JP6856301B2 - 粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は粘着シートに関する。
一般的な粘着シートは、基材と、該基材上に形成された粘着剤層と、必要に応じて該粘着剤層上に設けられた剥離材から構成されており、使用に際しては、剥離材が設けられている場合には、その剥離材を剥がし、粘着剤層を被着体に当接させて貼付する。
ところで、例えば、識別用、装飾用、塗装マスキング用、金属板等の表面保護用等に使用する、貼付面積が大きい粘着シートは、被着体に貼付する際に、粘着剤層と被着体との間に空気溜まりが発生しやすく、その部分が「ふくれ」となって、粘着シートが被着体にきれいに貼付されにくいという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、粘着剤層の表面に、微細なエンボスパターンを有する剥離材を接触させて、粘着剤層の表面に、特定形状の溝を、所定パターンで人工的に配置させてなる粘着シートが開示されている。
このような粘着シートを用いることで、被着体との貼付時に発生した「空気溜まり」は、粘着剤層の表面に人工的に形成された溝を介して、外部へ逃すことができるとされている。
特表2001−507732号公報
しかしながら、特許文献1等に記載されたような、特定形状の溝が所定パターンで配置された粘着剤層を有する粘着シートは、溝の幅が狭いと空気が抜けにくく、溝の幅が広いと表面基材が凹んで外観が劣る(以下、単に「外観不良」ともいう。)という問題がある。
このような問題は、例えば、塗装代替や標識等のマーキングといった目的、自動車等の車両の塗装や外観向上等の目的で使用される粘着シートにおいて、特に問題とされる。そして、粘着シートを貼付する被着体は、単一の平面を有するものに限らない。そのため、粘着シートは被着体の形状に合わせて折込みながら貼付されることが多い。このような被着体に、粘着シートを折込みながら貼付した場合、粘着シートと被着体との間に隙間が発生(以下、単に「浮き」ともいう。)したり、更には、粘着シートが被着体から剥がれてしまう(以下、単に「剥がれ」ともいう。)という問題が発生する。したがって、当該用途に用いられる粘着シートには、上述した外観不良の抑制とともに、優れた折込み貼付性が求められる。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、被着体に貼付した際に、生じ得る空気溜まりを容易に除去することができる優れたエア抜け性を有すると共に、外観不良がなく、かつ、優れた折込み貼付性を有する、粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の基材上に樹脂層を有し、当該樹脂層の表面上の特定の領域内に最大0.5μm以上の高低差を有する凹部を複数有し、かつ当該複数の凹部の存在する位置が周期性を有さず、更に狭い特定の領域内に当該凹部が1個以上存在する粘着シートが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[20]を提供するものである。
[1]基材上に樹脂を含む樹脂層を有し、少なくとも該基材が設けられた側とは反対側の該樹脂層の表面(α)が粘着性を有する粘着シートであって、
該基材のMD方向の曲げ応力係数kが20N・mm以下であり、かつ、MD方向の10%伸長時強度が260N/15mm以下であって、
該樹脂層の表面(α)上の任意に選択された一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)内に、最大0.5μm以上の高低差を有する凹部が複数存在し、
表面(α)上における該複数の凹部の存在する位置が周期性を有さず、かつ
表面(α)上の任意に選択された一辺600μmの正方形で囲まれた領域(U)内に、前記凹部が1個以上存在する、粘着シート。
[2]前記基材のMD方向のヤング率が7,000MPa以下である、上記[1]に記載の粘着シート。
[3]前記基材のMD方向のヤング率が3,000MPa以下である、上記[2]に記載の粘着シート。
[4]前記基材のMD方向の10%伸長時強度が50N/15mm以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5]前記凹部が、エンボスパターンの転写により形成されたものではない、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6]前記凹部の形状が不定形である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7]前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付して表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)内に存在する全ての凹部の全面積に対する、領域(Vs)内に存在する他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合が95.0%以上である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8]前記樹脂層の表面(α)側から観察した表面(α)上に存在する平坦面の形状が、不定形である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着シート。
[9]前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付した際の被着体との貼付面面積率が10〜95%である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の粘着シート。
[10]前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に存在する平坦面の全面積が、1.0mm以上である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の粘着シート。
[11]前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に、直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する少なくとも1個の平坦面が存在する、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の粘着シート。
[12]前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に、0.1mm以上の面積を有する平坦面が少なくとも1つ以上存在する、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の粘着シート。
[13]前記樹脂層の表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部の1個以上が、領域(U)の境界線である一辺600μmの正方形のいずれかの辺まで延びている、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の粘着シート。
[14]表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部の1個以上が、領域(U)と隣接する一辺600μmの正方形で囲まれた1以上の他の領域(U’)内まで連続して延びた形状である、上記[13]に記載の粘着シート。
[15]前記樹脂が粘着性樹脂を含む、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の粘着シート。
[16]前記樹脂層が、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む、上記[1]〜[15]のいずれかに記載の粘着シート。
[17]前記微粒子が、シリカ粒子、酸化金属粒子、及びスメクタイトから選ばれる1種以上である、上記[16]に記載の粘着シート。
[18]前記樹脂層が、前記基材が設けられた側から、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)、粒子部分(Y)を15質量%以上含む層(Y1)、及び主に樹脂部分(X)を含む層(Xα)をこの順で積層した多層構造体である、上記[16]又は[17]に記載の粘着シート。
[19]前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付した際に、前記粘着シートの基材側からは目視により前記凹部の形状が確認されない、上記[1]〜[18]のいずれかに記載の粘着シート。
[20]塗装代替テープ、マーキングフィルム、又は車両貼付用テープに用いる、上記[1]〜[19]のいずれかに記載の粘着シート。
本発明によれば、被着体に貼付した際に、生じ得る空気溜まりを容易に除去することができる優れたエア抜け性を有すると共に、外観不良がなく、かつ、優れた折込み貼付性を有する、粘着シートを提供することができる。
本発明の粘着シートの構成の一例を示す、該粘着シートの断面模式図である。 本発明の粘着シートが有する樹脂層の表面(α)側の形状の一例を示す、該樹脂層の断面模式図である。 本発明の粘着シートが有する樹脂層の表面(α)の一例を示す、該表面(α)の平面模式図である。 樹脂層の表面(α)と、平滑面を有する透光性被着体の当該平滑面とを貼付した際の構成の一例を示す、粘着シートの断面模式図である。 デジタル顕微鏡で、実施例1で作製した粘着シートの樹脂層の表面(α)と、平滑面を有する透光性被着体の当該平滑面とを貼付し、透光性被着体側から表面(α)を観察した際のデジタル画像を取得し、当該デジタル画像の任意に選択した長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)の画像(図5(a))、並びに当該画像に対して、画像処理(2値化処理)を施して得た、2値化画像(図5(b))である。 デジタル顕微鏡で、実施例1で作製した粘着シートの樹脂層の表面(α)を観察した際のデジタル画像を取得し、当該デジタル画像の任意に選択した長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)の画像(図6(a))、並びに当該画像に対して、画像処理(2値化処理)を施して得た、2値化画像(図6(b))である。 各実施例及び各比較例で行った折込み貼付性試験の一部分を示す模式図である。 実施例4で作製した粘着シートを走査型電子顕微鏡で観察した際の画像であって、(a)は当該粘着シートの断面画像、(b)は当該粘着シートの樹脂層の表面(α)の斜視画像である。 比較例2で作製した粘着シートを走査型電子顕微鏡で観察した際の画像であって、当該粘着シートの樹脂層の表面(α)の斜視画像である。
本発明において、例えば、「主成分としてXX成分を含むYY」や「主にXX成分からなるYY」との記載は、「YYに含まれる成分のうち、最も含有量が多い成分はXX成分である」ということを意味している。当該記載における具体的なXX成分の含有量としては、YYの全量(100質量%)に対して、通常50質量%以上、好ましくは65〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
また、本発明において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
また、基材の「MD方向」とは、基材成形時の流れ方向(Machine Direction。例えば、基材となるシート又はフィルム等を長尺で成形した場合、当該シート又はフィルムを搬送する方向に沿った軸と平行な方向)を示す。
更に、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10〜90、より好ましくは30〜60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10〜60」とすることもできる。
〔粘着シートの構成〕
まず、本発明の粘着シートの構成について説明する。
本発明の粘着シートは、基材上に樹脂を含む樹脂層を有し、少なくとも該基材が設けられた側とは反対側の該樹脂層の表面(α)が粘着性を有する粘着シートである。そして、該基材のMD方向の曲げ応力係数kが20N・mm以下であり、かつ、MD方向の10%伸長時強度が260N/15mm以下である。更に、該樹脂層の表面(α)上の任意に選択された一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)内に、最大0.5μm以上の高低差を有する凹部が複数存在する。そして、表面(α)上における複数の凹部の存在する位置が周期性を有さず、かつ、表面(α)上の任意に選択された一辺600μmの正方形で囲まれた領域(U)内に、前記凹部が1個以上存在する。
図1は、本発明の粘着シートの構成の一例を示す、該粘着シートの断面模式図である。
本発明の一態様である粘着シートの具体的な構成として、例えば、図1(a)に示すような、基材11上に、樹脂層12を有する粘着シート1aが挙げられる。
そして、本発明の一態様である粘着シートは、少なくとも基材11が設けられた側とは反対側の樹脂層12の表面(α)12a(以下、単に「表面(α)」ともいう。)は粘着性を有する。
そのため、本発明の一態様である粘着シートとしては、取扱性の観点から、図1に示す粘着シート1aに対して、樹脂層12の表面(α)12a上に更に剥離材14を設けた、図1(b)に示すような、粘着シート1bのような構成を有することが好ましい。
なお、本発明の一態様である粘着シートにおいて、基材11が設けられた側の樹脂層12の表面(β)12b(以下、単に「表面(β)」ともいう。)も粘着性を有していてもよい。表面(β)も粘着性を有することで、図1(a)及び(b)に示す粘着シート1a、1bであれば、樹脂層12と基材11との密着性をより良好とすることができる。
本発明の粘着シートが有する樹脂層12は、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含むことが好ましい。樹脂層12中に粒子部分(Y)が含まれることで、形状維持性を向上することが出来、高温使用時においてもエア抜け性を維持することができる。
樹脂層12中の樹脂部分(X)と粒子部分(Y)との分布の構成としては、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とがほぼ均等に分布した構成であってもよく、局所的に主に樹脂部分(X)からなる箇所と、主に粒子部分(Y)からなる箇所とに分けられるような構成であってもよい。
また、図1(a)及び(b)に示すように、樹脂層12のうち、表面(α)上に凹部13が形成されている箇所においては、粒子部分(Y)が占める割合が他に比べて少なくなるような分布であってもよいし、粒子部分(Y)が部分的に存在しなくてもよい。
本発明の粘着シートは、図1(a)及び(b)に示すように、樹脂層12の表面(α)12a上には凹部13が存在する。
表面(α)上に存在する凹部13は、本発明の粘着シートの樹脂層の表面(α)を被着体に貼付する際に生じる「空気溜まり」を、外部へ逃すための空気排出通路としての役割を担うものである。
なお、表面(α)上に存在する凹部13を平面視した場合における当該凹部13の長さは、特に制限はない。つまり、凹部13は、比較的長い溝形状のものや、比較的短い窪み形状のものが含まれる。
また、樹脂層の表面(α)上の凹部は、エア抜け性、外観、及び粘着特性等の各種特性をバランス良く向上させた粘着シートとする観点から、例えば、樹脂層の表面にエンボスパターンが施された剥離材を押し付けて形成する等のエンボスパターンの転写により形成されたものではないことが好ましい。
また、本発明の一態様において、エア抜け性、外観、及び粘着特性等の各種特性をバランス良く向上させた粘着シートとする観点から、前記凹部の形状が不定形であることが好ましい。
ここで、本発明において「凹部の形状が不定形」とは、平面視若しくは立体視した凹部の形状が、円や楕円等の中心を作図可能な図形、及び多角形等といった定形の形状を有さず、形に規則性が無く、個々の形状に類似性が見られない形状であることを意味し、具体的には、図3に示す平坦面15、凹部13及び凹部130の形状が該当する。
当該凹部の形状が不定形であれば、エア抜け性や粘着特性等の各種特性をバランス良く向上させた粘着シートとすることができる。
また、不定形の凹部が複数存在することで、一定方向からの圧力が加えられ、表面(α)に存在する凹部の一部の形状が崩れた場合においても、表面(α)には形状が維持された凹部13又は凹部130が存在し易く、エア抜けの経路が消失することを防ぐことが出来る。
なお、ここでいう、不定形の形状から除外している「多角形」とは、その内部に(外部にはみ出さずに)対角線を作図可能な図形であって、内角の和が180×n(度)(nは自然数)の直線で囲まれた図形を指す。当該多角形は、その角部がアール状の湾曲形状であるものも含まれる。
なお、「表面(α)上の凹部の形状が不定形であるか否か」の判断は、当該凹部の形状を目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して判断するのが原則である。なお、当該凹部を表面(α)側から平面視した際の凹部の形状が不定形と判断されれば、「当該凹部の形状は不定形である」とみなすこともできる。
ただし、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)を10領域選択し、各領域(V)内に存在する凹部の形状を目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で表面(α)側から平面視(必要に応じて立体視)して観察した際、選択した10領域のいずれにおいても、各領域に存在する凹部の形状が不定形と判断されれば、「樹脂層の表面(α)上に存在する凹部の形状は不定形である」とみなすこともできる。
