JP6870849B2 - 構造物の補修方法及び補修評価装置 - Google Patents

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本技術は、構造物における補修評価方法に関する。詳しくは、構造物の損傷に対して行われた補修の評価方法および評価装置ならびに当該方法を使用する補修方法に関する。
従来、高速道路や橋梁等の構造物が社会インフラとして使用されている。これら構造物は、長期間の使用に伴う経年劣化を生じる。この劣化が特定の部分に集中すると、当該部分の劣化が急速に進展し、構造物全体の寿命が設計寿命より短くなる。例えば、構造物の溶接部分等に応力が集中すると、当該箇所にひずみを生じる。このひずみが原因となり、金属疲労を生じてき裂等の損傷を生じる。このような応力の集中を放置すると、繰返し荷重や温度サイクル等により徐々にき裂が進展する。これは、き裂における対抗する内面同士を引き離す方向に作用する引張応力が繰り返し加えられてき裂が拡大するとともにき裂の先端が伸張し、き裂の進展を生じるためである。このようなき裂が原因となり、構造物の局所的な破壊に至る場合がある。
これを防ぐため、構造物の適切な補修が必要である。具体的には、このき裂等の損傷を早期に発見して修復することにより、構造物の延命を図ることができる。例えば、鋼板に生じたき裂に沿って表面および裏面をピーニングすることにより、鋼板の両面に塑性変形を付与し、き裂の開口部が閉じられたき裂接触面を形成する補修方法が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2011−106181
上述の従来技術では、ピーニングにより開口部が閉じられ、き裂における対向する面同士が接触した状態になる。すなわち、き裂の接触面には圧縮残留応力が導入されることとなる。この導入された圧縮残留応力によりき裂の原因となった引張応力が相殺され、き裂部における応力の集中が緩和される。これにより、き裂の進展を止めることができる。しかし、上述の従来技術では、補修により応力の集中が除去されたか否かの判断を行っておらず、補修の評価を行うことができないという問題がある。
本技術は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、補修を行った箇所に応力集中部が存在するかを判断することにより補修の評価を行うことを目的としている。
本技術の第1の態様は、構造物における損傷の補修が行われた補修部に塗布された応力に応じて発光する応力発光体の発光に基づいて上記補修部に応力集中部が存在するかを判断することにより上記補修を評価する評価手順を具備する補修評価方法および補修装置である。補修部に応力集中部が存在するか否かを応力発光体の発光により判断する。この判断の結果、応力集中部が存在する場合には、損傷の原因となった応力の集中が残存していると評価することができる。このように、判断結果に基づく補修の評価の実施が期待される。
ここで、構造物には、建物や橋梁等の建築物および当該建築物や装置等に使用する部材が該当する。この構造物は、鋼、コンクリート、ガラス、セラミックおよび樹脂等により形成される。また、損傷には、き裂や減肉等が該当する。
また、本技術の第1の態様において、上記発光の形状が線形状である場合に上記応力集中部が存在すると判断してもよい。当該態様においては、線形状の発光が存在するか否かに基づいて応力集中部の存在が判断される。線形状の発光はき裂の存在を示すものであり、線形状の発光が見られる場合には、応力の集中が残存していると判断することができる。応力集中部が存在するかの判断を容易に行うことができる。
また、本技術の第1の態様において、上記発光形状の幅および長さの比率に基づいて上記発光の形状を判断してもよい。当該態様においては、発光形状の幅および長さの比率に基づいて線形状か否かが判断される。発光の形状の判断を定量的に行うことができる。
また、本技術の第1の態様において、上記補修の前に塗布された上記応力発光体の発光である補修前発光と上記発光とに基づいて上記判断を行ってもよい。当該態様においては、補修前後の応力発光体の発光に基づいて応力集中の存在が判断される。例えば、補修の前後の発光を比較することにより、補修部に応力集中が残存しているか否かを判断することができる。
