以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例の全体構成について図1ないし図4を参照して説明する。図1は同液体吐出ヘッドの分解斜視説明図、図2は同じくノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、図3は図2の要部拡大断面説明図、図4は同じくノズル配列方向に沿う要部断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材である振動板3と、圧力発生素子である圧電素子11と、保持基板50と、FPCなどの配線部材60と、共通液室部材を兼ねるフレーム部材70とを備えている。
ここで、流路板2、振動板3及び圧電素子11で構成される部分を、本発明における「アクチュエータ基板20」とする。ただし、アクチュエータ基板20として独立の部材が形成された後にノズル板1や保持基板50と接合されることまで意味するものではない。また、流路板2、振動板3及び保持基板50を併せて「流路部材」とする。
ノズル板1には、液体を吐出する複数のノズル4が形成されている。ここでは、ノズル4を配列したノズル列を4列配置した構成としている。
流路板2は、ノズル板1及び振動板3とともに、ノズル4が通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7が通じる液導入部(通路)8を形成している。
この液導入部8は振動板3の通路(供給口)9と保持基板50の流路となる開口部51を介してフレーム部材70で形成される共通液室10に通じている。
振動板3は、個別液室6の壁面の一部を形成する変形可能な振動領域30を形成している。そして、この振動板3の振動領域30の個別液室6と反対側の面には、振動領域30と一体的に圧電素子11が設けられ、振動領域30と圧電素子11によって圧電アクチュエータ構成している。
圧電素子11は、振動領域30側から下部電極13、圧電層(圧電体)12及び上部電極14を順次積層形成して構成している。この圧電素子11上には絶縁膜21が形成されている。
複数の圧電素子11の共通電極となる下部電極13は、共通配線15を介して共通電極電源配線パターン508に接続されている。なお、下部電極13は、図4に示すように、ノズル配列方向ですべての圧電素子11に跨って形成される1つの電極層である。
また、圧電素子11の個別電極となる上部電極14は、個別配線16を介して駆動回路部である駆動IC(以下、「ドライバIC」という。)500に接続されている。個別配線16などは絶縁膜22にて被覆されている。
ドライバIC500は、圧電素子列の列間の領域を覆うようにアクチュエータ基板20にフリップチップボンディングなどの工法により実装されている。
アクチュエータ基板20に搭載されたドライバIC500は、駆動波形(駆動信号)が供給される個別電極電源配線パターン509と接続されている。
配線部材60に設けられた配線が、ドライバIC500と電気的に接続されており、配線部材60の他端側は装置本体側の制御部に接続される。
そして、アクチュエータ基板20の振動板3側には、アクチュエータ基板20上の圧電素子11を覆っている保持基板50が接着剤で接合されている。
保持基板50は、共通液室10と個別液室6側を通じる、ノズル配列方向に亘って延びるスリット状の貫通穴である開口部51が形成されている。また、保持基板50には、圧電素子11を収容する凹部52と、ドライバIC500を収容する開口部53が設けられている。なお、開口部51は、1又は複数の個別液室に対応して複数設ける構成でもよい。
この保持基板50は、アクチュエータ基板20と共通液室部材であるフレーム部材70との間に介在し、共通液室10の壁面の一部を形成している。
フレーム部材70は、各個別液室6に液体を供給する共通液室10が形成された共通液室部材である。なお、共通液室10は4つのノズル列に対応してそれぞれ設けられる。また、外部からの液体供給口71(図1)を介して共通液室10に所要の色の液体が供給される。
フレーム部材70には、ダンパ部材90が接合されている。ダンパ部材90は、共通液室10の一部の壁面を形成する変形可能なダンパ91と、ダンパ91を補強するダンパプレート92とを有している。
