WO2016092685A1 - シート部材、検査システム及び検査方法 - Google Patents

シート部材、検査システム及び検査方法 Download PDF

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Abstract

 この応力発光層が破断してしまうと、基材に発生した応力変化が応力発光層に伝達されないことがあり、基材の応力変化を検出することができなくなることがある。 応力が与えられることで発光する応力発光粒子を有するシート部材であって、シート部材は第1の層と第2の層を有しており、第1の層は、応力発光粒子を有する層であって、第1の接触面を有しており、第2の層は、第1の層より柔らかい部材で構成され、第1の層が有する第1の接触面とは異なる面に第2の層が接触されていることを特徴とするシート部材。

Description

シート部材、検査システム及び検査方法
 本発明は、構造物の表面検査の技術に関する。
 例えば、社会インフラ構造物のひとつであるトンネルなどの構造物においては、老朽化等によって耐久性の低下が生じるため、定期的な検査及び補修作業の実施により維持管理を行うことが必要とされている。
 例えば、特許文献1(特開2010-180280号公報)には、「基材と、当該基材上に設けられる、ひずみエネルギーを受けて発光する応力発光層とを含む応力発光積層体であり、上記基材と上記応力発光層との間に、室温でゴム弾性を示す中間層を更に含むことを特徴とする応力発光積層体。(請求項1参照)」が開示されている。
特開2010-180280号公報
 特許文献1には、応力発光粒子を含む層(以下、応力発光層と呼ぶ)、ゴム弾性を示す中間層、基材の順に構成される検査部材が開示されている。
  この構成では、基材の応力変化によって応力発光層が破断した際の状態は考慮されていない。
 この応力発光層が破断してしまうと、基材に発生した応力変化が応力発光層に伝達されないことがある。
  これにより、基材の応力変化を検出することができなくなることがある。
 本発明は、応力発光粒子を有するシート層が破断した場合であってもシート部材に伝達された応力を検出することができる技術を提供する。
 本発明の一例を挙げるとすれば、応力が与えられることで発光する応力発光粒子を有するシート部材であって、シート部材は第1の層と第2の層を有しており、第1の層は、応力発光粒子を有する層であって、第1の接触面を有しており、第2の層は、第1の層より柔らかい部材で構成され、第1の層が有する第1の接触面とは異なる面に第2の層が接触されていることを特徴とする。
 本発明の構成を取ることで、応力発光粒子を有するシート層が破断した場合であってもシート部材に伝達された応力を検出することができる。
従来例のシート部材が設置された構造物の図である。 従来例のシート部材が設置された構造物に亀裂が生じた図である。 従来例のシート部材が設置された構造物に発生する応力の概念図である。 従来例のシート部材が設置された構造物に亀裂と空隙が生じた図である。 従来例のシート部材が設置された構造物に亀裂と空隙が生じた図である。 本発明のシート部材が設置された構造物の実施例を示す図である。 本発明のシート部材が設置された構造物に亀裂が生じた図である。 本発明のシート部材が設置された構造物に発生する応力の概念図である。 応力発光シート層の厚みと発光強度との関係を示す。 応力発光シート層の応力発光粒子の濃度と発光強度との関係を示す。 応力発光シート層の応力発光粒子の濃度と破断ひずみの関係を示す。 応力発光シート層の弾性率と発光強度の関係を示す。 本発明のシート部材が設置された構造物の実施例を示す図である。 本発明のシート部材が設置された被検査構造物の実施例を示す図である。 応力発光シート層の一例を示す図である。 本発明のシート部材が設置された構造物の実施例を示す図である。 応力発光シート層の一例を示す図である。 本発明のシート部材の製造方法の一例を示す図である。 本発明のシート部材の製造方法の一例を示す図である。 本発明のシート部材を用いた検査方法の一例を示す図である。 本発明のシート部材を用いた検査方法の一例を他方から見た図である。 本発明のシート部材を用いた検査方法の一例を示す図である。
 本願発明の説明の前に、従来例について説明する。
  従来例の構成について図1(a)から(c)を用いて説明する。特許文献1に記載の基材は、応力の被検査対象物である被検査構造物1として説明する。被検査構造物1の表面に、応力発光粒子20を含む応力発光層2が、ゴム弾性を示す中間層3を介して設置されている。いずれの構成も横方向に延びているが、その一部を示したものである。
 図1(b)は、被検査構造物1に、応力発光層2と中間層3が設置され、その後、設置被検査構造物1の自重や経年劣化等によって被検査構造物1に応力が発生し、亀裂10が生じた際の図を示す。
 この亀裂10に生じた応力変化は、中間層3を介して応力発光層2へ伝達される。応力が所定の大きさを超えると、応力発光層2は破断し、2つに分離される。この点は特許文献1では考慮されていない。
 また、破断方向11a,11bは、破断した応力発光層2がそれぞれ左右方向に向かって移動した様子を示す。
 図1(c)は応力発光層3が破断した場合の応力の状態を示す模式図である。亀裂10の発生によって、被検査構造物1内部には応力変化12が生じる。
  また、亀裂10と応力発光層2との境界には、亀裂10によって中間層3が左右方向に引っ張られることによって応力変化13が生じる。この応力変化13によって、中間層3は応力変化13の矢印方向に微小な移動または形状が変化する。
 応力変化13は、中間層3から応力発光層2へ伝達され、応力発光層2には応力変化14が生じ、応力変化14の矢印方向に微小な移動をすることになる。
