図1は、ユーザがスマートデバイス10を操作してMFP(Multifunction Peripheral)30に印刷ジョブを処理させる際のログインについて説明する図の一例である。
まず、図1(a)を用いて、スマートデバイス10を携帯するユーザとMFP30の距離が離れている場合を説明する。
(1)スマートデバイス10は無線でMFP30と通信することで、MFP30とネットワークNを介して接続するための接続情報(第一情報の一例)を取得する。なお、無線の通信方式としてはBluetooth LE(登録商標。Bluetooth Low Energyの略。なお、以下、「登録商標」を省略する)等がある。
(2)スマートデバイス10は電波強度に基づいて、MFP30との距離が離れていることを検出する。このため、スマートデバイス10はログイン情報をMFP30に送信しない。
(3)スマートデバイス10は、接続情報を用いてAP(アクセスポイント)9からMFP30と通信し印刷ジョブ(第二情報の一例)を送信する。これにより、印刷ジョブがMFP30に蓄積される。
(4)ユーザはMFP30まで移動すると、ログイン情報を入力したりICカードをかざしたりすることでMFP30にログインする。これにより、ユーザは蓄積した印刷ジョブを実行させることが可能になる。
次に、図1(b)を用いて、スマートデバイス10を携帯するユーザとMFP30の距離が近い場合を説明する。
(1)スマートデバイス10は無線でMFP30と通信することで、MFP30とネットワークNを介して接続するための接続情報を取得する。
(2)スマートデバイス10は電波強度に基づいて、MFP30との距離が近いことを検出する。MFP30の近くにユーザが存在するため、スマートデバイス10はログイン情報をMFP30に送信する。
(3)スマートデバイス10は、接続情報を用いてAP9からMFP30と通信し印刷ジョブを実行する。これにより、印刷ジョブがMFP30に蓄積される。この場合、ユーザはMFP30に対しログインのための操作をすることなく、蓄積した印刷ジョブを実行させることが可能になる。
従って、本実施例のスマートデバイス10は、MFP30の近くに存在する場合、ログイン情報をMFP30に送信するので、ユーザによるMFP30へログイン操作を省略でき、ユーザの利便性を向上できる。
なお、従来も、スマートデバイス10からMFP30に印刷ジョブを送信する際、ログイン情報(ユーザIDとパスワード)を送信することは可能であった。しかし、ユーザがMFP30の近くにいるかどうかの判定をスマートデバイスが行うことが困難なため、印刷ジョブの実行時には、キー入力(ユーザIDとパスワード)又はICカード等によるログイン操作をユーザが行うことが必要であった。
<用語について>
本実施例で使用する用語について説明する。
ユーザはスマートデバイス10を携帯しているため、ユーザがMFP30の近くに存在する場合、スマートデバイス10もMFP30の近くに存在する。本実施例では両者を区別せずに、ユーザがMFP30の近くに存在すると記載することにする。
また、ユーザがMFP30の近くに存在するとは、ユーザとMFP30の距離が、例えば、ユーザが手を伸ばしてMFP30を操作できる距離、又は、わずかに移動することでユーザがMFP30を操作できる距離であることなどをいう。
ログイン情報とは、MFP30をユーザが操作することの許可を求める許可情報である。ログイン情報はユーザIDとパスワード、又は、ICカードに記録された情報には限られない。
<システム構成例>
図2は、情報処理システム300を概略構成図の一例である。情報処理システム300は、ネットワークNに接続可能なMFP30と、スマートデバイス10とを有している。
MFP30は、プリント機能401、コピー機能402、スキャナ機能403及びFAX機能404といった複数の機能を1つの筐体で実現している。MFP30は、プリント機能401を利用して外部から供給された画像データ、及び、スキャナ機能403が原稿を読み取って取得された画像データを用紙などの印刷媒体上に画像として形成する機能を有する。
また、スマートデバイス10が通信する対象としてMFP30の他に、電子黒板、テレビ会議端末、デジタルカメラ、ゲーム機、PC、スマートホン、ハンドヘルドプリンタ、タブレット端末又はテレビ受像器、などが挙げられる。これらは、ユーザがログインしてデータを蓄積したり、表示したりする機能を備えるが、本実施例によればユーザがログインする必要性が低減するので、利便性を向上できる。
スマートデバイス10はいくつかの情報取得手段405を備え、ユーザにとって携帯容易に構成された情報処理端末装置である。スマートデバイス10は、電話機能を備えるスマートホンの他(多機能電話端末)、情報処理に重点を置いたタブレット型コンピュータなどを含む。その他、スマートデバイス10は、ウェアラブル端末(ヘッドアップディスプレイ、腕時計型端末など)、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC、デジタルカメラなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。
MFP30は、LAN(Local Area Network)などによるネットワークNに対して、有線又は無線にて通信可能に接続される。また、スマートデバイス10は、無線LANのような無線通信によりネットワークNに接続される。以下では、ネットワークNは、通信プロトコルとして少なくとも一部にIP(Internet Protocol)を用いるものとして説明を行う。しかし、ネットワークNがIPを使用しなくてもよいし、電話回線網等を含んでいてもよい。
スマートデバイス10の情報取得手段405として、QRコード、NFC(Near field communication)、又は、近距離無線通信などが挙げられる。スマートデバイス10はカメラを用いてQRコードを撮像し、QRコードをデコードして上記の接続情報を取得する。また、スマートデバイス10はNFCタグを読み取ることで接続情報を取得する。また、スマートデバイス10は近距離無線通信でMFP30と通信して接続情報を取得する。以下では、近距離無線通信として本実施例ではBLE(Bluetooth(登録商標) LE)を用いる例を説明するが、近距離無線通信としてBLEでないBluetooth、ZigBee(登録商標)、赤外線通信、Z−Wave、ABT、無線LANなどが採用されてもよい。
スマートデバイス10は、MFP30から取得した接続情報を用いて、ネットワークNを介した通信をMFP30との間で行う。スマートデバイス10は、ネットワークNを介したこの通信により、MFP30に対して印刷ジョブなどの各機能の実行指示を送信することができる。この他、スマートデバイス10とMFP30の通信により、スマートデバイス10はMFP30の各機能を利用することができる。
<ハードウェア構成>
<<スマートデバイス>>