当該領域(V)がデジタル顕微鏡の撮影可能領域より大きい場合には、互いに隣り合わせの撮影可能領域を撮影した複数の画像をつなぎ合わせた画像を、領域(V)内を観察した画像として、上記の判断に用いてもよい。また、当該凹部の形状が不定形であることが、樹脂層の表面(α)側から目視により視認できることが好ましい。
なお、本明細書の記載にて、各種形状の観察を行う際に使用するデジタル顕微鏡としては、例えば、株式会社キーエンス製の製品名「デジタルマイクロスコープVHX−1000」や「デジタルマイクロスコープVHX−5000」等が挙げられる。
また、エア抜け性を向上させた粘着シートとする観点から、当該凹部の不定形の形状が、表出した樹脂層の表面(α)側から目視により視認できることが好ましい。なお、図1(b)に示すような、樹脂層12の表面(α)12a上に更に剥離材14を設けた、粘着シート1bでは、剥離材14を剥がし、表出した表面(α)側から目視により視認できることが好ましい。
また、前記凹部は、上記樹脂層の自己形成化によって形成されたものであることが好ましい。
本発明において、「自己形成化」とは、樹脂層の自律的な形成過程において、自然に無秩序な形状を作り出す現象を意味し、より詳しくは、樹脂層の形成材料である組成物から形成された塗膜を乾燥して、樹脂層の自律的な形成過程において、自然に無秩序な形状を作り出す現象を意味する。
なお、このように樹脂層の自己形成化によって形成された凹部の形状は、乾燥条件や樹脂層の形成材料である組成物中の成分の種類や含有量を調整することで、ある程度の調整は可能ではあるものの、エンボスパターンの転写により形成される溝とは異なり、「全く同じ形状のものを再現することは事実上できない」といえる。そのため、樹脂層の自己形成化によって形成された凹部は、不定形であるといえる。また、不定形の凹部が形成されることで、平坦面の形状も不定形となる。
樹脂層の自己形成化によって形成された凹部の形成過程は、以下のように考えられる。
まず、樹脂層の形成材料となる組成物からなる塗膜の形成時において、塗膜を乾燥させる工程にて、塗膜内部に収縮応力が発生して、樹脂の結合力が弱くなった部分で、塗膜内で割れが生じる。そして、この割れ部分の周辺の樹脂が、割れにより一時的に生じた空間に流入することで、樹脂層の表面(α)上に凹部が形成されると考えられる。
樹脂の含有量が異なる多層の塗膜を形成した後、当該多層の塗膜を同時に乾燥させることで、乾燥する際に塗膜内部に収縮応力差が発生し、塗膜の割れを生じ易くなると考えられる。
なお、凹部を形成し易くする観点から、以下の事項を適宜考慮の上、調整することが好ましい。これらの事項による要因が複合的に作用して、凹部が形成し易くなるものと考えられる。ちなみに、凹部を形成し易くするための各事項の好適な態様は、後述の該当項目での記載のとおりである。
・塗膜の形成材料である組成物中に含まれる樹脂の種類、構成モノマー、分子量、含有量。
・塗膜の形成材料である組成物中に含まれる架橋剤の種類、溶媒の種類。
・塗膜の形成材料である組成物の粘度、固形分濃度。
・形成する塗膜の厚さ。(複層の場合は、各塗膜の厚さ。)
・形成した塗膜の乾燥温度、乾燥時間。
なお、一般的な粘着シートの粘着剤層の形成においては、平坦な表面を有する粘着剤層を形成することを目的とし、上記の事項を適宜設定している場合が多い。
一方、本発明では、粘着シートのエア抜け性の向上に寄与し得る凹部が意図的に形成されるように上記の事項を設定しており、一般的な粘着シートの粘着剤層の設計方法とは、全く異なる。
上記の事項は、形成される塗膜中に含まれる樹脂の流動性等を考慮して、適宜設定されることが好ましい。
例えば、組成物中に微粒子を含む場合、微粒子を多く含む組成物からなる塗膜の粘度を適度な範囲に調整することで、塗膜中での微粒子の所定の流動性を維持しつつも、他の塗膜(樹脂を多く含む塗膜)との入り混じりを適度に抑制することができる。このように調整することで、樹脂を多く含む塗膜において、水平方向に割れが生じ、凹部が形成され易くなる傾向にある。
その結果、表面(α)上における、形成される凹部の占める割合を増やすことができると共に、互いに繋がっている凹部の割合も増やし、より優れたエア抜け性を有する粘着シートとすることができる。
また、上記の事項の中でも、樹脂を多く含む塗膜に含まれる樹脂が適度な粘弾性を有するように、当該樹脂の種類、構成モノマー、分子量、樹脂の含有量を適宜調整することが好ましい。
つまり、塗膜の硬さ(樹脂の粘弾性、塗布液の粘度等の因子で決まる硬さ)を適度に硬くすることで、樹脂部分(X)の収縮応力が強くなり、凹部が形成し易くなる。当該塗膜の硬さが硬いほど収縮応力が強くなり、凹部が発生しやすくなるが、硬すぎると塗布適性が低下する。また、樹脂の弾性を上げ過ぎると、塗膜から形成される樹脂層の粘着力が低下する傾向にある。その点を考慮して、樹脂の粘弾性を適度に調整することが好ましい。
また、組成物や塗膜中に微粒子を含む場合、微粒子の分散状態を適切化することで、微粒子による樹脂層の厚さの膨れ上がりの程度や、凹部の自己形成力を調節し、結果的に表面(α)上に凹部を形成し易く調整できるものと考えられる。
更に、形成した塗膜(若しくは形成材料である組成物)の架橋速度を考慮して、上記の事項を適宜設定することが好ましい。
つまり、塗膜の架橋速度が速すぎる場合には、凹部が形成される前に、塗膜が硬化してしまう恐れがある。また、塗膜の割れの大きさ及び凹部の大きさにも影響を及ぼす。
塗膜の架橋速度は、形成材料である組成物中の架橋剤の種類及び溶媒の種類や、塗膜の乾燥時間及び乾燥温度を適宜設定することで調整可能である。
なお、本発明の粘着シートが有する樹脂層の表面(α)上に存在する凹部は、所定のパターンを有するものではないことが好ましい。ここで、「所定パターン」とは、一つの凹部の形状に着目した際に、当該凹部が有する一定の繰り返し単位となる形状のことを意味する。
本発明の粘着シートは、図1(a)及び(b)に示すように、基材11が設けられた側とは反対側の樹脂層12の表面(α)上には、凹部13を複数有する。表面(α)上に存在する凹部13は、本発明の粘着シートを被着体に貼付する際に生じる「空気溜まり」を外部へ逃すための空気排出通路としての役割を担うものである。
そして、本発明の粘着シートは、表面(α)が、下記要件(I)〜(III)を満たすものである。
要件(I):表面(α)上の任意に選択された一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)内に、最大0.5μm以上の高低差を有する凹部が複数存在する。
要件(II):表面(α)上における該複数の凹部の存在する位置が周期性を有さない。
要件(III):表面(α)上の任意に選択された一辺600μmの正方形で囲まれた領域(U)内に、前記凹部が1個以上存在する。
以下、上記要件(I)〜(III)について詳述する。
<要件(I)>
図2は、本発明の粘着シートが有する樹脂層の表面(α)側の形状の一例を示す、該樹脂層の断面模式図である。
図2(a)に示された凹部13のように、通常の凹部の形状としては、2つの山部分(M)、(M)と、谷部分(N)とを有する。本発明において凹部の「高低差」とは、樹脂層12の厚さ方向に対して、2つの山部分(M)、(M)のうち最も高い位置(m)(図2(a)では山部分(M)の極大点)と、最も低い位置(n)(図2(a)では谷部分(N)の極小点)との差(h)の長さを意味する。
また、図2(b)のような場合は、2つの山部分(M11)、(M12)と、谷部分(N)とを有する凹部131と、2つの山部分(M12)、(M13)と、谷部分(N)とを有する凹部132との2つの凹部を有していると考えられる。この場合、山部分(M11)の極大点と谷部分(N)の極小点との差(h)の長さが凹部131の高低差を表し、山部分(M13)の極大点と谷部分(N)の極小点との差(h)の長さが凹部132の高低差を表す。
上記要件(I)で規定する「凹部」とは、最大0.5μm以上の高低差を有する凹みを指す。当該要件(I)で規定する「凹部」としては、0.5μm以上の高低差を有する箇所が凹部のいずれかの部分で存在していればよく、当該凹部の全領域にわたって当該高低差を有している必要はない。
また、当該要件(I)を満たす凹部が複数存在しているか否かの判断は、粘着シートの樹脂層の表面(α)上の任意に選択された一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)内を電子顕微鏡で観察することで判断するが、より具体的には後述する実施例に記載の方法により判断する。
当該一個の凹部の高低差の最大値としては、粘着シートのエア抜け性の向上の観点、粘着シートの外観を良好に保つ観点、並びに、粘着シートの形状安定性の観点から、好ましくは1.0μm以上樹脂層の厚さ以下であり、より好ましくは3.0μm以上樹脂層の厚さ以下、更に好ましくは5.0μm以上樹脂層の厚さ以下である。
なお、領域(P)内に存在する複数の凹部の高低差の値のうちの最大値と樹脂層の厚さとの比〔高低差の最大値/樹脂層の厚さ〕としては、好ましくは1/100〜100/100、より好ましくは5/100〜99/100、更に好ましくは10/100〜96/100、より更に好ましくは15/100〜90/100である。
また、当該凹部の幅の平均値としては、粘着シートのエア抜け性の向上の観点、並びに粘着シートの粘着性を良好とする観点から、好ましくは1〜500μm、より好ましくは3〜400μm、更に好ましくは5〜300μmである。
なお、本発明において、当該凹部の幅とは、2つの山部分の極大点間の距離を意味し、図2(a)に示された凹部13においては、山部分(M)と山部分(M)との距離Lを指す。また、図2(b)に示された凹部131においては、山部分(M11)と山部分(M12)との距離Lを指し、凹部132においては、山部分(M13)と山部分(M12)との距離Lを指す。
また、本発明の粘着シートを平面視した際に(真上から見た際に)、凹部が長辺と短辺を有する場合は、短辺を幅という。
当該一個の凹部の高低差の最大値と幅の平均値との比〔高低差の最大値/幅の平均値〕(図2(a)に示された凹部13においては、「h/L」を指す。)としては、粘着シートのエア抜け性の向上の観点、並びに粘着シートの粘着性を良好とする観点から、好ましくは1/500〜100/1、より好ましくは3/400〜70/3、更に好ましくは1/60〜10/1である。
<要件(II)>
図3(a)及び(b)は、本発明の一態様である粘着シートが有する樹脂層の表面(α)の一例を示す、該表面(α)の平面模式図である。図3(a)に示すように、本発明の粘着シートの樹脂層12の表面(α)12a上には凹部13、130が複数存在している。
ここで、本発明の粘着シートは、図3(a)に示すように、上記要件(II)のとおり、樹脂層12の表面(α)12a上に、複数の凹部が存在し、当該複数の凹部の存在する位置が周期性を有さない。
本発明において、「複数の凹部の存在する位置が周期性を有さない」とは、複数の凹部の存在する位置が、同じ繰り返しパターンを持たずに、不規則(ランダム)である状態を意味する。つまり、特許文献1に記載された溝、つまり、エンボスパターンを有する剥離材を樹脂層の表面に押し付ける等のエンボスパターンの転写により形成された溝のように、一定の規則性に基づいて「配置」されたものとは異なる。
なお、「複数の凹部の存在する位置が周期性を有さない」か否かの判断は、対象となる粘着シートの樹脂層の表面(α)上に存在する複数の凹部の位置を目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して判断するのが原則である。
ただし、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)を10領域選択し、各領域(V)内に存在する「複数の凹部の位置」を目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して判断してもよい。つまり、選択した10領域のいずれにおいても、各領域に存在する「複数の凹部の位置」に一定の周期性がない場合には、対象となる粘着シートは要件(II)を満たすものとみなすことができる。
また、上述の複数の凹部の形成位置の観察は、上記倍率にて直接デジタル顕微鏡で観察する方法でもよく、上記倍率にてデジタル顕微鏡を用いて画像を取得し、当該画像に示された複数の凹部の存在する位置を目視で観察する方法でもよい。
<要件(III)>
本発明の粘着シートは、図3(a)に示すように、上記要件(III)のとおり、表面(α)12a上の任意に選択された一辺600μmの正方形50で囲まれた領域(U)内に、凹部13、又は凹部130が1個以上存在する。図3(a)においては、当該領域(U)内に、8個の凹部が存在している。
このように、表面(α)上の領域(U)内に上述の凹部を1個以上有することで、粘着シートのエア抜け性を向上させることができる。
なお、本発明において、表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部の数は、1個以上であるが、上記観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であり、一方、外観及び粘着特性を良好に保つ観点から、好ましくは1,000個以下、より好ましくは500個以下、更に好ましくは300個以下、より更に好ましくは100個以下である。
また、粘着シートのエア抜け性を向上させる観点から、図3(a)に示すように、表面(α)12a上の領域(U)内に存在する凹部13、又は凹部130の一個以上が、領域(U)の境界線である一辺600μmの正方形50のいずれかの辺まで延びていることが好ましい。
なお、図3において、凹部13、又は凹部130が延びて、領域(U)の境界線である一辺600μmの正方形50のいずれかの辺との交差箇所13aの数は全部で9箇所ある。
このような凹部と領域(U)の境界線である一辺600μmである正方形のいずれかの辺との交差箇所の数は、好ましくは1箇所以上であるが、より好ましくは2箇所以上、更に好ましくは3箇所以上である。
また、エア抜け性及び外観をより向上させた粘着シートとする観点から、本発明の一態様の粘着シートが有する樹脂層の表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部の1個以上が、当該領域(U)と隣接する一辺600μmの正方形で囲まれた1以上の他の領域(U’)内まで連続して延びた形状であることが好ましく、2以上の他の領域(U’)内まで連続して延びた形状であることがより好ましく、3以上の他の領域(U’)内まで連続して延びた形状であることが更に好ましい。
例えば、図3(b)において、表面(α)12a上の任意に選択された一辺600μmの正方形50で囲まれた領域(U)内に着目した際、「当該領域(U)と隣接する一辺600μmの正方形で囲まれた他の領域(U’)」とは、一辺600μmの正方形501で囲まれた領域(U’1)、一辺600μmの正方形502で囲まれた領域(U’2)、一辺600μmの正方形503で囲まれた領域(U’3)、及び、一辺600μmの正方形504で囲まれた領域(U’4)を指す。
更に、図3(b)に示された「凹部130」に着目すると、「凹部130」は、一辺600μmの正方形50で囲まれた領域(U)内に存在する凹部であるが、当該領域(U)と隣接する一辺600μmの正方形501で囲まれた領域(U’1)内、一辺600μmの正方形502で囲まれた領域(U’2)内、及び一辺600μmの正方形504で囲まれた領域(U’4)内まで延びた形状を有している。
図3(b)に示された「凹部130」のように、領域(U)内だけでなく、当該領域(U)と隣接する他の領域(U’)まで延びた形状を有する凹部が表面(α)上に存在することで、エア抜け性をより向上させた粘着シートとなる。
また、樹脂層の表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部は、当該領域(U)と隣接する1以上の他の領域(U’)だけでなく、更に他の領域(U’)と隣接する領域(U)以外の領域(U’’)へも、更に連続して延びた形状であることが好ましい。
例えば、図3(b)に示された「凹部130」は、領域(U)と隣接する領域(U’4)だけでなく、領域(U’4)と隣接する領域(U’5)へも、更に連続した延びた形状を有している。
<その他の好適な要件>
また、エア抜け性、外観、粘着特性、及び抜き加工性等の特性をバランス良く向上させた粘着シートとする観点から、本発明の一態様である粘着シートの樹脂層の表面(α)上の平坦面の形状が、不定形であることが好ましい。
本発明において、「表面(α)上の平坦面」とは、樹脂層の表面(α)上において、複数の凹部が占める範囲を除いた表面であって、被着体と貼付時に当該被着体と貼合する面を意味する。そのため、当該表面(α)に存在する平坦面は、粘着シートの粘着力に影響を及ぼす箇所である。
図3(a)に示された平面模式図において、「平坦面」とは、樹脂層の表面(α)12aのうち、複数の凹部13を除いた網掛け部分15を指す。
また、「平坦面の形状が不定形」とは、平坦面の形状が、図3(a)に示す樹脂層の表面(α)12aの網掛け部分15、及び図6(a)のデジタル顕微鏡写真上に示す平坦面15等の形状のように、円や楕円等の中心を作図可能な図形、及び多角形等といった定形の形状を有さず、形に規則性が無く、個々の形状に類似性が見られない形状であることを意味し、具体的には、図3に示す平坦面15及び凹部13の形状が該当する。
なお、ここでいう、不定形の形状から除外している「多角形」とは、その内部に(外部にはみ出さずに)対角線を作図可能な図形であって、内角の和が180×n(度)(nは自然数)の直線で囲まれた図形を指す。当該多角形は、その角部がアール状の湾曲形状であるものも含まれる。
