以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。各図において、同一符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その構成について、既に説明している内容については、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し(例えば、測定箇所P)、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す(例えば、測定箇所P−1)。
実施形態は、[1]〜[11]に分けて説明している。実施形態の概要は、[4]、[6]を読むことにより理解することが可能である。
[1]測定角度に応じて分光特性が異なる例を説明する。図25は、測定角度に応じて分光特性が異なる画像表示装置の分光特性を示すグラフである。グラフの横軸は、波長を示し、グラフの縦軸は、相対分光感度を示す。測定角度が10度の場合の分光特性と、測定角度が20度の場合の分光特性と、測定角度が30度の場合の分光特性とが異なることが分かる。
測色装置として、スポット測光方式の測色計と二次元測色装置とがある。図26は、スポット測光方式の測色計200で測定対象物101の色を測定している状態を説明する説明図である。図27は、二次元測色装置300で測定対象物101の色を測定している状態を説明する説明図である。これらは、測定対象物101と測色装置とを横方向から見た図である。測定対象物101は、測定角度に応じて分光特性が異なる画像表示装置である。この画像表示装置で表示される色が測定される。測定角度とは、測定対象物101から出射された光が測色装置に入射する角度である。DUT(Device Under Test)は、被試験装置という意味であり、測定対象物101を指している。
図26を参照して、スポット測光方式の測色計200は、受光レンズ201と、受光素子202と、絞り203と、を備える。絞り203は、受光レンズ201と受光素子202との間の光路に配置されている。スポット測光方式の測色計200は、測定範囲が点である。このため、スポット測光方式の測色計200によれば、測定対象物101が複数の測定箇所を有する場合、測定箇所を1つずつ測定しなければならない。
図27を参照して、二次元測色装置300は、受光レンズ301と、二次元撮像素子302と、を備え、測定対象物101の画面全体を撮像する。二次元測色装置300は、測定範囲が二次元領域である。このため、二次元測色装置300によれば、測定対象物101が複数の測定箇所を有する場合、複数の測定箇所を同時に測定することができる。
測色装置が、スポット測光方式の測色計200の場合、複数の測定箇所を測色する方式としては、2つがある。図28は、複数の測定箇所Pの色を測定する第1方式を説明する説明図である。図29は、複数の測定箇所Pの色を測定する第2方式を説明する説明図である。例えば、直下型バックライトを有する画像表示装置は、発光スペクトルが画面全体で均一でないので、複数の測定箇所Pで色の測定が必要となる。これらの図では、測定箇所Pが9個の例が示されている。
図28に示す第1方式は、NORMAL TO SCREEN方式と称され、測色計200の角度を変えることなく、測色計200の位置を変えて、各測定箇所Pの色が測定される。図29に示す第2方式は、VIEWING−ANGLE方式と称され、測色計200の位置を変えることなく、測色計200の角度を変えて、各測定箇所Pの色が測定される。
図28に示す第1方式の場合、全ての測定箇所Pにおいて、測定角度が同じである。これに対して、図29に示す第2方式の場合、全ての測定箇所Pにおいて、測定角度が同じとならない。よって、第2方式の場合、同じ校正係数が用いられると、測定角度によっては大きな誤差が生じる。
図30は、二次元測色装置300で複数の測定箇所Pの色を測定している状態を説明する説明図である。二次元測色装置300の場合、図29に示す第2方式と同様に、全ての測定箇所Pにおいて、測定角度が同じとならない。よって、二次元測色装置300の場合も、同じ校正係数が用いられると、測定角度によっては大きな誤差が生じる。
[2]実施形態は、測定角度に応じて校正係数を割り当てることにより、測定精度を向上させる。図1は、実施形態に係る測色装置1の構成を示すブロック図である。測色装置1は、刺激値直読型である。測色装置1は、受光部11と、制御処理部12と、操作部13と、表示部14と、通信部15と、を備える。
受光部11は、測定対象物101(又は後述する基準測定対象物103)から出射された光を受光し、これを三刺激値XYZのそれぞれを示す電気信号SG(受光信号)に変換して出力する。
測色装置1が、スポット測光方式の測色計の場合、受光部11は、例えば、受光レンズと、受光レンズで受光された光が入射するXフィルタと、Xフィルタを通過した光を受光する第1受光素子と、受光レンズで受光された光が入射するYフィルタと、Yフィルタを通過した光を受光する第2受光素子と、受光レンズで受光された光が入射するZフィルタと、Zフィルタを通過した光を受光する第3受光素子とを、備える。第1〜第3受光素子は、例えば、ホトダイオード、ホトトランジスタである。
CIE(国際照明委員会)規定のXYZ表色系において、三刺激値をXYZとし、等色関数を、x(λ)、y(λ)、z(λ)とする。Xフィルタの分光感度が、等色関数x(λ)とほぼ一致する分光感度となる。Yフィルタの分光感度が、等色関数y(λ)とほぼ一致する分光感度となる。Zフィルタの分光感度が、等色関数z(λ)とほぼ一致する分光感度となる。
三刺激値がXYZでなく、RGBの場合、Xフィルタ、Yフィルタ、Zフィルタの替わりに、Rフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタが用いられる。
測色装置1が、二次元測色装置の場合、受光部11は、例えば、受光レンズと、受光レンズで受光された光が入射する二次元撮像素子と、を備える。二次元撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、又は、CMOS(Complementary MOS)であり、二次元領域を測定範囲とする光学センサである。二次元撮像素子は、多数の受光素子によって構成されており、各受光素子の上には、Xフィルタ、Yフィルタ、Zフィルタのいずれかが配置されている。各受光素子は、例えば、ホトダイオード、ホトトランジスタである。
受光部11から出力された電気信号SGは、制御処理部12に送られる。制御処理部12は、機能ブロックとして、三刺激値算出部120と、紐付けデータ記憶部121と、校正係数決定部122と、校正部123と、を備える。紐付けデータ記憶部121と、校正係数決定部122と、校正部123と、によって、校正装置7が構成される。制御処理部12は、測色装置1が有する機能を実行するために必要な制御及び処理をする。制御処理部12は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のハードウェア、並びに、ソフトウェアの組み合わせにより実現される。
三刺激値算出部120は、受光部11から出力された電気信号SGを用いて、測定対象物101(又は基準測定対象物103)の色の値(三刺激値)を求める。紐付けデータ記憶部121、校正係数決定部122、及び、校正部123については、後で説明する。
操作部13は、ユーザが測色装置1に命令、データ等を入力するための装置である。操作部13は、ハードキー、タッチパネル等によって実現される。
表示部14は、測色装置1によって測定された色の値等を表示する装置である。表示部14は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等によって実現される。
通信部15は、他の機器(例えば、図2に示すPC(Personal Computer)52)と通信する機能を有する。通信部15は、通信インターフェースによって実現される。
[3]実施形態に係る測色装置1に備えられる校正装置7は、三刺激値算出部120が算出した三刺激値XYZを、紐付けデータを基にして校正するので、事前に紐付けデータを取得する必要がある。紐付けデータは、例えば、異なる値の複数の測定角度のそれぞれの場合について、測色装置1と後述する基準測色装置3とを用いて算出された校正係数が、測定角度と紐付けたデータである(第1データ)。複数の測定角度は、2以上の測定角度であればよい。2つの測定角度を例にして説明する。紐付けデータは、第1の測定角度と、第1の測定角度に紐付けられた第1の校正係数と、第2の測定角度と、第2の測定角度に紐付けられた第2の校正係数とで構成される。第1の校正係数は、第1の測定角度の下で測色装置1が色を測定するときに用いられる校正係数である。第2の校正係数は、第2の測定角度の下で測色装置1が色を測定するときに用いられる校正係数である。
基準測色装置3は、測色装置1を校正するときの基準となる測色装置である。基準測色装置は、分光測色型でもよいし、刺激値直読型でもよい。分光測色型の場合、三刺激値XYZを算出する等色関数として、CIE(国際照明委員会)規定のXYZ等色関数(x(λ)、y(λ)、z(λ))を用いてもよいし、その他の等色関数(例えば、Judd関数)を用いてもよい。刺激値直読型の場合、スポット測光方式の測色計でもよいし、二次元測色装置でもよい。
