JP6851236B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオンが正負極間を移動することにより充放電を行う非水電解質二次電池は、近年、携帯電話、ノートパソコン、スマートフォン等の携帯端末の駆動電源や、電動工具、自動車等の動力用電源などとして、幅広い分野において利用されている。このような非水電解質電池は、近年、電力を長時間にわたり供給できるエネルギー容量、短時間で大電流充放電を繰り返せる出力特性、そして、長期間において上記充放電を繰り返せる耐久性が求められている。
上記非水電解質電池の一例として、負極活物質としてチタン酸リチウムを用いた非水電解質二次電池が知られている。例えば特許文献1には、BET比表面積が2〜30m/gであるリチウム複合金属酸化物からなる正極活物質を有する正極と、式Li4+aTi12で表されるチタン酸リチウムからなる負極活物質を有する負極とを有する非水電解質二次電池が、黒鉛からなる負極活物質を有する負極を用いた非水電解質二次電池と比べて、高い電流レート(ハイレート)で充電させた場合の充電特性に優れており、急速な充電が可能であることが開示されている。
特開2011−181367号公報
正極活物質としてリチウム複合金属酸化物を含む正極と、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極を備える非水電解質二次電池であって、ハイレート特性を向上しながら、耐久性に優れる非水電解質二次電池が求められている。
本開示の目的は、ハイレート特性を向上しながら、耐久性に優れる非水電解質二次電池を提供することにある。
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、第1正極活物質及び第2正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極合剤層を有する負極と、非水電解質と、を備え、前記第1正極活物質は、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が8mm/g以上であり、第2正極活物質は、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が5mm/g以下であり、第1正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積は、第2正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積に対して4倍以上であり、第1正極活物質の含有量が、第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対して30質量%以下であり、正極合剤層の充填密度が2.4g/cm以上2.8g/cm以下であり、負極合剤層の充填密度が1.7g/cm以上2.2g/cm以下であることを特徴とする。
本開示の非水電解質二次電池により、ハイレート特性を向上しながら、耐久性に優れる非水電解質二次電池を提供することが可能となる。
実施形態の一例である非水電解質二次電池の構成を部分的に切り欠いて示す斜視図である。 非水電解質二次電池が備える電極体の断面図である。
本願発明者は、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極を備える非水電解質二次電池において、正極が、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積がそれぞれ特定されている第1正極活物質及び第2正極活物質を含む正極合剤層を有し、第1正極活物質の含有量が第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対して30質量%以下であり、正極合剤層の充填密度が2.4g/cm以上2.8g/cm以下であり、負極合剤層の充填密度が1.7g/cm以上2.2g/cm以下である場合に、ハイレート特性を向上させつつ、耐久性に優れる非水電解質二次電池を提供することが可能となることを見出した。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態の一例について詳細に説明する。なお、本開示の非水電解質二次電池は、以下で説明する実施形態に限定されない。また、実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、各構成要素の寸法等は以下の説明を参酌して判断されるべきである。
[非水電解質二次電池]
図1を参照しながら、非水電解質二次電池10の構成を説明する。図1は、本実施形態の一例である非水電解質二次電池10(以下、「電池10」とも記載する)の構成を部分的に切り欠いて示す斜視図である。非水電解質二次電池10は例えば、有底で開口を有する外装缶24と、該開口を塞ぐ封口板22とを備える。外装缶24は、平板状で略直方体の形状を有する容器である。外装缶24には、例えば、正極12と、負極14と、セパレータ16とを備える電極体26が、非水電解質(図示しない)とともに収容されている。電極体26は例えば、樹脂製の絶縁シートにより覆われた状態で、外装缶24内に収納される。
外装缶24は、底部28と、底部28と対向する位置に設けられた開口とを有する。封口板22は、外装缶24の開口を塞ぐ蓋体であり、封口板22には、例えば、正極端子18、負極端子20、注液口30、ガス排出弁32が設けられる。正極端子18は、外部の要素と正極12とを電気的に接続させる機能を有し、絶縁性のガスケットにより封口板22と電気的に絶縁された状態で取り付けられる。負極端子20は、外部の要素と負極14とを電気的に接続させる機能を有し、絶縁性のガスケットにより封口板22と電気的に絶縁された状態で取り付けられる。注液口30は非水電解質を注液するためのものであり、ガス排出弁32は、電池内部のガスを電池外部に排出するためのものである。
