JP6869053B2 - アンチモンの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アンチモンの回収方法に関する。
近年、アンチモン(Sb)は化合物半導体の材料として注目されており、その需要は高まっている。アンチモンを含む製品における不純物を低減するという要求は非常に強く、不純物を効率的に短時間で且つ確実に低減できる方法の必要性が高まっている。不純物としては、ヒ素(As)やビスマス(Bi)などの重金属がある。
一般に、高品位なアンチモンは、アンチモンを含む輝安鉱(Sb)を原料として製錬し、さらに乾式法で精錬して粗アンチモンを生成した後に、電解法等で品位を高めることで得られる。また、精錬においては、乾式法に比べて簡便な湿式法も検討されており、種々の方法が提案されている。
湿式法として、例えば特許文献1では、高品位なアンチモンの製造過程で得られる中間産物(以下、アンチモン含有物ともいう)をフッ素および硫酸を含むフッ素含有液で処理する方法が提案されている。この方法では、フッ素含有液にアンチモンと他の重金属とを浸出させ、重金属のうちBiを硫化して除去した後、中和によりアンチモンを沈殿させることで、アンチモンを他の重金属から分離回収することができる。
また例えば特許文献2では、硫化物状態のアンチモン含有物からアルカリの存在下でアンチモンを酸化浸出させる方法が提案されている。この方法では、硫化物状態のアンチモン含有物に水酸化ナトリウム溶液を接触させるとともに酸素を吹き込むことによりアンチモンを浸出させ、その後に沈殿させることで、アンチモンを他の重金属から分離回収することができる。
特開2008−184653号公報 特開平11−80853号公報
ところが、特許文献1の方法では、重金属のうちBiは分離できるものの、ヒ素(As)を十分に分離することが困難である。ヒ素は、アンチモンと同族元素であって、硫化の際にはBiのように沈殿せずに浸出液に残存し、中和によりアンチモンを沈殿させるときに一緒に沈殿するためである。この方法では、Biを分離した後に別途Asを分離する必要があり、工程が複雑となる。
一方、特許文献2の方法では、アンチモンからAsやBi等を容易に分離して除去できるが、アンチモンの溶解度が低く、アンチモンを浸出させにくいため、アンチモンを効率的に分離回収することが困難である。
そこで、本発明は、湿式法によりアンチモン含有物から不純物である重金属が少なく高品位なアンチモンを効率的に分離回収する技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、
アンチモンおよびカリウムを含む水酸化物と重金属が溶存する液に水酸化ナトリウムを添加して、前記水酸化物における前記カリウムをナトリウムで置換し、前記アンチモンおよび前記ナトリウムを含むアンチモン化合物を沈殿させる、アンチモンの回収方法である。
本発明の第2の態様は、
アンチモンおよび重金属を含むアンチモン含有物を水酸化カリウムおよび酸化剤を含む溶液に接触させて前記アンチモンを浸出させ、前記アンチモンおよびカリウムを含む水酸化物が溶存する浸出液と浸出残渣とに分離し、前記浸出液を回収する浸出工程と、
前記浸出液に水酸化ナトリウムを添加して、前記水酸化物における前記カリウムをナトリウムで置換し、前記アンチモンおよび前記ナトリウムを含むアンチモン化合物を沈殿させる置換工程と、を有する、アンチモンの回収方法である。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の発明において、
前記浸出工程の前に、前記アンチモン化合物を酸溶液に接触させ、前記重金属における鉛の含有量が20質量%以下となるように前記鉛を浸出させて除去する脱鉛工程を有する。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の発明において、
前記脱鉛工程を第1脱鉛工程としたとき、前記浸出工程と前記置換工程との間に、前記浸出工程で得られる前記浸出液から鉛を除去する第2脱鉛工程をさらに有し、
前記第2脱鉛工程では、前記浸出液に硫化剤を添加して鉛を硫化鉛として沈殿させて除去する。
本発明の第5の態様は、第2〜第4のいずれかの態様に記載の発明において、
前記置換工程では、前記浸出液の温度を20℃以上80℃以下とする。
本発明の第6の態様は、第2〜第5のいずれかの態様に記載の発明において、
前記アンチモン含有物が、非鉄製錬の中間産物である。
