JP6858367B2 - ウイルス吸着剤、該吸着剤を含むウイルス吸着性部材およびマイクロバイサイド - Google Patents

ウイルス吸着剤、該吸着剤を含むウイルス吸着性部材およびマイクロバイサイド Download PDF

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Description

本発明は、ウイルスの吸着剤に関し、特には、エイズウイルスを吸着することができる吸着剤に関する。本発明はまた、該吸着剤を含むマイクロバイサイドに関する。
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して免疫不全を引き起こす病気である。AIDSは、HIVを含む血液、精液、膣分泌液、母乳といった体液が、感染相手の粘液部や傷口などに接触することにより感染する。
近年、HIVの増殖を阻止する抗ウイルス薬が開発され、AIDS発症の阻止又は抑制が可能となった。しかし、最も有効な手段は、接触による感染を防ぐことである。
サクランは、日本固有の食用藍藻であるスイゼンジノリから抽出される、重量平均分子量約1600万の超高分子多糖体である。サクラン(スイゼンジノリ多糖体)は多くの硫酸基とカルボン酸基、アミノ基を有する両性電解質である。また、サクランは溶液中で濃度に応じて分子構造が変化し、低濃度領域ではナノメートルサイズの粒子状で存在するが、濃度の上昇に伴い、サクラン分子鎖が互いに相互作用し、液晶構造を形成する。
サクランは、単純ヘルペスウイルスを用いたプラークアッセイ法により、ウイルスの増殖抑制効果を示すことが報告されており、抗ウイルス剤としての用途が提案されている(特許文献1:特許第4066443号、特許文献2:特開2009−21136号)。
特許第4066443号 特開2009−21136号
本発明は、ウイルスの接触による感染を予防または阻止することができるウイルス吸着剤を提供することを目的とする。より具体的には、HIVの接触による感染を予防または阻止することができるウイルス吸着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、サクランが、ウイルスを吸着する活性を有することを見いだし、本発明を完成した。
本発明は以下を含むものである。
[1]サクランを有効成分とするウイルス吸着剤。
[2]サクランを、0.001〜1.0重量%の濃度で含む上記[1]に記載のウイルス吸着剤。
[3]前記ウイルスがHIVである上記[1]または[2]に記載のウイルス吸着剤。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のウイルス吸着剤が塗布された部材。
[5]前記部材が、手袋またはコンドームである上記[4]に記載の部材。
[6]ウイルス吸着剤としてサクランを含む、ウイルスの感染を防御するための感染防御組成物。
[7]哺乳動物(好ましくはヒト)の皮膚に塗布するための水性溶液、クリーム状またはゼリー状である上記[6]に記載の組成物。
[8]ヒトのペニス又は膣又は外陰部に塗布するための水性溶液、クリーム状またはゼリー状である上記[6]に記載の組成物。
[9]サクランを0.001〜1.0重量%の濃度で含む上記[6]〜[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[10]前記ウイルスがHIVである上記[6]〜[9]のいずれか一つに記載の組成物。
[11]ウイルス吸着剤としてサクランを含むウイルス感染予防剤。
[12]サクランを、0.001〜1.0重量%の濃度で含む上記[11]に記載のウイルス感染予防剤。
[13]前記ウイルスがHIVである上記[11]または[12]に記載のウイルス感染予防剤。
[14]さらに抗ウイルス剤を含む上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のウイルス吸着剤。
[15]前記抗ウイルス剤が、ウイルスの侵入阻害剤である上記[14]に記載のウイルス吸着剤。
[16]前記抗ウイルス剤が、エファビレンツである上記[14]に記載のウイルス吸着剤。
[17]さらに抗ウイルス剤を含む上記[6]〜[10]のいずれか一つに記載の組成物。
[18]前記抗ウイルス剤が、ウイルスの侵入阻害剤である上記[17]に記載の組成物。
[19]前記抗ウイルス剤が、エファビレンツである上記[17]に記載の組成物。
本発明により、ウイルス、特にはHIVの吸着剤が提供される。本発明の吸着剤により、ウイルス、特にはHIVが、保菌者から他者へと接触または移動することを防ぐことができ、ウイルスの感染予防に繋がる。
