JP6877916B2 - 導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体、並びに前記導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法 - Google Patents

導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体、並びに前記導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、炭素材料と樹脂とを含む樹脂組成物に係り、特に炭素材料の含有割合が50体積%以上であって、成形加工性、導電性、及び機械的強度に優れているだけでなく、導電性及び機械的強度において長期耐久性にも優れた導電性樹脂組成物、及びこの導電性樹脂組成物を成形して得られた導電性樹脂成形体、並びに前記導電性樹脂組成物の製造に用いられる導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法に関する。
導電性、成形加工性、及び機械的強度を備えた材料はエレクトロニクス、電気化学、エネルギー、自動車等の様々な分野で広く使用されており、特に、これら導電性、成形加工性、及び機械的強度において高い性能が求められる用途においては、金属に発生するような腐食の無い炭素材料と樹脂とを組み合わせた複合材料が開発され、例えば、水素と酸素の酸化還元反応を利用する固体高分子形燃料電池、バナジウム等のイオンの酸化還元反応を利用するレドックスフロー電池、リン酸電解質で隔てられた燃料極と空気極とで別々に行う電気化学反応を利用するリン酸形燃料電池等の燃料電池の分野において、セパレータ、双極板、集電体、電極、放熱板、集積体等の用途に用いられているほか、精密機械部品、電気・電子製品、自動車精密部品等の分野においても、各種の基板材料、シート材料等の用途に用いられている。
しかしながら、炭素材料と樹脂とを組み合わせた複合材料において、高い導電性を得るためには、成形材料としての導電性樹脂組成物において炭素材料の配合割合を高くする必要があるが、この炭素材料の配合割合を高くすると、得られた成形体において靱性が損なわれ、また、成形加工性や機械的強度が著しく低下する。そこで、従来においても、高い導電性を維持しつつ良好な成形加工性や機械的強度を発現させるために、炭素材料の表面性状を改質する等の主として炭素材料側を工夫したもの、マトリックスとなる樹脂の性状を改質する等の主として樹脂側を工夫したもの、導電性樹脂組成物の組成を工夫したもの、及び、導電性樹脂組成物を成形して得られた成形体の表面性状を改質する等の成形体に工夫を施したもの等、導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体の用途(以下、単に「導電性樹脂組成物の用途」という。)に応じて様々な工夫が行われている。
ここで、例えば用途として燃料電池用のセパレータに着目してみると、例えば、以下のような提案がなされている。
先ず、主として炭素材料側を工夫したものとして、次のようなものを例示することができる。特許文献1及び2においては、黒鉛を炭素数10〜32の直鎖脂肪酸で表面処理し、あるいは、黒鉛を低密度ポリエチレン等の融点95〜180℃の物質で表面処理し、これにより成形時に良好な流動性を与えて導電性を損なうことなく成形性を向上させ、特に燃料電池用セパレータの成形材料として有用な熱硬化性樹脂成形材料が提案されている。また、特許文献3及び4においては、黒鉛粉をアミン系又はエポキシ系等のシランカップリング剤で被覆し、あるいは、黒鉛粉をシランカップリング剤及び柔軟なエポキシ樹脂で表面被覆し、これにより黒鉛粉と熱硬化性樹脂との親和性を高めて密着性を良好にし、導電性と機械的強度とに優れた黒鉛/硬化樹脂成形体からなる燃料電池用セパレータが提案されている。
また、主として樹脂側を工夫したものとして、次のようなものを例示することができる。特許文献5においては、導電材と樹脂とを含む導電性樹脂組成物において、樹脂としてジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物を含む熱硬化性樹脂を使用し、ジヒドロベンゾオキサジン環が開環する条件下で導電性樹脂組成物を硬化させることにより、気体不透過性、電気伝導性、機械的強度、及び寸法安定性に優れた燃料電池用セパレータが得られるとされている。また、特許文献6においては、導電材フィラーと樹脂とを含む導電性樹脂組成物において、樹脂として4-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、芳香族アミノフェノール、及び芳香族ジカルボン酸を所定の割合で共重合させて得られた全芳香族ポリエステルアミドからなる液晶性ポリマーを使用した導電性液晶性ポリマー組成物が提案されており、延伸性、成形加工性、及び導電性に優れていて燃料電池セパレータ等の用途に好適であるとされている。
更に、主として導電性樹脂組成物の組成を工夫したものとして、次のようなものを例示することができる。特許文献7においては、膨張黒鉛と非膨張黒鉛とを重量比10:90〜70:30の割合で含む黒鉛複合体49.9〜95重量%と、カーボンブラック、炭素繊維、及び炭素ナノチューブから選ばれた少なくとも1種の導電性充填材0.1〜10重量%と、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂4〜50重量%とを含み、かつ、前記非膨張黒鉛が板状黒鉛と球状黒鉛とを重量比20:80〜80:20の割合で含む混合物からなり、これにより電気導電性と機械的物性とを同時に向上させた燃料電池セパレータ用成形材料が提案されている。また、特許文献8においては、黒鉛等の炭素材料と樹脂とを含む導電性硬化性樹脂組成物において、樹脂としてラジカル反応性樹脂と所定のムーニー粘度を有するエラストマーとの硬化性樹脂組成物を用い、エラストマーの添加効果により導電性と成形加工性、放熱性、取扱性等とに優れており、燃料電池用セパレータ、電池用集積体、電極、放熱板等の用途に有用である導電性硬化性樹脂組成物が提案されている。更に、特許文献9においては、黒鉛と樹脂とを含む導電性樹脂組成物において、樹脂としてPPS樹脂とフッ素樹脂とを所定の割合で含む熱可塑性樹脂組成物を用いて得られたもので、曲げ強度40MPa以上、体積抵抗値10mΩ・cm以下、及び水の接触角80°以上の物性を有し、必要な導電性、機械的強度、及び溶出性と高い撥水性とを備えた燃料電池用セパレータが提案されている。
更にまた、主として導電性樹脂組成物を成形して得られた成形体に工夫を施したものとして、特許文献10には、樹脂と炭素材料とを含む成形材料を燃料電池用セパレータの形状に成形し、得られた成形体の表面を濃度0.1〜50ppmのオゾン水と接触させて得られ、表面の酸素と炭素との元素組成比(酸素/炭素)が0.1以上であって水との接触角が70°以下である燃料電池用セパレータが提案されており、導電性、成形性、寸法精度、更には機械的強度に優れているとされている。
また、燃料電池用のセパレータ以外の用途に着目してみると、例えば、主として導電性樹脂組成物の組成を工夫したものとして、以下のような提案もなされている。
