1 実施の形態1
1.1 設計されるユーザインターフェース(UI)
図1は、実施の形態1のUI設計装置を用いて作成される画面レイアウトの例を図示する模式図である。図2は、実施の形態1のUI設計装置を用いて設計されるUIに含まれるAudioメニュー画面、Radioメニュー画面及びSettingメニュー画面の例を図示する模式図である。
図1に図示される画面レイアウト1000は、設計されるUIに内在する表示概念を表し、背景画像1020、Audioメニュー1021、Radioメニュー1022及びSettingメニュー1023を含む。背景画像1020は、海及び空を含む風景の画像である。Audioメニュー1021、Radioメニュー1022及びSettingメニュー1023の各メニューは、複数のメニュー項目を含む。
背景画像1020は、画面レイアウト1000の全体に広がる。Audioメニュー1021は、背景画像1020に含まれる空に重ねて配置され、当該空に含まれる雲の周辺に配置される。Radioメニュー1022は、背景画像1020に含まれる空に重ねて配置され、当該空に含まれる太陽の周辺に配置される。Settingメニュー1023は、背景画像1020に含まれる海に重ねて配置される。Audioメニュー1021、Radioメニュー1022及びSettingメニュー1023は、分散して配置される。
図2(a)に図示されるAudioメニュー画面1100は、雲を含む特徴的な部分1120、及びAudioメニュー1021を含む。Audioメニュー画面1100は、これらを画面レイアウト1000から切り出すことにより得られる。図2(b)に図示されるRadioメニュー画面1101は、太陽を含む特徴的な部分1121、及びRadioメニュー1022を含む。Radioメニュー画面1101は、これらを画面レイアウト1000から切り出すことにより得られる。図2(c)に図示されるSettingメニュー画面1102は、海を含む特徴的な部分1122、及びSettingメニュー1023を含む。Settingメニュー画面1102は、これらを画面レイアウト1000から切り出すことにより得られる。
実施の形態1のUI設計装置を用いて設計されるUIは、Audioメニュー画面1100、Radioメニュー画面1101及びSettingメニュー画面1102を含む。また、当該UIは、Audioメニュー画面1100、Radioメニュー画面1101及びSettingメニュー画面1102からなる画面群に含まれる一の画面から当該画面群に含まれる他の画面への画面遷移を含む。画面レイアウト1000の全体は、Audioメニュー画面1100、Radioメニュー画面1101及びSettingメニュー画面1102の各画面より大きい。当該各画面は、画面レイアウト1000の全体ではなく画面レイアウト1000の一部である。このため、一の画面から他の画面への画面遷移は、画面レイアウト1000において表示領域の位置を切り替えることにより行われる。
背景画像1020が他の背景画像に置き換えられてもよい。Audioメニュー1021、Radioメニュー1022及びSettingメニュー1023からなるメニュー群が他のメニュー群に置き換えられてもよく、Audioメニュー画面1100、Radioメニュー画面1101及びSettingメニュー画面1102からなるメニュー画面群が他のメニュー画面群に置き換えられてもよい。特徴的な部分1120,1121及び1122が他の特徴的な部分に置き換えられてもよい。
1.2 UI設計装置のハードウェア構成
図3は、実施の形態1のUI設計装置のハードウェア構成を図示するブロック図である。
UI設計装置1200は、パーソナルコンピュータ(PC)であり、図3に図示されるように、PC本体1220、モニタ1221、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223を備える。PC本体1220は、処理装置1240及び記憶装置1241を備える。ポインティングデバイス1222は、マウス等を備える。処理装置1240は、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)等を備える。記憶装置1241は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ等を備える。UI設計装置1200がこれらの構成要素以外の構成要素を備えてもよい。
