本発明の実施形態に係る情報処理システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<システム概要>
図1は、本実施の形態に係る情報処理システムの概要を説明するための模式図である。本実施の形態に係る情報処理システムは、企業等の人事配置に関する異動又は転換等の業務について、人事担当者を支援することを目的としたシステムである。なお本実施の形態においては、人事異動又は配置転換等の対象を「従業員」とするが、「従業員」にはその時点では企業等に所属しておらず、将来的に企業等に所属する可能性がある人、例えば採用が決まっている人又は採用することを検討している人等が含まれ得る。また本実施の形態において「ポスト」は、企業等における部署、部門、地位、役職、職種、職務内容又は勤務地等であり、企業等において従業員が所属する集団又は従業員に与えられた役割等を示す。「ポスト」は、例えば「A支店B部門Cグループの職務D担当」のように、複数の情報の組み合わせで表される。
本実施の形態に係る情報処理システムは、サーバ装置1と、一又は複数の端末装置3とを備えて構成されている。サーバ装置1及び複数の端末装置3は、社内LAN(Local Area Network)及びインターネット等のネットワークNを介して相互に通信を行うことができる。本実施の形態に係る情報処理システムでは、人事異動又は配置転換等の対象となる従業員に関する情報、並びに、人事異動又は配置転換等の対象となる部署又は職種等のポストに関する情報とを、サーバ装置1がデータベースとして保持している。本実施の形態においてサーバ装置1は、例えば従業員及びポストの配置に関する制約条件の入力を、端末装置3を介して人事担当者から受け付ける。サーバ装置1は、データベースに保持した配置対象の従業員及びポストの情報と、人事担当者から受け付けた配置に関する制約条件とに基づいて、従業員及びポストを対応付けた人事配置案を作成する処理を行う。サーバ装置1は、人事配置を行う企業が所有及び管理等する装置であってもよく、この企業とは別の企業により提供されるものであってよい。
端末装置3は、人事配置が行われる企業等の従業員が使用するPC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型端末又はスマートフォン等の装置であり、本実施の形態においては例えば人事担当者及び各ポストの責任者等が使用する装置である。サーバ装置1は、各端末装置3にて人事担当者又は責任者等が入力した情報の記憶等を行うことによって、複数の端末装置3の間での情報共有等を実現する。
本実施の形態に係る端末装置3は、例えば従業員及びポストの配置に関する制約条件の入力及び選択等の操作を人事担当者から受け付け、受け付けた制約条件に関する情報をサーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、端末装置3から人事配置に関する制約条件を取得し、取得した制約条件を満たすように従業員及びポストを割り当てた人事配置の候補を作成する。ここで作成される人事配置の候補は、1つのポストに対して配置可能な複数の従業員が割り当てられ、又は、1人の従業員に対して配置可能な複数のポストが割り当てられたものであってよい。
本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が作成した人事配置の候補に対して、各ポストの責任者から割り当てられた従業員に関する評価の入力を受け付ける。各ポストの責任者は、例えばこのポストを有する部署又は部門等の部長、課長、係長又はリーダー等の社員である。サーバ装置1は、人事配置の候補に含まれる各ポストの責任者が使用する端末装置3に、人事配置の候補でこのポストに割り当てられた一又は複数の従業員に係る情報を送信する。この情報を受信した端末装置3は、ポスト及びこのポストに割り当てられた従業員に係る情報を表示すると共に、割り当てられた従業員に関する評価を責任者から受け付ける。責任者は、端末装置3を利用して、自身が責任を負うポストに対して割り当てられた従業員に対する評価を入力することができる。評価は、例えば割り当てを許可するか否かの二択の評価、優良可の三段階の評価、数値入力による5段階又は10段階等の評価が採用され得る。端末装置3は、責任者から受け付けた評価をサーバ装置1へ送信する。
責任者から各ポストに割り当てた従業員に関する評価を取得したサーバ装置1は、取得した評価を反映させた人事配置案を作成する。例えばポストに対する割り当てを許可するか否かの二択の評価を受け付ける場合、サーバ装置1は、ポストの責任者から割り当てを許可しない評価がなされた従業員をこのポストに割り当てないように、ポスト及び従業員の割り当てを行って人事配置案を作成する。即ちサーバ装置1は、人事担当者から受け付けた制約条件と、ポストの責任者から受け付けた評価とに基づいて、ポスト及び従業員を割り当てた人事配置案を作成する。サーバ装置1は、作成した人事配置案を、人事担当者が使用する端末装置3へ送信する。
なおサーバ装置1は、人事配置案を作成する際に、責任者から受け付けた評価が要因となって従業員を割り当てることができないポストが生じた場合、このポストの責任者及び関連するポストの責任者に対して再評価を依頼してもよい。サーバ装置1は、例えば以前の評価が要因で割り当てができない旨等をメッセージとして責任者の端末装置3に表示し、この責任者のポストに割り当てられた従業員についての再評価を、端末装置3を介して受け付ける。なお、このような場合の再評価は、ポストの責任者ではなく、人事担当者が行ってもよい。
サーバ装置1は作成した人事配置案を人事担当者の端末装置3へ送信し、端末装置3は自動的に作成された人事配置案を表示する。端末装置3は、自動的に作成された人事配置案に対して、人事担当者による従業員及びポストの割り当ての変更操作等を受け付けて、人事配置案を更新する。これらにより人事担当者は、サーバ装置1が制約条件及び責任者の評価に従って自動的に決定した人事配置案を基に、最終的な人事配置を決定することができる。
また、本実施の形態に係る情報処理システムでは、従業員及びポストの配置に関する制約条件として、単純制約条件(第1制約条件)及び複雑制約条件(第2制約条件)の2種類の制約条件を人事担当者は設定することができる。単純制約条件は、1人の従業員に関する情報と1つのポストに関する情報とから、このポストに対するこの従業員の割り当ての可否を決定することができる制約条件であり、他の従業員の割り当てによってこの従業員の割り当ての可否が変化しない制約条件である。単純制約条件には、例えばポストに対して要求される従業員の勤続年数、保有資格又は役職等の条件が含まれ得る。また単純制約条件には、例えば前回の人事異動と同じ部署間で前回の異動者を追跡する態様での異動を禁止する条件、即ち前回の人事異動で部署Aから部署Bへ従業員が異動している場合に今回の人事異動で部署Aから部署Bへの従業員の異動を禁止する条件が含まれ得る。また単純制約条件には、例えば従業員の自宅から勤務先までの通勤時間が所定時間を超えることを禁止する条件が含まれ得る。なお上記の単純制約条件は一例であって、これに限るものではない。
複雑制約条件は、ある従業員のポストに対する割り当ての可否が、他の従業員の他のポストに対する割り当てにより変化する制約条件である。複雑制約条件には、2つの部署の間で従業員を交換することとなる異動の禁止、例えば部署Aの従業員aを部署Bへ異動し、且つ、部署Bの従業員bを部署Aへ異動することを禁止する条件が含まれ得る。また複雑制約条件には、特定関係を有する複数の従業員の同一部署への配置禁止、例えば親族関係又は元上司部下等のような特定関係を有する2人の従業員a,bが同一の部署Aへ異動することを禁止する条件が含まれ得る。また複雑制約条件には、部署間での異動人数の制限、例えば部署Aから部署Bへの従業員の異動を2人までに制限する等の条件が含まれ得る。なお上記の複雑制約条件は一例であって、これに限るものではない。
