JP6857622B2 - オリゴヌクレオチドの同時検出法、それに関するキットおよび使用法 - Google Patents

オリゴヌクレオチドの同時検出法、それに関するキットおよび使用法 Download PDF

Info

Publication number
JP6857622B2
JP6857622B2 JP2017564803A JP2017564803A JP6857622B2 JP 6857622 B2 JP6857622 B2 JP 6857622B2 JP 2017564803 A JP2017564803 A JP 2017564803A JP 2017564803 A JP2017564803 A JP 2017564803A JP 6857622 B2 JP6857622 B2 JP 6857622B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
detection
oligonucleotides
molecule
different
charges
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017564803A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018506998A (ja
Inventor
インゴ レール
インゴ レール
ナディーネ デルフラー
ナディーネ デルフラー
ユリア クニス
ユリア クニス
Original Assignee
アクソーラボズ ゲーエムベーハー
アクソーラボズ ゲーエムベーハー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by アクソーラボズ ゲーエムベーハー, アクソーラボズ ゲーエムベーハー filed Critical アクソーラボズ ゲーエムベーハー
Publication of JP2018506998A publication Critical patent/JP2018506998A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6857622B2 publication Critical patent/JP6857622B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6816Hybridisation assays characterised by the detection means

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

DNA分子およびRNA分子は、種々の生物において遺伝子発現に重要な役割を果たす。例えば、低分子RNAは、生細胞において生理的過程および病的過程の両方に影響を及ぼす、転写後遺伝子発現、特に遺伝子サイレンシングの重要な調節因子として最近発見された。それ以後、種々の短鎖RNAが、植物、動物、およびDNAウイルスにおける多くのクラスの遺伝子調節因子であることが見出され、起源および機能の異なる短鎖RNAが、分裂酵母からヒトに至るまでの種々の生物で同定されている。その中でも、miRNAは、植物および動物における最も豊富な種類の低分子調節RNAである。これまでに、20.000種を超える異なるmiRNAが、クローニングおよび配列決定により同定されている(例えば、miRBase:マイクロRNA登録データベース、http://www.mirbase.org/, Sanger Institute, UKを参照されたい)。一般に、miRNAは、21〜25ヌクレオチド (nt) の長さを特徴とし、miRNAとその標的mRNAとの間で相補的塩基対が形成されるという機構により、タンパク質発現の調節に関与している。この過程は、タンパク質翻訳の阻害をもたらし、およびまた、miRNAとその標的部位との間の配列相補性の程度に応じて、mRNA転写物の分解をもたらす(総説については、例えば、Bartel DP, Cell 2009, 136(2): 215-233(非特許文献1)を参照されたい)。
悪性腫瘍および腫瘍細胞株は、正常組織と比較して調節解除されたmiRNA発現プロファイルを示すという知見に基づき、miRNA発現の変化は、ヒトの疾患、特に癌に寄与すると意味づけられている(総説については、例えば、Farazi et al., 2013, Adv. Exp. Med. Biol 774: 1-20(非特許文献2)を参照されたい)。すなわち、miRNAレベルの全体的な減少がヒトの癌で認められ、それにより、低分子調節RNAが腫瘍抑制において固有の機能を有し得ることが示される。腫瘍ではmiRNAの全体的な下方制御が見られるため、miRNAの発現プロファイルは、この疾患の起源および分化状態を反映し得る。同様に、他の疾患は、内因的に発現されるmiRNA、例えば、その発現が、ほとんどすべての種類の癌において調節解除されるが、発生、循環器疾患および肺疾患、ならびに炎症を含む多様な他の生物学的過程においても極めて重要な役割を果たすことが見出されている低分子調節RNA miRNA-21などの、レベルの上方制御および/または下方制御のいずれかが特徴である(総説については、例えば、Kumarswamy et al., 2011, RNA Biology 8: 5, 706-713(非特許文献3)、およびKataoka and Wang, Cell 2014, 3: 883-898(特許文献4)を参照されたい)。さらに、腎不全は、低分子調節RNA、miRNA-320およびmiR-210の異なる発現パターンが特徴であることが示されている (Lorenzen J.M. et al, Clin. J. Am. Soc. Nephrol, 6: 1540-1546(非特許文献5))。
選択された標的遺伝子配列に高い配列特異性を有して結合し得る合成分子は、遺伝子治療薬および診断装置の開発に有望であるため、医学およびバイオテクノロジーの状況において大いに興味深い。すなわち、例えば公知の配列のオリゴヌクレオチドは、多種多様な化学的および生物学的応用において一般に用いられており、診断および治療応用において重要性を増している。
例えばmiRNA発現プロファイルの形態での低分子調節RNAの解析を含む、生理学的試料からの治療薬として用いられるオリゴヌクレオチドの解析は、医療診断における重要なツールとなるように既に開発されている。マイクロRNAは、広範囲の疾患におけるバイオマーカーとして現在用いられている、容易に検出可能なオリゴヌクレオチドである。したがって、特定クラスの低分子調節オリゴヌクレオチドを定量解析するための高感度検出システムは、最先端の医療診断のための重要なツールである。しかしながら、現在のハイスループット検出アプローチは、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法 (RT-PCR) を用いる方法に大きく依存している。RT-PCRにより、検出、ならびに絶対コピー数の形態および相対量の形態の定量化の両方が可能になる。しかしながら、これらの方法は、標的配列の前増幅を含む徹底的な試料調製を必要とし、時間を要しかつ高価である。
UV吸光度または蛍光検出のいずれかと併用したイオン交換クロマトグラフィーは、これまで主に、合成オリゴヌクレオチドの純度を解析するため、またはオリゴヌクレオチド修飾を検出するために用いられている。ここで、オリゴヌクレオチドは、その骨格の長さによって規定される負のホスホジエステル骨格電荷の数により、正の固定相上で分離される。UV検出または蛍光読み取りのいずれかと連結されたイオン交換クロマトグラフィーは、治療用オリゴヌクレオチドの薬物動態を解析する状況においてさらに記載されている(WO 2010/043512 A1(特許文献1)、総説については、例えば、Batkai and Thum, 2014, Journal of Chromatography B, 964: 146-152(非特許文献6)を参照されたい)。
拡大する低分子調節オリゴヌクレオチドの分野は現在、分子レベルおよび大規模診断レベルの両方において、多くの解析の変化に直面している。それ故に、ハイスループットスクリーニングの状況における絶対的定量化および標準化のための、高感度であり、信頼性があり、かつ迅速な検出方法の提供は、医学研究、診断、および治療の分野における最も重要な主要問題である。
そのため、長さは等しいがアイデンティティーの異なるmiRNAなどの低分子調節RNAまたは他の治療用オリゴヌクレオチドの発現パターンの解析を含む、関心対象の標的オリゴヌクレオチドを1つの試料から同時並行して定量的に検出するための改良法が、常に必要とされている。
WO 2010/043512 A1
Bartel DP, Cell 2009, 136(2): 215-233 Farazi et al., 2013, Adv. Exp. Med. Biol 774: 1-20 Kumarswamy et al., 2011, RNA Biology 8: 5, 706-713、 Kataoka and Wang, Cell 2014, 3: 883-898 Lorenzen J.M. et al, Clin. J. Am. Soc. Nephrol, 6: 1540-1546 Batkai and Thum, 2014, Journal of Chromatography B, 964: 146-152
本発明に関連して、陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) と併用して相補的検出分子を用いる方法により、配列は異なるが長さの等しいオリゴヌクレオチドを、定量的に検出し、それによって同時並行して解析できることが見出され、この検出分子は、蛍光標識されており、かつ異なる全表面電荷を示すように化学修飾されている。すなわち、等しい長さのオリゴヌクレオチドは、それらの類似した負の骨格電荷に起因して、正に荷電した固定相に結合した後に類似の溶出プロファイルを示すものの、表面電荷の異なる相補的検出分子のアニーリングによって、標的オリゴヌクレオチドの全表面電荷が著しく変化し、それによって分解能の向上が可能となり、それら各々の検出分子にハイブリダイズした後にそれらの結合親和性が変化するせいで、それぞれの標的オリゴヌクレオチドのさもなければ不可能である分離ができるようになる。したがって、本発明の方法は、特にオリゴヌクレオチドが、クロマトグラフィー法によるそれらの分離を通常は脅かすかまたは妨げる、同一または類似の長さのものである場合に、2種以上のオリゴヌクレオチドを1つの試料において同時並行して検出するのに特に適している。それ故に、本発明の方法は、例えば関心対象の1つの生体試料からの同時並行の複数のmiRNAまたは低分子治療用RNAのハイスループット定量化の状況を含む1つのアプローチにおいて、等しい長さの複数の低分子調節RNAまたはDNA分子を検出するのに特に適している。
したがって、第1の局面において、本発明は、等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するための方法に関し、該方法は、
(a) 等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドを含有するかまたは含有する疑いのある生体試料を提供する段階;
(b) 生体試料を、等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドと相補的な少なくとも2種類の検出分子と接触させることにより、ハイブリダイゼーション混合物を形成する段階であって、検出分子が、少なくとも1つの蛍光部分でそれぞれ標識されており、かつ検出分子が、異なる表面電荷を有する、段階;
(c) 陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) により、等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした検出分子を、ハイブリダイズしなかった検出分子の部分から分離する段階;
(d) 定量的蛍光読み取りによって、ハイブリダイズした検出分子-オリゴヌクレオチド部分を検出する段階
を含む。
[本発明1001]
(a) 等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドを含有するかまたは含有する疑いのある生体試料を提供する段階;
(b) 該生体試料を、該等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドと相補的な少なくとも2種類の検出分子と接触させることにより、ハイブリダイゼーション混合物を形成する段階であって、該検出分子が、少なくとも1つの蛍光部分でそれぞれ標識されており、かつ該検出分子が、異なる表面電荷を有する、段階;
(c) 陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) により、該等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした該検出分子を、ハイブリダイズしなかった検出分子の該部分から分離する段階;
(d) 定量的蛍光読み取りによって、ハイブリダイズした該検出分子-オリゴヌクレオチド部分を検出する段階
を含む、該等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するための方法。
[本発明1002]
前記少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドが、10〜50ヌクレオチドの長さ、好ましくは12〜40ヌクレオチドの長さ、より好ましくは18〜30ヌクレオチドの長さを有する、本発明1001の方法。
[本発明1003]
等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドが、miRNA (miRNA)、低分子干渉RNA (siRNA)、短鎖活性化RNA (saRNA)、デコイオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、およびspiegelmerからなる群より選択される、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記検出分子が、ペプチド核酸 (PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO)、およびugimerからなる群より選択される、本発明1001〜1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記検出分子が、10〜30ヌクレオチドの長さ、好ましくは10〜20ヌクレオチドの長さ、より好ましくは15〜20ヌクレオチドの長さを有する、本発明1001〜1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記少なくとも2種類の検出分子が、同じアイデンティティーの蛍光部分でそれぞれ標識されている、本発明1001〜1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記少なくとも2種類の検出分子の前記異なる表面電荷が、中性電荷、負電荷、および正電荷の群より選択され、好ましくは、中性電荷と負電荷、中性電荷と正電荷、および/または負電荷と正電荷の組み合わせより選択され、好ましくは、複数の負電荷、複数の正電荷、またはこれらの任意の組み合わせより選択される、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
負の前記表面電荷が、少なくとも2つの組み込まれた負荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とし、好ましくは、該負荷電アミノ酸残基がグルタミン酸の形態である、本発明1007の方法。
[本発明1009]
正の前記表面電荷が、少なくとも2つの組み込まれた正荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とし、好ましくは、該正荷電アミノ酸残基がリジンの形態である、本発明1007の方法。
[本発明1010]
段階 (c) における陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) が、30℃〜75℃の温度で、好ましくは40℃〜55℃の温度で、より好ましくは50℃の温度で行われる、本発明1001〜1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
段階 (d) の定量的読み取りが、前記ハイブリダイズした検出分子-オリゴヌクレオチド部分の蛍光シグナルを、内部標準とまたは外部較正曲線の形態の外部標準と比較することを特徴とする、本発明1001〜1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
(i) 関心対象の等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドと相補的な少なくとも2種類の検出分子であって、該検出分子のそれぞれが、少なくとも1つの蛍光部分で標識されており、かつ該検出分子が、異なる表面電荷を特徴とする、検出分子;
(ii) プロテイナーゼKおよびプロテイナーゼK消化緩衝液を好ましくは含有する、ハイブリダイゼーション混合物
を含むキット。
[本発明1013]
前記検出分子が、同じアイデンティティーの蛍光部分でそれぞれ標識されている、本発明1012のキット。
[本発明1014]
前記少なくとも2種類の検出分子の結合部位に相補的な少なくとも1種類の蛍光標識分子をさらに含み、該結合部位が標的配列結合に関与しない、本発明1012または1013のキット。
[本発明1015]
等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するための、異なる表面電荷を有する少なくとも2種類の検出分子の使用であって、好ましくは該検出が、本発明1001〜1011のいずれかにおいて定義された通りに行われる、使用。
本発明に関連して用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、一般的に、デオキシリボヌクレオチド (DNA) またはリボヌクレオチド (RNA) のいずれかから構成されるオリゴマーまたはポリマーを指し、好ましくはリボヌクレオチド (RNA) から構成されるオリゴマーまたはポリマーを指す。そのため、本発明に関連して、関心対象のオリゴヌクレオチドは好ましくは、miRNAおよびsiRNAなどの低分子調節RNAを含むがこれに限定されないRNAオリゴヌクレオチドの形態のRNA分子である。本発明のオリゴヌクレオチドが、例えばデコイオリゴヌクレオチドなどの、合成により設計および/または作製されたあらゆる種類のDNAオリゴヌクレオチドを含むがこれに限定されないDNAオリゴヌクレオチドの形態のDNA分子であることも、同様に好ましい。原理的に、本発明によるオリゴヌクレオチドには、核酸塩基(すなわち、窒素含有塩基)、リボース、2'-デオキシリボース、またはそれらの任意の誘導体のいずれかであり得る五炭糖、およびリン酸基から構成されるあらゆる種類の構造が含まれる。核酸塩基および糖は、ヌクレオシドと称される単位を構成する。リン酸基は、糖の2位、3位、または5位炭素、特に3位および5位炭素と結合を形成し得る。リボヌクレオチドは糖部分としてリボースを含有し、デオキシリボヌクレオチドは糖部分としてデオキシリボースを含有する。ヌクレオチドは、プリン塩基またはピリミジン塩基のいずれかを含有し得る。したがって、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドのいずれかにより、またはそれらの任意の組み合わせにより構成される本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドをさらに含み得る。任意に、オリゴヌクレオチドはさらに、修飾ヌクレオチドのみを含み得る。修飾ヌクレオチドのリボ型およびデオキシ型には、例えば、5-プロピニル-ウリジン、5-プロピニル-シチジン、5-メチル-シチジン、2-アミノ-アデノシン、4-チオウリジン、5-ヨードウリジン、N6-メチル-アデノシン、5-フルオロウリジン、イノシン、7-プロピニル-8-アザ-7-デアザプリン、および7-ハロ-8-アザ-7-デアザプリンヌクレオシドが含まれ得るが、これらに限定されない。本発明に関連して言及されるオリゴヌクレオチドは、例えば、2'-O-メチル (2'-OMe) RNAまたは2'-フルオロ (2'-F) RNAなどの骨格修飾をさらに含み得る。任意に、本発明のオリゴヌクレオチドは、同様にまたは代わりに、ヌクレアーゼに対する安定性を増大させることが公知である、例えばホスホロチオエートまたはメチルホスホネートなどの、リン酸骨格に対する1つまたは複数の修飾を含み得る。
