以下、本発明のマニピュレーターおよびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の第1実施形態に係るマニピュレーターを示す平面図である。図3は、図1に示すマニピュレーターの断面図である。図4は、図3に示す受圧部の断面図である。図5は、受圧部が変形した状態を示す断面図である。図6は、受圧部の変形例を示す断面図である。なお、以下では、指部の図3中上側を「腹」とも言い、下側を「裏」とも言う。
図1に示すマニピュレーター1は、ロボットハンド(エンドエフェクター)として利用され、例えば、介護用のロボット100に装着して使用される。なお、介護用ロボットとは、例えば、自力で動くことが困難な要介護者をベッドから持ち上げたり、ベッド上で上半身を起こしたり、向きを変えたり、ベッドへ寝かせたりすることのできるロボットである。ただし、マニピュレーター1の用途としては、介護用のロボット100に装着されるものに限定されず、例えば、駅、空港、商業施設等で利用者を案内する案内用ロボット、飲食店等で客まで飲食物を運ぶ運搬用ロボット、工場等で製造物を製造する産業用ロボット等に装着して用いることもできる。
図2に示すように、マニピュレーター1は、介護用のロボット100に接続される基部21と、基部21に接続されている5本の指部22と、マニピュレーター1の駆動を制御する制御部23と、を有している。また、5本の指部22は、それぞれ、関節機構を介して基部21に接続されている基節部221(基端部)と、関節機構を介して基節部221に接続されている中節部222(中央部)と、関節機構を介して中節部222に接続されている末節部223(先端部)と、を有している。また、例えば、各関節機構は、駆動源としてのモーターを有しており、モーターの駆動により基部21に対して基節部221が回動し、基節部221に対して中節部222が回動し、中節部222に対して末節部223が回動する。このようなマニピュレーター1は、制御部23が各モーターの駆動を制御することで、人間の手のように閉じたり、開いたり、物を掴んだり、種々の形状に変形することができる。
また、基部21および各指部22は、骨格となる筐体3と、筐体3を覆う皮膚となる弾性層5と、を有している。また、筐体3は、硬質な部材、具体的には通常の使用中に受ける圧力程度では実質的に変形しない程度の硬さを有する部材で構成されている。一方、弾性層5は、使用中に受ける外力、すなわち周囲の物体との接触によって弾性変形する程度に軟質な材料で構成されている。
次に、各指部22の末節部223について説明する。図3に示すように、末節部223は、支持部としての筐体3と、筐体3の表面側に配置され、外部からの圧力を受ける受圧部4と、筐体3の内側に配置され、受圧部4の変形を検出する検出部6と、受圧部4を照らす光源7と、を有している。また、図4に示すように、受圧部4は、筐体3に支持された弾性層5と、弾性層5に配置されたマーカーMと、を有している。このようなマニピュレーター1では、外力を受けると弾性層5が弾性変形し、それに伴ってマーカーMが変位する。そして、検出部6がマーカーMの変位を検出し、それに基づいて弾性層5が受けた外力を検出する。検出部6での検出結果は、制御部23にフィードバックされ、制御部23は、検出部6での検出結果に基づいて、各モーターの駆動を制御する。これにより、マニピュレーター1は、周囲の物体との接触や、スムーズでかつ安全な駆動を実行することができる。
また、図3に示すように、末節部223は、筐体3と、筐体3とは別体で構成され、筐体3に対して変位可能な可動部24と、を有している。筐体3は、人間の指の末節部の「腹」に相当する部分であり、それに似た形状となっている。一方、可動部24は、人間の指の「爪」に相当する部分であり、それに似た形状および位置となっている。このような構成とすることで、末節部223を人間の指の末節部に似せることができ、要介護者に、人間の手で介護されているときと似た感覚を与えることができる。そのため、要介護者への違和感を低減することができる。ただし、末節部223の構成としては、特に限定されず、例えば、可動部24を省略してもよい。
また、図3に示すように、可動部24は、可動部24と筐体3との間に配置された第1付勢部材33によって基端側(中節部222側)へ付勢されていると共に、可動部24と筐体3との間に配置された第2付勢部材34によって筐体3側(腹側)へ付勢されている。なお、第1、第2付勢部材33、34としては、それぞれ、特に限定されず、例えば、バネ部材やゴム部材を用いることができる。
また、図3に示すように、可動部24の基端部と筐体3との間には第1感圧素子35が配置されており、可動部24が受けた矢印A方向の外力が第1感圧素子35に伝搬するようになっている。そのため、第1感圧素子35は、可動部24に加わる矢印A方向の外力を検出することができる。また、可動部24の裏側と筐体3との間には第2感圧素子36が配置されており、可動部24が受けた矢印B方向の外力が第2感圧素子36に伝搬するようになっている。そのため、第2感圧素子36は、可動部24に加わる矢印B方向の外力を検知することができる。
第1、第2感圧素子35、36としては、可動部24が受ける外力を検出することができれば、特に限定されない。第1、第2感圧素子35、36は、例えば、受けた圧力に応じて抵抗値が変化する感圧導電性樹脂と、感圧導電性樹脂を間に挟んで設けられた一対の配線と、を有する構成とすることができる。このような構成によれば、一対の配線を介して感圧導電性樹脂の抵抗値を検出し、この抵抗値の変化に基づいて可動部24が受けた外力を検出することができる。また、比較的簡単な構成で、かつ、小型の第1、第2感圧素子35、36となる。なお、自然状態では、第1、第2感圧素子35、36は、第1、第2付勢部材33、34によって可動部24と筐体3との間に挟まれて、圧縮するように予圧されている。そのため、感圧導電性樹脂の抵抗値の増減に基づいて、可動部24に加わった外力の向きを検知することができる。すなわち、このような構成の第1、第2感圧素子35、36によれば、抵抗値変化の絶対値に基づいて加わった外力の大きさを検出することができ、抵抗値の増減に基づいて加わった外力の向きを検出することができる。そのため、優れた検出特性を有する第1、第2感圧素子35、36となる。
ただし、第1、第2感圧素子35、36としては、特に限定されず、例えば、受けた力の大きさに応じた電荷を出力する圧電素子を用いることもできる。また、第1、第2感圧素子35、36は、省略してもよい。
なお、筐体3および可動部24は、それぞれ、硬質な部材で構成されている。また、筐体3は、さらに光透過性を有している。本実施形態では、筐体3および可動部24は、それぞれ、樹脂材料で構成され、特に筐体3は、実質的に無色透明となっている。また、筐体3の内側には、内部空間Sが設けられている。そして、この内部空間Sに、検出部6および光源7が収納、配置されている。
弾性層5は、末節部223の可動部24以外の部分を覆うように配置されている。すなわち、可動部24は、弾性層5に覆われることなく、末節部223の外部に露出している。そのため、可動部24の変位が弾性層5に阻害されず、第1、第2感圧素子35、36によって、可動部24に加わる外力を精度よく検出することができる。
弾性層5は、圧力等の外力を受けると、受けた外力に応じて弾性変形する。また、弾性層5は、図4に示すように、外力を受ける受圧面である外面5a(第1面)と、外面5aと反対側の内面5b(第2面)と、が規定される層である。また、弾性層5内には、弾性層5の変形に伴って変位するマーカーMが配置されている。マーカーMは、検出部6で検出可能な検出対象である。
図4に示すように、マーカーMは、末節部223の腹の部分に位置する弾性層5に配置されている。また、マーカーMは、弾性層5の厚さ方向にずれて配置された第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3を有している。また、これら第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3は、内面5bからの距離が互いに異なっている。検出部6は、これら第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3の変位に基づいて弾性層5の変形を検出し、さらには、弾性層5に加わった外力を検出する。
図4に示すように、弾性層5は、筐体3の外周に配置され、第1マーカーM1が配置された第1弾性層51と、第1弾性層51上に配置され、第2マーカーM2が配置された第2弾性層52と、第2弾性層52上に配置され、第3マーカーM3が配置された第3弾性層53と、第3弾性層53上に配置された保護層54と、を有している。
第1弾性層51、第2弾性層52および第3弾性層53は、それぞれ、光透過性および弾性(復元力)を有している。そして、第1弾性層51の表面に複数の第1マーカーM1が互いに離間して配置され、第2弾性層52の表面に複数の第2マーカーM2が互いに離間して配置され、第3弾性層53の表面に複数の第3マーカーM3が互いに離間して配置されている。
本実施形態では、これら第1、第2、第3弾性層51、52、53は、それぞれ、実質的に無色透明である。ただし、第1、第2、第3弾性層51、52、53は、光透過性を有していれば、その少なくとも1つが、例えば、有色透明であってもよい。
第1、第2、第3弾性層51、52、53の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ゴム等の各種ゴム材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
第1、第2、第3弾性層51、52、53の弾性率(ヤング率)は、それぞれ、特に限定されず、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。第1、第2、第3弾性層51、52、53の弾性率を異ならせる場合は、例えば、第1弾性層51のヤング率をE1とし、第2弾性層52のヤング率をE2とし、第3弾性層53のヤング率をE3としたとき、E1<E2<E3の関係を満足するように設計してもよいし、反対に、E1>E2>E3の関係を満足するように設計してもよい。
例えば、E1>E2>E3の関係を満足するように設計した場合、弱い外力F1が加わった場合には、最も柔らかい第3弾性層53だけを実質的に変形させ、外力F1よりも大きい外力F2が加わった場合には、第2、第3弾性層52、53だけを実質的に変形させ、外力F2よりも大きい外力F3が加わった場合には、第1、第2、第3弾性層51、52、53の全てを変形させることができる。そのため、第1、第2、第3弾性層51、52、53のうちのどの弾性層のマーカーMが変位したかを検出することで、受けた圧力を大まかに検出することができる。
第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、それぞれ、ドット状すなわち点形状をなしている。このように、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3を、それぞれ、点状とすることで、検出部6で第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位を検出し易くなり、弾性層5が受けた外力を精度よく検出することができる。ただし、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の形状としては、特に限定されない。
