1.第1発明
[第1−1実施形態]
図1において、放射線としてX線を用いて撮影を行うX線撮影システム10は、X線発生装置11と、X線撮影装置12とを備え、例えば医療施設内の放射線科の撮影室内に設置される。X線発生装置11は、X線源13と、X線源13を制御する線源制御装置14と、線源制御装置14に接続された照射スイッチ15とを有する。X線撮影装置12は、放射線画像検出装置である電子カセッテ16と、コンソール17とを有する。
撮影室には、X線撮影システム10の他に、被写体である患者Pを立位姿勢で撮影する立位撮影台18と、患者Pを臥位姿勢で撮影する臥位撮影台19とが設置されている。X線源13は、立位撮影台18と臥位撮影台19とで共用される。なお、図1では、立位撮影台18に電子カセッテ16がセットされて、立位姿勢で患者PのX線撮影が行われている様子を示している。
X線源13は、周知のように、X線を発生するX線管と、X線管から発生されたX線の患者Pへの照射野を限定する照射野限定器(コリメータともいう)とを有する。線源制御装置14は、X線管に与える管電圧、管電流、およびX線の照射時間を制御する。線源制御装置14には、管電圧、管電流、および照射時間からなるX線の照射条件が、胸部、腹部等の撮影部位に応じて予め複数種類記憶されており、その中から所望の照射条件がオペレータにより選択入力される。この照射条件は、患者Pの体型等を考慮して、オペレータが微調整することも可能である。
照射スイッチ15は、X線の照射を開始する際にオペレータにより操作される。照射スイッチ15は2段押下型であり、照射スイッチ15が1段目まで押された(半押しされた)とき、線源制御装置14はX線源13にX線を照射する前の準備動作を開始させる。照射スイッチ15が2段目まで押された(全押しされた)とき、線源制御装置14はX線源13によるX線の照射を開始させる。線源制御装置14はX線の照射が開始されたときに計時を開始するタイマーを有し、タイマーで計時した時間が照射条件で設定された照射時間となったとき、X線源13によるX線の照射を停止させる。
電子カセッテ16は、X線源13から照射されて患者Pを透過したX線に基づくX線画像を検出する。コンソール17は、例えばノート型パーソナルコンピュータといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステム等の制御プログラムや、各種アプリケーションプログラムをインストールして構成される。コンソール17は、ディスプレイ20およびタッチパッドやキーボード等の入力デバイス21を有する。コンソール17は、GUI(Graphical User Interface)による操作機能が備えられた各種操作画面をディスプレイ20に表示し、各種操作画面を通じて入力デバイス21からのオペレータによる各種操作指示の入力を受け付ける。
電子カセッテ16とコンソール17は、相互に無線通信を行うための無線通信部22、23を備えている。電子カセッテ16とコンソール17は、これら各無線通信部22、23を介して、撮影メニューを含む各種情報やX線画像を無線通信する。
各無線通信部22、23は、アンテナ、変復調回路、伝送制御部等で構成されている。変復調回路は、送信するデータを搬送波(キャリアともいう)に載せる変調と、アンテナで受信した搬送波からデータを取り出す復調を行う。伝送制御部は、無線LAN(Local Area Network)規格に準拠した伝送制御を行う。
コンソール17は、オペレータにX線撮影を指示する撮影オーダの入力を受け付ける。撮影オーダは、例えば放射線情報システム(RIS;Radiology Information System、図示せず)からコンソール17に入力される。
図2において、撮影オーダは、オーダID(Identification Data)、患者ID、撮影部位/姿勢/方向等の項目を有する。オーダIDは、個々の撮影オーダを識別する記号や番号であり、RISにより自動的に付される。患者IDの項目には撮影対象の患者Pの患者IDが記される。患者IDは個々の患者Pを識別する記号や番号である。
撮影部位/姿勢/方向の項目には、撮影オーダを発行した医師が指定した撮影部位、姿勢、および撮影方向が記される。撮影部位は、頭部、頸椎、胸部、腹部、手、指、肘、膝等の人体の部位である。姿勢は立位、臥位、座位等の患者Pの姿勢、撮影方向は正面、側面、背面等のX線に対する患者Pの向きである。図示は省略するが、撮影オーダには、上記の各項目の他に、患者Pの氏名、性別、年齢、身長、体重といった患者情報の項目が設けられている。なお、撮影オーダを発行した診療科、撮影オーダを発行した医師、RISで撮影オーダを受け付けた日時、術後の経過観察や治療薬の効果判定等の撮影目的、医師からオペレータへの申し渡し事項といった項目を設けてもよい。
なお、撮影オーダは、1人の患者Pに対して1つの場合もあれば、1人の患者Pに対して同時に複数発行される場合もある。1人の患者Pに対して同時に複数撮影オーダが発行された場合は、1人の患者Pに対するものであることを示す識別符号が複数の撮影オーダのオーダIDに付される。
コンソール17には、図3に示すメニュー・条件テーブル25が記憶されている。メニュー・条件テーブル25には、撮影部位、姿勢、および撮影方向が1セットとなった撮影メニューと、これに対応する照射条件とが関連付けて登録されている。なお、上記の撮影メニューから姿勢を除いた撮影部位および撮影方向が1セットとなった撮影メニューや、トモシンセシス撮影といった特殊撮影に対応した撮影メニューを設けてもよい。
コンソール17は、オペレータの操作により、図2に示す撮影オーダの内容をリスト化した撮影オーダリストをディスプレイに表示する。オペレータは、撮影オーダリストを閲覧して撮影オーダの内容を確認する。次いでコンソール17は、メニュー・条件テーブル25の内容を、撮影メニューを設定可能な形態でディスプレイに表示する。オペレータは、撮影オーダで指定された撮影部位/姿勢/方向と一致する撮影メニューを選択して設定する。また、オペレータは、選択した撮影メニューに対応する照射条件に見合った照射条件を、線源制御装置14に設定する。
コンソール17は、オペレータにより設定された撮影メニュー、および設定された撮影メニューに対応する照射条件、オーダID、自身を識別する記号や番号であるコンソールID等の各種情報を、撮影準備指示として無線通信部23を介して電子カセッテ16に送信する。
また、コンソール17は、電子カセッテ16からのX線画像を、例えばDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠した形式の画像ファイルとし、これを医療画像保管通信システム(PACS;Picture Archiving and Communication System、図示せず)に送信する。画像ファイルは、X線画像と、オーダID、患者情報、撮影メニュー、照射条件、電子カセッテ16を識別する記号や番号であるカセッテID等の画像付帯情報とが、1つの画像IDで関連付けられたものである。撮影オーダを発行した診療科の医師は、診療科の端末等でPACSにアクセスして画像ファイルをダウンロードし、X線画像を閲覧することが可能である。
図4において、電子カセッテ16は、センサパネル30と、回路部31と、これらを収容する直方体形状をした持ち運び可能な筐体32とで構成される。筐体32は、例えば、フイルムカセッテやIP(Imaging Plate)カセッテ、CR(Computed Radiography)カセッテと略同様の、国際規格ISO(International Organization for Standardization)4090:2001に準拠した大きさである。なお、筐体32には、センサパネル30と回路部31の他にも、前述の無線通信部22や、電子カセッテ16の各部に電力を供給するバッテリ65(図5参照)、コンソール17とケーブルを介して有線接続するための有線通信部66(図5参照)等が収容されている。無線通信部22を使用した場合には、電子カセッテ16はバッテリ65からの電力で駆動され、いわゆるワイヤレスで使用することができる。
筐体32の前面32Aには矩形状の開口が形成されており、開口にはX線透過性を有する透過板33が取り付けられている。電子カセッテ16は、X線源13と前面32Aが対向する姿勢で位置決めされる。なお図示は省略するが、筐体32には、電源のオン/オフを切り替えるスイッチや、バッテリ65の残り使用時間、撮影準備完了状態といった電子カセッテ16の動作状態を報せるインジケータが設けられている。
センサパネル30は、シンチレータ34と光検出基板35とで構成される。シンチレータ34と光検出基板35は、X線が入射する前面32A側からみてシンチレータ34、光検出基板35の順に積層されている。シンチレータ34は、CsI:Tl(タリウム賦活ヨウ化セシウム)やGOS(Gd2O2S:Tb、テルビウム賦活ガドリニウムオキシサルファイド)等の蛍光体を有し、透過板33を介して入射したX線を可視光に変換して放出する。なお、X線が入射する前面32A側からみて光検出基板35、シンチレータ34の順に積層したセンサパネルを用いてもよい。また、アモルファスセレン等の光導電膜によりX線を直接電荷に変換する直接変換型のセンサパネルを用いてもよい。
光検出基板35は、シンチレータ34から放出された可視光を検出して電荷に変換する。回路部31は、光検出基板35の駆動を制御するとともに、光検出基板35から出力された電荷に基づきX線画像を生成する。
図5において、光検出基板35は、ガラス基板(図示せず)上に、N行×M列の二次元マトリックス状に配列された画素40と、N本のゲート線41と、M本の信号線42とが設けられたものである。ゲート線41は、画素40の行方向に沿うX方向に延伸し、かつ画素40の列方向に沿うY方向に所定のピッチで配置されている。信号線42は、Y方向に延伸し、かつX方向に所定のピッチで配置されている。ゲート線41と信号線42とは直交しており、ゲート線41と信号線42の交差点に対応して画素40が設けられている。
N、Mは2以上の整数である。本例ではN=2880、M=2304(図7参照)として説明する。なお、画素40の行列数は、これに限定されない。また、画素40の配列は、図5のように正方配列でなくともよく、画素40を45°傾けて、かつ画素40を千鳥状に配置してもよい。
各画素40は、周知のように、可視光の入射によって電荷(電子−正孔対)を発生してこれを蓄積する光電変換部43、およびスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)44を備える。光電変換部43は、電荷を発生する半導体層とその上下に上部電極および下部電極を配した構造を有している。半導体層は例えばPIN(p-intrinsic-n)型であり、上部電極側にN型層、下部電極側にP型層が形成されている。TFT44は、ゲート電極がゲート線41に、ソース電極が信号線42に、ドレイン電極が光電変換部43の下部電極にそれぞれ接続されている。なお、スイッチング素子の種類としては、TFT型ではなく、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型のセンサパネルを用いてもよい。
光電変換部43の上部電極にはバイアス線(図示せず)が接続されている。このバイアス線を通じて上部電極に正のバイアス電圧が印加される。正のバイアス電圧の印加により半導体層内に電界が生じる。このため、光電変換により半導体層内で発生した電子−正孔対のうちの電子は、上部電極に移動してバイアス線に吸収され、正孔は、下部電極に移動して電荷として収集される。
回路部31には、ゲート駆動部50、信号処理回路51、メモリ52、給電部53、およびこれらを制御する制御部54が設けられている。
ゲート駆動部50は、各ゲート線41の端部に接続され、TFT44を駆動するゲートパルスG(R)(R=1〜N)を発する。制御部54は、ゲート駆動部50を通じてTFT44を駆動し、かつ信号処理回路51を制御することにより、画素40から暗電荷を読み出してリセット(破棄)する画素リセット動作と、X線の到達線量に応じた電荷を画素40に蓄積させる画素電荷蓄積動作と、診断に供するX線画像を読み出すための画像読み出し動作と、X線の照射開始を検出するためのAED動作とを実行する。
画像読み出し動作は、X線の照射開始後、画素電荷蓄積期間が経過してから、画素40から信号線42を通じて電荷を読み出して、読み出した電荷に対応するデジタル信号が表すX線画像を出力する動作である。対してAED動作は、X線の照射開始前から、画素40から信号線42を通じて電荷を読み出して、読み出した電荷に対応するデジタル信号に基づいてX線の照射開始を検出する動作である。
信号処理回路51は、信号線42を通じて、画素40から電荷に応じたアナログの電圧信号V(C)(C=1〜M)を読み出して信号処理を行う。信号処理回路51は、CA60、相関二重サンプリング回路(以下、CDS(Correlated Double Sampling))61、MUX部62、およびADC部63を含む。
CA60は、信号線42毎に設けられ、かつ信号線42の一端に接続されている。CA60は、画素40から信号線42を通じて流入する電荷に応じたアナログの電圧信号V(C)を出力する。CDS61は、CA60と同様に信号線42毎に設けられている。CDS61は、CA60からのアナログの電圧信号V(C)に対して周知の相関二重サンプリング処理を施し、アナログの電圧信号V(C)からCA60のリセットノイズ成分を除去する。
MUX部62にはCA60が接続されている。CA60とMUX部62の間には、CDS61が配置されている。さらにMUX部62の後段にはADC部63が接続されている。MUX部62は、CDS61を介して入力される複数のCA60からのアナログの電圧信号V(C)を順次選択して、選択したアナログの電圧信号V(C)をADC部63に出力する。ADC部63は、MUX部62からのアナログの電圧信号V(C)を、その電圧値に応じたデジタル信号DS(C)に変換するAD変換処理を実行する。そして、変換したデジタル信号DS(C)をメモリ52に出力する。メモリ52は、ADC部63からのデジタル信号DS(C)を記憶する。メモリ52は、少なくとも1画面分のX線画像を記憶する容量を有する。
給電部53は、制御部54の制御の下、バッテリ65からの電力を各部に供給する。バッテリ65は、例えば筐体32の前面32Aとは反対側の背面に着脱自在に装着される。
制御部54は、無線通信部22または有線通信部66で受信されたコンソール17からの各種情報を受け取り、各種情報に応じた制御を行う。例えば、制御部54は、照射条件に応じて信号処理回路51の処理条件を変更する。
図6において、CA60は、オペアンプ70、キャパシタ71、およびアンプリセットスイッチ72を有する。オペアンプ70は、2つの入力端子と1つの出力端子を有し、2つの入力端子の一方に信号線42が接続され、他方にグランド線が接続されている。キャパシタ71およびアンプリセットスイッチ72は、信号線42が接続された入力端子と、出力端子との間に並列接続されている。
CA60は、信号線42から流入する電荷をキャパシタ71に蓄積することにより積算し、積算値に対応する電圧値、すなわちアナログの電圧信号V(C)を出力する。アンプリセットスイッチ72は、制御部54により駆動制御される。アンプリセットスイッチ72をオン状態とすることで、キャパシタ71に蓄積された電荷がリセット(破棄)される。
CDS61は、第1サンプルホールド回路(以下、S/Hと略す)73Aおよび第2S/H73Bと、差動アンプ74とを有する。第1S/H73Aは、TFT44がオフ状態の場合に、CA60のリセットノイズ成分をサンプルして保持する。第2S/H73Bは、TFT44がオン状態とされて流入した電荷に基づき、CA60から出力されるアナログの電圧信号V(C)をサンプルして保持する。差動アンプ74は、両S/H73A、73Bに保持されたリセットノイズ成分とアナログの電圧信号V(C)の差分を取る。これにより、ノイズが除去されたアナログの電圧信号V(C)が出力される。
図7において、ゲート駆動部50は、例えば、第1〜第12の計12個のゲート駆動回路75を有する。各ゲート駆動回路75は、各ゲート線41を分担している。画素40の行N=2880であるため、第1ゲート駆動回路75には画素40の1行目〜240行目のゲート線41、第2ゲート駆動回路75には241行目〜480行目のゲート線41、というように、1個のゲート駆動回路75には2880/12=240本のゲート線41が接続されている。このため、1個のゲート駆動回路75は、240行分の画素40からの電荷の読み出しを担当する。
MUX部62は、例えば、第1〜第16の計16個のMUX76を有する。各MUX76は、各信号線42を分担している。画素40の列M=2304であるため、第1MUX76には画素40の1列目〜144列目の信号線42、第2MUX76には145列目〜288列目の信号線42、というように、1個のMUX76には2304/16=144本の信号線42が接続されている。このため、1個のMUX76は、144列分の画素40からの電荷に基づくアナログの電圧信号V(C)を選択的に出力する。以下、この隣接する複数の信号線42に接続された画素40で構成される領域をエリアAR(AR1〜AR16)という。
各MUX76は、複数の入力端子を有している。この複数の入力端子に、CDS61を間に入れて複数のCA60が接続されている。
ADC部63は、MUX部62の第1〜第16MUX76と同様に、第1〜第16の計16個のADC77を有する。これら第1〜第16ADC77は、第1〜第16MUX76の後段にそれぞれ接続されている。第1〜第16MUX76はエリアAR1〜AR16毎に設けられているので、第1〜第16ADC77もエリアAR1〜AR16毎に設けられている。
第1ADC77は第1MUX76から順次出力されるアナログの電圧信号V(1)〜V(144)をデジタル信号DS(1)〜DS(144)に変換し、第2ADC77は第2MUX76から順次出力されるアナログの電圧信号V(145)〜V(288)をデジタル信号DS(145)〜DS(288)に変換する、というように、1個のADC77は、144列分の画素40からの電荷に基づくデジタル信号DS(V)のAD変換処理を分担する。
図8に示すように、1個のMUX76と、その入力端子に接続された複数のCA60およびCDS61と、MUX76の出力端子に接続された1個のADC77とは、1つのブロックBLを構成する。ブロックBLは、エリアARと同数の16個ある。
