以下、ターボチャージャを具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、ターボチャージャ10のケース11は、ベアリングハウジング20、タービンハウジング30、及びコンプレッサハウジング40を有している。ベアリングハウジング20、タービンハウジング30、及びコンプレッサハウジング40は、鋳造製である。タービンハウジング30の内部には、内燃機関Eから排出された排ガスが流れる。コンプレッサハウジング40の内部には、内燃機関Eへ導かれる吸気が流れる。
ベアリングハウジング20は、インペラシャフト12を回転可能に支持する。インペラシャフト12の回転軸線方向の第1端には、タービンインペラ13が連結されている。インペラシャフト12の回転軸線方向の第2端には、コンプレッサインペラ14が連結されている。タービンハウジング30は、インペラシャフト12の回転軸線方向におけるベアリングハウジング20の第1端に連結されている。コンプレッサハウジング40は、インペラシャフト12の回転軸線方向におけるベアリングハウジング20の第2端に連結されている。
ベアリングハウジング20は筒状の本体部21を有している。本体部21は、インペラシャフト12が挿通される挿通孔21hを有する。本体部21は、挿通孔21hに挿通されたインペラシャフト12を、ラジアル軸受15を介して回転可能に支持している。本体部21の軸線方向は、インペラシャフト12の回転軸線方向に一致する。
本体部21は、インペラシャフト12の回転軸線方向における第1端に第1端面21aを有するとともに、インペラシャフト12の回転軸線方向における第2端に第2端面21bを有する。本体部21は、第1端面21aから突出する筒状の突出部21fを有している。突出部21fの先端には、インペラシャフト12の径方向に延びる平坦な端面21eが設けられる。挿通孔21hの第1端は、突出部21fの端面21eに開口している。また、突出部21fの端面21eには、挿通孔21hの開口を囲むように端面21eから突出する環状の凸部21gが形成されている。
本体部21は、第2端面21bに凹設される円柱状の収容凹部21cを有している。挿通孔21hの第2端は、収容凹部21cの底面に開口している。収容凹部21cの直径は、挿通孔21hの直径よりも大きい。収容凹部21cの軸心は、挿通孔21hの軸心に一致している。収容凹部21c内には、スラスト軸受16が収容されている。スラスト軸受16は、収容凹部21cの底面に接した状態で収容凹部21c内に収容されている。
ベアリングハウジング20は、本体部21の外周面における本体部21の軸線方向の第1端部からインペラシャフト12の径方向外側に突出する第1フランジ部22と、本体部21の外周面における本体部21の軸線方向の第2端部からインペラシャフト12の径方向外側に突出する第2フランジ部23と、を有している。第2フランジ部23は、円環状である。
第1フランジ部22は、環状の第1延在部24、筒状の第2延在部25、及び環状の第3延在部26を有している。第1延在部24は、本体部21の外周面からインペラシャフト12の径方向外側に延びる。第2延在部25は、第1延在部24の先端部から第2フランジ部23とは反対側に向けてインペラシャフト12の回転軸線方向に延びる。第3延在部26は、第2延在部の端面25aよりも回転軸方向においてやや第1延在部24に近い位置から、インペラシャフト12の径方向外側に向けて延びる。
第1延在部24は、第2フランジ部23とは反対側に位置する端面24aを有し、端面24aは本体部21の第1端面21aに連続している。第2延在部25の端面25aは、第3延在部26における第1延在部24とは反対側の端面26aよりも第1延在部24とは反対側に突出している。第2延在部25の端面25aは、インペラシャフト12の径方向に延びる平坦面である。
コンプレッサハウジング40は、コンプレッサ本体部41を有している。コンプレッサ本体部41は、略円板状の端壁41aと、端壁41aの周縁からインペラシャフト12の回転軸線方向に延びる環状の周壁41bと、を有している。周壁41bにおける端壁41aとは反対側の端部は開口している。コンプレッサハウジング40は、周壁41bの開口端に第2フランジ部23が図示しない螺子により取り付けられることにより、ベアリングハウジング20の第2端に連結されている。周壁41bの開口は、本体部21の第2端面21b及び第2フランジ部23における第1フランジ部22とは反対側の端面によって閉塞されている。つまり、周壁41bの開口は、ベアリングハウジング20の第2端に位置する端面によって閉塞されている。
また、コンプレッサハウジング40は、端壁41aから周壁41bとは反対側に突出するコンプレッサ筒状部42を有している。コンプレッサ筒状部42は、吸気口42aを有している。吸気口42aは、インペラシャフト12の回転軸線方向に延びている。吸気口42aの軸心は、インペラシャフト12の回転軸線に一致している。
コンプレッサハウジング40内には、コンプレッサインペラ室43、ディフューザ流路44、及びコンプレッサスクロール流路45が形成されている。コンプレッサインペラ室43は、吸気口42aに連通するとともにコンプレッサインペラ14を収容する。コンプレッサスクロール流路45は、コンプレッサインペラ室43の外周を渦巻状に周回している。ディフューザ流路44は、コンプレッサインペラ室43の周囲で環状に延びるとともに、コンプレッサインペラ室43とコンプレッサスクロール流路45とを相互に連通させる。
コンプレッサハウジング40内には、環状のシュラウド部材46が設けられている。シュラウド部材46は、コンプレッサ筒状部42の内周面に沿って軸方向に延びる筒部46aと、筒部46aの軸方向一端から端壁41aに沿って径方向外側に延びる環状部46bと、を有している。コンプレッサインペラ室43は、シュラウド部材46の筒部46aとベアリングハウジング20の収容凹部21cとで囲まれた空間である。
コンプレッサインペラ14は、インペラシャフト12の回転軸線方向に延び、且つ、インペラシャフト12が挿通可能なシャフト挿通孔14hを有している。インペラシャフト12の回転軸線方向の第2端部は、コンプレッサインペラ室43に突出している。そして、コンプレッサインペラ14は、インペラシャフト12におけるコンプレッサインペラ室43に突出している部分がシャフト挿通孔14hに挿通された状態で、インペラシャフト12と一体的に回転可能となるように、ナットなどを介してインペラシャフト12に取り付けられている。コンプレッサインペラ14におけるベアリングハウジング20に近い方の端部は、不図示のシールリングカラーまたはスラストカラーなどを介してスラスト軸受16により支持されている。スラスト軸受16は、コンプレッサインペラ14に作用するスラスト方向(軸方向)の荷重を受ける。
