JP6851576B2 - 検体中の脂質による濁り抑制剤 - Google Patents

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本発明は、検体中の脂質による濁り抑制剤、検体中の脂質による濁り抑制方法、及び、検体中の測定対象成分の測定方法に関する。
臨床診断において、検体中の測定対象成分の測定と、当該測定の結果に基づく疾患の診断が行われ、検体中の測定対象成分の測定にしばしば吸光度法が用いられる。吸光度法は、検体中の測定対象成分を色素に変換し、生成した色素の吸光度を測定することにより、当該測定対象成分の濃度を決定する方法や、免疫比濁法の様に、検体中の測定対象成分の濃度に対応した濁度を生成させ、生成した濁度の吸光度を測定することにより、当該測定対象成分の濃度を決定する方法等で使用される。この吸光度法を利用した、検体中の測定対象成分の測定方法において、検体の濁りが吸光度の測定の際に正の影響を与えてしまい、正確な測定対象成分の測定ができないことがしばしば問題となる。
検体の濁りとしては、検体中に存在する脂質による濁りやタンパク質による濁り等が知られている。脂質による濁りは、血清や血漿等の検体中のカイロミクロンや超低密度リポ蛋白質(VLDL)に起因する。これらのリポ蛋白は中性脂肪の含有率が高いため、疎水性が高く、水性媒体中で濁りやすい性質を有している。すなわち、中性脂肪の含有率が高いリポ蛋白質を多く含む検体を用いた測定においては、濁りによる測定への正の影響がしばしば問題となる。タンパク質による濁りは、M蛋白血症患者由来の血清又は血漿等の検体で見られる。
これまでに、濁りの測定への影響を抑制するための種々の方法が知られている。例えば、界面活性剤として、緩衝処理されていてよい水溶液中の(a)HLB値4〜14のポリエトキシル化トリグリセリド、(b)第二n−アルカンスルホネート、並びに場合により(c)他の非イオン性又はアニオン性界面活性剤を使用することにより生物学的液体中の混濁を迅速にかつ完全に除去する方法(特許文献1)、HLBが10〜15であるポリオキシエチレン第一級アルキルエーテルを存在させることにより血液試料の濁りを減らす方法(特許文献2)、親油性の高い界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル等)の少なくとも1つと、曇点が40℃以上の物質であって当該界面活性剤の曇点を上昇させうる少なくとも1つの物質とを、試料中に組合せて添加することにより試料の濁りを除去する方法(特許文献3)、第2級直鎖アルコールエトキシレートを多核フェノールエトキシレートとともに用いる生体試料の濁りの除去方法(特許文献4)、血清又は血漿中のリピドフラクション中に含有されるコレステロールを測定するとき、リパーゼを含有する試薬を用いて、生体試料の濁りを除去する方法(特許文献5)、環状カルボキサミドを血清に十分な量添加する方法(特許文献6)、生体成分中の濁りを、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル類又はポリオキシエチレンアルキルエーテル類の中から選ばれる少なくとも2つ以上の組合せからなる非イオン界面活性剤を添加して消去する方法(特許文献7)等が知られている。
特公平3−16620号公報 特公平4−7832号公報 特開2001−188065号公報 特開平10−213582号公報 特開平9−288111号公報 特開平7−209298号公報 特開平7−167856号公報
本発明の目的は、中性脂肪、リン脂質等の脂質を豊富に含む検体においても、検体中の測定対象成分の正確な測定を可能とする、検体中の脂質による濁り抑制剤、検体中の脂質による濁り抑制方法、及び、検体中の測定対象成分の測定方法を提供することにある。
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討し、異なる性質を有する2種類のポリオキシエチレン(以下、POEという)・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテルの組み合わせを用いることにより、検体中の脂質による濁りを抑制できる、という知見を見出して本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]に関する。
[1](i) POEの分子量が110以上、250未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、1.25以下であるPOE・POPアルキルエーテル、及び、(ii) POEの分子量が250以上、460未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、0.75以下であるPOE・POPアルキルエーテルを含有することを特徴とする、検体中の脂質による濁り抑制剤。
[2]吸光度法による検体中の測定対象成分の測定において用いられる、[1]記載の抑制剤。
[3]検体が、血清又は血漿である、[1]又は[2]記載の抑制剤。
[4]検体を、(i) POEの分子量が110以上、250未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、1.25以下であるPOE・POPアルキルエーテル、及び、(ii) POEの分子量が250以上、460未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、0.75以下であるPOE・POPアルキルエーテルと反応させることを特徴とする、検体中の脂質による濁り抑制方法。
[5]吸光度法による検体中の測定対象成分の測定において用いられる、[4]記載の抑制方法。
[6]検体が、血清又は血漿である、[4]又は[5]記載の抑制方法。
[7]検体と、[1]〜[3]のいずれかに記載の抑制剤とを混合した後、検体中の測定対象成分を吸光度法により測定する、検体中の測定対象成分の測定方法。
[8]検体が、血清又は血漿である、[7]記載の測定方法
