JP6872299B2 - 摩擦低減方法及び摺動機構 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦低減方法及び摺動機構に関する。詳細には、本発明は、一対の摺動部材の間に潤滑油組成物を介在させた摺動機構及びその摩擦低減方法に関する。
摩擦とは、接触している二つの部材間において、外から力が加えられた際に、その運動に抵抗する方向に働く現象であり、通常その大きさは摩擦係数で表すことができる。摩擦はある運動を妨げようとする力であるため、摩擦を低減することは省エネルギーに繋がり、潤滑業界の様々な用途において最も重要な課題の一つとされている。特に、自動車業界においては、エンジンなどにおける様々な摺動機構の摩擦を低減することが、省燃費の実現及び自動車の長寿命化に繋がるため、多くの摩擦低減方法が考案されている。
一般に、摺動機構の摩擦低減方法としては、二つの方法に大別できる。
一つの方法は、摩擦現象が起こる一対の摺動部材そのものに摩擦低減効果を与える方法である。この方法の例としては、摩擦現象の起こり難い材質を用いて摺動部材を形成する方法、摺動部材の表面(摺動面)を摩擦低減効果が得られるように処理する方法が挙げられる。例えば、特許文献1には、耐摩耗性、低摩擦係数及び耐久性に優れたダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜などの固体潤滑皮膜を摺動部材の表面に形成する方法が記載されている。また、特許文献2には、摺動部材の表面に二硫化モリブデンの微細粉体を衝突させることにより、表面から深さ20μm以内の表層に二硫化モリブデンを含有する層を形成する方法が提案されている。また、特許文献3には、摺動部材の表面にSi含有ダイヤモンドライクカーボン層を形成し、Si含有ダイヤモンドライクカーボン層上に共有結合で固定されたポリマーブラシ層を形成する方法が提案されている。さらに、特許文献4には、素地中に炭化物及び/又は金属間化合物が散在した合金を用いて摺動部材を形成し、摺動部材の表面付近の素地を選択的に除去することにより、摺動部材の表面に炭化物及び/又は金属間化合物から成る凸部を形成し、摺動部材の凸部の高さを0.05〜3.0μmにする方法が提案されている。
もう一つの方法は、摩擦現象が起こる二つの摺動部材間に、摩擦低減効果に優れた潤滑油組成物を介在させる方法である。この方法で用いられる潤滑油組成物には、例えば、摩擦低減剤として、モリブデンジチオカルバメート、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンアミン等の有機モリブデン化合物が配合される。これらの摩擦低減剤の中でもモリブデンジチオカルバメートは、一対の摺動部材の摺動面が直接触れ合う領域において良好な摩擦低減効果を与える潤滑油用添加剤としてよく知られている。潤滑油組成物の具体例としては、例えば、特許文献5には、基油に対し、(A)りん酸エステル及び亜りん酸エステルの中から選ばれた少なくとも1種を0.01〜0.8重量%、(B)炭素数8〜18の炭化水素基を有する硫化オキシモリブデンジチオカルバメートをモリブデン量として50〜2000ppm、及び(C)全塩基価10〜100のカルシウムサリシレートを0.3〜2.5重量%含有させた潤滑油組成物が提案されている。また、特許文献6には、鉱油系潤滑油基油、合成系潤滑油基油又はこれらの混合物からなる基油と、モリブデンジチオカーバメートをモリブデン量で200〜3000ppm、アルキレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)を硫黄量で150〜4000ppm、及びアルカリ土類金属サリシレートを硫酸灰分量で0.02〜1.5質量%含有し、必要に応じてジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン量で800ppm以下含有する潤滑油組成物(エンジン油組成物)が提案されている。さらに、特許文献7には、鉱油及び/又は合成油の基油に、ジアルキルジチオリン酸亜鉛及び有機モリブデン化合物を含有し、ジアルキルジチオリン酸亜鉛のアルキル基が第2級アルキル基及び第1級アルキル基を含む潤滑油組成物が提案されている。
しかしながら、上記の2つの方法は、単独では得られる摩擦低減効果に限界があり、市場が求める摩擦低減性能を満たすことができなくなってきている。そのため、自動車業界のみならず産業機器業界では、上記の2つの方法を組み合わせることによって摩擦低減性能を向上させているのが現状である。
特開平5−296248号公報 国際公開第02/40743号 特開2012−56165号公報 特開2016−117935号公報 特開平6−336593号公報 特開2004−99676号公報 特開2010−254767号公報
しかしながら、摩擦低減効果を有する摺動部材は、潤滑油組成物と組み合わせて使用することを前提としたものではないことが多いため、組み合わせた場合に摺動部材及び/又は潤滑油組成物の摩擦低減効果が十分に活かされず、場合によっては摩擦低減効果が低下してしまうという問題がある。
また、モリブデンジチオカルバメート等を摩擦低減剤として含有する従来の潤滑油組成物は、高温条件下(60℃以上)での摩擦低減効果には優れているものの、低温条件下(60℃未満)での摩擦低減効果が十分ではないという問題もある。
現在、地球環境に優しいとされるハイブリッド自動車への関心が世界的に高まっている。ハイブリッド自動車は、電気モーターによって始動を行い、ある一定速度を超えるか又は高速加速が必要な場合には内燃エンジンに切り替わり、速度低下時又は停止時には電気モーターに切り替わる。これら動作を頻繁に繰り返すことから、通常のガソリンエンジンに比べて内燃エンジン内部の温度は高温になり難く、低温状態を保つ傾向にある。そのため、市場からは、ハイブリッド自動車に適するような、低温条件下でも摩擦低減効果に優れる摺動機構及びその摩擦低減方法の開発が強く求められている。
