JP6869689B2 - 高濃度にドープされたシリコンからなる時計用のヒゲゼンマイ - Google Patents

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Description

本発明は、時計の振動子用の渦巻ばね、および振動子、およびそのような渦巻ばねを含む時計用のムーブメント、および時計に関する。最後に、本発明はそのようなヒゲゼンマイを製造する方法に関する。
機械式携帯時計の制御は、一般的には、テンプと呼ばれるはずみ車、および渦巻ばね、またはより簡単にはヒゲゼンマイと呼ばれる渦巻の形状に巻き付けられたばねを含む、少なくとも一つの機械式振動子に基づく。ヒゲゼンマイは、その一端が天真に固定され、他端が時計のコックと呼ばれる受などの固定部品に固定され、その上で天真が旋回する。最新式の機械式携帯時計のムーブメントに備えられた渦巻ばねは、矩形の断面形状を有する柔軟な金属製帯板またはシリコン帯板からなり、その大部分はアルキメデスの螺線の形で自身の周りに巻かれている。ヒゲゼンマイはその平衡位置(または中立位置)の周囲を振動する。テンプが平衡位置を離れると、ヒゲゼンマイをアーム支持する。これによりテンプを平衡位置へと戻す復元トルクが生じる。ある程度の速度と、それに基づく運動エネルギーが発生しているため、テンプは中立位置を超えて、ゼンマイの逆トルクによって止まるまで移動し続け、その後、反対方向に回転移動する。このようにして、ヒゲゼンマイはテンプの振動周期を制御する。
機械式携帯時計の精度は、テンプとヒゲゼンマイによって構成される振動子の固有振動の安定性に依存する。温度の変化に伴い、ヒゲゼンマイおよびテンプの熱膨張や、ヒゲゼンマイのヤング係数の変化によって、振動アセンブリの固有振動数も変化し、携帯時計の精度が損なわれる。
従来から、温度変化に伴う振動子の振動の変化を減少させたり抑えたりするための様々な解決法が示されてきた。一つの解決法は、振動子の固有振動数Fが、テンプのヒゲゼンマイによって生じる復元トルク定数Cとテンプの慣性モーメントIの間の下記の関係に依存することを考慮に入れる:
F = √(C/l)/2π
温度に関連した上記の数式から、我々は下記の数式に表す振動子の固有振動数の相対的熱的変動を導き出した:
(1/F)dF/dT = [(1/E)dE/dT + 3αs - 2αb]/2
ここで、Eはヒゲゼンマイのヤング率を表し、
(1/F)dF/dTは振動子の熱係数を表し、単に頭文字をとってTCとも記され、
(1/E)dE/dTは振動子のヒゲゼンマイのヤング率を表し、単に頭文字をとってTCYとも記され、
αおよびαはそれぞれ、振動子のヒゲゼンマイとテンプの熱膨張係数を表す。
従来から検討されてきた様々な解決方法は、この目的のために採用されたヒゲゼンマイのTCYを選択することにより、振動子の熱係数TCの値を無効にする目的の達成を試みる。例えばシリコンなどの異方性材料の場合、熱係数は材料にかかるストレスの結晶方向によって異なり、そのためヒゲゼンマイの長さにわたって異なる。同じく、例えば酸化シリコンなどの不均一材料の場合、熱係数は帯板の断面内で異なる。当業者にとってはなじみのある同等のまたは見かけ上のTCYを、異方性およびまたは不均一材料からなるヒゲゼンマイについて検討する。従来から知られる解決法は、この目的のために採用されたヒゲゼンマイの同等のまたは見かけ上のTCYを選択することにより、振動子の熱係数TCの値を無効にしようと試みる。
以下の説明において、「TCY」という表現は、特に「同等なまたは見かけ上のTCY」を示すことを意図している。
例として、特許文献1は、有利なレベルのHfを含む特定の常磁性Nb−Hf合金からなるヒゲゼンマイを使用することを提案している。しかしながら、選択された合金は比較的製造するのが難しい。
特許文献2は、酸化層を含むシリコンからなるヒゲゼンマイに基づく別の解決法を提案する。この方法は、高い厚みを有する酸化層を必要とする。その製造には、ヒゲゼンマイを非常に高い温度で相当時間処理せねばならないという欠点がある。
欧州特許出願公開第1258786号 欧州特許出願公開第1422436号