図2は、紐付けデータを取得するシステム5を説明するブロック図である。システム5は、位置角度調節装置51とPC52とを備える。図3は、図2に示すシステム5において、測定対象物101又は基準測定対象物103の色が測定されている状態を示す斜視図である。x方向が水平方向とし、y方向が垂直方向とし、z方向が奥行き方向とする。
図2及び図3を参照して、位置角度調節装置51は、測定角度を調節する調節装置の機能を有しており、測色装置1又は基準測色装置3の位置及び角度を調節する装置である。測色装置1で測定対象物101又は基準測定対象物103の色を測定するとき、位置角度調節装置51には測色装置1が載置される。基準測色装置3で測定対象物101又は基準測定対象物103の色を測定するとき、位置角度調節装置51には基準測色装置3が載置される。位置角度調節装置51は、測色装置1及び基準測色装置3の少なくともいずれか一方が、スポット測光方式の場合に用いられる。
測定対象物101は、製品の生産部門、検査部門、研究部門、開発部門等で色が測定される対象となる製品である。測定対象物101は、基準測定対象物103と同じ製品でもよいし、基準測定対象物103と同様の光学特性を有する製品でもよい。基準測定対象物103は、校正の基準となる測定対象物101であり、同じ製品の中で、光学的特性が典型的な値を示す製品である。紐付けデータを取得する工程では、基準測定対象物103の色が測定される。
位置角度調節装置51は、物体(例えば、カメラ、センサ、ワーク)の位置決めに用いられる、移動、回転及び傾斜の機能を有する装置である。位置角度調節装置51は、回転ステージ511と、傾斜ステージ512と、Xステージ513と、Yステージ514と、Zステージ515と、回転角度検出器516と、傾斜角度検出器517と、を備える。
回転ステージ511は、y方向を軸として回転するステージである。回転ステージ511は、手動で回転させることができる。これにより、測色装置1又は基準測色装置3の角度のうち、xz面内につくられる角度を変えることができる。すなわち、水平面内につくられる測定角度(水平角)を変えることができる。回転ステージ511は、公知の回転ステージを用いることができる。
回転角度検出器516は、回転ステージ511の回転角度を検出する。回転角度が、水平面内につくられる測定角度となる。回転角度検出器516は、例えば、ロータリーエンコーダである。
傾斜ステージ512は、x方向の軸を傾斜軸として傾斜するステージである。傾斜ステージ512は、手動で傾斜させることができる。これにより、測色装置1又は基準測色装置3の角度のうち、yz面内につくられる角度を変えることができる。すなわち、鉛直面内につくられる測定角度(鉛直角)を変えることができる。傾斜ステージ512は、公知の傾斜ステージを用いることができる。
傾斜角度検出器517は、傾斜ステージ512の傾斜角度を検出する。傾斜角度が、鉛直面内につくられる測定角度となる。傾斜角度検出器517は、例えば、傾斜センサである。
なお、位置角度調節装置51が回転角度検出器516及び傾斜角度検出器517を備えない形態も可能である。この形態では、回転ステージ511の回転角度を検出する計測部(例えば、ロータリーエンコーダ)、及び、傾斜ステージ512の傾斜角度を検出する計測部(例えば、傾斜計)を備える。
Xステージ513は、x方向に移動するステージである。Xステージ513は、手動で移動させることができる。これにより、測色装置1又は基準測色装置3のx方向の位置を変えることができる。Xステージ513は、公知のXステージを用いることができる。
Yステージ514は、y方向に移動するステージである。Yステージ514は、手動で移動させることができる。これにより、測色装置1又は基準測色装置3のy方向の位置を変えることができる。Yステージ514は、公知のYステージを用いることができる。
Zステージ515は、z方向に移動するステージである。Zステージ515は、手動で移動させることができる。これにより、測色装置1又は基準測色装置3のz方向の位置を変えることができる。Zステージ515は、公知のZステージを用いることができる。
測定対象物101及び基準測定対象物103が、画面から出射した光の光量が画面の各画素において均一でない特性を有する場合(各画素の光量にムラがある場合)、測定角度θ1で測定された測定箇所Pと測定角度θ2で測定された測定箇所Pとが同じ測定箇所Pでなければ、正しい校正係数を求めることができない。このような場合、測定箇所Pを同じにして、測定角度を変えて色が測定される。図4は、このような場合において、水平面内につくられる測定角度を変えた色の測定の仕方の第1例を説明する説明図である。図5は、同第2例を説明する説明図である。図6は、このような場合において、鉛直面内につくられる測定角度を変えた色の測定の仕方の第1例を説明する説明図である。図7は、このような場合において、鉛直面内につくられる測定角度を変えた色の測定の仕方の第2例を説明する説明図である。測色装置1と基準測色装置3とは、測定角度を変えた色の測定の仕方が同じなので、測色装置1を用いて説明する。測定対象物101と基準測定対象物103とは、測定角度を変えた色の測定の仕方が同じなので、測定対象物101を例にして説明する。
図2及び図4を参照して、例えば、測定対象物101の中心が測定箇所P−1とする。測定者は、位置角度調節装置51を操作して、測定箇所P−1の真正面に測色装置1を位置させる。この位置p0での測定角度を0度とする。測定者は、位置p0において、測色装置1で測定箇所P−1の色を測定する。
例えば、水平面内につくられる測定角度が30度にしたいとき、測定者は、回転ステージ511を操作して、測色装置1を回転させる。回転角度検出器516は、回転ステージ511の回転角度を測定し、PC52へ出力する。PC52は、その回転角度を表示する。PC52に表示される回転角度が30度になるまで、測定者は、回転ステージ511を操作する。次に、測定者は、Xステージ513を操作して、測色装置1をx方向に移動させる。移動させる位置は、測色装置1の照準が測定箇所P−1に合う位置である。この位置p1が、水平面内につくられる測定角度30度の位置である。測定者は、位置p1において、測色装置1で測定箇所P−1の色を測定する。
位置p0と位置p1とでは、測定距離が異なる。測定距離が変わると、測定対象物101に対する測色装置1の開口角が変わる。開口角の変化が無視できない場合、図5に示すように、測定者は、Xステージ513及びZステージ515を操作して、位置p0での測定距離と同じ測定距離となる位置p2に測色装置1を移動させる。
図2及び図6を参照して、例えば、鉛直面内につくられる測定角度が30度にしたいとき、位置p0で、測定者は、傾斜ステージ512を操作して、測色装置1を傾斜させる。傾斜角度検出器517は、傾斜ステージ512の傾斜角度を測定し、PC52へ出力する。PC52は、その傾斜角度を表示する。PC52に表示される傾斜角度が30度になるまで、測定者は、傾斜ステージ512を操作する。次に、測定者は、Yステージ514を操作して、測色装置1をy方向に移動させる。移動させる位置は、測色装置1の照準が測定箇所P−1に合う位置である。この位置p3が、鉛直面内につくられる測定角度30度の位置である。測定者は、位置p3において、測色装置1で測定箇所P−1を測色する。
位置p0と位置p3とでは、測定距離が異なる。測定距離が変わると、測定対象物101に対する測色装置1の開口角が変わる。開口角の変化が無視できない場合、図7に示すように、測定者は、Yステージ514及びZステージ515を操作して、位置p0での測定距離と同じ測定距離となる位置p4に測色装置1を移動させる。
測定対象物101が、画面から出射した光の光量が画面の各画素において均一である特性を有する場合(各画素の光量にムラがない場合)、位置p0で、測定角度を変えて色の測定がされる。図8は、このような場合において、水平面内につくられる測定角度を変えた色の測定の仕方の例を説明する説明図である。図9は、このような場合において、鉛直面内につくられる測定角度を変えた色の測定の仕方の例を説明する説明図である。測色装置1と基準測色装置3とは、測定角度を変えた色の測定の仕方が同じなので、測色装置1を用いて説明する。測定対象物101と基準測定対象物103とは、測定角度を変えた色の測定の仕方が同じなので、測定対象物101を用いて説明する。
図2及び図8を参照して、測定箇所P−1は、測定角度が0度での測定箇所Pである。測定者は、位置p0において、測色装置1で測定箇所P−1の色を測定する。例えば、水平面内につくられる測定角度が30度にしたいとき、測定者は、回転ステージ511を操作して、測色装置1を回転させる。回転角度検出器516は、回転ステージ511の回転角度を測定し、PC52へ出力する。PC52は、その回転角度を表示する。PC52に表示される回転角度が30度になるまで、測定者は、回転ステージ511を操作する。測定箇所P−2は、水平面内につくられる測定角度が30度での測定箇所Pである。測定者は、位置p0において、測色装置1で測定箇所P−2の色を測定する。測定箇所P−1での測定距離と測定箇所P−2での測定距離とを同じにしたい場合、測定者は、Zステージ515を操作して、測色装置1の位置を調節する。
図2及び図9を参照して、例えば、鉛直面内につくられる測定角度が30度にしたいとき、位置p0で、測定者は、傾斜ステージ512を操作して、測色装置1を傾斜させる。傾斜角度検出器517は、傾斜ステージ512の傾斜角度を測定し、PC52へ出力する。PC52は、その傾斜角度を表示する。PC52に表示される傾斜角度が30度になるまで、測定者は、傾斜ステージ512を操作する。測定箇所P−3は、鉛直面内につくられる測定角度が30度での測定箇所Pである。測定者は、位置p0において、測色装置1で測定箇所P−3の色を測定する。測定箇所P−1での測定距離と測定箇所P−3での測定距離とを同じにしたい場合、測定者は、Zステージ515を操作して、測色装置1の位置を調節する。