図3は、スマートデバイス10のハードウェア構成図の一例である。図示するようにスマートデバイス10は情報処理装置の機能を有している(第一情報処理装置に相当)。スマートデバイス10は、CPU101、RAM102、入力装置103、外部I/F104、カメラ105、SSD(Solid State Drive)106、ROM107、表示装置108、無線通信装置109、NFC通信装置110、及び、BLEモジュール111などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
CPU101は、ROM107やSSD106などの記憶装置からプログラムやデータをRAM102上に読み出し、処理を実行することで、スマートデバイス10全体の制御や機能を実現する演算装置である。
RAM102は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。
入力装置103は、例えばキーボードやタッチパネルであり、スマートデバイス10に各操作信号を入力するのに用いられる。なお、入力装置103はマウスポインタや音声入力装置が含まれていてもよい。
外部I/F104は、外部装置とのインタフェースである。外部装置の一例として、記憶媒体104aなどがある。記憶媒体104aには、本実施形態の機能を実現するためのアプリを格納することができる。スマートデバイス10は外部I/F104を介して、記憶媒体104aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
記憶媒体104aは、例えば、SDメモリカード(SD Memory card)などの記憶媒体である。記憶媒体104aは、USBメモリ(Universal Serial Bus memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disk)、フレキシブルディスクなどの記憶媒体であってもよい。
カメラ105は、像を結像させるレンズ、絞り、CMOSやCCDなどの撮像素子などを備えた撮像装置である。静止画だけでなく動画を撮像できる。
SSD106は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、例えばスマートデバイス10全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や、OS上において各種機能を提供するアプリなどがある。なお、スマートデバイス10は、SSD106の代わりに又はSSD106と併せて、HDD(Hard Disk Drive)等を備えていてもよい。
ROM107は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM107には、スマートデバイス10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。
表示装置108は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などであり、スマートデバイス10による処理結果を表示する。表示装置108はタッチパネルを備える。
無線通信装置109は、無線通信を行うためのインタフェースであり、例えば無線LANなどの通信規格でMFP30と通信する。なお、AP9を介さない無線LANの通信規格として、Wi−Fi Direct、アドホックモードなどがあり、スマートデバイスはこれらでMFP30と通信してもよい。また、無線通信装置109は、LTE(Long Term Evolution)などの携帯電話網に接続するためのインタフェースであってもよい。
NFC通信装置110は、例えば、NFCやTransferJet(登録商標)などのICチップを用いた通信規格に従って通信する。すなわち、RFタグのリーダ/ライタである。
BLEモジュール111は、BLEの通信規格に従って通信する通信装置である。
<<MFP>>
図4は、MFP30のハードウェア構成図の一例である。MFP30も情報処理装置としての機能を有している(第二情報処理装置に相当)。MFP30はコントローラ320を有する。コントローラ320は、CPU301、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)305、SDRAM302、フラッシュメモリ303、HDD304、及び、NIC(Network Interface Card)306を有する。
ASIC305は、CPUインタフェース、SDRAMインタフェース、ローカルバスインタフェース、PCIバスインタフェース、MAC(Media Access Controller)、及び、HDDインタフェースなどを備える多機能デバイスボードである。
CPU301は、ASIC305を介して各種プログラム(例えば、利用管理プログラム等)をHDD304から読み取り実行する。
SDRAM302は、各種プログラムを記憶するプログラムメモリや、CPU301が各種プログラムを実行する際に使用するワークメモリ等として機能する。なお、SDRAM302の代わりに、DRAMやSRAMを用いてもよい。
フラッシュメモリ303は不揮発性メモリであり、MFP30を起動させるブートローダ(ブートプログラム)やOSを記憶する。また、各プログラムを記憶するアプリケーションメモリとして機能する。また、フラッシュメモリ303は、各サービス(コピーサービス、プリントサービス、ファクシミリサービス)のソフトウェアを記憶するサービスメモリとして機能する。更に、フラッシュメモリ303は、ファームウェアを記憶するファームメモリ、ネットワークアドレスや機種機番等を記憶するデータメモリとして機能する。
なお、フラッシュメモリ303の代わりに、RAMと電池を利用したバックアップ回路を集積した不揮発性RAMや、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の他の不揮発性メモリを使用してもよい。
HDD304は、MFP30の電源のオン、オフに関わりなくデータを記憶する不揮発性の記憶媒体である。HDD304は、フラッシュメモリ303内に記憶されたプログラム及びデータ以外のプログラム及びデータを記録する。なお、HDD304は、ファームメモリとして使用してもよい。
NIC306は、ネットワークNを介してスマートデバイス10と通信を行うためのインタフェースである(例えばイーサネット(登録商標)カード)。
コントローラ320には、操作部307が接続されている。操作部307は、各種の操作キー、表示装置としてのLCD(Liquid crystal display)又はCRTの文字表示器及びタッチパネルを有し、ユーザ9がMFP30に各種指示を入力する際に用いられる。
更に、コントローラ320には、PCIバス330を介して、ファックス制御ユニット308、記憶媒体309aが脱着可能なUSB309、IEEE1394(310)、プロッタエンジン311、スキャナエンジン312及びBLEモジュール111が接続されている。これにより、MFP30では、コピーサービス、プリントサービス、ファクシミリサービス等の各サービスを提供することができる。プロッタエンジン311は電子写真方式又はインクジェット方式のいずれの方式を採用していてもよい。