したがって、本発明は、低温条件下での摩擦低減効果に優れる摺動機構及びその摩擦低減方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、摺動部材の表面形状及び潤滑油組成物の種類が、一対の摺動部材の間に潤滑油組成物を介在させた摺動機構の摩擦低減効果に影響を与えるという知見に基づき、摺動部材の摺動面に特定のディンプル形状を形成すると共に、特定の潤滑油組成物を選択して用いることにより、上記の問題を全て解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一対の摺動部材の間に潤滑油組成物を介在させることを含む、摺動機構の摩擦低減方法であって、少なくとも一方の前記摺動部材の摺動面は、中心線平均粗さRaが0.05〜5μm、凹凸の平均間隔Smが0.002〜0.1mmのディンプル形状を有し、前記潤滑油組成物は一般式(1)で表される有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物を含有することを特徴とする摩擦低減方法である。
また、本発明は、一対の摺動部材の間に潤滑油組成物を介在させた摺動機構であって、少なくとも一方の前記摺動部材の摺動面は、中心線平均粗さRaが0.05〜5μm、凹凸の平均間隔Smが0.002〜0.1mmのディンプル形状を有し、前記潤滑油組成物は一般式(1)で表される有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物を含有することを特徴とする摺動機構である。
本発明によれば、低温条件下での摩擦低減効果に優れる摺動機構及びその摩擦低減方法を提供することができる。
本発明は、一対の摺動部材の間に潤滑油組成物を介在させた摺動機構及びその摩擦低減方法である。
ここで、本明細書において「一対の摺動部材」とは、相互に摺動する2つの摺動部材のことを意味する。一対の摺動部材を有する摺動機構は、変速機、内燃機関、ギア、油圧システム、タービン等の各種用途に用いられており、これらの各種用途に本発明の摺動機構及びその摩擦低減方法を適用することができる。その中でも、本発明の摺動機構及びその摩擦低減方法は、本発明の効果が顕著に現れ易いことから、4サイクル又は2サイクルエンジン等の内燃機関、具体的には、動弁系、ピストン、ピストンリング、ピストンスカート、シリンダライナ、コンロッド、クランクシャフト、ベアリング、軸受け、メタルギヤー、チェーン、ベルト、オイルポンプ等に用いることが好ましく、低温時の摩擦低減効果が要求される用途(ハイブリッド車の内燃機関等)に用いることがより好ましい。
摺動部材の材質としては、用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されない。摺動部材の材質の例としては、ステンレス鋼等の鉄系金属、アルミニウム、銅、チタン等のその他の金属、樹脂、ゴム、セラミックス、シリコンなどが挙げられる。
また、摺動部材の表面には各種表面処理(例えば、皮膜の形成)が行われていてもよい。皮膜の例としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜などの固体潤滑皮膜が挙げられる。
少なくとも一方の摺動部材の摺動面は、中心線平均粗さRaが0.05μm〜5μm、凹凸の平均間隔Smが0.002mm〜0.1mmのディンプル形状(微細な凹凸形状)を有する。このようなディンプル形状を形成することにより、本発明に用いられる潤滑油組成物が一対の摺動部材の間に保持され易くなるため、摩擦低減効果を高めることができる。
ディンプル形状の直径、深さ、及び十点平均粗さRzについては特に限定されないが、一般的には、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μm、Rzが0.2μm〜3.0μmである。
なお、所定のディンプル形状は、一方の摺動部材の摺動面に形成されていればよいが、両方の摺動部の摺動面に形成されていてもよい。
所定のディンプル形状を有する摺動面の形成方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。その中でもショットピーニングを用いれば、所定のディンプル形状を容易に形成することができる。
潤滑油組成物は、有機モリブデン化合物を含有する。潤滑油組成物に含有される有機モリブデン化合物は、単一の種類であっても2種以上の種類であってもよい。有機モリブデン化合物としては、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、モリブデンアミン等の潤滑油業界で使用可能なものであれば特に限定されない。その中でも、有機モリブデン化合物は、低温時の摩擦低減効果が得られ易いことから、下記の一般式(1)で表されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンであることが好ましい。
Figure 0006872299
上記の一般式(1)中、X〜Xは、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。
特に、低温時の摩擦低減効果が得られ易いことから、X及びXが硫黄原子であることが好ましく、X及びXが硫黄原子であり且つX及びXが酸素原子であることがより好ましい。或いは、X及びXが硫黄原子であることが好ましく、X及びXが硫黄原子であり且つX及びXが酸素原子であることがより好ましい。
〜Rの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等の第1級飽和脂肪族炭化水素基;イソブチル基、分岐鎖ペンチル基、分岐鎖ヘキシル基、分岐鎖ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、分岐鎖ノニル基、分岐鎖デシル基、分岐鎖ウンデシル基、分岐鎖ドデシル基、分岐鎖トリデシル基、分岐鎖テトラデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、分岐鎖ノナデシル基、分岐鎖イコシル基等の分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基;s−ブチル基、第2級ペンチル基、第2級ヘキシル基、第2級ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、第2級オクチル基、第2級ノニル基、第2級デシル基、第2級ウンデシル基、第2級ドデシル基、第2級トリデシル基、第2級テトラデシル基、第2級ペンタデシル基、第2級ヘキサデシル基、第2級ヘプタデシル基、第2級オクタデシル基、第2級ノナデシル基、第2級イコシル基等の第2級飽和脂肪族炭化水素基;t−ブチル基、第3級ペンチル基、第3級ヘキシル基、第3級ヘプチル基、第3級オクチル基、第3級ノニル基、第3級デシル基、第3級ウンデシル基、第3級ドデシル基、第3級トリデシル基、第3級テトラデシル基、第3級ペンタデシル基、第3級ヘキサデシル基、第3級ヘプタデシル基、第3級オクタデシル基、第3級ノナデシル基、第3級イコシル基等の第3級飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等の脂環式炭化水素基が挙げられる。また、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