特許文献11においては、炭素材料として球状黒鉛とカーボンブラックとを使用し、また、樹脂としてエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂とアクリル系等のエラストマーとを所定の割合で使用し、薄型化が可能で導電性や取扱性に優れていて集電体シートの用途に好適な導電性組成物が提案されている。また、特許文献12には、黒鉛等の導電性カーボンと、塩素化ポリエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂と、不飽和結合を有する化合物からなる可塑剤とを含み、シート化した後にシートに電離放射線を照射して熱可塑性樹脂と可塑剤とを結合させることにより、導電性及び機械的強度に優れ、シート加工性も容易なレドックスフロー電池用双極板が提案されている。
特開2002-294,079号公報 特開2003-226,817号公報 特開2006-351,265号公報 特開2007-048,558号公報 特開2004-103,494号公報 特開2005-187,696号公報 特開2010-123,564号公報 特開2003-176,327号公報 特開2013-120,737号公報 特開2007-220,547号公報 特開2013-164,984号公報 特開2012-221,775号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載された導電性樹脂組成物は、いずれも炭素材料として表面処理された黒鉛を用いると共に、樹脂として熱硬化性樹脂を用い、これによって導電性と機械的強度とに優れた黒鉛樹脂成形体からなる燃料電池用セパレータを提供するものであるが、所望の性能を発現する上で、表面処理された黒鉛と共に使用される樹脂が熱硬化性樹脂に限られ、また、得られた黒鉛樹脂成形体においてはマトリックスとなる樹脂が熱硬化性樹脂であることから、不可避的にその弾性が劣ることになり、機械的強度、特に比較的大きな変形時に割れが発生し易くて曲げ強度に限界がある。また、これら特許文献1〜4に記載された導電性樹脂組成物においては、例えば固体高分子形燃料電池のセパレータやレドックスフロー電池の電極等のように、この組成物を成形して得られた成形体が長期に亘って温水や硫酸水溶液等に晒されると、次第に成形体が膨潤し(以下、この問題を「成形体膨潤の問題」ということがある。)、ひいては導電性や機械的強度が低下するという問題がある。
また、特許文献5及び6に記載された導電性樹脂組成物は、いずれも主として樹脂側に特別な工夫を施したものであり、炭素材料として様々な種類のものを使用できるとされているが、使用される樹脂が特別な工夫を施された樹脂であることから、樹脂それ自体の製造や調製に多大な費用を要して製造コストが嵩むという問題があるほか、炭素材料側には何らの表面処理も施されておらず、炭素材料側と樹脂側との間の化学的親和性が十分ではなく、成形体膨潤の問題が発生し、次第に導電性や機械的強度が低下するという問題がある。
更に、特許文献7に記載の燃料電池セパレータ用成形材料は、使用される炭素材料が膨張黒鉛と、非膨張黒鉛(板状黒鉛及び球状黒鉛)と、導電性充填材(カーボンブラック、炭素繊維、又は炭素ナノチューブ)とを所定の割合で含むものであり、また、特許文献8に記載の導電性硬化性樹脂組成物は、使用される樹脂が特定の硬化性樹脂(ラジカル反応性樹脂)と所定のムーニー粘度を有する特定のエラストマーとの硬化性樹脂組成物であり、更に、特許文献9においてはPPS樹脂とフッ素樹脂とが所定の割合で配合されており、それぞれ炭素材料側又は樹脂側において複数の材料を使用し、その組成に工夫が施されているが、これら特許文献7〜9においても、炭素材料それ自体の表面には何らの表面処理もなされておらず、炭素材料と樹脂との間の化学的親和性が十分ではなく、この場合にも成形体膨潤の問題が発生し、導電性や機械的強度が低下するという問題がある。
また、特許文献10に記載された燃料電池用セパレータにおいては、成形材料をセパレータの形状に成形した後に、得られた成形体の表面を所定濃度のオゾン水と接触させて表面の元素組成比(酸素/炭素)と水との接触角とを調整するものであり、製造工程が増して製造コストが嵩むほか、長期に亘ってオゾン処理による接触角調整の効果を維持させることは困難であり、また、成形体膨潤の問題も避けられない。更に、特許文献11に記載された導電性樹脂組成物においては、炭素材料側と樹脂側の双方に工夫を施し、エラストマーの添加効果により導電性と成形加工性、放熱性、取扱性等とにおいて性能の改善を図ったものであるが、この導電性樹脂組成物においても、樹脂として熱硬化性樹脂が用いられることから、不可避的に機械的強度、特に曲げ強度に限界があり、成形体膨潤の問題も避けられず次第に導電性や機械的強度が低下するという問題がある。そして、特許文献12に記載された導電性樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂と可塑剤とが電離放射線で結合されてシート加工性が改善されるが、黒鉛と熱可塑性樹脂との間の化学的親和性が十分ではなく、成形体膨潤の問題が発生し、次第に導電性や機械的強度が低下するという問題がある。
本発明者らは、上述した従来の導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体における種々の問題、特に温水や硫酸水溶液等に長期に亘って晒された場合に発生する「成形体膨潤の問題」について、その発生原因と解決策の検討をする中で、次のような知見を得た。すなわち、固体の表面においては、通常、原子の規則的な配列が途切れ、周囲の酸素や水分と結合して表面官能基を形成しており、この表面官能基が当該個体の性質に大きな影響を与えているが、導電性樹脂成形体に用いられる通常の炭素材料においては、一般にこの表面官能基の状態が適切ではなく、マトリックスとなる樹脂の改善だけでは限界があり、成形体膨潤の問題を解決するには炭素材料の表面を適切な状態にすることが必須であることを知見した。
また、本発明者らは、更に上記の成形体膨潤の問題を解決するために、炭素材料の表面が適切な状態であるか否かを判断する上で、炭素材料の表面に存在する官能基により発現するpH値(以下、「表面官能基pH」ということがある。)を指標とすることが最適であることを知見し、更に、この表面官能基pHの値を塩基性側に調整することにより、単に上記の成形体膨潤の問題を解決できるだけでなく、樹脂側に対して特別な工夫を必要とすることなくこの炭素材料側の工夫だけで、導電性樹脂組成物においてその使用目的に応じた様々な樹脂を選択し使用できる可能性があることも知見した。
