JP2020164575A - 両面粘着シート、離型フィルム付積層体及び画像表示装置用積層体 - Google Patents

両面粘着シート、離型フィルム付積層体及び画像表示装置用積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】実使用環境下に近い屈曲試験によっても、折れ痕発生や剥離発生をしない優れた折曲性、及び、接着性を有する両面粘着シートを提供すること。2つの屈曲又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材を貼合する際の両面粘着シートの使用方法を提供すること。【解決手段】 周波数1Hzのせん断における損失正接(tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が−50℃以上−20℃以下であり、せん断貯蔵弾性率G’(25℃)と引張貯蔵弾性率E’(25℃)が特定の関係を満たす両面粘着シートにより解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、2つの屈曲可能な画像表示装置用構成部材の貼合に好適に使用することができる両面粘着シート、並びに、これを用いた離型フィルム付積層体及び画像表示装置用積層体に関する。
近年、画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を接着剤で充填することにより、入射光や表示画像からの出射光の空気層界面での反射を抑えることが行われている。
現在、これらの画像表示パネルには、液晶ディスプレイパネル(LCD)等の平面状ディスプレイパネルが主に使用されている。
このような画像表示装置用構成部材間の空隙を粘着剤で充填する方法として、画像表示装置用構成部材間の空隙を、粘着シートを用いて充填する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、被着面に異物が存在したとしても、常圧下での貼合時はもちろん、減圧環境下においても視認可能な気泡の発生を抑えることができる特定の貯蔵せん断弾性率粘着シートとして、20℃基準マスターカーブによる粘着シートの貯蔵せん断弾性率が、周波数10−3Hz及び10−5Hzのいずれにおいても5×10Pa以上1×10Pa以下の範囲内に入る物性を備えた粘着シートが開示されている。
また、特許文献2には、粘着シートを介して貼り合せた積層体をカットした際、経時的にカット端面がベタツクことなく、しかも被着面に凹凸があっても気泡が残留することなく貼着でき、さらには、被着体がプラスチック等のアウトガスを発生する材料のものであっても発泡することなく貼着できる、新たな透明粘着シートとして、異なる粘弾性挙動を有する第1粘着層及び第2粘着層をそれぞれ1層以上有し、且つ、これらの層を積層し一体化してなる構成を備えた粘着シートであって、周波数1Hzの温度分散で測定した動的せん断貯蔵弾性率G’の値が、20℃で2×10〜5×10Paであり、かつ150℃で1×10〜1×10Paである、透明粘着シートについて開示されている。
さらに、特許文献3には、被着体へ貼合する際に、印刷部位による段差や凹凸への追随性に優れているばかりか、裁断加工性等の作業性にも優れた透明両面粘着シートとして、中間樹脂層と、表裏面層としての感圧接着剤層とを有する透明両面粘着シートであって、各層はいずれも、1種類以上の(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体をベース樹脂とする層であり、温度範囲0℃〜100℃において、周波数1Hzにおける中間樹脂層の貯蔵せん断弾性率が、感圧接着剤層の貯蔵せん断弾性率より高く、且つ、シート全体の押込硬度(アスカーC2硬度)が10〜80であることを特徴とする透明両面粘着シートについて開示されている。
ところで、最近では、次世代のディスプレイとして、自由自在に屈曲可能なフレキシブルディスプレイが注目を浴びている。フレキシブルディスプレイには、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイが主に使用されている。
フレキシブルディスプレイには、柔軟な薄いガラス基板やプラスチック基板が用いられることから、これら画像表示装置用構成部材の貼合に用いられる両面粘着シートには、従来の平面状ディスプレイパネルで必要とされた光学特性や耐久性に加えて、屈曲試験をしても折れやはがれや浮きが発生することのないことが要求される。
このようなフレキシブルディスプレイに使用可能な粘着シートとして、特許文献4には、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む、光学フィルム用粘着剤であって、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の、ガラス転移温度が−70℃以上−55℃以下であり、かつ、質量平均分子量が100万を超えて250万以下である、光学フィルム用粘着シートが開示されている。
国際公開WO2007/029557号パンフレット 国際公開WO2010/044229号パンフレット 国際公開WO2011/129200号パンフレット 特開2016−108555号公報
ディスプレイ技術の画期的な進歩により、ディスプレイを構成する画像表示装置用構成部材を貼合するための両面粘着シートにも新たな課題が生じてきている。
フレキシブルディスプレイを構成する画像表示装置用構成部材は自由自在に屈曲可能又は湾曲可能であるため、これらの貼合に使用される両面粘着シートは、部材を貼合した後に屈曲しても折れ、はがれ、浮きを発生しないことが要求される。
しかしながら、特許文献4に記載されているような、ガラス転移点が低く分子量が大きい粘着シートは常温や高温における接着力が低いため、部材を貼合した際に実使用環境下で折曲げ試験を行う前にはがれてしまうなど、両面粘着シートとしての基本的な性能に問題があった。
また、この欠点を補うために、ガラス転移点が高い両面粘着シートをフレキシブルディスプレイに適用しようとすると、部材を貼合して複数回折り曲げると折れ痕が残るという問題があった。
前記特許文献4は、粘着シートを構成する(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移温度が−70℃以上−55℃以下であれば、耐久性と折り曲げ耐久性を両立することができることを開示している。
しかしながら、本発明者は、両面粘着シートの特性についてより詳細に研究したところ、ガラス転移温度(Tg)が−55℃以上であっても、所定のせん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’を有する粘着シートであれば、折曲げ痕や剥離を発生させることなく十分な折り曲げ耐性を有すること、並びに、実用的に使用できる程度の粘着力を有する粘着シートとなることを新たに見出した。
そこで、本発明の目的は、新たに見出したこのような知見に基づき、部材を貼合した後に実使用環境下で折り曲げても、剥離せず折れ痕も残らない優れた折曲性、接着性を有する両面粘着シート、並びに、これを用いた離型フィルム付積層体及び画像表示装置用積層体を提供することにある。
本発明は、周波数1Hzのせん断における損失正接(tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が−50℃以上−20℃以下であり、
周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’(25℃)と引張貯蔵弾性率E’(25℃)が式1の関係を満たし、
周波数1Hz、該ガラス転移温度におけるせん断貯蔵弾性率G’(Tg)と引張貯蔵弾性率E’(Tg)が式2の関係を満たす両面粘着シートを提案する。
式1:1.0≦E’(25℃)/G’(25℃)≦5.0
式2:5.0≦E’(Tg)/G’(Tg)
本発明が提案する両面粘着シートは、ガラス転移温度(Tg)が−55℃以上−20℃以下の範囲にある粘着シートであっても、せん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’を前記式1及び式2を満足するように調整することにより、優れた折曲性、及び、接着性を有するようになり、部材を貼合した後に実使用環境下で折り曲げても、剥離せず折れ痕も残らない優れた折曲性、接着性を有することができる。よって、2つの屈曲可能又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材を貼り合せるのに好適な粘着材として用いることができる。とりわけ、有機ELディスプレイパネルを有する画像表示装置用の両面粘着シートとして好適に用いることができる。
実施例及び比較例の折り曲げ試験を示した説明図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明がこれらの内容に何ら限定されるものではない。
1.本両面粘着シート
本発明の実施形態の一例に係る両面粘着シート(以下「本両面粘着シート」とも称する。)は、少なくとも次の(1)〜(3)の特性を有することが好ましい。
本発明において、「シート」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
また、「せん断貯蔵弾性率G’」とは、せん断モードで動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率を意味し、「引張貯蔵弾性率E’」とは、引張モードで動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率を意味し、それぞれ後述する実施例に記載の方法で求められる値をいう。
(1)周波数1Hzのせん断における損失正接(tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が−50℃以上−20℃以下である。
