(本発明の基礎となった知見)
上記のように、特許文献1には、レーダー装置等の物体の情報を取得する装置における不具合に対するフェイルセーフ技術は開示されているが、物体を検出する物体検出処理を実行する物体検出器に関するフェイルセーフ技術は何ら開示されていない。
また、特許文献2では、複数の物体検出部を具備しているため、物体検出部が故障した場合にフェイルセーフ用の物体検出部が対応する運用も想定できるが、この場合は、フェイルセーフ用の物体検出部が別途必要になるという課題がある。
また、自動運転車の分野において、カメラ装置や測距センサ装置が故障した場合のフェイルセーフ技術に関しては、様々な提案がなされてきた。しかしながら、カメラ装置等から情報を受け取り、一般物体を検出する物体検出装置も故障するが、物体検出装置におけるフェイルセーフを考慮した設計や技術的な解決策に関して、何ら検討されていなかった。
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る物体検出装置は、物体を検出する物体検出装置であって、前記物体に関する物体情報を取得する取得部と、前記物体情報を用いて、各々が所定の物体検出処理を実行する複数の物体検出器を含む物体検出部と、前記複数の物体検出器の各々の異常状態を検知する異常検知部と、前記異常検知部により前記複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、前記複数の物体検出器のうち異常状態が検知された異常物体検出器の物体検出処理を停止し、異常状態が検知されていない正常物体検出器の物体検出処理を変更する変更部と、を備える。
このような構成により、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、異常状態が検知された異常物体検出器の物体検出処理を停止し、異常状態が検知されていない正常物体検出器の物体検出処理を変更しているので、フェイルセーフ用の物体検出器を新たに設けることなく、異常物体検出器の物体検出処理を、正常物体検出器に代行させることができる。この結果、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器が異常状態になっても、追加の構成要素を最小限に抑えながら、フェイルセーフな物体検出を行うことができる。
前記物体検出処理は、処理の優先度を有し、前記変更部は、前記異常検知部により前記複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、前記正常物体検出器のうち最も優先度が低い物体検出処理を実行する正常物体検出器の物体検出処理を前記異常物体検出器の物体検出処理に変更するようにしてもよい。
このような構成により、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、正常物体検出器のうち最も優先度が低い物体検出処理を実行する正常物体検出器の物体検出処理を異常物体検出器の物体検出処理に変更しているので、異常物体検出器の物体検出処理を、最も優先度が低い物体検出処理を実行する正常物体検出器に代行させることができ、物体検出部の性能低下を必要最小限に抑えながら、優先度が高い物体検出処理を継続して実行することができる。
前記複数の物体検出器は、少なくとも3つ以上の物体検出器を含み、前記変更部は、前記異常検知部により前記複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、前記正常物体検出器のうちの一つの正常物体検出器に最も優先度が高い物体検出処理を実行させるとともに、残りの正常物体検出器に次に優先度が高い物体検出処理を実行させるようにしてもよい。
このような構成により、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、正常物体検出器のうちの一つの正常物体検出器に最も優先度が高い物体検出処理を実行させるとともに、残りの正常物体検出器に次に優先度が高い物体検出処理を実行させているので、優先度が高い物体検出処理を確実に継続して実行することができる。
前記複数の物体検出器は、少なくとも3つ以上の物体検出器を含み、前記変更部は、前記異常検知部により前記複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、前記正常物体検出器のうちの一つの正常物体検出器に最も優先度が高い物体検出処理を実行させるとともに、残りの正常物体検出器に既に実行している物体検出処理に加えて前記異常物体検出器の物体検出処理を実行させるようにしてもよい。
このような構成により、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、正常物体検出器のうちの一つの正常物体検出器に最も優先度が高い物体検出処理を実行させるとともに、残りの正常物体検出器に既に実行している物体検出処理に加えて異常物体検出器の物体検出処理を実行させているので、すべての物体検出処理を継続して実行することができる。
前記物体検出部は、前記異常物体検出器が物体検出処理を停止しているときに、前記異常物体検出器を正常状態に復帰させる復旧処理を実行するようにしてもよい。
このような構成により、異常物体検出器が物体検出処理を停止しているときに、異常物体検出器を正常状態に復帰させる復旧処理を実行しているので、異常物体検出器を早期に正常状態に復帰させることができる。
前記複数の物体検出器の各々は、ニューラルネットワークを使用する物体検出器を含み、前記物体検出部は、前記物体を検出するためのニューラルネットワークを生成するためのデータ群を用いて、前記複数の物体検出器の各々が使用するニューラルネットワークを生成し、生成した各ニューラルネットワークを前記複数の物体検出器の各々に割り当て、前記複数の物体検出器の各々は、割り当てられたニューラルネットワークを使用して前記物体を検出し、前記変更部は、前記異常検知部により前記複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、前記正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを変更するようにしてもよい。