また、円や楕円等の中心を作図可能な図形、及び多角形等といった定形の形状を有さず、所定の繰り返しパターンを持たない形状であることを意味する。つまり、エンボスパターンを有する剥離材を樹脂層の表面に押し付ける等のエンボスパターンの転写により形成される平坦面の形状は除外される。
なお、「表面(α)上の平坦面の形状が不定形である」か否かの判断は、対象となる粘着シートの樹脂層の表面(α)側から表面(α)上の平坦面の形状を目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して判断するのが原則である。
ただし、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)を10領域選択し、各領域(V)内に存在する「平坦面の形状」を目視又はデジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で、表面(α)側から平面視(必要に応じて立体視)して観察した際、選択した10領域のいずれにおいても、各領域に存在する「平坦面の形状」が不定形であると判断された場合には、対象となる粘着シートは、表面(α)上の平坦面の形状が不定形であるという要件を満たすものとみなすことができる。当該領域(V)がデジタル顕微鏡の撮影可能領域より大きい場合には、互いに隣り合わせの撮影可能領域を撮影した複数の画像をつなぎ合わせた画像を、領域(V)内を観察した画像として、上記の判断に用いてもよい。
また、上述した平坦面の形状観察は、上記倍率にて直接デジタル顕微鏡で観察する方法でもよく、上記倍率にてデジタル顕微鏡を用いて画像を取得し、当該画像に示された平坦面の形状を目視で観察する方法でもよい。また、当該平坦部の形状が不定形であることが、樹脂層の表面(α)側から目視により視認できることが好ましい。
また、本発明の粘着シートの前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付した際の被着体との貼付面面積の割合(以下、「貼付面面積率」ともいう。)は、好ましくは10〜95%である。
ここで、当該被着体との貼付面面積の割合が10%以上であると、樹脂層の表面(α)と被着体との接着面を十分に確保でき、粘着特性が向上し、剥がれが発生する可能性を低減できる。
一方、当該被着体との貼付面面積の割合が95%以下であれば、粘着シートのエア抜け性が十分となり、被着体に貼付した時に生じ得る空気溜まりを除去しやすくなる。
上記観点から、上述の被着体との貼付面面積の割合は、より好ましくは20〜93%、更に好ましくは30〜90%、より更に好ましくは35〜85%、より更に好ましくは40〜80%であり、より更に好ましくは45〜75%である。
本発明において、「本発明の粘着シートの前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付した際の被着体との貼付面面積の割合」の値とは、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
また、本発明の一態様の粘着シートにおいて、前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付し表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)内に存在する全ての凹部の全面積に対する、領域(Vs)内に存在する他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合が、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、更に好ましくは100%である。
当該被着体に貼付した際の樹脂層の表面(α)を平面視した際に、領域(Vs)内に存在する全ての凹部の全面積に対する、領域(Vs)内に存在する他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合の確認方法は、次のとおりである。すなわち、対象となる粘着シートについて、被着体に貼付した際の樹脂層の表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)内に存在する複数の凹部の形状を、デジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察してそれらの面積を測定し、当該領域(Vs)内で観察された当該複数の凹部の面積の合計面積に対して、他の凹部とは異なる形状を有する凹部(すなわち、上述した互いに異なる形状を有する凹部に相当)の面積の合計面積が好ましくは95%以上(より好ましくは98%以上、更に好ましくは100%)であれば、領域(Vs)内に存在する全ての凹部の全面積に対する、領域(Vs)内に存在する他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合が95%以上を満たす粘着シートであると判断する。なお、上述の領域(Vs)内に存在する他の凹部とは異なるかどうかの判断は、上記倍率にてデジタル顕微鏡を用いて画像を取得し、当該凹部の面積や周囲長を測定して数値が同じかどうかで判断してもよいし、当該画像に示された複数の凹部の形状を目視で観察して判断する方法でもよい。
ここで、「他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合が100%」とは、「領域(Vs)内で観察された複数の凹部のすべてが互いに異なる形状を有している」ことを意味する。
上記の観察を行う場合に用いる被着体としては、「平滑面を有する透光性被着体」を用いる。当該「平滑面を有する透光性被着体」の「平滑面」とは、JIS B0601:2001で規定する中心線平均粗さ(Ra75)が0.1μm以下の面のことを意味する。
また、「透光性」とは、JIS K7105に準拠して測定される全光線透過率が70%以上の特性を意味する。
当該透光性被着体の材料は、特に制限は無いが、上記規定の平滑面を有する透光性被着体としやすいとの観点及び目視又はデシタル顕微鏡で観察する観点から、ガラスが好ましい。
上記の評価結果としては、より具体的には、後述する実施例に記載の方法に基づき判断する。
なお、本発明の粘着シートの貼付対象となる被着体としては、平滑面の有無や、透光性の有無は、特に限定されず、例えば、曲面からなる透光性の被着体であってもよい。
また、エア抜け性を向上させた粘着シートとする観点から、表面(α)における透光性被着体の平滑面との前記接触部分の形状が、表面(α)と透光性被着体の平滑面とを貼付した際に、透光性被着体側から目視により視認できることが好ましい。
また、本発明の一態様の粘着シートにおいて、前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に存在する平坦面の全面積が、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは3.0mm以上、より更に好ましくは4.0mm以上、より更に好ましくは5.0mm以上である。また、好ましくは8.5mm以下、より好ましくは7.3mm以下、更に好ましくは6.2mm以下、より更に好ましくは5.8mm以下である。
また、本発明の一態様である粘着シートにおいて、前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に、表面(α)上に直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する少なくとも1個の平坦面が存在することが好ましく、直径150μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する少なくとも1個の平坦面が存在することがより好ましく、直径200μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する少なくとも1個の平坦面が存在することが更に好ましい。
また、本発明の一態様の粘着シートにおいて、前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に、0.1mm以上の面積を有する平坦面が少なくとも1つ以上存在することが好ましく、0.2mm以上の面積を有する平坦面が少なくとも1つ以上存在することがより好ましく、0.3mm以上の面積を有する平坦面が少なくとも1つ以上存在することが更に好ましく、0.5mm以上の面積を有する平坦面が少なくとも1つ以上存在することがより更に好ましく、1.0mm以上の面積を有する平坦面が少なくとも1つ以上存在することがより更に好ましい。また、平坦面の面積の最大値としては、好ましくは8.5mm以下、より好ましくは7.3mm以下、更に好ましくは6.2mm以下、より更に好ましくは5.8mm以下である。
当該樹脂層の表面(α)を平面視した際に、領域(V)内に存在する各平坦面の面積、直径100μmの円(150μmの円、又は200μmの円)で囲まれた領域を選択可能な広さを有する少なくとも1個の平坦面が存在するか否かの判断、及び全ての平坦面の面積(全面積)の確認方法は、次のとおりである。すなわち、対象となる粘着シートについて、被着体に貼付する前の樹脂層の表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域で囲まれた領域(V)内に存在する複数の平坦面の形状を、デジタル顕微鏡(倍率:30〜100倍)で観察して各平坦面の面積を測定し、当該領域(V)内で観察された当該複数の平坦面の面積の合計面積を平坦面の全面積とする。なお、当該領域(V)内の各平坦面の面積、及び全ての平坦面の面積(全面積)の確認には、上記倍率にてデジタル顕微鏡を用いて画像を取得し、当該画像に示された平坦面の面積を測定することによって確認することができる。また、直径100μmの円(150μmの円、又は200μmの円)で囲まれた領域を選択可能な広さを有する少なくとも1個の平坦面が存在するか否かの判断は、当該画像又は画像解析ソフトを用いて2値化した画像から確認することができる。より具体的には、後述する実施例に記載の方法に基づき判断する。
以下、本発明の粘着シートの各構成について説明する。
〔基材〕
本発明で用いる基材は、MD方向の曲げ応力係数kが20.0N・mm以下であり、かつ、MD方向の10%伸長時強度が260N/15mm以下である。
ここで曲げ応力係数kとは、基材のヤング率と厚さから算出される係数であって、下記の式(1)により得られる値である。
k=E×h・・・(1)
(k:曲げ応力係数 [N・mm]、E:ヤング率[N/mm]、h:厚さ[mm])
より具体的には、後述する実施例に記載の方法により得られる。
本発明で用いる基材のMD方向の曲げ応力係数kが、20.0N・mmを超えると、本発明の粘着シートの折込み貼付性が悪化する。したがって、粘着シートの優れた折込み貼付性を得る観点から、当該MD方向の曲げ応力係数kの値は、好ましくは10.0N・mm以下、より好ましくは3.50N・mm以下、更に好ましくは1.50N・mm以下、より更に好ましくは1.00N・mm以下、より更に好ましくは0.90N・mm以下である。
なお、その下限は、本発明の効果を損なわない範囲において、特に制限されないが、好ましくは0.005N・mm以上、より好ましくは0.01N・mm以上である。
また、本発明で用いる基材のMD方向の10%伸長時強度が260N/15mmを超えると、本発明の粘着シートの折込み貼付性が悪化する。したがって、粘着シートの優れた折込み貼付性を得る観点から、当該MD方向の10%伸長時強度は、好ましくは210N/15mm以下、より好ましくは150N/15mm以下、更に好ましくは100N/15mm以下、より更に好ましくは50N/15mm以下である。
なお、その下限は、本発明の効果を損なわない範囲において、特に制限されないが、好ましくは0.5N/15mm以上、より好ましくは1.0N/15mm以上である。
また、本発明で用いる基材は、MD方向のヤング率Eが、粘着シートのより良好な折込み貼付性を得る観点から、好ましくは7,000MPa以下、より好ましくは4,500MPa以下、更に好ましくは3,000MPa以下、より更に好ましくは2,000MPa以下、より更に好ましくは1,500MPa以下である。
なお、その下限は、本発明の効果を損なわない範囲において、特に制限されないが、好ましくは50MPa以上、より好ましくは100MPa以上である。
本発明で用いる基材としては、MD方向の曲げ応力係数k、及びMD方向の10%伸長時強度が、上述した数値範囲を満たす限りは特に制限はなく、例えば、紙基材、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられ、本発明の一態様の粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。
紙基材を構成する紙としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
樹脂フィルム又はシートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
紙基材を樹脂でラミネートした基材としては、上記の紙基材を、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
これらの基材の中でも、上記のMD方向のヤング率E、MD方向の曲げ応力係数k、及びMD方向の10%伸長時強度が、上述した数値範囲に調整することが容易である観点から、樹脂フィルム又はシートが好ましく、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルム又はシート、ポリエステル系樹脂からなるフィルム又はシート、ポリ塩化ビニルからなるフィルム又はシートがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルム又はシート、ポリ塩化ビニルからなるフィルム又はシートが更に好ましい。
また、本発明の粘着シートを耐熱性が要求される用途に使用する場合には、ポリエチレンナフタレート及びポリイミド系樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましく、耐候性が要求される用途に使用する場合には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、及びフッ素樹脂から選ばれる樹脂から構成されるフィルム又はシートが好ましい。
基材の厚さは、本発明の粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、上記MD方向の曲げ応力係数k、及びMD方向の10%伸長時強度が、上述した数値範囲に調整することが容易である観点から、好ましくは5〜1,000μm、より好ましくは10〜500μm、更に好ましくは12〜250μm、より更に好ましくは15〜150μmである。
なお、基材には、更に紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
また、本発明で用いる基材としては、上述の樹脂フィルム又はシートの表面上に金属層を有する基材であってもよい。
当該金属層の形成する金属としては、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等の金属光沢を有する金属が挙げられる。
当該金属層の形成方法としては、例えば、上記金属を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法により蒸着する方法、又は、上記金属からなる金属箔を一般的な粘着剤を用いて貼付する方法等が挙げられ、上記金属をPVD法により蒸着する方法が好ましい。
更に、基材として樹脂フィルム又はシートを用いる場合、これらの樹脂フィルム又はシート上に積層する樹脂層との密着性を向上させる観点から、樹脂フィルム又はシートの表面に対して、酸化法や凹凸化法等による表面処理、あるいはプライマー処理を施してもよい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、熱風処理、オゾン、及び紫外線照射処理等が挙げられ、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
〔樹脂層〕
本発明の粘着シートが有する樹脂層は、樹脂を含み、上述した表面(α)に関する要件(I)〜(III)を満たすものであれば、特に制限されないが、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含むことが好ましい。
また、本発明の粘着シートは、少なくとも基材が設けられた側とは反対側の当該樹脂層の表面(α)が粘着性を有しているが、基材が設けられた側の当該樹脂層の表面(β)も粘着性を有していてもよい。
なお、当該樹脂層が含む樹脂とは、例えば、後述する樹脂部分(X)中に含まれる樹脂が挙げられる。
本発明の粘着シートが有する樹脂層の好適な一態様としては、樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)以外に、更に空隙部分(Z)を有することが好ましい。樹脂層中に空隙部分(Z)を有することで、粘着シートの耐ブリスター性を向上させることができる。
この空隙部分(Z)は、前記微粒子同士の間に存在する空隙や、前記微粒子が二次粒子である場合、当該二次粒子内に存在する空隙等も含まれる。
なお、当該樹脂層が後述する多層構造を有する多層構造体である場合、樹脂層の形成過程や形成直後において、空隙部分(Z)が存在していたとしても、空隙部分(Z)に樹脂部分(X)が流入して、空隙が消失し、空隙部分(Z)が無い樹脂層となることもある。