(2)周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’(25℃)と引張貯蔵弾性率E’(25℃)が、式1の関係を満たす。
式1:1.0≦E’(25℃)/G’(25℃)≦5.0
(3)周波数1Hz、ガラス転移温度(Tg)におけるせん断貯蔵弾性率G’(Tg)と引張貯蔵弾性率E’(Tg)が、式2の関係を満たす。
式2:5.0≦E’(Tg)/G’(Tg)
本両面粘着シートは、例えば、プラスチックパネルや有機ELディスプレイパネル等の屈曲可能又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材を有するフレキシブルディスプレイにおいて、当該画像表示装置用構成部材を貼合する為に、好適に使用することができる。但し、かかる用途に限定するものではない。
上記画像表示装置用構成部材としては、例えば、表面保護パネル、タッチパネル、光学フィルム及び有機ELディスプレイパネルからなる群から選択することができる。但し、これらに限定するものではない。
前記表面保護パネルとしては、例えば、薄板ガラス、プラスチック等の材料で作製され、カバーフィルムと称されるような、最表層側に位置することで外部衝撃から保護する、屈曲又は湾曲可能な部材を挙げることができる。その他、タッチパネル機能が一体化したものであってもよく、例えば、タッチオンレンズ(TOL)型やワンガラスソリューション(OGS)型であってもよい。
また、前記表面保護パネルは、その周縁部に枠状に印刷された印刷段差部を有していてもよい。
前記タッチパネルとしては、例えば、薄板ガラスやプラスチック等の基材にタッチセンサーが搭載され、センサー機能を有する、屈曲又は湾曲可能な部材を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
また、画像表示パネル内にタッチ機能を内蔵したインセル型や偏光板と有機ELの間にタッチパネル機能を内蔵したオンセル型の画像表示パネルも屈曲又は湾曲可能である限り、タッチパネルに包含されるものとする。
前記光学フィルムとしては、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、光学フィルタ、反射防止フィルム、近赤外線カットフィルム、電磁波シールドフィルム等のフレキシブルディスプレイ内部に搭載され、光学機能を発現する屈曲又は湾曲可能な部材を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
前記有機ELディスプレイパネルとしては、例えば、屈曲又は湾曲可能なプラスチック基板上に各種電極層や有機EL素子が形成され、また、封止膜及びパッシベーション膜が積層された構成の部材を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
本両面粘着シートの使用態様としては、例えば、有機ELディスプレイパネル/本両面粘着シート/タッチパネル、有機ELディスプレイパネル/本両面粘着シート/表面保護パネル、有機ELディスプレイパネル/本両面粘着シート/タッチパネル/本両面粘着シート/表面保護パネル、光学フィルム/本両面粘着シート/タッチパネル、光学フィルム/本両面粘着シート/タッチパネル/本両面粘着シート/表面保護パネルなどの構成を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
<本両面粘着シートの厚み>
本両面粘着シートの厚みは、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
通常、両面粘着シートの厚みの二乗に比例して折り曲げ時の圧縮応力が高くなる為、本シートの厚みを上記の範囲内とすることにより、折り曲げ時に折れ痕の発生を抑えることができる。本両面粘着シートの厚みが150μm以下であることで、圧縮応力に耐えやすくなり、折り曲げた際に折れ痕が発生しにくくなり、折り曲げ耐性が保持される。
一方、本両面粘着シートの厚みが10μm以上であることで、ハンドリング性に優れたものとなる。
このような観点から、本両面粘着シートの厚みは20μm以上或いは120μm以下であるのがより好ましく、中でも25μm以上或いは100μm以下とすることが最も好ましい。
<本両面粘着シートのガラス転移温度Tg>
本両面粘着シートにおいて、周波数1Hzのせん断における損失正接(tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上−20℃以下であるのが好ましい。中でも、当該下限は、好ましくは−48℃であり、更に好ましくは−45℃である。一方、当該上限は好ましくは−18℃であり、より好ましくは−15℃である。
ガラス転移温度(Tg)が−50℃以上であることで、折り曲げ耐性に優れた両面粘着シートとすることができる。一方、−20℃以下にあることで常温における接着力に優れた両面粘着シートとすることができる。
なお、ガラス転移温度(Tg)を上記の範囲内とするためには、例えば、後述するモノマーから適宜選択したモノマーを含むモノマー成分からなる(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)を用いることでガラス転移温度を調整することができる。但し、本両面粘着シートのTgの調整方法は、この方法に限定するものではない。
本両面粘着シートにおいては、周波数1Hzにおけるせん断における損失正接(tanδ)のピークが−50℃以上−20℃以下に少なくとも1つあればよい。
<本両面粘着シートのせん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’>
本両面粘着シートは、周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’(25℃)と引張貯蔵弾性率E’(25℃)が式1の関係を満たすのが好ましい。
式1:1.0≦E’(25℃)/G’(25℃)≦5.0
また、本両面粘着シートは、周波数1Hz、ガラス転移温度(Tg)におけるせん断貯蔵弾性率G’(Tg)と引張貯蔵弾性率E’(Tg)が式2の関係を満たすのが好ましい。
式2:5.0≦E’(Tg)/G’(Tg)
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)とは、上述した−50℃以上−20℃以下の範囲にあるガラス転移温度である。
これまでは、特許文献4に開示されているように、両面粘着シートのガラス転移温度が−55℃を超えると、特に低温の折り曲げ時の耐久性に乏しくなるため、フレキシブル用途の両面粘着シートには適しないと考えられていた。
しかしながら、本発明者は、単にガラス転移温度の数値のみで耐久性が決定されるものではなく、常温域および低温域におけるせん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’の関係が重要であることを見出した。
つまり、ガラス転移温度(Tg)を上記の範囲にもち、上記式1、2をいずれも満たす両面粘着シートは、実使用環境下における折り曲げに対して柔軟に変形できるため、折り曲げ可能な画像表示装置用構成部材の貼合に適用し折り曲げた際に、浮きやはがれを生じることがないシートとなることを見出した。また、被着体である部材との接着力も十分であるため、粘着シートとして使用できることを見出した。
本両面粘着シートのE’(25℃)/G’(25℃)は、上記のとおり、1.0以上5.0以下であるのが好ましい。中でも、下限は、より好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。一方、上限は、より好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。
本両面粘着シートのE’(Tg)/G’(Tg)は、上記のとおり5.0以上であるのが好ましい。中でも、下限は、より好ましくは7.0以上、より好ましくは10.0以上、更に好ましくは15.0以上である。上限については特に定めないが、通常75.0以下である。
通常の弾性体は、E’≒3G’の関係を満たすことが知られている。本両面粘着シートにおいては、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以上−20℃の範囲においては、このような関係からずれて、5.0≦E’(Tg)/G’(Tg)の関係を満足することが一つの特徴であり、これによって所望の折り曲げ性を得ることができる。
なお、せん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’を上記の範囲内とするために、本両面粘着シートは、後述する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)を含有する粘着剤組成物から形成される粘着層を少なくとも一層以上有することが好ましい。
また、両面粘着シートの架橋度を調整することでも、上記せん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’の数値を調整することが出来る。
たとえば、架橋点間分子量を大きくし、ゲル成分を多くすれば、せん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’を大きくすることができる。粘着シートにおいて架橋点間分子量を大きくするには、主原料の粘着剤において、分子量を大きくしたり、架橋点となる官能基の含有量を増やしたりすればよい。また、他にも、高分子量の架橋剤を用いたり、水素引き抜きタイプの開始剤を用いたりすればよい。
本両面粘着シートが少なくとも粘着層を二層以上有することで、上述したガラス転移温度(Tg)、せん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’の関係を満たす粘着シートを比較的容易に調整することができる。
後述するように、少なくとも二つの粘着層を有する本両面粘着シートとする場合は、最表裏層に粘着層(H)を有し、該最表裏層の内側に少なくとも1層以上の粘着層(S)を有する粘着シートであることが好ましい。
