以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の方法により製造される簡易構造物は、種々の用途に用いられるものであるが、ここでは、住宅などの建物躯体に近接して設置されるテラスを例に挙げる。また、このテラスの例においては、躯体の前側にテラス(簡易構造物)が設置されるものとし(テラス側が前側、躯体側が後側、図1)、左右はテラスを正面視した際の左右方向を示す(図2)。図1〜図4に示すように、このテラスは、左右の柱(前柱4a及び後柱4b)と桁2を門形に組んだ上に、垂木1(妻垂木1aを含む)と、前枠5a及び後枠5bと、中桟6と、パネル材7と、垂木カバー8を組んで構成した屋根を載せたものである。
前柱4a及び後柱4bは、断面略正方形の形材からなり、躯体Sの前側の左右位置に後柱4bを立設してあり、左右の後柱4bの前方にそれぞれ前柱4aを立設してある。設置面の、各柱4a,4bの立設位置には、上面視して正方形の基礎穴Ha,Hbを形成してあり、基礎穴Ha,Hbに柱4a,4bを立てて、コンクリート又はモルタルを流し込んで固定してある。なお、屋根(垂木1)が前側に向けて下方に傾斜して設けられるものであり、その傾斜に合わせて、前柱4aよりも後柱4bの方が高くなっている。
桁2は、断面略矩形の形材からなり、左右の前柱4a及び左右の後柱4bにそれぞれ横架してあり、左右の2本の柱4a,4bと桁2で門形に組んである。ただし、桁2の上面は、垂木1の傾斜に合わせて、前側に向けて下方に傾斜した面となっている。柱4a,4bと桁2の連結には、図3及び図4に示すような結合部材41を用いている。結合部材41は、略矩形の平板部42と、平板部42の下面に左右並んで2枚形成された垂下面43からなり、平板部42を桁2の下面に当接させてボルト止めし、2枚の垂下面43を柱4a,4bの上端の開口部内に挿入して柱4a,4bの左右面からネジ止めしてある。
垂木1及び妻垂木1aは、断面略矩形の形材からなり、図1及び図2に示すように、前後の桁2に横架してあって、前側に向けて下方に傾斜して、左右に等間隔に5本(中間部の3本の垂木1と、両端の2本の妻垂木1a)並んでいる。図5に示すように、垂木1の左右の側面の下部には、長手方向に延びる略G字形の溝状の被係合部11を形成してある。また、上面の左右方向中央には、長手方向に延びるネジ受溝12を形成してある。さらに、上面の左右には、タイト材ホルダを設けてあって、それぞれタイト材13を取り付けてある。
そして、垂木1は桁2と直交して桁2の上面に固定してあり、垂木1と桁2の連結には、図5に示すような連結具3を用いている。連結具3は、矩形平板状の基板部31と、基板部31の上面に設けた左右2つの係合部32を有する。係合部32は、左右で対向する逆J字状のものであり、左右の係合部32の間に垂木1が丁度納まり、垂木1の左右の被係合部11にそれぞれ係合部32が垂木1の長手方向に摺動自在に係合する。また、基板部31は、左右の係合部32の間部分の垂木固定部33と、係合部32の外側部分の桁固定部34からなり、垂木1の被係合部11に連結具3の係合部32を係合させた状態で、垂木固定部33が垂木1の下面に当接しており、桁固定部34が垂木1の側方に延出している。そして、垂木固定部33を、下側から垂木1にネジ止めして固定してあり、桁固定部34を、上側から桁2にネジ止めして固定してあって、連結具3により垂木1と桁2が連結されている。なお、垂木固定部33の下面には凹部35を形成してあり、垂木固定部33を垂木1に固定するネジの頭部が凹部35に納まることで、桁2と干渉しないようにしてある。
また、図6に示すように、妻垂木1aの内側半分は垂木1と同形状であり、すなわち、内側面の下部に、長手方向に延びる略G字形の溝状の被係合部11を形成してある。また、上面の左右方向中央には、長手方向に延びるネジ受溝12を形成してある。さらに、上面の内側には、タイト材ホルダを設けてあって、タイト材13を取り付けてある。