 ここで、応力変化14について図1(d)と図1(e)を用いて説明する。
  図1(d)は、応力発光層2が破断することによって、応力発光層2と中間層3の接着・接触状態が保持できず、破線で囲まれる空隙15が発生した状態を表す。この場合には、破断した応力発光層2は応力変化14の矢印方向に押し出されることになるが、押さえるものがないため、空隙15が発生してしまう。亀裂10によって発生した応力変化は応力発光層2に伝達されない。そのため、図1(d)の応力変化14の大きさはゼロとなり、被検査構造物1の応力を測定することはできない。
 また、図1(e)は、応力発光層2が破断した場合において、中間層3がゴム弾性を有するため変形し、変形後の中間層3と破断後のそれぞれの応力発光層2が接着されている状態を表す。この場合は応力発光層2が破断したため、中間層3から応力発光層2には力点と支点の関係が存在せず、図1(e)の応力変化14は応力発光層2の移動に用いられ、応力発光層2に閉じられず、応力発光粒子20に伝達された応力変化は逃げてしまう。そのため、被検査構造物1の応力を測定することはできなくなる。
 したがって、従来例の構造では、応力発光層2が破断した場合には被検査構造物1の応力を測定することはできなくなる課題を有している。
[実施の形態]
 (本願発明の実施の形態)
  以下、本発明の実施の形態について、説明する。
 本実施例を図2(a)から図2(c)を用いて説明する。
  図2(a)は被検査構造物1に本実施例のシート部材30を設置した様子を示す。シート部材30は第1の層31と第2の層32とを有する。第1の層31は、第1のバインダ21に応力発光粒子20を含有させた応力発光シート層である。これらの図2等に示される構成は横方向に続いているものであるが、図面に示す便宜上その一部を示したものである。
  また、第1の層31は被検査構造物1側(第1の面)に接触面を有しており、当該接触面と異なる面(第2の面)、つまり検査側に第2の層32が接触されている。第2の層32は第1のバインダより柔らかい材料である第2のバインダ22で構成される。
  本願明細書においてのバインダとは、応力発光粒子20を含有させて複合化し、第1の層31や第2の層32を形成するための材料である。その材料は、有機物質(例えば樹脂)、無機物質(例えばガラス)のいずれでも良く、また、両者を混合したものも含む概念である。
 シート部材30を被検査構造物1に接触させるのは、例えば、被検査構造物1の施工直時や施工後でもよい。なお、施工から時間が経つと被検査構造物には応力変化が生じるため、施工からできるだけ早くシート部材30を取り付けると、より精確な応力変化を測定することができる。また亀裂等が発生した後でもよく、コンクリートやコーキング材で亀裂を埋める等の修繕やメンテナンス後でもよい。この場合は、修繕等した後の応力変化を計測することができる。
 次に、図2(b)は、図2(a)にて、シート部材30を設置した後の状態である。被検査構造物1には、被検査構造物そのものの自重や経年劣化等によって応力変化が生じることとなる。その応力変化によって亀裂10が発生したことを示す図である。
 亀裂10が生じたことによってシート部材30に応力変化が伝達される。まず、シート部材30のうち被検査構造物1に接触している第1の層31に応力が伝達される。その後第1の層31から第2の層32へ応力が伝達されることとなる。
 ここで、第1の層31は第2の層32より弾性率が高いことによって硬く構成されている。そのため、応力変化によって第1の層31が破断された場合でも、第2の層32が破断されない場合を示すものである。第1の層31は第2の層32より剛性が高いことから、第2の層32より小さな破断ひずみによって破断が生じる。
 破断した第1の層31は、破断方向11a,11bが示す矢印の方向にそれぞれ分離している。
 図2(c)を用いて、第1の層31が破断し、第2の層32が破断しない場合に被検査構造物1の応力変化を検出することができる理由を説明する。
  破断した第1の層31には、亀裂10によって発生する応力変化13が与えられる。この応力変化13は第2の層32に伝達される。
 伝達された応力変化13に対して破断されていない第2の層32が存在することによって、応力変化16の押し返す働きをする。この押し返す働きによって破断後の第1の層31には、応力変化13と応力変化16によって挟まれる。そのため、第1の層31に与えられる応力は逃げられず応力発光粒子20に応力が与え続けられることとなる。
 これにより、応力発光層である第1の層31が破断した場合であっても、被検査構造物1に生じた応力変化を検出することが可能となる。
 発光強度(一定時間あたりに検出した光子の数)と第1の層31である応力発光シート層との厚みとの関係を図3に示す。
  実験サンプルの応力発光シート層(第1の層31)は、応力発光粒子20を第1のバインダ21に混合させた。第1のバインダ21と応力発光粒子20との混合比率は重量比7:3、つまり濃度30%として混合させた。実験サンプル1から11の厚みは0.08mmから1.7mmまでとした。
  この複数の応力発光シート層の片面をプラスチック部材によって把持し、把持された面に一定時間(0.2sec)で一定の曲げ変位(2mm)を印加する。印加された応力発光シートのプラスチック部材とは異なる面の光子量検出器で測定した。一定応力に対して、光子量検出器で一定時間当たりに検出した数を発光強度(counts/N)とした。この結果を図3に示す。
  厚みが0.1mmから0.2mmまでは発光強度が単純増加しており、0.2mmを超えたあたりから発光強度が飽和する傾向があることが確認された。
 応力発光粒子の濃度が一定のため実験サンプルの応力発光シート層の厚みが増すと、含有される応力発光粒子の粒子数は増加する。これにより、応力発光シート全体の発光強度は増加する。
