以下、添付した図面を参照しながら、本発明の第1〜第5実施形態を説明する。図面において、同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面において、各部材の大きさや比率は、第1〜第5実施形態の理解を容易にするために誇張し、実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
各図において、X、Y、およびZで表す矢印を用いて、燃料電池を構成する部材の方位を示している。Xによって表す矢印の方向は、燃料電池の短手方向Xを示している。Yによって表す矢印の方向は、燃料電池の長手方向Yを示している。Zによって表す矢印の方向は、燃料電池の積層方向Zを示している。
(第1実施形態)
(燃料電池100の構成)
図1は、第1実施形態の燃料電池100を示す斜視図である。図2は、図1の燃料電池100をカバー112とセルスタックアッセンブリー100Mおよび外部マニホールド111に分解した状態を示す斜視図である。図3は、図2のセルスタックアッセンブリー100Mをエアーシェルター110と上部エンドプレート109とスタック100Sおよび下部エンドプレート108に分解した状態を示す斜視図である。図4は、図3のスタック100Sを上部モジュールユニット100Pと複数の中部モジュールユニット100Qおよび下部モジュールユニット100Rに分解した状態を示す斜視図である。図5は、図4の上部モジュールユニット100Pを分解して示す斜視図である。図6は、図4の中部モジュールユニット100Qを分解して示す斜視図である。図7は、図4の下部モジュールユニット100Rを分解して示す斜視図である。図8は、図5〜図7の一のセルユニット100Tを分解し、かつ、その一のセルユニット100Tの下方に位置する他のセルユニット100T(メタルサポートセルアッセンブリー101以外の構成)を分解して示す斜視図である。
図9は、図8のメタルサポートセルアッセンブリー101を分解して示す斜視図である。図10は、図8のメタルサポートセルアッセンブリー101を断面で示す側面図である。図11は、メタルサポートセルアッセンブリー101等を示す断面図である。図12は、図8のセパレータ102をカソード側(図8と同じくセパレータ102を上方から視認した側)から示す斜視図である。図13は、図12のセパレータ102を部分的に示す斜視図である。図14は、図8のセパレータ102をアノード側(図8と異なりセパレータ102を下方から視認した側)から示す斜視図である。図15は、図14のセパレータ102を部分的に示す斜視図である。図16は、補助流路に設けた調整部200の例を示す断面図である。図17は、メタルサポートセルアッセンブリー101とセパレータ102および集電補助層103を積層した状態で部分的(2つのメタルサポートセルアッセンブリー等を横断)に示す断面図に相当する。
燃料電池100のユニット構造は、図1および図2に示すように、セルスタックアッセンブリー100Mを、外部からガスを供給する外部マニホールド111と、セルスタックアッセンブリー100Mを保護するカバー112によって上下から挟み込んで、構成している。
燃料電池100のユニット構造において、セルスタックアッセンブリー100Mは、図2および図3に示すように、スタック100Sを、下部エンドプレート108と上部エンドプレート109によって上下から挟み込み、カソードガスCGを封止するエアーシェルター110によって覆って、構成している。スタック100Sは、図3および図4に示すように、上部モジュールユニット100P、複数の中部モジュールユニット100Qおよび下部モジュールユニット100Rを積層して、構成している。
燃料電池100のユニット構造において、上部モジュールユニット100Pは、図5に示すように、複数積層したセルユニット100Tを、セルユニット100Tで発電された電力を外部に出力する上部集電板106と、エンドプレートに相当するモジュールエンド105によって上下から挟み込んで構成している。中部モジュールユニット100Qは、図6に示すように、複数積層したセルユニット100Tを、一対のモジュールエンド105によって上下から挟み込んで構成している。下部モジュールユニット100Rは、図7に示すように、複数積層したセルユニット100Tを、モジュールエンド105と下部集電板107によって上下から挟み込んで構成している。
燃料電池100のユニット構造において、セルユニット100Tは、図8に示すように、供給されたガスによって発電する発電セル101Mを設けたメタルサポートセルアッセンブリー101、積層方向Zに沿って隣り合うメタルサポートセルアッセンブリー101の発電セル101Mを隔てるセパレータ102、メタルサポートセルアッセンブリー101の発電セル101Mとセパレータ102との間にガスを通す空間を形成しつつ面圧を均等にする集電補助層103、およびメタルサポートセルアッセンブリー101とセパレータ102のマニホールドの部分の縁を封止してガスの流れを制限する封止部材104を含んでいる。集電補助層103および封止部材104は、その構造上、積層方向Zに沿って隣り合うメタルサポートセルアッセンブリー101とセパレータ102との間に配置するものである。
ここで、燃料電池100の製造方法上、メタルサポートセルアッセンブリー101およびセパレータ102は、図8の中央に示すように、各々の外縁を接合ラインVに沿って環状に接合して接合体100Uを構成する。このため、積層方向Zに沿って隣り合う接合体100U(メタルサポートセルアッセンブリー101およびセパレータ102)の間に、集電補助層103および封止部材104を配置する構成としている。すなわち、集電補助層103および封止部材104は、図8の下方に示すように、一の接合体100Uのメタルサポートセルアッセンブリー101と、一の接合体100Uと積層方向Zに沿って隣り合う他の接合体100Uのセパレータ102との間に、配置している。
以下、燃料電池100を構成毎に説明する。
メタルサポートセルアッセンブリー101は、図9および図10に示すように、供給されたガスによって発電する発電セル101Mを設けたものである。
メタルサポートセルアッセンブリー101は、図9に示すように、長手方向Yに沿って2つ並べて配置したメタルサポートセル101Nと、メタルサポートセル101Nを周囲から保持するセルフレーム101Wによって構成している。
メタルサポートセル101Nは、発電セル101Mと、発電セル101Mを一方から支持するサポートメタル101Vによって構成している。メタルサポートセルアッセンブリー101において、発電セル101Mは、図9および図10に示すように、電解質101Sをアノード101Tとカソード101Uで挟み込んで構成している。
アノード101Tは、図9および図10に示すように、燃料極であって、アノードガスAG(例えば水素)と酸化物イオンを反応させて、アノードガスAGの酸化物を生成するとともに電子を取り出す。アノード101Tは、還元雰囲気に耐性を有し、アノードガスAGを透過させ、電気伝導度が高く、アノードガスAGを酸化物イオンと反応させる触媒作用を有する。アノード101Tは、電解質101Sよりも大きい長方体形状から形成されている。アノード101Tは、例えば、ニッケル等の金属、イットリア安定化ジルコニア等の酸化物イオン伝導体を混在させた超硬合金からなる。アノード101Tは、図9および図10に示すように、薄板状であって長方形状からなる。
電解質101Sは、図9および図10に示すように、カソード101Uからアノード101Tに向かって酸化物イオンを透過させるものである。電解質101Sは、酸化物イオンを通過させつつ、ガスと電子を通過させない。電解質101Sは、長方体形状から形成されている。電解質101Sは、例えば、イットリア、酸化ネオジム、サマリア、ガドリア、スカンジア等を固溶した安定化ジルコニアなどの固体酸化物セラミックスからなる。電解質101Sは、図9および図10に示すように、薄板状であって、アノード101Tよりも若干大きい長方形状からなる。電解質101Sの外縁は、図10に示すように、アノード101Tの側に向かって屈折して、アノード101Tの積層方向Zに沿った側面に接触している。電解質101Sの外縁の先端は、サポートメタル101Vに接触している。
カソード101Uは、図9および図10に示すように、酸化剤極であって、カソードガスCG(例えば空気に含まれる酸素)と電子を反応させて、酸素分子を酸化物イオンに変換する。カソード101Uは、酸化雰囲気に耐性を有し、カソードガスCGを透過させ、電気伝導度が高く、酸素分子を酸化物イオンに変換する触媒作用を有する。カソード101Uは、電解質101Sよりも小さい長方体形状から形成されている。カソード101Uは、例えば、ランタン、ストロンチウム、マンガン、コバルト等の酸化物からなる。
