JP3222608U - 熱補償振動体用の角度戻しばね - Google Patents

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Abstract

【課題】角度戻しばねを提供すること。【解決手段】この角度戻しばね10は、はずみ車1との組み合わせにより、時計の振動体を形成するための角度戻しばねであり、時計の前記振動体を熱補償できるように、温度の関数として角度剛性Ciの変動が異なる、少なくとも2つの別個の部分の配置を含む。【選択図】図1

Description

本考案は、時計の振動体用の角度戻しばね、ならびに、かかる角度戻しばね、特にヒゲゼンマイを含む振動体、時計ムーブメント、および時計それ自体に関する。最後に、本考案は、かかるヒゲゼンマイの製造方法にも関する。
機械式時計の調整は、テンプと呼ばれるはずみ車と、ヒゲゼンマイ、またはより簡単にヒゲと呼ばれる渦巻き形状に巻かれたばねとを一般に含む少なくとも1つの機械式振動体に依拠する。ヒゲゼンマイは、一端が天真に、また他端が、天真が旋回するテンプ受と呼ばれる受のような時計の固定部に固定され得る。従来技術の機械式時計のムーブメントを備えるヒゲゼンマイは、好ましくは長方形断面の弾性金属ブレード、またはシリコンブレードの形状を呈し、その大部分は、それ自体にアルキメデスの螺旋状に巻き付けられる。テンプ−ヒゲゼンマイは、その均衡位置(または死点)の周りを振動する。テンプがこの位置を離れる時、ヒゲゼンマイが作動状態になる。このことは、テンプに作用してテンプをその均衡位置に戻そうとする傾向がある復元トルクを生み出す。それが一定の速度、したがって運動エネルギーを獲得した時、その死点を超えて、ついにはヒゲゼンマイの逆トルクがそれを停止させ、反対方向に回転せざるを得なくなる。このようにして、ヒゲゼンマイは、テンプの振動周期を調整する。
機械式時計の精度は、テンプおよびヒゲゼンマイによって形成される振動体の振動の規則性によって決まる。温度が変動する時、ヒゲゼンマイのヤング係数Eの変動、ならびにヒゲゼンマイおよびテンプの熱膨張により、この振動体の特性が変化し、それによって腕時計の精度が低下する。
温度による振動体の動作の変動を減少させ、さらには取り除こうとする従来技術の解決策が存在する。ある手法では、かかる振動体の固有振動数fが、ヒゲゼンマイによってテンプに対して及ぼされる、ヒゲゼンマイの角度剛性に対応する復元トルクの定数Cと、テンプの、より一般的には慣性Iと呼ばれる慣性モーメントIとの間の比率により、次の関係式:
によって決まると考えられている。
温度に関して、前式を微分して、次式が得られる:
(式中、Eは振動体のヒゲゼンマイのヤング係数であり、
は、単に頭字語CTとも名付けられた、振動体の熱係数であり、
は、頭字語CTEとも呼ばれる、振動体のヒゲゼンマイのヤング係数の熱係数であり、
αおよびαは、それぞれ振動体のヒゲゼンマイおよびテンプの熱膨張率である)によって表される、振動体の固有振動数の相対的な熱変動を得る。
従来技術の様々な解決策は、振動体を熱補償するために、この目的に適合したヒゲゼンマイのCTEを選択して、振動体の熱係数CTの値を打ち消そうと努めている。
そのため、従来技術の解決策は、同じヒゲゼンマイ内に配分された異なる特性を持つ幾つかの材料を、このヒゲゼンマイを含む振動体の熱補償振動体を得るように使用することに依拠する。
例として、特許文献1は、酸化物層を含むシリコンのヒゲゼンマイに依拠する解決策を記載する。この解決策は、著しく厚い酸化物層を必要とする。その製造は、ヒゲゼンマイを長時間、非常に高温で処理することを必要とし、このことは不都合がある。一般に、既存の熱補償ヒゲゼンマイは、製造が複雑である。
欧州特許出願公開第1422436号
本考案の目的は、振動体の熱補償を簡単かつ確実に可能にする時計の戻しばねの別の解決策を提供することである。
このために、本考案は、はずみ車と組み合わされて時計の振動体を形成するための角度戻しばねであって、時計の前記振動体が熱補償され得るように、温度の関数として角度剛性の変動が異なる少なくとも2つの別個の部分(portion、「部品」ともいう。)の配置を含むことを特徴とする角度戻しばねに依拠する。
