JP7428090B2 - 校正装置、校正方法、校正プログラム、及び分光カメラ - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の装置では、光源であるLEDを切り替えて複数種の色光を順次出力し、各色に対して得られる二次元センサーからのRGB値と、分光装置からのXYZ値とを測定し、RGB値とXYZ値に変換する変換行列を算出する。
以下、第一実施形態について説明する。
図1は、第一実施形態の校正システム1の概略構成を示す図である。図2は、校正システム1のブロック図である。
図1及び図2に示すように、校正システム1は、光源部10と、校正基準器である分光光度計20と、校正対象である分光カメラ30と、校正装置40とを備えている。
光源部10は、表示装置11と、積分球12と、を備える。
表示装置11は、画像光を出力する装置である。この表示装置11は、例えばプロジェクターにより構成されている。
表示装置11は、図2に示すように、画像光生成部111、通信部112、メモリー113、及びプロセッサー114を備えて構成されている。
なお、以降の説明にあたり、表示装置11の通信部112、分光カメラ30の通信部34、校正装置40の通信部41を区別するため、表示装置11の通信部112を第一通信部112と称する。また、分光カメラ30の通信部34を第二通信部34と称し、校正装置40の通信部41を第三通信部41と称する。
また、表示装置11のメモリー113、分光カメラ30のメモリー35、校正装置40のメモリー42を区別するため、表示装置11のメモリー113を第一メモリー113と称する。また、分光カメラ30のメモリー35を第二メモリー35と称し、校正装置40のメモリー42を第三メモリー42と称する。
さらに、表示装置11のプロセッサー114、分光カメラ30のプロセッサー36、校正装置40のプロセッサー43を区別するため、表示装置11のプロセッサー114を第一プロセッサー114と称する。また、分光カメラ30のプロセッサー36を第二プロセッサー36と称し、校正装置40のプロセッサー43を第三プロセッサー43と称する。
光源は、ハロゲンランプ等により構成されており、画像光を生成するための光を出力する。
光分離素子は、光源から出力された光をR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の光に分離する。
液晶パネルは、R,G,Bの各色の光路上にそれぞれ設けられる。この液晶パネルは、複数の画素を有し、画素毎に光の透過率を変更可能な光学素子であり、第一プロセッサー114の制御に基づいて、各画素の光の透過率を変更する。
光合成素子は、液晶パネルを透過した各色の光を合成して、画像光を形成する。
投射光学系は、投射レンズ等を含んで構成され、画像光を外部に出射させる。
積分球12は、表示装置11から入射された画像光を反射面で反射させることで混合して、面内で光量が均一になる。均一化された画像光は、第一出射窓122から分光光度計20に出射され、第二出射窓123から分光カメラ30に出射される。
分光光度計20は、積分球12から出力された画像光を受光し、画像光の分光測定を実施する。この分光光度計20は、校正基準器であり、入射光の正確な分光測定を行う装置である。
本実施形態では、分光光度計20は、分光測定結果として、入射光の三刺激値を出力する。
分光カメラ30は、校正システム1で校正対象となる分光測定器であり、積分球12から出力された画像光を受光して、複数の波長に対する分光画像を撮像する。
分光カメラ30は、図2に示すように、入射光学系31、分光フィルター32、撮像部33、第二通信部34、第二メモリー35、及び第二プロセッサー36を備える。
入射光学系31は、画像光が入射される複数のレンズを備えて構成され、入射した画像光を分光フィルター32及び撮像部33に導く。
図3は、分光フィルター32の一例を示す図である。
本実施形態では、分光フィルター32として、第一基板321と、第二基板322と、第一基板321に設けられる第一反射膜323と、第二基板322に設けられる第二反射膜324と、ギャップ変更部325とを備える、波長可変型のファブリーペローエタロンを用いる。
この分光フィルター32では、第一反射膜323と第二反射膜324とがギャップを介して対向しており、ギャップの寸法に応じた波長の光が分光フィルター32を透過する。
第二基板322は、第二反射膜324が設けられる可動部322Aと、可動部322Aを保持して、第一基板321に対して進退させる保持部322Bとを備える。