カソード101Uは、図9および図10に示すように、アノード101Tと同様に、薄板状であって長方形状からなる。カソード101Uは、電解質101Sを介して、アノード101Tと対向している。電解質101Sの外縁がアノード101T側に屈折していることから、カソード101Uの外縁は、アノード101Tの外縁と接触することがない。
サポートメタル101Vは、図9および図10に示すように、発電セル101Mをアノード101Tの側から支持するものである。サポートメタル101Vは、ガス透過性を有し、電気伝導度が高く、十分な強度を有する。サポートメタル101Vは、アノード101Tよりも十分に大きい長方体形状から形成されている。サポートメタル101Vは、例えば、ニッケルやクロムを含有する耐食合金や耐食鋼、ステンレス鋼からなる。
セルフレーム101Wは、図9および図10に示すように、メタルサポートセル101Nを周囲から保持するものである。セルフレーム101Wは、薄い長方形状から形成している。セルフレーム101Wは、一対の開口部101kを、長手方向Yに沿って設けている。セルフレーム101Wの一対の開口部101kは、それぞれ長方形状の貫通口からなり、サポートメタル101Vの外形よりも小さい。セルフレーム101Wは、金属からなり、絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、セルフレーム101Wに酸化アルミニウムを固着させて構成する。セルフレーム101Wの開口部101kの内縁に、サポートメタル101Vの外縁を接合することによって、セルフレーム101Wにメタルサポートセルアッセンブリー101を接合している。
セルフレーム101Wは、図9および図10に示すように、長手方向Yに沿った一辺の右端と中央と左端から、面方向に延ばした円形状の延在部(第1延在部101p、第2延在部101qおよび第3延在部101r)を設けている。セルフレーム101Wは、長手方向Yに沿った他辺の中央から離間した2箇所から、面方向に延ばした円形状の延在部(第4延在部101sおよび第5延在部101t)を設けている。セルフレーム101Wにおいて、第1延在部101p、第2延在部101qおよび第3延在部101rと、第4延在部101sおよび第5延在部101tは、一対の開口部101kを隔てて、長手方向Yに沿って交互に位置している。
セルフレーム101Wは、図9および図10に示すように、アノードガスAGを通過(流入)させるアノード側第1流入口101a、アノード側第2流入口101b、アノード側第3流入口101cを、第1延在部101p、第2延在部101qおよび第3延在部101rに設けている。セルフレーム101Wは、アノードガスAGを通過(流出)させるアノード側第1流出口101dおよびアノード側第2流出口101eを、第4延在部101sおよび第5延在部101tに設けている。アノードガスAGのアノード側第1流入口101a、アノード側第2流入口101b、アノード側第3流入口101c、アノード側第1流出口101dおよびアノード側第2流出口101eは、いわゆる、マニホールドである。
セルフレーム101Wは、図9に示すように、カソードガスCGを通過(流入)させるカソード側第1流入口101fを、第1延在部101pと第2延在部101qの間の空間に設けている。セルフレーム101Wは、カソードガスCGを通過(流入)させるカソード側第2流入口101gを、第2延在部101qと第3延在部101rの間の空間に設けている。セルフレーム101Wは、カソードガスCGを通過(流出)させるカソード側第1流出口101hを、第4延在部101sよりも図9中の右側に設けている。セルフレーム101Wは、カソードガスCGを通過(流出)させるカソード側第2流出口101iを、第4延在部101sと第5延在部101tの間の空間に設けている。セルフレーム101Wは、カソードガスCGを通過(流出)させるカソード側第3流出口101jを、第5延在部101tよりも図9中の左側に設けている。セルフレーム101Wにおいて、カソード側第1流入口101f、カソード側第2流入口101g、カソード側第1流出口101h、カソード側第2流出口101iおよびカソード側第3流出口101jは、セルフレーム101Wの外周面とエアーシェルター110の内側面との空間に相当する。
セパレータ102は、図8、図11および図12に示すように、積層するメタルサポートセルアッセンブリー101の各々の発電セル101Mと発電セル101Mとの間に設け、隣り合う発電セル101Mを隔てるものである。
セパレータ102は、メタルサポートセルアッセンブリー101と対向して配置している。セパレータ102は、メタルサポートセルアッセンブリー101と同様の外形形状からなる。セパレータ102は、金属からなり、発電セル101Mと対向する領域(流路部102L)を除いて、絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、セパレータ102に酸化アルミニウムを固着させて構成する。セパレータ102は、流路部102Lを、発電セル101Mと対向するように長手方向Yに並べて設けている。
セパレータ102において、流路部102Lは、図8および図11および図12に示すように、ガスの流れの方向(短手方向X)に沿って延ばした流路を、ガスの流れの方向(短手方向X)と直交する方向(長手方向Y)に並べることによって形成している。流路部102Lは、図11〜図15に示すように、長手方向Yおよび短手方向Xの面内において平坦な平坦部102xから下方に突出するように、凸状のアノード側突起102yを一定の間隔で設けている。アノード側突起102yは、ガスの流れの方向(短手方向X)に沿って延びている。アノード側突起102yは、セパレータ102の下端から下方に向かって突出している。流路部102Lは、図11〜図15に示すように、平坦部102xから上方に突出するように、凸状のカソード側突起102zを一定の間隔で設けている。カソード側突起102zは、ガスの流れの方向(短手方向X)に沿って延びている。カソード側突起102zは、セパレータ102の上端から上方に向かって突出している。流路部102Lは、アノード側突起102yと凸状のカソード側突起102zを、平坦部102xを隔てて、長手方向Yに沿って交互に設けている。
セパレータ102は、図11および図17に示すように、流路部102Lと、その下方に位置するメタルサポートセルアッセンブリー101との隙間を、アノードガスAGの流路として構成している。アノードガスAGは、図14に示すセパレータ102のアノード側第2流入口102b等から、図14および図15に示す複数の溝102qを通り、アノード側の流路部102Lに流入する。セパレータ102は、図14および図15に示すように、複数の溝102qを、アノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102b、アノード側第3流入口102cから、それぞれアノード側の流路部102Lに向かって放射状に形成している。セパレータ102は、図11および図17に示すように、流路部102Lと、その上方に位置するメタルサポートセルアッセンブリー101との隙間を、カソードガスCGの流路として構成している。カソードガスCGは、図12に示すセパレータ102のカソード側第1流入口102fおよびカソード側第2流入口102gから、図12および図13に示すセパレータ102のカソード側の外縁102pを越えて、カソード側の流路部102Lに流入する。セパレータ102は、図13に示すように、カソード側の外縁102pを、他の部分よりも肉薄に形成している。
セパレータ102は、図8、図12および図14に示すように、メタルサポートセルアッセンブリー101と積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、アノードガスAGを通過させるアノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102b、アノード側第3流入口102c、アノード側第1流出口102dおよびアノード側第2流出口102eを設けている。セパレータ102は、メタルサポートセルアッセンブリー101と積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、カソードガスCGを通過させるカソード側第1流入口102f、カソード側第2流入口102g、カソード側第1流出口102h、カソード側第2流出口102iおよびカソード側第3流出口102jを設けている。セパレータ102において、カソードガスCGのカソード側第1流入口102f、カソード側第2流入口102g、カソード側第1流出口102h、カソード側第2流出口102iおよびカソード側第3流出口102jは、セパレータ102の外周面とエアーシェルター110の内側面との空間に相当する。