第1の実施形態によれば、本考案は、はずみ車と組み合わされて時計の振動体を形成するための角度戻しばねであって、同じ平面に位置する、ブレード、または巻きもしくは巻きの部分を含む少なくとも2つの別個の部分であり、時計の前記振動体を熱補償できるように、温度の関数として角度剛性の変動が異なる少なくとも2つの別個の部分の配置を含むことを特徴とする角度戻しばねを対象とする。
第2の実施形態によれば、本考案は、はずみ車と組み合わされて時計の振動体を形成するための角度戻しばねであって、ブレードまたは巻きを含む少なくとも2つの別個の部分の配置を含むこと、および別個の部分の長さに沿って変動する断面を含む少なくとも1つの前記別個の部分を含むことを特徴とする角度戻しばねを対象とする。
第3の実施形態によれば、本考案は、はずみ車と組み合わされて時計の振動体を形成するための角度戻しばねであって、直列に組み合わされたブレード、または巻きもしくは巻きの部分を含む少なくとも2つの別個の部分であり、時計の前記振動体を熱補償できるように、温度の関数として角度剛性の変動が異なる少なくとも2つの別個の部分の配置を含むことを特徴とする角度戻しばねを対象とする。
本考案は、請求項によってさらに明確に定義される。
本考案のこれらの対象、特徴および利点は、添付図面に関連して非限定的になされた特定の実施形態の以下の記載において詳細に説明される。
本考案の第1の実施形態による、時計の振動体を構成するための2つのヒゲゼンマイが並列に配置されている形態の角度戻しばねを概略的に表す図である。 本考案の第2の実施形態による、時計の振動体を構成するための2つのヒゲゼンマイ部品が直列に配置されている形態の角度戻しばねを概略的に表す図である。 本考案の第1の実施形態による、時計の振動体を構成するための2つのヒゲゼンマイが並列に配置されている変形形態の角度戻しばねを概略的に表す図である。
本考案の目的は、熱補償振動体を提案することである。このために、振動が温度と無関係またはほぼ無関係になる、振動体の熱係数(CT)の値ゼロにできるだけ近づく解決策が追求される。
本考案の実施形態は、熱補償振動体を得るために予め定義されたはずみ車と接続され得る角度戻しばねを形成するために選択された、少なくとも2つの別個の部分の配置によって得られる特定の角度戻しばねの構造に依拠する。
本考案は、時計の振動体が、テンプ−ヒゲゼンマイアセンブリの形状を呈する、2つの実施形態によりさらに詳細に例証される。振動体の各角度戻しばねは、これら2つの実施形態においてそれぞれ並列および直列の2つの別個の部分の配置を含む。これらの実施形態において、各別個の部分(部品)は、1つまたは複数の巻きまたは巻きの部分を含むヒゲゼンマイまたはヒゲゼンマイの部分を形成する。「巻き」は、約360°の角度の弧に沿って延伸するヒゲゼンマイの部分と定義され、「巻きの部分」は、360°未満の角度の弧に沿って延伸する部分と定義される。その上、本考案のこれらの実施形態の各ヒゲゼンマイ、巻きまたは巻きの部分は、アルキメデスの螺旋状にそれ自体に巻き付けられる、好ましくは長方形断面の弾性ブレードの形状を呈する。この長方形断面の厚さをe、および高さをhと名付ける。その上、ヒゲゼンマイ、巻きまたは巻きの部分の曲線の長さをLと名付ける。この曲線の長さは、巻きの中性繊維に対する2本の曲線の横座標間の隔たりとして定義される。最後に、その質量mとテンプの回転半径rの二乗の積に等しい、テンプの慣性をIと呼ぶ。
第1の実施形態は、振動体の角度戻しばね10に依拠し、図1によって表され、前記角度戻しばねの少なくとも2つの別個の部分を形成する、少なくとも2つのヒゲゼンマイ11、12の並列配置によって形成される。「並列に」という表現は、一方では例えば中心端部に連結された1つまたは複数のヒゲ玉6によるテンプ軸5への、他方では例えばそれぞれの周端部15、16に連結された1または2つのヒゲ持による、図示しないテンプ受への少なくとも2つのヒゲゼンマイの各々の掛止を意味する。この角度戻しばねは、アーム2によって軸5に連結されるテンプ1のはずみ車に作用する。アセンブリは、機械式振動体を形成する。図1によって表されたこの実施形態において、2つのヒゲゼンマイ11、12は、2つの平行な平面に全体的に広がる2つの別個の部分を形成する。これらの平行な平面は、その上、テンプ1の平面に平行であり、テンプ軸5に垂直である。また、2つのヒゲゼンマイ11、12は、完全に重ね合わされる。そのそれぞれの2つの端部は、テンプ軸5に平行な方向に沿って重ね合わされる。変形形態において、これらの端部は、ずらされてもよい。別の変形形態において、2つの平行なヒゲゼンマイは、部分的に重ね合わされるだけであってもよい。ヒゲゼンマイは、各々が等しいまたは異なる巻きの数を含んでもよい。