図2は、電池10が備える電極体26の断面図である。図2に示すように、電極体26は、例えば、正極12と負極14とがセパレータ16を介して巻回された巻回構造を有し、巻回構造の中心軸と直交する方向からプレス成型して扁平化した扁平巻回構造を有する。
正極12は、例えば正極芯体と、正極芯体の両表面に形成されている正極合剤層とで構成される。正極合剤層は例えば、正極芯体が帯状に露出した正極芯体露出部が、幅方向の少なくとも一方側の端部に長手方向に沿って形成されるように、形成されている。負極14は例えば、負極芯体と、負極芯体の両表面に形成されている負極合剤層とを備える。負極合剤層は例えば、負極芯体が帯状に露出した負極芯体露出部が、幅方向の少なくとも一方側の端部に長手方向に沿って形成されるように、形成されている。正極芯体露出部は、正極芯体を介して正極端子18に電気的に接続され、負極芯体露出部は、負極芯体を介して負極端子20に電気的に接続される。
次に、電池10が備える正極12、負極14、セパレータ16及び非水電解質等について説明する。
[正極]
正極12は、上述の通り、例えば金属箔等の正極芯体と、正極芯体上に形成された正極合剤層とで構成される。正極芯体には、例えばアルミニウム等の正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合剤層は例えば、正極活物質、導電材及び結着材を含む。
正極合剤層は、正極活物質として第1正極活物質及び第2正極活物質を含む。第1正極活物質における、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積(以下「細孔体積V100N」とも記載する)が8mm/g以上であり、第2正極活物質における細孔体積V100Nが5mm/g以下である。また、第2正極活物質における細孔体積V100Nに対する、第1正極活物質における細孔体積V100Nの比率(以下「第1/第2細孔体積比率」とも記載する)が4倍以上である。更に、第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対する第1正極活物質の含有率は30質量%以下である。正極活物質における細孔体積V100Nの測定方法については後述する。
正極合剤層に正極活物質として含まれる第1正極活物質及び第2正極活物質は、いずれもリチウム含有遷移金属酸化物である。リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウム(Li)及び遷移金属元素を少なくとも含む金属の酸化物である。リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウム(Li)及び遷移金属元素以外の添加元素を含有していてもよい。
電池10は、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極14を備える。リチウムチタン複合酸化物は、高い充放電効率を有するため、従来の炭素材料からなる負極活物質を用いる場合と比較して、正極12での放電可能な電位の下限が低い。充放電がより高深度でなされると正極活物質粒子の膨張及び収縮がより大きくなることから、高深度での充放電サイクルの繰り返しにより、正極活物質の粒子における割れ(亀裂)の発生が加速される。これに起因して、リチウムチタン複合酸化物を負極活物質として用いる電池10では、従来の炭素材料からなる負極活物質を用いる場合と比較して、正極活物質層内の導通経路が複雑になって電池10の内部抵抗が上昇してしまうと考えられる。細孔体積が小さい正極活物質では、膨張及び収縮の影響が生じやすいことから、粒子の割れによる抵抗上昇の問題はより深刻である。
これに対して、電池10は、正極活物質として、細孔体積V100Nが特定された第1正極活物質及び第2正極活物質を、特定の含有比率で含む。正極活物質において100nm以下の細孔径を有する細孔が存在する場合、当該正極活物質では、有効な反応面積が増大するとともに、活物質内におけるLiイオンの拡散距離が著しく低下するため、電池10のハイレート特性を向上させることができる。正極12では、細孔体積V100Nが8mm/g以上である第1正極活物質と、細孔体積V100Nが5mm/g以下である第2正極活物質とが含有されているため、充電反応が第1正極活物質において優先的に生じ、その結果、第1正極活物質は、第2正極活物質と比較して高酸化状態となり、反応活性が高くなると考えられる。
このとき、第1正極活物質の近傍に存在している非水電解質が、高酸化状態となった第1正極活物質に接触することにより、酸化分解される。そして、非水電解質の酸化分解物が周囲の正極活物質へと拡散及び付着することにより、正極活物質の表面に被膜が形成される。この被膜が、充放電サイクルの繰り返しによる正極活物質粒子の割れの発生及び拡大を抑制することにより、充放電サイクルの繰り返しに伴って生じる正極活物質の抵抗の上昇を抑え、電池10のハイレートな充放電サイクルに対する耐久性を向上させることができると考えられる。
一方、細孔体積V100Nが8mm/g以上である第1正極活物質だけを正極活物質が含有する場合の反応は正極合剤層の全領域で均一に起こり易くなり、正極合剤層内の一部の正極活物質のみに反応が偏る事態は生じ難くなる。よって、正極活物質として第1正極活物質のみを含有する場合は高酸化状態となる正極活物質が非常に少ないため、非水電解質の酸化分解及び酸化分解物による被膜形成が殆ど生じない。その結果、正極活物質粒子における割れの発生及び拡大が抑制されず、電池10の充放電サイクルに対する耐久性が向上しないと考えられる。正極12が正極活物質として第2正極活物質のみを含有する場合についても、反応性が同質である活物質により活物質層を構成してしまうと、より均一に活物質が反応してしまうため、高酸化状態になりにくくなる。電池10の充放電サイクルに対する耐久性は向上しないと考えられる。