本発明によれば、湿式法によりアンチモン含有物から不純物である重金属が少なく高品位なアンチモンを効率的に分離回収することができる。
実施例1におけるアンチモンの回収方法を示す工程図である。 実施例2におけるアンチモンの回収方法を示す工程図である。 鉛含有量の違いによるアンチモンの浸出を評価する浸出試験の工程図である。 溶液温度の違いによる置換反応を評価する試験の工程図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態にかかるアンチモンの回収方法について、アンチモン含有物からアンチモンを浸出させて回収する方法を例に説明する。
本実施形態のアンチモンの回収方法は、準備工程、脱鉛工程、浸出工程および置換工程を有する。これらの工程は必要に応じて行われるものも含む。以下、各工程について説明する。なお、本明細書にて、各元素の含有量はICPやICP−MSなどの分析機器で測定されたものである。
(準備工程)
まず、アンチモン含有物を準備する。本実施形態のアンチモン含有物とは、アンチモンと重金属とを含むものであり、金属製錬過程で分離されたもの(以下、中間産物ともいう)、もしくは中間産物を処理して得られる金属元素が複数混在する金属状態のもの(以下、多金属塊ともいう)を示す。
中間産物は、例えば非鉄製錬所にて鉛製錬過程で得られる鉛残渣などが挙げられる。この中間産物には、アンチモンの他に、鉛、ヒ素、ビスマスなどが含まれ、さらに微量ではあるが、錫、カドミウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、亜鉛などの各種金属も含まれている。
多金属塊は、中間産物を還元処理して、もしくは酸化物に改質して得られる。例えばコークスなどの還元剤とフラックス剤との混合物を用いて中間産物に加熱還元処理を施し、金属元素を金属状態までに還元して金属化させて得られる。この多金属塊は、主成分としてアンチモンを含み、他の成分としてヒ素、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、テルル、カドミウムなどが含まれていてもよい。他の成分は元素の還元に応じた状態となっている。なお、多金属塊におけるアンチモンの品位(含有量)は低くてもよいが、アンチモンの回収を合理的に行う観点からは70質量%以上であるとよい。一方、本実施形態ではアンチモンの品位が99.9質量%を超えても微量なAsやBiを分離除去できるが、回収効率の観点からは99.9質量%以下であるとよい。
アンチモン含有物としては、中間産物をそのまま用いてもよいが、中間産物を処理した多金属塊を用いることが好ましい。多金属塊は、金属状態であり、後述の浸出工程において中間産物と比べて溶解させやすく、効率的にアンチモンを浸出できるからである。また、多金属塊は中間産物を還元処理して金属化させたものであることが好ましい。多金属塊は中間産物を酸化物に改質しても得られるが、この場合、アンチモンも酸化され後述の浸出工程でアルカリ剤に浸出しにくくなるからである。
なお、多金属塊は塊状態のまま用いてもよいが、アトマイズ法により微細粉末に加工してもよい。微細粉末とすることで浸出工程でのアンチモンの浸出を促し、アンチモンの回収率とともに回収効率を高めることができるからである。
(脱鉛工程)
続いて、準備したアンチモン含有物から重金属のうち鉛(Pb)を除去する。詳細は実施例で説明するが、本発明者の検討によると、Pbはアンチモン(Sb)の浸出を阻害し、その浸出量を減少させるとともに浸出に要する時間を長くさせることが分かった。そのため、Sbを効率的に浸出させて回収する観点からはアンチモン含有物におけるPbの含有量を低く抑えるとよく、Pbの含有量が好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下となるようにPbを除去するとよい。
具体的には、アンチモン含有物を酸溶液に接触させて、アンチモン含有物中のPbを酸溶液に浸出させることでアンチモン含有物からPbを除去する。そして、ろ過により固液分離することで、脱鉛によりPbの含有量が20質量%以下となったアンチモン含有物を得る。なお、酸溶液としてはアミド酸や硝酸などを用いることができる。
なお、脱鉛後のPbが溶解する酸溶液は、硫酸などを添加してPbを硫酸鉛として沈殿させて取り除くことにより再使用するとよい。
(浸出工程)