そこで、本発明者らは、これらの知見を基に、優れた成形加工性を有するだけでなく、たとえ温水や硫酸水溶液等に長期に亘って晒された場合であっても、上述した成形体膨潤の問題を可及的に抑制することができ、導電性及び機械的強度を長期に亘って維持することができるほか、使用する樹脂の選択肢が拡がって導電性樹脂組成物の用途に応じた適切な樹脂を選択すること(以下、「樹脂選択性」ということがある。)ができる導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体について鋭意検討した結果、炭素材料の平均粒子径を所定の範囲にすると共に、表面の官能基に起因する表面官能基pHを塩基性側の適切な状態に調整することにより、炭素材料と樹脂との間の化学的親和性が顕著に改善され、単に成形加工性、導電性、及び機械的強度に優れているだけでなく、成形体膨潤の問題を解決することができ、導電性及び機械的強度において長期耐久性に優れているほか、樹脂選択性にも優れた導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、成形加工性に優れているだけでなく、温水や硫酸水溶液等に長期間晒された場合であっても成形体膨潤の問題を可及的に抑制することができ、長期に亘って優れた導電性及び機械的強度を維持することができる長期耐久性にも優れており、しかも樹脂選択性にも優れた導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体を提供することにある。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 炭素材料と樹脂(但し、高分子主鎖中にオレフィン系不飽和結合を有する熱可塑性樹脂を除く。)とを含む組成物であって、前記炭素材料(C)と樹脂(P)との体積組成比(C/P)が50/50〜95/5であり、また、前記炭素材料は、平均粒子径が1〜100μmであると共に、表面官能基pHが9.0〜12.0であって、酸素含有量が0.5〜5.0質量%であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
(2) 前記炭素材料は、全塩基度が10〜1000μmol/gであることを特徴とする前記(1)に記載の導電性樹脂組成物。
(3) 前記炭素材料は、窒素含有量が0.2〜5.0質量%であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の導電性樹脂組成物。
(4) 前記炭素材料の平均粒子径が2〜50μmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
(5) 前記樹脂が、熱可塑性樹脂(但し、高分子主鎖中にオレフィン系不飽和結合を有する熱可塑性樹脂を除く。)であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
(6) 前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、上記の熱可塑性樹脂を得るための各種のモノマーのうちの2種類以上を共重合あるいは共縮合させて得られる熱可塑性共重合樹脂、及び、上記の熱可塑性樹脂が用途に応じて変性された変性熱可塑性樹脂から選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする前記(5)に記載の導電性樹脂組成物。
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載された導電性樹脂組成物を成形して得られた導電性樹脂成形体であって、圧縮強度が3MPa以上であると共に、曲げ歪が0.6%以上であって割れが無いことを特徴とする導電性樹脂成形体。
(8) 前記(1)〜(6)のいずれかに記載された導電性樹脂組成物を調製するために用いる平均粒子径1〜100μmの炭素材料の製造方法であり、
原料の炭素材料に対して、炭酸ガス雰囲気下に800〜1400℃及び1〜10時間の条件で行う賦活処理、濃硝酸を用いた100〜沸騰状態及び2〜5時間の条件で行う酸処理、及び不活性ガス雰囲気下に800〜1100℃及び1〜5時間の条件で行う熱処理からなる塩基性官能基修飾Aを実施することを特徴とする導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法。
(9) 前記塩基性官能基修飾Aの賦活処理、酸処理、及び熱処理に加えて、塩基性官能基修飾Aで得られた炭素材料中の含酸素官能基を窒素官能基に置換する窒素置換処理からなる塩基性官能基修飾Bを実施することを特徴とする前記(8)に記載の導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法。
(10) 前記窒素置換処理が、アンモニアガス雰囲気下に500〜1000℃及び0.5〜2時間の条件で行う熱処理であることを特徴とする前記(9)に記載の導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法。
本発明によれば、成形加工性に優れているほか、温水や硫酸水溶液等に長期間晒された場合であっても成形体膨潤の問題を可及的に抑制することができ、長期に亘って優れた導電性及び機械的強度を維持することができる長期耐久性に優れており、しかも樹脂選択性にも優れていて、燃料電池の分野を始めとして精密機械部品、電気・電子製品、自動車精密部品等の様々な分野において、セパレータ、双極板、集電体、電極、放熱板、集積体等の用途を始め、導電性が求められる各種の基板材料、シート材料等の多くの用途に有用である導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体を提供することができる。
以下、本発明の導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体を詳細に説明する。
本発明の導電性樹脂組成物は、炭素材料と樹脂とを含む組成物であって、前記炭素材料(C)と樹脂(P)とが所定の体積組成比(C/P)を有すると共に、前記炭素材料が所定の平均粒子径を有し、かつ、炭素材料の表面に存在する官能基により発現するpH値(表面官能基pH:JIS K6221 6.4.2の方法に準じて測定されるpH値)が所定の値の範囲内のものである。
ここで、前記炭素材料(C)と樹脂(P)との体積組成比(C/P)は、通常50/50〜95/5、好ましくは50/50〜90/10であり、この体積組成比(C/P)が50/50より低くなると、得られる導電性樹脂成形体に対して高い導電性を与えることが難しくなり、反対に、95/5よりも高くなると、所望の成形加工性や機械的強度が得られ難くなる。
また、前記炭素材料については、平均粒子径が通常1μm以上100μm以下、好ましくは2μm以上50μm以下である必要があり、また、表面官能基pHが通常9.0以上、好ましくは9.0以上12.0以下、より好ましくは9.5以上11.5以下である必要がある。
この炭素材料の平均粒子径については、1μmよりも小さくなると、所望の機械的強度を発現させるのに必要な熱可塑性樹脂の使用量が増加し、得られた導電性樹脂組成物における炭素材料(C)と樹脂(P)との体積組成比(C/P)が低下し、結果として所望の導電性が得られなくなり、反対に、100μmを超えて大きくなると、炭素材料の樹脂との接着面積が小さくなり過ぎ、所望の機械的強度を達成できなくなる虞がある。
また、炭素材料の表面官能基pHについては、9.0より低いと、炭素材料表面の塩基性が弱く、樹脂の吸着力低下により接触面積が低下し、所望の機械的強度を達成できなくなる虞がある。反対に、表面官能基pHの上限については、特に制限はないが、好ましくは12.0である。これは、粒子径1μm以上の炭素材料においては、12.0を超えて表面官能基pHを高くするためには、賦活処理等により比表面積を著しく高めること(例えば、BET比表面積を500m2/g以上に高めること等)が必要になって現実的でなく、しかも、12.0を超えて表面官能基pHを高めても、実際的な表面での樹脂の吸着特性に更なる改善効果は期待できず、むしろ、溶媒の吸着等が発生し、成形体膨潤の問題が生じる虞があるからである。
