実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るモータ制御装置の第一例を示す図である。図2は図1のチョッパの第一例を示す図であり、図3は図1のチョッパの第二例を示す図である。図4は図1のインバータの構成を示す図であり、図5は図1の制御信号生成部の構成を示す図である。図6は、図1の制御装置の機能を実現するハードウェア構成例を示す図である。図7、図8、図9は、実施の形態1に係るモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。図10は実施の形態1に係る検出環境情報の第一例のタイミングを示す図であり、図11は実施の形態1に係る検出環境情報の第二例のタイミングを示す図である。図12は、実施の形態1に係る環境情報と閾値を示す図である。図13は図5の運転モード判定部の動作を説明する第一例のフローを示す図であり、図14は図5の運転モード判定部の動作を説明する第二例のフローを示す図である。図15は図5の運転モード判定部の動作を説明する第三例のフローを示す図であり、図16は図5の運転モード判定部の動作を説明する第四例のフローを示す図である。図17は実施の形態1に係るモータ制御装置の第二例を示す図であり、図18は実施の形態1に係る駆動装置の第二例の要部を示す図である。
実施の形態1のモータ制御装置100は、駆動装置91、制御装置11、操作盤23を備え、モータ6を制御する。モータ制御装置100は、例えば航空機等の飛行物体に搭載される。モータ6は、誘導機、PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor)等の交流モータである。駆動装置91は、直流電力を出力する電源装置90、直流電力を交流電力に変換してモータ6に出力する電力供給装置であるインバータ5を備えている。制御装置11は、電源装置90及びインバータ5を制御する。電源装置90は、直流電源としてのバッテリー1、バッテリー1の出力端子間に接続されるコンデンサ2、バッテリー1のバッテリー電圧Vbtを昇圧する非絶縁昇圧型のチョッパ3、チョッパ3の出力端子間に接続されるDCリンク用のコンデンサ4を備えている。チョッパ3は直流電源であるバッテリー1の出力を直流電力に変換する直流出力型電力変換装置であり、コンデンサ4はチョッパ3の出力電圧を平滑する出力コンデンサである。チョッパ3は、第一電圧であるバッテリー電圧Vbtを出力する第一運転モードMd1及び第一電圧よりも高い第二電圧である昇圧電圧Vaを出力する第二運転モードMd2を有している。電源装置90は、さらに、バッテリー1の正側とチョッパ3の高電位側入力端子41pとを接続する正側電源線48p、バッテリー1の負側とチョッパ3の低電位側入力端子41sとを接続する負側電源線48n、チョッパ3の高電位側出力端子42pとインバータ5の高電位側入力端子43pとを接続する高電位側電源線47p、チョッパ3の低電位側出力端子42sとインバータ5の低電位側入力端子43sとを接続する低電位側電源線47s、正側電源線48pと負側電源線48nとの間の電圧を検出するバッテリー電圧センサ12、高電位側電源線47pと低電位側電源線47sとの間の電圧でありコンデンサ4のDCリンク電圧Vlkを検出するDCリンク電圧センサ14を備えている。高電位側電源線47p、低電位側電源線47sは、インバータ5のDC母線である。
モータ6は例えば三相交流モータであり、インバータ5は例えば図4に示すような三相インバータ方式のインバータである。インバータ5は、モータ6の可変速駆動に利用できるインバータである。インバータ5は、DCリンク電圧Vlkをモータ6が要求するトルク、回転数を実現するような電圧、周波数を有する三相交流電力に変換し、この三相交流電力をモータ6に出力する。インバータ5のU側出力端子44u、V側出力端子44v、W側出力端子44wは、それぞれモータ6のU相、V相、W相の入力端子とU相電源線49u、V相電源線49v、W相電源線49wにより接続されている。
チョッパ3は、例えば図2に示した第一例のチョッパ、図3に示した第二例のチョッパ等を用いることができる。第一例のチョッパ3は、2個の半導体スイッチング素子Q1、Q2とリアクトル8で構成される方式のDCDCコンバータである。第二例のチョッパ3は、4個の半導体スイッチング素子Q3、Q4、Q5、Q6とリアクトル8及びフライングキャパシタ7で構成されるマルチレベル型チョッパ方式のDCDCコンバータである。以降、マルチレベルチョッパ方式のDCDCコンバータをマルチレベル型のチョッパと記載する。図3に示したマルチレベル型のチョッパ3は、マルチレベルの電圧を出力することができ、マルチレベルの電圧変換を行うことができる。半導体スイッチング素子Q1〜Q6は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の自己消弧型のパワー半導体素子である。半導体スイッチング素子Q1〜Q6は、MOSFETの例を示した。半導体スイッチング素子Q1〜Q6の各端子は、ドレイン端子d、ソース端子s、ゲート端子gである。半導体スイッチング素子Q1〜Q6は、MOSトランジスタM、ダイオードDを備えている。ダイオードDは、MOSトランジスタMと別の素子でもよく、寄生ダイオードでもよい。
図2、図3では、高電位側入力端子41pとリアクトル8との間に、リアクトル8に流れる電流を検出するリアクトル電流センサ13が接続されている例を示した。第一例のチョッパ3は、直列接続された半導体スイッチング素子Q1、Q2間の接続点mにリアクトル8が接続されている。半導体スイッチング素子Q1のドレイン端子dは高電位側出力端子42pに接続されており、半導体スイッチング素子Q2のソース端子sは低電位側入力端子41s及び低電位側出力端子42sに接続されている。半導体スイッチング素子Q1のソース端子sは半導体スイッチング素子Q2のドレイン端子dに接続されている。
第二例のチョッパ3は、半導体スイッチング素子Q3、Q4、Q5、Q6が直列接続されており、半導体スイッチング素子Q4、Q5間の接続点mにリアクトル8が接続されている。フライングキャパシタ7は、半導体スイッチング素子Q3、Q4間の接続点n1と半導体スイッチング素子Q5、Q6間の接続点n2との間に接続されている。半導体スイッチング素子Q3のドレイン端子dは高電位側出力端子42pに接続されており、半導体スイッチング素子Q6のソース端子sは低電位側入力端子41s及び低電位側出力端子42sに接続されている。半導体スイッチング素子Q3のソース端子sは半導体スイッチング素子Q4のドレイン端子dに接続されている。半導体スイッチング素子Q4のソース端子sは半導体スイッチング素子Q5のドレイン端子dに接続されている。半導体スイッチング素子Q5のソース端子sは半導体スイッチング素子Q6のドレイン端子dに接続されている。マルチレベル型のチョッパ3は、高電位側出力端子42pと低電位側出力端子42s及び低電位側入力端子41sとの間に、複数の半導体スイッチング素子Q3、Q4が直列接続された高電位側直列体と複数の半導体スイッチング素子Q5、Q6が直列接続された低電位側直列体とを備え、高電位側直列体と低電位側直列体との接続点mと高電位側入力端子41pとの間に、リアクトル8を備える。
インバータ5は、例えば6個の半導体スイッチング素子Q7、Q8、Q9、Q10、Q11、Q12を備えている。半導体スイッチング素子Q7〜Q12は、IGBT、MOSFET等の自己消弧型のパワー半導体素子である。半導体スイッチング素子Q7〜Q12は、IGBTの例を示した。半導体スイッチング素子Q7〜Q12の各端子は、コレクタ端子c、エミッタ端子e、ゲート端子gである。半導体スイッチング素子Q7〜Q12は、IGBTであるトランジスタBt、ダイオードDを備えている。半導体スイッチング素子Q7、Q9、Q11のコレクタ端子cは高電位側入力端子43pに接続されており、半導体スイッチング素子Q8、Q10、Q12のエミッタ端子eは低電位側入力端子43sに接続されている。半導体スイッチング素子Q7、Q8は直列接続されており、半導体スイッチング素子Q7のエミッタ端子eと半導体スイッチング素子Q8のコレクタ端子cが接続されている。半導体スイッチング素子Q9、Q10は直列接続されており、半導体スイッチング素子Q9のエミッタ端子eと半導体スイッチング素子Q10のコレクタ端子cが接続されている。半導体スイッチング素子Q11、Q12は直列接続されており、半導体スイッチング素子Q11のエミッタ端子eと半導体スイッチング素子Q12のコレクタ端子cが接続されている。半導体スイッチング素子Q7、Q8間の接続点m1はU側出力端子44uに接続されている。半導体スイッチング素子Q9、Q10間の接続点m2はV側出力端子44vに接続されており、半導体スイッチング素子Q11、Q12間の接続点m3はW側出力端子44wに接続されている。
モータ制御装置100は、電源装置90に接続されたバッテリー電圧センサ12、リアクトル電流センサ13、DCリンク電圧センサ14の他に、U相電流センサ15u、V相電流センサ15v、W相電流センサ15w、位置センサ18等のモータパラメータセンサ38、高度センサ21等の環境情報検出センサ35を備えている。バッテリー電圧センサ12は、バッテリー電圧Vbtの情報である検出情報sig1を出力する。リアクトル電流センサ13は、リアクトル8に流れる電流の情報である検出情報sig2を出力する。DCリンク電圧センサ14は、DCリンク電圧Vlkの情報である検出情報sig3を出力する。U相電流センサ15uはU相電源線49uに流れる電流の情報である検出情報sig4aを出力する。V相電流センサ15vはV相電源線49vに流れる電流の情報である検出情報sig4bを出力し、W相電流センサ15wはW相電源線49wに流れる電流の情報である検出情報sig4cを出力する。検出情報sig4a、sig4b、sig4cは、モータ電流検出情報sigimである。
モータパラメータセンサ38は、モータ6の状態情報であるモータパラメータ検出情報sigmpを出力する。環境情報検出センサ35は、環境要因の情報を検出するセンサであり、モータ制御装置100が搭載される航空機等の環境情報である環境検出情報sigevを出力する。位置センサ18はモータ6の磁極位置の情報である検出情報sig7を出力する。モータパラメータセンサ38が位置センサ18である場合は、モータパラメータ検出情報sigmpは検出情報sig7である。高度センサ21は、モータ制御装置100が搭載される航空機等の高度の情報である検出情報sig10を出力する。環境情報検出センサ35が高度センサ21である場合は、環境検出情報sigevは検出情報sig10である。なお、モータ制御方式によっては、U相電流センサ15u、V相電流センサ15v、W相電流センサ15w、位置センサ18等のモータパラメータセンサ38を備えていなくてもよい。
操作盤23は、航空機等の操縦者が操作を行う機器を備えており、制御装置11と操作盤23とは信号線39で接続されている。制御装置11には、検出情報sig1、sig2、sig3、モータ電流検出情報sigim、モータパラメータ検出情報sigmp、環境検出情報sigevが入力される。制御装置11は、検出情報sig1、sig2、sig3、モータ電流検出情報sigim、モータパラメータ検出情報sigmp、環境検出情報sigev、操作盤23からの入力信号に基づいて、チョッパ3を制御する制御信号sigc1及びインバータ5を制御する制御信号sigc2を出力する。制御装置11は、制御信号生成部68aを備えている。制御信号生成部68aは、運転モード判定部60、第一信号生成部69a、第二信号生成部69bを備えている。
運転モード判定部60は、入力情報sighinに基づいて、後述するチョッパ3の2つの運転モードを判定し、運転モード信号msigを出力する。例えば、第一運転モードはDCリンク電圧Vlkを昇圧せずにバッテリー電圧Vbtにする運転モードであり、第二運転モードはDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtから昇圧させた昇圧電圧Vaにする運転モードである。すなわち、第一運転モードはバイパスモードであり、第二運転モードは昇圧モードである。例えば、運転モード信号msigが低レベルの場合は第一運転モードを示し、運転モード信号msigが高レベルの場合は第二運転モードを示す。高レベルは制御装置11の電圧であり、低レベルは制御装置11のグランドの電圧である。第一信号生成部69aは低レベルの運転モード信号msigを受けると、チョッパ3を第一運転モードで制御する第一モード制御信号sigcm1を制御信号sigc1として出力する。第一信号生成部69aは高レベルの運転モード信号msigを受けると、チョッパ3を第二運転モードで制御する第二モード制御信号sigcm2を制御信号sigc1として出力する。第二信号生成部69bは、検出情報sig1、sig2、sig3、モータ電流検出情報sigimに基づいて、インバータ5を制御する制御信号sigc2を出力する。
実施の形態1のモータ制御装置100では、入力情報sighinは環境検出情報sigevである。制御装置11の機能は、例えば図6に示すCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサ108、メモリ109により機能が実現される。運転モード判定部60、第一信号生成部69a、第二信号生成部69b等の機能ブロックは、プロセッサ108がメモリ109に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサ108および複数のメモリ109が連携して各機能を実行してもよい。
チョッパ3及び制御装置11の動作を説明する。第一運転モードにおいて、チョッパ3は各半導体スイッチング素子のスイッチング動作を停止し、バッテリー1からの電力を電圧変換せずにコンデンサ4へ直接送電する。具体的には、第一例のチョッパ3では、半導体スイッチング素子Q2をオフ状態し、半導体スイッチング素子Q1をオン状態にする。第二例のチョッパ3では、半導体スイッチング素子Q5、Q6をオフ状態し、半導体スイッチング素子Q3、Q4をオン状態にする。なお、第一運転モードにおいて、同期整流を利用せず半導体スイッチング素子をすべてオフし、半導体スイッチング素子Q1のダイオードD又は半導体スイッチング素子Q3、Q4のダイオードDを利用して電流を流してもよい。第二運転モードにおいて、チョッパ3はコンデンサ4の両端電圧であるDCリンク電圧Vlkがバッテリー1のバッテリー電圧Vbtの値の概ね2倍となる予め定められた昇圧電圧Vaになるように各半導体素子のスイッチング動作を行い電力変換する。これらの電力変換制御は制御装置11の制御信号sigc1によって実行される。なお、概ね2倍は例えば1.7倍以上2.3倍以下であり、好ましくは1.9倍以上2.1倍以下である。すなわち昇圧電圧Vaは、例えばバッテリー電圧Vbtの1.7倍以上2.3倍以下の電圧であり、好ましくは1.9倍以上2.1倍以下の電圧である。
実施の形態1のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が高度センサ21を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。モータ制御装置100が搭載された航空機が、図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化する場合を考える。図7において、横軸は時間であり、縦軸は飛行高度である。時刻t0で上昇を開始し、時刻t1〜時刻t2で一定の高度で巡航している。時刻t2で下降を開始し、時刻t3で地上に着陸する。時刻t0〜時刻t1は第一飛行状態Sd1であり、時刻t1〜時刻t2は第二飛行状態Sd2であり、時刻t2〜時刻t3は第三飛行状態Sd3である。モータ制御装置100が搭載された航空機が図7のように飛行すると、高度センサ21が出力する検出情報sig10から演算された検出高度情報の特性は図8の検出高度情報特性56aのようになり、チョッパ3のDCリンク電圧Vlkは図9のDCリンク電圧特性59のように変化する。図8において、横軸は時間であり、縦軸は検出高度情報である。図9において、横軸は時間であり、縦軸はDCリンク電圧Vlkである。
制御装置11は、時刻t0でチョッパ3を第二運転モードMd2すなわち昇圧モードで運転している。つまり、時刻t0でチョッパ3は第二運転モードMd2すなわち昇圧モードで動作している。制御装置11は、高度センサ21から入力された検出高度情報が第一飛行状態Sd1において閾値X1を超えた値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパスモードでの運転すなわちバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で検出高度情報が閾値X1を超えて、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に高度センサ21から入力された検出高度情報が第三飛行状態Sd3において閾値Y1より低い値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧モードでの運転すなわち昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で検出高度情報が閾値Y1よりも低くなると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。適宜、バイパスモードでの運転をバイパス運転と記載し、昇圧モードでの運転を昇圧運転と記載する。適宜、バイパスでの動作をバイパス動作と記載し、昇圧モードでの動作を昇圧動作と記載する。適宜、第一運転モードMd1、第二運転モードMd2を、それぞれ単に第一運転モード、第二運転モードとも記載する。
検出高度情報の単位はメートル、フィートなど長さを表わすものであればよく、PU(Per Unit)単位法の様に相対値で比較できるものでもよい。実施の形態1において閾値X1は閾値Y1より大きい値である。第一飛行状態Sd1における検出高度情報特性56aの検出高度情報が閾値X1になる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出高度情報特性56aの検出高度情報が閾値Y1になる点はモード変更点P2である。
環境情報検出センサ35が高度センサ21である例を説明したが、環境情報検出センサ35は高度センサ21に限定されない。環境情報検出センサ35が高度センサ21である場合は、環境情報検出センサ35が出力する環境検出情報sigevから演算された検出環境情報の特性は図10の検出環境情報特性56bのようになる。後述する実施の形態2で説明するように、環境情報検出センサ35が外気圧センサ20の場合は、外気圧センサ20が出力する検出情報sig9から演算された検出外気圧情報の特性は図20の検出外気圧情報特性56dのようになる。すなわち、環境情報検出センサ35が外気圧センサ20の場合は、環境情報検出センサ35が出力する環境検出情報sigevから演算された検出環境情報の特性は図11の検出環境情報特性56cのようになる。図10、図11において、横軸は時間であり、縦軸は検出環境情報である。図10に示した検出環境情報特性56bは、図7の飛行高度特性58と同様に変化しており、言わば上に凸の形状になっている。図11に示した検出環境情報特性56cは、図7の飛行高度特性58と逆方向に変化しており、言わば下に凸の形状になっている。
環境検出情報sigevは、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報であり、飛行情報である。制御装置11は、航空機等の飛行物体が地上から離れる場合にチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御し、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報である飛行情報すなわち環境検出情報sigevが予め定められた条件を満たすと判定した場合に、チョッパ3を第一運転モードMd1にて制御する。
次に制御装置11の運転モード判定部60の動作を図13〜図16のフローを用いて説明する。図13に示した第一例のフローは、図10に示した第一例の検出環境情報特性56bに対応するフローである。図10に示した第一例の検出環境情報特性56bは、図8の検出高度情報特性56aと同様の形状になっており、モード変更点P1の閾値がXであり、モード変更点P2の閾値がYである。制御装置11は、時刻t0でチョッパ3を第二運転モードMd2すなわち昇圧モードで運転している。つまり、時刻t0でチョッパ3は第二運転モードMd2すなわち昇圧モードで動作している。制御装置11は、環境情報検出センサ35から入力された検出環境情報が第一飛行状態Sd1において第一環境閾値である閾値Xを超えた値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で検出高度情報が閾値Xを超えて、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に環境情報検出センサ35から入力された検出環境情報が第三飛行状態Sd3において第二環境閾値である閾値Yより低い値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で検出環境情報が閾値Yよりも低くなると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。
ステップST1において、チョッパ3が昇圧モード(第二運転モード)であるかを判定する。具体的には、ステップST1において、運転モード信号msigが昇圧モードであるか、例えば運転モード信号msigが高レベルであるかを判定する。ステップST1において、チョッパ3が昇圧モードであると判定した場合はステップST2に進み、チョッパ3が昇圧モードでないと判定した場合はステップST4に進む。ステップST2において、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST3に進み、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST3において、運転モード信号msigをバイパスモードに変更して終了する。ステップST4において、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST5に進み、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST5において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。
図14に示した第二例のフローは、図11に示した第二例の検出環境情報特性56cに対応するフローである。図11に示した第二例の検出環境情報特性56cは、図8の検出高度情報特性56a及び図10の検出環境情報特性56bと上下が反転した形状になっており、モード変更点P1の閾値がXであり、モード変更点P2の閾値がYである。図11に示した第二例の検出環境情報特性56cは、例えば検出外気圧情報特性56dのように飛行高度が高くなるに従って検出値が低下している。制御装置11は、時刻t0でチョッパ3を第二運転モードMd2すなわち昇圧モードで運転している。つまり、時刻t0でチョッパ3は第二運転モードMd2すなわち昇圧モードで動作している。制御装置11は、環境情報検出センサ35から入力された検出環境情報が第一飛行状態Sd1において閾値Xよりも低下した値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で検出環境情報が閾値Xよりも低下して、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に環境情報検出センサ35から入力された検出環境情報が第三飛行状態Sd3において閾値Yを超えた値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で検出環境情報が閾値Yを超えると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。
図14に示した第二例のフローは、図13に示した第一例のフローとは、ステップST2、ST4がそれぞれステップST6、ST7に変更された点で異なる。ステップST1において、チョッパ3が昇圧モード(第二運転モード)であるかを判定する。具体的には、ステップST1において、運転モード信号msigが昇圧モードであるか、例えば運転モード信号msigが高レベルであるかを判定する。ステップST1において、チョッパ3が昇圧モードであると判定した場合はステップST6に進み、チョッパ3が昇圧モードでないと判定した場合はステップST7に進む。ステップST6において、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST3に進み、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST3において、運転モード信号msigをバイパスモードに変更して終了する。ステップST7において、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST5に進み、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST5において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。
図13、図14では、フロー開始から最初のステップであるステップST1において昇圧モードであるかを判定して例を示したが、図15、図16のように最初のステップであるステップST8においてバイパスモードであるかを判定してもよい。図15に示した第三例のフローは、図10に示した第一例の検出環境情報特性56bに対応するフローである。図16に示した第四例のフローは、図11に示した第二例の検出環境情報特性56cに対応するフローである。図15に示した第三例のフローは、ステップST8において、チョッパ3がバイパスモード(第一運転モード)であるかを判定する。具体的には、ステップST8において、運転モード信号msigがバイパスモードであるか、例えば運転モード信号msigが低レベルであるかを判定する。ステップST8において、チョッパ3がバイパスモードであると判定した場合はステップST4に進み、チョッパ3がバイパスモードでないと判定した場合はステップST2に進む。ステップST2〜ステップST5までの動作は、図13に示した第一例のフローと同じなので、説明は繰り返さない。
図16に示した第四例のフローは、ステップST8において、上述したようにチョッパ3がバイパスモード(第一運転モード)であるかを判定する。ステップST8において、チョッパ3がバイパスモードであると判定した場合はステップST7に進み、チョッパ3がバイパスモードでないと判定した場合はステップST6に進む。ステップST6、ST3、ST7、ST5の動作は、図14に示した第二例のフローと同じなので、説明は繰り返さない。
図12には、制御装置11の運転モード判定部60の入力となる環境検出情報sigevの具体例と判定に用いる閾値を示している。図1に示した高度センサ21が環境情報検出センサ35の具体例の場合は、図12に記載した高度情報の行の情報を用いる。閾値X、Yはそれぞれ閾値X1、Y1になる。後述する外気圧センサ20(図19参照)が環境情報検出センサ35の具体例の場合は、図12に記載した外気圧情報の行の情報を用い、閾値X、Yはそれぞれ閾値X2、Y2になる。後述する空気成分濃度センサ22(図21参照)が環境情報検出センサ35の具体例の場合は、図12に記載した空気成分濃度情報の行の情報を用い、閾値X、Yはそれぞれ閾値X3、Y3になる。
空気成分濃度センサ22の具体例が酸素濃度センサ55aの場合は、図12に記載した酸素濃度情報の行の情報を用い、閾値X、Yはそれぞれ閾値X3a、Y3aになる。空気成分濃度センサ22の具体例が窒素濃度センサ55bの場合は、図12に記載した窒素濃度情報の行の情報を用い、閾値X、Yはそれぞれ閾値X3b、Y3bになる。空気成分濃度センサ22の具体例が二酸化炭素濃度センサ55cの場合は、図12に記載した二酸化炭素濃度情報の行の情報を用い、閾値X、Yはそれぞれ閾値X3c、Y3cになる。後述する外気温センサ19(図26参照)が環境情報検出センサ35の具体例の場合は、図12に記載した外気温情報の行の情報を用い、閾値X、Yはそれぞれ閾値X4、Y4になる。後述する放射線センサ24(図28参照)が環境情報検出センサ35の具体例の場合は、図12に記載した放射線量情報の行の情報を用い、閾値X、Yはそれぞれ閾値X5、Y5になる。
第一環境閾値である閾値X、第二環境閾値である閾値Yは、環境要因の情報すなわち飛行情報の種類によって、検出環境情報特性56b、検出環境情報特性56cが異なり、すなわち上に凸の形状か下に凸の形状が異なる。したがって、第一環境閾値である閾値Xと第二環境閾値である閾値Yとを用いて制御装置11の動作は、次のように表現することもできる。制御装置11は、チョッパ3が第二運転モードMd2で制御されている状態で、環境要因の情報に基づく情報値が第一環境閾値である閾値Xを通過したと判定した場合にチョッパ3を第一運転モードMd1にて制御する。また制御装置11は、チョッパ3が第一運転モードMd1で制御されている状態で、環境要因の情報に基づく情報値が第二環境閾値である閾値Yを通過したと判定した場合にチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御する。第一環境閾値及び第二環境閾値は環境要因の情報毎に区別する場合は、次のように記載する。環境要因の情報すなわち飛行情報が飛行物体の高度情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一高度閾値及び第二高度閾値と記載する。環境要因の情報すなわち飛行情報が飛行物体の外部における外気圧情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一外気圧閾値及び第二外気圧閾値と記載する。
環境要因の情報すなわち飛行情報が飛行物体の外部における空気成分濃度情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一空気成分濃度閾値及び第二空気成分濃度閾値と記載する。環境要因の情報が酸素濃度情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一酸素濃度閾値及び第二酸素濃度閾値と記載する。環境要因の情報が窒素濃度情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一窒素濃度閾値及び第二窒素濃度閾値と記載する。環境要因の情報が二酸化炭素濃度情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一二酸化炭素濃度閾値及び第二二酸化炭素濃度閾値と記載する。環境要因の情報すなわち飛行情報が飛行物体の外部における外気温情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一外気温閾値及び第二外気温閾値と記載する。環境要因の情報すなわち飛行情報が飛行物体に降り注がれた放射線の放射線量情報の場合、第一環境閾値及び第二環境閾値はそれぞれ第一放射線量閾値及び第二放射線量閾値と記載する。
航空機等の運航において宇宙から降り注ぐ宇宙線量が多い高高度での運転すなわち第二飛行状態Sd2における運転は、一般的に離陸からの上昇期間すなわち第一飛行状態Sd1の期間及び着陸の際の下降期間すなわち第三飛行状態Sd3の期間に比べ長時間である。実施の形態1のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態1のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
図1では、制御装置11に環境検出情報sigevが入力される例を示したが、図17のように環境検出情報sigevが操作盤23に入力されてもよい。図17の場合には、環境検出情報sigevが信号線39を介して制御装置11の運転モード判定部60に入力情報sighinとして入力される。
図1では、インバータ5とモータ6との間にフィルタが設けられていない例を示した。しかし、図18のようにインバータ5とモータ6との間に、ノーマルモードノイズを減衰するノーマルモードフィルタ9、コモンモードノイズを減衰するコモンモードフィルタ10が設けられてもよい。