処理装置1240は、記憶装置1241に記憶されたプログラムを実行する。これにより、PCがUI設計装置1200として動作する。
UI設計装置1200は、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた操作に応じた処理を行い、モニタ1221に画面を表示する処理を行う。
ポインティングデバイス1222及びキーボード1223からなる入力装置が他の入力装置に置き換えられてもよい。モニタ1221からなる表示装置が他の表示装置に置き換えられてもよい。
1.3 UI設計装置の概略
図4は、実施の形態1のUI設計装置を図示するブロック図である。
UI設計装置1200は、図4に図示されるように、レイアウト編集部1300、レイアウト格納部1301、状態遷移図編集部1302及び状態遷移図格納部1303を備える。UI設計装置1200がこれらの構成要素以外の構成要素を備えてもよい。
レイアウト編集部1300及び状態遷移図編集部1302は、記憶装置1241に記憶されたプログラムを処理装置1240が実行することにより実現される。レイアウト編集部1300及び状態遷移図編集部1302の一部又は全部がプログラムを実行しないハードウェアにより実現されてもよい。レイアウト格納部1301及び状態遷移図格納部1303は、記憶装置1241により実現される。
レイアウト編集部1300は、画面レイアウトの編集画面をモニタ1221に表示し、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた編集操作に従って画面レイアウトを編集する。画面レイアウトの編集画面には、編集中の画面レイアウトが表示される。したがって、UI設計装置1200の操作者は、モニタ1221に表示された画面レイアウトの編集画面を見ながらポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して編集操作を行うことにより、画面レイアウトを編集することができる。レイアウト編集部1300が編集を行うことにより作成された画面レイアウトは、レイアウト格納部1301に格納される。
状態遷移図編集部1302は、状態遷移図の編集画面をモニタ1221に表示し、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた編集操作に従って状態遷移図を編集する。状態遷移図は、画面遷移図とも呼ばれ、機器に表示される画面の切り替えの内容を図示する。状態遷移図の編集画面には、編集中の状態遷移図が表示される。したがって、UI設計装置1200の操作者は、モニタ1221に表示された状態遷移図の編集画面を見ながらポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して編集操作を行うことにより、状態遷移図を編集することができる。状態遷移図編集部1302が編集を行うことにより作成された状態遷移図は、状態遷移図格納部1303に格納される。
また、状態遷移図の編集画面においては、編集中の状態遷移図が画面レイアウトに重畳して表示される。これにより、画面レイアウト及び編集中の状態遷移図がグラフィカルに関連付けられ、UI設計装置1200の操作者が画面レイアウト及び編集中の状態遷移図を同時に参照できる。編集中の状態遷移図が画面レイアウトに重畳して表示された状態においては、編集中の状態遷移図を視認可能である。
1.4 画面レイアウトの編集の詳細
レイアウト編集部1300は、図4に図示されるように、部品配置部1320を備える。
部品配置部1320は、記憶装置1241に記憶されたプログラムを処理装置1240が実行することにより実現される。
部品配置部1320は、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた配置操作に従って画面レイアウト内にUI部品を配置する。したがって、UI設計装置1200の操作者は、画面レイアウトの編集の際に、モニタ1221に表示された画面レイアウトの編集画面を見ながらポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して配置操作を行うことにより、画面レイアウト内にUI部品を配置できる。
1.5 画面レイアウトの編集画面
図5は、実施の形態1のUI設計装置に表示される画面レイアウトの編集画面の例を図示する模式図である。
図5に図示される画面レイアウトの編集画面1400は、領域1420及び1421を含む。
