JP6856214B2 - 中性子半導体検出構造、中性子半導体検出器、及び中性子半導体検出構造の製造方法 - Google Patents

中性子半導体検出構造、中性子半導体検出器、及び中性子半導体検出構造の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、中性子半導体検出構造、中性子半導体検出器、及び中性子半導体検出構造の製造方法に関する。
従来の中性子検出器として、例えば特許文献1に記載される検出器は、P型半導体又はN型半導体であるシリコン基板と、シリコン基板上に形成されたシリコン酸化膜と、シリコン酸化膜上に形成され、ホウ素(B)を含有することで中性子の入射に応じてα線を生成するコンバータ層と、N型半導体又はP型半導体を有することでシリコン基板との間でPN接合を形成し、コンバータ層により生成されたα線の入射に応じて電子及びホールを生成する複数の検出部と、を備えている。
このような中性子検出器では、中性子が入射する側の最表層であるコンバータ層に中性子が入射し、当該中性子がコンバータ層に含有されるBと反応することで、あらゆる方向にα線が生成される。生成されたα線のうち、コンバータ層の下方に設けられた検出部に向かって進行するα線のみが検出部に入射する。したがって、このような中性子検出器では、コンバータ層に入射した中性子のうちのごく一部の中性子のみしか検出されないため、中性子の検出効率が良くない。
そこで、中性子の検出効率を向上させることが可能な中性子検出器として、例えば、基板上に、P型半導体の窒化ガリウム(GaN)からなるP層、真性半導体の窒化ボロンガリウム(BGaN)からなるI層、及び、N型半導体のGaNからなるN層が、最表層側からこの順に積層されてPIN接合を形成した中性子半導体検出器が提案されている。このような中性子半導体検出器によれば、I層に中性子が入射すると、I層を構成するBGaN中のBによる中性子捕獲(n、α)反応によりあらゆる方向にα線が生成される。生成されたα線は、同じI層を構成するBGaN中のGaNを励起して電子及びホールを生成する。つまり、I層への中性子の入射に応じて生成されたα線は、その進行する方向によらず、電子及びホールとして検出可能である。以上により、このような中性子半導体検出器では、中性子の検出効率の向上が図られる。
特開2012−181065号公報
ところで、上述したような中性子半導体検出器では、一般的には、I層を構成するBGaN中のBのモル分率を高くすることで、I層における中性子の捕獲確率を向上させ、その結果、中性子の検出効率を一層向上させることが可能とされる。しかしながら、実際にBGaN中のBのモル分率を一定以上まで高くしようとすると、BGaNの結晶性が低下し易い。BGaNの結晶性が低下すると、中性子の入射に起因して生成した電子及びホールの移動度が低下し且つ寿命が短縮して、出力信号のS/N比が低下する。その結果、中性子の検出効率が低下し易いという問題がある。
そこで、本発明は、中性子の検出効率を向上させることができる中性子半導体検出構造、中性子半導体検出器、及び中性子半導体検出構造の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る中性子半導体検出構造は、基板と、基板上に形成され、入射した中性子を捕捉する中性子検出部と、を備え、中性子検出部は、窒化ガリウム(GaN)を含有するGaN体と、窒化ホウ素(BN)及び窒化ボロンガリウム(BGaN)のうちの少なくとも一方を含有する複数のB含有体と、を有し、複数のB含有体のそれぞれは、GaN体に埋設されている。
この中性子半導体検出構造では、中性子検出部は、BN及びBGaNのうちの少なくとも一方を含有する複数のB含有体が、GaNを含有するGaN体に埋設された構成を備えている。つまり、中性子検出部は、例えば単結晶のBGaNからなるのではない。したがって、GaN体に埋設されるB含有体の割合を増大させることで、中性子検出部の結晶性が低下することを抑制しつつ、中性子検出部中のBのモル分率を高くすることができる。よって、この中性子半導体検出構造によれば、中性子の検出効率を向上させることができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造では、中性子検出部は、GaN体を複数有し、複数のGaN体及び複数のB含有体のそれぞれは、層状を呈すると共に交互に積層されており、複数のGaN体のそれぞれは、基板の厚さ方向における基板とは反対側の面が平坦となるように形成されていてもよい。ここで、一般的には、B含有体の厚さを厚くするほど、B含有体の表面の凹凸が大きくなり、その結果、中性子検出部に電圧を印加した際のリーク電流が増大する。これに対して、上記構成によれば、GaN体は、B含有体の表面の凹凸を覆い、その表面が平坦になるように形成されている。したがって、B含有体の厚さを厚くしつつ、中性子検出部におけるリーク電流の増大を抑制することができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造では、複数のGaN体のそれぞれは、基板の厚さ方向において、1原子層以上2000原子層以下の厚さを有し、複数のB含有体のそれぞれは、基板の厚さ方向において、1原子層以上5000原子層以下の厚さを有してもよい。これによれば、中性子の検出効率を向上させるという上記作用及び効果を好適に奏することができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造では、複数のGaN体のそれぞれは、基板の厚さ方向において、20原子層以上800原子層以下の厚さを有し、複数のB含有体のそれぞれは、基板の厚さ方向において、10原子層以上1000原子層以下の厚さを有してもよい。これによれば、中性子の検出効率を向上させるという上記作用及び効果をより一層好適に奏することができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造では、複数のB含有体のそれぞれは、基板の厚さ方向から見て、中性子検出部の一部のみに形成されていてもよい。これによれば、基板の厚さ方向において、中性子検出部の一端面から他端面まで連続的にGaN体が形成された状態となる。