また、ギャップ変更部325は、例えば静電アクチュエーター等により構成されており、可動部322Aを第一基板321側に変位させることで、第一反射膜323と第二反射膜324との間のギャップの寸法を変更する。これにより、分光フィルター32を透過する光の波長も変化する。
撮像制御部361は、駆動テーブルに基づいて分光フィルター32を制御し、分光フィルター32を透過する光の波長を切り替える。また、撮像部33の露光制御を行って、分光画像を撮像させる。
補間部363は、表示装置11から分光画像における測定点が指定された際に、第二メモリー35に記憶された所定の補正点を用いて、測定点に対する変換行列を内挿補間により算出する。
色補正部364は、変換行列を用いて、分光画像の所定位置の色を補正する。具体的には、色補正部364は、分光画像の所定位置に対する測定値を補正して三刺激値に色変換する。
より具体的には、分光カメラ30は、表示装置11から投射対象に投射された画像を撮像し、複数の波長に対する分光画像を取得する。また、分光カメラ30は、測色の対象となる測定点を表示装置11から受信し、校正システム1により設定された変換行列を用いて、分光画像における測定点に対する三刺激値を算出して、表示装置11に送信する。これにより、表示装置11は、測定点に対する三刺激値に基づいて、駆動パラメーターを更新して色補正を行うことが可能となる。
校正装置40は、図2に示すように、第三通信部41、第三メモリー42、第三プロセッサー43等を含んで構成されている。
第三通信部41は、表示装置11、分光光度計20、及び分光カメラ30に接続されており、これらの表示装置11、分光光度計20、及び分光カメラ30と通信する。
第三メモリー42は、校正装置40を制御する各種プログラムを記憶する。
第三プロセッサー43は、第三メモリー42に記録されたプログラムを読み込み実行することで、光出力指令部431、対象色選択部432、測定値取得部433、基準値取得部434、露光補正部435、階調値抽出部436、正規化処理部437、及び行列算出部438として機能する。
測定値取得部433は、分光カメラ30に対して、分光画像の撮像を指令する分光測定指令を送信し、分光カメラ30から分光画像を受信する。分光測定器である分光カメラ30から得られる分光画像は、分光測定による測定結果であり、本開示の測定値を含む。すなわち、分光画像の各画素の階調値が本開示の測定値に相当する。分光カメラ30は、分光測定指令を受信すると、分光フィルター32の透過波長を順次切り替えて、各波長に対する撮像画像である分光画像を撮像する。この際、1つの基準画像の画像光に対して複数の波長に対応する分光画像を取得する。つまり、表示装置11から出射される画像光の色が切り替えられる毎に、複数の波長の分光画像が撮像される。例えば、本実施形態では、上述のように、表示装置11に29色の基準画像を順次出力するように指令が出され、各基準画像に対して16バンドの分光画像を取得する場合、29×16個の分光画像が得られる。
なお、本実施形態では、分光カメラ30は、撮像部33で画像光を撮像した際の露光時間を計測し、分光画像に関連付けて校正装置40に出力する。露光補正部435は、測定値取得部433により分光画像とともに受信した露光時間に基づいて、分光画像の各画素の階調値を補正する。
また、階調値抽出部436は、補正点の測定値の抽出に関し、ノイズの影響を抑制するため、補正点と、その周囲画素との階調値を取得し、これらの画素の階調値の平均を補正点に対する測定値とする。
行列算出部438は、正規化された測定値、及び分光基準値を用いて、測定値を分光基準値に変換するための変換行列を算出する。なお、本実施形態の変換行列は、分光画像の補正点の階調値を、三刺激値に変換する色変換行列となる。
本実施形態の校正システム1は、校正対象である分光カメラ30の色補正を行う。
図4は、本実施形態の校正方法を示すフローチャートである。
分光カメラ30の校正処理、つまり、変換行列の生成処理では、まず、図1に示すように、表示装置11、分光光度計20、及び分光カメラ30を積分球12に接続し、校正装置40に校正処理の開始を指令する。
これにより、校正装置40は、まず、画像光の色を示すカラー変数cを初期化してc=1とする(ステップS1)。なお、カラー変数cの最大値はCmaxである。上述したように、本実施形態では、表示装置11から赤色、緑色、青色、及びグレーの基準画像を表示させる。ここで、カラー変数と、基準画像の色とは予め対応付けられており、c=CR1~CRMが赤色の基準画像に対応し、c=CG1~CGMが緑色の基準画像に対応し、c=CB1~CBMが青色の基準画像に対応し、c=CK1~CKMがグレーの基準画像に対応ものとする。