また、複数の第1マーカーM1の配置としては、特に限定されず、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよいが、規則的に配置されているのが好ましい。これにより、第1弾性層51の全域にわたって均一に過不足なく配置することができる。そのため、第1弾性層51の各部について、その変形を検出部6で精度よく検出することができる。第2マーカーM2の配置および第3マーカーM3の配置についても同様である。
また、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の配設密度としては、それぞれ、求められる検出精度、検出部6の検出精度、具体的には後述するカメラ61の解像度、処理部62の処理速度等によっても異なるが、例えば、カメラ61の解像度で識別可能な限り高いことが好ましい。これにより、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の数をより多くすることができ、検出部6は、より精度よく、かつ、より詳細に弾性層5の変形を検出することができる。
第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、形状および色彩の少なくとも一方が互いに異なっており、検出部6によって識別可能となっている。本実施形態では、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、互いに色彩が異なっており、例えば、第1マーカーM1が赤色、第2マーカーM2が緑色、第3マーカーM3が青色となっている。
なお、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の色彩ではなく形状を互いに異ならせる場合には、例えば、第1マーカーM1が円形、第2マーカーM2が三角形、第3マーカーM3が四角形とすることができる。もちろん、色彩および形状を共に異ならせてもよいし、色彩や形状を異ならせる以外の方法によって、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3を検出部6で識別可能としてもよい。
また、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、自然状態において、検出部6のカメラ61から見て、互いに重ならないように配置されていることが好ましい。すなわち、カメラ61によって撮像される画像上で、第2マーカーM2がその手前にある第1マーカーM1に隠れることなく、第3マーカーM3がその手前にある第1、第2マーカーM1、M2に隠れることがないように配置されていることが好ましい。これにより、カメラ61によって、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位をそれぞれより正確に捉えることができる。そのため、検出部6は、より精度よく、弾性層5が受けた外力を検出することができる。なお、前記「自然状態」とは、例えば、静止し、弾性層5に実質的に外力が加わっていない状態を言う。
以上、マーカーMについて説明した。マーカーMの構成としては、特に限定されず、例えば、第3マーカーM3を省略してもよいし、第2、第3マーカーM2、M3を省略してもよい。また、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、それぞれ、ドット状に限定されず、線形状、面形状、立体形状等であってもよい。また、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、それぞれ、第1、第2、第3弾性層51、52、53の表面に貼着されたものであってもよいし、第1、第2、第3弾性層51、52、53の表面にインク等を用いて印刷されたものであってもよい。また、例えば、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、それぞれ、第1、第2、第3弾性層51、52、53内に埋設されていてもよい。また、マーカーMは、弾性層5に配置されていなくてもよく、例えば、弾性層5を覆うように被せられた被覆部材に配置されていてもよい。このように、被覆部材にマーカーMを配置することで、被覆部材を交換することで、簡単に、使用目的に適したマーカーMとすることができる。
保護層54は、主に、第3弾性層53を保護する機能を有している。また、保護層54は、第1、第2、第3弾性層51、52、53と同様に、光透過性および弾性を有している。本実施形態では、保護層54は、無色透明である。ただし、保護層54は、有色透明であってもよい。このような保護層54の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、前述した第1、第2、第3弾性層51、52、53の構成材料と同様の材料が挙げられる。
なお、各層51、52、53、54の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上2.0mm以下程度であることが好ましく、0.5mm以上1.5mm以下程度であることがより好ましい。この程度の厚さとすることで、弾性層5の厚みを抑えつつ、圧力を受けた時に弾性層5を十分に変形させることができる。そのため、末節部223の過度な大型化を防止することができると共に、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3が十分に変位し、受けた圧力を精度よく検出することができる。
検出部6は、ステレオ写真法によって、弾性層5の変形を三次元的に検出する。このように、ステレオ写真法を用いることで、弾性層5の変形を比較的簡単に、かつ、精度よく検出することができる。
図3および図4に示すように、検出部6は、内部空間S内に配置された撮像部としての複数のカメラ61を有している。弾性層5の各部は、少なくとも2つのカメラ61で撮像できるようになっており、これにより、弾性層5の各部を三次元画像認識、すなわちステレオ画像認識することができるようになっている。
カメラ61としては、特に限定されず、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラ等を用いることができる。また、本実施形態では、2つのカメラ61を用いて弾性層5の各部を三次元画像認識しているが、例えば、複数の光軸を有するレンズを用いて1つのカメラ61で光軸の異なる複数の画像を時分割で取得し、これらの画像を用いて弾性層5の各部を三次元画像認識してもよい。このような構成によれば、撮像部の小型化および低コスト化を図ることができる。なお、前記「弾性層5の各部」とは、弾性層5の全域を意味する場合もあれば、弾性層5の選択された一部の領域を意味する場合もある。
また、図4に示すように、検出部6は、各カメラ61からの画像情報に基づいて弾性層5の三次元画像認識を行う処理部62を有している。また、処理部62は、例えば、各カメラ61等の各部を制御するCPU62a、メモリー62b、フラッシュメモリー等の記憶部62c等を含んでおり、所定のプログラム(コード)を実行できるように構成されている。なお、前記プログラムは、例えば、記憶媒体に記憶されていてもよいし、外部のサーバーからダウンロードしてもよい。
弾性層5に外力が加わると、外力が加わった部分が変形し、当該変形に伴って第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3がそれぞれ変位する。具体的な例を挙げれば、例えば、図5に示すように、弾性層5のある部分が要介護者Xと接触して変形した場合には、その直下および周囲に位置する第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3がそれぞれ受けた圧力に応じて変位する。処理部62は、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位を三次元画像認識によって検出し、その結果に基づいて、外力が加わった位置、加わった外力の大きさ、外力の方向、速度等を検出する。
このように、弾性層5に第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3が配置されていることで、検出部6は、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位に基づいて弾性層5に加わる外力を精度よく検出することができる。特に、本実施形態では、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3が弾性層5の厚さ方向にずれて配置されている。そのため、検出部6は、弾性層5の厚さ方向に異なる位置での変形を検出することができ、弾性層5に加わる外力をより詳細に検出することができる。
ここで、処理部62による圧力の検出方法の一例について簡単に説明する。処理部62の記憶部62cには予め各カメラ61の3次元座標が記憶されている。そして、処理部62は、ある所定のマーカーM(以下、「所定マーカーM」と言う。)の変位を検出するのに用いられる2台のカメラ61によって同時刻における画像を取得し、両画像中の所定マーカーMの2次元座標を取得する。次に、処理部62は、両画像中の所定マーカーMの2次元座標のずれと各カメラ61の3次元座標とに基づいて所定マーカーMの3次元座標を取得し、記憶部62cに記憶する。処理部62は、この作業をフレーム毎に連続的に行う。そして、処理部62は、前回取得した所定マーカーMの3次元座標と、今回新たに取得した所定マーカーMの3次元座標とを比較することで、その間の時間に生じた所定マーカーMの変位を検出することができる。処理部62は、このような作業を全マーカーMについて行うことで、弾性層5の変形を検出し、さらには、弾性層5が受けた外力を検出する。なお、各カメラ61のフレームレートとしては、特に限定されず、求められる圧力検出精度によっても異なるが、例えば、15フレーム/秒、30フレーム/秒、60フレーム/秒等とすることができる。
ここで、本実施形態では、弾性層5が指部22全体を覆っている。そのため、外力を受けていない自然状態であっても、基部21に対して基節部221が回動したり、基節部221に対して中節部222が回動したり、中節部222に対して末節部223が回動したりすることで、末節部223に位置する弾性層5が変形し、それに伴ってマーカーMが変位するおそれがある。すなわち、指部22の状態によって、自然状態でのマーカーMの配置が異なるおそれがある。
そこで、検出部6は、指部22の姿勢が異なる複数の場合について、自然状態でのマーカーMの配置が記憶された基準情報を記憶し、検出時には、検出時の指部22の姿勢と一致する姿勢の基準情報または指部22の姿勢に最も近い姿勢の基準情報を選択し、選択した基準情報を自然状態とするキャリブレーションを行うことが好ましい。これにより、検出部6は、弾性層5が受ける外力をより精度よく検出することができる。