フレーム部材70はノズル板1の外周部及び保持基板50と接着剤で接合され、アクチュエータ基板20及び保持基板50を収容して、このヘッドのフレームを構成している。
そして、ノズル板1の周縁部及びフレーム部材70の外周面の一部を覆うノズルカバー部材45を設けている。
この液体吐出ヘッドにおいては、ドライバIC500から圧電素子11の上部電極14と下部電極13の間に電圧を与えることで、圧電層12が電極積層方向、すなわち電界方向に伸張し、振動領域30と平行な方向に収縮する。これにより、振動領域30の下部電極13側に引っ張り応力が発生し、振動領域30が個別液室6側に撓み、内部の液体を加圧することで、ノズル4から液体が吐出される。
次に、本発明の第1実施形態における接着剤による接合領域及び封止部材による封止領域の概要について図5を参照して説明する。図5は同説明に供する平面説明図である。なお、図示を簡略化するために共通液室を2つにして説明している。
図5(a)はフレーム部材70に塗布される接着剤である接着剤81の領域(接合領域となる。)と、封止部材80の領域(封止領域となる。)とを示している。図5(b)は保持基板50における接着剤81による接合領域81aと、封止部材80による封止領域80a1を示している。図5(c)はノズル板1における封止部材80による封止領域80a1を示している。
本実施形態では、図5(a)に示すように、2つの共通液室10の周囲を囲むようにフレーム部材70に接着剤81が塗布されて、図5(b)に示すように、保持基板50の接合領域81aと接合される。
また、フレーム部材70には接着剤81で囲まれた領域を含めて接着剤81の周りを取り囲んで封止部材80が配置される。そして、図5(c)に示すように、フレーム部材70の接着剤81の周りの三辺はノズル板1の領域80a1との間に封止部材80が配置され、フレーム部材70の接着剤81の周りの残りの一辺は保持基板50側の領域80a2との間に封止部材80が配置される。
これにより、平面視において、共通液室10に臨む接着剤81の周りを取り囲んで封止部材80が設けられる。つまり、フレーム部材70(共通液室部材)は、流路部材を構成する保持基板50と液体の流れる流路(開口部51を含む共通液室10)に面した接着剤81で接合され、接着剤81の流路とは反対側に、接着剤81の周りを取り囲んで封止部材80が設けられている。
ここでは、封止部材80は、平面視において、接着剤81で囲まれた領域を含めて接着剤81の周りを取り囲んで設けられる。なお、平面視とは、ヘッドのノズル板1の上方からノズル板1、アクチュエータ基板20、保持基板50を透過して視たとき状態の意味である。
このように、共通液室10に臨む接着剤81の周りを取り囲んでいる封止部材80を設けることで、接着剤81として透気性を有する接着剤を用いたとしても、接着剤81を通しての水分の蒸発が抑制されて、液体の増粘を抑えることができ、安定した吐出性能を維持し、吐出不良を起こしにくくすることができる。さらに、接着剤81としての材料選定の自由度を広く設定できる。
具体的に説明すると、一般的な液体吐出ヘッドにおいては、流路が形成される部分の接合には一般的に耐水性、耐溶剤性に優れ、透気性も低い接着剤が選定されて使用される。
しかし、アクチュエータ基板に接合した保持基板(流路部材の一部を構成)に共通液室部材を接合した図2のような構成にあっては、アクチュエータ基板の圧力発生素子を駆動したときに、保持基板が振動して共通液室に振動が伝搬し、吐出特性が不安定となることがある。
これを、防ぐためには保持基板と共通液室部材とを弾性を有する接着剤で接合して振動を吸収することが有効であるが、このような接着剤は分子構造上、透気性が高いものが多く、流路を通る液体から接着剤を通して水分が揮発し流路内の液体の増粘が引き起こされる、吐出不良の原因となる。
そこで、本実施形態では共通液室10に臨む接着剤81の周りを取り囲むようにしている。これにより、封止部材80の内側であって封止部材80と接着剤81との間の領域の湿度が高くなり、流路内の液体の水分の揮発を抑制している。
封止部材80の内側の湿度は環境温度における飽和水蒸気圧に達していることが好ましい。
これにより、接着剤81として弾性接着剤を使用して共通液室部材(フレーム部材70)と保持基板50とを接合することが可能になり、保持基板50の振動が吸収減衰することで、保持基板50が振動して共通液室部材(フレーム部材70)に振動が伝搬し、吐出特性が不安定になることを低減できる。