サクランの構造を示す図である。 サクランで処理したインナーメンブレン(サクランの層)に対するHIVの透過性を確認した実験である。Aは、トランズウェル(登録商標)のローワーチャンバー中のHIV量を、Bは、アッパーチャンバー中のHIV量を、p24をELISAで検出した結果である。 サクランで処理したインナーメンブレン(サクランの層)に対するHIVの透過性を確認した実験である。Aは、トランズウェル(登録商標)のローワーチャンバー中のHIV量を、p24抗原量をELISAで検出した結果である。Bは、ローワーチャンバー中のHIV量を、p24抗原量をELISAで検出した結果である。Bは、アッパーチャンバー中のHIV量を、TZM−bl細胞を用いてβガラクトしダーゼ法にてHIV−1感染効率により確認したが結果である。 サクラン(0.0005または0.001%)、エファビレンツ(EFV:10nMまたは30nM)、またはそれらの混合物で処理したインナーメンブレン(サクランの層)に対するHIVの透過性を確認した実験である。サクランもEFVも含まない緩衝液でメンブレンを処理した場合のHIV−1感染効率を100%とし、それに対する阻害率を示した。 図4のサクランとEFVとの相乗効果を、ソフトウエア:CompuSyn(www.combosyn.com)を用いて解析した結果である。 サクラン(0.000001−0.001%)、エファビレンツ(EFV:3−30nM)、またはそれらの混合物で処理したインナーメンブレン(サクランの層)に対するHIVの透過性を確認した実験である。サクランもEFVも含まない緩衝液でメンブレンを処理した場合のHIV−1感染効率を100%とし、それに対する阻害率を示した。 図6のサクランとEFVとの相乗効果を、ソフトウエア:CompuSyn(www.combosyn.com)を用いて解析した結果である。 サクラン、ウイルスの侵入阻害剤(ADM3100、T−20)、またはそれらの混合物で処理したインナーメンブレン(サクランの層)に対するHIVの透過性を確認した実験である。図中X軸の1−3は、それぞれ、サクラン+AMD3100(0.00001%+10nM、0.0001%+30nM、0.001%+30nM)、および、サクラン+T−20(0.00001%+30nM、0.0001%+50nM、0.001%+100nM)を示す。サクランも侵入阻害剤も含まない緩衝液でメンブレンを処理した場合のHIV−1感染効率を100%とし、それに対する阻害率を示した。有意差は、混合物に含まれるそれぞれの薬剤の単剤に対する値を示している。 図8のサクランと侵入阻害剤との相乗効果を、ソフトウエア:CompuSyn(www.combosyn.com)を用いて解析した結果である。
以下、本発明を、例示的な実施態様を例として、本発明の実施において使用することができる好ましい方法および材料とともに説明する。なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等または同様の任意の材料および方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
本明細書で、「A〜B」というときは、下限としてAを含み、上限としてBを含む意味で用いられる。
本発明で用いられるサクランは、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)から抽出できる硫酸化多糖類であり、その平均分子量は、一般には約1600万と報告されている。本発明においては用いることができるサクランは、スイゼンジノリから常法に従って抽出されるものであれば特に制限がなく、好ましくは平均分子量が約500万以上、より好ましくは平均分子量が約1000万以上、さらに好ましくは平均分子量が約1600万以上の硫酸化多糖類である。
スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)は、多数のマユ型(大きさ:3.5〜4.0μ×6〜7μ)の単細胞が寒天質の中に埋没する状態で群体を形成する淡水性藍藻類であり、九州地方の熊本県、福岡県にのみ生育が確認されている。サクランは、ヘキソース構造を持つ糖構造体およびペントース構造を持つ糖構造体がα−グリコシド結合またはβ−グリコシド結合により直鎖状または分岐鎖状に連結した糖鎖ユニットの繰り返し構造を持ち、前記糖鎖ユニットが糖構造体として硫酸化ムラミン酸を含み、かつ、前記糖鎖ユニットにおいては、水酸基100個当たり2.7個以上の水酸基が硫酸化され、あるいは全元素中で硫黄元素が1.5重量%以上を占める糖誘導体を含むことに特徴を有する。サクランの構造として、図1に示す構造が報告されている。