領域1420は、編集画面1400の右側に表示され、編集ウインドウとなっている。領域1420には、編集中の画面レイアウト1440が表示される。編集中の画面レイアウト1440は、既に配置されたUI部品1460,1461及び1462を含む。
領域1421は、編集画面1400の左側に表示される。領域1421には、UI部品1480,1481,1482及び1483が表示される。領域1421へのUI部品1480,1481,1482及び1483の表示は、部品配置部1320により行われる。
部品配置部1320は、UI部品1500を選択し、選択したUI部品1500を領域1420内の領域内位置に配置する配置操作がポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた場合に、選択されたUI部品1500を当該領域内位置に配置する。当該配置操作は、領域1421に表示されたUI部品1480,1481,1482及び1483からUI部品1500を選択し、選択したUI部品1500を領域1421から領域1420内の領域内位置までドラッグ・アンド・ドロップする配置操作である。当該配置操作が他の配置操作に置き換えられてもよい。例えば、当該配置操作が、領域1421に表示されたUI部品1480,1481,1482及び1483からUI部品1500を選択し、領域1420内の領域内位置をクリックする配置操作に置き換えられてもよいし、領域1420内の領域内位置を右クリックし、UI部品1500を選択する配置操作に置き換えられてよい。後者の配置操作が採用された場合は、領域1421は不要である。
1.6 状態遷移図の編集の詳細
状態遷移図編集部1302は、図4に図示されるように、状態配置部1340、状態遷移接続部1341、状態編集部1342及びレイアウト重畳部1343を備える。状態編集部1342は、表示枠設定部1360を備える。レイアウト重畳部1343は、重畳レイアウト指定部1380を備える。
状態配置部1340、状態遷移接続部1341、状態編集部1342、レイアウト重畳部1343、表示枠設定部1360及び重畳レイアウト指定部1380は、記憶装置1241に記憶されたプログラムを処理装置1240が実行することにより実現される。
状態遷移図編集部1302により編集される状態遷移図は、複数のオブジェクト及び遷移線を含む。複数のオブジェクトは、それぞれ複数の状態を表す。遷移線は、遷移元状態から遷移先状態への画面遷移を表す。遷移元状態及び遷移先状態は、複数の状態に含まれる。その具体例は、下述する。
状態配置部1340は、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた配置操作に従って複数のオブジェクトを配置する。
状態遷移接続部1341は、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた接続操作に従って遷移元状態を表すオブジェクトと遷移先状態を表すオブジェクトとを遷移線により接続する。
状態編集部1342は、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた編集操作に従って複数のオブジェクトを編集し複数の状態の属性を編集する。
表示枠設定部1360は、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた設定操作に従って複数の状態において表示される表示領域をそれぞれ指定する複数の表示枠を下述の重畳画面レイアウトに設定する。表示枠の位置は、重畳画面レイアウトから表示領域を切り取る位置を示す。複数の表示枠のサイズは、機器に表示される画面のサイズと同じサイズに固定されている。設定された複数の表示枠の位置は、状態遷移図格納部1303に格納される。したがって、状態遷移図格納部1303は、設定された複数の表示枠の位置を示すデータを記憶する。
重畳レイアウト指定部1380は、ポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた指定操作に従ってレイアウト格納部1301に格納されている画面レイアウトの中から重畳画面レイアウトを指定する。
レイアウト重畳部1343は、編集中の状態遷移図を、指定された重畳画面レイアウトに重畳させて表示する。このとき、複数のオブジェクトがそれぞれ複数の表示枠の位置に配置された状態で重畳表示が行われる。