以上、処理部62による外力の検出方法について説明した。ただし、処理部62による検出方法は、特に、限定されない。例えば、全マーカーMについて上述の作業を行うと処理量が膨大となってしまい、処理部62の性能等によっては処理が追いつかない場合が考えられる。また、用途によっては、受けた圧力について大まかに検出すればそれで足りる場合も考えられる。そのため、このような場合には、例えば、処理部62は、予め選択した一部のマーカーMについてのみ上述の作業を行うようにしてもよい。
また、処理部62は、例えば、自然状態における弾性層5の各部の画像を基準画像として記憶しておき、この基準画像と、上述のように取得された画像とをリアルタイムに比較して各マーカーMの変位を特定することで、弾性層5が受けた圧力を検出してもよい。
なお、処理部62は、人工知能(AI)を備えており、機能学習によって、人工知能に学習させるように構成されていてもよい。この場合、処理部62は、例えば、カメラ61から取得した画像を大量に取り込んで、人工知能にマーカーMの変位についての学習をさせることで、各マーカーMの変位をより短時間でより精度よく検出することができるようになる。なお、機能学習の一例として、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、協調フィルタリング、ディープラーニングを含むニューラルネットワーク等が挙げられる。
なお、前述したように、本実施形態では、各層51、52、53、54が無色透明である。そのため、各カメラ61は、弾性層5を介して弾性層5の外界を撮像することができる。そのため、処理部62は、各カメラ61が捉えた外界の様子から末節部223の位置等を検出することもできる。なお、検出部6による外界の認識は必須ではなく、できなくてもよい。この場合、保護層54は、光透過性を有する必要がなく、光透過性を有していなくてもよい。保護層54が光透過性を有しなければ、光源7の光が末節部223の外部に漏れることがないため、周囲の人間が眩しく感じることがなくなる。
光源7は、内面5b側から弾性層5を照らす機能を有している。図3および図4に示すように、光源7は、内部空間S内に配置された複数の発光部71を有している。そして、これら複数の発光部71からの光で、弾性層5のほぼ全域がほぼ等しく照明されるようになっている。このような光源7を配置することで、カメラ61による弾性層5の撮像をより高精度、高解像度に行うことができる。
なお、各発光部71としては、特に限定されず、例えば、LEDを用いることができる。また、各発光部71は、可視光を出射してもよいし、NIR光(近赤外光)を出射してもよいし、紫外光を出射してもよい。発光部71として可視光を出射するものを用いる場合には、各カメラ61を可視光に対応した構成とし、発光部71としてNIR光を出射するものを用いる場合には、各カメラ61をNIR光に対応した構成とし、発光部71として紫外光を出射するものを用いる場合には、各カメラ61を紫外光に対応した構成とすればよい。特に、NIR光や紫外光は、人間の目には見えないため、弾性層5を介して外部に漏れたとしても周囲の人間が眩しく思うことがない。また、特に、各発光部71が紫外光を出射する場合には、マーカーMは、蛍光体であってもよい。これにより、マーカーMをカメラ61によってより鮮明に撮像することができる。
なお、例えば、外界からの光によって弾性層5を画像認識可能な程に十分に明るく保てる場合等には光源7を省略してもよい。また、内部空間Sに輝度センサーを配置し、この輝度センサーにより検出された内部空間Sの明るさに基づいて、各発光部71の駆動を制御してもよい。これにより、例えば、内部空間S内をほぼ一定の明るさに保つことができ、検出部6による弾性層5の画像認識を安定して行うことができる。
検出部6での検出結果、すなわち検出された外力に関する情報は、制御部23に送信される。制御部23は、受信した情報に基づいてマニピュレーター1の駆動を制御する。このように、弾性層5が受けた外力を検出し、その検出結果を制御部23にフィードバックすることで、マニピュレーター1の駆動をよりスムーズにかつより安全に行うことができる。
ここで、制御部23によるマニピュレーター1の駆動制御の一例を挙げる。例えば、マニピュレーター1によって要介護者Xを下側から支えて持ち上げる動作を行う際に、ある指部22に加わる外力(重量)が他の指部22に加わる外力(重量)よりも大きい場合には、制御部23は、各指部22に加わる外力(重量)がほぼ等しくなるように各指部22の向きや姿勢を変更する。これにより、ある指部22だけに過度な外力が加わってしまうことを抑制でき、各指部22の故障を抑制することができる。また、要介護者Xをより広い領域で支えることができるため、要介護者Xの姿勢が安定すると共に、要介護者Xの負担を低減することができる。
なお、本実施形態では、マニピュレーター1が制御部23を有しているが、制御部23を省略してもよい。この場合、例えば、ロボット100が有する図示しないロボット制御部が制御部23と同様の機能を有していることが好ましい。
以上、本実施形態のマニピュレーター1について説明した。このようなマニピュレーター1は、前述したように、受圧面である外面5a(第1面)および外面5aの反対側の内面5b(第2面)が規定される弾性層5と、弾性層5に配置され、弾性層5の変形に伴って変位するマーカーMと、を備える受圧部4と、弾性層5の内面5b側に位置づけられ、マーカーMの変位に基づいて弾性層5に加わる外力を検出する検出部6と、を備えている。このような構成によれば、弾性層5が受けた外力に応じてマーカーMが変位する。そのため、マーカーMの変位を検出部6が検出することで、弾性層5が受けた外力を精度よく検知することができる。したがって、例えば、検出部6が検出した外力に基づいて駆動を制御することで、スムーズな動作が可能なマニピュレーター1となる。特に、マーカーMの変位に基づけば、検出部6は、弾性層5が受けた外力の大きさ、外力の入力方向、入力速度等を検出することができ、受けた外力をより詳細に検出することができる。
また、前述したように、マニピュレーター1では、マーカーMは、内面5bからの距離が異なる第1マーカーM1および第2マーカーM2を有している。そのため、検出部6は、弾性層5の厚さ方向の各部(例えば、外面付近、中央付近、内面付近)における変形をそれぞれ取得することができる。そのため、検出部6によって、弾性層5が受けた外力をより精度よく検出することができる。特に、本実施形態では、さらに、第3マーカーM3を有しているため、上述の効果がより顕著となる。
また、前述したように、マニピュレーター1では、弾性層5は、第1マーカーM1を有する第1弾性層51と、第1弾性層51上に配置され、第2マーカーM2を有する第2弾性層52と、を有している。これにより、第1マーカーM1および第2マーカーM2を弾性層5に配置するのが容易となる。
また、前述したように、マニピュレーター1では、第1マーカーM1および第2マーカーM2は、形状および色彩の少なくとも一方が互いに異なっている。これにより、検出部6が第1マーカーM1および第2マーカーM2を識別し易くなる。そのため、検出部6によって、第1マーカーM1および第2マーカーM2のそれぞれの変位をより精度よく検出することができる。
また、前述したように、マニピュレーター1では、検出部6は、マーカーMを撮像する撮像部としてのカメラ61を有し、カメラ61が撮像したマーカーMの画像データに基づいてマーカーMの変位を検出する。これにより、比較的簡単な構成で、マーカーMの変位を検出することができる。特に、本実施形態では、検出部6は、ステレオ写真法によってマーカーMの変位を検出する。そのため、比較的簡単に、かつ、高精度にマーカーMの変位を検出することができ、これにより、弾性層5が受けた外力を高精度に検出することができる。
また、前述したように、マニピュレーター1では、弾性層5を内面5b側から支持する支持部としての筐体3を備えている。これにより、弾性層5の形状が安定し、弾性層5の意図しない変形、例えば、自重による変形が抑制される。そのため、弾性層5が受けた外力をより高精度に検出することができる。
また、前述したように、マニピュレーター1は、筐体3に対して変位可能な可動部24と、可動部24に加わる外力を検知する第1、第2感圧素子35、36と、を有している。これにより、弾性層5に加わる外力のみならず、可動部24に加わる外力を検出することができる。このように、受圧部4とは異なる圧力検出手段である第1、第2感圧素子35、36を備えることで、両者からの検出結果に基づいて、マニピュレーター1が受ける外力を精度よく検出することができる。
また、前述したように、マニピュレーター1は、基部21と、基部21に接続されている指部22と、を有している。そして、受圧部4は、少なくとも指部22の先端部である末節部223に配置されている。マニピュレーター1の使用方法によっても異なるが、末節部223は、マニピュレーター1の移動方向の先端側に位置する場合が多く、かつ、周囲の物体に触れる可能性も高い。そのため、このような場所に受圧部4を設けることで、より繊細なマニピュレーター1の駆動が可能となる。ただし、受圧部4の配置としては、特に限定されず、末節部223に配置されていなくてもよい。また、受圧部4は、後述する実施形態のように末節部223以外の場所にも配置されていてもよい。
以上、第1実施形態のマニピュレーター1について説明したが、マニピュレーター1の構成としては本実施形態に上述の構成に限定されない。例えば、本実施形態のマニピュレーター1は、5本の指部22を有しているが、指部22の本数としては、5本に限定されず、4本以下であってもよいし、6本以上であってもよい。また、本実施形態のマニピュレーター1では、各指部22が、基節部221、中節部222および末節部223を有し、これらが関節機構を介して接続されているが、各指部22の構成としては、これに限定されない。例えば、各指部22は、関節機構がなく、形状が固定されたものであってもよい。
また、本実施形態では、筐体3が硬質な部材で形成されているが、例えば、筐体3が圧力を受けると弾性層5と共に変形するように、軟質な部材で形成されていてもよい。これにより、例えば、本実施形態と比べて、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位量をそれぞれより大きくすることができる。そのため、検出部6は、より精度よく、弾性層5が受けた外力を検出することができる。
また、例えば、弾性層5は、その弾性力が可変となっていてもよい。これにより、マニピュレーター1の用途に応じて弾性層5の弾性力を変化させることができ、より操作性の高いマニピュレーター1となる。この場合の受圧部4の構成としては、特に限定されず、例えば、筐体3との間に第1気密空間を有する第1被覆部と、第1被覆部の表面に配置された第1マーカーM1と、第1被覆部を覆い、第1被覆部との間に第2気密空間を有する第2被覆部と、第2被覆部の表面に配置された第2マーカーM2と、第2被覆部を覆い、第2被覆部との間に第3気密空間を有する第3被覆部と、第3被覆部の表面に配置された第3マーカーM3と、第3被覆部を覆い、第3被覆部との間に第4気密空間を有する保護被覆部と、を有し、ポンプ等によって、第1気密空間、第2気密空間、第3気密空間、第4気密空間のそれぞれに空気、希ガス等の気体を供給することで、これら各気密空間の圧力が調整可能となっている構成が挙げられる。また、この場合には、例えば、第1気密空間内に配置された実質的に伸縮しない紐のようなもので、筐体3と第1被覆部とを数か所接続し、筐体3に対する第1被覆部の不本意な変位を抑制しておくことが好ましい。第2被覆部、第3被覆部および保護被覆部についても同様である。