また、本技術の第2の態様は、構造物における損傷を含む領域を切削することにより補修を行う補修手順と、応力に応じて発光する応力発光体を上記補修が行われた補修部に塗布する塗布手順と、上記塗布された応力発光体の発光に基づいて上記補修部に応力集中部が存在するかを判断することにより上記補修を評価する評価手順とを具備する補修方法である。当該態様においても、補修部に応力集中部が存在するか否かを応力発光体の発光により判断する。判断結果に基づく補修の評価の実施が期待される。
本技術に係る補修評価方法によれば、補修を行った箇所に応力集中部が存在するかを判断することにより補修の評価が可能になるという優れた効果を奏する。
本技術の実施の形態に係る補修評価装置の構成例を示す図である。 本技術の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。 本技術の実施の形態に係る補修の一例を示す図である。 本技術の第1の実施の形態に係る応力発光体の発光の一例を示す図である。 本技術の第1の実施の形態に係る補修処理の処理手順の一例を示す図である。 本技術の第1の実施の形態に係る評価処理の処理手順の一例を示す図である。 本技術の第1の実施の形態に係る補修評価の一例を示す図である。 本技術の第2の実施の形態に係る応力発光体の発光の一例を示す図である。 本技術の第2の実施の形態に係る補修処理の処理手順の一例を示す図である。 本技術の第2の実施の形態に係る評価処理の処理手順の一例を示す図である。
次に、図面を参照して、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)を説明する。以下の図面において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は、模式的なものであり、各部の寸法の比率等は現実のものとは必ずしも一致しない。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることは勿論である。
<1.第1の実施の形態>
[補修評価装置の構成]
図1は、本技術の実施の形態に係る補修評価装置の構成例を示す図である。同図の補修評価装置1は、カメラ10と、画像処理装置20と、表示装置30とを備える。また、同図において、鋼板102に鋼板101を溶接することにより構成されたT継手を例に挙げて補修の評価を説明する。この例においては、鋼板102および101の結合部に隅肉溶接金属103が形成されている。この隅肉溶接金属103の溶接止端に生じたき裂を補修するとともに評価を行う。補修は、例えば、き裂を生じた部分を切削することにより行うことができる。評価は、補修が行われた領域である補修部に応力集中部があるか否かを判断することにより行うことができる。補修および評価の詳細については後述する。
カメラ10は、補修部を撮影することにより補修部の画像を生成するカメラである。このカメラ10は、補修部に塗布された応力発光体の発光に基づく画像を生成する。ここで応力発光体とは、応力に応じて発光するものである。この発光を検出することにより応力集中部があるか否かを判断することができる。応力発光体の詳細については後述する。
画像処理装置20は、カメラ10により生成された画像を処理するものである。この画像処理装置20は、カメラ10により生成された画像に基づいて補修部の評価を行う。評価の結果は、表示装置30に出力される。
表示装置30は、画像処理装置20から出力された評価結果を表示するものである。また、この表示装置30は、カメラ10により生成された画像の表示を行うことができる。
なお、補修評価装置の構成は、この例に限定されない。例えば、カメラ10を省略し、作業員が補修現場において撮影した画像を画像処理装置20に入力する構成にすることもできる。
[画像処理装置の構成]
図2は、本技術の実施の形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。同図の画像処理装置20は、制御部21と、保持部22と、評価部23とを備える。
保持部22は、カメラ10から出力された画像を保持するものである。この保持部22は、制御部21の制御に基づいて画像の保持および保持した画像の出力を行う。