1.7 状態遷移図の編集画面
図6及び図7は、実施の形態1のUI設計装置に表示される状態遷移図の編集画面の例を図示する模式図である。図7は、図6の第2のオブジェクトの付近を拡大して図示している。
図6及び図7に図示される状態遷移図の編集画面1600は、領域1620及び1621を含む。
領域1620は、状態遷移図の編集画面1600の右側に配置され、編集ウインドウとなっている。領域1620には、編集中の状態遷移図1640及び重畳画面レイアウト1641が表示される。編集中の状態遷移図1640は、重畳画面レイアウト1641に重ね合わせて表示される。重畳画面レイアウト1641は、背景に表示される。編集中の状態遷移図1640は、その手前に表示される。
状態遷移図1640は、第1のオブジェクト1660、第2のオブジェクト1661及び遷移線1662を含む。第1のオブジェクト1660及び第2のオブジェクト1661は、それぞれ状態1及び状態2を表す。遷移線1662は、状態1から状態2への画面遷移を表し、第1のオブジェクト1660と第2のオブジェクト1661とを接続する。
第1のオブジェクト1660及び第2のオブジェクト1661は、それぞれ第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681を含み、それぞれ第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681の位置に配置される。
領域1621には、オブジェクト1700が表示される。領域1621へのオブジェクト1700の表示は、状態配置部1340により行われる。
重畳レイアウト指定部1380は、レイアウト格納部1301に格納されている画面レイアウトの中から重畳画面レイアウト1641を指定する指定操作がポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた場合に、重畳画面レイアウト1641を指定する。レイアウト重畳部1343は、指定された重畳画面レイアウト1641を領域1620の背景に設定する。
状態配置部1340は、オブジェクト1720を選択し、選択したオブジェクト1720を領域1620の領域内位置に配置する配置操作がポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた場合に、選択されたオブジェクト1720を当該領域内位置に配置する。当該配置操作は、領域1621に表示されたオブジェクト1700からオブジェクト1720を選択し、選択したオブジェクト1720を領域1621から領域1620の領域内位置までドラッグ・アンド・ドロップする配置操作である。上述のUI部品1500の配置操作が他の配置操作に置き換えられてもよいのと同様に、当該オブジェクト1720の配置操作が他の配置操作に置き換えられてもよい。
状態遷移接続部1341は、第1のオブジェクト1660と第2のオブジェクト1661とを接続する操作がポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた場合に、第1のオブジェクト1660と第2のオブジェクト1661とを遷移線1662により接続する。当該接続操作は、第1のオブジェクト1660を選択し、UI設計装置1200を遷移線接続モードに設定し、UI設計装置1200が遷移線接続モードに設定されている間に第1のオブジェクト1660を第2のオブジェクト1661上までドラッグ・アンド・ドロップする接続操作である。UI設計装置1200を遷移線接続モードに設定するためには、キーボード1223に設けられた特定のキーが押下される。当該接続操作が他の接続操作に置き換えられてもよい。例えば、当該接続操作が、第1のオブジェクト1660の周辺に表示された遷移線1662を表すシンボルを選択し、選択したシンボルを第2のオブジェクト1661上までドラッグ・アンド・ドロップする接続操作に置き換えられてもよい。キーボード1223に設けられた特定のキーが押下された場合にUI設計装置1200が遷移線接続モードに設定されるのではなく、「遷移線で接続」というメニュー項目が選択された場合にUI設計装置1200が遷移線接続モードに設定されてもよい。