この場合、面直方向において、封止部材80は、ノズル板1との間及び保持基板50との間に設けられることで、詳細は後述するが、少なくとも一部は他の部分と高さが異なる位置に配置されることになり、立体的な封止が行われている。なお、面直方向とはヘッドの面直方向であり、ここでは、ノズル板、アクチュエータ基板、保持基板、共通液室部材の積層方向と同じである。
また、上記の説明では2つの共通液室10の周囲のそれぞれ接着剤81が配置されていることで、接着剤81で囲まれる領域が複数箇所あり、封止部材80は、複数箇所の接着剤81の周りを一括して取り囲んで配置されている。
まず、共通液室部材としてのフレーム部材について図6ないし図12を参照して説明する。図6は同フレーム部材の平面説明図、図7は図6のA−A線に沿う斜視断面説明図、図8は図6のB−B線に沿う斜視断面説明図、図9Aは図6のC−C線に沿う斜視断面説明図、図9Bは図9Aの要部拡大斜視説明図である。図10は図6のA1−A1線に沿う断面におけるリブ部分の説明図、図11は図6のB1−B1線に沿うリブ部分の断面説明図、図12は図6のC1−C1線に沿うリブ部分の断面説明図である。なお、フレーム部材にダンパ部材を接合した状態で示している。
なお、本実施形態においては、封止部材として、封止剤(例えばエポキシ系接着剤)を使用した例で説明する。
共通液室部材であるフレーム部材70には、図10にも示すように、共通液室10の周囲に、保持基板50との接合面を形成する第1リブであるリブ172が設けられている。この場合、隣り合う共通液室10の周囲の間には、リブ172、172間に段差部176が形成される。リブ172上には複数の凸形状部177が形成されている。
フレーム部材70には、図10にも示すように、すべての共通液室10の三方を囲んでノズル板1との接合面を形成する第2リブであるリブ170を設けている。ここでは、リブ170はフレーム部材70とノズル板1との間に封止剤が介在するリブとなる。このリブ170は共通液室10の長手方向に沿う一対の辺、及び短手方向に沿う一対の辺の内一方の辺を囲むように設けられている。また、フレーム部材70の長手方向端部には配線部材60が通される開口部76を有している。
ここで、面直方向(ノズル板1、保持基板50、フレーム部材(共通液室部材)70の積層方向)において、保持基板50との接合面を形成する第1リブであるリブ172とノズル板1との接合面を形成する第2リブであるリブ170とは高さが異なる。つまり、第2リブであるリブ170は第1リブであるリブ172よりも高くしている。
そして、図11及び図12にも示すように、共通液室10と開口部76との間には、リブ171a、171bで三方が囲まれている凹部からなる封止剤塗布溝173が設けられている。リブ171bは、封止剤塗布溝173のノズル配列方向と直交する方向の端部に設けられ、図11にも示すように、リブ170の接合面との間では段差部となる。
また、図12に示すように、封止剤塗布溝173とリブ172間には封止剤逃げ溝174が設けられている。
次に、アクチュエータ基板及び保持基板と配線部材の接続部分について図13及び図14を参照して説明する。図13は同説明に供する斜視説明図、図14はフレーム部材に接合するときの斜視説明図である。
なお、以下の説明では、アクチュエータ基板20及び保持基板50を併せた部分を「アクチュエータユニット201」と称するが、1つの部材としてユニット化されて取り扱われることを要するものではない。また、アクチュエータユニット201、ノズル板1及び配線部材60を併せた部分を「構造体200」と称する。
アクチュエータユニット201の長手方向(ノズル配列方向)の一端部には配線部材60が取付けられ、取り付け部分は中間部材である樹脂部材61がモールドされている。具体的には、保持基板50の長手方向の一端部に配線部材60が取付けられ、中間部材である樹脂部材61がモールドされている。なお、中間部材とは、共通液室部材であるフレーム部材70と保持基板50との間に位置する部材との意味である。
そして、配線部材60を接続した構造体200をフレーム部材70に取付けるとき、樹脂部材61をフレーム部材70の封止剤塗布溝173内にはめ込む。