また、本実施形態では、第1弾性層51に第1マーカーM1を配置し、第2弾性層52に第2マーカーM2を配置し、第3弾性層53に第3マーカーM3を配置しているが、例えば、図6に示すように、筐体3からの距離が異なるように、1層の弾性層5内に複数のマーカーMが規則的または不規則に配置されていてもよい。
また、マニピュレーター1は、弾性層5を加熱する加熱部を有していてもよい。これにより、例えば、弾性層5を人肌に近い35℃〜38℃程度に温めることができ、より人間の手に近い感覚を要介護者に与えることができる。加熱部は、弾性層5を全体的にほぼ均一に加熱できるようになっていてもよいし、弾性層5の一部だけを加熱できるようになっていてもよい。また、加熱部としては、特に限定されず、例えば、赤外線によって弾性層5を加熱する構成とすることができる。これとは、逆に、マニピュレーター1は、弾性層5を冷却する冷却部を有していてもよい。また、マニピュレーター1は、加熱部と冷却部の両方を有していてもよい。
また、筐体3の内側から筐体3の内周面に向けて映像光を投影し、弾性層5の外側から視認可能な画像(映像)を表示する画像投影部を有していてもよい。表示する画像としては、特に限定されないが、例えば、マニピュレーター1の使用を補助、案内する画像が挙げられる。より具体的には、例えば、要介護者にマニピュレーター1を握ってもらいたい場合には、「マニピュレーターを握ってください。」等のメッセージを表示してもよい。これにより、マニピュレーター1の操作性が向上する。画像投影部としては、特に限定されず、例えば、液晶型のプロジェクタ、光走査型のプロジェクタ等を用いることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
以下、第2実施形態のマニピュレーター1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。また、図7では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図7に示すように、本実施形態のマニピュレーター1では、受圧部4は、弾性層5の変形によっても実質的に変位せず、検出部6によって検出可能な基準マーカーM4を有している。本実施形態では、基準マーカーM4は、第1弾性層51と筐体3との間であって筐体3の外周面に配置されている。ただし、基準マーカーM4の配置としては、特に限定されず、例えば、筐体3の内周面に配置されていてもよい。
基準マーカーM4は、各カメラ61との相対的位置関係が一定であり、検出部6が第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位を検出する際の基準として機能する。このような構成によれば、例えば、検出部6は、基準マーカーM4に対する第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位を検出することで、より精度よく、弾性層5が受けた外力を検出することができる。なお、基準マーカーM4は、検出部6が第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3のそれぞれと区別(識別)できるように、例えば、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3と形状および色彩の少なくとも一方が異なっていることが好ましい。
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図8は、本発明の第3実施形態に係るマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
以下、第3実施形態のマニピュレーター1について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。また、図8では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図8に示すように、本実施形態のマニピュレーター1では、マーカーMは、外面5aに露出する露出マーカーM5を有している。具体的には、受圧部4は、前述した第1実施形態に対して保護層54を省略している。そのため、弾性層5の外面5aに第3マーカーM3が露出しており、この第3マーカーM3が露出マーカーM5を構成している。弾性層5の外面5aは、圧力を受ける受圧面である。そのため、弾性層5の外面5aに露出する露出マーカーM5を配置することで、受けた圧力に対するマーカーMの追従性が高まる。そのため、検出部6は、受けた圧力を精度よく検出することができる。
露出マーカーM5は、弾性層5の外面5aから突出する部分を有しているのが好ましい。これにより、弾性層5に触れた物体が露出マーカーM5に引っかかり易くなる。そのため、特に、弾性層5の外面5aに沿う方向の力に対する弾性層5の変形応答性が向上する。また、この場合、露出マーカーM5のヤング率は、弾性層5の外面5aを構成する層、本実施形態では第3弾性層53のヤング率よりも大きいことが好ましい。すなわち、露出マーカーM5は、第3弾性層53よりも硬いことが好ましい。これにより、露出マーカーM5にさらに物体が引っかかり易くなり、上述した効果がより顕著なものとなる。
なお、本実施形態では、露出マーカーM5が第3マーカーM3で構成されているが、露出マーカーM5の構成としては、特に限定されず、第3マーカーM3以外のマーカーで構成されていてもよい。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図9は、本発明の第4実施形態に係るマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、末節部223の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第4実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図9に示すように、本実施形態のマニピュレーター1は、前述した第1実施形態の構成に対して、末節部223から可動部24が省略されている。そして、末節部223の全体が弾性層5で覆われている。また、弾性層5の末節部223を覆う部分の全域にわたってマーカーMが配置されている。すなわち、末節部223の腹側の部分およびその裏側の部分の両方にマーカーMが配置されている。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係るロボットについて説明する。
図10は、本発明の第5実施形態に係るマニピュレーターを示す断面図である。図11は、図10に示すマニピュレーターの変形例を示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、検出部6の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第5実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10および図11では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図10に示すように、本実施形態のマニピュレーター1は、末節部223に加えて、中節部222および基節部221にも検出部6および光源7が配置されている。また、中節部222および基節部221の腹部に位置する弾性層5にもマーカーMが配置されている。そのため、中節部222および基節部221での第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変位についても検出部6で検出できる。このような構成によれば、指部22の長さ方向のほぼ全域で弾性層5が受けた圧力を検出することができるため、マニピュレーター1の駆動をより高精度に制御することができる。
ここで、例えば、末節部223、中節部222および基節部221でのマーカーMの配設密度としては、特に限定されず、互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。ただし、末節部223でのマーカーMの配設密度が、中節部222および基節部221でのマーカーMの配設密度よりも高いことが好ましい。さらに、中節部222でのマーカーMの配設密度が基節部221でのマーカーMの配設密度よりも高いことが好ましい。すなわち、指部22の先端部におけるマーカーMの配設密度が、基端部におけるマーカーMの配設密度よりも高いことが好ましい。前述した第1実施形態で述べたように、末節部223での外力検出が最も効果的であるため、末節部223でのマーカーMの配設密度を高くすることで、より精度のよい外力検出が可能となる。そして、末節部223ほど重要ではない中節部222および基節部221については、マーカーMの配設密度を末節部223よりも低くすることで、当該部分における外力検出にかかる処理部62への負荷を低減することができる。そのため、検出部6は、指部22が受けた外力を精度よく検出することができると共に、検出速度(処理速度)の低下を抑制することができる。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
ここで、本実施形態では、弾性層5が基節部221、中節部222および末節部223を跨いで形成されているが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、末節部223、中節部222および基節部221にそれぞれ独立して配置されていてもよい。すなわち、弾性層5が、末節部223と中節部222との境界部および中節部222と基節部221との境界部を跨がないように配置されていてもよい。これにより、基節部221に対して中節部222が変位した際や中節部222に対して末節部223が変位した際に弾性層5が変形し、マーカーMが変位してしまうのを抑制することができる。すなわち、外部との接触によりうける外力以外の力に起因したマーカーMの変位を抑制することができ、弾性層5が受けた外力をより精度よく検出することができる。
また、本実施形態では、指部22の裏側に位置する弾性層5にはマーカーMが配置されていないが、これに限定されず、当該部分にもマーカーMを配置し、その変位を検出部6で検出できるようになっていてもよい。また、本実施形態では、基部21に位置する弾性層5にはマーカーMが配置されていないが、これに限定されず、当該部分にもマーカーMを配置し、その変位を検出部6が検出できるようになっていてもよい。