集電補助層103は、図8に示すように、発電セル101Mとセパレータ102との間にガスを通す空間を形成しつつ面圧を均等にして、発電セル101Mとセパレータ102との電気的な接触を補助するものである。
集電補助層103は、いわゆる、エキスパンドメタルである。集電補助層103は、発電セル101Mとセパレータ102の流路部102Lとの間に配置している。集電補助層103は、発電セル101Mと同様の外形形状からなる。集電補助層103は、菱形等の開口を格子状に設けた金網状からなる。
封止部材104は、図8に示すように、メタルサポートセルアッセンブリー101とセパレータ102との隙間を部分的に封止してガスの流れを制限するものである。
封止部材104は、スペーサーとシールの機能を備え、いわゆるガスケットである。封止部材104は、セパレータ102のアノード側流入口(例えばアノード側第1流入口102a)およびアノード側流出口(例えばアノード側第1流出口102d)から、セパレータ102のカソード側の流路に向かって、アノードガスAGが混入することを防止する。封止部材104は、リング状に形成している。封止部材104は、セパレータ102のカソード側の面に臨んでいるアノード側流入口(例えばアノード側第1流入口102a)、およびアノード側流出口(例えばアノード側第1流出口102d)の内周縁に接合する。封止部材104は、例えば、耐熱性およびシール性を有するサーミキュライトからなる。
モジュールエンド105は、図5〜図7に示すように、複数積層したセルユニット100Tの下端または上端を保持するプレートである。
モジュールエンド105は、複数積層したセルユニット100Tの下端または上端に配置している。モジュールエンド105は、セルユニット100Tと同様の外形形状からなる。モジュールエンド105は、ガスを透過させない導電性材料からなり、発電セル101Mおよび他のモジュールエンド105と対向する一部の領域を除いて、絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、モジュールエンド105に酸化アルミニウムを固着させて構成する。
モジュールエンド105は、セルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、アノードガスAGを通過させるアノード側第1流入口105a、アノード側第2流入口105b、アノード側第3流入口105c、アノード側第1流出口105dおよびアノード側第2流出口105eを設けている。モジュールエンド105は、セルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、カソードガスCGを通過させるカソード側第1流入口105f、カソード側第2流入口105g、カソード側第1流出口105h、カソード側第2流出口105iおよびカソード側第3流出口105jを設けている。モジュールエンド105において、カソード側第1流入口105f、カソード側第2流入口105g、カソード側第1流出口105h、カソード側第2流出口105iおよびカソード側第3流出口105jは、モジュールエンド105の外周面とエアーシェルター110の内側面との空間に相当する。
上部集電板106は、図5に示し、セルユニット100Tで発電された電力を外部に出力するものである。
上部集電板106は、図5に示すように、上部モジュールユニット100Pの上端に配置している。上部集電板106は、セルユニット100Tと同様の外形形状からなる。上部集電板106は、外部の通電部材と接続される端子(不図示)を設けている。上部集電板106は、ガスを透過させない導電性材料からなり、セルユニット100Tの発電セル101Mと対向する領域および端子の部分を除いて、絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、上部集電板106に酸化アルミニウムを固着させて構成する。
下部集電板107は、図7に示し、セルユニット100Tで発電された電力を外部に出力するものである。
下部集電板107は、図7に示すように、下部モジュールユニット100Rの下端に配置している。下部集電板107は、上部集電板106と同様の外形形状からなる。下部集電板107は、外部の通電部材と接続される端子(不図示)を設けている。下部集電板107は、ガスを透過させない導電性材料からなり、セルユニット100Tの発電セル101Mと対向する領域および端子の部分を除いて、絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、下部集電板107に酸化アルミニウムを固着させて構成する。
下部集電板107は、セルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、アノードガスAGを通過させるアノード側第1流入口107a、アノード側第2流入口107b、アノード側第3流入口107c、アノード側第1流出口107dおよびアノード側第2流出口107eを設けている。下部集電板107は、セルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、カソードガスCGを通過させるカソード側第1流入口107f、カソード側第2流入口107g、カソード側第1流出口107h、カソード側第2流出口107iおよびカソード側第3流出口107jを設けている。下部集電板107において、カソード側第1流入口107f、カソード側第2流入口107g、カソード側第1流出口107h、カソード側第2流出口107iおよびカソード側第3流出口107jは、下部集電板107の外周面とエアーシェルター110の内側面との空間に相当する。
下部エンドプレート108は、図2および図3に示すように、スタック100Sを下方から保持するものである。
下部エンドプレート108は、スタック100Sの下端に配置している。下部エンドプレート108は、一部を除いて、セルユニット100Tと同様の外形形状からなる。下部エンドプレート108は、カソードガスCGの流入口および排出口を形成するために、長手方向Yに沿った両端を直線状に伸長させて形成している。下部エンドプレート108は、セルユニット100Tよりも十分に厚く形成している。下部エンドプレート108は、例えば、金属からなり、下部集電板107と接触する上面を、絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、下部エンドプレート108に酸化アルミニウムを固着させて構成する。
下部エンドプレート108は、セルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、アノードガスAGを通過させるアノード側第1流入口108a、アノード側第2流入口108b、アノード側第3流入口108c、アノード側第1流出口108dおよびアノード側第2流出口108eを設けている。下部エンドプレート108は、セルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、カソードガスCGを通過させるカソード側第1流入口108f、カソード側第2流入口108g、カソード側第1流出口108h、カソード側第2流出口108iおよびカソード側第3流出口108jを設けている。
上部エンドプレート109は、図2および図3に示すように、スタック100Sを上方から保持するものである。
上部エンドプレート109は、スタック100Sの上端に配置している。上部エンドプレート109は、下部エンドプレート108と同様の外形形状からなる。上部エンドプレート109は、下部エンドプレート108と異なり、ガスの流入口および排出口を設けていない。上部エンドプレート109は、例えば、金属からなり、上部集電板106と接触する下面を、絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、上部エンドプレート109に酸化アルミニウムを固着させて構成する。
エアーシェルター110は、図2および図3に示すように、スタック100Sとの間において、カソードガスCGの流路を形成するものである。
エアーシェルター110は、図2および図3に示すように、下部エンドプレート108と上部エンドプレート109によって挟み込まれたスタック100Sを上方から覆っている。エアーシェルター110は、エアーシェルター110の内側面とスタック100Sの側面との隙間の部分によって、スタック100Sの構成部材のカソードガスCGの流入口と流出口を形成する。エアーシェルター110は、箱形状からなり、下部の全てと側部の一部を開口している。エアーシェルター110は、例えば、金属からなり、内側面を絶縁材またはコーティングを用いて絶縁している。絶縁材は、例えば、エアーシェルター110に酸化アルミニウムを固着させて構成する。