破線で示すように、隣接する4つのエリアAR1〜AR4を各々担当するCA60、CDS61、MUX(第1〜第4MUX)76、およびADC(第1〜第4ADC)77で構成されるブロックBL1〜BL4は、同一のチップCP1に実装されている。同様にして、エリアAR5〜AR8を各々担当するCA60、CDS61、MUX(第5〜第8MUX)76、およびADC(第5〜第8ADC)77で構成されるブロックBL5〜BL8はチップCP2に実装されている。エリアAR9〜AR12を各々担当するCA60、CDS61、MUX(第9〜第12MUX)76、およびADC(第9〜第12ADC)77で構成されるブロックBL9〜BL12はチップCP3に実装されている。エリアAR13〜AR16を各々担当するCA60、CDS61、MUX(第13〜第16MUX)76、およびADC(第13〜第16ADC)77で構成されるブロックBL13〜BL16はチップCP4に実装されている。これらのチップCP1〜CP4は、物理的に完全に分離されている。
なお、ゲート駆動回路75の個数、および1個のゲート駆動回路75が担当する画素40の行の数は、本例の12個および240行に限らない。同様に、MUX76およびADC77の個数(ブロックBLの個数)、および1個のMUX76およびADC77が担当する画素40の列の数(1つのブロックBLに含まれる画素40の列の数)、さらには1つのチップCPを構成するブロックBLの数も、本例に限らず任意である。例えば、1つのブロックBLに含まれる画素40の列の数を256列とし、ブロックBLの個数を9個としてもよい。また、1つのブロックBLに含まれる画素40の列の数を128列とし、ブロックBLの個数を18個としてもよい。
図9は、一例として1列目〜144列目のエリアAR1のデジタル信号DS(1)〜DS(144)の読み出し手順を示したものである。図9では、信号線42を通じて画素40から読み出された電荷に応じた、リセットノイズ除去済みのアナログの電圧信号V(1)〜V(144)が、CDS61の出力端子に現れている状態を示している。
この状態において、まず図9Aに示すように、第1MUX76によって1列目のアナログの電圧信号V(1)が選択される。これによりアナログの電圧信号V(1)が第1ADC77に入力され、第1ADC77によってデジタル信号DS(1)に変換される。次いで図9Bに示すように、第1MUX76によって2列目のアナログの電圧信号V(2)が選択される。これによりアナログの電圧信号V(2)が第1ADC77に入力され、第1ADC77によってデジタル信号DS(2)に変換される。続いて図9Cに示すように、第1MUX76によって3列目のアナログの電圧信号V(3)が選択される。これによりアナログの電圧信号V(3)が第1ADC77に入力され、第1ADC77によってデジタル信号DS(3)に変換される。
こうした一連の動作が第1MUX76と第1ADC77において繰り返されることで、最終的には図9Dに示すように、144列目のアナログの電圧信号V(144)がデジタル信号DS(144)に変換されて、1列目〜144列目のエリアAR1のデジタル信号DS(1)〜DS(144)の読み出しが終了する。他のエリアAR2〜AR16の各MUX76および各ADC77についても同様である。
図10に示すように、制御部54は、コンソール17からの撮影メニューを含む各種情報である撮影準備指示を無線通信部22または有線通信部66から受け取ったときに、AED動作を開始する。AED動作では、画素40の光電変換部43で発生した電荷が、信号処理回路51によってデジタル信号DS(C)に変換されてメモリ52に記憶される。このAED動作でメモリ52に記憶されるデジタル信号DS(C)を、以下、線量信号DDS(C)と表現する。なお、制御部54は、撮影準備指示を受け取る前は待機動作をしている。待機動作は、光電変換部43の上部電極にバイアス電圧が印加されているのみで、信号処理回路51等には電力が供給されていない状態である。
線量信号DDS(C)は、予め定められた間隔で繰り返し読み出される。1回の読み出しによって得られる線量信号DDS(C)は、単位時間当たりのX線の入射線量に相当する。X線の照射が開始された場合、単位時間当たりのX線の入射線量は徐々に増加するので、それに応じて線量信号DDS(C)の値も増加する。
制御部54は、メモリ52に線量信号DDS(C)が記憶される毎に、メモリ52から線量信号DDS(C)を読み出して、線量信号DDS(C)と予め設定された照射開始判定閾値との大小を比較する。制御部54は、線量信号DDS(C)が照射開始判定閾値よりも大きくなった場合に、X線の照射が開始されたと判定する。これにより、線源制御装置14からX線の照射開始タイミングを報せるタイミング信号を受信することなく、電子カセッテ16でX線の照射開始を検出することができる。
X線の照射開始を検出した場合、制御部54は、画素リセット動作を行った後(図10では不図示)、画素電荷蓄積動作を行う。制御部54は、線源制御装置14と同様に、X線の照射開始を検出したときに計時を開始するタイマーを有し、タイマーで計時した時間がコンソール17で設定された照射条件の照射時間となったとき、X線の照射が終了したと判定する。制御部54は、X線の照射終了を検出すると、画素電荷蓄積動作を終了し、画像読み出し動作を行う。これにて1画面分のX線画像を得る1回のX線撮影が終了する。画像読み出し動作終了後、制御部54は、再び待機動作に戻る。
図11に示すように、画素リセット動作および画像読み出し動作では、1行目から2880行目まで順に、ゲート駆動回路75から各ゲート線41にゲートパルスG(R)が与えられる。画素リセット動作では、画素40からの電荷が信号線42を通じてCA60のキャパシタ71に流れて蓄積されるが、この電荷は、アンプリセットスイッチ72の作動によって読み出されることなく破棄される。
対して画像読み出し動作では、図9で示したように画素40からの電荷に基づくデジタル信号DS(C)が読み出され、診断に供するX線画像としてメモリ52に記憶される。以下、画像読み出し動作で読み出されるデジタル信号DS(C)を、AED動作の線量信号DDS(C)と区別するため、画像信号DIS(C)と表現する。
図12に示すように、制御部54は、画像読み出し動作中は、第1〜第16ADC77の全てを稼働状態(第1状態に相当)にする。そして、画像読み出し動作中、第1〜第16ADC77を、同じタイミングで並列的に動作させる。第1〜第16ADC77に接続された第1〜第16MUX76も、画像読み出し動作中は全て稼働状態にし、同じタイミングで並列的に動作させる。したがって、画像読み出し動作では、各エリアAR1〜AR16の先頭列から最終列まで順に、同じ列の画像信号DIS(C)が同じタイミングで読み出される。例えば各エリアAR1〜AR16の先頭列の1列目、145列目、289列目、・・・、2161列目の画像信号DIS(1)、DIS(145)、DIS(289)、・・・、DIS(2161)が同じタイミングで読み出される。さらには、第1〜第16MUX76に接続されたCA60およびCDS61も、画像読み出し動作中は全て稼働状態にされる。
画像読み出し動作が終了した後の待機動作では、制御部54は、第1〜第16ADC77の全てを非稼働状態(第2状態に相当)にする。第1〜第16MUX76、CA60、およびCDS61も、待機動作中は全て非稼働状態にされる。
図13に示すように、AED動作では、第1〜第12ゲート駆動回路75の各々が担当する先頭行から最終行まで順に、同じ行の各ゲート線41に同時にゲートパルスG(R)が与えられる。例えば第1ゲート駆動回路75の先頭行の1行目、第2ゲート駆動回路75の先頭行の241行目、第3ゲート駆動回路75の先頭行の481行目、・・・、第12ゲート駆動回路75の先頭行の2639行目の各ゲート線41に、同時にゲートパルスG(1)、G(241)、G(481)、・・・、G(2639)が与えられ、次いで先頭行の次の行の2行目、242行目、482行目、・・・、2640行目の各ゲート線41に、同時にゲートパルスG(2)、G(242)、G(482)、・・・、G(2640)が与えられる。
このように、AED動作では、240行間隔の計12行のゲート線41に同時にゲートパルスG(R)が与えられる。したがって、12行のTFT44が一斉にオン状態となり、12行の画素40からの電荷が、各列の信号線42で加算されてCA60に入力される。このため、各画素40での発生電荷が同じであった場合、AED動作で得られる線量信号DDS(C)は、画像読み出し動作で得られる画像信号DIS(C)のおよそ12倍となる。これにより、線量信号DDS(C)のS/N(Signal-to-Noise)比を向上させることができる。
制御部54は、12行分の電荷に基づく線量信号DDS(C)がメモリ52に記憶される毎に、線量信号DDS(C)と照射開始判定閾値とを比較して、X線の照射が開始されたか否かを判定する。線量信号DDS(C)は2304列分出力されるが、制御部54は、2304個の線量信号のうちの1個の代表値と照射開始判定閾値とを比較する。代表値は、例えば2304個の線量信号の平均値、最大値、最頻値等である。
画素電荷蓄積動作では、ゲート駆動回路75からゲート線41にはゲートパルスG(R)は与えられず、各画素40のTFT44は全てオフ状態とされる。
なお、画素リセット動作においても、図11で示したように各ゲート線41に順次ゲートパルスG(R)を与えるのではなく、図13で示したように第1〜第12ゲート駆動回路75の各々が担当する先頭行から最終行まで順に、同じ行の各ゲート線41に同時にゲートパルスG(R)を与えてもよい。あるいは、各ゲート線41に一斉にゲートパルスG(R)を与えて、全画素40から一括して電荷を読み出してもよい。
図14に示すように、制御部54は、AED動作中は、第1〜第16ADC77の電力の供給状態、具体的には稼働状態と非稼働状態を周期的に切り替える。また、制御部54は、第1〜第16ADC77の電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらす。具体的には、まず、制御部54は、各チップCP1〜CP4の先頭の第1、第5、第9、第13ADC77を稼働状態にして、時間T経過後非稼働状態に切り替える。この切り替えと同時に隣の第2、第6、第10、第14ADC77を稼働状態にして、同様に時間T経過後非稼働状態に切り替える。続いて第3、第7、第11、第15ADC77を時間T稼働状態にした後、各チップCP1〜CP4の後尾の第4、第8、第12、第16ADC77を時間T稼働状態にする。そして、これら一連の電力の供給状態の切り替えを繰り返す。
第1〜第16ADC77は、エリアAR1〜AR16毎に設けられているので、図14は、エリアARを担当するADC77の単位で、ADC77の電力の供給状態を切り替えているともいえる。また、第1、第5、第9、第13ADC77と、第2、第6、第10、第14ADC77と、第3、第7、第11、第15ADC77と、第4、第8、第12、第16ADC77は、それぞれ同じタイミングで電力の供給状態が切り替えられるグループに該当する。そして、これらのグループは、電力の供給状態のタイミングがずらされている。さらに、同じグループに属する2個のADC77の間には、3個のADC77が配されている。例えば同じグループに属する第1ADC77と第5ADC77の間には、第2〜第4ADC77の計3個のADC77が配されている。
時間Tは、AED動作において、各ADC77が担当する画素40の列である144列の全てから、線量信号DDS(C)を読み出すのに要する時間である。全2304列から線量信号DDS(C)を読み出すのに要する時間(以下、線量信号DDS(C)の読み出し周期という)は、各チップCP1〜CP4で4回に分けて線量信号DDS(C)の読み出しを行っているので、T×4=4Tである。
AED動作で得られる線量信号DDS(C)は、画像読み出し動作で得られる画像信号DIS(C)とは異なり、患者Pの画像情報としては利用されない。このため、AED動作では、図13で示したように、計12行のゲート線41に同時にゲートパルスG(R)を与えて、12行の画素40からの電荷を、各列の信号線42で加算している。また、図14で示したように、AED動作では、第1〜第16ADC77を画像読み出し動作時のように常時稼働状態とせず、電力の供給状態を周期的に切り替えている。
ここで、稼働状態とは、図15の右側に示すように、ADC77の機能を発揮するのに必要な電力PON_AがADC77に供給されている状態である。電力PON_Aは第1電力に相当する。すなわち稼働状態は、前述したように第1状態に相当する。一方、非稼働状態とは、図15の左側に示すように、電力PON_Aよりも低く、かつADC77が機能を発揮できない電力PSL_AがADC77に供給されている状態である。電力PSL_Aは第2電力に相当する。すなわち非稼働状態は、前述したように第2状態に相当する。
図12および図14で示した通り、制御部54は、ADC77への電力の供給状態を、第1状態である稼働状態と第2状態である非稼働状態との間で切り替える機能を有している。
ADC77の機能を発揮するのに必要な電力PON_Aは、具体的には画像読み出し動作時に必要な電力である。なお、画像読み出し動作時に必要な電力よりも低いが、ADC77の機能は発揮できる電力が供給されている状態を、稼働状態としてもよい。
図15では電力PSL_Aを0以上の値としているが、電力PSL_Aは0でもよい。すなわち、ADC77に全く電力を供給しないパワーオフの状態を、非稼働状態としてもよい。また、ADC77の動作タイミングを規定するクロック信号の供給を止めて、ADC77の消費電力を実質的に0にした状態を、非稼働状態としてもよい。
図12で示したように、画像読み出し動作においては、第1〜第16ADC77の全てが常時稼働状態であるので、単位時間をTとした場合、単位時間T当たりの稼働状態(第1状態)のADC77の個数は16である。対して図14で示したように、AED動作においては、第1〜第16ADC77のうちの4個のADC77が同じタイミングで稼働するので、単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数は4である。したがって、図16に示すように、画像読み出し動作時の単位時間T当たりの個数16を規格化して1とした場合、AED動作における単位時間T当たりの個数は、4/16=0.25となり、画像読み出し動作時よりも低減される。
なお、図示および詳細な説明は省略するが、ADC77とブロックBLを構成するCA60、CDS61、およびMUX76についても、制御部54はADC77と連動して電力の供給状態を切り替える。
次に、上記構成による作用について、図17のフローチャートを参照して説明する。オペレータは、X線撮影システム10でX線画像を撮影する場合、電子カセッテ16の電源をオンする。制御部54は、待機動作を実行する(ステップST100)。
オペレータは、コンソール17の入力デバイス21を介して、所望の撮影メニューを設定する。これにより、設定された撮影メニュー、および設定された撮影メニューに対応する照射条件等の各種情報が、撮影準備指示としてコンソール17から電子カセッテ16に送信される。
撮影メニューの設定後、オペレータは、設定した撮影メニューに対応する照射条件と同じ照射条件、または設定した撮影メニューに対応する照射条件を患者Pの体格等に応じて微調整した照射条件を、線源制御装置14に設定する。オペレータは、電子カセッテ16を立位撮影台18と臥位撮影台19のいずれかにセットして、X線源13、電子カセッテ16、および患者Pを所望の位置に位置決めする。その後、オペレータは、照射スイッチ15を押下してX線源13を駆動させ、患者Pに向けてX線を照射させる。なお、撮影メニューの設定および照射条件の設定と、患者P等の位置決めとは、順序が前後しても構わない。
撮影メニューを含む各種情報である撮影準備指示は、無線通信部22または有線通信部66で受信され、制御部54で受け取られる(ステップST110でYES)。撮影準備指示の受け取り後、制御部54は、AED動作を実行する。このAED動作中、図14で示したように、第1〜第16ADC77は電力の供給状態が周期的に切り替えられる(ステップST120、照射開始検出ステップ)。
制御部54では、AED動作で得られた線量信号DDS(C)と照射開始判定閾値との大小が比較される(ステップST130)。X線の照射に伴い、線量信号DDS(C)の値は大きくなる。そして、線量信号DDS(C)が照射開始判定閾値よりも大きくなった場合(ステップST130でYES)に、制御部54でX線の照射が開始されたと判定される(ステップST140)。制御部54は、画素電荷蓄積動作を実行する(ステップST150)。なお、所定時間以内に線量信号DDS(C)が照射開始判定閾値よりも大きくならず(ステップST160でYES)、かつ電源がオフされなかった場合(ステップST190でNO)は、制御部54は、再び待機動作に戻る(ステップST100)。
制御部54では、X線の照射開始を検出したときに、タイマーによる計時が開始される。このタイマーで計時した時間がコンソール17で設定された照射条件の照射時間となるまで、画素電荷蓄積動作は続けられる。タイマーの計時時間が照射条件の照射時間となった場合(ステップST170でYES)、制御部54は、画像読み出し動作を実行する。この画像読み出し動作中、図12で示したように、第1〜第16ADC77は全て常時稼働状態にされる(ステップST180、画像読み出しステップ)。これら一連の動作は、電源がオフされる(ステップST190でYES)まで続けられる。
画像読み出し動作で得られた画像信号DIS(C)は、X線画像として無線通信部22または有線通信部66からコンソール17に送信される。X線画像はディスプレイ20に表示されて、オペレータの閲覧に供される。
第1〜第16ADC77の電力の供給状態を切り替えることにより、AED動作における単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数を、画像読み出し動作時よりも低減するので、AED動作において信号処理回路51が消費する電力を低減することが可能となる。