表示枠設定部1360は、第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681を設定する操作がポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた場合に、それぞれ第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681を設定し、それぞれ第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681を領域1620に表示する。第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681は、矩形状であり、それぞれ第1のオブジェクト1660及び第2のオブジェクト1661の内部に配置される。第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681は、それぞれ状態1において表示される表示領域1740及び状態2において表示される表示領域1741を囲み、それぞれ表示領域1740及び1741を明示する。第1の表示枠1680及び第2の表示枠1681の位置は、状態遷移図格納部1303に格納される。
1.8 画面レイアウトの編集と状態遷移図の編集との分離
UI設計装置1200においては、作成された画面レイアウトがレイアウト格納部1301に格納され、作成された状態遷移図が状態遷移図格納部1303に格納される。したがって、画面レイアウト及び状態遷移図は、互いに独立して保存され、互いに独立して編集することができる。
また、UI設計装置1200においては、重畳レイアウト指定部1380は、レイアウト格納部1301に格納されている画面レイアウトの中から重畳画面レイアウトを指定するにすぎず、レイアウト格納部1301に格納されている画面レイアウトのコピーを取り込んで状態遷移図格納部1303に重畳画面レイアウトとして格納することはしない。
これらにより、画面レイアウト及び画面遷移を並行して開発することができ、UIの設計に要する工期を短縮することができる。例えば、以下のような開発の流れを採用することにより、UIの設計に要する工期を短縮することができる。
まず、画面レイアウトの開発設計者が、画面内のオブジェクトの配置を実施する。
続いて、画面レイアウトの開発設計者及び画面遷移の開発担当者が、画面内のオブジェクトの配置を用いて、それぞれ画面レイアウトの開発及び画面遷移の開発を並行して実施する。すなわち、画面レイアウトの開発設計者が、画面内の表示内容の充実化及び表示ロジック設計を実施し、画面遷移の開発担当者が、それと並行して、画面遷移のロジック設計を実施する。
これにより、画面レイアウトの開発設計者と画面遷移の開発担当者とを互いに分離して並行開発を実施することができる。
これに対し、特許文献1に記載された技術においては、状態遷移図を用いた画面遷移の記述、及び状態に対応する画面レイアウトの記述が、同一のエディタ上で編集される。また、保存されたデータにおいても、画面遷移に関する要素、及び画面レイアウトに関する要素が統合される。このため、画面レイアウトの開発担当者と画面遷移の開発担当者とを互いに分離して並行開発を実施することができない。
1.9 実施の形態1のUI設計装置の利点
特許文献1に記載された技術に代表される、複数の状態の各状態とひとつの画面レイアウトとが対応付けられる技術によれば、各状態に対して画面の全体を示す画面レイアウトしか設定することができない。このため、表示される画面のサイズより大きいサイズを有する画面レイアウトにおいて表示領域を切り替えることにより表示される画面を切り替えるUIを、状態遷移図を用いて設計することができない。
これに対して、UI設計装置1200によれば、複数の状態をそれぞれ表す複数のオブジェクト、及び遷移元状態から遷移先状態への画面遷移を表す遷移線を含む状態遷移図が作成され、複数の状態において表示される表示領域をそれぞれ指定する複数の表示枠が画面レイアウト設定される。また、複数のオブジェクトがそれぞれ複数の表示枠の位置に配置された状態で状態遷移図が画面レイアウトに重畳して表示される。このため、表示される画面のサイズより大きいサイズを有する画面レイアウトにおいて表示領域を切り替えることにより表示される画面を切り替えるUIを、状態遷移図を用いてグラフィカルに設計することができる。
また、UI設計装置1200によれば、状態遷移図に含まれる設計要素であるオブジェクトを単なる概念ではなく画面遷移が実行される際の表示制御にも利用することができる。このため、UIを効率的に設計することができる。
2 実施の形態2