本発明の目的は、従来例にみられる欠点のすべてまたは一部を解消した、温度から独立または半独立して振動する振動子を得るため、振動子の温度補償を可能とする渦巻ばねに関する解決法を提供することにある。
この目的のため、本発明は、時計の振動子用のヒゲゼンマイであって、振動子の温度補償を可能とするために、1018at/cm以上の高濃度にドープされたシリコンを備える、特に少なくともコイルまたはコイルの一部である、構成部品を含むヒゲゼンマイに関する。
前記構成部品、特にコイルまたはコイルの一部は、特に前記コイルまたはコイルの一部の長さにわたり局所的に異なる断面を有してもよい。この変化は、厚みおよびまたは高さの変化であってよい。
代わりの、または追加の特徴として、構成部品は、特に二酸化ケイ素SiOからなる外側の酸化層を含んでもよい。
本発明は、特許請求の範囲により、さらに詳細に定義される。
本発明の目的、特徴および優位点は、実施例の詳細な説明の部分で詳しく説明される、本発明の範囲を制限することを意図しない実施例および添付の図面によって明らかにされる。
図1は、本発明の一実施例にかかる時計用のヒゲゼンマイを示す概略図である。 図2は、本発明の実施例にかかるヒゲゼンマイの、付着点に基づいて定義される角度に依存する相対厚みの展開を示す図である。 図3は、本発明の実施例の変形例によるヒゲゼンマイの、付着点に基づいて定義される角度に依存する相対厚みの展開を示す図である。 図4は、本発明の実施例の変形例を作成するために、図3に示すヒゲゼンマイの断面形状の変化と一致するヒゲゼンマイの酸化層の厚みを有し、ドーピング濃度に依存する最小厚みと最大厚み間で異なる割合を示す図である。
発明の詳細な説明
本発明の一実施例によると、時計の振動子はテンプ/ヒゲゼンマイアセンブリを有し、ヒゲゼンマイは矩形断面を有する可撓性を有する帯板であって、自身の周りにアルキメデスの螺線形状に巻き付いている。テンプは、既知の方法により、銅/ベリリウム合金から形成される。変形例として、テンプを形成するために他の材料を使用することができる。同じく、ヒゲゼンマイは他の基本形状、例えば非矩形断面、を有することもできる。
本発明の目的は、テンプ/ヒゲゼンマイアセンブリの熱係数(TC)を可能な限りゼロに近づける解決法を提案することであり、そのことにより、揺動を温度とは独立または半独立させることができる。この目的のために、ヒゲゼンマイの材料とテンプの材料を組み合わせて、よい結果を得ることが必要となる。例として、CuBe2からなるテンプを使用する場合、振動子を温度補償するためには、ヒゲゼンマイは26ppm/°C台のヤング率(TCY)熱係数を有しなければならない。
本発明の本質的な要素によると、実施例のヒゲゼンマイはシリコンからなり、高濃度にドープされたシリコンからなる少なくとも一つのコイルまたはコイルの一部を含む。ここで、「高濃度にドープされた」という表現は、シリコンに1018at/cm以上、または1019at/cm以上、または1020at/cm以上のイオン密度を有するドープを行うことを意味すると理解される。このシリコンに対するドーピングは、1電子を加える(p型ドーピング、または「p型にドープされたシリコン」)または1電子を取り去る(n型ドーピング、または「n型にドープされたシリコン」)要素を使用することによって得られる。例えばチタニウムやチタニウム合金など、テンプを形成するために使用された材料によっては、高濃度にドープされたシリコンのみで、十分に振動子の温度補償を実現することができる。例として、アンチモンSb、ヒ素As、リンPのうち、少なくとも一つの要素を使用することにより、n型ドーピングを得ることができる。例として、ホウ素Bを使用することにより、P型ドーピングを得ることができる。
高濃度にドープされたシリコンからなる構成部品は、有利にはヒゲゼンマイの長さ全体を占める。言い換えれば、ヒゲゼンマイにおけるシリコン製のすべてのコイルは、有利には高濃度にドープされている。一実施例によると、コイルまたはコイルの一部は、その断面全体が高濃度にドープされる。言い換えれば、高濃度にドープされたシリコンからなる構成部品は、コイルまたはコイルの一部の断面すべてを占め、つまりドーピングは広範囲に及ぶ。一変形例によると、高濃度にドープされたシリコンからなる構成部品は、コイルもしくはコイルの一部の断面の表層のみ、特にコイルまたはコイルの一部の面のみを占める。さらに、下記の実施例において、有利にはドーピングはヒゲゼンマイのすべてのコイルにおいて、またはヒゲゼンマイ全体において、およびまたはヒゲゼンマイの断面全体において、均一である。変形例として、ドーピングは不均一であってよく、ヒゲゼンマイのコイルまたはコイルの一部、およびまたはコイルまたはコイルの一部の断面内で変化する。