本発明により、脂質を豊富に含む検体においても、検体中の測定対象成分の正確な測定を可能とする、検体中の脂質による濁り抑制剤、検体中の脂質による濁り抑制方法、及び、検体中の測定対象成分の測定方法が提供される。
ワンダーサーフRL−80(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤による脂質による濁り抑制効果を示すグラフである。横軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合時間(測光ポイント)を表し、縦軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合物の吸光度(濁度)で、実際の吸光度(濁度)を10,000倍した値を表す。
ファインサーフNDB−800(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤による脂質による濁り抑制効果を示すグラフである。横軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合時間(測光ポイント)を表し、縦軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合物の吸光度(濁度)で、実際の吸光度(濁度)を10,000倍した値を表す。
ノニオンA−13P(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤による脂質による濁り抑制効果を示すグラフである。横軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合時間(測光ポイント)を表し、縦軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合物の吸光度(濁度)で、実際の吸光度(濁度)を10,000倍した値を表す。
EMALEX DAPE−0203(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤による脂質による濁り抑制効果を示すグラフである。横軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合時間(測光ポイント)を表し、縦軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合物の吸光度(濁度)で、実際の吸光度(濁度)を10,000倍した値を表す。
POE・POPアルキルエーテルAのみを含み、POE・POPアルキルエーテルBを含まない濁り抑制剤による脂質による濁り抑制効果を示すグラフである。横軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合時間(測光ポイント)を表し、縦軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合物の吸光度(濁度)で、実際の吸光度(濁度)を10,000倍した値を表す。
POE・POPアルキルエーテルBのみを含み、POE・POPアルキルエーテルAを含まない濁り抑制剤による脂質による濁り抑制効果を示すグラフである。横軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合時間(測光ポイント)を表し、縦軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合物の吸光度(濁度)で、実際の吸光度(濁度)を10,000倍した値を表す。
POE・POPアルキルエーテルCのみを含み、POE・POPアルキルエーテルA、POE・POPアルキルエーテルBのいずれも含まない濁り抑制剤による脂質による濁り抑制効果を示すグラフである。横軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合時間(測光ポイント)を表し、縦軸は、当該濁り抑制剤と脂質検体との混合物の吸光度(濁度)で、実際の吸光度(濁度)を10,000倍した値を表す。
(検体中の脂質による濁り抑制剤)
本発明の、検体中の脂質による濁り抑制剤は、検体中の脂質による濁りを抑制するために使用され、(i)POEの分子量が110以上、250未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、1.25以下であるPOE・POPアルキルエーテル(以下、POE・POPアルキルエーテルAと記す)、及び、(ii)POEの分子量が250以上、460未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、0.75以下であるPOE・POPアルキルエーテル(以下、POE・POPアルキルエーテルBと記す)を含有する。
本発明における検体としては、脂質を含有する検体であれば特に制限はなく、例えば全血、血清、血漿、髄液、唾液、羊水、尿、汗、膵液等が挙げられ、血漿及び血清が好ましい。
本発明における脂質としては、水性媒体中で濁りを生じ得る脂質であれば特に制限はなく、例えばリポ蛋白、中性脂肪、リン脂質等が挙げられる。
本発明における脂質による濁りとは、脂質を水性媒体に添加したときに生ずる脂質に起因する濁りをいう。水性媒体としては、例えば後述の水性媒体等が挙げられる。脂質を含有する検体としては、例えば、中性脂肪(TG)を豊富に含む血清(高TG血清)等が挙げられる。