以下、粘着層(H)、粘着層(S)について説明する。
本発明の実施形態の一例として、最表裏層に粘着層(H)を有し、該最表裏層の内側に少なくとも一つの粘着層(S)を有し、粘着層(H)の周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’H(25℃)と、粘着層(S)の周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’S(25℃)が、式3の関係を満たす両面粘着シートを挙げることができる。
式3:G’S(25℃)<G’H(25℃)
中でも、G’H(25℃)とG’S(25℃)との差(G’H(25℃)−G’S(25℃))が1kPa以上200kPa以下であるのが好ましく、中でも3kPa以上、その中でも5kPa以上であるのがより好ましい。一方、中でも当該差が180kPa以下、その中でも160kPa以下であるのがより好ましい。
引張貯蔵弾性率E’に関しては最表裏層の影響がより大きく、引張貯蔵弾性率E’に関しては、内側の層の影響がより大きいため、この点を考慮して、粘着層(H)及び粘着層(S)を設計するのが好ましい。
例えば、せん断貯蔵弾性率が比較的大きい粘着層(H)を本両面粘着シートの最表裏層に備えることによって、初期タック性、接着性を高めることが出来る。
一方、せん断貯蔵弾性率が比較的小さい粘着層(S)を本両面粘着シートの内側に備えることによって、折り曲げ時に部材との層間応力を小さくして、優れた折曲性を発現することが出来る。
前記のような粘着層(H)及び粘着層(S)を形成するための一例として、粘着層(H)は、ガラス転移温度(Tg)が相対的に高く、分子量が相対的に小さい主剤(ベースポリマー)を使用して形成する一方、粘着層(S)は、ガラス転移温度(Tg)が相対的に低く、分子量が相対的に大きい主剤(ベースポリマー)を使用して形成したり、或いは、粘着層(H)と同じ主剤(ベースポリマー)を使用し、これにガラス転移温度(Tg)の低いポリマーを配合して形成したりする方法を挙げることができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
ここで、ガラス転移温度(Tg)が相対的に高く、分子量が相対的に小さい主剤(ベースポリマー)を使用して粘着層(H)を形成する一方、ガラス転移温度(Tg)が相対的に低く、分子量が相対的に大きい主剤(ベースポリマー)を使用して粘着層(S)を形成する場合、前記両主剤(ベースポリマー)のガラス転移温度(Tg)の差は、5℃以上70℃以下であるのが好ましく、中でも8℃以上或いは30℃以下、その中でも10℃以上或いは20℃以下であるのがさらに好ましい。
他方、主剤(ベースポリマー)にガラス転移温度(Tg)の低いポリマーを配合する方法については、後述する光硬化性化合物(D)を配合する方法を挙げることができる。
なお、せん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’を上記の範囲内とするために、前記粘着層(H)及び前記粘着層(S)は、後述する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)を含有する粘着剤組成物(以下「本粘着剤組成物」という。)から形成される層であることが好ましい。
特に、粘着層(H)を形成する際、ガラス転移温度を上げる必要があるという観点から、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸を構成単位として有する(メタ)アクリルエステル重合体(A)を含有する粘着層(H)とすることが好ましい。ただし、この方法に限定はされない。
本両面粘着シート全体の厚みに対する前記粘着層(S)の厚みの割合は30%以上95%以下であることが好ましい。
粘着層(S)は折り曲げに対して耐性が高いため、厚み割合が30%以上であることで、折り曲げ耐性が高い粘着シートとなる。一方、95%以下であることで、初期タック性、接着性が高いレベルで維持できる。
このような観点から、前記粘着層(S)の厚みの割合は、30%以上、中でも50%以上、中でも65%以上であるのがより好ましく、また、95%以下、中でも90%以下、中でも80%以下であるのがより好ましい。
2.本粘着剤組成物
本両面粘着シートは、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)を含有する粘着剤組成物(以下「本粘着剤組成物」という。)から形成される粘着剤層を少なくとも一層以上有するシートであることが好ましい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートをそれぞれ包括する意味であり、「(共)重合体」とは、重合体及び共重合体を包括する意味である。
なお、本粘着剤組成物は、さらに、架橋剤(B)、その他の成分を含有してもよい。本発明においては、光開始剤(C)を含む光硬化性の組成物であることが好ましい。
また、前記粘着剤層は、本粘着剤組成物から形成される層を少なくとも一層以上有していればよく、単層構成か多層構成かについては限定されない。
(1)(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体の他、これと共重合可能なモノマー成分を重合することにより得られる共重合体を挙げることができる。
より具体的には、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)として、アルキル(メタ)アクリレートと、これと共重合可能な次のモノマー(a)〜(h)から選択される何れか一つ以上のモノマーとの共重合体を挙げることができる。
(a)カルボキシル基含有モノマー(以下「共重合性モノマーA」とも称する。)
(b)水酸基含有モノマー(以下「共重合性モノマーB」とも称する。)
(c)アミノ基含有モノマー(以下「共重合性モノマーC」とも称する。)
(d)エポキシ基含有モノマー(以下「共重合性モノマーD」とも称する。)
(e)アミド基含有モノマー(以下「共重合性モノマーE」とも称する。)
(f)ビニルモノマー(以下「共重合性モノマーF」とも称する。)
(g)側鎖の炭素数が1〜3の(メタ)アクリレートモノマー(以下「共重合性モノマーG」とも称する。)
(h)マクロモノマー(以下「共重合性モノマーH」とも称する。)
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及び、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
中でも、2つ以上、好ましくは3つ以上の分岐を有し、炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレートを重合成分として有する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体は好ましい例である。特に、前記粘着層(S)の主剤(ベースポリマー)として好適である。
このようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばエチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレートなどを挙げることができる。
上記共重合性モノマーAとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、及び、イタコン酸を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーBとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーCとしては、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノイソプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及び、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーDとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、及び、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーEとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、及び、マレイミドを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーFとしては、ビニル基を分子内に有する化合物が挙げられる。このような化合物としては、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル類並びに分子内にヒドロキシル基、アミド基及びアルコキシルアルキル基等の官能基を有する官能性モノマー類並びにポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類並びに酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びラウリン酸ビニル等のビニルエステルモノマー並びにスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン及びその他の置換スチレン等の芳香族ビニルモノマーを例示することができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーGとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、及び、i−プロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
