JP6874349B2 - 鋳型の作成方法及び鋳型作成装置、並びにモデル材の成型方法 - Google Patents

鋳型の作成方法及び鋳型作成装置、並びにモデル材の成型方法 Download PDF

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本発明は、鋳型の作成方法及び鋳型作成装置、並びにモデル材の成型方法に関する。
ハイドロゲルや生体材料などのもろい材料の三次元構造を、従来の金属やプラスチックからなる鋳型で成型する際、2つの問題点がある。
1つ目の問題点は、オンデマンド性が低い点である。鋳型を形成するために、まず金属やプラスチックの素材を切削などにより加工する工程が必要になる。また成型したいゲルの形状が変わった場合、鋳型を切削加工で新たに製造する必要がある。
2つ目の問題点は、離型による負荷がかかる点である。鋳型から成型したゲルを外す場合、鋳型内壁と成型物との間に摩擦が生じ、成型物が破壊される可能性がある。
また、温度応答性ゾル−ゲル転移材料を積層して三次元構造物を得る方法として、特許文献1(特表2013−542728号公報)に記載された方法が知られている。しかし、特許文献1には、三次元構造物を鋳型として用いるための思想は記載されていない。
本発明は、もろい材料を鋳造する場合における従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、オンデマンドに形成でき、かつ離型時の負荷が小さい鋳型を形成して、もろい材料の三次元構造物を鋳造可能にすることである。
本発明は、ゾル−ゲル転移温度より低い温度でゾル化し、ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル化するゾル−ゲル転移温度を有する高分子溶液を液滴吐出機構によりステージに吐出する工程と、前記ステージに吐出された前記高分子溶液をゾル−ゲル転移温度より高い温度に保持する工程と、前記液滴吐出機構と前記ステージとを相対移動させて、前記ステージ上に前記相対移動の軌跡の形状のゲルの層を形成する工程と、前記液滴吐出機構でゲルの層の上にさらに前記高分子溶液を吐出する工程と、を有することを特徴とする鋳型の作成方法である。
本発明によれば、オンデマンドに形成でき、かつ離型時の負荷が小さく、もろい材料の三次元構造物を鋳造可能な鋳型を形成することができる。
第1の実施形態にかかる鋳型の作成方法を実施する積層造形装置を概略的に示す図である。 積層物の上面図である。 図2中のA−B線で垂直方向に切り取った断面図である。 冷風を用いて積層物の内部の段差を取り除く工程について説明するための図である。 工程Aから工程Fの操作により、内壁の層間の段差を取り除いた状態を示す積層物の断面図である。 内壁だけでなく、積層物全体に冷風を当てた場合の、層間の段差を取り除いた状態を示す積層物の断面図である。 第2の実施形態に係る鋳型の作成方法を実施する積層造形装置を概略的に示す図である。 第3の実施形態に係る鋳型の作成方法を実施する積層造形装置を概略的に示す図である。 ステージ上にゲルを1層ないし数層積層して得られる積層物の断面図である。 図9に示す積層物のゲルの表面を冷却し、層間の段差を取り除いた状態を示す積層物の断面図である。 図10に示す積層物の積層したゲルの上に再度ゲルを1層ないし数層積層した状態を示す積層物の断面図である。 図11に示す積層物の積層したゲルの最上段付近の表面を冷却し、層間の段差を取り除いた状態を示す積層物の断面図である。 モデル材の溶液を注入する方法について説明するための図である。 硬化したモデル材について説明するための図である。 目的形状に鋳造したモデル材を取り出す方法について説明するための図である。 実施例5に係るゲルの鋳型の概略図である。 実施例5に係るゲルの鋳造物の概略図である。 実施例6に係るゲルの鋳型の概略図である。 実施例6に係るゲルの鋳造物の概略図である。
本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係る鋳型作成方法は、鋳型に用いるゾル−ゲル転移材料のゾル−ゲル転移温度が、後述する積層造形装置を用いる空間の室温より高い場合、室温より低い場合で異なる。
ゾル−ゲル転移温度が室温より低い場合、ゲル状態の高分子溶液を吐出して鋳型を造形し、ゾル−ゲル転移温度が室温より高い場合、ゾル状態の高分子溶液を吐出して鋳型を造形する。つまり、本発明においては、高分子溶液の吐出時はゾル状態でもゲル状態でも構わない。
また、ゾル−ゲル転移温度が室温より高い場合、造形物を構成しているゲル状態の高分子溶液がゾル化することを防ぐため、積層造形装置におけるステージもしくは周辺雰囲気をゾル−ゲル転移温度以上に保持することが望ましい。それを実現する手段として、ステージとシリンジをペルチェ素子で加熱する、恒温槽内部の加熱環境下で造形する、などの加熱機構を用いることができる。
一般に常温の範囲が20±15℃であるとして、後述する積層造形装置を用いる室温は15℃から25℃程度が好ましい。ここでは、積層造形装置を用いる室温を20℃とする。