評価部23は、構造物の補修の評価を行うものである。この評価部23は、保持部22に保持された画像に基づいて評価を行う。前述のように、補修部の評価は、補修部に応力集中部が存在するかに基づいて行う。構造物のき裂は、応力が特定の領域に過度に集中し、当該領域の構造物が破断することにより生じる。すなわち、応力が集中した箇所には、大きなひずみが発生する。このひずみが構造物の破断の原因となるき裂に成長する。これに対し、補修により応力の集中が緩和された場合にはひずみが低減されるため、構造物の破断を防ぐことができ、き裂等の損傷の再発を防止することができる。この場合には、当該補修は適切であると評価することが可能である。一方、補修後においても応力の集中が継続している場合には、新たにき裂を生じる可能性があるため、当該補修は適切でないと評価することができる。
応力集中部が存在するか否かの判断は、補修部に塗布された応力発光体の発光に基づいて行うことができる。応力発光体は、応力に応じて発光する発光体である。具体的には、応力発光体は、応力により生じたひずみに応じて発光する。また、その発光の輝度と応力に応じたひずみ量とは相関関係を有する。この応力発光体を構造物に塗布することにより、その構造物における応力およびこの応力にり生じたひずみの分布を調べることができる。
制御部21は、画像処理装置20の全体を制御するものである。この制御部21は、カメラ10から出力された画像を保持部22に保持させる。また制御部21は、保持部22に保持された画像に基づく評価を評価部23に行わせて、評価結果を表示装置30に対して出力する。また、制御部21は、保持部22に保持された画像を表示装置30に対して出力することもできる。
[補修]
図3は、本技術の実施の形態に係る補修の一例を示す図である。図1において説明した隅肉溶接金属103の溶接止端に生じたき裂を補修する場合を例に挙げて補修手順を説明する。
同図におけるaは、隅肉溶接金属103にき裂104が生じた様子を表したものである。同図におけるaの左は、隅肉溶接金属103の溶接止端の正面斜視図を表す。また、同図におけるaの右は、同図におけるaの左の図のA−A’線に沿った断面図を表している。
同図におけるbは、補修の様子を表した図である。補修は、例えば、き裂104を除去することにより行うことができる。同図におけるbでは、き裂104を含む隅肉溶解金属103および鋼板102を切削することによりき裂104を補修する場合の例を表している。同図におけるbに表したように、隅肉溶解金属103等の切削は、グラインダー105により行うことができる。また、同図においては、補修が行われた領域である補修部を補修部106として表した。このような補修を行うことにより、き裂の発生を予防することができる。
同図におけるcは、切削による補修が行われた後の隅肉溶解金属103の溶接止端を表した図である。同図におけるaと同様に、隅肉溶解金属103の正面斜視図および断面図を表している。このように、き裂104およびき裂104の周囲の隅肉溶解金属103および鋼板102を削除することにより、き裂104の進展、すなわち、き裂104の成長を阻止することができる。また、き裂104を含む比較的広い範囲を切削除去することにより、当該領域の応力を補修部106の広い範囲に分散させることができ、新たなき裂の発生を防止することができる。
しかし、補修部106に応力の集中が残存する場合には、補修後に新たなき裂を生じる可能性が高くなる。このように、補修部106に応力の集中が存在するか否かに基づいて補修の評価を行うことができる。応力の集中は、補修部106における応力発光体の発光により調べることができる。
[応力発光体]
前述したように、応力発光体は、応力に応じて発光するものである。この応力発光体には、応力に応じて発光する応力発光材料を樹脂等の塗料基材に分散させて塗料状にしたものを使用することができる。塗料状にすることにより、補修部106への塗布を容易に行うことができる。また、塗料として構造物に付着させることにより、応力発光体が構造物に強固に結合することとなり、応力に対する感度を向上させるとともに応力発光体の剥離を防止することができる。塗料基材には、熱可塑性樹脂(例えば、アクリル系樹脂)や熱硬化性樹脂(例えば、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂)を使用することができる。