上記共重合性モノマーHは、重合により(メタ)アクリル系(共)重合体となった際に側鎖の炭素数が20以上となるモノマーである。共重合性モノマーHを用いることにより、(メタ)アクリル系(共)重合体をグラフト共重合体とすることができる。
したがって、共重合性モノマーHと、それ以外のモノマーの選択や配合比率によって、グラフト共重合体の主鎖と側鎖の特性を変化させることができる。
上記共重合性モノマーHとしては、骨格成分がアクリル系重合体又はビニル系重合体から構成されるのが好ましい。マクロモノマーの骨格成分としては、例えば、上記側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート、上記共重合性モノマーA、後述の共重合性モノマーG、上記共重合性モノマーB等に例示されるものが挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
マクロモノマーは、ラジカル重合性基、又はヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、チオール基等の官能基を有するものである。マクロモノマーとしては、他のモノマーと共重合可能なラジカル重合性基を有するものが好ましい。ラジカル重合性基は一つ或いは二つ以上含有していてもよく、中でも一つであるものが特に好ましい。マクロモノマーが官能基を有する場合も官能基は一つ或いは二つ以上含有していてもよく、中でも一つであるものが特に好ましい。
また、ラジカル重合性基と官能基はどちらか一方でも、両方含有していてもよい。
上記共重合性モノマーHの数平均分子量(Mn)は、500〜2万であるのが好ましく、中でも800以上或いは8000以下、その中でも1000以上或いは7000以下であるのが好ましい。
マクロモノマーは、一般に製造されているもの(例えば、東亜合成社製マクロモノマーなど)を適宜使用することができる。
本発明においては、粘着シートとした際に、上記ガラス転移温度、せん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’となるように、上述した各種モノマー成分を組み合わせればよい。
中でも、側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートと、共重合性モノマーA及び/又は共重合性モノマーBを含むモノマー成分の共重合体が好ましく、中でも、上記側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートと、共重合性モノマーAを含むモノマー成分の共重合体がより好ましい。
上記側鎖の炭素数が4〜18の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートは、共重合体の全モノマー成分中に、30質量%以上90質量%以下含有するのが好ましく、中でも35質量%以上或いは88質量%以下、その中でも特に40質量%以上或いは85質量%以下の範囲で含有するのがさらに好ましい。
上記共重合性モノマーAは、共重合体の全モノマー成分中に1.2質量%〜15質量%以下、中でも優れた粘着物性を得る観点から1.3質量%以上或いは10質量%以下、その中でも特に1.5質量%以上或いは8質量%以下の範囲で含有するのが好ましい。
上記共重合性モノマーBは、共重合体の全モノマー成分中に0質量%以上30質量%以下含有されることが好ましく、中でも0質量%以上或いは25質量%以下、その中でも特に0質量%以上或いは20質量%以下の範囲で含有されることがさらに好ましい。
上記共重合性モノマーCは、共重合体の全モノマー成分中に0質量%以上30質量%以下含有されることが好ましく、中でも0質量%以上或いは25質量%以下、その中でも特に0質量%以上或いは20質量%以下の範囲で含有されることがさらに好ましい。
上記共重合性モノマーDは、共重合体の全モノマー成分中に0質量%以上30質量%以下含有されることが好ましく、中でも0質量%以上或いは25質量%以下、その中でも特に0質量%以上或いは20質量%以下の範囲で含有されることがさらに好ましい。
上記共重合性モノマーEは、共重合体の全モノマー成分中に0質量%以上30質量%以下含有されることが好ましく、中でも0質量%以上或いは25質量%以下、その中でも特に0質量%以上或いは20質量%以下の範囲で含有されることがさらに好ましい。
上記共重合性モノマーFは、共重合体の全モノマー成分中に0質量%以上30質量%以下含有されることが好ましく、中でも0質量%以上或いは25質量%以下、その中でも特に0質量%以上或いは20質量%以下の範囲で含有されることがさらに好ましい。
上記共重合性モノマーGは、共重合体の全モノマー成分中に0質量%以上70質量%以下含有されることが好ましく、中でも3質量%以上或いは65質量%以下、その中でも特に5質量%以上或いは60質量%以下の範囲で含有されることがさらに好ましい。
上記共重合性モノマーHは、共重合体の全モノマー成分中に5質量%以上30質量%以下、中でも6質量%以上或いは25質量%以下、その中でも特に8質量%以上或いは20質量%以下の範囲で含有されることが好ましい。
上述した他にも、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系塩基性モノマー等も必要に応じて適宜用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の質量平均分子量(Mw)は、10万〜150万、中でも15万以上或いは130万以下、その中でも特に20万以上或いは120万以下であるのが好ましい。
(メタ)アクリル系(共)重合体(A)の最も典型的な例としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリート、デシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート等のモノマー成分(a)や、カルボキシル基をもつ(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等のモノマー成分(b)や、有機官能基等をもつヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、酢酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、フッ素化(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のモノマー成分(c)から選択される2種以上のモノマー成分を共重合させて得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体を挙げることができる。
中でも、上記モノマー成分(a)又は(b)から各々1種以上選択されるモノマー成分を共重合させて得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
(2)架橋剤(B)
本粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)の他、架橋剤(B)を含有するものであることが好ましい。
本粘着剤組成物が架橋剤(B)を含有することにより、本粘着剤組成物及び本両面粘着シートの貯蔵弾性率G’の調整が容易になる。
上記架橋剤(B)としては、少なくとも二重結合架橋を有する架橋剤が好ましい。例えば(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アジリジン基、ビニル基、アミノ基、イミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種の架橋性官能基を有する架橋剤を挙げることができ、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、架橋剤(B)が(メタ)アクリル系共重合体(A)と化学結合した態様も包含される。
中でも、多官能(メタ)アクリレートを用いるのが好ましい。ここで、多官能は2つ以上の架橋性官能基を有するものを指す。なお、必要に応じて3つ以上、4つ以上の架橋性官能基を有してもよい。
なお、上記架橋性官能基は、脱保護可能な保護基で保護されていてもよい。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の紫外線硬化型の多官能(メタ)アクリル系モノマーの他、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
架橋剤(B)の含有量は、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)100質量部に対して0.5〜50質量部、中でも1質量部以上或いは40質量部以下、その中でも5質量部以上或いは30質量部以下の割合であるのが好ましい。
架橋剤(B)を上記範囲で含有することで、本両面粘着シートの形状安定性等をバランス化しやすくなる。
(3)光開始剤(C)
本粘着剤組成物は、上記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)及び架橋剤(B)の他、光開始剤(C)を含有するものであることが好ましい。
光開始剤(C)は、前述の架橋剤(B)の架橋反応における反応開始助剤としての機能を果たすものである。光開始剤(C)の中でも、波長380nm以下の紫外線に感応する光開始剤が、架橋反応の制御のしやすさの観点から好ましい。
一方、波長380nmより長波長の光に感応する光開始剤は、高い光反応性を得られる点及び、感応する光が、本光硬化性組成物をシート状に賦形した場合に、シートの深部まで到達しやすい点で好ましい。
光開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、光開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光開始剤と、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光開始剤と、に大別される。