[第1の実施形態]
先ず、高分子溶液のゾル−ゲル転移温度が室温より低く、ゲル状態の高分子溶液を吐出して鋳型を造形する場合について説明する。
鋳型を形成するための鋳型作成装置は、大分して積層造形装置と、積層物冷却手段の2つに分けられる。
図1は、第1の実施形態に係る鋳型の作成方法を実施する積層造形装置1Aを概略的に示す図である。
積層造形装置1Aは、高分子溶液を吐出する液滴吐出機構10、吐出された高分子溶液を受けるステージ20、液滴吐出機構10の液滴吐出手段12とステージ20とを相対移動させる駆動部30など、を備える。
液滴吐出機構10は、空圧式ディスペンサ、シリンジポンプなどによる機械的な押し出し、静電吐出などが挙げられるが、これに限定されない。ここでは、空圧式のディスペンサ35を用いた場合について説明する。この場合、液滴吐出手段12はシリンジが用いられる。
ステージ20は、上面が平らな形状(ほぼ平らな形状も含む)であり、その材質は、高分子溶液が付着すればよく、金属、ガラス、プラスチックフィルムなどが挙げられ、とくに限定されない。
駆動部30は、液滴吐出手段12とステージ20の少なくとも一方を動かして、液滴吐出手段12とステージ20とを三次元方向に相対移動させるものであり、駆動力としてモーターや空気圧が挙げられる。モーター駆動の場合、ボールねじもしくはベルト駆動のアクチュエータが挙げられる。空気圧駆動の場合、空圧シリンダが挙げられる。ただし、駆動ステージの駆動力および構成は任意であり、これに限定されない。
次に、積層物冷却手段について説明する。
後に詳述するように、積層造形によって得られた鋳型は、積層による段差が表面に生じうる。鋳型の段差をモデル材に転写することを防ぐため、必須ではないが、鋳型の一部をゾル化させることで、鋳型の表面の段差を除去する工程を挟んでもよい。
なお、本明細書では、液体形状で鋳型に注入し、鋳型内で硬化し、鋳型から取り出して得られる固形の鋳造物、およびその材料をモデル材と表現する。
鋳型の表面の段差を除去するために、鋳型の表面を一時的に冷却する工程として用いられる積層物冷却手段2(図4)は、積層造形装置1Aで造形したゲルの三次元造形物(以下、積層物という)40(図2、図3)の表面をゾル−ゲル転移温度以下に冷却する冷却手段であり、冷風を当てる、冷蔵庫に入れる、冷却したコテを当てるなどの手段が挙げられるが、これらに限定されない。
とくに、入り組んだ構造の表面を局所的に冷却する場合は、非接触で局所的に冷却できる冷風C(図4)を用いた手段が望ましい。冷風Cの発生方法としては、例えば圧縮空気を用いたジェットクーラーが挙げられるが、これに限定されない。
高分子溶液は、ゾル−ゲル転移温度を持ち、ゾル−ゲル転移時間が10分以内であるものを含む。そのため、高分子溶液をゾル−ゲル転移温度以下に冷却する時間が長いと、積層物40全体がゾル化し、構造が崩壊する場合がある。そのため、積層物冷却手段を用いる時間は5秒以上10分以内が望ましい。さらには、10秒以上5分以内が望ましい。
また、ゲルの積層物40の表面を上記時間内に冷却してゾル化を完了するため、冷却する温度はゾル−ゲル転移温度より5℃以上低い温度であることが望ましい。
そのため、冷却する温度はゾル−ゲル転移温度より5℃以上低い温度であることが望ましい。
次に、用いる高分子溶液について説明する。
本実施形態では、鋳型を形成する材料として、ゾル−ゲル転移温度より低い温度でゾル化し、且つ、ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル化するゾル−ゲル転移温度を有する高分子溶液を用いる。
この高分子溶液は、その水溶液が温度応答性ゾルゲル転移材料となる、温度応答性、即ち、水溶液がゾル−ゲル転移温度より低い温度でゾル化し、且つ、ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル化するゾル−ゲル転移温度を有するハイドロゲル形成性高分子の水溶液である。
このハイドロゲル形成性高分子の例として、メチルセルロース、特許文献2(特許5019851号公報)に示される8-arms PEG-block-PLLA-cholesterol・コンジュゲイトや、特許文献3(特許5264103号公報)に示されるPoly[(Glc-Asp)-r-DL-LA]-g-PEG、Pluronic(商標) F127やKolliphor(商標) P407の名称で市販されているポロキサマー407がある。ただしこれらに限定されない。
水溶液が室温付近でゾル−ゲル転移できること、および入手容易性、利用実績からポロキサマー407(以下、ポロキサマー)が望ましい。
ゾル−ゲル転移温度を有する高分子溶液としてポロキサマー水溶液を用いる場合、ポロキサマーの濃度を変化させることでゾル−ゲル転移温度を調整できる。
例えば、濃度20重量パーセントの場合は約20℃であり、濃度15重量パーセントでは30℃から40℃付近である。また、濃度25重量パーセントのポロキサマー水溶液は転移温度が15℃付近であるが、塩化ナトリウムを添加した場合では、ゾル−ゲル転移温度が5℃から10℃付近に調節できる。