スイゼンジノリからサクランを抽出する方法の一例は、例えば、国際公開WO2008/062574号に記載されている。例えば、80℃の0.1N−NaOH水溶液にスイゼンジノリを入れて数時間攪拌することによってスイゼンジノリからサクランを抽出できる。また、他の一例としては、スイゼンジノリの水分散液をオートクレーブ中において135℃で30分間加熱することによってスイゼンジノリからサクランを抽出できる。抽出されたサクランは、遠心分離、ろ過、アルコール洗浄などによって精製してもよい。また、スイゼンジノリからサクランを抽出する前に、スイゼンジノリを凍結したのち融解させ、その後に色素を除去する工程を行ってもよい。
このように、サクランは、酸性多糖類であり、アルカリ溶液を用いることでスイゼンジノリから抽出できる。スイゼンジノリから抽出されるサクランはまた、グリーンサイエンス・マテリアル(株)から入手することができる。
本発明の吸着剤は、ウイルスを吸着する有効成分としてサクランを含む。本発明の吸着剤におけるサクランの含有量は特に制限されない。本発明の吸着剤は、水性溶液、ゲル、その他のいずれの形態(例えば、ゾル)でもよいが、好ましくは、水性溶液またはゾルである。ここでゲルとは、高粘性であって流動性のある不定形な状態、および寒天状、ゼリー状等のように、固形であって流動性を有しないが、簡易な混合作業により容易に不定形かつ半流動体となり得るものも含む。ここでゾルとは、液体を分散媒とするコロイドを言い、コロイド溶液のように流動性を有する。ここで水性溶液とは、主たる溶媒である水にサクランが溶解している状態を言うが、サクランが完全に溶解していない状態も含み意味であり、また、溶液の流動性を損なわないかぎり粘性があってもよい。
本発明の吸着剤は、例えば、サクランを、0.001〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、より好ましくは0.25〜1.0重量%含む吸着剤をあげあることができる。
水性溶液またはゾルの形態であれば、様々な部材に塗布が可能であり、容易に本発明の吸着剤を塗布したウイルス吸着部材を作製できる。また、水性溶液またはゾルの形態であれば、体の様々な部位に塗布が容易であり、ウイルスの感染を予防できる。
本発明の吸着剤を水性溶液またはゾル状で用いる場合は、例えば、サクランを、0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.05〜0.2重量%含む吸着剤をあげあることができる。この範囲でサクランを含有する本発明の吸着剤は、液体状態またはゾル状態を取る。
本発明の吸着剤はまた、その他の成分、これに限定されないが、例えば、着色剤、pH調整剤、防腐剤、香料等を含んでもよい。また、それらの他の成分は、塗布する部材または使用目的に応じて、適宜選択される。
本発明において、吸着対象となるウイルスは、ヒト等の哺乳動物を宿主とするウイルスをあげることができ、例えば、これに限定されないが、レトロウイルス、例えば、エイズウイルス、インフルエンザウイルスをあげることができるが、好ましくはエイズウイルスである。
本発明の吸着剤を塗布する部材は、特に限定されず、ウイルス感染の予防を目的とする部材に広く用いることができる。例えば、ウイルス感染者との接触が予想される医療関係者が着用する手袋やマスクをあげることができる。また、エイズの感染を予防する目的でコンドームに、インフルエンザウイルスの感染を予防する目的でマスクに用いることもできる。
本発明の他の態様は、ウイルス吸着剤としてサクランを含む、ウイルスの感染を防御するための感染防御組成物である。
このような組成物はまた、局所的に適用することにより、ウイルスの感染を防ぐことができるので、マイクロバイサイドとなり得る。本発明の組成物は、いずれの形態も取りうるが、好ましくは、塗布が容易な形態である。これに限定されないが、例えば、水性溶液、クリーム、ゼリー、フィルム等の形態をあげることができる。本発明の感染防御組成物の好ましい態様は、例えば、(i)哺乳動物、例えばヒトの皮膚に塗布するための水性溶液、クリームまたはゼリー、(ii)男性のペニス、女性の膣や外陰部、その他の体の部位に塗布するための水性溶液、クリームまたはゼリーである。ウイルスの接触感染の危険のあるこれらの部位に塗布することにより、ウイルスを吸着し、感染を予防できる。
本発明の感染防御組成物は、任意の形態をとるために、当該技術分野で用いられている、各種添加剤を含んでもよい。これに限定されないが、例えば、水性溶液の場合は、水溶性高分子、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の水溶性有機溶剤が添加されても良い。更に本発明の組成物には保湿剤、色料、香料、清涼剤等が添加されてもよい。また、塗布性や塗布後の潤滑性を付与する目的で、オイルが添加されてもよい。
