル分率の標準偏差は3.0%以下、特に2.5%以下、中でも特に2.0%以下とすることができる。
他方、第一領域10のゲル分率は15%未満であるのが好ましい。
第一領域10のゲル分率が15%未満であることにより、被着体への貼合時に優れた段差吸収性を発揮することができる。
かかる観点から、第一領域10のゲル分率は15%未満であるのが好ましく、中でも10%未満、その中でも8%未満、特にその中でも5%未満(0%含む)であるのがさらに好ましい。
なお、上記第一領域10のゲル分率及び第二領域20のゲル分率は、それぞれ第一領域10及び第二領域20の平均ゲル分率の意味である。例えば粘着シート1の周縁端部2から内側に幅w[mm]に渡る領域において、周縁端部2に沿って所定幅だけ複数個所を裁断し、各裁断片のゲル分率を測定し、それらの平均値を第二領域20のゲル分率とすることができる。
また、第一領域10内において、任意の複数箇所において粘着シート片を採取し、その採取した粘着シート片のゲル分率を測定し、それらの平均値を第一領域10のゲル分率とすることができる。
なお、平均値を求める際、少なくとも2か所を測定して平均値を求めればよく、中でも3か所以上を測定して平均値を求めるのが好ましく、その中でも4か所以上、さらにその中でも5か所以上を測定して平均値を求めるのがさらに好ましい。
この際、第二領域20のゲル分率の測定においては、各辺において、少なくとも2か所を測定して平均値を求めればよく、中でも3か所以上を測定して平均値を求めるのが好ましく、その中でも4か所以上、さらにその中でも5か所以上を測定して平均値を求めるのがさらに好ましい。但し、後述する実施例の場合には、第二領域20の製造条件が同じであることが分かっているため、このように各辺において複数個所の測定を行うことはしていない。
さらに、保管安定性及び形状保持性と段差吸収性のバランスから、第二領域20のゲル分率は、第一領域10における粘着シートのゲル分率より1%以上大きいことが好ましく、中でも5%以上、その中でも10%以上、さらにその中でも15%以上或いは99%以下だけ大きいのが好ましい。
同様の観点から、第一領域10のゲル分率と第二領域20のゲル分率の差は15%〜100%であるのが好ましく、中でも20%以上或いは80%以下、その中でも25%以上或いは60%以下であるのがさらに好ましい。
本粘着シート1の最終硬化時のゲル分率、例えば被着体の間に前記粘着シート1を介在させて光照射して光硬化させた後の粘着シート1のゲル分率(「最終硬化時ゲル分率」と称する)は20%〜100%、中でも25%以上或いは95%以下、その中でも30%以上或いは90%以下であるのがさらに好ましい。
本粘着シート1の厚さdは、0.02mm〜1mmであるのが好ましい。本粘着シート1の厚さが0.02mm以上であれば、被着体等に施されている印刷段差等の凹凸に追従可能である。また、薄肉化の要求にこたえる観点からは、厚さ1mm以下であるのが好ましい。
かかる観点から、本粘着シート1の厚さdは、0.02mm〜1mmであるのが好ましく、中でも0.05mm以上、その中でも0.050mm以上或いは0.8mm以下、その中でも0.1mm以上或いは0.5mm以下であるのがさらに好ましく、その中でも0.075mm以上或いは0.25mm以下であるのが最も好ましい。
<本粘着シート1の構成>
本粘着シート1は、粘着剤組成物から形成されてなる粘着剤層からなる単層であってもよいし、二層、三層などの複数層の粘着剤層からなるものであってもよい。
本粘着シート1が複数層の粘着剤層を備えたものである場合、第一領域10のゲル分率及び第二領域20のゲル分率とは、各粘着剤層のゲル分率ではなく、各領域における複数層の粘着剤層全体のゲル分率を意味することになる。
また、本粘着シート1は、芯層として基材層(粘着性を有さない層)を有し、該基材層の両側に、粘着剤組成物から形成される層が積層してなる構成であってもよい。このような構成の場合、芯層としての基材層は粘着シート積層体が加熱成形可能となるような材質や特性を有することが好ましい。
この場合の第一領域10のゲル分率及び第二領域20のゲル分率とは、粘着剤組成物から形成される層のゲル分率を意味することになる。
<損失正接>
本粘着シート1、中でも上記第一領域10は、光照射前において、剪断法による動的粘弾性測定により測定される、温度30℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0未満であり、かつ、温度70℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0以上であることが好ましい。
本粘着シート1、中でも上記第一領域10における損失正接(Tanδ)が上記範囲であれば、本粘着シート1、中でも上記第一領域10が軟化乃至流動性を備えるため、高い段差吸収性を有することができる。
かかる観点から、本粘着シート1、中でも上記第一領域10は、温度30℃での損失正接(Tanδ)の値は1.0未満、中でも0.8未満であり、かつ温度70℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0以上、中でも1.5以上であるのがさらに好ましい。
また、本粘着シート1、中でも上記第一領域10は、光照射後において、剪断法による動的粘弾性測定により測定される、温度70℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0未満となることが好ましい。
本粘着シート1、中でも上記第一領域10がこのような損失正接(Tanδ)の値を有することで、本粘着シート1を十分に硬化させることができるため、優れた耐発泡信頼性を有することができる。
本粘着シート1が上記の損失正接(Tanδ)の値を有するように調製するには、例えば本粘着シート1の構成成分として、下述するような樹脂組成物において、ベースポリマーとなる(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を構成するモノマー種類や組成比率などを調整したり、架橋剤や光開始剤の量を調整して架橋度を調整したりすればよい。但し、これらの方法に限定するものではない。
<本粘着シート1の粘着剤層>
本粘着シート1は、単層又は多層のシート状の粘着剤層から構成することができる。
この際、当該粘着剤層を形成するために用いる粘着剤組成物としては、1)(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体に、架橋剤、必要に応じて光開始剤や反応触媒などを配合してなる組成物や、2)ブタジエン又はイソプレン系(共)重合体に、架橋剤、必要に応じて光開始剤や反応触媒などを配合してなる組成物や、3)シリコーン系(共)重合体に、架橋剤、必要に応じて光開始剤や反応触媒などを配合してなる組成物や、4)ウレタン系(共)重合体を用いたウレタン系組成物などを挙げることができる。
また、本粘着シート1は、加熱により軟化乃至流動するホットメルト性あるいは光照射により硬化する光硬化性を有する粘着シートであるのが好ましい。
本粘着シート1は、室温状態での形状保持性とホットメルト性とを両立させる観点から、本粘着シート1の粘着剤層形成に使用する粘着剤組成物中のポリマー、例えば上記した(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、ブタジエン又はイソプレン系(共)重合体、シリコーン系(共)重合体、ウレタン系(共)重合体等の各種(共)重合体の重量平均分子量が50000〜400000であるのが好ましく、中でも60000以上或いは350000以下、その中でも70000以上或いは300000以下であるのがさらに好ましい。