シュラウド部材46の環状部46bは、ベアリングハウジング20と対向する平坦面46cを有する。平坦面46cは、インペラシャフト12の径方向に延びる。そして、ディフューザ流路44は、環状部46bの平坦面46cと、平坦面46cとインペラシャフト12の回転軸線方向において対向するベアリングハウジング20の第2端面21bとの間に形成されている。
コンプレッサハウジング40内には、環状のスクロール部材47が設けられている。スクロール部材47は、シュラウド部材46の周囲に延びている。コンプレッサスクロール流路45は、シュラウド部材46の環状部46bの外周面、コンプレッサ本体部41の端壁41a、及びスクロール部材47の内周面によって形成されている。なお、スクロール部材47及びシュラウド部材46は、コンプレッサハウジング40と別部材ではなく、コンプレッサハウジング40と一体形成されてもよい。
図2に示すように、タービンハウジング30は、タービン本体部31を有している。タービン本体部31は、略円板状の端壁31aと、端壁31aの径方向外側でインペラシャフト12の回転軸線方向に延びる筒状の周壁31bと、を有している。周壁31bにおける端壁31aとは反対側の端部は開口している。
周壁31bの開口した端部は、端面31dと、インペラシャフト12の径方向外側に突出する環状のフランジ31fとを含む。フランジ31fは、軸方向において端壁31aとは反対側に端面31cを有する。端面31cは周壁31bの端面31dよりも軸方向に突出している。フランジ31fの端面31c及び周壁31bの端面31dは、インペラシャフト12の径方向に延びる平坦面である。
フランジ31fの端面31cとベアリングハウジング20の第3延在部26の端面26aとが接触した状態で、フランジ31fと第3延在部26とが締結具(例えば螺子17)により取り付けられることにより、タービンハウジング30はベアリングハウジング20の第1端に連結される。
フランジ31fとベアリングハウジング20の第3延在部26との間には、シール部材18が設けられている。シール部材18は、フランジ31fの端面31cと第3延在部26の端面26aとの境界をシールする。
タービンハウジング30は、端壁31aから周壁31bとは反対側に突出するタービン筒状部32を有している。タービン筒状部32内には、吐出口32aが形成されている。吐出口32aは、インペラシャフト12の回転軸線方向に延びている。吐出口32aの軸心は、インペラシャフト12の回転軸線に一致している。タービン筒状部32は、開口端にインペラシャフト12の径方向に延びる平坦な開口端面32eを有する。
タービン筒状部32の開口端には、環状の連結フランジ32fが設けられる。また、吐出口32aには、開口端に連結フランジ19f及び端面19eを有する下流側排気管19が接続されている。下流側排気管19は、連結フランジ19fとタービン筒状部32の連結フランジ32fとがクランプ部材19cによって挟み込まれた状態で互いに連結されることにより、タービン筒状部32に連結されている。下流側排気管19の端面19eは、タービン筒状部32の開口端面32eと平行に延びる平坦面である。
下流側排気管19は、ターボチャージャ10と、タービンハウジング30よりも排ガスの流れ方向の下流に設けられる触媒C1とを接続する。触媒C1は、排ガスを浄化する。触媒C1は、活性化温度以上に温度が上昇することで、排ガスの浄化能力を発揮する。
タービンハウジング30内には、タービン室33、連通流路34、及びタービンスクロール流路35が形成されている。タービンインペラ13は、タービン室33に収容されている。タービンスクロール流路35は、タービン室33の周りを渦巻状に周回している。よって、タービンスクロール流路35は、タービン室33の周囲を取り囲む。タービンスクロール流路35は、タービンハウジング30に流入した排ガスをタービン室33に導く流路の一部である。連通流路34は、タービン室33の周囲で環状に延びるとともに、タービンスクロール流路35とタービン室33とを相互に連通させる。
ターボチャージャ10は、複数のノズルベーン50、第1プレート51、及び第2プレート52を備えている。複数のノズルベーン50は、連通流路34の流路面積を可変とし、タービン室33に導かれる排ガスの流速を調整する可動ベーンである。複数のノズルベーン50は、連通流路34の周方向において互いに間隔を置いて配置されている。
第1プレート51は、ベアリングハウジング20の突出部21fの周囲で環状に延びている。第1プレート51は、複数のノズルベーン50を回動可能に支持するとともに連通流路34におけるベアリングハウジング20に近い方の壁面を形成する環状の金属製の支持プレートである。第1プレート51は、第1プレート51の内周面からインペラシャフト12の径方向内側に突出する環状の凸部51fを有している。凸部51fは、突出部21fに対してインペラシャフト12の回転軸線方向において対向している。
第2プレート52は、タービン筒状部32の内周面に沿って軸方向に延びる筒部52aと、筒部52aに連続するとともに筒部52aから端壁31aの内面31eに沿って径方向外側に延びる環状部52bと、を有している。タービン室33は、第2プレート52の筒部52a、第1プレート51の凸部51f、及びベアリングハウジング20の突出部21fの端面21eにより囲まれた空間である。すなわち、第2プレート52は、タービンハウジング30内に配置されて、タービン室33の一部を構成する。タービン室33は、吐出口32aに連通している。吐出口32aには、タービン室33を通過した排ガスが導かれる。
第2プレート52の環状部52bは、インペラシャフト12の回転軸線方向において第1プレート51と対向配置される。第2プレート52は環状の金属プレートであり、第1プレート51と協働して複数のノズルベーン50を回動可能に支持する。環状部52bは、連通流路34におけるベアリングハウジング20とは反対側の壁面を形成している。インペラシャフト12の回転軸線方向における第1プレート51と第2プレート52の環状部52bとの間隔は、柱状の複数のスペーサ53により保持されている。複数のスペーサ53は、連通流路34の周方向において互いに間隔を置いて配置されている。
インペラシャフト12の回転軸線方向において、第1プレート51とベアリングハウジング20との間には、複数のノズルベーン50を駆動させるためのリンク部材54が配置されている。第1プレート51とベアリングハウジング20との間の空間は、断熱のための空気層である。