その中でもR〜Rは、低温時の摩擦低減効果が得られ易いことから、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、第1級飽和脂肪族炭化水素基、分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基及び第2級飽和脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基及び第2級飽和脂肪族炭化水素基であることが最も好ましい。また、R〜Rは、低温時の摩擦低減効果が得られ易く且つ製造が容易であることから、炭素数4〜18の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数6〜16の飽和脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数8〜13の飽和脂肪族炭化水素基であることが最も好ましい。
潤滑油組成物に含有されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンが2種以上である場合、低温時の摩擦低減効果がより顕著に得られ易いことから、一般式(1)のR〜Rが2種類の炭化水素基から構成されていることが好ましく、1つの窒素原子と結合している2つの炭化水素基の種類が同一であることがより好ましい。この場合、2種以上のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンの混合割合については特に限定されない。
一般式(1)のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンは、公知の製造方法に従って製造することができる。具体的には、特開昭62−81396号公報、特開平7−53983号公報、特開平8−217782号公報、特開平10−17586号公報、特開平08−171298号公報等に記載の製造方法を用いればよい。
潤滑油組成物における有機モリブデン化合物の配合量は、特に限定されないが、低温時の摩擦低減効果を安定的に得る観点から、モリブデン含量で20ppm〜5,000ppmであることが好ましく、50ppm〜4,000ppmであることがより好ましく、100ppm〜3,000ppmであることが更に好ましく、300ppm〜2000ppmであることが最も好ましい。モリブデン含量が20ppm未満であると、所望の摩擦低減効果が安定的に得られない場合がある。一方、モリブデン含量が5,000ppmを超えると、得られる摩擦低減効果が飽和してしまうため、経済性が低下する場合がある。
潤滑油組成物は、低温時の摩擦低減効果を高める観点から、有機亜鉛化合物を更に含有することが好ましい。有機亜鉛化合物としては、潤滑油業界で使用可能なものであれば特に限定されないが、低温時の摩擦低減効果が得られ易いことから、下記の一般式(2)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛であることが好ましい。
Figure 0006872299
上記の一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
〜Rの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等の第1級飽和脂肪族炭化水素基;イソブチル基、分岐鎖ペンチル基、分岐鎖ヘキシル基、分岐鎖ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、分岐鎖ノニル基、分岐鎖デシル基、分岐鎖ウンデシル基、分岐鎖ドデシル基、分岐鎖トリデシル基、分岐鎖テトラデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、分岐鎖ノナデシル基、分岐鎖イコシル基等の分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基;s−ブチル基、第2級ペンチル基、第2級ヘキシル基、第2級ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、第2級オクチル基、第2級ノニル基、第2級デシル基、第2級ウンデシル基、第2級ドデシル基、第2級トリデシル基、第2級テトラデシル基、第2級ペンタデシル基、第2級ヘキサデシル基、第2級ヘプタデシル基、第2級オクタデシル基、第2級ノナデシル基、第2級イコシル基等の第2級飽和脂肪族炭化水素基;t−ブチル基、第3級ペンチル基、第3級ヘキシル基、第3級ヘプチル基、第3級オクチル基、第3級ノニル基、第3級デシル基、第3級ウンデシル基、第3級ドデシル基、第3級トリデシル基、第3級テトラデシル基、第3級ペンタデシル基、第3級ヘキサデシル基、第3級ヘプタデシル基、第3級オクタデシル基、第3級ノナデシル基、第3級イコシル基等の第3級飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル基等の脂環式炭化水素基が挙げられる。また、R〜Rは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
その中でもR〜Rは、低温時の摩擦低減効果が得られ易いことから、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基、第2級飽和脂肪族炭化水素基及び第3級飽和脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、第2級飽和脂肪族炭化水素基及び第3級飽和脂肪族炭化水素基であることが更により好ましく、第2級飽和脂肪族炭化水素基であることが最も好ましい。また、R〜Rは、低温時の摩擦低減効果が得られ易く且つ製造が容易であることから、炭素数2〜20の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数3〜16の飽和脂肪族炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数4〜12の飽和脂肪族炭化水素基であることが最も好ましい。