ポロキサマーの濃度および添加物を変えることで、鋳型内部で成形したい材料の鋳造温度より低いゾル−ゲル転移温度を選択することができる。
また、食品添加物に用いられるメチルセルロースとソルビトールの組み合わせも、水溶液が40℃未満にゾル−ゲル転移温度を有し、かつ入手性がよい。
以下、温度応答性のハイドロゲル形成性高分子のハイドロゲルを「鋳型用ゲル」と表記することがある。
次に、鋳型用ゲルからなる円筒形状の積層物40である鋳型の造形方法について説明する。なお、本実施の形態で示す鋳型の形状はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば枡形状、カップ形状や、四角柱・球体などの立体形状の表面に窪みを持たせた形状などが挙げられる。鋳型の形状は、立体物であり、立体物の表面と連通する空洞ないしは窪みを有する形状であれば特に制限しない。
室温でゲル状態の高分子溶液を入れた液滴吐出手段12を用意する。その上で以下の各工程を実行する。即ち、
工程1;液滴吐出機構10を用いて、液滴吐出手段12から高分子溶液をステージ20上に吐出する。この場合、ステージ20は、ゾル−ゲル転移温度よりも高い温度環境下にあるものとする。また、液滴吐出手段12は、ゾル−ゲル転移温度以上の温度でゲル状態の高分子溶液を吐出しても、或いはゾル−ゲル転移温度未満の温度でゾル状態の高分子溶液を吐出し、ステージ上で昇温してゲル化してもよい。
工程2;駆動部30を用いて液滴吐出手段12とステージ20とを水平方向に相対移動させる。
工程3;相対移動の軌跡の形状の鋳型用ゲルの層をステージ20上に形成する。
工程4;駆動部30を動かしながら、形成された鋳型用ゲルの層の上に高分子溶液をさらに吐出し、鋳型用ゲルの層を重ねる。鋳型用ゲルの層を形成する際、層の外周の内側において高分子溶液を吐出しない領域を確保することにより、鋳型用ゲルが形成されない部分を含む層を形成する。
工程1〜4を繰り返すことにより、高分子溶液の鋳型用ゲルの層を重ねる操作を繰り返し、鋳型用ゲルからなる積層物である鋳型を形成する。
積層物の上面図を図2に、図2中のA−B線で垂直方向に切り取った断面図を図3に示す。
以上の方法によって鋳型を形成することができる。ただし、本発明において鋳型の造形方法は積層造形方法である限り、ゲルを吐出する手段、駆動部、ステージについて、特に制限されない。
なお、積層造形によって得られた鋳型は、積層による段差が表面に生じうる。鋳型の段差をモデル材に転写することを防ぐため、必須ではないが、鋳型の表面の段差を除去する工程を挟んでもよい。この工程としては、積層途中及び/又は積層終了後において、以下で説明するゲルの積層物40を一時的に冷却する工程が挙げられる。鋳型の表面部分のみを一時的にゾル化することにより、ゾル化した温度応答性ハイドロゲルが鋳型の段差を埋めることにより段差を除去する。
次に、鋳型用ゲルの積層物40を一時的に冷却する方法について説明する。
まず、積層造形装置1を用いて形成されたゲルの積層物40は、ステージ20上でゾル−ゲル転移温度以上に保たれているものとする。
次に、ゲルの積層物40の表面を、前述の積層物冷却手段を用いて一時的にゾル−ゲル転移温度以下に戻す。これにより、積層物40の表面部分をゾル化させると、表面部分のゾルは、重力により下側に流れてゆき、積層による層間の段差の隙間に流れ込む。
その後、ゲルの積層物40をゾル−ゲル転移温度より高い温度に戻すことにより、ゲルの積層物40のゾル化した表面を再度ゲル化させる。これにより、積層による層間の段差を取り除くことができる。
なお、ここで、「一時的」とは5秒以上10分以内であり、10秒以上5分以内が望ましい。冷却する温度は0℃以上、且つ、ゾル−ゲル転移温度より5℃以上低い温度である。また、積層物40は鋳型として用いるため、その段差を取り除く部位は、少なくとも内壁であるが積層物40全体の段差を取り除いてもよい。
また、一時的な冷却は、積層途中及び/又は積層終了後においてもよい。
次に、圧縮空気を用いたジェットクーラーなど、冷風を用いて積層物40の内壁の段差を取り除く場合を例に図2及び図4を参照して説明する。
図4は冷風を用いて積層物40の内部の段差を取り除く工程について説明するための図である。
以下の工程で層間の段差を取り除く。
工程A. 積層物40の内部空洞40aに対して上部から冷風を流し込む。
工程B. 積層物40の内壁44の表面のゲルの温度が下がり、ゾル化する。
工程C. ゾル化した高分子溶液が下層との段差に流れ込む。
工程D. 冷風を流し込む操作を止める。
工程E. 加熱機構で積層物40を加熱し、積層物40全体をゾル−ゲル転移温度以上に保持する。
工程F. ゾル化した高分子溶液を再度ゲル化させる。
以上の工程AからFにより、積層物40の内壁44の段差を取り除くことができる。
