JP6864995B2 - マイクロ波プラズマ生成装置及びマイクロ波プラズマ生成方法 - Google Patents

マイクロ波プラズマ生成装置及びマイクロ波プラズマ生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波プラズマ生成装置に関する。特に、大気圧又は大気圧以上の高い圧力下での気体のプラズマを生成する装置に関する。更に、マイクロ波プラズマ生成装置に関連する方法に関する。
近年、マイクロ波を利用した加熱装置やプラズマ生成装置が広く活用されている。例えば、プラズマ・エッチング装置やプラズマCVD装置等においては、マイクロ波によって生成したプラズマが利用されている。また、マイクロ波を利用した加熱装置として、いわゆる電子レンジや、医療用の温熱器具等が利用されている。
図7には、従来のマイクロ波プラズマ生成装置10の構成ブロック図の一例が示されている。図7に示すマイクロ波プラズマ生成装置10は、発振器12と、高出力半導体増幅器14と、整合器16と、高圧容器18と、を備えている。更に、マイクロ波プラズマ生成装置10は、プラズマを起動するための高電圧発生器20と、スイッチ22とを備えている。
発振器12は、プラズマを発生させるための単一の発振周波数のマイクロ波を発振し、このマイクロ波を高出力半導体増幅器14に供給する。高出力半導体増幅器14は、マイクロ波を増幅しプラズマを発生させるために必要なパワーにまで増幅する。増幅されたマイクロ波は整合器16を介して、高圧容器18のアンテナ18aに印加される。整合器16は、高圧容器18内のインピーダンスとの整合をとるための整合器16であるが、プラズマが発生する前の状態と、プラズマが発生した後の状態では、インピーダンスが大きく異なるので、整合器16もそれにあわせてパラメータを変更して、良好な整合をとるように調整される。整合器16の調整は種々の方法で行われるが、例えば整合器16の入力と出力の波形を比較して反射波を観測し、その反射波の状態から整合器16の調整を行う手法等が利用される。
高圧容器18内にはプラズマの源である気体が封入されている。高圧容器18には大気圧より高い圧力の気体が封入されており、その気体に対してアンテナ18aが設けられている。このアンテナ18aから気体に対してマイクロ波を放射することによって、高圧容器18内にマイクロ波エネルギーを投入し、気体をプラズマ状態に維持する。
アンテナ18aから放射されるマイクロ波は、プラズマを維持する程度の大きさの出力に調整されている。しかし、プラズマが発生していない状態からプラズマを発生させるためには、一般により大きな出力のマイクロ波が必要となる。そのため、初期にプラズマを安定して発生させるために、高電圧発生器20が設けられている。高電圧発生器20は、高電圧の信号を発生しており、スイッチ22を介して、起動電極18bに接続している。プラズマを発生させたい場合に、スイッチ22を瞬間的にON動作させることによって、高電圧の信号を起動電極18bに印加し、高圧容器18内に電子を放出させて、(初期)プラズマを発生させる。一度プラズマが発生した後は、アンテナ18aから放射されるマイクロ波によって、マイクロ波エネルギーが投入され、プラズマが維持される。
なお、高圧容器18内の気体はどのような種類の気体でもよく、混合気体でもよい。また、プラズマは発生する前と後では一般的に高圧容器18の内部の圧力が大きく変化するが、それらの圧力に耐えられるように高圧容器18の耐圧が設定されている。
このように、図7のマイクロ波プラズマ生成装置10は、初期のプラズマ発生のための高電圧発生器20を備えることによって、プラズマを維持するための高出力半導体増幅器14を比較的小さく構成することができる。なお、高電圧発生器20は、イグナイター(Igniter)と呼ばれる場合もある。
図8には、マグネトロン32を使用した従来のマイクロ波プラズマ生成装置30の構成ブロック図が示されている。マグネトロン32は、比較的簡単な構造で大きな出力のマイクロ波を発生できるので、図6の構成と異なり、高電圧発生器20がなくても、初期のプラズマを発生させることができる。また、マグネトロン32は、出力を大きくすることが容易であるので、高出力半導体増幅器14も使用せずに、マグネトロン32の出力信号を高圧容器40のアンテナ40aに印加する構成のマイクロ波プラズマ生成装置30を実現することができる。
但し、マグネトロン30は、所望の周波数以外の周波数の不要輻射(スプリアス)が多いので、それらを除去するためのフィルタ34が、マグネトロン30の出力端子に接続されている。フィルタ34を通過したマイクロ波は、図7のマイクロ波プラズマ生成装置10と同様に、整合器36を介して高圧容器40のアンテナ40aに印加される。
なお、整合器36は、導波管型が用いられることが多い。図8の例では、整合器36として導波管型を用いており、他方、アンテナ40aは同軸ケーブルに接続されている。そのため、図8の例では、整合器36と高圧容器40のアンテナ40aとの間は、導波管と同軸ケーブルとを接続する導波管/同軸変換器38を介して接続されている。
高圧容器40は、図7の高圧容器18と同様の高圧容器であり、プラズマの源となる気体が封入されている。しかし、図8の高圧容器40は、起動電極18bが備えられていない点で、図7の高圧容器18と異なる。このような構成によって、図8のマイクロ波プラズマ生成装置30は、高圧容器40内部において、高圧気体プラズマを生成することができる。
特許文献1