なお、上記各種(共)重合体は、これを調整するために用いる各種モノマーの種類、組成比率、さらには重合条件等を適宜選択することによって、分子量等の物性を適宜調整することが可能である。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートをそれぞれ包括する意味であり、「(共)重合体」とは、重合体及び共重合体を包括する意味である。また、「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
上記の中でも、少なくとも、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)を含有する組成物を粘着剤組成物の好適な一例として挙げることができる。
その中でも、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)、架橋剤(b)及び光開始剤(c)を含有する粘着剤組成物を、より好適な一例として挙げることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)は、光硬化可能であることが好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a))
上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)としては、例えばアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体の他、これと共重合可能なモノマー成分を重合することにより得られる共重合体を挙げることができる。例えばアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体の他、これと共重合可能なモノマー成分を重合することにより得られる共重合体を挙げることができる。
より具体的には、アルキル(メタ)アクリレートと、これと共重合可能な(a)カルボキシル基含有モノマー(以下「共重合性モノマーA」とも称する。)、(b)水酸基含有モノマー(以下「共重合性モノマーB」とも称する。)、(c)アミノ基含有モノマー(以下「共重合性モノマーC」とも称する。)、(d)エポキシ基含有モノマー(以下「共重合性モノマーD」とも称する。)、(e)アミド基含有モノマー(以下「共重合性モノマーE」とも称する。)、(f)ビニルモノマー(以下「共重合性モノマーF」とも称する。)、(g)側鎖の炭素数が1〜3の(メタ)アクリレートモノマー(以下「共重合性モノマーG」とも称する。)及び(h)マクロモノマー(以下「共重合性モノマーH」とも称する。)から選択される何れか一つ以上のモノマーを含むモノマー成分の共重合体を挙げることができる。
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばn−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記共重合性モノマーAとしては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーBとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーCとしては、例えばアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノイソプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーDとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーEとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーFとしては、ビニル基を分子内に有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル類並びに分子内にヒドロキシル基、アミド基及びアルコキシルアルキル基等の官能基を有する官能性モノマー類並びにポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類並びに酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びラウリン酸ビニル等のビニルエステルモノマー並びにスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン及びその他の置換スチレン等の芳香族ビニルモノマーを例示することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーGとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーHは、重合により(メタ)アクリル酸エステル共重合体となった際に側鎖の炭素数が20以上となるモノマーである。共重合性モノマーHを用いることにより、(メタ)アクリル酸エステル共重合体をグラフト共重合体とすることができる。
したがって、共重合性モノマーHと、それ以外のモノマーの選択や配合比率によって、グラフト共重合体の主鎖と側鎖の特性を変化させることができる。
上記共重合性モノマーHとしては、骨格成分がアクリル酸エステル重合体又はビニル系重合体から構成されるのが好ましい。マクロモノマーの骨格成分としては、例えば上記側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート、上記共重合性モノマーA、後述の共重合性モノマーB、上記共重合性モノマーG等に例示されるものが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
マクロモノマーは、ラジカル重合性基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基又はチオール基等の官能基を有するものである。
マクロモノマーとしては、他のモノマーと共重合可能なラジカル重合性基を有するものが好ましい。ラジカル重合性基は一つ或いは二つ以上含有していてもよく、中でも一つであるものが特に好ましい。
マクロモノマーが官能基を有する場合も官能基は一つ或いは二つ以上含有していてもよく、中でも一つであるものが特に好ましい。
また、ラジカル重合性基と官能基はどちらか一方でも、両方含有していてもよい。ラジカル重合性基と官能基を両方含有する場合は、他のモノマーからなる重合物ユニットとの付加する官能基、又は他のモノマーと共重合するラジカル重合性基の何れか以外の官能基若しくはラジカル重合性基は二つ以上であってもよい。
よって、前記マクロモノマーの末端官能基としては、例えばメタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基などのラジカル性重合基のほか、ヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、チオール基等の官能基を挙げることができる。