本実施形態では、積層物40の表面部のみをゲル化させるため、工程AからDにおいて冷風を当てる続ける時間は、検討の結果、5秒以上10分以内が望ましいことが分かった。また、10分より長い間冷風を当て続けた場合、積層物40全体が冷却され、ゾル化し構造が破壊されてしまうことが分かった。なお、以上の冷却時間は一例であり、高分子溶液の種類や、積層物40の大きさにより適宜決定できる。
図5は、工程Aから工程Fの操作により、内壁の層42間の段差を取り除いた状態を示す断面図である。
図6は、内壁44だけでなく、積層物40全体に冷風を当てた場合の、層42間の段差を取り除いた状態を示す断面図である。
次に、以上の方法により、作成した鋳型の段差の評価方法について説明する。
鋳型の段差の評価方法は、ゲルの積層物40全体の層42間の段差を取り除いた鋳型に対して、側面の段差を以下の工程1〜工程4からなる方法で算出することで評価を行った。即ち、
工程1.作成した鋳型の側面にガラススケールを当て、鋳型に対して水平方向からデジタルカメラで写真を撮影する。
工程2.撮影した写真をコンピュータで解析し、鋳型側面に積層によって生じる段差の凹部の深さの画素数を計測する。
工程3.撮影した写真中のガラススケールの1mmに相当する画素数と、凹部の深さの画素数を比較し、凹部の深さを計算する。
工程4.工程2から3を繰り返して10箇所の凹部の深さを計算し、その平均値を算出する。
(実施例1)
以上の方法により、ゾル−ゲル転移温度15℃となるよう濃度調整したポロキサマー407水溶液を用いて、ノズル内径610μmのテーパ形状のポリエチレン製ノズルを装着したディスペンサ35で、40℃のステージ20上に内径18mm、外径23mm、高さ17mmの円筒形のゲルの積層物40を造形した。
得られた積層物40は、(積層物40の断面は図4のようになり、層42間の段差が残り、)積層によって生じる層42間の段差の凹部の深さが250μmであった。
積層物40の造形後に10℃のジェットクーラーを用いて2分冷却し、層42間の段差を取り除いて得られたゲルの積層物40即ち鋳型では、積層によって生じる層42間の段差の凹部の深さが100μmとなった。
以上により、一時的な冷却によってゲルの積層物40の層42間の段差を取り除けることが分かった。よって、段差を取り除く工程を行うことで、寸法精度が向上し、鋳型としてより適切なものとなった。
[第2の実施形態]
高分子溶液のゾル−ゲル転移温度が室温より高い場合で、ゾル状態の高分子溶液を吐出して鋳型を造形する場合について説明する。
鋳型を形成するための手段は、大きく分けて積層造形装置1と、積層物冷却手段の2つに分けられる。
図7は、第2の実施形態に係る鋳型の作成方法を実施する積層造形装置1Bを概略的に示す図である。
積層造形装置1Bは、高分子溶液を吐出する液滴吐出機構10、吐出された高分子溶液を受けるステージ20、液滴吐出機構10の液滴吐出手段12とステージ20とを相対移動させる駆動部30、吐出された高分子溶液をステージ20上で加熱してゲル化させる加熱機構22、を備える。
ここで、ステージ20、駆動部30は第1の実施形態と同様である。また、液滴吐出機構10については第1の実施形態と同様であり、さらにインクジェットを挙げても良い。
加熱機構22はステージ20を加熱するヒーターであり、ステージ20上面の温度を高分子溶液のゾル−ゲル転移温度以上に保持することが出来る。加熱機構22は伝導性のヒーター、恒温槽、放射加熱器、熱交換器、ペルチェ素子などが挙げられるが、これに限定されない。
次に、ゲルの積層物40の造形方法について説明する。
ゲルの積層物40は以下の工程1〜工程5により造形される。即ち、
工程1.室温下でゾル状態の高分子溶液を、液滴吐出機構10を用いて吐出する。
工程2.吐出された高分子溶液を加熱機構22を用いてステージ20上で加熱し、ゲル化する。
工程3.駆動部30を用いて液滴吐出手段12のシリンジとステージ20とを水平方向に相対移動させる。
工程4.相対移動の軌跡の形状のゲルの層42をステージ20上に形成する。
工程5.駆動部30を動かしながら、形成されたゲルの層42の上に高分子溶液をさらに吐出し、ゲルの層42を重ねる。ゲルの層42を形成する際、層42の外周の内側において高分子溶液を吐出しない領域を確保することにより、ゲルが形成されない部分を含む層42を形成する。
工程1〜工程5を繰り返すことにより、高分子溶液のゲルの層42を重ねる操作を繰り返し、空洞構造を含むゲルの積層物40が形成される。
次に、ゲルの積層物40の層42間の凹凸を取り除く方法について説明する。
積層造形装置1Bを用いて形成されたゲルの積層物40は、ステージ20上でゾル−ゲル転移温度以上に保たれているとする。
ここで、ゲルの積層物40の表面を、積層物冷却手段を用いて一時的にゾル−ゲル転移温度以下にすることにより、積層物40の表面部分をゾル化させる。重力により、表面部分のゾルは下側に流れてゆき、積層による層42間の段差の隙間に流れ込む。
その後、ゲルの積層物40をゾル−ゲル転移温度より高い温度に戻すことにより、ゾル化した表面を再度ゲル化させる。これにより、積層による層42間の段差を取り除くことができる。