電池10では、第1正極活物質及び第2正極活物質につき、第1/第2細孔体積比率が4倍以上である。第1/第2細孔体積比率が4倍未満であると、第1正極活物質の細孔体積V100Nと第2正極活物質の細孔体積V100Nとが近いことから、第1正極活物質において充電反応が優先的に生じ難くなり、第1正極活物質が高酸化状態になり難くなると考えられる。
電池10では、正極合剤層における第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対する第1正極活物質の含有量が30質量%以下であり、20質量%以下が好ましい。第1正極活物質の当該含有量が多すぎると、正極の作製に用いる正極合剤スラリーにおいて、斑状に粒子が凝集する等、粘度の上昇及び分散性の低下が生じることがある。その結果、部分的に正極合剤スラリーの塗工量が多くなり、圧延後の極板の品質が低下すると考えられる。
第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対する第1正極活物質の含有量の下限は、特に限定されないが、例えば3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。第1正極活物質の含有量が上記の範囲にあると、正極合剤層において、優先的に反応が起こって高酸化状態となる正極活物質が偏在せず、非水電解質の酸化分解による被膜形成が促進され、正極合剤層に均一な被膜を形成できると考えられる。
電池10は、更に、正極合剤層における第1正極活物質及び第2正極活物質の総量の充填密度が2.4g/cm以上2.8g/cm以下であり、2.5g/cm以上2.7g/cm以下が好ましい。正極充填密度が2.4g/cm未満の場合、密度の減少により導電経路が疎になり、活物質粒子間の導電性が低下(即ちハイレート特性が低下)して抵抗が増加する結果、使用時により多くの熱が発生するため、電池10の耐久性が低下すると考えられる。一方、正極合材層の充填密度が2.8g/cmより高い場合、正極作製時の高圧力の圧延によって正極合剤層を設けた正極芯体が延びる一方、正極合剤層を設けない正極芯体露出部では延びないため、正極12に歪みや皺が生じることがある。このように正極12の厚さの均一性が低下すると、正極12及び負極14間の距離が不均一となり、正極合剤層のうち負極14との距離が近い領域では、他の領域に比べて充放電反応が活性化する。そのため、正極合剤層において反応が局所的に集中している正極活物質の劣化が加速し、結果として、電池10の耐久性が低下する虞があると考えられる。
正極12の正極合剤層は、正極活物質として、細孔体積V100Nが8mm/g以上である第1正極活物質と、細孔体積V100Nが5mm/g以下である第2正極活物質とを少なくとも含む。第1正極活物質の細孔体積V100Nの上限は特に制限されないが、例えば、50mm/g以下であることが好ましく、更に好ましくは20mm/g以下である。第2正極活物質の細孔体積V100Nの下限は特に制限されず、好ましくは2mm/g以下である。
正極活物質における細孔体積V100Nは、例えば、窒素吸着法による窒素ガスの圧力に対する吸着量の測定結果に基づいて、BJH法により細孔分布曲線を作成して、細孔径が100nm以下である範囲の細孔の体積を合計することにより、算出することができる。BJH法は、円筒形の細孔をモデルとして細孔径に対する細孔体積を計算し、細孔分布を決定する方法である。BJH法に基づく細孔分布は、例えば、ガス吸着量測定装置(カンタクローム社製)を用いて測定することができる。
第1正極活物質及び第2正極活物質は、結晶構造が層状である、層状リチウム遷移金属酸化物であることが好ましい。例えば、一般式(1)Li1+x2+bで表される層状リチウム遷移金属酸化物が挙げられ、一般式(1)中、x、a及びbは、x+a=1、−0.2≦x≦0.2、及び、−0.1≦b≦0.1の条件を満たし、Mはニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む金属元素である。層状リチウム遷移金属酸化物は、充電反応時にリチウムイオンが引き抜かれた際に高酸化状態になり易いため、上述した非水電解質の酸化分解及び被膜形成が生じ易く、非水電解質二次電池10の充放電サイクルに対する耐久性向上効果が顕著に発現する。層状リチウム遷移金属酸化物としては、上記一般式(1)で表され、MとしてNi、Co及びMnを含有するニッケルコバルトマンガン酸リチウムが特に好ましい。
層状リチウム遷移金属酸化物は、Ni、Co、Mn及びAl以外の他の添加元素を含んでいてもよく、例えば、Li以外のアルカリ金属元素、Mn、Ni及びCo以外の遷移金属元素、アルカリ土類金属元素、第12族元素、Al以外の第13族元素、並びに、第14族元素が挙げられる。他の添加元素の具体例としては、例えば、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)及びケイ素(Si)等が挙げられる。
なお、電池10において正極活物質及び負極活物質として用いられる化合物の組成は、ICP発光分光分析装置(例えば、Thermo Fisher Scientific社製、商品名「iCAP6300」等)を用いて測定することができる。
第1正極活物質及び第2正極活物質として用いる層状リチウム遷移金属酸化物の合成方法の例について説明する。例えば、水酸化リチウム等のリチウム含有化合物及びリチウム以外の金属元素Mを含有する水酸化物を焼成して得られた酸化物を、目的とする混合比率で混合し、当該混合物を焼成することにより、上記一般式(1)で表される層状リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子を合成することができる。当該混合物の焼成は、大気中又は酸素気流中で行う。焼成温度は、例えば500〜1100℃程度であり、焼成時間は、例えば焼成温度が500〜1100℃である場合、1〜30時間程度である。