応力発光材料には様々なものが使用可能である。例えば、ジルコニウム(Zr)イオンを含むアルミン酸ストロンチウム系(SAO系)の応力発光材料を使用することができる。ここで、「Zrイオンを含む」とは、アルミン酸ストロンチウム系母体材料内にZrイオンが固溶している状態と解される。固溶状態において、Zrイオンは同母体材料を構成するストロンチウム等の元素と置換、又は、同母体材料の結晶格子内部に入り込んだ状態で存在する。このような応力発光材料に応力が加えられると、母体材料の結晶格子にひずみを生じ、このひずみに応じた局所電界が発生する。この電界によりトラップされたキャリアが放出され発光中心が励起される。その後、励起された発光中心が基底状態に遷移する際に発光を生じる。
このSAO系応力発光材料は、SrAl:QZr(Qは後述の発光中心元素で、0.9≦x+y+z≦1.1、より好ましくは0.95≦x+y+z≦1.05であり、x,y,z>0である。)の一般式で表すことのできる化学量論又は非化学量論的組成を有し、単相でもよく、第2相など他の結晶相との混相で構成されてもよい。また、Zrの添加により酸化ジルコニウムやジルコニウム酸ストロンチウムなどの不純物相が生成されたとしても、上記一般式で表される結晶相が存在すればよい。
このSAO系応力発光材料に含まれる発光中心元素は特に限定されるものではないが、例えばスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)や、ランタノイドに属する元素(ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu))を単独又は組み合わせて使用することができる。一般式SrAl:QZrにおけるxの値、すなわち発光中心元素Qの含量は特に限定されるものではないが、例えば0.01mol%〜10mol%とすることができる。
このようなSAO系応力発光材料によれば、2000μST以下の小ひずみに対しても従来の応力発光材料に比して高輝度の発光を示すことができ、しかも励起後に長時間放置した場合でも比較的高い応力発光を示すことができる。ただし、本実施の形態に係る補修評価方法に用いる応力発光体が含有する応力発光材料としては、SAO系応力発光材料ほどの高輝度発光が必須ではなく、撮像手段の高感度化や画像処理技術等により、低輝度発光の応力発光材料を用いて実現可能であることは言うまでもない。
このようなSAO系応力発光材料は、Zrイオンを還元状態で固溶している。還元状態のZrイオンは、例えば三価のZrイオン(Zr3+)や二価のZrイオン(Zr2+)と解される。Zr4+の外殻電子が4pであるのに対し、Zr3+は4d、Zr2+は4dとなり、還元状態のZrイオンは応力発光材料に新たなトラップ準位を構築する。
還元状態のZrイオンを固溶したSAO系応力発光材料は、小ひずみに対する良好な応答性(高感度性)や、小ひずみ条件下における高輝度性、また、良好なキャリア保持能に由来する長時間放置後における高い応力発光能(経時発光性)を実現することができる。また、視認性が高く、繰り返しの応力付与に対して高い再現性を有し、励起後における残光が低く、力学刺激に対する発光強度が高いという極めて優れた性質を備える。
一般式SrAl:QZrにおけるyの値(Zrイオンの含量)は、0.005mol%〜30mol%とすることが可能であり、より具体的には10mol%以下(0.005mol%〜10mol%)とすることができる。このようなZrイオンの含量とした場合であっても、本実施形態に係る応力発光材料は、高感度性や高輝度性、良好な経時発光性を実現できる点で極めて特徴的であると言える。
このような応力発光体を、例えば、スプレー塗布やはけ塗り等により補修部106に塗布する。この際、塗膜の膜厚を均一にすることが望ましい。応力による発光の計測誤差を低減するすることができ、ひずみ量の計測精度を向上させることができるためである。塗膜の硬化後に応力の計測を開始することができる。構造物が荷重を受けた際の応力発光体の発光を検出し、応力の集中を判断する。構造物の荷重は、例えば、構造物にハンマーによる打撃を加えることにより行うことができる。また、構造物が橋梁等の場合には、車両の通行による荷重を適用することができる。この応力発光体の発光は、図1において説明したカメラ10により画像として取得することができる。
[応力の集中の判断]