そして、妻垂木1aと桁2の連結にも、図6に示すような連結具3aを用いている。妻垂木1a用の連結具3aは、垂木1用の連結具3の、一方の係合部32から外側部分を切除した形状であり、矩形平板状の基板部31と、基板部31の上面に設けた1つの係合部32を有していて、基板部31の、係合部32より外側部分が垂木固定部33、内側部分が桁固定部34となっている。妻垂木1aの内側面の被係合部11に係合部32が妻垂木1aの長手方向に摺動自在に係合し、係合した状態で、垂木固定部33が妻垂木1aの下面に当接しており、桁固定部34が妻垂木1aの側方に延出している。そして、垂木固定部33を、下側から妻垂木1aにネジ止めして固定してあり、桁固定部34を、上側から桁2にネジ止めして固定してあって、連結具3aにより妻垂木1aと桁2が連結されている。なお、垂木固定部33の下面には凹部35を形成してあり、垂木固定部33を妻垂木1aに固定するネジの頭部が凹部35に納まることで、桁2と干渉しないようにしてある。
前枠5aと後枠5bは、それぞれ左右に並んだ垂木1及び妻垂木1aの前端と後端に取り付けてある。前枠5aは、上側に向けて開口する溝状の部分を有し、樋として機能するものである。また、後枠5bの後側面には、左右にわたって等間隔に複数のクッション材9を取り付けてある。クッション材9は、円錐台形状のものであって、中心軸に沿って貫通孔を形成してあり、貫通孔にネジを通して、後枠5bにネジ止めしてある。このクッション材9は、テラスが風にあおられるなどして撓んだ際に、後枠5bが躯体Sと直接接触することを防ぐためのものである。
中桟6は、左右に並んだ垂木1及び妻垂木1aの間にそれぞれ渡し掛けるもので、垂木1及び妻垂木1aの前後方向中央に設けてある。また、中桟6の上面にはタイト材を設けてある。なお、テラスの出幅が大きい場合(垂木1及び妻垂木1aが長い場合)には、前後に2本以上の中桟6を設けてもよい。
パネル材7は、樹脂製の矩形薄肉平板からなり、左右に並んだ垂木1及び妻垂木1aの間にそれぞれ設けてある。より詳しくは、図3〜図6に示すように(図2はパネル材7を透過して表してある)、パネル材7の左右の端部が、垂木1又は妻垂木1aの上面のタイト材13に載置してあり、パネル材7の前端部が前枠5aに係止し、後端部が後枠5bに係止しており、さらに、パネル材7の前後方向中央部が中桟6のタイト材に支持されている。そして、垂木1及び妻垂木1aの上側には、それぞれパネル押さえ具71,71aを取り付けてある。垂木1に取り付けるパネル押さえ具71は、垂木1と略等幅で、左右端部の下面にタイト材ホルダを設けてあって、それぞれタイト材72を取り付けてある。そして、パネル押さえ具71の左右のタイト材72と、垂木1の左右のタイト材13とで、それぞれパネル材7の端部を挟み込み、パネル押さえ具71の左右方向中央部を垂木1のネジ受溝12にネジ止めして、パネル材7を固定してある。一方、妻垂木1aに取り付けるパネル押さえ具71aは、内側端部の下面にタイト材ホルダを設けてあって、タイト材72を取り付けてある。そして、パネル押さえ具71aのタイト材72と、妻垂木1aのタイト材13とで、パネル材7の端部を挟み込み、パネル押さえ具71aの外側端部を妻垂木1aのネジ受溝12にネジ止めして、パネル材7を固定してある。