次に、フレーム部材の接着剤の塗布領域及び封止剤の塗布領域について図15ないし図18を参照して説明する。図15は同説明に供するフレーム部材及び構造体の接合面側平面説明図である。図16は図15のA1−A1線に沿う断面におけるリブ部分の説明図、図17は図15のB1−B1線に沿うリブ部分の断面説明図、図18は図15のC1−C1線に沿うリブ部分の断面説明図である。
フレーム部材70の各共通液室10の周囲に形成されたリブ172の保持基板50の接合面に接着剤81が塗布されている。このとき、1つの共通液室10については、その周囲を接着剤81が途切れなく、無端状態で取り囲んでいる。
なお、接着剤は、硬化後にゴム状体となる接着剤であり、シリコーン系接着剤を用いることができる。また、ウレタン系、バイオマス資源を用いたものなども使用できる。より振動を効果的に吸収できる接着剤としては、率が数十MPa以下のものが好ましい。
フレーム部材70のリブ170のノズル板1との接合面には封止剤82が塗布される。封止剤82は、平面視において、U字状(又はコ字状)に塗布されて、接着剤81が塗布された領域の外側を囲むように設けられる。この場合、封止剤82は、接着剤81で囲まれる4つの領域を一括して取り囲むように設けられる。
フレーム部材70の樹脂部材61がはまり込む封止剤塗布溝173及びリブ171bには封止剤82が塗布されている。
これらの封止剤塗布溝173及びリブ171bに塗布された封止剤82と、フレーム部材70のリブ170にU字状(又はコ字状)に塗布された封止剤82とにより、平面視において、途切れのない無端状態で、接着剤81で囲まれた領域を含めて接着剤81の外側で接着剤81を取り囲んでいる。
封止剤82としては、前述のエポキシ系接着剤のように、率が高く、透気しにくいものが好ましい。率は数GPa以上が好ましい。封止剤82は、接着剤81として加熱硬化型を使用するときには、接着剤81と同時に硬化できるものが好ましい。
また、封止剤82には、接着剤81の透気度が100〜1000cc/m2・24h(素材1m2あたり24時間に何ccの水分が透過するかを示す単位)である場合、透気度が0〜10cc/m2・24hの材料を用いることができる。
次に、フレーム部材と構造体とを接合した状態について図19ないし図22を参照して説明する。図19はフレーム部材と構造体とを接合した状態におけるフレーム部材の共通液室周りの接合部分の断面説明図である。図20は同じく図16に相当するリブ部分の断面説明図、図21は同じく図17に相当するリブ部分の断面説明図、図22は同じく図18に相当するリブ部分の断面説明図である。
上述したようにフレーム部材70に接着剤81及び封止剤82を塗布して、構造体200をフレーム部材70に接合し、例えば加熱して硬化させることで、図19ないし図22に示すように、各部が接着剤81又は封止剤82で接合される。
ここで、図19に示すように、フレーム部材70と保持基板50とを接合する共通液室周りの接着剤81は共通液室10に一部が臨んでいる。
これにより、開口部51を伝搬する圧力波を減衰(ダンピング)することができる。
ここで、本実施形態に係るヘッドでは、共通液室部材であるフレーム部材70に、アクチュエータユニット201(アクチュエータ基板20及び保持基板50)が収容される収容空間77(図6、図14、図20参照)を構成するリブ170を設けている。
フレーム部材70にアクチュエータユニット201が接合された状態で、保持基板50の長手方向の一端に設けた配線部材60をフレーム部材70の開口部76から引き出すために、収容空間77の配線部材60を引きだす側には収容空間77を構成するリブ170を設けない構造としている(図9A参照)。
そのため、封止剤82が塗布される領域(リブ170、リブ171b、接着剤塗布溝173)には、面直方向において段差が生じることになる(図9A、図15参照)。
そして、リブ170及びリブ171bが封止剤82でノズル板1と接合され、接着剤塗布溝173と配線部材60をモールドしている樹脂部材61とが封止剤82で接合される(図21、図22参照)。
このようにして、平面視において、接着剤81で囲まれる領域を含めて接着剤81の周りを取り囲んで封止剤82が設けられるので、接着剤81の透気性による液体の増粘を抑えることができ、接着剤81を使用することによる吐出不良を抑制できる。