測色装置1が二次元測色装置の場合、図30に示すように、複数の測定箇所Pの色を同時に測定できるので、位置角度調節装置51は不要である。基準測色装置3が二次元測色装置の場合も同様であり、位置角度調節装置51は不要である。
二次元測色装置では、同じ測定箇所Pについて測定角度を変えて色の測定ができない。すなわち、二次元測色装置では、図4〜図7で説明した色の測定ができない。このため、測定対象物101が、画面から出射した光の光量が画面の各画素において均一である特性を有する場合(各画素の光量にムラがない場合)に、二次元測色装置が適する。
[4]図2に示すPC52は、紐付けデータ(第1データの一例)を生成する紐付けデータ生成部521の機能を有する。紐付けデータの生成について、複数の測定角度が、水平面内につくられる測定角度θ1,θ2(θ1≠θ2)を例にして説明する。図10は、紐付けデータの生成を説明するフローチャートである。
図2及び図10を参照して、測定者は、基準測定対象物103を所定の位置にセットする。基準測定対象物103は、上述したように、測色装置1を校正するときの基準となる測定対象物101であり、同じ製品の中で、光学的特性が典型的な値を示す製品である。測定者は、PC52を操作して、PC52に、水平面内につくられる測定角度θ1を入力する(ステップS1)。PC52は、「基準測色装置3の測定角度を、水平面内につくられる測定角度θ1にして下さい」を示す文字を含む画面を表示する。基準測色装置3は、上述したように、測色装置1を校正するときの基準となる測色装置であり、分光測色型でもよいし、刺激値直読型でもよい。
測定者は、基準測色装置3を位置角度調節装置51に載置し、位置角度調節装置51を操作して、基準測色装置3の測定角度を調節する。回転角度検出器516が検出する回転角度が、水平面内につくられる測定角度である。PC52は、回転角度検出器516から送信されてきた回転角度が、測定角度θ1と一致したとき、PC52は、基準測色装置3を制御して、基準測色装置3で基準測定対象物103の測定箇所Pの色を測定する(ステップS2)。
ここでの色の測定、及び、後で説明する色の測定(ステップS5、ステップS7、ステップS9)において、基準測定対象物103の画面の明るさ(階調)は、同じ値に固定され、また、校正係数の算出に必要な色が測定される。例えば、後で説明する式3に示す校正係数を求める場合、白画面、赤画面、緑画面、青画面のそれぞれについて、色が測定される。
基準測色装置3は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、水平面内につくられる測定角度θ1と対応づけて記憶する(ステップS3)。
測定者は、PC52を操作して、PC52に、水平面内につくられる測定角度θ2を入力する(ステップS4)。PC52は、「基準測色装置3の測定角度を、水平面内につくられる測定角度θ2にして下さい」を示す文字を含む画面を表示する。
測定者は、位置角度調節装置51を操作して、基準測色装置3の測定角度を調節する。PC52は、回転角度検出器516から送信されてきた回転角度が、測定角度θ2と一致したとき、PC52は、基準測色装置3を制御して、基準測色装置3で基準測定対象物103の測定箇所Pの色を測定する(ステップS5)。
基準測色装置3は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、水平面内につくられる測定角度θ2と対応づけて記憶する(ステップS6)。
PC52は、「測色装置1の測定角度を、水平面内につくられる測定角度θ1にして下さい」を示す文字を含む画面を表示する。
測定者は、測色装置1を位置角度調節装置51に載置し、位置角度調節装置51を操作して、測色装置1の測定角度を調節する。PC52は、回転角度検出器516から送信されてきた回転角度が、測定角度θ1と一致したとき、PC52は、測色装置1を制御して、測色装置1で基準測定対象物103の測定箇所Pの色を測定する(ステップS7)。
測色装置1は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、水平面内につくられる測定角度θ1と対応づけて記憶する(ステップS8)。
PC52は、「測色装置1の測定角度を、水平面内につくられる測定角度θ2にして下さい」を示す文字を含む画面を表示する。
測定者は、位置角度調節装置51を操作して、測色装置1の測定角度を調節する。PC52は、回転角度検出器516から送信されてきた回転角度が、測定角度θ2と一致したとき、PC52は、測色装置1を制御して、測色装置1で基準測定対象物103の測定箇所Pの色を測定する(ステップS9)。
測色装置1は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、水平面内につくられる測定角度θ2と対応づけて記憶する(ステップS10)。
紐付けデータ生成部521は、ステップS3で記憶した三刺激値XYZとステップS8で記憶した三刺激値XYZとを用いて、測定角度θ1での校正係数を算出する(ステップS11)。ステップS3で記憶した三刺激値XYZは、基準測色装置3が測定した、水平面内につくられる測定角度θ1での三刺激値XYZである。ステップS8で記憶した三刺激値XYZは、測色装置1が測定した、水平面内につくられる測定角度θ1での三刺激値XYZである。
校正係数の算出方法として、ここでは、3つの例を説明する。第1例は、式1を用いて算出される校正係数である。式1は、いわゆる一点校正と称される校正である。
,.
第2例は、式2を用いて算出される校正係数である。式2は、いわゆるマトリックス校正と称される校正である。
第3例は、式3を用いて算出される校正係数である。式3は、いわゆるWマトリックス校正と称される校正である。実施形態の式3では、白、赤、緑、青について、三刺激値を算出するが、他の色の組み合わせでもよい。
紐付けデータ生成部521は、ステップS6で記憶した三刺激値XYZとステップS10で記憶した三刺激値XYZとを用いて、測定角度θ2での校正係数を算出する(ステップS12)。ステップS6で記憶した三刺激値XYZは、基準測色装置3が測定した、水平面内につくられる測定角度θ2での三刺激値XYZである。ステップS10で記憶した三刺激値XYZは、測色装置1が測定した、水平面内につくられる測定角度θ2での三刺激値XYZである。校正係数の算出方法は、ステップS11と同じである。ステップS11で第1例が用いられた場合、ステップS12でも第1例が用いられる。ステップS11で第2例が用いられた場合、ステップS12でも第2例が用いられる。ステップS11で第3例が用いられた場合、ステップS12でも第3例が用いられる。
紐付けデータ生成部521は、ステップS11で算出された校正係数と、ステップS12で算出された校正係数と、を用いて、紐付けデータを生成する(ステップS13)。例えば、ステップS11で算出された校正係数が校正係数C1であり、ステップS12で算出された校正係数が校正係数C2とする。紐付けデータ(第1データの一例)は、測定角度θ1と、測定角度θ1に紐付けられた校正係数C1と、測定角度θ2と、測定角度θ2に紐付けられた校正係数C2と、で構成される。
以上により、紐付けデータが生成される。PC52は、紐付けデータ生成部521が生成した紐付けデータを測色装置1に送信する。図1を参照して、通信部15は、送信されてきた紐付けデータを受信し、制御処理部12は、この紐付けデータを紐付けデータ記憶部121に記憶させる。
[5]図2を参照して、システム5は、測定者が手動で測色装置1又は基準測色装置3の位置及び角度を調節する(手動位置設定、手動角度設定)。システム5の変形例は、測色装置1又は基準測色装置3の位置及び角度を自動で調節する(自動位置設定、自動角度設定)。図11は、システム5の変形例を説明するブロック図である。システム5の変形例は、PC52と、位置角度調節装置53と、制御装置54と、を備える。
位置角度調節装置53は、回転ステージ531と、傾斜ステージ532と、Xステージ533と、Yステージ534と、Zステージ535と、を備える。
回転ステージ531は、回転ステージ本体と、y方向を軸として回転ステージ本体を回転させる第1ステッピングモータと、を備える。回転ステージ531により、測色装置1又は基準測色装置3の角度のうち、xz面内につくられる角度を変えることができる。すなわち、水平面内につくられる測定角度を変えることができる。回転ステージ531は、公知の回転ステージを用いることができる。
傾斜ステージ532は、傾斜ステージ本体と、x方向の軸を傾斜軸として傾斜ステージ本体を傾斜させる第2ステッピングモータと、を備える。傾斜ステージ532により、測色装置1又は基準測色装置3の角度のうち、yz面内につくられる角度を変えることができる。すなわち、鉛直面内につくられる測定角度を変えることができる。傾斜ステージ532は、公知の傾斜ステージを用いることができる。
Xステージ533は、Xステージ本体と、x方向にXステージ本体を移動させる第3ステッピングモータと、を備える。Xステージ533により、測色装置1又は基準測色装置3のx方向の位置を変えることができる。Xステージ533は、公知のXステージを用いることができる。
Yステージ534は、Yステージ本体と、y方向にYステージ本体を移動させる第4ステッピングモータと、を備える。Yステージ534により、測色装置1又は基準測色装置3のy方向の位置を変えることができる。Yステージ534は、公知のYステージを用いることができる。