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図12は、本発明の第6実施形態に係るマニピュレーターの断面図である。図13は、図12に示すマニピュレーターの平面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第6実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12および図13では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図12に示すように、本実施形態のマニピュレーター1では、弾性層5が1層で構成されている。そして、弾性層5の表面にマーカーMが配置されている。また、図13に示すように、マーカーMは、複数設けられており、それぞれ線状をなしている。また、各マーカーMは、弾性(伸縮性)を有している。また、各マーカーMは、環状をなし、末節部223の腹側から見た平面視で、末節部223の中央部から同心的に配置されている。このように、各マーカーMを線状とすることで、マーカーMの変位をカメラ61で認識し易くなり、弾性層5に加わった外力を精度よく検知することができる。特に、本実施形態のようにマーカーMを環状とすることで、その効果がより顕著となる。このようなマーカーMは、例えば、弾性層5と同じ材料で構成することができる。
このような第6実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。ただし、マーカーMの本数や配置は、特に限定されず、末節部223の形状や大きさによって適宜設定することができる。例えば、同心的に配置された複数の環状のマーカーMが、異なる位置に複数組配置されていてもよいし、同心的に配置された複数の環状のマーカーMと、これら環状のマーカーMの中心部から放射状に延びた複数の線状のマーカーMと、を有していてもよい。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図14は、本発明の第7実施形態に係るマニピュレーターを示す平面図である。図15は、図14に示すマニピュレーターの断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4の構成が異なること以外は、前述した第6実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第7実施形態のロボットに関し、前述した第6実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図14および図15では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図14に示すように、本実施形態の各マーカーMは、線状をなす線状部Maと、線状部Maに配置された複数の塊部Mb(広幅部)と、を有している。複数の塊部Mbは、線状部Maの延在方向に沿ってほぼ等間隔に離間して配置されている。また、塊部Mbは、線状部Maよりも幅(線状部Maの延在方向に直交する方向の長さ)が広くなっている。また、図15に示すように、塊部Mbは、線状部Maよりも厚く、線状部Maから外側へ突出している。また、線状部Maは、比較的やわらかく弾性(伸縮性)を有しているのに対して、塊部Mbは、線状部Maよりも硬く、弾性変形し難くなっている。すなわち、塊部Mbは、線状部Maよりも高いヤング率を有している。マーカーMをこのような構成とすることで、線状部Maが伸縮することで塊部Mbの変位が許容され、線状部Maと塊部Mbの変位に基づいて受けた圧力をより精度よく検知することができる。
このようなマーカーMは、例えば、弾性層5の構成材料として挙げた材料で構成することができる。また、線状部Maと塊部Mbとを異なる材料で構成することで、線状部Maを柔らかく、塊部Mbを硬くすることができる。
また、末節部223の腹側から見た平面視で、複数のマーカーMは、末節部223の外縁に沿って略U字状に配置されている。ただし、マーカーMの本数や配置は、特に限定されず、末節部223の形状や大きさによって適宜設定することができる。
このような第7実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図16は、本発明の第8実施形態に係るマニピュレーターを示す断面図である。図17は、図16に示すマニピュレーターの平面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4の構成が異なること以外は、前述した第5実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第8実施形態のロボットに関し、前述した第5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図16および図17では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図16に示すように、本実施形態のマニピュレーター1では、弾性層5が1層で構成されている。そして、弾性層5の表面にマーカーMが配置されている。また、図17に示すように、マーカーMは、複数設けられており、それぞれ線状をなしている。また、各マーカーMは、弾性(伸縮性)を有している。
また、複数のマーカーMには、末節部223に位置し、環状をなす環状マーカーM6や、環状マーカーM6を囲み、かつ、末節部223、中節部222および基節部221に亘って配置された略U字状の線状マーカーM7や、指部22の幅方向に延在する線状マーカーM8が、含まれている。そのため、複数のマーカーMは、人間の指紋のように配置されている。このように、延在方向や形状の異なる複数のマーカーM6、M7、M8を有することで、弾性層5に加わった外力を精度よく検知することができる。具体的には、例えば、マーカーM6、M7、M8のいずれかがほとんど変位しないような外力であっても、他のマーカーが十分に変位する。すなわち、どのような外力によっても、マーカーM6、M7、M8の少なくとも1つをより確実に変位させることができる。そのため、弾性層5に加わった外力を精度よく検知することができる。
このような第8実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。ただし、マーカーMの本数や配置は、特に限定されず、例えば、マーカーM6、M7、M8の他にもマーカーが配置されていてもよい。
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図18は、本発明の第9実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第9実施形態のマニピュレーターに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図18では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図18に示すように、本実施形態のマニピュレーター1は、弾性層5は、筐体3の外周面に配置された光透過層5Aと、光透過層5Aの表面に積層された光反射層5Bと、を有している。光透過層5Aは、光透過性を有しており、特に、本実施形態では実質的に無色透明である。一方、光反射層5Bは、後述する光Lを反射する光反射性を有している。また、光透過層5Aは、外力を受けた際に光反射層5Bと共に変形し、光反射層5Bの内面5B’の形状変化を許容する機能を有している。
検出部6は、光プローブ法によって弾性層5の変形を三次元的に検出する。光プローブ法を用いることで、弾性層5の変形を比較的簡単に、かつ、精度よく検出することができる。以下、検出部6について説明する。
図18に示すように、検出部6は、光反射層5Bの内面5B’に向けて光Lを出射する光源631と、スポット状の光の一次元の位置を受光面上で検出することのできるフォトダイオードから構成される半導体位置検出素子632(PSD)と、を有する光学システム633を備えている。なお、光源631としては、特に限定されず、例えば、LD(レーザーダイオード)を用いることができる。
光源631から出射された光Lは、レンズ系634によって細い光束に絞られ、光反射層5Bの内面5B’上に光スポットLSを形成する。この光スポットLSは、レンズ系635によって半導体位置検出素子632の表面に結像される。このような構成では、光学システム633と光スポットLSとの間の相対的変位量Zは、半導体位置検出素子632の表面上の像の移動量Cとして観察される。すなわち、移動量Cから相対的変位量Zを求めることができ、内面5B’の光スポットLSが形成されている部分の座標値を求めることができる。
このような構成の検出部6によれば、例えば、自然状態における内面5B’の各部の座標値を基準座標値として記憶しておき、この基準座標値と、内面5B’の各部の座標値と、をリアルタイムに比較することで、内面5B’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5B’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
なお、前述したように、検出部6では内面5B’の変形に基づいて弾性層5の変形を検出しているため、光反射層5Bは、薄い方が好ましい。例えば、光反射層5Bは、光透過層5Aの厚さよりも薄いことが好ましい。これにより、内面5B’を弾性層5の外面5aの近くに配置することができるため、内面5B’を外力に対してより正確にかつより大きく変形させることができる。そのため、検出部6の検出精度が向上する。このようなことから、本実施形態では、光反射層5BがマーカーMとして機能しているとも言える。
以上のように、本実施形態では、弾性層5は、光反射性を有する光反射層5Bと、光反射層5Bの内側に位置し、光透過性を有する光透過層5Aと、を有している。このような構成によれば、光透過層5Aが、光反射層5Bの内面5B’の変形を許容し、かつ、光Lを透過することから、筐体3内からでも、光プローブ法によって、弾性層5の変形を検出することができる。
このような第9実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、検出部6は、1つの光学システム633を用いて内面5B’の各部の座標値を求めてもよいし、複数の光学システム633を用いて内面5B’の各部の座標値を求めてもよい。
<第10実施形態>
次に、本発明の第10実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図19は、本発明の第10実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第9実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第10実施形態のマニピュレーターに関し、前述した第9実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図19では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態の検出部6は、光プローブ法によって、弾性層5の変形を三次元的に検出する。以下、検出部6について説明する。
図19に示すように、検出部6は、光反射層5Bの内面5B’に向けて光Lを出射する光源641(例えばLD)と、光Lを集光するレンズ系642と、光源641とレンズ系642との間に配置されたビームスプリッタ643と、ディテクタ644(フォトダイオード)と、レンズ系642を移動させるモーター645と、を有する光学システム646を備えている。