垂木カバー8は、垂木1及び妻垂木1aの上側に取り付けるもので、図5及び図6に示すように、パネル押さえ具71,71aを覆い隠している。垂木1と妻垂木1aの垂木カバー8は同じ形状であって、下方に向けて開口する断面略コ字形の形材からなり、左右の下端部に内側に向けて突出する当接片81を形成してある。また、上面には上側に向けて開口する断面略コ字形の溝部82を形成してある。そして、垂木1においては、垂木カバー8の左右の当接片81を、垂木1の上部に取り付けたパネル押さえ具71の上面に当接させてあり、図3及び図5に示すように、Z金具83を介して垂木1にネジ止めしてある。ここで、垂木カバー8とZ金具83は、垂木カバー8の溝部82の底面でネジ止めしてあり、溝部82に目板84を取り付けてネジを覆い隠してある。一方、妻垂木1aにおいては、垂木カバー8の内側の当接片81を妻垂木1aの上部に取り付けたパネル押さえ具71aの上面に当接させ、外側の当接片81を妻垂木1aに当接させて、図6に示すように、垂木1の場合と同様にZ金具83を介して妻垂木1aにネジ止めしてある。なお、垂木カバー8は、垂木1及び妻垂木1aよりも前方に長く、前枠5aよりも前側に突出しており、突出部分の下側には、垂木1と略同形状の化粧材85を取り付けてあって、垂木1及び妻垂木1aが前枠5aを貫通して延びているように見える外観となっている。
次に、図7及び図8に基づき、このように構成するテラスの現地製造方法(施工手順)について説明する。なお、以下において、垂木1には妻垂木1aを含み、連結具3には妻垂木1a用の連結具3aを含む。このテラスは、垂木1を躯体Sから設計した所定間隔をあけて設け、躯体Sの前側に近接して設置するものであり、ここでは、垂木1の後端に取り付ける後枠5bと、躯体Sの間の間隔が、D1=70mmとなる位置に垂木1を設ける(以下、テラス各部の間隔については図1、図2、図8参照)。すなわち、垂木1の位置は、予め定まっていることになる。そして、具体的な手順として、まず、図7(a)に示すように、左右の後柱4bの基礎穴Hbを、躯体Sから設計した所定間隔X内(より詳しくは、後柱4bの中心が、躯体SからD1だけ離して設けた垂木1の後端部から前側の、設計した所定間隔L1内に納まり、XはL1に基礎穴Hbの見込幅を加えた間隔である)で障害物を避けた位置に形成し、左右の前柱4aの基礎穴Haを、躯体Sから設計した所定間隔Y内(より詳しくは、前柱4aの中心が、躯体SからD1だけ離して設けた垂木1の前端部から後側の、設計した所定間隔L2内に納まり、YはL2に基礎穴Haの見込幅を加えた間隔である)で障害物を避けた位置に形成する。この際、躯体Sの基礎が布基礎である場合、地中の基礎が躯体S自体よりも前側に突出しており、後側(躯体側)の基礎穴Hbを形成する際の障害物S1となり得る。またそれ以外にも、埋設された種々の配管などが、前後の基礎穴Ha,Hbを形成する際の障害物となり得る。そこで、各基礎穴Ha,Hbは、躯体Sから設計した所定間隔X,Y内でそれらの障害物を避けた位置に形成されるものであり、これにより、前柱4aと後柱4bの間の距離も、設計した所定間隔M内のものとなる。この実施形態では、柱4a,4bが90mm角であって、後柱4bは、最も後側の位置が、中心が躯体Sの前側面からD2=220mm離隔した位置であって垂木1の略後端の位置であり、そこからテラスの出幅に応じてL1=300mm〜500mmの範囲(設計した範囲)で前側に移動可能である。また、前柱4aは、最も前側の位置が、テラスの出幅に応じて躯体Sの前側面から定められた距離だけ離隔した位置であって垂木1の略前端の位置であり、そこからテラスの出幅に応じてL2=300mm〜500mmの範囲(設計した範囲)で後側に移動可能である。ただし、前柱4aと後柱4bの移動量の合計も、テラスの出幅に応じて設計した300mm〜500mmの範囲となる。さらに、前柱4aと後柱4bは何れも、左右方向に関して、内側に最大W1=500mm、外側に最大W2=47mmの範囲で移動可能である(図2ではW=W1+W2)。なお、基礎穴Ha,Hbの形成に際して、地中の障害物の位置が予め図面などによりわかっている場合には、当初からそれを避けた位置に穴を掘ればよい。また、穴を掘ったところ障害物が発見された場合には、現場で適宜基礎穴Ha,Hbの位置を変更すればよい。