実施の形態1のモータ制御装置100は、宇宙線量の多い高高度での航空機等の運航の際にDCリンク電圧Vlkを下げることで、高高度期間でのチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子の偶発故障による故障率を下げることができる。またこの高高度期間は運航サイクルにて大部分を占める期間であるので、チョッパ3、インバータ5の製品サイクルとしての故障率は飛躍的に改善する。これは必要以上に耐圧の大きい半導体素子を使用せずとも、低耐圧の素子を利用できることを意味しており、チョッパ3、インバータ5、モータ6の絶縁部を簡素化できる。これによりモータ制御装置100を、小型化かつ軽量化できる。
チョッパ、インバータを構成する半導体素子への宇宙線によるLTDSは前述したように、中性子線の影響が大きい。中性子線を遮蔽できる物質としては水、コンクリート等が挙げられる。しかし、これらを利用した場合、チョッパ、インバータを備えたモータ制御装置は大型化、高重量化する。航空機等に搭載する電源を含むモータ制御装置のような高高度運用される電気機器は宇宙線の影響を受けやすいため、宇宙線の影響からモータ制御装置を守る対策が重要である。しかし、遮蔽のための部品重量が重くなると航空機等のエネルギー効率が低下し燃費が悪くなる。また、航空機等が運航する高高度環境のように気圧が低い状態では放電現象が発生しやすいため、高電圧を扱うインバータ、負荷であるモータでは絶縁対策のため電気機器が高重量化する。これに対して、実施の形態1のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5において低耐圧の素子を利用でき、宇宙線量の多い高高度での航空機等の運航の際にDCリンク電圧Vlkを下げることで、チョッパ3、インバータ5、モータ6の絶縁部を簡素化できる。これによりモータ制御装置100を、小型化かつ軽量化できる。
以上のように、実施の形態1のモータ制御装置100は、地上から離れて飛行する飛行物体のモータ6を制御する。モータ制御装置100は、直流電力を出力する電源装置90と、直流電力を交流電力に変換してモータ6に出力する電力供給装置(インバータ5)と、電源装置90及び電力供給装置(インバータ5)を制御する制御装置11と、を備える。電源装置90は、電源(バッテリー1)と、電源(バッテリー1)の出力を直流電力に変換する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)と、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)の出力電圧(DCリンク電圧Vlk)を平滑する出力コンデンサ(コンデンサ4)と、を備える。直流出力型電力変換装置(チョッパ3)は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する。制御装置11は、飛行物体が地上から離れる場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報(環境検出情報sigev)である飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。実施の形態1のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態1のモータ制御装置100は、環境要因の情報(環境検出情報sigev)を検出する環境情報検出センサ35を備えている。「飛行情報が予め定められた条件を満たす」ことは、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(環境検出情報sigevの検出値)が第一環境閾値(閾値X)を通過したことである。実施の形態1の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(環境検出情報sigevの検出値)が第一環境閾値(閾値X)を通過したと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態1の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(環境検出情報sigevの検出値)が第二環境閾値(閾値Y)を通過したと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。
環境情報検出センサ35が飛行物体の高度情報(検出情報sig10)を検出する高度センサ21の場合、実施の形態1の制御装置11は次のように制御する。実施の形態1の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、高度情報(検出情報sig10)に基づく検出値が第一高度閾値(閾値X1)よりも大きい(変更条件B1)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態1の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、高度情報(検出情報sig10)に基づく検出値が第一高度閾値(閾値X1)よりも小さい第二高度閾値(閾値Y1)よりも小さいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードにて制御する。実施の形態1のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B1を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態2.
図19は実施の形態2に係る環境情報検出センサを示す図であり、図20は実施の形態2に係るモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。実施の形態2のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が外気圧センサ20である点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。外気圧センサ20は、モータ制御装置100が搭載される航空機等の外部における気圧の情報すなわち外気圧情報である検出情報sig9を出力する。環境情報検出センサ35が外気圧センサ20である場合は、環境検出情報sigevは検出情報sig9である。
実施の形態2のモータ制御装置100は、外気圧センサ20から入力された外気圧情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。モータ制御装置100が搭載された航空機が、図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化する場合を考える。飛行高度が高くなると気圧は低くなり、飛行高度が低くなると気圧は高くなることから、外気圧情報から飛行高度を推定できる。多くの航空機の高度計には外気圧情報を用いた高度メーターが操縦室に搭載されている。図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化すると、図20のように検出外気圧情報特性56dが変化し、チョッパ3のDCリンク電圧Vlkは図9のDCリンク電圧特性59のように変化する。図20において、横軸は時間であり、縦軸は検出外気圧情報である。
制御装置11は、外気圧センサ20から入力された検出外気圧情報が第一飛行状態Sd1において閾値X2よりも低下した値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で検出外気圧情報が閾値X2よりも低下すると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に外気圧センサ20から入力された検出外気圧情報が第三飛行状態Sd3において閾値Y2を超えた値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で検出外気圧情報が閾値Y2を超えると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。
検出外気圧情報の単位はパスカル、水銀柱ミリメートルなど圧力を表わすものでもよく、またPU単位法の様に相対値で比較できるものでもよい。実施の形態2において閾値X2は閾値Y2より低い値である。第一飛行状態Sd1における検出外気圧情報特性56dの検出外気圧情報が閾値X2になる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出外気圧情報特性56dの検出外気圧情報が閾値Y2になる点はモード変更点P2である。
検出外気圧情報特性56dが下に凸の形状になっているので、制御装置11の運転モード判定部60の動作は、図14に示した第二例のフロー又は図16に示した第四例のフローのように動作する。第二例のフロー、第四例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X2、Y2と読み替える。
実施の形態2のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が外気圧センサ20であること以外は実施の形態1のモータ制御装置100と同様なので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態2のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態2のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
以上のように、実施の形態2のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11、飛行物体の外部における外気圧情報(検出情報sig9)を検出する外気圧センサ20を備える。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態2の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、外気圧情報(検出情報sig9)に基づく検出値が第一外気圧閾値(閾値X2)よりも小さい(変更条件B2)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態2の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、外気圧情報(検出情報sig9)に基づく検出値が第一外気圧閾値(閾値X2)よりも大きい第二外気圧閾値(閾値Y2)よりも大きいと判定した場合に直流出力型電力変換装置を第二運転モードにて制御する。実施の形態2のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B2を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態3.
図21は実施の形態3に係る環境情報検出センサを示す図であり、図22は実施の形態3に係るモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。図23、図24、図25は、それぞれ実施の形態3に係る検出空気成分濃度情報の第一例、第二例、第三例のタイミングを示す図である。実施の形態3のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が空気成分濃度センサ22である点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。空気成分濃度センサ22は、モータ制御装置100が搭載される航空機等の外部における空気成分濃度の情報すなわち空気成分濃度情報である検出情報sig11を出力する。環境情報検出センサ35が空気成分濃度センサ22である場合は、環境検出情報sigevは検出情報sig11である。空気成分濃度は、例えば酸素濃度、窒素濃度、二酸化炭素濃度等である。航空機が概ね飛行する対流圏では空気中のガス成分比は高度及び気圧による影響がないため、酸素に限らず空気を構成する窒素、二酸化炭素等の空気に含まれる物質の濃度を用いて、チョッパ3の運転モードを変更してもよい。
空気成分濃度センサ22の具体例が酸素濃度センサ55aの場合は、検出情報sig11は検出情報sig13aであり、環境検出情報sigevは検出情報sig13aである。空気成分濃度センサ22の具体例が窒素濃度センサ55bの場合は、検出情報sig11は検出情報sig13bであり、環境検出情報sigevは検出情報sig13bである。空気成分濃度センサ22の具体例が二酸化炭素濃度センサ55cの場合は、検出情報sig11は検出情報sig13cであり、環境検出情報sigevは検出情報sig13cである。
実施の形態3のモータ制御装置100は、空気成分濃度センサ22から入力された外気圧情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。モータ制御装置100が搭載された航空機が、図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化する場合を考える。飛行高度が高くなると気圧は低くなり、酸素、窒素、二酸化炭素等の空気成分濃度が低くなる。飛行高度が低くなると気圧は高くなり、酸素、窒素、二酸化炭素等の空気成分濃度が高くなる。このため、空気成分濃度情報は飛行高度に応じて変化するので、空気成分濃度情報から飛行高度を推定できる。図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化すると、図22のように検出空気成分濃度情報特性56eが変化し、チョッパ3のDCリンク電圧Vlkは図9のDCリンク電圧特性59のように変化する。図22において、横軸は時間であり、縦軸は検出空気成分濃度情報である。
空気成分濃度センサ22の具体例が酸素濃度センサ55aの場合は、検出空気成分濃度情報特性56eは検出酸素濃度情報特性56fである。空気成分濃度センサ22の具体例が窒素濃度センサ55bの場合は、検出空気成分濃度情報特性56eは検出窒素濃度情報特性56gである。空気成分濃度センサ22の具体例が二酸化炭素濃度センサ55cの場合は、検出空気成分濃度情報特性56eは検出二酸化炭素濃度情報特性56hである。図23、図24、図25において、横軸は時間である。図23、図24、図25において、縦軸はそれぞれ検出酸素濃度情報、検出窒素濃度情報、検出二酸化炭素濃度情報である。
制御装置11は、空気成分濃度センサ22から入力された検出空気成分濃度情報が第一飛行状態Sd1において閾値X3よりも低下した値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で検出空気成分濃度情報が閾値X3よりも低下すると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に空気成分濃度センサ22から入力された検出空気成分濃度情報が第三飛行状態Sd3において閾値Y3を超えた値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で検出空気成分濃度情報が閾値Y3を超えると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。
検出空気成分濃度情報の単位はパーセント、モルパーリットルなど気体濃度を表わすものでもよく、またPU単位法の様に相対値で比較できるものでもよい。実施の形態3において閾値X3は閾値Y3より低い値である。検出空気成分濃度情報の具体例である検出酸素濃度情報において、閾値X3aは閾値Y3aより低い値である。検出窒素濃度情報において閾値X3bは閾値Y3bより低い値であり、検出二酸化炭素濃度情報において閾値X3cは閾値Y3cより低い値である。第一飛行状態Sd1における検出空気成分濃度情報特性56eの検出空気成分濃度情報が閾値X3になる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出空気成分濃度情報特性56eの検出空気成分濃度情報が閾値Y3になる点はモード変更点P2である。検出空気成分濃度情報の具体例である検出酸素濃度情報、検出窒素濃度情報、検出二酸化炭素濃度情報においても同様である。第一飛行状態Sd1における検出酸素濃度情報特性56fの検出酸素濃度情報が閾値X3aになる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出酸素濃度情報特性56fの検出酸素濃度情報が閾値Y3aになる点はモード変更点P2である。第一飛行状態Sd1における検出窒素濃度情報特性56gの検出窒素濃度情報が閾値X3bになる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出窒素濃度情報特性56gの検出窒素濃度情報が閾値Y3bになる点はモード変更点P2である。第一飛行状態Sd1における検出二酸化炭素濃度情報特性56hの検出二酸化炭素濃度情報が閾値X3cになる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出二酸化炭素濃度情報特性56hの検出二酸化炭素濃度情報が閾値Y3cになる点はモード変更点P2である。
検出空気成分濃度情報特性56eが下に凸の形状になっているので、制御装置11の運転モード判定部60の動作は、図14に示した第二例のフロー又は図16に示した第四例のフローのように動作する。第二例のフロー、第四例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X3、Y3と読み替える。検出空気成分濃度情報の具体例である検出酸素濃度情報において、第二例のフロー、第四例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X3a、Y3aと読み替える。検出空気成分濃度情報の具体例である検出窒素濃度情報において、第二例のフロー、第四例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X3b、Y3bと読み替える。検出空気成分濃度情報の具体例である検出二酸化炭素濃度情報において、第二例のフロー、第四例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X3c、Y3cと読み替える。
実施の形態3のモータ制御装置100は、酸素濃度センサ55a、窒素濃度センサ55b、二酸化炭素濃度センサ55c等の空気成分濃度センサ22が環境情報検出センサ35であること以外は実施の形態1のモータ制御装置100と同様なので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態3のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態3のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
なお、実施の形態3において空気成分濃度を検出してチョッパ3の運転モードを変更する例を説明したが、空気成分濃度は空気成分密度でもよい。この場合、「濃度」を「密度」に読み替える。すなわち、検出空気成分濃度情報は検出空気成分密度情報と読み替える。符号22の空気成分濃度センサは、空気成分密度センサと読み替える。符号55aの酸素濃度センサは酸素密度センサと読み替え、符号55bの窒素濃度センサは窒素密度センサと読み替え、符号55cの二酸化炭素濃度センサは二酸化炭素密度センサと読み替える。検出空気成分密度情報の単位は、パーセント、グラムパー立方メートルなど気体密度を表わすものでもよく、またPU単位法の様に相対値で比較できるものでもよい。検出空気成分密度情報の具体例は、検出酸素密度情報、検出窒素密度情報、検出二酸化炭素密度情報である。実施の形態3のモータ制御装置100は、検出酸素濃度情報、検出窒素濃度情報、検出二酸化炭素濃度情報等の検出空気成分濃度情報を、検出酸素密度情報、検出窒素密度情報、検出二酸化炭素密度情報等の検出空気成分密度情報に変えても、同様の効果を奏する。
以上のように、実施の形態3のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11、飛行物体の外部における空気成分濃度情報(検出情報sig11)を検出する空気成分濃度センサ22を備える。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態3の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、空気成分濃度情報(検出情報sig11)に基づく検出値が第一空気成分濃度閾値(閾値X3)よりも小さい(変更条件B3)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態3の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、空気成分濃度情報(検出情報sig11)に基づく検出値が第一空気成分濃度閾値(閾値X3)よりも大きい第二空気成分濃度閾値(閾値Y3)よりも大きいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態3のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B3を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態4.
図26は実施の形態4に係る環境情報検出センサを示す図であり、図27は実施の形態4に係るモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。実施の形態4のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が外気温センサ19である点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。外気温センサ19は、モータ制御装置100が搭載される航空機等の外部における気温の情報すなわち外気温情報である検出情報sig8を出力する。環境情報検出センサ35が外気温センサ19である場合は、環境検出情報sigevは検出情報sig8である。
実施の形態4のモータ制御装置100は、外気温センサ19から入力された外気温情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。モータ制御装置100が搭載された航空機が、図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化する場合を考える。航空機が概ね飛行する対流圏では、飛行高度が高くなると外気温が低くなり、飛行高度が低くなると外気温が高くなることから、地上温度と外気温情報から飛行高度を推定できる。図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化すると、図27のように検出外気温情報特性56iが変化し、チョッパ3のDCリンク電圧Vlkは図9のDCリンク電圧特性59のように変化する。図27において、横軸は時間であり、縦軸は検出外気温情報である。
制御装置11は、外気温センサ19から入力された検出外気温情報が第一飛行状態Sd1において閾値X4よりも低下した値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で検出外気温情報が閾値X4よりも低下すると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に外気温センサ19から入力された検出外気温情報が第三飛行状態Sd3において閾値Y4を超えた値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で検出外気温情報が閾値Y4を超えると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。
検出外気温情報の単位は摂氏、華氏を問わず温度を表わすものでよく、またPU単位法の様に相対値で比較できるものでもよい。実施の形態4において閾値X4は閾値Y4より低い値である。第一飛行状態Sd1における検出外気温情報特性56iの検出外気温情報が閾値X4になる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出外気温情報特性56iの検出外気温情報が閾値Y4になる点はモード変更点P2である。
検出外気温情報特性56iが下に凸の形状になっているので、制御装置11の運転モード判定部60の動作は、図14に示した第二例のフロー又は図16に示した第四例のフローのように動作する。第二例のフロー、第四例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X4、Y4と読み替える。
実施の形態4のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が外気温センサ19であること以外は実施の形態1のモータ制御装置100と同様なので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態4のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態4のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
以上のように、実施の形態4のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11、飛行物体の外部における外気温情報(検出情報sig8)を検出する外気温センサ19を備える。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態4の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、外気温情報(検出情報sig8)に基づく検出値が第一外気温閾値(閾値X4)よりも小さい(変更条件B4)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態4の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、外気温情報(検出情報sig8)に基づく検出値が第一外気温閾値(閾値X4)よりも大きい第二外気温閾値(閾値Y4)よりも大きいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態4のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B4を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態5.
図28は実施の形態5に係る環境情報検出センサを示す図であり、図29は実施の形態5に係るモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。実施の形態5のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が放射線センサ24である点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。放射線センサ24は、モータ制御装置100が搭載される航空機等の外部又は内部における放射線量の情報すなわち放射線量情報である検出情報sig12を出力する。環境情報検出センサ35が放射線センサ24である場合は、環境検出情報sigevは検出情報sig12である。
実施の形態5のモータ制御装置100は、放射線センサ24から入力された放射線量情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。モータ制御装置100が搭載された航空機が、図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化する場合を考える。航空機が概ね飛行する対流圏では、宇宙から降り注ぐ宇宙線量すなわち放射線量は、飛行高度が高くなると高くなり、飛行高度が低くなると低くなる特徴がある。放射線量情報は飛行高度に応じて変化するので、放射線量情報から飛行高度を推定できる。図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化すると、図29のように検出放射線量情報特性56jが変化し、チョッパ3のDCリンク電圧Vlkは図9のDCリンク電圧特性59のように変化する。図29において、横軸は時間であり、縦軸は検出放射線量情報である。
制御装置11は、放射線センサ24から入力された検出放射線量情報が第一飛行状態Sd1において閾値X5よりも高い値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で検出放射線量情報が閾値X5よりも高い値になると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に放射線センサ24から入力された検出放射線量情報が第三飛行状態Sd3において閾値Y5よりも低い値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で検出放射線量情報が閾値Y5よりも低くなると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。
検出放射線量情報の単位はシーベルト、グレイなど放射線量を表わすものでよく、またPU単位法の様に相対値で比較できるものでもよい。実施の形態5において閾値X5は閾値Y5より高い値である。第一飛行状態Sd1における検出放射線量情報特性56jの検出放射線量情報が閾値X5になる点はモード変更点P1であり、第三飛行状態Sd3における検出放射線量情報特性56jの検出放射線量情報が閾値Y5になる点はモード変更点P2である。
検出放射線量情報特性56jが上に凸の形状になっているので、制御装置11の運転モード判定部60の動作は、図13に示した第一例のフロー又は図15に示した第三例のフローのように動作する。第一例のフロー、第三例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X5、Y5と読み替える。
実施の形態5のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が放射線センサ24であること以外は実施の形態1のモータ制御装置100と同様なので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態5のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態5のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
以上のように、実施の形態5のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11、飛行物体に降り注がれた放射線の放射線量情報(検出情報sig12)を検出する放射線センサ24を備える。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態5の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、放射線量情報(検出情報sig12)に基づく検出値が第一放射線量閾値(閾値X5)よりも大きい(変更条件B5)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態5の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、放射線量情報(検出情報sig12)に基づく検出値が第一放射線量閾値(閾値X5)よりも小さい第二放射線量閾値(閾値Y5)よりも小さいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態5のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B5を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態6.