  しかし、応力発光シートの奥行き側(検出器から離れた側)に存在する粒子による発光は、発光位置から検出器へ到達するまでに応力発光シート層内を散乱等することによって、光が減衰し、検出器までに光が伝達しにくくなるためであると考えられる。
  一方、応力発光シートの手前側である検出器側(検出器に近い手前側)の応力発光粒子から発光される光は、発光の検出面に近いため発光位置から検出する表面への散乱や吸収等による影響が小さい。そのため、検出器側の応力発光粒子の発光強度は、検出器から離れた位置の応力発光粒子に比べて大きくなる。
  つまり、検出器側から一定の奥行きまでは、発光された光が検出器で捉えることができるが、それ以上の奥行きでの発光された光は、検出器側の表面に伝達されにくいことから発光強度の向上に寄与しない。
 これらの実験結果から、応力発光シート層である第1の層31は、1.7mm以下で実施できることを確認した。実験結果の傾向から2.0mm程度以下であれば実施できると考えられる。なお、第1の層31はセラミックである応力発光粒子を含有するため、厚みが増すと破断しやすいことから、第一の層31は、できるだけ薄く構成することが望ましい。
  そのため、第1の層31の厚みは、発光強度を考慮すると0.2mm以上0.72mm以下とすることが望ましい。
 次に、応力発光粒子の濃度と発光強度との関係について図4を用いて説明する。
  サンプルとして製作した応力発光シート層(第1の層31)の厚みを一定(1.5mm)とし、応力発光粒子の濃度を変えて混合した。発光強度の検出方法は図3を用いて説明した方法と同様である。
 応力発光シート層に含有される応力発光粒子の重量比が8:2、すなわち、濃度が20%までは発光強度の増加量が大きい。発光強度は、応力発光粒子の濃度が50%を超えたあたりから増加量が小さくなった。
 濃度が10%以上40%以下の領域では発光強度のばらつきが小さい。また、濃度が15%以上40%以下の場合は、発光強度が得られやすく、発光強度のばらつきも小さい。
 応力発光シート層に含有される応力発光粒子の濃度が5%以上60%以下である場合には実施できることを確認した。なお、応力発光粒子の濃度が60%より高くても、第二の層によって被検査構造物1に適切に接触されている場合には実施できる。
  応力発光粒子はセラミックスであるため、バインダより弾性率が高く硬い材料である。そのため、応力発光シート層の応力発光粒子の濃度が高くなると、応力発光シート層全体の弾性率が高くなることで硬さが増すため、破断しやすくなる。
 次に、応力発光シート層の応力発光粒子の濃度に対応する破断ひずみについて図5を用いて説明する。
 応力発光粒子の濃度が0%と60%の応力発光シート層の破断ひずみを測定した。濃度が0%とは第1のバインダそのものである。濃度が0%の場合は応力発光粒子が含有されていないため、発光はしない。
  濃度が0%の場合の破断ひずみは、8%であり、濃度が60%の場合では、破断ひずみが5.5%で破断している。材料の弾性率と破断性能はほぼ線形となると考えられる。そのため、上記の破断ひずみの2点を結んだ直線が応力発光粒子の濃度に対する破断性能を示すこととなる。
  図4に示す濃度と発光強度との関係を考慮すると、応力発光粒子の濃度は20%を超えたあたりであっても発光強度は増加することがわかっていることから、できるだけ多くの発光強度を得つつ、破断ひずみが小さい濃度である15から50%程度で実施することが望ましい。
 次に、応力発光シートの弾性率(硬さ)と発光強度について図6を用いて説明する。第1のバインダの材料を変更することで異なる弾性率のものを作製した。バインダとして使用した樹脂材料は、透明なエポキシ樹脂(Struers製EpoFix等)である。
 応力発光シートの弾性率またはシート弾性率とは、バインダと所定の濃度の応力発光粒子を混合させ、第1のバインダが固まった状態にて、当該応力発光シートで複数箇所を測定し、平均した値である。応力発光粒子の濃度が0%のシート弾性率であれば、バインダが固まった状態での弾性率となる。
 応力発光シート層に含有される応力発光粒子の濃度を一定(50%)とし、厚みを一定(1.5mm)とした。応力発光シート層のシート弾性率(MPa)は、応力発光シート層(第1の層31)の複数箇所を測定し、その平均値である。例えば、応力発光シート部材30や後述の35であれば、第2の層32と第3の層33を溶融させ、または、削る等によって剥がすことで第1の層31を取り出すことができる。この取り出した第1の層31を複数箇所測定し、弾性率を求めることができる。
  発光強度の検出方法は図3から5までで説明した方法と同様である。
 シート弾性率に対する発光強度は、ほぼ線形に増加することがわかった。これは、応力発光シート層に印加される圧力(応力)が、シート層の弾性率に応じて応力発光粒子に伝達されるためと考えられる。弾性率が高ければ、よく伝達され、弾性率が低い場合にはバインダに吸収されるためであると考えられる。
 したがって、応力発光粒子に適切に応力が伝達されるのであればどのような弾性率であっても実施できる。少なくとも応力発光シート層の弾性率が1250(MPa)以上3950(MPa)以下の弾性率であれば実施できることを確認した。
 実験結果の傾向から1000(MPa)以上4000(MPa)以下であれば実施できる。
 これらの図3から6を用いて説明した応力発光シートのパラメータを考慮すると、応力発光粒子を混合させた応力発光シート層の弾性率が1000(MPa)以上4000(MPa)以下であって、応力発光粒子の濃度は15%以上から40%以下である場合には発光強度と破断性能を両立することができる。
 ここで、第2の層32について説明する。先に述べた通り第2の層32は第1の層31より弾性率が低く柔らかい層あればよい。