タービンインペラ13は、挿通孔21hに向けて突出する嵌合凸部13fを有している。インペラシャフト12の回転軸線方向における第1端には、嵌合凸部13fが嵌合可能な嵌合凹部12fが形成されている。そして、タービンインペラ13は、嵌合凸部13fがインペラシャフト12の嵌合凹部12fに嵌合された状態で、溶接などによりインペラシャフト12に取り付けられている。これにより、タービンインペラ13はインペラシャフト12と一体的に回転することが可能になる。タービンインペラ13は、タービン室33に導入された排ガスによって回転し、このタービンインペラ13の回転に伴ってインペラシャフト12が一体的に回転する。
突出部21fの凸部21gには、円環状の板ばね55が装着されている。板ばね55の外周縁は、第1プレート51の凸部51fにおけるベアリングハウジング20の方を向いた端面に当接している。板ばね55は、第1プレート51をベアリングハウジング20とは反対側に向けて付勢する。これにより、第1プレート51、複数のスペーサ53、及び第2プレート52は、タービン本体部31の端壁31aに押圧された状態で端壁31aに支持されている。
タービンハウジング30は、タービン本体部31の端壁31aの外周部において、ベアリングハウジング20とは反対側に向けて膨出する膨出壁36を有する。膨出壁36は、タービン筒状部32の周囲を取り囲む。膨出壁36は、膨出外周壁36a、膨出内周壁36b、及び膨出連繋壁36cを有している。膨出外周壁36aは、タービン本体部31の周壁31bにおける開口端とは反対側の端部に連続するとともにインペラシャフト12の回転軸線方向に延びている。膨出内周壁36bは、膨出外周壁36aの径方向内側に位置するとともに端壁31aにおける膨出壁36よりもインペラシャフト12の径方向内側の部位に連続している。膨出連繋壁36cは、ベアリングハウジング20とは反対側に向けて凸となる弧状に湾曲している。膨出連繋壁36cは、膨出外周壁36aにおけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁と膨出内周壁36bにおけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁とを繋いでいる。
ターボチャージャ10は、タービンスクロール流路35の壁面の一部を形成する金属板から形成されたスクロール流路形成プレート60を有している。スクロール流路形成プレート60は板金製、すなわち板金加工を通じて形成されており、鋳造されたものではない。スクロール流路形成プレート60の厚みは、第1プレート51及び第2プレート52の厚みよりも薄い。スクロール流路形成プレート60は、タービン室33の周りを渦巻状に周回している。スクロール流路形成プレート60は、外周壁61、内周壁62、連繋壁63、及び内周縁64を有している。
外周壁61、内周壁62、及び連繋壁63は、流路形成部として機能する。流路形成部は、タービンハウジング30との間に所定の隙間を空けて配置されて、タービンスクロール流路35の壁面の一部を形成する。内周壁62のうち、内周縁64につながる端部を含む所定の領域が流路形成部の内周側縁部である。外周壁61及び内周壁62は、インペラシャフト12の回転軸線方向に延びる。スクロール流路形成プレート60が内周壁62及び外周壁61に加えて、これらと異なる方向に延びる連繋壁63及び内周縁64を有すれば、スクロール流路形成プレート60の剛性を確保することができる。
外周壁61は、第2プレート52よりもインペラシャフト12の径方向外側でタービン室33の周りを取り囲むとともに、タービンスクロール流路35の外周側内面35aを形成する。外周壁61は、タービン本体部31の周壁31bの内周面及び膨出外周壁36aの内周面に沿って延びている。外周壁61の外周面61aは、周壁31bの内周面及び膨出外周壁36aの内周面から離れている。
内周壁62は、外周壁61の径方向内側に位置してタービンスクロール流路35の内周側内面35bを形成する。内周壁62は、膨出内周壁36bの内周面に沿って延びている。内周壁62の外周面62aは、膨出内周壁36bの内周面から離れている。内周壁62の内周面は、タービンスクロール流路35の内周側内面35bを形成する。内周壁62の内周面は、第2プレート52の環状部52bの外周縁とインペラシャフト12の径方向において同じ位置にある。なお、第2プレート52の環状部52bの外周縁は、内周壁62の内周面よりもインペラシャフト12の径方向外側に突出していてもよいし、内周壁62の内周面よりもインペラシャフト12の径方向内側に位置していてもよい。
連繋壁63は、外周壁61におけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁と内周壁62におけるベアリングハウジング20とは反対側の端縁とを繋ぐ。連繋壁63は、膨出連繋壁36cの内周面に沿って延びており、ベアリングハウジング20とは反対側に向けて凸となる弧状に湾曲している。連繋壁63の外周面63aは、膨出連繋壁36cの内周面から離れている。
内周縁64は、内周壁62におけるベアリングハウジング20に近い方の端縁からインペラシャフト12の径方向内側に向けて延びている。内周縁64は、インペラシャフト12の回転軸線方向においてタービン本体部31の端壁31aと第2プレート52の環状部52bとの間に、環状部52bに沿って延びている。そして、内周縁64は、板ばね55の付勢力によって、端壁31aと環状部52bとで挟まれている。つまり、スクロール流路形成プレート60の内周縁64は、タービンハウジング30と第2プレート52とで挟み込まれて固定されている。このように、金属プレート52は、複数のノズルベーン50を支持する部材と、スクロール流路形成プレート60の内周縁64を保持する部材と、を兼用している。
ターボチャージャ10は、スクロール断熱材65を備えている。スクロール断熱材65は、例えば、アルミナやシリカファイバー等のセラミック材により形成されている。スクロール断熱材65は、外周壁61の外周面61aと周壁31bの内周面の間、外周壁61の外周面61aと膨出外周壁36aの内周面との間、連繋壁63の外周面63aと膨出連繋壁36cの内周面との間、及び内周壁62の外周面62aと膨出内周壁36bの内周面との間にかけて延びている。スクロール断熱材65は、スクロール流路形成プレート60の流路形成部とタービンハウジング30との間の隙間に配置されるスクロール断熱層である。