図30は実施の形態6に係る制御装置の構成を示す図であり、図31は実施の形態6に係るモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。実施の形態6のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が外気温センサ19、外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、放射線センサ24のいずれかであり、制御装置11がさらに高度推定部67を備えている点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。高度推定部67は、検出情報sig8、sig9、sig11、sig12等である環境検出情報sigevに基づいて、高度を推定して推定高度情報esig1を出力する。制御信号生成部68aの運転モード判定部60は、推定高度情報esig1を入力情報sighinとしてチョッパ3の2つの運転モードを判定し、運転モード信号msigを出力する。
実施の形態6のモータ制御装置100は、高度推定部67により推定された推定高度情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。モータ制御装置100が搭載された航空機が、図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化する場合を考える。実施の形態2で説明したように、外気圧情報は飛行高度に応じて変化するので、外気圧情報から飛行高度を推定できる。また、実施の形態3〜実施の形態5で説明したように、空気成分濃度情報、外気温情報、放射線量情報は飛行高度に応じて変化するので、空気成分濃度情報、外気温情報、放射線量情報から飛行高度を推定できる。図7の飛行高度特性58のように飛行高度が変化すると、図31のように推定高度情報特性57が変化し、チョッパ3のDCリンク電圧Vlkは図9のDCリンク電圧特性59のように変化する。図31において、横軸は時間であり、縦軸は推定高度情報である。
制御装置11は、高度推定部67により推定された推定高度情報が第一飛行状態Sd1において閾値X1よりも高い値を示した場合、運転モードを第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtまで低下させる。時刻ts1で推定高度情報が閾値X1よりも高い値になると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts1で昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに変化する。制御装置11は、時刻t1〜時刻t2の第二飛行状態Sd2において、チョッパ3のバイパス運転を維持する。制御装置11は、第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転中に推定高度情報が第三飛行状態Sd3において閾値Y1よりも低い値を示した場合、運転モードを第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaに上昇させる。時刻ts2で推定高度情報が閾値Y1よりも低くなると、DCリンク電圧Vlkが時刻ts2でバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに変化する。
推定高度情報特性57が上に凸の形状になっているので、制御装置11の運転モード判定部60の動作は、図13に示した第一例のフロー又は図15に示した第三例のフローのように動作する。第一例のフロー、第三例のフローにおける閾値X、Yは、閾値X1、Y1と読み替える。なお、推定高度情報は高度情報を推定した情報なので、高度情報の閾値X1、Y1を用いている。
実施の形態6のモータ制御装置100は、環境情報検出センサ35が外気温センサ19、外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、放射線センサ24のいずれかであり、制御装置11がさらに高度推定部67を備えていること以外は実施の形態1のモータ制御装置100と同様なので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態6のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態6のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
以上のように、実施の形態6のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11、環境要因の情報(環境検出情報sigev)を検出する環境情報検出センサ35を備える。環境情報検出センサ35は、飛行物体の外部における外気圧情報(検出情報sig9)を検出する外気圧センサ20、飛行物体の外部における空気成分濃度情報(検出情報sig11)を検出する空気成分濃度センサ22、飛行物体の外部における外気温情報(検出情報sig8)を検出する外気温センサ19、飛行物体に降り注がれた放射線の放射線量情報(検出情報sig12)を検出する放射線センサ24のいずれかである。環境要因の情報は、環境情報検出センサ35から検出された、外気圧情報(検出情報sig9)、空気成分濃度情報(検出情報sig11)、外気温情報(検出情報sig8)、放射線量情報(検出情報sig12)のいずれかから高度が推定された推定高度情報esig1である。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態6の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、推定高度情報esig1に基づく推定値が第一高度閾値(閾値X1)よりも大きい(変更条件B6)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態6の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、推定高度情報esig1に基づく推定値が第一高度閾値(閾値X1)よりも小さい第二高度閾値(閾値Y1)よりも小さいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードにて制御する。実施の形態6のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B6を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態7.
図32は実施の形態7に係るモータ制御装置の第一例を示す図であり、図33は図32の制御装置の構成を示す図である。図34は、実施の形態7に係るモータパラメータとモータパラメータ指令との関係を説明する図である。図35は実施の形態7に係るモータパラメータとDCリンク電圧との関係を説明する図であり、図36は実施の形態7に係るモータパラメータとチョッパのスイッチング周波数との関係を説明する図である。図37、図38、図39は、図32のモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。図40は実施の形態7に係るモータパラメータ指令と閾値を示す図であり、図41は図32における運転モード判定部の動作を説明するフローを示す図である。実施の形態7のモータ制御装置100は、負荷であるモータ6の駆動に伴って変化するモータパラメータの情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。飛行情報であるモータパラメータの情報は、モータパラメータ指令、モータパラメータの検出情報、モータパラメータの推定情報等である。モータパラメータの情報は、モータ6の制御に伴って得られる情報である。まず、モータパラメータ指令を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例を第一例として説明する。その後、モータパラメータの検出情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例を第二例として説明し、モータパラメータの推定情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例を第三例として説明する。モータパラメータ指令は、センサで検出せずに制御装置11にて生成した指令でもよく、センサで検出されたモータパラメータ指令すなわちモータパラメータ指令検出情報でもよい。
実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、制御装置11がモータパラメータ指令を検出するモータパラメータ指令センサ70を備え、制御信号生成部68aの運転モード判定部60に入力情報sighinとしてモータパラメータ指令センサ70が出力するモータパラメータ指令検出情報sigmpcが入力される点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。インバータ5に出力される制御信号sigc2は、モータパラメータ指令の変化に応じて変化する。例えば、モータパラメータ指令がモータ交流電圧指令の場合は、モータ交流電圧指令の値はモータ6の速度、出力等が大きい程高くなる。モータ交流電圧指令の値を大きくする場合は、インバータ5の半導体スイッチング素子Q7〜Q12のスイッチング周波数を上げることがある。モータ交流電圧指令の値が大きくする場合は、現在よりも周波数を高くした制御信号sigc2が半導体スイッチング素子Q7〜Q12に入力されることになる。
モータパラメータ指令センサ70は、例えばモータ速度指令センサ71a、モータ出力指令センサ71b、モータ交流電圧指令センサ71c、モータ電流指令センサ71d、モータトルク指令センサ71eの少なくとも1つである。モータ速度指令センサ71aは、モータ速度指令すなわち検出情報sig19aをモータパラメータ指令検出情報sigmpcとして出力する。モータ出力指令センサ71bは、モータ出力指令すなわち検出情報sig19bをモータパラメータ指令検出情報sigmpcとして出力する。モータ交流電圧指令センサ71cは、モータ交流電圧指令すなわち検出情報sig19cをモータパラメータ指令検出情報sigmpcとして出力する。モータ電流指令センサ71dは、モータ電流指令すなわち検出情報sig19dをモータパラメータ指令検出情報sigmpcとして出力する。モータトルク指令センサ71eは、モータトルク指令すなわち検出情報sig19eをモータパラメータ指令検出情報sigmpcとして出力する。制御信号生成部68aは、モータパラメータ指令検出情報sigmpcに基づいて、制御信号sigc1、sigc2を出力する。すなわち、制御信号生成部68aの運転モード判定部60は、モータパラメータ指令検出情報sigmpcを入力情報sighinとしてチョッパ3の2つの運転モードを判定し、運転モード信号msigを出力する。
航空機の場合、離陸の際及び上昇の際にはモータ6の出力が大きくなる。しかし、目標飛行高度での巡航運転中はモータ6の出力が低いため、モータ交流電圧指令の値が低くなる。インバータ5のモータ交流電圧指令の値が低い場合には、チョッパ3の出力電圧であるDCリンク電圧Vlkが低くてよい。一方、インバータ5のモータ交流電圧指令の値が高い場合には、チョッパ3の出力電圧であるDCリンク電圧Vlkは高電圧が要求される。図34に示すように、モータ6の状態を示すモータパラメータは、モータパラメータ指令に応じて変化する。図34において、横軸はモータパラメータであり、縦軸はモータパラメータ指令である。モータ特性74は、モータパラメータ指令とモータパラメータとが線形に変化する例である。例えば、モータパラメータ指令がモータ交流電圧指令であり、モータパラメータがモータ速度である。モータパラメータの値がモータパラメータ値pr0、pr1、pr2の場合に、モータパラメータ指令の値がそれぞれモータパラメータ指令値prc0、prc1、prc2になっている。
図36に示すように、モータパラメータを変更する場合に、チョッパ3の運転モードの変更に伴って、チョッパ3のスイッチング周波数fsが変化する。図36において、横軸はモータパラメータであり、縦軸はスイッチング周波数fsである。なお、図36の横軸はスイッチング周波数特性76と区別ができるように破線で示した。スイッチング周波数特性76は、モータパラメータ値がpr0以上pr1未満の場合にスイッチング周波数fsの値が0であり、モータパラメータ値がpr1以上pr2以下の場合にスイッチング周波数fsの値がスイッチング周波数faである。また、図35に示すように、モータパラメータを変更する場合に、上述したようにチョッパ3の出力電圧であるDCリンク電圧Vlkを変化させることがある。図35において、横軸はモータパラメータであり、縦軸はDCリンク電圧Vlkである。DCリンク電圧特性75は、モータパラメータ値がpr0以上pr1未満の場合にDCリンク電圧Vlkがバッテリー電圧Vbtであり、モータパラメータ値がpr1以上pr2以下の場合にDCリンク電圧Vlkが昇圧電圧Vaである。モータパラメータ指令の値が高くなった時、その要求を満たすためにDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtから昇圧させた昇圧電圧Vaにする必要に迫られる。つまり図34、図35、図36に示すように、モータ6のモータパラメータ値に応じてモータパラメータ指令値が高くなった場合、その要求を満たすためにDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtから昇圧させた昇圧電圧Vaにする必要に迫られる。
実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、図37のようにインバータ5のモータパラメータ指令特性77を変化させる際に、図38、図39に示すDCリンク電圧特性75a、スイッチング周波数特性76aのように変化させる。図37、図38、図39において、横軸は時間である。図37、図38、図39において、縦軸はそれぞれモータパラメータ指令、DCリンク電圧Vlk、スイッチング周波数fsである。なお、図39の横軸はスイッチング周波数特性76aと区別ができるように破線で示した。モータパラメータ指令特性77は、時刻t7〜時刻t9まで上昇し、時刻t9〜時刻t10まで一定であり、時刻t10〜時刻t12まで低下している例である。制御装置11は、時刻t7でチョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転し、チョッパ3のスイッチング周波数fsが0で運転している。
制御装置11は、チョッパ3が第一運転モードMd1で運転中に、時刻t8でインバータ5のモータパラメータ指令特性77が閾値Waよりも高い値を示した場合、チョッパ3を第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに上昇させる。制御装置11は、時刻t8でスイッチング周波数fsを0からスイッチング周波数faに上昇させる。
また、制御装置11は、チョッパ3が第二運転モードMd2で運転中に、時刻t11でインバータ5のモータパラメータ指令特性77が閾値Zaよりも低い値を示した場合、チョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに低下させる。制御装置11は、時刻t11でスイッチング周波数fsをスイッチング周波数faから0に低下させる。閾値Zaは閾値Waよりも低い値である。第一運転モードにおけるモータパラメータ指令特性77が閾値Waになる点はモード変更点P3であり、第二運転モードにおけるモータパラメータ指令特性77が閾値Zaになる点はモード変更点P4である。閾値Zaは第一パラメータ指令閾値であり、閾値Waは第二パラメータ指令閾値である。モータパラメータ指令はモータパラメータの情報の一例なので、閾値Zaは第一パラメータ閾値であり、閾値Waは第二パラメータ閾値でもある。
図40には、モータパラメータ指令の具体例と判定に用いる閾値を示している。モータパラメータ指令の具体例として、モータ交流電圧指令、モータ速度指令、モータ出力指令、モータトルク指令、モータ電流指令を示した。モータ交流電圧指令における閾値Za、Waはそれぞれ閾値Za1、Wa1である。モータ速度指令における閾値Za、Waはそれぞれ閾値Za2、Wa2であり、モータ出力指令における閾値Za、Waはそれぞれ閾値Za3、Wa3である。モータトルク指令における閾値Za、Waはそれぞれ閾値Za4、Wa4であり、モータ電流指令における閾値Za、Waはそれぞれ閾値Za5、Wa5である。モータパラメータ指令の具体例に合わせて、第一パラメータ指令閾値及び第二パラメータ指令閾値を具体的に記載することもある。閾値Za1及び閾値Wa1は、それぞれ第一モータ交流電圧指令閾値及び第二モータ交流電圧指令閾値と記載することもある。閾値Za2及び閾値Wa2はそれぞれ第一モータ速度指令閾値及び第二モータ速度指令閾値と記載することもあり、閾値Za3及び閾値Wa3はそれぞれ第一モータ出力指令閾値及び第二モータ出力指令閾値と記載することもある。閾値Za4及び閾値Wa4はそれぞれ第一モータトルク指令閾値及び第二モータトルク指令閾値と記載することもあり、閾値Za5及び閾値Wa5はそれぞれ第一モータ電流指令閾値及び第二モータ電流指令閾値と記載することもある。
モータパラメータ指令検出情報sigmpcは、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報であり、飛行情報である。制御装置11は、航空機等の飛行物体が地上から離れる場合にチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報である飛行情報すなわちモータパラメータ指令検出情報sigmpcが予め定められた条件を満たすと判定した場合に、チョッパ3を第一運転モードMd1にて制御する。
制御装置11の運転モード判定部60は、例えば図41に示すフローのように動作する。図41のフローは図14のフローに対応している。ステップST11において、チョッパ3が昇圧モード(第二運転モード)であるかを判定する。具体的には、ステップST11において、運転モード信号msigが昇圧モードであるか、例えば運転モード信号msigが高レベルであるかを判定する。ステップST11において、チョッパ3が昇圧モードであると判定した場合はステップST12に進み、チョッパ3が昇圧モードでないと判定した場合はステップST14に進む。ステップST12において、モータパラメータの指令値が閾値Zaよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST13に進み、モータパラメータの指令値が閾値Zaよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST13において、運転モード信号msigをバイパスモードに変更して終了する。ステップST14において、モータパラメータの指令値が閾値Waよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST15に進み、モータパラメータの指令値が閾値Waよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST15において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。なお、ステップST11において昇圧モードであるかを判定する例を示したが、図16で示したように最初のステップであるステップST1においてバイパスモードであるかを判定してもよい。ステップST11において、チョッパ3がバイパスモードであると判定した場合はステップST14に進み、チョッパ3がバイパスモードでないと判定した場合はステップST12に進む。
実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、環境検出情報sigevの代わりにモータパラメータ指令検出情報sigmpcに基づいて制御装置11が運転モードを変更するので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
図42は実施の形態7に係るモータ制御装置の第二例を示す図である。図43、図44、図45は、図42のモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。図46は実施の形態7に係る検出モータパラメータ情報と閾値を示す図であり、図47は図42における運転モード判定部の動作を説明するフローを示す図である。実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、制御装置11がモータパラメータセンサ38として、位置センサ18以外に、モータパラメータの検出情報を出力する他のセンサを少なくとも1つ備え、制御信号生成部68aの運転モード判定部60に入力情報sighinとしてモータパラメータセンサ38が出力するモータパラメータ検出情報sigmpが入力される点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。適宜、モータパラメータの検出情報は、モータパラメータ検出情報と記載する。モータパラメータの検出情報を出力する他のセンサは、モータ速度センサ73a、モータ出力センサ73b、モータ交流電圧センサ73c、モータ電流センサ73d、モータトルクセンサ73eである。モータ速度センサ73aは、モータ速度の情報すなわち検出情報sig20aをモータパラメータ検出情報sigmpとして出力する。モータ出力センサ73bは、モータ出力の情報すなわち検出情報sig20bをモータパラメータ検出情報sigmpとして出力する。モータ交流電圧センサ73cは、モータ交流電圧の情報すなわち検出情報sig20cをモータパラメータ検出情報sigmpとして出力する。モータ電流センサ73dは、モータ電流の情報すなわち検出情報sig20dをモータパラメータ検出情報sigmpとして出力する。モータトルクセンサ73eは、モータトルクの情報すなわち検出情報sig20eをモータパラメータ検出情報sigmpとして出力する。
実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、実施の形態7の第一例のモータ制御装置100とは、モータパラメータの検出情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する点で異なる。実施の形態1のモータ制御装置100及び実施の形態7の第一例のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。
実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、図43のようにモータ6の検出モータパラメータ特性78が変化する際に、図44、図45に示すDCリンク電圧特性75b、スイッチング周波数特性76bのように変化させる。図43、図44、図45において、横軸は時間である。図43、図44、図45において、縦軸はそれぞれ検出モータパラメータ情報、DCリンク電圧Vlk、スイッチング周波数fsである。なお、図45の横軸はスイッチング周波数特性76bと区別ができるように破線で示した。検出モータパラメータ特性78は、時刻t17〜時刻t19まで上昇し、時刻t19〜時刻t20まで一定であり、時刻t20〜時刻t22まで低下している例である。制御装置11は、時刻t17でチョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転し、チョッパ3のスイッチング周波数fsが0で運転している。
制御装置11は、チョッパ3が第一運転モードMd1で運転中に、時刻t18でモータ6の検出モータパラメータ特性78が閾値Wbよりも高い値を示した場合、チョッパ3を第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに上昇させる。制御装置11は、時刻t18でスイッチング周波数fsを0からスイッチング周波数faに上昇させる。
また、制御装置11は、チョッパ3は第二運転モードMd2で運転中に、時刻t21でモータ6の検出モータパラメータ特性78が閾値Zbよりも低い値を示した場合、チョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに低下させる。制御装置11は、時刻t21でスイッチング周波数fsをスイッチング周波数faから0に低下させる。閾値Zbは閾値Wbよりも低い値である。第一運転モードにおける検出モータパラメータ特性78が閾値Wbになる点はモード変更点P5であり、第二運転モードにおける検出モータパラメータ特性78が閾値Zbになる点はモード変更点P6である。閾値Zbは第一パラメータ検出閾値であり、閾値Wbは第二パラメータ検出閾値である。モータパラメータ検出情報はモータパラメータの情報の一例なので、閾値Zbは第一パラメータ閾値であり、閾値Wbは第二パラメータ閾値でもある。
図46には、検出モータパラメータ情報の具体例と判定に用いる閾値を示している。検出モータパラメータ情報の具体例として、検出モータ交流電圧情報、検出モータ速度情報、検出モータ出力情報、検出モータトルク情報、検出モータ電流情報を示した。検出モータ交流電圧情報における閾値Zb、Wbはそれぞれ閾値Zb1、Wb1である。検出モータ速度情報における閾値Zb、Wbはそれぞれ閾値Zb2、Wb2であり、検出モータ出力情報における閾値Zb、Wbはそれぞれ閾値Zb3、Wb3である。検出モータトルク情報における閾値Zb、Wbはそれぞれ閾値Zb4、Wb4であり、検出モータ電流情報における閾値Zb、Wbはそれぞれ閾値Zb5、Wb5である。モータパラメータ検出情報すなわち検出モータパラメータ情報の具体例に合わせて、第一パラメータ検出閾値及び第二パラメータ検出閾値を具体的に記載することもある。閾値Zb1及び閾値Wb1は、それぞれ第一モータ交流電圧検出閾値及び第二モータ交流電圧検出閾値と記載することもある。閾値Zb2及び閾値Wb2はそれぞれ第一モータ速度検出閾値及び第二モータ速度検出閾値と記載することもあり、閾値Zb3及び閾値Wb3はそれぞれ第一モータ出力検出閾値及び第二モータ出力検出閾値と記載することもある。閾値Zb4及び閾値Wb4はそれぞれ第一モータトルク検出閾値及び第二モータトルク検出閾値と記載することもあり、閾値Zb5及び閾値Wb5はそれぞれ第一モータ電流検出閾値及び第二モータ電流検出閾値と記載することもある。
モータパラメータ検出情報sigmpは、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報であり、飛行情報である。制御装置11は、航空機等の飛行物体が地上から離れる場合にチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報である飛行情報すなわちモータパラメータ検出情報sigmpが予め定められた条件を満たすと判定した場合に、チョッパ3を第一運転モードMd1にて制御する。
制御装置11の運転モード判定部60は、例えば図47に示すフローのように動作する。図47のフローは図14及び図41のフローに対応している。図47のフローは、図41のフローとは、ステップST12がステップST16に変更され、ステップST14がステップST17に変更されている点で異なる。図41のフローと異なる部分を説明する。ステップST11において、チョッパ3が昇圧モードであると判定した場合はステップST16に進み、チョッパ3が昇圧モードでないと判定した場合はステップST17に進む。ステップST16において、検出モータパラメータ情報の検出値が閾値Zbよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST13に進み、検出モータパラメータ情報の検出値が閾値Zbよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST13において、運転モード信号msigをバイパスモードに変更して終了する。ステップST17において、検出モータパラメータ情報の検出値が閾値Wbよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST15に進み、検出モータパラメータ情報の検出値が閾値Wbよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST15において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。なお、ステップST11において昇圧モードであるかを判定して例を示したが、図16で示したように最初のステップであるステップST11においてバイパスモードであるかを判定してもよい。ステップST11において、チョッパ3がバイパスモードであると判定した場合はステップST17に進み、チョッパ3がバイパスモードでないと判定した場合はステップST16に進む。
実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、環境検出情報sigevの代わりにモータ6のモータパラメータ検出情報sigmpに基づいて制御装置11が運転モードを変更するので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