図8は、実施の形態2のUI設計装置を図示するブロック図である。
図8に図示される実施の形態2のUI設計装置2200は、図4に図示される実施の形態1のUI設計装置1200と同じく、レイアウト編集部1300、レイアウト格納部1301、状態遷移図編集部1302、状態遷移図格納部1303、部品配置部1320、状態配置部1340、状態遷移接続部1341、状態編集部1342、レイアウト重畳部1343、表示枠設定部1360及び重畳レイアウト指定部1380を備える。UI設計装置2200に設けられたこれらの構成要素の各々は、UI設計装置1200に設けられた同名の構成要素と同様に動作しうる。
ただし、UI設計装置2200においては、UI設計装置1200と異なり、状態遷移図編集部1302が、遷移動作変換部2344をさらに備える。
遷移動作変換部2344は、遷移元状態から遷移先状態への画面遷移を表す遷移線により遷移元状態を表すオブジェクトと遷移先状態を表すオブジェクトとが接続されている場合に、遷移線を、画面遷移が実行される場合の動作を規定する第1の情報に変換する。変換により得られた第1の情報は、状態遷移図格納部1303に格納される。したがって、状態遷移図格納部1303は、第1の情報を示すデータを記憶する。
第1の情報は、遷移元状態において表示される表示領域の位置を示す遷移元座標、及び遷移先状態において表示される表示領域の位置を示す遷移先座標を含む。遷移元座標及び遷移先座標は、画面レイアウトにおける座標であり、それぞれ遷移線の始点及び終点の位置を反映する。遷移元座標及び遷移先座標は、UI設計装置2200を用いて設計されたUIにおいて画面遷移が実行される場合に遷移元座標により示される位置から遷移先座標により示される位置へ向かって表示領域が動くアニメーションを実現するために用いることができる。
遷移元座標及び遷移先座標としては、それぞれ遷移元状態及び遷移先状態において表示される表示領域を囲む表示枠の左上の座標が用いられる。表示枠の左上の座標が他の座標に置き換えられてもよい。例えば、表示枠の左上の座標が表示枠の中心の座標に置き換えられてもよい。
UI設計装置2200は、UI設計装置1200の利点と同じ利点を有する。
加えて、UI設計装置2200によれば、状態遷移図に含まれる設計要素である遷移線を単なる概念ではなく画面遷移が実行される際のアニメーションの表示制御にも利用することができる。このため、UIを効率的に設計することができる。
3 実施の形態3
図9は、実施の形態3のUI設計装置を図示するブロック図である。
図9に図示される実施の形態3のUI設計装置3200は、図4に図示される実施の形態1のUI設計装置1200と同じく、レイアウト編集部1300、レイアウト格納部1301、状態遷移図編集部1302、状態遷移図格納部1303、部品配置部1320、状態配置部1340、状態編集部1342、レイアウト重畳部1343、表示枠設定部1360及び重畳レイアウト指定部1380を備える。UI設計装置3200に設けられたこれらの構成要素の各々は、UI設計装置1200に設けられた同名の構成要素と同様に動作しうる。
また、UI設計装置3200は、図8に図示される実施の形態2のUI設計装置2200と同じく、遷移動作変換部2344を備える。UI設計装置3200に設けられた遷移動作変換部2344は、UI設計装置2200に設けられた遷移動作変換部2344と同様に動作しうる。
ただし、UI設計装置3200は、UI設計装置1200及び2200と異なり、状態遷移接続部1341に代えて拡張状態遷移接続部3341を備える。また、UI設計装置3200においては、UI設計装置1200及び2200と異なり、状態遷移図編集部1302が遷移軌跡設定部3345をさらに備える。
UI設計装置3200に設けられた拡張状態遷移接続部3341は、UI設計装置1200に設けられた状態遷移接続部1341の機能を拡張した状態遷移接続部であり、状態遷移接続部1341と同様に動作しうるとともに、遷移線の形状を可変に設定可能である。設定される遷移線の形状は、任意であり、直線状でなくてもよく、折れ線状、曲線状であってもよい。
遷移軌跡設定部3345は、遷移元状態から遷移先状態への画面遷移を表す遷移線により遷移元状態を表すオブジェクトと遷移先状態を表すオブジェクトとが接続されている場合に、遷移線の形状を、画面遷移が実行される場合の動作を規定する第2の情報に変換する。変換により得られた第2の情報は、状態遷移図格納部1303に格納される。したがって、状態遷移図格納部1303は、第2の情報を示すデータを記憶する。