スクロール流路形成プレート60の流路形成部(外周壁61、連繋壁63及び内周壁62)と、タービンハウジング30との間に形成される断熱層は、空気層であってもよい。空気層を形成するために、スクロール断熱材65を配置せず、外周壁61、連繋壁63及び内周壁62を、タービンハウジング30から離して配置してもよい。このように、スクロール流路形成プレート60とタービンハウジング30との接触面積を減らすと、タービンハウジングへの熱の伝達が抑制される。また、タービンハウジング30の内側に設けられた空気層は、スクロール流路形成プレート60の熱伸びを許容する空間として機能する。
外周壁61の外周面61aにおける連繋壁63とは反対側の端部とタービンハウジング30との間には、スクロール弾性部材66が配置されている。言い換えると、弾性部材66は、外周壁61(スクロール流路形成プレート60の流路形成部)とタービンハウジング30との間に隙間を形成するために配置される。スクロール弾性部材66は、スクロール断熱材65よりもベアリングハウジング20に近い位置に位置している。スクロール弾性部材66は、例えば、外周壁61の外周面61aに取り付けられる環状のワイヤーメッシュである。スクロール弾性部材66は、外周壁61の外周面61aとタービン本体部31の周壁31bの内周面との間に押し潰された状態で配置されている。
スクロール弾性部材66は、外周壁61の外周面61aに、例えば、マイクロスポット溶接により溶接されている。そして、外周壁61は、スクロール弾性部材66を介してタービンハウジング30に支持される。
スクロール流路形成プレート60は、外周壁61における連繋壁63とは反対側の端部からインペラシャフト12の径方向外側に向けて延びる環状のフランジ部67を有している。外周壁61のうち、フランジ部67につながる端部を含む所定の領域が、流路形成部の外周側縁部である。フランジ部67は、タービンハウジング30の内周面との間に隙間が形成されるように、タービン本体部31の周壁31bの内周面に向けて延びている。フランジ部67の先端部と周壁31bの内周面との間には隙間が設けられるので、フランジ部67は周壁31bと接触しない。
ターボチャージャ10は、板金製の環状プレート70を備える。環状プレート70は、タービンスクロール流路35におけるベアリングハウジング20に近い方の壁面を形成する。環状プレート70は、タービンインペラ13よりも前記インペラシャフト12の径方向外側に配置される。また、環状プレート70は、第1プレート51の周りに配置されている。環状プレート70は、インペラシャフト12の回転軸線方向において、スクロール流路形成プレート60、特に連繋壁63の大部分と、対向するように配置されている。環状プレート70の厚みは、第1プレート51の厚み及び第2プレート52の厚みよりも薄い。
環状プレート70及び支持プレート51と、ベアリングハウジング20の端面24a及び一端面21aとの間には、断熱層を形成してもよい。断熱層は、例えば空気層である。詳細には、環状プレート70の内周部及び支持プレート51と、ベアリングハウジング20の端面24a及び一端面21aとの間に、断熱のための空間を設けてもよい。この断熱層は、タービンスクロール流路35及び連通流路34を流れる排ガスからベアリングハウジング20への熱の伝達を抑制する。
スクロール流路形成プレート60のフランジ部67は、環状プレート70に沿って延びる。フランジ部67と環状プレート70との間には隙間を設けてもよい。フランジ部67と環状プレート70との間の隙間は、スクロール流路形成プレート60の熱伸びを許容する。
タービンスクロール流路35は、スクロール流路形成プレート60と、環状プレート70と、第2プレート52の環状部52bの外周縁と、第1プレート51の外周部とによって形成される。第1プレート51の外周部は、第2プレート52の環状部52bの外周縁よりもインペラシャフト12の径方向外側に突出している。
環状プレート70は、周壁31bの端面31dと第2延在部25の端面25aとの間に延びる外周縁71を有する。そして、環状プレート70の外周縁71は、締結具である螺子17の締結力によって、周壁31bの端面31dと第2延在部25の端面25aとで挟み込まれている。つまり、環状プレート70の外周縁71は、タービンハウジング30とベアリングハウジング20とで挟み込まれている。
環状プレート70は、インペラシャフト12の回転軸線方向において環状プレート70の内周部72からスクロール流路形成プレート60とは反対側、すなわちベアリングハウジング20側に向けて突出する筒状のリブ73を有している。リブ73は、第1プレート51の外周縁に沿って延びている。
リブ73の内周面と第1プレート51の外周縁との間には僅かな隙間を設けてもよい。この場合、リブ73は第1プレート51に接触しないので、環状プレート70の熱伸びが許容される。
このように、環状プレート70の外周縁71をベアリングハウジング20とタービンハウジング30との間に挟まれる固定端とし、環状プレート70の残りの部分である内周部72及びリブ73を他の部材に固定されないようにしてもよい。このようにすれば、環状プレート70の熱伸びが許容される。
ターボチャージャ10は、吐出口32aの壁面を形成する板金製である筒状の吐出口形成部材80を備えている。吐出口形成部材80は、吐出口32aの壁面を形成する筒状の吐出口本体壁81と、吐出口本体壁81の一端から径方向外側に延びる環状の吐出口外周縁82と、を有する。吐出口本体壁81は、タービン筒状部32の内周側に配置される。吐出口本体壁81は、タービン室33に近い方の近位端81aと、近位端の反対側の遠位端と、を有する。吐出口外周縁82は、吐出口本体壁81の遠位端からインペラシャフト12の径方向外側に向けて延びる。
吐出口本体壁81の近位端81aは、第2プレート52の筒部52aにおける環状部52bとは反対側の端部を取り囲んでもよい。詳細には、筒部52aは、吐出口32aに向けてタービン筒状部32の内周面に沿って延び、筒部52aの先端部分は、吐出口本体壁81の近位端81aよりもタービンハウジング30の径方向における内側に配置される。吐出口本体壁81の近位端81aと筒部52aとの間には隙間が形成されてもよい。吐出口本体壁81の近位端81aをタービンハウジング30及び筒部52aから離れた位置に配置すれば、吐出口本体壁81の熱伸びを許容することができる。
吐出口本体壁81とタービンハウジング30との間、例えば、近位端81aとタービン筒状部32の内周面との間には、吐出口弾性部材83が配置されている。吐出口弾性部材83は、吐出口本体壁81の外周面81bに取り付けられる環状のワイヤーメッシュである。弾性部材83は、吐出口本体壁81の遠位端よりも近位端81aに近い位置に配置してもよい。