Zステージ535は、Zステージ本体と、z方向にZステージ本体を移動させる第5ステッピングモータと、を備える。Zステージ535により、測色装置1又は基準測色装置3のz方向の位置を変えることができる。Zステージ535は、公知のZステージを用いることができる。
制御装置54は、上記第1〜第5ステッピングモータを制御するコンピュータである。測定者が、例えば、水平面内につくられる測定角度として、ある値をPC52に入力したとき、制御装置54は、上記第1ステッピングモータを制御して、測色装置1又は基準測色装置3の水平面内につくられる測定角度をその値にする。
[6]図1を参照して、上述したように、紐付けデータ記憶部121は、図10のステップS13で生成された紐付けデータを予め記憶している。校正装置7は、紐付けデータを基にして、三刺激値算出部120が算出した三刺激値XYZを校正する。これについて説明する。
校正の態様としては、様々な態様が考えられる。ここでは、第1態様〜第6態様について説明する。図12は、これらの態様において、測色装置1(又は、後で説明する図18に示す測色装置9)が載置された位置角度調節装置51を示すブロック図である。これらの態様において、測定対象物101は、基準測定対象物103と同じ製品でもよいし、基準測定対象物103と同様の光学特性を有する製品でもよい。また、これらの態様において、測色装置1及び測色装置9は、スポット測光方式の測色計でもよいし、二次元測色装置でもよい。
校正の第1態様は、測定角度がつくられる面(例えば、水平面、鉛直面)に関係なく、同じ測定角度であれば、同じ校正係数を用いて、三刺激値を校正する。図1及び図12を参照して、紐付けデータ記憶部121には、紐付けデータ(第1データの一例)が予め記憶されている。紐付けデータは、例えば、測定角度θ1と、測定角度θ1に紐付けられた校正係数C1と、測定角度θ2と、測定角度θ2に紐付けられた校正係数C2とで構成される。
校正係数決定部122は、校正係数の予測に必要な数式を予め作成し、記憶する。図13は、校正の第1態様において、校正係数の予測を説明するグラフである。グラフの横軸は、測定角度を示し、グラフの縦軸は、校正係数を示す。座標A1は、測定角度θ1と校正係数C1とで示される座標である。座標A2は、測定角度θ2と校正係数C2とで示される座標である。黒丸で示す座標(座標A1,A2)の校正係数は、実際に測定された校正係数を意味する(図10のステップS11、ステップS12)。白丸で示す座標(座標A3,A4,A5)の校正係数は、予測された校正係数を意味する。校正係数決定部122は、座標A1と座標A2とを通る直線L1を算出し、直線L1を示す数式を記憶する。
図14は、校正の第1態様を説明するフローチャートである。測定対象物101の測定箇所Pのうち、測定箇所P−4を例にして説明する。図1、図12及び図14を参照して、測定者は、測定対象物101を所定の位置にセットする。測定者は、測色装置1を位置角度調節装置51に載置し、位置角度調節装置51を操作して、測色装置1の照準を測定対象物101の測定箇所P−4に合わせる(ステップS21)。この状態で、回転角度検出器516は、回転角度を検出し、これを測色装置1へ送り、傾斜角度検出器517は、傾斜角度を検出し、これを測色装置1へ送る。測色装置1の通信部15は、回転角度検出器516から送られた回転角度、及び、傾斜角度検出器517から送られた傾斜角度を受信する。
校正係数決定部122は、通信部15で受信された回転角度と傾斜角度を用いて、測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度を算出する(ステップS22)。回転角度が0度の場合、傾斜角度が測定角度となる。傾斜角度が0度の場合、回転角度が測定角度となる。回転角度及び傾斜角度が0度でない場合、回転角度と傾斜角度とで規定される角度が測定角度である。校正係数決定部122は、測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度が、測定角度θ1、測定角度θ2のいずれかに該当するか否かを判断する(ステップS23)。
校正係数決定部122は、測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度が、測定角度θ1、測定角度θ2のいずれかに該当するとき(ステップS23でYes)、該当する測定角度に紐付けられた校正係数を、紐付けデータ記憶部121から読み出し(ステップS24)、これを、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数として決定する(ステップS25)。測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度が、例えば、測定角度θ1のとき、校正係数C1が、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数として決定される。
校正係数決定部122は、測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度が、測定角度θ1、測定角度θ2のいずれにも該当しないとき(ステップS23でNo)、校正係数決定部122は、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測する(ステップS26)。詳しく説明すると、図13を参照して、測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度が、測定角度θ3,θ4,θ5を例にして説明する。
測定角度θ3の場合(測定角度θ1<測定角度θ3<測定角度θ2)、校正係数決定部122は、直線L1を示す数式に測定角度θ3を代入して校正係数C3を算出する。すなわち、校正係数決定部122は、内挿補間により校正係数C3を算出する。校正係数C3は、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測した結果である。測定角度θ3と校正係数C3とで示される座標を、座標A3とする。
測定角度θ4の場合(測定角度θ4<測定角度θ1)、校正係数決定部122は、直線L1を示す数式に測定角度θ4を代入して校正係数C4を算出する。すなわち、校正係数決定部122は、外挿補間により校正係数C4を算出する。校正係数C4は、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測した結果である。測定角度θ4と校正係数C4とで示される座標を、座標A4とする。
測定角度θ5の場合(測定角度θ2<測定角度θ5)、校正係数決定部122は、直線L1を示す数式に測定角度θ5を代入して校正係数C5を算出する。すなわち、校正係数決定部122は、外挿補間により校正係数C5を算出する。校正係数C5は、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測した結果である。測定角度θ5と校正係数C5とで示される座標を、座標A5とする。
校正係数を予測する方法として、直線補間を例に説明したが、校正係数を予測する方法は、これに限定されない。例えば、ラグランジェ補間、3次補間を用いて校正係数を予測してもよい。
図1、図12及び図14を参照して、校正係数決定部122は、ステップS26で予測した校正係数を、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数として決定する(ステップS27)。
以上、ステップS22〜ステップS27で説明したように、校正係数決定部122(決定部)は、異なる値の複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のそれぞれの場合について、測色装置1と基準測色装置3とを用いて算出された校正係数(校正係数C1,C2)が、測定角度と紐付けられた第1データ(紐付けデータ)を基にして、第1の値の測定角度で測色装置1が測定対象物101の色を測定するときに用いる校正係数を決定する。
校正係数決定部122は、第1の値が、第1データ(紐付けデータ)に含まれる複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のいずれにも該当しないとき(測定角度θ3,θ4,θ5)、第1データ(紐付けデータ)を用いて、第1の値の測定角度で測色装置1が測定対象物101の色を測定するときの校正係数を予測し、予測した校正係数を校正係数として決定する(ステップS23でNo、ステップS26、ステップS27)。
一方、校正係数決定部122は、第1の値が、第1データ(紐付けデータ)に含まれる複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のいずれかに該当するとき、第1の値に紐付けられた校正係数(構成係数C1,C2)を、第1の値の測定角度で測色装置1が測定対象物101の色を測定するときの校正係数として決定する(ステップS23でYes、ステップS24、ステップS25)。
測定者は、測色装置1を操作して、測定箇所P−4の色を測定する命令を入力する。これにより、受光部11は、測定箇所P−4から出射された光を受光し、三刺激値XYZのそれぞれを示す電気信号SGを出力する。三刺激値算出部120は、電気信号SGを基にして、測定箇所P−4の色の三刺激値XYZを算出する(ステップS28)。例えば、式3に示す校正係数が用いられる場合、測定対象物101の画面が白、赤、緑、青のそれぞれについて、三刺激値XYZが算出される。