図48は実施の形態7に係るモータ制御装置の第三例を示す図であり、図49は図48の制御装置の構成を示す図である。図50、図51、図52は、図48のモータ制御装置の動作を説明するタイミングを示す図である。図53は実施の形態7に係る推定モータパラメータ情報と閾値を示す図であり、図54は図48における運転モード判定部の動作を説明するフローを示す図である。実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、制御装置11がモータパラメータを推定するオブザーバ64を備え、制御信号生成部68aの運転モード判定部60に入力情報sighinとしてオブザーバ64が出力するモータパラメータ推定情報sigmpeが入力される点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、実施の形態7の第一例のモータ制御装置100とは、モータパラメータの推定情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する点で異なる。適宜、モータパラメータの推定情報をモータパラメータ推定情報と記載する。実施の形態1のモータ制御装置100及び実施の形態7の第一例のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。
オブザーバ64は、例えばモータ速度推定部81a、モータ出力推定部81b、モータトルク推定部81cの少なくとも1つである。モータ速度推定部81aは、モータ電流検出情報sigimに基づいてモータ速度を推定して、モータ速度の推定値すなわち推定情報sig21aをモータパラメータ推定情報sigmpeとして出力する。モータ出力推定部81bは、モータ電流検出情報sigimに基づいてモータ出力を推定して、モータ出力の推定値すなわち推定情報sig21bをモータパラメータ推定情報sigmpeとして出力する。モータトルク推定部81cは、モータ電流検出情報sigimに基づいてモータトルクを推定して、モータトルクの推定値すなわち推定情報sig21cをモータパラメータ推定情報sigmpeとして出力する。制御信号生成部68aは、モータパラメータ推定情報sigmpeに基づいて、制御信号sigc1、sigc2を出力する。すなわち、制御信号生成部68aの運転モード判定部60は、モータパラメータ推定情報sigmpeを入力情報sighinとしてチョッパ3の2つの運転モードを判定し、運転モード信号msigを出力する。
実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、図50のようにモータ6の推定されたモータパラメータ特性すなわち推定モータパラメータ特性79が変化する際に、図51、図52に示すDCリンク電圧特性75c、スイッチング周波数特性76cのように変化させる。図50、図51、図52において、横軸は時間である。図50、図51、図52において、縦軸はそれぞれ推定モータパラメータ情報、DCリンク電圧Vlk、スイッチング周波数fsである。なお、図52の横軸はスイッチング周波数特性76cと区別ができるように破線で示した。推定モータパラメータ特性79は、時刻t27〜時刻t29まで上昇し、時刻t29〜時刻t30まで一定であり、時刻t30〜時刻t32まで低下している例である。制御装置11は、時刻t27でチョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転し、チョッパ3のスイッチング周波数fsが0で運転している。
制御装置11は、チョッパ3が第一運転モードMd1で運転中に、時刻t28でモータ6の推定モータパラメータ特性79が閾値Wcよりも高い値を示した場合、チョッパ3を第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに上昇させる。制御装置11は、時刻t28でスイッチング周波数fsを0からスイッチング周波数faに上昇させる。
また、制御装置11は、チョッパ3は第二運転モードMd2で運転中に、時刻t31でモータ6の推定モータパラメータ特性79が閾値Zcよりも低い値を示した場合、チョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに低下させる。制御装置11は、時刻t31でスイッチング周波数fsをスイッチング周波数faから0に低下させる。閾値Zcは閾値Wcよりも低い値である。第一運転モードにおける推定モータパラメータ特性79が閾値Wcになる点はモード変更点P7であり、第二運転モードにおける推定モータパラメータ特性79が閾値Zcになる点はモード変更点P8である。閾値Zcは第一パラメータ推定閾値であり、閾値Wcは第二パラメータ推定閾値である。モータパラメータ推定情報はモータパラメータの情報の一例なので、閾値Zcは第一パラメータ閾値であり、閾値Wcは第二パラメータ閾値でもある。
図53には、推定モータパラメータ情報の具体例と判定に用いる閾値を示している。推定モータパラメータ情報の具体例として、推定モータ速度情報、推定モータ出力情報、推定モータトルク情報を示した。推定モータ速度情報における閾値Zc、Wcはそれぞれ閾値Zc1、Wc1である。推定モータ出力情報における閾値Zc、Wcはそれぞれ閾値Zc2、Wc2であり、推定モータトルク情報における閾値Zc、Wcはそれぞれ閾値Zc3、Wc3である。モータパラメータ推定情報の具体例に合わせて、第一パラメータ推定閾値及び第二パラメータ推定閾値を具体的に記載することもある。閾値Zc1及び閾値Wc1は、それぞれ第一モータ速度推定閾値及び第二モータ速度推定閾値と記載することもある。閾値Zc2及び閾値Wc2はそれぞれ第一モータ出力推定閾値及び第二モータ出力推定閾値と記載することもあり、閾値Zc3及び閾値Wc3はそれぞれ第一モータトルク推定閾値及び第二モータトルク推定閾値と記載することもある。
モータパラメータ推定情報sigmpeは、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報であり、飛行情報である。制御装置11は、航空機等の飛行物体が地上から離れる場合にチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報である飛行情報すなわちモータパラメータ推定情報sigmpeが予め定められた条件を満たすと判定した場合に、チョッパ3を第一運転モードMd1にて制御する。
制御装置11の運転モード判定部60は、例えば図54に示すフローのように動作する。図54のフローは図14及び図41のフローに対応している。図54のフローは、図41のフローとは、ステップST12がステップST18に変更され、ステップST14がステップST19に変更されている点で異なる。図41のフローと異なる部分を説明する。ステップST11において、チョッパ3が昇圧モードであると判定した場合はステップST18に進み、チョッパ3が昇圧モードでないと判定した場合はステップST19に進む。ステップST18において、推定モータパラメータ情報の推定値が閾値Zcよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST13に進み、推定モータパラメータ情報の推定値が閾値Zcよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST13において、運転モード信号msigをバイパスモードに変更して終了する。ステップST19において、推定モータパラメータ情報の推定値が閾値Wcよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST15に進み、推定モータパラメータ情報の推定値が閾値Wcよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST15において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。なお、ステップST11において昇圧モードであるかを判定して例を示したが、図16で示したように最初のステップであるステップST11においてバイパスモードであるかを判定してもよい。ステップST11において、チョッパ3がバイパスモードであると判定した場合はステップST19に進み、チョッパ3がバイパスモードでないと判定した場合はステップST18に進む。
実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、環境検出情報sigevの代わりにモータ6のモータパラメータ推定情報sigmpeに基づいて制御装置11が運転モードを変更するので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
以上のように、実施の形態7のモータ制御装置100は、地上から離れて飛行する飛行物体のモータ6を制御する。モータ制御装置100は、直流電力を出力する電源装置90と、直流電力を交流電力に変換してモータ6に出力する電力供給装置(インバータ5)と、電源装置90及び電力供給装置(インバータ5)を制御する制御装置11と、を備える。電源装置90は、電源(バッテリー1)と、電源(バッテリー1)の出力を直流電力に変換する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)と、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)の出力電圧(DCリンク電圧Vlk)を平滑する出力コンデンサ(コンデンサ4)と、を備える。直流出力型電力変換装置(チョッパ3)は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する。制御装置11は、飛行物体が地上から離れる場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)である飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。実施の形態7のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態7のモータ制御装置100において、「飛行情報が予め定められた条件を満たす」ことは、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ指令検出情報sigmpcの指令値、モータパラメータ検出情報sigmpの検出値、モータパラメータ推定情報sigmpeの推定値)が第一パラメータ閾値(閾値Za、Zb、Zc)よりも小さいことである。実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、制御装置11がモータパラメータの情報であるモータパラメータ指令(モータパラメータ指令検出情報sigmpc)を検出するモータパラメータ指令センサ70を備えている。実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、モータパラメータ指令(モータパラメータ指令検出情報sigmpc)に基づく情報値(モータパラメータ指令検出情報sigmpcの指令値)が第一パラメータ閾値である第一パラメータ指令閾値(閾値Za)よりも小さい(変更条件B7a)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態7の第一例の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、モータパラメータ指令(モータパラメータ指令検出情報sigmpc)に基づく情報値(モータパラメータ指令検出情報sigmpcの指令値)が第一パラメータ閾値(閾値Za)よりも大きい第二パラメータ閾値である第二パラメータ指令閾値(閾値Wa)よりも大きいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態7の第一例のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B7aを満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、モータパラメータの情報であるモータ6のモータパラメータ検出情報(モータパラメータ検出情報sigmp)を検出するモータパラメータセンサ38を備えている。実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、モータパラメータ検出情報(モータパラメータ検出情報sigmp)に基づく情報値(モータパラメータ検出情報sigmpの検出値)が第一パラメータ閾値である第一パラメータ検出閾値(閾値Zb)よりも小さい(変更条件B7b)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態7の第二例の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、モータパラメータ検出情報(モータパラメータ検出情報sigmp)に基づく情報値(モータパラメータ検出情報sigmpの検出値)が第一パラメータ閾値(閾値Zb)よりも大きい第二パラメータ閾値である第二パラメータ検出閾値(閾値Wb)よりも大きいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態7の第二例のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B7bを満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、制御装置11がモータパラメータの情報であるモータ6のモータパラメータ推定情報(モータパラメータ推定情報sigmpe)を出力するオブザーバ64を備えている。実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、モータパラメータ推定情報(モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ推定情報sigmpeの推定値)が第一パラメータ閾値である第一パラメータ推定閾値(閾値Zc)よりも小さい(変更条件B7c)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態7の第三例の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、モータパラメータ推定情報(モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ推定情報sigmpeの推定値)が第一パラメータ閾値(閾値Zc)よりも大きい第二パラメータ閾値である第二パラメータ推定閾値(閾値Wc)よりも大きいと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態7の第三例のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B7cを満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態8.
図55は、実施の形態8に係るモータ制御装置の構成を示す図である。図56は図55の制御信号生成部の構成を示す図であり、図57は図55の表示器の表示例を示す図である。実施の形態8のモータ制御装置100は、操縦者の指示に基づいてチョッパ3の運転モードを変更する例である。実施の形態8のモータ制御装置100は、実施の形態1のモータ制御装置100とは、環境情報検出センサ35にて検出された環境情報、モータパラメータセンサ38にて検出されたモータパラメータ情報等を表示する表示器34を備え、操作盤23が選択スイッチ37を備え、制御装置11が選択スイッチ37による運転モード信号msigに基づいて制御信号sigc1、sigc2を出力する制御信号生成部68bを備える点で異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。なお、図55において、環境情報検出センサ35として、高度センサ21と共に実施の形態2〜実施の形態5で説明した外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、外気温センサ19、放射線センサ24を備える例を示した。図55において、モータパラメータセンサ38として位置センサ18と共に実施の形態7の第二例(図42参照)で説明したモータ速度センサ73a、モータ出力センサ73b、モータ交流電圧センサ73c、モータ電流センサ73d、モータトルクセンサ73eを備える例を示した。表示器34は信号線89により制御装置11に接続されている。
制御信号生成部68bは、図5に示した制御信号生成部68aとは、運転モード判定部60がなく、操作盤23の選択スイッチ37から出力された運転モード信号msigが第一信号生成部69aに入力される点で異なる。表示器34には、例えば高度表示36a、モータ出力表示36b、外気圧表示36c、空気成分濃度表示36d、外気温表示36e、放射線量表示36f、モータ速度表示36g、モータ交流電圧表示36h、モータ電流表示36i、モータトルク表示36jが表示されている例を示した。高度表示36aは高度センサ21にて検出された高度情報の表示であり、モータ出力表示36bはモータ出力センサ73bにて検出されたモータ出力情報の表示である。外気圧表示36cは外気圧センサ20にて検出された外気圧情報の表示であり、空気成分濃度表示36dは空気成分濃度センサ22にて検出された空気成分濃度情報の表示である。外気温表示36eは外気温センサ19にて検出された外気温情報の表示であり、放射線量表示36fは放射線センサ24にて検出された放射線量情報の表示である。モータ速度表示36gはモータ速度センサ73aにて検出されたモータ速度情報の表示であり、モータ交流電圧表示36hはモータ交流電圧センサ73cにて検出されたモータ交流電圧情報の表示である。モータ電流表示36iはモータ電流センサ73dにて検出されたモータ電流情報の表示であり、モータトルク表示36jはモータトルクセンサ73eにて検出されたモータトルク情報の表示である。
航空機等の操縦者は、表示器34に表示された飛行高度、モータ6のモータ出力、それらの加工情報などの値を参照しながらチョッパ3の運転モード変更の可否を判断し、選択スイッチ37を操作し、チョッパ3の運転モード変更を実行する。操作盤23にて操縦者が第一運転モードであるバイパスモードを選択したとき、その情報である運転モード信号msigは信号線39を介して制御装置11に送信される。制御装置11は低レベルの運転モード信号msigを受けて、運転モードを第一運転モードに設定し、チョッパ3はスイッチングを停止しバイパス動作を行う。また、操作盤23にて操縦者が第二運転モードである昇圧モードを選択したとき、その情報である運転モード信号msigは信号線39を介して制御装置11に送信される。制御装置11は高レベルの運転モード信号msigを受けて、運転モードを第二運転モードに設定し、チョッパ3はスイッチングを開始し昇圧動作を行う。
実施の形態8のモータ制御装置100は、環境検出情報sigev、モータパラメータ検出情報sigmp等に基づいて自動でチョッパ3の運転モードを変更する構成と異なり、環境検出情報sigev、モータパラメータ検出情報sigmp等から変換された数値で表示された環境検出情報の値、モータパラメータ検出情報の値を参照した操縦者の指示に基づいてチョッパ3の運転モードを変更する。実施の形態8のモータ制御装置100は、環境検出情報の値、モータパラメータ検出情報の値を参照した操縦者の指示に基づいてチョッパ3の運転モードを変更するので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態8のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態8のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。また、実施の形態8のモータ制御装置100は、複数の環境情報検出センサ35、モータパラメータセンサ38における一部の故障、又は表示器34の故障の際にも、操縦者の判断でチョッパ3の運転モードの変更を任意に実行することができ、不意にモータ出力等の不足が発生した場合にもモータ出力を回復させることがでる。
以上のように、実施の形態8のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11、制御装置11に接続された操作盤23を備えている。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。操作盤23は直流出力型電力変換装置(チョッパ3)の第一運転モードMd1又は第二運転モードMd2を選択する選択スイッチ37を備えている。実施の形態8の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、選択スイッチ37から第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態8の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、選択スイッチ37から第二運転モードMd2が選択された運転モード信号msigを受信した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態8のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御中に第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態9.
図58は、実施の形態9に係るモータ制御装置の構成を示す図である。図59は図58の制御信号生成部の構成を示す図であり、図60は図58の表示器の表示例を示す図である。実施の形態9のモータ制御装置100は、操縦者の運転モード変更許可及び環境検出情報sigev、モータパラメータ検出情報sigmp等に基づいてチョッパ3の運転モードを変更する例である。実施の形態9のモータ制御装置100は、実施の形態8のモータ制御装置100とは、操作盤23が自動による運転モードの変更を許可する許可スイッチ51を備え、制御装置11が許可スイッチ51による変更許可信号ensig及び環境検出情報sigev、モータパラメータ検出情報sigmp等の入力情報sighinに基づいて制御信号sigc1、sigc2を出力する制御信号生成部68cを備える点で異なる。実施の形態8のモータ制御装置100及び実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。
制御信号生成部68cは、図56に示した制御信号生成部68bとは運転モード判定部60及び論理演算回路88が追加されている点で異なる。制御信号生成部68cは、図5に示した制御信号生成部68aとは、運転モード判定部60と第一信号生成部69aとの間に論理演算回路88が追加されている点で異なる。論理演算回路88は、運転モード判定部60が出力する運転モード信号msigと許可スイッチ51から出力された変更許可信号ensigとを論理演算した信号である運転モード信号msigaを第一信号生成部69aに出力する。チョッパ3を自動により第一運転モードであるバイパスモードに変更することを許可する場合に変更許可信号ensigが高レベルになり、チョッパ3を自動により第一運転モードであるバイパスモードに変更することを不許可する場合に変更許可信号ensigが低レベルとする。
論理演算回路88は、変更許可信号ensigが高レベルの場合に運転モード信号msigを運転モード信号msigaとして出力する。この場合、制御信号生成部68cは、運転モード信号msigの高レベル、低レベルに応じて、それぞれ第一モード制御信号sigcm1、第二モード制御信号sigcm2を制御信号sigc1として出力する。したがって、制御信号生成部68cは、変更許可信号ensigが高レベルの場合に、自動による運転モードの変更すなわち自動運転モード変更の制御を行う。また、論理演算回路88は、変更許可信号ensigが低レベルの場合に高レベルの運転モード信号msigaを出力する。第一信号生成部69aは、高レベルの運転モード信号msigaを受けると第二運転モードすなわち昇圧モードで制御する第二モード制御信号sigcm2を制御信号sigc1として出力する。したがって、制御信号生成部68cは、変更許可信号ensigが低レベルの場合に、自動による運転モードの変更すなわち自動運転モード変更を行わない制御を行う。表示器34には、図57で示した表示と共に、運転モード判定部60の判定結果の表示すなわち判定結果表示36kが表示されている例を示した。
航空機等の操縦者は、表示器34に表示された飛行高度、モータ6のモータ出力などの値及び運転モード判定部60の判定結果を参照しながら運転モード変更の可否を判断する。操縦者は、運転モード変更の可否判断に基づいて許可スイッチ51を操作し、チョッパ3の運転モード変更の許可を決定する。図7〜図9に示したように航空機の飛行が開始される第一飛行状態Sd1においてチョッパ3は第二運転モードMd2すなわち昇圧モードになっている。このためチョッパ3の運転モード変更の許可は、運転開始の際の第二運転モードMd2すなわち昇圧モードから第一運転モードMd1であるバイパスモードへの自動による変更許可である。
操作盤23にて操縦者が第一運転モードMd1であるバイパスモードへの自動による変更を許可したとき、その情報すなわち許可を示す変更許可信号ensigは信号線39を介して制御装置11に送信される。制御装置11はチョッパ3の運転モードを実施の形態1〜実施の形態7にて示した運転モード変更方法に従ってチョッパ3の運転モードを変更する。例えば、許可を示す変更許可信号ensigは高レベルの信号であり、不許可を示す変更許可信号ensigは低レベルの信号である。また、操作盤23にて操縦者が第一運転モードMd1であるバイパスモードへの自動による変更を不許可としたとき、その情報すなわち不許可を示す変更許可信号ensigは信号線39を介して制御装置11に送信さる。制御装置11は、不許可を示す変更許可信号ensigを受けて、チョッパ3の運転モードを第二運転モードMd2である昇圧モードに固定する。
実施の形態9のモータ制御装置100は、操縦者により決定されたチョッパ3の自動運転モード変更の許可及び不許可に基づいてチョッパ3を制御する。実施の形態9のモータ制御装置100は、チョッパ3の自動運転モード変更が許可された場合に、環境検出情報sigev、モータパラメータ検出情報sigmp等に基づいて自動でチョッパ3の運転モードを変更する。実施の形態9のモータ制御装置100は、チョッパ3の自動運転モード変更が不許可された場合に、チョッパ3の運転モードを第二運転モードMd2である昇圧モードに固定する。実施の形態9のモータ制御装置100は、環境検出情報の値、モータパラメータ検出情報の値等を参照した操縦者によるチョッパ3の運転モード変更の可否決定に基づいてチョッパ3の運転モードの制御を行うので、実施の形態1のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態9のモータ制御装置100は、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態9のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。また、実施の形態9のモータ制御装置100は、複数の環境情報検出センサ35、モータパラメータセンサ38における一部の故障、又は表示器34の故障の際にも、操縦者の判断でチョッパ3の運転モードの変更を任意に実行することができ、不意にモータ出力等の不足が発生した場合にもモータ出力を回復させることがでる。
以上のように、実施の形態9のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11、制御装置11に接続された操作盤23を備えている。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。操作盤23は直流出力型電力変換装置(チョッパ3)の第一運転モードMd1への変更を許可する許可スイッチ51を備えている。実施の形態9の制御装置11は、許可スイッチ51から出力された変更許可信号ensigが許可を示す場合に、運転モード制御Aによって、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1又は第二運転モードMd2にて制御する。制御装置11は、次のように運転モード制御Aを実行する。すなわち、制御装置11は、飛行物体が地上から離れる場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報(環境検出情報sigev)の一方、又は両方である飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態9の制御装置11は、許可スイッチ51から出力された変更許可信号ensigが不許可を示す場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態9のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、許可スイッチ51から出力された変更許可信号ensigが許可を示し、かつ飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態10.