このような構成により、物体を検出するためのニューラルネットワークを生成するためのデータ群を用いて、複数の物体検出器の各々が使用するニューラルネットワークを生成し、生成した各ニューラルネットワークを複数の物体検出器の各々に割り当て、複数の物体検出器の各々は、割り当てられたニューラルネットワークを使用して物体を検出する。この状態で、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、異常状態が検知されていない正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを変更しているので、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合に、ニューラルネットワークの新規生成に費やす時間を無くし、物体検出処理の空白期間を防止することができる。
前記物体検出部は、生成した複数のニューラルネットワークの各々を個別領域に記憶する記憶部をさらに含み、前記変更部は、前記異常検知部により前記複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、前記正常物体検出器が参照する前記記憶部の個別領域を変更させることにより、前記正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを変更するようにしてもよい。
このような構成により、複数の物体検出器のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、正常物体検出器が参照する記憶部の個別領域を変更させることにより、正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを変更しているので、正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを瞬時に変更することができ、ニューラルネットワークを用いた物体検出処理を確実に継続して実行することができる。
前記複数の物体検出器の各々は、同性能の物体検出器であってもよい。
このような構成により、異常物体検出器の物体検出処理を正常物体検出器に容易に代行させることができるとともに、物体検出装置のコストを低減することができる。
前記物体情報は、所定のカメラ装置により前記物体を撮影した画像情報を含むようにしてもよい。
このような構成により、カメラ装置により物体を撮影した画像情報を用いて、歩行者、車両、道路標識、建物、及び道路の領域等を含む一般物体を検出することができる。
前記物体検出装置は、走行状態を制御する走行制御装置を備える車両に搭載され、前記物体検出部が前記複数の物体検出器の検出結果を統合した統合検出結果に基づいて、前記走行制御装置に制御信号を出力する運転制御信号発信部をさらに備えるようにしてもよい。
このような構成により、物体検出装置が車両に搭載され、物体検出部が複数の物体検出器の検出結果を統合した統合検出結果に基づいて、車両の走行状態を制御する走行制御装置に制御信号を出力しているので、物体検出器の異常発生時にも、車両の走行制御に必要な、歩行者、他の車両、道路標識、建物、及び道路の領域等を含む一般物体を検出することができ、この検出結果を統合した統合検出結果を用いて、自動運転車のフェイルセーフな自動運転制御を実現することができる。
前記物体は、前記車両に最も近い範囲の第1の距離範囲に位置する第1の物体と、前記車両から前記第1の距離範囲より遠い第2の距離範囲に位置する第2の物体と、前記車両から前記第2の距離範囲より遠い第3の距離範囲に位置する第3の物体とを含み、前記複数の物体検出器は、前記第1の物体を検出する第1の物体検出器と、前記第2の物体を検出する第2の物体検出器と、前記第3の物体を検出する第3の物体検出器とを含み、前記変更部は、前記異常検知部により前記第1の物体検出器の異常状態が検知された場合、前記第1の物体検出器の物体検出処理を停止し、前記第3の物体検出器が前記第1の物体を検出するように前記第3の物体検出器の物体検出処理を変更するようにしてもよい。
このような構成により、第1の物体検出器の異常状態が検知された場合、第1の物体検出器の物体検出処理を停止し、第3の物体検出器が第1の物体を検出するように第3の物体検出器の物体検出処理を変更しているので、第1の物体検出器の異常発生時にも、車両に最も近い範囲の第1の距離範囲に位置する第1の物体、例えば、歩行者、他の車両、道路標識、建物、及び道路の領域等を検出することができ、自動運転車の自動運転を継続することができる。
また、本開示は、以上のような特徴的な構成を備える物体検出装置として実現することができるだけでなく、物体検出装置が備える特徴的な構成に対応する特徴的な処理を実行する物体検出方法などとして実現することもできる。また、このような物体検出方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させる物体検出プログラムとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の物体検出装置と同様の効果を奏することができる。
本開示の他の態様に係る物体検出方法は、物体を検出する物体検出装置の物体検出方法であって、前記物体に関する物体情報を取得し、前記物体情報を用いて複数の物体検出処理を実行し、前記複数の物体検出処理の各々の異常状態を検知し、前記複数の物体検出処理のうちの一つの物体検出処理の異常状態が検知された場合、前記複数の物体検出処理のうち異常状態が検知された異常物体検出処理を停止し、異常状態が検知されていない正常物体検出処理の処理内容を変更する。
本開示の他の態様に係る物体検出プログラムは、物体を検出する物体検出装置として、コンピュータを機能させるための物体検出プログラムであって、前記コンピュータに、前記物体に関する物体情報を取得し、前記物体情報を用いて複数の物体検出処理を実行し、前記複数の物体検出処理の各々の異常状態を検知し、前記複数の物体検出処理のうちの一つの物体検出処理の異常状態が検知された場合、前記複数の物体検出処理のうち異常状態が検知された異常物体検出処理を停止し、異常状態が検知されていない正常物体検出処理の処理内容を変更する。
そして、上記のような物体検出プログラムを、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
また、本開示の一実施の形態に係る物体検出装置の構成要素の一部とそれ以外の構成要素とを複数のコンピュータに分散させたシステムとして構成してもよい。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すためのものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