なお、図示する構成は一例に過ぎず、MFP30のハードウェア構成は図4の構成には限られない。例えば、NIC306はPCIバス330に接続されていてもよい。また、NIC306は有線でネットワークNに接続される他、無線LANなど無線で接続されてもよい。
更に、NIC306に代えて又はNIC306と共に、電話回線網に接続するDSU(Digital Service Unit)又はモデムを有していてもよい。携帯電話網に接続する通信装置を有していてもよい。
NFCチップ313は、RFタグであって通信機能とメモリとを内蔵する。NFCチップ313は接続情報を予め記憶している。NFCチップ313は、PCIバス330と接続されていない外部装置であって(PCIバス330と接続されていてもよい)、MFP30の筐体に例えば貼付される。NFCチップ313がMFP30に貼付される位置は特に限定されないが、スマートデバイス10との間での通信が可能な位置に貼付されている。
<機能について>
図5は、情報処理システム300の機能ブロック図の一例である。以下、MFP30、及び、スマートデバイス10の機能について説明する。
<<MFP>>
MFP30は、UI生成部31、操作入力受付部32、ネットワーク通信部33、QRコード表示部34、近距離無線通信部35、ジョブ実行部36、ログイン処理部37、及び、記憶・読出部39を有している。これら各機能部は、図4に示される各構成要素のいずれかが、HDD304、フラッシュメモリ303又はSDRAM302に格納されている機器用プログラム3002に従ったCPU301からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。なお、MFP30は接続情報記憶部38を有している。
また、MFP30は、図4に示されるHDD304、フラッシュメモリ303又はSDRAM302のいずれか1つ以上により構築される記憶部3000を有している。記憶部3000には、接続情報DB3001及び機器用プログラム3002が記憶されている。機器用プログラム3002は、記憶媒体309aに記憶された状態で配布されたり、プログラムを配信するサーバからダウンロードされたりすることで配信される。
記憶部3000に記憶されている接続情報DB3001について説明する。
(接続情報DB)
記憶部3000には、表1に示されるような接続情報テーブルが記憶された接続情報DB3001が構築されている。接続情報テーブルは、「機器ID」、「接続情報」の項目を有している。本実施例では、「機器ID」と「接続情報」を単に接続情報と称して説明する。
・機器ID…機器IDはMFP30を一意に識別するための識別情報である。例えば、複数のMFP30がスマートデバイス10の近くに存在する場合、スマートデバイス10は通信するMFP30を特定できる。機器IDに加え又は機器IDとは別にMFP30の名称が登録されていてもよい。また、機器IDは「機種ID+番号」の構成を有しており、機種IDによりスマートデバイス10の通信相手がMFP30であることが分かる。なお、機種として、MFP30の他、プロジェクタ、プリンタ、電子黒板などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
・接続情報…接続情報はスマートデバイス10がMFP30と接続するための情報である。接続情報は「AP情報」と「ネットワーク情報」を有している。ネットワーク情報は、MFP30の例えばIPアドレスや使用するポート番号を含む。AP情報は、スマートデバイス等がAP9に接続するための情報である。ユーザが所属する企業のMFP30にスマートデバイス10が接続する場合、スマートデバイス10にはすでにAP情報が設定されている。このため、AP情報は必須でない。しかし、ユーザが立ち寄った場所(出張先、別の事業所、公共機関など)のMFP30ではAP情報が必要になる。なお、AP情報の少なくともパスワードは暗号化されていることが好ましい。この場合、アプリは認証サーバに対しユーザ認証を受けることで暗号キーを取得しパスワードを復号する。
(MFPの機能)
UI生成部31は、図4に示されるCPU301及び操作部307等によって実現され、操作部307にGUIを表示する。
操作入力受付部32は、図4に示されるCPU301及び操作部307等によって実現され、ユーザからの操作を受け付ける。操作入力受付部32は操作部307のハードキーやGUIに表示されたソフトキーの押下を受け付ける。
ネットワーク通信部33は、図4に示されるCPU301及びNIC306等により実現され、ネットワークNを介して、接続情報を取得したスマートデバイス10と通信する。
QRコード表示部34は、図4に示されるCPU301及び操作部307等によって実現され、操作部307にQRコードを表示する。すなわち、記憶部3000の接続情報DB3001に記憶されている接続情報をQRコードに変換して操作部307に表示する。
近距離無線通信部35は、図4に示されるCPU301及びBLEモジュール111等により実現され、BLEという通信規格に従ってスマートデバイス10と通信する。
ジョブ実行部36は、図4に示されるCPU301、ASIC305、プロッタエンジン311、ファックス制御ユニット308、及び、スキャナエンジン312等により実現され、スマートデバイス10から要求された印刷ジョブを実行する。
ログイン処理部37は図4に示されるCPU301等により実現され、スマートデバイス10から受信したログイン情報に基づき、ユーザのログインを許可するか否かを判定する。ログインを許可するかどうかの判定は、例えば、ユーザIDとパスワードの組が予め登録されているか否かに基づいて行う。あるいは後述するPINコードがユーザID及びパスワードと紐付いているか否かに基づき行ってもよい。許可する場合にはログイン状態を保持し、ユーザが操作することを許可する。ユーザがログアウトしたり、無操作時間が所定時間を超えたりするとログイン状態を解除する。
記憶・読出部39は、図4に示されるHDD304、フラッシュメモリ303、及び、SDRAM302等により実現され、記憶部3000に各種データを記憶したり、記憶部3000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
MFP30が有する接続情報記憶部38は、図4に示されるNFCチップ313により実現され、NFCチップ313のメモリが接続情報を記憶することで実現される。接続情報記憶部38の接続情報は、接続情報DB3001に記憶されているものと同じであるが、接続情報DB3001とは別に記憶されている。接続情報記憶部38の接続情報は、MFP30やアプリの開発関係者などが記憶させている。MFP30が接続情報記憶部38の記憶内容を書き換える機能を有する場合、MFP30が接続情報DB3001に記憶されている接続情報を接続情報記憶部38に書き込むことができる。
<<スマートデバイス>>
スマートデバイス10は、UI生成部11、操作入力受付部12、ネットワーク通信部13、近距離無線通信部14、QRコード解析部15、ICチップ読取部16、ログイン情報生成部17、近接判定部18、ログイン情報送信方式決定部19、ジョブ制御部20、及び、記憶・読出部21を有している。これら各機能部は、図3に示される各構成要素のいずれかが、SSD106、ROM107又はRAM102に格納されているアプリに従ったCPU101からの命令により動作することで実現される機能又は手段である。