従来は、AED動作においても、第1〜第16ADC77は画像読み出し動作時と同じく常時稼働状態であり、単位時間当たりの稼働状態のADC77の個数は、画像読み出し動作時と同じであった。このため、1画面分のX線画像を1回読み出せば終了する画像読み出し動作と比較して動作時間が長いAED動作において、非常に多くの電力が消費されていた。特にバッテリ65で駆動する電子カセッテ16の場合は、消費電力が多いと頻繁にバッテリ65を充電しなければならず、撮影効率が悪化してしまう。
しかし、本第1発明では、AED動作において信号処理回路51が消費する電力を低減することが可能となる。このため、バッテリ65が従来よりも長持ちし、これによりバッテリ65の充電回数も減るので、撮影効率を向上させることができる。
AED動作における単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数を、画像読み出し動作時よりも低減する方法としては、特定のADC77を常時非稼働状態とすることが考えられる。ただし、特定のADC77を常時非稼働状態とすると、そのADC77が担当するエリアARの線量信号DDS(C)は読み出されない。つまり、AED動作でカバーできないエリアARが存在してしまうことになる。
対して本実施形態では、図14で示したように、第1〜第16ADC77の全ての電力の供給状態を周期的に切り替え、AED動作における単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数を、画像読み出し動作時よりも低減している。したがって、AED動作において信号処理回路51が消費する電力を低減することが可能となる、という効果に加えて、全てのエリアAR1〜AR16から満遍なく線量信号DDS(C)を読み出すことができ、全てのエリアAR1〜AR16をカバーすることができる、という効果が得られる。
また、AED動作における単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数を、画像読み出し動作時よりも低減する他の方法としては、特定のADC77を常時稼働状態とし、残りのADC77を常時非稼働状態とすることも考えられる。しかし、特定のADC77を常時稼働状態とせずに、本実施形態の第1〜第16ADC77のように電力の供給状態を周期的に切り替えれば、より信号処理回路51が消費する電力を低減することが可能であることは明らかである。
以上のことから、AED動作において、複数のADC77のうちの少なくとも1個のADC77の電力の供給状態を周期的に切り替えることは、特定のADC77を常時非稼働状態としたり、特定のADC77を常時稼働状態とし、残りのADC77を常時非稼働状態とする場合よりも、有効であるといえる。
画像読み出し動作時はADC77の全てを稼働状態にしているので、良好な画質のX線画像を取得することができる。
[第1−2実施形態]
図18に示す第1−2実施形態では、制御部54により、第1〜第16ADC77の全ての電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらす。すなわち、まず、第1ADC77を時間T稼働状態にさせる。その後、続けて第2ADC77を時間T稼働状態にさせ、さらに第3ADC77を時間T稼働状態にさせる。この電力の供給状態の切り替えを第16ADC77まで継続し、第16ADCを時間T稼働状態にさせた後は、再び第1ADC77に戻って時間T稼働状態にさせる。そして、これら一連の電力の供給状態の切り替えを繰り返す。
この場合、線量信号DDS(C)の読み出し周期は、T×16=16Tとなって、上記第1−1実施形態の4Tよりも長い時間が掛かる。しかし、単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数は1であるため、画像読み出し動作時の単位時間T当たりの個数16を規格化した場合のAED動作における単位時間T当たりの個数は、1/16=0.0625となり、上記第1−1実施形態の0.25よりもさらに低減することができる。
[第1−3実施形態]
図19に第1−3実施形態を示す。上記第1−1実施形態では、同じグループに属する2個のADC77の間に、3個のADC77が配されている例を説明したが、本第1−3実施形態のように、同じグループに属する2個のADC77の間に、1個もADC77が存在していなくてもよい。言い換えれば、同じグループに属する2個のADC77は、隣接していてもよい。
図19では、第1、第2ADC77と、第3、第4ADC77と、第5、第6ADC77と、第7、第8ADC77と、・・・、第13、第14ADC77と、第15、第16ADC77は、それぞれ同じタイミングで電力の供給状態が切り替えられるグループである。ただし、同じグループに属する2個のADC77の間には、1個もADC77が存在しておらず、これらは隣接している。
[第1−4実施形態]
図20に第1−4実施形態を示す。上記各実施形態では、エリアAR単位でADC77の電力の供給状態を切り替えているが、本第1−4実施形態のように、制御部54により、チップCP単位でADC77の電力の供給状態を切り替えてもよい。具体的には、まず、制御部54は、チップCP1の第1〜第4ADC77を稼働状態にして、時間T経過後に非稼働状態に切り替える。次いでチップCP2の第5〜第8ADC77を稼働状態にして、同様に時間T経過後に非稼働状態に切り替える。続いてチップCP3の第9〜第12ADC77を時間T稼働状態にした後、チップCP4の第13〜第16ADC77を時間T稼働状態にする。そして、これら一連の電力の供給状態の切り替えを繰り返す。
このように、チップCP単位でADC77の電力の供給状態を切り替えれば、エリアAR単位の場合よりも制御が簡単である。また、ブロックBL毎に電力の供給状態を切り替える機能を有していないチップCPにも対応することが可能である。
[第1−5実施形態]
図21に第1−5実施形態を示す。上記各実施形態では、全てのADC77の電力の供給状態を周期的に切り替えているが、本発明はこれに限定されない。本第1−5実施形態のように、少なくとも1個のADC77を、常時非稼働状態にしてもよい。
図21において、第1−5実施形態では、第2、第4、第6、・・・、第16といった偶数番のADC77が、制御部54により、AED動作中は常時非稼働状態にされる。一方、第1、第3、第5、・・・、第15といった奇数番のADC77は、上記各実施形態のように、電力の供給状態が周期的に切り替えられる。このように、AED動作中に常時非稼働状態にされるADC77があってもよい。1個のADC77に着目した場合、常時非稼働状態にすれば、周期的に電力の供給状態を切り替えるよりも、消費電力を低減することができる。
なお、これとは逆に、画像読み出し動作時と同じく、AED動作中に常時稼働状態にされるADC77があってもよい(図27参照)。ただし、この場合は、周期的であれ常時であれ、AED動作中に非稼働状態にされるADC77が少なくとも1個あることが必要である。というのは、全てのADC77を常時稼働状態にしてしまうと、画像読み出し動作時と同じ状態になってしまい、AED動作時の単位時間当たりの稼働状態のADC77の個数が、画像読み出し動作時よりも低減されないからである。
[第1−6実施形態]
図22および図23に第1−6実施形態を示す。上記各実施形態では、例えば図14で示した上記第1−1実施形態の第1、第5、第9、第13ADC77と第2、第6、第10、第14ADC77のように、一方のADC77が稼働状態から非稼働状態に切り替えられたタイミングで、他方のADC77を非稼働状態から稼働状態に切り替えているが、本発明はこれに限定されない。本第1−6実施形態のように、一方のADC77を稼働状態から非稼働状態に切り替えるタイミングと、他方のADC77を非稼働状態から稼働状態に切り替えるタイミングとをずらしてもよい。
図22では、第1、第5、第9、第13ADC77と、第2、第6、第10、第14ADC77と、第3、第7、第11、第15ADC77と、第4、第8、第12、第16ADC77が、それぞれ同じタイミングで電力の供給状態が切り替えられるグループである点では、図14で示した上記第1−1実施形態と同じである。ただし、第1、第5、第9、第13ADC77が稼働状態である途中、具体的にはT/2のタイミングで、第2、第6、第10、第14ADC77を稼働状態にさせる等、一方のADC77を稼働状態から非稼働状態に切り替える前に、他方のADC77を非稼働状態から稼働状態に切り替えている。
このように、一方のADC77を稼働状態から非稼働状態に切り替えるタイミングと、他方のADC77を非稼働状態から稼働状態に切り替えるタイミングとをずらすことで、線量信号DDS(C)の読み出し周期を短くすることができる。具体的には、上記第1−1実施形態の場合は、線量信号DDS(C)の読み出し周期が4Tであったのに対し、図22では2.5Tと短くなる。
また、この場合、単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数は、4個のADC77が時間Tの間、稼働状態になり、4個のADC77が時間T/2の間、稼働状態になるので、4+(4×0.5)=6である。
図22は、図14で示した上記第1−1実施形態をベースとした例であったが、図23は、第1〜第16ADC77の全ての電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらした、図18で示した上記第1−2実施形態をベースとした例である。この場合も図22の場合と同様に、第1ADC77が稼働状態である途中のT/2のタイミングで、第2ADC77を稼働状態にさせる等、一方のADC77を稼働状態から非稼働状態に切り替える前に、他方のADC77を非稼働状態から稼働状態に切り替えている。この場合も、線量信号DDS(C)の読み出し周期を、図18の16Tから8.5Tと短くすることができる。また、この場合の単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数は1.5である。
[第1−7実施形態]
図24に第1−7実施形態を示す。上記各実施形態では、複数のADC77の電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしているが、本第1−7実施形態では、制御部54により、第1〜第16ADC77の全ての電力の供給状態の切り替えのタイミングを一致させている。
この場合、線量信号DDS(C)の読み出し周期は、全てのADC77が一斉に稼働状態になる前半のTと、全てのADC77が一斉に非稼働状態になる後半の時間Tを足した2Tである。また、この場合の単位時間もTではなく2Tである。単位時間2T当たりの稼働状態のADC77の個数は、最初の時間Tの間、16個全てのADC77が稼働状態になり、次の時間Tでは1個も稼働状態ではないので、16/2=8である。
[第1−8実施形態]
図25〜図27に第1−8実施形態を示す。上記各実施形態では、AED動作時には、全ての画素40からの電荷に基づく線量信号DDS(C)を読み出しており、いわば全ての画素40が線量信号DDS(C)を読み出すための検出用画素として働いている。しかし、全ての画素40ではなく、複数の画素40のうちのいくつかを検出用画素として予め設定しておいてもよい。なお、以下、検出用画素に符号を与えて検出用画素90(図25参照)と表記する。また、検出用画素90が接続された信号線42を、以下、検出用チャンネル95(図25参照)と表記する。
図25は、各チップCP1〜CP4のうち、チップCP2、CP3がカバーする、エリアAR5〜AR12までの計8個のエリアARに属する全ての画素40を、検出用画素90(ハッチングで示す)として設定した例である。この場合、検出用チャンネル95は、チップCP2の第5〜第8MUX76、およびチップCP3の第9〜第12MUX76に接続された信号線42である。
制御部54は、例えば図26に示すように、AED動作中は、検出用チャンネル95を担当しない、チップCP1の第1〜第4ADC77およびチップCP4の第13〜第16ADC77を、常時非稼働状態にする。また、制御部54は、検出用チャンネル95を担当する、チップCP2の第5〜第8ADC77およびチップCP3の第9〜第12ADC77の電力の供給状態を周期的に切り替える。
検出用チャンネル95が設定される場合、検出用チャンネル95を担当しないADC77は、AED動作時に稼働状態になっていても意味がないので、AED動作中は常時非稼働状態にされる。一方で、検出用チャンネル95を担当するADC77は、AED動作中は電力の供給状態が周期的に切り替えられる。こうすることで、単位時間T当たりの稼働状態のADC77の個数が低減される。
図27は、検出用チャンネル95を担当しないADC77がAED動作中に常時非稼働状態になる点では、図26の場合と同じである。ただし、図27では、検出用チャンネル95を担当するADC77(チップCP2の第5〜第8ADC77およびチップCP3の第9〜第12ADC77)が、常時稼働状態になる。この図27の例からも分かる通り、本第1発明は、ADC77の電力の供給状態を周期的に切り替えない場合も含む。
なお、図25では、エリアAR5〜AR12の全ての信号線42を検出用チャンネル95に設定しているが、例えば1列目〜4列目、65列目〜68列目、129列目〜132列目等、4列ずつ64列間隔で検出用チャンネル95を設定してもよく、検出用チャンネル95の設定の仕方は自由である。また、1本の検出用チャンネル95に設定される検出用画素90も、1列分の全ての画素40ではなく、例えば第3、第4ゲート駆動回路75が担当する481行目〜960行目の画素40のみを検出用画素90と設定する等、設定の仕方に特に制限はない。
[第1−9実施形態]
図28〜図31に第1−9実施形態を示す。上記各実施形態では、画像読み出し動作で画像信号DIS(C)を得るための画素40を、AED動作で線量信号DDS(C)を得るための検出用画素90として兼用しているが、本発明はこれに限定されない。X線画像検出用の画素40とは別に、AED動作に特化した専用の検出用画素90Xを設けてもよい。
AED動作専用の検出用画素90Xを設ける場合は、画素40と検出用画素90Xが光検出基板35上に混在することとなる。光検出基板35はサイズが限られているので、検出用画素90Xを設けすぎると、その分画素40を設けるスペースが減り、X線画像の画質が低下する。また、検出用画素90Xを光検出基板35上の偏った箇所に設けると、照射野の設定によっては、当該箇所にX線が照射されない場合も考えられる。したがって、検出用画素90Xは、例えば図28に示すように、1列の検出用チャンネル95に配される検出用画素90Xの個数を2880個中12個とする等、数百万個の画素40に対して検出用画素90Xは数十〜数百個のオーダとし、かつ検出用画素90Xを光検出基板35上に分散して配置することが好ましい。
図29に示す検出用画素90X1は、光電変換部43およびTFT44を備える基本的な構成は画素40と全く同じである。したがって、検出用画素90X1は、画素40とほぼ同様の製造プロセスで形成することができる。検出用画素90X1が画素40と異なる点は、TFT44のソース電極とドレイン電極が短絡線100で短絡されている点である。つまり図29に示す検出用画素90X1は、光電変換部43が短絡線100で直接信号線42に接続されている。この信号線42が検出用チャンネル95となる。
検出用チャンネル95においては、検出用画素90X1の光電変換部43で発生する電荷が、TFT44のオン/オフ状態に関わらず流れ出す。したがって、たとえ同じ行の画素40がTFT44をオフ状態とされて画素電荷蓄積動作中であっても、検出用画素90X1の光電変換部43で発生した電荷は、常時検出用チャンネル95を通じてCA60に流入する。
この場合も図25〜図27で示した上記第1−8実施形態と同じく、検出用チャンネル95を担当しないADC77は、AED動作中は常時非稼働状態にされる。また、検出用チャンネル95を担当するADC77は、AED動作中は電力の供給状態が周期的に切り替えられる、あるいは常時稼働状態にされる。
光電変換部43が直接信号線42に接続された短絡画素としては、図29に示す検出用画素90X1に替えて、図30に示す検出用画素90X2のように、TFT44が取り払われて光電変換部43のみで構成されたものでもよい。なお、図29および図30に示す例において、短絡画素である検出用画素90X1、90X2と同じ列の画素40の発生電荷には、検出用画素90X1、90X2の発生電荷も常に加算されてしまうため、検出用画素90X1、90X2と同じ列の画素40は、画像信号DIS(C)を取得するための画素としては使用できない。このため、検出用チャンネル95の列の画素40および検出用画素90X1、90X2は欠陥画素として扱われ、周囲の検出用チャンネル95ではない列の画素40の画像信号DIS(C)で補間される。
図31は、特定の画素40の隣りに、AED動作専用の検出用画素90X3を設けた例である。検出用画素90X3は、画素40と同じく、光電変換部105およびTFT106を備える。TFT106には、画素40のTFT44に接続されたゲート線41および信号線42とは別のゲート線107および信号線(検出用チャンネル95)が接続されている。ゲート線107は、ゲート駆動部50とは別に独立して駆動するゲート駆動部108に接続されている。検出用チャンネル95は、信号線42とともにMUX部62に接続されている。
AED動作中は、ゲート駆動部50は作動せず、ゲート駆動部108のみが作動する。ゲート駆動部108は、上記第1−1実施形態と同様に、複数行のゲート線107に同時にゲートパルスを与え、各ゲート線107に接続された各TFT106を複数行ずつオン状態とする。あるいは、ゲート駆動部108は、各ゲート線107に順次ゲートパルスを与えてもよい。
この場合も図25〜図27で示した上記第1−8実施形態と同じく、検出用チャンネル95を担当しないADC77は、AED動作中は常時非稼働状態にされる。また、検出用チャンネル95を担当するADC77は、AED動作中は電力の供給状態が周期的に切り替えられる、あるいは常時稼働状態にされる。MUX部62は、信号線42だけでなく検出用画素90X3が接続された検出用チャンネル95も接続される点が異なるだけで、基本的な構成は上記各実施形態と同じである。なお、検出用画素90X3専用に、信号線42とは別の検出用チャンネル95を設けるのではなく、検出用画素90X3のTFT106も信号線42に接続して、検出用チャンネル95を信号線42と兼用してもよい。