吐出口弾性部材83は、吐出口本体壁81の外周面81bとタービン筒状部32の内周面との間に押し潰された状態で配置されている。吐出口弾性部材83は、吐出口本体壁81の外周面81bに、例えば、マイクロスポット溶接により溶接されている。そして、吐出口本体壁81は、吐出口弾性部材83を介してタービン筒状部32に支持される。弾性部材83を介して吐出口本体壁81を固定しない場合、吐出口本体壁81の近位端81aは、他の部材に固定されない自由端となる。
吐出口外周縁82は、タービン筒状部32の開口から突出して、タービン筒状部32の開口端面32eに沿って延びている。そして、吐出口外周縁82は、クランプ部材19cの締結力によって、タービン筒状部32の開口端面32eと下流側排気管19の端面19eとの間に挟み込まれている。すなわち、吐出口外周縁82は、タービンハウジング30と下流側排気管19との間に固定されている。
吐出口形成部材80は、吐出口本体壁81の近位端81aがタービンハウジング30の内周面から離間した状態で、タービンハウジング30内に配置されてもよい。吐出口本体壁81とタービンハウジング30の内周面との間の空間は、吐出口形成部材80の熱伸びを許容する。この空間は、吐出口本体壁81の外周面81bとタービン筒状部32の内周面との間に形成される吐出口空気層84である。吐出口空気層84は、吐出口形成部材80とタービンハウジング30との間に形成される吐出口断熱層である。このように、吐出口形成部材80は、吐出口本体壁81とタービンハウジング30との間に断熱層が形成されるように、タービンハウジング30の内周面に対して所定の隙間を空けて配置してもよい。この断熱層は、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達を抑制する。よって、排ガスがタービンスクロール流路35を流れる間の排ガスの温度低下を抑制できる。
図3に示すように、ターボチャージャ10は、内燃機関Eから排出された排ガスをタービンスクロール流路35に導く吸入口37aを備えている。タービンハウジング30は、タービンハウジング30の外周面から突出する筒状の吸入口形成突出部37を有している。なお、図3では、説明の都合上、第2プレート52及びタービンインペラ13の図示を省略している。吸入口37aは、吸入口形成突出部37の内側に形成されている。よって、吸入口37aは、タービンハウジング30内に形成されている。
ターボチャージャ10は、吸入口37aの壁面を形成する板金製である筒状の吸入口形成部材90を備えている。吸入口形成部材90は、吸入口形成突出部37内に挿入されている。そして、吸入口形成部材90におけるタービンスクロール流路35に近い方の端部は、筒状の接続部材91を介してスクロール流路形成プレート60に接続されている。吸入口形成部材90の内側空間とスクロール流路形成プレート60の内側空間とは、接続部材91の内側空間を介して連通している。よって、吸入口37aとタービンスクロール流路35とは、接続部材91の内側空間を介して連通している。
ターボチャージャ10は、吸入口形成部材90の外周面と吸入口形成突出部37の内周面との間に形成される吸入口空気層92を備えている。よって、吸入口空気層92は、吸入口形成部材90とタービンハウジング30との間に形成される吸入口断熱層である。
吸入口形成部材90の外周面と吸入口形成突出部37の内周面との間には、吸入口弾性部材93が配置されている。吸入口弾性部材93は、吸入口形成部材90のタービンスクロール流路35に近い部分に配置してもよい。
吸入口弾性部材93は、例えば、吸入口形成部材90の外周面に取り付けられる環状のワイヤーメッシュである。ワイヤーメッシュは気体の流通を許容するので、吸入口空気層92と吸入口37aとの圧力差が生じにくい。したがって、圧力差に起因する吸入口形成部材90の変形が抑制される。
吸入口弾性部材93は、吸入口形成部材90の外周面と吸入口形成突出部37の内周面との間に押し潰された状態で配置されている。吸入口弾性部材93は、吸入口形成部材90の外周面に、例えば、マイクロスポット溶接により溶接されている。そして、吸入口形成部材90は、吸入口弾性部材93を介してタービンハウジング30に支持される。
吸入口形成部材90は、吸入口形成突出部37から突出して吸入口形成突出部37の開口端面37eに沿って延びる環状の吸入口外周縁90fを有している。吸入口外周縁90fは、吸入口37aに接続される上流側排気管94の端面94eと吸入口形成突出部37の開口端面37eとで挟み込まれている。つまり、吸入口外周縁90fは、タービンハウジング30と上流側排気管94とで挟み込まれている。吸入口外周縁90fは、上流側排気管94と吸入口形成突出部37とを締結する図示しない螺子の締結力によって、上流側排気管94の端面94eと吸入口形成突出部37の開口端面37eとで挟み込まれている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
内燃機関Eから排出された排ガスは、吸入口37aを通じてタービンスクロール流路35に導かれる。排ガスが吸入口37aを流れる際には、吸入口形成部材90によって、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達が抑制される。吸入口空気層92は、吸入口形成部材90からタービンハウジング30への熱の伝達を抑制する。
タービンスクロール流路35に導かれた排ガスは、連通流路34を通じてタービン室33に導かれる。排ガスがタービンスクロール流路35を流れる際には、スクロール流路形成プレート60及び環状プレート70によって、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達が抑制されている。スクロール断熱材65は、スクロール流路形成プレート60からタービンハウジング30への熱の伝達を抑制する。
タービン室33に排ガスが導入されると、タービンインペラ13は、タービン室33に導入された排ガスの流れを受けて回転する。そして、タービンインペラ13に回転に伴って、コンプレッサインペラ14がインペラシャフト12を介してタービンインペラ13と一体的に回転する。コンプレッサインペラ14が回転すると、吸気口42aを介してコンプレッサインペラ室43に導入された吸気が、コンプレッサインペラ14の回転によって圧縮されるとともに、ディフューザ流路44を通過する際に減速される。これにより、吸気の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換される。そして、高圧となった吸気がコンプレッサスクロール流路45に吐出され、内燃機関Eに供給される。このようなターボチャージャ10による内燃機関Eへの吸気の過給が行われることで、内燃機関Eの吸気効率が高まり、内燃機関Eの性能が向上する。