本実施の形態に係るサーバ装置1は、上述の人事配置の候補を作成する際には、人事担当者が作成した制約条件のうち、単純制約条件を満たすようにポスト及び従業員を割り当てる。人事配置の候補に基づいて各ポストの責任者から割り当てた従業員に関する評価を取得した後、サーバ装置1は、単純制約条件及び複雑制約条件を満たし、且つ、責任者の評価結果を満たすように、人事配置案を作成する。なお人事担当者による複雑制約条件の入力は、例えば単純制約条件の入力と同じタイミングで行われてもよく、また例えば人事配置の候補を作成した後又は責任者からの評価を受け付けた後から人事配置案を作成する前までのタイミングで行われてもよい。サーバ装置1は、作成した人事配置案を人事担当者の端末装置3へ送信する。これにより人事担当者は、単純制約条件及び複雑制約条件を満たすと共に、各ポストの責任者からの評価を反映した人事配置案を得ることができる。
なおサーバ装置1が作成する人事配置案は、例えば制約条件が厳しい場合等には、必ずしも全てのポストに全ての従業員が割り当てられるとは限らず、ポストに対して割り当てることができない従業員が残る場合がある。このような従業員に対しては、例えば制約条件を変更してサーバ装置1による人事配置案の作成を再び行う、又は、人事担当者の判断でポストに従業員を割り当てる等の対応がなされ得る。また人事担当者は、サーバ装置1が自動的に作成した人事配置案に対して、所望のポスト及び従業員の割り当てを変更することが可能であってよい。
サーバ装置1は、例えば人事異動又は配置転換等の対象となる従業員に関する情報、並びに、人事異動又は配置転換等の対象となる部署又は職種等のポストに関する情報をデータベースに記憶する。これらの情報は、端末装置3にて人事担当者により入力されてサーバ装置1へ送信される。またサーバ装置1は、端末装置3にて入力又は選択等がなされた制約条件、端末装置3にて入力された責任者からの評価、及び、作成した人事配置案等の情報を記憶する。端末装置3は、サーバ装置1に記憶されたこれらの情報を読み出すことによって、人事担当者が検討中の人事配置案を再現(再表示)することができる。
なお本実施の形態に係る情報処理システムでは、制約条件及び責任者からの評価に基づいて人事配置案を決定する処理等をサーバ装置1が行うものとするが、これに限るものではない。人事配置案を決定する処理は人事担当者の端末装置3が行ってもよく、この場合にサーバ装置1はポスト及び従業員に関する情報、並びに、制約条件等の情報の記憶を行ってもよい。又は、これらの情報の記憶も端末装置3が行ってもよく、サーバ装置1は人事担当者の端末装置3と責任者の端末装置3との間での情報授受を中継するのみであってもよい。また更に、情報処理システムはサーバ装置1を備えない構成であってもよく、端末装置3が全ての処理を行う構成(いわゆるスタンドアロンの構成)であってもよい。
<装置構成>
図2は、本実施の形態に係るサーバ装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るサーバ装置1は、処理部11、記憶部(ストレージ)12及び通信部(トランシーバ)13等を備えて構成されている。なお本実施の形態においては、1つのサーバ装置1にて処理が行われるものとして説明を行うが、複数のサーバ装置1が分散して処理を行ってもよい。
処理部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)等を用いて構成されている。処理部11は、記憶部12に記憶されたサーバプログラム12aを読み出して実行することにより、端末装置3にて人事担当者又は責任者等が入力した情報を受け付けて記憶する処理、及び、これらの情報に基づいて人事配置案を作成する処理等の種々の処理を行う。
記憶部12は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部12は、処理部11が実行する各種のプログラム、及び、処理部11の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部12は、処理部11が実行するサーバプログラム12aを記憶すると共に、ポスト情報12b、従業員情報12c、制約条件情報12d、候補情報12e及び配置案情報12f等の種々の情報を記憶する。
本実施の形態においてサーバプログラム12aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体99に記録された態様で提供され、サーバ装置1は記録媒体99からサーバプログラム12aを読み出して記憶部12に記憶する。ただし、サーバプログラム12aは、例えばサーバ装置1の製造段階において記憶部12に書き込まれてもよい。また例えばサーバプログラム12aは、遠隔の他のサーバ装置等が配信するものをサーバ装置1が通信にて取得してもよい。例えばサーバプログラム12aは、記録媒体99に記録されたものを書込装置が読み出してサーバ装置1の記憶部12に書き込んでもよい。サーバプログラム12aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体99に記録された態様で提供されてもよい。
図3は、ポスト情報12bの一構成例を示す模式図である。ポスト情報12bは、人事配置の対象となるポストに関する情報である。本実施の形態に係るポスト情報12bには、例えば「ポストID」に対して「部署」、「役職」、「必要資格」、「勤続年数」及び「責任者」等の情報が対応付けて記憶されている。「ポストID」は、企業等のポストに対して一意に付される識別情報である。本実施の形態においては、1つのポストに対して1人の従業員が割り当てられるものとし、1人分のポストに対してそれぞれ異なる「ポストID」が付される。例えば同じ部署に同じ役割の2人分のポストが存在する場合には、2つのポストに対してそれぞれ異なる「ポストID」が付される。ただし、例えば同じ部署に同じ役割のポストに対しては同じ「ポストID」を付し、空きポスト情報DB12cに人数の情報を記憶する構成としてもよい。
ポスト情報12bの「部署」及び「役職」には、ポストの種類又は区分等を示す情報が記憶される。本実施の形態においては「部署」及び「役職」に具体的な文字列が記憶されるものとするが、例えば部署ID又は役職ID等の識別情報が記憶されてもよい。「必要資格」及び「勤続年数」は、このポストに対して要求される条件であり、本実施の形態において単純制約条件として人事配置を決定する際に用いられ得る条件の情報である。例えば人事担当者が単純制約条件として必要資格又は勤続年数を条件に含めた場合、ポスト情報12bに記憶された「必要資格」又は「勤続年数」が読み出されて単純制約条件として用いられる。これらの条件は制約条件情報12dに制約条件として記憶されてもよいが、本実施の形態においてはポスト毎の条件はポスト情報12bに記憶されるものとする。
ポスト情報12bの「責任者」には、このポストについての責任を負う社員、例えば部長、課長、係長又はリーダー等の社員を識別する識別情報が記憶されている。識別情報は、例えば社員に対して一意的に付される社員番号等であってよく、また例えば責任者のメールアドレス等であってもよい。本実施の形態においては、1つのポストに対して1人の責任者が設定されるものとするが、これに限るものではなく、1つのポストに対して複数の責任者が設定されてもよい。
なおポスト情報12bとして記憶される図示の情報は一例であり、これに限るものではない。ポスト情報12bには、図示の情報の他に、例えばこのポストに配置される従業員に要求されるランク、人事評価、家族構成等の種々の情報が記憶され得る。ポスト情報12bには、少なくとも単純制約条件及び複雑制約条件を満たすか否かを判断するために必要な情報と、ポストの責任者が誰であるかを判断するために必要な情報とが記憶される。
図4は、従業員情報12cの一構成例を示す模式図である。従業員情報12cは、人事配置の対象となる従業員に関する情報である。本実施の形態に係る従業員情報12cには、例えば「従業員ID」に対して「氏名」、「部署」、「役職」及び「入社年度」等の情報が対応付けて記憶されている。「従業員ID」は、企業等の従業員に対して一意に付される識別情報であり、社員番号又は社内メールアドレス等が用いられ得る。「氏名」は、従業員の氏名である。「部署」及び「役職」は、現在(即ち、人事異動又は配置転換等の前の段階)における従業員の部署及び役職である。「入社年度」は、従業員が企業等へ入社した年度である。