続いて、脱鉛後のアンチモン含有物を、水酸化カリウム(KOH)および酸化剤を含む溶液に接触させ、アンチモン含有物に含まれるSbを溶液に浸出させる。浸出させたSbはKOHとの反応により、SbおよびKを含む水酸化物、例えばアンチモン酸カリウムであるヘキサヒドロキソアンチモン酸カリウム(KSb(OH))を形成し、溶液に溶解する。一方、Sb以外の重金属(Pb、Biなど)はその多くが浸出せずにアンチモン含有物にとどまり、浸出残渣となる。すなわち、Sbを含む浸出液とその他の重金属を含む浸出残渣とに分離される。そして、ろ過により固液分離することで、Sbを含む抽出液を回収する。
また、浸出工程では、Pbの含有量が20質量%以下であるアンチモン含有物を用いることで、PbによるSb浸出の阻害を抑制でき、Sbを効率的に浸出させることができる。すなわち、溶液へのSbの溶解度を高め、Sbの回収率を高めることができる。
浸出工程で得られた浸出液は、PbやBiなどの重金属が取り除かれて不純物の含有量が少ない一方、Sbを水酸化物の形態で多く含有している。ただし、この浸出液にはSbと同族元素であるAsがヒ酸塩として混入することがあるので、後述の置換工程によりSbと微量のAsとを分離する。
KOHの添加量は、アンチモン含有化合物に含まれるSbの化学等量以上とするとよい。一方、上限値は特に限定されないが、KOHの添加量が増えるのに応じて、後述の置換工程で添加する水酸化ナトリウムの添加量も増えるため、化学等量以上で過度に多くならないようにするとよい。
酸化剤としては、例えば過酸化水素水、酸素ガス、オゾンガス、金属過酸化物などを用いることができるが、不純物を増やさない観点からは過酸化水素水、酸素ガスおよびオゾンガスが好ましく、この中でもコストおよび取り扱い性の観点からは酸素ガスがより好ましい。酸化剤として酸素ガスを用いる場合であれば、溶液に酸素ガスを吹き込みながらSbを浸出させるとよい。
(置換工程)
続いて、回収した浸出液に水酸化ナトリウム(NaOH)を添加して撹拌する。これにより、SbおよびKを含む水酸化物におけるカリウム(K)をナトリウム(Na)で置換し、SbおよびNaを含有するアンチモン化合物を形成する。このアンチモン化合物は、例えばアンチモン酸ソーダであるヘキサヒドロキソアンチモン酸ナトリウム(NaSb(OH))であり、浸出液に不溶であるため沈殿することになる。一方、浸出液に混入するヒ素は沈殿せずにヒ酸塩のまま浸出液に残存する。すなわち、Sbを含む沈殿物(アンチモン化合物)と、微量のAsが残存する溶液とに分離することができる。そして、置換後に固液分離することでアンチモン化合物を得ることができる。
置換工程で得られたアンチモン化合物は、不純物であるAs、Bi、Pbなどの重金属が少なく、アンチモンの品位が高い。アンチモン化合物はAsの含有量が2000ppm以下であり、工業的に使用可能である。
アンチモン化合物は乾式法もしくは湿式法で処理することにより、アンチモン化合物中のSbを金属アンチモンや酸化アンチモンなど所望の形態で分離することができる。例えば乾式法であれば、アンチモン化合物を酸化焼成することで酸化アンチモンが得られ、湿式法であれば、アンチモン化合物を還元剤を用いて還元することで金属アンチモンが得られる。
置換工程では、浸出液の温度を低く維持しつつ、浸出液に水酸化ナトリウムを添加することが好ましい。後述の実施例で示すように、浸出液の温度上昇にともなってアンチモン化合物が沈殿しにくくなり、沈殿率が低下するためである。このメカニズムは明確ではないが、浸出液の昇温によりアンチモン化合物が過飽和して沈殿しにくくなる、もしくは置換により生成する結晶核が小さく、アンチモン化合物が沈殿するような大きさまで成長しない、ことが推測される。このような点から、浸出液の温度は20℃以上80℃以下とすることが好ましく、40〜60℃とすることがより好ましい。このような温度に浸出液を保持しつつ、NaOHを添加することで、アンチモン化合物の沈殿を促し、その沈殿率を高めることができる。
置換工程において、Kを置換するために添加するNaOHの添加量は、浸出工程で添加したKOHの量に応じて適宜変更するとよい。添加量としては、水酸化物におけるSbに対するNaのモル比が好ましくは0.9倍以上、より好ましくは1倍以上1.3倍以下となるようにNaOHを添加することが好ましい。
なお、浸出液にNaOHを添加して置換させる時間(反応時間)は、反応量によって適宜変更するとよく、例えば10分〜120分程度とするとよい。また、浸出液を撹拌するときの強度(撹拌強度)は反応時間や装置仕様に応じて適宜変更するとよい。