続いて、前柱4aと後柱4bの前後位置が定まったことにより、屋根(垂木1)の傾斜に応じた前柱4aと後柱4bの高さもそれぞれ定まる。そこで、前柱4a及び後柱4bの長さを、前後位置と垂木1の傾斜角度に応じて切り縮めて調整する。屋根は前側に向けて下方に傾斜するので、前柱4aよりも後柱4bの方が長くなる。
続いて、前側で、左右の基礎穴Haに立設した柱4aと、左右の柱4a間に架設した桁2とで門形を形成するとともに、後側で、左右の基礎穴Hbに立設した柱4bと、左右の柱4b間に架設した桁2とで門形を形成する。より具体的には、2本の前柱4aに桁2を横架して門形に組み、同様に2本の後柱4bに桁2を横架して門形に組み、図7(b)に示すように、前柱4aを前側の左右の基礎穴Haに立て、後柱4bを後側の左右の基礎穴Hbに立てて、基礎穴Ha,Hbにコンクリート又はモルタルを流し込んで固定する。なお、この工程においては、前柱4a及び後柱4bを基礎穴Ha,Hbに立ててから、それぞれ左右の前柱4a及び後柱4bに桁2を載せて、門形に組んでもよい。
続いて、図7(c)に示すように、前後の桁2に垂木1を載置して固定する。垂木1と桁2の連結には、上記のとおり連結具3を用いる。ここで、上記のように垂木1は躯体Sから設計した所定間隔をあけて前後の桁2に取り付けるものであって、この実施形態では、垂木1の後端に取り付ける後枠5bと、躯体Sの間の間隔が、D1=70mmとなる位置とする。この際、上記のように、前柱4a及び後柱4bの前後位置は地中の障害物によって移動するので、垂木1に対する桁2の取付位置はその都度変化するものであり、前柱4a及び後柱4bの前後位置が確定することで、垂木1に対する桁2の取付位置が定まる。よって、垂木1の固定に際しては、まず、地上において、連結具3の係合部32を垂木1の被係合部11に係合させ、連結具3を垂木1の端部から上記のように定まった桁2の取付位置まで摺動させて、連結具3の垂木固定部33を下側から垂木1にネジ止めする。こうして各垂木1に前後2つずつ連結具3を取り付ける。次に、垂木1を持ち上げて、屋根の設置位置である高所において、前後の桁2の上に載置する。既に連結具3の位置合わせをしてあり、前後の連結具3の位置がそれぞれ前後の桁2と一致するので、連結具3の桁固定部34を上側から桁2にネジ止めする。
その後、垂木1の前後端にそれぞれ前枠5aと後枠5bを取り付けるとともに、前後方向中間部に中桟6を取り付ける。なお、後枠5bには、予めクッション材9を取り付ける。続いて、垂木1の間にパネル材7を取り付けてパネル押さえ具71で固定し、さらに垂木1に垂木カバー8を取り付ける。そして、各部材の端部にキャップを取り付けて(キャップは、上記工程の途中で適宜取り付けてもよい)、テラスが完成する。
このようなテラス(簡易構造物)の現地製造方法によれば、左右にそれぞれ前柱4aと後柱4bを配置した両支持式で、片持ち式のものと比べて必要な強度を確保しつつ柱4a,4bを細くすることができ、意匠的な制約が少ない簡易構造物を製造できる。そして、設置箇所の地中に躯体Sの基礎や配管などの障害物がある場合に、それを避けつつ躯体Sから設計した所定間隔内の位置に前柱4a及び後柱4bを立てるものであって、これにより柱4a,4bの前後位置が変動した場合でも、垂木1を柱4a,4bの前後位置によらず躯体Sから設計した所定間隔をあけて前後の桁2に取り付けるので、簡易構造物を建物躯体に近接して設置することができる。また、垂木1と桁2を連結する際に、予め連結具3を垂木1に固定できるので、作業者は、連結具3を取り付けた垂木1とネジのみを持って高所に上がり、連結具3を桁2にネジ止めすればよく、施工性が良好である。連結具3は予め垂木1の所定の位置に付いており、これだけで垂木1を所定の位置に取り付けられるので、高所で垂木1の位置合わせを行う必要がない。また、連結具3を垂木1に固定する際、連結具3が垂木1に対して摺動自在なので、前柱4a及び後柱4bの取付位置に応じた位置合わせが容易である。