なお従業員情報12cとして記憶される図示の情報は一例であり、これに限るものではない。従業員情報12cには、図示の情報の他に、例えば性別、年齢、住所、ランク、保有している資格、性格判断テストの結果、これまでの業務実績、得意業務、苦手業務、又は、前回の異動からの経過年数等の種々の情報が記憶され得る。また従業員情報12cには、従業員毎の異動の条件、例えば関東地方の支店のみ異動可能又は転勤不可等の条件が記憶されてもよい。また従業員情報12cには、これまでの異動の履歴情報、例えば入社からこれまでに所属した部署及び異動の時期等の情報が記憶されてもよい。従業員情報12cには、少なくとも単純制約条件及び複雑制約条件を満たすか否かを判断するために必要な情報が記憶される。
本実施の形態においてポスト情報12b及び従業員情報12cは、人事担当者が予め人事異動の対象となる従業員及びポストの情報を収集して端末装置3にて作成し、これをサーバ装置1に登録したものである。人事担当者は、端末装置3を用いてポスト情報12b及び従業員情報12cを例えばCSV(Comma Separated Values)ファイル、データベースソフトウェアのファイル又は表計算ソフトウェアのファイル等のファイル形式で作成し、このファイルをサーバ装置1へ送信する。なおサーバ装置1が企業の全ての従業員及びポストについてのデータベースを備える場合、人事担当者はこのデータベースから人事配置の対象となるポスト及び従業員を抽出してポスト情報12b及び従業員情報12cを作成してもよい。
図5は、制約条件情報12dの一構成例を示す模式図である。制約条件情報12dは、人事担当者が設定する人事配置に対する条件であり、上述の単純制約条件及び複雑制約条件が含まれ得る。本実施の形態に係る制約条件情報12dは、「制約条件ID」に対して「種別」及び「制約条件」の情報が対応付けて記憶されている。「制約条件ID」は、制約条件に対して一意に付される識別情報である。「種別」は、制約条件が「単純」又は「複雑」のいずれであるかを示す情報である。「制約条件」は、人事異動又は配置転換等に対する具体的な条件である。なお、図示の「制約条件」は一例であって、これに限るものではない。また図示の例では「制約条件」の内容を文章として表現しているが、「制約条件」の内容は演算式等を用いて表現されるものであってよい。
図示の例では、制約条件1として、「勤続年数」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、ポスト情報12bにおいて各ポストに対して設定された「勤続年数」の条件を満たすよう人事配置を行う条件である。また制約条件2として、「保有資格」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、ポスト情報12bにおいて各ポストに対して設定された「必要資格」の条件を満たすよう人事配置を行う条件である。また制約条件3として、「役職」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、ポスト情報12bにおいて各ポストに対して設定された「役職」と一致する役職の従業員を配置する条件である。
また制約条件4として、「従業員ランクの差異±1ランク」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、各従業員に対して従業員ランクが定められ、各ポストに対して要求ランクが定められている場合に、要求ランクと従業員ランクとの差異が±1ランクの範囲内に収まるよう人事配置を決定する条件である。また制約条件5として、「所属経験のある部署への出戻り禁止」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、従業員が過去に所属した部署への異動を禁止する条件である。また制約条件6として、「前任者と同等の従業員ランクの異動者のみ可能」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、ポストに割り当てる従業員ランクが前任者と同等となるよう人事配置を決定する条件である。
また制約条件7として、「1期前の異動者を追う形の異動禁止」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、例えば前回の人事異動の際に部署Aから部署Bへ従業員の異動が行われている場合に、今回の人事異動では部署Aから部署Bへの従業員の異動を禁止する条件である。この単純制約条件を用いた人事配置の決定を行う場合、サーバ装置1は、過去の人事異動の履歴情報等を取得してこの単純制約条件の判断を行うことができる。また制約条件8として、「通勤時間90分以内」の単純制約条件が記憶されている。この単純制約条件は、従業員が自宅から職場までの通勤時間が90分以内となるように人事配置を決定する条件である。この単純制約条件を用いた人事配置の決定を行う場合、サーバ装置1は、例えば従業員の自宅住所と配置するポストの職場住所とに基づいて通勤時間を算出するか、又は、各従業員について配属先となり得る職場までの通勤時間を予め算出した情報を取得して、通勤時間が90分を超えるか否かを判断することができる。
また、図示の制約条件情報12dには、制約条件51として、「2部署間での交換となる異動禁止」の複雑制約条件が記憶されている。この複雑制約条件は、例えば部署Aの従業員aを部署Bへ異動し、且つ、部署Bの従業員bを部署Aへ異動するというような、2つの部署の間で従業員を交換することとなる異動を禁止する条件である。また制約条件52として、「親族の同一部署への配属禁止」の複雑制約条件が記憶されている。この複雑制約条件は、夫婦又は親子等の親族関係にある複数の従業員が同一の部署に配属されることを禁止する条件である。また制約条件53として、「元上司部下の同一部署への配属禁止」の複雑制約条件が記憶されている。この複雑制約条件は、過去に上司と部下との関係にあった複数の従業員が同一の部署へ配属されることを禁止する条件である。また制約条件54として、「同一部署間の異動上限2人まで」の複雑制約条件が記憶されている。この複雑制約条件は、例えば部署Aから部署Bへの従業員の異動を2人までに制限する条件である。
制約条件情報12dに記憶される単純制約条件及び複雑制約条件には、例えばサーバプログラム12aの開発者等により予め定められたデフォルトの制約条件、人事担当者がデフォルトの制約条件に対して変更を加えた制約条件、及び、人事担当者が新規に作成した制約条件等が含まれ得る。本実施の形態に係るサーバ装置1は、端末装置3を介して人事担当者による制約条件の作成及び変更等の操作を受け付けることができ、作成及び変更等がなされた制約条件を記憶部12の制約条件情報12dに記憶する。
記憶部12に記憶される候補情報12eは、ポスト情報12b、従業員情報12c及び制約条件情報12dの単純制約条件に基づいて、サーバ装置1が各ポストに対して割り当ての候補となる従業員を決定した情報、即ち人事配置の候補についての情報である。また配置案情報12fは、ポスト情報12b、従業員情報12c及び制約条件情報12dの単純制約条件に加えて、人事配置の候補に対する責任者の評価及び制約条件情報12dの複雑制約条件に応じてサーバ装置1が作成した人事配置案についての情報である。候補情報12e及び配置案情報12fの詳細については、後述する。
通信部13は、社内LAN、無線LAN及びインターネット等を含むネットワークNを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施の形態において通信部13は、ネットワークNを介して、一又は複数の端末装置3との間で通信を行う。通信部13は、処理部11から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部11へ与える。
なお記憶部12は、サーバ装置1に接続された外部記憶装置であってよい。またサーバ装置1は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。またサーバ装置1は、上記の構成に限定されず、例えば可搬型の記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部、操作入力を受け付ける入力部、又は、画像を表示する表示部等を含んでもよい。