しかしながら、温度補償は結晶方位に依存することに注意が必要である。言い換えるならば、ヒゲゼンマイのシリコンをドーピングすることにより、温度補償特性に異方性が生じる。
よって、有利な実施例によると、上述した異方性に対応するために、渦巻ばねの長さにわたり、断面形状に変化をつける。言い換えるなら、ヒゲゼンマイは、高濃度にドープされたシリコンの結晶方位に対応して、断面に変化をつける。
第一実施例は、このように、ヒゲゼンマイのコイルの厚みを調整することに基づいており、言い換えるなら、ヒゲゼンマイの平面に平行な面に配置されるコイルの側面の寸法を変化させることに基づいており、より具体的には、ヒゲゼンマイの平面に平行な平面においてヒゲゼンマイのニュートラルファイバに局所的に垂直なコイルの寸法を変化させることに基づいている。このような厚みの調整は、ヒゲゼンマイの第一の領域を曲げることを容易にするために、コイルの厚み調整を行う。上述したヒゲゼンマイの第一の領域の局所的なTCYはヒゲゼンマイの第二の領域の局所的なTCYよりも大きい。コイルの厚みの調整、より詳細にはヒゲゼンマイの第一領域におけるコイルの厚みを減らすことにより、振動子の温度補償を最適化することができる。一般的な意見として、厚みの調整は帯板の剛性の規則性に影響を与え、ひいては一定の温度における機械的性能に影響を与える。しかしながら、この影響は温度に依存するヒゲゼンマイのTCYの変化による影響に比較すると限定的であると考えられる。さらに、ヒゲゼンマイのコイル断面を変化させることにより、上述の影響を補償することができる。
図1は、本発明の一実施例にかかる平衡したまたは静止状態の一定ピッチを有するヒゲゼンマイ1は9ターンからなり、図2に示される曲線によってあらわされるコイル厚みの変化を有する。図2は、中心がヒゲゼンマイの中心にあり、基準点が極座標である場合の、角度(α)におけるコイルの厚み(e/e0)の相対的変化を示す。各コイルは所定の角度範囲に延びる領域において厚みの減少2を有し、その角度範囲はヒゲゼンマイのシリコンのドーピングおよび高濃度にドープされたヒゲゼンマイの酸化があるかどうかによって異なる。上述の角度範囲は2度から80度の間であってよく、特に5度から40度であってよく、さらに5度から20度の間であってよい。特定の実施例において、ヒゲゼンマイの平面は単結晶シリコンの平面{011}と実質的に一致する。この特定の実施例において、ヒゲゼンマイの第一の領域、特に厚みの減少2は、単結晶シリコンの<100>方向に沿ったニュートラルファイバに対する接線の位置と実質的に一致する。この特定の実施例において、厚みの減少2は90°間隔でヒゲゼンマイのコイルに沿って周期的に配置されてもよい。ヒゲゼンマイの平面が単結晶シリコンの平面{001}と実質的に一致しない別の実施例において、厚みの減少は180度間隔でヒゲゼンマイのコイルに沿って周期的に配置される。厚みの減少範囲の外では、厚みは実質的に一定であってもなくてもよい。厚みの減少、言い換えるならコイルの寸法の局所的変化は、同一であってもなくてもよい。厚みの減少の形状は異なっていてもいなくてもよい。つまり、コイルの寸法の局所的変化や厚みの減少の形状が異なっていたとしても、厚みの減少は所定の間隔をもって周期的に配置されている。このような形状を有するヒゲゼンマイは、どのような厚みやピッチを有していても、良好な熱性能を維持することができ、振動子における最高の時計性能の探求によって設定された基準に基づいてこれらのパラメータを決定することができる。
図3は、45度以上の線形プロファイルを示すコイルの相対厚み(e/e0)の周期的展開の変形例を示す。この変形例において、各コイルは45度、135度、225度および315度の角度において最小厚み2を示し、0度、90度、180度および270度の角度において、最大厚み3を示す。0度の角度はヒゲゼンマイの下端に対応する。これらの最大厚み3と最小厚み2の間において、ヒゲゼンマイは角度に対して線状に変化する厚みを有する。本実施例において、厚みの展開は周期的であって各コイルにおいて同一である。