しかしながら、このように樹脂層中に一時期存在していた空隙部分(Z)が消失した場合であっても、本発明の一態様である粘着シートが有する樹脂層は、表面(α)上に凹部を有するため、エア抜け性及び耐ブリスター性に優れたものとなり得る。
また、本発明の一態様である粘着シートが有する樹脂層の100℃における剪断貯蔵弾性率は、粘着シートのエア抜け性及び耐ブリスター性の向上の観点から、好ましくは9.0×10Pa以上、より好ましくは1.0×10Pa以上、更に好ましくは2.0×10Pa以上である。
なお、本発明において、樹脂層の100℃における剪断貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製、装置名「DYNAMIC ANALYZER RDA II」)を用いて、周波数1Hzで測定することにより測定した値を意味する。
樹脂層の厚さは、好ましくは1〜300μm、より好ましくは5〜150μm、更に好ましくは10〜75μmである。
本発明の一態様である粘着シートの表面(α)を、被着体に貼付した際の粘着力としては、好ましくは0.5N/25mm以上、より好ましくは2.0N/25mm以上、更に好ましくは3.0N/25mm以上、より更に好ましくは4.0N/25mm以上、より更に好ましくは7.0N/25mm以上である。
なお、当該粘着力の値は、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
<樹脂層の多層構造体>
樹脂層としては、2種以上の層から構成された多層構造体であってもよい。
このような多層構造体である樹脂層としては、例えば、図1の粘着シート1a及び1bのような、基材が設けられた側から、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)、粒子部分(Y)を15質量%以上含む層(Y1)、及び主に樹脂部分(X)を含む層(Xα)をこの順で積層した多層構造体が挙げられる。
なお、樹脂層の多層構造体の構成においては、積層する2つの層の境界が判別できずに、混層した状態であってもよい。
つまり、図1の粘着シート1aが有する樹脂層12においては、層(Xβ)と層(Y1)との境界、及び/又は、層(Y1)と層(Xα)との境界が判別できずに、混層した構成であってもよい。
以下、図1の粘着シート1aが有する、層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)の3層から構成された樹脂層12を一例として、多層構造体である樹脂層の構成について説明する。
層(Xβ)及び層(Xα)は、主に樹脂部分(X)を含む層であるが、粒子部分(Y)を含んでいてもよい。ただし、層(Xβ)及び層(Xα)中の粒子部分(Y)の含有量は、それぞれ独立に、層(Xβ)又は層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、15質量%未満であり、かつ層(Xβ)又は層(Xα)中の樹脂の含有量よりも少ない。
つまり、粒子部分(Y)の含有量の点において、層(Xβ)及び層(Xα)と、層(Y1)とは区別される。
なお、層(Xβ)及び層(Xα)は、樹脂部分(X)及び粒子部分(Y)以外に、更に上述の空隙部分(Z)を有してもよい。
層(Xβ)及び層(Xα)中の樹脂部分(X)の含有量としては、それぞれ独立に、層(Xβ)又は層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、通常85質量%超であり、好ましくは87〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
なお、上記の「樹脂部分(X)の含有量」は、層(Xβ)又は層(Xα)中に含まれる樹脂部分(X)を構成する、樹脂、粘着付与剤、架橋剤、及び汎用添加剤等の微粒子以外の成分の合計含有量を意味する。
層(Xβ)及び層(Xα)中の粒子部分(Y)を構成する微粒子の含有量としては、それぞれ独立に、層(Xβ)又は層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、15質量%未満であるが、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0質量%である。
なお、本発明において、「層(Xβ)及び層(Xα)中の微粒子の含有量」は、当該層(Xβ)又は層(Xα)の形成材料である樹脂組成物の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))中の微粒子の含有量とみなすこともできる。
層(Xα)中の樹脂の含有量としては、層(Xα)の全質量(100質量%)に対して、通常30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%である。
一方、層(Xβ)中の樹脂の含有量としては、層(Xβ)の全質量(100質量%)に対して、通常50〜100質量%、好ましくは65〜100質量%、より好ましくは75〜100質量%、更に好ましくは85〜100質量%である。
なお、本発明において、「層(Xβ)及び層(Xα)中の樹脂の含有量」は、当該層(Xβ)又は層(Xα)の形成材料である樹脂組成物の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))中の樹脂の含有量とみなすことができる。
層(Y1)は、粒子部分(Y)のみからなる層であってもよく、粒子部分(Y)と共に樹脂部分(X)を含む層であってもよく、更に空隙部分(Z)を有する層であってもよい。
層(Y1)中の粒子部分(Y)を構成する微粒子の含有量としては、層(Y1)の全質量(100質量%)に対して、15質量%以上であるが、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
層(Y1)中の樹脂の含有量としては、層(Y1)の全質量(100質量%)に対して、通常0〜85質量%、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、より更に好ましくは20〜65質量%である。
なお、本発明において、「層(Y1)中の微粒子の含有量」及び「層(Y1)中の樹脂の含有量」は、当該層(Y1)の形成材料である組成物の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))中の微粒子又は樹脂の含有量とみなすこともできる。
本発明の一態様において、層(Xα)は、樹脂を含み、微粒子の含有量が15質量%未満である組成物(xα)から形成された層であることが好ましい。
同様に、層(Xβ)も、樹脂を含み、微粒子の含有量が15質量%未満である組成物(xβ)から形成された層であることが好ましい。
また、上記層(Y1)は、微粒子を15質量%以上含む組成物(y)から形成された層であることが好ましい(最大100質量%)。
なお、組成物(xα)、組成物(xβ)、及び組成物(y1)の好適な態様(含有成分、含有量等)については、後述のとおりである。
<樹脂部分(X)>
上記の好適な一態様である樹脂層を構成する樹脂部分(X)は、主成分として樹脂を含む。
なお、本発明において、樹脂部分(X)は、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む樹脂層である場合、当該樹脂層中に含まれる微粒子以外の成分を含む部分であって、その点で粒子部分(Y)とは区別される。
樹脂部分(X)は、樹脂を主成分とし、樹脂以外にも、架橋剤や汎用添加剤が含まれていてもよい。
樹脂部分(X)中の樹脂の含有量は、樹脂部分(X)の全量(100質量%)に対して、通常40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂部分(X)の形成材料となる樹脂組成物の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))中の樹脂の含有量の値を、上記「樹脂部分(X)中の樹脂の含有量」とみなすこともできる。
樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂としては、形成される樹脂層の表面(α)に粘着性を発現させる観点から、粘着性樹脂を含むことが好ましい。
特に、図1(a)の粘着シート1a等のように、樹脂層が、基材側から、層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)をこの順で積層した多層構造を有する場合には、上記観点から、少なくとも層(Xα)は、粘着性樹脂を含むことが好ましい。
当該粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
これらの粘着性樹脂の中でも、粘着特性及び耐候性が良好であり、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
アクリル系樹脂の含有量は、樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂の総量(100質量%)に対して、好ましくは25〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
また、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、樹脂部分(X)が、官能基を有する樹脂を含むことが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂を含むことがより好ましい。
特に、図1(a)の粘着シート1a等のように、樹脂層が、基材側から、層(Xβ)、層(Y1)、及び層(Xα)をこの順で積層した多層構造体である場合には、上記観点から、少なくとも層(Y1)は、官能基を有する樹脂を含むことが好ましい。
当該官能基は、架橋剤との架橋起点となる基であって、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、シアノ基、ケト基、アルコキシシリル基等が挙げられるが、カルボキシ基が好ましい。
なお、樹脂部分(X)が、前記官能基を有する樹脂と共に、更に架橋剤を含有することが好ましい。特に、樹脂層が上記多層構造体である場合には、少なくとも層(Y1)は、前記官能基を有する樹脂と共に、架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;並びに、これらの化合物のビウレット体、イソシアヌレート体、及び、低分子活性水素含有化合物(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等)との反応物であるアダクト体;等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−(2−メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤には、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等であるキレート化合物が挙げられるが、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、アルミニウムキレート系架橋剤が好ましい。
アルミニウムキレート系架橋剤としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート等が挙げられる。
なお、これらの架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、樹脂部分(X)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤を含むことが更に好ましい。
架橋剤の含有量は、官能基を有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
また、本発明の樹脂層の一態様としては、樹脂層の表面(α)に凹部を形成しやすくする観点から、樹脂部分(X)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましい。
樹脂部分(X)が金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含む場合、上記観点から、金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との含有比[金属キレート系架橋剤/エポキシ系架橋剤]としては、質量比で、好ましくは10/90〜99.5/0.5、より好ましくは50/50〜99.0/1.0、更に好ましくは65/35〜98.5/1.5、より更に好ましくは75/25〜98.0/2.0である。
また、樹脂部分(X)には、汎用添加剤を含有していてもよい。
汎用添加剤としては、例えば、粘着付与剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、顔料、染料、遅延剤、反応促進剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの汎用添加剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの汎用添加剤を含有する場合、それぞれの汎用添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001〜60質量部、より好ましくは0.001〜50質量部である。
樹脂部分(X)に含まれる前記樹脂は、1種のみでもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の粘着シートが有する好適な一態様である樹脂層の樹脂部分(X)の形成材料としては、官能基を有する粘着性樹脂を含む粘着剤であることが好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂(A)(以下、単に「アクリル系樹脂(A)」ともいう)を含むアクリル系粘着剤であることがより好ましく、官能基を有するアクリル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含むアクリル系粘着剤であることが更に好ましい。
当該アクリル系粘着剤は、溶媒型、エマルション型のいずれであってもよい。
以下、樹脂部分(X)を形成材料として好適な、上記のアクリル系粘着剤について説明する。
当該アクリル系粘着剤中に含まれるアクリル系樹脂(A)としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは5万〜150万、より好ましくは15万〜130万、更に好ましくは25万〜110万、より更に好ましくは35万〜90万である。
アクリル系樹脂(A)としては、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう)に由来する構成単位(a1)、及び官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう)に由来する構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)を含むことが好ましく、アクリル系共重合体(A1)であることがより好ましい。
アクリル系共重合体(A1)の含有量は、アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂(A)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
なお、アクリル系共重合体(A1)の共重合の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、より好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜8、より更に好ましくは4〜6である。
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは50〜99.5質量%、より好ましくは60〜99質量%、更に好ましくは70〜95質量%、より更に好ましくは80〜93質量%である。
モノマー(a2’)としては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基含有モノマーがより好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
構成単位(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%、より更に好ましくは7〜20質量%である。
なお、アクリル系共重合体(A1)は、上記モノマー(a1’)及び(a2’)以外のその他のモノマー(a3’)に由来する構成単位(a3)を有していてもよい。
その他のモノマー(a3’)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
構成単位(a3)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、更に好ましくは0〜10質量%、より更に好ましくは0〜5質量%である。
なお、上述のモノマー(a1’)〜(a3’)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(A1)成分の合成方法については、特に限定されるものではなく、例えば、原料モノマーを溶媒中に溶解して、重合開始剤、連鎖移動剤等の存在下で溶液重合する方法や、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤、分散剤等の存在下で、原料モノマーを用いて水系でエマルション重合する方法にて製造される。