本明細書で用いられる「等しい長さの異なるオリゴヌクレオチド」という用語は、同一または類似の長さの一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチド分子、すなわち同一数または類似数のいずれかのヌクレオチドから構成されるオリゴヌクレオチドを意味する。「等しい長さ」という用語は、好ましくは、関心対象のオリゴヌクレオチドが同一の長さを有することを規定する。この場合、関心対象のオリゴヌクレオチドは、同一数のヌクレオチドから構成される。しかしながら、関心対象のオリゴヌクレオチドが、類似の長さ、すなわち互いにわずかに異なる長さを有することも、同様に好ましい。本発明による「等しい長さ」はまた、それによって、それぞれのオリゴヌクレオチドの長さが、ヌクレオチド数個だけ互いに異なること、好ましくは最大でヌクレオチド5個、4個、3個、または2個だけ互いに異なることも含む。より好ましくは、関心対象の少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドは、長さが1ヌクレオチドだけ異なる。
すなわち、好ましい態様において、本発明の方法によって検出すべき少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドは、5ヌクレオチドだけ、または代替的に4ヌクレオチドだけ、または代替的に3ヌクレオチドだけ、または代替的に2ヌクレオチドだけ異なる類似の長さを有し得る。より好ましくは、関心対象のオリゴヌクレオチドは、1ヌクレオチドだけ異なる類似の長さを有し得る。関心対象の3種類以上の異なるオリゴヌクレオチドが1つの試料から同時並行して検出される場合、例えば、等しい長さの3、4、5、6、7、8、9、10種類、またはさらにより多くの種類のオリゴヌクレオチドが1つの試料から同時並行して検出される場合、検出すべきオリゴヌクレオチドは、上記の組み合わせまたは選択肢のいずれかによって規定されるような、同一もしくは類似の長さまたはその両方のいずれかのものであってよい。
好ましくは、本発明による等しい長さの異なるオリゴヌクレオチドは、配列は異なるが、同一数のヌクレオチドから構成されるオリゴヌクレオチドである。長さが、少数のヌクレオチドだけ異なり、好ましくは5個以下のヌクレオチド長の差だけ異なる、類似の長さのオリゴヌクレオチドも、同様に好ましい。本明細書で用いられる「等しい長さの異なるオリゴヌクレオチド」という定義はさらに、関心対象のオリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の同一のまたは異なる化学修飾を含み (include) 得るか、含み (comprise) 得るか、または包含し得ることを排除しない。化学修飾は、数および/またはアイデンティティーの両方に関して、同一であってもまたは異なってもよい。
一般的に、本発明に関連して、検出すべきオリゴヌクレオチドは、10〜50ヌクレオチド、もしくは12〜40ヌクレオチド、もしくは12〜30ヌクレオチドの全長、または好ましくは10〜25ヌクレオチドの長さを有し得る。関心対象のオリゴヌクレオチドが、15〜30ヌクレオチドの範囲、より好ましくは18〜25ヌクレオチドの範囲、最も好ましくは20〜22ヌクレオチドの範囲の長さを有し得ることも、同様に好ましい。しかしながら、上記の上限値および下限値を、異なる範囲に到達するように組み合わせてもよいことが、当業者には明白である。さらに、関心対象のオリゴヌクレオチドを含有する本発明の試料は、そのような様々な長さのオリゴヌクレオチド分子の集団を含有し得る。すなわち、本発明に関連して提供される試料は、同じ長さのオリゴヌクレオチドを含み得るか、もしくは異なる長さのオリゴヌクレオチドを含み得るか、またはその両方であってよく、これには、例えばmiRNAおよびその前駆体などの、関心対象のオリゴヌクレオチドの前駆体型および成熟型、または長い非コードRNAが含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、異なる長さのオリゴヌクレオチドの存在は、本発明の方法による等しい長さのオリゴヌクレオチドの定量的検出を損なわない。
そのため、好ましい態様において、少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドは、10〜50ヌクレオチドの長さ、好ましくは12〜40ヌクレオチドの長さ、より好ましくは18〜30ヌクレオチドの長さを有する。
本発明に関連して検出すべきオリゴヌクレオチドはさらに、ウイルス、細菌、および真核生物のDNAまたはRNAを含むがこれらに限定されない、あらゆる種類の天然、非天然、または人工的供給源に由来し得る。あるいは、関心対象のオリゴヌクレオチドは、研究において、診断薬として、または治療薬として使用するために作製および合成されたものを含む合成供給源に由来し得る。本明細書で用いられる「合成すること」という用語は、好ましくは、自動DNAおよび/もしくはRNA合成機ならびに/またはホスホラミダイト化学の使用を含むがこれに限定されない化学合成によるDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドの作製を指す。自動DNAおよび/またはRNA合成機は、当業者により日常的に使用されており、例えば、Applied Biosystems (ダルムシュタット、ドイツ)、Biolytic (ニューアーク、CA、USA)、GE Healthcare、またはBioAutomation (プレーノー、TX、USA) などの様々な供給業者から市販されている。
本発明に関連して用いられる「生体試料を提供する段階」という特徴は、関心対象の少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチド、または代替的に、さらなる解析のために検出すべきオリゴヌクレオチドの集団を含有する組成物の調製に適した、あらゆる種類の手順を指す。これらの手順には、細胞または組織抽出物の調製に適した標準的な生化学的手順および/または細胞生物学的手順が含まれるが、これらに限定されず、ここで、細胞および/または組織は、関心対象の少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドを含有する任意の種類の生物に由来し得る。例えば、本発明による試料は、例えば、細胞培養において増殖した、または切除および/もしくは手術によって生物から得られた1つまたは複数の細胞に由来する、精製全RNAおよび/またはサイズ分画全RNAを包含する、細胞抽出物または組織抽出物であってよい。特に、本発明による生体試料は、1例または複数例の患者または任意の種類の生体の1つまたは複数の組織から得られ得る。細胞から、細胞抽出物から、または組織からの生体試料の提供は、例えば、遠心分離および/または分画、例えば複数回の凍結および/または融解サイクル、塩処理、フェノール-クロロホルム抽出、ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) 処理、ならびにプロテイナーゼK消化を含む機械的または化学的な破壊段階による細胞溶解などの、1つまたは複数の生化学的精製段階を含み得る。任意に、本発明による生体試料を提供する段階は、ポリエチレンもしくは塩の存在下での沈殿による、大量のリボソームrRNAなどの巨大RNAの除去、または塩の存在下、好ましくは塩化カリウム溶液の存在下での沈澱による妨害ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) の除去をさらに含み得る。細胞および/または組織から全RNAを精製する方法は当業者に周知であり、これには例えば、グアニジニウムチオシアネート-酸性フェノール-クロロホルム抽出(例えば、TRIzol(登録商標)、Invitrogen、USA)の使用などの標準的な手順が含まれる。
しかしながら、本発明に関連して、生体試料が、本明細書において記載される沈殿および/または精製段階のいずれも用いずに提供されることも、同様に好ましい。すなわち、好ましい態様では、本発明の生体試料を、SDSの存在下でプロテイナーゼK消化にのみ供することができる。SDSの存在下で生体試料を消化した後、塩の存在下、好ましくはカリウムイオンの存在下におけるその後の沈澱段階によって、妨害ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) を除去することができる。しかしながら、生体試料が、好ましくはSDSの非存在下における酵素プロテイナーゼK消化により、プロテイナーゼKの存在下で提供または処理されることも、同様に好ましい。この場合、妨害SDSを排除するためのすべての沈澱段階を省略することができる。
さらに、本発明による生体試料はさらに、例えば、定量化および/または定量的蛍光読み取りの内部標準として働き得る、公知の濃度および/または公知の分子量の合成オリゴヌクレオチド分子などの、1つまたは複数の合成分子を含み得るか、または該1つまたは複数の合成分子によって補完され得る。内部標準として使用され得る合成分子は、異なる濃度および/もしくは異なる分子量を有する分子の混合物の形態、または様々な希釈系列の形態のいずれかで提供される。すべての態様において、合成オリゴヌクレオチド分子は好ましくは、直接的な定量的蛍光読み取りを可能にするよう蛍光標識され、関心対象の生体試料と同じ様式で処理される。本出願に関連して内部標準として働き得る適切な分子には、関心対象の少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドの標的配列に対応するか、またはその断片に対応する合成オリゴヌクレオチドが含まれ得るが、これに限定されない。
あるいは、生体試料は、少なくとも3種類、好ましくは5種類の異なる濃度の蛍光標識合成分子を含有してよく、その配列は、検出すべき標的オリゴヌクレオチドの配列の異なる長さに対応する。例えば、20ヌクレオチド長の標的オリゴヌクレオチドを検出する場合に、それぞれ8、11、および14ヌクレオチドの長さを有する蛍光標識合成オリゴヌクレオチド分子を、定量化の内部標準として使用することができる。あるいは、蛍光標識オリゴヌクレオチドは、検出すべき標的オリゴヌクレオチドの元の長さを延長する、異なる長さを有し得る。例えば、20ヌクレオチド長の標的オリゴヌクレオチドを検出する場合に、それぞれ24、28、および32ヌクレオチドの長さを有する蛍光標識オリゴヌクレオチド分子を、定量的蛍光読み取りの内部標準として使用することができる。ここで、蛍光標識オリゴヌクレオチドは、検出すべき標的オリゴヌクレオチドの配列に対応してよく、かつ関心対象の標的配列に対応しない、付加的な、好ましくは人工的に設計されたヌクレオチド伸長物を包含し得る。
一般的に、本発明に関連して、内部定量化に用いられる蛍光標識オリゴヌクレオチドは、好ましくは合成的に合成される。さらに、内部標準として用いられる蛍光標識オリゴヌクレオチドは、好ましくは、陰イオン交換HPLCクロマトグラフィーによって分離する前に、関心対象の標的オリゴヌクレオチドと同じ様式でそれら各々の検出分子にハイブリダイズさせる。すなわち、本明細書において記載される内部標準の使用による定量化は、二重鎖の形成、陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) によるその溶出および分離に依存し、ここで、内部標準の二重鎖は、相補的配列の検出分子にハイブリダイズしている蛍光標識オリゴヌクレオチドを含む。より好ましくは、定量的読み取りに関して、蛍光標識オリゴヌクレオチドは、1つの実験設定において、特に同じAEX-HPLCカラム流動の一部として、関心対象の生体試料と共に分離され、陰イオン交換カラムから溶出される。この設定において、定量的蛍光読み取りは、内部標準のオリゴヌクレオチド二重鎖によって生じる異なるピーク高および/または異なるピーク面積と、関心対象のそれぞれの検出分子-オリゴヌクレオチド部分によって生じる溶出ピークの高さおよび/または面積との比較に依存する。内部標準を使用する定量的蛍光読み取りは当業者に周知であり、研究室の実践において日常的に適用されており、溶出ピーク高および/またはピーク面積を定量的に計算、比較、積分、および/または定量化するためのソフトウェアプログラムが市販されている(例えば、ThermoFisher、Waters、Shimadzu、Agilent、USA)。
本発明による生体試料の例には、例えば、個体から採取された、好ましくは、特定の疾患、好ましくは腎疾患、より好ましくは腎損傷を有する個体から採取された、血液、血漿、尿、便、肝臓、肺、髄液、または任意の他の細胞、組織、および/もしくは生検試料が含まれるが、これらに限定されない。
したがって、好ましい態様において、生体試料は、好ましくは生検試料の形態、より好ましくは細胞、組織、または液体の形態の、非ヒトおよびヒト対象を含む1例または複数例の個体から採取された試料である。しかしながら、生体試料が、例えば、生物学的もしくは生化学的アッセイ、分子遺伝学的アッセイ、細胞培養アッセイ、またはマウスなどの、実験設定、またはインビトロもしくはインビボ実験に由来することも、同様に好ましい。本発明の生体試料はさらに、肝臓、肺、腎臓、乳房、前立腺、心臓、またな脳に由来する組織および/または細胞試料を含む、血液、血漿、尿、便、および髄液試料からなる群より選択され得る。好ましい態様において、生体試料は血漿試料である。
本発明に関連して、「検出分子」という用語は、一般的に、相補的塩基対形成により関心対象の標的オリゴヌクレオチド配列にアニールし、それによって2本の相補鎖からなる二重鎖を形成するのに適している、任意の種類の分子を意味する。さらに、本発明による検出分子は、ハイブリダイゼーションにより、関心対象の少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドの検出、解析、および/または可視化を可能にする蛍光部分を含むべきである。一般に、関心対象の少なくとも2種類のオリゴヌクレオチドは、蛍光標識されていない。本発明による適切な検出分子には、例えば、ペプチド核酸 (PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO)、およびugimerなどの、中性の正味電荷を有する、合成により設計および/または作製されたあらゆる種類の分子が含まれるが、これに限定されない。すなわち、本発明の検出分子は好ましくは、中性の骨格電荷を特徴とし、特に例えば負荷電リン酸基などの任意の荷電イオン基を欠くことを特徴とする。
したがって、好ましい態様において、検出分子は、ペプチド核酸 (PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO)、およびugimerからなる群より選択される。
本発明の検出分子は、一般的に関心対象のヌクレオチド配列と適合するように合成され、該ヌクレオチド配列を分子レベルで検出、解析、および/または可視化するために使用され得る。本発明の検出分子が、その標的分子とアニールするために必要な特異性を提供するのに適した長さを有することが、当業者には明白であろう。本発明による検出分子は、いくつかのヌクレオチドから、好ましくは少なくとも10個、より好ましくは少なくとも15個のヌクレオチドから構成され、好ましくは蛍光標識の形態の少なくとも1つの蛍光部分を含む。
好ましい態様において、本発明に関連して用いられる検出分子は、10〜30ヌクレオチドの長さ、好ましくは10〜20ヌクレオチドの長さ、より好ましくは15〜20ヌクレオチドの長さを有する。
本明細書で用いられる「ペプチド核酸 (PNA)」という用語は、一般的に、天然核酸の糖リン酸骨格が、通常は任意の荷電リン酸基を欠く反復N-(2-アミノエチル)-グリシン単位により形成される合成ペプチド骨格によって置換されている、任意の種類の核酸類似体を指す。任意に、ペプチド核酸はまた、任意の種類の適切な非グリシン単位、および/または1つもしくは複数の付加的な標識もしくは化学修飾の組み込みを可能し得るかもしくは促進し得る連結試薬を含み得る。一般に、ペプチド核酸は注文設計され、化学合成される。すなわち、本発明に関連して、ペプチド核酸は、関心対象のそれぞれのオリゴヌクレオチドと適合するように注文設計され、このことは好ましくは、ペプチド核酸の配列が、検出すべき関心対象の標的オリゴヌクレオチド配列と相補的であることを意味する。ペプチド核酸は当業者に周知であり、例えばBiosynthesis Inc.、USAまたはPanagene (韓国) を含む様々な供給業者から市販されている。
ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO) は、非イオン性DNA類似体であり、よって本発明に関連して検出分子として用いられ得る、異なるクラスのオリゴヌクレオチド類似体である。分解に対する抵抗性と組み合わせたその非イオン性の特徴により、これは、本発明による等しい長さのオリゴヌクレオチドを定量的に検出するための検出分子として使用するのに適している。そのため、本発明に関連して、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO) は、標的遺伝子配列データに基づいて合理的に設計され得るため、ペプチド核酸の同様に適切な代替物として使用することができる。ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO) は、当技術分野において周知であり(例えば、Summerton J, Weller D (1997), Antisense Nucleic Acid Drug Dev, 7: 187 - 95を参照されたい)、例えばGene Tools, LLC、USAを含む様々な企業から市販されている。
ugimerは、本発明に関連して検出分子として使用され得る、ペプチド核酸のさらなる代替物である。ugimerは、非天然ペプチド核酸 (PNA) 骨格に基づいており、したがって、強力な立体遮断効果、高い標的特異性、高い安定性、低い毒性、および免疫応答を誘発するリスクの低さを含む、PNAのすべての利点を有する。ugimerは、蛍光検出のための蛍光部分の連結を含め、PNA骨格に沿った特定の側鎖の取り込みによって修飾することができ、これにより、水中でのその溶解度がかなり改善され得、およびその全表面電荷の選択的修飾が可能になる。ugimerは、例えば、企業Ugichem GmbH, Innsbruck, Austriaから市販されている。
本発明の検出分子は、必ずしもそうとは限らないが好ましくは、そのオリゴヌクレオチド標的配列と100 %の相補性を示すように設計され得る。検出分子はまた、適切であると考えられる場合には、オリゴヌクレオチド標的配列と100 %未満の相補性を示すように設計され得る。しかしながら、検出分子と関心対象であるそのオリゴヌクレオチド標的配列との相補性は、関心対象のオリゴヌクレオチドへの特異的結合、およびその結果として該オリゴヌクレオチドの蛍光検出を提供するような程度でなければならない。相補性の程度は、それぞれの標的分子およびそれぞれの実験設定に応じて、状況ごとに規定されるべきである。ペプチド核酸などの検出分子の設計は、当業者にとって日常的な方法であり、バイオインフォマティクスアプローチによって推進され得る。クローン化遺伝子の数の増加に伴い、ペプチド核酸、ugimer、またはPMOは、公表された任意のcDNA配列および/または遺伝子バンク登録に基づいて容易に設計され得る。多様な生物に由来するゲノム配列を有するデータベースが当業者に公知であり、これには例えば、NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター、USA、またはマイクロRNA登録データベース)からのすべての公開データベースが含まれる。