第1正極活物質及び第2正極活物質として用いられる層状リチウム遷移金属酸化物における細孔体積V100Nは、例えば、上記金属元素Mを含有する水酸化物を準備する際に調整できる。金属元素Mを含有する水酸化物は、例えば金属元素Mの化合物を含む水溶液に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を滴下し攪拌することによって得られ、このときの水溶液の温度、アルカリ水溶液の滴下時間、攪拌速度及びpH等を調整することにより、得られる層状リチウム遷移金属酸化物における細孔体積V100Nを調整することができる。
第1正極活物質及び第2正極活物質の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。第1正極活物質及び第2正極活物質の平均粒径が2μm未満である場合、正極合剤層内の導電材による導電経路を阻害して、ハイレートにおけるサイクル特性が低下することがある。第1正極活物質及び第2正極活物質の平均粒径の上限は特に限定しないが、例えば30μm以下が好ましい。第1正極活物質及び第2正極活物質の30μmを超えると、反応面積の低下により、負荷特性が低下することがある。第1正極活物質及び第2正極活物質は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子である場合、第1正極活物質及び第2正極活物質の二次粒子の平均粒径が2μm以上30μm以下の範囲にあることが好ましい。
本開示における正極活物質及び負極活物質の平均粒径は、レーザ回折法によって測定される体積平均粒径であって、粒子径分布において体積積算値が50%となるメジアン径を意味する。正極活物質及び負極活物質の平均粒径は、例えば、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製)を用いて測定できる。
正極12は、例えば、(1)第1正極活物質、第2正極活物質、導電材及び結着材を混合した後、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の分散媒を添加して、正極合剤スラリーを調製するスラリー調製工程、(2)正極合剤スラリーを正極体の表面に塗布して塗布層を形成するスラリー塗布工程、(3)正極芯体上に形成された塗布層を乾燥させ、正極合剤層を形成する乾燥工程、(4)正極合剤層を、圧延ロール等の圧延手段を用いて圧延する圧延工程、を有する方法により製造すればよい。塗布工程において正極芯体の表面にスラリーを塗布する方法は、特に制限されず、グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーター等の周知の塗布装置を使用して行えばよい。
正極12では、上述の通り、正極合剤層の充填密度が、2.4g/cm以上2.8g/cm以下である。正極合剤層の充填密度の測定方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。正極芯体と正極合剤層とで構成される正極12について、公知の測定手段によって正極合剤層の厚さを測定する。その後、正極合剤層を切削工具や超音波等を用いて削り取り、正極合剤層の質量を測定する。これらの測定結果から、正極合剤層の充填密度が得られる。
正極合剤層の充填密度は、例えば、上記の正極12の製造方法において、正極合剤スラリーの粘度、正極合剤スラリー中の正極活物質、導電材及び結着材の各含有量、正極合剤スラリーの塗布量、圧延時の圧力等を調整することにより、調整できる。
上記正極合剤層の充填密度の測定方法の説明では、非水電解質に含浸する前の正極を想定して説明したが、本開示の非水電解質二次電池における上記充填密度の測定方法は上記の方法に限定されない。例えば、非水電解質に含浸した電極の合剤層を試料として用いる場合は、上記ICP発光分光分析装置を用いて試料を構成する材料の組成比から試料に用いた合剤の重量を測定し、予め測定した合剤層の厚さと試料として切り出した合剤層の面積から充填密度を算出することもできる。あるいは、非水電解質に含浸した電極から抽出溶媒を用いて非水電解質を抽出した後、残った合剤の重量を測定することにより算出することもできる。その他、上記充填密度を測定する方法であれば特に限定されない。
正極合剤層に含まれる導電材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。これらは、単独で、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤層に含まれる結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が例示できる。また、これらの樹脂と、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、ポリエチレンオキシド(PEO)等が併用されてもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記正極合剤層における第1正極活物質及び第2正極活物質の総重量の配合比率は、例えば80wt%以上、94.5wt%以下である。上記正極合剤層における導電材の配合比率は、例えば5wt%以上、15wt%以下である。上記正極合剤層における結着材の配合比率は、例えば0.5wt%以上、5wt%以下である。
[負極]
負極14は、金属箔等からなる負極芯体と、当該負極芯体上に形成された負極合剤層とで構成される。負極芯体には、アルミニウム等の負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合剤層は、負極活物質、及び結着材を含む。負極14は、上記の正極12の製造方法に準じて製造でき、例えば、負極芯体上に負極活物質及び結着材等を含む負極合剤スラリーを塗布・乾燥させて負極合剤層を形成した後、圧延ロール等の圧延手段で負極合剤層を圧延することにより、負極芯体の両面に負極合剤層を形成した負極14を製造すればよい。