したがって、中性子の入射に起因して生成した電子及びホールは、GaN体中を移動して中性子検出部の一端面又は他端面に移動することができるため、その移動度の低下が抑制される。よって、出力信号のS/N比の低下が抑制され、その結果、中性子の検出効率を向上させることができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造では、複数のB含有体のそれぞれは、基板の厚さ方向において、1原子層以上40原子層以下の厚さを有し、基板の厚さ方向から見て、中性子検出部の1%以上99%以下の面積を有してもよい。これによれば、中性子の検出効率を向上させるという上記作用及び効果を好適に奏することができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造では、複数のB含有体のそれぞれは、基板の厚さ方向において、1原子層以上40原子層以下の厚さを有し、基板の厚さ方向から見て、中性子検出部の20%以上75%以下の面積を有してもよい。これによれば、中性子の検出効率を向上させるという上記作用及び効果をより一層好適に奏することができる。
本発明に係る中性子半導体検出器は、上記の中性子半導体検出構造を備え、GaN体及びB含有体は、真性半導体のI層を形成しており、中性子検出部は、N型半導体のGaNを含有するN層と、P型半導体のGaNを含有するP層と、を有し、N層及びP層のそれぞれは、I層に隣接しており、且つ、互いに離間している。
この中性子半導体検出器では、P層及びN層のそれぞれに電極を接続すると共にP層とN層との間にバイアス電圧を印加することで、中性子の入射に起因して生成した電子及びホールによる出力信号を電極から取り出すことができる。よって、中性子の検出を好適に行うことができる。
本発明に係る中性子半導体検出器では、N層は、I層に対して基板の厚さ方向における基板側に形成されており、P層は、I層に対して基板の厚さ方向における基板とは反対側に形成されていてもよい。これによれば、基板の厚さ方向に沿ってP層、I層、及びN層が積層されたPIN構造を有する、いわゆる縦型の中性子半導体検出器を好適に構成することができる。
本発明に係る中性子半導体検出器では、N層及びP層のそれぞれは、I層の基板の厚さ方向における基板とは反対側の面に形成されており、基板の厚さ方向に交差する方向において、互いに離間していてもよい。これによれば、基板の厚さ方向に交差する方向に沿ってP層、I層、及びN層が積層されたPIN構造を有する、いわゆる横型の中性子半導体検出器を好適に構成することができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造の製造方法は、有機金属気相堆積装置のチャンバ内に基板を載置し、基板を加熱する加熱工程と、加熱された基板が載置されたチャンバ内に、アンモニア(NH)及びトリメチルガリウム(TMG)を連続的に供給し、且つ、トリエチルボロン(TEB)、トリメチルボロン(TMB)、及びジボラン(B)のうちの少なくともいずれかを断続的に供給する供給工程と、を含む。
この製造方法では、中性子検出部が、GaN体を複数有し、複数のGaN体及び複数のB含有体のそれぞれが、層状を呈すると共に交互に積層されており、複数のGaN体のそれぞれが、基板の厚さ方向における基板とは反対側の面が平坦となるように形成されている中性子半導体検出構造を製造することができる。この構成によれば、GaN体は、B含有体の表面の凹凸を覆い、その表面が平坦になるように形成されている。したがって、B含有体の厚さを厚くしつつ、中性子検出部におけるリーク電流の増大を抑制することができる。
本発明に係る中性子半導体検出構造の製造方法は、有機金属気相堆積装置のチャンバ内に基板を載置し、基板を加熱する加熱工程と、加熱された基板が載置されたチャンバ内に、NHを連続的に供給し、且つ、TMGとTEB、TMB、及びBのうちの少なくともいずれかとのそれぞれを断続的に交互に供給する供給工程と、を含む。
この製造方法では、複数のB含有体のそれぞれが、基板の厚さ方向から見て、中性子検出部の一部のみに形成されている中性子半導体検出構造を製造することができる。この構成によれば、基板の厚さ方向において、中性子検出部の一端面から他端面まで連続的にGaN体が形成された状態となる。したがって、中性子の入射に起因して生成した電子及びホールは、GaN体中を移動して中性子検出部の一端面又は他端面に移動することができるため、その移動度の低下が抑制される。よって、出力信号のS/N比の低下が抑制され、その結果、中性子の検出効率を向上させることができる。
本発明によれば、中性子の検出効率を向上させることができる中性子半導体検出構造、中性子半導体検出器、及び中性子半導体検出構造の製造方法を提供することが可能になる。
第1実施形態に係る中性子半導体検出器を示す概略断面図である。 I層における中性子検出の原理を説明するための模式図である。 第1実施形態に係るI層及び比較例に係るI層についての表面状態を示すSEM画像、及び、内部構造を模式的に示す断面図である。 図1の中性子半導体検出器と比較例に係る中性子半導体検出器とのリーク電流を比較して示すグラフである。 図4のグラフのうち図1の中性子半導体検出器のリーク電流を拡大して示すグラフである。 中性子半導体検出構造の製造方法に用いられるMOCVD装置の全体構成を示す図である。 図6のMOCVD装置のチャンバ周辺を拡大して示す図である。 中性子半導体検出構造の製造方法における原料の供給タイミングを示す図である。 第2実施形態に係るI層及び比較例に係るI層についての表面状態を示すSEM画像、及び、内部構造を模式的に示す断面図である。 中性子半導体検出構造の製造方法における原料の供給タイミングを示す図である。 第3実施形態に係る中性子半導体検出構造を示す概略断面図である。 第4実施形態に係る中性子半導体検出構造を示す概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、中性子半導体検出構造における基板の厚さ方向を「Z軸方向」、Z軸方向に直交する各方向を「X軸方向」及び「Y軸方向」と規定する。
[第1実施形態]
[中性子半導体検出器の全体構成]