冷却工程は、第1の実施形態同様であるが、ゾル化した高分子溶液を再度ゲル化させる工程は、加熱機構22を用いる。
第1の実施形態同様、検討の結果、冷却時間は5秒以上10分以内が望ましい。さらには、10秒以上5分以内が望ましいことが分かった。
以上の方法により形成したゾル−ゲル転移温度を持つゲルによる鋳型の形状は、第1の実施形態同様である。
(実施例2)
以上の方法により、ゾル−ゲル転移温度25℃となるよう濃度調整したポロキサマー407水溶液を用いて、内径0.61mmのステンレス製ニードルを装着したディスペンサ35で、加熱温度40℃のステージ20上に、内径18mm、外径23mm、高さ17mmの円筒形のゲルの積層物40を造形した。
10℃のジェットクーラーを用いて2分冷却して層42間の段差を取り除いた積層物40の層42間の段差の凹部の深さは、冷却する前は280μmであった。なお冷却後は100μmとなった。
以上の方法により、高分子溶液のゾル−ゲル転移温度が室温より高い場合においても、積層による層42間の段差形状を取り除いた鋳型を作成できることが分かる。
[第3の実施形態]
次に、雰囲気をゾル−ゲル転移温度より高い温度環境にすることで、高分子溶液のゾル−ゲル転移温度が室温以上および室温以下のいずれの場合でも適用できる鋳型造形方法について説明する。なお、本発明では、雰囲気とは積層造形装置の周囲の空気を表現する。第3・第4の実施形態において恒温槽を用いる場合は、恒温槽内部で温度調節された空気を意味する。
図8は、第3の実施形態に係る鋳型の作成方法を実施する積層造形装置1Cを概略的に示す図である。
本実施形態に係る積層造形装置1Cは、高分子溶液を吐出する液滴吐出機構10、吐出された高分子溶液を着弾させるステージ20、液滴吐出機構10の液滴吐出手段12とステージ20とを相対移動させる駆動部30、及び恒温槽50等を含んでいる。
恒温槽50は内部空間の温度を一定に保持する装置である。恒温槽50の設定温度を高分子溶液のゾル−ゲル転移温度以上に設定し保持し、それにより液滴吐出手段12内部およびステージ20上の高分子溶液をゲル状態に維持する。
ここで、液滴吐出機構10、ステージ20、駆動部30は、第1の実施形態と同様であり、少なくともステージ20、駆動部30、液滴吐出機構10の液滴吐出手段12が恒温槽50の内部に収容されている点で第1の実施形態と相違する。
本実施形態に係る積層造形装置1Cの積層物冷却手段、及びゲルの積層物40を形成する手段も第1の実施形態と同様である。
本積層造形装置1Cにおいて、ゾル−ゲル転移温度以上に保持されたゲル状態の高分子溶液をステージ20上に吐出する。本実施形態におけるステージ20及び恒温槽50内の空間温度はゾル−ゲル転移温度より高い温度のため、吐出された高分子溶液がゲル状態を保持する。
ゲルの積層物40の層42間の段差を取り除く方法は第1もしくは第2の実施形態と同様である。
(実施例3)
以上の方法により、空間温度40℃に保持した恒温槽50内において、ゾル−ゲル転移温度25℃となるよう濃度調整したポロキサマー407水溶液を用いて、ノズル内径0.61mmのテーパ形状のポリエチレン製ノズルを装着したディスペンサ35でステージ20上に内径18mm、外径23mm、高さ17mmの円筒形のゲルの積層物40を造形した。
次に、10℃のジェットクーラーを用いて2分間冷却し、層42間の段差を取り除いて得られた鋳型は、積層によって生じる層42間の段差の凹部の深さは、冷却前は250μmであったものが、100μmとなった。
なお、第2の実施形態のようにゾル状態で吐出し、ステージ20を加熱して積層物40をゲル化する場合、下層部と比べて上層部の温度が低くなり易い。そのため、積層を続けて積層物40が高くなった場合、上層部ほど、高分子溶液を吐出してからゲル化するまでの時間が長くなり、1層分積層するための所要時間が長くなる問題がある。
この点、第3の実施形態では、雰囲気が用いる高分子溶液のゾル−ゲル転移温度よりも高く、したがって、用いる高分子溶液のゾル−ゲル転移温度によらずゲル状態で吐出するため、積層高さに関わらず積層時間が安定した鋳型を形成することができる。
以上の方法により、高分子溶液のゾル−ゲル転移温度が室温以上および室温以下のいずれの場合でも適応した鋳型形成を行える。
[第4の実施形態]
次に、鋳型の注入口が狭く、ゲルを積層した後から内壁を冷却することが困難な形状の鋳型を形成するための方法について説明する。積層造形装置1は第3の実施形態と同様である。
以下の工程1〜工程4でゲルを積層し、鋳型を形成する。
即ち、
工程1.ステージ20上にゲルを1層ないし数層積層する。
図9は、ステージ20上にゲルを1層ないし数層積層して得られる積層物40の断面を示す図である。
工程2.ゲルの表面を冷風Cにより冷却し、層42間の段差を取り除く。
図10は、ゲルの表面を冷却し、層42間の段差を取り除いた状態を示す積層物40の断面図である。
工程3.積層したゲルの上に再度ゲルを1層ないし数層積層する。
図11は、積層したゲルの上に再度ゲルを1層ないし数層積層した状態を示す積層物40の断面図である。