これらのうちの開裂型光開始剤は、光照射によってラジカルを発生する際に分解して別の化合物となり、一度励起されると開始剤としての機能をもたなくなる。このため、架橋反応が終了した後の粘着材中に活性種として残存することがなく、粘着材に予期せぬ光劣化等をもたらす可能性がないため、好ましい。
他方、水素引抜型光開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によるラジカル発生反応時に、開裂型光開始剤のような分解物を生じないので、反応終了後に揮発成分となりにくく、被着体へのダメージを低減させることができる点で有用である。
本発明においては、光開始剤(C)として、開裂型光開始剤を使用することが粘着材に予期せぬ光劣化等をもたらす可能性がない観点から特に好ましい。
上記開裂型光開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1,2−オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ),2−(o−ベンゾイルオキシム))、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン1−(O−アセチルオキシム)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドや、それらの誘導体などを挙げることができる。
前記水素引抜型光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メチル-ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2−フェニル−2−オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4−(1,3−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、3−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、カンファーキノンやその誘導体などを挙げることができる。ただし、光開始剤(C)として上記に挙げた物質に限定するものではない。上記に挙げた光開始剤(C)のうちのいずれか一種またはその誘導体を使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
この中でも、光に対する感応性が高く、かつ反応後に分解物となり消色する点では、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光開始剤が好ましい。
また、反応制御のし易さからは、光開始剤(C)として、ベンゾフェノン、4−メチル-ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エトキシ]ベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイルギ酸メチルなどを用いるのが好ましい。
光開始剤(C)の含有量は特に制限されるものではない。目安としては、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)100質量部に対して0.1〜10質量部、中でも0.5質量部以上或いは5質量部以下、その中でも1質量部以上或いは3質量部以下の割合で含有するのが好ましい。光開始剤(C)の含有量を上記範囲とすることで、活性エネルギー線に対する適度な反応感度を得ることができる。
さらに、光開始剤(C)成分に加えて増感剤を使用することも可能である。増感剤としては、特に限定はなく、光開始剤に用いられる増感剤であれば問題なく使用できる。例えば。芳香族アミンやアントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、クマリン誘導体、チオキサントン誘導体、フタロシアニン誘導体等や、ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、ミヒラーケトン、9,10−フェナントラキノンなどの芳香族ケトン及びこれらの誘導体などを挙げることができる。
(4)光硬化性化合物(D)
本粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)、架橋剤(B)及び光開始剤(C)の他にも、必要に応じて、次に説明する光硬化性化合物(D)を含有してもよい。例えば、次に説明する光硬化性化合物(D)を配合することにより、本粘着剤組成物及び本両面粘着シートのガラス転移温度を下げることができる。よって、例えば、前記粘着層(H)及び粘着層(S)を形成する際、共通する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)を使用する一方、粘着層(S)にのみ光硬化性化合物(D)を含有させて、粘着層(S)のガラス転移温度を前記のように相対的に低くすることができる。
光硬化性化合物(D)は、光照射により硬化する性質を有する化合物であって、光硬化後のガラス転移温度(TgD)が、前記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)のガラス転移温度(TgA)より低い化合物であるのが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)よりもガラス転移温度(TgA)が低い化合物を配合することにより、本粘着剤組成物及び本両面粘着シートのガラス転移温度を低下させることができ、低温(例えば−30℃)での柔軟性を高めて、該温度における折りたたみ耐性を優れたものとすることができる。よって、前記粘着層(S)に好適に適用することができる。
さらに光硬化性化合物(D)は、光硬化の後のガラス転移温度(TgD)が、−40℃以下であることが好ましく、−45℃以下であることがより好ましい。
光硬化性化合物(D)が、かかる範囲のガラス転移温度を有することにより、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)のガラス転移温度(TgA)を比較的高く設定することができるようになるから、接着性を担保しながら、折曲性を高めることができる。
なお、本発明において、「光硬化性」とは、放射線一般に対する反応性(硬化性)を意味する。具体的には、波長200nm〜780nmの波長領域の光により硬化する性質を有することを意味し、とりわけ、紫外線に対する反応性(硬化性)を有する意で用いることが好ましい。
前記光硬化性化合物(D)の硬化後のガラス転移温度(TgD)は、該化合物(D)100質量部に光開始剤を1質量部添加して樹脂組成物を形成し、波長365nmの積算光量が3000mJ/cmとなるように紫外線を照射して該光硬化性化合物(D)を硬化させた後の光硬化性化合物(D)のガラス転移温度をいう。
前記光硬化性化合物(D)は、架橋構造を形成する観点から、分子内に1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であるのが好ましい。
上記の中でも、光硬化性化合物(D)としては、グリコール骨格を有する(メタ)アクリレート(b−1)であり、且つ、前記TgDが−40℃以下であるものが好ましい。
このような(メタ)アクリレート(b−1)として、例えばポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールEO変性ジアクリレート、ポリテトラメチレングリコール骨格含有ウレタンアクリレート、ポリプロピレングリコール骨格含有ウレタンアクリレート、ポリエチレングリコール骨格含有ウレタンアクリレートなどを挙げることができる。
当該グリコール骨格を有する(メタ)アクリレート(b−1)は、光硬化後のガラス転移温度(TgD)を低くし易く、該骨格成分の分子量を調整することで柔軟性等を付与することができる。
前記グリコール骨格としては、例えばエチレングリコール骨格、プロピレングリコール骨格、ジエチレングリコール骨格、ブタンジオール骨格、ヘキサンジオール骨格、1,4−シクロヘキサンジメタノール骨格、グリコール酸骨格、ポリグリコール酸骨格などを挙げることができる。
これらの中でもとりわけ、ポリエチレングリコール骨格及び/又はポリプロピレングリコール骨格であることがさらに好ましい。
前記グリコール骨格を有する(メタ)アクリレート(b−1)は、動的粘弾性測定により得られる損失正接(Tanδ)のピークを2本以上有するものであることがより好ましい。
より具体的には、末端の(メタ)アクリロイル基の重合に由来するピーク(b1)と、グリコール骨格に由来するピーク(b2)とを有する、光硬化性化合物を挙げることができる。
この際、前記ピーク(b1)のピーク温度は、−40℃以下、中でも−65℃以上或いは−45℃以下、中でも−60℃以上或いは−50℃以下であることが好ましく、前記ピーク(b2)のピーク温度は、0℃以下、中でも−50℃以上或いは−5℃以下、中でも−45℃以上或いは−10℃以下であることが好ましい。
このように、光硬化性化合物(D)が、動的粘弾性の損失正接(Tanδ)ピーク温度を、2つ有することにより、当該化合物(D)のTgDを低くすることができる。
さらに、グリコール骨格を有する(メタ)アクリレート(b−1)は、質量平均分子量(Mw)が5,000以上、より好ましくは7,000以上、さらに好ましくは9,000以上の(メタ)アクリレートであることが好ましく、とりわけ、質量平均分子量5,000以上、より好ましくは7,000以上、さらに好ましくは9,000以上のグリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
光硬化性化合物(D)がこのようなグリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートであれば、直線構造が長く結合しているため、これらのグリコール骨格を有することにより、本粘着剤組成物のガラス転移温度をより効果的に下げることができ、被着体への良好な濡れ性と、高い柔軟性とを付与することができる。