下記特許文献1においては、マイクロ波プラズマ処理装置において、マイクロ波の印加による放電を確実にする放電開始機構が開示されている。同文献によれば、放電管20の放電部近傍に交流高電圧トリガ50の出力端子51を取り付け、マイクロ波の投入印加の直後に放電管20の外壁に当該交流高電圧を印加する構成が開示されている。また、マイクロ波の整合のために、スタブチューナ32や終端整合器33が整合器として設けられている。
特開平7−240298号公報
従来のマイクロ波プラズマ生成装置は、図7や図8のような構成又は特許文献1のような構成を採用している。そのため、プラズマの発生する前の状態とプラズマ発生後の状態では導電状況が異なり、通常は、整合器16、36やスタブチューナ32や終端整合器33の調整を取り直す必要がある。
また、プラズマは温度や状態によって物理的な状態が時々刻々変動する可能性があるので、整合器16、36やスタブチューナ32や終端整合器33を常時調整する必要がある場合もある。このため、例えば、マイクロ波の反射波を検出してそれに基づき、整合器16、36やスタブチューナ32や終端整合器33のパラメータを調整するような仕組みが必要である。
また、図7で示した構成では、初期のプラズマ(初期プラズマ)を発生させるために、高電圧発生器20のようなイグナイターが必要である。また、初期のプラズマ(初期プラズマ)を発生させるために、特許文献1のマイクロ波プラズマ処理装置においては、交流高電圧トリガ50が必要である。
また、図8で示したマグネトロン32を使用した構成では、このイグナイターのような手段は不要とすることもできる。その一方、制御が困難な不要輻射(スプリアス)が発生する可能性があり、その不要輻射を抑制するための手段が必要となる。例えば、抑制する手段として、図8ではフィルタ34が示されている。また、マグネトロン32は、一般に、その発振周波数の安定性が悪いという欠点がある。
そこで、イグナイターのような初期プラズマを発生させる手段が不要となる簡易な構成のマイクロ波プラズマ生成装置があれば好ましい。併せて、マイクロ波プラズマ生成装置は、安定して動作することが望ましい。しかし、そのようなマイクロ波プラズマ生成装置は未だ知られていない。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易な構成で安定して動作するマイクロ波プラズマ生成装置を提供することである。
(1)本発明は、上記課題を解決するために、互いに異なる周波数のマイクロ波を発振し、出力するn個の発振器群と、前記n個の発振器群が出力するn個のマイクロ波を合成し、合成マイクロ波を出力する合成器と、プラズマを生成するプラズマ生成部と、を備え、前記プラズマ生成部は、前記合成マイクロ波が印加され、前記合成マイクロ波を放射して所定の気体のプラズマを生成するアンテナ、を含むマイクロ波プラズマ生成装置である。ここで、前記nは2以上の自然数である。
(2)また、本発明は、前記合成マイクロ波を増幅する半導体増幅器、を含み、前記アンテナには、前記半導体増幅器が増幅した前記合成マイクロ波が印加される(1)記載のマイクロ波プラズマ生成装置である。
(3)また、本発明は、前記半導体増幅器と前記アンテナとの間に設けられ、前記半導体増幅器と前記プラズマ生成部との間の整合をとる整合器、を含み、前記半導体増幅器が増幅した前記合成マイクロ波は、前記整合器を介して前記アンテナに印加される(2)記載のマイクロ波プラズマ生成装置である。
(4)また、本発明は、前記プラズマ生成部は、所定の気体を封入する容器であって、前記アンテナを内包する容器、を含み、前記アンテナは、前記容器の内部に前記合成マイクロ波を放射して前記容器の内部の前記所定の気体のプラズマを生成する(1)から(3)のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置である。
(5)また、本発明は、前記容器は、少なくとも大気圧以上の圧力の前記所定の気体が封入されている高圧容器である(4)に記載のマイクロ波プラズマ生成装置である。
(6)また、本発明は、前記合成マイクロ波には、産業科学医療用バンドに属する周波数の電磁波が含まれる、(1)から(5)のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置である。
(7)また、本発明は、前記n個の発振器群は、制御電圧によって発振周波数が決定されるn個の電圧制御発振器であって、前記制御電圧をそれぞれ調整することによって、互いに異なる周波数のマイクロ波を発振するn個の電圧制御発振器である、(1)から(6)のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置である。
(8)また、本発明は、前記n個の発振器群は、所定の周波数の信号を発振し、出力する基準発振器と、前記基準発振器が出力する信号の周波数の所定倍数の周波数の信号を出力するn個のPLL回路群であって、互いに異なる倍数の周波数の信号を出力するn個のPLL回路群と、を含み、前記n個のPLL回路群は、互いに異なる周波数のn個のマイクロ波を出力する、(1)から(6)のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置である。
(9)本発明は、上記課題を解決するために、互いに異なる周波数のマイクロ波を発振し、出力するn個の発振器と、n個のマイクロ波を合成し、合成マイクロ波を出力する合成器と、マイクロ波を放射するアンテナを具備してプラズマを生成するプラズマ生成部と、を備えたマイクロ波プラズマ生成装置を用いてプラズマを生成するマイクロ波プラズマ生成方法において、前記n個の発振器に、互いに異なる周波数のn個のマイクロ波を発振させ、出力させる発振工程と、前記合成器に、前記n個のマイクロ波を合成させ、合成マイクロ波を出力させる合成工程と、前記合成マイクロ波を、前記プラズマ生成部の前記アンテナに供給し、前記アンテナに前記合成マイクロ波を放射させて所定の気体のプラズマを生成するプラズマ生成工程と、を含むマイクロ波プラズマ生成方法である。ここで、前記nは、2以上の自然数である。