図61は、実施の形態10に係るモータ制御装置の第一例を示す図である。図62は図61における運転モード判定部の動作を説明するフローを示す図であり、図63は実施の形態10に係る優先順位情報を示す図である。図64は、実施の形態10に係るモータ制御装置の第二例を示す図である。実施の形態10のモータ制御装置100は、2つ以上の環境検出情報sigevに基づいてチョッパ3の運転モードを変更する例である。実施の形態10の第一例のモータ制御装置100は、実施の形態1のモータ制御装置100と基本構成は同じであるが、異なる環境要因を検出する複数の環境情報検出センサ35を備えている。図61において、環境情報検出センサ35として、高度センサ21と共に実施の形態2〜実施の形態5で説明した外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、外気温センサ19、放射線センサ24を備える例を示した。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。
実施の形態10のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態6で示した飛行高度に関する環境要因のうち2種以上の要因をチョッパ3の運転モード変更の判定に用いる。第二運転モードMd2である昇圧モードでは、チョッパ3の出力電圧であるDCリンク電圧Vlkが高いので、チョッパ3、インバータ5における宇宙線故障率が高くなる。このため、実施の形態10のモータ制御装置100は、選択された環境要因の全条件を満足した場合に限り昇圧モードへ移行することで、実施の形態1〜実施の形態6のモータ制御装置100よりもチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。
制御装置11の運転モード判定部60の動作を図62のフローを用いて説明する。図62では3つの環境要因を用いてチョッパ3の運転モード変更の可否を判定する例である。dataA、dataB、dataCは図63に示した優先順位情報87の検出値である。図62のフローは、検出値dataAが高度情報の検出値であり、検出値dataBが外気圧情報の検出値であり、検出値dataCが外気温情報の検出値である例である。検出値dataAの閾値XAは優先順位情報87の高度情報における閾値X*の列の閾値X1であり、検出値dataAの閾値YAは優先順位情報87の高度情報における閾値Y*の列の閾値Y1である。検出値dataBの閾値XBは優先順位情報87の外気圧情報における閾値X*の列の閾値X2であり、検出値dataBの閾値YBは優先順位情報87の外気圧情報における閾値Y*の列の閾値Y2である。検出値dataCの閾値XCは優先順位情報87の外気温情報における閾値X*の列の閾値X4であり、検出値dataCの閾値YCは優先順位情報87の外気温情報における閾値Y*の列の閾値Y4である。
図63の優先順位情報87において、優先順位を示す重要度の番号に従って、3つの環境要因すなわち環境情報が選択されている。優先順位の第一位は高度情報であり、優先順位の第二位は外気圧情報であり、優先順位の第三位は外気温情報である。優先順位の第一位の判定は、ステップST22及びステップST26である。優先順位の第二位の判定は、ステップST24及びステップST27であり、優先順位の第三位の判定は、ステップST25及びステップST28である。優先順位情報87の閾値X*、閾値Y*における「*」は、優先順位に応じたA、B、C等に読み替えることを示している。それぞれの優先順位の判定は、図12に示した情報タイプに応じて、「>」、「<」が選択されている。情報タイプが上に凸の場合の例である高度情報の場合、第一運転モードMd1であるバイパスモードにする判定ステップすなわちステップST22では検出値dataA>閾値XAであり、第二運転モードMd2である昇圧モードにする判定ステップすなわちステップST26では検出値dataA<閾値YAである。情報タイプが下に凸の場合の例である外気圧情報の場合、第一運転モードMd1であるバイパスモードにする判定ステップすなわちステップST24では検出値dataB<閾値XBであり、第二運転モードMd2である昇圧モードにする判定ステップすなわちステップST27では検出値dataB>閾値YBである。外気温情報は情報タイプが下に凸なので、外気圧情報と同様に「>」、「<」が選択されている。
まず、図62のフローの概要を説明する。現在の動作モードが第二運転モードMd2(昇圧モード)のとき、すなわちステップST21の判定が正しい場合、その上位のステップから運転モード変更判定を行い、上位のステップにて判定基準が満たされていれば、下位のステップの判定すなわち残りの要因の判定を省略して第一運転モードMd1(バイパスモード)に移行する。また、現在の動作モードが第一運転モードMd1(バイパスモード)のとき、すなわちステップST21の判定が正しくない場合、運転モード変更判定を行い、全要因が第二運転モードMd2(昇圧モード)への判定基準が満たされていれば、第二運転モードMd2(昇圧モード)に移行する。図64では重要度が最も高い要因に高度情報を設定し、2番目に重要度が高い要因に外気圧情報を、最も重要度が低い要因に外気温度情報を設定している。
ステップST21において、チョッパ3が昇圧モード(第二運転モードMd2)であるかを判定する。ステップST21において、チョッパ3が昇圧モードであると判定した場合はステップST22に進み、チョッパ3が昇圧モードでないと判定した場合はステップST26に進む。ステップST22において、優先順位第一位の検出環境情報の検出値dataAが閾値XAよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST23に進み、検出環境情報の検出値dataAが閾値XAよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合はステップST24に進む。ステップST24において、優先順位第二位の検出環境情報の検出値dataBが閾値XBよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST23に進み、検出環境情報の検出値dataBが閾値XBよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合はステップST25に進む。ステップST25において、優先順位第三位の検出環境情報の検出値dataCが閾値XCよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST23に進み、検出環境情報の検出値dataCが閾値XCよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は、運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST23において、運転モード信号msigをバイパスモードに変更して終了する。
ステップST26において、優先順位第一位の検出環境情報の検出値dataAが閾値YAよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST27に進み、検出環境情報の検出値dataAが閾値YAよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST27において、優先順位第二位の検出環境情報の検出値dataBが閾値YBよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST28に進み、検出環境情報の検出値dataBが閾値YBよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST28において、優先順位第三位の検出環境情報の検出値dataCが閾値YCよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST29に進み、検出環境情報の検出値dataCが閾値YCよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST29において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。
運転モード変更判定に用いる環境要因、閾値及び重要度の順位付けが、製品出荷の際に予め設置されている例を第一例のモータ制御装置100として示した。しかし、航空機等の飛行の際に、運転モード変更判定に用いる環境要因、閾値及び重要度の順位付けを操縦者が変更してもよい。運転モード変更判定に用いる環境要因、閾値及び重要度の順位付けの変更が操縦者により実行可能なモータ制御装置100を、図64に示した。図64に示した第二例のモータ制御装置100は、図61に示した第一例のモータ制御装置100とは、環境情報検出センサ35にて検出された環境情報等を表示する表示器34を備え、操作盤23が優先順位選択器86を備えている点で異なる。表示器34は信号線89により制御装置11に接続されている。図64において、例えば高度表示36a、モータ出力表示36b、外気圧表示36c、空気成分濃度表示36d、外気温表示36e、放射線量表示36f、優先順位情報表示36lが表示されている例を示した。優先順位情報表示36lには、例えば優先順位情報87における環境情報の列及び重要度の列の内容が記載されており、操縦者が優先順位選択器86により重要度の番号を入力すると、重要度の列に番号が表示される。図63に示したように、重要度を設定した場合は、高度情報、外気圧情報、外気温情報に順番で運転モード変更判定が実行される。
実施の形態10のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態6のモータ制御装置100と同様に、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態10のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。さらに、実施の形態10のモータ制御装置100は、環境要因のうち2種以上の要因をチョッパ3の運転モード変更の判定に用いるので、実施の形態1〜実施の形態6のモータ制御装置100よりも信頼性が向上する。
なお、実施の形態1〜実施の形態6のモータ制御装置100と同様に、環境要因の情報に優先順位を設けて、チョッパ3の第一運転モードMd1及び第二運転モードMd2を変更する例を説明したが、これに限定されない。モータパラメータの情報であるモータパラメータ指令、モータパラメータ検出情報、モータパラメータ推定情報に優先順位を設けて、チョッパ3の第一運転モードMd1及び第二運転モードMd2を変更しても構わない。また、環境要因の情報及びモータパラメータの情報に優先順位を設けて、チョッパ3の第一運転モードMd1及び第二運転モードMd2を変更しても構わない。
以上のように、実施の形態10のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11を備える。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態10の制御装置11は、優先順位が設定された複数の飛行情報に基づいて、第一条件を満たす場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御し、第一条件を満たさない場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、第二条件を満たす場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、第二条件を満たさない場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。飛行情報は、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報(環境検出情報sigev)である。第一条件は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、優先順位に従って飛行情報に基づく情報値(検出値dataA、dataB、dataC)が第一飛行情報閾値(閾値X*)を通過するか否かを判定し、選択された優先順位の飛行情報に基づく情報値(検出値dataA、dataB、dataC)が第一飛行情報閾値(閾値X*)を通過した場合である。第二条件は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、優先順位に従って飛行情報に基づく情報値(検出値dataA、dataB、dataC)が第二飛行情報閾値(閾値Y*)を通過するか否かを判定し、優先順位が設定された全ての飛行情報に基づく情報値(検出値dataA、dataB、dataC)が、それぞれの第二飛行情報閾値(閾値Y*)を通過した場合である。実施の形態10のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち第一条件を満たすと判定した場合又は第二条件を満たさないと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態11.
図65は実施の形態11に係るモータ制御装置の構成を示す図であり、図66は図65における運転モード判定部の動作を説明する第一例のフローを示す図である。図67は図66の環境要因処理の第一例のフローを示す図であり、図68は図66の環境要因処理の第二例のフローを示す図である。図69は、図65における運転モード判定部の動作を説明する第二例のフローを示す図である。実施の形態11のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態6で示した飛行高度に関する環境要因の情報と、実施の形態7で示したモータパラメータの情報との2種類の情報を用いてチョッパ3の運転モードを変更する例である。図65に示したモータ制御装置100は、図42のモータ制御装置100に表示器34が追加されている例を示した。なお、図65において、環境情報検出センサ35として、高度センサ21と共に実施の形態2〜実施の形態5で説明した外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、外気温センサ19、放射線センサ24を備える例を示した。制御装置11は、実施の形態1〜実施の形態7の制御装置11と同様に制御信号生成部68aを備えている。また、モータパラメータの情報として実施の形態7の第一例のモータパラメータ指令を用いる場合、制御装置11は図32の制御装置11と同様にモータパラメータ指令センサ70を備えている。モータパラメータの情報として実施の形態7の第三例のモータパラメータの推定情報を用いる場合、制御装置11は図48の制御装置11と同様にオブザーバ64を備えている。
図66〜図68を用いて実施の形態11の運転モード判定部60の動作を説明する第一例のフローを説明する。実施の形態11の第一例の運転モード判定部60は、ステップST30の環境要因処理を実行した後に、モータパラメータの情報を用いた判定処理を行う例である。ステップST30の環境要因処理は第一の運転モード判定処理であり、モータパラメータの情報を用いた判定処理は第二の運転モード判定処理である。環境要因処理は図67に示したフロー、又は図68に示したフロー等を実行する。図67に示したフローは実施の形態1で説明した図13に対応しており、図68に示したフローは実施の形態1で説明した図14に対応している。図67に示したフローは、図13のフローとは、ステップST3、ST5がそれぞれステップST31、ST33に変更され、ステップST32、ST34が追加されている点で異なる。以前に説明していないステップST31〜ST34を主に説明する。ステップST2において、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST31に進み、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合はステップST32に進む。ステップST31において、運転モード判定の結果をバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定する。ステップST32において、運転モード判定の結果を昇圧モード判定すなわち第二運転モード判定と決定する。ステップST4において、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST33に進み、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合はステップST34に進む。ステップST33において、運転モード判定の結果を昇圧モード判定すなわち第二運転モード判定と決定する。ステップST34において、運転モード判定の結果をバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定する。
図68に示したフローは、図14のフローとは、ステップST3、ST5がそれぞれステップST31、ST33に変更され、ステップST32、ST34が追加されている点で異なる。以前に説明していないステップST31〜ST34を主に説明する。ステップST6において、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST31に進み、検出環境情報の検出値が閾値Xよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合はステップST32に進む。ステップST31において、運転モード判定の結果をバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定する。ステップST32において、運転モード判定の結果を昇圧モード判定すなわち第二運転モード判定と決定する。ステップST7において、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST33に進み、検出環境情報の検出値が閾値Yよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合はステップST34に進む。ステップST33において、運転モード判定の結果を昇圧モード判定すなわち第二運転モード判定と決定する。ステップST34において、運転モード判定の結果をバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定する。
ステップST35〜ST39は、実施の形態7で説明した図41に示した第一例のフロー、図47に示した第二例のフロー、図54に示した第三例のフローのいずれかに対応している。ステップST36、ST38のモータパラメータ情報値dataSは、実施の形態7の第一例、第二例、第三例によって異なっている。実施の形態7の第一例の場合、モータパラメータ情報値dataSはモータパラメータの指令値であり、閾値Z、Wはそれぞれ閾値Za、Waである。実施の形態7の第二例の場合、モータパラメータ情報値dataSはモータパラメータの検出値であり、閾値Z、Wはそれぞれ閾値Zb、Wbである。実施の形態7の第三例の場合、モータパラメータ情報値dataSはモータパラメータの推定値であり、閾値Z、Wはそれぞれ閾値Zc、Wcである。
ステップST35において、ステップST30の判定結果が昇圧モード(第二運転モード)であるかを判定する。ステップST35において、ステップST30の判定結果が昇圧モードであると判定した場合はステップST36に進み、ステップST30の判定結果が昇圧モードでないと判定した場合はステップST38に進む。ステップST36において、モータパラメータ情報値dataSが閾値Zよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST37に進み、モータパラメータ情報値dataSが閾値Zよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST37において、運転モード信号msigをバイパスモードに変更して終了する。ステップST38において、モータパラメータ情報値dataSが閾値Wよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST39に進み、モータパラメータ情報値dataSが閾値Wよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigをバイパスモードのままに維持して終了する。ステップST39において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。なお、ステップST35において昇圧モードであるかを判定する例を示したが、図15、図16で示したように最初のステップであるステップST35においてバイパスモードであるかを判定してもよい。ステップST35において、ステップST30の判定結果がバイパスモードであると判定した場合はステップST38に進み、ステップST30の判定結果がバイパスモードでないと判定した場合はステップST36に進む。
ステップST30の環境要因処理は、1つの環境要因すなわち1つの環境情報を用いて第一の運転モード判定処理を行う例を示したが、実施の形態10で説明した複数の環境要因すなわち複数の環境情報を用いて第一の運転モード判定処理を行ってもよい。航空機にとって要求したモータ出力指令等の制御指令の実現は飛行制御を行う上で重要であり、モータパラメータの情報の方が環境要因の情報よりも重要である。このため、モータパラメータの情報を用いた運転モード判定処理が環境要因の情報を用いた運転モード判定処理よりも先行して行われてもよい。この場合、モータパラメータの情報を用いた運転モード判定処理の後に、環境要因の情報による運転モード判定処理を行い、運転モード判定が最終的に決定される。モータパラメータの情報を用いた運転モード判定処理において、昇圧モードと判定された場合に、環境要因の情報を用いた運転モード判定処理をスキップしてもよい。この例が図69に示した第二例のフローである。図69に示した第二例のフローは、実施の形態11の第二例の運転モード判定部60の動作を示している。実施の形態11の第二例の運転モード判定部60は、モータパラメータの情報を用いた判定処理を行い、モータパラメータの情報を用いた判定処理にてバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定された場合にステップST47の環境要因処理を実行する例である。
図69におけるステップST41、ST42、ST44は、それぞれ図66のステップST35、ST36、ST38と同じである。ステップST41において、チョッパ3が昇圧モード(第二運転モードMd2)であるかを判定する。ステップST41において、チョッパ3が昇圧モードであると判定した場合はステップST42に進み、チョッパ3が昇圧モードでないと判定した場合はステップST44に進む。ステップST42において、モータパラメータ情報値dataSが閾値Zよりも小さい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST43に進み、モータパラメータ情報値dataSが閾値Zよりも小さくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合は運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了する。ステップST43において、運転モード判定の結果をバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定し、ステップST47に進む。ステップST44において、モータパラメータ情報値dataSが閾値Wよりも大きい場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされた場合はステップST45に進み、モータパラメータ情報値dataSが閾値Wよりも大きくない場合すなわち運転モード変更判定基準が満たされない場合はステップST46に進む。ステップST45において、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了する。ステップST46において、運転モード判定の結果をバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定し、ステップST47に進む。
ステップST47の環境要因処理は図13に示したフロー、又は図14に示したフロー等を実行する。図13に示したフロー、図14に示したフローは、実施の形態1で説明しているので、説明を繰り返さない。なお、ステップST47の環境要因処理が実行される場合は、バイパスモード判定すなわち第一運転モード判定の場合なので、ステップST4、ST5のみのフロー又はステップST7、ST5のみのフローであっても構わない。また、ステップST42において運転モード変更判定基準が満たされない場合は、ステップST43と逆の判定を行い、昇圧モード判定すなわち第二運転モード判定と決定して、運転モード信号msigを昇圧モードのままに維持して終了するということもできる。ステップST45の処理は、昇圧モード判定すなわち第二運転モード判定と決定して、運転モード信号msigを昇圧モードに変更して終了するということもできる。
なお、実施の形態11のモータ制御装置100は、実施の形態9に示したモータ制御装置100のように、操縦者により運転モード変更許可がされた場合にチョッパ3の運転モード変更を自動で行ってもよい。この場合、制御装置11及び操作盤23は、図58に示した制御装置11及び操作盤23になる。この場合は、実施の形態9のモータ制御装置100と同様に、複数の環境情報検出センサ35、モータパラメータセンサ38における一部の故障、又は表示器34の故障の際にも、操縦者の判断でチョッパ3の運転モードの変更を任意に実行することができ、不意にモータ出力等の不足が発生した場合にもモータ出力を回復させることがでる。
実施の形態11のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態7、実施の形態9、実施の形態10のモータ制御装置100と同様に、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態11のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。さらに、実施の形態11の第一例の運転モード判定部60を有するモータ制御装置100、すなわち実施の形態11の第一例のモータ制御装置100は、モータパラメータの情報に基づいて最終的なチョッパ3の運転モード変更の判定及び制御を行うので、高高度での運転中の急なモータ6の出力等のモータパラメータの変更要求にも対応できる。実施の形態11の第二例の運転モード判定部60を有するモータ制御装置100、すなわち実施の形態11の第二例のモータ制御装置100は、モータパラメータの情報を用いた判定処理にて昇圧モード判定すなわち第二運転モード判定の場合に昇圧モードに変更又は維持して終了し、モータパラメータの情報を用いた判定処理にてバイパスモード判定すなわち第一運転モード判定と決定された場合に環境要因処理を実行するので、高高度での運転中の急なモータ6の出力等のモータパラメータの変更要求にも対応できる。
以上のように、実施の形態11のモータ制御装置100は、地上から離れて飛行する飛行物体のモータ6を制御する。モータ制御装置100は、直流電力を出力する電源装置90と、直流電力を交流電力に変換してモータ6に出力する電力供給装置(インバータ5)と、電源装置90及び電力供給装置(インバータ5)を制御する制御装置11と、を備える。電源装置90は、電源(バッテリー1)と、電源(バッテリー1)の出力を直流電力に変換する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)と、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)の出力電圧(DCリンク電圧Vlk)を平滑する出力コンデンサ(コンデンサ4)と、を備える。直流出力型電力変換装置(チョッパ3)は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する。制御装置11は、飛行物体が地上から離れる場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報(環境検出情報sigev)の両方である飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。実施の形態11のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
さらに詳しく述べれば、実施の形態11の第一のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、第一の制御装置11、環境要因の情報(環境検出情報sigev)を検出する環境情報検出センサ35を備える。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態11の第一の制御装置11は、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づいて、次のように環境第二運転モード判定又は環境第一運転モード判定の判定結果を生成する。直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(検出値)が第一環境閾値(閾値X)を通過したと判定した場合に判定結果を環境第一運転モード判定とし、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(検出値)が第一環境閾値(閾値X)を通過しないと判定した場合に判定結果を環境第二運転モード判定とする。また実施の形態11の第一の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(検出値)が第二環境閾値(閾値Y)を通過したと判定した場合に判定結果を環境第二運転モード判定とし、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(検出値)が第二環境閾値(閾値Y)を通過しないと判定した場合に判定結果を環境第一運転モード判定とする。実施の形態11の第一の制御装置11は、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく判定結果が環境第二運転モード判定であり、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ情報値dataS)が第一パラメータ閾値(閾値Z)よりも小さい(変更条件B11a)と判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態11の第一の制御装置11は、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく判定結果が環境第一運転モード判定であり、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ情報値dataS)が第一パラメータ閾値(閾値Z)よりも大きい第二パラメータ閾値(閾値W)よりも大きいと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態11の第一例のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B11aを満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態11の第二のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、第二の制御装置11、環境要因の情報(環境検出情報sigev)を検出する環境情報検出センサ35を備える。電源装置90は、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を備えている。実施の形態11の第二の制御装置11は、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づいて、次のように内部第二運転モード判定又は内部第一運転モード判定の判定結果を生成する。直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードMd2で制御されている状態で、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ情報値dataS)が第一パラメータ閾値(閾値Z)よりも小さいと判定した場合に判定結果を内部第一運転モード判定とし、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ情報値dataS)が第一環境閾値(閾値Z)よりも小さくないと判定した場合に判定結果を内部第二運転モード判定とする。また実施の形態11の第二の制御装置11は、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ情報値dataS)に基づく情報値(モータパラメータ情報値dataS)が第一パラメータ閾値(閾値Z)よりも大きい第二パラメータ閾値(閾値W)よりも大きいと判定した場合に判定結果を内部第二運転モード判定とし、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく情報値(モータパラメータ情報値dataS)が第二パラメータ閾値(閾値W)よりも大きくないと判定した場合に判定結果を内部第一運転モード判定とする。実施の形態11の第二の制御装置11は、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく判定結果が内部第二運転モード判定の場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。また実施の形態11の第二の制御装置11は、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく判定結果が内部第一運転モード判定であり、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第二運転モードで制御されている状態で、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(検出値)が第一環境閾値(閾値X)を通過した(変更条件B11b)と判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御する。実施の形態11の第二の制御装置11は、モータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)に基づく判定結果が内部第一運転モード判定であり、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)が第一運転モードMd1で制御されている状態で、環境要因の情報(環境検出情報sigev)に基づく情報値(検出値)が第二環境閾値(閾値Y)を通過したと判定した場合に直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御する。実施の形態11の第二例のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件すなわち変更条件B11bを満たすと判定した場合に、直流出力型電力変換装置(チョッパ3)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態12.