一般式(2)のジアルキルジチオリン酸亜鉛は、公知の製造方法に従って製造することができる。具体的には、特公昭48−37251号公報等に記載の製造方法を用いればよい。
潤滑油組成物における有機亜鉛化合物の配合量は、特に限定されず、その種類に応じて適宜調整すればよいが、一般的に、潤滑油組成物全量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。特に、有機亜鉛化合物がジアルキルジチオリン酸亜鉛である場合、その効果を十分に得る観点から、リン含量で20ppm〜5,000ppmであることが好ましく、50ppm〜4,000ppmであることがより好ましく、100ppm〜3,000ppmであることが更に好ましく、300ppm〜2,000ppmであることが最も好ましい。リン含量が20ppm未満であると、ジアルキルジチオリン酸亜鉛による効果が十分に得られない場合がある。一方、リン含量が5,000ppmを超えると、ジアルキルジチオリン酸亜鉛による効果が飽和してしまい、経済性が低下する場合がある。
潤滑油組成物において有機モリブデン化合物とジアルキルジチオリン酸亜鉛(有機亜鉛化合物)とを併用する場合、それらの混合割合は特に限定されないが、低温時の摩擦低減効果が得られ易いことから、有機モリブデン化合物のモリブデン含量とジアルキルジチオリン酸亜鉛のリン含量との質量比が0.1:10〜10:0であることが好ましく、0.5:5〜5:0.3であることがより好ましく、0.8:3.5〜3.5:0.5であることが更に好ましく、1:2.5〜2.5:0.5であることが最も好ましい。ジアルキルジチオリン酸亜鉛に対する有機モリブデン化合物の混合割合が上記範囲を満たさないと、低温時の摩擦低減効果が十分に得られない場合がある。
潤滑油組成物は、上記成分の他に、基油を一般的に含有する。基油としては、特に限定されず、使用目的及び条件に応じて、鉱物基油、化学合成基油、動植物基油、GTL基油及びこれらの混合基油等から適宜選択される。
鉱物基油の例としては、パラフィン基系原油、ナフテン基系原油、中間基系原油、芳香族基系原油が挙げられる。また、これらの原油を常圧蒸留して得られる留出油、又は常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油を鉱物基油として用いることもできる。更に、これらの留出油を常法に従って精製することによって得られる精製油(具体的には溶剤精製油、水添精製油、脱ロウ処理油及び白土処理油等)を鉱物基油として用いてもよい。
化学合成基油の例としては、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン及びGTL基油等が挙げられる。これらの中でも、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル及びポリオールエステル等が好ましい。ここで、ポリ−α−オレフィンとしては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン及び1−テトラデセン等をポリマー化又はオリゴマー化したもの、又はこれらを水素化したもの等を用いることができる。また、ジエステルとしては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等の2塩基酸と、2−エチルヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール及びトリデカノール等のアルコールとのジエステル等を用いることができる。また、ポリオールエステルとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等のポリオールと、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸等の脂肪酸とのエステル等を用いることができる。
動植物基油の例としては、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ脂、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、綿実油及びヤシ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油及び鯨油等の動物性油脂が挙げられる。
GTL基油としては、特に限定されないが、通常、粘度指数が100〜180、100℃動粘度が3〜12mm/sの粘度性状を有するものが選択して用いられる。
上記の各種基油は、一種を用いてもよく、二種以上を適宜組み合せて用いてもよい。また、基油は、低温時の摩擦低減効果が得られ易いことから、鉱物基油及び化学合成基油であることが好ましく、鉱物基油であることがより好ましい。
潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の潤滑油添加剤を使用目的に応じて適宜配合することができる。公知の潤滑油添加剤の例としては、有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物以外の摩擦調整剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤、金属不活性化剤、耐荷重添加剤、乳化剤、抗乳化剤、及びかび防止剤等が挙げられる。