また、スマートデバイス10は、図3に示されるSSD106、ROM107又はRAM102のいずれか1つ以上により構築される記憶部1000を有している。記憶部1000には、ログイン情報DB1001、及び、アプリ(アプリケーションソフトウェア1003)が記憶されている。アプリは、記憶媒体104aに記憶された状態で配布されたり、プログラムを配信するサーバからダウンロードされたりすることで配信される。
記憶部1000に記憶されているログイン情報DB1001について説明する。
(ログイン情報)
記憶部1000には、表2に示されるようなログイン情報テーブルを有するログイン情報DB1001が構築されている。ログイン情報DB1001には、「機種ID」に対応づけて「ログインフォーマット」が設定されている。例えば、機種IDが「MFP」のログインフォーマットは「ユーザID+パスワード」であることが登録されている。この他、生体認証情報がログイン情報として登録されていてもよい。
「PRINTER」はプリンタを、「PROJECTOR」はプロジェクタを、「WHITEBOARD」はホワイトボードをそれぞれ意味する。これらについても同様にログインフォーマットが設定されている。後述するログイン情報生成部17はログインフォーマットを参照して、機種ごとに(本実施例ではMFP)適切なログイン情報を生成する。
なお、ログイン情報DB1001に、機種別のログイン情報そのものが記憶されていてもよい。例えば、「MFP」であれば「suzukijiro(ユーザID)、ABCDEFG(パスワード)」の如くである。この場合、ユーザのみがアクセスできるように暗号化されていることなどが好ましい。
(スマートデバイスの機能)
UI生成部11は、図3に示されるCPU101及び表示装置108等によって実現され、表示装置108にGUIを表示する。
操作入力受付部12は、図3に示されるCPU101、表示装置108及び入力装置103等によって実現され、ユーザからの操作を受け付ける。すなわち、ユーザが押下したハードキーとソフトキーなどの押下を受け付ける。
ネットワーク通信部13は、図3に示されるCPU101及び無線通信装置109等により実現され、ネットワークNを介してMFP30と通信する。具体的には、ネットワーク通信部13は、近距離無線通信部14が取得した接続情報、QRコード解析部15が取得した接続情報、又は、ICチップ読み取り部が取得した接続情報のいずれかを用いて、MFP30と通信し印刷ジョブを送信する。なお、ユーザが接続情報を知っている場合、ユーザが接続情報を設定することができる。
近距離無線通信部14は、図3に示されるCPU101及びBLEモジュール111等により実現され、BLEという通信規格に従ってスマートデバイス10と通信する。近距離無線通信部14は、MFP30の記憶部3000に記憶されている接続情報をMFP30から受信する。
なお、近距離無線通信部14は、能力としては10m以上の距離の通信が可能である。本実施例では、近距離無線通信部14は、MFP30との距離が十分に近い場合(例えば、数十cm〜1m前後)にMFP30と通信する。例えば、電波強度が閾値以上の場合にだけ、MFP30と通信する。これにより、スマートデバイス10がMFP30の近くに存在することを検出できる。なお、十分に接近したスマートデバイス10のみが通信できるように、MFP30側の近距離無線通信部35の電波強度を弱めてもよい。
一方、近距離無線通信部14は、MFP30との距離がある程度、離れていてもMFP30と通信できるため、電波強度に関係なく接続情報を受信してもよい。この場合は、受信強度と閾値との比較結果を保持しておく。ただし、認証なしに操作可能なMFPの場合、接続情報が遠方まで送信されると遠方からMFP30を操作されるおそれがある(例えば、他の人が行ったスキャンの画像データを横取りする等)。このため、接続情報を受信できる範囲も、MFP30の近くに制限することが好ましい場合がある。このように、接続情報を受信するかどうかは、適宜、設計可能である。
QRコード解析部15は、図3に示されるCPU101及びカメラ105等により実現され、MFP30が操作部307に表示したQRコードを解析し、接続情報に変換する。
ICチップ読取部16は、図3に示されるCPU101及びNFC通信装置110等により実現され、MFP30に貼付されたNFCチップ313から接続情報を読み出す。
ログイン情報生成部17は、図3に示されるCPU101等により実現され、接続情報から機種IDを読み出して、機種IDに対応づけられたログインフォーマットをログイン情報DB1001から読み出す。そして、ログインフォーマットに従ってログイン情報を生成する。ログイン情報の生成に必要なユーザID、パスワード、PINコード、スマートデバイス10のIDは記憶部1000に記憶されている。これらは好ましくは暗号化されているが、ユーザがスマートデバイス10にログインしたこと又はアプリにログインしたことを契機に復号されている。なお、PINコードはユーザに固有の番号であってMFP30においてユーザに紐付いている。同様に、スマートデバイス10のIDはスマートデバイス10に固有の識別情報であってMFP30においてユーザに紐付いている。従って、MFP30はこれらからユーザを識別できる。
近接判定部18は、図3に示されるCPU101等により実現され、スマートデバイス10がMFP30から所定距離の範囲にいるか否かを判定する。本実施例では、近距離無線通信部14(電波強度が閾値以上の場合にだけ接続情報を読み取る場合)、QRコード解析部15、又は、ICチップ読取部16のいずれかが接続情報を読み取った場合、スマートデバイス10がMFP30の近くにいると判定する。
ログイン情報送信方式決定部19は、図3に示されるCPU101等により実現され、近距離無線通信部14、QRコード解析部15又はICチップ読取部16のいずれにより接続情報が読み取られたかによって、ログイン情報をMFP30に送信する通信方法を切り替える。近距離無線通信部14が接続情報を受信した場合、近距離無線通信部14がログイン情報を送信する。QRコード解析部15又はICチップ読取部16が接続情報を受信した場合、これらは送信機能を有さないので、スマートデバイス10のネットワーク通信部13がログイン情報を送信する。
ジョブ制御部20は、図3に示されるCPU301等により実現され、印刷ジョブの実行に関する全体的な制御を行う。すなわち、スマートデバイス10の操作入力受付部12が受け付けたユーザの操作に基づき印刷ジョブのシーケンスを開始し、ジョブ状態や結果を表示装置108に表示させる。
記憶・読出部21は、図3に示されるSSD106、ROM107、及び、RAM102等により実現され、記憶部1000に各種データを記憶したり、記憶部1000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
<動作手順>
<<比較例>>