図3は、2つのヒゲゼンマイ11’、12’がなおも並列であるが、同じ平面内に配置されるこの第1の実施形態の実施変形形態を例証する。そのそれぞれの2つの中心端部13’、14’は、直径方向に対向する2つの連結領域で、(テンプ軸に垂直な同じ平面内で)テンプ軸5’の同じ断面に対して固定される。2つの周端部15’、16’は、同様にテンプ軸5’に関して直径方向に対向する。2つのヒゲゼンマイ11’、12’は、テンプ軸5’に垂直な同じ平面内にこのようにして一体的に位置決めされる。ヒゲゼンマイは、互いに重なり合う。その巻きは、角度的に180度ずらされる。変形形態において、テンプ軸5’への取付点は、180度以外の角度だけずらされてもよく、かつ/または2つの周端部15’、16’は、それぞれ180°異なる角度で位置決めされてもよい。
並列に配置された2つのヒゲゼンマイ(または巻きもしくは巻きの部分)の場合において、熱補償へのヒゲゼンマイの寄与は、復元トルク、したがって角度剛性に関するその寄与によって加重される。また、有利には、本実施形態において、2つの別個の部分の少なくとも1つは、当該別個の部分の長さに沿って変動する断面を提示し、または2つの別個の部分は、同じ平面に位置する。
角度戻しばねの復元トルクは、2つのヒゲゼンマイのトルクの和である。その場合、振動体の固有振動数fは、次式:
(式中、Iは、テンプの慣性であり、Ciは、ヒゲゼンマイiの角度剛性である)によって書かれ得る。
テンプの慣性I、および純粋な屈曲に関して定義されるヒゲゼンマイiの角度剛性Ciは、次のように計算される:
I=mr、かつ
(式中、mは、テンプの質量であり、rは、テンプの回転半径であり、Eiは、ヒゲゼンマイiの材料の弾性係数であり、eiは、ヒゲゼンマイiのブレードの厚さであり、hiは、ヒゲゼンマイiのブレードの高さであり、liは、ヒゲゼンマイiの曲線の長さである)。
温度に従属する項IおよびCiを導入し、温度に関して式(1)を微分して、次式:
が、並び替え後に得られる。
均質で等方性の材料を検討して、または各材料に関して適合した見かけの膨張率を使用して、材料の熱膨張率α=1/xdx/dTは、以上に明示した方向xに関して同一である(r、l、eおよびh)。他方で、弾性係数の熱係数1/E.dE/dTであるとして項CTEを定義すると、前式は、次のように簡略化され得る:
(式中、αs,iおよびαbalは、それぞれ振動体のヒゲゼンマイiおよびテンプの熱膨張率である)。
2つのヒゲゼンマイ(i=2)を含む第1の実施形態の特定の場合において、前式は、次のようになる:
テンプの熱膨張αbalは、知られており、用いられる材料によって決まるので、2つのヒゲゼンマイの材料は、この式(2)を打ち消すように選択される。
注記として、異方性材料、例えばシリコンの場合において、熱係数は、材料の応力の結晶方向に応じて変動し、したがってヒゲゼンマイ(または巻きもしくは巻きの部分)の長さにわたって変動する。同様に酸化シリコンのような不均質材料の場合において、熱係数は、ブレードの断面内部で変動する。当業者に知られている等価または見かけのCTEは、ヒゲゼンマイ、または巻きもしくは巻きの部分に関して、異方性および/または不均質材料で形成されたと考えられ得る。
CuBe2のテンプの場合において、CuBe2の熱膨張が正である(+17[ppm/℃])ことを知っているので、二項CTE+3αの少なくとも一方が、式を打ち消すために正であるように、特に二項CTE+3αの少なくとも一方が、式を打ち消すためにαbalより少なくとも2倍大きいように、2つのヒゲゼンマイの材料を選択せねばならない。次に、期待された結果、すなわち振動体の熱補償を得るために、その2つのヒゲゼンマイの寸法、特に角度剛性を調節すれば十分である。