更に、本発明で使用する炭素材料については、その全塩基度(炭素材料1gに吸着される塩酸量μmol)が通常10μmol/g以上1000μmol/g以下、好ましくは20μmol/g以上800μmol/g以下であるのがよい。この全塩基度が10μmol/gより低いと、炭素材料表面の塩基性が弱く、樹脂の吸着力低下により接触面積が低下し、所望の機械的強度を達成できなくなる虞があり、反対に、1000μmol/gを超えて高くなると、実質的に比表面積が500m2/g以上となり、細孔内において溶媒の吸着等が発生し、成形体膨潤の問題が生じる虞がある。
そして、本発明で使用する炭素材料については、上述した表面官能基pHが9.0以上12.0以下であること、及び/又は、全塩基度が10μmol/g以上1000μmol/g以下であることを達成する上で、好ましくは、下記の塩基性官能基修飾A又は塩基性官能基修飾Bのいずれかが施されたものであることが望ましい。
〔塩基性官能基修飾A〕
炭素材料のグラフェン内に含酸素官能基としてキノン型酸素(=O)とエーテル型酸素(-O-)とを共存させ、キノン型酸素におけるプロトン受容性「=O⇔−OH」に基づいて所望の塩基性を発現させるもので〔例えば、文献:Carbon Black, CRC Press, Jean-Baptiste Donnet編集 第2版、p177(1993年出版)を参照〕、これらキノン型酸素とエーテル型酸素に基づく酸素含有量が0.5質量%以上5.0質量%以下、好ましくは0.7質量%以上4.5質量%以下の範囲内であること。この酸素含有量が上記の範囲を外れると、表面官能基pH9.0以上、特に9.0以上12.0以下を達成できなくなる虞がある。
〔塩基性官能基修飾B〕
炭素材料中に含窒素官能基(=N−、=N−H、−NH2)を導入し、これら含窒素官能基に基づく窒素含有量が0.2質量%以上5.0質量%以下、好ましくは0.4質量%以上4.5質量%以下であること。この窒素含有量が上記の範囲を外れると、表面官能基pH9.0以上、特に9.0以上12.0以下を達成できなくなる虞がある。
本発明において、使用する炭素材料については、何らかの表面改質処理を施すことにより、上記の表面官能基pH9.0〜12.0を、また、必要により上記の塩基性官能基修飾A又はBを、更に、必要により上記の全塩基度10μmol/g以上1000μmol/g以下を達成できるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、塊状黒鉛(人造黒鉛)、球状化黒鉛、鱗片状黒鉛(天然黒鉛)、膨張化黒鉛等の黒鉛や、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックや、PAN系、ピッチ系、レーヨン系、フェノール樹脂繊維由来、気相成長法等のカーボンファイバー(CF)を始めとして、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、カーボンウイスカ、カーボン短繊維、非晶質炭素、グラッシーカーボン等を挙げることができ、これらは、導電性樹脂組成物の用途に応じて、その1種のみを用いてもよく、また、必要により2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる上記の炭素材料は、導電性樹脂組成物の用途に応じて選択されるものであるが、例えば用途が固体高分子形燃料電池、レドックスフロー電池、リン酸形燃料電池等の燃料電池の分野で用いられるセパレータ、双極板、集電体、電極、放熱板、集積体等である場合には、好ましくは黒鉛である。そして、得られる導電性樹脂成形体の導電性、機械的強度、可撓性、及び製造コスト等の観点から、導電性樹脂組成物中に特性の異なる複数の黒鉛を所定の割合で配合してもよく、及び/又は、黒鉛に対して導電性に優れた黒鉛以外の炭素材料を導電助剤として所定の割合で添加してもよい。
より具体的には、複数種類の黒鉛を配合する場合には、塊状黒鉛及び/又は球状化黒鉛は骨材としての機能を果たすものであることから、その配合量は黒鉛全体の50質量%以上であるのがよく、また、鱗片状黒鉛には薄片状であるという形態を生かして導電性の改善に寄与する作用があり、また、膨張化黒鉛には柔軟性や導電性を向上させる効果があるので、これら鱗片状黒鉛及び/又は膨張化黒鉛については黒鉛全体の30質量%以下の割合で添加するのがよい。そして、導電助剤として導電性の改善を目的に添加される黒鉛以外の炭素材料としては、例えば樹状構造のケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、例えば、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維等のカーボンファイバー(CF)、例えば、昭和電工社製のVGCF等のカーボンナノファイバー(CNF)、例えば日本ゼオン社製のスーパーグロース法による単層CNT等のカーボンナノチューブ(CNT)、例えば、酸化黒鉛を還元して得られるナノグラフェン等のグラフェン等を例示することができ、これらは炭素材料全体の10質量%以下の範囲内でその1種又は2種以上を添加するのがよい。
本発明において、導電性樹脂組成物中に配合され、あるいは、添加される炭素材料については、少なくとも炭素材料全体の90質量%以上が上述した表面官能基pH9.0〜12.0の塩基性官能基修飾を有する炭素材料であることが必要であり、好ましくは95質量%以上、より好ましくは全ての炭素材料が上記塩基性官能基修飾を有する炭素材料であるのがよい。ここで、塩基性官能基修飾を有する炭素材料の割合が炭素材料全体に対して90質量%未満であると、導電性樹脂組成物に求められる成形加工性、導電性、及び機械的強度、また導電性及び機械的強度についての長期耐久性、更には樹脂選択性において、いずれかの性能が達成できなくなる虞がある。
ここで、本発明で用いられる炭素材料については、高い導電性を得るためには好ましくは結晶性が高いものがよく、また、所望の表面官能基を導入して所定の表面官能基pHを達成するためには、好ましくは炭素材料表面に炭素六角網面の端部がある程度存在することが好ましく、具体的には、X線回折による結晶子サイズLcが10nm以上であり、また、ラマン分光によるR値が0.1〜0.8のものであるのがよい。そして、このような炭素材料に所望の表面官能基を導入して所定の表面官能基pHを達成するための方法については、特に制限されるものではないが、上記の塩基性官能基修飾Aを達成するための方法と、塩基性官能基修飾Bを達成するための方法とに応じて、以下の方法を例示することができる。
〔塩基性官能基修飾Aの方法〕
上記の塩基性官能基修飾Aを達成するための方法としては、代表的には下記の方法を例示することができる。