本発明に関連して用いられる検出分子はさらに、異なる全表面電荷を特徴とする。本明細書で用いられる「異なる表面電荷」という用語は、一般的に、本発明に関連して用いられる少なくとも2種類の検出分子の全表面電荷が互いに異なることを意味する。特に、本発明に関連して、異なる表面電荷とは、例えばペプチド核酸などの検出分子が、陰イオン交換クロマトグラフィー中の同等に荷電した標的オリゴヌクレオチド分子の結合親和性を変化させることができる識別可能な程度に、負、正、または中性のいずれかに荷電していることを意味する。特に、本発明に関連して用いられる検出分子の異なる表面電荷は、それら各々の標的配列にアニールした際に、等しい長さの標的オリゴヌクレオチドが、1回のみの陰イオン交換クロマトグラフィー段階によって、高い分解能で1つの生体試料から同時並行して分離され得ることを可能にする。本発明に関連して、少なくとも2種類の検出分子の異なる表面電荷は、例えば、それぞれの分子の全表面電荷を変更する、正および/または負のいずれかに荷電した付加的なアミノ酸および/または他の官能基の組み込みなどの、組み込まれた化学修飾の結果である。この違いは、それぞれの標的配列にハイブリダイズした後も維持されることになっている。本発明に関連して、検出分子に組み込まれるべき化学修飾の数および/またはアイデンティティー、すなわちそれぞれの全表面電荷の設計は、関心対象の特定の標的分子の構造特性および必要条件に従って行われることが想定される。すなわち、化学修飾された検出分子の表面電荷を設計する場合には、それぞれの標的分子の表面電荷が考慮されなければならない。例えばペプチド核酸またはugimerなどの検出分子の全表面電荷を変更し得る化学修飾には、正または負に荷電した側鎖を有する任意の種類のアミノ酸、ならびにその各々の標的配列と特異的にアニールし結合するための分子の機能を変更することなく、ペプチド核酸またはugimerの骨格に組み込まれ得る他の正または負に荷電した化学リンカーおよび/または分子が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、化学修飾は、例えば、ペプチド核酸のN'末端またはC'末端のいずれかにおいて、より好ましくN'末端およびC'末端の両方においてなど、検出分子のいずれかの末端に組み込まれる。しかしながら、化学修飾がペプチド核酸またはugimerの骨格中に組み込まれることも同様に好ましく、好ましくは、化学修飾はN-(2-アミノエチル)-グリシン骨格のγ位に連結される。これらの種類の化学修飾PNAは、いわゆるγ-PNAとして公知である。ペプチド核酸およびugimerはいずれも、特にγ位に連結される、それらの骨格中への付加的な表面電荷の導入により修飾されるのに同等に適している。化学修飾ペプチド核酸または化学修飾ugimerは、様々な供給元から市販されており、例えばParanege (South Korea) またはUgichem GmbH, Austriaから購入することができる。
本発明に関連して言及される「相補的」という用語は、一般的に、ポリヌクレオチドが相補的塩基対形成により関心対象の標的配列に特異的に結合する能力を意味する。相補的塩基対は、互いに相補的な(1つまたは複数の修飾を含んでもよいかまたは含まなくてもよい)2つのヌクレオチド分子間で形成される。本発明に関連して、例えば検出分子と関心対象のオリゴヌクレオチド分子との間に形成される相補的塩基対には、ワトソン・クリックA-U、ワトソン・クリックA-T、ワトソン・クリックG-C、G-Uゆらぎ塩基対、A-UおよびA-C逆フーグスティーン塩基対、または剪断G-A塩基対もしくはG-Aイミノ塩基対などのプリン-プリンおよびピリミジン-ピリミジン塩基対を含むがこれらに限定されない、あらゆる種類の標準または非標準塩基対が含まれ得る。好ましくは、「相補的」という用語は標準塩基対を指す。
本明細書で用いられる「ハイブリダイズすること」または「ハイブリダイゼーション」という用語は、一般的には2本の相補的オリゴヌクレオチド鎖のアニーリングを指し、具体的には少なくとも2種類の検出分子のそれらの相補的標的オリゴヌクレオチドへのアニーリングを意味する。ハイブリダイゼーションの成功は、温度、塩濃度、および/またはpHを含む、種々の要因に依存する。ハイブリダイゼーションの最適な温度は、好ましくは、ハイブリッドの融解温度 (Tm)、すなわち二本鎖オリゴヌクレオチド鎖の50 %が分離する温度を規定するTm値よりも5〜15℃低い範囲である。Tm値を計算するための様々な公式が当業者に公知である。本発明に関連してハイブリダイゼーションをもたらす条件には、二重鎖の形成を最大にし、かつ検出分子のその標的配列への非特異的結合を阻害するための試薬を含有する緩衝液の使用が含まれ得る。必要に応じて、例えば特定の実験の状況において用いられる特定のペプチド核酸などのそれぞれの検出分子の最終濃度は、各反応について最適化され得る。ハイブリダイゼーションをもたらす条件には、検出分子と標的分子を、最適なアニーリングを可能にするのに充分な時間インキュベートすることもまた含まれる。好ましくは、本発明によるハイブリダイズすることとは、好ましくはハイブリダイゼーション混合物を形成することにより、溶液中でペプチド核酸などの検出分子をその標的分子と共にインキュベートするハイブリダイゼーション条件を指す。本発明によるハイブリダイゼーション条件は、例えば実施例の項において詳細に説明される。本発明によるハイブリダイゼーションは好ましくは、試料を70℃〜80℃の温度まで加熱し、その後試料を5〜15℃の温度まで冷却することによって行われる。特定の状況において、ハイブリダイゼーションはまた、室温(すなわち、約25℃)で行われ得る。さらに、pHを考慮するおよびpHに依存するなど、状況ごとに温度条件を最適化することが有利であると考えられる。そのような最適化は、当業者により容易に実施され得る。
本明細書で用いられる「蛍光部分」という用語は、一般的に、本発明の検出分子に付着および/または連結され得、かつ蛍光読み取りによって、関心対象のオリゴヌクレオチドを標的配列に対するそのハイブリダイゼーション後に可視化および/または定量化するために用いられ得る任意の物質または薬剤を指す。本発明に関連して、蛍光部分は好ましくは、蛍光顕微鏡観察、フローサイトメトリー、またはインサイチューハイブリダイゼーションなどの高感度適用のために設計された蛍光標識またはフルオロフォアである。日常的に使用される蛍光標識には、フルオレセイン色素、ローダミン色素、またはシアニン色素が含まれるが、これらに限定されない。本発明の好ましい蛍光標識には、あらゆる種類のAtto色素、ならびに好ましくは蛍光標識Atto 425、Atto 520、およびAtto 610、または同様のものが含まれる。蛍光標識はまた、フルオレセイン色素、例えば、カルボキシフルオレセイン (FAM)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2'7'-ジメトキシフルオレセイン (JOE)、フルオレセインイソチオシアネート (FITC)、もしくは5'-ヘキサクロロ-フルオレセイン-CEホスホラミダイト (HEX) など;ローダミン色素、例えば、カルボキシ-X-ローダミン (ROX)、テキサスレッド、およびテトラメチルローダミン (TAMRA) など、シアニン色素、例えば、ピリリウムシアニン色素、DY548、Quasar 570など、または色素、例えば、Cy3、Cy5、Alexa 568、もしくは同様のものなどの群より選択され得る。蛍光標識の選択は、典型的には、そのスペクトル特性および画像化のための装置の入手可能性によって決定される。定量的アッセイにおける蛍光標識の使用は、当業者に周知の標準的な手順であり、蛍光標識は、例えばInvitrogen(商標)(USA) を含む様々な供給業者から市販されている。
好ましい態様において、本発明に関連して用いられる少なくとも2種類の検出分子は、同じアイデンティティーの蛍光部分でそれぞれ標識される。同一の蛍光標識を使用することで、たった1つの検出チャネルを用いる蛍光読み取りが可能となり、すなわち蛍光読み取りはたった1つの波長で行われ得る。たった1つの蛍光検出チャネルの使用は、実験設定全体を容易にするだけでなく、より簡易化されかつ信頼性の高い定量的蛍光読み取りをも可能にする。しかしながら、本発明に関連しては、少なくとも2種類の検出分子の状況における蛍光標識のアイデンティティーが異なること、すなわち検出分子が、異なるアイデンティティーの蛍光部分で標識されることも、同様に好ましい。
本発明の方法は、原理的にあらゆる種類の長さのオリゴヌクレオチドの検出に適用可能である。しかしながら、本明細書において記載される方法は、例えば、例えばマイクロRNAなどの低分子調節RNA分子、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはデコイオリゴヌクレオチドなどの治療用オリゴヌクレオチドを含む、同一または類似の長さのオリゴヌクレオチドの多重検出に特に適している。
本発明に関連して、「検出」または「検出すること」という用語は、一般的に、関心対象のハイブリダイズした検出分子-オリゴヌクレオチド部分を可視化、解析、および/また定量化することを意味する。特に、「検出すること」という用語は、蛍光読み取りにより蛍光標識分子を検出するために適用可能である、当技術分野で公知の任意の方法を指す。
本明細書で用いられる「検出分子-オリゴヌクレオチド部分」という用語は、その相補的オリゴヌクレオチド標的配列にハイブリダイズした蛍光標識検出分子から、好ましくはペプチド核酸から構成される複合体を指す。したがって、本発明による検出分子-オリゴヌクレオチド部分は、二本鎖分子または二重鎖構造を指す。陰イオン交換クロマトグラフィー中に、二本鎖分子は、HPLCシステムのボイド容量中に溶出する遊離のハイブリダイズしていない検出分子から分離される。本発明による検出分子-オリゴヌクレオチド部分の分離およびひいては精製は、本発明の実施例によってさらに例証される。本発明に関連して、検出分子-オリゴヌクレオチド部分は、好ましくは、蛍光標識ペプチド核酸、および解析すべき生体試料に由来するそれら各々のオリゴヌクレオチド標的配列から構成される二重鎖を指す。
「定量的蛍光読み取り」という用語は、一般的に、その各々の検出分子にハイブリダイズした場合の、試料由来の関心対象のオリゴヌクレオチドを可視化、検出、解析、および/または定量化するのに適している、当技術分野で公知のあらゆる種類の画像化方法を意味する。本発明による定量的蛍光読み取りには、本明細書において記載される内部標準との、または外部較正曲線の形態の外部標準との比較による、ピーク高、ピーク幅、および/またはピーク面積の定量的比較が含まれる。本発明による定量的蛍光読み取りは、例えば実施例の図8〜図13において例証される。
本発明の方法はさらに、関心対象の3種類以上のオリゴヌクレオチドを1つの試料から同時並行して検出するのに首尾よく適用することもできる。すなわち、好ましい態様において、本発明の方法は、等しい長さの複数のオリゴヌクレオチドを1つの実験設定において同時並行して検出するのに、例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10種類の異なるオリゴヌクレオチドを同時並行して検出するのに適用される。これに関連して、関心対象の標的オリゴヌクレオチドは、同一もしくは類似の長さまたはその両方のいずれかであってよい。すなわち、例えば合計7種類の異なる標的オリゴヌクレオチドなど、関心対象のいくつかの異なる標的オリゴヌクレオチドが、本発明の方法により同時並行して検出される場合、これらの標的オリゴヌクレオチドのうちの4種類は、同一の長さを有してよく、関心対象の残りの3種類のオリゴヌクレオチドは、類似の長さのものであってよく、すなわち1個または複数個のヌクレオチドだけ、好ましくは最大で5ヌクレオチドだけ長さが異なり得る。
したがって、別の好ましい態様において、本発明の方法は、3、4、5、6、7、8、9、または10種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するためのものである。
好ましくは、等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドは、DNAヌクレオチドまたはRNAヌクレオチドのいずれかから構成される。すなわち、検出すべき少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドは、好ましくはDNAヌクレオチドまたはRNAヌクレオチドである。
より好ましくは、等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドは、miRNA (miRNA)、低分子干渉RNA (siRNA)、短鎖活性化RNA (saRNA)、デコイオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、およびspiegelmerからなる群より選択される。
「miRNA」または「マイクロRNA」という用語は、本発明に関連して同等に使用され、一般的に、細胞内で内因的に発現される短い長さのRNA分子を指す。特に、「miRNA」という用語は、およそ70ヌクレオチド長の内因性ヘアピン型前駆体分子から生成される約20〜25ヌクレオチド長の一本鎖RNAを指す。miRNAをコードする遺伝子は、ヒト、動物、植物、およびウイルスのそれぞれのゲノム中に見出される。
「低分子干渉RNA」または「siRNA」という用語は、一般的に、dsRNA分子の細胞内への外因性送達時に、長いdsRNAのトランスジェニック発現時に生成されるか、または遺伝子導入、細胞トランスフェクション、もしくは細胞形質導入により細胞内に導入されるか、または細胞内で内因的に発現されるRNA分子を意味する。「siRNA」という用語はまた、RNA干渉および遺伝子サイレンシングに関与し、好ましくは標的RNA転写物の分解をもたらす短鎖調節RNA分子を意味する。低分子干渉RNAは、一本鎖RNAであってもよいか、または2本の別々のRNA鎖、すなわちセンス鎖およびアンチセンス鎖からなる二本鎖RNAであってもよい。低分子干渉RNAは、一般的に18〜30ヌクレオチド長である。
「短鎖活性化RNA」または「saRNA」は、一般的に、遺伝子プロモーター内の配列を標的化し、それによって、dsRNA誘導性転写活性化とも称される現象において標的遺伝子発現を誘導し得る、任意の種類の二本鎖RNA (dsRNA) 分子を指す。すなわち、saRNAは、プロモーター領域を標的化することによりヒト細胞において転写活性化を誘導する低分子dsRNAとして当業者に公知である(例えば、Li et al., 2006, Proc Natl Acad Sci USA 103: 17337 - 17342;Janowski et al., 2007, Nat Chem Biol 3: 166-173を参照されたい)。
「デコイオリゴヌクレオチド」という用語は、一般的に、生細胞において転写因子機能の特異的阻害を可能にする、任意の種類のアンチセンス剤を指す。好ましくは、デコイオリゴヌクレオチドは、核酸の相補的配列またはタンパク質(例えば、転写因子など)と類似し、および/またはそれを模倣し、それによって転写因子が標的遺伝子プロモーター領域に結合するのを妨げる、DNAまたはRNAの短い合成断片である。
本明細書で用いられる「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、関心対象の特定のmRNA分子の配列と相補的な配列を有する、任意の種類のDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドを意味する。その標的配列にハイブリダイズすると、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNAからタンパク質への遺伝情報の伝達の遮断を誘導するという結果を伴って、mRNA標的の発現を特異的に阻害し得る。本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、標的配列にアニールし、それによってRNAse Hによる酵素切断を活性化することにより、遺伝子発現を阻害する任意のオリゴヌクレオチドを指す。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療薬として、または遺伝子機能を研究するためのツールとして、当技術分野において周知である(総説については、例えば、Dias and Stein, 2002, Molecular Cancer Therapeutics Vol. 1, 347 - 355を参照されたい)。
本発明に関連して、「アプタマー」は、一般的に、特定の標的分子に結合するあらゆる種類のオリゴヌクレオチド分子を指す。アプタマーは通常、大きなランダム配列プールから選択により作出されるが、天然アプタマーも存在する。本明細書で用いられる「アプタマー」という用語はまた、小分子、タンパク質、核酸、ならびにさらには細胞、組織、および生物などの様々な分子標的に結合するように、インビトロ選択の反復ラウンドまたは同等にSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)を通して操作された核酸アプタマーを含む。アプタマーは、抗体のものと匹敵する分子認識特性を提供するため、生物工学的適用および治療適用において有用である。その識別認識に加えて、アプタマーは、試験管内で完全に操作され得、化学合成によって容易に生成され、望ましい貯蔵特性を有し、かつ治療適用において免疫原性をほとんど誘発しないため、抗体に勝る利点を提供する。
「spiegelmer」は、一般的に、L-リボ核酸アプタマーまたはL-RNAアプタマーを意味する。spiegelmerは、Lリボース単位から構成されるRNA様分子である。spiegelmerは、天然オリゴヌクレオチドの鏡像であることにちなんで命名された人工的オリゴヌクレオチドである。spiegelmerまたは代替的にL-RNAアプタマーは、アプタマーの特定の形態である。それらは、L-ヌクレオチドに起因して、ヌクレアーゼによる分解に対して高度に抵抗性である。spiegelmerは、潜在的治療薬と見なされ、臨床治験において日常的に試験されている。
既に記載されたように、本発明に関連して用いられる検出分子の異なる表面電荷は、それらの標的配列にアニールした際に、陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) の状況において、特にクロマトグラフィーカラムにかけられ、その後カラムからの溶出により分離される場合に、等しい長さのそれぞれの標的オリゴヌクレオチドの結合親和性を変化させることができるように設計されなければならない。標的オリゴヌクレオチドの全表面電荷を、より多く正または負のいずれかに荷電した範囲の表面電荷に転換するのに適したまたは必要な、検出分子中の付加的な化学修飾の数は、検出すべき関心対象の標的分子に応じて、状況ごとに決定され得る。一般に、本発明に関連して用いられる少なくとも2種類の検出分子は、付加的な中性電荷、付加的な正電荷、付加的な負電荷、複数の付加的な正電荷、および/または複数の付加的な負電荷を含む、ありとあらゆる程度までの、いくつかのかつ異なる表面電荷を含み得る。
すなわち、本発明の検出分子、好ましくはペプチド核酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、もしくはそれ以上の正の表面電荷だけ、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、もしくはそれ以上の負の表面電荷だけ、またはこれらの選択肢の任意の組み合わせだけ、互いに異なり得る。等しい長さの標的オリゴヌクレオチドを首尾よく分離するための、本発明に関連して用いられる異なる表面電荷の組み合わせは、本発明の実施例の項において、特に、表3および5を含め図3、5、および10〜13においてさらに記載される。
したがって、好ましい態様において、少なくとも2種類の検出分子の異なる表面電荷は中性電荷、負電荷、および正電荷の群より選択され、好ましくは、中性電荷と負電荷、中性電荷と正電荷、および/または負電荷と正電荷の組み合わせより選択され、より好ましくは、複数の負電荷、複数の正電荷、またはこれらの任意の組み合わせより選択される。
すなわち、1つの好ましい態様において、少なくとも2種類の検出分子の、好ましくは少なくとも2種類のペプチド核酸の異なる表面電荷は、中性電荷、6個の付加的な負電荷、および5個の付加的な正電荷の群より選択される。陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC)、および表面電荷のこの選択物を伴う検出分子を用いた、1つの試料からの同時並行の少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドの分離は、例えば図3、図5、および表3において例証される。
少なくとも2種類の検出分子の、好ましくは少なくとも2種類のペプチド核酸の異なる表面電荷が、中性電荷、4個の付加的な負電荷、および8個の付加的な負電荷の群より選択されることも、同様に好ましい。陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC)、および表面電荷のこの選択物を伴う検出分子を用いた、同時並行の少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドの分離は、例えば図11、図12、図13、および表5において例証される。
上記で概略される異なる表面電荷の任意の組み合わせも、同様に好ましい。すなわち、特定の標的分子の溶出中に、陰イオン交換クロマトグラフィーによる十分なかつ望ましくは高い分離を提供する異なる表面電荷を有する検出分子の任意の組み合わせが想定され、本発明に関連して適用され得、これには、中性表面電荷と複数の負の表面電荷および/もしくは複数の正の表面電荷の組み合わせ、または複数の負電荷と複数の正の表面電荷の組み合わせ、または複数の正電荷もしくは代替的に複数の負の表面電荷のみの任意の組み合わせが含まれる。