例として、4Hzの振動体に関して、最初に14mg・cmの慣性のCuBe2のテンプを選ぶ。次に、平面{100}で切断され、次の特性および寸法:E平均=148MPa、α=2.6ppm/℃、CTE=−64.3ppm/℃、150ミクロンの高さ、150mmの有効長の、単結晶シリコンの第1のヒゲゼンマイを検討する。さらに、並列に配置され、非晶質SiOの、次の特性および寸法:E=72.4MPa、α=0.382ppm/℃、CTE=210ppm/℃、ならびに第1のヒゲゼンマイと同じの高さおよび同じ有効長の第2のヒゲゼンマイを検討する。C1+C2=8.84・10−7N・mを選択して、4Hzの周波数が得られ、熱補償は、その場合第1のヒゲゼンマイのシリコンに関して36.20ミクロン、第2のヒゲゼンマイの酸化シリコンに関して36.73ミクロンのブレードの厚さの選択によって確実にされる。
第2の例として、なおも4Hzの振動体に関して、4.7mg・cmの慣性のCuBe2のテンプ、ならびに120ミクロンの高さおよび110mmの長さを、2つのヒゲゼンマイの各々に関して上記と同じ材料において選ぶならば、式(2)は、シリコンの第1のヒゲゼンマイに関して24.44ミクロンを、非晶質SiOの第2のヒゲゼンマイに関して24.80ミクロンの厚さを与える。
上記式(2)の結果をゼロとし、熱補償振動体を得るように、寸法が異なる2つのヒゲゼンマイの並列配置の多数の可能性が当然に存在する。
第2の実施形態は、振動体の角度戻しばね20に依拠し、図2によって表され、少なくとも2つの別個の部分21、22と単に呼ばれる、少なくとも2つのヒゲゼンマイまたは巻きの全体もしくは巻きの部分の直列配置によって形成される。「直列に」とは、少なくとも2つの別個の部分が、その端部の一方によって互いに組み合わされることを意味する。第1部分21は、ヒゲ玉6によってその中心端部23でテンプ軸5に取り付けられてもよく、少なくとも1つの第2部分22は、ヒゲ持27によってその周端部26で受に取り付けられてもよい。2つの別個の部分21、22は、そのそれぞれ周端部25および中心端部24によって互いに固定される。得られた角度戻しばね20は、このようにしてテンプ軸5に垂直な平面に広がる、単一の連続したヒゲゼンマイの形状を取る。
その長さLにわたって均質でない剛性のブレードの純粋な屈曲の角度剛性は、次式:
によって記載される。
直列に配置される幾つかの別個の部分iに関して、この式は次のようになる:
振動体の周波数fは、式:
に対応する。
最後に、温度に対するこの式の微分は:
に行き着く。
実施形態が、2つの別個の部分を含むので、この式は:
と書かれ得る。
2つの巻き、または巻きの全体もしくは巻きの部分の直列配置によって形成されるヒゲゼンマイの特定の場合において、熱補償への各部分の寄与は、他方の部分の相対的剛性によって加重される。
テンプの熱膨張αbalは、所与の材料に関して知られているので、2つの別個の部分の材料は、第1の実施形態と同じようにこの式(3)を打ち消すように選択される。
例えば、テンプがCuBe2であるならば、CuBe2の熱膨張が正である(+17[ppm/℃])ことを知っているので、式CTE+3αの二項の少なくとも一方が、式
(3)を打ち消すために正であるように、特に二項CTE+3αの少なくとも一方が、式(3)を打ち消すためにαbalより少なくとも2倍大きいように、2つのヒゲゼンマイの材料を選択せねばならない。次に、期待された結果、すなわち振動体の熱補償を得るために、2つの別個の部分の寸法を調節すれば十分である。
例として、以上ですでに記載されたような14mg・cmの慣性のCuBe2のテンプを与えられた4Hzの振動体をここで再び選ぶ。その上、高さ150ミクロンおよび厚さ40ミクロンの同一の断面を含み、一方が、平面{100}で切断され、E平均=148MPa、α=2.6ppm/℃、およびCTE=−64.3ppm/℃の特性の単結晶シリコンであり、他方が、E=72.4MPa、α=0.382ppm/℃、およびCTE=210ppm/℃の特性の非晶質SiOである直列の2つの別個の部分を検討する。式(3)は、直列の角度戻しばねの2つの別個の部分の各々に関してそれぞれ88.62mmおよび22.15mmの巻きの部分の曲線の長さを与える。
慣性が4.7mg・cmであり、したがってヒゲゼンマイの角度剛性が2.9688・10−7N・mであるCuBe2のテンプを有する、なおも4Hzの第2の例を検討する。2つの巻きまたは巻きの部分の断面(厚さおよび高さ)が一定であり、総有効長が110mmであることを制約として課している。2つの巻きの部分の高さは、120ミクロンである。この場合において、式(3)による完全な熱補償を得るために、厚さは、巻きの各部分に関して29.88ミクロンでなければならず、長さは、シリコンの第1の巻きの部分に関して88.01mmであり、酸化シリコンの第2の巻きの部分に関して21.99mmである。