これら二つの実施例において、厚みの減少は最大厚みに対して5%から90%の範囲であってよく、特に最大厚みに対して10%から40%であってよい。
変形例によると、ヒゲゼンマイのコイルの断面の変化は、コイルの高さ、つまりヒゲゼンマイの平面に垂直な寸法を変更することにより、実行することができる。この変更は例えば、グレーフォトリソグラフィにより得ることができ、同様な方法でヒゲゼンマイの第一の領域を曲げやすくするという同じ目的を有する。
当然、コイルの形状およびまたは断面寸法の変化に基づく、別の実施例も想定することができる。例えば、前述した二つの実施例を組み合わせることにより、コイルの厚み及び高さを変化させることができる。このように構造を変化させることにより、特に正の熱係数を有する所望の領域において、ヒゲゼンマイの曲げを容易にすることができる。有利には、極座標に基づく基準点における角度に基づくヒゲゼンマイの断面の変化は、周期的である。特に、該周期は90度と180度の間であってよい。さらに、ヒゲゼンマイの熱性質を最適化するための上述した断面の変化は、ヒゲゼンマイの時計性能を最適化するために採用される、一般的には周期的でない、さらなる断面の変化と組み合わせることが可能である。
一般的な意見として、強化されるべきヒゲゼンマイの領域は、理論的計算およびまたは実験に基づいて決定してよい。
さらに、より高濃度のドーピングにより、さらに大きな温度補償効果を得ることができる。加えて、より高濃度のドーピングを、ヒゲゼンマイの特定の領域、特に前述した所望の領域に実施することが可能である。また、変形例として、もしくは前述の実施例に加えて、ヒゲゼンマイの表面に最も近い領域に対してより高濃度のドーピングを行うことも可能である。
このドーピングの変化は、ヒゲゼンマイを製造した後に、TCYを「微調整」するために、イオン拡散またはイオン注入を遡及的に行うことによって実施することもできる。当然、前述した各実施例において説明したさまざまな変形例は組み合わせ可能である。
非常に高濃度にドープされたシリコンを使用することにより、ヒゲゼンマイの断面形状を変化させるだけで良好な結果を得ることが出来ることが分かった。また、僅かに低めの濃度にドープされたシリコンを使用した場合と同等な結果を、前述した各実施例に説明した特徴的な構造に加えてシリコンを軽く酸化させることによって得ることができる。言い換えると、高濃度にドープされたシリコンを酸化させることにより、同程度のシリコンドーピングによる温度補償の性能を向上させ、またはコイルの厚み調整の程度を軽減させることができる。
図4にこの効果を示す。4本の直線11、12、13および14はそれぞれ4つのヒゲゼンマイを表し、各ヒゲゼンマイはヒゲゼンマイ断面の周期的な調整による異なる断面の変化を有しており、その最小厚みと最大厚みの関係Rはそれぞれ1、0.55、0.33および0.10である。これら4つのヒゲゼンマイは、振動子を形成するために、CuBe2からなる同じテンプと組み合わされる。各ヒゲゼンマイに関して、ゼロ熱係数を得るために必要な酸化厚み(C)を、イオン濃度の対数(log di)の関数として表す。全てのケースにおいて、1018at/cm−3かそれより低いイオン濃度のドーピングを行う場合に必要となる酸化層は3μm台である。全てのケースにおいて、1018at/cm−3より高いイオン密度を有する非常に高い濃度のドーピングを行う場合に必要となる酸化層はより薄く、または酸化層を必要としない。さらに、熱膨張係数が実質的により低い材料から形成されるテンプに関しては、有利には酸化層は無くてよい。一般的な意見として、薄い厚みを有する酸化層を有する実施例や、厚みがゼロの例についても、本発明の範囲に含まれており、たとえ熱係数が少し良くなかったとしても、より簡易に製造できるという利点によって欠点を補うことが出来る。加えて、ヒゲゼンマイの厚み調整(関係Rの大きさ)が際立っていない場合、酸化層なしにゼロ熱係数を得るためには、より高濃度なシリコンのドーピングが必要となる。一般的な意見として、同一の関係Rを保ちつつ、図2および3に示す例のように厚み調整の形状のみを変えた場合には、上述の曲線は変化しない。