前記アクリル系粘着剤中に含まれる架橋剤(B)としては、上述のものが挙げられるが、粘着特性を良好とする観点、並びに、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤を含むことが更に好ましい。
また、樹脂層の表面(α)上の複数の凹部の形状維持性を良好とする観点から、架橋剤(B)としては、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましい。
架橋剤(B)の含有量は、前記アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を併用する場合、金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との含有比[金属キレート系架橋剤/エポキシ系架橋剤]としては、質量比で、好ましくは10/90〜99.5/0.5、より好ましくは50/50〜99.0/1.0、更に好ましくは65/35〜98.5/1.5、より更に好ましくは75/25〜98.0/2.0である。
前記アクリル系粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、汎用添加剤を含有してもよい。汎用添加剤としては、上述のものが挙げられ、また当該汎用添加剤の含有量も、上述のとおりである。
また、前記アクリル系粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、アクリル系樹脂(A)以外の粘着性樹脂(例えば、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等)を含有していてもよい。
アクリル系粘着剤中のアクリル系樹脂(A)の含有量は、アクリル系粘着剤に含まれる粘着性樹脂の総量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
<粒子部分(Y)>
上記の好適な一態様である樹脂層を構成する粒子部分(Y)は微粒子からなる。
当該微粒子の平均粒径としては、粘着シートのエア抜け性向上、外観向上、及び耐ブリスター性の向上の観点、並びに、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜25μm、更に好ましくは0.1〜10μmである。
上記の好適な一態様である樹脂層で用いる微粒子としては、特に制限はなく、例えば、シリカ粒子、酸化金属粒子、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ、スメクタイト等の無機粒子や、アクリルビーズ等の有機粒子等が挙げられる。
これらの微粒子の中でも、シリカ粒子、酸化金属粒子、及びスメクタイトから選ばれる1種以上が好ましく、シリカ粒子がより好ましい。
上記の好適な一態様である樹脂層で用いるシリカ粒子は、乾式シリカ及び湿式シリカのいずれであってもよい。
また、上記の好適な一態様である樹脂層で用いるシリカ粒子は、反応性官能基を有する有機化合物等で表面修飾された有機修飾シリカ、アルミン酸ナトリウムや水酸化ナトリウム等の無機化合物で表面処理された無機修飾シリカ、並びに、これらの有機化合物及び無機化合物で表面処理された有機無機修飾シリカ、シランカップリング剤等の有機無機ハイブリッド材料で表面処理された有機無機修飾シリカ等であってもよい。
なお、これらのシリカ粒子は、2種以上からなる混合物であってもよい。
シリカ粒子中におけるシリカの質量濃度は、シリカ粒子の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、より更に好ましくは85〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%である。
また、本発明の一態様で用いるシリカ粒子の体積平均二次粒子径は、粘着シートのエア抜け性向上及び外観向上の観点、並びに、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜8μm、更に好ましくは1.5〜5μmである。
なお、本発明において、シリカ粒子の体積平均二次粒子径の値は、マルチサイザー・スリー機等を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた値である。
酸化金属粒子としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、及びこれらの複合酸化物から選ばれる酸化金属からなる粒子等が挙げられ、これらの酸化金属からなるゾル粒子も含まれる。
スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ノントロナイト、ソーコナイト等が挙げられる。
上記の好適な一態様である樹脂層を800℃で30分間加熱した後の質量保持率は、好ましくは3〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは7〜70質量%、より更に好ましくは9〜60質量%である。
当該質量保持率は、樹脂層中に含まれる微粒子の含有量(質量%)を示すとみなすことができる。
当該質量保持率が3質量%以上であれば、エア抜け性及び耐ブリスター性に優れた粘着シートとなり得る。また、本発明の好適な一態様である粘着シートの製造時において、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部が形成されやすくなる。一方、当該質量保持率が90質量%以下であれば、樹脂層の膜強度が高く、外観、耐水性、及び耐薬品性が優れた粘着シートとなり得る。
〔剥離材〕
本発明の粘着シートの一態様としては、上述した樹脂層上に、更に剥離材を有していてもよい。用いる剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。なお、当該剥離処理面は、凹凸形状が形成されておらず、平坦である剥離材(例えば、エンボスパターンが施されていない剥離材)が好ましい。
剥離材用の基材としては、例えば、本発明の一態様の粘着シートが有する基材として用いられる上述の紙基材や、樹脂フィルム又はシート、紙基材を樹脂でラミネートした基材等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜170μm、更に好ましくは35〜80μmである。
〔粘着シートの製造方法〕
次に、本発明の粘着シートの製造方法について説明する。
本発明の粘着シートの製造方法としては、特に制限はないが、生産性の観点、並びに、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、例えば、下記工程(1)及び(2)を有する方法が好ましい。
工程(1):主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)、及び前記微粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程
工程(2):工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥させる工程
<工程(1)>
工程(1)は、主成分として樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)、及び前記微粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を形成する工程である。
組成物(x)は、樹脂部分(X)の形成材料であり、上述の樹脂と共に、架橋剤を含有することが好ましく、更に上述の汎用添加剤を含有してもよい。
また、組成物(y)は、粒子部分(Y)の形成材料であるが、更に樹脂や架橋剤、上述の汎用添加剤が含まれていてもよい。これらの樹脂等の成分が含まれている組成物(y)は、樹脂部分(X)の形成材料ともなる。
(組成物(x))
組成物(x)中に含有する樹脂としては、上述の樹脂部分(X)を構成する樹脂が挙げられ、官能基を有する粘着性樹脂が好ましく、上述の官能基を有するアクリル系樹脂(A)がより好ましく、上述のアクリル系共重合体(A1)が更に好ましい。
組成物(x)中の樹脂の含有量は、組成物(x)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、通常40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
また、組成物(x)中に含有する架橋剤としては、上述の樹脂部分(X)中に含有する架橋剤が挙げられるが、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤を含むことが更に好ましい。
また、形成される樹脂層の表面(α)上の複数の凹部の形状維持性を良好とする観点から、樹脂部分(X)が、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが好ましく、アルミニウムキレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことがより好ましい。
組成物(x)が金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含む場合、組成物(x)中の金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との含有比[金属キレート系架橋剤/エポキシ系架橋剤]としては、質量比で、好ましくは10/90〜99.5/0.5、より好ましくは50/50〜99.0/1.0、更に好ましくは65/35〜98.5/1.5、より更に好ましくは75/25〜98.0/2.0である。
架橋剤の含有量は、組成物(x)中に含有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
組成物(x)としては、上述の官能基を有するアクリル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含むアクリル系粘着剤であることが好ましく、上述のアクリル系共重合体(A1)及び架橋剤(B)を含むアクリル系粘着剤であることがより好ましい。
なお、上記アクリル系粘着剤の詳細は、上述のとおりである。
組成物(x)中には、上述の微粒子を含有していてもよいが、当該微粒子の含有量は15質量%未満であり、かつ、組成物(x)中に含まれる樹脂の含有量よりも少ない。
具体的な微粒子の含有量としては、組成物(x)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、15質量%未満であるが、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、より更に好ましくは0質量%である。
(組成物(y))
組成物(y)は、粒子部分(Y)の形成材料であり、少なくとも上述の微粒子を15質量%以上含むが、微粒子の分散性の観点から、微粒子と共に、樹脂を含有することが好ましく、更に当該樹脂と共に架橋剤を含有することがより好ましい。また、組成物(y)は、汎用添加剤を含んでもよい。
なお、これらの樹脂、架橋剤、及び汎用添加剤は、樹脂部分(X)の形成材料となる。
組成物(y)中に含まれる微粒子としては、上述のものが挙げられるが、樹脂層中に空隙部分(Z)を形成し、耐ブリスター性を向上させた粘着シートとする観点から、シリカ粒子、酸化金属粒子、及びスメクタイトから選ばれる1種以上が好ましい。
組成物(y)中の微粒子の含有量は、樹脂層の表面(α)上に、樹脂層の自己形成化によって形成される不定形の凹部を形成しやすくする観点から、組成物(y)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、15質量%以上であるが、好ましくは20〜100質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは30〜85質量%、より更に好ましくは35〜80質量%である。
組成物(y)中に含まれる樹脂としては、上述の組成物(x)に含まれる樹脂と同じものが挙げられ、組成物(x)と同じ樹脂を含むことが好ましい。なお、これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、組成物(y)中に含まれるより具体的な樹脂としては、官能基を有する樹脂が好ましく、上述の官能基を有するアクリル系樹脂(A)がより好ましく、上述のアクリル系共重合体(A1)が更に好ましい。
組成物(y)中の樹脂の含有量は、組成物(y)の全量(100質量%(ただし、希釈溶媒を除く))に対して、通常0〜85質量%、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、より更に好ましくは20〜65質量%である。
また、組成物(y)中に含有する架橋剤としては、上述の樹脂部分(X)中に含有する架橋剤が挙げられるが、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、金属キレート系架橋剤を含むことがより好ましく、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含むことが更に好ましい。また、当該金属キレート系架橋剤としては、アルミニウムキレート系架橋剤が好ましい。
なお、組成物(y)が金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を共に含む場合、金属キレート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との好適な含有比(質量比)の範囲は、上述の組成物(x)と同じである。
架橋剤の含有量は、組成物(y)中に含有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜7.0質量部である。
(塗膜(x’)、(y’)の形成方法)
なお、塗膜を形成する際に、塗膜を形成しやすくするため、組成物(x)及び(y)に、溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とすることが好ましい。
このような溶媒としては、水や有機溶媒等が挙げられる。
当該有機溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。なお、これらの溶媒は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
本工程で形成される塗膜(x’)及び(y’)の積層する順序は特に限定されないが、塗膜(y’)上に塗膜(x’)が積層するように形成されることが好ましい。
塗膜(x’)及び(y’)の形成方法としては、塗膜(y’)を形成した後、塗膜(y’)上に、塗膜(x’)を逐次形成する方法でもよく、また、生産性の観点から、塗膜(y’)及び塗膜(x’)を多層コーターで同時塗布し形成する方法でもよい。
逐次形成する際に用いるコーターとしては、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。
多層コーターで同時塗布する際に用いるコーターとしては、例えば、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられるが、これらの中でも、操作性の観点から、ダイコーターが好ましい。
なお、本工程(1)において、塗膜(x’)及び塗膜(y’)の少なくとも一方の形成後に、工程(2)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
本工程(1)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲に適宜設定されるが、好ましくは工程(2)での乾燥温度未満である。「工程(2)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥させる工程である。
本工程にて、形成した塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥させることで、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む樹脂層が形成されると共に、当該樹脂層の表面(α)に、複数の凹部がより形成されやすくなる。
本工程における乾燥温度としては、形成される樹脂層の表面(α)に、上述の要件(I)〜(III)を満たす複数の凹部を形成しやすくする観点から、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
当該乾燥温度が35℃以上であれば、エア抜け性が良好な粘着シートを得ることができる。一方、当該乾燥温度が200℃以下であれば、粘着シートが有する基材や剥離材が収縮するといった不具合を抑えることができる。
なお、当該乾燥温度が低いほど、形成される凹部の高低差が大きくなるが、形成される凹部の数が減少する傾向がある。
なお、本工程により形成される樹脂層の粒子部分(Y)の周辺において、空隙部分(Z)が形成されやすい。また、上述の組成物(y)中に含有する微粒子として、シリカ粒子、酸化金属粒子、及びスメクタイトから選ばれる1種以上を用いることで、空隙部分(Z)が、容易に形成されやすくなる。
また、図1(a)の粘着シート1a等のように、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)、粒子部分(Y)を15質量%以上含む層(Y1)、及び主に樹脂部分(X)を含む層(Xα)をこの順で積層した多層構造体である樹脂層を有する粘着シートを製造する場合には、以下に示す第1及び第2の態様の製造方法が好ましい。