このように、本発明によれば、簡易な構成で安定して動作するマイクロ波プラズマ生成装置及び方法を提供することができる。
本実施形態に係るマイクロ波プラズマ生成装置の構成ブロック図である。 本実施形態に係る第1の発振器102−1の発振波形(2400MHz)を表すグラフである。 本実施形態に係る第2の発振器102−2の発振波形(2500MHz)を表すグラフである。 第1の発振器102−1の発振するマイクロ波と第2の発振器102−2が発振するマイクロ波の合成波(合成マイクロ波)の波形を表すグラフである。 合成前のマイクロ波の振幅が異なる値である場合の合成波のグラフである。 2430MHzと2470MHzとのマイクロ波を合成した合成マイクロ波の波形を描いたグラフである。 本実施形態に係る第3の発振器102−3の発振波形(2450MHz)を表すグラフである。 第1から第3の発振器102−1〜102−3の発振するマイクロ波を合成した合成マイクロ波の波形を表すグラフである。 n個の発振器群の構成の他の例を示す構成ブロック図である。 従来のマイクロ波プラズマ生成装置10の構成ブロック図である。 従来のマイクロ波プラズマ生成装置30の構成ブロック図である。
以下、本発明の好適な実施形態に係る積層型半導体装置を、図面に基づき詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
第1.基本構成
図1は、本実施形態に係るマイクロ波プラズマ生成装置100の構成ブロック図である。
まず、マイクロ波プラズマ生成装置100は、互いに異なる周波数のマイクロ波を発振するn個の発振器群102を備えている。ここで、nは2以上の自然数である。また、マイクロ波プラズマ生成装置100は、n個の発振器群102が出力するマイクロ波を合成する合成器104と、合成したマイクロ波(以下、合成マイクロ波と言う)を増幅する高出力半導体増幅器106と、プラズマを生成する高圧容器110と、高圧容器110と高出力半導体増幅器106との間に設けられて整合をとる整合器108と、を備えている。
図1で示す構成例においては、n個の発振器群102は、第1の発振器102−1と、第2の発振器102−2と、第3の発振器102−3と、・・・、更に第nの発振器102−nと、で構成される。n個の発振器群102は、2個以上であれば何個の発振器で構成されていてもよい。n個の発振器群102を構成する2個以上の発振器は、それぞれ互いに異なる周波数のマイクロ波を発振し、出力している。n個の発振器群102が出力するマイクロ波は、合成器104に供給される。
合成器104は、これらn個のマイクロ波を合成して合成マイクロ波を出力する。
高出力半導体増幅器106は、合成マイクロ波を増幅し、プラズマを生成するために必要な強度のマイクロ波を出力する。増幅された合成マイクロ波は、整合器108を介して高圧容器110内に露出しているアンテナ110aに供給される。なお、高出力半導体増幅器106は、請求の範囲の半導体増幅器の好適な一例に相当する。
整合器108は、高圧容器110に設けられているアンテナ110aに対するインピーダンスと、高出力半導体増幅器106のインピーダンスとのマッチング(整合)をとる手段である。なお、整合器108は、所定の整合条件で固定されている。すなわち、整合器108は、整合条件が可変である可変整合器ではなく、整合条件が固定の固定整合器である。
アンテナ110aは、供給された合成マイクロ波を高圧容器110の内部に放射してプラズマを生成する。
高圧容器110の内部はプラズマの源となる所定の気体が充填されている。この気体はプラズマの源となればどのような気体でもよく、酸素でも窒素でもよいし、ヘリウムやアルゴン等でもよい。また、空気のような混合気体でもよい。これらの気体は、いわゆる「高圧」で充填されていることが好ましいが、少なくとも大気圧以上であればよい。
高圧容器110は、アンテナ110aと共に、請求の範囲の「プラズマ生成部」を構成し、「プラズマ生成部」の好適な一例に相当する。また、高圧容器110は、請求の範囲の「容器」の好適な一例にも相当する。
本実施形態では、プラズマ源となる気体を封入する容器として密閉することができる高圧容器110を例として説明したが、気体を保持することができる手段であればどのような構成でもよい。例えば気体が流れる管、又は管の一部分でもよい。また、気体圧縮機の一部分であってもよい。
更に、気体を保持することができる手段としての容器が不要な場合もあり得る。容器が存在していなくても、大気圧の気体は存在し得るからである。この場合、請求の範囲の「プラズマ生成部」は、アンテナ110aで構成されることになる。
第2.2個の周波数のマイクロ波の合成
n=2の場合を例にして、本実施形態に係るマイクロ波プラズマ生成装置100の動作を説明する。n=2の場合とは、第1の発振器102−1と、第2の発振器102−2と、を用いた場合であり、2個の周波数のマイクロ波を利用する場合である。ここでは、第1の発振器102−1が、2400MHzのマイクロ波を発振し、第2の発振器102−2が、2500MHzのマイクロ波を発振する例を説明する。周波数は他の周波数でもよいが、第1の発信器102−1と第1の発信器102−2との間で互いに異なる周波数であればよい。