負極14に使用する負極活物質は、リチウムチタン複合酸化物を含有する。リチウムチタン複合酸化物は、一般式(2)Li4+yTi12(一般式(2)中、yは0以上1以下である)で表され、スピネル型の結晶構造を有する。
負極14では、負極合剤層の充填密度が、1.7g/cm以上2.2g/cm以下であり、1.8g/cm以上2.0g/cm以下であることが好ましい。負極合剤層の充填密度は1.7g/cm未満の場合、密度の減少により導電経路が疎になり、活物質粒子間の導電性が低下(即ちハイレート特性が低下)して抵抗が増加する結果、使用時により多くの熱が発生するため、非水電解質二次電池10の耐久性が低下すると考えられる。一方、負極合剤層の充填密度が2.2g/cmより高い場合、負極作製時の高圧力の圧延によって負極合剤層を設けた負極芯体が延びる一方、負極合剤層を設けない負極芯体露出部では延びないため、負極14に歪みや皺が生じることがある。このように負極14の厚さの均一性が低下すると、正極12及び負極14間の距離が不均一となる。負極合剤層のうち正極12との距離が近い領域では、他の領域に比べて充放電反応が活性化する。そのため、負極合剤層において反応が局所的に集中している負極活物質の劣化が加速し、結果として、電池10の耐久性が低下する虞があると考えられる。
負極合剤層の充填密度は、正極合剤層の充填密度の測定方法と同様に測定すればよい。また、負極合剤層の充填密度は、例えば、負極合剤スラリーの粘度、負極合剤スラリー中の負極活物質及び結着材の各含有量、負極合剤スラリーの塗布量、圧延時の圧力等を調整することにより、調整できる。
リチウムチタン複合酸化物からなる負極活物質は例えば、層状リチウム遷移金属酸化物の合成方法に準じた方法で合成すればよい。例えば、水酸化リチウム等のリチウム含有化合物と、二酸化チタン、水酸化チタン等のチタン含有化合物とを、目的とする混合比率で混合し、当該混合物を焼成することにより、上記一般式(2)で表されるリチウムチタン複合酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子を合成することができる。リチウム含有化合物とチタン含有化合物との混合物の焼成は、例えば、大気中(又は酸素気流中)で行えばよく、その際の焼成温度は例えば500〜1100℃程度であり、焼成温度が500〜1100℃程度である場合、焼成時間は例えば1〜30時間程度である。
負極活物質としては、リチウムチタン複合酸化物以外に、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出できる化合物、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、Si及びSn等のリチウムと合金化可能な金属等を含有してもよい。
負極14に用いる結着剤としては、公知の結着剤を用いることができ、正極12の場合と同様、PTFE等のフッ素系樹脂、PAN、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、並びに、ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、水系溶媒を用いて負極合剤スラリーを調製する場合に用いられる結着剤としては、例えば、CMC又はその塩、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。
なお、上記負極合剤層における負極活物質の配合比率は、例えば80wt%以上、95wt%以下である。上記負極合剤層における導電材の配合比率は、例えば5wt%以上、15wt%以下である。上記正極合剤層における結着材の配合比率は、例えば1wt%以上、5wt%以下である。
[非水電解質]
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質に用いる非水溶媒としては、例えば、エステル類、エーテル類、ニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができ、また、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を用いることもできる。
非水電解質に含まれるエステル類としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、カルボン酸エステル類が例示できる。具体的には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類;プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等の鎖状カルボン酸エステル;及び、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)等の環状カルボン酸エステル等が挙げられる。γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)等の環状カルボン酸エステルが挙げられる。
非水電解質に含まれるエーテル類としては、例えば、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等の鎖状エーテル類等が挙げられる。
非水電解質に含まれるニトリル類の例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、n−ヘプタンニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル等が挙げられる。