図31の場合は、画素40と検出用画素90X3は、各ゲート駆動部50、108で互いに独立して駆動可能で、かつ信号線42と検出用チャンネル95が別々である。したがって、図29および図30の場合のように、検出用画素90X3と同じ列の画素40を欠陥画素として扱わなくてもよい。
[第1−10実施形態]
図32に第1−10実施形態を示す。本第1−10実施形態は、全検出用画素90のうち、線量信号DDS(C)をX線の照射開始判定に用いる検出用画素90をオペレータが設定変更可能な形態である。例えば上記第1−9実施形態の図31で示した検出用画素90X3が、図28で示したように光検出基板35上に分散配置されていた場合、図32に示すように、胸部撮影の場合は患者Pの肺野に該当する矩形領域LA1内の検出用画素90X3を選択し、選択した検出用画素90X3からの線量信号DDS(C)をX線の照射開始判定に用いる。一方、腹部撮影の場合は矩形領域LA2内の検出用画素90X3を選択し、選択した検出用画素90X3からの線量信号DDS(C)をX線の照射開始判定に用いる。
この場合、ゲート駆動部108は、領域LA1、LA2内の検出用画素90X3のTFT106に対して選択的にゲートパルスを与える機能を有する。また、胸部撮影で領域LA1内の検出用画素90X3が選択された場合は、領域LA1の幅に相当する範囲RLA1の信号線42が検出用チャンネル95となるので、AED動作中は範囲RLA1を担当するADC77の電力の供給状態を切り替える、あるいは常時稼働状態にさせる。そして、その他の範囲RLA2、RLA3を担当するADC77は非稼働状態にする。一方、腹部撮影で領域LA2内の検出用画素90X3が選択された場合は、AED動作中は領域RLA2を担当するADC77の電力の供給状態を切り替える、あるいは常時稼働状態にさせる。そして、この場合は範囲RLA1、RLA3を担当するADC77は非稼働状態にする。
なお、図32では、上記第1−9実施形態の図31の検出用画素90X3を例に説明したが、これに限定されない。図25〜図27で示した上記第1−8実施形態のように、画像読み出し動作で画像信号DIS(C)を得るための画素40を、AED動作で線量信号DDS(C)を得るための検出用画素90として兼用した場合も、ゲート駆動部50に特定領域内の画素40のTFT44に対して選択的にゲートパルスG(R)を与える機能を設ければ、同じことができる。
また、上記第1−9実施形態の図29および図30に示す検出用画素90X1、90X2の場合も、範囲RLA1には領域LA1にのみ検出用画素90X1、90X2を配し、範囲RLA2には領域LA2にのみ検出用画素90X1、90X2を配するようにすれば、同じことができる。
[第1−11実施形態]
図33および図34に第1−11実施形態を示す。前にも述べたように、AED動作で得られる線量信号DDS(C)は、患者Pの画像情報としては利用されない。そのため、AED動作においては、線量信号DDS(C)について、画像読み出し動作で出力される画像信号DIS(C)に必要な正確性はあまり求められない。そこで、図33に示す第1−11実施形態では、AED動作におけるCDS61の動作を画像読み出し動作時よりも簡略化することで、AED動作時の信号処理回路51の消費電力をさらに低減する。
図6を用いて概略を説明した、画像読み出し時のCDS61の動作は、フローチャートで示すと図33Aのようになる。すなわち、CDS61の第1S/H73Aでリセットノイズ成分が保持される(ステップST300)。次いで、第2S/H73Bでアナログの電圧信号V(C)が保持される(ステップST310)。最後に、差動アンプ74で、両S/H73A、73Bに保持されたリセットノイズ成分とアナログの電圧信号V(C)の差分を取り、ノイズが除去されたアナログの電圧信号V(C)を出力する(ステップST320)。
一方、AED動作時は、図33Bに示すように、ステップST300の第1S/H73Aによるリセットノイズ成分の保持を飛ばして、ステップST310の第2S/H73Bによるアナログの電圧信号V(C)の保持からはじめる。そして、リセットノイズ成分との差分を取ることなく、そのまま差動アンプ74からアナログの電圧信号V(C)を出力する(ステップST330)。
このように、AED動作時には第1S/H73Aによるリセットノイズ成分の保持を飛ばすので、第1S/H73Aへの電力供給が不要となる、あるいは第1S/H73Aを画像読み出し動作よりも低電力で駆動することが可能となる。したがって、AED動作時の信号処理回路51の消費電力をさらに低減することができる。また、第1S/H73Aによるリセットノイズ成分の保持を飛ばす分、AED動作では画像読み出し動作よりもアナログの電圧信号V(C)を速く出力することができる。
なお、上記第1−1実施形態では、図6で示したように、差動アンプ74がMUX76の入力端子に接続されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。図34に示すように、第1、第2S/H73A、73Bと差動アンプ74との間に2つのMUX76A、76Bを接続し、差動アンプ74をMUX76A、76BとADC77の間に接続した構成でもよい。
この場合、例えば同じエリアARの列の複数個のCDS61の第1S/H73AがMUX76Aに、第2S/H73BがMUX76Bに、それぞれ接続される。また、上記第1−1実施形態では、図6で示したように、差動アンプ74はMUX76の前段に接続されるため、差動アンプ74はCDS61毎に設けられていたが、図34では、差動アンプ74はMUX76A、76Bの後段に接続されるので、差動アンプ74はADC77と同じ個数となる。
この図34に示す構成においても、図33Bで示したようにAED動作時における第1S/H73Aによるリセットノイズ成分の保持を飛ばすことで、省電力化を図ることができる。しかもこの場合は、第1S/H73Aに加えてMUX76Aへの供給電力も低減することができ、さらには差動アンプ74の個数が減ったことで差動アンプ74への供給電力も低減することができる。したがって、AED動作時の信号処理回路51の消費電力をより多く低減することができる。
[第1−12実施形態]
図35〜図37に第1−12実施形態を示す。ここで、例えば上記第1−2実施形態の図18に示す第7ADC77等のように、両隣の第6、第8ADC77が比較的長い時間非稼働状態で、かつ電力の供給状態の切り替えのタイミングが異なる場合、ADC77が稼働状態である場合のブロックBL7の列方向における温度分布は、図35に示すようになる。すなわち、両端部はどうしても非稼働状態の両隣のブロックBL6、BL8の影響を受けて温度が落ち込み、これと比較して中心部の温度が高くなる山型の温度分布となる。なお、ブロックBL6の温度分布が緩やかな山型であるのは、図18で示したように、第7ADC77が稼働状態になる直前に第6ADC77が稼働状態とされていたためである。
こうしたブロックBL内における温度分布の変化は、ブロックBLで担当する画素40の列が多い場合は、ブロックBLの列方向の幅が広くなるので、中心部がフラットに近付いて緩やかなものとなる。対して、ブロックBLで担当する画素40の列が少ない場合は、ブロックBLの列方向の幅が狭くなるので、逆に急峻なものとなる。このようにブロックBL内で温度分布の偏りがあると、デジタル信号DS(C)に温度ドリフトが生じる。この温度ドリフトの影響をなるべく蒙らないようにするため、検出用画素90を有する検出用チャンネル95は、温度勾配が比較的フラットになりやすい、エリアARの中心部に配することが好ましい。
また、上記第1−9実施形態の図29および図30に示す例において、1列の検出用チャンネル95に配される検出用画素90X1、90X2の個数は、例えば2880個中12個等、全体の1%未満である。このように、画素40と検出用画素90X1、90X2の個数は、画素40≫検出用画素90X1、90X2の関係にある。
ここで、画素40で発生した電荷は、TFT44がオフ状態であっても、微量ではあるが信号線42に流入する。こうした電荷はリーク電荷と呼ばれる。図29および図30に示す例の検出用チャンネル95には、図36に模式的に示すように、検出用画素90X1、90X2で発生した電荷SCに加えて、このリーク電荷LCも流入してしまう。リーク電荷LCは、本来線量信号DDS(C)として取り出したい検出用画素90X1、90X2で発生した電荷SCに加算されてしまうので、X線の照射開始を判定する場合にはノイズとなる。しかも、画素40≫検出用画素90X1、90X2の関係にあった場合は、リーク電荷LCの量が、検出用画素90X1、90X2で発生した電荷SCに対して無視できない量となるため、X線の照射開始の判定を誤るリスクが高まる。そこで、本第1−12実施形態では、検出用チャンネル95の線量信号DDS(C)からリーク電荷LCの影響を取り除き、そのうえで温度ドリフトの影響を取り除く補正を施す。
具体的には図37に示すように、検出用画素90X1、90X2が配された検出用チャンネル95に隣接して、検出用チャンネル95を挟むように、検出用画素90X1、90X2を含まない画素40のみの列を設ける。以下、この検出用画素90X1、90X2を含まない画素40のみの列に対応する信号線42を、リファレンスチャンネル120と表現する。
図37では、検出用チャンネル95およびリファレンスチャンネル120は同じMUX76およびADC77に接続されている。つまり検出用チャンネル95およびリファレンスチャンネル120は同じブロックBLにある。この場合、制御部54は、AED動作中は、検出用チャンネル95およびリファレンスチャンネル120を両方担当するADC77を稼働状態にさせる。なお、検出用チャンネル95とリファレンスチャンネル120が異なるブロックBLに分かれ、異なるADC77に接続されていた場合は、制御部54は、検出用チャンネル95を担当するADC77を稼働状態にさせるとともに、リファレンスチャンネル120を担当するADC77も稼働状態にさせる。
これにより、メモリ52には、検出用チャンネル95からのアナログの電圧信号V(C)に基づく線量信号DDS(C)と、リファレンスチャンネル120からのアナログの電圧信号V(C−1)およびV(C+1)に基づく線量信号DDS(C−1)およびDDS(C+1)がADC77から出力される。線量信号DDS(C−1)およびDDS(C+1)を、以下、リファレンス信号DRS(C−1)およびDRS(C+1)と表現する。
リーク電荷補正部121は、メモリ52にアクセスして、メモリ52から線量信号DDS(C)を読み出す。リーク電荷補正部121は、例えば制御部54内に設けられている。リーク電荷補正部121は、下記式(1)に示す減算を行って、線量信号DDS(C)からリーク電荷補正済み線量信号RCDDS(C)を得る。
RCDDS(C)=DDS(C)−DRS(C)・・・(1)
ただし、DRS(C)={DRS(C−1)+DRS(C+1)}/2
すなわち、リーク電荷補正済み線量信号RCDDS(C)は、検出用チャンネル95からの線量信号DDS(C)から、2列のリファレンスチャンネル120からの2つのリファレンス信号DRS(C−1)、DRS(C+1)の平均値であるDRS(C)を減算したものである。
リファレンス信号DRS(C−1)、DRS(C+1)は、リファレンスチャンネル120に接続された画素40のリーク電荷LCに基づく成分である。検出用チャンネル95とリファレンスチャンネル120は隣り合っており、画素40の個数もほぼ同数であるため、リファレンス信号DRS(C−1)、DRS(C+1)の平均値DRS(C)は、検出用チャンネル95に接続された画素40のリーク電荷LCに基づく成分とほぼ一致していると考えられる。したがって、上記式(1)の減算を行うことで、線量信号DDS(C)からリーク電荷LCの成分を取り除くことができる。
リーク電荷補正部121の後段には、温度ドリフト補正部122が設けられている。温度ドリフト補正部122は、リーク電荷補正部121と同じく、例えば制御部54内に設けられている。温度ドリフト補正部122は、下記式(2)に示すように、リーク電荷補正済み線量信号RCDDS(C)に補正係数α(C)を乗算して、温度ドリフト補正済み線量信号DRCDDS(C)とする。
DRCDDS(C)=RCDDS(C)×α(C)・・・(2)
リファレンス信号DRS(C−1)、DRS(C+1)には、検出用チャンネル95およびリファレンスチャンネル120を含む信号処理回路51内の、図35で示した温度分布が反映されている。つまり、リファレンス信号DRS(C−1)、DRS(C+1)によれば、線量信号DDS(C)に生じている温度ドリフトがどの程度かが分かる。補正係数α(C)は、これらリファレンス信号DRS(C−1)、DRS(C+1)を変数とする計算式F{DRS(C−1)、DRS(C+1)}から求められる。補正係数α(C)は、画像読み出し動作において全てのADC77が稼働状態で各ブロックBL1〜16が熱平衡状態にある場合を標準状態として、リーク電荷補正済み線量信号RCDDS(C)が標準状態にて読み出した場合と同じ値となるような係数である。補正係数α(C)は、検出用チャンネル95毎に求められる。なお、リファレンス信号DRS(C−1)、DRS(C+1)の平均値DRS(C)を変数とする計算式から補正係数α(C)を求めてもよい。
チップCPには、各ブロックBLの中心部の温度TPを測定する温度測定機能が予め搭載されているものがある。この場合は、当該温度測定機能で取得した温度TPに基づいて(温度TPを変数とする計算式を用いて)、補正係数α(C)を求める。チップCPに温度測定機能が搭載されていない場合は、別に温度測定機能を設けて、そこから温度TPを取得すればよい。
なお、温度TPが標準状態であった場合等、線量信号DDS(C)に温度ドリフトが生じていないと判断した場合は、温度ドリフト補正部122による温度ドリフトの補正を施さなくてもよい。具体的には、温度TPに閾値を設定し、温度TPが閾値以下であった場合は温度ドリフトの補正を施さず、温度TPが閾値よりも高い場合は温度ドリフトの補正を施す。
画像読み出し動作時は、全てのADC77が常時稼働状態であるため、図35に示すような温度分布の偏りは生じにくいが、もちろん、画像信号DIS(C)に対しても温度ドリフト補正部122で温度ドリフトの補正を施してもよい。
図20で示した上記第1−4実施形態のように、チップCP単位でADC77の電力の供給状態を切り替える場合は、図35に示す温度分布の偏りは、ブロックBL単位ではなくチップCP単位で生じる。そこで、この場合はチップCP単位で温度TPを測定して、チップCP単位で温度ドリフトを補正する。
チップCP単位でADC77の電力の供給状態を切り替える場合は、温度分布自体に偏りを生じさせない対策、例えば、隣接するチップCP同士をヒートシンクやヒートパイプといった熱伝導部材で接続する等の対策を講じることが好ましい。
なお、図37では、リファレンスチャンネル120を、検出用チャンネル95を挟む隣接する1列ずつ(全2列)としたが、複数列ずつとしてもよい。好ましくは2列ずつ(全4列)以上がよい。というのは、リファレンスチャンネル120の列数が少なくリファレンス信号の個数が少ないと、各リファレンスチャンネル120でリファレンス信号の値がばらついた場合に、線量信号DDS(C)から減算するリファレンス信号の平均値DRS(C)の信頼性が低くなるためである。
上記第1−9実施形態の図31に示す検出用画素90X3の場合は、信号線42と検出用チャンネル95とは別々で、検出用チャンネル95には画素40は接続されていないので、検出用チャンネル95に画素40のリーク電荷LCが流入する心配はない。また、図31において検出用チャンネル95と信号線42とを兼用した場合も、TFT106をオフにしておけば検出用画素90X3の発生電荷は信号線42へは流入しない。このため、TFT106がオフ状態の場合、検出用チャンネル95と兼用された信号線42は、あたかもリファレンスチャンネル120のように振る舞う。したがってこの場合はTFT106をオフにした状態で読み出したデジタル信号DS(C)をリファレンス信号に置き換え、TFT106をオンした状態で読み出した線量信号DDS(C)から減算すればよい。つまり、いずれにしても図31の場合は、専用のリファレンスチャンネル120を設ける必要はない。
[第1−13実施形態]
図38に示す第1−13実施形態では、制御部54は、AED動作において、ADC77の後段でデジタル信号DS(C)を伝送するインターフェース(以下、I/F(Interface))を、画像読み出し動作時よりも低い消費電力のものに切り替える。このようにしてAED動作時の信号処理回路51の消費電力を低減してもよい。
図38において、ADC77とメモリ52との間のデジタル信号DS(C)の伝送I/Fには、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)I/F125とCMOSI/F126の2種類が用意されている。LVDSI/F125は、伝送の正確性はCMOSI/F126に比べて高いが、消費電力はCMOSI/F126に比べて大きい。制御部54は、スイッチ127の動作を制御して、これらの伝送I/Fを切り替える。
図38AはAED動作時を示し、図38Bは画像読み出し動作時を示す。すなわち、AED動作時はCMOSI/F126が選択され、画像読み出し動作時はLVDSI/F125が選択される。
このように、AED動作時にはCMOSI/F126を選択するので、AED動作において信号処理回路51が消費する電力をさらに低減することが可能となる。線量信号DDS(C)の伝送の正確性は低くなるが、線量信号DDS(C)は患者Pの画像情報としては利用されないため、多少伝送に誤りがあっても大した問題にはならない。一方、画像読み出し動作時にはLVDSI/F125を選択するので、消費電力は嵩むが、画像信号DIS(C)をメモリ52に正確に伝送することができる。
なお、ADC77とメモリ52との間のデジタル信号DS(C)の伝送I/FをCMOSI/F126のみとし、CMOSI/F126への供給電圧を切り替えてもよい。例えば画像読み出し動作時は供給電圧を5.0V、AED動作時は3.3Vとする。あるいは、画像読み出し動作時は2.5V、AED動作時は1.8Vとしてもよい。供給電圧が高い程、ダイナミックレンジが広くなり、伝送の正確性は高くなるが、消費電力は嵩むので、AED動作時は画像読み出し動作時よりも低い供給電圧に切り替える。これにより、AED動作において信号処理回路51が消費する電力をより低減することが可能となる。