 第2の層32の材料は、発光された光が検出される面を有する。そのため、透明あるいは半透明の材料で構成されることが望ましい。検出器で応力発光粒子が発光した光を検出するには、光透過率は85%程度以上有している必要がある。
 実施例2について図7を用いて説明する。図2(a)から(c)に記載される符号と同一の構成は説明を省略する。実施例1との違いは、応力発光シート部材35が、第1の層31の被検査構造物1側に第3の層33を有することである。
 第3の層33は、第1の層31より弾性率が低く、つまり第1の層31より破断しにくい第3のバインダで構成されていればよい。
  応力発光シート部材35は、第1の層より柔らかい第3の層33を有することで、第1の層31は第3の層33との接着性がよくなり、さらに第3の層33は被検査構造物1との接触性を向上させることができる。
  第1の層31が破断した場合であっても、第3の層33が被検査構造物1から離れない限り、応力発光シート部材35は、第1の層31を第2の層32と第3の層33に挟み込むことによって応力を逃がさず、被検査構造物1の応力を測定することができる。
 なお、第2の層32と第3の層33とは、同一の材料で構成されなくてもよい。第3の層33は検出側ではないため、透明である必要はない。そのため、被検査構造物1と第3の層33との接着性が良い材料の採用することが可能となる。
  第3の層33を採用することによって実施例1より接着性のよい応力発光シート部材35を提供することができる。
 実施例3について図8(a)、(b)を用いて説明する。実施例1、2と同一の符号については説明を省略する。
 図8(a)は被検査構造物1に第1の層31aを有する応力発光シート部材38を設置された断面図を示す。図8(b)は第1の層31aを示したものである。第2の層32から見た様子でもある。
 実施例2との違いは、第1の層31aを採用したことにある。第1の層31aは、応力発光粒子20を第1のバインダ21に混合させたものを繊維状の繊維部材37で構成される。この繊維部材37を持つ応力発光シート部材38が示されている。
  繊維部材37は細い繊維状に構成されており、さらに横方向と縦方向に重ね合わせるように配置されている。繊維部材37のうち被検査構造物1側の繊維部材37は、図8(a)の横方向(図8(b)の横方向)に配置されている。また、第2の層32側の繊維部材37は、奥行き方向(図8(b)の縦方向)に配置されている。
 ここで、繊維状とは、円柱形状のうち断面である直径と高さの比が1:2以上である構造を指す。
 この繊維部材37を図8(b)に示すように網目上に配置することで第1の層31aを構成する。
 このような第1の層31aの構成を取ることによって、亀裂発生前は格子状に繊維部材37が配置されているため、亀裂の発生後の応力変化を検出すると、格子形状に変化が現れるため亀裂等によるコンクリートの移動量を検出することができる。
 また、繊維部材37と他の繊維部材37との空間36には第2のバインダ22または第3のバインダ23が入り込むことによって、空間36内部にいずれかのバインダが引っかかることによってアンカー効果を生じさせ、繊維部材37と他の部材または他の繊維部材7との接着性が向上する。
 空間36は、繊維部材37が縦方向同士または横方向同士または縦方向と横方向の層間に配置される際にできる空隙を意味する。
  他には、繊維部材37を縦糸と横糸を順に並べるだけでなく、縦糸または横糸だけを同一の方向に向かって配置してもよい。
  また、交差する場合は少なくとも2層で構成されるが、縦方向をさらに追加して3層構造としてもよい。また、繊維部材37を編み込むことで網状としてもよい。
  また、繊維部材37を用いて文字や図形を作成することで、検査の際に、位置情報や検査情報を埋め込むことも可能である。
  これにより、構造物内の位置情報や検査情報を応力発光シート部材38に埋め込むことが可能となる。
 実施例4について図9(a),(b)を用いて説明する。実施例1から3と同一の符号については説明を省略する。
 図9(a)は被検査構造物1に第1の層31bを有する応力発光シート部材40を設置された断面図を示す。図9(b)は第1の層31bを上面から見た図である。
 実施例3との違いは、第1の層31bを採用したことにある。第1の層31bは、応力発光粒子20を第1のバインダ21に混合させたものを小片である微小部材39で構成される。この微小部材39を持つ応力発光シート部材40が示されている。
 図9(b)は微小部材39を図9(a)の奥行き方向と横方向から見た図である。
 ここで、微小とは、縦(図9(a)の奥行き方向)の長さと横(図9(a)の横方向)の幅が厚み(図9(a)の縦方向)以上の値であることを指す。
 図9(a)(b)では一例として板状の形状を示した。微小部材39を板状(直方体)に構成した場合を3次元で示すとその関係は長さ:幅:厚み=2以上:1:1である。円筒状であれば、長さ:厚みの関係は2以上:1である。例えば、縦の長さ5mm、横幅5mm、厚み1mmや縦の長さ10mm、横幅5mm、厚み2mm等である。板状の形状や棒状または針状の形状も含む概念である。
 被検査構造物1に生じた応力が微小部材39に適切に伝達されれば、被検査構造物1の表面の凹凸によらず応力発光層である微小部材39の厚さは均一であることから、応力に対して一定の発光強度を得ることができ検出効率が向上する。
[製造方法他]
(実施例1の製造方法)
 図2(a)から(c)を用いて説明した実施例1の応力発光シート部材30の製造方法について図10のフローチャートを用いて説明する。
  応力発光粒子20を第1のバインダ21に混合、分散させる(S101)。このとき、第1のバインダ21へ混合させた応力発光粒子20の密度または濃度ができるだけ均一となるようによく混ぜ合わせるとよい。応力の検出の際に、加振された応力に対する発光が均一になるため、被検査構造物1の亀裂10から伝達される応力をより精度良く検出することができる。