図6は、スマートデバイス10による印刷動作のシーケンス図の一例である。図6は後述される本実施例をより明確に説明するための比較例であることに留意されたい。
S1:ユーザはスマートデバイス10を操作することでMFP30に印刷させるために、アプリを起動する。スマートデバイス10のUI生成部11は、スマートデバイス10に保存された文書データがリスト状に配置された印刷文書選択画面を表示装置108に表示する。なお、文書データはネットワーク上に保存されていてもよい。
S2:印刷文書選択画面に表示された文書からユーザが印刷する文書を選択すると、スマートデバイス10のUI生成部11は印刷条件設定画面を表示装置108に表示する。
S3:ユーザはモノクロ/カラー、両面/片面、集約などの印刷設定を入力し、印刷設定の変更をアプリに指示する。スマートデバイス10のUI生成部11は変更成功画面を表示装置108に表示する。
S4:ユーザがスマートデバイス10のNFC通信装置110をNFCチップ313に接近させると、ICチップ読取部16が接続情報を読み取る。ここでは、NFCチップ313を例にしたが、近距離無線通信部14又はQRコード読取部が接続情報を取得してもよい。また、接続情報を読み取ると印刷指示が行われたことになる。
S4.1:接続情報を取得したので、スマートデバイス10のネットワーク通信部13はMFP30に対して印刷要求を送信する。すなわち、文書データと印刷設定を有する印刷ジョブをMFP30に送信する。MFP30が印刷ジョブを蓄積するか、そのまま印刷するかはユーザがアプリに設定できる。図6では、印刷ジョブが蓄積される設定であるとする。
S4.2:印刷要求を送信すると、スマートデバイス10のUI生成部11は表示装置108に印刷中画面を表示する。
S4.3:MFP30から印刷完了通知を受け取ると(この場合は印刷ジョブの蓄積の完了)、スマートデバイス10のUI生成部11は表示装置108に印刷完了画面を表示する。
次に、ユーザは所望のタイミングでMFP30まで移動し、蓄積している印刷ジョブの印刷を行う。
S5:まず、ユーザはMFP30を直接、操作することによりログインする。例えば、MFP30の操作部307を介してユーザIDとパスワードを入力し、又は、ICカードを使ってMFP30にログインする。
S5.1:ログインが成功すると、MFP30のUI生成部31はログインしたユーザが蓄積した印刷ジョブのジョブリストを操作部307に表示する。ユーザがMFP30の近くに存在するので、ユーザは必要に応じてジョブリストから印刷ジョブを選択して印刷する。
なお、図6ではMFP30に印刷ジョブが蓄積されると説明したが、プリントサーバ等に蓄積されてもよい。また、説明の便宜上、印刷ジョブを例に説明したが、FAXジョブ、スキャンジョブなどでもログインが必要であれば同様に処理できる。
<ログイン情報を送信するか否かの判定>
続いて、スマートデバイス10からログイン要求を行うか否かの判定について説明する。図7はスマートデバイス10がMFP30にログイン要求を行うか否かを判定する手順を示すフローチャート図の一例である。図7の手順は、ユーザがスマートデバイス10で印刷指示を行うことでスタートする。
スマートデバイス10の近接判定部18は、ユーザがMFP30にスマートデバイス10を接近させて印刷指示したか否かを判定する(S10)。すなわち、接続情報を読み取ることでユーザはスマートデバイス10に印刷指示することができる。印刷指示とは、印刷ジョブの実行を開始することをいう。この他、スマートデバイス10のGUIを介して印刷指示することができる。印刷指示の際、ユーザがMFP30の近くに存在すれば、スマートデバイス10がログイン情報をMFP30に送信しても、第三者がMFP30を操作して印刷ジョブを実行してしまうことは少ないと考えてよい。そこで、印刷指示の際に、ユーザがMFP30にスマートデバイス10を接近させて印刷指示したか否かを判定する。
なお、ユーザがMFP30にスマートデバイス10を接近させて印刷指示したかどうかは、QRコードの読み取り、NFCチップ313の読み取り、及び、近距離無線通信による通信のいずれかで接続情報が取得されたことで判定される。従って、ICチップ読取部16、QRコード解析部15又は近距離無線通信部14のいずれかが接続情報を取得すると、近接判定部18がステップS10をYesと判定する。
ステップS10の判定がNoの場合、スマートデバイス10は接続情報をMFP30から取得していないことになる。従って、スマートデバイス10はログイン情報をMFP30に送信することができないが、スマートデバイス10に予め接続情報が設定されている場合がある。この場合、スマートデバイス10のネットワーク通信部13はMFP30と通信できる。しかし、ユーザがMFP30の近くにいることが保証されていないため、スマートデバイス10はログイン情報をMFP30に送信しない。
ステップS10の判定がYesの場合、ジョブ制御部20は「印刷後にログインする」とアプリに設定されているか否かを判定する(S20)。このアプリの設定は、例えばユーザがスマートデバイス10をMFP30に接近させてもログインしたくない場合(印刷ジョブを蓄積しておいて後で印刷したい等)が想定されている。つまり、ユーザは接続情報を用いてMFP30に印刷ジョブの送信だけを行っておく。
ステップS20の判定がNoの場合、アプリへのユーザの設定が優先され、スマートデバイス10はログイン情報をMFP30に送信しない。
ステップS20の判定がYesの場合、後述するようにログイン情報送信方式決定部19が決定したログイン情報を送信するための通信方法によりスマートデバイス10がログイン情報をMFP30に送信する(S30)。すなわち、近距離無線通信部14又はネットワーク通信部13がログイン情報を送信する。この処理は図8のS6又は図9のS3に相当する。接続情報によりMFP30を特定でき、更にMFP30の近くにユーザがいることをスマートデバイス10が断定できるため、スマートデバイス10から印刷ジョブの送信が終了した後、該当のMFP30に対してログイン情報を送信できる。
次に、ユーザはMFP30の操作部307を操作して印刷実行を行う(S40)。すでにスマートデバイス10からログインされているので、ユーザはログイン操作することなく、ジョブリストから印刷ジョブを選択し、印刷を実行できる。
なお、ユーザがスマートデバイス10の近くに存在するか否かの判定のために、スマートデバイス10は近距離無線通信部14,QRコード解析部15、又は、ICチップ読取部16の1つ以上を有していればよい。
<<スマートデバイスからログイン要求する際の動作手順>>
図7の処理でスマートデバイス10がログイン情報を送信すると判定されたとして、図8、9を用いて、本実施例の情報処理システム300の動作手順を説明する。図8は、スマートデバイス10による印刷動作のシーケンス図の一例である。図8のステップS1〜S4.3の処理は図6と同様であるため、図6との相違点を主に説明する。
S5.1:印刷完了画面を表示すると、近接判定部18はユーザがMFP30の近くに存在するか否かを判定する。この処理については図10にて説明する。