摩擦調整剤の例としては、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、及びラウリルアルコール等の高級アルコール類;オレイン酸、ステアリン酸、及びラウリン酸等の脂肪酸類;オレイン酸グリセリルエステル、ステアリン酸グリセリルエステル、ラウリン酸グリセリルエステル、アルキルグリセリルエステル、アルケニルグリセリルエステル、アルキニルグリセリルエステル、エチレングリコールオレイン酸エステル、エチレングリコールステアリン酸エステル、エチレングリコールラウリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、及びプロピレングリコールラウリン酸エステル等のエステル類;オレイルアミド、ステアリルアミド、ラウリルアミド、アルキルアミド、アルケニルアミド、及びアルキニルアミド等のアミド類;オレイルアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミン、アルキルアミン、アルケニルアミン、アルキニルアミン、ココビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、牛脂ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン、N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)ジエタノールアミン、及びジメチル牛脂三級アミン等のアミン類;オレイルグリセリルエーテル、ステアリルグリセリルエーテル、ラウリルグリセリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル、アルケニルグリセリルエーテル、及びアルキニルグリセリルエーテル等のエーテル類が挙げられる。
潤滑油組成物における摩擦調整剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より好ましくは0.1質量%〜3質量%である。
摩耗防止剤及び極圧剤の例としては、硫化油脂、オレフィンポリスルフィド、硫化オレフィン、ジベンジルスルフィド、エチル−3−[[ビス(1−メチルエトキシ)フォスフィノチオイル]チオ]プロピオネート、トリス−[(2又は4)−イソアルキルフェノール]チオフォスフェート、3−(ジ−イソブトキシ−チオホスホリルスルファニル)−2−メチル−プロピオン酸、トリフェニルフォスフォロチオネート、β−ジチオホスフォリル化プロピオン酸、メチレンビス(ジブチルジチオカーバメイト)、O,O−ジイソプロピル−ジチオフォスフォリルエチルプロピオネート、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブタンチオ)1,3,4−チアジアゾール、及び2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール等の硫黄系添加剤;モノオクチルフォスフェート、ジオクチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノフェニルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、モノイソプロピルフェニルフォスフェート、ジイソプロピルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフェニルフォスフェート、モノターシャリーブチルフェニルフォスフェート、ジ−tert−ブチルフェニルフォスフェート、トリ−tert−ブチルフェニルフォスフェート、トリフェニルチオフォスフェート、モノオクチルフォスファイト、ジオクチルフォスファイト、トリオクチルフォスファイト、モノブチルフォスファイト、ジブチルフォスファイト、トリブチルフォスファイト、モノフェニルフォスファイト、ジフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、モノイソプロピルフェニルフォスファイト、ジイソプロピルフェニルフォスファイト、トリイソプロピルフェニルフォスファイト、モノ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、及びトリ−tert−ブチルフェニルフォスファイト、下記の一般式(3)で表される化合物等のリン系化合物;ジチオリン酸金属塩(Sb等)、ジチオカルバミン酸金属塩(Sb等)、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、リン酸金属塩、リン酸エステル金属塩、及び亜リン酸エステル金属塩等のモリブデン及び亜鉛を除く有機金属化合物;2,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールアルキルポリカルボキシレート、3,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,6−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、4,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、5,5−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−チオン)ジメルカプトチアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、アルキルジメルカプトチアジアゾール等のチアジアゾール化合物及びその誘導体;ホウ素化合物;モノ及びジヘキシルフォスフェートのアルキルアミン塩;リン酸エステルアミン塩;及びトリフェニルチオリン酸エステルとtert−ブチルフェニル誘導体との混合物等が挙げられる。
Figure 0006872299
上記の一般式(3)中、Aは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基を表し、nは、1〜10の数を表し、R〜R16は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
Aの例としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、及び2価のシクロアルキル基等が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、イコサレン基等が挙げられる。また、シクロアルキル基の例としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、ジシクロペンチレン基、及びトリシクロペンチレン基等が挙げられる。また、芳香族炭化水素基の例としては、以下の一般式(4)で表される基、一般式(5)で表される基、一般式(6)で表される基、ナフチレン基、及び1,2−ジフェニルエチレン基等が挙げられる。なお、一般式(4)で表される基は、結合する箇所によってオルト体、メタ体、及びパラ体の3つの構造になるが、いずれの構造であってもよい。