  S101で混合された第1のバインダ21を引き延ばして応力発光シート層(第1の層31)を成形する(S102)。
 次に、第2のバインダ22を引き延ばしてシート状にすることで、第2の層32を成形する(S103)。
  S102で成形した応力発光シート層と、S103で成形した第2の層32とを貼り合わせる(S104)。この際には、接着剤を用いて貼り合わせてもよい。また、一方の部材が固着する前に他の部材に貼り合わせて固着させてもよい。第2の層32は応力発光シート層を覆うように接着、接合、配置または塗布等によって接触させるとよい。「覆う」とは、覆う部材が覆われる部材の接触面以上の面積を有することを意味する。つまり、第2の層32は第1の層の接触面以上の面積を持つということである。
  なお、第2の層32が第1の層31を覆われていなくとも実施できる場合があるが、少なくとも第1の層31の破断された空間を覆うように第2の層32が接触されている必要がある。
 ここで、接触とは部材それぞれの表面同士が溶融する、または、接着または接触部材を介して2つの部材が固定されることである。
  接着とは2つの部材の一方またはそれぞれの表面が凹凸を有しており、一方またはそれぞれまたは接着部材が入り込むことで凹凸に対して引っかかることによって固定されることをいう。
  また、接合とは、接触する部材の表面同士が溶ける、または、接触する部材の一部が混ざり合うことでひとつの部材となることで2つの部材が固定されることをいう。
 ここで、第1の層31のうち第2の層32が接着・接触等されていない面は被検査構造物1に接着・接触等される面である。また、S104で作製した応力発光シート部材35を所定のサイズに切断すると、第1の層31と第2の層32の面積はほぼ等しく、または、一部は第2の層32の面積が小さくなる場合もあるが、これも「覆う」の概念に含まれる。
 このように、第1の層31と第2の層32を貼り合わせることによって応力発光シート部材30を製造する。
 被検査構造物1への敷設方法は、応力発光シート層の接触面に粘着性がある場合は別途接着剤等を用いずとも敷設できる。また、応力発光シート層が硬化する前であれば、被検査構造物1に接触させ、その後硬化されるのを待ってもよい。
 実施例1の製造方法の変形例を説明する。
  この変形例は、実施例1を直接被検査構造物1の表面に塗布することによって構成する方法である。
 S101で応力発光粒子20を混合された第1のバインダ21を直接被検査構造物1に塗布することで応力発光シート層として第1の層31を成形する。
 その後、S103とS104の工程をまとめて行う。すなわち、第1の層31の表面に第2のバインダ22を塗布する。
 つまり、この変形例では、被検査構造物1に第1の層31となる固着前の応力発光シート層を直接塗布し、その後、固着された第1の層31の表面に塗布された第2のバインダ22が硬化されることによって、第2の層32を成形され、応力発光シート部材30を製造する方法である。
 この変形例によって、被検査構造物1に直接塗布することが可能となり、S103のような事前にシート状に成形する工程を省略することができる。直接塗布することで、刷毛やローラー等を用いてペンキ等を塗るように設置することができるため応力発光シート部材30の敷設面積が広い場合に有効である。
(実施例2の製造方法)
 実施例2の応力発光シート部材35の製造方法を図11のフローチャートを用いて説明する。S201からS204までは図10のS101からS104と同様であるため説明を省略する。
 次に、第3のバインダ23をシート状にすることで第3の層33を成形する(S205)。
 S204で作製した第1の層31と第2の層32を貼り合わせた部材に、S205で成形した第3の層33とを貼り合わせる(S206)。
  すなわち、第3の層33は、第1の層31のうち第2の層32が接触されていない面に接触されるということである。
 S206によって、第1の層31を挟み込むよう第2の層32と第3の層33とを有する応力発光シート部材35を製造することができる。
 なお、実施例1の製造方法の変形例同様に、被検査構造物1に直接塗布して応力発光シート部材35を構成することができる。その際には、第1の層31を塗布する前の工程として、第3のバインダ33を被検査構造物1に塗布し、第3の層33を成形する工程が必要となる。先の変形例同様に、大面積の敷設に有効である。
(実施例3の製造方法)
 実施例3の製造方法は、実施例2の製造方法である図11の変形例である。S202を本変形例ではS202a,202bの2つの工程として説明する。
 混合された第1のバインダを引き延ばして繊維状の応力発光シート層である繊維部材37を成形する(S202a)。
 そして、成形された繊維部材37を積層する、または、適宜配置することで、応力発光シート層31aを作製する(S202b)。実施例3に記載の方法や図8(b)のように配置する。これによって、応力発光シート部材38を製造することができる。
(実施例4の製造方法)
 実施例4の製造方法は、実施例2の製造方法である図11の変形例である。S202を本変形例ではS202c,202dの2つの工程として説明する。
 S202cは、混合された第1のバインダを引き延ばして小片の応力発光シート層である微小部材39を成形する(S202c)。
 そして、成形された微小部材39を適宜配置することで、応力発光シート層31bを作製する(S202d)。例えば、実施例3に記載の方法や図8(b)のように配置する。これによって、応力発光シート部材40を構成することができる。
 この微小部材39は、一枚の大きなシートとして作成し、その後、切断することによって、面積を自由に変更でき、また、一枚一枚の厚さを一定にすることができる。