本明細書で用いられる「複数の電荷」という用語は、一般的に、2、3、4、5、6、7、または8個の付加的な負電荷および/または正電荷の存在、すなわち2、3、4、5、6、7、または8個の付加的な負電荷および/または正電荷の形態の正味電荷の違いを意味する。好ましくは、本発明による「複数の電荷」はまた、例えば9、10、11、または12個の付加的な正電荷および/または負電荷などの、それぞれの検出分子の正味電荷のより大きな違いを含み得る。
本発明に関連して用いられる検出分子の異なる表面電荷が、陰イオン交換クロマトグラフィーによる関心対象のオリゴヌクレオチドの分離が十分に高い分解能で行われ得るように設計されなければならないこと、すなわちそれら各々の相補的検出分子と複合したそれぞれの標的分子の結合親和性が、標的配列が溶出プロファイルにおいて互いに明確に分離されるように変更されることが、当業者には明白である。すなわち、本発明の検出分子、特にペプチド核酸が、分子の表面全電荷をそれに応じて変更するのに適している化学修飾のあらゆる種類の異なる組み合わせを含み得ることが想定される。すなわち、本発明の少なくとも2種類の検出分子、好ましくは少なくとも2種類のペプチド核酸は、いくつかの正電荷および/またはいくつかの負電荷と組み合わせて中性電荷を含み得る。高分解能の生化学的分離プロファイルを提供するのに適している化学結合のすべての組み合わせが想定され、本発明に関連して適用され得る。中性、正、および負のいずれかの全表面電荷を有するペプチド核酸を用いた、高分解能での陰イオン交換クロマトグラフィーによる等しい長さのオリゴヌクレオチドのクロマトグラフィー分離は、例えば、実施例の項において、特に図10〜13において詳細に記載される。
好ましい態様において、負の表面電荷は、少なくとも2つの組み込まれた負荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とし、好ましくは、負荷電アミノ酸残基はグルタミン酸の形態である。
別の好ましい態様において、正の表面電荷は、少なくとも2つの組み込まれた正荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とし、好ましくは、正荷電アミノ酸残基はリジンの形態である。
グルタミン酸およびリジンは、ペプチド核酸中にそれぞれ1つまたは複数の付加的な正電荷または負電荷を組み込むための化学修飾として使用され得る荷電アミノ酸の好ましい例である。検出分子、特にペプチド核酸の全表面電荷を変更し得る他のアミノ酸も、同様に好ましい。異なる電荷のアミノ酸は当技術分野において周知であり、当業者にとって一般的な知識である。
付加的な正電荷および/または負電荷が、1つまたは複数のアミノグリシン骨格修飾により、好ましくはアミノグリシン単位のγ位により、検出分子の骨格中、特にペプチド核酸の骨格中に組み込まれることも、同様に好ましい。
好ましい態様において、アミノ酸修飾は、アミノグリシン骨格の修飾と併用され得る。
すなわち、好ましい態様において、少なくとも2種類の検出分子、好ましくは少なくとも2種類のペプチド核酸は、付加的な荷電アミノ酸(正もしくは負に荷電された、またはその両方)の形態の化学修飾、好ましくはγ位によりアミノグリシン骨格に連結された付加的な荷電基(正もしくは負に荷電された、またはその両方)の形態の化学修飾、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを含む。この態様において、ペプチド核酸の正味電荷は、これによって化学修飾の程度が決定される重要な基準である。本発明による修飾ペプチド核酸の例は、実施例においてさらに例証される。
本発明に関連して、「ハイブリダイゼーション混合物を形成すること」という用語は、一般的に、本発明の蛍光標識検出分子がその標的オリゴヌクレオチド配列にハイブリダイズし得る条件、すなわち検出分子がその標的配列に結合し得る条件の提供を意味する。少なくとも2種類の検出分子とそれらの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチド標的配列との間のハイブリダイゼーションは、平衡状態にある水素結合および疎水性相互作用によって規定される相補的塩基対の形成を含む。すなわち、2本の相補鎖のアニーリングおよび分離は、温度、塩濃度、pH、プローブおよび標的分子の性質、ならびにハイブリダイゼーション溶液の組成を含む、種々の要因に依存する。本発明によるハイブリダイゼーションの成功をもたらす条件には、二重鎖の形成を最大にし、かつそれぞれの検出分子の非標的配列への非特異的結合を阻害するための試薬を含有するハイブリダイゼーション緩衝液の使用もまた含まれる。
本発明に関連して、部分的変性条件下でハイブリダイゼーション混合物を形成することが、ハイブリダイズした部分の分解が顕著に減少するという点で有利であり得ることもまた見出された。したがって、好ましい態様において、ハイブリダイゼーション混合物は変性条件下で形成される。特に、本発明による変性条件下でのハイブリダイゼーションは、尿素、ホルマリン、ジメチルホルムアミド (DMF)、N-メチル-2-ピロリドン (NMP)、ジメチルスルホキシド (DMSO)、およびグアニジニウムチオシアネートを含むがこれらに限定されない変性剤の存在下で行われ得る。部分的変性条件下でのハイブリダイゼーションは、図5を含め実施例によりさらに例証される。
したがって、好ましい態様において、ハイブリダイゼーション混合物は、1 M〜5 Mの濃度の尿素の存在下で、より好ましくは2 M〜4.5 Mの濃度の尿素の存在下で形成される。
本発明に関連して、上昇した温度での陰イオン交換クロマトグラフィーが、分離プロファイルの改善をもたらすことがさらに見出された。ハイブリダイズした部分の高温での溶出は、ペプチド核酸-標的二重鎖の安定性の改善に起因して可能となる。本発明による、ハイブリダイズしたペプチド核酸-オリゴヌクレオチド部分の上昇した温度での溶出は、実施例の項においてさらに例証される。
そのため、本発明に関連して、段階 (c) における陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) は好ましくは、30℃〜75℃の温度で、好ましくは40℃〜55℃の温度で、より好ましくは50℃の温度で行われる。
さらに、ハイブリダイズした検出分子-オリゴヌクレオチド部分の検出は、定量的蛍光読み取りによって行われる。本発明による定量的蛍光読み取りは、内部または外部標準のいずれかの使用を伴う。内部標準の使用による定量的蛍光読み取りは、本発明に関連して記載されている。あるいは、定量的蛍光読み取りが、外部較正曲線との比較の形態の外部標準の使用を伴うことも、同様に好ましい。
したがって、好ましい態様において、段階 (d) の定量的蛍光読み取りは、ハイブリダイズした検出分子-オリゴヌクレオチド部分の蛍光シグナルを、内部標準とまたは外部較正曲線の形態の外部標準と比較することを特徴とする。
好ましくは、外部較正曲線は、特に標的分子を蛍光標識検出分子とハイブリダイズさせることにより、関心対象の試料と同一の条件下で処理された、公知の濃度または公知の分子量の標的分子の希釈系列に由来する。
これに関連して、蛍光標識検出分子は好ましくは、蛍光標識されたペプチド核酸、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO)、およびugimerからなる群より選択される。
さらに、本発明による外部較正曲線は好ましくは、標的分子、および当モル濃度のその各々の蛍光標識検出分子を含む混合物の少なくとも3つ、好ましくは5つの異なる濃度の系列希釈物によって作成される。蛍光シグナルと外部較正曲線との比較による定量的蛍光読み取りは、例えば図9などの本発明の実施例により例証される。
これに関連して、蛍光標識検出分子は、一般的に関心対象のヌクレオチド配列と適合するように合成され、該ヌクレオチド配列を分子レベルで検出、解析、および/または可視化するために使用され得る。本発明の検出分子が、その標的分子とアニールするために必要な特異性を提供するのに適した長さを有することが、当業者には明白であろう。検出分子は、好ましくは少なくとも10ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも15のヌクレオチドから構成され、好ましくは蛍光標識の形態の少なくとも1つの蛍光部分を含む。
さらなる局面において、本発明は、キットに関し、該キットは、(i) 関心対象の等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドと相補的な少なくとも2種類の検出分子であって、検出分子のそれぞれが、少なくとも1つの蛍光部分で標識されており、かつ検出分子が、異なる表面電荷を特徴とする、検出分子;ならびに (ii)プロテイナーゼKおよびプロテイナーゼK消化緩衝液を好ましくは含有する、ハイブリダイゼーション混合物を含む。
キットの検出分子は好ましくは、ペプチド核酸 (PNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO)、およびugimerからなる群より選択される。より好ましくは、キットの検出分子はペプチド核酸の形態である。
本明細書で用いられる「ハイブリダイゼーション混合物」という用語は、一般的に、好ましくは提供される検出分子および/または任意の付加的な蛍光標識分子の懸濁を含む、生体試料の懸濁を可能にする、任意の種類の水溶液、緩衝液、または液体を指す。ハイブリダイゼーション混合物は、検出分子がそれら各々の標配列にハイブリダイズするのに適した水性条件を提供し、そのため任意の種類の塩、または例えばpH 7もしくは8などの特定pH値における緩衝系を含有し得る。
本発明のキットが、例えば緩衝液および/または特定の反応を停止させるための試薬などの、種々の標準的成分をさらに含み得ることは、当業者には明らかである。当業者は、例えば、検出システム、調べられる細胞および/または組織、検出すべきオリゴヌクレオチドの標的配列、蛍光標識等に依存する、一般的な意図される使用に、キットの成分を適合させることができるであろう。
好ましくは、本発明のキットは、少なくとも1つの蛍光部分でそれぞれ標識されている少なくとも2種類の検出分子を含み、該蛍光部分は同じアイデンティティーを有する。
したがって、好ましい態様において、キットの少なくとも2種類の検出分子は、好ましくはこれらに限定されないがAtto 425、Atto 520、およびAtto 610からなる群より選択される同じ蛍光部分でそれぞれ標識されている。同一の蛍光部分を使用することは、定量的蛍光読み取りをたった1つの波長で行うことができ、これが実験設定を容易にするだけでなく、定量的比較および蛍光読み取りの基礎の改善をも提供するという利点を有する。
しかしながら、少なくとも2種類の検出分子が、同じアイデンティティーの少なくとも2つの蛍光部分でそれぞれ標識されることも、同様に好ましい。少なくとも2種類の検出分子が、同じアイデンティティーの3つ以上の蛍光部分で、例えば同じアイデンティティーの少なくとも3つ、4つ、5つ、または6つの蛍光部分などでそれぞれ標識されることも、本発明に関連してさらに想定される。
あるいは、本発明のキットは、関心対象の等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドと相補的な少なくとも2種類の異なる検出分子を含み得、ここでの検出分子は、例えば、Atto 425およびAtto 610、Atto 425およびAtto 520、または代替的にAtto 520および610などの、異なるアイデンティティーの少なくとも1つの蛍光部分でそれぞれ標識されている。異なる蛍光標識のアイデンティティーの選択が個々の実験設定に依存することが、当業者によって理解されるべきである。
別の好ましい態様において、少なくとも2種類の検出分子は、異なるアイデンティティーの、少なくとも1つの蛍光部分で、より好ましくは少なくとも2つの蛍光部分でそれぞれ標識される。
種々の異なる標的オリゴヌクレオチドの多重検出が想定される場合には、キットがいくつかの異なる蛍光標識検出分子を含むことも、同様に好ましい。すなわち、好ましい態様において、キットは、等しい長さの少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10種類の異なるオリゴヌクレオチドの同時並行の定量的検出のための、3、4、5、6、7、8、9、または10種類の異なる検出分子を含み得る。キットが、実に11種類以上の異なる標的オリゴヌクレオチドの同時並行の定量的検出のための、実に11種類以上の異なる検出分子を含み得ることも、同様に好ましい。これに関連して、蛍光標識が最良の実験実践のために選択されること、すなわち蛍光標識は同一、もしくは異なる、またはその両方のいずれかであってよく、関心対象の異なる標的の特定の選択物の最適なクロマトグラフィー分解能および分離に適切であり得るどのようなものであってもよいことは、当業者には明白である。
別の好ましい態様において、キットは、少なくとも2種類の検出分子の結合部位に相補的な少なくとも1種類の蛍光標識分子をさらに含み、ここで、この結合部位は標的配列結合に関与しない。
すなわち、この好ましい態様に関連して、少なくとも2種類の検出分子は、少なくとも1種類の蛍光標識分子に対する少なくとも1つの付加的な結合部位を包含するように設計され、ここで、この結合部位は、関心対象のいかなる標的配列とも相補的でない。したがって、少なくとも2種類の検出分子は好ましくは、標的配列結合に関与しない結合部位を含有する。
さらにこの態様において、少なくとも2種類の検出分子は好ましくは、蛍光標識分子と同じ蛍光部分で標識される。
本明細書で用いられる「蛍光標識分子」という用語は、一般的に、特定のアッセイにおいて用いられる検出分子の特定の普遍的結合部位にアニールすることができる、中性表面電荷を有する任意の種類の分子を意味する。付加的な蛍光標識分子のアニーリングは、それぞれの検出分子によって生じる蛍光シグナルを増加させることを目的とする。これに関連して、蛍光標識分子は好ましくは、これらに限定されないが、ペプチド核酸、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO)、およびugimerからなる群より選択される。
1つまたは複数の付加的な蛍光標識分子を使用することで、本明細書において記載される方法の感度が顕著に増大し得る。1つまたは複数の付加的な蛍光標識分子の使用は、存在量の少ない関心対象のオリゴヌクレオチドを検出するのに特に適している。好ましくは、付加的な蛍光標識分子は、関心対象の特定のオリゴヌクレオチド標的配列の結合に関与しない、各検出分子の好ましくは各ペプチド核酸の特定の結合部位で、結合が起こるように設計される。この結合部位は、相補的な付加的な蛍光標識分子のアニーリングおよび/またはハイブリダイゼーションを可能にする方法で設計された、ひと続きのヌクレオチドの形態であってよい。本発明に関連して、結合部位は、約10〜20ヌクレオチドまたはそれ以上から構成され得、関心対象のオリゴヌクレオチド分子との相補的塩基対形成を確立するのに適していると見なされる任意の配列を示し得る。結合部位は好ましくは、検出すべきオリゴヌクレオチドの配列を参照しない。パリンドローム配列などのユニバーサルプライマー結合部位の配列は、当業者に周知であり、例えばNCBI遺伝子バンク (国立バイオテクノロジー情報センター、メリーランド、USA) を含む公開データベースから入手することができる。
原理的に、本明細書において定義される検出分子の使用によって生じる蛍光読み取りの感度を増大させるためのそのような蛍光標識分子の使用もまた適用可能であり、本発明の方法に関連して想定される。そのため、好ましい態様において、本発明の方法は、蛍光標識分子を生体試料またはハイブリダイゼーション混合物に添加する段階をさらに含み、ここで、蛍光標識分子は、少なくとも2種類の検出分子の結合部位と相補的であり、該結合部位は標的結合に関与しない。この態様において、少なくとも2種類の検出分子は好ましくは、蛍光標識分子と同じ蛍光部分で標識される。
さらなる局面において、本発明は、等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するための、本発明に関連して定義される少なくとも2種類の検出分子の使用に関し、検出は好ましくは、本明細書において記載される態様のいずれかにより定義された通りに行われる。
等しい長さの少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するための、本発明に関連して定義される少なくとも2種類の検出分子の使用は、例えば、次に特定の疾患を診断するためのバイオマーカーとなり得る1つまたは複数の特定の標的配列の増加または減少に伴って進行する特定の疾患の診断などの、診断目的の状況において特に適している。
そのため、好ましい態様において、本明細書において定義される少なくとも2種類の異なる検出分子の使用は、診断目的のため、具体的には疾患を診断するため、より具体的には例えば急性腎損傷などの腎疾患を診断するためのものである。
診断目的、具体的には急性腎損傷のバイオマーカーとしての特定の標的配列の定量的検出の状況における、関心対象の少なくとも2種類のオリゴヌクレオチド標的配列を定量的に検出するための少なくとも2種類の異なるオリゴヌクレオチドの使用は、例えば図13において例証される。
以下の図面および実施例は、本発明の様々な態様を例示することを意図するものである。したがって、その中で考察される特定の改変は、本発明の範囲の限定として理解されるべきではない。様々な均等物、変更、および改変を本発明の範囲から逸脱することなくなし得ることが、当業者には明らかであり、したがってそのような均等な態様が本明細書中に含まれることが理解されるべきである。
図1A. ペプチド核酸骨格上のリジンによるγ修飾の図示。図1B. マレイミド環構造によりシステインに連結された蛍光色素Atto425の図示。図1C. NHS-エステルにより連結された蛍光色素Atto425およびO-リンカーの化学構造の図示。 ペプチド核酸の表面電荷による保持時間への影響。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、9分間での5〜55 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8。 3種類の二重鎖、miR16-正γ、miR16-中性、およびmiR16-負に由来するクロマトグラムの比較。ハイブリダイゼーション温度はそれぞれ、95℃まで加熱した後の0℃および室温 (RT)。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、9分間での5〜55 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8。 0時間、5.5時間、および11時間のインキュベーション時間後のmiR16-正γのクロマトグラムの比較。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での5〜55 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および尿素なしでの25℃におけるハイブリダイゼーション。 miR16-正γ、miR16-中性、およびmiR16-負を用いた、4.5 M尿素ありおよびなしでのハイブリダイゼーション設定の比較。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8。 miR-16負を用いた、異なるカラム温度におけるクロマトグラフィープロファイルの比較。クロマトグラフィーは、それぞれ30℃、40℃、50℃、55℃、および60℃のカラム温度で行った。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、DNAPac(登録商標)-100-カラム、9分間での5〜55 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および40℃におけるハイブリダイゼーション。 miR-16-正γ、miR16-中性、およびmiR16-負のクロマトグラム。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および25℃におけるハイブリダイゼーション。 miR-16-正γ、miR16-中性、およびmiR16-負を含む1:1:1較正試料混合物のクロマトグラム。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および4.5 M尿素の存在下での25℃におけるハイブリダイゼーション。 miR-16-正γの較正曲線。図9Aにおけるクロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および4.5 M尿素の存在下での25℃におけるハイブリダイゼーション。 miR-16-中性の較正曲線。図9Bにおけるクロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および4.5 M尿素の存在下での25℃におけるハイブリダイゼーション。 miR-16-負の較正曲線。図9Cにおけるクロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム1、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および4.5 M尿素の存在下での25℃におけるハイブリダイゼーション。 3回の独立した測定に由来するmiR-16-中性、miR210-中性、およびmiR320-中性のクロマトグラム。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム2、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および4.5 M尿素の存在下での25℃におけるハイブリダイゼーション。 miR320-中性、miR16 - 4x負、およびmiR210 - 8x負のクロマトグラム。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム2、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および4.5 M尿素の存在下での25℃におけるハイブリダイゼーション。 HPLCによる1回の実験におけるmiR320-中性、miR16 - 4x負、およびmiR210 - 8x負の分離。クロマトグラフィー実験設定:HPLCシステム2、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での15〜66 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および4.5 M尿素の存在下での25℃におけるハイブリダイゼーション。 対照群の対象CTL8の血漿および急性腎損傷を有する対象AKT154の血漿に由来するHPLCクロマトグラムの比較。クロマトグラフィー実験設定:中程度16×の検出感度レベルを有するHPLCシステム2、カラム温度50℃のDNAPac(登録商標)-100-カラム、7分間での20〜60 %緩衝液Bの勾配を伴う緩衝液pH 8、および80℃におけるハイブリダイゼーション。