図4は、本技術の第1の実施の形態に係る応力発光体の発光の一例を示す図である。同図は、補修部に残存する応力に応じた応力発光体の発光の様子を表した図である。同図におけるaは、補修部106に応力発光体107が塗布された様子を表した図である。また、同図におけるaは、応力の集中が存在する場合の補修部106を表した図であり、応力が集中したことにより生じたひずみに応じて応力発光体107が発光し、発光108を生じた様子を表している。同図におけるaに表したように、発光108は、線形状を有している。このような線形状の発光は、当該箇所に応力の集中が残存して大きなひずみを生じているため生じる発光である。
前述のように、応力発光体107の応力発光材料の結晶格子がひずむことにより、応力発光体107は発光する。この応力発光材料のひずみは、補修部106のひずみの発生に付随して生じる。ここで、ひずみには、弾性変形や塑性変形(マイクロクラックを含むき裂等)が該当する。比較的狭い領域に強い発光を生じる場合には、当該箇所に大きなひずみを生じていると判断することができる。すなわち、補修部106の比較的狭い領域に強い発光を生じる場合には、当該箇所に応力集中部が存在すると判断することができる。この線形状に沿ってき裂が発生し、徐々に進展することとなる。図2において説明した評価部23は、カメラ10により撮影された画像から発光108の領域を抽出し、上述の判断を行う。このように、応力発光体107の発光に基づいて補修の評価を行うことにより、補修部106のひずみを検出することができ、目視検査では発見できない応力の集中を検出することができる。
一方、同図におけるbは、補修部106の比較的広い範囲に発光109を生じた例を表したものである。同図におけるaの発光108と比較して発光範囲が広く低輝度となっている。このように低輝度の発光が広い範囲に生じている場合には、応力が分散されていると判断することができる。このような場合には、き裂を生じる程の応力の集中は残存しておらず、さらなる補修は不要となる。すなわち、応力集中部は存在しないと判断することができる。このように、発光が線形状であるか否かを判断することにより、応力集中部の存在を判断することができる。応力集中部が残存するか否かの判断を容易に行うことができる。
同図におけるcは、発光が線形状であるか否かを判断する場合の例を表したものである。同図におけるcにおいて「L」および「W」は、それぞれ発光108の長さおよび幅を表している。この幅に対する長さの比率が所定の閾値より大きい場合に発光108が線形状と判断することができる。これにより、発光108の形状の定量的な判断が可能となり、応力の集中の判断をさらに容易なものにすることができる。
この所定の閾値は、構造物の材質等に応じて変更することができる。例えば、鋼やガラスにより形成された構造物のように、微細なき裂(マイクロクラック)であっても検出が必要となる材料により形成された構造物の場合には低い閾値にすることができる。一方、鉄筋コンクリートのような複合材料により形成された構造物においては、比較的大きなき裂を検出する。このような場合には高い閾値にすることができる。これにより、材質の違いによる発光特性の差異の補償が可能となり、応力の集中の判断を高精度に行うことができる。
なお、応力の集中の判断は、この例に限定されない。例えば、高い輝度の発光領域が線形状とは異なる形状、例えば、点もしくは円形状に生じている場合に当該領域に応力が集中していると判断することもできる。
[補修処理]
図5は、本技術の第1の実施の形態に係る補修処理の処理手順の一例を示す図である。まず、き裂や腐食等の損傷の補修を行う(ステップS903)。次に、補修部に応力発光体を塗布する(ステップS904)。次に、補修の評価を行う(ステップS910)。次に、この評価結果に基づいて補修が適切か否かを判断する(ステップS905)。補修が適切でない場合には(ステップS905:No)、ステップS903に戻り、再度補修を行う。補修が適切な場合には(ステップS905:Yes)、補修処理を終了する。
なお、補修処理は、この例に限定されない。例えば、ステップS905において補修が適切でない場合に、ステップS903とは異なる補修方法を実行することもできる。
[評価処理]