図70は、実施の形態12に係るモータ制御装置の構成を示す図である。図71は図70のチョッパの構成を示す図であり、図72は図70の制御装置の第一例を示す図である。図73は、図72の制御信号生成部の構成を示す図である。図74は、図73のスイッチング周波数生成部の第二例を示す図である。図75は図70の制御装置の第二例を示す図であり、図76は図70の制御装置の第三例を示す図であり、図77は図70の制御装置の第四例を示す図である。図78は図70の制御信号生成部の構成を示す図であり、図79は図78の制御信号生成部の構成を示す図である。図80は図70の制御装置の第六例を示す図であり、図81は図80の制御信号生成部の構成を示す図である。図82は一定のスイッチング周波数におけるリップル電流特性を示す図であり、図83は一定のスイッチング周波数におけるヒステリシス損失特性を示す図である。図84は実施の形態12のリップル電流特性を示す図であり、図85は実施の形態12のヒステリシス損失特性を示す図であり、図86は実施の形態12のスイッチング周波数特性を示す図である。図87、図88、図89は、図70のモータ制御装置の動作を説明する第一例のタイミングを示す図である。図90は図70のモータ制御装置の動作を説明する第二例のタイミングを示す図であり、図91は図70のモータ制御装置の動作を説明する第三例のタイミングを示す図である。
実施の形態12のモータ制御装置100は、チョッパ3がマルチレベル型のチョッパであり、リアクトル8でのヒステリシス損失を低減する例である。チョッパ3の運転モードの変更方法は、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を適用できる。図70に示したモータ制御装置100は、図65に示したモータ制御装置100とはチョッパ3にフライングキャパシタ電圧センサ25が設置され、フライングキャパシタ電圧センサ25から出力された検出情報sig15が制御装置11に入力される点で異なる。実施の形態12のモータ制御装置100で追加された部分を主に説明する。図71に示すように、フライングキャパシタ電圧センサ25はチョッパ3のフライングキャパシタ7の電圧の情報すなわちフライングキャパシタ電圧Vfcの情報である検出情報sig15を出力する。フライングキャパシタ7が接続された接続点n1と接続点n2との電圧は、フライングキャパシタ電圧Vfcである。制御装置11は、チョッパ3の運転モードの変更方法によって、制御信号生成部68d、制御信号生成部68e、制御信号生成部68fのいずれかを備えている。
まず、一定のスイッチング周波数で制御された場合のマルチレベル型のチョッパの問題を説明する。図71に示したチョッパ3を従来の方法すなわち一定のスイッチング周波数で制御した場合のリップル電流特性111a、ヒステリシス損失特性112aを、それぞれ図82、図83に示した。適宜、一定のスイッチング周波数でチョッパ3を制御する制御方法を、比較例の制御方法又は単に比較例と記載する。図82、図83において、横軸は昇圧比Rbである。図82において、縦軸はリップル電流Ilpであり、PU単位法で示している。図83において、縦軸はヒステリシス損失Pcであり、PU単位法で示している。マルチレベル型のチョッパの特徴として、昇圧比Rbが等倍(Rb=1)及び2倍(Rb=2)においてリップル電流Ilpが理想的には極小となる。しかし、昇圧比Rbが等倍から2倍の間及び2倍以上の場合では、リップル電流Ilpが大きくなっている。リアクトル8は鉄心を有しており、ヒステリシス損失Pcを含む鉄損は、高周波のリップル電流Ilpにより生じる磁束密度の変化量B、半導体スイッチング素子のスイッチング周波数fs、リアクトル8の鉄心材料により損失量が決定される。ヒステリシス損失Pcは、高周波のリップル電流Ilpの増加に伴い大きくなる。ヒステリシス損失Pcの増加は、モータ制御装置の効率だけでなく、リアクトル8の発熱の処理のためモータ制御装置の各部が大型化及び重量化を招く問題を生じさせる。モータ制御装置の大型化及び重量化は、搭載する航空機等の配置スペース確保及び重量条件の達成が困難になる場合があり、大きな問題となる。
実施の形態12のモータ制御装置100において、チョッパ3の運転モードは、第一運転モードMd1であるバイパスモード、第二運転モードMd2である昇圧モードである。チョッパ3がバイパスモードで運転されている場合、出力電圧であるDCリンク電圧Vlkはバッテリー電圧Vbtであり、チョッパ3の出力がVbt/Vbt倍すなわち等倍である。チョッパ3の昇圧比Rbは、各運転モードのDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtで割った係数なので、バイパスモードの際の昇圧比Rbは、Vbt/Vbtすなわち1である。このときチョッパ3の通流率は0となり、半導体スイッチング素子Q5、Q6はスイッチングを停止し、高周波リップル電流は発生しない。半導体スイッチング素子Q3、Q4は同期整流のためオンしている。なお、バイパスモードにおいて、同期整流を利用せず半導体スイッチング素子Q3、Q4、Q5、Q6をすべてオフし、半導体スイッチング素子Q3、Q4のダイオードDを利用して電流を流してもよい。
実施の形態12のモータ制御装置100は、実施の形態1で説明したように、昇圧モードでは、DCリンク電圧Vlkの目標指令値すなわち昇圧電圧Vaを、入力であるバッテリー1のバッテリー電圧Vbtの概ね2倍の値に設定し、昇圧動作をさせる。チョッパ3が昇圧モードで運転されている場合、出力電圧であるDCリンク電圧Vlkは昇圧電圧Vaであり、チョッパ3の出力がVa/Vbtとなる。このとき、チョッパ3の昇圧比RbはVa/Vbtとなる。また、チョッパ3のフライングキャパシタ7のフライングキャパシタ電圧VfcはDCリンク電圧Vlkの概ね半分の値に制御する。バイパスモードの際に、DCリンク電圧Vlkがバッテリー電圧Vbtの場合、フライングキャパシタ電圧VfcがVbt/2になる。昇圧モードの際に、DCリンク電圧Vlkとなる昇圧電圧Vaが概ね2×Vbtの場合、フライングキャパシタ電圧Vfcが概ねVbtになる。
チョッパ3の運転モードが昇圧モードとバイパスモードとの間で変更されると、DCリンク電圧Vlkの目標電圧に対して定常状態に到達するまでの過渡状態が生じる。この過渡状態では昇圧比Rbは1から2の間の値をとるため、図82に示したように高周波のリップル電流が大きくなる。なお、昇圧比Rbが2になる場合は、昇圧電圧Vaが2×Vbtの場合である。
前述したようにリアクトル8の鉄心で発生する鉄損は、高周波のリップル電流Ilpにより生じる磁束密度の変化量B、半導体スイッチング素子のスイッチング周波数fs、利用しているリアクトル8の鉄心材料により損失量が決定される。ヒステリシス損失Pcと渦電流損失からなる鉄損を求める計算式としてスタインメッツの式が知られている。このスタインメッツの式からヒステリシス損失Pcの成分を抜き出すと式(1)が得られる。
Pc=K×fs×B1.6 ・・・(1)
ここで、Kは損失係数であり、fsは半導体スイッチング素子のスイッチング周波数であり、Bは磁束密度の変化量である。
一般的なチョッパ等のスイッチング回路に用いるリアクトルのコアにおいて、ヒステリシスループによる鉄損すなわちヒステリシス損失Pcが生じる。ヒステリシス損失Pcは、半導体スイッチング素子のスイッチングで生じる磁束密度変化により生じるため、磁束密度変化の上限を定めても、スイッチング周波数の増加分だけ大きくなる。このため、図83のようにヒステリシス損失Pcが大きくなり、リアクトルの発熱が大きくなる。
実施の形態12のモータ制御装置100は、バッテリー電圧センサ12から得たバッテリー電圧Vbtの情報である検出情報sig1と、DCリンク電圧センサ14から得たDCリンク電圧Vlkの情報である検出情報sig3とから、その比率に対してチョッパ3の半導体スイッチング素子のスイッチング周波数fsを変化させる。チョッパ3がバイパスモードで動作する際は、半導体スイッチング素子はスイッチングしないので、スイッチング周波数fsはゼロ(0)である。チョッパ3が昇圧モードで動作する際の定常状態、すなわちDCリンク電圧Vlkが昇圧電圧Vaになっている状態において、実施の形態12のモータ制御装置100は、スイッチング周波数fsが基本周波数であるスイッチング周波数faでチョッパ3を動作させる。チョッパ3がバイパスモードから昇圧モードへ移行する過渡状態において、実施の形態12のモータ制御装置100は、図89のようにスイッチング周波数fsがスイッチング周波数faから増加するスイッチング周波数fbでチョッパ3を動作させる。なお、チョッパ3がバイパスモードから昇圧モードへ移行する過渡状態を、適宜、電圧上昇過渡状態と呼ぶことにする。
図72に示した第一例の制御装置11を備えたモータ制御装置100は、図87のようにインバータ5のモータパラメータ指令特性114を変化させる際に、図88、図89に示すチョッパ3のDCリンク電圧特性115、スイッチング周波数特性116のように変化させる。図87、図88、図89において、横軸は時間である。図87、図88、図89において、縦軸はそれぞれモータパラメータ指令、DCリンク電圧Vlk、スイッチング周波数fsである。モータパラメータ指令特性114は、時刻t40〜時刻t42まで上昇し、時刻t42〜時刻t43まで一定であり、時刻t43〜時刻t45まで低下し、時刻t45〜時刻t46まで一定になっている例である。制御装置11は、時刻t40でチョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードで運転しており、すなわちDCリンク電圧Vlkがバッテリー電圧Vbtであり、チョッパ3のスイッチング周波数fsがゼロ(0)である。
制御装置11は、チョッパ3が第一運転モードMd1で運転中に、時刻t41でインバータ5のモータパラメータ指令特性114が閾値Waよりも高い値を示した場合、チョッパ3を第二運転モードMd2すなわち昇圧モードに変更して、チョッパ3の昇圧運転を開始しDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbtから昇圧電圧Vaに上昇させる。制御装置11は、時刻t41でスイッチング周波数fsを0からスイッチング周波数faに上昇させる。制御装置11は、時刻t41〜時刻t42の電圧上昇過渡状態において、スイッチング周波数fsをΔf+faであるスイッチング周波数fbに変化させる。Δfは変化スイッチング周波数であり、0から最大変化スイッチング周波数Δfmまで変化する。図89では、時刻tpにおけるスイッチング周波数faとスイッチング周波数fbとの差を変化スイッチング周波数Δfとして示した。ここでは、最大変化スイッチング周波数Δfmはヒステリシス損失Pcが許容損失値を超えないように制御している。ヒステリシス損失Pcが許容損失値を超えないように、許容損失値より設定マージンPc2だけ小さい損失閾値Pc1を設定している。後述する制御信号生成部68dがヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1になるとスイッチング周波数fsを上昇させて、ヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1を超えないようにする。制御信号生成部68dは、変化スイッチング周波数Δfが0より大きい場合において、ヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1よりも低下すると変化スイッチング周波数Δfを低下させ、変化スイッチング周波数Δfが0になると変化スイッチング周波数Δfの低下を中止する。
また、制御装置11は、チョッパ3が第二運転モードMd2で運転中に、時刻t44でインバータ5のモータパラメータ指令特性114が閾値Zaよりも低い値を示した場合、チョッパ3を第一運転モードMd1すなわちバイパスモードに変更して、チョッパ3のバイパス運転を開始しDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Vaからバッテリー電圧Vbtに低下させる。なお、図88では、DCリンク電圧Vlkが時刻t44から低下を開始して時刻t45でバッテリー電圧VbtになるDCリンク電圧特性115の例を示した。制御装置11は、時刻t44でスイッチング周波数fsを0にして、第二運転モードすなわち制御する第二モード制御信号sigcm2を制御信号sigc1として出力する。閾値Zaは閾値Waよりも低い値である。第一運転モードにおけるモータパラメータ指令特性114が閾値Waになる点はモード変更点P9であり、第二運転モードにおけるモータパラメータ指令特性114が閾値Zaになる点はモード変更点P10である。
実施の形態12のモータ制御装置100は、図86のようにスイッチング周波数fsを変化させることで、図84のようにチョッパ3のリップル電流Ilpを比較例に比べて低減でき、図85のようにチョッパ3のヒステリシス損失Pcを比較例に比べて低減することができる。図84、図85、図86において、横軸は昇圧比Rbである。図84において、縦軸はリップル電流Ilpであり、PU単位法で示している。図85において、縦軸はヒステリシス損失Pcであり、PU単位法で示している。図86において、縦軸はスイッチング周波数fsであり、PU単位法で示している。状態点119は、チョッパ3がバイパスモードの状態を示している。スイッチング周波数特性113は、バイパスモードの状態点119から昇圧モードに移行すると昇圧比Rbが1.0でステップ状に変化し、1.0[p.u.]になる。スイッチング周波数fsのPU単位法の基準はスイッチング周波数faなので、昇圧比Rbが1.0でスイッチング周波数fsはスイッチング周波数faに変化する。
昇圧比Rbが昇圧比値rb1において、ヒステリシス損失Pcが損失閾値Pc1になるとモータ制御装置100はチョッパ3のスイッチング周波数fsを増加させる。昇圧比Rbが昇圧比値rb1〜昇圧比値rbpにおいて、スイッチング周波数fsのスイッチング周波数faから差分すなわち変化スイッチング周波数Δfが増加し、昇圧比Rbが昇圧比値rbpで変化スイッチング周波数Δfが最大変化スイッチング周波数Δfmになる。昇圧比Rbが昇圧比値rbp〜昇圧比値rb2において、変化スイッチング周波数Δfが減少し、昇圧比Rbが昇圧比値rb2で変化スイッチング周波数Δfが0になり、スイッチング周波数fsが1.0[p.u.]になる。この昇圧比Rbが昇圧比値rb1〜昇圧比値rb2において、図85に示したヒステリシス損失特性112bのように、ヒステリシス損失Pcは損失閾値Pc1を維持している。なお、図85において、損失閾値Pc1は0.4[p.u.]である。
一定のスイッチング周波数でチョッパ3を制御する比較例において、図82、図83のようにリップル電流特性111a、ヒステリシス損失特性112aは、昇圧比Rbが昇圧比値rbpで最大になっている。ヒステリシス損失特性112a、112bは、モータ制御装置100が演算するヒステリシス損失Pcの演算値Dpcに相当する。実施の形態12のモータ制御装置100は、前述したようにヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1なるとスイッチング周波数fsを上昇させて、ヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1を超えないようにする。この制御が実施されている期間は、ヒステリシス損失特性112bにおける昇圧比Rbが昇圧比値rb1〜昇圧比値rb2になっている期間である。昇圧比Rbが昇圧比値rb2から2.0までは、ヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1より小さいので、スイッチング周波数fsが1.0[p.u.]である。昇圧比Rbが昇圧比値rb1〜昇圧比値rb2におけるリップル電流特性111bは、スイッチング周波数fsの増加に伴って低下し、昇圧比Rbが昇圧比値rbpで極小値になっている。
昇圧比Rbが2.0より大きくなるとリップル電流特性111b、ヒステリシス損失特性112bが増加する。昇圧比Rbが昇圧比値rb3になるとヒステリシス損失特性112bの値が損失閾値Pc1になるので、昇圧比Rbが昇圧比値rb1〜昇圧比値rb2になっている期間と同様にチョッパ3が制御されるので、スイッチング周波数特性113が上昇し、ヒステリシス損失特性112bの値が損失閾値Pc1のままになっている。
実施の形態12のモータ制御装置100は、ヒステリシス損失Pcを許容損失値以下に抑制するように、チョッパ3のスイッチング周波数fsを変化させて高周波化させる。すなわち、実施の形態12のモータ制御装置100は、ヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1なるとスイッチング周波数fsを上昇させて、ヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1を超えないようにする。図82に示したリップル電流特性111aと図83に示したヒステリシス損失特性112aとは、昇圧比Rbに対して連動して変化している。リップル電流Ilpは磁束密度の変化量Bに関係しているので、磁束密度の変化量Bをヒステリシス損失Pcが損失閾値Pc1になった場合の値より小さくし、チョッパ3のスイッチング周波数fsを変化させて高周波化させることで、ヒステリシス損失Pcを許容損失値以下に抑制することができる。式(1)より、ヒステリシス損失Pcは磁束密度の変化量Bに対しては1.6乗で変化し、スイッチング周波数fsの変化よりも大きい比率で変化するので、磁束密度の変化量Bの低下すなわちリップル電流Ilpの低下は有効である。
例えば図83のように改善前の最大ヒステリシス損失を1[p.u.]としたときに、ヒステリシス損失Pcの損失閾値Pc1を0.4[p.u.]と設定した場合、昇圧比Rbが1.0[p.u.]から昇圧比値rb1、及び昇圧比Rbが昇圧比値rb2から昇圧比値rb3の間はスイッチング周波数fsを変更しなくてもよく、これら昇圧比の範囲外では図86のようにスイッチング周波数fsを上げることでヒステリシス損失Pcを抑えることができる。なお、昇圧比値rb1、rb2、rb3は、それぞれ例えば1.15、1.75、2.25である。
実施の形態12のモータ制御装置100は、マルチレベル型のチョッパ3が理想昇圧比以外の状態である過渡状態において、リアクトル8でのヒステリシス損失を低減でき、リアクトル8の発熱を抑えることができる。このため、実施の形態12のモータ制御装置100は、リアクトル8を小型化でき、冷却コストの削減ができる。なお、電圧上昇過渡状態について説明したが、チョッパ3が昇圧モードからバイパスモードへ移行する過渡状態においても同様の効果を奏する。
今まで、マルチレベル型のチョッパ3におけるリアクトル8のヒステリシス損失を低減する方法を説明した。次に、このヒステリシス損失の低減方法と、チョッパ3の運転モードの変更方法すなわち実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法との組み合わせの具体例を説明する。図72に示した第一例の制御装置11は、実施の形態1〜実施の形態5、実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置である。図73に示した制御信号生成部68dは、図5に示した制御信号生成部68aとは、第一信号生成部69aが第一信号生成部82に変更され、スイッチング周波数生成部83が追加されている点で異なる。制御信号生成部68aと異なる部分を主に説明する。スイッチング周波数生成部83の第一例は、ヒステリシス損失演算部61、判定部62、スイッチング周波数変更部63を備えている。
ヒステリシス損失演算部61は、リアクトル8に流れる電流の情報である検出情報sig2、スイッチング周波数変更部63にて生成されるスイッチング周波数fsの情報であるスイッチング周波数信号sigfsに基づいて、ヒステリシス損失Pc、磁束密度の変化量Bを演算し、ヒステリシス損失Pcの情報である損失信号sigpc、磁束密度の変化量Bの情報である磁束密度変化量信号sigbを出力する。
磁束密度の変化量Bは、検出情報sig2から得られるリアクトル8のリップル電流Ilpに基づいて演算される。ヒステリシス損失演算部61は、式(1)に示したヒステリシス損失Pcのモデルを備えており、このモデルによりヒステリシス損失Pcの演算値Dpcを演算して、演算値Dpcの情報を損失信号sigpcとして出力する。ヒステリシス損失Pcの演算の際に、スイッチング周波数信号sigfsが示すスイッチング周波数fsを用いる。判定部62は、損失信号sigpcに基づいて、ヒステリシス損失Pcの演算値Dpcが損失閾値Pc1未満でないかを判定し、演算値Dpcが損失閾値Pc1未満でないことを示す損失判定信号sige1を出力する。なお、演算値Dpcが損失閾値Pc1未満でないかを判定することは、演算値Dpcが損失閾値Pc1に一致又は超過したかを判定することである。
スイッチング周波数変更部63は、スイッチング周波数fsを演算する式(2)のモデルを備えている。
fs=Dpc×K−1×B−1.6 ・・・(2)
式(2)は式(1)を変形して得られるfsの式において、Pcを演算値Dpcに置き換えたものでる。
スイッチング周波数変更部63は、運転モード信号msigがバイパスモードを示す場合に、スイッチング周波数fsが0を示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。スイッチング周波数変更部63は、運転モード信号msigがバイパスモードから昇圧モードに変化した場合に、スイッチング周波数fsが基本周波数であるfaを示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。スイッチング周波数変更部63は、運転モード信号msigが昇圧モードを示す場合に、損失判定信号sige1を受けると、損失信号sigpcが示す演算値Dpc、磁束密度変化量信号sigbが示す磁束密度の変化量Bを用いて式(2)のモデルからスイッチング周波数fsを演算し、スイッチング周波数fsの情報であるスイッチング周波数信号sigfsを出力する。
第一信号生成部82は、運転モード信号msig、スイッチング周波数信号sigfsが入力されている。第一信号生成部69aは第一運転モードすなわちバイパスモードを示す運転モード信号msigを受けると、チョッパ3を第一運転モードで制御する第一モード制御信号sigcm1を制御信号sigc1として出力する。第一信号生成部82は第二運転モードすなわち昇圧モードを示す運転モード信号msigを受けると、スイッチング周波数信号sigfsに基づくスイッチング周波数fsの第二運転モードでチョッパ3を制御する第二モード制御信号sigcm2を制御信号sigc1として出力する。すなわち、スイッチング周波数fsによって変化している第二モード制御信号sigcm2が制御信号sigc1として出力される。
以上のように、スイッチング周波数生成部83は、運転モード信号msigがバイパスモードを示す場合(第一条件の場合)、運転モード信号msigがバイパスモードから昇圧モードに変化した場合(第二条件の場合)、運転モード信号msigが昇圧モードを示しかつ演算値Dpcが損失閾値Pc1未満でないと判定された場合(第三条件の場合)に応じて、スイッチング周波数fsが異なるスイッチング周波数信号sigfsを出力する。スイッチング周波数生成部83は、第一条件の場合にスイッチング周波数fsが0を示すスイッチング周波数信号sigfsを出力し、第二条件の場合にスイッチング周波数fsが基本周波数であるfaを示すスイッチング周波数信号sigfsを出力し、第三条件の場合にスイッチング周波数fsが基本周波数であるfaよりも高いスイッチング周波数fbを示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。
スイッチング周波数生成部83は、図74に示した第二例の構成でもよい。第二例のスイッチング周波数生成部83は、バッテリー電圧Vbtの情報である検出情報sig1、DCリンク電圧Vlkの情報である検出情報sig3、運転モード信号msigに基づいて、スイッチング周波数fsを演算し、スイッチング周波数fsの情報であるスイッチング周波数信号sigfsを出力する周波数変更部84を備える例である。周波数変更部84は、図86に示したスイッチング周波数特性113のモデルすなわちスイッチング周波数fsのモデルを備えている。周波数変更部84は、検出情報sig1から得られたバッテリー電圧Vbtと検出情報sig3から得られたDCリンク電圧Vlkとから式(3)のように昇圧比Rbを演算する。
Rb=Vlk/Vbt ・・・(3)
周波数変更部84は、運転モード信号msigがバイパスモードを示す場合に、スイッチング周波数fsが0を示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。周波数変更部84は、運転モード信号msigがバイパスモードから昇圧モードに変化した場合に、スイッチング周波数fsのモデルを用いてスイッチング周波数fsが基本周波数であるfaを示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。周波数変更部84は、運転モード信号msigが昇圧モードを示す場合に、スイッチング周波数fsのモデルを用いて昇圧比Rbからスイッチング周波数fsを演算し、スイッチング周波数fsの情報であるスイッチング周波数信号sigfsを出力する。なお、図86に示したスイッチング周波数特性113のモデルすなわちスイッチング周波数fsのモデルは、ヒステリシス損失特性112aが損失閾値Pc1未満でないと判定された場合の昇圧比Rbにおいて基本周波数であるfaよりも高いスイッチング周波数fbを出力している。
なお、周波数変更部84は、図82に示したリップル電流特性111aのモデル、図83に示したヒステリシス損失特性112aのモデル、スイッチング周波数fsを演算する式(2)のモデルを備えてもよい。周波数変更部84は、検出情報sig1及び検出情報sig3から演算された昇圧比Rbにおけるヒステリシス損失Pcの演算値Dpcをヒステリシス損失特性112aのモデルから演算し、当該昇圧比Rbにおける磁束密度の変化量Bをリップル電流特性111aのモデルから演算する。
周波数変更部84は、運転モード信号msigがバイパスモードを示す場合に、スイッチング周波数fsが0を示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。周波数変更部84は、運転モード信号msigがバイパスモードから昇圧モードに変化した場合に、スイッチング周波数fsが基本周波数であるfaを示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。周波数変更部84は、運転モード信号msigが昇圧モードを示す場合に、演算値Dpcが損失閾値Pc1未満でないと判定すると、演算値Dpc、磁束密度の変化量Bを用いて式(2)のモデルからスイッチング周波数fsを演算し、スイッチング周波数fsの情報であるスイッチング周波数信号sigfsを出力する。
周波数変更部84を備えた第二例のスイッチング周波数生成部83は、第一例のスイッチング周波数生成部83と同様に、運転モード信号msigがバイパスモードを示す場合(第一条件の場合)、運転モード信号msigがバイパスモードから昇圧モードに変化した場合(第二条件の場合)、運転モード信号msigが昇圧モードを示しかつ演算値Dpcが損失閾値Pc1未満でないと判定された場合(第三条件の場合)に応じて、スイッチング周波数fsが異なるスイッチング周波数信号sigfsを出力する。スイッチング周波数生成部83は、第一条件の場合にスイッチング周波数fsが0を示すスイッチング周波数信号sigfsを出力し、第二条件の場合にスイッチング周波数fsが基本周波数であるfaを示すスイッチング周波数信号sigfsを出力し、第三条件の場合にスイッチング周波数fsが基本周波数であるfaよりも高いスイッチング周波数fbを示すスイッチング周波数信号sigfsを出力する。
実施の形態1〜実施の形態5にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置11は、前述したように図72に示した制御装置11である。この場合、環境情報検出センサ35から出力される環境検出情報sigevが、入力情報sighinとして制御信号生成部68dに入力される。図72に示した第一例の制御装置11は、制御信号生成部68dが環境検出情報sigevに基づいてチョッパ3の運転モードを変更し、チョッパ3の運転モードが変更される過渡状態においてチョッパ3のスイッチング周波数fsを制御する。図75に示した第二例の制御装置11は、実施の形態6にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置である。制御装置11は、高度推定部67及び制御信号生成部68dを備えている。高度推定部67から出力される推定高度情報esig1が、入力情報sighinとして制御信号生成部68dに入力される。図75に示した第二例の制御装置11は、制御信号生成部68dが推定高度情報esig1に基づいてチョッパ3の運転モードを変更し、チョッパ3の運転モードが変更される過渡状態においてチョッパ3のスイッチング周波数fsを制御する。
図76に示した第三例の制御装置11は、実施の形態7の第一例にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置である。制御装置11は、モータパラメータ指令センサ70及び制御信号生成部68dを備えている。モータパラメータ指令センサ70から出力されるモータパラメータ指令検出情報sigmpcが、入力情報sighinとして制御信号生成部68dに入力される。図76に示した第三例の制御装置11は、制御信号生成部68dがモータパラメータ指令検出情報sigmpcに基づいてチョッパ3の運転モードを変更し、チョッパ3の運転モードが変更される過渡状態においてチョッパ3のスイッチング周波数fsを制御する。モータパラメータ指令検出情報sigmpcから得られるモータパラメータ指令特性は、例えば図87に示したモータパラメータ指令特性114である。
実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置11は、前述したように図72に示した制御装置11である。この場合、モータパラメータセンサ38から出力されるモータパラメータ検出情報sigmpが、入力情報sighinとして制御信号生成部68dに入力される。モータパラメータ検出情報sigmpから得られる検出モータパラメータ特性は、例えば図90に示した検出モータパラメータ特性120である。検出モータパラメータ特性120は、図87に示したモータパラメータ指令特性114と同じタイミングで変化して例を示している。制御装置11の動作は、図87〜図89を用いて説明した動作と同様である。ただし、閾値Wa、Zaを閾値Wb、Zbに読み替える。閾値Zbは閾値Wbよりも低い値である。第一運転モードにおける検出モータパラメータ特性120が閾値Wbになる点はモード変更点P11であり、第二運転モードにおける検出モータパラメータ特性120が閾値Zbになる点はモード変更点P12である。