本発明において、POE・POPアルキルエーテルAは、POE・POPアルキルエーテルBと組み合わされて用いられる。POE・POPアルキルエーテルAにおける[アルキルの分子量]/[POEの分子量]は、0.4以上、1.25以下であり、0.5以上、1.2以下が好ましく、0.6以上、1.1以下が特に好ましい。POE・POPアルキルエーテルAにおけるアルキルとしては、POEの分子量が110以上、250未満であり、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、1.25以下、好ましくは0.5以上、1.2以下、特に好ましくは0.6以上、1.1以下となるアルキルであれば特に制限はなく、例えば炭素数8〜16の直鎖アルキル、炭素数8〜16の分岐アルキル等が挙げられ、炭素数10〜14の直鎖アルキル、炭素数10〜14の分岐アルキル等が好ましい。炭素数8〜16の直鎖アルキルとしては、例えばオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)等が挙げられる。炭素数8〜16の分岐アルキルとしては、例えばイソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、ヘキシルデシル等が挙げられる。炭素数10〜14の直鎖アルキルとしては、例えばデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)等が挙げられる。炭素数10〜14の分岐アルキルとしては、例えばイソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル等が挙げられる。
POE・POPアルキルエーテルAにおけるPOEは、分子量が110以上、250未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、1.25以下、好ましくは0.5以上、1.2以下、特に好ましくは0.6以上、1.1以下であるPOEである。POE・POPアルキルエーテルAにおけるPOPの分子量は、POE・POPアルキルエーテルBとの組み合わせにより検体中の脂質による濁りを抑制し得る分子量であれば特に制限はなく、例えば70以上、300以下である。POE・POPアルキルエーテルAにおけるPOE・POPの重合様式としては、例えばPOEとPOPとのランダム重合、POEとPOPとのブロック重合等が挙げられる。
POE・POPアルキルエーテルAの具体例(市販品)としては、例えばEMALEX DAPE−0203(日本エマルジョン社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=132、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=1.07)、ファインサーフNDB−800(青木油脂社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=190、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.74)、ワンダーサーフID−50(青木油脂社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=157、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.90)、ワンダーサーフID−70(青木油脂社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=219、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.65)、ワンダーサーフRL−80(青木油脂社製;アルキルの分子量=169、POEの分子量=218、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.78)、ワンダーサーフS−800(青木油脂社製;アルキルの分子量=183、POEの分子量=245、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.75)、ノニオンA−13P(日油社製;アルキルの分子量=169、POEの分子量=220、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.77)等が挙げられる。
本発明の濁り抑制剤におけるPOE・POPアルキルエーテルAの含量は、POE・POPアルキルエーテルBと組み合わされて検体中の脂質による濁りが抑制される含量であれば特に制限はなく、通常、水性媒体で溶解されたときの濃度が1〜12.5g/Lとなる含量であり、水性媒体で溶解されたときの濃度が2〜10g/Lとなる含量が好ましく、水性媒体で溶解されたときの濃度が2.5〜7.5g/Lとなる含量が特に好ましい。水性媒体としては、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられるが、緩衝液が好ましい。緩衝液に用いる緩衝剤としては、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、グッドの緩衝剤等が挙げられる。
グッドの緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、3−〔N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕プロパンスルホン酸〔(H)EPPS〕、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(Tricine)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等が挙げられる。緩衝液の濃度は測定に適した濃度であれば特に制限はされないが、0.001〜2.0mol/Lが好ましく、0.005〜1.0mol/Lがより好ましい。