以下、本開示の各実施の形態に係る物体検出装置システムについて、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における物体検出装置を搭載した車両の主要な構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、車両1は、カメラ装置11、測距センサ装置12、走行制御装置13、表示装置14、及び物体検出装置101を備える。車両1は、走行状態を制御する走行制御装置13及び物体を検出する物体検出装置101を用い、自動運転を行う自動運転車である。なお、車両1は、自動運転車に特に限定されず、運転者が運転を行う通常の車両であってもよい。
カメラ装置11は、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ等から構成され、車両1の前方に位置する種々の物体(一般物体)を含む画像を撮影し、物体を撮影した画像情報を物体検出装置101に出力する。なお、カメラ装置11の構成は、この例に特に限定されず、複数のカメラ装置により、車両1の後方、右側方、左側方等の物体を撮影するようにしてもよい。
測距センサ装置12は、レーダー装置等から構成され、車両1の前方に位置する種々の物体(一般物体)までの距離を測定し、測定した距離を示す距離情報を物体検出装置101に出力する。なお、測距センサ装置12の構成は、この例に特に限定されず、複数の測距センサ装置により、車両1の後方、右側方、左側方等に位置する物体までの距離を測定するようにしたり、ステレオカメラ等を用いて、物体までの距離を示す距離情報を画像化した画像情報等を出力するようにしてもよい。
物体検出装置101は、自動運転車の場合、一般物体として、歩行者、車両、道路標識、建物、及び道路の領域等の物体を検出し、物体検出結果に基づく制御信号(運転制御信号)を走行制御装置13に出力する。
走行制御装置13は、エンジンコントロールユニット等から構成され、物体検出装置101の物体検出結果を含む種々の情報を基に、車両1の走行状態を制御し、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作等を自動的に制御する。
表示装置14は、車両1のインストルメントパネルに設置された液晶ディスプレイ等から構成され、走行制御装置13から出力される種々の情報、例えば、自動運転の状態や物体検出装置101の動作状態等を表示する。
図2は、図1に示す物体検出装置の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、物体検出装置101は、情報取得部102、物体検出部103、検出器異常検知部104、検出器切替部105、及び運転制御信号発信部106を備える。物体検出部103は、3つの物体検出器113、123、133を備える。
情報取得部102は、物体に関する物体情報として、物体を撮影した画像情報をカメラ装置11から取得するとともに、物体までの距離を示す距離情報を測距センサ装置12から取得し、取得した画像情報及び距離情報を物体検出部103に出力する。なお、物体情報は、上記の例に特に限定されず、検出対象となる物体に関する他の種々の情報を用いてもよい。
物体検出部103は、物体検出器113、123、133の動作を管理し、情報取得部102から出力された画像情報及び距離情報を物体検出器113、123、133に与え、物体検出器113、123、133に物体検出処理を実行させる。物体検出器113、123、133の各々は、画像情報及び距離情報を用いて、所定の物体検出処理を実行する。物体検出器113、123、133の各々は、同性能の物体検出器であり、同一構成の物体検出器であることが好ましい。なお、物体検出器の数及び構成は、上記の例に特に限定されず、2つ又は4つ以上の物体検出器を用いたり、異なる性能の物体検出器を用いたり、種々の変更が可能である。また、物体検出器が処理する情報は、上記の画像情報等に特に限定されず、電波、熱、音、赤外線等に対応する各種センサ装置の検出信号に対応する情報等から一般物体を検出してもかまわない。
また、物体検出器123、133は、物体検出処理により検出した物体の検出結果を物体検出器113に出力し、物体検出器113は、自身の検出結果と、物体検出器123、133の検出結果とを統合し、統合検出結果を運転制御信号発信部106に出力する。
検出器異常検知部104は、物体検出器113、123、133の各々の異常状態を検知し、異常状態を検知した物体検出器を知らせる検出器異常情報を検出器切替部105及び運転制御信号発信部106に通知する。例えば、検出器異常検知部104は、ハードウェア的には、物体検出器113、123、133の温度や電力消費量の変化を監視したり、ソフトウェア的には、物体検出器113、123、133の検出結果の出力頻度を監視したりすることにより、物体検出器113、123、133の異常状態を検知する。なお、検出器異常検知部104は、物体検出器113、123、133が正常に動作している場合、すべての物体検出器113、123、133が正常である旨の検出器正常情報を運転制御信号発信部106に送信してもよい。
検出器切替部105は、物体検出部103を制御して物体検出器113、123、133の処理内容を切り替えることにより、検出器異常検知部104により物体検出器113、123、133のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、異常状態が検知された異常物体検出器の物体検出処理を停止し、異常状態が検知されていない正常物体検出器の物体検出処理を変更する。物体検出部103は、異常物体検出器が物体検出処理を停止しているときに、異常物体検出器を正常状態に復帰させる復旧処理を実行する。
また、物体検出器113、123、133の各々の物体検出処理は、処理の優先度を有しており、検出器切替部105は、検出器異常検知部104により物体検出器113、123、133のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、物体検出部103を制御して、異常状態が検知されていない正常物体検出器のうち最も優先度が低い物体検出処理を実行する正常物体検出器の物体検出処理を、異常状態が検知された異常物体検出器の物体検出処理に変更する。