中でも、他のモノマーと共重合可能なラジカル重合性基を有するものが好ましい。ラジカル重合性基は一つ或いは二つ以上含有していてもよく、中でも一つであるものが特に好ましい。マクロモノマーが官能基を有する場合においても、官能基は一つ或いは二つ以上含有していてもよく、中でも一つであるものが特に好ましい。
また、ラジカル重合性基と官能基は、どちらか一方でも、両方含有していてもよい。ラジカル重合性基と官能基を両方含有する場合は、他のモノマーからなる重合物ユニットとの付加する官能基又は他のモノマーと共重合するラジカル重合性基の何れか以外の官能基もしくはラジカル重合性基は二つ以上であってもよい。
上記共重合性モノマーHの数平均分子量は、500〜2万であるのが好ましく、中でも800以上或いは8000以下、その中でも1000以上或いは7000以下であるのが好ましい。
マクロモノマーは、一般に製造されているもの(例えば東亜合成社製マクロモノマーなど)を適宜使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)がマクロモノマー(共重合性モノマーH)をモノマー成分として含む場合の好ましい一例として、枝成分としてマクロモノマーを備えたグラフト共重合体からなる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)を挙げることができる。
このような(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)を用いて粘着剤層を構成すれば、粘着剤層は、室温状態でシート状を保持しつつ自着性を示すことができ、加熱すると溶融乃至流動するホットメルト性を有し、さらには光硬化させることができ、光硬化後は優れた凝集力を発揮させて接着させることができる。
よって、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)を使用すれば、未架橋状態であっても、室温(20℃)において粘着性を示し、且つ、50〜100℃、より好ましくは60℃以上或いは90℃以下の温度に加熱すると軟化乃至流動化する性質を備えることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)の幹成分を構成する共重合体成分のガラス転移温度は、室温状態での粘着剤層の柔軟性や、被着体への粘着剤層の濡れ性、すなわち接着性に影響するため、本粘着シート1が室温状態で適度な接着性(タック性)を得るためには、当該ガラス転移温度は、−70℃〜0℃であるのが好ましく、中でも−65℃以上或いは−5℃以下、その中でも−60℃以上或いは−10℃以下であるのが特に好ましい。
但し、当該共重合体成分のガラス転移温度が同じ温度であったとしても、分子量を調整することにより粘弾性を調整することができる。例えば共重合体成分の分子量を小さくすることにより、より柔軟化させることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)の幹成分が含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルシクロヘキサンアクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらに、親水基や有機官能基などをもつヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基含有モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するモノマー、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系塩基性モノマー等を用いることもできる。
また、前記アクリルモノマーやメタクリルモノマーと共重合可能な、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルキルビニルモノマー等の各種ビニルモノマーも適宜用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)の幹成分は、疎水性のモノマーと、親水性のモノマーとを構成単位として含有するのが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)の幹成分が、疎水性モノマーのみから構成されると、湿熱白化する傾向が認められるため、親水性モノマーも幹成分に導入して湿熱白化を防止するのが好ましい。
具体的には、上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)の幹成分として、疎水性の(メタ)アクリレートモノマーと、親水性の(メタ)アクリレートモノマーと、マクロモノマーの末端の重合性官能基とがランダム共重合してなる共重合体成分を挙げることができる。
ここで、上記の疎水性の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えばエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、メチルメタクリレートを挙げることができる。
また、疎水性のビニルモノマーとしては酢酸ビニル等のアルキルビニルエステル、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキルビニルモノマーなどを挙げることができる。
中でも、後述する枝成分が成す相と適度な相分離構造を形成しやすい点と、適度な接着性(タック性)を付与する観点から、炭素数が5以上、中でも8以上、その中でも9以上、特に10以上のアルキル(メタ)アクリレ−トであるのが好ましい。
本粘着シート1が、例えばタッチセンサー機能をもつ部材に用いられる場合、タッチ検出感度の変化を吸収して検出信号のノイズ発生を抑えるために、比誘電率の低い光硬化性組成物が求められる場合がある。このとき、粘着剤組成物を硬化させてなる硬化物の比誘電率を低く調整する観点から、疎水性モノマーとして、炭素数が5以上、中でも8以上、その中でも9以上、特に10以上のアルキル(メタ)アクリレ−トを用いるのが好ましい。
炭素数8以上のアルキル(メタ)アクリレ−トとしては、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができる。
上記の親水性のモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートや、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基含有モノマー、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの他、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、フェニル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマーを用いることができる。
上記の中でも、組成物の湿熱白化を防止しつつ、被着体への密着性を向上させる観点から、上記の親水性のモノマーとして、水酸基含有モノマーや、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド系モノマーを用いるのが好ましい。