本発明において、POE・POPアルキルエーテルBは、POE・POPアルキルエーテルAと組み合わされて用いられる。POE・POPアルキルエーテルBにおける[アルキルの分子量]/[POEの分子量]は、0.4以上、0.75以下であり、0.4以上、0.7以下が好ましく、0.4以上、0.68以下が特に好ましい。POE・POPアルキルエーテルBにおけるアルキルとしては、POEの分子量が250以上、460未満であり、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、0.75以下、好ましくは0.4以上、0.7以下、特に好ましくは0.4以上、0.68以下となるアルキルであれば特に制限はなく、例えば炭素数8〜16の直鎖アルキル、炭素数8〜16の分岐アルキル等が挙げられ、炭素数10〜14の直鎖アルキル、炭素数10〜14の分岐アルキル等が好ましい。炭素数8〜16の直鎖アルキルとしては、例えばオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)等が挙げられる。炭素数8〜16の分岐アルキルとしては、例えばイソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、ヘキシルデシル等が挙げられる。炭素数10〜14の直鎖アルキルとしては、例えばデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)等が挙げられる。炭素数10〜14の分岐アルキルとしては、例えばイソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル等が挙げられる。
POE・POPアルキルエーテルBにおけるPOEは、分子量が250以上、460未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4以上、0.75以下、好ましくは0.4以上、0.7以下、特に好ましくは0.4以上、0.68以下であるPOEである。POE・POPアルキルエーテルBにおけるPOPの分子量は、POE・POPアルキルエーテルAとの組み合わせにより検体中の脂質による濁りを抑制し得る分子量であれば特に制限はなく、例えば70以上、350以下である。POE・POPアルキルエーテルBにおけるPOE・POPの重合様式としては、例えばPOEとPOPとのランダム重合、POEとPOPとのブロック重合等が挙げられる。
POE・POPアルキルエーテルBの具体例(市販品)としては、例えばEMALEX DAPE−0207(日本エマルジョン社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=308、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.46)、ファインサーフIDEP−802(青木油脂社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=331、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.43)、ファインサーフNDB−1000(青木油脂社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=274、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.52)、ファインサーフTDE−1055(青木油脂社製;アルキルの分子量=183、POEの分子量=456、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.40)、ファインサーフTDP−0633K(青木油脂社製;アルキルの分子量=183、POEの分子量=279、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.66)、ワンダーサーフNDR−1000(青木油脂社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=256、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.55)、ワンダーサーフID−90(青木油脂社製;アルキルの分子量=141、POEの分子量=313、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.45)、ワンダーサーフRL−100(青木油脂社製;アルキルの分子量=169、POEの分子量=360、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.47)、ワンダーサーフS−1000(青木油脂社製;アルキルの分子量=183、POEの分子量=337、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]=0.54)
等が挙げられる。
本発明の濁り抑制剤におけるPOE・POPアルキルエーテルBの含量は、POE・POPアルキルエーテルAと組み合わされて検体中の脂質による濁りが抑制される含量であれば特に制限はなく、通常、水性媒体で溶解されたときの濃度が1〜12.5g/Lとなる含量であり、水性媒体で溶解されたときの濃度が2〜10g/Lとなる含量が好ましく、水性媒体で溶解されたときの濃度が2.5〜7.5g/Lとなる含量が特に好ましい。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。
本発明の濁りの抑制剤には、必要に応じて、水性媒体、キレート剤、糖類、防腐剤、影響物質消去剤、塩類等が含有されてもよい。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等が挙げられる。糖類としては、例えばシュークロース等が挙げられる。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、バイオエ−ス、抗生物質等が挙げられる。影響物質消去剤としては、例えばアスコルビン酸の影響を抑制するためのアスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンの影響を抑制するためのフェロシアン化カリウム(FCK)等が挙げられる。塩類としては、例えば硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