図2Aは、第1の発振器102−1が発振する2400MHzのマイクロ波の波形を表すグラフであり、横軸は時間を表し、縦軸は振幅を表す。但し、振幅は相対値である。ここでは、合成前の各マイクロ波の振幅は「1」として表現している。
図2Aのグラフにおいて、振幅をyで表せば、振幅yは、y=cos(2πf1t)と表現される。ここで、πは円周率であり、f1は、本実施形態では周波数2400MHzである。また、tは時間(秒)である。
図2Bは、第2の発振器102−2が発振する2500MHzのマイクロ波の波形を表すグラフであり、図2Aと同様に横軸は時間を表し、縦軸は振幅を表す。同様に、振幅は「1」として表現している。図2Bのグラフも、振幅yは、y=cos(2πf2t)と表現される。図2Aとの相違は、f2=2500MHzである点である。
このように、第1の発信器102−1が2400MHzを発振し、出力する。そして、第2の発信器102−2が2400MHzを発振し、出力する。これらの動作は、請求の範囲の発振工程の好適な一例に相当する。
次に、合成器104が、これら2400MHzのマイクロ波と2500MHzのマイクロ波とを合成し、合成マイクロ波を出力する。
図2Cは、2400MHzと2500MHzとのマイクロ波の合成波の波形が示されているグラフである。その振幅をyで表せば、振幅yを表す式は、下記のように求められる。
y=cos(2πf1t)+cos(2πf2t)
=2cos(2π((f1+f2)/2)t)
・cos(2π((f1−f2)/2)t)
図2Cに示すように、この合成マイクロ波の波形は、10nsec毎に振幅が最大「2」となる波形となる。すなわち、位相が同相となって重なる場合は、振幅は2倍の「2」となり、他方、位相が逆相となって重なる場合は、打ち消し合って振幅は(理論上)「0」となる。このように、合成器104が2個の(複数個の)マイクロ波を合成し、合成マイクロ波を出力する動作は、請求の範囲の合成工程の好適な一例に相当する。
次に、高出力半導体増幅器106は、合成マイクロ波を増幅する。増幅された合成マイクロ波は、整合器108を介して高圧容器110のアンテナ110aに印加される。アンテナ110aは、印加された合成マイクロ波を、高圧容器110内に放射して、所定の気体のプラズマが生成される。このプラズマの生成の動作は、請求の範囲のプラズマ生成工程の好適な一例に相当する。
高電圧発生器を用いずに初期プラズマを発生することができる
本実施形態において特徴的なことは、このように、2個の発振器を用いてその合成マイクロ波を利用してプラズマを生成することである。その合成マイクロ波は、上述したように、周期的に「強」−「弱」を繰り返す信号となるので、プラズマを生成し維持するのに必要な出力に平均的な電力を維持しつつ、ピークの出力を大きくとることが可能となる。その結果、その大きなピーク出力によって、初期プラズマの発生を円滑に行うことが可能である。
したがって、従来、必要であった高電圧発生器(イグナイター)20の如き構成を備えなくても、初期プラズマを発生させることができ、円滑に起動・動作することが可能なマイクロ波プラズマ生成装置100を提供することができる。
なお、本文では、プラズマが発生していない状態から、最初に生み出されるプラズマを初期プラズマと呼んでいる。この初期プラズマにマイクロ波を印加し続けることによって初期プラズマを拡大し、維持することができる。
Droop現象の利用
更に、本実施形態においては、高出力半導体増幅器106の有するDroop現象を利用し、高出力半導体増幅器106の出力を増大させることを可能としている。
一般に、半導体増幅器の利得や出力電力は、入力信号を入力した瞬間に最大となり、その後、増幅器のジャンクション(junction)やチャネル(channel)の温度が上昇するにつれて利得及び出力電力は低下していく。そして、更に時間が経過し、ジャンクションやチャネルの温度が定常状態になると、利得や出力電力は安定し一定値となることが知られている。このような現象を、Droop現象、又は、Droop特性と呼び、例えば情報通信等の分野でマイクロ波を用いる場合は、半導体増幅器の留意すべき現象・特性の一つである。
Droop現象と合成マイクロ波の関係
本実施形態では、高出力半導体増幅器106が有するDroop特性と、合成マイクロ波の「強」−「弱」を繰り返す特性と、を利用して、通常の場合の定常増幅状態の出力電力を上回る大きさのマイクロ波出力を高出力半導体増幅器106に発生させている。
すなわち、2個のマイクロ波の位相が重なって、合成マイクロ波の出力が「強」である場合(ピーク出力の場合)は、高出力半導体増幅器106が通常出力可能な出力電力より大きな大きさのマイクロ波電力を、高出力半導体増幅器106に短時間発生させている。
この高出力の合成マイクロ波を、アンテナ110aを介して、高圧容器110内の高圧気体に印加して、いわゆるプラズマの点火(初期プラズマの発生)を容易にすることができる。この際、Droop現象によって、高出力半導体増幅器106の利得や出力電力は大きくなっているので、容易に高出力のマイクロ波出力を得ることができる。出力電力が一定の場合は、このまま時間が経過すると、Droop現象の影響によって、ジャンクション等の温度が上昇し、出力が低下すると考えられる。
これに関して、本実施形態においては、時間が経過すると、2個のマイクロ波が位相的に打ち消し合って、合成マイクロ波の出力が「弱」となった場合(ほぼ「0」となった場合)は、高出力半導体増幅器106に入力される電力は非常に小さくなる。この結果、本実施形態では、高出力半導体増幅器106を、冷却することができる。つまり、ピーク出力が供給されている場合に加熱された高出力半導体増幅器106のジャンクションやチャネルは、冷却される。この結果、Droop現象の影響を取り除くことができる。