<本実施形態にかかる効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態では、アンチモン含有物をKOHを含む溶液に接触させて、SbおよびKを含む水酸化物が溶存する浸出液と、BiやPb等の他の重金属を含む浸出残渣とに分離し、浸出液を回収している。これにより、SbとBiやPbなどの重金属とを分離している。
そして、回収した浸出液にNaOHを添加することで、水酸化物におけるKとNaとを置換し、SbおよびNaを含むアンチモン化合物を生成して沈殿させている。回収した浸出液にはAsがヒ酸塩として混入することがあるが、アンチモン化合物を置換により沈殿させる一方、Asを溶液に残存させることで、これらを分離することができる。
すなわち、アンチモン含有物をKOHで浸出させるとともに、浸出で得られる水酸化物をNaOHにより置換することで、アンチモン含有物に含まれるSbとその他の重金属とを好適に分離することができる。これにより、不純物である重金属の少ないSbを効率よく回収することができる。
また、アンチモン含有物におけるPbの含有量を20質量%以下とすることで、PbによるSbの浸出阻害を抑制でき、Sbの溶解度を高めて、その回収率を向上させることができる。
また、置換工程では、浸出液の温度を20℃以上80℃以下とすることにより、NaOHによる置換を促し、SbおよびNaを含むアンチモン化合物を効率よく沈殿させることができる。また、置換工程にて置換されたKは、KOHとなり前記浸出工程の浸出液に再利用できる。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
上述の実施形態では、浸出工程の前に、アンチモン含有物からPbを除去する脱鉛工程(第1脱鉛工程)を設けているが、浸出工程と置換工程との間に、浸出液からPbを除去する脱鉛工程(第2脱鉛工程)をさらに設けることが好ましい。浸出液にはSbの浸出の際にPbも浸出して混入することがあり、Sbの品位を低下させるおそれがある。しかし、第2脱鉛工程によれば、置換工程で沈殿させて得られるアンチモン化合物に含まれるPbをさらに低減し、Sbの品位をさらに向上させることができる。
具体的には、第2脱鉛工程では、浸出工程で回収された浸出液に硫化剤を添加する。硫化剤は浸出液中のPbと反応して硫化鉛を形成する。硫化鉛は浸出液には不溶であるため沈殿することになる。そして、ろ過により固液分離することで硫化鉛を除去し、浸出液に含まれるPbを低減する。これにより、浸出液中のSbの含有量を減らすことなく、Pbの含有量を数10ppm以下にまで低減することができる。
なお、硫化剤としては、例えば硫化水素ナトリウムや硫化水素などを用いることができる。また、第2脱鉛工程で沈殿させて得られる硫化鉛は、別工程にて金属鉛として回収することもでき、そのまま製錬原料として使用することもできる。
以下、本発明の金属粒子分散液について、実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。薬剤の量については、実施の形態に記載の範囲としてある。
(実施例1)
本実施例では、アンチモン含有物として、非鉄製錬の過程で得られたPb−Sbスラグを用いた。このPb−Sbスラグに含まれる各元素の組成を下記表1に示す。なお、表1では質量%をwt%で表記している。
Figure 0006869053
表1に示すように、鉛残渣には、鉛、アンチモン、ヒ素、ビスマス等が含まれ、微量であるが、錫、カドミニウム、銅、鉄、ニッケル、硫黄、チタン、亜鉛等の各種金属が雑多に含まれていた。
この鉛残渣から図1に示す手順でアンチモンを回収した。図1は、実施例1におけるアンチモンを回収する工程図である。なお、図1では、容器、装置、大気雰囲気等、通常の操作は省略してある。
具体的には、まず、Pb−Sbスラグをコークスおよびフラックスと混合して加熱することにより乾式還元処理を施し、多金属塊(Pb−Sbメタル)を得た。この多金属塊を粉砕することで粒径が100μm以下の金属粉を形成した。続いて、金属粉をアミド酸に添加して、金属粉に含まれるPbを浸出させて脱鉛処理を行った。その後、ろ過により、脱鉛後の金属粉(Sbメタル)を回収した。この金属粉に含まれる各元素の組成を下記表2に示す。なお、表2では質量%をwt%で表記している。
Figure 0006869053