校正部123は、ステップS28で算出された三刺激値XYZを、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数で校正する(ステップS29)。測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数が、ステップS25で決定されたとき、校正部123は、ステップS25で決定された校正係数を用いて、三刺激値XYZを校正する。測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数が、ステップS27で決定されたとき、校正部123は、ステップS27で決定された校正係数を用いて、三刺激値XYZを校正する。
なお、図30を参照して、二次元測色装置300の場合、様々な測定角度について、色を同時に測定できる。このため、紐付けデータ記憶部121に記憶されている紐付けデータ(第1データの一例)は、様々な測定角度と、これらの測定角度に紐付けられた校正係数とで構成される。二次元測色装置300の場合は、校正係数の予測が不要となることがありうる(ステップS26、ステップS27が不要)。
校正の第1態様の主な効果を説明する。校正の第1態様は、測定角度に応じて校正係数を変えるので、測定角度に関わらず同じ校正係数を用いる校正装置と比べて、測色装置1の測定精度を向上させることができる。
校正の第1態様において、紐付けデータ記憶部121が紐付けデータを予め記憶し、校正係数決定部122が、紐付けデータを用いて、図13に示す直線L1(校正係数を予測する数式の一例)を算出している。変形例として、校正係数決定部122が、紐付けデータを用いて算出された、校正係数を予測する数式を予め記憶していてもよい。変形例によれば、紐付けデータを予め記憶する必要がないので、紐付けデータ記憶部121が不要となる。変形例は、校正の第2態様〜第6態様に対しても適用することができる。
[7]校正の第2態様を説明する。測定対象物101の中には、同じ測定角度でもその測定角度がつくられる面(例えば、水平面、鉛直面、45度の傾斜を有する面)に応じて、光学特性が異なる物がある。校正の第2態様は、測定角度がつくられる面が任意の面において、この測定角度で色が測定されるときの校正係数を予測する。
校正の第2態様で用いられる紐付けデータ(第1データの一例)は、水平面データ(第1面データの一例)と、鉛直面データ(第2面データの一例)と、を備える。水平面データ及び鉛直面データについて、図15を用いて説明する。図15は、校正の第2態様において、校正係数の予測を説明するグラフの第1例である。グラフは、第1軸〜第4軸を有する。第1軸は、校正係数を示している。第2軸〜第4軸は、第1軸と垂直な平面に位置する。第2軸は、水平面内につくられる測定角度を示す。第3軸は、鉛直面内につくられる測定角度を示す。第4軸は、45度の傾斜を有する面につくられる測定角度を示す。なお、第4軸は、任意の値の傾斜を有する面につくられる測定角度であればよく、45度の傾斜を有する面に限定されない。
鉛直面につくられる測定角度を0度に固定し、水平面につくられる測定角度θ1,θ2(θ1,θ2≠0度)のそれぞれの場合について、紐付けデータ生成部521が算出した校正係数をC1h,C2hとする。紐付けデータ生成部521が算出した校正係数とは、図10で説明したように、測色装置1と基準測色装置3とを用いて、基準測定対象物103の色を測定して得られた校正係数である。測定角度θ1と校正係数C1hとで示される座標を座標A1とする。測定角度θ2と校正係数C2hとで示される座標を座標A2とする。座標A1及び座標A2は、測定角度(水平面)と校正係数との2次元座標である。水平面データは、水平面内につくられる測定角度θ1と、この測定角度θ1に紐付けられた校正係数C1hと、水平面内につくられる測定角度θ2と、この測定角度θ2に紐付けられた校正係数C2hと、で構成される。水平面データは、図10で説明した紐付けデータの生成方法を用いて生成することができる。
水平面につくられる測定角度を0度に固定し、鉛直面につくられる測定角度θ1,θ2のそれぞれの場合について、紐付けデータ生成部521が算出した校正係数をC1v,C2vとする。測定角度θ1と校正係数C1vとで示される座標を座標A3とする。測定角度θ2と校正係数C2vとで示される座標を座標A4とする。座標A3及び座標A4は、測定角度(鉛直面)と校正係数との2次元座標である。鉛直面データは、鉛直面内につくられる測定角度θ1と、この測定角度θ1に紐付けられた校正係数C1vと、鉛直面内につくられる測定角度θ2と、この測定角度θ2に紐付けられた校正係数C2vと、で構成される。鉛直面データは、図10で説明した紐付けデータの生成方法を用いて生成することができる。
座標A5〜A7は、後で説明する。黒丸で示す座標(座標A1〜座標A4)の校正係数は、実際に測定された校正係数を意味する。白丸で示す座標(座標A5〜座標A7)の校正係数は、予測された校正係数を意味する。
紐付けデータ記憶部121には、校正の第2態様で用いられる紐付けデータ(水平面データ及び鉛直面データ)が予め記憶されている。
図16は、校正の第2態様を説明するフローチャートである。図1、図12及び図16を参照して、測定者は、測定対象物101を所定の位置にセットする。測定者は、測色装置1を位置角度調節装置51に載置し、位置角度調節装置51を操作して、測色装置1の照準を測定対象物101に含まれる測定箇所P−4に合わせる(ステップS31)。この状態で、回転角度検出器516は、回転角度を検出し、これを測色装置1へ送り、傾斜角度検出器517は、傾斜角度を検出し、これを測色装置1へ送る。測色装置1の通信部15は、回転角度検出器516から送られた回転角度、及び、傾斜角度検出器517から送られた傾斜角度を受信する。
校正係数決定部122は、通信部15で受信された回転角度と傾斜角度を用いて、測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度、及び、この測定角度がつくられる面の角度を算出する(ステップS32)。ここでは、測定角度がθ3とし、この測定角度が45度の傾斜を有する面内につくられるとする。
校正係数決定部122は、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測する(ステップS33)。詳しく説明すると、図15を参照して、校正係数決定部122は、水平面内につくられる測定角度θ3(鉛直面につくられる測定角度は0度である)のときの校正係数C3hを、座標A1と座標A2とを直線補間して予測する。この結果を、座標A5(θ3,C3h)で表す。校正係数決定部122は、鉛直面内につくられる測定角度θ3(水平面につくられる測定角度は0度である)のときの校正係数C3vを、座標A3と座標A4とを直線補間して予測する。この結果を、座標A6(θ3,C3v)で表す。
校正係数決定部122は、座標A5と座標A6とを通る直線が、45度の傾斜面を有する面につくられる測定角度を示す軸と交差する座標A7で示される校正係数C4を求める。校正係数決定部122は、校正係数C4を測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数と予測する。
測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測する方法は、以下の方法でもよい。校正係数決定部122は、座標A1、座標A2、座標A3及び座標A4を用いて、回帰平面を算出する。校正係数決定部122は、この回帰平面を示す式に、測定角度θ3を代入して校正係数を算出する。この算出された校正係数が、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測した結果となる。
測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測する方法は、以下の方法でもよい。図17は、校正の第2態様において、校正係数の予測を説明するグラフの第2例である。グラフは、第1軸〜第3軸を有する。第1軸は、水平面内につくられる測定角度を示しており、x軸に相当する。第2軸は、鉛直面内につくられる測定角度を示しており、y軸に相当する。第3軸は、校正係数を示しており、z軸に相当する。黒丸で示す座標(座標A1〜座標A3)の校正係数は、実際に測定された校正係数を意味する。白丸で示す座標(座標A4)の校正係数は、予測された校正係数を意味する。
水平面内につくられる測定角度θ1と鉛直面内につくられる測定角度θ1とで規定される測定角度の場合について、紐付けデータ生成部521が算出した校正係数をC1とする。この測定角度と校正係数C1とで示される座標を座標A1とする。水平面内につくられる測定角度θ1と鉛直面内につくられる測定角度θ2とで規定される測定角度の場合について、紐付けデータ生成部521が算出した校正係数をC2とする。この測定角度と校正係数C2とで示される座標を座標A2とする。水平面内につくられる測定角度θ2と鉛直面内につくられる測定角度θ1とで規定される測定角度の場合について、紐付けデータ生成部521が算出した校正係数をC3とする。この測定角度と校正係数C3とで示される座標を座標A3とする。