そのため、本実施形態においては、再び2個のマイクロ波の位相が重なって、合成マイクロ波の出力が「強」となった場合に、高出力半導体増幅器106が通常出力可能な出力電力より大きな大きさのマイクロ波電力を、再び発生させることができる。
このように、本実施形態において特徴的なことは、「強」−「弱」を繰り返す合成マイクロ波を用いることによって、高出力半導体増幅器106が有するDroop現象の発生を効果的に利用し、その結果、高出力半導体増幅器106が通常出力できる出力電力よりも大きな出力電力を出力させることができることである。すなわち、Droop現象が利用されているので、高出力半導体増幅器106が通常有する利得や出力電力を一時的に大きくすることができ、より効率的な増幅を行うことができる。
なお、Droop現象は、多くの半導体増幅器において見られる現象であるが、その増幅器の動作(例えば、A級動作)によっては、ほとんどDroop現象が生じない場合もある。この場合は、Droop現象を利用しなくともよい。また、用途によっては、半導体増幅器の通常の出力が十分に大きい場合も考えられる。このような場合もまた、Droop現象を利用する必要性に乏しい。このようなDroop現象を利用しない場合でも、「強」−「弱」を繰り返す合成マイクロ波を利用することによって、簡易な構成のマイクロ波プラズマ生成装置100を実現することができる。
以上述べたようにして増幅された合成マイクロ波は、整合器108を介して高圧容器110のアンテナ110aに印加される。本実施形態における整合器108は、高出力半導体増幅器106の出力側の伝送インピーダンスと、高圧容器110のアンテナ110aのインピーダンス整合をとる手段であるが、従来と同様の整合器108を使用することができる。
特に、本実施形態においては、上述のように、2個の周波数のマイクロ波を合成した合成マイクロ波を用いて高圧気体をプラズマ化している。そのため、単一の周波数のマイクロ波を用いた場合に比べて、負荷インピーダンスの変動の影響は小さく、いわゆる制御のロバスト性は向上すると考えられる。
したがって、2個のマイクロ波を用いている本実施形態では、整合器108は、整合条件が固定された固定整合としている。このように固定整合としても、負荷変動の影響を受けにくいマイクロ波プラズマ生成装置100を実現できると考えられる。本実施形態では、このような固定整合を採用しているので、整合器108を調整するための手段が不要となり、より簡易な構成のマイクロ波プラズマ生成装置100を実現できる。なお、後述する3個の周波数のマイクロ波を合成する場合や、4個以上の複数個のマイクロ波を合成する場合でも、同様に固定整合の整合器108を利用することによって、簡易な構成のマイクロ波プラズマ生成装置100を実現できる。
アンテナ110aは、印加された合成マイクロ波を、高圧容器110内に放射して、所定の気体のプラズマを生成するが、そのプラズマ源となる気体はどのような気体でもよい。また、高圧容器110は、「高圧」と称しているが、その内部の気体の気圧は少なくとも大気圧以上であればよい。
一般的に、高圧力下のガスのプラズマ化では、初期プラズマの発生時(いわゆるプラズマの点灯時)に次のような方策が必要であった。第1の方策は、生成したプラズマを維持するマイクロ波の電力と比較してより大きなマイクロ波電力を初期プラズマの発生時に発生させることである。第2の方策は、上述した高電圧発生器20(イグナイター)のような電子放出源を備えることである。
従来は、これらのいずれかの方策が必要となっていたが、本実施形態によれば、上述したように、周期的に「強」−「弱」を繰り返す合成マイクロ波を使用することによって、イグナイターを用いずに、プラズマ化に必要なマイクロ波電力を得ることを可能である。また、合成マイクロ波を増幅する半導体増幅器を併せて利用することにより、イグナイターを用いずに、プラズマ化に必要なマイクロ波電力を得ることを可能である。更に、半導体増幅器が使用される場合において、半導体増幅器のDroop特性も併せて利用することにより、通常より小型の半導体増幅器を用いつつ、プラズマ化に必要なマイクロ波電力を得ることを可能である。
なお、周期的に「強」−「弱」を繰り返す合成マイクロ波のみによって、プラズマ化に必要なマイクロ波電力を得ることが可能である場合には、半導体増幅器は設けられなくてもよい。
第2−2.マイクロ波の振幅の調整
図2(A〜C)で説明した合成マイクロ波は、2個の異なる周波数のマイクロ波であって、振幅が同一(ともに「1」)のマイクロ波を合成する例を説明した。この場合、ピーク出力の振幅は、2倍の「2」となり、一方、位相が打ち消し合っている場合は、振幅は(理論上は)「0(ゼロ)」となる。そのため、高出力半導体増幅器106の冷却を効果的に行うことができるので、Droop現象を利用し、初期プラズマを効率的に発生させることができる。
しかし、マイクロ波を放射してプラズマを維持するという観点からは、振幅を完全に「0(ゼロ)」にするのではなく、一定の値を維持する方が好ましい場合も多い。つまり、2個のマイクロ波の位相が打ち消し合って、合成マイクロ波の振幅が小さくなる際の振幅を完全に「0(ゼロ)」とせずに、一定の値を維持させたい場合がある。
このように振幅が「0(ゼロ)」とならないようにするためには、合成する2個の異なる周波数のマイクロ波の振幅を異ならせることが考えられる。