工程4.積層したゲルの最上段付近の表面を冷却し、層42間の段差を取り除く。
図12は、積層したゲルの最上段付近の表面を冷却し、層42間の段差を取り除いた状態を示す積層物40の断面図である。
鋳型は、以上の工程1〜工程4を繰り返すことにより作成される。
(実施例4)
以上の方法により、空間温度40℃に保持した恒温槽内において、ゾル−ゲル転移温度25℃となるよう濃度調整したポロキサマー407水溶液を用いて、ノズル内径0.61mmのテーパ形状のポリエチレン製ノズルを装着したディスペンサ35でステージ20上に積層造形した。3層積層する毎に10℃のジェットクーラーを用いて30秒間冷却し、層42間の段差を取り除いた。得られた鋳型は、内径18mm、外径23mm、高さ17mmの円筒形であり、積層によって生じる層42間の段差の凹部の深さが110μmとなった。
この方法では、ゲルを積層し終えた時点で既に層42間の凹凸を取り除いた鋳型を形成することができる。また、表面を冷却する工程は、常に積層中の最上段付近であるため、積層後の注入口の大きさや形状によらず冷却可能である。
次にモデル材の溶液を注入する方法について説明する。
温度応答性ハイドロゲルの積層物40である鋳型をゾル−ゲル転移温度以上に保持した状態において、鋳型の開口部に未硬化のモデル材の溶液49を注入する(図13)。
鋳型をゾル−ゲル転移温度以上の温度に保持する方法は、鋳型を積層造形する際の手段と同様である。モデル材の溶液49を注入する手段60は、ピペット、スポイト、シリンジ、空圧式ディスペンサ、インクジェットなどが挙げられるが、特に制限されない。
次にモデル材および硬化(固化)方法について説明する。
モデル材は、鋳型用ゲルのゾル−ゲル転移温度以上の温度領域において硬化する材料であれば、特に制限されない。また、モデル材は、内部に粒子等の固形物が分散されていても構わない。
モデル材の硬化方法は、モデル材の種類によって、放熱、UV(紫外線)照射、架橋剤の添加、などが挙げられるが、特に制限されない。放熱によって硬化するモデル材としてアガロースゲルやカラギーナンゲル、ゼラチンゲルなどが挙げられる。これらのゲルを溶解温度以上に加熱して溶解し、鋳型に注入して鋳型の温度まで放熱することによってゲル化させても良い。
また、UV照射で硬化するモデル材としてPDMS(ポリジメチルシロキサン)等が挙げられる。
架橋剤の添加による硬化方法としては、アルギン酸ナトリウム水溶液に塩化カルシウムを添加する、ポリビニルアルコール水溶液にホウ砂を添加する、などが挙げられる。
注入前に架橋剤を添加しておき、徐々に硬化する反応を利用して注入後に硬化させる方法を用いてもよい。アルジネート印象材と呼ばれる、アルギン酸ナトリウムと難溶性カルシウム塩、キレート剤とが混合された粉末に対して水を添加し混合すると、数分〜十数分で徐々に硬化する特性がある。アルジネート印象材を水に混合して直ちに鋳型に注入し、数分〜十数分放置することによってモデル材を硬化させてもよい。
ただし、本発明はもろいモデル材に対して特に有効な成型方法であるが、モデル材および硬化方法は限り特に限定しない。鋳型(積層物40)に注入され、硬化したモデル材51を図14に示す。
次に目的形状に鋳造したモデル材と鋳型とを分離する方法、即ち離型方法について説明する。
鋳型を除去することで離型する方法としては、力学的な除去方法と、ゾル化による除去方法が挙げられる。形成した鋳型は脆く可塑性があるため、ピンセットやコテで取り除くことも可能である。ただし、モデル材に対して力学的負荷が生じる。そのため、鋳型を冷却してゾル化し、除去することが望ましい。鋳型用ゲルは温度応答性ゾル−ゲル転移材料から成るため、鋳型は鋳型用ゲルのゾル化温度未満まで冷却することによってゾル化してゾル状態45となり、流出する(図15)。
冷却する手段は、冷蔵庫・冷凍庫に入れて放置する、冷却物を鋳型に当てる、水に漬ける、などが挙げられるが、鋳型を冷却できる手段であれば特に制限されない。
この方法においては、鋳造したモデル材51に対する力学的負荷がなく、鋳型用ゲルの構造物(積層物40)も流出により容易に除去できる。
(実施例5)
周囲を氷で冷却したビーカーを用いて10℃以下に保持した純水に対し、温度応答性のハイドロゲル形成性高分子としてポロキサマー407(BASFジャパン株式会社、Kolliphor(商標) P407)を添加し、攪拌溶解させた水溶液Aを作成した。ポロキサマー407の濃度が25重量%となった。
ゾル−ゲル転移温度15℃である水溶液Aを37℃に昇温して透明なゲルを得た。
4℃の水溶液Aを容積10mLのシリンジに充填し、先端内径250μmのシリンジノズル(武蔵エンジニアリング株式会社製)を取り付けた。室温20℃下において、シリンジを10分室温放置して水溶液Aをゲル化させた。シリンジを圧縮空気式ディスペンサ(武蔵エンジニアリング株式会社:ML-5000XII)を用いて加圧し、シリンジノズル先端から水溶液Aのゲルを吐出した。