光源641から出射された光Lは、レンズ系642によって集光され、光反射層5Bの内面5B’上に光スポットLSを形成する。そして、内面5B’で反射した光Lは、レンズ系642を通ってビームスプリッタ643で反射した後結像する。そして、当該結像点にはディテクタ644が配置されている。また、ディテクタ644に結像点が常に位置するように、モーター645によってレンズ系642を光軸方向に移動させる。この時のレンズ系642の移動量に基づいて、内面5B’の光スポットLSが形成されている部分の座標値を求めることができる。
このような構成の検出部6によれば、例えば、自然状態における内面5B’の各部の座標値を基準座標値として記憶しておき、この基準座標値と、内面5B’の各部の座標値と、をリアルタイムに比較することで、内面5B’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5B’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第10実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、検出部6は、1つの光学システム646を用いて内面5B’の各部の座標値を求めてもよいし、複数の光学システム646を用いて内面5B’の各部の座標値を求めてもよい。
<第11実施形態>
次に、本発明の第11実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図20は、本発明の第11実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第9実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第11実施形態のマニピュレーターに関し、前述した第9実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図20では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態の検出部6は、光プローブ法によって、弾性層5の変形を三次元的に検出する。以下、検出部6について説明する。
図20に示すように、検出部6は、光反射層5Bの内面5B’に向けて光Lを出射する光源651(例えばLD)と、光Lを拡大平行光とするレンズ系652と、レンズ系652を通過した光Lを集光するレンズ系653と、レンズ系652、653の間に位置する偏光ビームスプリッタ654と、偏光ビームスプリッタ654とレンズ系653との間に位置するλ/4板655と、内面5B’で反射した光Lを分割する波面分割ミラー656と、波面分割ミラー656で分割された一方の光Lを受光する第1ディテクタ657(フォトダイオード)および他方の光Lを受光する第2ディテクタ658(フォトダイオード)と、を有する光学システム659を備えている。
このような構成では、内面5B’がレンズ系653の焦点位置から変位すると、反射光束が変化し、第1、第2ディテクタ657、658の光量に差が生じる。そのため、この差に基づいて、内面5B’の光Lが照射されている部分の座標値を求めることができる。
このような構成の検出部6によれば、例えば、自然状態における内面5B’の各部の座標値を基準座標値として記憶しておき、この基準座標値と、内面5B’の各部の座標値と、をリアルタイムに比較することで、内面5B’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5B’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第11実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、検出部6は、1つの光学システム659を用いて内面5B’の各部の座標値を求めてもよいし、複数の光学システム659を用いて内面5B’の各部の座標値を求めてもよい。
<第12実施形態>
次に、本発明の第12実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図21は、本発明の第12実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第9実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第12実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第9実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図21では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態の検出部6は、断面計測法、特に光切断法によって、弾性層5の変形を三次元的に検出する。具体的には、スリット状の光Lを内面5B’に照射し、内面5B’に写った光Lの形状に基づいて、弾性層5の変形を検出する。このような断面計測法(光切断法)を用いることで、弾性層5の変形を比較的簡単に、かつ、精度よく検出することができる。
図21に示すように、検出部6は、光反射層5Bの内面5B’に向けて光Lを出射する光源661と、光Lをスリット状にするスリット光形成部662と、光Lの光軸からずれた位置に設けられ、内面5B’に写ったスリット状の光Lを撮像する撮像素子664と、内面5B’と撮像素子664との間に位置するレンズ系665と、を有する光学システム666を備えている。
このような構成では、撮像素子664によって取得された画像、すなわち内面5B’に写る光Lの形状に基づいて、内面5B’の光Lが写っている部分の断面形状を取得することができる。そのため、例えば、スリット状の光Lを内面5B’の全域に走査し、内面5B’の各部の断面形状を取得することで、内面5B’の形状を検出することができる。
このような構成の検出部6によれば、例えば、自然状態における内面5B’の形状を基準形状として記憶しておき、この基準形状と内面5B’の形状とをリアルタイムに比較することで、内面5B’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5B’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第11実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、検出部6は、1つの光学システム666を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよいし、複数の光学システム666を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよい。
<第13実施形態>
次に、本発明の第13実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図22は、本発明の第13実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第9実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第13実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第9実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図22では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態の検出部6は、等高線計測法、特に、モアレ縞を用いたモアレポトグラフィー法によって、弾性層5の変形を三次元的に検出する。具体的には、内面5B’のモアレ縞画像を取得し、このモアレ縞画像に基づいて、弾性層5の変形を検出する。このような等高線計測法を用いることで、弾性層5の変形を比較的簡単に、かつ、精度よく検出することができる。以下、検出部6について簡単に説明する。なお、本実施形態では、光源7が省略されている。
図22に示すように、検出部6は、光Lを出射する光源671と、撮像素子672と、光源671および撮像素子672と内面5B’との間に設けられた格子673と、を有する光学システム674を備えている。
このような構成では、格子673を通った光源671からの光Lと、格子673を通して撮像素子672で見える部分と、が交差する部分が撮像素子672により撮像される部分であり、この交点を連ねた面に実質的な等高面が作られ、撮像素子672で取得した画像には、前記等高面に応じたモアレ縞が映し出される。この画像をモアレ縞画像とすれば、当該モアレ縞画像に基づいて、内面5B’の形状を取得することができる。
このような構成の検出部6によれば、例えば、自然状態における内面5B’の形状を基準形状として記憶しておき、この基準形状と、リアルタイムに求められた内面5B’の形状と、を比較することで、内面5B’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5B’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第13実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、検出部6は、1つの光学システム674を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよいし、複数の光学システム674を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよい。
<第14実施形態>
次に、本発明の第14実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図23は、本発明の第14実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第9実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第14実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第9実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図23では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態の検出部6は、パターン投影法によって、弾性層5の変形を検出する。このようなパターン投影法を用いることで、弾性層5の変形を比較的簡単に、かつ、精度よく検出することができる。以下、検出部6について簡単に説明する。
図23に示すように、検出部6は、光Lからなる基準パターンを内面5B’に投影する画像投影部681と、画像投影部681の光軸からずれた位置から内面5B’に投影された基準パターンを撮像する撮像素子682と、を有する光学システム683を備えている。このような構成では、撮像素子682で取得した画像に写る基準パターンの形状に基づいて、基準パターンが投影されている部分の内面5B’の形状を検出することができる。そのため、例えば、内面5B’の全域に基準パターンを投影することで、内面5B’の形状を検出することができる。なお、内面5B’に投影する基準パターンとしては、特に限定されず、例えば、平行な直線が離間して並ぶ格子状のパターンを用いることができる。