図6は、本技術の第1の実施の形態に係る評価処理の一例を示す図である。同図は、図5において説明した評価処理(ステップS910)を表したものである。まず、評価部23は、応力発光体の発光が線形状か否かを判断する(ステップS912)。この判断は、カメラ10により撮影された画像に基づいて行われる。その結果、線形状である場合には(ステップS912:Yes)、評価部23は、応力集中部が存在すると判断する(ステップS913)。この場合には、補修が適切でないと評価することができる。一方、ステップS912において、応力発光体の発光が線形状でない場合には(ステップS912:No)、評価部23は、応力集中部が存在しないと判断する(ステップS914)。この場合には、補修が適切であると評価することができる。その後、図5において説明した処理に戻る。
[補修の例]
図7は、本技術の第1の実施の形態に係る補修評価の処理手順の一例を示す図である。同図は、図3において前述した隅肉溶接金属における溶接止端のき裂の補修および補修の評価の様子を表した図である。同図においては、点線により表された領域に生じたき裂の補修および評価を行う。同図におけるaは、補修前の溶接止端を表したものである。この溶接止端の塗装を除去し、き裂を含む隅肉溶解金属を切削することにより、補修を行う。同図におけるbは、補修後の溶接止端を表したものである。補修後の溶接止端に応力発光体を塗布し、発光画像を取得する。同図におけるcは、線状の発光を生じた例を表したものである。同図におけるcのように線状の発光を生じる場合には、補修が適切でないと評価することができる。応力の集中が残存するためである。
そこで、当該箇所の隅肉溶解金属の切削をさらに行い、再度の補修を行う。その後、応力発光体の塗布および発光画像の取得を行う。同図におけるdは、この際の発光を表した図である。同図におけるdのように、比較的広い範囲の発光を生じる場合には、応力が分散されていると判断することができる。この場合には、補修が適切であると評価することができる。
以上説明したように、本技術の第1の実施の形態の補修評価方法によれば、応力発光体の発光に基づいて応力集中部が補修部106に存在するか否かを判断することにより補修の評価を行うことができる。
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態の補修評価方法は、補修後の応力発光体の発光を検出していた。これに対し、本技術の第2の実施の形態の補修評価方法は、補修前の応力発光体の発光の検出をさらに行う点で、第1の実施の形態と異なる。
[応力の集中の判断]
図8は、本技術の第2の実施の形態に係る応力発光体の発光の一例を示す図である。同図は、図4と同様に、補修部106における応力発光体の発光を表したものである。なお、同図においては、塗布された応力発光体の記載を省略した。同図において、点線により表された発光110は補修前に塗布された応力発光体の発光を表し、実線により表された発光111は補修後に塗布された応力発光体の発光を表す。ここで、補修前に塗布された応力発光体の発光を補修前発光と称する。同図は、これらの発光110および111を重ねて表示したものである。
このように、本技術の第2の実施の形態では、補修の前後に応力発光体による発光の検出を行う。これらの発光に基づいて応力集中部が存在するかを判断する。具体的には、補修の前後の応力発光体の発光を比較することにより、応力の集中が補修後に残存しているか否かを判断する。同図に表したように、発光110および111が重なる場合やこれらの位置が略一致する場合には、応力の集中が残存していると判断することができる。また、補修後の応力発光体の発光111が比較的小さい場合や線形状ではない場合であっても、補修の前の応力発光体の発光箇所に近接している場合には、応力の集中が残存していると判断することができる。応力の集中が補修の前後において連続して存在していると考えられるためである。
図2において説明した保持部22は、補修後の応力発光体の発光の画像に加えて補修前発光の画像の保持を行う。評価部23は、保持部22に保持された2つの画像に基づいて上述の判断を行い、補修を評価する。これ以外の補修評価装置1の構成は本技術の第1の実施の形態において説明した補修評価装置1と同様であるため、説明を省略する。
[補修処理]
図9は、本技術の第2の実施の形態に係る補修処理の処理手順の一例を示す図である。まず、構造物のき裂を生じている箇所に応力発光体を塗布する(ステップS901)。次に、応力発光体の発光画像を保存する(ステップS902)。その後、損傷の補修(ステップS903)、補修部への応力発光体の塗布(ステップS904)、補修の評価(ステップS920)を行う。評価の結果、補修が適切でない場合には(ステップS905:No)、ステップS902に戻り、再度発光画像の保存を行う。補修が適切な場合には(ステップS905:Yes)、補修処理を終了する。