また、接着剤で保持基板50とフレーム部材70とを接合している領域よりも、さらに外側の領域で、ノズル板1を接着剤81よりも率が高い封止剤82でフレーム部材70に接合している。
これにより、ノズル板1の外周を頑丈にフレーム部材70に接合することができ、ノズル板1の変形を抑えることができ、吐出不良を抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態について図23も参照して説明する。図23は同実施形態におけるフレーム部材の接着剤の塗布領域及び封止剤の塗布領域の説明に供する平面説明図である。
なお、本実施形態においても、封止部材として、封止剤(例えばエポキシ系接着剤)を使用した例で説明する。
本実施形態では、フレーム部材70の封止剤82が塗布された領域よりも外側の領域でもある最外周面領域に第2接着剤である接着剤83を塗布してノズル板1と接合している。なお、接着剤83としては封止剤82と同じものを使用して、塗布作業を簡単にしている。
これにより、フレーム部材70とノズル板1との隙間を通じて外部から液体が内部に侵入することを低減している。
次に、本発明の第3実施形態について図24ないし図26も参照して説明する。図24は同実施形態におけるフレーム部材の平面説明図、図25は同実施形態に係るヘッドをダンパ部材側から見た平面図、図26は図24のC−C線に相当する同ヘッドの断面説明図
である。
本実施形態では、フレーム部材70には構造体200と接合した状態で、面内方向において、リブ172の外側で隣り合うリブ172及びリブ170との間に形成される空間78(図20も参照)を外部に通じる貫通穴79が設けられている。この貫通穴79はダンパ部材90のダンパプレート92に設けられた貫通穴94に通じている。
そこで、ダンパプレート92に設けられた貫通穴94を封止部材(封止材)95で封止して、外気が貫通穴94及び貫通穴79を通じて空間78内に侵入することを阻止している。封止部材95は封止剤82と同じものでも異なるものでもよい。
これにより、位置決めやリーク検査などに使用可能な貫通穴79を通じて接着剤81の外側に常時外気が侵入することを防止でき、透気による共通液室10内の液体の増粘を抑制できる。
また、封止部材95による封止は、常温で行えることが好ましい。すなわち、密閉空間にして加熱硬化すると、空気の膨張により封止剤が決壊しリークパスが生じるためである。
したがって、封止部材95として封止剤82と同じものを使用する場合、封止剤は加熱硬化と常温硬化が可能なものであることが好ましい。
また、共通液室部材であるフレーム部材70の貫通穴79と封止部材(封止材)95で封止することもできる。
次に、本発明の第4実施形態について図27を参照して説明する。図27は同実施形態における接着剤による接合領域及び封止部材による封止領域の概要の説明に供する平面説明図である。なお、ここでも、図示を簡略化するために共通液室を2つにして説明している。
図27(a)はフレーム部材70に塗布される接着剤である接着剤81の領域(接合領域になる。)と、封止部材80の領域(封止領域になる。)と、開口部76を塞ぐ封止部材84を示している。図27(b)は保持基板50における接着剤81による接合領域81aを示している。図27(c)はノズル板1における封止部材80による封止領域を示している。
本実施形態では、図27(a)に示すように、2つの共通液室10を囲むようにフレーム部材70に接着剤81が塗布され、図27(b)に示すように、保持基板50の接合領域81aと接合される。
また、平面視において、フレーム部材70には接着剤81で囲まれた領域を含めて接着剤81の周りを取り囲んで封止部材80が配置される。そして、図27(c)に示すように、フレーム部材70の接着剤81の周り四辺はノズル板1の領域80a3との間に封止部材80が配置される。
これにより、平面視において、共通液室10に臨む接着剤81の周りを囲んで封止部材80が設けられる。ここで、封止部材80は、接着剤81で囲まれた領域を含めて接着剤81の周りを囲んで設けられる。なお、平面視とは、ヘッドのノズル板1を上方からノズル板1、アクチュエータ基板20、保持基板50を透過して視たときの状態の意味である。
また、上記の説明では2つの共通液室10の周囲のそれぞれ接着剤81が配置されていることで、接着剤81で囲まれる領域が複数箇所あり、封止部材80は、複数箇所の接着剤81の周りを一括して取り囲んで配置されている。