シリンジノズル下部にステージと、ステージの上にPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを敷き、ステージとシリンジとを相対移動させることによってPETフィルム上に水溶液Aのゲルの鋳型を形成した。PETフィルム60上の鋳型70の概略図を図16に示す。鋳型70は円筒形状であり、外径6.0mm、厚みが1.5mm、全体の高さが10mmとなった。
モデル材として、κ-カラギーナン(三晶株式会社、CSK-01)を70℃の水に2重量%濃度で溶解した水溶液Bを調整した。
水溶液Bの一部を取り出し、40℃まで冷却した後、水溶液Aのゲルの構造物の開口部にスポイトで注入し、室温で30分放置して水溶液Bをゲル化させた。
鋳型70と鋳造物が合わさった円柱状の構造物Dを基材のPETフィルムと一緒に4℃の冷蔵庫に入れて2時間放置した。冷蔵庫から取り出し、得られた水溶液Bのゲルの鋳造物の概略図を図17に示す。外径3mm、高さ10mmの円柱状の鋳造物80が得られた。
実施例5より、温度応答性ハイドロゲルの鋳型により、モデル材を鋳造できることが分かった。
(実施例6)
室温20℃下において、10℃以下に冷却した水溶液Aを容積10mLのシリンジに充填し、先端内径250μmのシリンジノズル(武蔵エンジニアリング株式会社製)を取り付けた。シリンジを10分室温放置して水溶液Aをゲル化させた。シリンジを圧縮空気式ディスペンサ(武蔵エンジニアリング株式会社:ML-5000XII)を用いて加圧し、シリンジノズル先端から水溶液Aのゲルを吐出した。
シリンジノズル下部にステージと、ステージの上にPETフィルムを敷き、ステージとシリンジとを相対移動させることによってPETフィルム上に水溶液Aのゲルの鋳型を形成した。PETフィルム60上の鋳型90の概略図を図18に示す。鋳型90は円筒と柱の形状であり、円筒の外径18mm、厚みが3mm、柱の外径6mm、全体の高さは10mmとなった。
モデル材として、アルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ、IL-2)2重量%水溶液、第二りん酸カルシウム2重量%水溶液、クエン酸4重量%水溶液、径10μmのポリアクリル粒子(綜研化学株式会社、MX-1000)をそれぞれ5:1:1:1で混合した水溶液Eを作成した。
作成した水溶液Eをただちに水溶液Aのゲルの構造物の円筒と柱との隙間にスポイトで注入し、室温で15分放置して水溶液Eを硬化させた。
その後、水溶液Aのゲルの構造物と、硬化した水溶液EとをPET基材ごと4℃の冷水に沈めた。30分静置した後に水中から水溶液Cの硬化した構造物を取り出した。
得られた水溶液Eの硬化した鋳造物の概略図を図19に示す。
外径12mm、内径6mm、長さ10mmの円筒状の構造物100が得られた。得られた円筒状の構造物は、アルギン酸のハイドロゲルにポリアクリル粒子が分散して全体が白濁した形態であった。
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明したが、これによれば、
(1)温度応答性ハイドロゲルの鋳型をオンデマンドに形成できるため、オンデマンドに脆い材料を鋳造成型できる。
(2)鋳型を冷却するだけで離型できるため、鋳造したモデル材への力学的負荷なく離型できる。
(3)モデル材の溶液に粒子を含ませた場合は、粒子を分散や沈降させたモデル材を鋳造できる。
(4)形成した層の一部をゾル化することで、ゾル化した高分子溶液が層間の段差の間に流れ込み、層間の段差を取り除く。そのため、鋳型内部が平滑化し、寸法精度の良い鋳型を作成することができる。
(5)鋳型の作成方法においては、ゲル状態の高分子溶液を吐出してゲルを積み重ねることにより鋳型を形成することができる。
(6)ゾル状態の高分子溶液を吐出し、且つ吐出後にゲル化するため、ゲルを積み重ねることにより鋳型を形成できる。
(7)積層途中および積層終了後において、ゲルの積層物を一時的に冷却する温度を0℃以上、且つ、ゾル−ゲル転移温度より5℃以上低い温度にすることにより、凍結を防ぎつつ、表面をゾル化し、寸法精度を向上することができる。
(8)積層途中および積層終了後においてゲルの積層物を一時的に冷却する時間を5秒以上10分以内にすることにより、過剰な冷却によるゲルの積層物の破壊を防ぎつつ、表面をゾル化し、寸法精度を向上することができる。
(9)冷却手段として、ゲルの積層物に冷風を当てる、冷蔵庫に入れる、冷却したコテを当てる、積層物をステージから外して室温下に置く、のいずれかの手段を用いることで、ゲルの積層物をゾル−ゲル転移温度以下に冷却でき、寸法精度を向上することが出来る。
(10)ゲルの積層物を冷却する冷却手段としてジェットクーラーの冷風を用いることで、鋳型が入り組んだ形状であっても冷却でき、寸法精度を向上することが出来る。
(11)吐出した高分子溶液を加熱することで、ゾル−ゲル転移温度が室温より高い高分子溶液をゲル化し、ゲルの層を積層することができる。
(12)液滴機構、液滴吐出手段、ステージ、液滴吐出手段とステージとを相対移動させる駆動部と、を備えた、積層造形装置のため、ゲルの鋳型を積層造形できる。また、積層物冷却手段を備えることで、積層造形した鋳型を一時的にゾル化し、寸法精度を向上することができる。