なお、以下の第1及び第2の態様の製造方法の記載において、「主成分として樹脂を含む組成物(xβ)又は(xα)」は、上述の組成物(x)と同じであり、組成物(xβ)又は(xα)中に含まれる各成分の詳細(成分の種類、好適な成分、成分の含有量等)も同じである。また、「微粒子を15質量%以上含む組成物(y)」も、上述のとおりである。
〔第1の態様の製造方法〕
第1の態様の製造方法としては、少なくとも下記工程(1A)及び(2A)を有する。
工程(1A):剥離材又はMD方向の曲げ応力係数kが20N・mm以下であり、かつ、MD方向の10%伸長時強度が260N/15mm以下である基材上に、主成分として樹脂を含む組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)、前記微粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(xα)からなる塗膜(xα’)をこの順で積層して形成する工程
工程(2A):工程(1A)で形成した塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程
工程(1A)においても、組成物(xβ)、組成物(y)、及び組成物(xα)には、上述の溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)の形成方法としては、上記基材又は剥離材上に、塗膜(xβ’)を形成した後、塗膜(xβ’)上に塗膜(y’)を形成し、更に塗膜(y’)上に塗膜(xα’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
なお、本工程(1A)において、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)の1層以上の塗膜を形成後に、工程(2A)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
例えば、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)のそれぞれの塗膜の形成後に、その都度上記のプレ乾燥処理を行ってもよく、塗膜(xβ’)及び塗膜(y’)の形成後に、まとめて上記のプレ乾燥処理を行った後、塗膜(xα’)を形成してもよい。
本工程(1A)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲で適宜設定されるが、好ましくは工程(2A)での乾燥温度未満である。「工程(2A)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
工程(2A)は、工程(1A)で形成した塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程であるが、本工程における乾燥温度の好適範囲は、上述の工程(2)と同じである。本工程により、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む樹脂層が形成される。
〔第2の態様の製造方法〕
第1の態様の製造方法としては、少なくとも下記工程(1B)及び(2B)を有する。
工程(1B):剥離材又はMD方向の曲げ応力係数kが20N・mm以下であり、かつ、MD方向の10%伸長時強度が260N/15mm以下である基材上に設けられた、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)上に、前記微粒子を15質量%以上含む組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び主成分として樹脂を含む組成物(xα)からなる塗膜(xα’)をこの順で積層して形成する工程
工程(2B):工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程
工程(1B)において、「主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)」は、上述の主成分として樹脂を含む組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)を乾燥させて形成することができる。
層(Xβ)が組成物(xβ)から形成されるため、層(Xβ)には、樹脂以外にも、架橋剤や汎用添加剤等が含有していてもよい。層(Xβ)中の樹脂部分(X)の含有量としては、上述のとおりである。
層(Xβ)の形成方法としては、上記基材又は剥離材上に、主成分として樹脂を含む組成物(xβ)からなる塗膜(xβ’)を形成し、該塗膜(xβ’)を乾燥させて形成することができる。
このときの乾燥温度としては、特に制限はなく、好ましくは35〜200℃、より好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜160℃、より更に好ましくは80〜140℃である。
なお、本態様においては、塗膜(xβ’)上ではなく、乾燥後に得られた層(Xβ)上に、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)をこの順で形成する点で、上述の第1の態様とは異なる。
工程(1B)においても、組成物(y)及び組成物(xα)には、上述の溶媒を配合し、組成物の溶液の形態とした後、塗布することが好ましい。
塗膜(y’)及び塗膜(xα’)の形成方法としては、層(Xβ)上に、塗膜(y’)を形成した後、塗膜(y’)上に塗膜(xα’)を形成するというように、上述のコーターを用いて逐次形成する方法でもよく、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を、上述の多層コーターを用いて同時塗布し形成する方法でもよい。
なお、本工程(1B)において、塗膜(y’)の形成後、もしくは塗膜(y’)及び塗膜(xα’)の形成後に、工程(2B)に移る前に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
本工程(1B)における、当該プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲に適宜設定されるが、好ましくは工程(2B)での乾燥温度未満である。「工程(2B)での乾燥温度未満」との規定が示す具体的な乾燥温度としては、好ましくは10〜45℃、より好ましくは10〜34℃、更に好ましくは15〜30℃である。
工程(2B)は、工程(1B)で形成した塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を同時に乾燥させる工程であるが、本工程における乾燥温度の好適範囲は、上述の工程(2)と同じである。本工程により、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む樹脂層が形成される。
上述した製造方法において、樹脂層を剥離材(以下、「第1の剥離材」ともいう。)上に形成した場合、樹脂層を形成した後、当該樹脂層を別の剥離材(以下、「第2の剥離材」ともいう。)と貼り合わせ、その後、第1の剥離材を除去して、表出した樹脂層を上述した要件を満たす基材と貼り合わせてもよい。
[粘着シートの使用方法]
本発明の一態様である粘着シートは、エア抜け性、外観、及び折込み貼付性のいずれもが良好であるため、例えば、塗装代替テープ、マーキングフィルム、及び車両貼付用テープ(例えば、自動車の外装や内装を装飾する装飾用テープや、ブラックアウトテープ等)に好適に用いることができる。特に、外観及び折込み貼付性が良好である点から、車両等の折込み部を有する形状面に貼付する際に使用するテープとして有用である。
本発明の一態様である粘着シートを用いる際は、対象となる被着体に対してテープを貼付する際に通常用いる方法を用いることができ、特に制限されないが、例えば、上記樹脂層の表面(α)が表出する面を被着体に対して貼り付けて、スキージ等を用いて当該表面(α)と被着体との間のエアを抜きながら圧着して貼付する方法を用いることができる。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例及び実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
<樹脂の質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの。
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
<シリカ粒子の体積平均二次粒子径>
シリカ粒子の体積平均二次粒子径は、マルチサイザー・スリー機(ベックマン・コールター社製)を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことにより求めた。
製造例1〜3
(樹脂組成物の溶液(x−1)〜(x−3)の調製)
表1に記載の種類及び固形分量のアクリル系樹脂の溶液100質量部に対して、表1に記載の種類及び配合量の架橋剤及び希釈溶媒を添加し、表1に記載の固形分濃度の樹脂組成物の溶液(x−1)〜(x−3)をそれぞれ調製した。
なお、樹脂組成物の溶液(x−1)〜(x−3)の調製に使用した表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<アクリル系樹脂の溶液>
・溶液(i):アクリル系樹脂(x−i)(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体、BA/AA=90/10(質量%)、Mw:63万)を固形分濃度34.0質量%で含有する、該アクリル系樹脂(x−i)、トルエン、及び酢酸エチルの混合溶液。
・溶液(ii):アクリル系樹脂(x−ii)(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体、BA/AA=90/10(質量%)、Mw:46万)を固形分濃度37.0質量%で含有する、該アクリル系樹脂(x−ii)、トルエン、及び酢酸エチルの混合溶液。
・溶液(iii):アクリル系樹脂(x−iii)(ブチルアクリレート(BA)、酢酸ビニル(VAc)、及びアクリル酸(AA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体、BA/VAc/AA=85/10/5(質量%)、Mw:37万)を固形分濃度43.0質量%で含有する、該アクリル系樹脂(x−iii)、酢酸エチル、ヘキサン、及びアセトンの混合溶液。
<架橋剤>
・アルミニウムキレート系架橋剤:製品名「M−5A」、綜研化学株式会社製、固形分濃度=4.95質量%。
・エポキシ系架橋剤:「TETRAD(登録商標)−C」(製品名、三菱ガス化学株式会社製)をトルエンで希釈し、固形分濃度5質量%としたエポキシ系架橋剤の溶液。
<希釈溶媒>
・IPA:イソプロピルアルコール。
・混合溶媒(I):酢酸エチル及びイソプロピルアルコール(IPA)からなる混合溶媒(酢酸エチル/IPA=49/51(質量比))。
Figure 0006856301
製造例4
(微粒子分散液(f−1)の調製)
アクリル系樹脂の溶液(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(質量%)、Mw:47万)を含有する固形分濃度33.6質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液)100質量部(固形分:33.6質量部)に対して、微粒子として、シリカ粒子(製品名「ニップシール E−200A」、東ソー・シリカ社製、体積平均二次粒子径:3μm)を50.4質量部(固形分:50.4質量部)及びトルエンを添加して、微粒子を分散させて、アクリル系樹脂及びシリカ粒子を含む固形分濃度27質量%の微粒子分散液(f−1)を調製した。
製造例5
(微粒子分散液(f−2)の調製)
アクリル系樹脂の溶液(ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体(BA/AA=90/10(質量%)、Mw:47万)を含有する固形分濃度33.6質量%のトルエンと酢酸エチルとの混合溶液)100質量部(固形分:33.6質量部)に対して、微粒子として、シリカ粒子(製品名「ニップシール E−200A」、東ソー・シリカ社製、体積平均二次粒子径:3μm)を50.4質量部(固形分:50.4質量部)及びトルエンを添加して、微粒子を分散させて、アクリル系樹脂及びシリカ粒子を含む固形分濃度30質量%の微粒子分散液(f−2)を調製した。
製造例6
(塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)の調製)
表2に記載の配合量(固形分量)の製造例4で調製した微粒子分散液(f−1)に対して、表2に記載の種類及び配合量のアクリル系樹脂の溶液、架橋剤、及び希釈溶媒を添加して、表2に記載の固形分濃度の塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)を調製した。
製造例7
(塗膜(y’)形成用塗布液(y−2)の調製)
表2に記載の配合量(固形分量)の製造例5で調製した微粒子分散液(f−2)に対して、表2に記載の種類及び配合量のアクリル系樹脂の溶液、架橋剤、及び希釈溶媒を添加して、表2に記載の固形分濃度の塗膜(y’)形成用塗布液(y−2)を調製した。
なお、塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)、(y−2)の調製に使用した表2に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<アクリル系樹脂の溶液>
・溶液(i):アクリル系樹脂(x−i)を固形分濃度34.0質量%で含有する、該アクリル系樹脂(x−i)、トルエン、及び酢酸エチルの混合溶液(詳細は上記のとおりである)。
・溶液(iii):アクリル系樹脂(x−iii)を固形分濃度43.0質量%で含有する、該アクリル系樹脂(x−iii)、酢酸エチル、ヘキサン、及びアセトンの混合溶液(詳細は上記のとおりである)。
<架橋剤>
・アルミキレート系架橋剤:製品名「M−5A」、綜研化学株式会社製、固形分濃度=4.95質量%。
・エポキシ系架橋剤:「TETRAD(登録商標)−C」(製品名、三菱ガス化学株式会社製)をトルエンで希釈し、固形分濃度5質量%としたエポキシ系架橋剤の溶液。
<希釈溶媒>
・混合溶媒(II):イソプロピルアルコール(IPA)、及びシクロヘキサノンからなる混合溶媒(IPA/シクロヘキサノン=95/5(質量比))。
・混合溶媒(III):イソプロピルアルコール(IPA)及びシクロヘキサノンからなる混合溶媒(IPA/シクロヘキサノン=60/40(質量比))。
Figure 0006856301
実施例1〜11、比較例1
第1の剥離材である剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」、厚さ38μm、PETフィルムの片面にシリコーン系剥離剤層を設けたもの)の剥離剤層上に、製造例1で調製した樹脂組成物の溶液(x−1)と、製造例6で調製した塗膜(y’)形成用塗布液(y−1)と、製造例2で調製した樹脂組成物の溶液(x−2)とを、剥離剤層上からこの順で多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて同時に塗布し、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を同時に形成した。なお、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を形成するための各溶液(塗布液)の流量及び塗布速度は、表3に記載のとおりである。
そして、3層の塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、塗膜(xα’)を、乾燥温度100℃にて2分間、同時に乾燥させて、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む、表3に示す厚さの樹脂層を形成した。そして、形成した樹脂層の表面(α)の上に、第2の剥離材である剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET386040」)の剥離剤層の表面を貼合するようにラミネートし、基材無し粘着シートを作製した。
次いで、この基材無し粘着シートを23℃環境下で1週間静置した後、第1の剥離材を除去し、表出した樹脂層の表面(β)を、表3に記載の基材表面にそれぞれ貼合し、基材付き粘着シートを作製した。
なお、実施例6では、アルミ蒸着層を設けたPETフィルムを用いたが、当該樹脂層の表面(β)と、当該アルミ蒸着層の表面とを貼合するようにラミネートした。
比較例2
第1の剥離材である剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」、厚さ38μm、PETフィルムの片面にシリコーン系剥離剤層を設けたもの)の剥離剤層上に、製造例3で調製した樹脂組成物の溶液(x−3)と、製造例7で調製した塗膜(y’)形成用塗布液(y−2)と、製造例3で調製した樹脂組成物の溶液(x−3)とを、剥離剤層上からこの順で多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて同時に塗布し、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を同時に形成した。なお、塗膜(xβ’)、塗膜(y’)及び塗膜(xα’)を形成するための各溶液(塗布液)の流量及び塗布速度は、表3に記載のとおりである。
そして、3層の塗膜(xβ’)、塗膜(y’)、塗膜(xα’)を、乾燥温度100℃にて2分間、同時に乾燥させて、樹脂部分(X)と粒子部分(Y)とを含む、表3に示す厚さの樹脂層を有する粘着シートを作製した。