つまり、本発明は高濃度にドープされたシリコンからなる構成部品を有し、外側の酸化層(又は表面の酸化層)を有するヒゲゼンマイに関する。具体的には、前述の各実施例に酸化層を加えることにより、この実施例を得ることができる。全てのケースにおいて、すべての実施例に基づく時計のヒゲゼンマイを一般化すると、酸化層は薄い厚みを有し、最大厚みは5μm以下であり、または3μm以下であり、または2.5μm以下であり、または2μm以下であり、または1.5μm以下である。
本発明は更に、前述したヒゲゼンマイを製造する方法に関する。この方法は具体的には、高濃度にドープされたシリコンからなるウェハから、例えば深反応性イオンエッチング法(深反応性イオンエッチング:DRIE)により、ヒゲゼンマイをカットするステップを含み、これによりヒゲゼンマイを形成するコイルの断面を変化させるようなカットを行う。より詳細には、一実施例によると、マスクの形状を選択することにより、カットを行う際に厚みの異なるコイルを形成することができる。別の実施例は、例えばグレーフォトリソグラフィ技術により異なるマスクを利用して複数のエッチングを行うことにより、または当業者に利用される他の手段により、高さが変化するコイルを形成することからなる。
一般的な意見として、ウェハは、成長の過程でシリコンに高濃度ドーピングを施すステップにより得られた、高濃度にドープされたシリコンのインゴットから形成される。
変形例として、製造方法はシリコンウェハからヒゲゼンマイをカットするステップ、およびその後に、特にイオン拡散またはイオン注入によりカットしたシリコンにドーピングを施すステップを有し、それにより非常に高濃度にドープされたシリコンを含むヒゲゼンマイを得る。この実施例において、カットの後に(補足の)ドーピングステップを追加する。シリコンウェハは最初に高濃度にドープされてもよいし、されていなくてもよい。本実施例により、表面近くの領域であって、振動による変形の過程においてより高いストレスのかかる領域を、より高濃度にドープすることができる。一般的な意見として、遡及的なドーピングを行うことにより、より高い濃度のドーピングを得ることが可能となり、シリコンの酸化に頼る必要がなくなり、または必要な酸化層を減らすことができる。
この製造方法はさらにシリコン製のウェハをカットするのに起因する柔軟性による優位性を有し、それにより非常に多様な形状を得ることを可能とし、特に制限の非常に少ない方法でヒゲゼンマイのコイルを形成する帯板の厚みを変化させることを可能とする。
ウェハは好ましくは<100>方向に配向された単結晶シリコンからなる。
実施例の一変形例によると、製造方法は、追加の酸化ステップを含む。すでに説明した通り、すべての実施例において、利用される酸化層は薄い厚さを有し、そのことにより低い酸化温度での製造が可能となり、使用される炉の早期摩耗を防ぐことができる。加えて、酸化層の厚さが薄くてよいため、厚い酸化層を形成するのに使用される水蒸気の代わりに、前駆物質として酸素を利用して製造することが可能となり、成長時間を最小限にとどめつつ高品質の酸化層を形成することが可能となる。
本発明はさらに、上述した種類のヒゲゼンマイを有する、時計の振動子、時計のムーブメント、および時計、例えば携帯時計や腕時計に関する。
1 ヒゲゼンマイ
2 最小厚み
3 最大厚み

Claims (18)

  1. 時計の振動子用のヒゲゼンマイであって、振動子の温度補償を可能とするために、1018at/cm以上のイオン密度を有する高濃度にドープされたシリコンを備える、少なくともコイルまたはコイルの一部である構成部品を含む、ヒゲゼンマイ。