図77に示した第四例の制御装置11は、実施の形態7の第三例にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置である。制御装置11は、オブザーバ64及び制御信号生成部68dを備えている。オブザーバ64から出力されるモータパラメータ推定情報sigmpeが、入力情報sighinとして制御信号生成部68dに入力される。図77に示した第四例の制御装置11は、制御信号生成部68dがモータパラメータ推定情報sigmpeに基づいてチョッパ3の運転モードを変更し、チョッパ3の運転モードが変更される過渡状態においてチョッパ3のスイッチング周波数fsを制御する。
モータパラメータ推定情報sigmpeから得られる推定モータパラメータ特性は、例えば図91に示した推定モータパラメータ特性121である。推定モータパラメータ特性121は、図87に示したモータパラメータ指令特性114と同じタイミングで変化して例を示している。制御装置11の動作は、図87〜図89を用いて説明した動作と同様である。ただし、閾値Wa、Zaを閾値Wc、Zcに読み替える。閾値Zcは閾値Wcよりも低い値である。第一運転モードにおける推定モータパラメータ特性121が閾値Wcになる点はモード変更点P13であり、第二運転モードにおける推定モータパラメータ特性121が閾値Zcになる点はモード変更点P14である。
図78に示した第五例の制御装置11は、実施の形態8にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置である。実施の形態8にて示した運転モード変更方法を実行する実施の形態12のモータ制御装置100は、図55に示したように操作盤23が選択スイッチ37を備えている。制御装置11は、制御信号生成部68eを備えている。操縦者の指示に基づいて選択スイッチ37から出力される運転モード信号msigが、制御信号生成部68eに入力される。図79に示した制御信号生成部68eは、図56に示した制御信号生成部68bとは、第一信号生成部69aがスイッチング周波数信号sigfsも入力される第一信号生成部82に変更され、スイッチング周波数生成部83が追加されている点で異なる。図79では、図74に示した第二例のスイッチング周波数生成部83を記載した。図78に示した第五例の制御装置11は、制御信号生成部68eが選択スイッチ37から出力される運転モード信号msigに基づいてチョッパ3の運転モードを変更し、チョッパ3の運転モードが変更される過渡状態においてチョッパ3のスイッチング周波数fsを制御する。
図80に示した第六例の制御装置11は、実施の形態9にて示した運転モード変更方法を実行する制御装置である。実施の形態9にて示した運転モード変更方法を実行する実施の形態12のモータ制御装置100は、図58に示したように操作盤23が許可スイッチ51を備えている。制御装置11は、制御信号生成部68fを備えている。操縦者の決定に基づいて許可スイッチ51から出力される変更許可信号ensigが制御信号生成部68fに入力される。また、入力情報sighinは、環境検出情報sigev、モータパラメータ検出情報sigmp等である。図81に示した制御信号生成部68fは、図59に示した制御信号生成部68cとは、第一信号生成部69aがスイッチング周波数信号sigfsも入力される第一信号生成部82に変更され、スイッチング周波数生成部83が追加されている点で異なる。図81では、図74に示した第二例のスイッチング周波数生成部83を記載した。図80に示した第六例の制御装置11は、制御信号生成部68fが許可スイッチ51から出力される変更許可信号ensig及び環境検出情報sigev、モータパラメータ検出情報sigmp等の入力情報sighinに基づいてチョッパ3の運転モードを変更し、チョッパ3の運転モードが変更される過渡状態においてチョッパ3のスイッチング周波数fsを制御する。
以上のように、実施の形態12のモータ制御装置100は、マルチレベル型のチョッパ3が理想昇圧比以外の状態である過渡状態において、リアクトル8でのヒステリシス損失を低減でき、リアクトル8の発熱を抑えることができる。このため、実施の形態12のモータ制御装置100は、リアクトル8を小型化でき、冷却コストの削減ができる。また、実施の形態12のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態11のモータ制御装置100と同様に、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q1〜Q12に印加される電圧を低くできるため、チョッパ3、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態12のモータ制御装置100は、チョッパ3、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。さらに、実施の形態12のモータ制御装置100は、実施の形態11にして示した運転モード変更方法を適用すれば、高高度での運転中の急なモータ6の出力等のモータパラメータの変更要求にも対応できる。
実施の形態12のモータ制御装置100は、チョッパ3の出力電圧がバッテリー電圧Vbtの等倍及びバッテリー電圧Vbtの2倍である昇圧電圧Vaのみで動作とすれば、図84に示したリップル電流特性111bと同様にリアクトル8での磁束密度の変化量Bが極小値にすることができるので、リアクトル8での磁束密度変化を最小限に抑制可能となる。これは、リアクトル8での磁束密度の変化量Bはリップル電流Ilpにより生じるので、図84に示したリップル電流特性111bと同様にリアクトル8での磁束密度の変化量Bが極小値にすることができるからである。更に実施の形態12のモータ制御装置100は、DCリンク電圧Vlkがバッテリー電圧Vbtの等倍から2倍である昇圧電圧Vaまでの中間電圧の場合、高周波化によりリップル電流を小さくでき、磁束密度変化量を一定値以下にでき飽和を抑制でき、かつ高周波化の際のヒステリシス損失増加を抑制できる。昇圧電圧Vaがバッテリー電圧Vbtの概ね2倍の場合も、実施の形態12のモータ制御装置100は、DCリンク電圧Vlkがバッテリー電圧Vbtの等倍から2倍である昇圧電圧Vaまでの中間電圧の場合、高周波化によりリップル電流を小さくでき、磁束密度変化量を一定値以下にでき飽和を抑制でき、かつ高周波化の際のヒステリシス損失増加を抑制できる。また、実施の形態12のモータ制御装置100は、チョッパ3の定常状態の際、過渡状態の際ともにスイッチングの高周波化によりリップル電流を一定値以下にすることで、リアクトル8の鉄心の磁気飽和とヒステリシス損失による発熱を抑制でき、マルチレベル型のチョッパに用いるリアクトル8を小型化できる。
以上のように、実施の形態12のモータ制御装置100は、電源装置90、電力供給装置(インバータ5)、制御装置11を備える。電源装置90は、直流電源(バッテリー1)と、第一電圧(バッテリー電圧Vbt)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(バッテリー電圧Vbt)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する直流出力型電力変換装置であるマルチレベル型のチョッパ3とを備える。マルチレベル型のチョッパ3は、高電位側出力端子42pと低電位側出力端子42s及び低電位側入力端子41sとの間に、複数の半導体スイッチング素子Q3、Q4が直列接続された高電位側直列体と複数の半導体スイッチング素子Q5、Q6が直列接続された低電位側直列体とを備え、高電位側直列体と低電位側直列体との接続点mと高電位側入力端子41pとの間に、リアクトル8を備える。実施の形態12の制御装置11は、飛行物体が地上から離れる場合にマルチレベル型のチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報(環境検出情報sigev)の一方、又は両方である飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合、又はモータ6の制御中に飛行情報に基づいて第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合に、マルチレベル型のチョッパ3を第一運転モードMd1にて制御する。また実施の形態12の制御装置11は、マルチレベル型のチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御する際に、複数の半導体スイッチング素子Q3、Q4、Q5、Q6のスイッチング制御を第一スイッチング周波数(スイッチング周波数fa)と第一スイッチング周波数(スイッチング周波数fa)よりも高い第二スイッチング周波数(スイッチング周波数fb)とを用いて実行して、マルチレベル型のチョッパ3の入力電圧である第一電圧(バッテリー電圧Vbt)から昇圧した出力電圧である第二電圧(昇圧電圧Va)をマルチレベル型のチョッパ3から出力させる。出力電圧(昇圧電圧Va)の入力電圧(バッテリー電圧Vbt)に対する比率を昇圧比Rbとする。飛行情報が予め定められた条件は、実施の形態1〜7、実施の形態9〜11で示した変更条件である。すなわち、変更条件B1〜変更条件B6、変更条件B7a、変更条件B7b、変更条件B7c、変更条件B11a、変更条件B11aが、飛行情報が予め定められた条件である。また、実施の形態10で示した「第一条件を満たす」又は「第二条件を満たさない」も、飛行情報が予め定められた条件である。なお、実施の形態9の運転モード変更方法を適用する場合は、許可スイッチ51から出力された変更許可信号ensigが許可を示すことが付加される。モータ6の制御中に飛行情報に基づいて第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合は、実施の形態8の運転モード変更方法を適用した場合である。実施の形態12の制御装置11は、マルチレベル型のチョッパ3を第一運転モードMd1から変更して第二運転モードMd2にて制御する際に、第一スイッチング周波数(スイッチング周波数fa)にて複数の半導体スイッチング素子Q3、Q4、Q5、Q6のスイッチング制御を実行し、昇圧比Rbが予め定められた昇圧比範囲にある場合に、昇圧比Rbに応じてスイッチング制御のスイッチング周波数fsが変化する第二スイッチング周波数(スイッチング周波数fb)にて複数の半導体スイッチング素子Q3、Q4、Q5、Q6のスイッチング制御を実行する。予め定められた昇圧比範囲は、昇圧比Rbが昇圧比値rb1以上昇圧比値rb2以下の範囲、及び昇圧比Rbが昇圧比値rb3以上2.5以下の範囲である。実施の形態12のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置であるマルチレベル型のチョッパ3を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合、又はモータ6の制御中に飛行情報に基づいて第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合に、直流出力型電力変換装置であるマルチレベル型のチョッパ3を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。また、実施の形態12のモータ制御装置100は、昇圧比Rbが予め定められた昇圧比範囲にある場合に、第一スイッチング周波数(スイッチング周波数fa)よりも高い第二スイッチング周波数(スイッチング周波数fb)を用いて複数の半導体スイッチング素子Q3、Q4、Q5、Q6のスイッチング制御を実行するので、リアクトル8でのリップル電流Ilpを第二スイッチング周波数(スイッチング周波数fb)を用いない構成に比べて低減でき、リアクトル8でのヒステリシス損失Pcを第二スイッチング周波数(スイッチング周波数fb)を用いない構成に比べて低減することができる。
実施の形態13.
図92は、実施の形態13に係るモータ制御装置の構成を示す図である。図93は図92のACDCコンバータの構成を示す図であり、図94は図92の発電機の電圧を示す図である。図95は、実施の形態13に係るモータ制御装置の動作を説明する第一例のタイミングを示す図である。図96は実施の形態13に係るモータ制御装置の動作を説明する第二例のタイミングを示す図であり、図97は実施の形態13に係るモータ制御装置の動作を説明する第三例のタイミングを示す図である。図98は施の形態13に係るモータ制御装置の動作を説明する第四例のタイミングを示す図であり、図99は実施の形態13に係るモータ制御装置の動作を説明する第五例のタイミングを示す図である。実施の形態13のモータ制御装置100は、電源装置90がバッテリー1及びチョッパ3の代わりに発電機26及びACDCコンバータ27を備えており、ACDCコンバータ27の出力電圧になるDCリンク電圧Vlkを、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いて通常電圧Vgn、昇圧電圧Vaのいずれかに制御する例である。実施の形態13のモータ制御装置100は、電源装置90がバッテリー1及びチョッパ3の代わりに発電機26及びACDCコンバータ27を備え、表示器34を備える点で実施の形態1のモータ制御装置100と異なる。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。なお、図92において、環境情報検出センサ35として、高度センサ21と共に実施の形態2〜実施の形態5で説明した外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、外気温センサ19、放射線センサ24を備える例を示した。図92において、モータパラメータセンサ38として位置センサ18と共に実施の形態7の第二例(図42参照)で説明したモータ速度センサ73a、モータ出力センサ73b、モータ交流電圧センサ73c、モータ電流センサ73d、モータトルクセンサ73eを備える例を示した。表示器34は信号線89により制御装置11に接続されている。
電源装置90は、発電機26のR端子45rとACDCコンバータ27のR側入力端子46rとを接続するR相電源線50r、発電機26のS端子45sとACDCコンバータ27のS側入力端子46sとを接続するS相電源線50s、発電機26のT端子45tとACDCコンバータ27のT側入力端子46tとを接続するT相電源線50t、発電機26のO端子45оとACDCコンバータ27のO側入力端子46оとを接続するO相電源線50оを備えている。また、電源装置90は、R相電源線50rとO相電源線50оとの間に接続されたコンデンサ2、R相電源線50rとO相電源線50оとの間の電圧であるR相電圧Vrを検出する入力R相電圧センサ28、S相電源線50sとO相電源線50оとの間に接続されたコンデンサ2、S相電源線50sとO相電源線50оとの間の電圧であるS相電圧Vsを検出する入力S相電圧センサ29、T相電源線50tとO相電源線50оとの間に接続されたコンデンサ2、T相電源線50tとO相電源線50оとの間の電圧であるT相電圧Vtを検出する入力T相電圧センサ30を備えている。また、電源装置90は、相電源線50rに流れる電流を検出する入力R相電流センサ31、S相電源線50sに流れる電流を検出する入力S相電流センサ32、T相電源線50tに流れる電流を検出する入力T相電流センサ33、ACDCコンバータ27の高電位側出力端子42pに接続する高電位側電源線47pとACDCコンバータ27の低電位側出力端子42sに接続する低電位側電源線47sとの間に接続されるDCリンク用のコンデンサ4、高電位側電源線47pと低電位側電源線47sとの間の電圧でありコンデンサ4のDCリンク電圧Vlkを検出するDCリンク電圧センサ14を備えている。高電位側電源線47p、低電位側電源線47sは、インバータ5のDC母線である。
入力R相電圧センサ28は、R相電源線50rとO相電源線50оとの間の電圧すなわち発電機26のR相電圧Vrの情報である検出情報sig22aを出力する。入力S相電圧センサ29は、S相電源線50sとO相電源線50оとの間の電圧すなわち発電機26のS相電圧Vsの情報である検出情報sig22bを出力する。入力T相電圧センサ30は、T相電源線50tとO相電源線50оとの間の電圧すなわち発電機26のT相電圧Vtの情報である検出情報sig22cを出力する。検出情報sig22a、sig22b、sig22cは、発電機電圧検出情報sigvgである。入力R相電流センサ31は、R相電源線50rに流れる電流すなわちR相電流の情報である検出情報sig23aを出力する。入力S相電流センサ32は、S相電源線50sに流れる電流すなわちS相電流の情報である検出情報sig23bを出力する。入力T相電流センサ33は、T相電源線50tに流れる電流すなわちT相電流の情報である検出情報sig23cを出力する。検出情報sig23a、sig23b、sig23cは、発電機電流検出情報sigigである。
ACDCコンバータ27は、例えば6個の半導体スイッチング素子Q13、Q14、Q15、Q16、Q17、Q18を備えたPFC(Power Factor Correction)回路である。半導体スイッチング素子Q13〜Q18は、IGBT、MOSFET等の自己消弧型のパワー半導体素子である。半導体スイッチング素子Q13〜Q18は、IGBTの例を示した。半導体スイッチング素子Q13〜Q18の各端子は、コレクタ端子c、エミッタ端子e、ゲート端子gである。半導体スイッチング素子Q13〜Q18は、IGBTであるトランジスタBt、ダイオードDを備えている。直列接続された半導体スイッチング素子Q13、Q14間の接続点m1にリアクトル8が接続されている。直列接続された半導体スイッチング素子Q15、Q16間の接続点m2にリアクトル8が接続されている。直列接続された半導体スイッチング素子Q17、Q18間の接続点m3にリアクトル8が接続されている。半導体スイッチング素子Q13、Q15、Q17のコレクタ端子cは高電位側出力端子42pに接続されており、半導体スイッチング素子Q14、Q16、Q18のエミッタ端子eはO側入力端子46о及び低電位側出力端子42sに接続されている。半導体スイッチング素子Q13、Q15、Q17の各エミッタ端子eは半導体スイッチング素子Q14、Q16、Q18の各コレクタ端子cに接続されている。
実施の形態13のモータ制御装置100におけるACDCコンバータ27は、運転中の動作モードとして、第一運転モードであるバイパスモード、第二運転モードである昇圧モードを備える。第一運転モードにおけるACDCコンバータ27は、制御装置11の制御信号sigc1に基づいて、各半導体スイッチング素子Q13、Q14、Q15、Q16、Q17、Q18のスイッチング動作によりダイオード整流のように動作して、発電機26のR相電圧Vr、S相電圧Vs、T相電圧Vtの実効電圧のDC電圧である通常電圧Vgnに変換し、コンデンサ4へ直接送電する。第二運転モードにおけるACDCコンバータ27は、コンデンサ4の両端電圧であるDCリンク電圧Vlkが第一運転モードにおける実効電圧値すなわち通常電圧Vgnの値の概ね2倍となる昇圧電圧Vaになるように各半導体スイッチング素子Q13、Q14、Q15、Q16、Q17、Q18のスイッチング動作を行い昇圧運転する。これらの電力変換制御は、制御装置11によって実行される。
図95に示したDCリンク電圧特性125aは、実施の形態1〜実施の形態6にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを通常電圧Vgn、昇圧電圧Vaのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図95は、図9に対応している。図96に示したDCリンク電圧特性125bは、実施の形態7の第一例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを通常電圧Vgn、昇圧電圧Vaのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図96は、図38に対応している。図97に示したDCリンク電圧特性125cは、実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを通常電圧Vgn、昇圧電圧Vaのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図97は、図44に対応している。図98に示したDCリンク電圧特性125dは、実施の形態7の第三例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを通常電圧Vgn、昇圧電圧Vaのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図98は、図51に対応している。図99に示したDCリンク電圧特性125eは、実施の形態12のモータ制御装置100において、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを通常電圧Vgn、昇圧電圧Vaのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図99は、図88に対応している。
実施の形態13のモータ制御装置100において、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを変更する場合に、チョッパ3の運転モードはACDCコンバータ27の運転モードに読み替え、バッテリー電圧Vbtは通常電圧Vgnに読み替える。環境情報検出センサ35、モータパラメータセンサ38の具体的なセンサは、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法で説明した具体的なセンサであればよく、実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いる場合に制御装置11はモータパラメータ指令センサ70を備えている。また制御装置11、操作盤23、表示器34は、適用する実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法に応じてそれぞれの実施の形態で説明した構成を用いる。
実施の形態13のモータ制御装置100は、ACDCコンバータ27の運転モードの変更を、実施の形態1〜実施の形態12と同様に行う。なお、実施の形態12と同様にACDCコンバータ27のスイッチング周波数fsを変更する場合は、ACDCコンバータ27の3つのアームすなわちR側入力端子46rが接続されるR相アーム、S側入力端子46sが接続されるS相アーム、T側入力端子46tが接続されるT相アームが図71のように4つの半導体スイッチング素子で構成され、それぞれフライングキャパシタ7を備えるACDCコンバータ27を使用する。実施の形態1にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、高度センサ21から得られる環境情報である高度情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態2にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、外気圧センサ20から得られる環境情報である外気圧情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態3にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、空気成分濃度センサ22から得られる環境情報である空気成分濃度情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態4にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、外気温センサ19から得られる環境情報である外気温情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態5にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、放射線センサ24から得られる環境情報である放射線量情報を用いて運転モードを変更する。
実施の形態6にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、外気温センサ19、外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、放射線センサ24のいずれかから得られる環境情報に基づいて高度情報を推定し、推定高度情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態7の第一例にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、モータパラメータ指令センサ70から得られるモータパラメータの情報であるモータパラメータ指令を用いて運転モードを変更する。実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、モータパラメータセンサ38から得られるモータパラメータの情報であるモータパラメータの検出情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態7の第三例にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、オブザーバ64から得られるモータパラメータの情報であるモータパラメータの推定情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態8にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、操縦者の指示に基づいて操作盤23の選択スイッチ37から出力された運転モード信号msigを用いて運転モードを変更する。
実施の形態9にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、操縦者から運転モード変更許可が与えられ、実施の形態1〜実施の形態6の環境情報又は実施の形態7のモータパラメータの情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態10にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、高度情報、外気圧情報、空気成分濃度情報、外気温情報、放射線量情報等の環境要因のうち2種以上の情報にて優先順位を設けて運転モードを変更する。実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてACDCコンバータ27の運転モードを変更する場合は、高度情報、外気圧情報、空気成分濃度情報、外気温情報、放射線量情報等の環境要因の情報と実施の形態7で示したモータパラメータの情報との2種類の情報を用いて運転モードを変更する。
実施の形態13のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態12のモータ制御装置100と同様に、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にACDCコンバータ27、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子Q7〜Q18に印加される電圧を低くできるため、ACDCコンバータ27、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、ACDCコンバータ27、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態13のモータ制御装置100は、ACDCコンバータ27、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
以上のように、実施の形態13のモータ制御装置100は、地上から離れて飛行する飛行物体のモータ6を制御する。モータ制御装置100は、直流電力を出力する電源装置90と、直流電力を交流電力に変換してモータ6に出力する電力供給装置(インバータ5)と、電源装置90及び電力供給装置(インバータ5)を制御する制御装置11と、を備える。電源装置90は、電源(発電機26)と、電源(発電機26)の出力を直流電力に変換する直流出力型電力変換装置(ACDCコンバータ27)と、直流出力型電力変換装置(ACDCコンバータ27)の出力電圧(DCリンク電圧Vlk)を平滑する出力コンデンサ(コンデンサ4)と、を備える。直流出力型電力変換装置(ACDCコンバータ27)は、第一電圧(通常電圧Vgn)を出力する第一運転モードMd1及び第一電圧(通常電圧Vgn)よりも高い第二電圧(昇圧電圧Va)を出力する第二運転モードMd2を有する。制御装置11は、飛行物体が地上から離れる場合に直流出力型電力変換装置(ACDCコンバータ27)を第二運転モードMd2にて制御し、モータ6の制御に伴って得られるモータパラメータの情報(モータパラメータ指令検出情報sigmpc、モータパラメータ検出情報sigmp、モータパラメータ推定情報sigmpe)、飛行物体の飛行高度に関係する環境要因の情報(環境検出情報sigev)の一方、又は両方である飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合、又はモータ6の制御中に飛行情報に基づいて第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合に、直流出力型電力変換装置(ACDCコンバータ27)を第一運転モードMd1にて制御する。飛行情報が予め定められた条件は、実施の形態1〜7、実施の形態9〜11で示した変更条件である。すなわち、変更条件B1〜変更条件B6、変更条件B7a、変更条件B7b、変更条件B7c、変更条件B11a、変更条件B11aが、飛行情報が予め定められた条件である。また、実施の形態10で示した「第一条件を満たす」又は「第二条件を満たさない」も、飛行情報が予め定められた条件である。なお、実施の形態9の運転モード変更方法を適用する場合は、許可スイッチ51から出力された変更許可信号ensigが許可を示すことが付加される。モータ6の制御中に飛行情報に基づいて第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合は、実施の形態8の運転モード変更方法を適用した場合である。実施の形態13のモータ制御装置100は、この構成により、直流出力型電力変換装置(ACDCコンバータ27)を第二運転モードMd2にて制御し、飛行情報が予め定められた条件を満たすと判定した場合、又はモータ6の制御中に飛行情報に基づいて第一運転モードMd1が選択された運転モード信号msigを受信した場合に、直流出力型電力変換装置(ACDCコンバータ27)を第一運転モードMd1にて制御するので、宇宙線量の多い高高度で運転する場合にもモータ制御装置の信頼性が向上する。
実施の形態14.