先ず、所望の平均粒子径を有する炭素材料の表面積を拡大化するための処理(賦活処理)を行う。この賦活処理については、炭素材料の表面積を拡大化することができれば、特に制限はなくどの様な方法でもよく、例えば、炭酸ガス(CO2)雰囲気下に800℃以上1400℃以下、好ましくは900℃以上1300℃以下及び1〜10時間の条件で加熱処理する方法を例示することができる。
次に、得られた賦活処理後の炭素材料について、拡大化された炭素材料の表面を酸化する酸処理、好ましくは濃硝酸を用いて100℃〜沸騰状態及び2〜5時間の処理条件で行う熱濃硝酸による強い酸処理を行い、その後、濾過して電気炉等により大気中100℃以下の温度(例えば90℃)で乾燥し、炭素材料の表面に含酸素官能基〔ケトン基(=O)、エーテル基(-O-)、水酸基(-OH)、及びカルボキシル基(-COOH)〕を導入する。
更に、不活性ガス雰囲気下(例えばArガス流通下)に800℃以上1100℃以下、好ましくは850℃以上1050℃以下の温度で1〜5時間の条件で熱処理を行い、含酸素官能基の内で熱的に比較的不安定なカルボキシル基(-COOH)と水酸基(-OH)を除去すると共に熱的に比較的安定なケトン基(=O)及びエーテル基(-O-)を残し、炭素材料の表面にキノン型酸素とエーテル型酸素とを有する含酸素官能基を導入する。
〔塩基性官能基修飾Bの方法〕
上記の塩基性官能基修飾Bを達成するための方法としては、代表的には下記の方法を例示することができる。
必要により炭素材料の表面積を拡大化する上記と同様の賦活処理を行い、次いで炭素材料の表面に含酸素官能基を導入する。この含酸素官能基を導入するための処理については、必要な量の含酸素官能基が導入されればよく、特に制限されるものではないが、例えば、炭素材料について、適当な酸を用いた酸処理を行い、引き続いて不活性雰囲気下に200℃以上800℃以下、好ましくは300℃以上700℃以下の加熱処理を行う酸処理及び加熱処理を行う方法や、オゾンにより酸素官能基を導入する方法や、更には上記の塩基性官能基修飾Aを達成するための方法等を例示することができる。
次に、この様にして得られた含酸素官能基導入後の炭素材料に対して、炭素材料中の含酸素官能基を含窒素官能基に置換する窒素置換処理を行う。この窒素置換処理についても、含酸素官能基をそれぞれ含窒素官能基〔三級アミノ基(>N-)、二級アミノ基(>N-H)、及びアミノ基(-NH2)〕に置換することができれば特に制限されるものではなく、例えば、含酸素官能基導入後の炭素材料をアンモニアガス雰囲気下(NH3ガス流通下)に500〜1000℃及び0.5〜2時間の条件で加熱する熱処理により炭素材料の表面に含窒素官能基を導入する方法を挙げることができる。
なお、塩基性官能基修飾Aを達成するための方法としては、上記の方法以外に、酸素含有ガス(例えば酸素ガス)の共存化にプラズマ活性化処理を実施して炭素材料の表面に含酸素官能基を導入し、次いで不活性雰囲気下(例えばArガス流通下)に700℃以上1000℃以下、好ましくは800℃以上900℃以下の温度で1〜10時間の条件で熱処理を行って熱的に比較的不安定なカルボキシル基(-COOH)と水酸基(-OH)を除去すると共に熱的に比較的安定なケトン基(=O)及びエーテル基(-O-)を残し、炭素材料の表面にキノン型酸素とエーテル型酸素とを有する含酸素官能基を導入する方法等を挙げることができる。
また、塩基性官能基修飾Bを達成するための方法としては、上記の方法以外に、例えば、炭素材料の表面に含窒素化合物を吸着させ、次いで加熱して前記含窒素化合物を熱分解させながらこの際に発生する窒素原子を炭素材料の表面に固定化する方法や、窒素含有ガス(例えばアンモニアガス)の共存化にプラズマ活性化処理を実施して炭素材料の表面に含窒素官能基を導入する方法等を挙げることができる。
本発明において、導電性樹脂組成物を構成し、成形後に導電性樹脂成形体のマトリックスとなる樹脂については、以下に説明する本発明の炭素材料の塩基性官能基と樹脂の水素原子との間の結合メカニズムからして、水素原子を有する樹脂であれば特に制限されるものではなく、熱硬化性樹脂であっても、また、熱可塑性樹脂(但し、高分子主鎖中にオレフィン系不飽和結合を有する熱可塑性樹脂を除く。)であってもよく、導電性樹脂組成物の用途に応じて好適な樹脂を選択することができる。上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等を始めとして、用途に応じて変性された各種の変性熱硬化性樹脂等を挙げることができる。また、上記の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂や、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂や、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体である(メタ)アクリル系樹脂や、芳香族ビニル化合物をモノマーとして製造されるポリスチレン(PS)等のスチレン系樹脂や、ポリ酢酸ビニル(PVAc)等の酢酸ビニル系樹脂や、フッ素を含むエチレン系炭化水素を重合して得られるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂や、上記の熱可塑性樹脂を得るための各種のモノマーのうちの2種類以上をラジカル共重合、イオン共重合あるいは共縮合させて得られるランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体等の熱可塑性共重合樹脂等が挙げられ、また、用途に応じて変性された各種の変性オレフィン系樹脂等の変性熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
本発明の導電性樹脂組成物を成形して得られる導電性樹脂成形体においては、炭素材料の塩基性官能基と樹脂の水素原子とが以下のような結合メカニズムにより結合しているものと考えられる。
すなわち、本発明の導電性樹脂成形体において、炭素材料側に導入された塩基性官能基が樹脂側の水素原子と水素結合に近い静電的な作用(物理的な吸着作用)により強い相互作用を発揮し、これによって炭素材料と樹脂との間で強い吸着界面が形成されているものと推量される。この炭素材料の塩基性官能基と樹脂の水素原子との間の相互作用は、樹脂に水素原子が存在すれば発現するものであり、樹脂に極性部分や立体的構造が存在しても影響されることがなく、また、樹脂側の性状にも影響されない。そして、炭素材料の表面に物理的な吸着作用により結合した樹脂は、化学的に結合した場合とは異なり、一定の結合力を維持したまま炭素材料の表面を滑ることが可能であり、これによって成形体が変形しても破壊することなく所望の強度を維持し、優れた成形加工性や機械的強度が発現されるものと考えられる。
本発明の導電性樹脂組成物を調製するには、上記の炭素材料(C)と樹脂(P)とを体積組成比(C/P)50/50〜95/5の割合で配合し、ラボプラストミル、ロール、二軸押出し混練機等の押出し機、ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー等の樹脂組成物の分野で一般的に用いられている混合機や混練機を使用して均一に混合し、あるいは、炭素材料とエマルジョン樹脂との混合スラリーを塗布・乾燥してシート化する等の方法により、全体が均一になるように混合すればよい。ここで、炭素材料(C)と樹脂(P)との体積組成比(C/P)については、炭素材料の比重を2.2g/cm3とし、また、樹脂(固形分)の比重を0.9g/cm3とし、これら炭素材料(C)と樹脂(P)の質量割合から求められた計算値である。なお、後述する熱硬化性樹脂のフェノール樹脂については、比重を1.3g/cm3として計算した。