[評価処理]
図10は、本技術の第2の実施の形態に係る評価処理の処理手順の一例を示す図である。同図は、図9において説明した評価処理(ステップS920)を表したものである。まず、評価部23は、補修前後の発光画像の比較を行う(ステップS921)。比較の結果、発光画像が重なる場合には(ステップS922:Yes)、評価部23は、応力集中部が存在すると判断する(ステップS923)。一方、発光画像が重ならない場合には(ステップS922:No)、評価部23は、応力集中部が存在しないと判断する(ステップS924)。
以上説明したように、本技術の第2の実施の形態の補修評価方法によれば、補修の前後の応力発光体の発光に基づいて応力の集中を判断するため、応力の集中の検出を容易に行うことができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本技術の一例であり、本技術は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本技術に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(CompactDisc)、MD(MiniDisc)、DVD(DigitalVersatileDisc)、メモリカード等を用いることができる。
1 補修評価装置
10 カメラ
20 画像処理装置
21 制御部
22 保持部
23 評価部
30 表示装置
101、102 鋼板
103 隅肉溶接金属
104 き裂
106 補修部
107 応力発光体
108〜111 発光

Claims (2)

  1. 構造物における応力集中に由来した損傷を含む領域に応力発光体を塗布する手順と、
    応力発光体の発光画像を補修前の発光画像として保存する補修前保存手順と、
    構造物における損傷を含む領域を切削することにより補修を行う補修手順と、
    応力に応じて発光する応力発光体を前記補修が行われた補修部に塗布する塗布手順と、
    前記補修部に塗布された応力発光体の発光に基づいて前記補修部に応力集中部が存在するかを判断することにより前記補修を評価する評価手順とを具備し、
    前記評価手順は、前記補修部に塗布された応力発光体の発光画像と補修前の損傷箇所に塗布した応力発光体の発光画像と比較し、比較の結果、補修部の発光画像の発光が比較的小さくとも線形状であり補修前の線形状の発光画像の発光と重なる場合や、線形状でなくとも補修前の発光箇所と近接している場合は、補修の前後において連続して応力集中部が存在し、応力の集中部が解消されておらず補修は適切でないと判断するのに対し、補修後の発光画像が補修前の線形状の発光画像と重ならない場合は補修部に応力集中部が存在せず補修は適切と判断することにより前記補修を評価する手順であり、
    評価の結果、補修が適切な場合には補修を終える一方、補修が適切でない場合には前記補修前保存手順と、補修手順と、塗布手順と、評価手順とを繰り返すことを特徴とする補修方法。
  2. 構造物における応力集中に由来した損傷の補修が行われた補修部に塗布された応力に応じて発光する応力発光体の発光に基づいて前記補修部に応力集中部が存在するかを判断することにより前記補修を評価する評価部を具備する補修評価装置であって、
    前記評価部は、前記補修部に塗布された応力発光体の発光画像と補修前の損傷箇所に塗布した応力発光体の発光画像と比較し、比較の結果、補修部の発光画像の発光が比較的小さくとも線形状であり補修前の線形状の発光画像の発光と重なる場合や、線形状でなくとも補修前の発光箇所と近接している場合は、補修の前後において連続して応力集中部が存在し、応力の集中部が解消されておらず補修は適切でないと判断するのに対し、補修後の発光画像が補修前の線形状の発光画像と重ならない場合は補修部に応力集中部が存在せず補修は適切と判断することにより前記補修を評価することを特徴とする補修評価装置。
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