校正係数決定部122は、座標A1、座標A2及び座標A3を用いて、回帰直線L2を算出する。校正係数決定部122は、回帰直線L2を示す式に、水平面内につくられる測定角度θ3と鉛直面内につくられる測定角度θ3とを代入して、校正係数C4を算出する。この測定角度と校正係数C4とで示される座標を座標A4とする。校正係数C4が測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測した結果である。回帰直線L2の替わりに回帰平面でもよい。
図1、図12及び図16を参照して、校正係数決定部122は、ステップS33で予測した校正係数を、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数として決定する(ステップS34)。
以上、ステップS32〜ステップS34で説明したように、校正係数決定部122(決定部)は、第1面(水平面)及び第2面(鉛直面)以外の第3面(45度の傾斜を有する面)内において、第1の値の測定角度(測定角度θ3)で測色装置1が測定対象物101の色を測定するとき、第1面データ(水平面データ)と第2面データ(鉛直面データ)とを用いて、第3面内につくられる第1の値の測定角度で測色装置1が測定対象物101の色を測定するときの校正係数(校正係数C4)を予測し、予測した校正係数を校正係数として決定する。
なお、校正係数決定部122は、第1の値の測定角度(例えば、測定角度θ1,θ2)がつくられる面が水平面又は鉛直面であり、第1の値に紐付けられた校正係数が、水平面データ又は鉛直面データに含まれる場合、校正係数の予測は不要である。校正係数決定部122は、第1の値に紐付けられた校正係数を、第1の値の測定角度で測色装置1が測定対象物101の色を測定するときの校正係数として決定する。
測定者は、測色装置1を操作して、測定箇所P−4の色を測定する命令を入力する。これにより、受光部11は、測定箇所P−4から出射された光を受光し、三刺激値XYZのそれぞれを示す電気信号SGを出力する。三刺激値算出部120は、電気信号SGを基にして、測定箇所P−4の色の三刺激値XYZを算出する(ステップS35)。例えば、式3に示す校正係数が用いられる場合、測定対象物101の画面が白、赤、緑、青のそれぞれについて、三刺激値XYZが算出される。
校正部123は、ステップS35で算出された三刺激値XYZを、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数で校正する(ステップS36)。校正係数は、ステップS34で決定された校正係数が用いられる。
校正の第2態様の主な効果を説明する。校正係数決定部122(決定部)は、第3面(45度の傾斜を有する面)内につくられる第1の値の測定角度(測定角度θ3)で測色装置1が測定対象物101の色を測定するとき、第1面データ(水平面データ)と第2面データ(鉛直面データ)とを用いて校正係数(校正係数C4)を予測し、予測した校正係数を校正係数として決定する。従って、校正の第2態様によれば、任意の面につくられる、第1の値の測定角度について、校正係数を決定することができる。
[8]校正の第3態様を説明する。この態様では、第1の値の測定角度で測色装置1が測定対象物101の色を測定して得られた三刺激値XYZを基にして、第1の値の測定角度で基準測色装置3が測定対象物101の色を測定して得られる三刺激値XYZを決定する。決定した三刺激値XYZは、例えば、校正係数の算出に用いることができる。
図18は、校正の第3態様に適用される測色装置9の構成を示すブロック図である。測色装置9は、図1に示す測色装置1と比較して、校正装置7の構成が異なる。測色装置9に備えられる校正装置7は、紐付けデータ記憶部125と、三刺激値決定部126と、校正係数算出部127と、を備える。
紐付けデータ記憶部125には、第1紐付けデータ及び第2紐付けデータが予め記憶されている。第1紐付けデータ(第1データの一例)は、測定角度θ1,θ2のそれぞれの場合について、測色装置1を用いて測定された基準測定対象物103の色の三刺激値XYZを、測定角度θ1,θ2と紐付けたデータである。第2紐付けデータ(第2データの一例)は、測定角度θ1,θ2のそれぞれの場合について、基準測色装置3を用いて測定された基準測定対象物103の色の三刺激値XYZを、測定角度θ1,θ2と紐付けたデータである。
第1紐付けデータ及び第2紐付けデータの生成について説明する。図10を参照して、ステップS1〜ステップS10後、紐付けデータ生成部521は、ステップS8で記憶した三刺激値XYZとステップS10で記憶した三刺激値XYZとを用いて、第1紐付けデータを生成し、ステップS3で記憶した三刺激値XYZとステップS6で記憶した三刺激値XYZとを用いて、第2紐付けデータを生成する。紐付けデータ生成部521が生成した第1紐付けデータ及び第2紐付けデータは、紐付けデータ記憶部125に記憶される。
三刺激値決定部126(決定部)は、第1の値の測定角度(測定角度θ3)で測色装置9が測定対象物101の色を測定するとき、第1紐付けデータと第2紐付けデータとを基にして、第1の値の測定角度で基準測色装置3が測定対象物101の色を測定するときの三刺激値XYZを決定する。
校正係数算出部127(算出部)は、三刺激値決定部126が決定した三刺激値XYZと、第1の値の測定角度で測色装置9が測定対象物101の色を測定して得られた三刺激値XYZと、を用いて、第1の値の測定角度で測色装置9が測定対象物101の色を測定して得られた三刺激値XYZを校正するための校正係数を算出する。
図19は、校正の第3態様を説明するフローチャートである。図12、図18及び図19を参照して、測定者は、測定対象物101を所定の位置にセットする。測定者は、測色装置9を位置角度調節装置51に載置し、位置角度調節装置51を操作して、測色装置9の照準を測定対象物101に含まれる測定箇所P−4に合わせる(ステップS41)。この状態で、回転角度検出器516は、回転角度を検出し、これを測色装置9へ送り、傾斜角度検出器517は、傾斜角度を検出し、これを測色装置9へ送る。測色装置9の通信部15は、回転角度検出器516から送られた回転角度、及び、傾斜角度検出器517から送られた傾斜角度を受信する。
三刺激値決定部126は、通信部15で受信された回転角度と傾斜角度を用いて、測色装置9で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度を算出する(ステップS42)。算出された測定角度がθ3とする。
測定者は、測色装置9を操作して、測定箇所P−4の色を測定する命令を入力する。これにより、受光部11は、測定箇所P−4から出射された光を受光し、三刺激値XYZのそれぞれを示す電気信号SGを出力する。三刺激値算出部120は、電気信号SGを基にして、測定箇所P−4の色の三刺激値XYZを算出する(ステップS43)。
三刺激値決定部126は、測定角度θ3で基準測色装置3が測定対象物101の測定箇所P−4の色を測定して得られる三刺激値XYZを予測する(ステップS44)。X値を例にして予測について詳しく説明する。図20は、校正の第3態様において、基準測色装置3が測定対象物101の色を測定して得られる三刺激値XYZの予測を説明するグラフである。グラフは、第1軸〜第3軸を有する。第1軸は、測定角度を示しており、x軸に相当する。第2軸は、測色装置9で測定されたX値を示しており、y軸に相当する。第3軸は、基準測色装置3で測定されたX値を示しており、z軸に相当する。
三刺激値決定部126は、紐付けデータ記憶部125に記憶されている第1紐付けデータと第2紐付けデータとを用いて、座標A1と座標A2とを作成する。座標A1は、測定角度θ1と、測定角度θ1に紐付けられたX値x1a(測色装置9で測定されたX値)と、測定角度θ1に紐付けられたX値x1b(基準測色装置3で測定されたX値)とで示される座標である。座標A2は、測定角度θ2と、測定角度θ2に紐付けられたX値x2a(測色装置9で測定されたX値)と、測定角度θ2に紐付けられたX値x2b(基準測色装置3で測定されたX値)とで示される座標である。
三刺激値決定部126は、座標A1及び座標A2を用いて、回帰直線L3を算出する。ステップS43で算出されたX値がx3aとする。三刺激値決定部126は、回帰直線L3を示す式に、X値x3aと測定角度θ3とを代入して、X値を算出する。算出されたX値を、x3bとする。X値x3bは、測定角度θ3で基準測色装置3が測定対象物101の測定箇所P−4の色を測定して得られるX値を予測した結果となる。三刺激値決定部126は、Y値、Z値についても、X値と同様にして予測する。
なお、三刺激値決定部126は、ステップS43で算出した三刺激値XYZを他の表色系(例えば、Lv、xy、u’v’)に変換し、変換した表色系の値を予測し、予測した値を三刺激値XYZに変換してもよい。この変換された三刺激値XYZが、ステップS44の三刺激値XYZを予測した結果となる。
三刺激値決定部126は、ステップS44で予測した三刺激値を、測定角度θ3で基準測色装置3が測定対象物101の測定箇所P−4の色を測定して得られる三刺激値XYZと決定する(ステップS45)。以上説明したように、三刺激値決定部126(決定部)は、第1の値(測定角度θ3)が、複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のいずれにも該当しないとき、第1紐付けデータ(第1データ)と第2紐付けデータ(第2データ)とを用いて、第1の値の測定角度で基準測色装置3が測定対象物101の色を測定するときの三刺激値XYZを予測し、予測した三刺激値XYZを、第1の値の測定角度で基準測色装置3が測定対象物101の色を測定するときの三刺激値XYZとして決定する。