例えば、赤色、緑色、及び青色の単色基準画像の階調値をそれぞれ7パターンで変化させ、グレーの合成色基準画像の階調値をそれぞれ8パターンで変化させる場合では、Cmax=29である。また、例えば、CR1=1、CRM=7として、c=1~7を赤色に対応する変数とし、CG1=8、CGM=14として、c=8~14を緑色に対応する変数とし、CB1=15、CBM=21として、c=15~21を青色に対応する変数とし、CK1=22、CKM=Cmax=29として、c=22~29をグレーに対応する変数とすることができる。
そして、光出力指令部431は、表示装置11に対してカラー変数cに対応する基準画像の画像光を出射させる旨の出力指令を送信する(ステップS2)。ステップS2により校正装置40から表示装置11に画像光の出力指令が入力されると、表示装置11の出力制御部114Aは、駆動パラメーターに基づいて画像光生成部111を制御し、カラー変数cに対応した色の画像光を生成して積分球12に出射する。なお、ステップS2で表示装置11から出力される各画像光は、表示装置11の色補正を行う場合に用いられる色の基準画像である。
基準値取得部434は、分光光度計20から基準三刺激値xCを受信すると(ステップS4:基準値取得ステップ)、第三メモリー42に記憶する。
これにより、分光カメラ30は、積分球12から出射される均一光の画像光を撮像し、分光画像を得る。具体的には、撮像制御部361は、分光フィルター32を透過させる光の波長を、複数の波長に切り替え、各波長に対する分光画像をそれぞれ取得する。
ここで、カラー変数cの画像光に対する波長λaの分光画像をD0(x,y,c,λa)とする。なお、(x,y)は、分光画像の画素位置を示す。また、aは、分光画像の波長に対応する変数であり、最大値はamaxである。例えば、400nm~700nmを20nm間隔で16バンドの分光画像を撮像する場合、amax=16、λ1=400nm、λ16=700nmであり、D0(x,y,c,λ1)からD0(x,y,c,λ16)の16個の分光画像が得られる。
この際、分光カメラ30は、各波長の分光画像を撮像した際の、撮像部33への画像光の露光時間t(c,λa)をそれぞれ計測し、撮像された分光画像と関連付けて校正装置40に送信する。
校正装置40の測定値取得部433は、分光カメラ30から分光画像DC0(x,y,c,λa)を受信すると(ステップS6:測定値取得ステップ)、第三メモリー42に記憶する。
具体的には、階調値抽出部436は、各分光画像から、|x-xi|≦Δ、|y-yj|≦Δとなる画素の階調値{s(c,λa)}i,jを抽出する。Δは、予め設定された値であり、例えば、補正点から1画素内の画素を抽出する場合は、Δ=1である。そして、これらの画素の階調値の平均値を算出して、測定値S(i,j,c,λa)とする。
次に、正規化処理部437は、ステップS10で選択された対象色に関して、測定値SC及び基準三刺激値xCを、表示装置11からカラー変数cの画像光を出力した際の、画像光の輝度値LCで除算して正規化する(ステップS11)。具体的には、正規化処理部437は、下記式(2)~(9)に示すように、正規化処理を実施する。
緑色、青色、及びグレーについても同様である。ステップS9で緑色が選択された場合は、式(4)及び式(5)により、緑色に対する正規化測定値AG及び正規化基準値BGを求める。ステップS9で青色が選択された場合は、式(6)及び式(7)により、青色に対する正規化測定値AB及び正規化基準値BBを求める。また、ステップS9でグレーが選択された場合では、式(8)及び式(9)により、グレーに対する正規化測定値AK及び正規化基準値BKを求める。
よって、赤色の正規化測定値ARは、amax×CRMの行列、緑色の正規化測定値AGは、amax×CGMの行列、青色の正規化測定値ABは、amax×CBMの行列、グレーの正規化測定値AKは、amax×CKMの行列となる。また、赤色の正規化基準値BRは、3×CRMの行列、緑色の正規化基準値BGは、3×CGMの行列、青色の正規化基準値BBは、3×CBMの行列、グレーの正規化基準値BKは、3×CKMの行列となる。また、これらの正規化測定値AR,AG,AB,AK及び正規化基準値BR,BG,BB,BKは、補正点の数だけ算出される。
以上の後、行列算出部438は、以下の式(10)から式(13)に基づいて、測定値を三刺激値に変換する変換行列MC(i,j)を算出する(ステップS12)。なお、変換行列MC(i,j)の添え字の「C」は、補正対象の色を示すものであり、赤色の場合C=R、緑色の場合C=G、青色の場合C=G、グレーの場合C=Kである。
ステップS12では、ステップS10において選択された対象色に対する各変換行列MC(i,j)を算出する。