このような構成の検出部6によれば、例えば、自然状態における内面5B’の形状を基準形状として記憶しておき、この基準形状と、リアルタイムに求められた内面5B’の形状と、を比較することで、内面5B’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5B’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第14実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、検出部6は、1つの光学システム683を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよいし、複数の光学システム683を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよい。
<第15実施形態>
次に、本発明の第15実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図24は、本発明の第15実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第9実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第15実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第9実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図24では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態の検出部6は、位相シフト法によって、弾性層5の変形を検出する。このような位相シフト法を用いることで、弾性層5の変形を比較的簡単に、かつ、精度よく検出することができる。以下、検出部6について簡単に説明する。
図24に示すように、検出部6は、基準パターンを内面5B’に投影する画像投影部691と、画像投影部691の光軸からずれた位置から内面5B’に投影された基準パターンを撮像する撮像素子692と、を有する光学システム693を備えている。
このような構成では、例えば、基準パターンとして、輝度値の明暗で正弦波を表した縞パターンを内面5B’に投影し、内面5B’に投影された基準パターンを撮像素子692で撮像する。基準パターンは、π/2ずつずらして4回投影され、その都度、撮像素子692で撮像する。こうして得られた4つの画像から、基準パターンが投影されている部分の内面5B’の形状を検出することができる。なお、基準パターンや基準パターンのずらし方等は、特に限定されない。
このような構成の検出部6によれば、例えば、自然状態における内面5B’の形状を基準形状として記憶しておき、この基準形状と、リアルタイムに求められた内面5B’の形状と、を比較することで、内面5B’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5B’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第15実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、検出部6は、1つの光学システム693を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよいし、複数の光学システム693を用いて内面5B’の全域の形状を検出してもよい。
なお、前述した第9実施形態から本実施形態まで、光学的な方法によって内面5B’の形状変化を検出し、これにより、弾性層5が受けた外力を検出する方法について説明したが、内面5B’の形状変化を検出する方法としては、第9実施形態から本実施形態に限定されない。すなわち、内面5B’の形状を検出することができれば、如何なる方法を用いてもよい。例えば、いわゆる「点計測式」の方法であれば、前述した第9、第10、第11実施形態で説明した光プローブ方式の他にも、超音波プローブを用いた超音波方式、磁気を利用した磁気方式等を用いることができる。また、いわゆる「面計測式」の方法であれば、シルエット法、光包絡線法、前述した第12実施形態で説明した光切断法等を含む断面計測方式、干渉縞法、ホログラフィ法、前述した第13実施形態のモアレポトグラフィー法等を含む等高線計測方式を用いることができる。
<第16実施形態>
次に、本発明の第16実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図25は、本発明の第16実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第16実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図25では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図25に示すように、本実施形態のマニピュレーター1では、弾性層5は、筐体3の外周面に配置された光透過層5Aと、光透過層5Aの表面に積層された画像表示層5Cと、を有している。光透過層5Aは、光透過性を有しており、特に、本実施形態では実質的に無色透明である。一方、画像表示層5Cは、光反射性を有しており、後述する画像投影部8からの光によって画像が表示される層である。光透過層5Aは、画像表示層5Cが外力を受けた際に画像表示層5Cと共に変形し、画像表示層5Cの内面5C’の形状変化を許容する機能を有している。
また、本実施形態のマニピュレーター1は、筐体3内に配置された画像投影部8を有している。なお、画像投影部8としては、特に限定されないが、例えば、液晶型のプロジェクタ、光走査型のプロジェクタ等を有する構成とすることができる。
そして、画像投影部8からの光によって画像表示層5Cの内面5C’に所定の画像が表示されるようになっている。特に、本実施形態では、画像投影部8によって画像表示層5Cの内面5C’に、マーカーMが表示される。すなわち、本実施形態のマニピュレーター1では、内面5C’にマーカーMを表示することで、弾性層5にマーカーMを配置している。これにより、マーカーMのパターンを目的に応じて変更することができ、マニピュレーター1は、優れた利便性を発揮することができる。
このようなマーカーMは、内面5C’の変形に伴って変位するため、検出部6は、マーカーMの変位を検出することで、内面5C’の変形を検出することができる。さらに、検出部6は、内面5C’の変形に基づいて、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第16実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第17実施形態>
次に、本発明の第17実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図26ないし図28は、それぞれ、本発明の第17実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、受圧部4および検出部6の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第17実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図26ないし図28では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図26に示すように、本実施形態のマニピュレーター1では、第1マーカーM1は、第1弾性層51と第2弾性層52との間に配置された膜状をなしている。また、第2マーカーM2は、第2弾性層52と第3弾性層53との間に配置された膜状をなしている。また、第3マーカーM3は、第3弾性層53と保護層54との間に配置された膜状をなしている。これら第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3は、それぞれ、弾性層5の変形に伴って変形する。
また、第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3は、それぞれ、特定の波長の光を反射し、それ以外の波長の光を透過する。また、第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3は、それぞれ、反射する光の波長が異なっている。このような第1マーカーM1、第2マーカーM2および第3マーカーM3としては、例えば、ダイクロイックフィルター等の光学フィルターを用いることができる。
また、本実施形態のマニピュレーター1は、前述した第9実施形態で用いられている検出部6を有している。また、図26ないし図28に示すように、検出部6は、第1マーカーM1の変形を検出する第1検出部6Aと、第2マーカーM2の変形を検出する第2検出部6Bと、第3マーカーM3の変形を検出する第3検出部6Cと、を有している。
図26に示すように、第1検出部6Aでは、光源631から第1マーカーM1で反射される波長の光L1が出射される。一方、半導体位置検出素子632は、光L1を透過し、後述する光L2、L3の透過を阻止する図示しないバンドパスフィルターが配置されている。そのため、第1検出部6Aは、光L1を用いて、第1マーカーM1の変形を検出することができる。このような第1検出部6Aは、例えば、自然状態における第1マーカーM1の各部の座標値を基準座標値として記憶しておき、この基準座標値と、第1マーカーM1の各部の座標値と、をリアルタイムに比較することで、第1マーカーM1の変形を検出することができる。
また、図27に示すように、第2検出部6Bでは、光源631から第2マーカーM2で反射される波長の光L2が出射される。なお、この光L2は、第1マーカーM1を透過する。一方、半導体位置検出素子632は、光L2を透過し、光L1、L3の透過を阻止する図示しないバンドパスフィルターが配置されている。そのため、第2検出部6Bは、光L2を用いて、第2マーカーM2の変形を検出することができる。このような第2検出部6Bは、例えば、自然状態における第2マーカーM2の各部の座標値を基準座標値として記憶しておき、この基準座標値と、第2マーカーM2の各部の座標値と、をリアルタイムに比較することで、第2マーカーM2の変形を検出することができる。
また、図28に示すように、第3検出部6Cでは、光源631から第3マーカーM3で反射される波長の光L3が出射される。なお、この光L3は、第1マーカーM1および第2マーカーM2を透過する。一方、半導体位置検出素子632は、光L3を透過し、光L1、L2の透過を阻止する図示しないバンドパスフィルターが配置されている。そのため、第3検出部6Cは、光L3を用いて、第3マーカーM3の変形を検出することができる。このような第3検出部6Cは、例えば、自然状態における第3マーカーM3の各部の座標値を基準座標値として記憶しておき、この基準座標値と、第3マーカーM3の各部の座標値と、をリアルタイムに比較することで、第3マーカーM3の変形を検出することができる。