また本実施の形態に係るサーバ装置1の処理部11には、記憶部12に記憶されたサーバプログラム12aを処理部11が読み出して実行することにより、情報取得部11a、候補決定部11b、評価受付部11c及び人事配置案作成部11d等がソフトウェア的な機能部として実現される。なおこれらの機能部は、人事配置案の作成処理に関する機能部であり、これ以外の機能部については図示及び説明を省略する。
情報取得部11aは、人事担当者が入力した配置対象のポスト及び従業員の情報、並びに、人事配置に関する制約条件等の情報を端末装置3から取得する処理を行う。情報取得部11aは、端末装置3から取得したポストに関する情報を記憶部12のポスト情報12bとして記憶し、従業員に関する情報を従業員情報12cとして記憶し、制約条件に関する情報を制約条件情報12dとして記憶する。また情報取得部11aは、人事配置の候補又は人事配置案等を作成する際に、記憶部12のポスト情報12b、従業員情報12c及び制約条件情報12d等から処理に必要な情報を取得する処理を行う。
候補決定部11bは、配置対象のポストに対して配置可能な一又は複数の従業員を候補として決定する処理を行う。候補決定部11bは、記憶部12のポスト情報12b、従業員情報12c及び制約条件情報12dの単純制約条件に基づいて、ポスト情報12bに含まれる各ポストに対し、単純制約条件を満たす従業員を従業員情報12cから抽出することで各ポストに配置する候補となる従業員を決定する。候補決定部11bは、決定した候補に関する情報を、候補情報12eとして記憶部12に記憶する。
図6は、候補情報12eの一構成例を示す模式図である。候補情報12eは、サーバ装置1が決定した人事配置の候補に関する情報である。本実施の形態に係る候補情報12eは、「ポストID」に対して一又は複数の「候補者」の情報が対応付けて記憶されたものである。候補情報12eの「候補者」には、例えば候補者となった従業員に対して付された従業員IDが記憶される。
評価受付部11cは、候補決定部11bが決定した人事配置の候補に対して、各ポストの責任者からの評価を受け付ける処理を行う。評価受付部11cは、記憶部12のポスト情報12bを参照して各ポストの責任者を調べ、各ポストの責任者が使用する端末装置3へ、各ポストに配置する候補の従業員に関する情報を送信する。これに応じて端末装置3は、責任者が責任を負うポストについて配置候補とされた従業員に関する情報を表示し、この従業員に対する評価の入力を受け付けてサーバ装置1へ送信する。評価受付部11cは、端末装置3から送信される評価の情報を受信し、例えば記憶部12に記憶する。
人事配置案作成部11dは、配置対象のポスト及び従業員について、単純制約条件、複雑制約条件及び責任者の評価に応じた人事配置案を作成する処理を行う。人事配置案作成部11dは、例えば候補決定部11bが決定した人事配置の候補から、責任者が低評価を行った候補を除外する。人事配置案作成部11dは、残された人事配置の候補について、単純制約条件及び複雑制約条件の両方を満たすポスト及び従業員の配置を探索し、できるだけ多くのポスト及び従業員が配置できるよう、ポスト及び従業員の配置を決定する。人事配置案作成部11dは、決定したポスト及び従業員配置を配置案情報12fとして記憶部12に記憶すると共に、人事担当者が使用する端末装置3へ送信する。
図7は、配置案情報12fの一構成例を示す模式図である。本実施の形態に係る配置案情報12fは、「ポスト情報」に対して「旧従業員」及び「新従業員」の情報と、「不可理由」に関する情報とが対応付けて記憶されている。「ポスト情報」は、人事異動の対象となるポストに関する情報であり、例えば「ポストID」、「部署」及び「役職」等の情報が含まれ得る。「旧従業員」は、人事異動の前の段階においてポストに割り当てられている従業員に関する情報であり、例えば「従業員ID」、「氏名」及び「役職」等の情報が含まれ得る。「新従業員」は、このポストに配置する候補として決定された従業員に関する情報であり、例えば「従業員ID」、「氏名」及び「役職」等の情報が含まれ得る。
配置案情報12fの「不可理由」は、ポストに対して従業員を配置することができないものに対して、その理由(原因)となっている制約条件が存在する場合に、この制約条件のIDが記憶される。図示の例では、ポストIDがP321の部署kの係長の役職に対して新しい従業員が割り当てられておらず、その理由が制約条件2の保有資格の制限によるものであることが示されている。また図示の例では、従業員IDがA043の従業員をいずれのポストにも割り当てることができず、その理由が制約条件3の役職の制限によるものであることが示されている。同様に、従業員IDがA059の従業員をいずれのポストにも割り当てることができず、その理由が制約条件52の親族の同一部署への配属禁止の条件によるものであることが示されている。
配置案情報12fは、サーバ装置1による人事配置の決定処理により作成され、記憶部12に記憶される。またその後に、人事担当者が人事配置案の修正等を行った場合には、記憶部12に記憶された配置案情報12fが更新される
図8は、本実施の形態に係る端末装置3の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る端末装置3は、処理部31、記憶部(ストレージ)32、通信部(トランシーバ)33、表示部(ディスプレイ)34及び操作部35等を備えて構成されている。端末装置3は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ又はタブレット型端末装置等の情報処理装置を用いて構成され得る。また本実施の形態においては、人事担当者及び責任者が使用する端末装置3は同様の構成であるものとする。例えば端末装置3に対して、人事担当者用のアプリケーションプログラム又は責任者用のアプリケーションプログラムをインストールすることで、人事担当者用の端末装置3又は責任者用の端末装置3として動作させてもよい。また例えば、端末装置3に対して同じアプリケーションプログラムをインストールし、人事担当者のID又は責任者のIDを入力して使用することで、アプリケーションプログラムを人事担当者用のモード又は責任者用のモードで動作させてもよい。
処理部31は、CPU又はMPU等の演算処理装置、ROM及びRAM等を用いて構成されている。処理部31は、記憶部32に記憶されたプログラム32aを読み出して実行することにより、人事担当者又は責任者による情報の入力を受け付ける処理、及び、人事配置の候補又は人事配置案等の情報を表示する処理等の種々の処理を行う。
記憶部32は、例えばハードディスク等の磁気記憶装置又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部32は、処理部31が実行する各種のプログラム、及び、処理部31の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部32は、処理部31が実行するプログラム32aを記憶している。本実施の形態においてプログラム32aは遠隔のサーバ装置等により配信され、これを端末装置3が通信にて取得し、記憶部32に記憶する。ただしプログラム32aは、例えば端末装置3の製造段階において記憶部32に書き込まれてもよい。例えばプログラム32aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体98に記録されたプログラム32aを端末装置3が読み出して記憶部32に記憶してもよい。例えばプログラム32aは、記録媒体98に記録されたものを書込装置が読み出して端末装置3の記憶部32に書き込んでもよい。プログラム32aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体98に記録された態様で提供されてもよい。
通信部33は、社内LAN、無線LAN及びインターネット等を含むネットワークNを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施の形態において通信部33は、ネットワークNを介して、サーバ装置1との間で通信を行う。通信部33は、処理部31から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部31へ与える。