この後、第三プロセッサー43は、全ての色に対する変換行列MC(i,j)が算出されたか否かを判定し(ステップS13)、変換行列MC(i,j)が算出されていない色がある場合は、ステップS10に戻って、変換行列MC(i,j)が算出されていない他の対象定色を選択する。以上により、行列算出部438は、各色の変換行列MC(i,j)、つまり、赤色変換行列MR(i,j)、緑色変換行列MG(i,j)、青色変換行列MB(i,j)、及びグレー変換行列MK(i,j)を算出する。
一般に、人の目により暗色を知覚する場合、明るい環境より、暗い環境の方が色の判別精度が高い。例えば、暗所で表示装置11から画像光を照射して画像を表示する場合、明所で画像光を表示する場合に比べて、人の目は、暗色の色の違いをより明確に区別することができる。ここで、ステップS11による正規化処理を実施しない場合、暗色と明色とで、分光カメラ30で測定された測定値Scを三刺激値に変換する際の色変換誤差が同程度になる。この場合、暗所での暗色に対する色変換誤差が大きくなり、上記のような人の目に対応した色変換ができない可能性がある。これに対して、本実施形態では、ステップS10の処理を実施することで、暗所での色変換誤差を抑制できる。
また、本実施形態では、赤色、緑色、青色、及びグレーに対するそれぞれの変換行列Mが算出される。したがって、全ての色に関して同一の変換行列を用いる場合に比べて、各色の色補正の精度を向上させることができる。
次に、表示装置11における画像補正処理、及び分光カメラ30での測定処理について説明する。
図5は、画像補正処理を示すフローチャートである。
本実施形態の表示装置11により画像補正を行う場合、出力制御部114Aは、画像光生成部111を制御して、所定のテスト画像を投射対象に対して投射させる(ステップS21)。投射するテスト画像は、赤色、緑色、及び青色の単色基準画像、及びグレーの合成色基準画像である。
次に、表示装置11は、画像における測定点の位置座標と、投射するテスト画像の色と、を含む測色要求を、分光カメラ30に送信する(ステップS22)。
ここで、図6に校正装置40により変換行列が算出された補正点Pと、表示装置11の測定点Qとの関係を示す。なお、図6において、補正点Pは白丸、測定点Qは黒丸で示している。また、外枠50は、分光カメラ30の撮像部33により撮像される撮像画像の外枠である。破線の円は、分光カメラ30において、分光フィルター32の第一反射膜323と第二反射膜324とが重なり合う領域であり、撮像画像のうち、分光フィルター32により分光された光が入射する光の分光範囲51を示す。本実施形態では、撮像部33により撮像される撮像画像の外枠50の内側に分光範囲51が含まれるが、分光範囲51内の所定領域を撮像部33で撮像するよう撮像範囲が設定されていてもよい。
さらに、図6において内枠52は、表示装置11から画像光が投射対象に投射されることで形成された表示画像を示している。つまり、表示画像が分光範囲51に含まれるように、表示装置11、分光カメラ30、投射対象の位置が設定されている。
そして、分光カメラ30の撮像制御部361は、投射対象に投射された画像の分光画像を撮像する(ステップS32)。
具体的には、撮像制御部361は、分光フィルター32を透過させる光の波長を、複数の波長に切り替え、各波長に対する分光画像をそれぞれ取得する。また、撮像制御部361は、各波長の分光画像の各画素の階調値を、その波長の分光画像を撮像した際の露光時間で除算して、階調値を補正する。
具体的には、校正装置40が実施したステップS9と同様に、各分光画像から、|x-xm|≦Δ、|y-yn|≦Δとなる画素の階調値{s(λa)}m,nを抽出する。そして、これらの画素の階調値{s(λa)}m,nの平均値を算出して、測定値SC(m,n,λa)とする。
つまり、分光カメラ30の第二メモリー35に記憶される変換行列は、分光画像の分光範囲内の所定の補正点Pに対するものである。しかしながら、図6に示すように、表示装置11から指令される測定点Qと、補正点Pとは必ずしも一致するとは限らない。
そこで、補間部363は、以下の式(14)に示すように、補正点Pの変換行列MC(i,j)から、位置(m,n)の測定点Qの変換行列MC(m,n)を内挿補間により算出する。
表示装置11の画像補正部114Cは、分光カメラ30から測定点Qに対する三刺激値X(m,n)を受信すると、テスト画像の元データと比較して、画像光生成部111を駆動させる際の駆動パラメーターを補正する(ステップS23)。