第3の例において、同じテンプであるが、ヒゲゼンマイに沿って一定の曲げ剛性、ならびにヒゲゼンマイの全長にわたって120ミクロンの同様に均質な高さを課すテンプを検討する。ヒゲゼンマイの全長は、同様に110mmに定義される。振動体4Hzの熱補償を得るために、シリコンの部分は、28.05ミクロンの厚さおよび72.81mmの長さを有さねばならず、他方で非晶質酸化物の部分は、35.60ミクロンの厚さおよび37.19mmの長さを有さねばならない。
この寸法決定の変形形態は、周知である、一定断面であり単一の材料で構成される平坦なヒゲゼンマイと等しい、振動中の展開をヒゲゼンマイに付与する利点を有する。
当然に、本考案は、以上に記載された2つの実施形態にも、詳細な例にも、前に言及された簡易な式にさえも限定されない。これらの式の各項、特にCTEは、空間的または構造的変動(不均質、異方性材料、非長方形断面、ブレードの長さ、高さにわたって規則正しくない断面)を考慮して、その同等物によって置き換えられ得る。振動体を熱補償することを可能にする、本考案による時計の戻しばねの寸法を決定するために多数の可能性が存在するように見える。
特に、実施変形形態において、2つを超える別個の部分、特に3または4つの別個の部分を含む振動体を製作することは、当然に可能である。その上、これらの別個の部分は、戻しばねおよび振動体の熱挙動をできる限り良好にパラメータ化するために、並列および/または直列に配置され得る。他方で、各別個の部分は、様々な形状を取り得る:ヒゲゼンマイ、1つまたは複数の巻きまたは巻きの部分、これらの部品は、直線部分を含んでもよい。各別個の部分が、1つまたは複数の巻きまたは巻きの部分から形成される場合に、戻しばねは、複数巻きと名付けられ得る。
他方で、戻しばねの別個の部分は、記載された実施形態で詳述されたように、同じ平面内にあっても、なくてもよい。例えば巻きまたは巻きの部分の形状を呈する、戻しばねの少なくとも1つの別個の部分のブレードは、前の実施形態でのように必ずしも長方形でない、あらゆる形状の断面を有してもよい。その上、この断面は、その全長にわたって一定なままであってもよいか、または反対に変動してもよい。最後に、戻しばねは、前の例において検討されたようにヒゲゼンマイの形状を呈してもよいか、または変形形態においてあらゆる他の形状を呈してもよい。
最後に、戻しばねの別個の部分とは、戻しばねを一緒に形成するために同じ配置内に位置決めされる2つの別個の要素を意味する。この配置において、これらの別個の部分は、振動体の熱補償効果を提供しながら、戻しばねの同じ機能にこのように相補的に関与する。これらの別個の部分は、あらゆる固定手段によって互いに組み合わされ得るか、または単に近傍に位置決めされ得る。いずれにせよ、これらの別個の部分は、同じはずみ車と協働でき、時計の単一の振動体を形成できるように配置される。したがってこれらの別個の部分は、異なる材料を有していたとしても、単にモノブロックで、切り離しできず、かつ/または一体型である同じばねの2つの領域ではない。
したがってこれらの別個の部分の定義によって、本考案は、同じはずみ車と協働するための、戻しばね、特には角度戻しばねを形成するために、少なくとも2つの別個の部分の分離し、独立した製造ステップ、次に同じ配置において、場合により互いの連結または固定による、これら少なくとも2つの別個の部分を組み合わせるステップを含んでもよい、戻しばねの製造方法の実施を可能にする。代案として、本考案は、例えば予め一体化した2つの別個の材料の2つのウエハのエッチングから生じた一続きの戻しばねの製造方法の実施を可能にする。
好適には、角度戻しばねの少なくとも2つの別個の部分は、2つの異なる材料で作られている。一方の別個の部分は、モノブロックであってもよい。それは単一の材料であってもよいか、または幾つかの異なる材料を含んでもよく、例えば異なる材料の領域を含んでもよい。
いずれにせよ、本考案の戻しばねは、時計のこの戻しばねを含む前記振動体が、熱補償されるように、温度の関数として角度剛性Ciの変動CTE+3αsが、異なる、少なくとも2つの別個の部分を含む。