本発明において、検体中の脂質による濁りの抑制効果は、以下の工程を含む方法により評価することができる。
(1)脂質による濁りを有する検体の吸光度を測定する工程;
(2)(1)の検体と、脂質による濁りの抑制剤とを混合する工程;
(3)工程(2)で得られた混合物を一定温度で一定時間加温する工程;
(4)工程(3)で得られた混合物の吸光度を測定する工程;
(5)工程(4)で測定された吸光度が基準値以下であった場合に濁りが抑制され、工程(4)で測定された吸光度が基準値を越えていた場合に濁りが抑制されていない、と評価する工程。
上記工程(1)から工程(4)まで、吸光度を連続的に測定してもよい。吸光度を測定するための波長としては、濁りを測定し得る波長であれば特に制限はなく、例えば300〜900nmの波長等が挙げられる。工程(1)における濁りを有する検体としては、脂質を含有し、当該脂質による濁りを有する検体であれば如何なる検体でもよく、例えば高TG血清等が挙げられるが、高TG血清のような天然の検体の代わりに、TGを豊富に含む脂肪乳剤を水性媒体と混合して調製された水溶液を用いることもできる。脂肪乳剤としては、例えばイントラリピッド(フレゼニウス カービ ジャパン社製)、イントラリポス(大塚製薬社製)等が挙げられる。イントラリピッド、イントラリピッドも共に、大豆油中性脂肪(大豆油TG)を主成分として含む。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。
工程(3)における温度としては、濁りの抑制を評価し得る温度であれば特に制限はなく、通常、10〜50℃であり、20〜40℃が好ましい。工程(3)における時間としては、脂質による濁りの抑制を評価し得る時間であれば特に制限はなく、通常、1〜60分間であり、2〜30分間が好ましい。工程(5)における基準値としては、脂質による濁りの抑制を評価し得る基準値であれば特に制限はなく、通常、50mAbsであり、10mAbsが好ましい。基準値を50mAbsに設定した場合、工程(4)で測定された吸光度が50mAbs以下である場合、脂質による濁りが抑制されたと判断され、工程(4)で測定された吸光度が50mAbsを超えた場合、脂質による濁りは抑制されていないと評価される。
(検体中の測定対象成分の測定方法)
本発明の、検体中の脂質による濁り抑制剤は、吸光度法による検体中の測定対象成分の測定において用いられる。吸光度法による検体中の測定対象成分の測定としては、例えば酵素的測定法による測定、比濁免疫測定法による測定等が挙げられる。酵素的測定法により測定される測定対象成分としては、例えば総コレステロール(TC)、遊離型コレステロール(FC)、エステル型コレステロール(EC)、中性脂肪(TG)、クレアチニン、クレアチン、尿酸、リン脂質、糖化タンパク質等が挙げられる。比濁免疫測定法により測定される測定対象成分としては、例えば糖化タンパク質、便中ヘモグロビン、C反応性タンパク質(CRP)、前立腺特異抗原(PSA)、マトリックスプロテアーゼ3(MMP−3)等が挙げられる。リン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン等が挙げられる。糖化タンパク質としては、例えば糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン等が挙げられる。
本発明の検体中の測定対象成分の測定方法は、検体と、本発明の検体中の脂質による濁り抑制剤とを混合した後に、検体中の測定対象成分を吸光度法により測定する方法である。
本発明の検体中の測定対象成分の測定は、例えば以下の工程を含む方法により行うことができる。
(1)検体と本発明の濁り抑制剤とを混合する工程;
(2)工程(1)で得られた混合物を、測定対象成分測定試薬と反応させる工程;
(3)工程(2)の反応により測定値を得る工程;
(4)既知濃度の測定対象成分を用いて予め作成した、測定対象成分濃度と測定値との関係を表す検量線と、工程(3)で得られた測定値とから、検体中の測定対象成分濃度を決定する工程。
本発明の濁り抑制剤は、測定対象成分測定試薬に含まれていてもよく、その場合には、検体と、本発明の濁り抑制剤を含む測定対象成分測定試薬とを反応させればよい。工程(2)において、測定対象成分測定試薬として、公知の測定試薬、市販の測定試薬を用いることができる。市販のTC測定試薬としては、例えばデタミナーL TCII(協和メデックス社製)、コレステロールE−テストワコー(和光純薬工業社製)、コレステストCHO(積水メディカル社製)等が挙げられる。市販のFC測定試薬としては、例えばデタミナーL FC(協和メデックス社製)等が挙げられる。
公知の糖化ヘモグロビン測定試薬としては、例えば特開平7−35752号公報、特開平6−66795号公報に記載の糖化ヘモグロビン測定試薬等が挙げられる。公知の便中ヘモグロビン測定試薬としては、例えば特開2010−117244号公報に記載の便中ヘモグロビン測定試薬等が挙げられる。公知のCRP測定試薬としては、例えばWO2007/074860号パンフレット、WO2010/058860号パンフレット、WO2012/169453号パンフレット、特開2002−365296号公報に記載のCRP測定試薬等が挙げられる。公知のPSA測定試薬としては、例えば特開2005−326150号公報、WO2012/169453号パンフレット、特開2002−365296号公報、WO2012/133482号パンフレット、WO2007/074860号パンフレット、WO2006/068206号パンフレットに記載のPSA測定試薬等が挙げられる。公知のMMP−3測定試薬としては、例えば特開2014−206391号公報、WO2013/077332号パンフレットに記載のMMP−3測定試薬等が挙げられる。市販の糖化ヘモグロビン測定試薬としては、例えばデタミナーL HbA1C(協和メデックス社製)等が挙げられる。市販の便中ヘモグロビン測定試薬としては、例えばエクステル 「ヘモ・オート」 HS(協和メデックス社製)等が挙げられる。市販のCRP測定試薬としては、例えばナノピアCRP(積水メディカル社製)、アキュラスオート(シノテスト社製)、LTオートワコーCRP−HSII(和光純薬工業社製)等が挙げられる。市販のPSA測定試薬としては、例えばLZテスト‘栄研’PSA(栄研化学社製)、ナノピアPSA(積水メディカル社製)、LTオートワコーPSA(和光純薬工業社製)等が挙げられる。市販のMMP−3測定試薬としては、例えばパナクリアMMP−3「ラテックス」(積水メディカル社製)、オート MMP−3・BML(ビー・エム・エル社製)等が挙げられる。