なお、上記各実施形態において、第2状態を、非稼働状態として例示した。上述のとおり、非稼働状態には、電力PSL_Aが供給された状態、ADC77に全く電力を供給しないパワーオフの状態、ADC77へのクロック信号の供給を止めた状態が含まれる。しかし、第2状態は、こうした非稼働状態に限らない。例えば、ADC77へのクロック信号の単位時間当たりのパルス数を第1状態よりも低減して、ADC77の単位時間当たりの消費電力を第1状態よりも低減した状態を、第2状態としてもよい。
2.第2発明
以下に説明する図39〜図43に示す第2発明は、制御部54が、複数のCA60のうち、検出用チャンネル95以外の信号線42である非検出用チャンネル130(図39A参照)に接続されたCA60である非検出用CA131(図39A参照)について、その少なくとも1個へのAED動作時の供給電力を、画像読み出し動作時における通常電力よりも低い省電力状態にする、という内容である。これにより、AED動作時の非検出用CA131を含むCA60への供給電力を、画像読み出し動作時よりも低減する。
第2発明では、X線撮影システム10、電子カセッテ16等の基本的な構成は、上述の第1発明と同様である。また、ADC77の電力の供給状態の切り替えパターンについても、上記第1−1〜第1−7実施形態で例示したパターンを適用可能である。さらに、第1発明の他の実施形態(上記第1−8〜第1−13実施形態)との組み合わせも可能である。以下、第1発明と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
[第2−1実施形態]
図39および図40に第2−1実施形態を示す。本第2−1実施形態では、例えば、上記第1−9実施形態の図29に示す検出用画素90X1、あるいは図30に示す検出用画素90X2を含む構成を想定して説明する。ただし、構成はこれに限らない。
本第2−1実施形態では、図39Aに示すように、説明を簡単化するため、1列、3列、5列、・・・、143列の奇数列が検出用チャンネル95で、2列、4列、6列、・・・、144列の偶数列が非検出用チャンネル130である場合を例示している。以下では、検出用チャンネル95に接続されたCA60を、非検出用チャンネル130に接続されたCA60である非検出用CA131と区別するため、検出用CA132と表記する。なお、検出用チャンネル95の上部のアルファベットDTは、当該列が検出用チャンネル95であることを示し、非検出用チャンネル130の上部のアルファベットNDTは、当該列が非検出用チャンネル130であることを示している。
MUX76は、上記各実施形態と同じく、複数のCA60からのアナログの電圧信号V(C)を順次選択して、選択したアナログの電圧信号V(C)をADC77に出力する。
本第2−1実施形態では、図39Bに示すように、AED動作時のCA60への供給電力P_Cを、検出用CA132の場合はPN_Cとし、非検出用CA131の場合はPN_Cよりも低いPL_Cとする。供給電力PN_Cは、画像読み出し動作時に全てのCA60に供給される電力であり、通常電力に相当する。非検出用CA131への供給電力PL_Cは、通常電力PN_Cの例えば1/10の値である。すなわち、図39Bに示す非検出用CA131の状態は、通常電力PN_Cよりも低く、かつ0よりも大きい電力PL_Cが供給される低電力状態である。
このように、非検出用CA131に対して通常電力PN_Cよりも低い供給電力PL_Cしか与えられていないため、非検出用CA131からのアナログの電圧信号V(C)に基づくデジタル信号DS(C)は、データ的には意味のない値となる。このため、図39Aに示すように、制御部54は、非検出用CA131からのアナログの電圧信号V(C)に基づくデジタル信号DS(C)を、線量信号DDS(C)としては用いずに破棄する。
図40は、本第2−1実施形態の電子カセッテの動作手順を示すフローチャートである。上記第1−1実施形態の図17で示したフローチャートとの相違点は、一点鎖線で囲ったステップST1202およびステップST1802である。以下、相違点のみ説明する。
ステップST1202において、AED動作では、検出用CA132への供給電力を通常電力PN_Cとし、非検出用CA131への供給電力を、PN_Cよりも低いPL_Cとする(照射開始検出ステップ)。また、ステップST1802において、画像読み出し動作では、検出用CA132、非検出用CA131の区別なく、全てのCA60への供給電力を通常電力PN_Cとする(画像読み出しステップ)。
このように、AED動作時の非検出用CA131への供給電力を、通常電力よりも低い省電力状態にするので、AED動作における信号処理回路51が消費する電力を低減することが可能となる。このため、上記第1発明と同じく、バッテリ65が従来よりも長持ちし、これによりバッテリ65の充電回数も減るので、撮影効率を向上させることができる。
なお、AED動作時に省電力状態とする非検出用CA131は、全ての非検出用CA131のうちの少なくとも1つであればよい。もちろん、全ての非検出用CA131を省電力状態としたほうが、最大の効果を発揮するため好ましい。
[第2−2実施形態]
図41に第2−2実施形態を示す。図39および図40に示す上記第2−1実施形態では、AED動作時の非検出用CA131への供給電力PL_Cを0よりも大きい値としているが、第2−2実施形態では、図41に示すように、AED動作時の非検出用CA131への供給電力PL_Cを0とする。すなわち、非検出用CA131を、電力の供給が停止されたパワーオフの状態とする。
このように、非検出用CA131をパワーオフの状態とすれば、非検出用CA131への供給電力が0になるので、図39および図40に示す上記第2−1実施形態の場合と比べて、さらに非検出用CA131の消費電力を低減することができる。
ただし、非検出用CA131をパワーオフの状態とした場合、非検出用CA131の2つの入力端子間のバーチャルショート状態が保てず、非検出用CA131の入力段の電位が不定となり、これに伴って非検出用チャンネル130の電荷も不安定となり、後の画像読み出し動作に悪影響を及ぼしてしまう。このため、本第2−2実施形態のように、非検出用CA131への供給電力を完全に0としてパワーオフの状態とするよりも、上記第2−1実施形態のように、非検出用CA131の入力段の電位が不定とならない程度の供給電力PL_Cを与えて低電力状態とするほうが、より好ましい。
なお、非検出用CA131をパワーオフの状態とする場合は、画像読み出し動作に悪影響を及ぼさないようにするため、図42に示すような対策を講じればよい。すなわち、非検出用CA131の前段に、制御部54により開閉が制御されるスイッチ133を設ける。そして、制御部54は、供給電力が0とされる図41Aに示すAED動作時は、スイッチ133をオフして非検出用CA131と非検出用チャンネル130との接続を断つ。さらに、制御部54は、通常電力PN_Cが供給されている場合と同様の基準電位を非検出用CA131に与える。対して図41Bに示す通常電力PN_Cが供給される画像読み出し動作時は、スイッチ133をオンする。こうすれば、スイッチ133を設けたりする手間はあるが、非検出用CA131の入力段の電位が不定となることに起因する非検出用チャンネル130の電荷の不安定化の影響が、画像読み出し動作時に及ぶことがない。
この場合も上記第2−1実施形態と同じく、AED動作時にパワーオフの状態とする非検出用CA131は、全ての非検出用CA131のうちの少なくとも1つであればよいが、消費電力低減の観点からは、全ての非検出用CA131をパワーオフの状態としたほうがより好ましい。
[第2−3実施形態]
図43に示す第2−3実施形態では、非検出用CA131だけでなく、検出用CA132も、通常電力PN_Cよりも低く、かつ0よりも大きい電力が供給される低電力状態で駆動する。具体的には、AED動作時の非検出用CA131への供給電力を、通常電力PN_Cの1/10のPL_C1とし、さらに検出用CA132への供給電力を、通常電力PN_Cの1/2のPL_C2とする。通常電力PN_Cの1/2とした分、検出用CA132の過渡応答特性は低下する。この場合、この過渡応答特性の低下に見合うようにADC77の動作速度を遅らせる。そうすれば、データ的に意味のある線量信号DDS(C)が得られるので、問題はない。非検出用CA131に加えて検出用CA132への供給電力も低減するので、AED動作時の信号処理回路51の消費電力のさらなる低減が可能となる。
なお、本第2−3実施形態においても、上記各実施形態の非検出用CA131と同じく、AED動作時に低電力状態とする検出用CA132は、全ての検出用CA132のうちの少なくとも1つであればよいが、全ての検出用CA132を低電力状態としたほうが、消費電力低減の観点ではより好ましい。
上述したように、本第2発明の各実施形態は、上記第1発明の各実施形態と複合して実施してもよい。例えば、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、制御部54により、ADC77、およびこれとブロックBLを構成するMUX76の電力の供給状態を、第1状態と第2状態とに周期的に切り替えてもよい。この場合、第1状態とは、例えば上述の稼働状態であり、MUX76およびADC77の各々の機能を発揮するのに必要な電力が各々に供給されている状態である。一方、第2状態とは、例えば上述の非稼働状態であり、MUX76およびADC77のうちの少なくとも1つに対して、機能を発揮できない電力が供給されている状態、もしくは、ADC77にクロック信号が与えられていない状態である。さらには、第2状態は、ADC77へのクロック信号の単位時間当たりのパルス数を第1状態よりも低減した状態も含まれる。
本第2発明と上記第1発明のADC77、ひいてはブロックBLの供給電力の切り替えパターンの組み合わせについては、例えば以下に示す組み合わせが可能である。まず、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、電力の供給状態を周期的に切り替えるMUX76およびADC77のブロックBLが2個以上ある場合、制御部54により、2個以上のブロックBLのうちの少なくとも2個のブロックBLの電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
さらに、これも上記第1−1実施形態の図14等で示したように、2個以上のブロックBLが属する複数のグループ毎に電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。この場合、同じグループに属する2個のブロックBLの間には、少なくとも1個のブロックBLが配されていることが好ましい。あるいは、上記第1−2実施形態の図18等で示したように、2個以上のブロックBLの全ての電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
上記第1−5実施形態の図21等で示したように、非検出用CA131のみが接続されているMUX76を含むブロックBLが複数あった場合は、そのうちの少なくとも1つを常時第2状態にしてもよい。
図35〜図37の上記第1−12実施形態で示したように、線量信号DDS(C)にリーク電荷補正と温度ドリフト補正を施してもよい。
この他にも、図25〜図27に示す、AED動作に用いる検出用画素90が接続された信号線42である検出用チャンネル95が設定される上記第1−8実施形態、図28〜図31に示す、AED動作専用の検出用画素90Xを設けた上記第1−9実施形態、図32に示す、検出用画素90を設定変更可能とした上記第1−10実施形態、図33および図34に示す、AED動作時のCDS61の動作を簡略化する上記第1−11実施形態、図38に示す、デジタル信号の伝送I/Fを切り替える上記第1−13実施形態を組み合わせてもよい。
3.第3発明
以下に説明する図44〜図49に示す第3発明は、制御部54が、検出用CA132を含む一部のCAからのアナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力させ、ADC77に対して、選択的に出力されたアナログの電圧信号V(C)に対するAD変換処理のみを実施させ、かつ、AED動作時のADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減する、という内容である。
第3発明では、上記第2発明と同じく、X線撮影システム10、電子カセッテ16等の基本的な構成は、上述の第1発明と同様である。また、ADC77の電力の供給状態の切り替えパターンについても、上記第1−1〜第1−7実施形態で例示したパターンを適用可能である。さらに、第1発明の他の実施形態(上記第1−8〜第1−13実施形態)、並びに第2発明の上記第2−1〜第2−3実施形態との組み合わせも可能である。以下、第1発明、第2発明と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
[第3−1実施形態]
図44〜図48に第3−1実施形態を示す。本第3−1実施形態では、上記第2−1実施形態と同じく、例えば、上記第1−9実施形態の図29に示す検出用画素90X1、あるいは図30に示す検出用画素90X2を含む構成を想定して説明するが、構成はこれに限らない。
図44は、図9で示したのと同じく、1列目〜144列目のエリアAR1の線量信号DDS(C)の読み出し手順を示したものである。図44では、図39Aと同じく、1列、3列、5列、・・・、143列の奇数列が検出用チャンネル95で、2列、4列、6列、・・・、144列の偶数列が非検出用チャンネル130である場合を例示している。
この場合、図39Aとの相違点は、MUX76がMUX135に変更されている点である。MUX76は、1列ずつ順次選択する機能しか持ち合わせていない。対してMUX135は、偶数列の非検出用チャンネル130を飛ばして、奇数列の検出用チャンネル95の検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)を順次選択する機能を有する。すなわち、MUX135は、接続される複数のCA60のうちの一部のCA、この場合は検出用チャンネル95の検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)を選択する機能を有する。この機能は、MUX135を構成するシフトレジスタのフリップフロップ回路にスイッチを設ける等して実現可能である。
線量信号DDS(C)の読み出し手順は、まず図44Aに示すように、第1MUX135によって1列目のアナログの電圧信号V(1)が選択される。これによりアナログの電圧信号V(1)が第1ADC77に入力され、第1ADC77によって線量信号DDS(1)に変換される。次いで図44Bに示すように、2列目のアナログの電圧信号V(2)は飛ばされて、第1MUX135によって3列目のアナログの電圧信号V(3)が選択される。これによりアナログの電圧信号V(3)が第1ADC77に入力され、第1ADC77によって線量信号DDS(3)に変換される。続いて図44Cに示すように、第1MUX135によって5列目のアナログの電圧信号V(5)が選択される。これによりアナログの電圧信号V(5)が第1ADC77に入力され、第1ADC77によって線量信号DDS(5)に変換される。
こうした一連の動作が第1MUX76と第1ADC77とで繰り返されることで、最終的には図44Dに示すように、143列目のアナログの電圧信号V(143)が線量信号DDS(143)に変換されて、エリアAR1の線量信号DDS(1)、DDS(3)、DDS(5)、・・・DDS(143)の読み出しが終了する。他のエリアAR2〜AR16の各MUX135および各ADC77についても同様である。
このように、画像読み出し動作時は全ての列の画像信号DIS(C)を読み出すのに対し、AED動作時は奇数列の線量信号DDS(C)だけを選択的に読み出すので、同じ時間で読み出さなければならないデジタル信号DS(C)の個数が、AED動作時は画像読み出し動作時と比べて1/2に減る。このAED動作時において、個数が1/2に減った線量信号DDS(C)を、全列の画像信号DIS(C)を読み出す画像読み出し動作と同じ時間で読み出すならば、その分ADC77の動作速度を遅くすることができる。
具体的には図45に示すように、ADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数NPU_Aを、画像読み出し動作時は通常のパルス数であるNPUN_A、AED動作時はNPUN_Aの1/2のNPUL_Aとする。
ADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時のNPUN_Aの1/2のNPUL_Aとする方法には2通りある。第1の方法は、図46に示すものである。図46Aは画像読み出し動作時のクロック信号CLN_A、図46BはAED動作時のクロック信号CLL_Aをそれぞれ示す。
図46においては、クロック信号の周期TC自体は、画像読み出し動作時のクロック信号CLN_AとAED動作時のクロック信号CLL_Aとで同一である。ただし、クロック信号CLN_Aは、検出用チャンネル95、非検出用チャンネル130に関係なく、連続的に絶え間なく発せられているのに対して、クロック信号CLL_Aは、奇数列の検出用チャンネル95に該当する部分のみ発せられ、偶数列の非検出用チャンネル130に該当する部分は発せられずに休止されている。
図46の例では、単位時間Tは、隣接する2列のデジタル信号DS(C)の出力に要する期間である。前述のように、クロック信号CLL_Aは、隣接する2列のうちの偶数列の非検出用チャンネル130に該当する部分が休止されているので、単位時間T当たりのパルス数は、クロック信号CLN_Aの1/2となる。
ADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時のNPUN_Aの1/2のNPUL_Aとする第2の方法は、図47に示すものである。図46と同様に、図47Aは画像読み出し動作時のクロック信号CLN_A、図47BはAED動作時のクロック信号CLL_Aをそれぞれ示す。画像読み出し動作時のクロック信号CLN_Aは、図46の場合と全く同じである。対して、AED動作時のクロック信号CLL_Aには、図46Bで示したような休止期間は設けられておらず、替わりにクロック信号CLN_Aの周期TCに対して、CLL_Aの周期は2TCと2倍長い。