表2に示すように、金属粉から脱鉛することによりPbの含有量を低減し、Sbの含有比率を向上できることが確認された。
次に、水酸化カリウム溶液(濃度50g/L)に酸素を吹き込みつつ溶液に脱鉛後の金属粉を添加し、Sbを浸出させた。所定時間後、固液分離することにより、Sbを含む浸出液を回収した。この浸出液にはSbとKOHとの反応により生成したアンチモン酸カリウムとして、ヘキサヒドロキソアンチモン酸カリウム(KSb(OH))が溶解しているものと考えられる。
KOH+Sb+O+HO→KSb(OH)・・・(1)
なお、式(1)は総括的な反応を示しており、各成分の係数は省略している。
続いて、浸出液にNaOHを添加し、下記式(2)に示す置換反応により、溶液中のアンチモン酸カリウム(KSb(OH))を不溶性のアンチモン酸ソーダであるヘキサヒドロキソアンチモン酸ナトリウム(NaSb(OH))として沈殿させた。
KSb(OH)+NaOH→NaSb(OH)+KOH・・・(2)
なお、式(2)は総括的な反応を示しており、各成分の係数は省略している。
アンチモン化合物に含まれる各元素の組成を下記表3に示す。最終的に、沈殿させたNaSb(OH)(アンチモン化合物)を還元することにより金属アンチモンを得た。なお、表3では質量%をwt%で表記している。他、Naや酸素については含有しているが省略している。
Figure 0006869053
表3に示すように、沈殿させて回収されたアンチモン化合物は、PbおよびAsが分離され、Sbが高品位であることが確認された。各元素について中間産物からのアンチモン化合物への物量分配率を求めたところ、Sbが86%、Asが1%以下、Pbが2%以下、Sが1%以下であることが分かった。
(実施例2)
実施例2は、図2に示すように、実施例1における浸出工程と置換工程との間に浸出液の脱鉛工程(第2脱鉛工程)を設けた以外は、実施例1と同様の手順で行った。浸出液の脱鉛工程は、浸出液に硫化剤として硫化水素ナトリウム(NaHS)を添加し、浸出液に含まれる鉛を硫化鉛として沈殿させ、この硫化鉛をろ過により固液分離することで除去した。
実施例2で最終的に沈殿させて得られたアンチモン化合物について各元素の組成を測定したところ、表3に示すように、PbおよびAsが分離されており、Sbの品位が実施例1よりも高くなることが確認された。
(実施例3)
実施例3では、PbによるSbの浸出阻害について評価するため、Pbの含有量が異なる複数のサンプルを準備し、それぞれのサンプルについて浸出試験を行った。
まず、鉛残渣から得られる多金属塊を模擬したサンプルを作製した。具体的には、図3に示すように、アンチモン金属(Sbメタル)と鉛金属(Pbメタル)とをPbの含有量が所定量となるように混合し、これらをマッフル炉で溶解し、多金属塊を作製した。ここでは、下記表4に示すように、Pb含有量を20質量%、10質量%および5質量%に調整し、サンプル1からサンプル3を作製した。
続いて、得られたサンプル1〜3を粉砕して篩分けをし、目開き100μm以下の篩下の金属粉を得た。この金属粉50gを、水酸化カリウム溶液(濃度63g/L)にて、溶解温度70℃、酸素を吹き込む条件下で、アンチモンの溶出試験を行った。また、サンプル4および5として、サンプル3の多金属塊について溶解温度を50℃または90℃に変更して浸出試験を行った。各サンプルで得られた浸出液について化学分析を行い、各元素の組成を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0006869053
サンプル1〜3によると、多金属塊に含まれる鉛含有量が低いほど、Sb溶解率が高く、アンチモンが浸出しやすいことが確認できた。このことから、多金属塊に含まれる鉛含有量としては、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下であることが分かる。鉛含有量が増えることでアンチモンが浸出しにくくなる理由は、本実施例で用いたサンプルがPb−Sb合金を形成しており、鉛含有量が増えることで鉛化合物が結晶表面(粒界)に形成し、アンチモンが覆われ、アンチモンの浸出が鈍化したためと推測される。また、鉛が浸出の際にアルカリと反応し、難溶性の化合物を金属粉の表面に形成したためとも推測される。なお、ここでのサンプルは、溶解により作製されているため合金状態にあるが、その他の形態として、鉛等が分離状態、例えば単体粉体で含有されている場合は、鉛の含有率は20%以上でも構わない。アンチモンの浸出への影響は少ないためである。