次に、本実施形態を適用したフレーム部材の接着剤の塗布領域及び封止剤の配置領域並びに封止剤の充填領域について図28を参照して説明する。図28は同説明に供するフレーム部材及び構造体の接合面側平面説明図である。
なお、ここでは、封止部材80として封止剤82を使用し、封止部材84として同じく封止剤300を使用した例で説明する。
フレーム部材70の各共通液室10の周囲に形成されたリブ172の保持基板50の接合面に接着剤81が塗布されている。このとき、1つの共通液室10については、その周囲を接着剤81が途切れなく取り囲んでいる。
なお、接着剤は、前述したように、硬化後にゴム状体となる接着剤であり、シリコーン系接着剤を用いることができる。また、ウレタン系、バイオマス資源を用いたものなども使用できる。より振動を効果的に吸収できる接着剤としては、率が数十MPa以下のものが好ましい。また、硬化時間を短縮するために加熱硬化できることが好ましい。
フレーム部材70のリブ170のノズル板1との接合面には封止剤82が塗布される。封止剤82は、平面視において、フレーム部材70の各共通液室10の周囲に形成されたリブ172の保持基板50の接合面に接着剤81が塗布された領域の外側を囲むように設けられる。
封止剤82としては、弾性率が高く、透気しにくいものが好ましい。弾性率は数GPa以上が好ましい。封止剤82は、接着剤81として加熱硬化型を使用するときには、接着剤81と同時に硬化できるものが好ましい。
また、封止剤82には、接着剤81の透気度が100〜1000cc/m2・24h(素材1m2あたり24時間に何ccの水分が透過するかを示す単位)である場合、透気度が0〜10cc/m2・24hの材料を用いることができる。
次に、接着剤81、封止剤82が塗布されたフレーム部材70と配線部材60を有した構造体200を接合する。
アクチュエータユニット201の長手方向(ノズル配列方向)の一端部には配線部材60が取り付けられ、取り付け部分は中間部材である樹脂部材61がモールドされ、アクチュエータユニット201、ノズル板1及び配線部材60を併せた「構造体200」が形成される。
配線部材60を有した構造体200をフレーム部材70に接合するとき、構造体200とフレーム部材70とを位置合わせし、配線部材60をフレーム部材70の長手方向一端部に配置された開口部76に通し、樹脂部材61をフレーム部材70の溝173にはめ込む。
なお、フレーム部材70の配線部材60が通された開口部76は封止剤300で封止されている。
次に、フレーム部材70と構造体200とを接合した状態について図29ないし図33も参照して説明する。図29はフレーム部材と構造体を接合した状態でノズル板側から見た斜視説明図、図30は図29の面S1における開口部分の破断面説明図である。図31はフレーム部材と構造体を接合した状態でフレーム部材側から見た斜視説明図、図32は同じくフレーム部材側から見た平面説明図、図33は図32のD−D線に相当する開口部分の拡大断面説明図である。
前述したように、フレーム部材70に接着剤81及び封止剤82を塗布して、構造体200をフレーム部材70に接合し、例えば加熱して硬化させることで、図19及び図20に示すように、各部が接着剤81又は封止剤82で接合される。
ここで、図19に示すように、フレーム部材70と保持基板50とを接合する共通液室周りの接着剤81は共通液室10に一部が臨んでいる。
これにより、開口部51を伝搬する圧力波を減衰(ダンピング)することができる。
構造体200とフレーム部材70とを接合したとき、フレーム部材70の長手方向端部に設けられた開口部76を通して、構造体200に接続されている配線部材60が引き出された状態になっている。
このとき接着剤81はアクチュエータユニット201と配線部材60との取付け部にモールドされている樹脂部材61を収納するためのフレーム部材70に形成された溝173を介して開口部76より外気と連通している。
そこで、接着剤81を外気から遮断するため、図33に示すように、フレーム部材70の開口部76より引き出された配線部材60を囲むように封止剤300を塗布(充填)する。さらに、開口部76に塗布された封止剤300は、開口部76を覆う状態を形成する。