マイクロRNA (miRNA) は、約22ヌクレオチドを含有する短い一本鎖非コードRNAである。これは調節機能を有して、発生、分化、増殖、およびアポトーシスにおける多くの生物学的過程に多大な影響を及ぼす。これは、多くの疾患の診断および処置において高い潜在能力を示す。本研究では、3種類の異なるmiRNA、すなわち急性腎損傷 (AKI) に関与するmiR16、miR210、およびmiR320の間の比率を評価した。Roehlら (WO 2010/043512 A1 ) によって開発されたアッセイを改良して、生体マトリックスから3種類のmiRNAを同時検出できるようにした。抽出、精製、および増幅段階を伴わない試料調製を使用した。試料調製は、プロテイナーゼKによる最初の細胞溶解に基づく。AEX-HPLCによる測定のため、試料を相補的ペプチド核酸 (PNA) とハイブリダイズさせた。PNAは、負に荷電しているその糖リン酸骨格が、電気的中性のN-(2-アミノエチル)グリシン骨格によって置換された修飾DNA鎖である。1回のAEX-HPLC測定でmiRNAが分離できるように、PNAを負電荷または正電荷で修飾した。PNAとmiRNAのハイブリダイゼーション後に、AEX-HPLC技法および蛍光検出による、ヒト血漿中の3種類のmiRNAの同時定量的検出を行う。結果から、miR210とmiR320の比率がAKIの症例において変化するため、miR210およびmiR320が急性腎損傷のバイオマーカーとして使用され得ることが示された。結果として、これらのmiRNAは、急性腎損傷の診断におけるバイオマーカーとして使用することができた。
2011年に、Roehlらは、オリゴヌクレオチドを検出するための簡易化方法を開発した。この方法により、抽出、増幅、または精製段階を伴わない、簡易化されかつ迅速な試料調製を用いる、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による単一代謝物の分離が可能となった。このアッセイでは、生体試料中のオリゴヌクレオチドの分解を回避するために、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム含有緩衝液)の存在下でプロテイナーゼK消化を行った。AEX(陰イオン交換クロマトグラフィー)HPLCカラムを妨害するSDSは、飽和塩化カリウム溶液の存在下で沈殿させる。その後、関心対象のオリゴヌクレオチドと相補的蛍光標識PNAとのハイブリダイゼーションを行った。形成された二重鎖を、ARX-HPLCおよび蛍光検出によって検出する。
現在、HPLCによる類似の長さの異なるオリゴヌクレオチドの同時並行検出は、様々な蛍光色素を有するペプチド核酸分子を用いてのみ可能である。これらは異なる応答係数(検出感度)を示すため、よってその試料中のモル比を解析するためにピーク面積の直接比較に依存することは不可能である。例えば鎖の末端または配列内のいずれかにおける表面電荷の導入などの、PNAの修飾は、この問題を解決し、かつ1種類のみの蛍光色素を用いることによりいくつかの成分を同時並行して検出する可能性を提供する。
1. PNAの設計
ペプチド核酸 (PNA) は、いくつかの技法により修飾することができる。一方では、鎖が例えばリジンまたはグルタミン酸などのアミノ酸で修飾されるという点で、表面電荷を配列の両端にそれぞれ導入することができる。これらのアミノ酸は、特定のpH値において荷電された側鎖を有する。他方では、例えばリジンによるγ修飾により、配列内に正電荷を生じさせることができる(図1Aを参照されたい)。
高感度蛍光検出器の使用が可能となるように、ペプチド核酸 (PNA) を、配列の両端において例えばAtto425などの蛍光色素で修飾する。このためにチオール反応性Atto425を使用することができ、これはマレイミド化学を用いて、かつチオール基を介して、末端システインに、そして配列の残りの部分に連結される(図1Bを参照されたい)。
あるいは、アミノ反応性Atto425を使用することもできる。ここで、蛍光色素は、NHSエステル化学(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を用いることにより、リジンのアミノ基を介してまたはOリンカーを介して、鎖の残りの部分と連結される(図1Cを参照されたい)。
ペプチド核酸は、ワトソン・クリック塩基対により、高い特異性および選択性を有する相補的なDNAまたはRNAと二重鎖を形成する。それによって形成されたPNA-DNAおよびPNA-RNAハイブリッドは高い安定性を示すが、それは、PNAの中性骨格に起因してPNAとDNA/RNAとの間の静電反発力が回避されるためである (Egholm et al. (1993) Nature, 365: 566-568)。さらに、ペプチド核酸は、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ、およびペプチダーゼなどの酵素に対しても高い安定性を示す (Demidov et al. (1994) Biochemical Pharmacology, 48: 1310-1313)。
2. 研究の目的
研究の目的は、Roehlら (WO 2010/043512) の既存の方法をさらに発展させることであった。目標は、1種類のみの蛍光色素を使用する状況において、異なって荷電されたPNAにより、例えばmiR16、miR210、およびmiR320などの最大3種類までのmiRNAを同時検出することであった。初めに、生体マトリックスを含まない緩衝液からの、miR16と異なって修飾されたPNAとの間で形成された二重鎖の検出を行った。この点において、中性荷電PNA、負荷電PNA、および正荷電γ修飾PNAを使用した。
さらに、1回のみのHPLC流動において、保持時間の顕著な移行を伴って全3種類の二重鎖の同時並行検出を可能にするHPLC法が確立されるべきであった。その後、新たに確立されたこの方法を使用する、ヒト血漿などの生体マトリックス由来のmiRNAの検出が想定され、それと同時にその検出をmiR210およびmiR320にまで拡張した。
3. 材料および方法
3.1 光学濃度の測定
最近隣法 (Tataurov et al. (2008) Biophysical Chemistry, 133:60-70) により、miR16、miR210、およびmiR320の吸光係数を決定し、式1に従ってそれぞれの濃度を計算した。
式1:吸光係数ε0と共に光学濃度 (OD) を用いた、μMでのmiR16、miR210、およびmiR320の濃度の計算
Figure 0006857622
この点において、元の濃度のmiRNA溶液を、それぞれおよそ3 μmの最終濃度になるようにMilli-Q水で希釈した。ODは、Eppendorf BioPhotometer plusを用いて3回測定した。このために、200 μlの3 μM溶液を使用した。3つの独立した測定値から平均値を計算し、式1を用いて濃度を決定した。次いで、希釈係数により保存溶液の濃度が決定され得る。
3.2 HPLC測定のための試料調製
試料調製は、miRNAと相補的PNAとのハイブリダイゼーションに基づいた。miR16の解析に関して、最初に、生体マトリックスを含まないハイブリダイゼーション緩衝液を作製した。その後、ヒト血漿を用いてハイブリダイゼーションを行い、次いでまた、2種類のさらなるmiRNAのmiR210およびmiR320を用いてハイブリダイゼーションを行った。
3.2.1 材料および試薬
試料調製に使用した材料および試薬を表1および表2に列挙する。
(表1)ハイブリダイゼーションに使用した材料
Figure 0006857622
(表2)ハイブリダイゼーションに使用した試薬
Figure 0006857622
3.2.2 0.1 μM miRNA溶液および1 μM PNA溶液の調製
式1に従って計算された濃度を有するmiRNA保存溶液から、最初に1 μM溶液を調製し、その後これを1:10に希釈した。10容量%アセトニトリル (ACN) および0.01容量% Tween 20を含む溶液を希釈剤として使用した。続いて、Panagene (South Korea) から入手した凍結乾燥PNA(表3を参照されたい)のそれぞれから、10容量% ACN および0.01容量% Tween 20を含む溶液を添加することにより、25 μM保存溶液を調製した。この保存溶液を、ハイブリダイゼーション用に同じ希釈剤で1:25に希釈した。
(表3)それぞれの配列を有する修飾PNA鎖。C = システイン、O = Oリンカー、E = グルタミン酸、K = リジン、Atto425 = 蛍光色素、t = チミン、a = アデニン、g = グアニン、c = シトシン、 = リジン-γ-修飾。
Figure 0006857622
3.2.3 生体マトリックスなしでの溶解物調製
初めに、生体マトリックスを含まないハイブリダイゼーション設定を選択した。ハイブリダイゼーション緩衝液の組成は、SDS沈澱済みのプロテイナーゼK−細胞および組織のための溶解緩衝液に依存する。10 mlの溶解緩衝液には、33 μlのプロテイナーゼKならびに9967 μlの組織および細胞溶解溶液を必要とする。次いで、thermo-mixerを使用して、ハイブリダイゼーション緩衝液を65℃および350 rpmで30分間加熱した。その後、溶液を氷上で冷却した。ハイブリダイゼーション混合物の一部としてのSDSは陰イオン交換カラムを不可逆的に損傷するため、これを1000 μlの3M KCl溶液で沈殿させ、次いで沈殿物を5℃および4000 rpmで15分間遠心分離した。ハイブリダイゼーションにおけるさらなる使用のために、上清を氷上で分離し、SDSペレットを廃棄した。
3.2.4 ヒト血漿などの生体マトリックスありでの溶解物調製
続いて、前記方法をヒト血漿由来のmiRNAの検出にまで拡張した。Na-ヘパリンにより抗凝固処理されたヒト血漿は、企業Dunn Labortechnik GmbHから購入した。生体マトリックスがアッセイにおいて使用され得る前に、存在するすべてのヌクレアーゼ(RNase Aなど)は、組織および細胞溶解溶液中でプロテイナーゼKによる処理によって消化される必要がある。このために、血漿3 mlを、細胞および組織溶解緩衝液2.9 mlと、プロテイナーゼK 33 μl、および水4.1 mlからなる溶解緩衝液7 mlにより、65℃にて30分間消化した。その後、SDSを項目3.2.3において記載されたように沈殿させ、遠心分離し、ペレットを廃棄した。
3.2.5 ハイブリダイゼーション
表4に提供されるスキームに従って、ハイブリダイゼーション混合物を設定した。
(表4)200 μl用のハイブリダイゼーション設定
Figure 0006857622
様々な条件下でハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション混合物を95℃まで5分間にわたり短時間加熱した後、PNAとmiR16との間の二重鎖を氷上で形成させた。25℃でのハイブリダイゼーションは、室温においていかなる加熱段階も冷却段階も伴わずに行った。最初は、尿素の非存在下でハイブリダイゼーションを行った。加えて、尿素がハイブリダイゼーション段階に及ぼす効果を試験した。ここで、尿素は、ハイブリダイゼーション混合物中2 Mおよび4.5 Mの濃度で使用した。
3.2.6 単一測定のためおよび同時並行の検出のための較正試料の作製
較正線については、0.1 μmのmiR16溶液(3.2.2を参照されたい)を使用した。この溶液を、6回の後続する検出段階において1:5に希釈した。10容量% ACNおよび0.01容量% Tween 20を含む溶液を希釈剤として使用した。ハイブリダイゼーションの段階は、項目3.2.5と同様に行った。ここで、異なって修飾されたPNA(表3を参照されたい)を、ハイブリダイゼーション緩衝液中のヒト血漿と混合した。単一希釈段階により、100 μl注入当たり0.16〜500 fmol という一連の濃度のmiRNAが得られた。この方法により、1回のHPLC実験設定において同時並行検出が可能となるべきであるため、ハイブリダイゼーション溶液を1:1:1の比率で混合した。
3.2.7 miR16-中性、miR210-中性、およびmiR320-中性などの二重鎖についての単一測定のためおよび同時並行の検出のための試料作製
miRNAとそれぞれの相補的PNAのハイブリダイゼーションは、段落3.2.5に記載された通りに行った。最初に、修飾を伴わず、かついずれの電荷も伴わない相補的PNAを選択した。このために、3.2.2に記載された通りの1 μM PNA溶液および0.1 μM miRNA溶液を使用した。同時並行の検出のため、全3つの試料を、ハイブリダイゼーション後に1:1:1の比率で混合した。
3.2.8 miR320-中性、miR16-4-x-負、およびmiR210-8-x-負などの二重鎖についての単一測定のためおよび同時並行の検出のための試料作製
より良いクロマトグラフィー分離を得るために、負電荷によって修飾されたPNAをハイブリダイゼーションの次の段階に使用した。ここで、miR16と相補的なPNAは4つの負電荷を含有し、miR210と相補的なPNAは8つの負電荷を含有した。両PNAは、企業Panagene, South Koreaによって合成された(表5を参照されたい)。
(表5)対応する配列を有する修飾PNA鎖。C = システイン、O = Oリンカー、E = グルタミン酸、K = リジン、Atto425 = 蛍光色素、t = チミン、a = アデニン、g = グアニン、c = シトシン。
Figure 0006857622
ハイブリダイゼーションについては、段落3.2.2に記載されたように、1 μM PNA溶液および0.1 μM miRNA溶液を使用した。miRNAのそれぞれについて、3.2.5に記載された通りにハイブリダイゼーションを行った。同時並行検出のために、全3つのハイブリダイゼーション混合物を1:1:1の比率で混合した。
3.3 HPLC法の確立
3.3.1 緩衝液調製
緩衝液を調製するために使用した材料および試薬を表6および表7に示す。
(表6)緩衝液調製に使用した材料
Figure 0006857622
(表7)緩衝液調製に使用した試薬
Figure 0006857622
5 M 過塩素酸ナトリウム保存溶液の調製:5 M Na ClO4(過塩素酸ナトリウム)溶液のために、モル質量1240.46 g/molを有するNaClO4 x H2Oを合計702.30 g秤量し、1リットルの水に溶解した。その後この溶液を、孔径0.2 μmを有するフィルターを通して濾過した。
0.1 M ピロリン酸ナトリウム保存溶液の調製:0.1 M Na4P2O7(ピロリン酸ナトリウム)溶液のために、モル質量446.06 g/molを有するNa4P2O7 x 10 H2Oを合計22..3 g秤量し、500 ml H2Oに溶解した。
HPLC緩衝液1 (pH 7)
緩衝液A:30容量% ACN、100 mM NaCl、10 mM Tris-HCl pH7
緩衝液B:30容量% ACN、900 mM NaCl、10 mM Tris-HCl pH7
緩衝液C:10容量% ACN、4 M NaClO4
HPLC緩衝液2 (pH 8)
緩衝液A:30容量% ACN、100 mM NaCl、10 mM Tris-HCl pH8
緩衝液B:30容量% ACN、900 mM NaCl、10 mM Tris-HCl pH8
緩衝液C:10容量% ACN、4 M NaClO4
3.3.2 HPLCシステム
HPLCシステム1
前記方法を確立する状況におけるHPLC解析については、デガッサー、オートサンプラー、カラムオーブン、およびポンプシステムを包含するHPLC Dionex Ultimate 3000を使用した。検出は、Dionexから入手したRF蛍光検出器を用いて、励起波長436 nmおよび発光波長484 nmならびに初期設定検出感度 中程度4×で行った。
HPLCシステム2
さらなる解析については、企業Shimadzuから購入した、より感度の高い蛍光検出器RF-20 A xsと共にHPLCシステムDionex Ultimate 3000を使用し、励起波長436 nmおよび発光波長484 nmならびに初期設定感度 中程度16×で行った。
3.3.3 HPLC法の確立の状況における試験したパラメータの概要
この方法を確立するために、長さ250 mmおよび直径4 mmのDNAPac(登録商標)100 Columnを使用した。カラム温度は30℃〜60℃の間で異なった。加えて、緩衝系(3.3.1を参照されたい)および勾配を調整した。注入容量は100 μlであり、測定は流速1 ml/分で行った。
3.4 miRNAの融解温度Tmの決定
融解温度Tmは融解曲線の屈曲点における温度と定義され、その点で物質は50%が一本鎖として存在する。miRNAに関する融解温度の解析は、Beckman Counter DU800 UV/Vis分光光度計を用いて260 nmにおけるUV吸収を測定することによって行った。各miRNAについて、リン酸緩衝食塩溶液 (PBS) 中の1 μM溶液を調製した。試料を350 μlマイクロキュベットに移し、キュベットホルダー中で20℃にて3分間平衡化してから、0.5℃/分で80℃まで加熱した。80℃の温度で、試料を5分間平衡化し、続いて0.5℃/分で20℃まで冷却した。20℃〜80℃の範囲の温度において1℃間隔で、UV吸収を測定した。融解温度は一次微分の最大値に基づいて決定され、これは分子の50%が一本鎖であり、50 %が構造化している温度である。
3.5 ヒト血漿由来のmiR16、miR210、およびmiR320の検出
Hanover Medical SchoolのProf. Thumのグループによって提供された、全部で10件の血漿試料を解析した。これらの血漿試料のうちの5件は対照群の対象に由来し、別の5件の血漿試料は、急性腎損傷と診断された対象に由来した。チャプター3.2.4に記載された通りに血漿を溶解緩衝液で処理し、SDSを塩化カリウム溶液の存在下で沈殿させた。続いて、表8のスキームにおいて概説される通りに、試料を80℃でハイブリダイズさせた。
(表8)ヒト血漿由来のmirR16、miR210、およびmiR320を検出するためのハイブリダイゼーション混合物
Figure 0006857622
表5のPNAをハイブリダイゼーションに使用した。HPLC測定については、中程度16×の検出器感度を備えたHPLCシステム2を選択し(3.3.2を参照されたい)、勾配は7分間での緩衝液Bの20〜60%に調整した。
4. 結果
4.1 miRNAの濃度
最近隣法(Nearest-Neighbor Method)に従って決定されたmiR16、miR210、およびmiR320の吸光係数を、表9に要約する。
(表9)標的分子miR16、miR210、およびmiR320の特徴。U = ウラシル、A = アデニン、G = グアニン、C = シトシン、p = 5'リン酸。
Figure 0006857622