表示部34は、液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理部31の処理に基づいて種々の画像及び文字等を表示する。
操作部35は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作を処理部31へ通知する。例えば操作部35は、機械式のボタン又は表示部34の表面に設けられたタッチパネル等の入力デバイスによりユーザの操作を受け付ける。また例えば操作部35は、マウス及びキーボード等の入力デバイスであってよく、これらの入力デバイスは端末装置3に対して取り外すことが可能な構成であってもよい。
また本実施の形態に係る端末装置3は、記憶部32に記憶されたプログラム32aを処理部31が読み出して実行することにより、表示処理部31a及び入力受付部31b等がソフトウェア的な機能部として処理部31に実現される。なおプログラム32aは、本実施の形態に係る情報処理システムに専用のプログラムであってもよく、インターネットブラウザ又はウェブブラウザ等の汎用のプログラムであってもよい。
表示処理部31aは、表示部34に種々の文字及び画像等を表示(出力)する処理を行う。本実施の形態において表示処理部31aは、サーバ装置1から送信されるデータ及び制御命令等に基づいて、人事担当者がポスト、従業員及び制約条件等に関する情報を入力するための画面、責任者がポストに割り当てられた候補者に対する評価を行うための画面、及び、サーバ装置1が作成した人事配置案を表示するための画面等の種々の画面表示を行う。
入力受付部31bは、操作部35に対する人事担当者又は責任者等の操作を受け付けることにより、種々の情報の入力を受け付ける。入力受付部31bは、入力を受け付けた情報をサーバ装置1へ送信する。入力受付部31bは、例えば配置対象となるポスト及び従業員の情報の入力、並びに、人事配置に対する制約条件の入力等を人事担当者から受け付けてサーバ装置1へ送信する。また入力受付部31bは、ポストに配置する従業員に関する評価の入力を、このポストの責任者から受け付けてサーバ装置1へ送信する。
<人事配置決定処理>
本実施の形態に係る情報処理システムでは、例えば人事担当者が予め人事異動の対象となるポスト及び従業員に関する情報を作成する。対象となるポスト及び従業員の情報は、図3に示したポスト情報12b及び図4に示した従業員情報12cに相当し、人事担当者は端末装置3を用いてこれらの情報を作成する。端末装置3は、操作部35に対する操作を受け付けることで、人事担当者によるポスト及び従業員の情報の入力を受け付け、受け付けたこれらの情報をサーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、端末装置3から受信したこれらの情報を、ポスト情報12b及び従業員情報12cとして記憶部12に記憶する。
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、例えば人事担当者が人事配置に関する制約条件を端末装置3にて入力する。本実施の形態において制約条件には単純制約条件及び複雑制約条件の2つが含まれるが、最初の段階においては少なくとも単純制約条件の入力が行われればよい。端末装置3は、人事担当者から受け付けた制約条件の情報をサーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、端末装置3から受信した制約条件の情報を、制約条件情報12dとして記憶部12に記憶する。
人事担当者は、上記のポスト情報12b、従業員情報12c及び制約条件情報12dの入力を終えた後、所定の操作を行うことによってポストに配置する従業員の候補を決定する処理の開始をサーバ装置1に対して指示する。この指示に応じてサーバ装置1は、記憶部12からポスト情報12b、従業員情報12c及び制約条件情報12dを取得して、各ポストに配置する従業員の候補を決定する処理を行う。
サーバ装置1は、ポスト情報12bから配置対象のポストと、このポストに対して設定された単純制約条件とを取得する。サーバ装置1は、従業員情報12cに含まれる各従業員が、ポストについて設定された単純制約条件(例えば必要な資格、役職又は勤続年数等)を満たすか否かを判定し、単純制約条件を満たす従業員を各ポストに配置可能な従業員の候補とする。このときにサーバ装置1は、従業員について設定された単純制約条件(例えば転勤不可又は通勤時間60分以内等)を満たさないポストについては、このポストの候補からこの従業員を除外してよい。サーバ装置1は、各ポストに対して決定した候補者の情報を、候補情報12eとして記憶部12に記憶する。サーバ装置1は、1つのポストに対して複数の従業員を候補者としてよい。
各ポストについての候補者を決定した後、サーバ装置1は、記憶部12のポスト情報12bを参照して、各ポストの責任者に関する情報を取得する。サーバ装置1は、各ポストの責任者が使用する端末装置3へ、この責任者が責任を負うポストについて配置の候補となっている従業員に関する情報を送信する。責任者の端末装置3は、サーバ装置1から受信した候補者の情報を表示して責任者に提示すると共に、ポストに対して候補となっている従業員に対する評価を責任者から受け付ける。
図9は、端末装置3が表示する候補者評価受付画面の一例を示す模式図である。端末装置3は、サーバ装置1から受信したポストに配置する従業員の候補の情報に基づいて、図9に示す候補者評価受付画面を表示部34に表示する。本実施の形態に係る端末装置3は、例えば候補者評価受付画面の最上部に「候補者評価受付画面」のタイトル文字列を表示し、その下方に「各ポストへの従業員の割り当ての可否を入力してください。」のメッセージ文字列を表示する。
端末装置3は、これらの文字列の下方に、この端末装置3を使用する責任者が責任を負うポストと、このポストに対して配置の候補となっている一又は複数の従業員に関する情報とを対応付けて表示する。本例の候補者評価受付画面において端末装置3は、責任者が責任を負う1つのポストに対して1つのウィンドウ101を表示する。図示の例では、責任者が2つのポストに対して責任を負っており、候補者評価受付画面には2つのウィンドウ101が左右に並べて表示されている。
ウィンドウ101の最上部には、ポストに関する情報を表示する矩形のポスト情報表示領域が設けられている。端末装置3は、各ウィンドウ101のポスト情報表示領域にポストID及びポスト名等の情報を表示する。図示の例では、左側のウィンドウ101のポスト情報表示領域には、ポストの情報としてポストIDが「P014」であり、且つ、ポスト名が「XXX課長」であることが表示されている。また右側のウィンドウ101のポスト情報表示領域には、ポストの情報としてポストIDが「P015」であり、且つ、ポスト名が「XXX係長」であることが表示されている。
また各ウィンドウ101には、ポスト情報表示領域の下方に、このポストに対する候補者の情報を表示する一又は複数の矩形の候補者情報表示領域が連ねて設けられている。図示の例では、左側のウィンドウ101には2つの候補者情報表示領域が設けられ、右側のウィンドウ101には3つの候補者情報表示領域が設けられている。これは、ポストIDが「P014」のポストに対して2人の候補者がおり、ポストIDが「P015」のポストに対して3人の候補者がいることを示している。
各候補者情報表示領域には、候補となった1人の従業員に関する情報として例えば顔写真、従業員ID及び従業員名等が表示されると共に、この従業員に対する評価を受け付けるためのスライドボタンが設けられる。図示の例では、ポストIDが「P014」のポストに対して設けられた2つの候補者情報表示領域に、従業員IDが「E016」且つ従業員名が「AAA」の従業員と、従業員IDが「E017」且つ従業員名が「BBB」の従業員との情報が表示されている。またポストIDが「P015」のポストに対して設けられた3つの候補者情報表示領域に、従業員IDが「E018」且つ従業員名が「CCC」の従業員と、従業員IDが「E019」且つ従業員名が「DDD」の従業員と、従業員IDが「E020」且つ従業員名が「EEE」の従業員との情報が表示されている。