封止剤300は常温硬化できることが好ましい。これは、前述した封止部材95と同様に、密閉空間にして加熱硬化すると空気の膨張により封止剤が決壊しリークパスが生じるためである。
そして、封止部材の内側であって封止部材と接着剤81との間の領域に高湿度の空気を流しこみ、封止剤300にて配線部材60を包囲し、開口部76を封止剤300で埋めて、開口部76を封止することにより、接着剤81を外気から遮断することができる。
このように、接着剤81で囲まれた領域を含めて接着剤81の周りを取り囲んでいる封止部材を設け、配線部材60を通すための開口部76も封止部材で封止することで、接着剤81の透気性による液体の増粘を抑えることができ、接着剤81を使用することによる吐出不良を抑制できる。
そして、接着剤81で共通液室部材(フレーム部材70)と保持基板50とを接合していることにより、保持基板50の振動が吸収減衰されるので、保持基板50が振動して共通液室部材(フレーム部材70)に振動が伝搬し、吐出特性が不安定になることを低減できる。
次に、本発明の第5実施形態について図34ないし図38を参照して説明する。図34は同実施形態に係るヘッドの長手方向(図24のC−C線相当)に沿う一部破断断面説明図、図35は図34のE−E線に相当する平断面説明図、図36は図35のF−F線に相当する開口部部分の拡大断面説明図である。図37は同ヘッドの分解斜視説明図、図38は同ヘッドのフレーム部材の組み立て手順の説明に供する斜視説明図である。
本実施形態では、フレーム部材70は、第1部材である第1フレーム部70Aと第2部材である第2フレーム部70Bとを接合して構成している。第2フレーム部70Bは、ヘッド長手方向において、配線部材60を通す開口部76の部分で第1フレーム部70Aと分割され、面直方向においては、リブ304の部分で、ノズル板1との接合部分を第1フレーム部70Aに残して分割されている。
ここで、第1フレーム部70Aと第2フレーム部70Bには、接合状態で開口部76となる面側に、配線部材60を介して対向する位置に、封止剤塗布用リブ302、303を設けている。また、第2フレーム部70Bには第1フレーム部70Aと面直方向で接合するためのリブ304を設けている。
そして、第1フレーム部70Aのリブ302と配線部材60との間及び第2フレーム部70Bのリブ303と配線部材60との間をそれぞれ封止剤300で封止し、開口部76を封止剤300で封止している。
このように、フレーム部材70を開口部76の部分で分割した第1フレーム部70Aと第2フレーム部70Bで構成することで、リブ302、303をノズル板1に近い側に配置することができる。
これにより、開口部76全体を封止剤300で封止する場合よりも封止剤の量を少なくすることができるとともに、接着剤81を配置する保持基板50により近い位置において封止剤300で開口部76を封止することができる。
ここで、フレーム部材の組み立て手順について図38を参照して説明する。図38は同説明に供する斜視説明図である。
まず、図38(a)に示すように、第2フレーム部70を除く部分を組み立てる。
そして、図38(b)に示すように、第1フレーム部70Aの開口部76を形成する面に設けられたリブ302に封止剤300を塗布し、塗布された封止剤300上に配線部材60を配置する。
次いで、図38(c)に示すように、第2フレーム部70Bの第1フレーム部70Aのリブ302と対向するリブ303と、リブ304及び短手方向両側部の接合部に封止剤300を塗布する。
そして、図38(d)に示すように、フレーム部材70の開口部76を形成する位置に位置合わせする。
その後、第1フレーム部70Aに第2フレーム部70Bを接合する。このとき、上述したように、第1フレーム部70Aのリブ302と配線部材60との間、及び、第2フレーム部70Bのリブ303と配線部材60との間を含めて、配線部材60の周囲は封止剤300により包囲されて封止される。
また、第2フレーム部70Bのリブ304に塗布された封止剤300により第1フレーム部70Aと第2フレーム部70Bとが重なり合う面も封止剤300により封止される。
これにより、第1フレーム部70Aのリブ302に塗布された封止剤300と、第2フレーム部70Bのリブ303に塗布された封止剤300と、第2フレーム部70Bのリブ304に塗布された封止剤300により、接着剤81は外気から遮断される。