このような構成の検出部6によれば、第1検出部6Aで検出された第1マーカーM1の変形、第2検出部6Bで検出された第2マーカーM2の変形および第3検出部6Cで検出された第3マーカーM3の変形に基づいて弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第17実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、3つの検出部6A、6B、6Cを有しているが、これに限定されず、1つの検出部6を有する構成であってもよい。この場合には、例えば、光源631が光L1、L2、L3を周期的に切り替えて出射するように構成し、第1、第2、第3マーカーM1、M2、M3の変形を時分割で検出するようにすればよい。
また、検出部6を、例えば、前述した第10実施形態から第15実施形態で説明したような構成としてもよい。
<第18実施形態>
次に、本発明の第18実施形態に係るマニピュレーターについて説明する。
図29は、本発明の第18実施形態のマニピュレーターを示す断面図である。
本実施形態に係るマニピュレーター1は、検出部6の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態のマニピュレーター1と同様である。
なお、以下の説明では、第18実施形態のマニピュレーター1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図29では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図29に示すように、本実施形態の検出部6は、1つのカメラ61によってマーカーMの変位を検出するようになっている。また、カメラ61としては、例えば、被写界深度(DOF)が浅く、かつ、フォーカス機能を有するもの用いるのが好ましい。被写界深度としては、特に限定されず、求められる検出精度によっても異なるが、マーカーMが変位した際にカメラ61のピントが維持できない程度に浅いことが好ましい。このような構成の検出部6によれば、マーカーMが変位することにより生じるピントのずれを利用してマーカーMの変位を検出することができる。
例えば、検出部6は、自然状態の各マーカーMについて、ピントが合った状態でのカメラ61のレンズの状態(フォーカス用レンズの位置)を基準状態として記憶しておく。また、検出部6は、リアルタイムで、各マーカーについて、ピントが合った状態でのカメラ61のレンズの状態を検出する。検出部6は、リアルタイムで検出されたレンズの状態と基準状態とを比較することで、各マーカーMが自然状態に対してカメラ61の光軸方向にどれたけ変位したかを検出することができる。また、検出部6は、カメラ61が取得した画像から各マーカーMの光軸に直交する方向のずれを検出することができ、これら情報に基づいて各マーカーMの3次元的な変位を検出することができる。これにより、検出部6は、弾性層5の変形、すなわち弾性層5が受けた外力を検出することができる。
このような第17実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、検出部6は、フォーカス機能を有するカメラ61を用いているが、これに限定されず、フォーカス機能を有していなくてもよい。この場合は、カメラ61自体をその光軸方向に移動させることで、マーカーMとのピントを合わせるように構成し、その際のカメラ61の移動距離に基づいて、マーカーMの光軸方向への変位を検出することができる。
<第19実施形態>
次に、本発明の第19実施形態に係るロボットについて説明する。
図30は、本発明の第19実施形態のロボットを示す斜視図である。
図30に示すように、ロボット100は、ヒューマノイド型のロボットであり、胴体110と、頭部120と、関節を有する2本の脚部130と、関節を有する2本の腕部140と、腕部140の先端部に接続されたマニピュレーター1と、各部の駆動を制御するロボット制御部150と、を有している。このようなロボット100は、脚部130を駆動させることで二足歩行が可能である。なお、本実施形態では、ロボット100は、介護用のロボットとして使用される。
このようなロボット100の具体的な使用方法の一例を説明する。例えば、要介護者がベッドに横になっている状態で、ロボット100は、指部22の腹側を鉛直方向上側に向けた状態でマニピュレーター1をベッドと要介護者との間にすべり込ませてゆく。この際、受圧部4が受ける外力を検出部6で検出しつつ、可動部24が受ける外力を第1、第2感圧素子35、36によって検出することで、例えば、末節部223がシーツや要介護者の衣服に引っかかっていないか、末節部223が要介護者の体にぶつかっていないか等を判断することができる。また、特定の指部22に上記の現象が生じている場合、制御部23は、該当する指部22を動かして上記の現象を解消させる。このような制御を行うことで、ベッドと要介護者との間にマニピュレーター1をスムーズにすべり込ませることができる。
また、ベッドと要介護者とに挟まれることで各指部22の腹部に外力が加わるが、この外力を前述したようにマーカーMの変位に基づいて検知することで、どの指部22にどの程度の外力がどの方向に加わっているかを検出することができる。そのため、制御部23は、例えば、大きな外力が加わっている指部22や小さな外力しか加わっていない指部22があれば、各指部22に均一で適度な外力が加わるように所定の指部22を動かし、各指部22に加わる外力のバランスをとることができる。すなわち、制御部23は、各指部22に加わる外力の差が小さくなるように指部22の姿勢を変化させる。このような制御によれば、要介護者への負担を効果的に低減することができる。
次に、ロボット100は、腕部140を動かすことで要介護者をベッドから持ち上げて、例えば、ベッドの隣にあらかじめ用意しておいた車椅子等に座らせる。このように要介護者をベッドから持ち上げて車椅子に座らせる際も、制御部23は、各指部22に加わる外圧の差が小さくなるように必要に応じて所定の指部22を動かし、5本の指部22に加わる外力のバランスをとる。これにより、要介護者への負担を効果的に低減することができる。
このようなロボット100は、マニピュレーター1を備えている。そのため、前述したマニピュレーター1の効果を発揮することができ、信頼性の高いロボット100となる。
以上、ロボット100について説明した。ただし、ロボット100の構成としては、特に限定されず、例えば、腕部140の数は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、脚部130の数も特に限定されず、3本以上であってもよいが、特に、4本の脚部130を有して四足歩行する構成とするのが好ましい。これにより、脚部130の数を抑えつつ、ロボット100の安定した移動が可能となる。また、例えば、脚部130に代えて車輪(回転部材)を備え、車輪を回転させることで移動可能な構成となっていてもよい。また、ロボット100は、介護用のロボットに限定されず、例えば、駅、空港、商業施設等で利用者を案内する案内用のロボット、飲食店等で客まで飲食物を運ぶ運搬用のロボット、工場等で荷物を搬送する無人搬送車(AGV)等の搬送用のロボット、工場等で製造物を製造する産業用のロボット等であってもよい。
<第20実施形態>
次に、本発明の第20実施形態に係るロボットについて説明する。
図31は、本発明の第20実施形態のロボットを示す断面図である。
本実施形態に係るロボット100は、脚部130に受圧部4および検出部6が配置されていること以外は、前述した第19実施形態のロボット100と同様である。
なお、以下の説明では、第20実施形態のロボット100に関し、前述した第19実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図31では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
図31に示すように、脚部130は、地面に接地する足部131を有している。そして、この足部131に受圧部4および検出部6が設けられている。具体的には、足部131は、筐体132を有しており、筐体132の底面に、マーカーMを有する弾性層5が設けられている。なお、弾性層5の構成は、前述した第1実施形態と同様である。また、筐体132の内側には複数のカメラ61が設けられており、検出部6は、これらカメラ61の画像からマーカーMの変位を検出し、弾性層5に加わった外力を検出する。このように、足部131に弾性層5を設けることで、ロボット100が歩行した際に、地面から受ける力を検出することができる。そのため、地面の凹凸を検出できたり、ロボット100の体重移動を検出できたりする。よって、弾性層5が受けた力をロボット制御部150にフィードバックすることで、より精度の良い歩行を行うことができる。
なお、本実施形態では、足部131に受圧部4および検出部6が配置されているが、これに限定されず、例えば、ロボット100の少なくとも一部に受圧部4および検出部6が配置されていればよい。例えば、受圧部4および検出部6は、さらに、胴体110、頭部120、腕部140の少なくとも1つに設けられていてもよい。また、受圧部4および検出部6は、足部131に設けられていなくてもよい。
<第21実施形態>
次に、本発明の第21実施形態に係るロボットについて説明する。
図32は、本発明の第21実施形態のロボットを示す断面図である。図33は、図32に示すロボットの変形例を示す断面図である。
本実施形態に係るロボット100は、脚部130の構成が異なること以外は、前述した第20実施形態のロボット100と同様である。
なお、以下の説明では、第21実施形態のロボット100に関し、前述した第20実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図32および図33では前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
本実施形態では、図32に示すように、足部131は、弾性層5の下面に設けられたカバー部139を有している。カバー部139によって、弾性層5が地面と接触するのを防止することができ、弾性層5を保護することができる。
また、カバー部139は、弾性層5と異なる硬さ(ヤング率)を有しており、本実施形態では、ロボット100の歩行によっては、実質的に変形しない程度に硬質となっている。カバー部139の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料等を用いることができる。ただし、カバー部139の硬さとしては、特に限定されず、ロボット100の歩行によって変形する程度に軟質となっていてもよい。
このような第21実施形態によっても、前述した第20実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、図33に示すように、カバー部139は、足部131の下面において複数に分割されていてもよい。また、カバー部139を複数に分割する場合、その分割数や形状についても特に限定されない。
以上、本発明のマニピュレーターおよびロボットについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、前述した実施形態では、マニピュレーターをロボットに接続しているが、マニピュレーターを接続する対象物してはロボットに限定されない。例えば、ロボットのように駆動しない単なるフレームのようなものであってもよい。