本発明の吸着剤または組成物はまた、ウイルスの増殖を抑制または阻止する活性を有する抗ウイルス剤とともに用いることができる。本発明の吸着剤とともに用いることができる抗ウイルス剤は、特に限定されず使用目的に応じて適宜選択できる。例えば、エイズへの感染を予防する目的の場合は、抗エイズ薬をあげあることができる。用いることできる抗エイズ薬としてはこれに限定されないが、例えば、エファビレンツ(EFV)、ウイルス侵入抑制剤をあげることができる。
本発明の吸着剤を抗ウイルス剤とともに用いた場合は、サクランの効果と抗ウイルス剤の効果が相乗的に働き、より強い抗ウイルス作用を示し、感染の防止及び/又は予防が可能となる。かかる場合は、より低濃度のサクランを含有する吸着剤でも十分な効果が発揮できる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
材料:
サクランは、Green Science Material (Kumamoto, Japan) から入手し、脱イオン蒸留水 (deionized double distilled water) に、0.25%〜1%の濃度(w/v)になるように溶解して以下の実験に用いた。HIV (HIV-1LAI) は、NIH AIDS Research and Reference Reagent Program から入手し、Dulbecco's Modified Eagle's Medium (DMEM) に溶解(濃度:2μg/mL)して以下の実験に用いた。
実施例1:ウイルス透過試験−1
トランズウェル(登録商標)(24ウェルプレート、コーニング社製)を用いて、サクランからなる層に対するHIVの透過性を確認した。
アッパーチャンバー内に種々の濃度のサクラン溶液(終濃度0%、0.5%、1%)50μLを添加しメンブレンを処理した。サクランは、メンブレンを透過せず、メンブレン上に積層される。形成したサクランの層のポアサイズは8μmであった。サクランの層の上に、50μLのHIV溶液を重層した(HIV粒子の直径は、100nmである)。ローワーチャンバー内には600μLのDMEMを添加し、Total volumeを700μLとした。24時間後に、インサートメンブレンを通過したウイルス粒子を含む溶液(ローワーチャンバー内の溶液)、及びアッパーチャンバー内に残ったサクランを含む溶液を回収し、それぞれの溶液中のHIV−1gagタンパク質であるp24抗原量をp24 antigen ELISA kit(ZeptoMetrix Corp., Buffalo, NY)により検出した。
結果を図2に示す。Aは、メンブレンを通過したウイルスの量(ローワーチャンバー内の溶液中のウイルス量)、Bは、メンブレンを通過しなかったウイルスの量(アッパーチャンバー内の溶液中のウイルス量)を示している。サクランの層のポアサイズが、HIVの粒子径に比べて遥かに大きいにもかかわらず、HIVがサクランの層を通過せず、サクランに吸着または捕獲されたことが確認された。
実施例2:ウイルス透過試験−2
種々の濃度のサクランを用いてHIVの透過性を確認した。
96ウェルのトランズウェル(登録商標)(コーニング社製)を用い、種々の濃度のサクラン溶液(終濃度0%、0.25%、0.5%、0.75%、1%)の37.5μLを、アッパーチャンバー内に入れ、メンブレンを処理した。サクラン層の上に37.5μLのHIV溶液を重層した。ローワーチャンバー内には235μLのDMEMを添加し、Total volume 310μLとした。24時間後に、インサートメンブレンを通過したウイルス粒子を含む溶液(ローワーチャンバー内の溶液)を回収し、実施例1と同様にしてp24抗原量をELISAより検出した。さらに、回収した溶液を、予め用意しておいたTZM−bl細胞に処理し、βガラクトシダーゼ法にてHIV−1感染効率を評価した。結果を、図3に示す。0.25%の濃度のサクラン溶液を処理したメンブレンは、ウイルスの透過を妨げた。
以上の結果より、サクランは、ウイルスを吸着し、ウイルスの拡散や透過を防ぐ効果があることが確認された。
実施例3:サクランの抗ウイルス薬との併用効果の確認
96ウェルのトランズウェル(登録商標)(コーニング社製)を用い、サクランを抗ウイルス薬と併用した場合の効果を、実施例2と同様にして確認した。メンブレンの処理は、サクラン(0.000001%〜0.001%)、抗ウイルス薬(エファビレンツ(東京化成工業より入手):EFV)(3nM〜30nM)、およびサクランとEFVとの併用の3つの条件で行った。