1・・・積層造形装置、10・・・液滴吐出機構、12・・・液滴吐出手段、20・・・ステージ、22・・・加熱機構、30・・・駆動部、35・・・ディスペンサ、40・・・積層物、42・・・層、50・・・恒温槽。
特表2013−542728号公報 特許5019851号公報 特許5264103号公報

Claims (13)

  1. ゾル−ゲル転移温度より低い温度でゾル化し、ゾル−ゲル転移温度より高い温度でゲル化するゾル−ゲル転移温度を有する高分子溶液を液滴吐出機構によりステージに吐出する工程と、
    前記ステージに吐出された前記高分子溶液をゾル−ゲル転移温度より高い温度に保持する工程と、
    前記液滴吐出機構と前記ステージとを相対移動させて、前記ステージ上に前記相対移動の軌跡の形状のゲルの層を形成する工程と、
    前記液滴吐出機構でゲルの層の上にさらに前記高分子溶液を吐出する工程と、
    を有することを特徴とする鋳型の作成方法。
  2. 請求項1に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ゲルの積層物の積層途中及び/又は積層終了後において、前記ゲルの積層物を一時的に冷却する工程を有することを特徴とする鋳型の作成方法。
  3. 請求項2に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ゲルの積層物を一時的に冷却する工程は、形成した層の一部をゾル化することにより、積層で生じる層間の段差を取り除く工程であることを特徴とする鋳型の作成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ステージ上にゲルの層を形成する工程では、前記液滴吐出機構がゾル−ゲル転移温度以上の温度でゲル状態の高分子溶液を吐出することを特徴とする鋳型の作成方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ステージ上にゲルの層を形成する工程では、ゾル−ゲル転移温度未満の温度でゾル状態の高分子溶液を吐出し、ステージ上で昇温してゲル化すること、を特徴とする鋳型の作成方法。
  6. 請求項2〜4のいずれか1項に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ゲルの積層物を一時的に冷却する工程でゲルの積層物を一時的に冷却する際の冷却温度は、0℃以上、且つ、ゾル−ゲル転移温度より5℃以上低い温度であることを特徴とする鋳型の作成方法。
  7. 請求項2〜4のいずれか1項に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ゲルの積層物を一時的に冷却する工程でゲルの積層物を一時的に冷却する時間は、5秒以上10分以内であることを特徴とする鋳型の作成方法。
  8. 請求項2〜4のいずれか1項に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ゲルの積層物を一時的に冷却する工程では、冷風を当てる、冷蔵庫に入れる、冷却したコテを当てる、前記積層物を前記ステージから外して室温下に置く、のいずれかの冷却手段により、ゲルの積層物を冷却することを特徴とする鋳型の作成方法。
  9. 請求項2〜4のいずれか1項に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ゲルの積層物を一時的に冷却する工程では、圧縮空気を用いたジェットクーラーからなる冷却手段により、ゲルの積層物を冷却することを特徴とする鋳型の作成方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載された鋳型の作成方法において、
    前記ステージ上にゲルの層を形成する工程では、伝導性のヒーター、恒温槽、放射加熱器、熱交換器、ペルチェ素子のいずれかの加熱手段により、吐出された高分子溶液を加熱してゲル化ないしゲル状態を保持することを特徴とする鋳型の作成方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載された鋳型作成方法により作成された鋳型にモデル材の溶液を注入する工程と、
    前記モデル材の溶液を固化する工程と、
    前記固化したモデル材と前記鋳型とを分離する工程と、
    を有することを特徴とするモデル材の成型方法。
  12. 請求項11に記載されたモデル材の成型方法において、
    前記分離する工程は、前記鋳型を冷却することによって鋳型をゾル化して除去し、分離することを特徴とするモデル材の成型方法。
  13. 請求項11又は12に記載されたモデル材の成型方法において、
    前記モデル材の溶液中に粒子を含むことを特徴とするモデル材の成型方法。
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