図1は、第1実施形態に係る中性子半導体検出器を示す概略断面図である。図1に示されるように、中性子半導体検出器1は、入射する中性子を検出する検出器であり、中性子半導体検出構造10及び信号読取部30を備えている。中性子半導体検出構造10は、サファイア基板(基板)11、GaNバッファー層(基板)12、P層13、I層14、N層15、第1電極21、及び第2電極22を有している。これらのうち、P層13、I層14、及びN層15は、中性子半導体検出構造10の最表面側からこの順に積層されて中性子検出部40を構成する。なお、ここではP層、I層、及びN層という名称を用いているが、これらは必ずしも薄膜状の層に限らず、半導体の接合構造におけるP層、I層、及びN層の各機能を有するものであれば、その形状については適宜変更可能である。一例として、P層、I層、及びN層の形状は、ブロック状であってもよい。
図2を参照して、中性子検出部40のI層14における中性子nの検出の原理を説明する。図2に示されるように、I層14は、窒化ガリウム(GaN)及びホウ素(B)を含有している。中性子nが中性子半導体検出器1のI層14の有感層(空乏層)に入射すると、当該中性子nの一部と、I層14に含有され、他の元素と比較して中性子nの質量減弱係数の大きいBと、の間で中性子捕獲(n、α)反応(図2中のR1)が起こる。これにより中性子nが捕捉されて、あらゆる方向(特に限定されない方向)にα線aが生成されると共にγ線gが放出される。
中性子捕獲(n、α)反応により生成されたα線aは、同じI層14に含有されるGaNを励起(図2中のR2)して電子e及びホールhを生成する。つまり、生成されたα線aは、その進行する方向によらず、GaNを励起して電子e及びホールhを生成する。一方、中性子捕獲(n、α)反応により生成されたγ線gは、GaNに対する透過性が高いことから、I層14を透過して外部へと進行する。
図1に戻り、中性子半導体検出器1の各構成要素について説明する。サファイア基板11は、アルミナ(Al)を含有している。サファイア基板11は、Z軸方向(基板の厚さ方向)から見て(すなわち、平面視において)、例えば長方形状を呈している。サファイア基板11は、中性子半導体検出構造10の最下層である。
GaNバッファー層12は、GaNを含有している。GaNバッファー層12は、サファイア基板11上に形成された層である。GaNバッファー層12は、Z軸方向から見て、当該GaNバッファー層12の外縁12aがサファイア基板11の外縁11aと一致するように(すなわち、例えば長方形状に)形成されている。GaNバッファー層12は、サファイア基板11上に低温で成長させることにより形成される。
N層15は、N型半導体のGaNを含有している。N層15では、キャリア(電子)濃度は、例えば1×1016cm−3以上1×1020cm−3以下の範囲とされている。N層15は、I層14に隣接して形成され、且つ、GaNバッファー層12上に形成された層である。つまり、N層15は、I層14に対してZ軸方向における下層側(基板側)に形成された層である。N層15は、Z軸方向から見て、当該N層の外縁15aがGaNバッファー層12の外縁12aと一致するように(すなわち、例えば長方形状に)形成されている。N層15は、格子及び熱膨張係数のそれぞれが大きく相違するサファイア基板11上ではなくGaNバッファー層12上に形成されるため、結晶品質の低下が抑制される。
I層14は、GaNを含有するGaN体41と、窒化ボロンガリウム(BGaN)を含有する複数のB含有体42と、を有しており、各B含有体42は、GaN体41に埋設されている(詳しくは後述)。なお、BGaNは、窒化ガリウムホウ素ともいう。I層14は、真性半導体を形成している。ここでの「真性半導体」とは、P層13及びN層15と比較してキャリア濃度の低い半導体を意味している。より具体的には、I層14では、キャリア濃度は、例えば0cm−3以上1×1018cm−3以下の範囲とされている。なお、I層14では、キャリア濃度は、I層14を空乏化することができる範囲であればよい。
I層14は、N層15上に形成された層である。I層14は、Z軸方向から見て、当該I層14の外縁14aの一部がN層15の外縁15aの内側に位置するように形成されている。つまり、I層14は、Z軸方向から見て、N層15の上面(GaNバッファー層12とは反対側の面)のうちの一部である被覆面15bのみを被覆している。換言すると、I層14は、Z軸方向から見て、N層15の上面のうちの被覆面15bを除く残部である露出面15cを被覆していない(つまり、N層15の露出面15cは、I層14に被覆されず露出している。)。具体的な形状としては、I層14は、Z軸方向から見て、例えば正方形状に形成されている。
P層13は、P型半導体のGaNを含有している。P層13では、キャリア(ホール)濃度は、例えばマグネシウム(Mg)ドープにより、例えば1×1017cm−3以上1×1020cm−3以下の範囲とされている。P層13は、I層14に隣接して、I層14上に形成された層である。つまり、P層13は、I層14に対してZ軸方向における上層側(基板とは反対側)に形成された層である。したがって、P層13は、N層15とは離間している。P層13は、Z軸方向から見て、当該P層13の外縁13aがI層14の外縁14aと一致するように(すなわち、例えば正方形状に)形成されている。
第1電極21は、P層13に電気的に接続されるように、P層13上に形成されている。第1電極21としては、P層13上にオーミック接触を形成することができる電極であれば、その材質等は特に限定されない。第2電極22は、N層15に電気的に接続されるように、N層15上に形成されている。より具体的には、第2電極22は、N層15の露出面15c上において、P層13の外縁13aに沿った位置に形成されている。第2電極22としては、N層15上にオーミック接触を形成することができる電極であれば、その材質等は特に限定されない。
信号読取部30は、電源31及び信号読取回路32を有している。また、信号読取部30は、中性子半導体検出構造10、電源31、及び信号読取回路32を電気的に直列に接続する電線33、及び、電線33において中性子半導体検出構造10と電源31との間に電気的に接続されたグラウンド(接地)34を有している。