候補者情報表示領域にそれぞれ設けられたスライドボタンは、左右方向に長い長円と、その内部に収められた円とを組み合わせたものであり、左右方向へのスライド操作に応じて長円内の円が左右の端へ移動することによって、二択の選択状態を設定することができる。図示の例においてスライドボタンは、長円の左端が「不可」に対応し、右端が「可」に対応しており、候補とされた従業員をこのポストに配置することに対する「可」又は「不可」のいずれかの評価を責任者から受け付けることができる。図示の例では、ポスト「P014」に対する候補者の従業員「E016」と、ポスト「P015」に対する候補者の従業員「E018」及び「E019」とが「可」と評価されている。またポスト「P014」に対する候補者の従業員「E017」と、ポスト「P015」に対する候補者の従業員「E020」とが「不可」と評価されている。
端末装置3は、候補者評価受付画面に設けられた各スライドボタンの状態を取得することにより、責任者による候補者の評価を受け付ける。端末装置3は、責任者から受け付けた候補の従業員に対する評価を、サーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、候補に対する責任者の評価を責任者が使用する端末装置3から受信して記憶部12に記憶する。サーバ装置1は、全てのポストについて責任者から候補者に対する評価を得ることができた場合、又は、予め定められた評価の期限に達した場合等に、人事担当者が使用する端末装置3へ評価が終了した旨を通知する。
なおこの段階でサーバ装置1は、責任者から取得した候補者に対する評価の内容に基づいて、再評価が必要であるか否かを判定してもよい。例えばサーバ装置1は、「可」の評価と「不可」の評価との数を比較し、「不可」の評価数が「可」の評価数を超える場合に再評価が必要であると判定することができる。また例えばサーバ装置1は、1つのポストに対して少なくとも1人の候補者に「可」の評価が与えられていない場合に、再評価が必要であると判定することができる。また例えばサーバ装置1は、「不可」の評価がなされた候補者を除外した場合に、全体として誰も配置できなくなるポストの数が閾値を超えた場合に、再評価が必要であると判定することができる。再評価の要否の判定方法は、上記のものに限らず、どのような方法が採用されてもよい。サーバ装置1は、再評価が必要であると判定した場合、責任者が使用する端末装置3へ候補者の再評価を依頼する。
人事担当者は、ポストの候補者に対する責任者の評価が終了した旨をサーバ装置1から通知された場合、サーバ装置1に対して人事配置案の作成を指示する操作を行うことができる。このときに人事担当者は、例えば制約条件の追加入力等を行ってよい。また複雑制約条件については、最初の段階で入力が行われていない場合には、この段階で入力が行われる必要がある。端末装置3は、追加の制約条件の入力を受け付けた場合に、受け付けた制約条件をサーバ装置1へ送信する。また端末装置3は、人事担当者から人事配置案の作成を指示する操作を受け付けた場合、サーバ装置1に人事配置案の作成を指示する。
サーバ装置1は、人事担当者が使用する端末装置3からの指示を受信し、人事配置案の作成を開始する。サーバ装置1は、以前に決定した各ポストに割り当てる従業員の候補と、責任者から受け付けた候補者に対する評価とに基づいて、各ポストの候補者を絞り込む。即ちサーバ装置1は、責任者から「不可」と評価された従業員を候補者から除外することで、各ポストの候補者を絞り込むことができる。次いでサーバ装置1は、絞り込んだ各ポストの候補者から1人を選択し、人事担当者から追加で入力された複雑制約条件を満たすか否かを判定する処理を繰り返し行うことによって、複雑制約条件を満たすポスト及び従業員の組み合わせを探索する。たたしこのときにサーバ装置1は、制約条件によっては、全ポストに対して全従業員を割り当てることができない可能性はある。サーバ装置1は、複雑制約条件を満たすポスト及び従業員の組み合わせから、例えば配置できたポスト及び従業員の数が最も多い組み合わせを選択し、これを人事配置案とする。サーバ装置1は、作成した人事配置案を記憶部12に記憶すると共に、人事担当者が使用する端末装置3へ人事配置案を送信する。
端末装置3は、サーバ装置1から受信した人事配置案を表示部34に表示する。人事担当者は、サーバ装置1が作成した人事配置案について、例えば配置できなかったポスト及び従業員を配置する作業、又は、人事配置案で配置されているポスト及び従業員の割り当てを変更する作業等を端末装置3にて行うことができる。端末装置3は、これらの作業の結果として人事担当者が作成した人事配置案をサーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、端末装置3から受信した人事配置案を、人事担当者によって更新された最終的な人事配置案として記憶する。
<フローチャート>
図10は、本実施の形態に係る端末装置3が行う処理の手順を示すフローチャートであり、人事担当者が使用する端末装置3の処理手順が示されている。本実施の形態において人事担当者が使用する端末装置3の処理部31の入力受付部31bは、人事担当者による操作部35に対する操作を受け付けることにより、人事配置の対象となるポストの情報の入力を受け付け(ステップS1)、人事配置の対象となる従業員の情報の入力を受け付け(ステップS2)、人事配置に対する単純制約条件の入力を受け付ける(ステップS3)。なお、ステップS1〜S3の情報入力の受け付けは、どのような順序でなされてもよい。
その後、例えば人事担当者による所定の操作に応じて、入力受付部31bは、ステップS1〜S3にて受け付けたポスト、従業員及び制約条件等の情報をサーバ装置1へ送信し(ステップS4)、ポストに配置する従業員の候補を決定する処理の開始指示をサーバ装置1へ与える(ステップS5)。この指示に応じて、サーバ装置1では単純制約条件を満たすようポストに配置する従業員の候補が決定され、各ポストに責任者による候補者の評価受付が行われる。評価受付が終了した場合に、サーバ装置1は評価が終了した旨を端末装置3へ通知する。端末装置3の処理部31は、サーバ装置1から評価終了の通知が与えられたか否かを判定する(ステップS6)。評価終了の通知が与えられていない場合(S6:NO)、処理部31は、サーバ装置1から評価終了の通知が与えられるまで待機する。
評価終了の通知が与えられた場合(S6:YES)、入力受付部31bは、人事担当者による操作部35に対する操作を受け付けることにより、追加の単純制約条件の入力を受け付け(ステップS7)、複雑制約条件の入力を受け付ける(ステップS8)。なお、ステップS7及びS8の制約条件の入力の受け付けは、どのような順序でなされてもよい。また、追加の単純制約条件又は複雑制約条件の入力が不要な場合には、これらの制約条件の入力を受け付けなくてもよい。その後、例えば人事担当者による所定の操作に応じて、入力受付部31bは、ステップS7及びS8にて受け付けた制約条件をサーバ装置1へ送信し(ステップS9)、人事配置案の作成をサーバ装置1に指示する(ステップS10)。この指示に応じてサーバ装置1は、単純制約条件、複雑制約条件及び責任者の評価に基づく人事配置案を作成し、作成した人事配置案を端末装置3へ送信する。
端末装置3の処理部31は、サーバ装置1から送信される人事配置案を受信する(ステップS11)。処理部31の表示処理部31aは、サーバ装置1から受信した人事配置案を表示部34に表示し(ステップS12)、処理を終了する。この後、端末装置3は、表示した人事配置案に対する修正等の操作を人事担当者から受け付けて、人事配置案を修正等してもよい。
図11は、本実施の形態に係るサーバ装置1が行う処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係るサーバ装置1の処理部11の情報取得部11aは、人事担当者が使用する端末装置3から送信されるポスト、従業員及び制約条件等の情報を受信する(ステップS21)。情報取得部11aは、端末装置3から受信したこれらの情報を、記憶部12にポスト情報12b、従業員情報12c及び制約条件情報12dとして記憶する(ステップS22)。処理部11は、端末装置3からポストに配置する従業員の候補を決定する処理の開始指示を与えられたか否かを判定する(ステップS23)。候補決定処理の開始指示が与えられていない場合(S23:NO)、処理部11は、開始指示が与えられるまで待機する。