(検体中の脂質による濁り抑制方法)
本発明の検体中の脂質による濁り抑制方法は、検体を、(i)POE・POPアルキルエーテルA、及び、(ii)POE・POPアルキルエーテルBと反応させることを特徴とする特徴とする方法である。本発明の濁り抑制方法における検体、脂質としては、例えば前述の検体、脂質等がそれぞれ挙げられる。本発明の濁り抑制方法におけるPOE・POPアルキルエーテルAとしては、例えば前述のPOE・POPアルキルエーテルA等が挙げられる。本発明の濁り抑制方法におけるPOE・POPアルキルエーテルBとしては、例えば前述のPOE・POPアルキルエーテルB等が挙げられる。
本発明の濁りの抑制方法において、POE・POPアルキルエーテルAは、POE・POPアルキルエーテルBと組み合わせて使用される。本発明の濁りの抑制方法において、POE・POPアルキルエーテルAは水性媒体中で用いられることが好ましい。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。本発明の濁りの抑制方法におけるPOE・POPアルキルエーテルAの濃度としては、POE・POPアルキルエーテルBと組み合わせて検体中の脂質による濁りを抑制し得る濃度であれば特に制限はなく、通常、1〜12.5g/Lであり、2〜10g/Lが好ましく、2.5〜7.5g/Lが特に好ましい。
本発明の濁りの抑制方法において、POE・POPアルキルエーテルBは、POE・POPアルキルエーテルAと組み合わせて使用される。本発明の濁りの抑制方法において、POE・POPアルキルエーテルBは水性媒体中で用いられることが好ましい。水性媒体としては、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。本発明の濁りの抑制方法におけるPOE・POPアルキルエーテルBの濃度としては、POE・POPアルキルエーテルAと組み合わせて検体中の脂質による濁りを抑制し得る濃度であれば特に制限はなく、通常、1〜12.5g/Lであり、2〜10g/Lが好ましく、2.5〜7.5g/Lが特に好ましい。
本発明の濁りの抑制方法においては、キレート剤、糖類、防腐剤、影響物質消去剤、塩類等が共存されてもよい。キレート剤、糖類、防腐剤、影響物質消去剤、塩類としては、例えば前述のキレート剤、糖類、防腐剤、影響物質消去剤、塩類等がそれぞれ挙げられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。なお、本実施例においては、下記メーカーの試薬及び酵素を使用した。
下記のPOE・POPアルキルエーテルA、POE・POPアルキルエーテルB及びPOE・POPアルキルエーテルCのそれぞれのPOE・POPアルキルエーテルについて、アルキル、アルキルの分子量、POEの分子量、及び、[アルキルの分子量]/[POEの分子量]を第1〜3表に示す。なお、第1〜3表において、[アルキル]はアルキルの分子量を、[POE]はPOEの分子量を、[アルキル]/[POE]は[アルキルの分子量]/[POEの分子量]を表す。
<POE・POPアルキルエーテルA>
EMALEX DAPE−0203(日本エマルジョン社製)
ファインサーフNDB−800(青木油脂社製)
ワンダーサーフRL−80(青木油脂社製)
ワンダーサーフID−50(青木油脂社製)
ワンダーサーフID−70(青木油脂社製)
ワンダーサーフS−800(青木油脂社製)
ノニオンA−13P(日油社製)
Figure 0006851576
<POE・POPアルキルエーテルB>
EMALEX DAPE−0207(日本エマルジョン社製)
ファインサーフNDB−1000(青木油脂社製)
ファインサーフTDE−1055(青木油脂社製)
ファインサーフIDEP−802(青木油脂社製)
ワンダーサーフRL−100(青木油脂社製)
ワンダーサーフID−90(青木油脂社製)
ワンダーサーフNDR−1000(青木油脂社製)
ワンダーサーフS−1000(青木油脂社製)
Figure 0006851576
<[アルキルの分子量]/[POEの分子量]が0.4未満であるPOE・POPアルキルエーテル(以下、POE・POPアルキルエーテルCと記す)>
EMALEX DAPE−0210(日本エマルジョン社製)
EMALEX DAPE−0212(日本エマルジョン社製)
EMALEX DAPE−0215(日本エマルジョン社製)
EMALEX DAPE−0220(日本エマルジョン社製)
ファインサーフNDB−1400(青木油脂社製)
ワンダーサーフNDR−1400(青木油脂社製)
ワンダーサーフRL−180(青木油脂社製)
ワンダーサーフS−1400(青木油脂社製)
Figure 0006851576
・その他
イントラリポス(大塚製薬社製)、生理食塩水(大塚製薬社製)、TAPSO(同仁化学研究所社製)、PIPES(同仁化学研究所社製)、4−アミノアンチピリン(埼京化成社製)、N−(3,5−ジメトキシフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン(DOSE)(同仁化学研究所社製)、硫酸ナトリウム(関東化学社製)、ペルオキシダーゼ(東洋紡社製)、アスコルビン酸オキシダーゼ(旭化成社製)、リポプロテインリパーゼ(コレステロールエステル加水分解酵素;東洋紡社製)、コレステロールエステル酸化酵素(CHODII)(天野エンザイム社製)、プロノンB−208(POE・ポリオキシブチレン縮合物;日油社製)、EMALEX 2425(POE長鎖分岐アルキルエーテル;日本エマルジョン社製)、ユニルーブMT−0620B(POE・ポリオキシアルキレン長鎖分岐アルキルエーテル;日油社製)。