他方、本粘着シート1が金属又は金属酸化物等の腐食性を有する部材に用いられる場合は、被着体の腐食劣化を防ぐために、酸性度の高いカルボキシル基や酸無水物を含有しない親水性成分を用いるのが好ましい。かかる観点からは、上記の親水性のモノマーとして、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、フェニル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマーを用いるのが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)は、グラフト共重合体の枝成分として、マクロモノマーを導入し、マクロモノマーを構成単位として含むことが好ましい。マクロモノマーとは、末端の官能基と高分子量骨格成分とを有する高分子単量体である。
マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a−1)を構成する共重合体成分のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。
具体的には、マクロモノマーのガラス転移温度(Tg)は、本粘着シート1の加熱溶融温度(ホットメルト温度)に影響するため、30℃〜120℃であるのが好ましく、中でも40℃以上或いは110℃以下、その中でも50℃以上或いは100℃以下であるのがさらに好ましい。
マクロモノマーがこのようなガラス転移温度(Tg)であれば、分子量を調整することにより、優れた加工性や保管安定性を保持できると共に、50℃から80℃付近でホットメルトするように調整することができる。
マクロモノマーのガラス転移温度とは、当該マクロモノマー自体のガラス転移温度を意味し、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
また、室温状態では、枝成分同士が引き寄せ合って粘着剤組成物として物理的架橋をしたような状態を維持することができ、しかも、適度な温度に加熱することで前記物理的架橋が解れて流動性を得ることができるようにするためには、マクロモノマーの分子量や含有量を調整することも好ましい。
かかる観点から、マクロモノマーは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)中に5質量%〜30質量%の割合で含有することが好ましく、中でも6質量%以上或いは25質量%以下、その中でも8質量%以上或いは20質量%以下であるのが好ましい。
また、マクロモノマーの数平均分子量は、500〜10万であるのが好ましく、中でも8000未満であることが好ましく、中でも800以上或いは7500未満、その中でも1000以上或いは7000未満であるのが好ましい。
マクロモノマーの高分子量骨格成分は、アクリル酸エステル重合体又はビニル系重合体から構成されるのが好ましい。
前記マクロモノマーの高分子量骨格成分としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリート、イソオクチルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルシクロヘキサンアクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーや、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アルキルビニルモノマー、アルキルビニルエステル、アルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド等の各種ビニルモノマーが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
(ブタジエン又はイソプレン系(共)重合体)
上記ブタジエン又はイソプレン系(共)重合体としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン、水添ブタジエン、水添イソプレン若しくは水添スチレンの単独重合体又はこれらの共重合体等を挙げることができる。
(シリコーン系(共)重合体)
上記シリコーン系(共)重合体としては、ケイ素原子に結合した有機官能基を有し、光活性型触媒により硬化可能な直鎖状及び分岐状のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
(ウレタン系(共)重合体)
上記ウレタン系(共)重合体としては、ポリオール化合物の水酸基とイソシアネート化合物のイソシアネート基が反応することによって、ウレタン結合が形成されてなる共重合体を挙げることができる。
(架橋剤(b))
上記架橋剤(b)としては、少なくとも二重結合架橋を有する架橋剤が好ましい。例えば(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を有する架橋剤を挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、架橋剤(b)が(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)と化学結合した態様も包含される。
中でも、多官能(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。ここで、多官能は2つ以上の架橋性官能基を有するものを指す。なお、必要に応じて3つ以上、4つ以上の架橋性官能基を有してもよい。
なお、上記架橋性官能基は、脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の紫外線硬化型の多官能(メタ)アクリル系モノマーの他、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤(b)の含有量は、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)100質量部に対して0.5〜50質量部、中でも1質量部以上或いは40質量部以下、その中でも5質量部以上或いは30質量部以下の割合であるのが好ましい。
(光開始剤(c))
光開始剤(c)は、前述の架橋剤(b)の架橋反応における反応開始助剤としての機能を果たすものである。光開始剤(c)の中でも、波長380nm以下の紫外線に感応する光開始剤が、架橋反応の制御のしやすさの観点から好ましい。
一方、波長380nmより長波長の光に感応する光開始剤は、高い光反応性を得られる点及び感応する光が本粘着シート1の深部まで到達しやすい点で好ましい。
光開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光開始剤と、に大別される。
これらのうちの開裂型光開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると開始剤としての機能をもたなくなる。このため、架橋反応が終了した後の粘着剤層中に活性種として残存することがなく、粘着剤層に予期せぬ光劣化等をもたらす可能性がないため、好ましい。
他方、水素引抜型光開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着体へのダメージを低減させることができる点で有用である。
本粘着シート1においては、光開始剤(c)として、開裂型光開始剤を使用することが粘着剤層に予期せぬ光劣化等をもたらす可能性がない観点から特に好ましい。