外部マニホールド111は、図1および図2に示すように、外部から複数のセルユニット100Tにガスを供給するものである。
外部マニホールド111は、セルスタックアッセンブリー100Mの下方に配置している。外部マニホールド111は、下部エンドプレート108の形状を単純化した外形形状からなる。外部マニホールド111は、下部エンドプレート108よりも十分に厚く形成している。外部マニホールド111は、例えば、金属からなる。
外部マニホールド111は、セルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、アノードガスAGを通過させるアノード側第1流入口111a、アノード側第2流入口111b、アノード側第3流入口111c、アノード側第1流出口111dおよびアノード側第2流出口111eを設けている。外部マニホールド111は、カソードガスCGを通過させるセルユニット100Tと積層方向Zに沿って相対的な位置が合うように、カソード側第1流入口111f、カソード側第2流入口111g、カソード側第1流出口111h、カソード側第2流出口111iおよびカソード側第3流出口111jを設けている。
カバー112は、図1および図2に示すように、セルスタックアッセンブリー100Mを被覆して保護するものである。
カバー112は、セルスタックアッセンブリー100Mを、外部マニホールド111とともに上下から挟み込んでいる。カバー112は、箱形状からなり、下部を開口させている。カバー112は、例えば、金属からなり、内側面を絶縁材によって絶縁している。
(燃料電池100に設けた調整部200の構成)
図16は、調整部200の構成要素として補助流路T11およびT12(T12:セルフレーム側補助流路に相当する)を設けた例を示す斜視図である。図17は、メタルサポートセルアッセンブリー101とセパレータ102および集電補助層103を積層した状態の中央部分を示し、その中央部分に調整部200の構成要素として補助流路T11を設けた状態を示す断面図に相当する。
調整部200は、一例として、空間(空隙)からなる補助流路T11およびT12によって構成している。調整部200の構成要素である補助流路T11等は、図16および図17に加えて図12〜図15にも示すように、セパレータ102に設けている。図16の左側の流路部102Lの右端に位置する補助流路T11は、対応する発電セル101Mの端部(右端)に対向する流路であって、アノード側第2流入口102bやカソード側第2流出口102iに相対的に近い流路に相当する。図16の左側の流路部102Lの左端に位置する補助流路T12は、対応する発電セル101Mの端部(左端)に対向する流路であって、アノード側第3流入口102cやカソード側第3流出口102jに相対的に近い流路に相当する。図16の右側の流路部102Lの右端に位置する補助流路T12は、対応する発電セル101Mの端部(右端)に対向する流路であって、アノード側第1流入口102aやカソード側第1流出口102hに相対的に近い流路に相当する。図16の右側の流路部102Lの左端に位置する補助流路T11は、対応する発電セル101Mの端部(左端)に対向する流路であって、アノード側第2流入口102bやカソード側第2流出口102iに相対的に近い流路に相当する。
(燃料電池100におけるガスの流れ)
図18Aは、燃料電池100におけるアノードガスAGおよびカソードガスCGの流れを模式的に示す斜視図である。図18Bは、燃料電池100におけるカソードガスCGの流れを模式的に示す斜視図である。図18Cは、燃料電池100におけるアノードガスAGの流れを模式的に示す斜視図である。
アノードガスAGは、外部マニホールド111、下部エンドプレート108、モジュールエンド105、セパレータ102、およびメタルサポートセルアッセンブリー101の各々の流入口を通過して、各々の発電セル101Mのアノード101Tに供給される。すなわち、アノードガスAGは、外部マニホールド111から終端の上部集電板106に至るまで、交互に積層されたセパレータ102とメタルサポートセルアッセンブリー101との隙間に設けられたアノード側の流路に分配して供給される。その後、アノードガスAGは、発電セル101Mで反応し、上記の各構成部材の各々の流出口を通過して排ガスの状態で排出される。
アノードガスAGは、図18Aに示すように、セパレータ102を隔てて、カソードガスCGと交差するように、流路部102Lに供給される。アノードガスAGは、図18Cにおいて、図18Cの下方に位置するセパレータ102のアノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102bおよびアノード側第3流入口102cを通過し、メタルサポートセルアッセンブリー101のアノード側第1流入口101a、アノード側第2流入口101bおよびアノード側第3流入口101cを通過した後、図18Cの上方に位置するセパレータ102の流路部102Lに流入して、メタルサポートセルアッセンブリー101の発電セル101Mのアノード101Tに供給される。アノード101Tで反応した後のアノードガスAGは、排気ガスの状態で、図18Cの上方に位置するセパレータ102の流路部102Lから流出して、メタルサポートセルアッセンブリー101のアノード側第1流出口101dおよびアノード側第2流出口101eを通過し、図18C中の下方に位置するセパレータ102のアノード側第1流出口102dおよびアノード側第2流出口102eを通過して外部に排出される。
カソードガスCGは、外部マニホールド111、下部エンドプレート108、モジュールエンド105、セパレータ102、およびメタルサポートセルアッセンブリー101の各々の流入口を通過して、発電セル101Mのカソード101Uに供給される。すなわち、カソードガスCGは、外部マニホールド111から終端の上部集電板106に至るまで、交互に積層されたメタルサポートセルアッセンブリー101とセパレータ102との隙間に設けられたカソード側の流路に分配して供給される。その後、カソードガスCGは、発電セル101Mで反応し、上記の各構成部材の各々の流出口を通過して排ガスの状態で排出される。上記の各構成部材におけるカソードガスCGの流入口および流出口は、各々の構成部材の外周面と、エアーシェルター110の内側面との間の隙間によって、構成している。
カソードガスCGは、図18Bにおいて、図18Bの下方に位置するセパレータ102のカソード側第1流入口102fおよびカソード側第2流入口102gを通過し、そのセパレータ102の流路部102Lに流入して、メタルサポートセルアッセンブリー101の発電セル101Mのカソード101Uに供給される。カソード101Uで反応した後のカソードガスCGは、排気ガスの状態で、図18B中の下方に位置するセパレータ102の流路部102Lから流出して、そのセパレータ102のカソード側第1流出口102h、カソード側第2流出口102iおよびカソード側第3流出口102jを通過して外部に排出される。
以上説明した第1実施形態の作用効果を説明する。
燃料電池100のユニット構造は、発電セル101Mと、セパレータ102と、流路部102Lと、複数のガス流入口と、複数のガス流出口と、調整部200と、を有する。発電セル101Mは、電解質101Sをアノード101Tとカソード101Uとで挟み供給されたガスによって発電する。セパレータ102は、発電セル101Mと発電セル101Mとの間に設け、隣り合う発電セル101Mを隔てる。流路部102Lは、セパレータ102とセパレータ102との間に形成され発電セル101Mにガスを供給する複数の流路からなる。複数のガス流入口(例えば、アノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102bおよびアノード側第3流入口102c)は、流路部102Lにガスを流入させる。複数のガス流出口(例えば、アノード側第1流出口102dおよびアノード側第2流出口102e)は、流路部からガスを流出させる。調整部200は、複数の流路を流れるガスの量を調整する。調整部200は複数のガス流入口間または複数のガス流出口間に形成される流路部の圧力損失を調整することによって複数の流路間の流れのばらつきを低下させる。
燃料電池100のユニット構造の制御方法は、セパレータ102の間に狭持された発電セル101Mにガス流入口(例えば、アノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102bおよびアノード側第3流入口102c)からガスをセパレータ102に形成した流路部102Lに供給し、ガスをガス流出口(例えば、アノード側第1流出口102dおよびアノード側第2流出口102e)から排出して発電する燃料電池100のユニット構造の制御方法である。この燃料電池100のユニット構造の制御方法は、ガス流入口から供給されるガスの流れを、発電セル101Mの同一平面内において、セパレータ102の流路部102Lを流れる主流れと、複数の発電セル101Mの間を流れる補助流れの少なくとも2つの流れに分割し、補助流れにおけるガスの圧力損失を調整して、主流れにおける同一平面内でのガスの分配を均一にする。