また、高い柔軟性を付与する観点から、光硬化性化合物(D)は、下記化式1で表される単官能ウレタンアクレートオリゴマーであるのが好ましい。その中でも、下記化式1で表される、ポリプロピレングリコール骨格を有する単官能ウレタンアクリレートオリゴマーであるのが最も好ましい。
Figure 2020164575
ただし、化式1中のR1は水素又はメチル基、Xはウレタン結合、R2、R3及びR4はアルキル基をそれぞれ表し、nは2以上の整数である。
前記光硬化性化合物(D)は、前記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)100質量部に対して15質量部を超え75質量部未満の割合で含有されるのが好ましい。かかる割合で前記光硬化性化合物(D)を含有することで、本粘着剤組成物から形成した粘着シートの接着力と耐屈曲性をバランスよく兼備することができる。
かかる観点から、前記光硬化性化合物(D)は、前記(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)100質量部に対して15質量部を超え75質量部未満の割合で含有されるのが好ましく、中でも20質量部以上或いは70質量部以下、その中でも30質量部以上或いは65質量部以下の割合で含有されるのがさらに好ましい。
(5)その他の成分
本粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)、架橋剤(B)、光開始剤(C)及び光硬化性化合物(D)の他にも、必要に応じて、通常の粘着組成物に配合されている公知の成分を含有してもよい。例えば、粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、防錆剤、老化防止剤、吸湿剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、消泡剤、無機粒子などの各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて反応触媒(三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物など)を、必要に応じて適宜含有してもよい。
3.両面粘着シートの製造方法
本両面粘着シートの製造方法としては、公知の製造方法を採用することができる。以下に、その一例を示す。
上述した(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)並びに必要に応じて架橋剤(B)、光開始剤(C)及びその他任意成分を所定量混合して、本粘着剤組成物を作製する。
これらの混合方法としては、特に制限されず、各成分の混合順序も特に限定されない。
また、本粘着剤組成物製造時に熱処理工程を入れてもよく、この場合は、予め、本粘着剤組成物の各成分を混合してから熱処理を行うことが望ましい。各種の混合成分を濃縮してマスターバッチ化したものを使用してもよい。
また、混合する際の装置も特に制限されず、例えば、万能混練機、プラネタリミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ゲートミキサー、加圧ニーダー、三本ロール、二本ロールを用いることができる。必要に応じて溶剤を用いて混合してもよい。また、本粘着剤組成物は、溶剤を含まない無溶剤系として使用することできる。無溶剤系として使用することで溶剤が残存せず、耐熱性及び耐光性が高まるという利点を備えることができる。
上述のようにして調整した本粘着剤組成物を、例えば、紫外線を照射して硬化させ、単層又は多層のシート状の粘着剤層(硬化後の粘着剤層)を形成することで、本両面粘着シートを製造することができる。紫外線の照射量は、上述したように、5000mJ/cm以下とするのが好ましく、より好ましくは4000mJ/cm以下であり、さらに好ましくは3000mJ/cm以下である。
さらに、本粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系(共)重合体(A)を構成するモノマー成分並びに必要に応じて架橋剤(B)、光開始剤(C)及びその他の任意成分を含む組成物としておき、これをフレキシブルディスプレイ用粘着シートとして使用する際に、光照射し重合反応を進行させて(メタ)アクリル系(共)重合体(A)が生成されるようにして使用することもできる。
本両面粘着シートはこのように光硬化した後のものであるため、そのゲル分率は40%以上100%以下であるのが好ましく、中でも50%以上或いは95%以下、その中でも60%以上或いは90%以下であるのがさらに好ましい。
本両面粘着シートは、被着体に本粘着剤組成物を直接塗布し、単層又は多層のシート状の粘着剤層(硬化後の粘着剤層)を形成して使用する以外にも、離型フィルム上に単層又は多層のシート状の粘着剤層(硬化後の粘着剤層)を成型した離型フィルム付両面粘着シートとすることもできる。つまり、本両面粘着シートの少なくとも片面に離型フィルムを備えた離型フィルム付積層体とすることができる。
かかる離型フィルムの材質としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、フッ素樹脂フィルム等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエステルフィルム及びポリオレフィンフィルムが特に好ましい。
離型フィルムの厚みは特に制限されない。中でも、例えば、加工性及びハンドリング性の観点からは、25μm〜500μmであるのが好ましく、その中でも38μm以上或いは250μm以下、その中でも50μm以上或いは200μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、本両面粘着シートは、上記の様に被着体や離型フィルムを使用せずに、本粘着剤組成物を直接に押出成形する方法や、型に注入することによって成形する方法を採用することもできる。
さらには、被着体である画像表示装置用構成部材間に本粘着剤組成物を直接充填することによって、両面粘着シートの態様とすることもできる。
4.画像表示装置用積層体、画像表示装置
本発明の画像表示装置用積層体(以下「本積層体」とも称する。)は、2つの画像表示装置用構成部材が本両面粘着シートを介して貼り合わされた画像表示装置用積層体である。
2つの屈曲又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材としては、上述した部材を挙げることができる。具体的には、前記画像表示構成部材のうち少なくとも1つが、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル、位相差フィルム、偏光フィルム、カラーフィルター、及び、フレキシブル基板からなる群から選択される画像表示装置用積層体であることが好ましい。
また、画像表示装置用積層体の構成としては、有機ELディスプレイパネル/本両面粘着シート/タッチパネル、有機ELディスプレイパネル/本両面粘着シート/表面保護パネル、有機ELディスプレイパネル/本両面粘着シート/タッチパネル/本両面粘着シート/表面保護パネル、光学フィルム/本両面粘着シート/タッチパネル、光学フィルム/本両面粘着シート/タッチパネル/本両面粘着シート/表面保護パネルの何れかであることがより好ましい。
本発明の画像表示装置用積層体を備えた画像表示装置は、折り曲げても不具合が生じないフレキシブル性に優れたものとなる
5.両面粘着シートの使用
2つの屈曲又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材の貼合において、上述した本両面粘着シートを用いると、当該部材を折り曲げて使用した場合であっても、粘着材がはみ出したり、凝集破壊したりすることなく、また、両面粘着シートに折れ痕が付くこともない。
このように、本両面粘着シートは、高い折り曲げ耐久性を有する為、2つの屈曲又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材の貼合に好適に使用することができる。
2つの屈曲又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材としては、画像表示構成部材のうち少なくとも1つが、タッチパネル、画像表示パネル、表面保護パネル、位相差フィルム、偏光フィルム、カラーフィルター、及び、フレキシブル基板からなる群から選択される画像表示装置用積層体であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、下記の物性測定、処理については、下記条件で行った。
1−1.せん断貯蔵弾性率G’の測定
実施例及び比較例で作製した両面粘着シートについて、レオメトリックス社製の粘弾性測定装置「ダイナミックアナライザー RDAII」を用いてせん断法により、次の条件で測定した。
・治具:Φ25mmパラレルプレート
・歪み:0.5%
・周波数:1Hz
・温度:−70〜200℃(−70℃から昇温速度3℃/minで測定)
・試料厚さ:500μm
なお、実施例及び比較例で作製した両面粘着シートの厚みは、500μmに満たないので、それぞれ500μmの厚さになるまで粘着剤層を積層することで調整した。
1−2.引張貯蔵弾性率E’の測定
日本工業規格JIS−K7244に準拠して、アイティー計測制御(株)製の粘弾性測定装置「DVA−200」を用い、引張法により、フィルムの長手方向と直角な方向(TD方向)について、振動周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分で、温度−60℃から100℃まで(ただし、20℃をすぎると粘着シートがやわらかくなり測定が徐々に困難になり、実質的に数値が得られるのは、温度が最高で30℃くらいになることが多い)測定した。得られたデータからグラフを作成し、内挿して、温度25℃での貯蔵弾性率(E’)の値を求めた。