本実施形態の校正装置40は、測定値取得部433、基準値取得部434、及び行列算出部438として機能する第三プロセッサー43を有する。測定値取得部433は、光源部10からの均一光を校正対象となる分光カメラ30で分光測定した時の測定値を含む分光画像を取得する。基準値取得部434は、均一光を校正基準器である分光光度計20で測定した際の分光基準値、つまり基準三刺激値xCを取得する。行列算出部438は、測定値sC及び基準三刺激値xCに基づいて、測定値sCを三刺激値に変換するための変換行列MC(i,j)を算出する。また、本実施形態では、光源部10は、均一光として、複数種の単色光(赤色、緑色、及び青色)の単色基準画像、及びこれらの単色光を合成した合成色基準画像とを切り替えて出力可能、かつ、各基準画像の階調値を変更可能である。そして、行列算出部438は、階調値が異なる各単色基準画像及び合成色基準画像のそれぞれについての測定値sC及び基準三刺激値xCに基づいて、各単色光及び合成色光のそれぞれについての変換行列(変換行列MR(i,j),変換行列MG(i,j),変換行列MB(i,j),変換行列MK(i,j))を算出する。
これにより、分光画像の各補正点に対する変換行列MC(i,j)をそれぞれ算出することができ、補正点毎に高精度に測定値sCの色変換を行うことができる。
表示装置11から出力される画像光には、照明むらが含まれるが、積分球12に入射させることで、画像光の光量を均一にできる。
また、分光カメラ30を用いて、表示装置11の画像補正を行う場合、表示装置11から出力される画像光に基づいて変換行列を算出することで、表示装置11の画像補正の補正精度を高めることができる。
本実施形態の校正システム1は、表示装置11の画像補正を行う分光カメラ30の分光測定精度を向上させるものであり、表示装置11の色補正を行う際に用いる各色(赤、緑、青、グレー)の基準画像の画像光に基づいて、各色の変換行列MC(i,j)が算出される。これにより、表示装置11から出力される各色の基準画像に対する測定精度を向上させることができる。
次に第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、第一実施形態と同じ構成の校正システム1であり、校正装置40における校正方法の一部が、第一実施形態と相違する。
なお、以降の説明にあたり、既に説明した事項については、同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
つまり、本実施形態の校正装置40は、第一実施形態と同様、ステップS1からステップS9までの処理を実施し、測定値sCと、基準三刺激値xCとを取得する。
この際、本実施形態の校正装置40では、さらに、表示装置11から黒色画像を出力した際の測定値及び基準三刺激値を、それぞれ、黒色測定値sBL及び黒色基準三刺激値xBLとして取得する。なお、黒色画像は、合成色基準画像であるグレー画像のうちの、階調値を最も低くした画像(例えば、RGBの階調値を「0」にした画像)を用いてもよく、グレー画像とは別に黒色画像を用いてもよい。また、黒色と、黒に近い他の色の低階調色とを黒色画像群として、表示装置11から出力させてもよい。例えば、赤色、緑色、青色、及びグレーの最も低い階調値の色の画像と、2番目に低い階調値の色の画像と、黒色との9色を黒色画像群に含ませてもよい。以降の説明では、黒色画像群を「BL」で表す。
測定値sC、基準三刺激値xC,黒色測定値sBL、及び黒色基準三刺激値xBLは以下の構成要素を有する。
次に、行列算出部438は、以下の式(26)から式(30)により通常変換行列MC(i,j)及び黒色変換行列MBL(i,j)を算出する。
すなわち、表示装置11は、ステップS21により、投射対象にテスト画像を出力して画像を表示させる。この際、まず、表示装置11は、黒色画像を出力し、ステップS22を実施して、分光カメラ30に測色要求を送信する。
これにより、分光カメラ30は、黒色画像に対して、ステップS31からステップS34を実施し、測定点Qに対する変換行列を内挿補間により算出する。内挿補間では、式(14)と略同様にして、測定点Qに対する黒色変換行列MBL(m,n)を算出する。
これにより、分光カメラ30は、基準画像に対して、ステップS31からステップS34を実施し、測定点Qに対する変換行列を内挿補間により算出する。内挿補間では、式(14)と略同様にして、測定点Qに対する黒色変換行列MBL(m,n)を算出する。
本実施形態の校正装置40では、光源部10は、さらに、表示装置11において黒色の画像光(黒色画像)を出力させる。そして、行列算出部438は、各単色光、及び合成色光の測定値sCを、黒色画像に対する測定値sBL0で減算し、各単色光、及び合成色光の基準三刺激値xCを、黒色画像に対する基準三刺激値xBL0で減算した後、各単色光及び合成色光に対する変換行列MC(i,j)を算出する。