燃料電池100のユニット構造の制御方法において、発電セル101Mの同一平面内とは、その発電セル101Mを同一のセパレータ102上に並べるように複数配置していることを表している。また、燃料電池100のユニット構造の制御方法において、主流れにおける同一平面内でのガスの分配を均一にするとは、ガスの流量のばらつきを低下させることである。ガスの流量のばらつきの低下とは、セパレータ102の複数の流路における各々のガスの流れを、同一の流速、圧力、密度等になるように調整することによって、同一の流量に近づけることをいう。
かかる燃料電池100のユニット構造および燃料電池100のユニット構造の制御方法によれば、複数の流路間の流れのばらつきを低下させることができる。すなわち、燃料電池100のユニット構造は、発電セル101Mに対してガスを均等に供給することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
特に、かかる燃料電池100のユニット構造は、図19に示すような構成において、発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に供給するガスの量を調整することによって、発電セル101Mの中央部(例えば主流路S11と対向する部分)と発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に供給するガスのばらつきを抑制することができる。すなわち、燃料電池100のユニット構造は、発電セル101Mの端部を流れるガスの流れ(脇流れ)を制御することによって、発電セル101Mの中央部を流れるガスの流れ(主流れ)を増減させて、発電セル101Mの中央部と端部に供給するガスのばらつきを抑制することができる。この結果、燃料電池100のユニット構造は、発電セル101Mの中央部と端部に対してガスを均等に供給することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
また、かかる燃料電池100のユニット構造によれば、発電セル101Mに供給されるガスが部分的に不足することを防止して、発電性能が低下することを抑制することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
また、かかる燃料電池100のユニット構造によれば、発電セル101Mに供給されるガスが部分的に過剰になることを防止して、未反応で流出されるガスの量を低減することができる。発電セル101Mに供給されるガスの分配ばらつきが小さい程、過剰となるガスの供給量を低減することができる。本実施形態の構成を適用することによって、発電セル101Mに供給されるガスの分配ばらつきは、アノード側において約14%低減し、カソード側において約12%低減した。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
また、かかる燃料電池100のユニット構造によれば、発電セル101Mに対してガスを均等に供給することができることから、高温のガスを供給する場合に、ガスの温度分布のばらつきを抑制することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池100のユニット構造において、複数のガス流入口と複数のガス流出口との数とを異ならせることが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、流入口(例えば、アノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102bおよびアノード側第3流入口102c)と、流出口(例えば、アノード側第1流出口102dおよびアノード側第2流出口102e)を、オフセットして設けることになり、複数の流路を流れるガスの圧力損失を均等にして、複数の流路を流れる各々のガスのばらつきを抑制することができる。すなわち、燃料電池100のユニット構造は、発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に供給するガスの量と、発電セル101Mの中央部(例えば主流路S11と対向する部分)に供給するガスの量を、均等にすることができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池100のユニット構造において、調整部200を複数の発電セル101Mを同一平面上に対向して配置することでこれら複数の発電セル101Mの対向面間に補助流路T11を形成することが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、簡便な構成によって、複数の発電セル101Mの対向面間に補助流路T11を形成することができる。
燃料電池100のユニット構造において、調整部200を少なくとも一方の発電セル101Mの非対向面とセルフレーム101W端部との間に補助流路T12を形成することが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、発電セル101Mの非対向面とセルフレーム101W端部との間の補助流路T12に供給するガスの量を調整して、発電セル101Mの発電に十分に寄与する中央部(例えば主流路S11と対向する部分)にガスを過不足なく供給することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池100のユニット構造において、調整部200は、複数並べて配置した発電セルに流れるガスの量をそれぞれ調整することが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、アクティブエリアを小さく区切って(必要となるアクティブエリアを複数の発電セル101Mを用いて構成)、そのアクティブエリア毎にガスのばらつきを抑制することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池100のユニット構造において、調整部200は、隣り合う発電セルの間を流れるガスの量を調整することが好ましい。
また、燃料電池100のユニット構造において、調整部200は、隣り合う発電セルの少なくとも一側方を流れるガスの量を調整することが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、例えば、発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に供給するガスの量を調整して、発電セル101Mの発電に十分に寄与する発電セル101Mの中央部にガスを過不足なく供給することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の燃料電池は、図19〜図24Bに示す調整部201〜203によってアクティブエリアの領域のガスの流れを制御する。
(調整部201〜203を用いたガスの流れの制御)
図19は、セパレータ102の主流路S11におけるガスの流れと補助流路T11およびT12におけるガスの流れをカソード側から模式的に示す上面図である。図20は、セパレータ102の主流路S11におけるガスの流れと補助流路T11およびT12におけるガスの流れをアノード側から模式的に示す上面図である。
セパレータ102の一対の流路部102Lは、図19および図20に示すように、一対の発電セル101M(不図示)に対向する主流路S11と補助流路T11およびT12を、それぞれ設けている。
図19の一対の流路部102Lの中央に位置する各々の主流路S11は、一対の発電セル101Mの各々の中央部に対向する流路に相当する。
図19の左側の流路部102Lの右端に位置する補助流路T11は、対応する発電セル101Mの端部(右端)に対向する流路であって、アノード側第2流入口102bやカソード側第2流出口102iに相対的に近い流路に相当する。図19の左側の流路部102Lの左端に位置する補助流路T12は、対応する発電セル101Mの端部(左端)に対向する流路であって、アノード側第3流入口102cやカソード側第3流出口102jに相対的に近い流路に相当する。