miRNAの正確な濃度を決定するため、それら各々の光学濃度をチャプター3.1に記載された通りに測定した。測定により合計3つの単一値が得られ、そこから平均値を計算した。光学濃度の平均値およびそれぞれの理論的吸光係数に基づき、式1に従って濃度を計算した(3.1を参照されたい)。
4.2 ハイブリダイゼーションの条件の最適化
4.2.1 クロマトグラフィー分離に及ぼすPNA電荷の影響
類似の長さのmiRNA鎖を検出するために中性PNAを使用した場合、二重鎖の高品質のグラフィー分離を達成することはできない。HPLCによる分離に関してPNAに及ぼす付加的な正荷電および負電荷の影響を評価するため、以下のPNAをmiR16の検出に使用した:中性、負、および正γ(表3を参照されたい)。
3.2.5において記載される通り、これらのPNAをすべてmiR16と別々にハイブリダイズさせた。このハイブリダイゼーションの段階は、95℃までの5分間にわたる溶液の短時間の加熱を含み、その後PNAとmiR16との間の二重鎖を氷上で形成させる。続いて、試料をHPLCに注入し、9分間での緩衝液Bの5〜55%の勾配で、確立された条件(4.3.4を参照されたい)においてクロマトグラフィーを行った。
図2に示される通り、PNAの異なる表面電荷を使用することにより、miR16とそれぞれの相補的PNAとの間のこれら3種類の二重鎖のクロマトグラフィー分離が可能となった。さらに、主ピークの面積中に付加的なピークが観察されたが、これは連結されたAtto蛍光色素中に存在するマレイミド環の加水分解によって誘起されたものであり、この加水分解が二重鎖中に付加的な負電荷をもたらし、次にはこれもまた保持時間に影響を及ぼした。
半ピークの形成は、クロマトグラフィー解析の低下および感度の減少をもたらした。総ピーク面積は類似しているもののピーク高が減少するため、シグナル・ノイズ比はより小さくなる。
マレイミド環構造の加水分解は、高すぎるハイブリダイゼーション温度に起因し得るか、またはハイブリダイゼーション緩衝液の組成の結果であり得る。これらの影響をさらに評価するために、ハイブリダイゼーション緩衝液の組成およびハイブリダイゼーション緩衝液の一部としての尿素の影響を解析した。miRNAは尿素の存在下でより低い融解温度を有するため、ハイブリダイゼーションの段階はより低い温度で行うことも可能である。
4.2.2 HPLCクロマトグラムに及ぼすハイブリダイゼーション条件の影響
クロマトグラムに及ぼすハイブリダイゼーション条件の影響を評価するため、miR16を、それぞれ、混合物を95℃まで加熱した後に氷上で、および25℃で、異なって荷電されたPNAとハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションの条件は3.2.5に記載され、クロマトグラフィーの条件は4.3.4に記載される。
ハイブリダイゼーション温度を低下させると、加水分解産物の量が顕著に少なくなった。したがって、ピークの分割は顕著に最小限に抑えられ、次にはこれがシグナル強度の増加をもたらし、およびひいてはシグナル・サウンド比の改善をもたらした(図3を参照されたい)。
表10に、より低いハイブリダイゼーション温度の効果をもう一度要約する。ハイブリダイゼーション温度を低下させることにより、マレイミド環の加水分解およびひいてはクロマトグラム内のショルダーピークの発生が、最大限に可能な程度まで回避された。この効果はより短い保持時間によって確認され、保持時間は、マレイミド環が95℃で加水分解される場合には、付加的な負電荷に起因してより長くなる。主ピーク面積の場合には、主ピーク面積およびショルダーピークの面積から構成される総ピーク面積と比較して、ショルダーピークは統合されない。
(表10)miR16-中性、miR16-負、およびmiR16-正γのHPLCクロマトグラムに及ぼすハイブリダイゼーション条件の影響。w0.5 = 半分の高さでのピーク幅。
Figure 0006857622
解析不可能
より低いハイブリダイゼーション温度において、miR16-負ではおよそ2倍の主ピーク面積が観察され、miR16-正γでは2.5倍の増加が観察され、およびmiR16-中性の場合には、主ピーク面積の実に3倍の増加が観察された。主ピーク面積の顕著な増加に加えて、ピーク高のさらなる増加もまた観察された。表10のデータから、miR16と負のPNAとの間の二重鎖の場合に、ピーク高は実に2倍になったことがわかる。95℃の加熱段階を使用するハイブリダイゼーションと比較して、miR16-中性ではピーク高の4倍の増加、およびmiR16-正γでは3倍の増加に達した。
4.2.3 尿素の存在下でのハイブリダイゼーション
オートサンプラー内で試料のインキュベーション時間がより長い場合に、マレイミド環構造の加水分解が増加することが観察された。したがって、ハイブリダイゼーションの段階中に2 Mおよび4.5 Mの濃度の尿素を添加することを試験した。比較として、チャプター3.2.5に従った尿素の非存在下でのさらなるハイブリダイゼーションもそのために行った。続いてハイブリダイゼーション混合物を、0時間、5.5時間、および11時間後に、確立されたHPLC条件(4.3.4を参照されたい)下でHPLCシステム1(3.3.2を参照されたい)により測定した。これらの測定中の試料のいかなる加水分解も回避するために、オートサンプラーを4℃まで冷却した。
尿素を含まないmiR16-PNA試料の場合には、インキュベーション時間の増加と共に、マレイミド環構造の加水分解の顕著な増加を観察することができた。図4からわかる通り、加水分解産物の形態の、主ピークの前後に見える2つのショルダーピークが観察され得た。主ピークの前に位置するショルダーピークは、miR16の5'末端のリン酸の分離に起因し得る。他方のピークは、マレイミド環の開環である。インキュベーション時間が増すにつれて、これらのショルダーピークはそれぞれ増加し、これは次には主ピーク面積の減少を引き起こす。
図5からわかる通り、これらの副反応はいずれも、尿素の存在下でかなりの程度まで回避され得た。尿素の非存在下と4.5 M尿素の存在下でのハイブリダイゼーションの直接比較により、尿素の存在下におけるシグナル強度の顕著な増加が示された。
表11に示される値から、どの程度まで加水分解反応が尿素の添加により回避され得るかが明らかになる。miR16-中性の場合、ハイブリダイゼーション混合物に4.5 M尿素を添加することで、主ピーク面積は1.1倍増加し、他の二重鎖、miR16負およびmiR16-正γの場合には、増加は1.2倍である。3つの事例すべてにおいて、ピーク高に関して値の1.2倍の増加が観察され得た。したがって、尿素を使用することにより、加水分解を顕著に減少させることができた。
(表11)4.5 M 尿素の存在下でのハイブリダイゼーションと比較した尿素なしでのハイブリダイゼーションの結果。w0,5 = 半分の高さでのピーク幅。
Figure 0006857622
4.2.4 最適化されたハイブリダイゼーションパラメータの概要
miR16と異なって荷電されたPNAとの間の二重鎖の場合に、マレイミド環の加水分解は、ハイブリダイゼーション温度を25℃まで下げることにより、および4.5 Mの尿素を添加することにより完全に阻害することはできないが、かなりの程度まで減少させることができることが、ハイブリダイゼーション実験によって示された。
4.3 HPLC法の最適化
4.3.1 カラム温度の最適化
クロマトグラフィー分解能に及ぼすカラム温度の影響を評価するため、異なる温度を試験した。このために、段落3.2.5に記載された通りに試料をハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーションは40℃で行った。続いて、段落4.3.4に記載されるHPLCパラメータに従って、試料を30℃、40℃、50℃、55℃、および60℃の温度で測定した。
図6は、例としてmiR16-負を用いて、ピーク面積およびピーク高のカラム温度への依存性を示す。カラム温度の上昇により、マレイミド環の部分的加水分解が生じ、それによってPNA上に付加的な負電荷が形成された。これらの影響は、50℃超の温度で観察され得た。しかしながら、カラム温度を30℃から50℃まで上昇させると、主ピーク面積およびピーク高が連続して増加した。この実験の状況において、保持時間とカラム温度の直接的な釣り合いが観察され得た。したがって、カラム温度の上昇によって、保持時間はより長くなる。
表12に示されるデータから、カラム温度の上昇に起因する保持時間の増加の影響が示される。カラム温度を30℃から60℃まで上昇させると、保持時間は8.89分から9.75分まで増加した。最適なカラム温度は50℃であると示されたが、それはこの温度において、13.6 mV*分という最大の主ピーク面積および104.9 mVという最大のピーク高が達成され得たためである。
(表12)miR16-負の保持時間に及ぼすカラム温度の影響。w0.5 = 半分の高さでのピーク幅。
Figure 0006857622
4.3.2 pH値の最適化
pHはPNA試料のイオン化のレベル、およびそれによってPNA試料の保持時間に影響を及ぼすため、pH値の最適化が、これら3種類の二重鎖の最適な分離を目指すための次の段階であった。このために、pH 7およびpH 8を有するHPLCカラム緩衝液を試験した。pH 7およびpH 8を有するそれぞれの緩衝液は、段落3.3.1に記載される通りに作製した。続いて、試料を3.2.5に従ってハイブリダイズさせ、最適化HPLC条件(4.3.4を参照されたい)下においてこれらのpH値で測定した。これらの実験から、7から8へのpH値の上昇により保持時間が長くなるがことが示された。pH値を上昇させることによって、マレイミド環の加水分解の回避によるピーク分割の全体的な改善、およびそれによるより良いシグナル強度が達成され得た。pH値を7から8に上昇させることにより、シグナル強度もまた改善された。シグナル強度は、miR16-中性の場合には87.3 mVから103.9 mVに、miR16-負の場合は86.3 mVから94.7 mVに、およびmiR16-正γの場合には76.3 mvから97.8 mVに増加した。それと同時に、主ピーク面積の増加を観察することができた(表13を参照されたい)。miR16-中性の場合、主ピーク面積は12.8 mV*分から13.4 mV*分に増加した。miR16-負の場合には、主ピーク面積は9.9 mV*分から11.8 mV*分に増加し、およびmiR16-正γの場合には、主ピーク面積は11.6 mV*分から12.3 mV*分に増加した。
(表13)miR16-中性、miR16-負、およびmiR16-正γの保持時間に及ぼすpH値の影響。w0.5 = 半分の高さでのピーク幅。
Figure 0006857622
4.3.3 勾配の最適化
pH値を最適化した後、それに従って勾配を調整することを目的とした。一般に、平坦な勾配はより良い分解能をもたらす。しかしながら、より高いシグナル強度はより急な勾配で達成される。勾配最適化の結果を表14に示す。初めに、9分間での緩衝液Bの5〜55 %の傾斜で勾配を実行した。この結果、3つの二重鎖の保持時間は7.25分〜9.47分の範囲であった。その後、勾配の傾斜を1分当たり5.6 %から7.3 %まで増加させた。緩衝液Bの初期塩濃度を5 %から15 %に増加させることにより、流動の総時間が17分から15分に最小化され得た。それぞれの保持時間は4.84分〜6.47分の範囲であった。
(表14)miR16-中性、miR16-負、およびmiR16-正γの保持時間に及ぼす異なる勾配の影響
Figure 0006857622
4.3.4 最適化HPLC条件の概要
図7は、miR16-RNAと異なって荷電されたそれぞれの3種類のPNAとの間の3種類の二重鎖の分離のクロマトグラムを示す。ボイド容量中に、増加したPNA過剰のシグナルが示され、これは二重鎖が完全に形成されたことを保証するのに必要である。これら3種類の二重鎖は、4分〜7.5分の範囲に溶出した。HPLCランニング緩衝液はpH 8を有し、勾配は7分間での緩衝液Bの15〜66 %の傾斜を有した。勾配のこの傾斜はまた、必要とされる分解能を示した。
4.4 HPLC法の較正
ハイブリダイゼーション条件およびHPLC条件を最適化した後、確立された方法の較正を行った。このために、カラムにおいて0.16〜500 fmolの範囲のmiRNAの較正を可能にする系列希釈を行った(3.2.5を参照されたい)。続いて、試料を25℃でハイブリダイズさせた。目的は同時並行検出を可能にすることであったため、ハイブリダイゼーション段階後に作製された、それぞれの系列希釈段階の等モル混合物を、確立されたHPLC条件(4.3.4を参照されたい)下で測定した。図8は、それぞれの系列希釈物の測定によって得られたクロマトグラムを示す。この図は、それぞれの系列希釈濃度の1:1:1混合物のクロマトグラムを示し、ここでは0.053〜166.7 fmolが注入された。0.267 fmolのmiR16を注入した場合、miR16-正γのシグナル・ノイズ比 (S/N) は2.2である。同様の濃度のmiR16-中性およびmiR16-負の場合、シグナル・ノイズ比はそれぞれ9.4および11.5である。結果として、miR16-正γの場合、検出限界 (LOD) はおよそ0.267 fmolであり、その他の二重鎖の双方についても同じ同一量が既に検出限界 (LOD) と規定され得た。0.053 fmolという較正のための最少量は、この量が検出限界未満であったために、解析され得なかった。
それぞれの較正線を図9に示す。miR16-正γの場合(図9 A)、傾斜は0.1015[(mV*分)/fmol]であり、相関の係数R2は0.9993である。ここで、相関係数が理想値1とほぼ同じであることから、高精度が達成された。
miR16-中性の較正線を図9Bに示す。ここで、傾斜は0.1254[(mV*分)/fmol]であり、相関係数R2は0.9966である。既に図8において示されたように、miR16-中性の最終較正点からの逸脱が明らかに見られ得る。相関係数は0.9966であり、したがってmiR16-正γと比較すると低い。
図9CはmiR16-負の較正線を示す。ここで、傾斜は0.0889[(mV*分)/fmol]である。R2 = 0.9999であり、この場合には既に理想的な相関係数が達成された。
4.5 miR16-中性、miR210-中性、およびmiR320-中性の同時並行検出
マレイミド化学による蛍光色素の連結は、調節が難しい加水分解と共に進行し、加水分解の完全な抑制を達成することができなかったため、蛍光色素をNHS化学によってより安定した方法でPNAに連結するように、別のPNA設計を選択した。
次の段階では、miR16、miR210、およびmiR320が、1回のHPLCカラム流動において検出されるべきである。このために、チャプター3.2.7に従って、試料を最初にそれらの相補的中性PNAと25℃でハイブリダイズさせ、続いてこれら3種類のmiRNAの1:1:1混合物を作製した。次いでこれらの試料を、確立されたHPLC条件(4.3.4を参照されたい)下でHPLCシステム2(3.3.2を参照されたい)を用いて測定した。
図10は、これら3つの単一測定を比較したクロマトグラムを示す。ここでは、miR16-中性とmiR210中性の不十分な分解能が観察されるだけである。いずれの二重鎖も類似した保持時間を示す。
1:1:1混合物でも同様に、中性PNAおよびそれぞれのmiRNAを包含するこれら3種類の二重鎖の満足のいく分解能は達成され得なかった。二重鎖の混合物のクロマトグラムは、別々の二重鎖の各々のクロマトグラムにおいて観察されるピークに準拠する。
4.6 miR320-中性、miR16-4x負、およびmiR210-8x負の同時並行検出
3種類の二重鎖の最適な分離を得るために、新たに修飾されたPNAを使用しなければならなかった。これに関して、miR16およびmiR210と相補的な新たなPNAを解析した。保持時間の移行の増大を得るために、miR16と相補的なPNAを、配列の各末端のそれぞれにおいて2つのグルタミン酸残基を付加し、それにより4つの付加的な負電荷をもたらすことにより修飾した。miR210と相補的なPNAは、同様の様式で、しかし8つの負電荷を用いて修飾した。miR320に対するPNAは中性に保持した。
続いて試料をチャプター3.2.8に記載される通り、25℃でハイブリダイズさせ、次いでこれらのハイブリダイゼーション混合物の1:1:1混合物を作製した。その後、試料を、確立されたHPLC条件(4.3.4を参照されたい)下でHPLCシステム2(3.3.2を参照されたい)を用いて測定した。
図11からわかる通り、この新たなPNA設計を用いて、分解能プロファイルの改善を達成することができた。すなわち、図10と比較して顕著に改善された分離が観察され得た。それぞれのPNAの負電荷に起因して、それぞれの保持時間を目的通りに長くすることができた。
図12から明白である通り、これらの測定は高度に再現性がある。二重鎖の分離は、1:1:1混合物でも達成することができた。miR16-4-x負のピーク面積が、その他の両二重鎖と比較して顕著に減少していることもまた、図12から明らかである。
4.8 ヒト血漿由来のmiR16、miR210、およびmiR320の検出
その後、Hannover Medical Schoolによって提供されたト血漿由来のmiR16、miR210、およびmiR320の検出を行った。ここでは、急性腎損傷と推定バイオマーカーとしてのmiRNAとの間の相関関係を解析することを目的とした。
したがって、対照群 (CTL) の対象に由来する5件の血漿試料、および急性腎損傷 (AKI) を有する対象に由来する5件の血漿試料を、段落3.2.4に記載される通りに消化し、続いてチャプター3.5に記載される通りにハイブリダイズさせた。miR320内の推定二次構造をすべて破壊するために、ハイブリダイゼーションは80℃で行った。続いて試料を、7分間での緩衝液Bの20〜60 %の勾配で、確立されたHPLC条件(4.3.4を参照されたい)を用いて、HPLCシステム2(3.3.2を参照されたい)を用いて測定した。
図13は、急性腎損傷を有する対象 (AKI 154) の血漿と比較した、対照群の対象 (CTL 8) の血漿試料から得られたクロマトグラムを示す。ここで、AKI 154の場合のmiR320の発光が、対照対象CTL 8の場合よりも顕著に高く、miR210の発光はどちらの場合もほぼ同様であることがはっきりと見ることができる。
表15は、ヒト血漿由来のmiR16、miR210、およびmiR320の値を要約したものである。miR210とmiR320のそれぞれの比率およびそれぞれの平均値を、標準偏差と共に計算した。対象AKI_138由来の血漿試料の値は、代表的ではないと見なされるべきであるため、これらの計算の一部と見なさなかった。対照対象に関する測定値の平均値は、17%の相対標準偏差を有して1.5の範囲内である。急性腎損傷を有する患者の場合には、5 %というより低い相対標準偏差を有して、2.6というより高い平均値が観察された。総じて、すべての値が検出器の検出限界に近い。
(表15)Hannover Medical Schoolによって提供されたヒト血漿由来のmiR16、miR210、およびmiR320の二重鎖に関するピーク面積、ならびに標準偏差としてのSDおよび相対標準偏差としてのRSD
Figure 0006857622
6. 要約
本研究において開発された新たに確立されたHPLC法により、1回のHPLC流動での、類似の長さを有する異なるmiRNAの同時検出が可能になる。これに関連して、3種類のmiRNA、すなわちmiR16、miR210、およびmiR320が、異なって荷電されたPNAの存在下でのハイブリダイゼーション後に、AEX-HPLCにより分離された。最初は、マレイミド化学により蛍光色素をPNA配列に連結できるようにするPNA設計が選択された。しかしながら、ハイブリダイゼーション条件およびHPLC条件を最適化する過程において、マレイミド環の加水分解に起因して、クロマトグラムがピークの分割を示し、それによってシグナル強度を最小化したため、これが最適ではないことが判明した。この影響は、温度の上昇時および試料のより長いインキュベーション時間後に特に観察された。
その結果として、NHSエステル化学による蛍光色素の連結を可能にする新たなPNA設計が選択されることとなった。これは試料の安定性をもたらし、ピーク分割はうまく回避された。
新たなPNA設計を用いて、ヒト血漿から2種類のmiRNA(210および320)を定量的に検出することが可能であった。要するに、対照群と比較して、急性腎損傷を有する対象に由来する血漿中では、miR210 対 miR320の比率の増加が観察された。個人的な情報交換によれば、この傾向はPCR解析により独立して確認された。
したがって、本発明の検出法により、急性腎損傷の診断におけるバイオマーカーとしてmiRNA、miR210およびmiR320を使用することが可能になる。結果として、本発明に関連して開発されたHPLC法により、この特定の疾患を早期に診断し、それによって患者の早期治療を保証するための迅速でかつ簡便な方法を可能にする診断キットを開発することができる。