また、本発明の導電性樹脂組成物については、この組成物を構成する樹脂に適した成形方法により所定の形状の導電性樹脂成形体を製造することができ、また、成形機や金型への材料供給を容易にする目的で、必要により粉砕あるいは造粒してもよく、粉砕には、ホモジナイザー、ウィレー粉砕機、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル、ブレンダー)等が使用でき、また、造粒には、押出機、ルーダー、コニーダー等を用いてペレット化する方法や、パン型造粒機等を使用する方法等がある。そして、本発明の導電性樹脂組成物を用いて導電性樹脂成形体を製造する方法については、組成物を構成する樹脂に応じて、また、その用途や形状等に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、例えば、圧縮成型法、トランスファー成形法、射出成形法、注型法、射出圧縮成形法が挙げられる。
このようにして得られた本発明の導電性樹脂成形体については、その用途等に応じて異なるが、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)用セパレータの用途である場合には、接触抵抗が20mΩ・cm2以下、好ましくは10mΩ・cm2以下であり、圧縮強度が3MPa以上、好ましくは5MPa以上であり、更に、曲げ歪が0.17%以上、好ましくは0.2%において割れが認められないものであって、曲げ強度に優れているものである。
以下、炭素材料(C)の調製例、実施例、及び比較例に基づいて、本発明の導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体を具体的に説明する。
〔炭素材料(C)の調製例1〜46及び48〜50実施例1〜47及び49〜51、及び比較例1〜16〕
1.炭素材料(C)の調製
以下の実施例及び比較例において、炭素材料(C)の調製のために、以下の黒鉛粉及び導電助剤を準備した。
黒鉛a:平均粒子径1.2μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-5を遊星ボールミルで粉砕し、粒度調整をして準備した。)
黒鉛b:平均粒子径5μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-5)
黒鉛c:平均粒子径20μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-20)
黒鉛d:平均粒子径50μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-604)
黒鉛e:平均粒子径80μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-130)
黒鉛f:平均粒子径97μmの黒鉛粉〔平均粒子径250μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-32)を遊星ボールミルで粉砕し、粒度調整をして準備した。〕
黒鉛g:平均粒子径3μmの黒鉛粉(昭和電工社製の人造黒鉛UF-G5)
黒鉛h:平均粒子径20μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の球状黒鉛SG-BH)
黒鉛j:平均粒子径0.8μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-5を遊星ボールミルで粉砕し、粒度調整をして準備した。)
黒鉛k:平均粒子径120μmの黒鉛粉〔平均粒子径250μmの黒鉛粉(伊藤黒鉛工業社製の人造黒鉛AGB-32)を遊星ボールミルで粉砕し、粒度調整をして準備した。〕
導電助剤z:一次粒子径40nmのアセチレンブラック(デンカ社製デンカブラック、一次粒子径は同社のカタログ値を用いた。)
なお、上記の各黒鉛粉(黒鉛a〜h、j、及びk)の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern製「Mastersizer2000」)を用いて測定し、D50(累積50体積%径)の値を「平均粒子径」とした。
このようにして準備した各黒鉛粉(黒鉛a〜黒鉛k)について、塩基性官能基修飾を行うために、以下の賦活処理、酸処理、及び加熱処理からなる塩基性官能基修飾Aの方法と、この塩基性官能基修飾Aの方法で得られた炭素材料(C)に対して更に窒素置換処理を実施する塩基性官能基修飾Bの方法とを実施した。
〔1〕調製例1〜33(表1)
(1) 賦活処理
炭素材料(C)を構成する各黒鉛粉について、酸素導入量を多くする目的で、横型管状電気炉を用い、炭酸ガス(CO2)流通下に1200℃及び2時間の条件で加熱する賦活処理を行った。この賦活処理により各黒鉛粉の表面にnmスケールの凹凸を導入し、更に引き続き行われる下記の酸処理と加熱処理により、酸素量がより多く導入された各黒鉛粉を調製した。
(2) 酸処理
賦活処理無しの又は賦活処理有りの各黒鉛粉10〜20gを500mLビーカー中に入れ、これに市販の特級試薬の硝酸(比重1.42)200mLを添加し、撹拌下に沸騰状態で3時間加熱し、この加熱終了後に、各黒鉛粉の全体を3Lビーカー中に移して蒸留水で希釈し、次いでメンブレンフィルターで減圧下に濾過し、更に蒸留水2L中に再分散させて洗浄し、濾過した後に90℃の乾燥器内で乾燥させ、酸処理後の各黒鉛粉を得た。
(3) 加熱処理
上記の酸処理終了後の各黒鉛粉について、横型管状電気炉を用い、アルゴンガスを流通させるアルゴン雰囲気下に300〜1300℃で加熱処理を行い、それぞれ所定の表面官能基pH、全塩基度(μmol/g)、及び酸素含有量(質量%)を有する黒鉛粉を得た。
このようにして上記賦活処理、酸処理、及び加熱処理により表面官能基pH、全塩基度(μmol/g)、及び酸素含有量(質量%)が調整された各黒鉛粉を調製した。
得られた調製例1〜33の各黒鉛粉を塩基性官能基修飾Aの炭素材料(C)として実施例1〜33及び比較例1〜14の導電性樹脂組成物の調製に用いた。
〔2〕調製例34〜51(表2)
(4) 窒素置換処理
上記の酸処理終了後の一部の黒鉛粉(黒鉛b、g、h、及びi)について、横型管状電気炉を用い、アンモニアガスを流通させるアンモニアガス雰囲気下に500〜1000℃で1時間の加熱処理を行い、それぞれ所定の表面官能基pH、全塩基度(μmol/g)、及び窒素含有量(質量%)を有する黒鉛粉を調製した。
得られた調製例34〜51の各黒鉛粉を塩基性官能基修飾Bの炭素材料(C)として実施例34〜51及び比較例15〜16の導電性樹脂組成物の調製に用いた。
なお、上記の導電助剤zについては、各黒鉛粉とは異なり、賦活処理、酸処理、及び加熱処理、更には窒素置換処理からなる塩基性官能基修飾を実施することなく、そのまま使用した。
以上のようにして得られた各実施例及び比較例に用いる炭素材料(C)について、それぞれ下記の方法により、表面官能基pH、全塩基度、酸素含有量、及び窒素含有量の測定を行った。