このように、黒色以外の色に対する通常変換行列MC(i,j)と、黒色に対応する黒色変換行列MBL(i,j)をそれぞれ別に求めることで、暗色に対する測定値を三刺激値に色変換する際の、補正精度、及び色変換精度をさらに高めることができる。
なお、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、式(10)から式(13)、又は、式(26)から式(30)により、最小二乗法に基づいて変換行列を算出したが、これに限定されない。行列算出部438は、例えば、主成分回帰法や、部分的最小二乗回帰法を用いて変換行列を算出してもよい。
上記実施形態では、分光光度計20により、三刺激値を測定し、分光カメラの補正点Pに対する測定値を補正して三刺激値に色変換する変換行列を算出したが、これに限定されない。
例えば、分光光度計が、L*a*b*値、反射率スペクトル等の他の色座標を計測する基準校正器であってもよい。この場合、行列算出部438は、測定値をL*a*b*値や反射率スペクトル等に変換する変換行列を算出することができる。
また、校正基準器として、分光光度計20を用いたが、校正済みの分光カメラを用いてもよい。
上記実施形態では、画像光を出射する表示装置11の画像補正を行うための分光カメラ30、及びその分光カメラ30の校正を行う校正装置40を例示したが、これに限定されない。例えば、対象物の成分分析を行うための分光カメラ30の校正システム1として用いてもよい。この場合、光源部10は、表示装置11ではなく、ハロゲンランプ等の他の光源と積分球12により構成されていてもよい。
光源部10として、表示装置11から積分球12に画像光を入射させて均一光を生成する例を示したが、これに限定されない。例えば、光源からの光を拡散反射させる拡散反射板に照射し、拡散反射板で反射された光を分光光度計20及び分光カメラ30で測定してもよい。
上記実施形態では、表示装置11と、分光カメラ30とが、別体として設けられ、第一通信部112及び第二通信部34により通信可能に接続される例を示したが、表示装置11と分光カメラ30とが一体的に設けられる構成としてもよい。
校正装置40が露光補正部435を備える構成としたが、分光カメラ30の撮像制御部361が、撮像された分光画像の階調値を露光補正して校正装置40に出力するように構成されていてもよい。この場合、校正装置40の露光補正部435は不要にできる。
また、分光カメラ30の撮像部33が、受光する光の光量に応じて露光時間を変更しない場合では、露光補正を実施しなくてもよい。
上記実施形態では、表示装置11から、測定点Qの座標を分光カメラ30に送信してから、分光カメラ30による分光画像の撮像が実施された。これに対して、分光カメラ30による分光画像の撮像の後、分光画像を表示装置11に送信し、表示装置11は、受信した分光画像に基づいて測定点Qを設定してもよい。つまり、分光カメラ30と表示装置11とが別体である場合、分光カメラ30と表示装置11との相対位置が変化する場合があり、この場合、分光画像において、表示装置11により投射された画像光の投射範囲が変動する場合がある。表示装置11が、分光画像に基づいて、測定点Qを設定する場合では、分光画像で画像光の投射範囲が変動しても、正しく測定点Qを設定することができる。
上記実施形態では、分光カメラ30の第二メモリー35に変換行列が記憶され、分光カメラ30の補間部363及び色補正部364が、表示装置11から指示された測定点Qに対する三刺激値を算出する例を示した。
これに対して、変換行列が表示装置11の第一メモリー113に記憶され、第一プロセッサー114が、補間部363や色補正部364として機能してもよい。この場合、分光カメラ30は、分光画像を撮像すると、撮像した分光画像を表示装置11に送信する。そして、表示装置11において、測定点Qに対する変換行列を内挿補間により算出し、測定点Qに対する三刺激値を算出する。
上記実施形態では、分光測定器として、分光カメラ30を例示したが、所定の測定点に対する分光測定処理を実施する分光測定器であってもよい。
上記実施形態では、分光フィルター32として、図3に示すようなファブリーペロー素子を例示したが、これに限定されない。分光フィルター32としては、その他、AOTFやLCTF等の各種分光素子を用いることができる。