非水電解質に含まれるハロゲン置換体の例としては、4−フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステル、メチル3,3,3−トリフルオロプロピオネート(FMP)等のフッ素化鎖状カルボン酸エステル等が挙げられる。
非水電解質に用いる電解質塩は、リチウム塩であることが好ましい。リチウム塩の例としては、LiBF、LiClO、LiPF、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSCN、LiCFSO、LiC(CSO)、LiCFCO、Li(P(C)F)、Li(P(C)F)、LiPF6−x(C2n+1(1≦x≦6、nは1又は2)、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、Li、Li(B(C)[リチウム−ビスオキサレートボレート(LiBOB)]、Li(B(C)F)等のホウ酸塩類、LiN(FSO、LiN(C2l+1SO)(C2m+1SO){l、mは1以上の整数}等のイミド塩類等が挙げられる。リチウム塩は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記の通り、非水電解質は、正極合剤層において高酸化状態にある第1正極活物質と接触して酸化分解し、酸化分解物の被膜を正極活物質の表面に形成する。この観点から、非水電解質における電解質塩として、LiPFを用いることが好ましい。
[セパレータ]
セパレータ16には、例えば、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータ16の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロース等が好適である。セパレータ16は、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。また、ポリエチレン層及びポリプロピレン層を含む多層セパレータであってもよく、セパレータ16の表面にアラミド系樹脂等の樹脂や、アルミナやチタニア等の無機微粒子が塗布されたものを用いることもできる。
以上の説明では、本実施形態における非水電解質二次電池10について、巻回構造を有する電極体26により説明を行った。しかし、本開示の非水電解質二次電池の構成はこの構成に限定されない。例えば、帯状の正極と帯状の負極とを対向させた状態で、正極及び負極とが九十九折りされた電極体を構成してもよい。また、複数の枚葉状の正極極板と複数の枚葉状の負極極板とをセパレータを介して交互に積層して積層型の電極体を構成してもよい。また外装体についても、角型の外装体に限定されない。例えば、円筒型の金属製外装体、コイン状の外装体を使用してもよいし、ラミネートフィルムで電極体を覆ってもよい。外装体の材質も外装体と電極体とが電気的に接続しない構成であれば導電性材料により構成される必要はなく、例えば、樹脂製の外装体を用いてもよい。
<実施例1>
[正極の作製]
リチウム含有化合物と、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)を含むリチウム以外の金属元素を含有する水酸化物を焼成して得られた酸化物とを、目的とする混合比率で混合し、当該混合物を焼成することにより、層状リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子を合成し、第1正極活物質及び第2正極活物質として用いる層状リチウム遷移金属酸化物を得た。
前記方法により、組成式Li1.054Ni0.199Co0.597Mn0.199Zr0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第1正極活物質)、及び、組成式Li1.067Ni0.498Co0.199Mn0.299Zr0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第2正極活物質)を、質量比3:7で混合して混合物を得た。正極活物質及び後に示す負極活物質として用いられる化合物の組成は、ICP発光分光分析装置(Thermo Fisher Scientific社製、商品名「iCAP6300」)を用いて測定した。
また、BJH法を用いて測定した第1正極活物質の細孔体積V100Nは8mm/gであり、第2正極活物質の細孔体積V100Nは2mm/gであった。第1正極活物質及び第2正極活物質の体積平均粒径を、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した結果、第1正極活物質の体積平均粒径は5.0μmであり、第2正極活物質の体積平均粒径は2.0μmであった。
前記方法で作製した正極活物質(第1正極活物質と第2正極活物質の混合物)と、カーボンブラック(導電材・BR>Jと、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(結着剤)とを、91:7:2の質量比で混合した。当該混合物に分散媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加え、混合機(プライミクス株式会社製、T.K.ハイビスミックス)を用いて攪拌し、正極合剤スラリーを調製した。調製した正極合剤スラリーの粘度(単位:mPas)を、B型粘度計(英弘精機株式会社製、製品名「ブルックフィールド粘度計」)を用いて測定した。
前記のスラリーを正極芯体であるアルミニウム箔上に塗布し、塗膜を乾燥させて正極合剤層を形成した。次いで、正極合剤層を圧延ロールにより圧延して、アルミニウム箔の両面に正極合剤層が形成された正極12を作製した。作製された正極12において、正極合剤層の充填密度は2.8g/cmであった。
[負極の作製]