 また、被検査構造物1に対して第3のバインダ33を塗布した場合に、亀裂等の検査を行いたい領域に対して微小部材39を配置し、さらに第2のバインダ32を塗布することで、指定した領域の検査を実現することができる。この場合は、応力発光粒子20の使用量を減らすことができる。
(検査方法等)
 図12(a)は表面検査装置の進行方向側方から見た図であり、被検査構造物1は亀裂10を有しており、応力発光シート部材30,35,38,40が敷設されていることを示す。以下、応力発光シート部材30,35,38,40は応力発光シート部材30として説明する。
  また、表面検査装置100は、移動体103で構成されている。移動体103には、圧力変化発生装置(本願明細書において「応力変化発生装置」とも呼ぶ)105と検出装置106とを有している。この圧力変化発生装置から応力発光シート部材30へ圧力(応力)を与えている様子が示されている。
  図示しないが、応力発光シート部材30の亀裂10の位置では、応力が変化した箇所が発光する様子が検出装置106によって撮像されることとなる。
 検出装置106は、エリアセンサカメラ、ラインセンサカメラ等の発光波長の強度変化を測定する光度計である。
  検出装置106により抽出された画像や発光領域情報データに基づいて、亀裂の有無、或いは予め定めた検査基準(長さ、幅など)に対する合否を判定する。
 図12(b)は図12(a)を進行方向に対して後方から見た図である。図12(a)に記載される符号と同一のものは説明を省略する。なお、圧力変化装置105と検出装置106は奥行き方向に重なっているため、後方にある検出装置のみが示されている。
 図12(c)は、図12(a),(b)の変形例であり、同一の符号は説明を省略する。図12(c)は、図12(a),(b)で表面検査装置100が構造物表面の検査を行うのに対し、検査員103aにより構造物の検査を行う方法を示すものである。
 検査員103aは圧力変化発生装置105と検出装置106とが一体となった表面検査装置101を持っている。検査員103aは移動しながら検査対象箇所を表面検査装置101と共に移動し、検査を行う。検査員103aは変形例として、ロボット等によって自動で検査位置まで移動し、検査を行ってもよい。
  表面検査装置101は、圧力変化発生装置105と検出装置106とが一体として示したが、これらが別体でもよい。一体となった場合は、別体に比べて検査をより簡便に行うことができる。
 表面検査装置による被検査構造物の一例として、図12(a),(b),(c)に示すトンネルとして説明する。
  なお、本願明細書では、被検査構造物1はトンネルとして説明するが、構造物(被検査構造物)は、ビルや工場のような建造物、橋梁、ダム、堤防、港湾、埋め立て地、滑走路、道路であってもよい。また、コンクリート構造で作られたコンクリート構造物も含むものである。
  表面検査装置100には図示しない位置検査装置104が設けられていてもよい。検査される位置の情報が得られるものであることが望ましく、検出装置106に近い位置に配置されるとよい。なお、位置情報を検出装置106の位置に補正できるものであれば、どの位置に設けてもよい。実施例3で説明した位置情報を用いてもよい。
 移動体103は図12(a),(b)において鉄道車両、自動車、検査用ロボット、電車や自動車等の車両などであり、被検査構造物1の表面に沿って移動する。例えば、図1(a)に示される矢印の方向に進むものである。
  図12(c)に示す検査員103aの場合であれば、検査を行う所定の領域まで移動し検査を行う。
 圧力変化発生装置105は、被検査構造物1の表面に応力変化を生じさせる装置である。また、圧力変化発生装置105の一部を被検査構造物1に接触させ、被検査構造物1の表面に振動を与える装置であってもよい。
 また、被検査構造物1の表面のうち検査領域に圧力(応力)を与える装置(例えば空気砲や超音波振動や衝撃波や圧力波など)でも良い。先の例に限らず、圧力(応力)を与える方法であればどのようなものであってもよい。他にも、圧縮空気や圧縮ガスによるエアブローを用いてもよい。直接衝撃を与える場合に比べて空気やガスを用いた加振作業の場合には、広い面積に所定の応力を与えることができる。
 この加振作業は、ハンマーのような所定の剛性を有する物体で観察(検査)領域あるいその観察領域外の周囲を叩くことで衝撃を与える方法や、振動体を用いて一定周期で振動させる方法であってもよい。
  移動体103に搭載するのであれば、直接被検査構造物1に接触せずに応力を与えることができる装置構成が好ましい。検出装置106の撮像範囲に入らないようにするためであり、また、圧縮空気やガス等の気体を用いた加振作業であれば撮像範囲に入ったとしても写りこまないため有効である。
 移動体103が停止または静止状態で検査を行う場合には、検出装置106の露光時間を長く取ることができるため、応力発光体の発光を感度良く検出できる。
 具体的な表面の検査は以下のように行う。
  圧力変化発生装置105により、被検査構造物1に設置された応力発光シート部材30に圧力(応力)変化を生じさせると、応力発光シート部材30は伝達された応力の大きさに応じて発光する。ここで、応力発光シート部材30に伝達される応力は、被検査構造物1における亀裂等が存在する領域に加算され、その結果、欠陥を有していない領域と比較してより強く発光する領域となる。
  ここで、亀裂とは表面に現れる亀裂だけでなく、応力が発生する細かな傷、ひび割れ、欠損または欠陥をいう。なお、肉眼で表面に亀裂が観察できなくとも、被検査構造物1に応力が発生あるいは印加されている領域も存在し、応力変化の検査対象となる。また、観察領域の内部(裏側)に空洞や空気の層である場合には応力が伝わりにくくなるが、応力発光シート部材30に応力が伝わるものであれば欠損や欠陥を有しており、応力変化の検査対象となる。