Claims (12)

  1. (a) 等しい長さの少なくとも3種類の異なるオリゴヌクレオチドを含有するかまたは含有する疑いのある生体試料を提供する段階;
    (b) 該生体試料を、該等しい長さの少なくとも3種類の異なるオリゴヌクレオチドと相補的な少なくとも3種類の検出分子と接触させることにより、ハイブリダイゼーション混合物を形成する段階であって、該検出分子が、少なくとも1つの蛍光部分でそれぞれ標識されており、該検出分子が、互いに異なる表面電荷を有し、該少なくとも3種類の検出分子の該異なる表面電荷が、中性電荷、負電荷、および正電荷の群より選択され、該負の表面電荷が、少なくとも2つの組み込まれた負荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とし、かつ該正の表面電荷が、少なくとも2つの組み込まれた正荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とする、段階;
    (c) 陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) により、該等しい長さの少なくとも3種類の異なるオリゴヌクレオチドにハイブリダイズした該検出分子を、ハイブリダイズしなかった検出分子の該部分から分離する段階;
    (d) 定量的蛍光読み取りによって、ハイブリダイズした該検出分子-オリゴヌクレオチド部分を検出する段階
    を含む、該等しい長さの少なくとも3種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するための方法。
  2. 前記少なくとも3種類の異なるオリゴヌクレオチドが、10〜50ヌクレオチドの長さ、好ましくは12〜40ヌクレオチドの長さ、より好ましくは18〜30ヌクレオチドの長さを有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記等しい長さの少なくとも3種類の異なるオリゴヌクレオチドが、miRNA (miRNA)、低分子干渉RNA (siRNA)、短鎖活性化RNA (saRNA)、デコイオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、およびspiegelmer(登録商標)からなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記検出分子が、ペプチド核酸 (PNA)、およびホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー (PMO)からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記検出分子が、10〜30ヌクレオチドの長さ、好ましくは10〜20ヌクレオチドの長さ、より好ましくは15〜20ヌクレオチドの長さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記少なくとも3種類の検出分子が、同じアイデンティティーを有する蛍光部分でそれぞれ標識されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記少なくとも3種類の検出分子の前記異なる表面電荷が、中性電荷と負電荷、中性電荷と正電荷、および/または負電荷と正電荷の組み合わせより選択され、好ましくは、複数の負電荷、複数の正電荷、またはこれらの任意の組み合わせより選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記負荷電アミノ酸残基がグルタミン酸の形態である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記正荷電アミノ酸残基がリジンの形態である、請求項1に記載の方法。
  10. 段階 (c) における陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー (AEX-HPLC) が、30℃〜75℃の温度で、好ましくは40℃〜55℃の温度で、より好ましくは50℃の温度で行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 段階 (d) の定量的読み取りが、前記ハイブリダイズした検出分子-オリゴヌクレオチド部分の蛍光シグナルを、内部標準とまたは外部較正曲線の形態の外部標準と比較することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 陰イオン交換高速液体クロマトグラフィー(AEX-HPLC)によって、等しい長さの少なくとも3種類の異なるオリゴヌクレオチドを1つの生体試料から同時並行して定量的に検出するための、互いに異なる表面電荷を有する少なくとも3種類の検出分子の使用であって、該少なくとも3種類の検出分子の該異なる表面電荷が、中性電荷、負電荷、および正電荷の群より選択され、該負の表面電荷が、少なくとも2つの組み込まれた負荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とし、かつ該正の表面電荷が、少なくとも2つの組み込まれた正荷電アミノ酸残基またはアミノグリシン骨格修飾の存在を特徴とし、好ましくは該検出が、請求項1〜11のいずれか一項において定義された通りに行われる、使用。
JP2017564803A 2015-03-02 2016-03-02 オリゴヌクレオチドの同時検出法、それに関するキットおよび使用法 Active JP6857622B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP15000588.2 2015-03-02
EP15000588 2015-03-02
PCT/EP2016/054450 WO2016139262A1 (en) 2015-03-02 2016-03-02 Simultaneous detection of oligonucleotides, a kit and a use related thereto