電源31は、直流可変電源である。電源31は、第1電極21が正極となり、第2電極22が負極となるように、中性子半導体検出構造10に対して電圧を印加する。すなわち、電源31は、第1電極21と第2電極22との間においてP層13、I層14、及びN層15によって構成されたダイオード構造に対し、バイアス電圧を印加する。信号読取回路32は、第1電極21と第2電極22との間の電気信号を読み取る回路である。信号読取回路32は、電線33を介して、第1電極21及び第2電極22に電気的に接続されている。信号読取回路32の具体的な回路構成は、特定の回路構成に限定されない。
[I層の内部構造]
続いて、I層14において、各B含有体42がGaN体41に埋設されている態様について詳細に説明する。図3は、第1実施形態に係るI層及び比較例に係るI層についての表面状態を示すSEM画像、及び、内部構造を模式的に示す断面図である。図3に示されるように、I層14は、複数のGaN体41及び複数のB含有体42を有している。各GaN体41及び各B含有体42は、層状を呈すると共に交互に積層されている。各GaN体41及び各B含有体42は、Z軸方向から見て、各外縁がI層14の外縁14aと一致するように形成されている。
各B含有体42は、Z軸方向における上層側の面が凹凸を有する(当該面が、平坦ではなく粗面となる)ように形成されている。各GaN体41は、Z軸方向における上層側の面が平坦となるように形成されている。ここで、「平坦」とは、誤差が0.1nm以上10nm以下の範囲で平らな面であることを意味する。
各GaN体は、Z軸方向において、好ましくは1原子層以上2000原子層以下の厚さを有し、より好ましくは20原子層以上800原子層以下の厚さを有する。また、各B含有体42は、Z軸方向において、好ましくは1原子層以上5000原子層以下の厚さを有し、より好ましくは10原子層以上1000原子層以下の厚さを有する。
例えば、図3の(a)及び(b)には、GaN体41が8原子層(2nm)の厚さを有し、B含有体42が4原子層(1nm)の厚さを有するI層14が示されている(以下、「実施例1」という)。なお、図3の(a)は、I層14のうちGaN体41までを形成した状態でのSEM画像である。図3の(a)における画像中の異物はSEM画像のフォーカスを合わせるために利用した夾雑物であり、GaN体41及びB含有体42とは関係が無い。図3の(a)では、GaN体41のZ軸方向における上層側の面が平坦であることが示されている。
また、図3の(c)及び(d)には、GaN体41が60原子層(15nm)の厚さを有し、B含有体42が400原子層(約100nm)の厚さを有するI層14が示されている(以下、「実施例2」という)。なお、図3の(c)は、I層14のうちGaN体41までを形成した状態でのSEM画像である。図3の(c)では、GaN体41のZ軸方向における上層側の面が平坦であることが示されている。
これに対して、比較例として、図3の(e)及び(f)には、BGaNの単結晶によって構成されたI層が示されている(以下、「比較例1」という)。すなわち、このI層は、GaN体41及びB含有体42によって構成されていない。図3の(e)では、I層のZ軸方向における上層側の面が平坦でないことが示されている。
これらの実施例1、実施例2、及び比較例1について、図4及び図5には、リーク電流を測定した結果が示されている。図4は、図1の中性子半導体検出器と比較例に係る中性子半導体検出器とのリーク電流を比較して示すグラフである。図5は、図4のグラフのうち図1の中性子半導体検出器のリーク電流を拡大して示すグラフである。ここでは、実施例1及び実施例2に係るI層14を適用した中性子半導体検出器1、並びに、比較例1に係るI層を適用した中性子半導体検出器において逆バイアスの電圧を印加した際のリーク電流の測定結果が示されている。図4及び図5に示されるように、実施例1及び実施例2では、比較例1と比較してリーク電流が大幅に減少しており、また、実施例2では、実施例1よりもリーク電流が更に減少していることが確認された。
[中性子半導体検出構造の製造方法]
続いて、中性子半導体検出構造10におけるI層14の製造方法について説明する。まず、この製造方法において実行される有機金属気相堆積法(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)に用いられるMOCVD装置(有機金属気相堆積装置)50の一例について説明する。
図6は、中性子半導体検出構造の製造方法に用いられるMOCVD装置の全体構成を示す図である。図6に示されるように、MOCVD装置50は、I層14においてGaN体41及びB含有体42を結晶成長させるための装置であり、チャンバ(水冷型垂直石英反応管)51を備えている。MOCVD装置50は、チャンバ51内が外気に晒されないようにするために試料準備室52を備えている。また、結晶を減圧成長させるため、成長準備室53及び成長室54のそれぞれにロータリーポンプ55が設けられ、且つ、試料準備室52にはターボ分子ポンプ56が設けられている。MOCVD装置50はステンレス製のバブラー58,59を備え、III族原料が充填されたバブラー58,59が恒温槽60により一定温度に保たれることで、III族原料の蒸気圧が制御される。なお、図6において、バブラー58にはトリメチルガリウム(TMG)が充填されており、バブラー59にはトリエチルボロン(TEB)が充填されている。MOCVD装置50の各原料供給ラインは、III族原料とアンモニア(NH)とで別個に設けられており、それぞれチャンバ51に接続されている。NHの供給ラインには、Hボンベ70、NHボンベ71、及びNボンベ72のそれぞれが接続される接続部に純化器61がそれぞれ設けられている。また、MOCVD装置50は、III族原料、NH、及びキャリアガスのそれぞれの供給量(各原料供給ラインの流通量)を制御するために複数のマスフローコントローラ(MFC)62を備えている。更に、MOCVD装置は、III族原料、NH、及びキャリアガスの各原料のうちからチャンバ51に供給する原料を瞬時に(短時間で)切替可能とするため、各原料供給ラインに空気圧作動バルブを備えている。