また、検出器切替部105は、検出器異常検知部104により物体検出器113、123、133のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、物体検出部103を制御して、異常状態が検知されていない正常物体検出器のうちの一つの正常物体検出器に最も優先度が高い物体検出処理を実行させるとともに、残りの正常物体検出器に次に優先度が高い物体検出処理を実行させる。
また、物体検出装置101が検出する物体は、車両1に最も近い範囲の第1の距離範囲に位置する第1の物体と、車両1から第1の距離範囲より遠い第2の距離範囲に位置する第2の物体と、車両1から前記第2の距離範囲より遠い第3の距離範囲に位置する第3の物体とを含む。物体検出器113は、第1の距離範囲に位置する第1の物体を検出し、物体検出器123は、第2の距離範囲に位置する第2の物体を検出し、物体検出器133は、第3の距離範囲に位置する第3の物体を検出する。
また、検出器切替部105は、検出器異常検知部104により物体検出器113の異常状態が検知された場合、物体検出部103を制御して、物体検出器113の物体検出処理を停止し、物体検出器133が第1の距離範囲に位置する第1の物体を検出するように物体検出器133の物体検出処理を変更する。
また、検出器切替部105は、検出器異常検知部104により物体検出器113、123、133のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、物体検出部103を制御して、異常状態が検知されていない正常物体検出器のうちの一つの正常物体検出器に最も優先度が高い物体検出処理を実行させるとともに、残りの正常物体検出器に既に実行している物体検出処理に加えて異常状態が検知された異常物体検出器の物体検出処理を実行させるようにしてもよい。
運転制御信号発信部106は、物体検出器113、123、133の検出結果を統合した統合検出結果に基づいて、走行制御装置13に運転制御信号を出力する。
次に、図2に示す物体検出装置101の動作について説明する。図3は、図2に示す物体検出装置101の起動時物体検出処理の一例を示すフローチャートである。図3に示す起動時物体検出処理は、物体検出装置101が車両1(自動運転車)に搭載され、自動運転機能の開始時に実行される処理である。
まず、検出器切替部105は、内部のメモリ(図示省略)に記憶している検出処理割当票に基づいて、物体検出器113、123、133が実施する物体検出処理の処理内容を、物体検出器113、123、133を管理する物体検出部103に通知する(ステップS11)。
ここで、検出器切替部105は、物体検出器を識別する検出器ID(識別番号)と、処理内容と、優先度とを対応づけた検出処理割当票をテーブル形式で内部のメモリに記憶している。図4は、図2に示す検出器切替部105が用いる検出処理割当票の一例を示す図である。図4に示すように、検出処理割当票T1は、各物体検出器113、123、133に紐付けられた識別子である検出器IDT2と、その処理内容T3と、その優先度T4とから構成される。
図4に示す例では、検出器IDT2として、説明を容易にするため、「物体検出器113」、「物体検出器123」、及び「物体検出器133」を用い、処理内容T3として、「近距離」、「中距離」、「遠距離」、及び「検出結果統合」を用い、優先度T4として、「1」、「2」、及び「3」を用いている。また、「近距離」は、車両1に対して近い距離(第1の距離範囲)の一般物体を検出する処理内容を示し、「中距離」、「遠距離」も同じく車両1に対して中間の距離(第2の距離範囲)、遠い距離(第3の距離範囲)の一般物体を検出する処理内容を示し、「検出結果統合」は、各物体検出器113、123、133の検出結果を統合する処理を示す。優先度T4は、数値が小さいほど優先度が高い処理を示す。
例えば、検出器切替部105は、図4に示す検出処理割当票T1に基づいて、物体検出器113の処理内容を優先度「1」で「近距離」及び「検出結果統合」に、物体検出器123の処理内容を優先度「2」で「中距離」に、物体検出器133の処理内容を優先度「3」で「遠距離」に設定するように物体検出部103に通知する。
なお、検出処理割当票の保管方法として、検出器切替部105が保管する例を説明したが、この例に特に限定されず、物体検出装置101以外の装置が検出処理割当票を保管してもよい。また、物体検出部103が処理内容T3と優先度T4とのペア情報を記憶し、検出器切替部105が検出器IDT2と優先度T4とのペア情報を物体検出部103に通知するようにしてもよい。また、優先度T4は、車両1から一般物体までの距離を基準に決定したが、この例に特に限定されず、処理内容T3における検出対象の一般物体の種類(人物、道路標識、障害物、動物等)に応じて優先度の値を変更する(例えば、人物、道路標識、障害物、動物の順に優先度を低くする)ようにしてもよい。
ここで、物体検出器113、123、133は、同性能の物体検出器であり、検出対象の一般物体が遠い距離になる程、検出対象となる一般物体がカメラ装置11により撮影された画像内で相対的に小さくなるので、物体検出器113の計算量より物体検出器123の計算量が増大し、物体検出器123の計算量より物体検出器133の計算量が増大する。
したがって、本実施の形態では、物体検出器133の1画像(1フレーム)における物体検出処理の時間は、物体検出器113、123と比較して長くなる。このため、本実施の形態では、一例として、情報取得部102は、物体検出部103に60FPS(Frames Per Second)で画像を転送し、検出頻度として、物体検出器113は60FPS、物体検出器123は30FPS、物体検出器133は15FPSで一般物体を検出している。また、物体検出器113は、各物体検出器113、123、133の検出結果を検出頻度60FPSで統合する。
つまり、物体検出器113の検出結果は1フレーム毎に更新されるが、物体検出器123の検出結果は2フレーム毎、物体検出器133の検出結果は4フレーム毎に更新されることになる。また、一般物体に対する距離は、測距センサ装置12からの距離情報で決定する。なお、測距センサ装置12を用いない場合は、一般物体に対する距離を、各物体検出器113、123、133が検出対象とする一般物体の1フレームに対する画像面積の大きさから決定するようにしてもよい。
次に、物体検出部103は、情報取得部102からの画像情報等を物体検出器113、123、133に入力し、検出器切替部105からの通知すなわち検出処理割当票に従って、物体検出器113、123、133の各々に、通知された処理内容及び優先度で物体検出処理を実行させ、物体検出器113、123、133の動作を開始させる(ステップS12)。このとき、情報取得部102は、カメラ装置11の画像情報を取得するとともに、測距センサ装置12による一般物体との距離情報を画像化して取得するようにしてもよい。また、物体検出部103は、物体検出器113、123、133からの一般物体の検出結果を運転制御信号発信部106に転送する。