タービン室33を通過した排ガスは吐出口32aに導かれ、吐出口32aを介して下流側排気管19内に流れ込む。排ガスが吐出口32aを流れる際には、吐出口形成部材80によって、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達が抑制される。吐出口空気層84は、吐出口形成部材80からタービンハウジング30への熱の伝達を抑制する。
吐出口32aから下流側排気管19内に流れ込んだ排ガスは、下流側排気管19内を通過して触媒C1に至る。吸入口形成部材90、スクロール流路形成プレート60、環状プレート70、及び吐出口形成部材80が、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達を抑制する。そのため、排ガスは、タービンハウジング30内を流れる間に熱が奪われ難く、温度が低下しにくい。その結果として、触媒C1の温度が活性化温度以上に上昇するまでの時間が短くなる。よって、例えば、内燃機関Eの冷間始動時などの触媒C1の早期暖機が要求される運転条件の時に、触媒C1の温度が早期に活性化温度以上に上昇し易くなる。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)スクロール流路形成プレート60の外周壁61の外周面61aにおける連繋壁63とは反対側の端部とタービンハウジング30との間にスクロール弾性部材66が配置されている。そのため、スクロール流路形成プレート60の外周壁61は、タービンハウジング30に対して相対移動可能である。スクロール流路形成プレート60が排ガスの熱によって暖められたときに生じるスクロール流路形成プレート60の熱伸びが、スクロール弾性部材66が弾性変形することにより許容される。また、スクロール流路形成プレート60の外周壁61がスクロール弾性部材66を介してタービンハウジング30に支持されるとともに、スクロール流路形成プレート60の内周縁64がタービンハウジング30と第2プレート52とで挟み込まれている。このため、スクロール流路形成プレート60の振動が抑制される。以上のことから、スクロール流路形成プレート60の振動を抑えつつも、スクロール流路形成プレート60の熱伸びを許容することができる。
(2)スクロール流路形成プレート60が有するフランジ部67は、タービンスクロール流路35を流れる排ガスが、スクロール流路形成プレート60の外周壁61の端縁とタービンハウジング30との間を介してスクロール流路形成プレート60とタービンハウジング30との間に流入することを、抑制する。よって、タービンスクロール流路35を流れる排ガスのタービンハウジング30への熱の伝達を抑制し易くすることができる。
(3)ターボチャージャ10は、タービンスクロール流路35におけるベアリングハウジング20に近い方の壁面を形成する板金製の環状プレート70をさらに備えている。環状プレート70は、インペラシャフト12の回転軸線方向においてスクロール流路形成プレート60の連繋壁63と対向配置されている。環状プレート70の厚みは、第1プレート51及び第2プレート52の厚みよりも薄く、環状プレート70の外周縁71は、タービンハウジング30とベアリングハウジング20とで挟み込まれている。例えば、第1プレート51の一部が、インペラシャフト12の回転軸線方向においてスクロール流路形成プレート60の連繋壁63の大部分と対向配置されており、第1プレート51の一部がタービンスクロール流路35におけるベアリングハウジング20に近い方の壁面を形成している構成を比較例とする。この比較例に比べると、タービンスクロール流路35を流れる排ガスの温度の低下を抑制することができる。
(4)環状プレート70は、インペラシャフト12の回転軸線方向において環状プレート70の内周部72からスクロール流路形成プレート60とは反対側に向けて突出する筒状のリブ73を有している。リブ73を設けることにより、環状プレート70の剛性が高くなる。また、環状プレート70がリブ73を有していない場合に比べて、環状プレート70の内周部72に近い部分の振動が抑制される。
(5)ターボチャージャ10は、吐出口32aの壁面を形成する板金製である筒状の吐出口形成部材80をさらに備える。吐出口形成部材80は、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達を抑制する。よって、排ガスが吐出口32aを流れる間に、排ガスの温度が低下してしまうことを抑制することができる。さらに、吐出口形成部材80の吐出口本体壁81の外周面81bにおけるタービン室33に近い方の端部とタービンハウジング30との間には、吐出口弾性部材83が配置されている。よって、吐出口形成部材80が排ガスの熱によって暖められたときに生じる吐出口形成部材80の熱伸びが、吐出口弾性部材83の弾性変形により許容される。また、吐出口本体壁81が吐出口弾性部材83を介してタービンハウジング30に支持されるとともに、吐出口形成部材80の吐出口外周縁82がタービンハウジング30と下流側排気管19とで挟み込まれているので、吐出口形成部材80の振動を抑えることができる。以上のことから、吐出口形成部材80の振動を抑えつつも、吐出口形成部材80の熱伸びを許容することができる。
(6)ターボチャージャ10が、吸入口37aの壁面を形成する板金製である筒状の吸入口形成部材90をさらに備える。吸入口形成部材90は、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達を抑制する。よって、排ガスが吸入口37aを流れる間に、排ガスの温度が低下してしまうことを抑制することができる。
(7)タービンスクロール流路35の壁面の一部を板金製のスクロール流路形成プレート60及び環状プレート70により形成し、吐出口32aの壁面を板金製の吐出口形成部材80により形成し、吸入口37aの壁面を板金製の吸入口形成部材90により形成している。よって、タービンハウジング30の熱応力を低減することができる。その結果、タービンハウジング30の信頼性や耐久性の向上を図ることができる。
(8)タービンスクロール流路35の壁面の一部を板金製のスクロール流路形成プレート60及び環状プレート70により形成している。よって、タービンスクロール流路35の壁面がタービンハウジング30の鋳肌である場合に比べると、タービンスクロール流路35を流れる排ガスにおける壁面との抵抗を低減することができる。