続いて、MOCVD装置50のチャンバ51について、より詳細に説明する。図7は、図6のMOCVD装置のチャンバ周辺を拡大して示す図である。図7に示されるように、チャンバ51は、基板Sが載置されるサセプタ65に向けて各原料を効率的に吹き付けるために、当該チャンバ51内にインナー管66を有している。サセプタ65は、その上面65aに、所定サイズの基板Sを保持可能な石英ガラス板を有している。このように構成されたチャンバ51は、高周波誘導加熱コイル67により周囲を囲まれており、且つ、外壁内部に冷却水路68が形成されている。チャンバ51は、高周波誘導加熱コイル67の発熱量及び冷却水路68を流れる冷却水の流量が制御されることによって温度調整が行われる。なお、チャンバ51内の温度は、当該チャンバ51の直上にある窓部69を介して赤外線放射温度計73により計測可能である。
I層14の製造方法においては、まず、このようなMOCVD装置50のチャンバ51内に基板Sを載置する。ここで、基板Sとは、例えば、サファイア基板11上にGaNバッファー層12が形成されたものであってもよい。そして、赤外線放射温度計73により温度を計測しつつ、高周波誘導加熱コイル67の発熱量及び冷却水路68を流れる冷却水の流量が制御されることによって、チャンバ51内の温度を例えば1000℃程度に調整する(加熱工程)。
続いて、加熱された基板Sが載置されたチャンバ51内に、NH及びTMGを連続的に供給し、且つ、TEBを断続的に供給する(供給工程)。
ここで、図8は、中性子半導体検出構造の製造方法における原料の供給タイミングを示す図である。図8の(a)には、実施例1、実施例2における原料の供給タイミングが示されている。図8の(a)において、NHに加えてTMG及びTEBの両方が供給されている間にはBGaNを含有するB含有体42が基板S上に形成され、NHに加えてTMGのみが供給されている間にはGaNを含有するGaN体41が基板S上に形成される。このようにTEBを断続的に供給することにより、複数のGaN体41及び複数のB含有体42のそれぞれが層状を呈すると共に交互に積層されたI層14が形成される。また、TEBを断続的に供給する際の供給及び供給中断の周期を調整することで、各GaN体41及び各B含有体42のZ軸方向における厚さを調整することができる。
図8の(b)には、比較例1における原料の供給タイミングが示されている。図8の(b)においては、NHに加えて常時TMG及びTEBの両方が供給されているため、基板上にはBGaNの単結晶43が形成される。
以上説明したように、中性子半導体検出構造10では、中性子検出部40は、BGaNを含有する複数のB含有体42が、GaNを含有するGaN体41に埋設された構成を備えている。つまり、中性子検出部40は、例えば単結晶のBGaNからなるのではない。したがって、GaN体41に埋設されるB含有体42の割合を増大させることで、中性子検出部40の結晶性が低下することを抑制しつつ、中性子検出部40中のBのモル分率を高くすることができる。よって、この中性子半導体検出構造10によれば、中性子nの検出効率を向上させることができる。
中性子半導体検出構造10では、中性子検出部40は、GaN体41を複数有し、各GaN体41及び各B含有体42は、層状を呈すると共に交互に積層されており、各GaN体の41は、Z軸方向における上層側の面が平坦となるように形成されている。ここで、一般的には、B含有体42の厚さを厚くするほど、B含有体42の表面の凹凸が大きくなり、その結果、中性子検出部40に電圧を印加した際のリーク電流が増大する。これに対して、本実施形態の構成によれば、GaN体41は、B含有体42の表面の凹凸を覆い、その表面が平坦になるように形成されている。したがって、B含有体42の厚さを厚くしつつ、中性子検出部40におけるリーク電流の増大を抑制することができる。
中性子半導体検出構造10では、各GaN体41は、Z軸方向において、例えば1原子層以上2000原子層以下の厚さを有し、各B含有体42は、Z軸方向において、例えば1原子層以上5000原子層以下の厚さを有している。これにより、中性子nの検出効率を向上させるという中性子半導体検出構造10の作用及び効果を好適に奏することができる。
中性子半導体検出構造10では、各GaN体41は、Z軸方向において、例えば20原子層以上800原子層以下の厚さを有し、各B含有体42は、Z軸方向において、例えば10原子層以上1000原子層以下の厚さを有している。これにより、中性子nの検出効率を向上させるという中性子半導体検出構造10の作用及び効果をより一層好適に奏することができる。
中性子半導体検出器1は、中性子半導体検出構造10を備えている。そして、GaN体41及びB含有体42は、真性半導体のI層14を形成しており、中性子検出部40は、N型半導体のGaNを含有するN層15と、P型半導体のGaNを含有するP層13と、を有し、N層15及びP層13のそれぞれは、I層14に隣接しており、且つ、互いに離間している。これにより、第1電極21がP層13に電気的に接続され、第2電極22がN層15に電気的に接続される。そして、P層13とN層15との間にバイアス電圧が印加されることで、中性子nの入射に起因して生成した電子e及びホールhによる出力信号を取り出すことができる。よって、中性子nの検出を好適に行うことができる。
中性子半導体検出器1では、N層15は、I層14に対してZ軸方向における下層側に形成されており、P層13は、I層14に対してZ軸方向における上層側に形成されている。これにより、Z軸方向に沿ってP層13、I層14、及びN層15が積層されたPIN構造を有する、いわゆる縦型の中性子半導体検出器1を好適に構成することができる。
中性子半導体検出構造10の製造方法では、中性子検出部40が、GaN体41を複数有し、各GaN体41及び各B含有体42が、層状を呈すると共に交互に積層されており、各GaN体41が、Z軸方向における上層側の面が平坦となるように形成されている中性子半導体検出構造10を製造することができる。このような構成を備える中性子半導体検出構造10によれば、GaN体41は、B含有体42の表面の凹凸を覆い、その表面が平坦になるように形成されているため、B含有体42の厚さを厚くしつつ、中性子検出部40におけるリーク電流の増大を抑制することができる。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係るI層及び比較例に係るI層についての表面状態を示すSEM画像、及び、内部構造を模式的に示す断面図である。図9に示されるように、第2実施形態に係るI層14Aは、第1実施形態に係るI層14と比較して、各B含有体42AがGaN体41Aに埋設されている態様が異なっている。また、第2実施形態に係るI層14Aは、各B含有体42AがBGaNではなく窒化ホウ素(BN)を含有している点においても、第1実施形態に係るI層14と異なっている。以下に、第2実施形態に係るI層14Aの構成について説明する。