次に、本発明の方法により、住宅などの建物躯体に近接して設置されるパーゴラを製造する場合を例に挙げる。このパーゴラの例においても、躯体の前側にパーゴラ(簡易構造物)が設置されるものとし(パーゴラ側が前側、躯体側が後側、図9)、左右はパーゴラを正面視した際の左右方向を示す(図10)。図9〜図12に示すように、このパーゴラは、左右の柱(前柱4a及び後柱4b)と桁2を門形に組み、前後の桁2の間に出幅桁2aを設け、さらに前後の桁2の上に垂木1を載せたものである。
前柱4a及び後柱4bは、断面略正方形の形材からなり、躯体Sの前側の左右位置に後柱4bを立設してあり、左右の後柱4bの前方にそれぞれ前柱4aを立設してある。設置面の、各柱4a,4bの立設位置には、上面視して正方形の基礎穴Ha,Hbを形成してあり、基礎穴Ha,Hbに柱4a,4bを立てて、コンクリート又はモルタルを流し込んで固定してある。なお、垂木1は水平に設けられるものであり、前柱4aと後柱4bは同じ高さである。
桁2は、断面略矩形の形材からなり、左右の前柱4a及び左右の後柱4bにそれぞれ横架してあり、左右の2本の柱4a,4bと桁2で門形に組んである。柱4a,4bと桁2の連結には、図11及び図12に示すような結合部材41を用いている。結合部材41は、略矩形の平板部42と、平板部42の下面に左右並んで2枚形成された垂下面43からなり、平板部42を桁2の下面に当接させてボルト止めし、2枚の垂下面43を柱4a,4bの上端の開口部内に挿入して柱4a,4bの左右面からネジ止めしてある。
出幅桁2aは、断面略矩形の形材からなり、前後の桁2の間の左右端部にそれぞれ横架してある。図11に示すように、前側の桁2の後側面及び後側の桁2の前側面に、略L字形の取付具21を取り付けてあり、前後の取付具21に出幅桁2aの前後の端部を載置し、下側からネジ止めして固定してある。
垂木1は、下側部材14と、上側部材15の2つの形材を組み合わせて形成されるものであり、図9及び図10に示すように、前後の桁2に横架してあって、水平向きで、左右に等間隔に7本並んでいる。図13に示すように、垂木1の下側部材14は、底面部141と、底面部141の上面の左右方向中央に形成した断面略矩形の突部142と、底面部141の左右両端から上向きに立設する立設片143を有し、突部142の高さは立設片143の高さよりも高く、突部142の上端の左右端部には、先端に外側向きの爪状部を有する係合片144を形成してある。一方、垂木1の上側部材15は、断面略矩形で下側部材14と左右幅が同じであって、下面の左右方向中央に形成した下側溝部151と、上面の左右方向中央に形成した上側溝部152と、下面の左右両端から下向きに垂下する垂下片153を有し、下側溝部151の側壁部には、下側部材14の係合片144と係合する爪状部を形成してあり、垂下片153の下端部内側には、略L字形の係止片154を形成してある。
そして、垂木1は桁2と直交して桁2の上面に固定してある。垂木1の下側部材14の底面部141が、桁2の上面に当接しており、底面部141の突部142と立設片143の間部分からネジ止めして、下側部材14を桁2に固定してある。また、上側部材15の左右の垂下片153の係止片154を下側部材14の左右の立設片143の上端にそれぞれ係止させ、下側部材14の左右の係合片144を上側部材15の下側溝部151に挿入して爪状部同士を係合させて、下側部材14の上側から、上側部材15を取り付けてあって、上側部材15によって、下側部材14を桁2に固定するネジを覆い隠してある。そして、上側部材15の上側溝部152の底面から、下側溝部151の底面を貫通して、下側部材14の突部142の上面にネジ止めしてあり、上側溝部152に目板155を取り付けてネジを覆い隠してある。このようにして形成される垂木1は、下側部材14と上側部材15が一体となって断面略矩形となる。