(9)吐出口32aの壁面を板金製の吐出口形成部材80により形成している。よって、吐出口32aの壁面がタービンハウジング30の鋳肌である場合に比べると、吐出口32aを流れる排ガスにおける壁面との抵抗を低減することができる。
(10)吸入口37aの壁面を板金製の吸入口形成部材90により形成している。よって、吸入口37aの壁面がタービンハウジング30の鋳肌である場合に比べると、吸入口37aを流れる排ガスにおける壁面との抵抗を低減することができる。
(11)吸入口形成部材90、スクロール流路形成プレート60、環状プレート70、及び吐出口形成部材80が、タービンハウジング30への排ガスの熱の伝達を抑制する。よって、排ガスは、タービンハウジング30内を流れる間に熱が奪われ難いので、温度が低下しにくい。その結果として、触媒C1の温度が活性化温度以上に上昇するまでの時間を短くすることができる。よって、例えば、内燃機関Eの冷間始動時などの触媒C1の早期暖機が要求される運転条件の時に、触媒C1の温度を早期に活性化温度以上に上昇させることができる。
(12)吸入口形成部材90の外周面におけるタービンスクロール流路35に近い部分と吸入口形成突出部37の内周面との間には、吸入口弾性部材93が配置されている。よって、吸入口形成部材90が排ガスの熱によって暖められたときに生じる吸入口形成部材90の熱伸びが、吸入口弾性部材93の弾性変形により許容される。また、吸入口形成部材90が吸入口弾性部材93を介してタービンハウジング30に支持されるとともに、吸入口形成部材90の吸入口外周縁90fがタービンハウジング30と上流側排気管94とで挟み込まれているので、吸入口形成部材90の振動を抑えることができる。以上のことから、吸入口形成部材90の振動を抑えつつも、吸入口形成部材90の熱伸びを許容することができる。
上記実施形態は、以下に示す変更例のように変更してもよい。上記実施形態に含まれる構成は、下記変更例に含まれる構成と任意に組み合わせることができる。下記変更例に含まれる構成同士は、任意に組み合わせることができる。
○ 実施形態において、ターボチャージャ10が吸入口形成部材90を備えていなくてもよい。そして、吸入口37aの壁面がタービンハウジング30の鋳肌により形成されていてもよい。
○ 実施形態において、ターボチャージャ10が吐出口形成部材80を備えていなくてもよい。そして、吐出口32aの壁面がタービンハウジング30の鋳肌により形成されていてもよい。
○ 実施形態において、ターボチャージャ10が環状プレート70を備えていなくてもよい。そして、例えば、第1プレート51の一部が、インペラシャフト12の回転軸線方向においてスクロール流路形成プレート60の連繋壁63の大部分と対向配置されており、第1プレート51の一部がタービンスクロール流路35におけるベアリングハウジング20に近い方の壁面を形成していてもよい。
○ 実施形態において、環状プレート70は、内周部72から連繋壁63とは反対側に向けて突出する筒状のリブ73を有していなくてもよい。
○ 実施形態において、スクロール流路形成プレート60は、外周壁61における連繋壁63とは反対側の端縁からインペラシャフト12の径方向外側に向けて突出するフランジ部67を有していなくてもよい。
○ 実施形態において、ターボチャージャ10は、スクロール断熱材65を備えていなくてもよい。そして、例えば、ターボチャージャ10は、外周壁61の外周面61aと周壁31bの内周面の間、外周壁61の外周面61aと膨出外周壁36aの内周面との間、連繋壁63の外周面63aと膨出連繋壁36cの内周面との間、及び内周壁62の外周面62aと膨出内周壁36bの内周面との間にかけて延びる空気層を備えていてもよい。要は、ターボチャージャ10は、スクロール流路形成プレート60とタービンハウジング30との間に形成されるスクロール断熱層を備えていればよい。
○ 実施形態において、ターボチャージャ10は、吐出口本体壁81の外周面81bとタービン筒状部32の内周面との間に吐出口断熱材を備えていてもよい。要は、ターボチャージャ10は、吐出口形成部材80とタービンハウジング30との間に形成される吐出口断熱層を備えていればよい。
○ 実施形態において、ターボチャージャ10は、吸入口形成部材90とタービンハウジング30との間に吸入口断熱材を備えていてもよい。要は、ターボチャージャ10は、吸入口形成部材90とタービンハウジング30との間に形成される吸入口断熱層を備えていればよい。
○ 実施形態において、スクロール流路形成プレート60と接続部材91とが一体化されていてもよい。
○ 複数のノズルベーン50は、第1プレート51または第2プレート52に固定された固定ベーンであってもよい。例えば、図4に示す第1変更例のように、固定ベーンは第1プレート51に固定されてもよい。複数のノズルベーン50が固定ベーンである場合、プレート51,52のうち固定ベーンを支持しない方のプレートと、複数のスペーサ53と、リンク部材54とは、備えなくてもよい。そのため、複数のノズルベーン50を固定ベーンにすると、部品点数を削減できる。ノズルベーン50、すなわち固定ベーン及び可動ベーンは、連通流路34に配置されて、タービンスクロール流路35内の排ガスをタービン室33に流す。
図4に示すように、複数の固定ベーンが第2プレート52に固定される場合、タービンスクロール流路35を形成する環状プレート70の部分である流路形成部を、金属プレート52(第2プレート52)に対向する位置まで延ばしてもよい。この場合、環状プレート70は連通流路34を形成する。金属製の環状プレート70が連通流路34を形成すれば、連通流路34を流れる排ガスからベアリングハウジング20への熱の伝達を抑制できる。さらに、環状プレート70の流路形成部を支えるために、環状プレート70の内周縁と板ばね55とを係合させてもよい。
○ 図4及び図5に示すように、環状プレート70の外周縁71が、フランジ31fの端面31cとベアリングハウジング20の第3延在部26の端面26aとの間にまで延びて、環状プレート70がベアリングハウジング20とタービンハウジング30との境界をシールしてもよい。この場合、環状プレート70の外周縁71は、ベアリングハウジング20とタービンハウジング30との境界をシールするようにベアリングハウジング20とタービンハウジング30とによって挟み込まれるガスケット部として機能する。これにより、シール部材18が不要となり、部品点数を削減することができる。図1及び図2の構成において、環状プレート70の外周縁71を延張して、図4及び図5に示すように、環状プレート70がベアリングハウジング20とタービンハウジング30との境界をシールしてもよい。