図47の例では、単位時間Tは、クロック信号CLL_Aの周期2TCである。周期2TCでは、クロック信号CLN_Aのパルス数は2個、対してクロック信号CLL_Aのパルス数は1個である。このため、クロック信号CLN_Aの単位時間T当たりのパルス数は、図46の場合と同じく、クロック信号CLN_Aの1/2となる。
図48は、本第3−1実施形態の電子カセッテの動作手順を示すフローチャートである。上記第1−1実施形態の図17で示したフローチャートとの相違点は、一点鎖線で囲ったステップST1203およびステップST1803である。以下、相違点のみ説明する。
ステップST1203において、AED動作では、検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力させ、ADC77に対して、選択的に出力されたアナログの電圧信号V(C)に対するAD変換処理のみを実施させる。そして、ADC77のクロック信号の単位時間T当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減する(照射開始検出ステップ)。また、ステップST1803において、画像読み出し動作では、ADC77のクロック信号の単位時間T当たりのパルス数を通常のパルス数(NPUN_A)とする(画像読み出しステップ)。
このように、AED動作時のADC77のクロック信号の単位時間T当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減するので、AED動作時のADC77の駆動に掛かる消費電力を低減することができ、ひいてはAED動作時の信号処理回路51の消費電力を低減することができる。このため、上記第1、第2発明と同じく、バッテリ65が従来よりも長持ちし、これによりバッテリ65の充電回数も減るので、撮影効率を向上させることができる。
なお、図44では、説明の便宜上、1つのエリアARのうちの半分の列を検出用チャンネル95としたが、上記第1−8実施形態で述べたように、検出用チャンネル95の設定の仕方は自由である。
[第3−2実施形態]
図49に第3−2実施形態を示す。上記第3−1実施形態では、接続される複数のCA60のうちの一部のCAからのアナログの電圧信号V(C)を選択する機能を有するMUX135を用いた。しかし、そうした機能をもつMUX135が汎用の製品として存在しない場合は、例えば1列ずつ順次選択する機能しかないMUX76を改造してMUX135としたり、上記機能を持つMUX135を特注で作らせたりする等の手間と費用が掛かる。そこで、図49に示す第3−2実施形態では、一般的なMUX76を用いながらも、一部のCAからのアナログの電圧信号V(C)を選択的にADC76に対して出力させる。
図49は、本第3−2実施形態における検出用チャンネル95の回路構成を示す。検出用チャンネル95は、CDS61の後段で、MUX76に接続される第1経路140と、MUX76を介さずに、ADC77に接続される第2経路141とに分かれている。第1経路140は、MUX76を介して、検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)をADC77に出力する経路である。対して第2経路141は、MUX76を介さずに、アナログの電圧信号V(C)をADC77に出力する経路である。
検出用チャンネル95、第1経路140、および第2経路141には、スイッチ142が接続されている。制御部54は、このスイッチ142の駆動を制御して、検出用チャンネル95と接続する経路を、第1経路140と第2経路141とに切り替える。
図49AはAED動作時を示し、図49Bは画像読み出し動作時を示す。すなわち、スイッチ142によりAED動作時は第2経路141が選択され、画像読み出し動作時は第1経路140が選択される。
このように、検出用チャンネル95を、MUX76を介して、検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)をADC77に出力する第1経路140と、MUX76を介さずに、検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)をADC77に出力する第2経路141に分ける。そして、AED動作時はスイッチ142を制御して第2経路141を選択する。したがって、図44で示した上記第3−1実施形態のような特別なMUX135を用意する必要がなく、手間と費用を省くことができる。
上述したように、本第3発明の各実施形態は、上記第1発明および上記第2発明の各実施形態と複合して実施してもよい。例えば、上記第2発明の場合と同じく、上記第1発明を適用して、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、制御部54により、ADC77、およびこれとブロックBLを構成するMUX76の電力の供給状態を、第1状態と第2状態とに周期的に切り替えてもよい。なお、第1状態と第2状態の定義は、上記第2発明の末尾で述べた通りである。
上記第2発明と同じく、本第3発明と上記第1発明のADC77、ひいてはブロックBLの供給電力の切り替えパターンの組み合わせについては、例えば以下に示す組み合わせが可能である。まず、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、電力の供給状態を周期的に切り替えるMUX76およびADC77のブロックBLが2個以上ある場合、制御部54により、2個以上のブロックBLのうちの少なくとも2個のブロックBLの電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
さらに、これも上記第1−1実施形態の図14等で示したように、2個以上のブロックBLが属する複数のグループ毎に電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。この場合、同じグループに属する2個のブロックBLの間には、少なくとも1個のブロックBLが配されていることが好ましい。あるいは、上記第1−2実施形態の図18等で示したように、2個以上のブロックBLの全ての電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
上記第1−5実施形態の図21等で示したように、一部のCAが接続されていないMUX76を含むブロックBLが複数あった場合は、そのうちの少なくとも1つを常時第2状態にしてもよい。
図35〜図37の上記第1−12実施形態で示したように、線量信号DDS(C)にリーク電荷補正と温度ドリフト補正を施してもよい。
例えば図44に示す上記第3−1実施形態の構成に、図35〜図37の上記第1−12実施形態を適用する場合は、図44に示す検出用チャンネル95に接続された検出用CA132に加えて、図37に示すリファレンスチャンネル120に接続されたCA60が、アナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力する一部のCAとなる。すなわち、上記第3−1、第3−2実施形態では、アナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力する一部のCAとして、検出用CA132のみを例示しているが、本発明はこれに限定されず、リファレンスチャンネル120に接続されたCA60も含まれる。
この他にも、図25〜図27に示す、AED動作に用いる検出用画素90が接続された信号線42である検出用チャンネル95が設定される上記第1−8実施形態、図28〜図31に示す、AED動作専用の検出用画素90Xを設けた上記第1−9実施形態、図32に示す、検出用画素90を設定変更可能とした上記第1−10実施形態、図33および図34に示す、AED動作時のCDS61の動作を簡略化する上記第1−11実施形態、図38に示す、デジタル信号の伝送I/Fを切り替える上記第1−13実施形態を組み合わせてもよい。
また、図39〜図43に示す、上記第2発明の上記第2−1〜第2−3実施形態を適用して、アナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力する一部のCA以外の非選択のCAの少なくとも1個へのAED動作時の供給電力を、画像読み出し動作時における通常電力よりも低い省電力状態にしてもよい。
ここで、非選択のCAは、図35〜図37の上記第1−12実施形態を適用しない場合は、非検出用CA131であり、上記第1−12実施形態を適用する場合は、リファレンスチャンネル120に接続されたCA60を除く非検出用CA131である。
上記第2−3実施形態を適用した場合は、非検出用CA131だけでなく、検出用CA132(上記第1−12実施形態を適用する場合は、リファレンスチャンネル120に接続されたCA60も含む)の少なくとも1個が、通常電力PN_Cよりも低く、かつ0よりも大きい電力が供給される低電力状態で駆動される。このため、AED動作時の信号処理回路51の消費電力のさらなる低減が可能となる。
4.第4発明
以下に説明する図50〜図58に示す第4発明は、上記第1発明の複数のADC77、ひいては複数のブロックBL1〜BL16の電力の供給状態を切り替えながらAED動作を実行する場合に生じる問題を解消するためのものである。第4発明は、制御部54が、AED動作において、複数のブロックBL1〜BL16のそれぞれについて、電荷の読み出しを開始させるタイミングよりもブロックBLを構成するADC77等を安定して稼働させるために必要な所定の時間前に、第2状態から第1状態への切り替えを行う、という内容である。
第4発明においても、上記第2、第3発明と同じく、X線撮影システム10、電子カセッテ16等の基本的な構成は、上述の第1発明と同様である。また、ADC77の電力の供給状態の切り替えパターンについても、上記第1−1〜第1−7実施形態で例示したパターンを適用可能である。さらに、第1発明の他の実施形態(上記第1−8〜第1−13実施形態)、第2発明の上記第2−1〜第2−3実施形態、並びに第3発明の上記第3−1、3−2実施形態との組み合わせも可能である。以下、第1〜第3発明と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
[第4−1実施形態]
図50および図51に第4−1実施形態を示す。本第4−1実施形態では、上記第2−1、3−1実施形態と同じく、例えば、上記第1−9実施形態の図29に示す検出用画素90X1、あるいは図30に示す検出用画素90X2を含む構成を想定して説明するが、構成はこれに限らない。
図50は、あるブロックBLの電力の供給状態を示す。斜線のハッチングで示す箇所は、線量信号DDS(C)の元となる電荷を読み出している期間である。より詳しくは、信号線42を通じて電荷をCA60に読み出し、MUX76でCA60を順次選択して、電荷に基づくアナログの電圧信号V(C)をADC77に出力し、ADC77でアナログの電圧信号V(C)を線量信号DDS(C)に変換して出力する一連の動作を行っている期間である。
ここで、ブロックBLは、第2状態である非稼働状態から第1状態である稼働状態に切り替えた直後は、温度ドリフト等の影響で動作が不安定となる。この動作が不安定な間に出力された線量信号DDS(C)は、信頼性が著しく低いものとなる。このため、X線の照射が開始されたか否かの判定の信頼性が保てなくなるおそれがある。
図50Aは、ブロックBLを非稼働状態から稼働状態に切り替えた直後に、電荷の読み出しを開始している例である。このように、ブロックBLの非稼働状態から稼働状態への切り替えと、電荷の読み出しを開始させるタイミングとの間に時間が空けられていないと、ブロックBLの動作が不安定な間に出力された線量信号DDS(C)によって、X線の照射開始の判定を誤るリスクが高まる。
そこで、図50Bに示すように、電荷の読み出しを開始させるタイミングよりも時間TW前に、ブロックBLの非稼働状態から稼働状態への切り替えを行う。時間TWは、ブロックBLを安定して稼働させるために必要な時間である。
図51は、本第4−1実施形態の電子カセッテの動作手順を示すフローチャートである。上記第1−1実施形態の図17で示したフローチャートとの相違点は、一点鎖線で囲ったステップST1204およびステップST1804である。以下、相違点のみ説明する。
ステップST1204において、AED動作では、制御部54により、ブロックBLの電力の供給状態が切り替えられる。そして、電荷の読み出しを開始させるタイミングよりも時間TW前に、ブロックBLの非稼働状態から稼働状態への切り替えが行われる(照射開始検出ステップ)。また、ステップST1804において、画像読み出し動作では、全てのブロックBLが稼働状態にされる(画像読み出しステップ)。
こうすれば、図50Aのように、ブロックBLの動作が不安定な間に線量信号DDS(C)が出力されてしまうことがなく、X線の照射開始の判定を誤るおそれを低減することができる。
なお、斜線のハッチングで示す電荷を読み出している期間には、図52〜図54に示す3つのバリエーションがある。図52〜図54では、図9および図44と同じく、1列目〜144列目のエリアAR1を担当するブロックBL1を例示したものである。
まず、図52は、アルファベットDT(図44参照)で示すように、ブロックBL1が担当するエリアAR1の全ての信号線42が検出用チャンネル95の場合である。この場合の電荷を読み出している期間は、全検出用チャンネル95の検出用CA132からのアナログの電圧信号V(1)〜V(144)に基づく線量信号DDS(1)〜DDS(144)を出力する期間である。
図53は、図44で示した第3−1実施形態と同じく、奇数列が検出用チャンネル95の場合で、かつMUXが検出用チャンネル95の検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)を選択する機能を有するMUX135ではなく、1列ずつ順次選択する機能しかない一般的なMUX76の場合である。この場合の電荷を読み出している期間は、奇数列の検出用チャンネル95の検出用CA132からのアナログの電圧信号V(1)、V(3)、V(5)、・・・、V(143)に基づく線量信号DDS(1)、DDS(3)、DDS(5)、・・・、DDS(144)をそれぞれ出力する期間である。つまり、この場合の電荷を読み出している期間は、間欠的となる。
図54は、奇数列が検出用チャンネル95である点では図52と同じであるが、MUXがMUX76ではなくMUX135の場合である。この場合の電荷を読み出している期間は、奇数列の検出用チャンネル95の検出用CA132からのアナログの電圧信号V(1)、V(3)、V(5)、・・・、V(143)に基づく線量信号DDS(1)、DDS(3)、DDS(5)、・・・、DDS(144)をそれぞれ出力する期間の合計である。電荷を読み出している期間が図53のように間欠的でないので、単純な見た目は図52の場合と同じである。しかし、図52ではMUX76でアナログの電圧信号V(C)を一列ずつ順次選択しているのに対し、図54ではMUX135でアナログの電圧信号V(C)を一列おきに選択しているので、具体的な中身は異なる。
[第4−2実施形態]
図55〜図57に第4−2実施形態を示す。上記第4−1実施形態では、電荷の読み出しを開始するタイミングに対するブロックBLを非稼働状態から稼働状態へ切り替えるタイミングを規定しているが、本第4−2実施形態では、ブロックBLを稼働状態から非稼働状態に切り替えるタイミングを規定する。
あるブロックBLを稼働状態から非稼働状態に切り替えたときに、他のブロックBLにおいて電荷を読み出し中であった場合、ブロックBLを稼働状態から非稼働状態に切り替えたことで発生するスイッチングノイズ等が、他のブロックBLの電荷に乗ってしまうおそれがある。そこで、本第4−2実施形態では、あるブロックBLの稼働状態から非稼働状態への切り替えを、他のブロックBLにおいて電荷を読み出し中のタイミングと重ならないタイミングで行う。
図55〜図57は、上記第1−1実施形態の図14や、上記第1−2実施形態の図18等と同じく、各ブロックBL1〜BL16(ブロックBL5以降は不図示)の電力の供給状態を周期的に切り替え、かつ各ブロックBL1〜BL16の電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらす場合を例示している。そして、図55および図56は、電荷を読み出している期間が図52または図54のバリエーションの場合、図57は、電荷を読み出している期間が図53のバリエーションの場合をそれぞれ例示している。
図55は、破線の矢印で示すように、各ブロックBL1〜BL16の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、各ブロックBL1〜BL16の検出用CA132からの電荷の読み出しを開始する前のタイミング、具体的には時間TWの立ち上げ中に行う例である。より詳しくは、図55においては、制御部54は、ブロックBL1の稼働状態から非稼働状態の切り替えを、ブロックBL2の立ち上げ中に行い、ブロックBL2の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、ブロックBL3の立ち上げ中に行う。また、ブロックBL3の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、ブロックBL4の立ち上げ中に行う。
図56は、各ブロックBL1〜BL16の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、各ブロックBL1〜BL16の検出用CA132からの電荷の読み出しが終了した後のタイミングに行う例である。より詳しくは、図56においては、制御部54は、ブロックBL1の稼働状態から非稼働状態の切り替えを、ブロックBL2の電荷の読み出し終了後に行い、ブロックBL2の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、ブロックBL3の電荷の読み出し終了後に行う。また、ブロックBL3の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、ブロックBL4の電荷の読み出し終了後に行う。