(メンテナンス作業の一例)
 応力発光シート部材30を敷設した後の被検査構造物1の検査やメンテナンス方法について説明する。
 検出装置106により抽出された画像やデータによる判定が検査基準を超えた場合、被検査構造物1の該当箇所から応力発光シート部材30を取り外し、被検査構造物1の該当箇所の修復・修繕・補修等のメンテナンス作業を実施する。
  このメンテナンス作業は、被検査構造物1の検査対象領域である該当箇所の一部を剥がし、被検査構造物1と同一の部材(例えば、コンクリート)を用いて亀裂を埋める作業や樹脂等を用いたコーティング、コーキング等による修繕である。
 これらのメンテナンス作業は、ブラシやはけ等により補修部材を塗り込む作業や、コンクリートブロックを嵌め込むことで隙間を埋める作業がある。また、亀裂を有する該当箇所を剥がさずに接着剤や同一の部材を塗り込み、塗り込んだ領域に布状の部材で覆う、その後、接着剤や同一の部材を塗ることで固める作業がある。
  また、該当箇所のみならず周囲の領域を併せてメンテナンスしてもよい。
 当該メンテナンス作業の終了後、応力発光シート部材30を敷設する。メンテナンス箇所の表面検出(検査)工程と、メンテナンスを行うか否かの判定を行う工程と、メンテナンス作業工程と、該当箇所へ応力発光シート部材30を再度敷設する工程とを行うことができる。
 これにより、被検査構造物の破損や剥落等を防止でき、安全性が高い検査方法とメンテナンスを実現することができる。本メンテナンス作業は、鉄道トンネル、道路トンネルの他に、橋梁、ビル、プラント等への適用も可能である。
(既存の構造物への適用例)
 ここで、既存の構造物への適用例を述べる。
  多くの構造物は応力が発生あるいは印加される領域は同一の領域である場合が多い。また、メンテナンス作業を行ったとしても同一の領域に応力が発生しやすい。そのため、既存の構造物の場合は、応力発生している領域が経験的にわかっている場合が多い。
  そこで、応力発光シート部材30を被検査構造物1全体ではなく、応力変化が発生しやすい所定の領域とその周囲の領域に対して敷設するとよい。
 これによって応力発光シート部材30の使用量を減らすことができ、さらに検査対象箇所を少なくすることができる。また、検査時間の短縮、検査情報量の低減、敷設コストの低減を実現することができる。
  また、被検査構造物1の施工後であっても、被検査構造物1の加工等をせずに被検査構造物1の検査を実現することができる。
 他のメンテナンス方法の一例を説明する。
  図12(a)から(c)、図13に示される移動体103または検査員103aによって被検査構造物1の表面である検査領域を撮像し、その撮像された検査領域の情報は、記憶部(図示しない)に保存される。なお、これまでに説明した符号の詳細な説明は省略する。
  この記憶部はネットワークを経由して保存されるストレージ等でもよく、また、移動体103に記憶部を有していれば記憶部に保存できる。また、検査員103aがそれぞれ有していてもよい。このように保存する場所は問題とならず適宜変更可能である。
 当該記憶部に記憶された検査領域の情報には、例えば、被検査構造物の位置情報、構造物ごとにあらかじめ割り振られた構造物名や構造物の識別コード、撮像した検査領域の位置を示す情報や構造物内の位置情報、画像を取得した日時、を付与することが望ましい。
 検査領域の情報は、検査員103aが有する端末や、構造物の状態を監視するシステムの表示部に検査領域情報として表示される。被検査構造物1の全体図と検査領域を併せて表示してもよい。また、複数の検査領域を示し、検査員103a等が指定した検査領域に他の情報を示してもよい。
 記憶された検査領域の情報から所定の撮像された検査領域の情報を時系列順に並べることで、被検査構造物1の応力の変化を確認することが可能となる。
 さらに、施工の際に検査した表面にかかる応力と現在の検査領域にかかる応力とを比較し、施工時よりも特定箇所に応力がかかっている場合を検出することで亀裂の進展を予測することが可能となる。
  例えば、検査情報に示すように、亀裂の進展情報から亀裂が入る位置の予測(予測亀裂)を計算し、検査情報と亀裂推定情報を表示することで、検査員103a等のユーザは、亀裂の状態を確認あるいは判定することが可能となる。
  これによって、亀裂の進展を予測することができ、構造物の修繕が必要な日時を予測することできる。
 また、予測された情報を構造物の管理者に提案することで、次回のメンテナンス計画の立案が可能となる。さらに、亀裂の進展を予測することで剥落等を事前に防止することが可能となる。
 これらの亀裂の進展情報を管理者のみならず、本システムが次回のメンテナンス計画日時を修繕等のメンテナンスを行った業者に伝達することで、事前に必要な応力発光シート部材30等を準備することもできる。また、併せて前回メンテナンスを行った方法(修繕方法)を知らせることで、修繕方法や必要な工程を予測することができる。
 さらに、メンテナンスを提案された管理者は、提案された複数の修繕方法から位置の修繕方法を選択することで、業者へ見積もり依頼あるいは発注作業を行うことも可能である。
 また、検査領域と類似する構造物(トンネル)のうち類似する亀裂を判定し、提示することができる。類似の判定は相関関数を用いた方法や亀裂の情報を時系列に並べたものから次の状態を推定する方法であってもよく、推定方法は公知の方法を採用してよい。
 これによって、次の亀裂の発生情報を予測できる。また、メンテナンス作業に必要な材料の準備等もできることとなる。
 以上、本発明者によってなされた発明を実施例等に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
1:被検査構造物、2:応力発光層、3:中間層、
10:亀裂、
11a、11b:破断方向、