○ 図4に示すように、ベアリングハウジング20の第3延在部26に位置決め突部26bを設けるとともに、環状プレート70及びフランジ31fに突部26bが挿通される位置決め貫通孔71a,31gをそれぞれ設けてもよい。これにより、ベアリングハウジング20、環状プレート70及びタービンハウジング30の組み付けが容易になる。
○ 図1及び図2の構成において、図4に示すように、スクロール弾性部材66を設けず、外周壁61をタービンハウジング30に固定しなくてもよい。例えば、スクロール流路形成プレート60は、内周縁64のみをタービンハウジング30に固定し、その他の部分(流路形成部)はタービンハウジング30に固定または支持されていなくてもよい。この場合、外周壁61、特に流路形成部の外周側縁部とタービンハウジング30の内周面とは離間した状態になり、外周壁61の先端(連繋壁63とは反対側の端部)は、他の部材に固定されない自由端となる。すなわち、スクロール流路形成プレート60は、内周縁64がタービンハウジング30と金属プレート52との間に固定され、流路形成部の外周側縁部がタービンハウジング30に対して相対移動可能となるように、タービンハウジング30内に配置される。そのため、スクロール流路形成プレート60が排ガスの熱によって暖められたときに生じるスクロール流路形成プレートの熱伸びが許容される。
○ 図1及び図2の構成において、図4に示すように、吐出口形成部材80とタービンハウジング30との間に吐出口弾性部材83を設けなくてもよい。
○ 図4に示すように、吐出口形成部材80の近位端81aは、インペラシャフト12の回転軸線方向において、第2プレート52の筒部52aから離れていてもよい。このようにすれば、吐出口本体壁81の熱伸びを許容することができる。
○ 図5に示す第2変更例のように、ベアリングハウジング20とタービンハウジング30とが締結具(螺子17)により固定される場合、ベアリングハウジング20及びタービンハウジング30に締結具が挿通する挿通孔(螺子孔)を設けるのに加えて、環状プレート70も締結具(螺子17)が挿通される挿通孔(螺子孔71b)を有してもよい。そして、環状プレート70にも螺子17を通して、ベアリングハウジング20、環状プレート70及びタービンハウジング30を螺子締結する構造にしてもよい。これにより、ベアリングハウジング20と環状プレート70の間を適切にシールできるとともに、環状プレート70とタービンハウジング30の間を適切にシールできる。
○ 図1及び図2の構成において、図5に示すように、環状の板ばね55は、スクロール流路形成プレート60の内周縁64とタービンハウジング30の端壁31aとの間に配置されてもよい。内周縁64とタービンハウジング30との間に板ばね55を配置すると、スクロール流路形成プレート60は、内周縁64が板ばね55と金属プレート52とで挟み込まれて固定される。その結果、タービンハウジング30とスクロール流路形成プレート60との接触面積が少なくなる。これにより、タービンスクロール流路35を流れる排ガスからタービンハウジング30への熱の伝達が抑制される。
この場合、板ばね55の内周縁がタービンハウジング30に接触するとともに板ばね55の外周縁がスクロール流路形成プレート60に接触するようにしてもよい。あるいは、板ばね55の外周縁がタービンハウジング30に接触するとともに板ばね55の内周縁がスクロール流路形成プレート60に接触するようにしてもよい。また、ベアリングハウジング20の突出部21fと第1プレート51との間は、シール部材21jでシールしてもよい。
○ 図5に示すように、吐出口形成部材80の近位端81aは、タービンハウジング30との間及び筒部52aとの間に隙間を有してもよい。これにより、吐出口空気層84と吐出口32aが連通するので、吐出口空気層84と吐出口32a内とに圧力差が生じにくい。したがって、圧力差に起因する吐出口形成部材80の変形が抑制される。
さらに、筒部52aを吐出口本体壁81の近位端81aの内側に配置するとともに、吐出口本体壁81の近位端81aと筒部52aとの間に隙間を設けてもよい。こうすると、吐出口32aからタービンスクロール流路35に流れる気流が吐出口空気層84に入りにくい。したがって、排ガスからタービンハウジング30への熱の伝達が抑制される。
○ 図5に示すように、吐出口形成部材80は、吐出口本体壁81と吐出口外周縁82との間に、屈曲部分である折り返し部82aを有してもよい。この構成によれば、吐出口外周縁82のタービンハウジング30に対する接触面積が小さくなる。その結果、吐出口形成部材80からタービンハウジング30への熱の伝達が抑制される。
図6及び図7に示すように、環状プレート70は、ベアリングハウジング20とタービンハウジング30との間に配置されるビード75を有してもよい。この場合、環状プレート70に形状の歪みがあったとしても、ベアリングハウジング20とタービンハウジング30とを締結するときにビード75が潰れることにより、ベアリングハウジング20とタービンハウジング30の間を適切にシールすることができる。ビード75は、図6に示すように、一方向に向けて突出するフルビードでもよいし、図7に示すように段差部を形成するハーフビードでもよい。このように、環状プレート70のガスケット部(外周縁71)に形成されるビードは、図6及び図7に示すように環状であってもよいし、所定の間隔で配置される複数の凸部又は凹部であってもよい。
○ 図3の構成において、図8に示すように、スクロール流路形成プレート60とタービンハウジング30との間にスクロール断熱材を配置せず、空気層65である断熱層を設けてもよい。このとき、スクロール流路形成プレート60の開口端とタービンハウジング30との間に隙間を設け、この隙間によりタービンスクロール流路35と空気層65とを連通させてもよい。この構成によれば、空気層65とタービンスクロール流路35との間に圧力差が生じにくい。したがって、圧力差に起因するスクロール流路形成プレート60の変形が抑制される。
○ 図3の構成において、吸入口形成部材90とスクロール流路形成プレート60との間に、接続部材91を配置しなくてもよい。この場合、図8に示すように、吸入口形成部材90の端部をスクロール流路形成プレート60の開口内にわずかに挿入するようにしてもよい。こうすると、空気層65とスクロール流路形成プレート60とは連通するが、吸入口37aからタービンスクロール流路35に流れる気流が空気層65に入りにくい。したがって、排ガスからタービンハウジング30への熱の伝達が抑制される。
○ 図3及び図8に示す吸入口弾性部材93は配置しなくてもよい。