また、サンプル3〜5によると、浸出させるときの溶液温度は70℃程度であるとよいことが確認できた。
(実施例4)
実施例4では、水酸化ナトリウムを用いて置換するときの溶液温度の影響を評価するため、サンプル溶液(元液)を準備し、溶液温度を適宜変更して置換反応を行い、そのときの沈殿物の生成量を測定した。
具体的には、中間産物(鉛残渣)から実施例1と同様に前処理を行い、水酸化カリウムに溶解し、元液を準備した。元液の組成を下記表5に示す。
Figure 0006869053
続いて、この元液を、図4に示すように40℃、60℃、80℃にそれぞれ昇温して、フレークもしくは48%の水酸化ナトリウムを6g溶解し、撹拌した。所定の時間反応させた後、ろ過により固液分離して沈殿物(残渣)を得た。各溶液温度で置換させて得られた残渣のそれぞれについて、組成を測定したところ、下記表6に示すような結果が得られた。
Figure 0006869053
サンプル6〜8によると、Sb沈殿率を高くする観点からは置換工程での溶液温度を低くするとよいことが確認された。
(実施例5)
実施例5では、置換工程でのSbに対するNaOHの反応等量による影響を評価するため、SbとNaとのモル比を適宜変更して置換を行った。具体的には、実施例4と同様に元液を準備し、NaOHの添加量を適宜変更してSbに対するNaのモル比(Na/Sb)を下記表7に示すように変化させて置換工程を行った。
置換による沈殿物について組成を測定したところ、モル比を1以上とすることにより、Sb沈殿率を高く維持でき、アンチモンを効率的に回収できることが確認された。なお、この置換を複数回行う多段処理をすることも実際には想定され、その場合は、当該モル比は0.9以上としても良い。上限値については特に限定されないが、コストの観点から1.3以下とするとよいことが確認された。なお、敢えて当量より少なくし(1未満)すれば、沈殿物のアンチモン品位が54%と高くなることから、品位の高いアンチモンを回収できることが確認された。
Figure 0006869053
以上のように、本発明によれば、アンチモン含有物から水酸化カリウムを用いてアンチモンを浸出させて、浸出液に水酸化ナトリウムを添加して置換することにより、アンチモン化合物を効率よく回収することができる。

Claims (5)

  1. アンチモンおよび重金属を含むアンチモン含有物を水酸化カリウムおよび酸化剤を含む溶液に接触させて前記アンチモンを浸出させ、前記アンチモンおよびカリウムを含む水酸化物が溶存する浸出液と浸出残渣とに分離し、前記浸出液を回収する浸出工程と、
    前記浸出液に水酸化ナトリウムを添加して、前記水酸化物における前記カリウムをナトリウムで置換し、前記アンチモンおよび前記ナトリウムを含むアンチモン化合物を沈殿させる置換工程と、を有し、
    前記浸出工程の前に、前記アンチモン含有物を酸溶液に接触させ、前記アンチモン含有物における鉛の含有量が20質量%以下となるように前記鉛を浸出させて除去する脱鉛工程をさらに有し、
    前記酸化剤は、前記アンチモン含有物に含まれる前記アンチモンを、前記水酸化カリウムおよび酸化剤を含む溶液に浸出可能な形態に酸化するものである、
    アンチモンの回収方法。
  2. 前記脱鉛工程を第1脱鉛工程としたとき、前記浸出工程と前記置換工程との間に、前記浸出工程で得られる前記浸出液から鉛を除去する第2脱鉛工程をさらに有し、
    前記第2脱鉛工程では、前記浸出液に硫化剤を添加して鉛を硫化鉛として沈殿させて除去する、請求項に記載のアンチモンの回収方法。
  3. 前記置換工程では、前記浸出液の温度を20℃以上80℃以下とする、請求項1又は2に記載のアンチモンの回収方法。
  4. 前記アンチモン含有物が、非鉄製錬の中間産物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンチモンの回収方法。
  5. 前記酸化剤は、過酸化水素水、酸素ガスおよびオゾンガスの少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンチモンの回収方法。
JP2017038995A 2017-03-02 2017-03-02 アンチモンの回収方法 Active JP6869053B2 (ja)

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