以下の組成からなる、脂質による濁り抑制剤(1A〜1E)を調製した。
<濁り抑制剤>
精製水
ワンダーサーフRL−80(POE・POPアルキルエーテルA) 7g/L
POE・POPアルキルエーテルB(第4表参照)
Figure 0006851576
実施例1で調製した濁り抑制剤の濁り抑制効果を以下の手順により評価した。
(1)脂質検体の調製
イントラリポスを生理食塩水で5倍希釈して、脂質検体を調製した。イントラリポスは、大豆油による中性脂肪(TG)を主成分とする脂肪乳剤である。
(2)脂質検体と濁り抑制剤との混合、及び、濁度の測定
反応セルに、上記(1)で調製した脂質検体(2μL)及び実施例1で調製した濁り抑制剤1A(150μL)を添加し、得られた混合物を37℃で加温しつつ、混合物の濁度(吸光度)を、日立7170型自動分析装置にて、主波長600nm、副波長800nmで測定した。その結果を図1に示す。
図1から明らかな様に、ワンダーサーフRL−80(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤を用いることにより、脂質による濁りを抑制できることが分かった。
以下の組成からなる、脂質による濁り抑制剤(2A〜2E)を調製した。
<濁り抑制剤>
精製水
ファインサーフNDB−800(POE・POPアルキルエーテルA) 7g/L
POE・POPアルキルエーテルB(第5表参照)
Figure 0006851576
実施例1で調製した濁り抑制剤の代わりに実施例3で調製した濁り抑制剤を用いる以外は実施例2と同様の方法により、濁り抑制効果を評価した。その結果を図2に示す。
図2から明らかな様に、ファインサーフNDB−800(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤を用いることにより、脂質による濁りを抑制できることが分かった。
以下の組成からなる、脂質による濁り抑制剤(3A〜3E)を調製した。
<濁り抑制剤>
精製水
ノニオンA−13P(POE・POPアルキルエーテルA) 7g/L
POE・POPアルキルエーテルB(第6表参照)
Figure 0006851576
実施例1で調製した濁り抑制剤の代わりに実施例5で調製した濁り抑制剤を用いる以外は実施例2と同様の方法により、濁り抑制効果を評価した。その結果を図3に示す。
図3から明らかな様に、ノニオンA−13P(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤を用いることにより、脂質による濁りを抑制できることが分かった。
以下の組成からなる、脂質による濁り抑制剤(4A〜4D)を調製した。
<濁り抑制剤>
精製水
EMALEX DAPE−0203(POE・POPアルキルエーテルA) 3g/L
POE・POPアルキルエーテルB(第7表参照)
Figure 0006851576
実施例1で調製した濁り抑制剤の代わりに実施例7で調製した濁り抑制剤を用いる以外は実施例2と同様の方法により、濁り抑制効果を評価した。その結果を図4に示す。
図4から明らかな様に、EMALEX DAPE−0203(POE・POPアルキルエーテルA)及びPOE・POPアルキルエーテルBを含む濁り抑制剤を用いることにより、脂質による濁りを抑制できることが分かった。
[比較例1]
以下の組成からなる、POE・POPアルキルエーテルAのみを含み、POE・POPアルキルエーテルBを含まない、濁り抑制剤(1a〜1f)を調製した。
<濁り抑制剤>
精製水
POE・POPアルキルエーテルA(第8表参照)
Figure 0006851576
[比較例2]
実施例1で調製した濁り抑制剤の代わりに比較例1で調製した濁り抑制剤を用いる以外は実施例2と同様の方法により、濁り抑制効果を評価した。その結果を図5に示す。
図5から明らかな様に、POE・POPアルキルエーテルAのみを含み、POE・POPアルキルエーテルBを含まない濁り抑制剤を用いた場合には、脂質による濁りは抑制されないことが分かった。
[比較例3]
以下の組成からなる、POE・POPアルキルエーテルBのみを含み、POE・POPアルキルエーテルAを含まない、濁り抑制剤(2a〜2g)を調製した。
<濁り抑制剤>
精製水
POE・POPアルキルエーテルB(第9表参照)
Figure 0006851576
[比較例4]
実施例1で調製した濁り抑制剤の代わりに比較例3で調製した濁り抑制剤を用いる以外は実施例2と同様の方法により、濁り抑制効果を評価した。その結果を図6に示す。
図6から明らかな様に、POE・POPアルキルエーテルBのみを含み、POE・POPアルキルエーテルAを含まない濁り抑制剤を用いた場合には、脂質による濁りは抑制されないことが分かった。
[比較例5]
以下の組成からなる、POE・POPアルキルエーテルCのみを含み、POE・POPアルキルエーテルA、POE・POPアルキルエーテルBのいずれも含まない濁り抑制剤(3a〜3h)を調製した。
<濁り抑制剤>
精製水
POE・POPアルキルエーテルC(第10表参照)
Figure 0006851576
[比較例6]
実施例1で調製した濁り抑制剤の代わりに比較例5で調製した濁り抑制剤を用いる以外は実施例2と同様の方法により、濁り抑制効果を評価した。その結果を図7に示す。
図7から明らかな様に、POE・POPアルキルエーテルCのみを含み、POE・POPアルキルエーテルA、POE・POPアルキルエーテルBのいずれも含まない濁り抑制剤を用いた場合には、脂質による濁りは全く可溶化されず、脂質による濁りは抑制されないことが分かった。
以下の第1試薬及び第2試薬を含む、総コレステロール(TC)測定用キットを調製した。
<TC測定用キット>
第1試薬
TAPSO(pH7.0) 5.2g/L
ワンダーサーフRL−80(POE・POPアルキルエーテルA)
3g/L