S5.2:ユーザがMFP30の近くに存在すると判定されると、ログイン情報送信方式決定部19はログイン情報を送信する通信方法を決定する。図8の手順では、ICチップ読取部16が接続情報を取得したこと検出して、スマートデバイス10のログイン情報送信方式決定部19は、スマートデバイス10のネットワーク通信部13にログイン情報を送信させると判定する。この処理については図11にて説明する。
S6:そして、スマートデバイス10のネットワーク通信部13はMFP30に対してログイン要求を送信する。ログイン要求にはログイン情報が含まれる。
S7:ログインが成功すると、MFP30のUI生成部31は該当するユーザのジョブリストを操作部307に表示する。
このように、本実施例ではユーザがMFP30の近くにいると判定できた場合に、スマートデバイス10がログイン要求を行う。従って、ユーザがMFP30を操作する際に、ログインのための操作を行う必要性を低減できる。
従来からスマートデバイス10は印刷ジョブにログイン情報を含めることができたが、MFP30としてはスマートデバイス10からの印刷なのか、PCからの印刷なのかの区別はできない。仮に区別できたとしても、ユーザがスマートデバイス10の近くにいるかどうかを判定できない。本実施例では、接続情報の取得方法により、ユーザがスマートデバイス10の近くにいるかどうかを判定してログイン情報を送信できる。
なお、図8では、ステップS4.1の印刷ジョブの送信後にステップS6でスマートデバイス10がログイン情報を送信しているが、印刷ジョブと共にログイン情報を送信できる。ステップS4でスマートデバイス10が接続情報を受信しているので、ステップS4.1のまえにユーザ位置の判定を行えばよい。これにより、ログイン情報を独立に送信しなくてよいので通信時間を短縮できる。
図9は、図8のステップS4〜S7の処理を説明する図の一例である。
S1:ユーザはスマートデバイス10をMFP30のNFCチップ313に接近させる。
S1.1:スマートデバイス10のICチップ読取部16はMFP30のNFCチップ313に対して接続情報を要求する。上記のように、QRコード解析部15又は近距離無線通信部14により接続情報を取得してもよい。
なお、ユーザが予めMFP30の接続情報を知っている場合、接続情報を要求せず直接、MFP30にステップS1.2の印刷用接続要求することも可能である。
S1.2:スマートデバイス10のネットワーク通信部13は接続情報を用いてMFP30との印刷用接続要求を送信する。
S1.3:印刷用接続に成功すると、スマートデバイス10のネットワーク通信部13は印刷要求(印刷ジョブ)をMFP30に送信する。
S1.4:印刷要求を送信すると、スマートデバイス10のUI生成部11は表示装置108に印刷中画面を表示する。
S1.5:MFP30から印刷完了通知を受け取ると(この場合は印刷ジョブの蓄積の完了)、スマートデバイス10のUI生成部11は表示装置108に印刷完了画面を表示する。
S2.1〜S4:以降は、図8のS5.1〜S6と同様であり、ユーザがMFP30の近くに存在するとスマートデバイス10の近接判定部18が判定するとネットワーク通信部13はログイン要求をMFP30に送付する。ユーザはMFP30の近くにいるので、ログインに成功するとMFP30のUI生成部31は操作部307にジョブリストを表示する。
<ユーザがMFPの近くに存在するか否かの判定>
続いて、図10を用いて近接判定部18によるユーザがMFP30の近くにいるか否かの判定について説明する。図10はユーザがMFP30の近くにいるか否かを近接判定部18が判定する手順を示すフローチャート図の一例である。図10の処理は接続情報を取得するとスタートする。
まず、近接判定部18は、近距離無線通信部14が接続情報を取得したか否かを判定する(S10)。BLEモジュールは一般に10m前後の通信範囲を有するが、この通信範囲で近距離無線通信部14が接続情報を受信してしまうと、ユーザがMFP30の近くに存在するか否かの判定が困難になる。このため、近距離無線通信部14は、例えば、MFP30からの電波強度が閾値以上の場合にだけ、接続情報を受信する。これにより、ユーザがMFP30の近くに存在する場合にだけ、近距離無線通信部14が接続情報を受信できる。
あるいは、図1(a)で説明したように、スマートデバイス10が電波強度に関係なく接続情報を受信してもよい。この場合、近接判定部18は、電波強度に基づきユーザがMFP30の近くに存在するか否かを判定する。ユーザがMFP30の近くに存在していなくても、スマートデバイス10は接続情報を用いて印刷ジョブをMFP30に送信できるので操作の自由度が増す(ただし、スマートデバイス10はログイン情報を送信しない)。
なお、ステップS10の閾値は、MFP30のBLEモジュール111が送信する電波強度をMFP30やアプリの開発関係者などが実測することで調整される。すなわち、スマートデバイス10とMFP30の距離が近いと見なせる位置にスマートデバイス10を携帯するユーザが存在する場合に、スマートデバイス10のBLEモジュール111が受信する電波強度を測定する。この電波強度又はやや小さい電波強度が閾値である。
従って、閾値が適切に設定されていることで、近距離無線通信部14が接続情報を取得した場合、ユーザがMFP30の近くに存在すると判定できる。
更に、近距離無線通信部14がMFP30から受信する情報は接続情報でなくてもよい。すなわち、電波強度が閾値以上の場合に取得されるのであれば、例えばMFP30からの通信の応答(ACKなど)、MFP30の機能情報などでもよい。しかし、接続情報を取得できた場合にユーザがMFP30の近くに存在すると判定することで、ネットワーク通信部13に必要な情報を取得することが、ユーザがMFP30の近くに存在すると判定することを兼ねることができる。
ステップS10の判定がNoの場合、近接判定部18は、QRコード解析部15が接続情報を取得したか否かを判定する(S20)。QRコード解析部15はカメラ105を用いてQRコードを撮像するため、QRコードを解析可能に撮像できる距離はカメラ105の性能やQRコードの大きさ等により制限される。従って、QRコード解析部15が接続情報を取得した場合には、ユーザがスマートデバイス10の近くに存在すると判定できる。なお、QRコード解析部15がMFP30から取得する情報も接続情報に限られない。
ステップS20の判定がNoの場合、近接判定部18は、ICチップ読取部16が接続情報を取得したか否かを判定する(S30)。ICチップによる通信範囲は、ICチップの設計(主に電磁誘導方式と電波方式とがある)によって異なり、電波方式の場合は10メートル以上に達する場合がありうる。しかしながら、本実施例ではICチップの通信範囲は最大でも数十cmの通信範囲であるとして説明する。従って、ICチップ読取部16が接続情報を取得した場合には、ユーザがスマートデバイス10の近くに存在すると判定できる。なお、ICチップ読取部16がMFP30から取得する情報も接続情報に限られない。
ステップS10〜S30のいずれかでYesと判定された場合、近接判定部18はユーザがMFP30の近くに存在すると判定する(S40)。