12、13、14:応力変化、15:空隙、16:応力変化、
20:応力発光粒子、
21:第1のバインダ、22:第2のバインダ、23:第3のバインダ、
30、35、38、40:応力発光シート部材、
31、31a,31b:第1の層、32:第2の層、33:第3の層、
36:空間、37:繊維状部材、39:微小部材、
100、101:表面検査装置、103:移動体、103a:検査員、104:位置検知装置、105:圧力(応力)変化発生装置、106:検出装置

Claims (17)

  1.  応力が与えられることで発光する応力発光粒子を有するシート部材であって、
     前記シート部材は第1の層と第2の層を有しており、
     前記第1の層は、応力発光粒子を有する層であって、第1の接触面を有し、
     前記第2の層は、前記第1の層より柔らかい部材で構成され、
     前記第1の層が有する前記第1の接触面とは異なる面に前記第2の層が接触されていること
    を特徴とするシート部材。
  2.  請求項1に記載のシート部材であって、
     さらに、前記第1の接触面には第3の層が接触されており、
     前記第3の層は、前記第1の層より柔らかい部材で構成されており、前記第1の接触面と異なる面に設けられた第2の接触面とを有する層であること
    を特徴とするシート部材。
  3.  請求項1に記載のシート部材であって、
     前記第2の層のうち前記第1の層側の面の面積は、前記第1の層と前記第2の層が接触される面積以上であること
    を特徴とするシート部材。
  4.  請求項2に記載のシート部材であって、
     前記第1の層の幅または長さが厚みより大きく構成されること
    を特徴とするシート部材。
  5.  請求項2に記載のシート部材であって、
     前記第1の層を構成する部材は繊維形状に構成されており、前記繊維形状の長さは断面の直径または一辺の長さよりも大きく構成されていること
    を特徴とするシート部材。
  6.  請求項1に記載のシート部材であって、
     前記第1の層の弾性率は4000MPa以下である
    ことを特徴とするシート部材。
  7.  請求項1に記載のシート部材であって、
     前記第1の層を構成する物質の重量の5%以上から60%以下が前記応力発光粒子で構成されている
    ことを特徴とするシート部材。
  8.  請求項1に記載のシート部材であって、
     前記第1の層を構成する物質の重量の10%以上から40%以下が前記応力発光粒子で構成されている
    ことを特徴とするシート部材。
  9.  請求項1に記載のシート部材であって、
     前記第1の層の厚みは、2.0mm以下である
    ことを特徴とするシート部材。
  10.  請求項1に記載のシート部材であって、
     前記第1の層の厚みは、0.2から0.72mm以下である
    ことを特徴とするシート部材。
  11.  被検査構造物に設置されたシート部材を検査する検査システムであって、
     前記シート部材は第1の層と第2の層とを有し、
     前記第1の層は、応力発光粒子を有する層であって、第1の接触面を有しており、
     前記第2の層は、前記第1の層より柔らかい部材で構成され、
     前記第1の層が有する前記第1の接触面とは異なる面に前記第2の層が接触されており、
     前記シート部材に対して応力を与える応力変化発生手段と、
     前記応力変化手段によって応力が与えられたシート部材を検査する検査手段と、
    を有する検査システム。
  12.  請求項11に記載の検査システムであって、
     さらに、前記第1の接触面には第3の層が接触されており、
     前記第3の層は、前記第1の層より柔らかい部材で構成されており、前記第1の接触面と異なる面に設けられた第2の接触面とを有する層であること
    を特徴とする検査システム。
  13.  請求項11に記載の検査システムであって、
     さらに移動手段を有しており、
     前記移動手段は、前記応力変化発生手段と前記検査手段とを、搭載されていること
    を特徴とする検査システム。
  14.  請求項11に記載の検査システムであって、
     前記移動手段は、鉄道車両または自動車であること
    を特徴とする検査システム。
  15.  請求項11に記載の検査システムであって、
     さらに、処理部と表示部とを有しており、
     前記処理部は、検査された前記応力が与えられたシート部材の情報を用いて前記被検査構造物の亀裂情報を算出し、
     前記表示部は、算出された前記亀裂情報を表示すること
    を特徴とする検査システム。
  16.  請求項15に記載の検査システムであって、
     前記処理部は、複数の検査された前記応力が与えられたシート部材の情報を用いて前記被検査構造物の応力変化の情報を予測し、
     予測された応力変化の情報を表示する表示部を有すること
    を特徴とする検査システム。
  17.  被検査構造物に設置されたシート部材を検査する検査方法であって、
     前記シート部材は第1の層と第2の層とを有し、
     前記第1の層は、応力発光粒子を有する層であって、第1の接触面を有しており、
     前記第2の層は、前記第1の層より柔らかい部材で構成され、
     前記第1の層が有する前記第1の接触面とは異なる面に前記第2の層が接触されており、
     前記シート部材に対して応力を与える応力変化発生工程と、
     前記応力変化手段によって応力が与えられたシート部材を検査する検査工程と、
    を有する検査方法。
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