上記各条件でメンブレンを処理した後、HIV溶液を重層した。24時間後に、インサートメンブレンを通過したウイルス粒子を含む溶液(ローワーチャンバー内の溶液)を回収し、実施例2と同様にして、予め用意しておいたTZM−bl細胞に処理し、βガラクトシダーゼ法にてHIV−1感染効率を評価した。結果を、図4〜図7に示す。サクランとEFVとの相乗効果は、ソフトウエア:CompuSyn(www.combosyn.com)を用いて解析した。Cl(Combination Index)が<1であることから、サクランとEFVとの相乗効果が確認された。
実施例4:サクランの抗ウイルス薬との併用効果の確認
96ウェルのトランズウェル(登録商標)(コーニング社製)を用い、サクランを抗ウイルス薬である侵入阻害剤(Entry Inhibitor)と併用した場合の効果を、実施例3と同様にして確認した。メンブレンの処理は、サクラン(0.00001%〜0.001%)、侵入阻害剤であるCXCR4アンタゴニスト(AMD3100(NIH AIDS Research and Reference Reagent Programより入手):10nM〜50nM)またはgp41阻害剤(T−20(NIH AIDS Research and Reference Reagent Programより入手):30nM〜100nM)、およびサクランと侵入阻害剤との併用の3つの条件で行った。結果を、図8〜9に示す。サクランと侵入阻害剤との相乗効果は、Cl(Combination Index)が<1であることから、サクランとEFVとの相乗効果が確認された。
上記の詳細な記載は、本発明の目的及び対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更及び置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
本発明のサクランを含むウイルス吸着剤は、ウイルスを吸収・捕獲することができるので、ウイルス、特にはHIVの感染防止の用途に有用である。

Claims (18)

  1. サクランを有効成分として含有するウイルス吸着剤であって、サクランを含有する層にウイルスを吸着させることを特徴とするウイルス吸着剤。
  2. サクランを、0.001〜1.0重量%の濃度で含む請求項1に記載のウイルス吸着剤。
  3. 前記ウイルスがHIVである請求項1または2に記載のウイルス吸着剤。
  4. 前記サクランを含有する層は、クリーム状、ゼリー状、またはフィルム状の層である請求項1〜3のいずれか一つに記載のウイルス吸着剤。
  5. 前記ウイルス吸着剤は、哺乳動物の皮膚に塗布されて使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のウイルス吸着剤。
  6. 前記ウイルス吸着剤は、ヒト男性のペニス、またはヒト女性の腟あるいは外陰部に塗布されて使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のウイルス吸着剤。
  7. 請求項1〜のいずれか一つに記載のウイルス吸着剤が塗布された部材。
  8. 前記部材が、手袋、マスク、またはコンドームである請求項に記載の部材。
  9. さらに抗ウイルス剤を含む請求項1〜のいずれか一つに記載のウイルス吸着剤。
  10. 前記抗ウイルス剤が、ウイルスの侵入阻害剤である請求項に記載のウイルス吸着剤。
  11. 前記抗ウイルス剤が、エファビレンツである請求項10に記載のウイルス吸着剤。
  12. サクランを有効成分として含有する層を用いてウイルスを捕獲する方法。
  13. 前記サクランを含有する層が、サクランを、0.001〜1.0重量%の濃度で含む請求項12に記載の方法。
  14. 前記ウイルスがHIVである請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記サクランを含有する層は、クリーム状、ゼリー状、またはフィルム状の層である請求項12〜14のいずれか一つに記載の方法。
  16. 請求項12〜15のいずれか一つに記載のウイルスを捕獲する方法であって、ヒトの体の部位にサクランを含有する層を塗布することを特徴とする方法。
  17. 前記部位が、皮膚、男性のペニス、または女性の腟あるいは外陰部である請求項16に記載の方法。
  18. 請求項12〜15のいずれか一つに記載のウイルスを捕獲する方法であって、手袋、マスク、またはコンドームにサクランを含有する層を塗布することを特徴とする方法。
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