1−3.ガラス転移温度の測定
実施例及び比較例で作製した両面粘着シートを、1mmの厚さになるまで積層し、これをガラス転移温度の測定サンプルとした。
この測定サンプルシートについて、レオメトリックス社製の粘弾性測定装置「ダイナミックアナライザー RDAII」を用いてせん断法により、次の条件で測定した時のTanδの極大値を示す温度を読み取った。当該温度をガラス転移温度(Tg)とした。
・治具:Φ25mmパラレルプレート
・歪み:0.5%
・周波数:1Hz
2−1.折曲性の評価
以下の手順により、両面粘着シートの折曲性を評価した。
(1)実施例及び比較例で作製した両面粘着シート1〜9を、50mm×100mmに裁断し、PETフィルム(厚み0.38mm×50mm×100mm)に貼合した。
(2)貼合したサンプルをPET(0.1mm×50mm×100mm)と貼合した積層体を作製した。
(3)PET38μmを内側として、作製された積層体を、折り曲げ試験機CL09type−D01(ユアサシステム製)を用いて、次の試験条件で試験を行った。
・曲率半径 r=3mm
・試験速度 60rpm
・試験回数 10万回
・試験環境 (A条件)23℃50%RH、
(B条件)−20℃
(4)試験後の積層体を目視観察した。両面粘着シートに折れ痕のついているものと、被着体に両面粘着シートの剥がれがあるものを「×(poor)」、目視観察で変化のないものを「○(good)」として評価した。
なお、前記目視観察において、図1に示すような投影試験による観察を行った。
投影機とスクリーンの間に折り曲げ試験後のサンプルを設置し、スクリーンに映った折り曲げ試験後のサンプルに歪みの有無で、両面粘着シートに折れ痕のついているものと、被着体からの両面粘着シートの剥がれを判別した。
2−2.接着性の評価
実施例および比較例で作製した両面粘着シートについて、接着力を測定した。なお、積層品の場合は、積層作業を行う前の表層のみの接着力を測定した。
7cm×5cmのサイズにカットした両面粘着シートの離型PETを片側剥離し、7cm×15cmにカットした光学PETフィルム(東洋紡社製の商品名「コスモシャインA4300」の100μm品)とゴムロールを用いて貼り合わせた。このとき、両面粘着シートのカット品の長辺と光学PETフィルムのカット品の短辺が一致するように貼り合わせた。貼り合わせたサンプルを40℃の恒温槽で30分保管したのち、1cm×15cmのサイズに貼り合わせたサンプルを切り出した。残ったもう片側の離型PETを剥離し、ゴムロールを用いて厚さ3mmのソーダライムガラス板に貼り合わせた。貼り合わせたサンプルを40℃の恒温槽で3時間保管したのち、さらに23℃の環境で30分養生し、以下の条件で接着力を測定した。
・引張速度:60mm/min
・測定環境:23℃50%RH
3.粘着シートの調製
(1)「両面粘着シートW50」「両面粘着シートW66」「両面粘着シートW75」「両面粘着シートW80」「両面粘着シートW100」
アクリル酸エステル共重合体ポリマーWP:100質量部に対し、光開始剤として4−メチルベンゾフェノン:1.0質量部と、架橋剤として1,9−ノナンジオールジアクリレート:0.6質量部とを添加して粘着剤組成物Wを得た。
前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーWPの組成は、n−ブチルアクリレート:78.4質量%、2−エチルヘキシルアクリレート:19.6質量%、アクリル酸:2.0質量%を共重合させたもので、GPC測定による前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーのMwは413000であり、Mnは145,000であり、Mw/Mn=2.9であった。
前記粘着剤組成物Wを、厚さ75μmと100μmの離型PETとの間に挟んで、厚み0.050mmのシート状にホットメルト成形して、高圧水銀ランプを用いて離型PET越しに片面積算光量1000mJ/cmを表裏両面側から照射させて両面粘着シートW50を得た。
また、前記粘着剤組成物Wをシート状にホットメルト成形する厚さを0.066mm、0.075mm、0.080mm、又は、0.100mmに変更した以外、両面粘着シートW50と同様にして、厚みのみ異なる両面粘着シートW66、両面粘着シートW75m、両面粘着シートW80、両面粘着シートW100をそれぞれ得た。これらのサンプルの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の値は0.023MPaであって、ガラス転移温度(Tg)は−36℃であった。
(2)「両面粘着シートH25」「両面粘着シートH100」
アクリル酸エステル共重合体ポリマーHP:100質量部に対し、光開始剤として4−メチルベンゾフェノン:1.0質量部と、架橋剤として1,9−ノナンジオールジアクリレート:0.6質量部とを添加して粘着剤組成物Hを得た。
なお、前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーHPの組成は、2−エチルヘキシルアクリレート:76質量%、酢酸ビニル:20質量%、アクリル酸:4.0質量%を共重合させたもので、GPC測定による前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーのMwは444000であり、Mnは54,600であり、Mw/Mn=8.1であった。
前記粘着剤組成物Hを、厚さ75μmと100μmの離型PETとの間に挟んで、厚み0.025mmのシート状にホットメルト成形して、高圧水銀ランプを用いて離型PET越しに片面積算光量1000mJ/cmを表裏両面側から照射させて両面粘着シートH25を得た。
また、前記粘着剤組成物Hをシート状にホットメルト成形する厚さを0.100mmに変更した以外、両面粘着シートH25と同様にして、厚みのみ異なる両面粘着シートH100を得た。これらのサンプルの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の値は0.06MPaであって、ガラス転移温度(Tg)は−17.6℃であった。
(3)「両面粘着シートハード10」「両面粘着シートハード100」
酢酸エチル溶媒に、メトキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートからなる共重合体を溶解させ、離型PETフィルムの上に乾燥させて厚さ0.010mmとなるように、塗工し、80℃のオーブンで乾燥させ、その上にもう一枚の離型フィルムをロールで貼合し、両面粘着シートハード10を得た。
また、前記共重合体を溶解させて塗工する厚みを0.100mmに変更した以外、両面粘着シートハード10と同様にして、厚みのみ異なる両面粘着シートハード100を得た。これらのサンプルの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の値は0.18MPaであって、ガラス転移温度(Tg)は−21.5℃であった。
(4)「両面粘着シートV12.5」「両面粘着シートV17」「両面粘着シートV100」
アクリル酸エステル共重合体ポリマーVP:100質量部に対し、光開始剤として4−メチルベンゾフェノン:4.5質量部を添加して粘着剤組成物Vを得た。
なお、前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーVPの組成は、2−エチルヘキシルアクリレート:64質量%、メチルアクリレート:19質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート:17質量%を共重合させたもので、GPC測定による前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーのMwは557000であり、Mnは94,800であり、Mw/Mn=5.9であった。
前記粘着剤組成物Vを、厚さ75μmと100μmの離型PETとの間に挟んで、厚み0.0125mmのシート状にホットメルト成形して、高圧水銀ランプを用いて離型PET越しに片面積算光量1000mJ/cmを表裏両面側から照射させて両面粘着シートV12.5を得た。
また、前記粘着剤組成物Vをシート状にホットメルト成形する厚さを0.017mm、0.100mmに変更した以外、両面粘着シートV12.5と同様にして、厚みのみ異なる両面粘着シートV17、両面粘着シートV100を得た。これらのサンプルの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の値は0.04MPaであって、ガラス転移温度(Tg)は−25℃であった。
(5)「両面粘着シートR17」
アクリル酸エステル共重合体ポリマーRP:100質量部に対し、光開始剤として4−メチルベンゾフェノン:4.5質量部を添加して紫外線硬化型の粘着剤組成物Rを得た。
なお、前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーRPの組成は、2−エチルヘキシルアクリレート:65質量%、メチルアクリレート:6質量%、エチルアクリレート:11質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート:13質量%、4−ヒドロキシブチルアクリレート:5質量%を共重合させたもので、GPC測定による前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーのMwは445000であり、Mnは69400であり、Mw/Mn=6.4であった。
前記粘着剤組成物Rを、厚さ75μmと100μmの離型PETとの間に挟んで、厚み0.017mmのシート状にホットメルト成形して、高圧水銀ランプを用いて離型PET越しに片面積算光量1000mJ/cmを表裏両面側から照射させて両面粘着シートR17を得た。このサンプルの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の値は0.033MPaであって、ガラス転移温度(Tg)は−30℃であった。