  2. 前記構成部品は、1019at/cm上のイオン密度を有する高濃度にドープされたシリコンを含む、請求項1に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  3. 前記構成部品は、前記構成部品の長さにわたり局所的に異なる断面形状を含む、請求項1または2に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  4. 前記断面形状の変化は周期的である、請求項3に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  5. 前記断面形状の変化は、前記ヒゲゼンマイのコイルまたはコイルの一部の厚みおよびまたは高さの減少によって実現される、請求項3または4に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  6. 前記ヒゲゼンマイのコイルまたはコイルの一部の厚みおよびまたは高さ最小値となる位置は、ニュートラルファイバに対する接線が前記ヒゲゼンマイを構成する単結晶の<100>方向と実質的に一直線上の位置と一致する、請求項5に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  7. 前記構成部品は、その厚み全体およびまたはその高さ全体、またはその表面の層のみが、高濃度にドープされたシリコンからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  8. 側の酸化層を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  9. 前記外側の酸化層は前記構成部品を覆うものであり、前記構成部品はその長さにわたり局所的に異なる断面形状を有する、請求項8に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  10. 5μm以下の厚みを有する外側の酸化層を含む、請求項8または9に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  11. 1018at/cm以上のイオン密度を有する高濃度にドープされたシリコンからなり、外側の酸化層を含む、可変断面をその長さ全体にわたって有する、請求項8から10のいずれか一項に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  12. 高濃度にドープされたシリコンからなる前記構成部品は、下記の数式:
    TCY+3α−2α
    ここでTCYはヤング率の熱係数であり、
    αは前記ヒゲゼンマイの熱膨張係数であり、
    αは前記ヒゲゼンマイと相互作用するよう意図されたテンプの熱膨張係数である、
    を無効または実質的に無効にすることを可能とする性質を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の時計の振動子用のヒゲゼンマイ。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のヒゲゼンマイを含む、時計の振動子。
  14. 請求項1から12のいずれか一項に記載のヒゲゼンマイを含む、時計。
  15. 前記シリコンを高濃度にドープするステップと、高濃度にドープされたシリコンからなるウェハを製造するステップと、次に、前記ウェハをカットすることにより高濃度にドープされたシリコンからなるヒゲゼンマイを得るステップからなる、請求項1から12のいずれか一項に記載のヒゲゼンマイを製造する方法。
  16. ヒゲゼンマイを形成するためにシリコンからなるウェハをカットするステップと、次に、カット後に前記シリコンを高濃度にドープすることにより高濃度にドープされたシリコンからなるヒゲゼンマイを得るステップからなる、請求項1から12のいずれか一項に記載のヒゲゼンマイを製造する方法。
  17. −前記ヒゲゼンマイの厚みを調整する方法で前記ヒゲゼンマイをカットするステップと;およびまたは
    −前記ヒゲゼンマイの少なくとも一つのコイルの前記高さに変化をつけるように前記ヒゲゼンマイをさらにカットするステップ
    の両方または一部を含む、請求項15または16に記載のヒゲゼンマイを製造する方法。
  18. 前記ヒゲゼンマイの前記シリコンの少なくとも一部を酸化するステップを含む、請求項15から17のいずれか一項に記載のヒゲゼンマイを製造する方法。
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