なお、近距離無線通信部14が接続情報を取得する場合、電波強度の時間的な変化に基づきユーザがMFP30の近くに存在することを検出してもよい。例えば、電波強度が徐々に大きくなっており、一定時間内(例えば数秒)にユーザがMFP30の近くに接近すると判定できる場合(電波強度が閾値を超えると予測できる場合)、ユーザがMFP30の近くに存在すると判定する。これにより、電波強度が閾値を超えていなくても、ユーザがMFP30に接近している場合には、ユーザがMFP30の近くに存在することを予測できる。すなわち、電波強度が閾値未満でも接続情報を取得してよい場合がある。
<ログイン情報を送信する通信方法の判定>
次に、図11を用いてログイン情報を送信する通信方法の判定について説明する。図11は、ログイン情報を送信する通信方法をスマートデバイス10が判定する手順を示すフローチャート図の一例である。
スマートデバイス10のログイン情報送信方式決定部19は、接続情報を取得したのが近距離無線通信部14であるか否かを判定する(S10)。
ステップS10の判定がYesの場合、ログイン情報送信方式決定部19は近距離無線通信部14がログイン情報を送信すると判定する(S50)。すなわち、Bluetooth LEにより通信する近距離無線通信部14の場合、MFP30との間で双方向通信が可能なため、接続情報を受信することもログイン情報を送信することもできる。
ステップS10の判定がNoの場合、ログイン情報送信方式決定部19は、QRコード解析部15又はICチップ読取部16が接続情報を取得したか否かを判定する(S20)。
ステップS20の判定がNoの場合、ユーザがMFP30の近くに存在しないのでログイン情報送信方式決定部19はログイン情報をMFP30に送信しないと判定する。このように、ログイン情報を送信する通信方法の判定にはユーザがMFP30の近くに存在するか否かの判定が含まれている点に留意されたい。
ステップS20の判定がYesの場合、ログイン情報送信方式決定部19はスマートデバイス10のネットワーク通信部13がログイン情報を送信すると判定する(S30)。MFP30はQRコードを表示するだけなので、QRコード解析部15はログイン情報を送信できないためである。同様に、MFP30のNFCチップ313は接続情報を記憶しているだけなので、ICチップ読取部16はログイン情報を送信できないためである。
次に、スマートデバイス10のネットワーク通信部13が接続情報に基づいてログイン情報をMFP30に送信する(S40)。以上のようにして、ログイン情報を送信する通信方法を適切に判定することができる。
なお、図11のステップS50のように、近距離無線通信部14がログイン情報を送信する場合、図8,9のシーケンスによれば、2回の通信方法の切り替えが生じる。すなわち、近距離無線通信(BLE)による接続情報の受信→ネットワーク通信部13(IPネットワーク)による印刷ジョブの送信→近距離無線通信(BLE)によるログイン情報の送信、のように切り替わる。このような切り替えの回数を低減して、一連の処理を高速化するため、スマートデバイス10が印刷ジョブの送信前(接続情報の受信後)にログイン情報をMFP30に送信するフローとすることが有効である。
あるいは、近距離無線通信部14が接続情報を受信した場合でも、スマートデバイス10のネットワーク通信部13がログイン情報を送信してよい。
以上説明したように、本実施例の情報処理システム300は、ユーザがMFP30の近くに存在する場合、スマートデバイス10がログイン情報をMFP30に送信するので、ユーザがMFP30を操作して印刷ジョブを実行する際のログイン操作を不要にすることができる。
本実施例では、ユーザがMFP30の近くに存在するかどうかの判定をMFP30が行う情報処理システム300について説明する。
図12は、本実施例の情報処理システム300の機能ブロック図の一例である。本実施例において、図5において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
図12の機能ブロック図では、スマートデバイス10が有していた近接判定部18をMFP30が有している。また、MFP30は、接続情報記憶部38の代わりにIC通信部41を有している。以下これらを含む相違点について説明する。
IC通信部41は、図4のCPU301及びNFCチップ313等により実現され、スマートデバイス10のICチップ読取部16と通信する。本実施例では図4に示したMFP30のハードウェア構成においてNFCチップ313がPCIバス330に接続されているものとする。
IC通信部41はRFタグのリーダ/ライタの機能を有している。これにより、ICチップ読取部16の間で双方向通信が可能になる。IC通信部41はNFCチップ313に記憶している接続情報がスマートデバイス10のICチップ読取部16により読み取られたことを検出する。なお、必ずしもIC通信部41が通信機能まで有していなくてもよく、NFCチップ313のメモリにICチップが接続情報を読み出したことを記録しておき、近接判定部18がそれを読み出してもよい。
また、MFP30の本実施例のQRコード表示部34は、例えば確認用情報と接続情報を含むQRコードを操作部307に表示する。確認用情報とは、QRコードが読み取られた否かを近接判定部18が判定するための情報である。QRコードがスマートデバイス10のQRコード解析部15により読み取られた場合、スマートデバイス10のネットワーク通信部13が確認用情報をMFP30に送信する。近接判定部18は確認用情報がQRコードに含まれていた場合、スマートデバイス10がQRコードを読み取ったこと、すなわちユーザがMFP30の近くに存在すると判定できる。
なお、確認用情報は、偶然に一致しない程度の桁数の記号の組み合わせでよい。あるいは、QRコードを表示した時の時刻でもよい。この場合、近接判定部18はQRコードを表示してから確認用情報をスマートデバイス10から受信するまでの時間を測定できるので、確認用情報が一致するだけでなく測定した時間が所定以内の場合に、ユーザがMFP30の近くに存在すると判定できる。
以上のように、MFP30の近接判定部18は、図4のCPU301等により実現され、MFP30の近距離無線通信部35が接続情報を送信した場合、MFP30のIC通信部41が接続情報を送信した場合、又は、QRコード表示部34がQRコードに含まれる確認用情報をMFP30のネットワーク通信部33が受信した場合、ユーザがMFP30の近くに存在すると判定する。
<スマートデバイスからログイン要求する際の動作手順>
図13は、スマートデバイス10による印刷動作のシーケンス図の一例である。図13は実施例1の図9に相当するシーケンス図であるため、主に図9との相違点を説明する。
S2.1:MFP30が接続情報をスマートデバイス10に送信すると、近接判定部18はユーザがMFP30の近くに存在するか否かを判定する。すなわち、ユーザがMFP30の近くに存在するか否かの判定をMFP30が行う。なお、判定のタイミングは、スマートデバイス10が接続情報を取得した後であればよい。判定手順について図14にて説明する。