遷移線は、画面遷移が実行される際の表示領域の位置の軌跡を示す。第2の情報は、遷移元状態と遷移先状態との間の過渡状態において表示される表示領域の位置を示す過渡状態時座標を含む。過渡状態時座標は、遷移線の始点及び終点以外の中間点の位置を反映する。過渡状態時座標は、UI設計装置3200を用いて設計されたUIにおいて画面遷移が実行される場合に過渡状態時座標により示される位置を経由して表示領域が動くアニメーションを実現するために用いることができる。過渡状態時座標により表される第2の情報が、過渡状態時座標以外により表される第2の情報に置き換えられてもよい。例えば、過渡状態時座標により表される第2の情報が、過渡状態時座標を算出する数式に置き換えられてもよい。当該数式は、遷移線の形状を示す。
過渡状態時座標としては、過渡状態において表示される表示領域を囲む表示枠の左上の座標が用いられる。表示枠の左上の座標が他の座標に置き換えられてもよい。例えば、表示枠の左上の座標が表示枠の中心の座標に置き換えられてもよい。
続いて、設定された遷移線の形状ごとに第2の情報の例を説明する。
設定された遷移線の形状が折れ線状である場合は、第2の情報は、遷移線の各頂点の位置を反映する過渡状態時座標を含む。これにより、遷移線の始点の位置を反映する位置から遷移線の頂点の位置を反映する位置を順次に経由して遷移線の終点の位置を反映する位置まで表示領域が動くアニメーションを実現することができる。
設定された遷移線の形状が曲線状である場合は、第2の情報は、遷移線の形状を表す数式を含む。これにより、アニメーションの開始からの経過時間に対応する過渡状態時座標が数式から計算され、遷移線の始点の位置を反映する位置から遷移線上の中間点に対応する位置を順次に経由して遷移線の終点の位置を反映する位置まで表示領域が動くアニメーションを実現することができる。
図10は、実施の形態3のUI設計装置に表示される状態遷移図の編集画面の例を図示する模式図である。
図10に図示される状態遷移図の編集画面3600の領域3620には、第1のオブジェクト3660、第2のオブジェクト3661及び遷移線3662を含む状態遷移図3640が表示されている。
拡張状態遷移接続部3341は、第1のオブジェクト3660と第2のオブジェクト3661とを領域3620内の領域内位置を経由して接続する接続操作がポインティングデバイス1222及びキーボード1223に対して行われた場合に、第1のオブジェクト3660と第2のオブジェクト3661とを領域内位置を経由する遷移線3662により接続する。当該接続操作は、第1のオブジェクト3660を選択し、UI設計装置3200を遷移線接続モードに設定し、UI設計装置3200が遷移線接続モードに設定されている間に領域3620内の領域内位置をクリックし、第2のオブジェクト3661をダブルクリックする接続操作である。UI設計装置3200を遷移線接続モードに設定するためには、キーボード1223に設けられた特定のキーが押下される。遷移線3662の作成は、領域内位置がクリックされるごとに進められる。UI設計装置1200と同様に、当該接続操作が他の接続操作に置き換えられてもよい。例えば、「遷移線で接続」というメニュー項目が選択された場合にUI設計装置3200が遷移線接続モードに設定されてもよい。
第1のオブジェクト3660と第2のオブジェクト3661とが遷移線3662により接続された場合は、画面遷移が実行される際に、空に含まれる雲の周辺から、海、及び空に含まれる鳥の周辺を順次に経由して、空に含まれる太陽の周辺まで表示領域が移動するアニメーションを表示して画面の切り替えを行うことができる。
UI設計装置3200は、UI設計装置1200の利点と同じ利点を有する。
加えて、UI設計装置3200によれば、状態遷移図を構成する設計要素である遷移線を単なる概念ではなく画面遷移が実行される際のアニメーションの表示制御にも利用することができる。このため、UIを効率的に設計することができる。
4 実施の形態4
図11は、実施の形態4のUI設計装置を図示するブロック図である。
図11に図示される実施の形態4のUI設計装置4200は、図4に図示される実施の形態1のUI設計装置1200と同じく、レイアウト編集部1300、レイアウト格納部1301、状態遷移図編集部1302、状態遷移図格納部1303、部品配置部1320、状態配置部1340、状態遷移接続部1341、状態編集部1342、レイアウト重畳部1343及び重畳レイアウト指定部1380を備える。UI設計装置4200に設けられたこれらの構成要素の各々は、UI設計装置1200に設けられた同名の構成要素と同様に動作しうる。