上記開裂型光開始剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1,2−オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ),2−(o−ベンゾイルオキシム))、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドや、それらの誘導体などを挙げることができる。
前記水素引抜型光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4−メチル-ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2−フェニル−2−オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、3−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、カンファーキノンやその誘導体などを挙げることができる。ただし、光開始剤(C)として上記に挙げた物質に限定するものではない。上記に挙げた光開始剤(C)のうちのいずれか一種又はその誘導体を使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
この中でも、光に対する感応性が高く、かつ反応後に分解物となり消色する点では、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光開始剤が好ましい。
また、反応制御のし易さからは、光開始剤(c)として、ベンゾフェノン、4−メチル-ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチルなどを用いるのが好ましい。
光開始剤(c)の含有量は特に制限されるものではない。目安としては、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)100質量部に対して0.1〜10質量部、中でも0.5質量部以上或いは5質量部以下、その中でも1質量部以上或いは3質量部以下の割合で含有するのが好ましい。光開始剤(c)の含有量を上記範囲とすることで、光に対する適度な反応感度を得ることができる。
さらに、光開始剤(c)成分に加えて増感剤を使用することも可能である。増感剤としては、特に限定はなく、光開始剤に用いられる増感剤であれば問題なく使用できる。例えば芳香族アミンやアントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、クマリン誘導体、チオキサントン誘導体、フタロシアニン誘導体等や、ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、ミヒラーケトン、9,10−フェナントラキノンなどの芳香族ケトン及びこれらの誘導体などを挙げることができる。
(その他の成分)
上記粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)、架橋剤(b)及び光開始剤(c)の他にも、通常の粘着組成物に配合されている公知の成分を含有してもよい。例えば粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、消泡剤、無機粒子などの各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
<離型フィルム付き両面粘着シートの構成>
本粘着シート1は、離型フィルム付き両面粘着シートとすることもできる。
例えば離型フィルム上に単層又は多層のシート状の粘着剤層(硬化後の粘着剤層)を成形して離型フィルム付き両面粘着シートとすることもできる。
かかる離型フィルムの材質としては、公知の離型フィルムを適宜用いることができる。例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムに、シリコーン樹脂を塗布して離型処理したものや、離型紙などを適宜選択して用いることができる。
本粘着シート1の両側に離型フィルムを積層する場合、一方の離型フィルムは、他方の離型フィルムと同じ積層構成乃至材料のものであっても、異なる積層構成乃至材料のものであってもよい。
また、同じ厚さであっても、異なる厚さであってもよい。
また、剥離力の異なる離型フィルムや厚さの異なる離型フィルムを本粘着シート1の両側に積層することができる。
離型フィルムの厚みは特に制限されない。中でも、例えば加工性及びハンドリング性の観点から、25μm〜500μmであるのが好ましく、その中でも38μm以上或いは250μm以下、その中でも50μm以上或いは200μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、本粘着シート1は、上記の様に被着体や離型フィルムを使用せずに、例えば上記粘着剤組成物を直接に押出成形する方法や、型に注入することによって成形する方法を採用することもできる。
さらには、被着体である画像表示装置用構成部材間に上記粘着剤組成物を直接充填することによって、本粘着シート1の態様とすることもできる。
<本粘着シート1の製造方法>
本粘着シート1は、粘着シートの周縁部領域、すなわち第二領域20のみを光照射して硬化させることにより形成することができる。
第二領域20のみを光硬化させる方法としては、平面視した際に、粘着シート1の周縁端部、すなわち第二領域20以外の内側部、すなわち第一領域10を遮光して第二領域20のみに光が当たる状態を作り、この状態で光照射する方法や、LEDのような指向性の高い光源を用いてピンポイントに第二領域20のみに光照射する方法などを挙げることができる。但し、第二領域20のみを光硬化させる方法は、上記の方法に限ったものではない。
なお、粘着シートの側面側から光を照射すると、光が十分奥まで届かないため、第二領域20の幅wが不十分となってしまう。
好ましい本粘着シート1の製造方法の一例として、次のような工程(1)及び(2)を有する方法を挙げることができる。
(1)粘着シートの表裏一側又は両側に、離型フィルムを積層してなる離型フィルム付粘着シートのシート中央部、すなわち第一領域を遮光する工程
(2)前記シートの周縁端部から内側に向かって幅w[mm]に渡る領域、すなわち第二領域20に対して、第二領域20の上方若しくは下方又は上下両方から、光照射する工程
より好ましい本粘着シート1の製造方法としては、例えば次のような工程(1−1)〜(3−1)を有する方法を挙げることができる。但し、粘着シートの厚さをd[mm]とした時、1.3d≦w≦14dを満たすものとする。
(1−1)粘着シートの表裏一側又は両側に、離型フィルムを積層してなる離型フィルム付粘着シートの巻回体から該離型フィルム付粘着シートを引き取る工程
(1−2)引き取られた離型フィルム付粘着シートのシート中央部、すなわち第一領域10を遮光する工程
(2−1)前記シートの周縁端部から内側に向かって幅w[mm]に渡る領域、すなわち第二領域20に対して、該第二領域20の上方若しくは下方又は上下両方から、光照射する工程
(3−1)第一領域10及び第二領域20を残すように、所定の形状にハーフカットし、前記離型フィルム付粘着シート上に、所定形状にハーフカットされた製品部の連続体を製造する工程
上記工程(1)及び工程(1−1)における粘着シート、すなわち、離型フィルムを積層する前の粘着シート及び離型フィルムを積層した後であって、光を照射する前の粘着シートは、光硬化可能であって、かつ、粘着シートの何れの部分においてもゲル分率が0〜15%の範囲内であるのが好ましく、中でも12%以下、その中でも10%以下であるのがさらに好ましい。