組成式LiTi12で表されるリチウムチタン複合酸化物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:8:2の質量比で混合した。当該混合物にNMPを加え、混合機(プライミクス株式会社製、T.K.ハイビスミックス)を用いて攪拌し、負極合剤スラリーを調製した。次に、負極芯体であるアルミニウム箔上に負極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、塗膜を圧延ローラにより圧延して、アルミニウム箔の両面に負極合剤層が形成された負極14を作製した。作製された負極14において、負極合剤層の充填密度は2.2g/cmであった。
[非水電解質の調製]
プロピレンカーボネート(PC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを、25:35:40の体積比で混合して混合溶媒を調製した。当該混合溶媒に、LiPFを1.2モル/Lの濃度となるように溶解させて、ヒスイ電解質を調製した。
[電池の作製]
上記で得られた正極12及び負極14を、ポリプロピレン製の微多孔膜のセパレータ16を介して渦巻き状に巻回した後、プレス成型し、扁平形状の電極体26を作製した。電極体26の幅方向両端部に形成された正極芯体露出部及び負極芯体露出部のそれぞれに集電体部を溶接した。次いで、集電体部を溶接した電極体26を、アルミニウム製の外装缶24に収容し、上記の非水電解質を注液口30から注液した後、開口部を封口板22にて封口して、図1に示す定格容量が10Ahの電池10を作製した。
<実施例2>
正極12の作製工程において、正極合剤層を圧延する圧力を下げて圧延後の正極合剤層を実施例1よりも厚くしたこと、及び、負極14の作製工程において、負極合剤層を圧延する圧力を下げて圧延後の負極合剤層を実施例1よりも厚くしたこと以外は、実施例1と同様の構成を有した電池10を作製した。実施例2の電池10において、正極合剤層の充填密度は2.4g/cmであり、負極合剤層の充填密度は1.7g/cmであった。
<比較例1>
正極12の作製工程において、正極活物質として第1正極活物質を使用せず、第2正極活物質のみを使用したこと以外は、実施例1と同様の構成を有した、非水電解質二次電池を作製した。
<比較例2>
正極12の作製工程において、第1正極活物質及び第2正極活物質を質量比4:6で混合して混合物を作製し、正極合剤スラリーを調製したこと以外は、実施例1と同様の構成を有した、非水電解質二次電池を作製した。
<比較例3>
正極12の作製工程において、組成式Li1.054Ni0.199Co0.597Mn0.199Zr0.005で表され、細孔体積V100Nが5mm/gである層状リチウム遷移金属酸化物を第1正極活物質として使用したこと以外は、実施例1と同様の構成を有した非水電解質二次電池を作製した。比較例3の非水電解質二次電池において、正極における第1/第2細孔体積比率は2.5であった。
<比較例4>
正極の作製工程において、正極合剤層を圧延する圧力を下げて圧延後の正極合剤層を実施例1よりも厚くしたこと以外は、実施例1と同様の構成を有した非水電解質二次電池を作製した。比較例4の非水電解質二次電池において、正極合剤層の充填密度は2.3g/cmであった。
<比較例5>
負極の作製工程において、負極合剤層を圧延する圧力を下げて圧延後の負極合剤層を実施例1よりも厚くしたこと以外は、実施例1と同様の構成を有した非水電解質二次電池を作製した。比較例5の非水電解質二次電池において、負極合剤層の充填密度は1.6g/cmであった。
<比較例6>
正極の作製工程において、正極合剤層を圧延する圧力を上げて圧延後の正極合剤層を実施例1よりも薄くしたこと以外は、実施例1と同様の構成を有した非水電解質二次電池を作製した。比較例6の非水電解質二次電池において、正極合剤層の充填密度は2.9g/cmであった。
<比較例7>
負極の作製工程において、負極合剤層を圧延する圧力を上げて圧延後の負極合剤層を実施例1よりも薄くしたこと以外は、実施例1と同様の構成を有した、非水電解質二次電池を作製した。比較例7の非水電解質二次電池において、負極合剤層の充填密度は2.3g/cmであった。
[電池試験]
上述のように作製した各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池を使用して、以下に示す評価試験を実施した。
(1)ハイレート特性試験
各電池につき、25℃の温度雰囲気で、1Cの充電電流でSOC(充電深度)20%まで充電した。この後、5C放電のステップ→5C充電のステップ→10C放電のステップ→10C充電のステップ→15C放電のステップ→15C充電のステップ→20C放電のステップ→20C充電のステップ→25C放電のステップ→25C充電のステップの順で充放電電流を増加させた。このとき、各ステップにおける充電時間又は放電時間はいずれも30秒間とした。また、各ステップの間に15分間の休止期間を設けた。つまり、30秒間の放電→15分間休止→30秒間充電→15分間休止の順で充放電サイクルを行った。そして、この充放電サイクルにおいて放電が10秒経過した時点における電池電圧を充電電流に対してプロットし、最小二乗法にて求めた直線から1.5Vに達したときの電流値を算出し、その電流値から求めた抵抗値を、各非水電解質二次電池10の出力値として得た。各非水電解質二次電池10について得られた抵抗値に基づいて、下記の基準により、ハイレート特性試験に対する耐久性を評価した。
○:実施例1を100としたときのハイレート特性試験後の抵抗値が104%未満
×:実施例1を100としたときのハイレート特性試験後の抵抗値が104%以上
表1に、各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池について得られた抵抗値及びハイレート特性の評価結果を示す。
(2)耐久性試験