図5は、図2に示す物体検出器113、123、133が物体検出処理に使用する画像情報が表す画像の一例を示す図であり、図6は、図5に示す画像から物体検出器113、123、133が検出した物体の一例を説明するための図である。
図5に示す1フレームの画像P1を表す画像情報が情報取得部102に入力され、物体検出器113、123、133が情報取得部102から転送された画像P1に対して物体検出処理を実行すると、図6に示す検出結果画像P2と等価の画像を表す画像情報が運転制御信号発信部106に転送される。
図6に示す例では、検出処理割当票T1に基づき、物体検出器113は、近距離の物体として、道路の通行可能領域N1と他の車両N2とを検出し、物体検出器123は、中距離の物体として、道路の通行可能領域M1と人物M2とを検出し、物体検出器133は、遠距離の物体として、道路の通行可能領域F1と道路標識F2とを検出する。物体検出器113は、これらの検出結果を統合して運転制御信号発信部106に転送する。このように、車両1からの距離を基準に各処理内容が割り当てられた物体検出器113、123、133が、各距離範囲に存在する可能性がある一般物体を検出する。
次に、物体検出部103が動作を開始すると、検出器異常検知部104は、各物体検出器113、123、133の監視を開始する(ステップS13)。このとき、検出器異常検知部104は、物体検出器113、123、133の各々の異常状態を検知し、異常状態を検知した物体検出器を検出器切替部105及び運転制御信号発信部106に通知する。
次に、運転制御信号発信部106は、物体検出部103からの検出結果に基づき、走行制御装置13に運転制御信号を出力し、走行制御装置13は、運転制御信号に基づき、車両1の自動運転を開始する(ステップS14)。
図7は、図1に示す表示装置14に表示される自動運転状態を示す計器画像の一例を示す図である。物体検出器113、123、133が正常状態に動作している場合、例えば、図7に示す計器画像が車両1のインストルメントパネルに設けられた表示装置14に表示される。本例は、車両1が電気自動車である場合の例であり、計器画像として、例えば、バッテリ残量メータBM、スピードメータSM、及びパワーメータPMが表示される。
また、スピードメータSMの中央下部に、運転モードとして、正常に自動運転が行われていることを示す「Cruise Mode」M1が表示される。また、その上に物体検出器113の動作状態(100%の処理能力で近距離の物体検出処理を実行している状態)を示す「100% Short」D1が表示され、その上に物体検出器123の動作状態(100%の処理能力で中距離の物体検出処理を実行している状態)を示す「100% Middle」D2が表示され、その上に物体検出器133の動作状態(100%の処理能力で遠距離の物体検出処理を実行している状態)を示す「100% Long」D3が表示されている。
上記のような計器画像を表示装置14に表示させることにより、自動運転であること及び各物体検出器113、123、133の状態を搭乗者に示すことができる。
以上が、本実施の形態における物体検出装置101の自動運転車の起動時(自動運転機能の起動時)における処理内容となる。
次に、物体検出装置101のフェイルセーフ動作の一例として、自動運転開始後に、物体検出器113、123、133の一つに異常が発生した場合を説明する。図8は、図2に示す物体検出装置101の物体検出器113、123、133の1つに異常が発生した場合の異常時物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
まず、検出器異常検知部104は、物体検出器113、123、133の一つの動作異常を検知した場合、検出器切替部105及び運転制御信号発信部106に、どの物体検出器が異常状態であるかを示す検出器異常情報を通知する(ステップS21)。例えば、物体検出器113に異常が発生した場合、検出器異常検知部104は、検出器切替部105及び運転制御信号発信部106に、物体検出器113が異常状態であることを示す検出器異常情報を通知する。
次に、検出器異常情報を受信した検出器切替部105は、使用する検出処理割当票を、図4に示した検出処理割当票T1から物体検出器113、123、133の一つが異常の場合の検出処理割当票に変更し、この検出処理割当票に即したフェイルセーフ動作を行うように物体検出器113、123、133の処理内容を切り替えることを物体検出部103に通知する(ステップS22)。ここで、物体検出器113、123、133の一つが異常の場合の検出処理割当票は、図4に示した検出処理割当票T1と同様に、異常状態の物体検出器毎に検出器切替部105の内部のメモリに記憶されており、検出器切替部105は、内部のメモリから異常状態の物体検出器用の検出処理割当票を読み出して使用する。なお、異常状態の物体検出器用の検出処理割当票は、上記の内部メモリに記憶する例に特に限定されず、例えば、検出器切替部105等が、物体検出器113、123、133の処理能力を基に、適切なフェイルセーフ動作が行える検出処理割当票を作成するようにしてもよい。
図9は、図2に示す物体検出器113に異常が発生した場合に検出器切替部105が用いる検出処理割当票の一例を示す図である。図9に示す検出処理割当票T1aでは、処理内容T3a及び優先度T4aが変更され、物体検出器113の処理内容及び優先度が「復旧処理」及び「−」(優先度無)に変更され、物体検出器133の処理内容及び優先度が「近距離、検出結果統合」及び「1」に変更され、物体検出器123の処理内容及び優先度は維持されている。ここで、「復旧処理」は、異常状態が検知された異常物体検出器の動作を停止し、異常物体検出器を正常状態に復帰させる処理を示す。
例えば、物体検出器113に異常が発生した場合、検出器切替部105は、図9に示す検出処理割当票T1aに基づいて、物体検出器113の処理内容を優先度「−」で「復旧処理」に、物体検出器123の処理内容を優先度「2」で「中距離」に、物体検出器133の処理内容を優先度「1」で「近距離」及び「検出結果統合」に設定するように物体検出部103に通知する。