上記工程(1)及び工程(1−1)において、離型フィルム付粘着シートの作製方法としては、例えば粘着剤組成物を2枚の離型フィルムで挟み、ラミネータを用いて粘着剤層を形成する方法を挙げることができる。また、その他の方法として、一方の離型フィルムに粘着剤組成物を塗布して粘着剤層を形成した後、他方の離型フィルムを積層する方法を挙げることができる。但し、かかる製造方法に限定するものではない。
粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えばリバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を挙げることができる。
上記工程(1)及び工程(1−2)において、離型フィルム付粘着シートのシート中央部を遮光する方法としては、離型フィルム付粘着シートの光源側表面に、光を透過しないシートを積層する方法や、鉄やアルミなどの金属板で遮光する方法、その他の方法を挙げることができる。
この際、光を透過しないシートとしては、アルミニウムなどの金属箔、紫外線カットフィルム、などを挙げることができる。
上記工程(2)及び工程(2−1)においては、離型フィルム付粘着シートのシート上面に対して垂直上方から、又は、そのシート下面に対して垂直下方から、又は、シート上下両面に対してそれぞれ垂直上下両方から、光を照射するのが好ましい。
この際、第二領域20のゲル分率を所定範囲に調整するには、例えば単位時間当たりの積算光量や、粘着シートにおける架橋剤及び架橋開始剤の含有量などにより、調整することができる。但し、これらに限定するものではない。
光を照射する光源は、光の指向性が高いという観点からLEDを使用するのが好ましい。光源は各メーカーより様々な発光波長を有するものが開示されているが、特に一般的に用いられる開始剤が吸収する波長域に発光することが好ましい。具体的には200nm〜450nm、中でも220nm以上或いは400nm以下であるのが好ましい。
また、光を照射する光源3は、光の指向性が高いという観点から、光拡散角度が50°以下、中でも40°以下、その中でも30°以下である光源を使用するのが好ましい。
光を照射する際、開始剤の吸収波長の観点から、少なくとも200nm〜450nmの波長の光を照射するのが好ましい。
さらに、光を照射する際、糊食み出しを抑制するのに十分なゲル分率が得られる観点から、単位面積当たり1000mJ/cm〜10000mJ/cm、中でも1500mJ/cm以上或いは9000mJ/cm以下、その中でも2000mJ/cm以上或いは8000mJ/cm以下の積算光量の光を、端縁幅領域のそれぞれの側に照射するのが好ましい。
なお、単位時間当たりの積算光量は、光源の出力、光源と離型フィルム付粘着シートとの距離、離型フィルム付粘着シートの搬送速度などにより調整することができる。一例として、好ましい条件を以下に挙げる。
また、光源の出力は、設備のコンパクト化に寄与する観点から、0.5W/cm〜50W/cmであるのが好ましく、中でも1.0W/cm以上或いは40W/cm以下、その中でも2.0W/cm以上或いは30W/cm以下であるのがさらに好ましい。
また、光源のMD方向長さ、言い換えれば光を照射するMD方向の長さは、本粘着シート1のMD方向全幅を覆う長さであるのが好ましい。
上記工程(3−1)において、ハーフカットとは、一方の離型フィルム及び本粘着シート1には到達し、他方の離型フィルムには到達しない深さで切込みを入れることをいう。
また上記所定形状は、例えば長方形、正方形等の略矩形状(矩形の四隅を面取り加工した状態も含める。)であってもよいし、丸型の形状であってもよく、被着体により適宜選択されるものである。
上記工程(1−1)〜(3−1)の各工程の順序は、必ずしも限定されるものではなく、例えば上記工程(3−1)は上記工程(2−1)の前後のいずれであってもよい。
<画像表示装置構成用積層体>
本発明の画像表示装置構成用積層体(以下「本積層体」とも称する。)は、2つの画像表示装置用構成部材間を、本粘着シート1を介して積層してなる構成を備えるものである。
画像表示装置用構成部材としては、例えば画像表示パネル、表面保護パネル、タッチセンサー及び光学フィルムを挙げることができ、より具体的には、これら2種類以上の組み合わせを挙げることができる。
前記画像表示パネルとしては、例えば液晶、有機EL、電子ペーパー、プラズマディスプレイ及び量子ドット方式のディスプレイを挙げることができ、これら以外の画像表示パネル、すなわち、画像を表示できる画像表示面を備えた装置乃至機器であってもよい。
前記表面保護パネルとしては、例えば薄板ガラス、プラスチック等の材料で作製され、カバーフィルムと称されるような、最表層側に位置することで外部衝撃から保護する、屈曲又は湾曲可能な部材を挙げることができる。その他、タッチパネル機能が一体化したものであってもよく、例えばタッチオンレンズ(TOL)型やワンガラスソリューション(OGS)型であってもよい。
また、前記表面保護パネルは、その周縁部に枠状に印刷された印刷段差部を有していてもよい。
前記タッチセンサーとしては、例えば薄板ガラスやプラスチック等の基材にタッチセンサーが搭載され、センサー機能を有する、屈曲又は湾曲可能な部材を挙げることができる。
また、画像表示パネル内にタッチ機能を内蔵したインセル型や偏光板と画像表示パネルの間にタッチパネル機能を内蔵したオンセル型の画像表示パネルも、タッチセンサーに包含されるものとする。
前記光学フィルムとしては、例えば偏光フィルム、位相差フィルム、光学フィルタ、反射防止フィルム、近赤外線カットフィルム、電磁波シールドフィルム等のフレキシブルディスプレイ内部に搭載され、光学機能を発現する屈曲又は湾曲可能な部材を挙げることができる。
また、本積層体の構成としては、例えば画像表示パネル/本粘着シート1/タッチセンサー、画像表示パネル/本粘着シート1/表面保護パネル、タッチセンサー/本粘着シート1/表面保護パネル、画像表示パネル/本粘着シート1/タッチセンサー/本粘着シート1/表面保護パネル、光学フィルム/本粘着シート1/タッチセンサー、光学フィルム/本粘着シート1/タッチセンサー/本粘着シート1/表面保護パネルなどを挙げることができる。
本積層体は、本粘着シート1を介して、2つの画像表示装置用構成部材を積層した後、少なくとも一方の画像表示装置構成部材側から光照射し、当該画像表示装置構成部材を介して、本粘着シート1を光硬化して製造されることが好ましい。
(本積層体の製造方法)
上記により本積層体を製造する場合、上述した粘着剤組成物から光硬化可能な組成物を適宜選択すればよい。
また、上述した粘着剤組成物から、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a−1)を選択した場合には、得られる粘着シートが、ホットメルト性と光硬化性を有することから、本積層体は、次の(4)及び(5)の工程を有する製造方法により製造されることが好ましい。
(4)粘着シートを介して、2つの画像表示装置構成部材を重ねて積層し、該粘着シートを加熱して軟化乃至流動させる工程
(5)少なくとも一方の画像表示装置構成部材側から光照射し、当該画像表示装置構成部材を介して、粘着シートを光硬化させる工程
上記(4)において、2つの画像表示装置構成部材の積層工程と、粘着シートを加熱して軟化乃至流動させる流動化工程は、同時であってもよく、貼合時の印刷段差追従性の観点から、該積層工程後に流動化工程を経ることがより好ましい。