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018506998A JP2018506998A (ja) 2018-03-15
JP6857622B2 true JP6857622B2 (ja) 2021-04-14

Family

ID=52629352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017564803A Active JP6857622B2 (ja) 2015-03-02 2016-03-02 オリゴヌクレオチドの同時検出法、それに関するキットおよび使用法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US10400269B2 (ja)
EP (1) EP3265581B1 (ja)
JP (1) JP6857622B2 (ja)
CN (1) CN107532216B (ja)
CA (1) CA2976427C (ja)
DK (1) DK3265581T3 (ja)
ES (1) ES2731637T3 (ja)
WO (1) WO2016139262A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112789356A (zh) * 2018-10-04 2021-05-11 学校法人自治医科大学 急性肾损伤特异性生物标志物、急性肾损伤的诊断方法、急性肾损伤的检查用试剂盒、动物治疗方法以及急性肾损伤用医药
CN110346493B (zh) * 2019-05-23 2021-01-05 中国人民解放军军事科学院军事医学研究院 检测猕猴血浆中中期因子反义寡核苷酸含量的方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2309760A1 (en) 1997-10-09 1999-04-22 Robert M. Haefele Modifying double stranded dna to enhance separations by matched ion polynucleotide chromatography
CA2739672C (en) 2008-10-15 2017-03-28 F. Hoffmann-La Roche Ag Oligonucleotide detection method using a peptide nucleic acid probe
ES2818586T3 (es) * 2011-02-07 2021-04-13 Governing Council Univ Toronto Biosondas y métodos de uso de las mismas
EP2808387B1 (en) * 2012-01-25 2017-06-21 Japan Science And Technology Agency Oligonucleotide for hiv detection, hiv detection kit, and hiv detection method
CN102747079A (zh) * 2012-07-12 2012-10-24 湖北省农业科学院畜牧兽医研究所 寡核苷酸引物对、寡核苷酸组合物和包括寡核苷酸组合物的试剂盒及其检测方法
CN103710452B (zh) * 2013-12-27 2015-05-27 朱运峰 检测外周血游离dna的试剂盒及寡核苷酸

Also Published As

Publication number Publication date
CN107532216B (zh) 2021-11-19
US20180073060A1 (en) 2018-03-15
ES2731637T3 (es) 2019-11-18
JP2018506998A (ja) 2018-03-15
CA2976427A1 (en) 2016-09-09
CN107532216A (zh) 2018-01-02
EP3265581A1 (en) 2018-01-10
US10400269B2 (en) 2019-09-03
EP3265581B1 (en) 2019-05-01
DK3265581T3 (da) 2019-07-15
WO2016139262A1 (en) 2016-09-09
CA2976427C (en) 2021-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ou et al. Simultaneous detection of telomerase and miRNA with graphene oxide-based fluorescent aptasensor in living cells and tissue samples
Gagnon et al. RNAi factors are present and active in human cell nuclei
US20220251578A1 (en) Genetic elements driving circular rna translation and methods of use
Wang et al. Single-stranded DNA aptamers that bind differentiated but not parental cells: subtractive systematic evolution of ligands by exponential enrichment
EP3358014B1 (en) Method for stabilizing functional nucleic acids
JP2020188771A (ja) 二本鎖RNAによるα−1アンチトリプシンの特異的阻害のための方法及び組成物
JP6577960B2 (ja) 心肥大の治療および診断のためのlncRNA
EP2798085B1 (en) Aptamers and diagnostic methods for detecting the egf receptor
JP2010500867A (ja) 核酸の検出方法
WO2003106631A2 (en) Methods and compositions relating to labeled rna molecules that reduce gene expression
Zhao et al. Real-time detection reveals responsive cotranscriptional formation of persistent intramolecular DNA and intermolecular DNA: RNA hybrid G-quadruplexes stabilized by R-loop
Wu et al. G-triplex based molecular beacon with duplex-specific nuclease amplification for the specific detection of microRNA
JP6857622B2 (ja) オリゴヌクレオチドの同時検出法、それに関するキットおよび使用法
Şener et al. Inhibition of cell migration and invasion by ICAM-1 binding DNA aptamers
Martinez et al. Targeting human Rad51 by specific DNA aptamers induces inhibition of homologous recombination
US20040248094A1 (en) Methods and compositions relating to labeled RNA molecules that reduce gene expression
WO2012113072A1 (en) A method for the selection of dna ligands for a molecular target
Garafutdinov et al. New method for microRNA detection based on multimerization
WO2012174496A2 (en) Method for purification and identification of sperm cells
Parrott et al. Analysis of RNA: protein interactions in vivo: identification of RNA‐binding partners of nuclear factor 90
Hai-Long et al. Quantitative detection of PremicroRNA-21 based on chimeric molecular beacon
JP2021534759A (ja) Microrna−134バイオマーカー
Gao et al. A Catalytic DNA Probe with Stem-loop Motif for Human T47D Breast Cancer Cells
JP7437020B2 (ja) Dna酵素及びrna切断方法
US10697004B2 (en) Clamping probe

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170901

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191129

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200501

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200824

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201113

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20210127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6857622

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250