Figure 0006872299
〜R16の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等(これらの基は、直鎖であっても分岐であってもよいし、1級、2級又は3級のいずれであってもよい)が挙げられる。
潤滑油組成物における摩耗防止剤又は極圧剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.01質量%〜3質量%、より好ましくは0.05質量%〜2質量%である。
金属系清浄剤の例としては、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のスルフォネート、フェネート、サリシレート、フォスフェート、及びこれらの過塩基性塩等が挙げられる。これらの中でも金属系清浄剤は、過塩基性塩であることが好ましく、過塩基性塩の中でもTBN(トータルベーシックナンバー)が10〜500mgKOH/gのものがより好ましい。
潤滑油組成物における金属系清浄剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜8質量%である。
無灰分散剤の例としては、炭素数40〜400の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物、或いはその誘導体等が挙げられる。具体的には、コハク酸イミド、コハク酸アミド、コハク酸エステル、コハク酸エステル−アミド、ベンジルアミン、ポリアミン、ポリコハク酸イミド及びマンニッヒ塩基を含窒素化合物として用いることができる。また、含窒素化合物の誘導体として、例示した含窒素化合物に、ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素化合物、チオリン酸、チオリン酸塩等のリン化合物、有機酸、及びヒドロキシポリオキシアルキレンカーボネート等を作用させたもの等を用いることができる。
なお、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が40未満であると、含窒素化合物の基油に対する溶解性が低下する場合がある。一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が400を超えると、潤滑油組成物の低温流動性が低下してしまう場合がある。
潤滑油組成物における無灰分散剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜8質量%である。
酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(以下、「tert−ブチル」を「t−ブチル」と略記する。)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸デシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールジエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールジエステル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘプチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ノニル−3−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、[3,5−ビス(1,1−ジメチル-エチル)−4−ヒドロキシ]ベンゼンプロピオン酸C7−C9側鎖アルキルエステル、2,4,8−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジイルビス(2−メチルプロパン−2,1−ジイル)ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルキルエステル、及びビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等のフェノール系酸化防止剤;1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−1,1,3,3−テトラメチルブチルナフタレン−1−アミン、アルキルフェニル−1−ナフチルアミン、p−オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ノニルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、及びフェニル−2−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジオクチル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、及びフェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、ジアルキルフェニルアミン、ビス(4−n−ブチルフェニル)アミン、ビス(4−t−ブチルフェニル)アミン、ビス(4−n−ペンチルフェニル)アミン、ビス(4−t−ペンチルフェニル)アミン、ビス(4−n−オクチルフェニル)アミン、ビス(4−(2−エチルヘキシル)フェニル)アミン、ビス(4−ノニルフェニル)アミン、ビス(4−デシルフェニル)アミン、ビス(4−ドデシルフェニル)アミン、ビス(4−スチリルフェニル)アミン、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン、及びN−フェニルベンゼンアミンと2,2,4−トリメチルペンテンとの反応生成物等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、及びフェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤等が挙げられる。
潤滑油組成物における酸化防止剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.01質量%〜5質量%、より好ましくは0.05質量%〜4質量%である。