25℃の温度雰囲気で、1Cの充電電流にてSOC80%となる電圧まで充電した。次いで、60℃の温度雰囲気で、5Cの放電電流にてSOCが20%になる電圧まで放電し、その後5Cの充電電流でSOC80%まで充電するというサイクルを繰り返す、部分充放電サイクル試験を行った。この部分充放電サイクルを、部分充放電サイクル開始時の出力に対する出力の比(出力初期比)が80%になるまで繰り返し、出力初期比が80%になるまでの総放電量を求めた。このときの総放電量に基づいて、下記の基準により、充放電サイクルに対する耐久性を評価した。
○:実施例1を100としたときの耐久性試験後の総放電量が95%以上
×:実施例1を100としたときの耐久性試験後の総放電量が95%未満
表1に、各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池について得られた総放電量及び評価結果を示す。
(3)巻回良品率試験
実施例及び比較例の非水電解質二次電池における正極及び負極の厚さの均一性を確認する目的で、実施例及び比較例の非水電解質二次電池における電極体の巻回良品率を評価した。より具体的には、上記電極体について、正極、負極及びセパレータの巻回構造の軸方向におけるずれ幅の最大値(巻きずれ)を測定した。巻きずれが小さい程、正極又は負極の厚さ、即ち、正極合剤層及び負極合剤層の厚さの均一性が高くなる。上述の通り、正極及び負極の厚さが不均一になると、局所的に活物質の劣化が加速し、非水電解質二次電池10の耐久性が低下すると考えられる。したがって、電極体26の巻きずれを測定することにより、正極及び負極における各合剤層の厚さの均一性を確かめ、非水電解質二次電池10の耐久性を評価できると考えられる。
本測定試験では、上記各電極体につき、巻きずれが±1mm以内の範囲に入るものを「合格」、当該範囲に入らないものを「不合格」と評価した。各実施例及び各比較例ごとに、50個の電極体26の巻きずれを測定し、巻きずれの評価が「合格」であった電極体26の個数の総数に対する割合(巻回良品率)を求めた。得られた巻回良品率に基づいて、下記の基準により非水電解質二次電池の耐久性を評価した。
○:実施例1を100としたときの巻回良品率が95%以上
×:実施例1を100としたときの巻回良品率が95%未満
表1に、各実施例及び各比較例について、正極合剤スラリーの粘度、電極体26の巻回良品率、及び、巻回良品率に基づく耐久性の評価結果を示す。
Figure 0006851236
表1の結果から明らかなように、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を用いた非水電解質二次電池において、細孔体積V100Nが8mm/g以上である第1正極活物質と、細孔体積V100Nが5mm/g以下である第2正極活物質とを含み、第1/第2細孔体積比率が4倍以上であり、第1正極活物質の含有量が第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対して30質量%以下であり、正極合剤層の充填密度が2.4g/cm以上2.8g/cm以下である正極12を用い、且つ、負極合剤層の充填密度が1.7g/cm以上2.2g/cm以下である負極14を用いた実施例1及び2の電池10は、上記構成のいずれかを満たしていない比較例1〜7の非水電解質二次電池と比較して、ハイレート特性、充放電サイクル後の耐久性及び巻回良品率において顕著に優れることがわかった。巻回良品率が優れる電池10では、正極12及び負極14の厚さの均一性に優れるため、電池10の耐久性に優れると考えられる。
10 非水電解質二次電池、12 正極、14 負極、16 セパレータ、18 正極端子、20 負極端子、22 封口板、24 外装缶、26 電極体、28 底部、30 注液口、32 ガス排出弁。

Claims (2)

  1. 第1正極活物質及び第2正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、
    負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極合剤層を有する負極と、
    非水電解質と、を備え、
    前記第1正極活物質は、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が8mm/g以上であり、
    前記第2正極活物質は、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が5mm/g以下であり、
    前記第1正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積は、前記第2正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積に対して4倍以上であり、
    前記第1正極活物質の含有量が、前記第1正極活物質及び前記第2正極活物質の総量に対して30質量%以下であり、
    前記正極合剤層の充填密度が2.4g/cm以上2.8g/cm以下であり、
    前記負極合剤層の充填密度が1.7g/cm以上2.2g/cm以下であり、
    前記第1正極活物質及び前記第2正極活物質がいずれも、一般式(1)Li 1+x 2+b (一般式(1)中、x、a及びbは、x+a=1、−0.2≦x≦0.2、及び、−0.1≦b≦0.1の条件を満たし、Mは、Ni、Co、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む金属元素である)で表される層状リチウム遷移金属酸化物である、非水電解質二次電池。
  2. 前記第1正極活物質及び前記第2正極活物質の平均粒径がいずれも2μm以上である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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