各B含有体42Aは、Z軸方向から見て、I層14Aの一部のみ(すなわち、中性子検出部の一部のみ)に形成されている。また、各B含有体42Aは、XY平面に沿った断面において、I層14A全体の断面積と比較して小さい断面積を有し、I層14A中に散在(すなわち、B含有体42Aによって構成される複数の領域がGaN体41A中に離散的に存在)している。
各B含有体42Aは、Z軸方向において、好ましくは1原子層以上40原子層以下の厚さを有する。また、各B含有体42Aは、Z軸方向において、好ましくは中性子検出部40の1%以上99%以下の面積(被覆率)を有し、より好ましくは20%以上75%以下の面積を有する。
図9の(a)及び(b)には、本実施形態に係るI層14Aが示されている(以下、「実施例3」という)。なお、図9の(a)は、I層14AのSEM画像である。図9の(a)では、GaN体41A中にB含有体42Aが散在することに起因したI層14Aの表面の隆起が観察される。図9の(c)及び(d)には、図9の(a)及び(b)と縮尺を合わせた比較例1に係るI層が示されている。
[中性子半導体検出構造の製造方法]
続いて、中性子半導体検出構造におけるI層14Aの製造方法について説明する。第2実施形態においても、上述したMOCVD装置50が用いられる。
まず、MOCVD装置50のチャンバ51内に基板Sを載置する。そして、赤外線放射温度計73により温度を計測しつつ、高周波誘導加熱コイル67の発熱量及び冷却水路68を流れる冷却水の流量が制御されることによって、チャンバ51内の温度を例えば1000℃程度に調整する(加熱工程)。
続いて、加熱された基板Sが載置されたチャンバ51内に、NHを連続的に供給し、且つ、TMGとTEBとのそれぞれを断続的に交互に供給する(供給工程)。
ここで、図10は、中性子半導体検出構造の製造方法における原料の供給タイミングを示す図である。図10の(a)には、実施例3における原料の供給タイミングが示されている。図10の(a)において、NHに加えてTMGが供給されている間には、GaNを含有するGaN体41Aが基板S上に形成され、NHに加えてTEBが供給されている間には、BNを含有するB含有体42Aが基板S上に形成される。TMGとTEBとのそれぞれを断続的に交互に供給する際に、NHに加えてTEBが供給される期間(基板S上にB含有体42Aが形成される期間)を調整することで、Z軸方向から見た各B含有体42Aの中性子検出部40に対する面積の割合を調整することができる。これにより、Z軸方向から見て、各B含有体42AをI層14Aの一部のみ(すなわち、中性子検出部40の一部のみ)に形成することが可能である。
以上説明したように、中性子半導体検出構造10では、各B含有体42Aは、Z軸方向から見て、中性子検出部40の一部のみに形成されている。これにより、Z軸方向において、中性子検出部40の一端面から他端面まで連続的にGaN体41Aが形成された状態となる。したがって、中性子nの入射に起因して生成した電子e及びホールhは、GaN体41A中を移動して中性子検出部40の一端面又は他端面に移動することができるため、その移動度の低下が抑制される。よって、出力信号のS/N比の低下が抑制され、その結果、中性子nの検出効率を向上させることができる。
中性子半導体検出構造10では、各B含有体42Aは、Z軸方向において、例えば1原子層以上40原子層以下の厚さを有し、Z軸方向から見て、中性子検出部40の例えば1%以上99%以下の面積を有している。これにより、中性子nの検出効率を向上させるという中性子半導体検出構造10の作用及び効果を好適に奏することができる。
中性子半導体検出構造10では、各B含有体42Aは、Z軸方向において、例えば1原子層以上40原子層以下の厚さを有し、Z軸方向から見て、中性子検出部40の例えば20%以上75%以下の面積を有している。これにより、中性子nの検出効率を向上させるという中性子半導体検出構造10の作用及び効果をより一層好適に奏することができる。
中性子半導体検出構造10の製造方法では、各B含有体42Aが、Z軸方向から見て、中性子検出部40の一部のみに形成されている中性子半導体検出構造10を製造することができる。このような構成を備える中性子半導体検出構造10によれば、Z軸方向において、中性子検出部40の一端面から他端面まで連続的にGaN体41Aが形成された状態となる。したがって、中性子nの入射に起因して生成した電子e及びホールhが、GaN体41A中を移動して中性子検出部40の一端面又は他端面に移動することができるため、その移動度の低下が抑制される。よって、出力信号のS/N比の低下が抑制され、その結果、中性子nの検出効率を向上させることができる。
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る中性子半導体検出構造を示す概略断面図である。図11に示されるように、第3実施形態に係る中性子半導体検出構造10Bは、第1実施形態及び第2実施形態に係る中性子半導体検出構造と比較して、中性子検出部40BにおけるP層13B、I層14B、及びN層15Bのそれぞれが配置される態様が異なっている。なお、第3実施形態に係るI層14Bの内部構造は、第1実施形態に係るI層14の上述した内部構造と同様の構成であってもよく、第2実施形態に係るI層14Aの上述した内部構造と同様の構成であってもよい。
I層14Bは、GaNバッファー層12上に形成された層である。つまり、I層14BとGaNバッファー層12との間にはN層が介在していない。
P層13B及びN層15Bのそれぞれは、I層14BのZ軸方向における基板とは反対側の面(上層側の面)に形成されている。より詳細には、P層13B及びN層15Bのそれぞれは、Z軸方向において、I層14Bの上層側の面の位置から、基板側に向かってI層14Bの途中まで入り込んだ位置までの領域に形成されている。