ただし、UI設計装置4200においては、UI設計装置1200と異なり、状態遷移図編集部1302が表示枠設定部1360に代えて拡張表示枠設定部4360を備える。
UI設計装置4200に設けられた拡張表示枠設定部4360は、UI設計装置1200に設けられた表示枠設定部1360の機能を拡張した表示枠設定部であり、表示枠設定部1360と同様に動作しうるとともに、複数の表示枠のサイズを可変に設定可能である。設定された複数の表示枠の位置及びサイズは、状態遷移図格納部1303に格納される。したがって、状態遷移図格納部1303は、設定された複数の表示枠の位置及びサイズを示すデータを記憶する。
UI設計装置1200においては、表示枠のサイズが固定されていたため、表示枠の位置のみが状態遷移図編集部1302に格納されるが、UI設計装置4200においては、表示枠のサイズが固定されていないため、表示枠の位置及びサイズが状態遷移図編集部1302に格納される。
各表示枠のサイズは、機器に表示される画面のサイズから独立して設定することができる。このため、各表示枠のサイズは、表示したい範囲が表示枠に囲まれるように設定される。一方で、機器に表示される画面のサイズは、一定である。したがって、設定された各表示枠のサイズは、機器に表示される画面のサイズより大きい場合もあるし、機器に表示される画面のサイズと同じである場合もあるし、機器に表示される画面のサイズより小さい場合もある。表示枠のサイズが機器に表示される画面のサイズより大きい場合は、表示枠に囲まれる表示領域が縮小されてから機器に表示される。表示枠のサイズが機器に表示される画面のサイズと同じである場合は、表示枠に囲まれる表示領域が拡大又は縮小されることなく機器に表示される。表示枠のサイズが機器に表示されるサイズより小さい場合は、表示枠に囲まれる表示領域が拡大されてから機器に表示される。
図12は、実施の形態4のUI設計装置に表示される状態遷移図の編集画面の例を図示する模式図である。図13は、実施の形態4のUI設計装置を用いて設計されるUIに含まれるAudioメニュー画面及びRadioメニュー画面の例を図示する模式図である。
図12に図示される状態遷移図の編集画面4600の領域4620には、第1のオブジェクト4660、第2のオブジェクト4661及び遷移線4662を含む状態遷移図4640が表示されている。
第1のオブジェクト4660に含まれる第1の表示枠4680のサイズは、機器に表示される画面のサイズと同じである。第2のオブジェクト4661に含まれる第2の表示枠4681のサイズは、機器に表示される画面のサイズより大きい。第2の表示枠4681のサイズのこのような設定には、状態2において広い範囲を表示したいという操作者の意図が反映されている。
図13(a)に図示されるAudioメニュー画面4400には、第1の表示枠4680に囲まれる表示領域4740が拡大又は縮小されることなく表示される。
図13(b)に図示されるRadioメニュー画面4401には、第2の表示枠4681に囲まれる表示領域4741が縮小されてから表示される。
このような縮小の有無の違いにより、図12に図示される状態遷移図の編集画面4600に表示されるAudioメニュー4021のサイズは、図12に図示される状態遷移図の編集画面4600に表示されるRadioメニュー4022のサイズと同じであるが、図13(a)に図示されるAudioメニュー画面4400に表示されるAudioメニュー4021のサイズは、図13(b)に図示されるRadioメニュー画面4401に表示されるRadioメニュー4022のサイズより大きくなっている。
UI設計装置4200は、UI設計装置1200の利点と同じ利点を有する。
加えて、UI設計装置4200によれば、画面レイアウトにおいて表示領域の位置及びサイズを切り替えることにより表示される画面を切り替えるUIを、状態遷移図を用いて設計することができる。
また、UI設計装置4200によれば、状態遷移図を構成する設計要素である表示枠を単なる概念ではなく画面遷移が実行される際の表示制御にも利用することができる。このため、UIを効率的に設計することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。