ワンダーサーフRL−100(POE・POPアルキルエーテルB)
5g/L
DOSE 0.15g/L
硫酸ナトリウム 3g/L
ペルオキシダーゼ 2.5kU/L
アスコルビン酸オキシダーゼ 2kU/L
リポプロテインリパーゼ 0.05kU/L
第2試薬
PIPES(pH7.5) 3g/L
界面活性剤(第11表参照)
4−アミノアンチピリン 0.5g/L
CHODII 4kU/L
Figure 0006851576
総コレステロール(TC)測定用キットである「デタミナーL TCII」(協和メデックス社製)及び実施例9のTC測定用キットの各キットを用いて、以下のそれぞれの検体中のTCを測定した。
<検体>
・検体1:健常人による血清と生理食塩水とを1:1で混合して調製した検体
・検体2:上記検体1の調製で使用した健常人による血清とイントラリポスとを1:1で混合して調製した検体
・検体3:イントラリポスと生理食塩水とを1:1で混合して調製した検体
<検体中のTCの測定>
(1)検量線の作成
標準液として、生理食塩水(TC濃度:0.0mg/dL)、及び、デタミナー標準血清脂質測定用(TC濃度:200〜250mg/dL)(協和メデックス社製)を用いて、TC測定用キットとして、「デタミナーL TCII」(協和メデックス社製)及び実施例9のキット1〜3の各キットを用いて、日立7170S型自動分析機により、各キットについて、TC濃度と「吸光度」との関係を示す検量線を作成した。
ここで記す「吸光度」とは、以下の反応で測定された2つの吸光度(E1及びE2)を基に、E2からE1を差し引くことによって得られる値を表す。反応セルへ標準液(2μL)と第1試薬(150μL)とを添加し、37℃で5分間加温し、その反応液の吸光度(E1)を主波長600nm、副波長800nmで測定し、次いで、この反応液に第2試薬(50μL)を添加し、さらに37℃で5分間加温した後に、反応液の吸光度(E2)を主波長600nm、副波長800nmで測定した。
(2)検体に対する「吸光度」の測定
上記(1)の検量線作成において、標準液の代わりに上記で調製した検体1〜検体3の各検体を用いる以外は、(1)の「吸光度」算出方法と同様の操作を行い、各検体に対する「吸光度」を測定した。
(3)検体中のTC濃度の決定
上記(2)で測定した「吸光度」と、(1)で作成した検量線とから、各検体中のTC濃度を決定した。その結果を第12表に示す。
Figure 0006851576
ここで、理論値比とは、以下の式より算出される値である。
Figure 0006851576
検体3において、イントラリポスの主成分である大豆油に含まれる植物ステロール等のコレステロール様物質はコレステロール酸化酵素と反応し、TCとして測定されるため、検体2のTC濃度は、理論的には、検体1のTC濃度と検体3のTC濃度の総和として算出される。従って、上記の理論値比が100%に近い程、検体中のTCを正確に測定できることを意味する。第12表から明らかな様に、実施例9の、本発明の濁り抑制剤を含有するTC測定用キット1〜3のいずれのキットを用いた場合においても、市販のTC測定用キットと用いたと同様、検体1〜3のいずれの検体に対してほぼ同じTC濃度を与えると共に、理論値比もほぼ100%であった。従って、本発明の濁り抑制剤を含有するTC測定用キットを用いることにより、検体中のTCを正確に測定できることが分かった。よって、本発明の濁り抑制剤を用いることにより、検体中のTCを正確に測定できることが分かった。
本発明により、検体中の脂質による濁り抑制剤、検体中の脂質による濁り抑制方法、及び、検体中の測定対象成分の測定方法が提供される。本発明は、検体中の測定対象成分の測定に使用され、臨床診断に有用である。

Claims (8)

  1. (i)ポリオキシエチレンの分子量が110以上、250未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[ポリオキシエチレンの分子量]が0.4以上、1.25以下であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及び、(ii)ポリオキシエチレンの分子量が250以上、460未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[ポリオキシエチレンの分子量]が0.4以上、0.75以下であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルを含有することを特徴とする、検体中の脂質による濁り抑制剤。
  2. 吸光度法による検体中の測定対象成分の測定において用いられる、請求項1記載の抑制剤。
  3. 検体が、血清又は血漿である、請求項1又は2記載の抑制剤。
  4. 検体を、(i)ポリオキシエチレンの分子量が110以上、250未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[ポリオキシエチレンの分子量]が0.4以上、1.25以下であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及び、(ii)ポリオキシエチレンの分子量が250以上、460未満であり、かつ、[アルキルの分子量]/[ポリオキシエチレンの分子量]が0.4以上、0.75以下であるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルと混合させることを特徴とする、検体中の脂質による濁り抑制方法。
  5. 吸光度法による検体中の測定対象成分の測定において用いられる、請求項4記載の抑制方法。
  6. 検体が、血清又は血漿である、請求項4又は5記載の抑制方法。
  7. 検体と、請求項1〜3のいずれかに記載の抑制剤とを混合した後、検体中の測定対象成分を吸光度法により測定する、検体中の測定対象成分の測定方法。
  8. 検体が、血清又は血漿である、請求項7記載の測定方法。
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