また、図14に示すように、各垂木1の後端部には、後端面全体を覆い上面まで延びる略L字形の後端部材16を取り付けてある。後端部材16は、垂木1の上面にネジ止めしてあり、後側面にネジ孔を形成してある。そして、後端部材16の後側面には、クッション材9を取り付けてある。クッション材9は、円錐台形状のものであって、中心軸に沿って貫通孔を形成してあり、貫通孔にネジを通して、後端部材16のネジ孔にネジ止めしてある。このクッション材9は、パーゴラが風にあおられるなどして撓んだ際に、垂木1の後端が躯体Sと直接接触することを防ぐためのものである。
次に、図15及び図16に基づき、このように構成するパーゴラの現地製造方法(施工手順)について説明する。このパーゴラは、垂木1を躯体Sから設計した所定間隔をあけて設け、躯体Sの前側に近接して設置するものであり、ここでは、垂木1の後端と、躯体Sの間の間隔が、D1=70mmとなる位置に垂木1を設ける(以下、パーゴラ各部の間隔については図9、図10、図16参照)。すなわち、垂木1の位置は、予め定まっていることになる。そして、具体的な手順として、まず、図15(a)に示すように、左右の後柱4bの基礎穴Hbを、躯体Sから設計した所定間隔X内(より詳しくは、後柱4bの中心が、躯体SからD1だけ離して設けた垂木1の後端部から前側の、設計した所定間隔L1内に納まり、XはL1に基礎穴Hbの見込幅を加えた間隔である)で障害物を避けた位置に形成し、左右の前柱4aの基礎穴Haを、躯体Sから設計した所定間隔Y内(より詳しくは、前柱4aの中心が、躯体SからD1だけ離して設けた垂木1の前端部から後側の、設計した所定間隔L2内に納まり、YはL2に基礎穴Haの見込幅を加えた間隔である)で障害物を避けた位置に形成する。この際、躯体Sの基礎が布基礎である場合、地中の基礎が躯体S自体よりも前側に突出しており、後側(躯体側)の基礎穴Hbを形成する際の障害物S1となり得る。またそれ以外にも、埋設された種々の配管などが、前後の基礎穴Ha,Hbを形成する際の障害物となり得る。そこで、各基礎穴Ha,Hbは、躯体Sから設計した所定間隔X,Y内でそれらの障害物を避けた位置に形成されるものであり、これにより、前柱4aと後柱4bの間の距離も、設計した所定間隔M内のものとなる。この実施形態では、柱4a,4bが90mm角であって、後柱4bは、最も後側の位置が、中心が躯体Sの前側面からパーゴラの出幅に応じてD2=184mm〜168mm離隔した位置であって垂木1の略後端の位置であり、そこからパーゴラの出幅に応じてL1=300mm〜500mmの範囲(設計した範囲)で前側に移動可能である。また、前柱4aは、最も前側の位置が、パーゴラの出幅に応じて躯体Sの前側面から定められた距離だけ離隔した位置であって垂木1の略前端の位置であり、そこからパーゴラの出幅に応じてL2=300mm〜500mmの範囲(設計した範囲)で後側に移動可能である。ただし、前柱4aと後柱4bの移動量の合計も、パーゴラの出幅に応じて設計した300mm〜500mmの範囲となる。さらに、前柱4aと後柱4bは何れも、左右方向に関して、内側に最大W1=500mm、外側に最大W2=23mmの範囲で移動可能である(図10ではW=W1+W2)。なお、基礎穴Ha,Hbの形成に際して、地中の障害物の位置が予め図面などによりわかっている場合には、当初からそれを避けた位置に穴を掘ればよい。また、穴を掘ったところ障害物が発見された場合には、現場で適宜基礎穴Ha,Hbの位置を変更すればよい。