2個の振幅が異なるマイクロ波を合成した場合の例が、図3に示されている。図3は振幅が「1」の2400MHzと、振幅が「0.7」の2500MHzのマイクロ波を合成した場合の、合成後の合成マイクロ波(合成波)の波形を描いたグラフである。この図3のグラフから明らかなように、合成マイクロ波の最大振幅(ピーク)は、「1.7」であり、最小振幅は、「0.3」である。これは、振幅の値が異なるため、位相が打ち消し合う場合でも,完全に打ち消し合わないためである。このように、合成するマイクロ波の振幅を異ならせることによって、合成マイクロ波の振幅が完全に「0(ゼロ)」にすることなく、一定の電力を維持させることが可能である。
なお、図3のグラフと図2Cのグラフとにおける相違点は、合成マイクロ波の振幅の値及びその変化である。しかし、合成マイクロ波のピーク(最大振幅)の間隔は、いずれの場合も同じく10nsecである。これは、合成前の各マイクロ波の周波数が、2400MHzと、2500MHzだからである。
第2−3.ピークの間隔の調整
図2C及び図3で説明した合成マイクロ波は、2400MHzと2500MHzとの2個の周波数のマイクロ波を合成する例を説明している。その結果、合成マイクロ波のピークの(出現)間隔は、ともに10nsecである。ピークの出現間隔は、上述したように、合成前のマイクロ波の振幅を変えても、出現間隔は10nsecであり、変わらない。
このピークの出現間隔は、使用している高出力半導体増幅器106のDroop特性を利用できるような時間間隔であることが好ましいので、適宜調整することが好適である。
ピークの出現間隔は、合成前の各マイクロ波の周波数の差の逆数である。例えば、周波数差が100MHzであれば、その逆数、1/100,000,000=10nsecがピーク出力間隔である。そのため、所望の時間間隔となるように、合成前のマイクロ波の周波数の差を設定すれば、合成マイクロ波のピークの出現間隔を、その所望の時間間隔とすることができる。
合成前の2個のマイクロ波の周波数を、それぞれ2430MHz、2470MHzとした場合の合成マイクロ波の波形のグラフが図4に示されている。このグラフも横軸は時間を表し、縦軸は振幅を表すが、振幅は相対値である。図4のグラフの例では、合成前の2個のマイクロ波の振幅がそれぞれ「1」であり、それらの合成マイクロ波(合成波)の最大振幅が「2」であることが示されている。また、周波数差が、40MHzであるため、その逆数1/40,000,000=25nsecが、ピークの出現間隔となる(図4参照)。
このように、合成前の各マイクロ波の周波数の差を調整すれば、合成マイクロ波のピークの出現間隔を任意の時間間隔に設定できるので、利用する高出力半導体増幅器106のDroop特性に合わせた時間間隔に容易に設定することができる。
また、本実施形態で用いている第1の発振器102−1、第2の発振器102−2等を電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)で構成すれば、制御電圧によって発振する周波数を調整することが容易であるため、より容易に合成マイクロ波のピークの出現間隔の調整をすることが可能となる。
第3.3個以上の周波数のマイクロ波の合成
これまでn=2の場合を例にして説明したが、n=3の場合のマイクロ波プラズマ生成装置100の動作を説明する。n=3の場合とは、第1の発振器102−1と、第2の発振器102−2とに加え、第3の発振器102−3を用いた場合であり、3個の周波数のマイクロ波を合成した合成マイクロ波を利用する場合である。
ここでは、第1の発振器102−1が、2400MHzのマイクロ波を発振し、第2の発振器102−2が、2500MHzのマイクロ波を発振し、第3の発振器102−3が2450MHzのマイクロ波を発振する例を説明する。
第1の発振器102−1が発振する2400MHzのマイクロ波の波形は、既に図2Aのグラフで説明した。また、第2の発振器102−2が発振する2500MHzのマイクロ波の波形も既に図2Bのグラフで説明した通りである。
第3の発振器102−3が発振する2450MHzのマイクロ波の波形が、図5Aのグラフに示されている。また、これら2400MHzと2450MHzと2500MHzとのマイクロ波の合成波の波形が、図5Bのグラフに示されている。このように、3個の周波数のマイクロ波を合成すれば、2個のピークを有する合成マイクロ波を得ることも可能である。4個以上の周波数のマイクロ波を合成すれば、様々なピークやその出現間隔を有するマイクロ波を得ることもできる場合がある。
このように、2個だけでなく、3個以上の発振器102を利用しても、合成器104を用いてそれらの合成マイクロ波を作成することによって、ピーク電力値や、そのピーク電力値の間隔を調整することができるので、対象としている高圧気体のプラズマ生成及び維持に適した信号を、より作成しやすくなる。発振器102の個数(マイクロ波の周波数の数)はいくら多くても問題ないが、多すぎれば構成がより複雑になると考えられるので、用途・目的を勘案した個数とすることが好適である。
なお、本実施形態では、主としてn=2、n=3に場合を中心に説明したが、nは2以上の自然数であり、特に上限はなく、n=4以上の場合も、上記n=2、n=3の場合と同様の作用・効果を奏する。
また、一般的に、各発振器102が発振するマイクロ波の初期位相がランダムの場合は、合成マイクロ波のピーク電力対平均電力の比は、10〜12dB程度が上限となると考えられる。したがって、合成マイクロ波を増幅する高出力半導体増幅器106におけるDroop現象を有効に利用することを考慮すると、互いに異なる周波数を発振する発振器102の個数をおよそ10個以上に増やしても、ピーク電力対平均電力の比を大きくすることは困難である。その結果、ピーク電力対平均電力の比を大きくすることを考えれば、互いに異なる周波数を発振する発振器102の個数は概ね10個程度が上限となる場合が多いと考えられる。