ステップS45で三刺激値決定部126が決定した三刺激値XYZは、測定角度θ3で測色装置9が測定箇所P−4の色を測定し、この測定で得られた三刺激値XYZが一点校正された結果と同じである。従って、測色装置9は、三刺激値決定部126が決定した三刺激値XYZを、測定角度θ3で測色装置9が測定箇所P−4の色を測定した結果として、表示部14に表示させてもよい。
また、ステップS45で三刺激値決定部126が決定した三刺激値XYZは、一点校正以外の他の校正(例えば、マトリックス校正、Wマトリックス校正)で使用される校正係数の算出に用いることができる。すなわち、校正係数算出部127は、ステップS43で三刺激値算出部120が算出した測定箇所P−4の色の三刺激値XYZと、ステップS45で三刺激値決定部126が決定した三刺激値XYZと、を用いて、測定角度θ3で測色装置9が測定箇所P−4の色を測定して得られた三刺激値XYZを校正するための校正係数を算出する。校正装置7は、校正係数算出部127が算出した校正係数を用いて、ステップS43で三刺激値算出部120が算出した測定箇所P−4の色の三刺激値XYZを校正する。
なお、三刺激値決定部126は、第1の値の測定角度が、複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のいずれかに該当するとき、三刺激値XYZの予測は不要である。例えば、第1の値の測定角度がθ2とする。三刺激値決定部126は、測定角度θ2に紐付けられた基準測色装置3の三刺激値XYZを、測定角度θ2で基準測色装置3が測定対象物101の色を測定するときの三刺激値XYZとして決定する。
校正の第3態様の主な効果を説明する。この態様によれば、測定角度に応じて、刺激値直読型の測色装置9が測定した測定対象物101の色の三刺激値XYZを校正できるので、測定精度を向上させることができる。なお、校正の第3態様は、校正の第2態様と組み合わせることもできる。この場合、図20に示すグラフにおいて、測定角度を示す軸が二つとなる。一つは、水平面(第1面)内につくられる測定角度を示す軸である。他の一つは、鉛直面(第2面)内につくられる測定角度を示す軸である。
[9]校正の第4態様を説明する。この態様は、測定対象物101の測定角度に加えて、測定対象物101の明るさ(すなわち、測定対象物101から出射される光の明るさ)の程度を考慮して、校正係数を予測する。光の明るさを示す指標として、例えば、三刺激値XYZのY値があるが、これに限定されず、どのような指標でもよい(例えば、X値、Z値、Lv値、Le値)。
校正の第4態様の場合、図1に示す紐付けデータ記憶部121には、第1紐付けデータ及び第2紐付けデータが予め記憶されている。第1紐付けデータ(第1データの一例)は、例えば、明るさα1の下で異なる値の測定角度θ1,θ2のそれぞれの場合について、測色装置1と基準測色装置3とを用いて算出された校正係数が、測定角度θ1,θ2と紐付けたデータである。第2紐付けデータ(第2データの一例)は、例えば、測定角度θ1の下で異なる値の明るさα1,α2のそれぞれの場合について、測色装置1と基準測色装置3とを用いて算出された校正係数が、明るさα1,α2と紐付けたデータである。異なる値の測定角度、明るさが、それぞれ、2つの例で説明するが、3つ以上でもよい。
校正の第4態様で用いられる第1紐付けデータの生成について説明する。図21は、校正の第4態様で用いられる第1紐付けデータの生成を説明するフローチャートである。図2及び図21を参照して、測定者は、基準測定対象物103を所定の位置にセットする。測定者は、PC52を操作して、PC52に、明るさα1を入力する(ステップS51)。PC52は、「基準測定対象物103の明るさをα1にして下さい」を示す文字を含む画面を表示する。
基準測色装置3は、基準測定対象物103の明るさを測定し、測定結果をPC52へ送る。測定者は、基準測定対象物103の明るさを変える操作をし、測定結果を明るさα1にする(ステップS52)。そして、明るさα1の下で、図10に示すステップS1〜ステップS13が実行される。ここでの色の測定(図10に示すステップS2、ステップS5、ステップS7、ステップS9)、及び、後で説明する色の測定(図22に示すステップS61、ステップS63、ステップS67、ステップS69)では、校正係数の算出に必要な色が測定される。例えば、式3に示す校正係数を求める場合、白画面、赤画面、緑画面、青画面のそれぞれについて、色が測定される。
ステップS13で生成された紐付けデータが、第1紐付けデータである。第1紐付けデータは、測定角度θ1と、測定角度θ1に紐付けられた校正係数C1と、測定角度θ2と、測定角度θ2に紐付けられた校正係数C2と、で構成されるとする。
校正の第4態様で用いられる第2紐付けデータの生成について説明する。図22は、これを説明するフローチャートである。図2及び図22を参照して、測定者は、基準測色装置3を位置角度調節装置51に載置し、位置角度調節装置51を操作して、基準測色装置3の測定角度を調節する。基準測定対象物103の明るさは、α1のままである。PC52は、基準測色装置3の測定角度が、測定角度θ1になったとき、PC52は、基準測色装置3を制御して、基準測色装置3で基準測定対象物103の色を測定する(ステップS61)。
基準測色装置3は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、明るさα1と対応づけて記憶する(ステップS62)。
測定者は、測色装置1を位置角度調節装置51に載置し、測定角度θ1かつ明るさα1の下で、測色装置1で基準測定対象物103の色を測定する(ステップS63)。測色装置1は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、明るさα1と対応づけて記憶する(ステップS64)。
測定者は、PC52を操作して、PC52に、明るさα2を入力する(ステップS65)。PC52は、「基準測定対象物103の明るさをα2にして下さい」を示す文字を含む画面を表示する。
基準測色装置3は、基準測定対象物103から出射された光の明るさを測定し、測定結果をPC52へ送る。測定者は、基準測定対象物103から出射される明るさを変える操作をし、測定結果を明るさα2にする(ステップS66)。
PC52は、基準測色装置3を制御して、測定角度θ1かつ明るさα2の下で、基準測色装置3で基準測定対象物103の色を測定する(ステップS67)。基準測色装置3は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、明るさα2と対応づけて記憶する(ステップS68)。
測定者は、測色装置1を位置角度調節装置51に載置し、測定角度θ1かつ明るさα2の下で、測色装置1で基準測定対象物103の色を測定する(ステップS69)。測色装置1は、この測定で得られた三刺激値XYZをPC52へ送信する。紐付けデータ生成部521は、この三刺激値XYZを、明るさα2と対応づけて記憶する(ステップS70)。
紐付けデータ生成部521は、ステップS62で記憶した三刺激値XYZとステップS64で記憶した三刺激値XYZとを用いて、明るさα1での校正係数を算出する(ステップS71)。紐付けデータ生成部521は、ステップS68で記憶した三刺激値XYZとステップS70で記憶した三刺激値XYZとを用いて、明るさα2での校正係数を算出する(ステップS72)。
紐付けデータ生成部521は、ステップS71で算出された校正係数と、ステップS72で算出された校正係数と、を用いて、紐付けデータを生成する(ステップS73)。この紐付けデータが、第2紐付けデータである。ここでの第2紐付けデータは、明るさα1と、明るさα1に紐付けられた校正係数C1と、明るさα2と、明るさα2に紐付けられた校正係数C3と、で構成されるとする。
明るさα1に紐付けられた校正係数C1は、上述した第1紐付けデータに含まれる測定角度θ1に紐付けられた校正係数C1と同じである。両者は同じ条件で得られた校正係数だからである。すなわち、明るさα1に紐付けられた校正係数C1は、測定角度θ1の下で得られた校正係数であり、測定角度θ1に紐付けられた校正係数C1は、明るさα1の下で得られた校正係数である。従って、ステップS61〜ステップS64、及び、ステップS71は、省略されてもよい。
図23は、校正の第4態様を説明するフローチャートである。図1、図12及び図23を参照して、測定者は、測定対象物101を所定の位置にセットする。測定者は、測色装置1を位置角度調節装置51に載置し、位置角度調節装置51を操作して、測色装置1の照準を測定対象物101に含まれる測定箇所P−4に合わせる(ステップS81)。この状態で、回転角度検出器516は、回転角度を検出し、これを測色装置1へ送り、傾斜角度検出器517は、傾斜角度を検出し、これを測色装置1へ送る。測色装置1の通信部15は、回転角度検出器516から送られた回転角度、及び、傾斜角度検出器517から送られた傾斜角度を受信する。
校正係数決定部122は、通信部15で受信された回転角度と傾斜角度を用いて、測色装置1で測定箇所P−4の色を測定するときの測定角度を算出する(ステップS82)。算出された測定角度がθ3とする。
測定者は、測色装置1を操作して、測定箇所P−4の色を測定する命令を入力する。これにより、受光部11は、測定箇所P−4から出射された光を受光し、三刺激値XYZのそれぞれを示す電気信号SGを出力する。三刺激値算出部120は、電気信号SGを基にして、測定箇所P−4の色の三刺激値を算出する(ステップS83)。測定箇所P−4の明るさを、ここでの三刺激値のY値で示す。この明るさをα3とする。