図100は、実施の形態14に係るモータ制御装置の動作を説明する第一例のタイミングを示す図である。図101は実施の形態14に係るモータ制御装置の動作を説明する第二例のタイミングを示す図であり、図102は実施の形態14に係るモータ制御装置の動作を説明する第三例のタイミングを示す図である。図103は実施の形態14に係るモータ制御装置の動作を説明する第四例のタイミングを示す図であり、図104は実施の形態14に係るモータ制御装置の動作を説明する第五例のタイミングを示す図である。実施の形態14のモータ制御装置100は、実施の形態1で示したマルチレベル型のチョッパ3を有する電源装置90、実施の形態12で示した電源装置90、実施の形態13で示した電源装置90のいずれかであり、マルチレベル型のチョッパ3、ACDCコンバータ27の出力電圧になるDCリンク電圧Vlkを、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いて昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahのいずれかに制御する例である。ここで、マルチレベル型のチョッパ3、ACDCコンバータ27は、DC出力型電力変換装置と呼ぶ。
実施の形態14のモータ制御装置100は、DC出力型電力変換装置が低昇圧モードと高昇圧モードの2つの運転モードで動作する例である。DC出力型電力変換装置は、低昇圧モードの際にDCリンク電圧Vlkとして第一DC電圧である昇圧電圧Valを出力し、高昇圧モードの際にDCリンク電圧Vlkとして第二DC電圧である昇圧電圧Vahを出力する。昇圧電圧Vahは、昇圧電圧Valよりも高い電圧値である。DC出力型電力変換装置の2つの運転モードは、それぞれ高高度又はモータ6が低出力の際に利用される第一運転モードである低昇圧モード、低高度又はモータ6が高出力の際に利用される第二運転モードである高昇圧モードである。
第一運転モードにおけるDC出力型電力変換装置は、制御装置11の第一モード制御信号sigcm1である制御信号sigc1に基づいて、DCリンク電圧Vlkが第一DC電圧である昇圧電圧Valになるように各半導体スイッチング素子のスイッチング動作を行い昇圧運転する。第二運転モードにおけるDC出力型電力変換装置は、制御装置11の第二モード制御信号sigcm2である制御信号sigc1に基づいて、DCリンク電圧Vlkが第二DC電圧である昇圧電圧Vahになるように各半導体スイッチング素子のスイッチング動作を行い昇圧運転する。これらの電力変換制御は、制御装置11によって実行される。
図100に示したDCリンク電圧特性122aは、実施の形態1〜実施の形態6にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図100は、図9に対応している。図101に示したDCリンク電圧特性122bは、実施の形態7の第一例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図101は、図38に対応している。図102に示したDCリンク電圧特性122cは、実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図102は、図44に対応している。図103に示したDCリンク電圧特性122dは、実施の形態7の第三例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図103は、図51に対応している。図104に示したDCリンク電圧特性122eは、実施の形態12のモータ制御装置100において、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図104は、図88に対応している。
実施の形態14のモータ制御装置100において、マルチレベル型のチョッパ3を有する電源装置90を備ており、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを変更する場合に、バイパスモード、昇圧モードはそれぞれ低昇圧モード、高昇圧モードに読み替え、バッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vaはそれぞれ昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahに読み替える。実施の形態14のモータ制御装置100において、発電機26及びACDCコンバータ27を有する電源装置90を備ており、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを変更する場合に、バイパスモード、昇圧モードはそれぞれ低昇圧モード、高昇圧モードに読み替え、通常電圧Vgn、昇圧電圧Vaはそれぞれ昇圧電圧Val、昇圧電圧Vahに読み替える。環境情報検出センサ35、モータパラメータセンサ38の具体的なセンサは、実施の形態1〜11にて示した運転モード変更方法で説明した具体的なセンサであればよく、実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いる場合に制御装置11はモータパラメータ指令センサ70を備えている。また制御装置11、操作盤23、表示器34は、適用する実施の形態1〜実施の形態12にて示した運転モード変更方法に応じてそれぞれの実施の形態で説明した構成を用いる。
実施の形態14のモータ制御装置100は、DC出力型電力変換装置の運転モードの変更を、実施の形態1〜実施の形態11と同様に行う。実施の形態1にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、高度センサ21から得られる環境情報である高度情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態2にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、外気圧センサ20から得られる環境情報である外気圧情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態3にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、空気成分濃度センサ22から得られる環境情報である空気成分濃度情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態4にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、外気温センサ19から得られる環境情報である外気温情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態5にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、放射線センサ24から得られる環境情報である放射線量情報を用いて運転モードを変更する。
実施の形態6にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、外気温センサ19、外気圧センサ20、空気成分濃度センサ22、放射線センサ24のいずれかから得られる環境情報に基づいて高度情報を推定し、推定高度情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態7の第一例にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、モータパラメータ指令センサ70から得られるモータパラメータの情報であるモータパラメータ指令を用いて運転モードを変更する。実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、モータパラメータセンサ38から得られるモータパラメータの情報であるモータパラメータの検出情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態7の第三例にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、オブザーバ64から得られるモータパラメータの情報であるモータパラメータの推定情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態8にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、操縦者の指示に基づいて操作盤23の選択スイッチ37から出力された運転モード信号msigを用いて運転モードを変更する。
実施の形態9にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、操縦者から運転モード変更許可が与えられ、実施の形態1〜実施の形態6の環境情報又は実施の形態7のモータパラメータの情報を用いて運転モードを変更する。実施の形態10にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、高度情報、外気圧情報、空気成分濃度情報、外気温情報、放射線量情報等の環境要因のうち2種以上の情報にて優先順位を設けて運転モードを変更する。実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDC出力型電力変換装置の運転モードを変更する場合は、高度情報、外気圧情報、空気成分濃度情報、外気温情報、放射線量情報等の環境要因の情報と実施の形態7で示したモータパラメータの情報との2種類の情報を用いて運転モードを変更する。
実施の形態14のモータ制御装置100は、DC出力型電力変換装置の入力電源の電圧すなわちバッテリー電圧Vbt、R相電圧Vr、S相電圧Vs、T相電圧Vtが低電圧であってもDC出力型電力変換装置がモータ6の駆動に必要な電圧に変換でき、実施の形態1〜実施の形態12のモータ制御装置100と同様に、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にDC出力型電力変換装置、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子に印加される電圧を低くできるため、DC出力型電力変換装置、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、DC出力型電力変換装置、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態14のモータ制御装置100は、DC出力型電力変換装置、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
実施の形態15.
図105は、実施の形態15に係るモータ制御装置の動作を説明する第一例のタイミングを示す図である。図106は実施の形態15に係るモータ制御装置の動作を説明する第二例のタイミングを示す図であり、図107は実施の形態15に係るモータ制御装置の動作を説明する第三例のタイミングを示す図である。図108は実施の形態15に係るモータ制御装置の動作を説明する第四例のタイミングを示す図であり、図109は実施の形態15に係るモータ制御装置の動作を説明する第五例のタイミングを示す図である。実施の形態1〜実施の形態13において、第二電圧である昇圧モードの昇圧電圧Vaがチョッパ3、ACDCコンバータ27等のDC出力型電力変換装置のバイパスモード入力電圧すなわちバッテリー電圧Vbt、通常電圧Vgnの概ね2倍の値にする例で説明したが、昇圧電圧Vaはこれに限定されない。昇圧電圧Vaは、バッテリー電圧Vbt、通常電圧Vgnの概ね2倍でなく、モータ6の出力制御で要求されるインバータ5の出力電圧を出力可能なDCリンク電圧Vlk以上の値である昇圧電圧Vbでもよい。昇圧電圧Vbは昇圧電圧Vaよりも低い値である。
図105に示したDCリンク電圧特性123aは、実施の形態1〜実施の形態6にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを第一電圧であるバッテリー電圧Vbt、第二電圧である昇圧電圧Vbのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図105は、図9に対応している。図106に示したDCリンク電圧特性123bは、実施の形態7の第一例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vbのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図106は、図38に対応している。図107に示したDCリンク電圧特性123cは、実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vbのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図107は、図44に対応している。図108に示したDCリンク電圧特性123dは、実施の形態7の第三例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vbのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図108は、図51に対応している。図109に示したDCリンク電圧特性123eは、実施の形態12のモータ制御装置100において、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vbのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図109は、図88に対応している。なお、実施の形態13のモータ制御装置100の構成にて、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いる場合は、図105〜図109のバイパスモード入力電圧であるバッテリー電圧Vbtは、通常電圧Vgnに読み替える。
実施の形態15のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態13のモータ制御装置100と同様に、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、ACDCコンバータ27等のDC出力型電力変換装置、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子に印加される電圧を低くできるため、DC出力型電力変換装置、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、DC出力型電力変換装置、インバータ5の信頼性が向上する。実施の形態15のモータ制御装置100は、DC出力型電力変換装置、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。また、実施の形態15のモータ制御装置100は、インバータ5に入力される電圧であるDCリンク電圧Vlkが低くなるのに伴って、モータ6に印加する電圧を低下できるので、モータ6の構成機器の絶縁耐圧要求を下げることができる。
実施の形態16.
図110は、実施の形態16に係るモータ制御装置の動作を説明する第一例のタイミングを示す図である。図111は実施の形態16に係るモータ制御装置の動作を説明する第二例のタイミングを示す図であり、図112は実施の形態16に係るモータ制御装置の動作を説明する第三例のタイミングを示す図である。図113は実施の形態16に係るモータ制御装置の動作を説明する第四例のタイミングを示す図であり、図114は実施の形態16に係るモータ制御装置の動作を説明する第五例のタイミングを示す図である。実施の形態1〜実施の形態13において、第二電圧である昇圧モードの昇圧電圧Vaがチョッパ3、ACDCコンバータ27等のDC出力型電力変換装置のバイパスモード入力電圧すなわちバッテリー電圧Vbt、通常電圧Vgnの概ね2倍の値にする例で説明したが、昇圧電圧Vaはこれに限定されない。昇圧電圧Vaは、DCリンク電圧Vlkがバッテリー電圧Vbt、通常電圧Vgnの概ね2倍より低い制御目標電圧で昇圧される場合には、昇圧電圧Vaは制御目標電圧の上限である昇圧電圧Vcでもよい。昇圧電圧Vcは昇圧電圧Vaよりも低い値である。
図110に示したDCリンク電圧特性124aは、実施の形態1〜実施の形態6にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkを第一電圧であるバッテリー電圧Vbt、第二電圧である昇圧電圧Vcのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図110は、図9に対応している。図111に示したDCリンク電圧特性124bは、実施の形態7の第一例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vcのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図111は、図38に対応している。図112に示したDCリンク電圧特性124cは、実施の形態7の第二例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vcのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図112は、図44に対応している。図113に示したDCリンク電圧特性124dは、実施の形態7の第三例にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vcのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図113は、図51に対応している。図114に示したDCリンク電圧特性124eは、実施の形態12のモータ制御装置100において、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いてDCリンク電圧Vlkをバッテリー電圧Vbt、昇圧電圧Vcのいずれかに制御するタイミングを示している。すなわち、図109は、図88に対応している。なお、実施の形態13のモータ制御装置100の構成にて、実施の形態1〜実施の形態11にて示した運転モード変更方法を用いる場合は、図110〜図114のバイパスモード入力電圧であるバッテリー電圧Vbtは、通常電圧Vgnに読み替える。
実施の形態16のモータ制御装置100は、実施の形態1〜実施の形態13のモータ制御装置100と同様に、航空機等の運航において大部分の期間を占める高高度での運転中にチョッパ3、ACDCコンバータ27等のDC出力型電力変換装置、インバータ5を構成する半導体素子すなわち半導体スイッチング素子に印加される電圧を低くできるため、DC出力型電力変換装置、インバータ5を構成する半導体素子で発生する偶発故障率が低くなり、DC出力型電力変換装置、インバータ5の信頼性が向上する。また、実施の形態16のモータ制御装置100は、昇圧電圧がDCリンク電圧Vlkの制御目標電圧の上限に制限するので過剰な高電圧を抑制できる。このため、実施の形態16のモータ制御装置100は、DC出力型電力変換装置、インバータ5の信頼性が向上するので、装置全体の信頼性が向上する。
実施の形態17.
図115は実施の形態17に係るモータ制御装置の第一例の要部を示す図であり、図116は図115のインバータの構成を示す図である。図117は、実施の形態17に係るモータ制御装置の第二例の要部を示す図である。実施の形態1〜実施の形態16のモータ制御装置100として、三相電力用のモータ6を制御する構成すなわちインバータ5が三相電力用の構成である例で説明したが、これに限定されない。図115に示すように、制御対象のモータが単相モータのモータ52であり、インバータが単相電力用のインバータ80であってもよい。また、図117に示すように、制御対象のモータが二多重三相モータのモータ53であり、モータ53を制御するインバータ装置92を備えていてもよい。インバータ装置92は、2つのインバータ5を備えている。
実施の形態17のモータ制御装置100は、インバータが単相電力用のインバータ80、二多重三相電力用のインバータ装置92であっても、実施の形態1〜実施の形態16のモータ制御装置100と同様の効果を奏する。実施の形態1のモータ制御装置100と異なる部分を主に説明する。
図116に示した、実施の形態17の第一例のモータ制御装置100におけるインバータ80は、図4で示したインバータ5とは半導体スイッチング素子Q7〜Q10からなる2つのアーム構成である点で異なる。インバータ80は、2つの出力端子であるU側出力端子44u、V側出力端子44vから交流電力がモータ52に出力されるので、V相電源線49vのV相電流センサ15vは不要である。
モータ53は、第一系統のU相入力端子u1、V相入力端子v1、W相入力端子w1と、第二系統のU相入力端子u2、V相入力端子v2、W相入力端子w2を備えている。インバータ装置92の第一系統のインバータ5のU側出力端子44u、V側出力端子44v、W側出力端子44wは、それぞれモータ53の第一系統のU相入力端子u1、V相入力端子v1、W相入力端子w1とU相電源線49u、V相電源線49v、W相電源線49wにより接続されている。インバータ装置92の第二系統のインバータ5のU側出力端子44u、V側出力端子44v、W側出力端子44wは、それぞれモータ53の第二系統のU相入力端子u2、V相入力端子v2、W相入力端子w2とU相電源線54u、V相電源線54v、W相電源線54wにより接続されている。実施の形態17の第二例のモータ制御装置100は、U相電流センサ15u、V相電流センサ15v、W相電流センサ15wと共に、U相電流センサ16u、V相電流センサ16v、W相電流センサ16wを備えている。
U相電流センサ15uはU相電源線49uに流れる電流の情報である検出情報sig4aを出力する。V相電流センサ15vはV相電源線49vに流れる電流の情報である検出情報sig4bを出力し、W相電流センサ15wはW相電源線49wに流れる電流の情報である検出情報sig4cを出力する。U相電流センサ16uはU相電源線54uに流れる電流の情報である検出情報sig5aを出力する。V相電流センサ16vはV相電源線54vに流れる電流の情報である検出情報sig5bを出力し、W相電流センサ16wはW相電源線54wに流れる電流の情報である検出情報sig5cを出力する。検出情報sig4a、sig4b、sig4c、sig5a、sig5b、sig5cは、モータ電流検出情報sigimである。
実施の形態17の第二例のモータ制御装置100における制御装置11は、検出情報sig1、sig2、sig3、モータ電流検出情報sigim、モータパラメータ検出情報sigmp、環境検出情報sigev、操作盤23からの入力信号に基づいて、チョッパ3を制御する制御信号sigc1及びインバータ装置92を制御する制御信号sigc2を出力する。制御信号sigc2は、第一系統のインバータ5を制御する制御信号sigc21と第二系統のインバータ5を制御する制御信号sigc22とから構成されている。
なお、半導体スイッチング素子Q1〜Q18は、シリコンを用いて形成されたシリコン半導体の素子でも、シリコンに比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体材料を用いて形成されたワイドバンドギャップ半導体の素子でもよい。ワイドバンドギャップ半導体材料としては、例えば、炭化ケイ素(SiC:Silicon Carbide)、窒化ガリウム(GaN:Gallium Nitride)を含む窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドがある。半導体スイッチング素子Q1〜Q18が、ワイドバンドギャップ半導体材料によって形成された半導体素子、すなわちワイドバンドギャップ半導体の素子の場合は、シリコン半導体の素子よりもスイッチング速度が速く、スイッチング損失が小さい。更に、ワイドバンドギャップ半導体の素子は、シリコン半導体の素子よりも耐電圧性が高く、耐熱性も高い。そのため、半導体スイッチング素子Q1〜Q18がワイドバンドギャップ半導体の素子の場合は、半導体スイッチング素子Q1〜Q18の冷却器であるヒートシンク等が小型にでき、ヒートシンク等が不要となることもある。
なお、環境要因の情報として、飛行物体の高度情報、飛行物体の外部における外気圧情報、飛行物体の外部における空気成分濃度情報、飛行物体の外部における外気温情報、飛行物体に降り注がれた放射線の放射線量情報のいずれか一つ又は複数を用いる例を説明したが、これに限定されない。環境要因の情報は、それら複数の情報から生成された複合情報でも構わない。例えば、特性が上に凸の形状である高度情報及び放射線量情報から生成された複合情報である複合情報1は、重み付けした各情報を加算した情報である。高度情報、外気圧情報、空気成分濃度情報、外気温情報の重み付け係数を、それぞれk1、k2、k3、k4、k5とする。複合情報1の特性は、k1倍した検出高度情報特性56aとk5倍した検出放射線量情報特性56jとを加えた特性とすることができる。特性が下に凸の形状である外気圧情報、空気成分濃度情報、外気温情報から生成された複合情報である複合情報2は、重み付けした各情報を加算した情報である。複合情報2の特性は、k2倍した検出外気圧情報特性56d、k3倍した検出空気成分濃度情報特性56e、k4倍した検出外気温情報特性56iを加えた特性とすることができる。特性が上に凸の形状である環境要因の情報と特性が下に凸の形状である環境要因の情報から複合情報を生成する場合は、情報値の増減を反転させて一方の形状に合わせた特性すなわち形状を統一した特性を用いて、重み付けした各情報を加算することで、凸の形状又は下に凸の形状にした複合情報を生成することができる。
また、モータパラメータの情報の一例であるモータパラメータ指令は、モータ速度指令、モータ出力指令、モータ交流電圧指令、モータ電流指令、モータトルク指令のいずれか一つ又は複数用いる例を説明したが、これに限定されない。モータパラメータ指令は、それら複数の情報から生成された複合情報でも構わない。モータパラメータの情報の一例であるモータパラメータ検出情報は、検出モータ速度情報、検出モータ出力情報、検出モータ交流電圧情報、検出モータ電流情報、検出モータトルク情報のいずれか一つ又は複数用いる例を説明したが、これに限定されない。モータパラメータ検出情報は、それら複数の情報から生成された複合情報でも構わない。モータパラメータの情報の一例であるモータパラメータの推定情報は、推定モータ速度情報、推定モータ出力情報、推定モータトルク情報のいずれか一つ又は複数用いる例を説明したが、これに限定されない。モータパラメータの推定情報は、それら複数の情報から生成された複合情報でも構わない。さらに、モータパラメータの情報の複合情報は、モータのモータパラメータ指令、モータのモータパラメータ検出情報、モータのモータパラメータ推定情報から生成された複合情報でも構わない。モータパラメータの情報の複合情報は、環境要因の情報の複合情報と同様に生成することができる。
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。