第4.整合器108の調整
これまで説明した例では、整合器108が固定整合の例を説明した。しかし、高出力半導体増幅器106に対して負荷となる高圧気体をプラズマ化する場合、プラズマを生成する前と、プラズマ生成後とでは、負荷インピーダンスが大きく変動する。そのため、整合器108は、その整合の動作を調整する機能を備えさせてもよい。例えば、整合器108の動作を調整する手段を付加的に各種設けさせてもよい。
また、プラズマの発生前や発生後、更には生成したプラズマの変動等によって、インピーダンスが変動するので、その変動を検出して整合器108の動作を調整してもよい。例えば、整合器108の入力と出力とを監視して、反射の有無等からインピーダンスの変動を検出し、その検出結果に基づき整合器108の動作を調整してもよい。
なお、マイクロ波プラズマ生成装置100としては、整合器108の調整手段の他に、実際にはアイソレータや、検波回路等の構成が必要となる場合が多いが、本発明とは直接関係しないため、説明を省略し、図1等でも図示されていない。
第5.発振器の他の構成例
これまで説明してきたように、本実施形態では互いに異なる複数の周波数のマイクロ波を合成した合成マイクロ波を利用してプラズマを生成することを特徴とする。この互いに異なる複数の(n個の)周波数を発振するために、複数個の(n個の)発振器102を用いる構成例を図1等で説明してきた。
このn個の発振器群102は、どのような発振器で構成してもよいが、例えばVCO(電圧制御発振器:Voltage Controlled Oscillator)でそれぞれ構成してもよい。制御電圧によって発振する周波数を変更することができるからである。すなわち、制御電圧をそれぞれ調整することによって、互いに異なる周波数のマイクロ波を発振するn個のVCOで、n個の発振器102を構成することができる。
なお、n個の発振器群102は、n個のマイクロ波を出力するという趣旨であり、その構成がn個に分離して分けられている必要はない。最終的にn個のマイクロ波が得られれば、1個の発振器がn個のマイクロ波を出力するような構成でもよい。
図6には、n個の発振器群102の他の構成例が示されている。図6に示すように、単一の基準発振器200(例えば、水晶発振器)を設け、その基準発振器が発振し出力する信号を、複数のPLL(Phase Locked Loop)回路群202のリファレンス発振器として使用し、互いに異なる周波数のマイクロ波を生成する構成を採用してもよい。図6では、第1のPLL回路202-1、第2のPLL回路202-2、第3のPLL回路202-3から、第nのPLL回路202-nまでn個のPLL回路群202が設けられている。これらn個のPLL回路群202は、基準発振器の信号の周波数を、互いに異なる数倍に変換して、互いに異なる周波数のマイクロ波を得ている。PLL回路群202のVCOから出力される信号の初期位相を、揃えることができる。このように、単一の基準発振器200を用いて、PLL回路群202によって複数のマイクロ波を得る構成によれば、発振するマイクロ波の初期位相を揃えやすくなるというメリットがある。
この図6に示すようなPLL回路群202も、実質的に、n個のマイクロ波を出力しているので、請求の範囲の「n個の発振器群」の好適な一例に相当する。
第6.利用分野
以上、本実施形態においては、複数のマイクロ波を合成した合成マイクロ波を用いてプラズマを生成する技術に関して説明した。この技術は、典型的には、マイクロ波プラズマ生成装置として具現化されるが、その他、種々の利用分野や応用分野がある。
(1)まず、本技術は、大気圧又はそれ以上の高圧力下において、プラズマ化した気体を利用する燃焼装置や、還元装置、分解装置、表面改質装置、クリーニング装置、コーティング装置に応用できる技術である。これらの装置は、プラズマ化した気体を利用して各種処理・加工を行う装置であり、本技術を利用して生成したプラズマを利用して各種処理・加工を行わせることが好適である。ここで、プラズマ化する気体は、単一の気体でもよいし、複数種類の気体が混合された混合気体でもよい。
(2)また、本技術は、高圧気体を利用した高輝度プラズマ光源や、特殊な波長の光を発光するプラズマ光源等におけるプラズマの生成に利用することができる。
(3)また、紫外線を発光する各種システムの紫外線発光に、本技術によるプラズマを利用することができる。例えば、紫外線を利用して気体や水を殺菌する装置が知られており、係る紫外線の発光に本技術によるプラズマを利用することができる。また例えば、紫外線を利用してエチレン等の有機化合物ガスの分解を行う装置が知られており、このような紫外線の発光にも本技術のプラズマを利用することができる。
第7.マイクロ波
これまで説明してきたように本実施形態ではマイクロ波を利用してプラズマを生成している。このマイクロ波(及び合成マイクロ波)は、プラズマを生成するために用いられるマイクロ波であれば、どのような周波数の電磁波でもよい。特に、本特許のマイクロ波は、少なくとも、300MHz〜3THzの範囲の電磁波を含めてよい。
更に、本特許におけるマイクロ波及び合成マイクロ波は、少なくとも、いわゆるISMバンド(Industry Science Medical Band:産業科学医療用バンド)を含めてよい。このISMバンドは、電波を通信以外の産業・科学・医療の分野で高周波エネルギー等として利用するバンドであり、このISMバンドを利用してプラズマを生成することはマイクロ波プラズマ生成装置100の好適な構成の一例として挙げられる。