校正係数決定部122は、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測する(ステップS84)。図24は、校正の第4態様において、校正係数の予測を説明するグラフである。グラフは、第1軸〜第3軸を有する。第1軸は、測定角度を示しており、x軸に相当する。第2軸は、明るさを示しており、y軸に相当する。第3軸は、校正係数を示しており、z軸に相当する。
校正係数決定部122は、紐付けデータ記憶部121に記憶されている第1紐付けデータと第2紐付けデータとを用いて、座標A1、座標A2、座標A3とを作成する。座標A1は、測定角度θ1かつ明るさα1の条件で得られた校正係数C1を示す。座標A2は、測定角度θ2かつ明るさα1の条件で得られた校正係数C2を示す。座標A3は、測定角度θ1かつ明るさα2の条件で得られた校正係数C3を示す。
校正係数決定部122は、測定角度θ3かつ明るさα1の条件で得られる校正係数C4を、座標A1と座標A2とを直線補間して予測する。この結果を、座標A4(θ3,α1,C4)で表す。校正係数決定部122は、測定角度θ1かつ明るさα3の条件で得られる校正係数C5を、座標A1と座標A3とを直線補間して予測する。この結果を、座標A5(θ1,α3,C5)で表す。校正係数決定部122は、座標A4と座標A5とを直線補間することにより、測定角度θ3かつ明るさα3の条件で得られる校正係数C6を予測する。この結果を、座標A6(θ3,α3,C6)で表す。校正係数の予測には、直線補間を用いたが、校正係数を予測できれば、他の補間でもよい(例えば、ラグランジェ補間、3次補間)。
測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測する方法は、以下の方法でもよい。校正係数決定部122は、座標A1、座標A2及び座標A3を用いて、回帰直線を算出する。校正係数決定部122は、この回帰直線を示す式に、測定角度θ3、明るさα3を代入して校正係数を算出する。この算出された校正係数が、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数を予測した結果となる。回帰直線の替わりに回帰平面でもよい。
図1、図12及び図23を参照して、校正係数決定部122は、ステップS84で予測した校正係数C6を、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数として決定する(ステップS85)。
以上説明したように、校正係数決定部122(決定部)は、第1データ(第1紐付けデータ)と第2データ(第2紐付けデータ)とを基にして、第1の値の測定角度(測定角度θ3)、かつ、第2の値の明るさ(明るさα3)で、測色装置1が測定対象物101の色を測定するときに用いる校正係数(校正係数C6)を決定する。
なお、校正係数決定部122は、第1の値が、第1データ(第1紐付けデータ)に含まれる複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のいずれかに該当し、かつ、第2の値が、第2データ(第2紐付けデータ)に含まれる複数の明るさ(明るさα1,α2)のいずれかに該当するとき、第1の値と第2の値との組合せに紐付けられた校正係数を、第1の値の測定角度、かつ、第2の値の明るさで、測色装置1が測定対象物101の色を測定するときの校正係数として決定する。例えば、校正係数決定部122は、第1の値が測定角度θ1、かつ、第2の値が明るさα1の場合、測色装置1が測定対象物101の色を測定するときの校正係数として、校正係数C1を決定する。
校正部123は、ステップS83で算出された三刺激値を、測定箇所P−4の色の測定に用いる校正係数で校正する(ステップS86)。校正係数は、ステップS85で決定された校正係数が用いられる。
校正の第4態様の主な効果を説明する。この態様によれば、測定角度に加えて、明るさに応じて、校正係数を変えるので、測色装置1の測定精度を向上させることができる。
[10]校正の第4態様は、校正の第2態様と組み合わせることができる。これを校正の第5態様とする。この態様において、図1に示す校正係数決定部122は、以下のデータD1、データD2及びデータD3を用いて、校正係数を予測する。
データD1は、第1面(水平面)内につくられる、異なる値の複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のそれぞれの場合について、測色装置1と基準測色装置3とを用いて算出された校正係数を、測定角度と紐付けたデータである。ここでは、基準測定対象物103の明るさは、所定の明るさに固定されている(例えば、明るさα1)。
データD2は、第2面(鉛直面)内につくられる、異なる値の複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のそれぞれの場合について、測色装置1と基準測色装置3とを用いて算出された校正係数を、測定角度と紐付けたデータである。ここでは、基準測定対象物103の明るさは、所定の明るさに固定されている(例えば、明るさα1)。
データD3は、異なる値の複数の明るさ(明るさα1,α2)のそれぞれの場合について、測色装置1と基準測色装置3とを用いて算出された校正係数が、明るさと紐付けられたデータである。ここでは、第1面(水平面)内につくられる測定角度が固定され(例えば、測定角度θ1)、かつ、第2面(鉛直面)内につくられる測定角度が固定されている(例えば、測定角度θ2)。
校正の第5態様において、図1に示す校正係数決定部122は、4次元空間で示されるグラフを用いて校正係数を予測する。このグラフは、第1軸〜第4軸を有する。第1軸は、校正係数を示す。第2軸は、水平面内につくられる測定角度を示す。第3軸は、鉛直面内につくられる測定角度を示す。第4軸は、明るさを示す。予測の手法は、校正の第2態様及び第4態様で説明した手法を用いることができる。
[11]校正の第4態様は、校正の第3態様と組み合わせることができる。これを校正の第6態様とする。この態様において、図18に示す三刺激値決定部126は、以下のデータD4、データD5、データD6及びデータD7を用いて、校正係数を予測する。
データD4(第1データ)は、異なる値の複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のそれぞれの場合について、図18に示す測色装置9を用いて測定された基準測定対象物103の色の三刺激値XYZを、測定角度と紐付けたデータである。ここでは、基準測定対象物103の明るさは、所定の明るさに固定されている(例えば、明るさα1)。
データD5(第2データ)は、異なる値の複数の測定角度(測定角度θ1,θ2)のそれぞれの場合について、基準測色装置3を用いて測定された基準測定対象物103の色の三刺激値XYZを、測定角度と紐付けたデータである。ここでは、基準測定対象物103の明るさは、所定の明るさに固定されている(例えば、明るさα1)。
データD6(第3データ)は、異なる値の複数の明るさ(明るさα1,α2)のそれぞれの場合について、測色装置9を用いて測定された基準測定対象物103の色の三刺激値XYZを、明るさと紐付けたデータである。ここでは、測定角度が固定されている(例えば、測定角度θ1)。
データD7(第4データ)は、異なる値の複数の明るさ(明るさα1,α2)のそれぞれの場合について、基準測色装置3を用いて測定された基準測定対象物103の色の三刺激値XYZを、明るさと紐付けたデータである。ここでは、測定角度が固定されている(例えば、測定角度θ1)。
校正の第6態様において、図18に示す三刺激値決定部126は、5次元空間で示されるグラフを用いて三刺激値XYZを予測する。X値を例にして説明する。このグラフは、第1軸〜第5軸を有する。第1軸は、校正係数を示す。第2軸は、測色装置9で測定されたX値を示す(明るさが固定)。第3軸は、基準測色装置3で測定されたX値を示す(明るさが固定)。第4軸は、測色装置9で測定されたX値を示す(測定角度が固定)。第5軸は、基準測色装置3で測定されたX値を示す(測定角度が固定)。
三刺激値決定部126は、第1の値の測定角度、かつ、第2の値の明るさの条件で、測色装置9が測定対象物101の色を測定するとき、第1データ(データD4)と、第2データ(データD5)と、第3データ(データD6)と、第4データ(データD7)と、を基にして、第1の値の測定角度、かつ、第2の値の明るさで、基準測色装置3が測定対象物101の色を測定するときの三刺激値XYZを決定する。
この決定において、三刺激値決定部126は、第1の値が、第1データ(データD4)に含まれる複数の測定角度のいずれにも該当しない、又は、第1の値が、第2データ(データD5)に含まれる複数の測定角度のいずれにも該当しない、又は、第2の値が、第3データ(データD6)に含まれる複数の明るさのいずれにも該当しない、又は、第2の値が、第4データ(データD7)に含まれる複数の明るさのいずれにも該当しないとき、第1データ(データD4)と、第2データ(データD5)と、第3データ(データD6)と、第4データ(データD7)と、を用いて、第1の値の測定角度、かつ、第2の値の明るさで、基準測色装置3が測定対象物101の色を測定するときの三刺激値XYZを予測し、予測した三刺激値XYZを、第1の値の測定角度、かつ、第2の値の明るさで、基準測色装置3が測定対象物101の色を測定するときの三刺激値XYZとして決定する。予測の手法は、校正の第3態様及び第4態様で説明した手法を用いることができる。