当然に、戻しばねの別個の部分は、あらゆる他の材料であってもよい。好ましくは、磁場の影響を受けない材料は、磁場を受ける構成部分の残留磁化に関連した作動の混乱を回避するために好都合である。
戻しばねの少なくとも1つの別個の部分は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、石英、非晶質酸化シリコン、ドープされたシリコン、多孔質シリコン、正のヤング係数の熱係数(以下CTE)を持つFe−Niを主成分とする合金、および/またはNb−Zr−O合金の全部または一部を含んでもよい。
戻しばねの少なくとも1つの別個の部分は、1つまたは複数の等方性材料を含んでもよい。変形形態において、少なくとも1つの別個の部分は、熱係数が、材料の応力の結晶方向に応じて変動し、したがってヒゲゼンマイの長さにわたって変動する異方性材料、例えばシリコンを含んでもよい。シリコンは、例えば酸化シリコン層で被覆されてもよい。酸化シリコンのような不均質材料の場合において、熱係数は、戻しばねのブレードの断面内部で変動する。当業者に知られている等価または見かけのCTEは、このようにして異方性および/または不均質材料で形成された戻しばねの別個の部分とみなされ、前の計算が、これに基づき応用可能であり続ける。
本考案は、前述のような戻しばねを含む、時計の振動体、時計のムーブメントおよび腕時計のような時計、例えばブレスレットウォッチも対象とする。
テンプは、前の実施形態で例証されたように、既知の方法で銅−ベリリウム合金(単にCuBe2合金とも呼ばれる)で例えば製作される。変形形態において、他の材料が、テンプに使用されてもよい。
1 はずみ車
2 アーム
5 テンプ軸
5’ テンプ軸
6 ヒゲ玉
10 角度戻しばね
10’ 角度戻しばね
11 ヒゲゼンマイ(別個の部分)
11’ ヒゲゼンマイ(別個の部分)
12 ヒゲゼンマイ(別個の部分)
12’ ヒゲゼンマイ(別個の部分)
13 中心端部
13’ 中心端部
14 中心端部
14’ 中心端部
15 周端部
15’ 周端部
16 周端部
16’ 周端部
20 角度戻しばね
21 別個の部分
22 別個の部分
23 中心端部
24 中心端部
25 周端部
26 周端部
27 ヒゲ持

Claims (16)

  1. はずみ車(1)と組み合わされて時計の振動体を形成するための角度戻しばね(10、10’;20)であって、ブレード、または巻きもしくは巻きの部分を含む、同じ平面内に位置する少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)であり、時計の前記振動体を熱補償できるように、温度の関数として角度剛性Ciの変動が異なる少なくとも2つの別個の部分の配置を含むことを特徴とする角度戻しばね(10、10’;20)。
  2. はずみ車(1)と組み合わされて時計の振動体を形成するための角度戻しばね(10、10’;20)であって、ブレード、または巻きもしくは巻きの部分を含む、少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)であり、時計の前記振動体を熱補償できるように、温度の関数として角度剛性Ciの変動が異なる、少なくとも2つの別個の配置を含むこと、および別個の部分の長さに沿って変動する断面を含む少なくとも1つの前記別個の部分を含むことを特徴とする角度戻しばね(10、10’;20)。
  3. はずみ車(1)と組み合わされて時計の振動体を形成するための角度戻しばね(10、10’;20)であって、ブレード、または巻きもしくは巻きの部分を含む、直列に組み合わされた少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)であり、時計の前記振動体を熱補償できるように、温度の関数として角度剛性Ciの変動が異なる、少なくとも2つの別個の部分の配置を含むことを特徴とする角度戻しばね(10、10’;20)。