端末装置3から候補決定処理の開始指示が与えられた場合(S23:YES)、情報取得部11aは、人事配置の対象となるポスト及び従業員の情報を、記憶部12のポスト情報12b及び従業員情報12cから取得する(ステップS24)。また情報取得部11aは、人事配置に対する単純制約条件を、記憶部12の制約条件情報12dから取得する(ステップS25)。処理部11の候補決定部11bは、ステップS25にて取得した単純制約条件を満たすように、ポストに対して配置可能な従業員を候補として決定する(ステップS26)。
次いで処理部11の評価受付部11cは、ステップS26にて決定したポスト及び従業員の候補の情報を、各ポストの責任者が使用する端末装置3へ送信する(ステップS27)。この情報を受信した端末装置3は、各ポストの候補に対する責任者の評価を受け付けてサーバ装置1へ送信する。評価受付部11cは、責任者の端末装置3から評価の情報を受信することで、候補に対する評価を受け付ける(ステップS28)。評価受付部11cは、例えば全ての責任者から全てのポストについて候補者の評価を受け付けた場合、又は、所定の評価期限に至った場合等に、人事担当者が使用する端末装置3へ評価の終了を通知する(ステップS29)。
次いで情報取得部11aは、人事担当者が使用する端末装置3から送信される追加の単純制約条件を受信する(ステップS30)。情報取得部11aは、同じく端末装置3から送信される複雑制約条件を受信する(ステップS31)。情報取得部11aは、端末装置3から受信した追加の単純制約条件及び複雑制約条件を、記憶部12の制約条件情報12dに記憶する(ステップS32)。処理部11は、端末装置3から人事配置案の作成指示が与えられたか否かを判定する(ステップS33)。作成指示が与えられていない場合(S33:NO)、処理部11は、作成指示が与えられるまで待機する。
人事配置案の作成指示が与えられた場合(S33:YES)、処理部11の人事配置案作成部11dは、単純制約条件、複雑制約条件及び責任者の評価に基づいて、ポストに対する従業員の割り当てを決定した人事配置案を作成する(ステップS34)。人事配置案作成部11dは、作成した人事配置案を、人事担当者が使用する端末装置3へ送信し(ステップS35)、処理を終了する。
図12は、本実施の形態に係る端末装置3が行う処理の手順を示すフローチャートであり、各ポストの責任者が使用する端末装置3の処理手順が示されている。本実施の形態に係る端末装置3の処理部31は、サーバ装置1が決定したポストに配置する従業員の候補についての情報を受信する(ステップS51)。処理部31の表示処理部31aは、受信した候補情報を、図9に示した候補者評価受付画面により表示部34に表示する(ステップS52)。処理部31の入力受付部31bは、候補者評価受付画面に設けられたスライドボタンの状態を取得することによって、候補者に対する責任者の評価の入力を受け付ける(ステップS53)。入力受付部31bは、受け付けた評価をサーバ装置1へ送信し(ステップS54)、処理を終了する。
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が端末装置3を介して人事担当者から配置対象の従業員及びポストの情報を取得すると共に、従業員及びポストの対応に関する制約条件を取得する。またサーバ装置1は、端末装置3を介して各ポストの責任者から、このポストに関する情報を受け付ける。サーバ装置1は、人事担当者から取得した制約条件及び責任者から受け付けたポストに関する情報に基づいて、従業員及びポストを対応付けた人事配置案を作成する。これによりサーバ装置1は、各ポストの責任者から受け付けた情報を考慮して人事配置案を作成することができ、人事担当者による人事異動又は配置転換等の検討を支援することが期待できる。
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が制約条件に基づいて各ポストに対する候補となる従業員を決定し、決定した各ポストの候補となる従業員に関する評価を、各ポストの責任者から受け付ける。サーバ装置1は、人事担当者から取得した制約条件及び責任者から受け付けた候補者の評価に基づいて、従業員及びポストを対応付けた人事配置案を作成する。これによりサーバ装置1は、制約条件に基づいて各ポストに配置する従業員の候補を予め決定し、各ポストの責任者から候補者に対する評価を予め受け付けることができる。サーバ装置1は、候補者に対する責任者の評価に基づいて人事配置案を作成することができるため、最終的に決定された人事配置案に対して責任者からの不満等が生じることを抑制することが期待できる。
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が例えば記憶部12のポスト情報12bを参照して各ポストに対する責任者を特定し、特定した責任者が使用する端末装置3へこの責任者が責任を負うポスト及びこのポストに対する候補となる従業員に関する情報を送信して、端末装置3に候補者評価受付画面を表示させる。サーバ装置1は、端末装置3を介して責任者から候補となる従業員への評価を受け付ける。これにより情報処理システムでは、人事担当者の介在なしに、サーバ装置1及び責任者が使用する端末装置3の間で情報の授受が行われ、候補者に対する責任者の評価を取得することができる。
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、個々の従業員についてポストに対する配置を制約する単純制約条件(第1制約条件)と、他の従業員との関係で配置を制約する複雑制約条件(第2制約条件)をサーバ装置1が人事担当者から取得する。サーバ装置1は、取得した単純制約条件に基づいて各ポストの候補となる従業員を決定し、各ポストの責任者から候補となる従業員に関する評価を受け付ける。その後、サーバ装置1は、取得した単純制約条件及び複雑制約条件と、責任者から受け付けた評価とに基づいて、ポスト及び従業員を対応付けた人事配置案を作成する。これにより、各ポストの候補となる従業員を決定する処理を簡略化又は高速化等することが期待できる。
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、責任者から受け付けた候補者に対する評価に基づいて、サーバ装置1が再評価の要否を判定する。サーバ装置1は、例えば候補者に対する評価により従業員を配置できないポストが生じた場合、又は、従業員を配置できないポストの数が閾値を超えた場合等に、再評価が必要であると判定することができる。再評価が必要であると判定した場合、サーバ装置1は、例えば責任者の端末装置3に候補者に関する情報を再送信し、責任者から各候補者に対する再評価を受け付ける。これにより、責任者の評価結果によって人事配置案の作成が過度に制限されることを抑制することが期待できる。
<実施の形態2>
実施の形態2に係る情報処理システムでは、ポストに配置する候補として決定された従業員に対する責任者の評価を、「可」及び「不可」の2段階ではなく、例えばAランク〜Cランクの3段階で受け付ける。なお、Aランクが高評価、Bランクが中評価、Cランクが低評価とする。サーバ装置1は、例えばCランクと評価された従業員についてはポストに配置する候補から除外する。サーバ装置1は、できるだけAランクと評価された従業員をポストに配置するよう人事配置案の作成を行い、例えば複雑制約条件によりAランクの従業員を配置できない場合に、Bランクの従業員を配置して人事配置案を作成する。またサーバ装置1は、Aランク及びBランクの従業員を配置できない場合、Cランクの従業員をポストに対して配置した人事配置案を作成してもよい。
なお、ポストの責任者から受け付ける評価は2段階又は3段階に限らず、4段階以上であってもよい。責任者から受け付けた複数段階の評価は、サーバ装置1が人事配置案を作成する際に、どのように用いられてもよい。2段階評価の「不可」又は3段階評価の「Cランク」等のように、従業員に与えられた最も低い評価は、このポストにこの従業員を配置することを必ずしも禁止するものではなく、サーバ装置1が人事配置案を作成する際にある程度考慮されるものであってよい。