(6)「両面粘着シートC66」
アクリル酸エステル共重合体ポリマーRP:100質量部に対し、架橋剤として旭硝子株式会社製の商品名「PEM−X264」を25質量部、光開始剤として4−メチルベンゾフェノン:4.5質量部を添加して紫外線硬化型の粘着剤組成物Cを得た。
なお、前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーRPの組成は、2−エチルヘキシルアクリレート:65質量%、メチルアクリレート:6質量%、エチルアクリレート:11質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート:13質量%、4−ヒドロキシブチルアクリレート:5質量%を共重合させたもので、GPC測定による前記アクリル酸エステル共重合体ポリマーのMwは445000であり、Mnは69400であり、Mw/Mn=6.4であった。
前記粘着剤組成物Cを、厚さ75μmと100μmの離型PETとの間に挟んで、厚み0.017mmのシート状にホットメルト成形して、高圧水銀ランプを用いて離型PET越しに片面積算光量1000mJ/cmを表裏両面側から照射させて両面粘着シートC66を得た。これらのサンプルの25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’の値は0.026MPaであって、ガラス転移温度(Tg)は−40℃であった。
<実施例1>
離型PETを片側剥離した両面粘着シートW50とH25を、ゴムロールを用いて貼り合わせた後、さらにW50のもう片方の離型PETを剥離し、離型PETを片側剥離したもう1枚のH25と貼り合わせることで、H25/W50/H25の積層構成を有する両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートについてそれぞれの測定結果を表1に示す。
<実施例2>
離型PETを片側剥離した両面粘着シートW80とハード10を、ゴムロールを用いて貼り合わせた後、さらにW80のもう片方の離型PETを剥離し、離型PETを片側剥離したもう一枚のハード10と貼り合わせることで、ハード10/W80/ハード10の積層構成を有する両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートについてそれぞれの測定結果を表1に示す。
<実施例3>
離型PETを片側剥離した前記両面粘着シートW66とV17とを、ゴムロールを用いて貼り合わせた後、さらにW66のもう片方の離型PETを剥離し、離型PETを片側剥離したもう一枚のV17と貼り合わせることで、V17/W66/V17の積層構成を有する両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートについてのそれぞれの評価結果を表1に示す。
<実施例4>
離型PETを片側剥離した前記両面粘着シートW75とV12.5とを、ゴムロールを用いて貼り合わせた後、さらにW75のもう片方の離型PETを剥離し、離型PETを片側剥離したもう一枚のV12.5と貼り合わせることで、V12.5/W75/V12.5の積層構成を有する両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートについてのそれぞれの評価結果を表1に示す。
<実施例5>
離型PETを片側剥離した前記両面粘着シートC66とR17をゴムロールを用いて貼り合わせた後、さらにC66のもう片方の離型PETを剥離し、離型PETを片側剥離したもう一枚のR17と貼り合わせることで、R17/C66/R17の積層構成を有する両面粘着シートを得た。得られた両面粘着シートについてのそれぞれの評価結果を表1に示す。
<比較例1>
両面粘着シートH100をそのまま両面粘着シートとした。それぞれの評価結果を表1に示す。
<比較例2>
両面粘着シートハード100をそのまま両面粘着シートとした。それぞれの評価結果を表1に示す。
<比較例3>
両面粘着シートV100をそのまま両面粘着シートとした。それぞれの評価結果を表1に示す。
<比較例4>
両面粘着シートW100をそのまま両面粘着シートとした。それぞれの評価結果を表1に示す。
Figure 2020164575
実施例1〜5においては、粘着シートは優れた折曲性能、接着性能を示した。
粘着シートのガラス転移温度(Tg)が高い比較例1では、折り曲げたときに折れ痕が残った。
温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’が前記式2の関係を満たしていない比較例2でも、折り曲げたときに折れ痕が残った。
特に比較例3では、低温時の折曲性が若干劣っていた。
温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と引張貯蔵弾性率E’が前記式1の関係を満たしていない比較例4の両面粘着シートW100では、接着力が低くOCAとしての性能が発現されなかった。
これに対し、ガラス転移温度(Tg)が−50℃以上−20℃以下であり、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’(25℃)と引張貯蔵弾性率E’(25℃)が式1の関係を満たし、且つ、前記ガラス転移温度におけるせん断貯蔵弾性率G’(Tg)と引張貯蔵弾性率E’(Tg)が式2の関係を満たす実施例1〜5は、積極性及び接着性のいずれも良好な結果であった。
式1:1.0≦E’(25℃)/G’(25℃)≦5.0
式2:5.0≦E’(Tg)/G’(Tg)
本発明により、2つの屈曲可能又は湾曲可能な画像表示装置用構成部材を貼り合せるのに好適な両面粘着シートが提供され、当該両面粘着シートは、折れや剥がれが発生することなく、フレキシブルディスプレイの貼合にも適用できる。
1 投影機
2 折曲試験後のサンプル
3 スクリーン
4 折れ痕

Claims (12)

  1. 周波数1Hzのせん断における損失正接(tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が−50℃以上−20℃以下であり、
    周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’(25℃)と引張貯蔵弾性率E’(25℃)が式1の関係を満たし、
    周波数1Hz、該ガラス転移温度におけるせん断貯蔵弾性率G’(Tg)と引張貯蔵弾性率E’(Tg)が式2の関係を満たす両面粘着シート。
    式1:1.0≦E’(25℃)/G’(25℃)≦5.0
    式2:5.0≦E’(Tg)/G’(Tg)
  2. 厚みが10μm以上150μm以下である請求項1に記載の両面粘着シート。
  3. 粘着層を少なくとも二層以上有する請求項1又は2に記載の両面粘着シート。
  4. 最表裏層に粘着層(H)を有し、該最表裏層の内側に少なくとも一つの粘着層(S)を有し、粘着層(H)の周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’H(25℃)と、粘着層(S)の周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’S(25℃)とが、式3の関係を満たすことを特徴とする請求項3に記載の両面粘着シート。
    式3:G’S(25℃)<G’H(25℃)
  5. 両面粘着シート全体の厚みに対する前記粘着層(S)の厚みの割合が30%以上95%以下である、請求項4に記載の両面粘着シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の両面粘着シートの少なくとも片面に離型フィルムを備えた離型フィルム付積層体。
  7. 2つの画像表示装置用構成部材が両面粘着シートを介して貼合されており、
    該両面粘着シートは、周波数1Hzのせん断における損失正接(tanδ)のピーク温度で定義されるガラス転移温度(Tg)が、−50℃以上−20℃以下であり、且つ、周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’(25℃)と引張貯蔵弾性率E’(25℃)が、式1の関係を満たし、且つ、周波数1Hz、該ガラス転移温度(Tg)におけるせん断貯蔵弾性率G’(Tg)と引張貯蔵弾性率E’(Tg)が、式2の関係を満たすものである、画像表示装置用積層体。
    式1:1.0≦ E’(25℃)/G’(25℃)≦5.0
    式2:5.0≦E’(Tg)/G’(Tg)
  8. 前記両面粘着シートの厚みが10μm以上150μm以下である、請求項7に記載の画像表示装置用積層体。
  9. 前記両面粘着シートは、粘着層を少なくとも二層以上有するものである、請求項7又は8に記載の画像表示装置用積層体。
  10. 前記両面粘着シートは、最表裏層に粘着層(H)を有し、該最表裏層の内側に少なくとも一層以上の粘着層(S)を有し、
    粘着層(H)の周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’H(25℃)と、粘着層(S)の周波数1Hz、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’S(25℃)が、式3の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置用積層体。
    式3:G’S(25℃)<G’H(25℃)
  11. 前記画像表示構成部材のうち少なくとも1つが、表面保護パネル、タッチパネル、光学フィルム及び有機ELディスプレイパネルからなる群から選択されるものである、請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像表示装置用積層体。
  12. 請求項7〜11のいずれか1項に記載の画像表示装置用積層体を備えた、画像表示装置。
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