図57は、各ブロックBL1〜BL16の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、各ブロックBL1〜BL16の間欠的な電荷を読み出している期間の合間に行う例である。より詳しくは、図57においては、制御部54は、ブロックBL1の稼働状態から非稼働状態の切り替えを、ブロックBL2の間欠的な電荷を読み出している期間の合間に行い、ブロックBL2の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、ブロックBL3の間欠的な電荷を読み出している期間の合間に行う。そして、ブロックBL3の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、ブロックBL4の間欠的な電荷を読み出している期間の合間に行う。
このように、ブロックBLの稼働状態から非稼働状態への切り替えを、他のブロックBLにおいて電荷を読み出し中のタイミングと重ならないタイミングで行えば、ブロックBLを稼働状態から非稼働状態に切り替えたことで発生するスイッチングノイズ等が、他のブロックBLの電荷に乗ってしまうおそれがない。
省電力の観点でいえば、図55〜図57の例のうち、各ブロックBL1〜BL16の稼働状態から非稼働状態への切り替えを、各ブロックBL1〜BL16の電荷の読み出し開始前に行う図55の例が最も好ましい。
[第4−3実施形態]
図58に第4−3実施形態を示す。上記第1−12実施形態の図35で示したように、AED動作で各ブロックBLの電力の供給状態を切り替えた場合、ブロックBL内で温度分布の偏りが生じる。この温度分布の偏りが、診断に供するX線画像を得るための画像読み出し動作までに解消されていないと、画像信号DIS(C)に温度ドリフトが生じてX線画像の画質が劣化する。そこで、本第4−3実施形態では、制御部54が、AED動作でX線の照射開始を検出した後、画像読み出し動作が開始される前までに、全てのブロックBLを稼働状態にする。
図58では、AED動作でX線の照射開始を検出したタイミングで、全てのブロックBL1〜BL16を稼働状態にしている。より詳しくは、図58においては、制御部54は、X線の照射開始検出時に非稼働状態であったブロックBL(ブロックBL3、BL4、BL7、BL8、BL11、BL12、BL15、BL16)を稼働状態に切り替える。一方、制御部54は、X線の照射開始検出時に稼働状態であったブロックBL(上記以外のブロックBL1、BL2等)についてはそのまま稼働状態を継続させる。
また、図58では、AED動作でX線の照射開始を検出したタイミングで、すぐに全てのブロックBL1〜BL16を稼働状態にしているので、X線の照射開始を検出した後、全てのブロックBL1〜BL16の切り替えが1サイクル終了する線量信号DDS(C)の読み出し周期TXの間に、全てのブロックBL1〜BL16を稼働状態にしているといえる。
このように、AED動作でX線の照射開始を検出した後、画像読み出し動作が開始される前までに、全てのブロックBLを稼働状態にするので、画像読み出し動作時には、AED動作で各ブロックBLの電力の供給状態を切り替えたことで生じたブロックBL内の温度分布の偏りは解消されている可能性が高い。したがって、ブロックBL内の温度分布の偏りによって画像信号DIS(C)に温度ドリフトが生じることがなく、良好な画質のX線画像を得ることができる。
また、X線の照射開始を検出した後、全てのブロックBL1〜BL16の切り替えが1サイクル終了する線量信号DDS(C)の読み出し周期TXの間に、全てのブロックBL1〜BL16を稼働状態にするので、画像読み出し動作の開始までに、ブロックBL内の温度分布の偏りを解消するための十分な時間を確保することができる。
なお、全てのブロックBL1〜BL16を稼働状態にするタイミングとしては、AED動作でX線の照射開始を検出した後、画像読み出し動作が開始される前までの期間の任意のタイミングでよい。ただし、確実にブロックBL内の温度分布の偏りを解消するためには、図58で示したようにAED動作でX線の照射開始を検出したタイミングで全てのブロックBL1〜BL16を稼働状態にすることが好ましい。なお、稼働状態と非稼働状態、ひいては第1状態と第2状態の定義は、上記第2発明の末尾で述べた通りである。
また、ブロックBLを安定して稼働させるために必要な時間TWは、ブロックBLを構成するCA60、CDS61、MUX76、およびADC77の稼働の準備に掛かる時間とほぼ同じ場合もあれば、それよりも長い場合もある。ブロックBLを安定して稼働させるために必要な時間TWが、ブロックBLを構成するCA60、CDS61、MUX76、およびADC77の稼働の準備に掛かる時間とほぼ同じ場合も、本第4発明に含まれる。つまり、ブロックBLを構成するCA60、CDS61、MUX76、およびADC77の稼働の準備が済んだら直ちに電荷の読み出しを開始する場合も、本第4発明に含まれる。
なお、時間TWの間にブロックBLの各部に与える電力は、ブロックBLの温度に応じて変更してよい。例えば時間TWの前のブロックBLの温度が目標温度よりも大幅に低い場合は、制御部54は、比較的大きい電力をブロックBLの各部に与えて、短時間で目標温度に達するようにする。対して時間TWの前のブロックBLの温度が、目標温度より低いが比較的目標温度に近い場合は、比較的大きい電力をブロックBLの各部に与えてしまうと、目標温度を超えてしまうおそれがあるため、制御部54は、比較的低い電力でブロックBLの各部を動作させる。
上述したように、本第4発明の各実施形態は、上記第1発明、上記第2発明、および上記第3発明の各実施形態と複合して実施してもよい。例えば、上記第2、第3発明の場合と同じく、上記第1発明を適用して、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、制御部54により、ADC77、およびこれとブロックBLを構成するMUX76の電力の供給状態を、第1状態と第2状態とに周期的に切り替えてもよい。
上記第2、第3発明と同じく、本第4発明と上記第1発明のADC77、ひいてはブロックBLの供給電力の切り替えパターンの組み合わせについては、例えば以下に示す組み合わせが可能である。まず、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、電力の供給状態を周期的に切り替えるMUX76およびADC77のブロックBLが2個以上ある場合、制御部54により、2個以上のブロックBLのうちの少なくとも2個のブロックBLの電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
さらに、これも上記第1−1実施形態の図14等で示したように、2個以上のブロックBLが属する複数のグループ毎に電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。この場合、同じグループに属する2個のブロックBLの間には、少なくとも1個のブロックBLが配されていることが好ましい。あるいは、上記第1−2実施形態の図18等で示したように、2個以上のブロックBLの全ての電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
上記第1−5実施形態の図21等で示したように、非検出用CA131のみが接続されているMUX76を含むブロックBLが複数あった場合は、そのうちの少なくとも1つを常時第2状態にしてもよい。
図35〜図37の上記第1−12実施形態で示したように、線量信号DDS(C)にリーク電荷補正と温度ドリフト補正を施してもよい。
この他にも、図25〜図27に示す、AED動作に用いる検出用画素90が接続された信号線42である検出用チャンネル95が設定される上記第1−8実施形態、図28〜図31に示す、AED動作専用の検出用画素90Xを設けた上記第1−9実施形態、図32に示す、検出用画素90を設定変更可能とした上記第1−10実施形態、図33および図34に示す、AED動作時のCDS61の動作を簡略化する上記第1−11実施形態、図38に示す、デジタル信号の伝送I/Fを切り替える上記第1−13実施形態を組み合わせてもよい。
また、図39〜図43に示す、上記第2発明の上記第2−1〜第2−3実施形態を適用して、アナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力する一部のCA以外の非選択のCAの少なくとも1個へのAED動作時の供給電力を、画像読み出し動作時における通常電力よりも低い省電力状態にしてもよい。
さらに、図44〜図49に示す、ADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減する上記第3−1、3−2実施形態を適用してもよい。
5.第5発明
以下に説明する図59および図60に示す第5発明は、制御部54が、AED動作におけるCA60への供給電力を、画像読み出し動作時よりも低減する、という内容である。上記第2発明では、非検出用CA131の少なくとも1個へのAED動作時の供給電力を、画像読み出し動作時における通常電力よりも低い省電力状態にする、という内容であったが、本第5発明は、検出用CA132、非検出用CA131の区別なく、AED動作時はCA60への供給電力を画像読み出し動作時よりも低減する、という点で上記第2発明とは異なる。
第5発明においても、上記第2〜第4発明と同じく、X線撮影システム10、電子カセッテ16等の基本的な構成は、上述の第1発明と同様である。以下、第1〜第4発明と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図59に示すように、制御部54は、画像読み出し動作時の全てのCA60への供給電力P_Cを通常電力のPN_Cとし、AED動作時の全てのCA60への供給電力P_CをPN_Cよりも低いPL_Cとする。
図60は、本第5発明の電子カセッテの動作手順を示すフローチャートである。上記第1−1実施形態の図17で示したフローチャートとの相違点は、一点鎖線で囲ったステップST1205およびステップST1805である。以下、相違点のみ説明する。
ステップST1205において、AED動作では、全てのCA60が供給電力PL_Cで低電力駆動される。一方、ステップST1805の画像読み出し動作では、全てのCA60が通常電力PN_Cで駆動される。
このように、AED動作時は画像読み出し動作時よりもCA60への供給電力を低減するので、AED動作時の信号処理回路51の消費電力を低減することができる。このため、上記第1〜第3発明と同じく、バッテリ65が従来よりも長持ちし、これによりバッテリ65の充電回数も減るので、撮影効率を向上させることができる。
上記記載から、以下の付記項1に記載の放射線画像検出装置、および付記項2に記載の放射線画像検出装置の作動方法を把握することができる。
[付記項1]
放射線発生装置から照射されて被写体を透過した放射線に感応して電荷を蓄積する画素が二次元に配列され、前記電荷を読み出す複数の信号線が配されたセンサパネルと、
前記信号線を通じて、前記画素から前記電荷に応じたアナログの電圧信号を読み出して信号処理を行う信号処理回路と、
前記信号処理回路に含まれる複数のチャージアンプであって、前記信号線毎に設けられ、かつ前記信号線の一端に接続され、前記画素からの前記電荷を前記アナログの電圧信号に変換する複数のチャージアンプと、
前記信号処理回路に含まれるマルチプレクサであって、複数の入力端子を有し、前記複数のチャージアンプが前記複数の入力端子にそれぞれ接続され、前記複数のチャージアンプからの前記アナログの電圧信号を順次選択して出力するマルチプレクサと、
前記信号処理回路に含まれるAD変換器であって、前記マルチプレクサの後段に接続され、前記マルチプレクサから出力された前記アナログの電圧信号を電圧値に応じたデジタル信号に変換するAD変換処理を実行するAD変換器と、
前記信号処理回路を制御して照射開始検出動作および画像読み出し動作を実行する制御部とを備えており、
前記照射開始検出動作は、前記放射線の照射開始前から、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号に基づいて前記放射線の照射開始を検出する動作であり、
前記画像読み出し動作は、前記放射線の照射開始後、前記画素に前記電荷を蓄積する画素電荷蓄積期間が経過してから、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号が表す、診断に供する放射線画像を出力する動作であり、
前記制御部は、前記照射開始検出動作における全ての前記チャージアンプへの供給電力を、前記画像読み出し動作時よりも低減する放射線画像検出装置。
[付記項2]
放射線発生装置から照射されて被写体を透過した放射線に感応して電荷を蓄積する画素が二次元に配列され、前記電荷を読み出す複数の信号線が配されたセンサパネルと、前記信号線を通じて、前記画素から前記電荷に応じたアナログの電圧信号を読み出して信号処理を行う信号処理回路と、前記信号処理回路に含まれる複数のチャージアンプであって、前記信号線毎に設けられ、かつ前記信号線の一端に接続され、前記画素からの前記電荷をアナログの電圧信号に変換する複数のチャージアンプと、前記信号処理回路に含まれるマルチプレクサであって、複数の入力端子を有し、前記複数のチャージアンプが前記複数の入力端子にそれぞれ接続され、前記複数のチャージアンプからの前記アナログの電圧信号を順次選択して出力するマルチプレクサと、前記信号処理回路に含まれるAD変換器であって、前記マルチプレクサの後段に接続され、前記マルチプレクサから出力された前記アナログの電圧信号を電圧値に応じたデジタル信号に変換するAD変換処理を実行するAD変換器と、前記信号処理回路を制御する制御部とを備える放射線画像検出装置の作動方法において、
前記放射線の照射開始前から、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号に基づいて前記放射線の照射開始を検出する照射開始検出動作を実行する照射開始検出ステップと、
前記放射線の照射開始後、前記画素に前記電荷を蓄積する画素電荷蓄積期間が経過してから、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号が表す、診断に供する放射線画像を出力する画像読み出し動作を実行する画像読み出しステップとを備え、
前記照射開始検出ステップにおける全ての前記チャージアンプへの供給電力を、前記画像読み出し動作時よりも低減する放射線画像検出装置の作動方法。
なお、付記項2に記載の照射開始検出ステップおよび画像読み出しステップは、図60のステップST1205およびステップST1805がそれぞれ該当する。
6.第6発明
以下に説明する図61および図62に示す第6発明は、制御部54が、AED動作時のADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減する、という内容である。上記第3発明は、検出用CA132を含む一部のCAからのアナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力させ、ADC77に対して、選択的に出力されたアナログの電圧信号V(C)に対するAD変換処理のみを実施させたうえで、AED動作時のADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減する、という内容であった。対して、本第6発明は、検出用CA132、非検出用CA131の区別なく、画像読み出し動作時と同じく、ADC77に、全てのCA60からのアナログの電圧信号V(C)に対するAD変換処理を実施させたうえで、AED動作時のADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減する、という点で上記第3発明とは異なる。
第6発明においても、上記第2〜第5発明と同じく、X線撮影システム10、電子カセッテ16等の基本的な構成は、上述の第1発明と同様である。以下、第1〜第5発明と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図61に示すように、制御部54は、全てのADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数NPU_Aを、画像読み出し動作時は通常のパルス数であるNPUN_A、AED動作時はNPUN_Aの1/2のNPUL_Aとする。
図62は、本第6発明の電子カセッテの動作手順を示すフローチャートである。上記第1−1実施形態の図17で示したフローチャートとの相違点は、一点鎖線で囲ったステップST1206およびステップST1806である。以下、相違点のみ説明する。
ステップST1206において、AED動作では、通常のパルス数であるNPUN_Aの1/2のパルス数NPUL_Aのクロック信号が全てのADC77に与えられる。一方、ステップST1806の画像読み出し動作では、パルス数NPUN_Aの通常のクロック信号が全てのADC77に与えられる。
このように、AED動作時のADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減するので、AED動作時の信号処理回路51の消費電力を低減することができる。このため、上記第1〜第3、第5発明と同じく、バッテリ65が従来よりも長持ちし、これによりバッテリ65の充電回数も減るので、撮影効率を向上させることができる。
上記記載から、以下の付記項3に記載の放射線画像検出装置、および付記項4に記載の放射線画像検出装置の作動方法を把握することができる。
[付記項3]
放射線発生装置から照射されて被写体を透過した放射線に感応して電荷を蓄積する画素が二次元に配列され、前記電荷を読み出す複数の信号線が配されたセンサパネルと、
前記信号線を通じて、前記画素から前記電荷に応じたアナログの電圧信号を読み出して信号処理を行う信号処理回路と、
前記信号処理回路に含まれ、前記アナログの電圧信号を電圧値に応じたデジタル信号に変換するAD変換処理を実行するAD変換器であって、前記信号線毎に実行される前記AD変換処理を分担する複数のAD変換器と、
前記信号処理回路を制御して照射開始検出動作および画像読み出し動作を実行する制御部とを備えており、