形成した樹脂層の表面(α)の上に、第2の剥離材である剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET386040」)の剥離剤層の表面を貼合するようにラミネートし、基材無し粘着シートを作製した。
次いで、この基材無し粘着シートを23℃環境下で1週間静置した後、第1の剥離材を除去し、表出した樹脂層の表面(β)を、表3に記載の基材に貼合し、基材付き粘着シートを作製した。
各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートに用いた基材の種類、並びに樹脂層の構成及び塗布条件を下記表3に示す。
なお、各実施例及び各比較例で用いた表3及び表4に示す各基材は、以下に示すとおりである。
基材No.1:白色ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、製品名「PVC 500OWM−3(GI)」、オカモト株式会社製。
基材No.2:白色PVCフィルム、製品名「ハイエスペイント(登録商標) M5011 シロ」、日本カーバイド工業株式会社製。
基材No.3:黒色非PVCフィルム、製品名「アートプライ(登録商標)#100 SW001」、三菱樹脂株式会社製。
基材No.4:黒色PVCフィルム、製品名「ビニバン(登録商標)BK0.09 63670」、バンドー化学株式会社製。
基材No.5:白色ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、製品名「ルミラー(登録商標)E20 #50」、東レ株式会社製。
基材No.6:アルミニウム蒸着PETフィルム(製品名「ルミラー(登録商標)T60 #50」(東レ株式会社製)のフィルム片面にアルミニウム蒸着を施したものを使用)。
基材No.7:PETフィルム、製品名「ルミラー(登録商標)T60 #38」、東レ株式会社製(以下、型番が異なる「ルミラー」についても、同様に、東レ株式会社製)。
基材No.8:PETフィルム、製品名「ルミラー(登録商標)T60 #50」。
基材No.9:PETフィルム、製品名「ルミラー(登録商標)T60 #75」。
基材No.10:PETフィルム、製品名「ルミラー(登録商標)T60 #100」。
基材No.11:PETフィルム、製品名「ルミラー(登録商標)T60 #125」。
基材No.12:PETフィルム、製品名「ルミラー(登録商標)T60 #188」。
各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートに用いた基材、樹脂層、及び粘着シートに関する各特性は、以下の方法で測定又は観察した。これらの結果を表3及び表4に示す。
<基材の厚さh、及び樹脂層の厚さ(樹脂層総厚)>
基材の厚さh、及び樹脂層の総厚は、株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG−02J」、標準規格:JIS K6783:1994、JIS Z1702:1994、JIS Z1709:1995に準拠)を用いて、測定した。
樹脂層の総厚は、得られた粘着シートの厚さを測定し、予め測定した基材の厚さhを差し引いた値を用いた。
Figure 0006856301
各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートに用いた基材に関する各特性は、以下の方法で測定した。これらの結果を下記表4に示す。
<基材のヤング率E及び曲げ応力係数k>
各実施例及び各比較例で使用した基材について、下記条件に従い、JIS K7127:1999に準拠して引張弾性率を測定して、当該値を基材のヤング率Eとした。
また、各基材の曲げ応力係数kを、当該ヤング率E及び上述した基材の厚さhの値から、
基材の曲げ応力係数k=基材のヤング率E×(基材の厚さh)
の式に基づいて算出した。
・測定装置:株式会社オリエンテック製 「TENSILON(登録商標) RTA−100」
・試験片(タイプ2)の幅:15mm
・チャック間の初期距離:100mm
・試験速度:200mm/分
<基材の10%伸張時強度>
上述した基材のヤング率及び曲げ応力係数の測定を行う際に、10%伸長した際(チャック間距離が110mmとなった時点)における、引張り強度を測定して、当該値を基材の10%伸長時強度とした。
各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートについて、以下の方法に基づき、表面(α)上の凹部の観察、他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合、表面(α)と被着体との貼付面面積の割合(貼付面面積率)、平坦面の各面積及び最大面積、平坦面の合計面積、及び粘着シートの樹脂層の質量保持率を評価した。これらの結果を表4に示す。
<表面(α)上の凹部の観察>
各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートの樹脂層の表面(α)上の各要件で規定の特定の領域において、下記要件(I)〜(III)を満たす凹部が形成されているかを、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S−4700」)又はデジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−5000」)を用いて観察した。
表4中には、各要件を満たした凹部が形成されていると判断する場合は「A」、各要件を満たした凹部の存在が認められないと判断する場合は「F」と記載している。
要件(I):表面(α)上の任意に選択された一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)内に、最大0.5μm以上の高低差を有する凹部が複数存在する。
要件(II):表面(α)上における該複数の凹部の存在する位置が周期性を有さない。
要件(III):表面(α)上の任意に選択された一辺600μmの正方形で囲まれた領域(U)内に、前記凹部が1個以上存在する。
要件(I)については、上記走査型電子顕微鏡を用いて、倍率30倍で観察した。なお、表面(α)上の任意に選択された一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)内に存在する凹部の高低差の値については、上記走査型電子顕微鏡を用いて、各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートの断面を倍率250倍で観察し測定した。なお、ここで測定した「凹部の最大高低差」とは、例えば、図2(a)に示す凹部13に対して「h」で示される長さを指す。また、図2(b)に示すように、2つの凹部131、132が連続している場合においては、凹部131に対しては「h」で示される長さ、凹部132に対しては、「h」で示される長さを、それぞれ測定した。表4には、上記領域(P)内に存在する複数の凹部の最大高低差の値をそれぞれ測定し、これらの値のうちの最大値を「高低差の最大値」として記載している。
また、要件(II)の「複数の凹部の存在する位置が周期性を有さない」か否かの判断は、各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートの樹脂層の表面(α)上において長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)を任意に10領域選択し、各領域(V)内に存在する凹部について、凹部の存在する位置の周期性の有無を目視及び上記デジタル顕微鏡(倍率:100倍)により観察した。なお、選択した10領域における凹部の形状、凹部の数、及び平坦面の形状についても、目視及び上記デジタル顕微鏡(倍率:100倍)により観察した。
また、要件(III)については、表面(α)上の任意に選択された一辺600μmの正方形で囲まれた領域(U)内に存在する凹部について、要件(I)と同様に観察した。
<他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積割合>
以下に示す操作(i)〜(iii)の方法により、各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートの樹脂層の表面(α)を透光性被着体の平滑面上に貼付した場合であって、任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)内に存在する全ての凹部の全面積に対する、領域(Vs)内に存在する他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合を測定し、当該値を「他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合」として、表4に記載した。
はじめに、以下の操作(i)により、図4の構成を作成した。
操作(i):図4に示すように、透光性被着体100の平滑面100a上に、各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートが有する樹脂層12の表面(α)12aが接するように静置した。そして、当該粘着シートの基材11側に対して、2kgローラ(JIS Z 0237:2000 10.2.4で規定された圧着装置)にて5往復し、樹脂層12の表面(α)12aと透光性被着体100の平滑面100aとの貼付を行い、図4に示すような向きに設置した積層体を得た。
なお、上記透光性被着体としては、「平滑面を有する透光性被着体」として、無アルカリガラス(製品名「イーグルXG(登録商標)」、コーニング株式会社製)を使用した。
続いて、下記の操作(ii)及び(iii)により、他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積割合を算出した。
操作(ii):操作(i)で得た積層体の透光性被着体100側から樹脂層の表面(α)12a上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)内を、デジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−5000」、高解像度ズームレンズVHX−ZST100倍、倍率:100倍)を用いて、図4のW方向から、透光性被着体100の平滑面100aと樹脂層の表面(α)12aとの界面を下記撮影条件にて撮影して、選択した当該領域(Vs)のデジタル画像を撮影した。なお、当該領域(Vs)は、異なる4領域のデジタル画像を取得した。デジタル画像撮影時の撮影条件を以下に示す。なお、粘着シートが有する基材の種類や色、装置の環境によって適した撮影条件が異なるため、適宜、貼付面が良好に観察できる条件を選択する必要があるが、撮影条件の一例として、実施例1〜5で撮影した際の条件を以下に示す。
(撮影条件)
・シャッタースピード:オート 93
・ゲイン:マニュアル 0.0dB
・ホワイトバランス:プッシュセット
・落射照明:ON
・ステージ透過照明:OFF
・エッジ強調:ON 1.0
・ガンマ:OFF
・オフセット:OFF
・モノクロ:OFF
・鮮鋭画像モード:OFF
・視野補正:OFF
当該撮影画像の一例として、実施例1の粘着シートを撮影した際の画像を図5(a)に示す。なお、白く見える箇所が凹部である。また、図5(a)の画像では、当該画像中の右下に記載の1目盛り分で1,000μmの長さを示す。
操作(iii):得られた4領域分の各デジタル画像について、上記デジタル顕微鏡を用いて、自動面積計測を行い、他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合を計測した。当該4領域分を測定して得られた当該面積割合の平均値を、「他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合」として、下記表4に記載した。
自動面積計測は、貼付面と凹部とを画像処理(2値化処理)して、2値化画像を得た後、得られた2値化画像について各凹部の面積及び周囲長を測定した。具体的には、貼付面と凹部とのデジタル画像の輝度の差より自動で塗り分けを行った後、エリア確認機能を用いて、2値化する前のデジタル画像を確認しながら目視で貼付面と判断できる部分は手動で塗り分けを行い、修正を加えることで画像処理による2値化を行った。当該画像処理の際、測定する粘着シートが有する基材の種類や色により、たとえ、樹脂層が同一のものであっても表面(α)上の貼付面の輝度に差が出てくることがある。そのため、上記のとおり、適宜、2値化前のデジタル画像を目視で確認しながら、明確に貼付面であると判断できる場合には、その判断に従って、貼付面であるとして修正を行った。
2値化画像から領域(Vs)内に存在する各凹部の面積及び周囲長を計測して、面積及び周囲長の値が他の凹部と同一である凹部について、当該凹部の合計面積を求めた。なお、領域(Vs)の範囲外にまで延びている凹部については、領域(Vs)内に存在する当該凹部の輪郭と、領域(Vs)を囲む長方形の各辺の一部分とで切り取られる形状の面積及び周囲長を測定した。
そして、計算式「他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積割合=〔(領域(Vs)内に存在する凹部の合計面積−他の凹部と面積及び周囲長が同一である凹部の合計面積)/領域(Vs)内に存在する凹部の合計面積〕×100」から、表面(α)上の他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積割合を算出した。
自動面積計測時の計測条件を以下に示す。なお、粘着シートが有する基材の種類や色、装置の環境によって適した撮影条件が異なるため、適宜、貼付面が良好に観察できる条件を選択する必要があるが、撮影条件の一例として、実施例1〜5で撮影した際の条件を以下に示す。
(自動面積計測条件)
・抽出モード:輝度(ノイズ除去弱)
・輝度抽出領域:明るい領域
・しきい値:0
・穴埋め:OFF
・小粒子除去:OFF
・抽出領域:数値指定(矩形)にて、長辺が3.45mm、短辺が2.59mmからなる8.93mmの面積を有する長方形を抽出
・抽出領域の整形:粒除去(面積100μm以下除去)
当該自動面積計測時に、上記操作(ii)で得られたデジタル画像を2値化して得られた画像の例として、実施例1の粘着シートの2値化画像を図5(b)に示す。なお、黒く見える箇所が凹部である。また、図5(b)の画像では、当該画像中の右下に記載の1目盛り分で1,000μmの長さを示す。
なお、上記計測条件に記載のとおり、100μm以下の面積を示す形状は面積割合の算出には用いないこととした。
<表面(α)と被着体との貼付面面積の割合(貼付面面積率)>
以下の操作(i)、(ii)及び(iv)を経て算出した値を、対象となる粘着シートの「表面(α)を被着体に貼付した場合の、表面(α)と被着体との貼付面面積の割合(貼付面面積率)」とみなした。各実施例及び各比較例の測定結果を、「貼付面面積率」として表4に示す。
操作(i):上記の「表面(α)上の他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積割合」の操作(i)と同様にして、図4に示すような向きに設置した積層体を得た。
操作(ii):操作(i)で得た積層体の透光性被着体100側から、表面(α)12a上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)内を、上記デジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−5000」、高解像度ズームレンズVHX−ZST100倍、倍率:100倍)を用いて、図4のW方向から、透光性被着体100の平滑面100aと樹脂層の表面(α)12aとの界面を撮影して、選択した当該領域(Vs)のデジタル画像を得た。なお、当該領域(Vs)は、異なる4領域のデジタル画像を取得した。
操作(iv):得られた4領域分の各デジタル画像について、上記デジタル顕微鏡を用いて、自動面積計測を行い、貼付面面積の割合を計測した。当該4領域分を測定して得られた当該貼付面面積の割合の平均値を、「貼付面面積率」として、下記表4に記載した。
自動面積計測は、貼付面と凹部とを画像処理(2値化処理)して、2値化画像を得た。具体的には、貼付面と凹部とのデジタル画像の輝度の差より自動で塗り分けを行った後、エリア確認機能を用いて、2値化する前のデジタル画像を確認しながら目視で貼付面と判断できる部分は手動で塗り分けを行い、修正を加えることで画像処理による2値化を行った。当該画像処理の際、測定する粘着シートが有する基材の種類や色により、たとえ、樹脂層が同一のものであっても表面(α)上の貼付面の輝度に差が出てくることがある。そのため、適宜、2値化前のデジタル画像を目視で確認しながら、明確に貼付面であると判断できる場合には、その判断に従って、貼付面であるとして手動で塗り分けを行い修正した。また、領域(Vs)の範囲外にまで延びている平坦面については、領域(Vs)内に存在する部分の面積のみを測定した。
そして、当該2値化画像を基に、選択した当該領域(Vs)の全面積中の透光性被着体の平滑面と接触している貼付面の面積Sを求め、計算式「[貼付面の面積割合(%)]=S/選択した当該領域(Vs)の全面積×100」に基づき、選択した当該領域(Vs)における透光性被着体との貼付面の面積割合を算出した。
<平坦面の各面積及び最大面積、及び平坦面の合計面積>
以下の操作(v)〜(vii)を経て算出した値を、粘着シートの表面(α)の「平坦面合計面積」及び「平坦面最大面積」とみなした。各実施例及び各比較例の測定結果を、表4に示す。
操作(v):粘着シートのうねり等の影響を排除するため、平滑な被着体である上記透光性被着体の平滑面上に両面テープを張り、測定対象となる粘着シートの基材表面を貼付してから、以下の操作を行った。