上記(5)において、光照射により粘着シートを光硬化させることで、硬化反応が進行して、優れた耐剥離性及び耐発泡信頼性を実現することができる。この際、粘着シートの剪断法による動的粘弾性測定により測定される、温度70℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0未満となるように光照射することが好ましい。このような損失正接(Tanδ)の値を有するまで硬化することで、粘着シートに、優れた耐発泡信頼性を付与することができる。
<画像表示装置>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置(以下「本装置」とも称する。)は、上記本積層体を用いて構成される画像表示装置である。
本装置としては、例えばパソコン、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレット等の画像表示装置を挙げることができる。
<語句の説明など>
本発明において、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シート及びフィルムを包含するものである。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
まず、実施例・比較例で得たサンプルの各種物性値の測定方法及び評価方法について説明する。
(ゲル分率の測定)
実施例及び比較例で得られた粘着シートをそれぞれ約0.05g分採取し、予め質量(X)を測定したステンレス(SUS)メッシュ(#200)で袋状に包み、袋の口を折って閉じて、この包みの質量(Y)を測定した。
その後、100mlの酢酸エチルに浸漬させ、23℃で24時間暗所保管した後、包みを取り出して、70℃で4.5時間加熱し付着している酢酸エチルを蒸発させた。
乾燥した包みの質量(Z)を測定し、求めた質量を下記式に代入して求めた。
ゲル分率[%]=[(Z−X)/(Y−X)]×100
なお、第一領域10のゲル分率の測定は、実施例、比較例ともにアルミホイルで遮光した領域における任意の6箇所から約0.05gカッターで切出して採取し、予め質量(X1)を測定したステンレス(SUS)メッシュ(#200)で袋状に包み、袋の口を折って閉じて、この包みの質量(Y1)を有効数字4ケタまで測定した。
乾燥した包みの質量(Z1)をそれぞれの試験片で測定し、求めた質量を下記式に代入してゲル分率を求めた。そして、6箇所の平均値を第一領域10のゲル分率とした。
ゲル分率[%]=[(Z1−X1)/(Y1−X1)]×100
他方、第二領域20のゲル分率の測定は、実施例1〜4及び比較例2では、アルミホイルで遮光されていない部分、比較例3では、光の当たる最表面部分0.5mm幅部分のみを6箇所カッターで切りだし、各試料ともに重量が約0.05gになるように粘着シートを採取し、第一領域10の粘着シートと同様に、ステンレス(SUS)メッシュの質量(X2)、粘着シートをステンレス(SUS)メッシュで袋状に包んだ質量(Y2)を有効数字4ケタまで測定した。
その後、各試験片を100mlの酢酸エチルに浸漬させ、23℃で24時間暗所保管した後、包みを取り出して、70℃で4.5時間加熱し付着している酢酸エチルを蒸発させた。
乾燥した包みの質量(Z2)をそれぞれの試験片で測定し、求めた質量を下記式に代入してゲル分率を求めた。そして、6箇所の平均値を第二領域20のゲル分率とした。さらに、前記平均値と測定した6箇所のゲル分率の分散から標準偏差を求めた。
ゲル分率[%]=[(Z2−X2)/(Y2−X2)]×100
(損失正接(Tanδ)の測定)
実施例及び比較例で得られた粘着シートの第一領域部分を切除し、切除した第一領域部分を複数枚重ねて約1mmの厚さに積層させ、レオメータを用いて粘弾性を測定した。測定温度範囲は−50℃〜150℃、周波数は1Hz、昇温速度は3℃/minの条件で測定した。
得られたデータの30℃及び70℃における貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の値の比をそれぞれの温度での粘着シートの損失正接tanδとした。
(高温高湿条件下で保管した場合における糊はみ出しの評価)
実施例及び比較例で作製した離型フィルム付き粘着シートを100mm×80mmのサイズに切出した後、片方の離型フィルムを剥がして粘着シート部分が82mm×54mmのサイズになるように、粘着シート部分をカットし、その上から離型フィルムを貼り合わせてサンプルを準備した。
得られたサンプルを一対のガラス板で挟み、ガラス板を含んだ荷重が200gとなるように重石を調整して、30℃×90%の高温高湿環境下で100時間晒した後、その試験片の端面を顕微鏡で観察した。試験前後で端面状態が変化しなかったものを「○(good)」、糊が食み出して変形したものを「×(poor)」と評価した。
(ホットメルト貼合後の糊食み出しの評価)
実施例及び比較例で作製した粘着シートを82mm×54mm、厚さ0.55mmのガラス板に貼合し、ガラス板と同形状に粘着シートを切り出して、粘着シート積層体を作製した。
次に、粘着シート積層体の中央部分をアルミホイルで部分遮光して、実施例及び比較例に記載の条件でエネルギー線照射を行い、周縁端部が硬化された粘着シートを作製した。
得られた粘着シート積層体を50μmの印刷高さを備えるガラス板と貼り合わせて端部の糊はみ出しの有無を評価した。貼合条件は、温度70℃、圧力は0.4MPa、貼合時間は1min、貼合は真空環境下で行った。
貼合後、糊食み出しの様子を顕微鏡で観察し、糊食み出し幅の最大値が0.20mm以下のものを「○(good)」、0.21mm以上のものを「×(poor)」として評価した。
(貼合性)
実施例及び比較例で作製した粘着シートの一方の剥離フィルムを剥がして露出した粘着面を、周縁部5mmに厚さ80μmの印刷を施したソーダライムガラス(82mm×53mm×0.5mm厚)の印刷面に、粘着シートの4辺が印刷段差にかかるようにしてプレス圧着した(絶対圧5kPa、温度85℃、プレス圧0.02MPa)。
次に、残る剥離フィルムを剥がし、ゼオノアフィルム(日本ゼオン製100μm厚)をプレス貼合した後、オートクレーブ処理(80℃、ゲージ圧0.2MPa、20分)を施して仕上げ貼着し、積層体を作製した。
作製した積層体を目視観察し、印刷段差近傍で粘着シートが浮いたり、歪んで凹凸ムラが見えたりしたものを「×(poor)」、気泡なく平滑に貼合されたものを「○(good)」と判定した。
<実施例1>
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(a)として、数平均分子量2400のポリメタクリル酸メチルマクロモノマー15質量部(18mol%)とブチルアクリレート81質量部(75mol%)とアクリル酸4質量部(7mol%)とがランダム共重合してなるアクリル酸エステル共重合体(a−1)(重量平均分子量23万)1kgと、架橋剤(b)として、グリセリンジメタクリレート(日油社製、製品名:GMR)(b−1)90gと、光重合開始剤(c)として、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物(Lanberti社製、製品名:エザキュアTZT)(c−1)15gを均一混合し、粘着剤層に用いる粘着剤組成物を作製した。