次に、物体検出部103は、物体検出器113、123、133の一つが異常の場合の検出処理割当票に基づき、物体検出器113、123、133の処理を変更し、変更後の統合検出結果を運転制御信号発信部106に出力する(ステップS23)。例えば、物体検出器113に異常が発生した場合、物体検出部103は、処理内容T3aに基づき、物体検出器113を正常な状態に戻すための「復旧処理」を行わせ、処理内容T3a及び優先度T4aに基づき物体検出器133の物体検出処理を「近距離、検出結果統合」及び「優先度1」に変更する。
図10は、図2に示す物体検出装置101の物体検出器113に異常が発生した場合のフェイルセーフ動作の一例を説明するためのブロック図である。図10に示すように、物体検出器113に異常が発生した場合、物体検出部103は、物体検出器113を正常な状態に戻すための復旧処理を実行し、また、物体検出器123は、優先度2で中距離の物体検出処理を実行し、検出結果を物体検出器133に出力し、物体検出器133は、優先度1で近距離の物体検出処理及び検出結果の統合処理を行い、統合検出結果を運転制御信号発信部106に出力する。
そして、運転制御信号発信部106は、検出器異常情報や物体検出部103の統合検出結果に基づき、車両1の走行制御装置13に、車両1の走行速度を落としたり、安全な場所で停止させたりする等のフェイルセーフな運転を行うための運転制御信号を発信する(ステップS24)。
図11は、図2に示す物体検出器113、123、133の一つに異常が発生した場合に表示装置14に表示される計器画像の一例を示す図である。例えば、物体検出器113に異常が発生し、図8に示す異常時物体検出処理が実施された場合、図11に示す計器画像が車両1のインストルメントパネルに設けられた表示装置14に表示される。本例でも、計器画像として、図7に示す計器画像と同様にバッテリ残量メータBM及びパワーメータPMが表示されるが、スピードメータSMaの表示内容は変更される。
すなわち、スピードメータSMaの中央下部に、運転モードとして、フェイルセーフな運転が行われていることを示す「Fail Safe Mode」M2が表示される。また、その上に物体検出器113が異常状態にあり、物体検出処理が停止され、復旧処理が行われていることを示す「0% Recovery」D1aが表示され、その上に物体検出器123の動作状態(100%の処理能力で中距離の物体検出処理を実行している状態)を示す「100% Middle」D2が表示され、その上に物体検出器133の動作状態(100%の処理能力で近距離の物体検出処理を実行している状態)を示す「100% Short」D3aが表示されている。
上記のような計器画像を表示装置14に表示させることにより、物体検出器113が復旧状態にあり、危険回避のためのフェイルセーフ運転状態になったことを搭乗者に示すことができる。
上記の処理により、本実施の形態では、複数の物体検出器113、123、133のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、異常状態が検知された異常物体検出器の物体検出処理を停止し、異常状態が検知されていない正常物体検出器の物体検出処理を変更しているので、フェイルセーフ用の物体検出器を新たに設けることなく、異常物体検出器の物体検出処理を、正常物体検出器に代行させることができる。この結果、複数の物体検出器113、123、133のうちの一つの物体検出器が異常状態になっても、追加の構成要素を最小限に抑えながら、フェイルセーフな物体検出を行うことができる。
なお、複数の物体検出器113、123、133のうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合に、異常状態が検知されていない正常物体検出器の物体検出処理の変更内容は、図9に示す例に特に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、車両1の状態や外部環境によっては、図12に示すような検出処理割当票に基づいて、正常物体検出器の物体検出処理を変更してもよい。
図12は、図2に示す物体検出器113に異常が発生した場合に検出器切替部105が用いる検出処理割当票の他の一例を示す図である。図12に示す検出処理割当票T1bでは、物体検出器113、133の処理内容及び優先度並びに物体検出器123の優先度は図9に示す検出処理割当票T1aと同様であるが、物体検出器123の処理内容T3bが「遠距離及び中距離、検出頻度50%」に変更されている。
本実施の形態では、通常状態における検出頻度として、近距離の物体検出処理が60FPS、中距離の物体検出処理が30FPS、遠距離の物体検出処理が15FPSであったが、図12に示す例では、物体検出器113に異常が発生した際には、検出処理割当票T1bの処理内容T3bに基づき、物体検出器123は、演算リソースの半分を中距離の物体検出処理に、もう半分を遠距離の物体検出処理に振り分けて一般物体を検出する。つまり、この場合において、検出頻度は、近距離の物体検出処理が60FPS、中距離の物体検出処理が15FPS、遠距離の物体検出処理が7FPSに変更される。
したがって、物体検出器113の異常状態が検知された場合、物体検出器133に最も優先度が高い近距離の物体検出処理及び検出結果統合処理を実行させるとともに、物体検出器123に既に実行している中距離の物体検出処理に加えて遠距離の物体検出処理を実行させているので、すべての物体検出処理を継続して実行することができる。
(実施の形態2)
図13は、本開示の実施の形態2における物体検出装置の構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態では、自動運転車におけるニューラルネットワーク(以降、「NN」と称する)を用いた物体検出装置101aについて、図13を用いて説明する。なお、図13に示す物体検出装置101aは、以下に説明するニューラルネットワークを用いて物体検出処理を行う点以外は、基本的に、図2に示す物体検出装置101と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、再度の説明を省略する。
図13に示すように、物体検出装置101aは、情報取得部102、物体検出部103a、検出器異常検知部104、検出器切替部105、運転制御信号発信部106、NN(ニューラルネットワーク)保管部201を備える。物体検出部103aは、3つの物体検出器113a、123a、133a、及びNN(ニューラルネットワーク)記憶部202を備える。NN記憶部202は、個別の記憶領域として、3つのNN(ニューラルネットワーク)格納部213、223、233を有している。