各実施例及び比較例で用いる炭素材料(C)について求められた表面官能基pH、全塩基度、酸素含有量、及び窒素含有量の測定結果を、先に求められた各黒鉛粉の平均粒子径の測定結果と共に、調製例1〜33の各黒鉛粉〔塩基性官能基修飾Aの炭素材料(C)〕の結果を以下の表1に、また、調製例34〜51の各黒鉛粉〔塩基性官能基修飾Bの炭素材料(C)〕の結果を以下の表2に示す。
〔表面官能基pHの測定〕
JIS K6221 6.4.2に準じて以下の方法で測定した。
50mLビーカー中に炭素材料(C)5gと蒸留水8mLとを入れ、加熱して沸騰させた後に氷水で室温まで急冷し、黒鉛粉の中にガラス電極を挿入した状態でpH値を測定した。
〔全塩基度の測定〕
炭素材料(C)に塩酸を接触させ、炭素材料(C)の表面に吸着した塩酸量を全塩基度と定義した。この全塩基度の測定は、200mL三角フラスコ中に炭素材料(C)1gと0.2mol/L濃度の塩酸水溶液100mLとを入れ、超音波分散器で10分間処理して炭素材料(C)を塩酸水溶液中に分散させ、更に振とう器で4時間撹拌した後、面ブランフィルターでろ過し、得られた濾液から濾液10mLを採取し、滴定装置を用いて0.2mol/L濃度のNaOH水溶液で中和滴定を行い、中和に要したNaOH量から炭素材料(C)に吸着した塩酸量を算出した。
〔酸素含有量の測定〕
酸素含有量(O:質量%)の測定は、分析装置として微量酸素分析装置(LECO社製RH402型)を用い、試料約1gを測り採り、これを黒鉛るつぼで800℃に加熱し、その際に発生した水素量を測定し、測定された水素量から酸素含有量の値(質量%)を算出する不活性ガス融解熱伝導方法にて実施した。
〔窒素含有量の測定〕
窒素含有量(N:質量%)の測定は、分析装置として微量窒素分析装置(HORIBA社製EMGA-920)を用い、試料約0.5gを測り採り、これを不活性ガス中で加熱融解させ、CO、CO2、H2O等を除去して得られた窒素ガス(N2)量を熱伝導度法(TCD)で測定して定量した。
Figure 0006877916
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2.導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体の調製
〔3〕実施例1〜33(表3)、実施例34〜52(表4)、及び比較例1〜16(表5)
実施例1〜33及び比較例1〜14においては調製例1〜33の各黒鉛粉〔塩基性官能基修飾Aの炭素材料(C)〕を用い、また、実施例34〜52及び比較例15、16においては調製例34〜51の各黒鉛粉〔塩基性官能基修飾Bの炭素材料(C)〕を用い、以下のようにして導電性樹脂組成物を調製し、また、導電性樹脂成形体を調製した。
(1) 樹脂(P):熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂について
以下の実施例及び比較例において、使用した熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は以下の通りである。
A1:ポリオレフィン樹脂(粉末タイプの未変性ポリエチレン:住友精化社製:UF-20S)
A2:ポリオレフィン樹脂(ペレットタイプのポリメチルペンテン、三井化学社製:TPX:DX845)
A3:カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(水系タイプの変性ポリエチレン、住友精化製:ザイクセンAC;固形分濃度25質量%)
A4:熱硬化性フェノール樹脂(粉末タイプ:リグナイト社製LPS-50A)
(2) 導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体の調製
(a) 粉末タイプのポリオレフィン樹脂(A1)と水系タイプのカルボン酸変性ポリオレフィン樹脂(A3)とを固形分重量比1:1の割合で混合し、得られた樹脂混合物中に炭素材料(C)を、この炭素材料(C)と固形分としての樹脂(P)との体積組成比(C/P)が表3〜表5に示す割合となるように混合し、ニーダーを用いて室温〜90℃で混練し、得られた混練物を2軸ロールで厚さ5mmのシート状に成形し、得られたシート状成形物を乾燥させた。次に、このようにして調製されたシート状成形物をプレス装置(一軸加熱圧縮成型装置)の金型内に入れ、成形後の厚さが3〜5mmとなるようにホットプレスし、その後に冷却して各実施例及び比較例の板状導電性樹脂成形体を調製した。
(b) 粉末タイプのポリオレフィン樹脂(A1)とペレットタイプのポリオレフィン樹脂(A3)とを固形分重量比1:1の割合で混合し、得られた樹脂混合物中に炭素材料(C)を、この炭素材料(C)と固形分としての樹脂(P)との体積組成比(C/P)が表3〜表5に示す割合となるように混合し、ニーダーを用いて130〜190℃で混練し、得られた混練物を2軸ロールで厚さ5mmのシート状成形物に成形した。次に、このようにして調製されたシート状成形物をプレス装置(一軸加熱圧縮成型装置)の金型内に入れ、成形後の厚さが3〜5mmとなるようにホットプレスし、その後に冷却して各実施例及び比較例のシート状導電性樹脂成形体を調製した。
(c) 粉末タイプの熱硬化性フェノール樹脂(A4)を用い、この熱硬化性フェノール樹脂(A4)と炭素材料(C)とを、炭素材料(C)と固形分としての樹脂(P)との体積組成比(C/P)が表3〜表5に示す割合となるように、混練機を用いて混合し、得られた混練物をプレス装置(一軸加熱圧縮成型装置)の金型内に充填し、成形後の厚さが3〜5mmとなるようにホットプレスし、シート状導電性樹脂成形体を調製した。
3.接触抵抗の測定
以上のようにして調製された各実施例及び比較例のシート状導電性樹脂成形体について、それぞれ長さ17〜20mm及び幅3〜5mmの試験片を切り出し、この切り出された試験片と、同じ大きさに調整されたカーボンペーパー(東レ株式会社製商品名「TGP-H-120」)とを重ね合わせ、これらを2つの金メッキ銅製金具で所定の圧力(1MPa)で挟み込み、これら2つの金メッキ銅製金具の間に試験材/カーボンペーパーの接触面積値(単位:cm2)と同じ値の直流電流(単位:A)を流し、金メッキ製金具/カーボンペーパー/試験材の接続部に生じる電圧降下(単位:mΩ・cm2)を測定し、これを接触抵抗とした。
4.圧縮強度の測定
上で調製された各実施例及び比較例のシート状導電性樹脂成形体から50mm×50mmの大きさの試験片を切り出し、この切り出された試験片を厚さ10mm以上の鉄板の上に置き、試験片の上から直径10mmの鉄芯を用いて大きさの異なる応力(3MPa、5MPa、及び10MPa)で押圧し、目視で圧痕の有無を確認し、下記の評価基準で評価した。
○:5MPaでも圧痕が残らない場合
△:5MPaでは圧痕が残るが3MPaでは残らない場合
×:3Mpaで圧痕が残る場合
5.曲げ強度の測定
上で調製された各実施例及び比較例のシート状導電性樹脂成形体から60mm×10mm×3mmの大きさの試験片を切り出し、JIS K7171に準拠してStress-Strain曲線を測定し、歪み0.2%の時に試験片が破壊するかしないかを調べ、下記の基準で曲げ強度を評価した。