操作(vi):各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートの樹脂層の表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)を、デジタル顕微鏡(株式会社キーエンス製、製品名「デジタルマイクロスコープVHX−5000」、高解像度ズームレンズVHX−ZST100倍、倍率:100倍)を用いて、表面(α)側(基材に対して直角な方向)から、目視にて平坦だと判断した部位の上方から順に焦点を移動し、初めに焦点が合った部分を平坦面として撮影して、領域(V)のデジタル画像を撮影した。当該領域(V)は、異なる4領域のデジタル画像を取得した。なお、粘着シートが有する基材の種類や色、装置の環境によって適した撮影条件が異なるため、適宜、平坦面が良好に観察できる条件を選択する必要があるが、以下に、各例で共通する条件を示す。
(撮影条件)
・落射照明:ON
・ステージ透過照明:OFF
・照明きりかえ:同軸落射
・エッジ強調:OFF
当該撮影画像の一例として、実施例1の粘着シートを撮影した際の画像を図6(a)に示す。なお、白く見える箇所が平坦部である。また、図6(a)の画像では、当該画像中の右下に記載の1目盛り分で1,000μmの長さを示す。
操作(vii):得られた4領域分の各デジタル画像について、同デジタル顕微鏡を用いて、自動面積計測を行ない、各平坦面の面積を計測し、領域毎に平坦面の最大面積及び平坦面の合計面積を算出した。当該4領域分を測定して得られた当該平坦面の最大面積及び平坦面の合計面積の平均値を「平坦面の最大面積」及び「平坦面の合計面積」として、下記表4に記載した。
自動面積計測は、平坦面と凹部とを画像処理にて二値化した後、得られた二値化画像の数値(面積)の計測を行ない、平坦面と凹部の面積を測定した。平坦面がそれぞれ複数存在する場合には、それぞれの平坦面の面積の計測を行なった。具体的には、平坦面と凹部とのデジタル画像の輝度の差より自動で塗り分けを行った後、エリア確認機能により、元のデジタル画像を確認しながら目視で平坦面と判断できる部分は手動で塗り分けを行い、修正を加えることで画像処理により二値化を行なった。
また、画像の目視にて、平坦面であるかどうかを判断出来ない場合は、樹脂層の表面(α)に平滑面を有する透光性被着体を可能な限り荷重をかけないようにスキージ−にて手貼りし、図4のW方向から、透光性被着体の平滑面を通して、樹脂層の表面(α)を撮影し、透光性被着体の平滑面に樹脂層の表面(α)の貼付した部分が平坦面であると判断した。
自動面積計測の条件は、以下のとおりである。
自動面積計測は、操作(vi)で得られたデジタル画像の平坦面と凹部とを画像処理(2値化処理)して、2値化画像を得た後、得られた2値化画像について平坦面の面積を測定した。平坦面が複数存在する場合には、それぞれの平坦面の面積を測定した。また、領域(V)の範囲外にまで延長している平坦面については、領域(V)内に存在する部分の面積のみ測定した。
具体的には、平坦面と凹部とのデジタル画像の輝度の差より自動で塗り分けを行った後、エリア確認機能を用いて、2値化する前のデジタル画像を確認しながら目視で平坦面と判断できる部分は手動で塗り分けを行い、修正を加えることで画像処理による2値化を行った。当該画像処理の際、測定する粘着シートが有する基材の種類や色により、たとえ、樹脂層が同一のものであっても表面(α)上の平坦面の輝度に差が出てくることがある。そのため、適宜、2値化前のデジタル画像を目視で確認しながら、明確に平坦面であると判断できる場合には、その判断に従って、平坦面であるとして修正を行った。
自動面積計測時の計測条件を以下に示す。なお、粘着シートが有する基材の種類や色、装置の環境によって適した撮影条件が異なるため、適宜、平坦面が良好に観察できる条件を選択する必要があるが、以下に、共通する条件を示す。
(自動面積計測条件)
・抽出モード:輝度(ノイズ除去弱)
・抽出領域:数値指定(矩形)にて、長辺が3.45mm、短辺が2.59mmからなる8.93mmの面積を有する長方形を抽出
・抽出領域の整形:粒除去(面積100μm以下除去)
当該自動面積計測時に、上記操作(vi)で得られたデジタル画像を2値化して得られた画像の例として、実施例1の粘着シートの2値化画像を図6(b)に示す。なお、黒く見える箇所が平坦面である。
なお、上記計測条件に記載のとおり、100μm以下の面積を示す形状は面積割合の算出には用いないこととした。
<粘着シートの樹脂層の質量保持率>
上述の基材の代わりに、剥離フィルム(リンテック株式会社製、製品名「SP−PET381031」、片面にシリコーン系剥離剤層を設けたPETフィルム、厚さ38μm)の剥離剤層の表面上に、それぞれの実施例及び比較例の方法に従って樹脂層を形成した後、当該剥離フィルムを除去し、樹脂層の単体を得た。
そして、加熱前の樹脂層の質量を測定した後、当該樹脂層をマッフル炉(デンケン社製、製品名「KDF−P90」)内に投入し、800℃にて30分間加熱した。そして、加熱後の樹脂層の質量を測定し、下記式により、樹脂層の質量保持率を算出した。
樹脂層の質量保持率(%)=[加熱後の樹脂層の質量]/[加熱前の樹脂層の質量]×100
各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートについて、以下の方法に基づき、「エア抜け性」、「外観」、「折込み貼付性」、及び「粘着力」を評価した。これらの結果を表4に示す。
<エア抜け性>
縦50mm×横50mmの大きさとした粘着シートを、空気溜まりが生じるように、被着体であるメラミン塗装板に貼付した。そして、スキージを用いて圧着した後の空気溜まりの有無を観察し、以下の基準により、各粘着シートのエア抜け性を評価した。
A:空気溜まりが消失しており、エア抜け性に優れる。
F:空気溜まりが残っており、エア抜け性が劣る。
<外観>
縦50mm×横50mmの大きさとした粘着シートを、被着体であるアクリル塗装板(製品名「アクリル塗装(片面/白)SPCC−SD φ5−1」、サイズ:横70mm×縦150mm×厚さ0.4mm、株式会社パルテック製)に貼付した。そして、スキージを用いて圧着した後、基材の表面側から外観を観察し、以下の基準により、各粘着シートの外観を評価した。
A:樹脂層表面(α)上の凹凸に起因する外観不良が確認されなかった。
F:樹脂層表面(α)上の凹凸に起因する外観不良が確認された。
<折込み貼付性>
各実施例及び各比較例で作製した各粘着シートを横25mm×縦50mmの大きさに切断した後、当該粘着シートの樹脂層の表面(α)上に、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、アクリル塗装板(製品名「アクリル塗装(片面/白)SPCC−SD φ5−1」、サイズ:横70mm×縦150mm×厚さ0.4mm、株式会社パルテック製)に、当該アクリル塗装板のアクリル塗装側裏面から表面にかけて、粘着シートを折込みながら30Nの荷重をかけたスキージを用いて圧着して、同じ環境下で24時間静置した。
なお、粘着シート貼付時には、当該粘着シートの縦方向の端部から35mmの箇所から折り込まれるように貼付した(図7を参照)。24時間静置後、以下の基準により、各粘着シートの外観を評価した。
A:折り込み部の被着体からの浮きや剥がれが確認されなかった。
B:折り込み部の被着体からの浮きが、僅かに確認された。
C:折り込み部の被着体からの浮きが確認された。
D:折り込み部の被着体からの剥がれが確認された。
<粘着力>
各実施例及び各比較例で作製した基材付き粘着シートを横25mm×縦300mmの大きさに切断した後、当該粘着シートの樹脂層の表面(α)を、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、メラミン塗装板(製品名「メラミン塗装(片面/白)SPCC−SD φ5−1」、サイズ:横70mm×縦150mm×厚さ0.4mm、株式会社パルテック製)のメラミン塗装側に貼付し、同じ環境下で24時間静置した。静置後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、各粘着シートの粘着力を測定した。
Figure 0006856301
表4により、実施例1〜11で作製した粘着シートは、用いた基材の10%伸長時強度の値が250N/15mm以下、及び曲げ応力係数kも20N・mm以下、並びに表面(α)上の凹部形状に関する前記要件(I)〜(III)を満たすことが確認され、エア抜け性、外観、及び折込み貼付性のいずれもが良好であった。
なお、実施例1〜11及び比較例1〜2で作製した粘着シートのいずれにおいても、表面(α)上の領域(V)内を上記デジタル顕微鏡(倍率:100倍)で観察した際、凹部の形状が不定形であること、また、平坦面の形状も不定形であることが確認された。
また、実施例1〜11及び比較例1〜2で作製した粘着シートのいずれにおいても、表面(α)上の領域(Vs)内に、直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する平坦面が存在することが確認された。
加えて、実施例1〜11及び比較例1で作製した粘着シートのいずれにおいても、樹脂層の表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部の1個以上が、当該領域(U)の境界線である一辺1mmの正方形のいずれかの辺まで延びており、更に当該領域(U)と隣接する一辺600μmの正方形で囲まれた他の領域(U’)内まで連続して延びた形状を有していることが確認された。これは、例えば、図8(b)の樹脂層の表面(α)の斜視画像からも確認できる。
図8は、実施例4で作製した粘着シートを走査型電子顕微鏡で観察した際の画像であって、(a)は当該粘着シートの断面画像、(b)は当該粘着シートの樹脂層の表面(α)の斜視画像である。
図8に示された画像は、実施例4で作製した粘着シートの樹脂層の表面(α)の画像であるが、他の実施例の粘着シートの樹脂層の表面(α)にも、複数の凹部の存在する位置が周期性を有さず、また、表面(α)上の平坦面の形状も不定形であることが分かる。
一方、比較例1で作製した粘着シートは、用いた基材の10%伸長時強度の値が260N/15mmを超え、曲げ応力係数kも20N・mmを超えるものであったため、折込み貼付性及び粘着力が著しく劣る結果となった。
また、比較例2で作製した粘着シートは、樹脂層の表面(α)上の領域(U)内に、前記凹部が1個以上存在していることが確認されず、比較例2の粘着シートは外観が劣る結果となった。
図9は、比較例2で作製した粘着シートを走査型電子顕微鏡で観察した際の画像であって、当該粘着シートの樹脂層の表面(α)の斜視画像である。図9に示された画像のとおり、比較例2で作製した粘着シートの樹脂層の表面(α)には、樹脂層の表面(α)上の領域(U)内に、凹部の形成が見られなかった。
本発明の一態様の粘着シートは、エア抜け性、外観、及び折込み貼付性のいずれもが良好であるため、例えば、塗装代替テープ、マーキングフィルム、及び車両貼付用テープに好適に用いることができる。特に、外観及び折込み貼付性が良好である点から、車両等の折込み部を有する形状面に貼付する際に使用するテープとして有用である。
1a、1b 粘着シート
11 基材
12 樹脂層
12a 表面(α)
12b 表面(β)
(X) 樹脂部分(X)
(Y) 粒子部分(Y)
(Xβ) 主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)
(Xα) 主に樹脂部分(X)を含む層(Xα)
(Y1) 粒子部分(Y)を含む層(Y1)
13、130、131、132 凹部
13a 交差箇所
14 剥離材
15 平坦面
50、501、502、503、504 1辺600μmの正方形
100 透光性被着体
100a 平滑面
101 被着体との貼付部分(貼付面)
102 被着体との非貼付部分
201 アクリル塗装板
202 折込み貼付性試験用の粘着シート試験片

Claims (21)

  1. 基材上に樹脂を含む樹脂層を有し、少なくとも該基材が設けられた側とは反対側の該樹脂層の表面(α)が粘着性を有する粘着シートであって、
    該基材のMD方向の曲げ応力係数kが1.50N・mm以下であり、かつ、MD方向の10%伸長時強度が100N/15mm以下であって、
    該樹脂層の表面(α)上の任意に選択された一辺5mmの正方形で囲まれた領域(P)内に、最大0.5μm以上の高低差を有する凹部が複数存在し、
    表面(α)上における該複数の凹部の存在する位置が周期性を有さず、かつ
    表面(α)上の任意に選択された一辺600μmの正方形で囲まれた領域(U)内に、前記凹部が1個以上存在する、粘着シート。
  2. 前記基材のMD方向のヤング率が7,000MPa以下である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記基材のMD方向のヤング率が3,000MPa以下である、請求項2に記載の粘着シート。
  4. 前記基材のMD方向の10%伸長時強度が50N/15mm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記凹部が、エンボスパターンの転写により形成されたものではない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 前記凹部の形状が不定形である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着シート。
  7. 前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付して表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(Vs)内に存在する全ての凹部の全面積に対する、領域(Vs)内に存在する他の凹部とは異なる形状を有する凹部の合計面積の割合が95.0%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着シート。
  8. 前記樹脂層の表面(α)側から観察した表面(α)上に存在する平坦面の形状が、不定形である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着シート。
  9. 前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付した際の被着体との貼付面面積率が10〜95%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着シート。
  10. 前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に存在する平坦面の全面積が、1.0mm以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘着シート。
  11. 前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に、直径100μmの円で囲まれた領域を選択可能な広さを有する少なくとも1個の平坦面が存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粘着シート。
  12. 前記樹脂層の表面(α)を平面視した際に、表面(α)上の任意に選択された長辺が3.45mm、短辺が2.59mmの長方形で囲まれた8.93mmの面積を有する領域(V)内に、0.1mm以上の面積を有する平坦面が少なくとも1つ以上存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の粘着シート。
  13. 前記樹脂層の表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部の1個以上が、領域(U)の境界線である一辺600μmの正方形のいずれかの辺まで延びている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の粘着シート。
  14. 表面(α)上の領域(U)内に存在する凹部の1個以上が、領域(U)と隣接する一辺600μmの正方形で囲まれた1以上の他の領域(U’)内まで連続して延びた形状である、請求項13に記載の粘着シート。
  15. 前記樹脂が粘着性樹脂を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の粘着シート。
  16. 前記樹脂層が、主成分として樹脂を含む樹脂部分(X)と、微粒子からなる粒子部分(Y)とを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の粘着シート。
  17. 前記微粒子が、シリカ粒子、酸化金属粒子、及びスメクタイトから選ばれる1種以上である、請求項16に記載の粘着シート。
  18. 前記樹脂層が、前記基材が設けられた側から、主に樹脂部分(X)を含む層(Xβ)、粒子部分(Y)を15質量%以上含む層(Y1)、及び主に樹脂部分(X)を含む層(Xα)をこの順で積層した多層構造体である、請求項16又は17に記載の粘着シート。
  19. 前記樹脂層の表面(α)を被着体に貼付した際に、前記粘着シートの基材側からは目視により前記凹部の形状が確認されない、請求項1〜18のいずれか1項に記載の粘着シート。
  20. 前記樹脂層は熱膨張性微小球を含まない、請求項1〜19のいずれか1項に記載の粘着シート。
  21. 塗装代替テープ、マーキングフィルム、又は車両貼付用テープに用いる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の粘着シート。
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