図19の右側の流路部102Lの右端に位置する補助流路T12は、対応する発電セル101Mの端部(右端)に対向する流路であって、アノード側第1流入口102aやカソード側第1流出口102hに相対的に近い流路に相当する。図19の右側の流路部102Lの左端に位置する補助流路T11は、対応する発電セル101Mの端部(左端)に対向する流路であって、アノード側第2流入口102bやカソード側第2流出口102iに相対的に近い流路に相当する。
図21Aは、第2実施形態の燃料電池に関して、補助流路T11およびT12に設けた調整部201の例1を示す斜視図である。図21Bは、補助流路T11およびT12に設けた調整部201の例1を示す断面図である。図22Aは、補助流路T11およびT12に設けた調整部202の例2を示す斜視図である。図22Bは、補助流路T11およびT12に設けた調整部202の例2を示す断面図である。図23Aは、補助流路T11およびT12に設けた調整部203の例3を示す斜視図である。図23Bは、補助流路T11およびT12に設けた調整部203の例3を示す断面図である。図24Aおよび図24Bは、調整部201〜203を補助流路T11およびT12の特定の部分に設けた構成を模式的に示す上面図である。
調整部201〜203は、例えば図21A〜図23Bに示す構成からなり、複数の流路を流れるガスの量を調整する。調整部201〜203は複数のガス流入口間または複数のガス流出口間に形成される流路部の圧力損失を調整することによって複数の流路間の流れのばらつきを低下させる。
調整部201〜203は、図19等に示すように、流路部102Lの補助流路T11およびT12に設けている。調整部201〜203は、補助流路T11およびT12を流れるガスの量を調整して、主流路S11を流れるガスの量と、補助流路T11およびT12を流れるガスの量を均等にする。
図21Aおよび図21Bに、調整部201の例1を示す。調整部201は、セパレータ102の流路部102Lの補助流路T11およびT12の領域に設けている。調整部201は、補助流路T11およびT12の領域において、アノード側突起102yをガスの流れの方向と直交した方向(長手方向Y)に沿って延長することによって、発電セル101Mのアノード101Tの側の流路の断面積を部分的に減らしている。このようにして、調整部201は、補助流路T11およびT12におけるアノード側の流路の断面積を調整している。調整部201は、アノード側突起102yと発電セル101Mのカソード101Uとの隙間にシール材113を設けることによって、発電セル101Mのカソード101Uの側の流路の断面積を部分的に増減させている。シール材113は、例えば、流路に沿って細長く形成したサーミキュライトからなる。このようにして、調整部201は、補助流路T11およびT12におけるカソード側の流路の断面積を調整している。これらの調整によって、調整部201は、セパレータ102の流路部102Lにおいて、主流路S11を流れるガスの量と、補助流路T11およびT12を流れるガスの量を均等にする。
図22Aおよび図22Bに、調整部202の例2を示す。調整部202は、セパレータ102の流路部102Lの補助流路T11およびT12の領域に設けている。調整部202は、補助流路T11およびT12の領域において、アノード側突起102yを形成せずに平坦部102xを延長した上で、その平坦部102xと発電セル101Mのアノード101Tとの隙間にシール材114を設けることによって、発電セル101Mのアノード101Tの側の流路の断面積を部分的に減らしている。シール材114は、例えば、流路に沿って細長く形成したサーミキュライトからなる。このようにして、調整部202は、補助流路T11およびT12におけるアノード側の流路の断面積を調整している。調整部202は、上記の平坦部102xと発電セル101Mのカソード101Uとの隙間にシール材115を設けることによって、発電セル101Mのカソード101Uの側の流路の断面積を部分的に増減させている。シール材115は、例えば、流路に沿って細長く形成したサーミキュライトからなる。このようにして、調整部202は、補助流路T11およびT12におけるカソード側の流路の断面積を調整している。これらの調整によって、調整部202は、セパレータ102の流路部102Lにおいて、主流路S11を流れるガスの量と、補助流路T11およびT12を流れるガスの量を均等にする。
図23Aおよび図23Bに、調整部203の例3を示す。調整部203は、セパレータ102の流路部102Lの補助流路T11およびT12の領域に設けている。調整部203は、補助流路T11およびT12の領域において、カソード側突起102zを形成せずに平坦部102xを延長した上で、その平坦部102xと発電セル101Mのカソード101Uとの隙間にバネ部材116を設けることによって、発電セル101Mのカソード101Uの側の流路の断面積を部分的に増減させている。バネ部材116は、薄板状の金属からなる。バネ部材116は、平坦な基材116aと、その基材116aから片持ち梁となるように起立させて形成し弾性変形可能な複数の起立片116bによって構成している。調整部203は、バネ部材116の起立片116bの形状および間隔を設定して、カソード側の流路の断面積を調整する。このようにして、調整部203は、補助流路T11およびT12におけるカソード側の流路の断面積を調整している。これらの調整によって、調整部203は、セパレータ102の流路部102Lにおいて、主流路S11を流れるガスの量と、補助流路T11およびT12を流れるガスの量を均等にする。
調整部201〜203は、セパレータ102の補助流路T11およびT12において、ガスの圧力損失が所期の値になるように、設ける範囲を決定する。
図24Aに示すように、調整部201〜203は、セパレータ102の補助流路T11およびT12の全部(上流から下流まで)に設けることができる。このような構成は、セパレータ102の補助流路T11およびT12において、ガスの圧力損失を相対的に大きくする必要が有る場合に適用する。
図24Bに示すように、調整部201〜203は、セパレータ102の補助流路T11およびT12の一部(上流と下流、上流のみ、または下流のみ)に設けることができる。このような構成は、セパレータ102の補助流路T11およびT12において、ガスの圧力損失を相対的に大きくする必要が有る場合に適用する。
以上説明した第2実施形態の作用効果を説明する。
燃料電池100のユニット構造において、調整部201〜203は、補助流路T11およびT12のガスの量を調整する別体の制御機構を備えた。
制御機構は、補助流路T11およびT12におけるガスの圧力損失を増加または減少させるようにしてガスを制御する。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、燃料電池100を構成する別体の部材を用いて、補助流路T11およびT12におけるガスの量を任意に制御することが非常に容易となる。調整部201〜203は、一例であって、様々な形態の制御機構を構成することができる。
燃料電池100のユニット構造において、調整部201〜203を、発電セル101Mのガスの流れに沿った端部に設けることが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、例えば、発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に供給するガスの量を調整して、発電セル101Mの発電に十分に寄与する中央部(例えば主流路S11と対向する部分)にガスを過不足なく供給することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池100のユニット構造において、調整部201〜203は、発電セル101Mのアノード101Tに対向する複数の流路のうち、少なくとも流入口(例えば、アノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102bおよびアノード側第3流入口102c)に相対的に近い一部の流路(補助流路T11およびT12)を流れるガスの圧力損失が、それ以外の流路(主流路S11)を流れるガスの圧力損失よりも大きくなるように構成することが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に供給するガスの量が過剰にならないように調整して、発電セル101Mの中央部(例えば主流路S11と対向する部分)と発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に対してガスを均等に供給することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池100のユニット構造において、調整部201〜203は、少なくとも流入口(例えば、アノード側第1流入口102a、アノード側第2流入口102bおよびアノード側第3流入口102c)に相対的に近い一部の流路(補助流路T11およびT12)の断面積が、それ以外の流路(主流路S11)の断面積よりも小さくなるように構成することが好ましい。