本特許における「(合成)マイクロ波」が含むISMバンドには、例えば、下記のような周波数帯が含まれてよいが、これより高い周波数の電磁波を含んでもよい。
13560kHz (13553 − 13567kHz)
27120kHz (26957 − 27283kHz)
40.68MHz (40.66 − 40.70MHz)
915MHz (902 − 928MHz)
2450MHz (2400 − 2500MHz)
5800MHz (5725 − 5875MHz)
24.125GHz(24 − 24.25GHz)
6780kHz (6765 − 6795kHz)
433.92MHz (433.05 − 434.79MHz)
61.25GHz (61 − 61.5GHz)
122.5GHz (122 − 123GHz)
245GHz (244 − 246GHz)
第8.まとめ
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
10、30、100 マイクロ波プラズマ生成装置
12 発振器
14、106 高出力半導体増幅器
16、36、108 整合器
18、40、110 高圧容器
18a、40a、110a アンテナ
18b 起動電極
20 高電圧発生器(イグナイター)
22 スイッチ
32 マグネトロン
34 フィルタ
38 導波管/同軸変換器
102−1 第1の発振器
102−2 第2の発振器
102−3 第3の発振器
102−n 第nの発振器
104 合成器
200 基準発振器
202−1 第1のPLL回路
202−2 第2のPLL回路
202−3 第3のPLL回路
202−n 第nのPLL回路

Claims (8)

  1. 互いに異なる周波数のマイクロ波を発振し、出力するn個の発振器群と、
    前記n個の発振器群が出力するn個のマイクロ波を合成し、合成マイクロ波を出力する合成器と、
    前記合成マイクロ波を増幅する半導体増幅器と、
    プラズマを生成するプラズマ生成部と、
    を備え、
    前記プラズマ生成部は、
    前記合成マイクロ波が印加され、前記合成マイクロ波を放射して所定の気体のプラズマを生成するアンテナ、
    を含み、
    前記アンテナには、前記半導体増幅器が増幅した前記合成マイクロ波が印加されるマイクロ波プラズマ生成装置ここで、前記nは2以上の自然数である。
  2. 前記半導体増幅器と前記アンテナとの間に設けられ、前記半導体増幅器と前記プラズマ生成部との間の整合をとる整合器、
    を含み、
    前記半導体増幅器が増幅した前記合成マイクロ波は、前記整合器を介して前記アンテナに印加される請求項1記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  3. 前記プラズマ生成部は、
    所定の気体を封入する容器であって、前記アンテナを内包する容器、
    を含み、前記アンテナは、前記容器の内部に前記合成マイクロ波を放射して前記容器の内部の前記所定の気体のプラズマを生成する請求項1又は2に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  4. 前記容器は、少なくとも大気圧以上の圧力の前記所定の気体が封入されている高圧容器である請求項3に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  5. 前記合成マイクロ波には、産業科学医療用バンドに属する周波数の電磁波が含まれる、請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  6. 前記n個の発振器群は、
    制御電圧によって発振周波数が決定されるn個の電圧制御発振器であって、前記制御電圧をそれぞれ調整することによって、互いに異なる周波数のマイクロ波を発振するn個の電圧制御発振器である、請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  7. 前記n個の発振器群は、
    所定の周波数の信号を発振し、出力する基準発振器と、
    前記基準発振器が出力する信号の周波数の所定倍数の周波数の信号を出力するn個のPLL回路群であって、互いに異なる倍数の周波数の信号を出力するn個のPLL回路群と、
    を含み、前記n個のPLL回路群は、互いに異なる周波数のn個のマイクロ波を出力する、請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  8. 互いに異なる周波数のマイクロ波を発振し、出力するn個の発振器と、
    n個のマイクロ波を合成し、合成マイクロ波を出力する合成器と、
    合成マイクロ波を増幅する半導体増幅器と、
    マイクロ波を放射するアンテナを具備してプラズマを生成するプラズマ生成部と、
    を備えたマイクロ波プラズマ生成装置を用いてプラズマを生成するマイクロ波プラズマ生成方法において、
    前記n個の発振器に、互いに異なる周波数のn個のマイクロ波を発振させ、出力させる発振工程と、
    前記合成器に、前記n個のマイクロ波を合成させ、合成マイクロ波を出力させる合成工程と、
    前記半導体増幅器に、前記合成マイクロ波を増幅させ、増幅された前記合成マイクロ波を、前記プラズマ生成部の前記アンテナに供給し、前記アンテナに増幅された前記合成マイクロ波を放射させて所定の気体のプラズマを生成するプラズマ生成工程と、
    を含むマイクロ波プラズマ生成方法。ここで、前記nは、2以上の自然数である。
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