P層13Bは、I層14Bに対してZ軸方向における上層側からイオン注入(Pドープ)を行うことによって、I層14Bの一部を当該P層13Bに変えることで形成される。同様に、N層15Bは、I層14Bに対してZ軸方向における上層側からイオン注入(Nドープ)を行うことによって、I層14Bの一部を当該N層15Bに変えることで形成される。
また、P層13B及びN層15Bのそれぞれは、X軸方向において、互いに離間している。より詳細には、P層13Bは、I層14BのX軸方向における一端側に形成されており、N層15Bは、I層14BのX軸方向における他端側に形成されている。なお、ここでは、P層13B及びN層15Bのそれぞれが互いに離間している方向をX軸方向としたが、当該方向は、X軸方向に限定されず、Z軸方向に交差する方向であればよい。
このように構成された中性子半導体検出構造10Bを備える中性子半導体検出器において、P層13BとN層15Bとの間にバイアス電圧が印加されると、I層14Bに有感層(空乏層)Vが形成される。この有感層Vに中性子nが入射することで、図2に示されるように、当該中性子nが捕捉されてα線aが生成されると共にγ線gが放出される。そして、生成されたα線aは、同じI層14Bに含有されるGaNを励起して電子e及びホールhが生成され、これら電子e及びホールhを検出することで中性子nが検出される。
以上説明したように、本実施形態に係る中性子半導体検出器では、N層15B及びP層13Bのそれぞれは、I層14BのZ軸方向における上層側の面に形成されており、X軸方向において、互いに離間している。これにより、X軸方向に沿ってP層13B、I層14B、及びN層15Bが積層されたPIN構造を有する、いわゆる横型の中性子半導体検出器を好適に構成することができる。
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態に係る中性子半導体検出構造を示す概略断面図である。図12に示されるように、第4実施形態に係る中性子半導体検出構造10Cは、第1実施形態及び第2実施形態に係る中性子半導体検出構造と比較して、中性子検出部40CにおけるP層13C、I層14C、及びN層15Cのそれぞれが配置される態様が異なっている。また、第4実施形態に係る中性子半導体検出構造10Cは、最上層に保護膜16を有している点においても、第1実施形態及び第2実施形態に係る中性子半導体検出構造と異なっている。なお、第4実施形態に係るI層14Cの内部構造は、第1実施形態に係るI層14の上述した内部構造と同様の構成であってもよく、第2実施形態に係るI層14Aの上述した内部構造と同様の構成であってもよい。
I層14Cは、GaNバッファー層12上に形成された層である。つまり、I層14CとGaNバッファー層12との間にはN層が介在していない。
P層13C及びN層15Cのそれぞれは、I層14CのZ軸方向における基板とは反対側の面(上層側の面)に形成されている。より詳細には、P層13C及びN層15Cのそれぞれは、I層14Cの上層側の面上に形成されている。換言すると、P層13C及びN層15Cのそれぞれは、Z軸方向において、I層14Cの上層側の面から、更に上層側に向かって形成されている。
また、P層13C及びN層15Cのそれぞれは、X軸方向において、互いに離間している。より詳細には、P層13Cは、I層14CのX軸方向における一端側に形成されており、N層15Cは、I層14CのX軸方向における他端側に形成されている。なお、ここでは、P層13C及びN層15Cのそれぞれが互いに離間している方向をX軸方向としたが、当該方向は、X軸方向に限定されず、Z軸方向に交差する方向であればよい。
中性子半導体検出構造10Cは、I層14Cを保護するための保護膜16を有している。保護膜16は、I層14CのZ軸方向における上層側の面上に形成されている。換言すると、保護膜16は、Z軸方向において、I層14Cの上層側の面から、更に上層側に向かって形成されている。保護膜16は、Z軸方向から見て、I層14C上に互いに離間して配置されたP層13C及びN層15Cを避ける位置に配置されており、例えば、P層13CとN層15Cとの間の位置に配置されている。保護膜16は、SiOを含有している。
このように構成された中性子半導体検出構造10Cを備える中性子半導体検出器において、P層13CとN層15Cとの間にバイアス電圧が印加されると、I層14Cに有感層(空乏層)Vが形成される。この有感層Vに中性子nが入射することで、図2に示されるように、当該中性子nが捕捉されてα線aが生成されると共にγ線gが放出される。そして、生成されたα線aは、同じI層14Cに含有されるGaNを励起して電子e及びホールhが生成され、これら電子e及びホールhを検出することで中性子nが検出される。
以上説明したように、本実施形態に係る中性子半導体検出器では、N層15C及びP層13Cのそれぞれは、I層14CのZ軸方向における上層側の面に形成されており、X軸方向において、互いに離間している。これにより、X軸方向に沿ってP層13C、I層14C、及びN層15Cが積層されたPIN構造を有する、いわゆる横型の中性子半導体検出器を好適に構成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、第1実施形態及び第2実施形態において、B含有体42,42Aの原料として、TEBに代えて、TMB(トリメチルボロン)又はジボラン(B)が用いられてもよい。或いは、B含有体42,42Aの原料として、TEB、TMB、及びBのうちの少なくとも2種類が用いられてもよい。これらの場合、TMB及びBは、バブラーではなくボンベからチャンバ51に供給されてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態において、I層14,14Aの製造に用いられるMOCVD装置50のチャンバは、上述したチャンバ51に限定されず、MOCVD装置に適用可能な各種のチャンバであってよい。例えば、チャンバとしては、いわゆるシャワーヘッド型、横型水平チャンバ、バレル型等であってもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態において、I層14,14Aの製造方法における基板Sとしては、サファイア基板11上に形成されたGaNバッファー層12上に、更にN層15が形成されたものであってもよい。