<実施の形態3>
実施の形態3に係る情報処理システムでは、人事配置の対象となった従業員の元のポストの責任者から、この従業員を配置する候補となる一又は複数のポストについての評価を受け付ける。実施の形態3に係るサーバ装置1は、記憶部12のポスト情報12b及び従業員情報12cと、制約条件情報12dの単純制約条件に基づいて、単純制約条件を満たしてポストに割り当て可能な一又は従業員を候補として決定する。サーバ装置1は、配置対象の全てのポストについて候補者を決定するが、これにより全ての候補者について配置先の候補となるポストが決定される。サーバ装置1は、各従業員について元のポスト(現在のポスト、人事配置前のポスト)及びこのポストの責任者を特定し、特定した責任者が使用する端末装置3に、この従業員の情報と、この従業員の配置先の候補となっている一又は複数のポストの情報とを送信し、各ポストに対する責任者の評価を依頼する。
サーバ装置1から従業員及びポストの候補に関する情報を受信した端末装置3は、候補ポスト評価受付画面を表示部34に表示して、異動先のポストの候補に対する評価を受け付ける。図13は、実施の形態3に係る端末装置3が表示する候補ポスト評価受付画面の一例を示す模式図である。端末装置3は、サーバ装置1から受信した従業員を配置する候補となるポストに情報に基づいて、図示の候補ポスト評価受付画面を表示部34に表示する。実施の形態3に係る端末装置3は、例えば候補ポスト評価受付画面の最上部に「候補ポスト評価受付画面」のタイトル文字列を表示し、その下方に「各従業員の割り当て先のポストの可否を入力してください。」のメッセージ文字列を表示する。
端末装置3は、これらの文字列の下方に、この端末装置3を使用する責任者が責任を負うポストの現在の従業員と、この従業員の配置先の候補となっている一又は複数のポストに関する情報とを対応付けて表示する。本例の候補ポスト評価受付画面において端末装置3は、評価対象となる1人の従業員に対して1つのウィンドウ102を表示する。図示の例は、責任者が2人の従業員に対して配置先のポストを評価する場合であり、候補ポスト評価受付画面には2つのウィンドウ102が左右に並べて表示されている。
ウィンドウ102の最上部には、従業員に関する情報を表示する矩形の従業員情報表示領域が設けられている。端末装置3は、各ウィンドウ102の従業員情報表示領域に従業員の顔写真、従業員ID及び従業員名等の情報を表示する。図示の例では、左側のウィンドウ102の従業員情報表示領域には、従業員の情報として従業員ID「E016」及び従業員名「AAA」が表示されている。また右側のウィンドウ102の従業員情報表示領域には、従業員の情報として従業員ID「E017」及び従業員名「BBB」が表示されている。
また各ウィンドウ102には、従業員情報表示領域の下方に、この従業員に対して割り当て候補となるポストの情報を表示する一又は複数の矩形のポスト情報表示領域が連ねて設けられている。図示の例では、左側のウィンドウ102及び右側のウィンドウ102に、それぞれ2つのポスト情報表示領域が設けられている。これは、各従業員に対して配置先のポストの候補が2つずつ存在することを示している。
各ポスト情報表示領域には、従業員の配置先の候補となった1つのポストに関する情報として例えばポストID及びポスト名等が表示されると共に、このポストに対する評価を受け付けるためのスライドボタンが設けられる。図示の例では、従業員IDが「E016」の従業員に対して設けられた2つのポスト情報表示領域に、ポストIDが「P014」且つポスト名が「XXX課長」のポストと、ポストIDが「P024」且つポスト名が「YYY課長」のポストとの情報が表示されている。また従業員IDが「E017」の従業員に対して設けられた2つのポスト情報表示領域に、ポストIDが「P015」且つポスト名が「XXX係長」のポストと、ポストIDが「P041」且つポスト名が「ZZZ係長」のポストとの情報が表示されている。
ポスト情報表示領域にそれぞれ設けられたスライドボタンは、左右方向へのスライド操作に応じて、従業員の配置先の候補のポストに対する「可」又は「不可」のいずれかの評価を責任者から受け付ける。図示の例では、従業員「E016」の配置先の候補ポスト「P014」と、従業員「E017」の配置先の候補ポスト「P041」とが「可」と評価されている。また従業員「E016」の配置先の候補ポスト「P024」と、従業員「E017」の配置先の候補ポスト「P015」とが「不可」と評価されている。
端末装置3は、候補ポスト評価受付画面に設けられた各スライドボタンの状態を取得することにより、責任者による候補ポストの評価を受け付ける。端末装置3は、責任者から受け付けた候補のポストに対する評価を、サーバ装置1へ送信する。サーバ装置1は、候補ポストに対する責任者の評価を責任者が使用する端末装置3から受信して記憶部12に記憶する。サーバ装置1は、全ての従業員について責任者から候補ポストに対する評価を得ることができた場合、又は、予め定められた評価の期限に達した場合等に、人事担当者が使用する端末装置3へ評価が終了した旨を通知する。
その後、サーバ装置1は、人事担当者から受け付けた単純制約条件及び複雑制約条件と、責任者から受け付けたポストの候補に対する評価とに基づいて、人事配置案を作成する。サーバ装置1は、以前に決定した各従業員の配置先のポストの候補と、責任者から受け付けたポストに対する評価とに基づいて、各従業員を配置するポストの候補を絞り込む。即ちサーバ装置1は、責任者から「不可」と評価されたポストを従業員の配置先の候補から除外することで、各従業員の配置先の候補を絞り込むことができる。次いでサーバ装置1は、候補を絞り込んだポスト及び従業員の対応に基づいて、人事担当者から追加で入力された単純制約条件及び複雑制約条件を満たす対応を探索することにより、人事配置案を作成することができる。
以上の構成の実施の形態3に係る情報処理システムは、配置対象の従業員の異動元のポストの責任者から、この従業員の異動先の候補となるポストに関する評価を、端末装置3を介してサーバ装置1が受け付ける。サーバ装置1は、人事担当者から受け付けた制約条件、及び、責任者から受け付けたポストに関する評価に基づいて、人事配置案を作成する。これにより、異動元のポストの責任者から従業員の異動先の候補となるポストの是非等の情報を取得して人事配置案の作成に反映させることが期待できる。
なお、実施の形態3に係る情報処理システムは、元のポストの責任者から従業員の配置先の候補ポストに対する評価を受け付ける構成であるが、更に配置先のポストの責任者からこのポストに配置する従業員の候補に対する評価を受け付けてもよい。
<実施の形態4>
実施の形態4に係る情報処理システムは、サーバ装置1が予め各ポストに対して決定した候補者についてこのポストの責任者から候補者の評価を受け付けるのではなく、配置対象の全ての従業員について各ポストの責任者からこのポストに配置することに対する評価を受け付ける。即ち、実施の形態4に係る情報処理システムは、まず各ポストの責任者から配置対象の全従業員についての評価を受け付け、その後にサーバ装置1が責任者から受け付けた評価、人事担当者から受け付けた単純制約条件及び複雑制約条件を基に、人事配置案を作成する。このときにサーバ装置1は、例えばポストの責任者から低評価が与えられた従業員をこのポストに配置しないように、ポスト及び従業員の割り当てを決定することができる。またサーバ装置1は、例えばポストの責任者から高評価が与えられた従業員を、できるだけこのポストに配置するように、ポスト及び従業員の割り当てを決定することができる。
以上の構成の実施の形態4に係る情報処理システムは、サーバ装置1が各ポストの責任者から当該ポストに関する情報として、配置対象の全従業員についてこのポストに配置することに対する評価を受け付ける。サーバ装置1は、責任者から受け付けた評価と、人事担当者から受け付けた単純制約条件及び複雑制約条件とに基づいて、人事配置案を作成する。これにより、各ポストの責任者の希望等を反映させた人事配置案を作成することが期待できる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。