NNを用いた一般物体検出として、近年、「Deep Learning」(深層学習)と呼ばれる手法で学習が実施されたNNを用いることにより、高い検出性能を得ることが可能となり、手動で設計した特徴量を用いた従来の物体検出器の代わりを務めるようになってきている。本実施の形態では、以下のようにして、深層学習を用いて学習が実施されたニューラルネットワークを使用して物体検出処理を実行している。
NN保管部201は、物体を検出するためのニューラルネットワークを生成するためのデータ群として、NN(ニューラルネットワーク)生成データを記憶している。NN生成データとは、Deep Learning手法で目的別に学習されたNNを生成するために必要なノードに関するパラメータや、ノード間のネットワーク構成などが規定されたデータである。なお、NN生成データの取得方法は、この例に特に限定されず、例えば、NN保管部201を省略し、所定のネットワークを介して所定のサーバ等から取得してもよい。
物体検出部103aは、NN保管部201からNN生成データを読み出し、NN生成データを用いて、物体検出器113a、123a、133aの各々が使用するニューラルネットワークを生成し、生成した各ニューラルネットワークをNN記憶部202の格納部213、223、233にそれぞれ格納する。なお、NN記憶部202の構成は、上記の例に特に限定されず、例えば、個別の記憶部に各ニューラルネットワークを記憶するようにしてもよい。また、生成された各ニューラルネットワークが記憶されるメモリ領域(格納部213、223、233)は、耐故障性を高めるために多重化し、物体検出器113a、123a、133aが参照できる場所に複製するようにしてもよい。
また、物体検出部103aは、物体検出器113a、123a、133aの動作を管理し、情報取得部102から出力された画像情報及び距離情報を物体検出器113a、123a、133aに与え、また、検出器切替部105からの検出処理割当票に基づく物体検出器113a、123a、133aの処理内容に従い、NN格納部213、223、233のニューラルネットワークを物体検出器113a、123a、133aに割り当てる。
物体検出器113a、123a、133aの各々は、情報取得部102からの画像情報及び距離情報を用いて、割り当てられたニューラルネットワークを用いた物体検出処理を実行する。物体検出器113a、123a、133aの各々は、同性能の物体検出器であり、同一構成の物体検出器であることが好ましい。
また、物体検出器123a、133aは、割り当てられたニューラルネットワークを用いた物体検出処理により検出した物体の検出結果を物体検出器113aに出力し、物体検出器113aは、自身の検出結果と、物体検出器123a、133aの検出結果とを統合し、統合検出結果を運転制御信号発信部106に出力する。
検出器異常検知部104は、物体検出器113a、123a、133aの各々の異常状態を検知し、異常状態を検知した物体検出器を知らせる検出器異常情報を検出器切替部105及び運転制御信号発信部106に通知する。
検出器切替部105は、物体検出部103aを制御して物体検出器113a、123a、133aの処理内容を切り替えることにより、検出器異常検知部104により物体検出器113a、123a、133aのうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、異常状態が検知された異常物体検出器の物体検出処理を停止し、異常状態が検知されていない正常物体検出器の物体検出処理を変更する。物体検出部103aは、異常物体検出器が物体検出処理を停止しているときに、異常物体検出器を正常状態に復帰させる復旧処理を実行する。
また、検出器切替部105は、検出器異常検知部104により物体検出器113a、123a、133aのうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、正常物体検出器が参照するNN記憶部202のNN格納部213、223、233を変更させることにより、正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを変更する。
次に、図13に示す物体検出装置101aの動作について説明する。図14は、図13に示す物体検出装置101aの起動時物体検出処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す物体検出処理は、物体検出装置101aが車両1(自動運転車)(図1参照)に搭載され、自動運転機能の開始時に実行される処理である。
まず、検出器切替部105は、内部のメモリに記憶している検出処理割当票(例えば、図4に示す検出処理割当票)に基づいて、物体検出器113a、123a、133aが実施する物体検出処理の処理内容を、物体検出器113a、123a、133aを管理する物体検出部103aに通知する(ステップS31)。
次に、物体検出部103aは、検出器切替部105から通知された情報に基づき、NN保管部201からNN生成データを読み出し、各物体検出器113a、123a、133a用のニューラルネットワークを生成してNN格納部213、223、233にそれぞれ格納し、NN格納部213、223、233のニューラルネットワークを物体検出器113a、123a、133aに割り当てる(ステップS32)。
図15は、図13に示す物体検出装置101aの物体検出器113a、123a、133aが参照するNN格納部213、223、233の一例を示す図である。図15に示す例では、NN記憶部202のNN格納部213に近距離の物体検出処理用のニューラルネットワークが記憶され、NN格納部223に中距離の物体検出処理用のニューラルネットワークが記憶され、NN格納部233に遠距離の物体検出処理用のニューラルネットワークが記憶されている。
このとき、物体検出部103aは、物体検出器113aにNN格納部213を、物体検出器123aにNN格納部223を、物体検出器133aにNN格納部233をそれぞれ割り当てる。したがって、物体検出器113aは、NN格納部213を参照して、近距離の物体検出処理用のニューラルネットワークを使用し、物体検出器123aは、NN格納部223を参照して、中距離の物体検出処理用のニューラルネットワークを使用し、物体検出器133aは、NN格納部233を参照して、遠距離の物体検出処理用のニューラルネットワークを使用する。