  4. 前記少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)が、直列または並列に組み合わされることを特徴とする請求項1または2に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  5. 並列に組み合わされる、少なくとも2つの別個の部分(11’、12’)をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  6. 前記少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)が、2つの異なる材料、または幾つかの材料の異なる組み合わせで作られていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  7. 少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)が、反対符号の温度の関数として角度剛性Ciの変動を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  8. 特に単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、石英、非晶質酸化シリコン、ドープされたシリコン、多孔質シリコンから選択される材料で作られた少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  9. 前記少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)が、ヒゲゼンマイ、1つもしくは複数の巻き、直線ブレード、またはヒゲゼンマイと直線ブレードの組み合わせの形状を呈することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  10. 別個の部分の長さに沿って変動する断面を含む少なくとも1つの前記別個の部分を含むことを特徴とする請求項1または3に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  11. 同じ平面に位置する少なくとも2つの別個の部分(11’、12’)を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の角度戻しばね(10、10’;20)。
  12. 請求項1から3のいずれか一項に記載の角度戻しばね(10、10’;20)を含む、時計の振動体。
  13. テンプ(1)と角度戻しばね(10、10’)とを含み、前記角度戻しばね(10、10’)が、
    並列に配置された少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’)であり、次の2つの式:
    (式中、fは、振動体の固有振動数であり、
    Iは、前記テンプの慣性であり、
    CTEは、前記別個の部分iの弾性係数の熱係数を表し、
    αs,iは、前記別個の部分iの熱膨張率を表し、
    αbalは、前記振動体の前記テンプの熱膨張率を表す)に実質的に従う角度剛性Ciを有する少なくとも2つの別個の部分を含むことを特徴とする請求項12に記載の振動体。
  14. テンプ(1)と角度戻しばね(20)とを含み、前記角度戻しばね(20)が、
    直列に配置された少なくとも2つの別個の部分(21、22)であり、次の2つの式:
    (式中、fは、振動体の固有振動数であり、
    Iは、前記テンプの慣性であり、
    CTEは、前記別個の部分iの弾性係数の熱係数を表し、
    αs,iは、前記別個の部分iの熱膨張率を表し、
    αbalは、前記振動体の前記テンプの熱膨張率を表す)に実質的に従う角度剛性Ciを有する少なくとも2つの別個の部分を含むことを特徴とする請求項12に記載の振動体。
  15. 並列または直列に配置された少なくとも2つの別個の部分(11、12;11’、12’;21、22)を含む角度戻しばね(10、10’;20)を含むこと、および天真への1つまたは少なくとも2つの連結部、および/または時計のムーブメントのフレームへの1つまたは少なくとも2つの連結部を含むことを特徴とする請求項12に記載の振動体。
  16. 請求項1から11のいずれか一項に記載の角度戻しばね(10、10’;20)、または請求項12から15のいずれか一項に記載の振動体を含むことを特徴とする時計、特に腕時計。
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