続いて、前側で、左右の基礎穴Haに立設した柱4aと、左右の柱4a間に架設した桁2とで門形を形成するとともに、後側で、左右の基礎穴Hbに立設した柱4bと、左右の柱4b間に架設した桁2とで門形を形成する。より具体的には、桁2に出幅桁2aの取付具21を取り付けた上で、2本の前柱4aに桁2を横架して門形に組み、同様に2本の後柱4bに桁2を横架して門形に組み、図15(b)に示すように、前柱4aを前側の左右の基礎穴Haに立て、後柱4bを後側の左右の基礎穴Hbに立てて、基礎穴Ha,Hbにコンクリート又はモルタルを流し込んで固定する。なお、この工程においては、前柱4a及び後柱4bを基礎穴Ha,Hbに立ててから、それぞれ左右の前柱4a及び後柱4bに桁2を載せて、門形に組んでもよい。
続いて、前後の桁2の間の左右端部に、それぞれ出幅桁2aを取り付ける。この際、前柱4a及び後柱4bを前後に移動させた場合には、移動距離に応じて、出幅桁2aを切り縮めて長さを調整する。出幅桁2aは、前後の端部を桁2に取り付けた取付具21に載置し、下側からネジ止めして固定する。
続いて、図15(c)に示すように、前後の桁2に垂木1を載置して固定する。ここで、上記のように垂木1は躯体Sから設計した所定間隔をあけて前後の桁2に取り付けるものであって、この実施形態では、垂木1の後端と、躯体Sの間の間隔が、D1=70mmとなる位置とする。この際、上記のように、前柱4a及び後柱4bの前後位置は地中の障害物によって移動するので、垂木1に対する桁2の取付位置はその都度変化するものであり、前柱4a及び後柱4bの前後位置が確定することで、垂木1に対する桁2の取付位置が定まる。よって、垂木1の固定に際しては、まず、地上において、垂木1の下側部材14の底面部141の突部142と立設片143の間部分の、上記のように定まった前後2箇所の桁2の取付位置に、ネジ孔を形成する。次に、垂木1の下側部材14を持ち上げて、屋根の設置位置である高所において、前後の桁2の上に載置する。既に桁2の取付位置にネジ孔を形成してあり、前後のネジ孔の位置がそれぞれ前後の桁2と一致するので、垂木1の下側部材14の底面部141を上側から桁2にネジ止めする。次に、垂木1の上側部材15を持ち上げて、下側部材14に上側から取り付けてネジ止めし、垂木1が形成される。
その後、垂木1の後端にクッション材9を設けた後端部材16を取り付ける。そして、各部材の端部にキャップを取り付けて(キャップは、上記工程の途中で適宜取り付けてもよい)、パーゴラが完成する。
このようなパーゴラ(簡易構造物)の現地製造方法によれば、左右にそれぞれ前柱4aと後柱4bを配置した両支持式で、片持ち式のものと比べて必要な強度を確保しつつ柱4a,4bを細くすることができ、意匠的な制約が少ない簡易構造物を製造できる。そして、設置箇所の地中に躯体Sの基礎や配管などの障害物がある場合に、それを避けつつ躯体Sから設計した所定間隔内の位置に前柱4a及び後柱4bを立てるものであって、これにより柱4a,4bの前後位置が変動した場合でも、垂木1を柱4a,4bの前後位置によらず躯体Sから設計した所定間隔をあけて前後の桁2に取り付けるので、簡易構造物を建物躯体に近接して設置することができる。また、垂木1が下側部材14と上側部材15とに分割されており、下側部材14を桁2にネジ止めして、上側部材15で上側から覆うので、ネジやその他の部品が露出せず、意匠性が良好である。特にパーゴラにおいては、屋根材がなく、垂木1と桁2の接合部が上側(上層階)から直接見えるため、有効である。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、テラスの場合とパーゴラの場合の何れにおいても、上記の本発明の趣旨に影響しない部分において、工程の変更、追加、削除があっても構わない。