かかる燃料電池100のユニット構造によれば、流路の断面積を調整する非常に簡便な構成によって、発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に供給するガスの量が過剰にならないように調整して、発電セル101Mの中央部(例えば主流路S11と対向する部分)と発電セル101Mの端部(例えば補助流路T11およびT12と対向する部分)に対してガスを均等に供給することができる。したがって、燃料電池100のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態の燃料電池は、図25A〜図25Dに示す調整部401〜404によって、発電セル101Mの領域に相当するアクティブエリアから離れた領域のガスの流れを制御する点において、上述した第2実施形態の燃料電池と相違する。上述した第2実施形態では、図21A〜図23Bに示す調整部201〜203によって、アクティブエリアの領域のガスの流れを制御していた。
図25A〜図25Dに示す調整部401〜404は、セパレータ301の一対の流路部301Lの間に位置する領域(図26Aおよび図26Bに示す補助流路T63〜T93)に、凸状部301s〜304sを設けることによって構成している。すなわち、調整部401〜404は、セパレータ301〜304において発電セル101Mと対向しない部分に設けている。図26Aおよび図26Bに示す補助流路T63〜T93は、発電セル101Mのカソード101Uに対向する複数の流路のうち、少なくとも流入口(例えばカソード側第1流入口およびカソード側第2流入口)に相対的に近い一部の流路に相当する。調整部401〜404は、発電セル101Mが存在するアクティブエリアから離れた領域である図26Aおよび図26Bに示す補助流路T63〜T93において、主にカソードガスCGの流れを制御する。
図25Aに、セパレータ301の補助流路T63に設けた調整部401の例1を示す。調整部401は、セパレータ301の一対の流路部301Lの間に位置する領域(補助流路T63)に形成した凸状部301sによって構成している。凸状部301sは、ガスの流れの方向(短手方向X)に沿った貫通孔を有する矩形状の突起を、ガスの流れの方向と直交した方向(長手方向Y)に沿って半ピッチずつ互い違いにずらしながら、短手方向Xに沿って連ねて形成している。凸状部301sは、ガスの流れの方向と直交した方向(長手方向Y)に沿って一対設けている。凸状部301sは、形状を調整することによって、補助流路T63におけるガスの圧力損失を任意に設定することができる。調整部401は、凸状部301sを、セパレータ301と別体の部材として構成し、セパレータ301の補助流路T63に接合してもよい。
図25Bに、セパレータ302の補助流路T73に設けた調整部402の例2を示す。調整部402は、セパレータ302の一対の流路部302Lの間に位置する領域(補助流路T73)に形成した凸状部302sによって構成している。凸状部302sは、ガスの流れの方向(短手方向X)に沿って長細い長方体形状からなる。凸状部302sは、形状を調整することによって、補助流路T73におけるガスの圧力損失を任意に設定することができる。凸状部302sは、セパレータ302に対してプレス加工等によって成形し易い。調整部402は、凸状部302sを、セパレータ302と別体の部材として構成し、セパレータ302の補助流路T73に接合してもよい。
図25Cに、セパレータ303の補助流路T83に設けた調整部403の例3を示す。調整部403は、セパレータ303の一対の流路部303Lの間に位置する領域(補助流路T83)に形成した凸状部303sによって構成している。凸状部303sは、ガスの流れの方向と直交した方向(長手方向Y)に沿って長細い長方体形状からなる。凸状部303sは、ガスの流れの方向(短手方向X)に沿って一定の間隔で複数設けている。凸状部303sは、個数、間隔および形状を調整することによって、補助流路T83におけるガスの圧力損失を任意に設定することができる。凸状部303sは、セパレータ303が高温になったときに形状を保ちやすい。調整部403は、凸状部303sを、セパレータ303と別体の部材として構成し、セパレータ303の補助流路T83に接合してもよい。
図25Dに、セパレータ304の補助流路T93に設けた調整部404の例4を示す。調整部404は、セパレータ304の一対の流路部304Lの間に位置する領域(補助流路T93)に形成した凸状部304sによって構成している。凸状部304sは、円柱形状からなる。凸状部304sは、ガスの流れの方向(短手方向X)に沿って格子状に複数形成している。凸状部304sは、個数、間隔および形状を調整することによって、補助流路T93におけるガスの圧力損失を任意に設定することができる。凸状部304sは、セパレータ304が高温になったときに高温時に形状を保ちやすい。凸状部304sは、セパレータ304のアノード側とカソード側に異なる構成(個数、間隔および形状)によって形成し易い。調整部404は、凸状部304sを、セパレータ304と別体の部材として構成し、セパレータ304の補助流路T93に接合してもよい。
図25A〜図25Dに示す調整部401〜404は、セパレータ301〜304の補助流路T63、T73、T83およびT93において、ガスの圧力損失が所期の値になるように、設ける範囲を決定する。
図26Aに示すように、調整部401〜404は、セパレータ301〜304の補助流路T63、T73、T83およびT93の全部(上流から下流まで)に設けることができる。このような構成は、セパレータ301〜304の補助流路T63、T73、T83およびT93において、ガスの圧力損失を相対的に大きくする必要が有る場合に適用する。
図26Bに示すように、調整部401〜404は、セパレータ301〜304の補助流路T63、T73、T83およびT93の一部(上流と下流、上流のみ、または下流のみ)に設けることができる。このような構成は、セパレータ301〜304の補助流路T63、T73、T83およびT93において、ガスの圧力損失を相対的に小さくする必要が有る場合に適用する。
以上説明した第3実施形態の作用効果を説明する。
燃料電池のユニット構造は、例えばセパレータ301において、発電セル101Mのカソード101Uに対向する複数の流路のうち、少なくとも流入口(例えばカソード側第1流入口およびカソード側第2流入口)に相対的に近い一部の流路(補助流路T63)を流れるガスの圧力損失が、それ以外の流路(主流路)を流れるガスの圧力損失よりも大きい場合、例えば調整部401を、次のように構成することが好ましい。すなわち、調整部401は、少なくとも流入口(例えばカソード側第1流入口およびカソード側第2流入口)に相対的に近い一部の流路(補助流路T63)の断面積を、それ以外の流路(主流路)を流れるガスの断面積よりも大きくする。
かかる燃料電池のユニット構造によれば、発電セル101Mのカソード101Uの端部に供給するカソードガスCGの量を、発電セル101Mのカソード101Uの中央部に供給するカソードガスCGの量を均等にすることができる。このため、燃料電池のユニット構造は、発電セル101Mのカソード101Uに供給するカソードガスCGを加熱して急速起動(暖気)するときに、発電セル101Mのカソード101Uの端部におけるカソードガスCGの温度勾配を緩和する(過度な熱応力の発生を防ぐ)ことができる。したがって、燃料電池のユニット構造は、暖気に伴う構成部材への熱応力の影響を抑制しつつ効率良く急速起動(暖気)するとともに、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池のユニット構造は、例えばセパレータ301において、発電セル101Mのカソード101Uに対向する複数の流路のうち、少なくとも流入口(例えばカソード側第1流入口およびカソード側第2流入口)に相対的に近い一部の流路(補助流路T63)を流れるガスの圧力損失が、それ以外の流路(主流路)を流れるガスの圧力損失よりも小さい場合、例えば調整部401を、次のように構成することが好ましい。すなわち、調整部401は、少なくとも流入口(例えばカソード側第1流入口およびカソード側第2流入口)に相対的に近い一部の流路(補助流路T63)の圧力損失を、それ以外の流路(主流路)を流れるガスの圧力損失よりも大きくする。