得られた粘着剤組成物を、離型処理したPETフィルムからなる離型フィルム(三菱樹脂社製、製品名:ダイアホイルMRV−V06、厚さ:100μm)と、同じく離型処理したPETフィルムからなる離型フィルム(三菱樹脂社製、製品名:ダイアホイルMRQ、厚さ:75μm)との2枚で挟み、ラミネータを用いて粘着シートの厚さが150μmとなるように調整して、UV前粘着シートAを作製した。
得られたUV前粘着シートAを、82mm×54mmそれぞれの寸法に切出し、各辺周縁端部の1mm(w=1.0mm)ずつを残して中央部をアルミホイルで遮光した上で、高圧水銀ランプで積算光量2000mJ/cmのエネルギー線を、シート面に対して垂直下方に照射して各辺周縁端部の1mm(w=1.0mm)ずつを硬化させて、光硬化性を備えた粘着シートBを得た。
(積算光量)
実施例及び比較例で照射したUVの積算光量は、積算光量計として、紫外線積算光量計「UIT−250」(ウシオ電機社製)を用い、365nm波長の受光部を取り付け、2回計測してその平均値を有効数字2ケタで求め、それぞれの積算光量とした。
<実施例2>
各辺周縁端部の硬化幅を0.5mm(w=0.5mm)に変更した以外は、実施例1と同様にして、光硬化性を備えた粘着シートCを得た。
<実施例3>
エネルギー線の積算光量を1000mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、光硬化性を備えた粘着シートDを得た。
<実施例4>
エネルギー線の光源を365nm波長のLED−UV光源に変更し、さらに積算光量を1600mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、光硬化性を備えた粘着シートEを得た。
<比較例1>
実施例1で作製したUV前粘着シートAをそのまま粘着シートとして評価に用いた。
<比較例2>
エネルギー線の積算光量を500mJ/cmに変更した以外は、実施例1と同様にして、光硬化性を備えた粘着シートFを得た。
<比較例3>
粘着シート全面をアルミホイルで遮光し、側面から積算光量2000mJ/cmのエネルギー線を照射した以外、実施例1と同様にして、光硬化性を備えた粘着シートGを得た。
<比較例4>
粘着シート全面に積算光量2000mJ/cmのエネルギー線を照射した以外、実施例1と同様にして粘着シートHを得た。
なお、実施例1〜4及び比較例1〜4により得られた粘着シートの評価結果を表1にまとめた。
Figure 0006885247
<考察>
実施例1〜4が示すように、第二領域のゲル分率が15%以上、且つその幅wがシート厚さをdとしたときに1.3d≦w≦14dの関係を満たす条件であれば、高温高湿環境下で糊はみ出しすることなく、さらにホットメルト貼合時においても糊食み出しを0.2mm以下に抑制でき、且つ良好な貼合性が得られることが確認された。
一方、比較例1及び2のように、第二領域のゲル分率が15%未満の場合、第二領域の架橋が不十分であり、糊食み出しの抑制効果を十分に得ることができないことが分かった。
また、比較例3が示すように、側面からエネルギー線を照射して硬化させた場合、最表面は硬化しているものの、ゲル分率の高い端縁領域すなわち第二領域の幅wが1.3d未満となり、貼合のような圧力がかかる条件においては糊食み出しの抑制効果を得ることができないことが分かった。
さらに比較例4のように全面をエネルギー線で硬化した場合、糊はみ出しは抑制できるが、貼合性は著しく低下することが分かった。
以上より、優れた段差吸収性を保持しつつ、糊食み出しの抑制効果を十分に得るには、第一領域のゲル分率が15%未満であり、第二領域のゲル分率が15%〜100%であり、且つシートの厚さdに対する第二領域の幅wが1.3d≦w≦14dの関係を満たすことが必要な条件となることが分かった。
本発明の粘着シートは、高い保管安定性を有することのみならず、高い段差吸収性の他、形状保持性を有することができるので、モバイル端末(PDA)、タッチパネルなどの画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間を充填する用途に好適に用いることができる。
1 本粘着シート
2 周縁端部
10 第一領域
20 第二領域

Claims (13)

  1. 平面視において、粘着シートの周縁端部に沿う領域であって、かつ、当該周縁端部から内側に向かって幅w[mm]に渡る領域(「第二領域」と称する)のゲル分率が15〜100%であり、当該第二領域の内側の領域(「第一領域」と称する)のゲル分率が15%未満である粘着シートであって、
    第二領域の幅w[mm]と粘着シートの厚さd[mm]とが次の式(1)の関係を満たすことを特徴とする粘着シート。
    式(1)・・・1.3d≦w≦14d
  2. 第一領域のゲル分率と第二領域のゲル分率の差が15〜100%であることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記厚さdが0.075mm〜0.25mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 第二領域のゲル分率の標準偏差は3.0%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の粘着シート。
  5. 少なくとも上記第一領域においては、剪断法による動的粘弾性測定により測定される、周波数1Hz、温度30℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0未満であり、かつ、温度70℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の粘着シート。
  6. 少なくとも上記第一領域においては、光照射後において、剪断法による動的粘弾性測定により測定される、温度70℃での損失正接(Tanδ)の値が1.0未満となることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の粘着シート。
  7. (メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(a)、架橋剤(b)及び光開始剤(c)を含有する粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する請求項1〜6の何れかに記載の粘着シート。
  8. 画像表示装置用構成部材を接着するのに用いる請求項1〜7の何れかに記載の粘着シート。
  9. 請求項1〜の何れかに記載の粘着シートと、離型フィルムとを積層してなる、離型フィルム付粘着シート。
  10. 2つの画像表示装置用構成部材間を、請求項1〜の何れかに記載の粘着シートを介して積層してなる構成を備えた画像表示装置構成用積層体。
  11. 前記画像表示装置構成部材が、画像表示パネル、表面保護パネル、タッチセンサー及び光学フィルムからなる群のうちの何れか、或いは2種類以上の組み合わせからなる積層体であることを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置構成用積層体。
  12. 少なくとも一方の画像表示装置用構成部材側から光照射し、当該構成部材を介して粘着シートを光硬化してなる請求項10又は11に記載の画像表示装置構成用積層体の製造方法。
  13. 請求項10又は11に記載の画像表示装置構成用積層体を用いて得られる画像表示装置。
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