また、第1実施形態において、B含有体42は、BGaNに代えて、又はBGaNに加えて、BNを含有していてもよい。
また、第1実施形態において、各GaN体41のZ軸方向における上層側の面が平坦であるとは、少なくとも各B含有体42のZ軸方向における上層側の面よりも凹凸が小さいことを意味してもよい。更に、凹凸が小さいとは、表面粗さが小さいことを意味してもよい。
また、第2実施形態において、B含有体42は、BNに代えて、又はBNに加えて、BGaNを含有していてもよい。この場合、製造方法の供給工程において、チャンバ51内にTMGとTEB、TMB、及びBのうちの少なくともいずれかとのそれぞれを断続的に交互に供給する際に、TMGとTEB、TMB、及びBのうちの少なくともいずれかとを供給するタイミングに重複する期間を設定することで、その期間においてBGaNを含有するB含有体42が形成される。
また、第2実施形態に係る製造方法の供給工程において、TMG、TEB、TMB、及びBのいずれも供給されない期間があってもよい。
1…中性子半導体検出器、10,10B,10C…中性子半導体検出構造、11…サファイア基板(基板)、12…GaNバッファー層(基板)、13,13B,13C…P層、14,14A,14B,14C…I層、15,15B,15C…N層、40,40B,40C…中性子検出部、41,41A…GaN体、42,42A…B含有体、50…MOCVD装置(有機金属気相堆積装置)、51…チャンバ。

Claims (12)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され、入射した中性子を捕捉する中性子検出部と、を備え、
    前記中性子検出部は、
    窒化ガリウム(GaN)を含有するGaN体と、
    窒化ホウ素(BN)及び窒化ボロンガリウム(BGaN)のうちの少なくとも一方を含有する複数のB含有体と、を有し、
    複数の前記B含有体のそれぞれは、前記GaN体に埋設されている、中性子半導体検出構造。
  2. 前記中性子検出部は、前記GaN体を複数有し、
    複数の前記GaN体及び複数の前記B含有体のそれぞれは、層状を呈すると共に交互に積層されており、
    複数の前記GaN体のそれぞれは、前記基板の厚さ方向における前記基板とは反対側の面が平坦となるように形成されている、請求項1に記載の中性子半導体検出構造。
  3. 複数の前記GaN体のそれぞれは、前記基板の厚さ方向において、1原子層以上2000原子層以下の厚さを有し、
    複数の前記B含有体のそれぞれは、前記基板の厚さ方向において、1原子層以上5000原子層以下の厚さを有する、請求項2に記載の中性子半導体検出構造。
  4. 複数の前記GaN体のそれぞれは、前記基板の厚さ方向において、20原子層以上800原子層以下の厚さを有し、
    複数の前記B含有体のそれぞれは、前記基板の厚さ方向において、10原子層以上1000原子層以下の厚さを有する、請求項3に記載の中性子半導体検出構造。
  5. 複数の前記B含有体のそれぞれは、前記基板の厚さ方向から見て、前記中性子検出部の一部のみに形成されている、請求項1に記載の中性子半導体検出構造。
  6. 複数の前記B含有体のそれぞれは、
    前記基板の厚さ方向において、1原子層以上40原子層以下の厚さを有し、
    前記基板の厚さ方向から見て、前記中性子検出部の1%以上99%以下の面積を有する、請求項5に記載の中性子半導体検出構造。
  7. 複数の前記B含有体のそれぞれは、
    前記基板の厚さ方向において、1原子層以上40原子層以下の厚さを有し、
    前記基板の厚さ方向から見て、前記中性子検出部の20%以上75%以下の面積を有する、請求項6に記載の中性子半導体検出構造。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の中性子半導体検出構造を備える中性子半導体検出器であって、
    前記GaN体及び前記B含有体は、真性半導体のI層を形成しており、
    前記中性子検出部は、
    N型半導体のGaNを含有するN層と、
    P型半導体のGaNを含有するP層と、を有し、
    前記N層及び前記P層のそれぞれは、前記I層に隣接しており、且つ、互いに離間している、中性子半導体検出器。
  9. 前記N層は、前記I層に対して前記基板の厚さ方向における前記基板側に形成されており、
    前記P層は、前記I層に対して前記基板の厚さ方向における前記基板とは反対側に形成されている、請求項8に記載の中性子半導体検出器。
  10. 前記N層及び前記P層のそれぞれは、
    前記I層の前記基板の厚さ方向における前記基板とは反対側の面に形成されており、
    前記基板の厚さ方向に交差する方向において、互いに離間している、請求項8に記載の中性子半導体検出器。
  11. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の中性子半導体検出構造の製造方法であって、
    有機金属気相堆積装置のチャンバ内に前記基板を載置し、前記基板を加熱する加熱工程と、
    加熱された前記基板が載置された前記チャンバ内に、アンモニア(NH)及びトリメチルガリウム(TMG)を連続的に供給し、且つ、トリエチルボロン(TEB)、トリメチルボロン(TMB)、及びジボラン(B)のうちの少なくともいずれかを断続的に供給する供給工程と、を含む、中性子半導体検出構造の製造方法。
  12. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の中性子半導体検出構造の製造方法であって、
    有機金属気相堆積装置のチャンバ内に前記基板を載置し、前記基板を加熱する加熱工程と、
    加熱された前記基板が載置された前記チャンバ内に、アンモニア(NH)を連続的に供給し、且つ、トリメチルガリウム(TMG)とトリエチルボロン(TEB)、トリメチルボロン(TMB)、及びジボラン(B)のうちの少なくともいずれかとのそれぞれを断続的に交互に供給する供給工程と、を含む、中性子半導体検出構造の製造方法。
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