かかる燃料電池のユニット構造によれば、発電セル101Mのカソード101Uの端部に供給するカソードガスCGの量と、発電セル101Mのカソード101Uの中央部に供給するカソードガスCGの量を均等にすることができる。したがって、燃料電池のユニット構造は、暖気に伴う構成部材への熱応力の影響を抑制しつつ効率良く急速起動(暖気)するとともに、発電効率を十分に向上させることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態の燃料電池のユニット構造は、セパレータに設けた流路部と供給部(流入口および流出口)の配置を、上述した第1および第3実施形態の燃料電池と異ならせている。
図27Aに、セパレータ501に設けた流路部501Lと供給部(流入口および流出口)との配置例1を示す。図27Aの構成では、左右に並んだ2組の流路部501L(それぞれ図示せぬ発電セル101Mに対向)の上流側に、4つのアノード側流入口501rと3つのカソード側流入口501tを交互に設けている。また、左右に並んだ2組の流路部501Lの下流側に、4つのカソード側流出口501uと3つのアノード側流出口501sを交互に設けている。セパレータ501は、アノード側流出口501sの数を奇数として、アノード側流入口501rの数を偶数として構成している。セパレータ501において、一の発電セル101Mのアノード101Tに対応するアノード側流入口501rおよびアノード側流出口501sと、他の発電セル101Mのカソード101Uに対応するカソード側流入口501tおよびカソード側流出口501uとを、流路部501Lを隔てて交互に隣り合わせて設けている。
図27Bに、セパレータ502に設けた流路部502Lと供給部(流入口および流出口)との配置例2を示す。図27Bの構成では、左右に並んだ3組の流路部502L(それぞれ図示せぬ発電セル101Mに対向)の上流側に、4つのアノード側流入口502rと3つのカソード側流入口502tを交互に設けている。また、左右に並んだ3組の流路部502Lの下流側に、4つのカソード側流出口502uと3つのアノード側流出口502sを交互に設けている。セパレータ502は、セパレータ501と外形が同一である。セパレータ502の流路部502Lは、セパレータ501の流路部501Lと比較して、長手方向Yの幅を短縮している。
以上説明した第4実施形態の作用効果を説明する。
燃料電池のユニット構造において、例えばセパレータ501に設けた供給部は、例えばアノード側において、アノード側流入口501rとアノード側流出口501sの一方(アノード側流出口501s)の数を奇数として、アノード側流入口501rとアノード側流出口501sの他方(アノード側流入口501r)の数を偶数とすることが好ましい。
かかる燃料電池のユニット構造によれば、例えばアノード側流入口501rとアノード側流出口501sを流路部501Lを隔てて交互に設けることによって、複数の流路を流れるガスの圧力損失を均等にして、複数の流路を流れる各々のガスのばらつきを抑制することができる。すなわち、燃料電池のユニット構造は、発電セル101Mの端部に供給するガスの量と、発電セル101Mの中央部に供給するガスの量を、均等にすることができる。したがって、燃料電池のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
燃料電池のユニット構造において、例えばセパレータ501では、一の発電セル101Mのアノード101Tに対応する供給部のアノード側流入口501rおよびアノード側流出口501sと、他の発電セル101Mのカソード101Uに対応する供給部のカソード側流入口501tおよびカソード側流出口501uとを、交互に隣り合わせることが好ましい。
かかる燃料電池のユニット構造によれば、アノード側とカソード側の流入口および流出口を交互に設けることによって、複数の流路を流れるガスの圧力損失を均等にして、複数の流路を流れる各々のガスのばらつきを抑制することができる。すなわち、燃料電池のユニット構造は、発電セル101Mの端部に供給するガスの量と、発電セル101Mの中央部に供給するガスの量を、均等にすることができる。したがって、燃料電池のユニット構造は、発電効率を十分に向上させることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態の燃料電池のユニット構造は、セパレータに設けた流路部と供給部(流入口および流出口)の配置を、上述した第1〜第4実施形態の燃料電池と異ならせている。
調整部201〜203は、図28A〜図28Dに示すように、流路部と供給部(流入口と流出口)を様々な配置によって構成したセパレータに適用することができる。
図28Aに、セパレータ602における流路部602Lと供給部(流入口602pと流出口602q)の配置例1を示す。流入口602pと流出口602qは、流路部602Lの流路を延長した領域に含まれ、流路部602Lの上流側と下流側の対角線上に設けている。図28Aに、配置例1における主流路S21と補助流路T21およびT22を示す。調整部は、複数の流路のうち、流入口602pおよび流出口602qに相対的に近い一部の流路(補助流路T21およびT22)を流れるガスの量を調整して、各々の流路を流れるガスのばらつきを抑制する。
図28Bに、セパレータ612における流路部612Lと供給部(流入口612pと流出口612q)の配置例2を示す。流入口612pと流出口612qは、流路部612Lの流路を延長した領域から離間した状態で、流路部612Lの上流側と下流側の対角線上に設けている。図28Bに、配置例2における主流路S31と補助流路T31およびT32を示す。調整部は、複数の流路のうち、流入口612pおよび流出口612qに相対的に近い一部の流路(補助流路T31およびT32)を流れるガスの量を調整して、各々の流路を流れるガスのばらつきを抑制する。
図28Cに、セパレータ622における流路部622Lと供給部(一対の流入口622pと流出口622q)の配置例3を示す。一対の流入口622pは、流路部622Lの流路を延長した領域に含まれ、流路部622Lの上流側の両端に設けている。流出口622qは、流路部622Lにおける流路の延長した領域に含まれ、流路部622Lの下流側の中央に設けている。図28Cに、配置例3における主流路S41と補助流路T41およびT42を示す。調整部は、複数の流路のうち、一対の流入口622pに相対的に近い一部の流路(補助流路T41およびT42)を流れるガスの量を調整して、各々の流路を流れるガスのばらつきを抑制する。
図28Dに、セパレータ632に設ける流路部632Lと供給部(一対の流入口632pと流出口632q)の配置例4を示す。一対の流入口632pは、流路部632Lの流路の延長した領域から離間した状態で、流路部632Lの上流側の両端に設けている。流出口632qは、流路部632Lの流路の延長した領域に含まれ、流路部632Lの下流側の中央に設けている。図28Dに、配置例4における主流路S51と補助流路T51およびT52を示す。調整部は、複数の流路のうち、一対の流入口632pに相対的に近い一部の流路(補助流路T51およびT52)を流れるガスの量を調整して、各々の流路を流れるガスのばらつきを抑制する。
以上説明した第5実施形態の燃料電池のユニット構造は、図28A、図28B、図28Cおよび図28Dに示すような様々な構成に適用可能である。
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
第1〜第5実施形態において、燃料電池のユニット構造は、固体酸化物形燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)に適用するユニット構造として説明したが、固体高分子膜形燃料電池(PEMFC、Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC、Phosphoric Acid Fuel Cell)または溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC、Molten Carbonate Fuel Cell)に適用するユニット構造として構成してもよい。すなわち、燃料電池のユニット構造は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に加えて、固体高分子膜形燃料電池(PEMFC)、リン酸形燃料電池(PAFC)または溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)のユニット構造に適用することができる。
第1〜第5実施形態において、流路部に設けた複数の流路は、各々の流路を凹凸形状によって物理的に仕切った複数の空間として説明したが、各々の流路を物理的に仕切らず1つの空間として構成してもよい。
第1〜第5実施形態において、カソード側の供給部は、燃料電池の中で開放している構成として説明したが、アノード側の供給部のように構成してもよい。
燃料電池のユニット構造は、第1〜第5実施形態の仕様を適宜組み合わせて構成してもよい。