次に、本発明の第6実施形態について図39を参照して説明する。図39は同実施形態に係るヘッドのフレーム部材の開口部部分の拡大断面説明図である。
本実施形態では、配線部材60と開口部76の壁面との間にスペーサ部材330を配置して、スペーサ部材330のヘッド外側に封止剤300を充填して、配線部材60の周囲を封止している。スペーサ部材330は例えばクリップ構成とすることで配線部材60への取付けが容易になる。
これにより、封止剤300の開口部76内への流れ込みを抑制しつつ、少ない封止剤で確実に封止することができる。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。ここでは、上記第2実施形態の説明で使用した図23を準用する。
この第3実施形態では、封止部材として、接着性を有する封止剤に代えて、パッキンなどの弾性部材を使用している。
例えば、無端形状のゴムのような細長いパッキンを、図23で示した封止剤82の塗布領域である、フレーム部材70のリブ170,リブ171b、溝173に跨って配置し、更に図23と同じ領域に接着剤83を塗布する。
そして、ノズル板1及びアクチュエータユニット201の樹脂部材61とフレーム部材70との間でパッキンを挟みこんだ状態で、接着剤83によりノズル板1とアクチュエータユニット201をフレーム部材70に接合する。
これにより、平面視において、共通液室10に臨む接着剤81の周りを取り囲んで封止部材を設ける構成とすることができる。
なお、この第7実施形態における封止部材としてパッキンを使用する構成は、前記第4ないし第6実施形態に適用可能である。
次に、本発明の第8実施形態について図40を参照して説明する。図40は同実施形態に係るヘッドの要部断面説明図である。
本実施形態は、ノズル板101と流路部材102とを積層し、ノズル板101及び流路部材102に対して共通液室部材となるフレーム部材170を段違いで接合し、流路部材102の外周側に共通液室110を配置している。
なお、ノズル板101にはノズル104が形成され、流路部材102は個別液室106、流体抵抗部107、液導入部108.連通路105などを形成し、振動領域130には圧電素子111が設けられている。
そして、ここでは、フレーム部材170とノズル板101とが共通液室110に面する接着剤81で接合され、接着剤81の流路(共通液室110)とは反対側に、接着剤81の周りを取り囲んで封止部材としての封止剤82が設けられている。
また、フレーム部材170と流路部材102とは共通液室110に面する接着剤81で接合し、接着剤81の流路(共通液室110)とは反対側に、接着剤81の周りを取り囲んで封止部材としての封止剤82が設けられている。
なお、上述したように、流路部材を構成する保持基板と共通液室部材との接合、流路部材と共通液室部材の接合、ノズル板と共通液室部材との接合について説明したが、接合される部材はこれらに限られず、ノズル板と流路板(流路部材)との接合など、液体の流路、液室が形成される部材(例えば、上述したノズル板、流路板、振動板、保持基板、共通液室部材等)同士(2部品)の流路、液室に面する部分の接合について本発明の適用が可能である。
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図41及び図42を参照して説明する。図41は同装置の要部平面説明図、図42は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について図43を参照して説明する。図43は同ユニットの要部平面説明図である。
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について図44を参照して説明する。図44は同ユニットの正面説明図である。
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、図28で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、図29で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、図30で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。