粘度指数向上剤の例としては、ポリ(C1〜18)アルキルメタクリレート、(C1〜18)アルキルアクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ジメチルアミノエチルメタクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、エチレン/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体、オレフィンコポリマー(OCP)、及びスターポリマー等が挙げられる。また、分散性能を付与した分散型、又は多機能型粘度指数向上剤を粘度指数向上剤として用いてもよい。粘度指数向上剤として用いられる成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的に10,000〜1,500,000、好ましくは20,000〜500,000程度である。
潤滑油組成物における粘度指数向上剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは0.3質量%〜15質量%である。
流動点降下剤の例としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリビニルアセテート等が挙げられる。流動点降下剤として用いられる成分の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般的に1000〜100,000、好ましくは5000〜50,000程度である。
潤滑油組成物における流動点降下剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.005質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜2質量%である。
防錆剤の例としては、亜硝酸ナトリウム、酸化パラフィンワックスカルシウム塩、酸化パラフィンワックスマグネシウム塩、牛脂脂肪酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ土類アミン塩、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル(アルケニル基の分子量は100〜300程度)、ソルビタンモノエステル、ノニルフェノールエトキシレート、及びラノリン脂肪酸カルシウム塩等が挙げられる。
潤滑油組成物における防錆剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.01質量%〜3質量%、より好ましくは0.02質量%〜2質量%である。
腐食防止剤及び金属不活性化剤の例としては、トリアゾール、トリルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、又はこれら化合物の誘導体である、2−ヒドロキシ−N−(1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)ベンズアミド、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−[(1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチル]アミン、及び2,2’−[[(4、又は5、又は1)−(2−エチルヘキシル)−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メチル]イミノ]ビスエタノール等が挙げられる。また、腐食防止剤及び金属不活性化剤として、ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、テトラアルキルチウラムジサルファイド、N’1,N’12−ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジハイドラジド、3−(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)−N’−(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロパノイル)プロパンハイドラジド、テトラプロぺニルコハク酸と1,2−プロパンジオールとのエステル化物、ジソディウムセバケート、(4−ノニルフェノキシ)酢酸、モノ及びジヘキシルフォスフェートのアルキルアミン塩、トリルトリアゾールのナトリウム塩、及び(Z)−N−メチルN−(1−オキソ9−オクタデセニル)グリシン等を用いてもよい。
潤滑油組成物における腐食防止剤又は金属不活性化剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.01質量%〜3質量%、より好ましくは0.02質量%〜2質量%である。
消泡剤の例としては、ポリジメチルシリコーン、ジメチルシリコーンオイル、トリフルオロプロピルメチルシリコーン、コロイダルシリカ、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、アルコールエトキシ/プロポキシレート、脂肪酸エトキシ/プロポキシレート、及びソルビタン部分脂肪酸エステル等が挙げられる。
潤滑油組成物における消泡剤の配合量は、特に限定されないが、基油に対して、好ましくは0.001質量%〜0.1質量%、より好ましくは0.001質量%〜0.01質量%である。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例等において、%は特に記載がない限り質量基準である。
<摺動部材の表面処理>
高炭素クロム軸受鋼鋼材を摺動部材として用い、直径54μm以下のセラミックビーズを高炭素クロム軸受鋼鋼材の表面に投射するショットピーニング処理を行うことにより、直径10〜20μm、深さ0.3〜0.8μmの微細なディンプル形状を形成した。また、得られたディンプル形状は、中心線平均粗さRaが0.1〜0.2μm、凹凸の平均間隔Smが0.015mm、十点平均粗さRzが0.5〜2.0μmであった。
比較用として、高炭素クロム軸受鋼鋼材の表面を研磨処理した。得られた表面形状は、中心線平均粗さRaが0.04μm、凹凸の平均間隔Smが0.01mm、十点平均粗さRzが0.5〜0.6μmであった。
また、比較用として、高炭素クロム軸受鋼鋼材の表面を鏡面処理した。得られた表面形状は、中心線平均粗さRaが0.001μm、凹凸の平均間隔Smが0.005mm、十点平均粗さRzが0.05μmであった。