また、本実施例では、ユーザがMFP30の近くに存在するか否かの判定をスマートデバイス10は行わない。しかし、スマートデバイス10が行うログイン情報を送信する際の通信方法の判定に、ユーザがMFP30の近くに存在するか否かの判定が含まれている。従って、MFP30とスマートデバイス10の両方で、ユーザがMFP30の近くに存在すると判定しなければ、ユーザはスマートデバイス10からMFP30にログインできない。従って、本実施例では、ユーザがMFP30の近くに存在するか否かをより厳密に判定できる。
<ユーザがMFPの近くに存在するか否かの判定>
図14はユーザがMFP30の近くにいるか否かをMFP30の近接判定部18が判定する手順を示すフローチャート図の一例である。図10の処理は図13のS2.1に相当する。
まず、MFP30の近接判定部18は、近距離無線通信部35が接続情報を送信したか否かを判定する(S10)。本実施例では、スマートデバイス10の近距離無線通信部14はMFP30からの電波強度が閾値以上の場合に接続情報を受信する。あるいは、MFP30の近距離無線通信部35が、スマートデバイス10からの電波強度が閾値以上の場合に接続情報を送信する。従って、MFP30が接続情報を送信できることは、ユーザがMFP30の近くに存在することを意味する。
ステップS10の判定がNoの場合、MFP30の近接判定部18は、IC通信部41が接続情報を送信したか否かを判定する(S20)。上記のようにICチップの通信範囲は最大でも数十cmの通信範囲であるので、MFP30のIC通信部41が接続情報を送信した場合、ユーザがスマートデバイス10の近くに存在すると判定できる。
ステップS20の判定がNoの場合、MFP30の近接判定部18は、スマートデバイス10から確認用情報を受信したか否かを判定する(S30)。スマートデバイス10のネットワーク通信部13は接続情報を用いて確認用情報をMFP30に送信するので、MFP30の近接判定部18は、確認用情報を受信できたかどうかを判定する。
ステップS30の判定がYesの場合、MFP30の近接判定部18は、スマートデバイス10から受信した確認用情報とQRコードにより表示された確認用情報が一致したか否かを判定する(S40)。
ステップS10、S20、S40のいずれかでYesと判定された場合、近接判定部18はユーザがMFP30の近くに存在すると判定する(S50)。
このように、本実施例ではMFP30が、ユーザがMFP30の近くに存在するか否かを判定できる。
<ログイン情報を送信する通信方法の判定>
図15は、ログイン情報を送信する通信方法をスマートデバイス10が判定する手順を示すフローチャート図の一例である。図15の手順は、例えば図13のS2.2で行われる。
スマートデバイス10のログイン情報送信方式決定部19は、接続情報を取得したのが近距離無線通信部14であるか否かを判定する(S10)。
ステップS10の判定がYesの場合、ログイン情報送信方式決定部19は近距離無線通信部14がログイン情報を送信すると判定する(S70)。すなわち、近距離無線通信部14(BLE)の場合、MFP30との間で双方向通信が可能なため、接続情報を受信することもログイン情報を送信することもできる。
ステップS10の判定がNoの場合、ログイン情報送信方式決定部19は、ICチップ読取部16が接続情報を取得したか否かを判定する(S20)。
ステップS20の判定がYesの場合、ログイン情報送信方式決定部19はICチップ読取部16がログイン情報を送信すると判定する(S60)。すなわち、スマートデバイス10のICチップ読取部16とMFP30のIC通信部41は双方向通信が可能なため、接続情報を受信することもログイン情報を送信することもできる。
ステップS20の判定がNoの場合、ログイン情報送信方式決定部19はQRコード解析部15が接続情報を取得したか否かを判定する(S30)。
ステップS30の判定がYesの場合、ログイン情報送信方式決定部19はスマートデバイス10のネットワーク通信部13がログイン情報を送信すると判定する(S40)。MFP30はQRコードを表示するだけなので、スマートデバイス10はログイン情報を送信できないためである。
次に、スマートデバイス10のネットワーク通信部13が接続情報に基づいてログイン情報を送信する(S50)。以上のようにして、ログイン情報を送信する通信方法を適切に判定することができる。
ステップS30の判定がNoの場合、ユーザがMFP30の近くにいないのでログイン情報送信方式決定部19は3つのいずれの通信方法でもログイン情報をMFP30に送信しないと判定する。
なお、本実施例では、ユーザが近くに存在するか否かをMFP30が判定するので、図15のような判定を行うことなく、スマートデバイス10のネットワーク通信部13(又はICチップ読取部16)が印刷ジョブと共にログイン情報を送信してよい。そして、ユーザがMFP30の近くに存在するとMFP30の近接判定部18が判定した場合だけ、ログイン処理部37がログイン情報に基づくログインを許可する。
以上説明したように、本実施例の情報処理システム300又は情報処理システム300が行う情報処理方法は、ユーザがMFP30の近くに存在するか否かをMFP30が判定し、ユーザがMFP30を操作して印刷ジョブを実行する際のログイン操作を不要にすることができる。
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、以上の実施例では印刷ジョブの実行を例にして説明したが、各種の機器がスマートデバイス10からログイン情報を取得する際にも好適に適用できる。すなわち、スマートデバイス10から操作可能な機器であってログインが必要な機器をユーザが操作する際のログイン操作を省略できる。例えば、他の機器との通信機能を有している機器(例えば、電子黒板、テレビ会議端末)では、ユーザがスマートデバイス10から送信したデータを表示したり他の機器に送信したりするが、第三者が他の機器と通信することはセキュリティの低下になる。また、ユーザがログインする機器は必ずしもユーザのデータを保持している必要はなく、ユーザの権限で操作するためにログインすることが必要な機器を含む。例えば、PCやゲーム機では第三者がユーザになりすますことを防止するためログインが必要な場合がある。
また、以上の実施例ではユーザがMFP30に印刷ジョブを蓄積させていたが、印刷ジョブを受信したMFP30が印刷ジョブを蓄積することなく実行してもよい。
また、図5などの構成例は、スマートデバイス10及びMFP30の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。スマートデバイス10及びMFP30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
また、スマートデバイス10が有するログイン情報DB1001や、MFP30が有する接続情報DB3001は、ネットワークN上に存在していてもよい。
なお、近接判定部18は判定手段の一例であり、ネットワーク通信部13は第一無線通信手段の一例であり、ネットワーク通信部13と近距離無線通信部14は許可情報送信手段の一例である。ログイン処理部37は許可手段の一例である。ログイン情報送信方式決定部19は通信方法決定手段の一例である。