前記照射開始検出動作は、前記放射線の照射開始前から、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号に基づいて前記放射線の照射開始を検出する動作であり、
前記画像読み出し動作は、前記放射線の照射開始後、前記画素に前記電荷を蓄積する画素電荷蓄積期間が経過してから、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号が表す、診断に供する放射線画像を出力する動作であり、
前記制御部は、前記照射開始検出動作において、全ての前記AD変換器について、前記AD変換器の動作タイミングを規定するクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、前記画像読み出し動作時よりも低減する放射線画像検出装置。
[付記項4]
放射線発生装置から照射されて被写体を透過した放射線に感応して電荷を蓄積する画素が二次元に配列され、前記電荷を読み出す複数の信号線が配されたセンサパネルと、前記信号線を通じて、前記画素から前記電荷に応じたアナログの電圧信号を読み出して信号処理を行う信号処理回路と、前記信号処理回路に含まれ、前記アナログの電圧信号を電圧値に応じたデジタル信号に変換するAD変換処理を実行するAD変換器であって、前記信号線毎に実行される前記AD変換処理を分担する複数のAD変換器と、前記信号処理回路を制御する制御部とを備える放射線画像検出装置の作動方法において、
前記放射線の照射開始前から、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号に基づいて前記放射線の照射開始を検出する照射開始検出動作を実行する照射開始検出ステップと、
前記放射線の照射開始後、前記画素に前記電荷を蓄積する画素電荷蓄積期間が経過してから、前記画素から前記信号線を通じて前記電荷を読み出して、読み出した前記電荷に対応する前記デジタル信号が表す、診断に供する放射線画像を出力する画像読み出し動作を実行する画像読み出しステップとを備え、
前記照射開始検出ステップにおいて、全ての前記AD変換器について、前記AD変換器の動作タイミングを規定するクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、前記画像読み出し動作時よりも低減する放射線画像検出装置の作動方法。
なお、付記項4に記載の照射開始検出ステップおよび画像読み出しステップは、図62のステップST1206およびステップST1806がそれぞれ該当する。
7.第7発明
以下に説明する図63および図64に示す第7発明は、回路構成の変形例である。第7発明においても、上記第2〜第6発明と同じく、X線撮影システム10、電子カセッテ16等の基本的な構成は、上述の第1発明と同様である。以下、第1〜第6発明と同一部分については同一の符号を付して説明を省略し、相違点を中心に説明する。
図63および図64は、本第7発明における1つのブロックBLとその周辺の回路構成を示す。ブロックBLは、図39で示した上記第2−1実施形態のように、検出用チャンネル95と非検出用チャンネル130が混在したものである。検出用チャンネル95は、図49で示した上記第3−2実施形態と同じく、CDS61の後段で第1経路140と第2経路141とに分かれており、スイッチ142が接続されている。スイッチ142は、制御部54から入力される駆動制御信号S_MUXに応じて、検出用チャンネル95と接続する経路を、第1経路140と第2経路141とに切り替える。
検出用CA132および非検出用CA131の前段において、検出用チャンネル95および非検出用チャンネル130は、第1経路200と第2経路201とに分かれている。第1経路200は、検出用CA132および非検出用CA131に接続される。第2経路201は、検出用CA132および非検出用CA131を介さずに、CDS61に接続される。第1経路200は、検出用CA132および非検出用CA131に電荷を入力する経路である。第2経路201は、検出用CA132および非検出用CA131を介さずに、電荷をMUX76に出力する経路である。
検出用チャンネル95または非検出用チャンネル130、第1経路200、および第2経路201には、スイッチ202が接続されている。スイッチ202は、制御部54から入力される駆動制御信号S_CAに応じて、検出用チャンネル95または非検出用チャンネル130と接続する経路を、第1経路200と第2経路201とに切り替える。
同様にして、CDS61の前段において、検出用チャンネル95および非検出用チャンネル130は、第1経路203と第2経路204とに分かれており、スイッチ205が接続されている。スイッチ205は、制御部54から入力される駆動制御信号S_CDSに応じて、検出用チャンネル95または非検出用チャンネル130と接続する経路を、第1経路203と第2経路204とに切り替える。
検出用チャンネル95および非検出用チャンネル130には、スイッチ206を介してバイアス電源207が接続されている。スイッチ206は、制御部54から入力される駆動制御信号S_BIASに応じて、オン/オフが切り替わる。
制御部54は、各チャンネル95、130(各信号線42)のスイッチ142、202、205に対して、個別に各駆動制御信号S_MUX、S_CA、S_CDSを出力する。このため、制御部54は、検出用チャンネル95のスイッチ202、205を第1経路200、203側とする一方で、非検出用チャンネル130のスイッチ202、205を第2経路201、204側とする等、各スイッチ142、202、205の個別の駆動制御が可能である。スイッチ206についても同様に、制御部54は、個別に駆動制御信号S_BIASを出力し、検出用チャンネル95はオフ状態、非検出用チャンネル130はオン状態とする等が可能である。
図63は、画像読み出し動作時を示す。すなわち、スイッチ142、202、205により、各チャンネル95、130のいずれも第1経路140、200、203が選択されている。また、スイッチ206はいずれもオフ状態とされている。
一方、AED動作時は、例えば図64に示す状態とされる。すなわち、検出用チャンネル95においては、スイッチ142により第2経路141が、スイッチ202、205により第1経路200、203がそれぞれ選択されている。また、スイッチ206は依然としてオフ状態とされている。この状態は、上記第3−2実施形態の図49Aの状態と同じである。したがって、上記第3−2実施形態で説明した通り、検出用CA132からのアナログの電圧信号V(C)は、MUX76を介さずに、直接ADC77に出力される。
対して非検出用チャンネル130においては、スイッチ202、205により第2経路201、204がそれぞれ選択されている。また、スイッチ206はオン状態とされている。この場合、非検出用チャンネル130の電荷は、非検出用CA131、CDS61を介さずに、直接MUX76に出力される。また、非検出用チャンネル130には、スイッチ206を通じてバイアス電源207からバイアス電圧が印加される。
この場合、非検出用CA131は、図41で示した上記第2−2実施形態と同じく、供給電力PL_Cが0のパワーオフの状態である。非検出用チャンネル130のCDS61も同様に、パワーオフの状態である。
非検出用CA131をパワーオフの状態とした場合は、上記第2−2実施形態で説明したように、非検出用CA131の2つの入力端子間のバーチャルショート状態が保てず、非検出用CA131の入力段の電位が不定となり、これに伴って非検出用チャンネル130の電荷も不安定となり、後の画像読み出し動作に悪影響を及ぼしてしまう、という問題があった。そこで、本第7発明では、スイッチ206をオン状態として、非検出用チャンネル130にバイアス電源207からバイアス電圧を印加している。これにより、非検出用チャンネル130の電荷が不安定となり、後の画像読み出し動作に悪影響を及ぼす、という上記問題を解決することができる。
なお、非検出用CA131は、パワーオフの状態ではなく、上記第2−1実施形態のように、入力段の電位が不定とならない程度の供給電力PL_Cを与えて低電力状態としてもよい。
図43で示した第2−3実施形態のように、非検出用CA131だけでなく、検出用CA132も、通常電力PN_Cよりも低く、かつ0よりも大きい電力が供給される低電力状態で駆動してもよい。ただし、この場合も図64で示したように、AED動作時は、検出用チャンネル95において、スイッチ142により第2経路141が、スイッチ202、205により第1経路200、203がそれぞれ選択され、スイッチ206はオフ状態とされる。
また、検出用CA132を低電力状態で駆動した場合、検出用CA132の検出性能が低下するため、これに伴い線量信号DDS(C)のS/N比が低下するおそれがある。そこで、ゲート駆動部50から同時にゲートパルスG(R)を与えるゲート線41の本数を多くして、検出用チャンネル95で加算される電荷の量を増やし、線量信号DDS(C)のS/N比を向上させることが好ましい。
なお、制御部54は、各チャンネル95、130(各信号線42)のスイッチ142、202、205、206に対して、個別に各駆動制御信号S_MUX、S_CA、S_CDS、S_BIASを出力するのではなく、ブロックBL単位で一律に各駆動制御信号S_MUX、S_CA、S_CDS、S_BIASを出力してもよい。例えば上記第1−5実施形態のようにADC77を常時非稼働とするブロックBLは、一律スイッチ142、202、205を第2経路141、201、204側とし、かつ一律スイッチ206をオン状態とする。
スイッチ206およびバイアス電源207は、ブロックBL、ひいては信号処理回路51に内蔵させてもよい。
検出用CA132をパワーオフの状態とし、スイッチ206をオン状態として、検出用チャンネル95にバイアス電源207からバイアス電圧を印加し、検出用チャンネル95のスイッチ202、205を第2経路201、204側とする。そして、X線の照射時に画素40に流れる電流により生じるバイアス電源207の負荷変動を、ADC77でデジタル信号DS(C)に変換する。これを線量信号DDS(C)として用い、当該線量信号DS(C)が所定の範囲よりも変動した場合に、X線の照射が開始されたと判定してもよい。
同様に、非検出用CA131をパワーオフの状態とし、スイッチ206をオン状態として、非検出用チャンネル130にバイアス電源207からバイアス電圧を印加し、非検出用チャンネル130のスイッチ202、205を第2経路201、204側とする。そして、X線の照射時に画素40に流れる電流により生じるバイアス電源207の負荷変動を、ADC77でデジタル信号DS(C)に変換する。これを線量信号DDS(C)として用い、当該線量信号DS(C)が所定の範囲よりも変動した場合に、X線の照射が開始されたと判定してもよい。
あるいは、検出用チャンネル95から出力された、バイアス電源207の負荷変動を表す線量信号DDS(C)と、非検出用チャンネル130から出力された、バイアス電源207の負荷変動を表す線量信号DDS(C)の両方に基づいて、X線の照射開始を判定してもよい。具体的には、上記各線量信号DDS(C)の差分、または比を演算し、演算した差分、または比に基づいて、X線の照射開始を判定する。こうすれば、電子カセッテ16に加わる衝撃や振動ノイズ、電磁ノイズ等のノイズ成分がキャンセルされるので、ノイズ成分でX線の照射開始の判定を誤るおそれを低減することができる。
検出用CA132、または非検出用CA131をパワーオフの状態とするのではなく、上記第2−1実施形態のように、検出用CA132、または非検出用CA131の入力段の電位が不定とならない程度の供給電力PL_Cを与えて低電力状態としてもよい。
負荷変動を表す線量信号DDS(C)を取得する電源は、バイアス電源207に限らない。ADC77やCA60、あるいはCDS61の電源等、AED動作中にパワーオンしている電源であれば何でもよい。
ただし、電源の負荷変動を表す線量信号DDS(C)でX線の照射が開始されたか否かを判定する場合、電源の負荷変動量が小さく、これに伴い線量信号DDS(C)のS/N比が低下して、X線の照射開始検出性能が低下するおそれがある。
そこで、ゲート駆動部50から同時にゲートパルスG(R)を与えるゲート線41の本数を多くして、検出用チャンネル95または非検出用チャンネル130で加算される電荷の量を増やし、線量信号DDS(C)のS/N比を向上させることが好ましい。あるいは、隣り合うチャンネル間の線量信号DDS(C)を加算または加算平均することで線量信号DDS(C)のS/N比を向上させてもよい。さらには、ゲート駆動部50から同時にゲートパルスG(R)を与えるゲート線41の本数を多くして、各チャンネルで加算される電荷の量を増やす手法と、隣り合うチャンネル間の線量信号DDS(C)を加算または加算平均する手法を併用することで、線量信号DDS(C)のS/N比をより向上させてもよい。
本第7発明は、上記第1発明、上記第2発明、上記第3発明、および上記第4発明の各実施形態と複合して実施してもよい。例えば、上記第2〜第4発明の場合と同じく、上記第1発明を適用して、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、制御部54により、ADC77、およびこれとブロックBLを構成するMUX76の電力の供給状態を、第1状態と第2状態とに周期的に切り替えてもよい。
上記第2〜第4発明と同じく、本第7発明と上記第1発明のADC77、ひいてはブロックBLの供給電力の切り替えパターンの組み合わせについては、例えば以下に示す組み合わせが可能である。まず、上記第1−1実施形態の図14等で示したように、電力の供給状態を周期的に切り替えるMUX76およびADC77のブロックBLが2個以上ある場合、制御部54により、2個以上のブロックBLのうちの少なくとも2個のブロックBLの電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
さらに、これも上記第1−1実施形態の図14等で示したように、2個以上のブロックBLが属する複数のグループ毎に電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。この場合、同じグループに属する2個のブロックBLの間には、少なくとも1個のブロックBLが配されていることが好ましい。あるいは、上記第1−2実施形態の図18等で示したように、2個以上のブロックBLの全ての電力の供給状態の切り替えのタイミングをずらしてもよい。
上記第1−5実施形態の図21等で示したように、非検出用CA131のみが接続されているMUX76を含むブロックBLが複数あった場合は、そのうちの少なくとも1つを常時第2状態にしてもよい。
図35〜図37の上記第1−12実施形態で示したように、線量信号DDS(C)にリーク電荷補正と温度ドリフト補正を施してもよい。
この他にも、図25〜図27に示す、AED動作に用いる検出用画素90が接続された信号線42である検出用チャンネル95が設定される上記第1−8実施形態、図28〜図31に示す、AED動作専用の検出用画素90Xを設けた上記第1−9実施形態、図32に示す、検出用画素90を設定変更可能とした上記第1−10実施形態、図33および図34に示す、AED動作時のCDS61の動作を簡略化する上記第1−11実施形態、図38に示す、デジタル信号の伝送I/Fを切り替える上記第1−13実施形態を組み合わせてもよい。
また、図39〜図43に示す、上記第2発明の上記第2−1〜第2−3実施形態を適用して、アナログの電圧信号V(C)を選択的にADC77に対して出力する一部のCA以外の非選択のCAの少なくとも1個へのAED動作時の供給電力を、画像読み出し動作時における通常電力よりも低い省電力状態にしてもよい。
さらに、図44〜図49に示す、ADC77のクロック信号の単位時間当たりのパルス数を、画像読み出し動作時よりも低減する上記第3−1、3−2実施形態を適用してもよい。
さらにまた、図50〜図58に示す、AED動作において、複数のブロックBL1〜BL16のそれぞれについて、電荷の読み出しを開始させるタイミングよりもブロックBLを構成するADC77等を安定して稼働させるために必要な所定の時間前に、第2状態から第1状態への切り替えを行う上記第4−1〜4−3実施形態を適用してもよい。
上記第1〜第7発明の各実施形態では、放射線画像検出装置として電子カセッテ16を例示したが、本発明はこれに限定されない。立位撮影台18や臥位撮影台19に固定される据え置き型の放射線画像検出装置に対しても、本発明は適用することが可能である。
上記第1〜第7発明の各実施形態において、例えば、制御部54、リーク電荷補正部121、温度ドリフト補正部122といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。
各種のプロセッサには、CPU、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、専用電気回路等が含まれる。CPUは、周知のとおりソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサである。PLDは、FPGA(Field Programmable Gate Array) 等の、製造後に回路構成を変更可能なプロセッサである。専用電気回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである。
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
本発明は、X線に限らず、γ線等の他の放射線を使用する場合にも適用することができる。
なお、本明細書中に記載の「あるいは」、「または」、「もしくは」なる接続詞は、文脈によっては、これらの接続詞で繋げられた複数の選択肢のうちのいずれか1つ、という限定的解釈を意図する表現ではなく、複数の選択肢の組み合わせも含む表現である。例えば、「選択肢A、あるいは選択肢Bを行う。」という文章は、文脈によっては、「選択肢Aを行う。」、「選択肢Bを行う。」、「選択肢Aおよび選択肢Bを行う。」の3通りの意があると解釈すべきである。
本発明は、上記第1〜第7発明の各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採用し得ることはもちろんである。さらに、本発明は、プログラムに加えて、プログラムを記憶する記憶媒体にもおよぶ。