<潤滑油組成物>
潤滑油組成物に用いた成分を以下に示す。
有機モリブデン化合物:一般式(1)において、R〜RがC17及びC1327であり、X及びXが硫黄原子、X及びXが酸素原子であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン
有機亜鉛化合物I:一般式(2)において、R〜Rが第2級ヘキシル基及びs−ブチル基(第2級アルキル基)であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
有機亜鉛化合物II:一般式(2)において、R〜Rが2−エチルヘキシル基(第1級アルキル基)であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
無灰分散剤:コハク酸イミド
金属系清浄剤:カルシウムサリシレート
酸化防止剤I:フェノール系酸化防止剤
酸化防止剤II:アミン系酸化防止剤
基油:40℃動粘度19.5mm/s、100℃動粘度4.2mm/s、粘度指数VI=124のグループ3の鉱物油
表1の組成に従い、基油に各成分を配合して混合することによって潤滑油組成物を調製した。なお、表1において、有機モリブデン化合物の配合量は潤滑油組成物中のモリブデン含量(ppm)、有機亜鉛化合物の配合量は潤滑油組成物中のリン含量(ppm)、その他の成分の配合量は基油に対する質量割合(質量%)である。
Figure 0006872299
上記のようにして表面処理を行った高炭素クロム軸受鋼鋼材に潤滑油組成物1〜6を組み合わせて摩擦特性試験を実施した。表面処理と潤滑油組成物との組み合わせ例は表2に示す。
摩擦特性試験は、新東科学株式会社製の荷重変動型摩擦摩耗試験システム(TYPE:HHS2000)を用い、ボールオンプレート往復揺動での摩擦係数を測定した。この試験の条件は以下の通りである。
荷重:200g
振幅:5mm
周波数:1Hz
温度:40℃
往復回数:500回
ボール材質:SUJ−2
摩擦特性試験の結果を表2に示す。
なお、実施例1は参考例である。
Figure 0006872299
表2に示されているように、所定の表面形状(ディンプル形状)を形成した高炭素クロム軸受鋼鋼材(摺動部材)と所定の潤滑油組成物とを組み合わせた実施例1〜5では、所定の表面形状を形成していない高炭素クロム軸受鋼鋼材を用いた比較例1及び2、並びに所定の潤滑油組成物を用いていない比較例3と比べて摩擦係数が小さく、低温条件(40℃)下での摩擦低減効果に優れていることがわかった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、低温条件下での摩擦低減効果に優れる摺動機構及びその摩擦低減方法を提供することができる。

Claims (11)

  1. 一対の摺動部材の間に潤滑油組成物を介在させることを含む、摺動機構の摩擦低減方法であって、
    少なくとも一方の前記摺動部材の摺動面は、中心線平均粗さRaが0.05〜5μm、凹凸の平均間隔Smが0.002〜0.1mmのディンプル形状を有し、
    前記潤滑油組成物は有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物を含有し、
    前記有機モリブデン化合物は、下記の一般式(1):
    Figure 0006872299
    (式中、X〜Xは、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)で表されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンである、摩擦低減方法。
  2. 前記ディンプル形状は、ショットピーニングによって形成される、請求項1に記載の摩擦低減方法。
  3. 前記潤滑油組成物中の前記有機モリブデン化合物は、モリブデン含量で20〜5,000ppmである、請求項1又は2に記載の摩擦低減方法。
  4. 前記有機亜鉛化合物は、下記の一般式(2):
    Figure 0006872299
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20炭化水素基を表す。)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の摩擦低減方法。
  5. 〜Rが、炭素数1〜20の第2級飽和脂肪族炭化水素基である、請求項に記載の摩擦低減方法。
  6. 前記潤滑油組成物中の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、リン含量で20〜5,000ppmである、請求項又はに記載の摩擦低減方法。
  7. 一対の摺動部材の間に潤滑油組成物を介在させた摺動機構であって、
    少なくとも一方の前記摺動部材の摺動面は、中心線平均粗さRaが0.05〜5μm、凹凸の平均間隔Smが0.002〜0.1mmのディンプル形状を有し、
    前記潤滑油組成物は有機モリブデン化合物及び有機亜鉛化合物を含有し、前記有機モリブデン化合物は、下記の一般式(1):
    Figure 0006872299
    (式中、X〜Xは、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の炭化水素基を表す。)で表されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンである、摺動機構。
  8. 前記潤滑油組成物中の前記有機モリブデン化合物は、モリブデン含量で20〜5,000ppmである、請求項7に記載の摺動機構。
  9. 前記有機亜鉛化合物は、下記の一般式(2):
    Figure 0006872299
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛である、請求項又はに記載の摺動機構。
  10. 〜Rが、炭素数1〜20の第2級飽和脂肪族炭化水素基である、請求項に記載の摺動機構。
  11. 前記潤滑油組成物中の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、リン含量で20〜5,000ppmである、請求項又は10に記載の摺動機構。
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