○:0.2%歪みで破壊しない場合
△:0.17%歪みで破壊しない場合
×:0.17%歪みで破壊する場合
6.膨潤試験
上で調製された各実施例及び比較例のシート状導電性樹脂成形体から長さ50mm×幅30mmの大きさの試験片を切り出し、また、内径38mm×高さ75mmの大きさのポリエチレン製容器内に5M-硫酸水溶液を入れ、上記の試験片をポリエチレン製容器内に入れて5M-硫酸水溶液中に浸漬し、このように準備されたポリエチレン製容器を高温水槽内にセットして60℃で24時間保持した。
その後、ポリエチレン製容器内から試験片を取り出して水洗し、乾燥させて膨潤試験後の試験片を調製し、この膨潤試験前の試験片の場合と同様に、接触抵抗、圧縮強度、及び曲げ強度を測定した。
以上の各実施例1〜33で得られた結果を下記の表3に示し、また、各実施例34〜52で得られた結果を下記の表4に示し、更に、各比較例1〜16で得られた結果を下記の表5に示す。
Figure 0006877916
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表3に示す結果から明らかなように、表1に示す調製例1〜33で得られた塩基性官能基修飾Aを有する炭素材料(C)を用いた実施例1〜33の導電性樹脂組成物においては、これを用いて得られた導電性樹脂成形体が膨潤試験前に優れた導電性(接触抵抗)及び機械的強度(圧縮強度及び曲げ強度)を有するだけでなく、膨潤試験後においても優れた導電性及び機械的強度を示し、長期耐久性に優れていることが理解される。
これに対して、表5に示す結果から明らかなように、表1に示す表面官能基pHが2.9〜8.7の調製例16〜24の炭素材料(C)、又は、平均粒子径が0.8μm又は120μmの調製例26〜28の炭素材料(C)を用いた比較例1〜14の導電性樹脂組成物においては、炭素材料(C)と樹脂(P)との間の界面における化学的親和性が低下し、これらの間に空隙が生じ易くなり、その結果、膨潤試験においてその空隙内に水が入り込んで膨潤試験後には接触抵抗、圧縮強度、及び曲げ強度が劣る結果になったものと推察される。
また、表4に示す結果から明らかなように、表2に示す調製例35〜43及び調製例45〜51で得られた塩基性官能基修飾Bを有する炭素材料(C)を用いた実施例34〜52の導電性樹脂組成物においては、これを用いて得られた導電性樹脂成形体が膨潤試験前に優れた導電性(接触抵抗)及び機械的強度(圧縮強度及び曲げ強度)を有するだけでなく、膨潤試験後においても優れた導電性及び機械的強度を示し、長期耐久性に優れていることが理解される。
これに対して、表5に示す結果から明らかなように、表2に示す表面官能基pHが8.7又は8.8の調製例34、44を用いた比較例15、16の導電性樹脂組成物においては、炭素材料(C)と樹脂(P)との間の界面における化学的親和性が低下し、これらの間に空隙が生じ易くなり、その結果、膨潤試験においてその空隙内に水が入り込んで膨潤試験後には接触抵抗、圧縮強度、及び曲げ強度が劣る結果になったものと推察される。
更に、表3及び表4に示す結果から明らかなように、本発明の導電性樹脂組成物及び導電性樹脂成形体は、導電性樹脂組成物中に配合される樹脂(P)が熱可塑性樹脂であるか熱硬化性樹脂であるかにかかわらず、また、熱可塑性樹脂が未変性ポリオレフィン樹脂であるか変性ポリオレフィン樹脂であるかにかかわらず、炭素材料(C)が本発明に規定された要件を満たせば、これら樹脂(P)の種類にかかわりなく、成形加工性に優れて、成形体膨潤の問題を可及的に抑制することができ、長期に亘って優れた導電性及び機械的強度を維持する長期耐久性に優れており、樹脂選択性に優れていることが判明した。

Claims (10)

  1. 炭素材料と樹脂(但し、高分子主鎖中にオレフィン系不飽和結合を有する熱可塑性樹脂を除く。)とを含む組成物であって、
    前記炭素材料(C)と樹脂(P)との体積組成比(C/P)が50/50〜95/5であり、また、
    前記炭素材料は、平均粒子径が1〜100μmであると共に、表面官能基pHが9.0〜12.0であって、酸素含有量が0.5〜5.0質量%であることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  2. 前記炭素材料は、全塩基度が10〜1000μmol/gであることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記炭素材料は、窒素含有量が0.2〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 前記炭素材料の平均粒子径が2〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
  5. 前記樹脂が、熱可塑性樹脂(但し、高分子主鎖中にオレフィン系不飽和結合を有する熱可塑性樹脂を除く。)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性樹脂組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、上記の熱可塑性樹脂を得るための各種のモノマーのうちの2種類以上を共重合あるいは共縮合させて得られる熱可塑性共重合樹脂、及び、上記の熱可塑性樹脂が用途に応じて変性された変性熱可塑性樹脂から選ばれた1種又は2種以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の導電性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された導電性樹脂組成物を成形して得られた導電性樹脂成形体であって、圧縮強度が3MPa以上であると共に、曲げ歪が0.6%以上であって割れが無いことを特徴とする導電性樹脂成形体。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載された導電性樹脂組成物を調製するために用いる平均粒子径1〜100μmの炭素材料の製造方法であり、
    原料の炭素材料に対して、炭酸ガス雰囲気下に800〜1400℃及び1〜10時間の条件で行う賦活処理、濃硝酸を用いた100〜沸騰状態及び2〜5時間の条件で行う酸処理、及び不活性ガス雰囲気下に800〜1100℃及び1〜5時間の条件で行う熱処理からなる塩基性官能基修飾Aを実施することを特徴とする導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法。
  9. 前記塩基性官能基修飾Aの賦活処理、酸処理、及び熱処理に加えて、塩基性官能基修飾Aで得られた炭素材料中の含酸素官能基を窒素官能基に置換する窒素置換処理からなる塩基性官能基修飾Bを実施することを特徴とする請求項8に記載の導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法。
  10. 前記窒素置換処理が、アンモニアガス雰囲気下に500〜1000℃及び0.5〜2時間の条件で行う熱処理であることを特徴とする請求項9に記載の導電性樹脂組成物用炭素材料の製造方法。
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