次に、物体検出部103aは、情報取得部102からの画像情報等を物体検出器113a、123a、133aに入力し、検出器切替部105からの通知すなわち検出処理割当票に従って、物体検出器113a、123a、133aの各々に、通知された処理内容及び優先度で、NN格納部213、223、233のニューラルネットワークを使用した物体検出処理を実行させ、物体検出器113a、123a、133aの動作を開始させる(ステップS33)。
次に、物体検出部103aが動作を開始すると、検出器異常検知部104は、各物体検出器113a、123a、133aの監視を開始する(ステップS34)。
次に、運転制御信号発信部106は、物体検出部103aからの検出結果に基づき、走行制御装置13に運転制御信号を出力し、走行制御装置13は、運転制御信号に基づき、車両1の自動運転を開始する(ステップS35)。
以上が、本実施の形態における物体検出装置101aの自動運転車の起動時(自動運転機能の起動時)における処理内容となる。
次に、物体検出装置101aのフェイルセーフ動作の一例として、自動運転開始後に、物体検出器113a、123a、133aの一つに異常が発生した場合を説明する。図16は、図13に示す物体検出装置101aの物体検出器113a、123a、133aの1つに異常が発生した場合の異常時物体検出処理の一例を示すフローチャートである。
まず、検出器異常検知部104は、物体検出器113a、123a、133aの一つの動作異常を検知した場合、検出器切替部105及び運転制御信号発信部106に、どの物体検出器が異常状態であるかを示す検出器異常情報を通知する(ステップS41)。例えば、物体検出器113aに異常が発生した場合、検出器異常検知部104は、検出器切替部105及び運転制御信号発信部106に、物体検出器113aが異常状態であることを示す検出器異常情報を通知する。
次に、検出器異常情報を受信した検出器切替部105は、使用する検出処理割当票を、図4に示した検出処理割当票T1から物体検出器113a、123a、133aの一つが異常の場合の検出処理割当票(例えば、図9に示す検出処理割当票T1a)に変更し、この検出処理割当票に即したフェイルセーフ動作を行うように物体検出器113a、123a、133aの処理内容を切り替えることを物体検出部103aに通知する(ステップS42)。
次に、物体検出部103aは、物体検出器113a、123a、133aの一つが異常の場合の検出処理割当票に基づき、NN格納部213、223、233のニューラルネットワークの物体検出器113a、123a、133aへの割り当てを変更し、物体検出器113a、123a、133aが参照するNN格納部213、223、233を切り替えることにより、物体検出器113a、123a、133aの処理を変更し、変更後の統合検出結果を運転制御信号発信部106に出力する(ステップS43)。例えば、物体検出器113aに異常が発生した場合、物体検出部103aは、処理内容T3aに基づき、物体検出器113aを正常な状態に戻すための「復旧処理」を行わせ、処理内容T3a及び優先度T4aに基づき物体検出器133aの物体検出処理を「近距離、検出結果統合」及び「優先度1」に変更する。
図17は、図13に示す物体検出装置101aの物体検出器113a、123a、133aの1つに異常が発生した場合に物体検出器113a、123a、133aが参照するNN格納部213、223、233の一例を示す図である。図17に示す例は、物体検出器113aに異常が発生した場合の例であり、物体検出部103aは、物体検出器113aを停止し、物体検出器123aにNN格納部223を、物体検出器133aにNN格納部213をそれぞれ割り当てる。
したがって、物体検出器133aは、NN格納部213を参照して、近距離の物体検出処理用のニューラルネットワークを使用し、物体検出器123aは、NN格納部223を参照して、中距離の物体検出処理用のニューラルネットワークを使用する。
そして、運転制御信号発信部106は、検出器異常情報や物体検出部103aの統合検出結果に基づき、車両1の走行制御装置13に、車両1の走行速度を落としたり、安全な場所で停止させたりする等のフェイルセーフな運転を行うための運転制御信号を発信する(ステップS44)。
上記の処理により、本実施の形態では、実施の形態1の効果に加えて、複数の物体検出器113a、123a、133aのうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合、正常物体検出器が参照するNN格納部213、223、233を変更することにより、異常状態が検知されていない正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを変更しているので、複数の物体検出器113a、123a、133aのうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合に、ニューラルネットワークの新規生成に費やす時間を無くし、物体検出処理の空白期間を防止することができる。この結果、複数の物体検出器113a、123a、133aのうちの一つの物体検出器の異常状態が検知された場合でも、正常物体検出器が使用するニューラルネットワークを瞬時に変更することができ、ニューラルネットワークを用いた物体検出処理を確実に継続して実行することができるので、自動運転の空白を防止することができる。
なお、上記の説明では、自動運転車に本開示の物体検出装置を適用した例について説明したが、この例に特に限定されず、ロボットやドローン(無人飛行体)などの異なる製品分野にも適用できる。
また、各実施の形態で説明した各構成要素は、ソフトウェアとして実現されてもよい。この場合、ソフトウェアは一つ又は複数のROM(Read only memory)、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(Processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置及び周辺装置によって実行される。
また、各実施の形態で説明した各構成要素は、典型的には、集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(半導体集積回路)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法は、LSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmablegate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。