本開示の第一態様に係る校正装置は、光源部からの均一光を校正対象となる分光測定器で分光測定した時の測定値を取得する測定値取得部と、前記均一光を校正基準器で測定した際の測定結果である分光基準値を取得する基準値取得部と、前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、前記測定値を所定の色座標値に色変換する変換行列を算出する行列算出部と、を備え、前記光源部は、前記均一光として、複数種の単色光、及び複数種の前記単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え可能、かつ、前記均一光の階調値を変更可能であり、前記行列算出部は、階調値が異なる複数種の前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、各前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての変換行列を算出する。
これにより、分光画像の各補正点に対する変換行列をそれぞれ算出することができ、補正点毎に高精度に測定値の色変換を行うことができる。
一般に、表示装置から出力される画像光には、照明むらが含まれるが、本態様では、積分球に当該画像光を入射させることで、画像光の光量を均一にできる。また、分光カメラを用いて、表示装置の画像補正を行う場合、表示装置から出力される画像光に基づいて変換行列を算出することで、当該表示装置の画像補正の補正精度を高めることができる。
一般に、表示装置の画像補正を行う場合、表示装置から出力されるテスト画像(基準画像)を分光カメラで撮像し、撮像した分光画像に基づいて、表示装置の画像補正を行う。この場合、分光カメラでの分光測定精度を向上させることで、表示装置の画像補正の補正精度も高めることができる。これに対して、本態様では、表示装置の色補正を行う際に一般に用いられる赤、緑、青、グレーの基準画像の画像光に基づいて、各色の変換行列を算出する。このため、当該基準画像に基づいて算出された変換行列を用いることで、表示装置の画像補正を行う際の分光カメラの測定精度を向上させることができる。
これにより、黒色以外の色に対する変換行列と、黒色に対応する黒色変換行列をそれぞれ別に求めることで、暗色に対する測定値を三刺激値に色変換する際の、補正精度、及び色変換精度をさらに高めることができる。
これにより、上記第一態様と同様、色毎の変換行列を算出することができるので、分光測定器で各色光を測定した場合に、各色の測定値を所定の測色パラメーターに色変換する際の変換誤差を極めて小さくでき、精度の高い測色を行うことができる。
これにより、コンピューターにより、第二態様に記載の校正方法を実施させることができ、上記第一態様と同様、色毎の変換行列を算出することができるので、分光測定器で各色光を測定した場合に、各色の測定値を所定の測色パラメーターに色変換する際の変換誤差を極めて小さくでき、精度の高い測色を行うことができる。
これにより、分光カメラで各波長に対する分光画像を撮像し、各画素に対する分光スペクトルが得られた場合に、色補正部によって、各画素の分光スペクトルを所定の測色パラメーターに色補正することができる。この際、上述のように、各色に対してそれぞれ変換パラメーターが設定されているので、色補正時の誤差を極めて小さくでき、分光画像を精度よく補正することができる。
Claims (8)
- 光源部からの均一光を校正対象となる分光測定器で分光測定した時の測定値を取得する測定値取得部と、
前記均一光を校正基準器で測定した際の測定結果である分光基準値を取得する基準値取得部と、
前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、前記測定値を所定の色座標値に色変換する変換行列を算出する行列算出部と、を備え、
前記光源部は、前記均一光として、複数種の単色光、及び複数種の前記単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え可能、かつ、前記均一光の階調値を変更可能であり、
前記行列算出部は、階調値が異なる複数種の前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、各前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての変換行列を算出する
ことを特徴とする校正装置。 - 請求項1に記載の校正装置において、
前記分光測定器は、複数の波長に対する分光画像を撮像する分光カメラであり、
前記測定値取得部は、前記分光画像における所定の補正点の階調値を前記測定値として取得する
ことを特徴とする校正装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の校正装置において、
前記光源部は、所定色の画像光を出力する表示装置と、前記画像光を均一化する積分球とを備える
ことを特徴とする校正装置。 - 請求項3に記載の校正装置において、
前記光源部は、前記表示装置から、前記単色光として、赤色、緑色、及び青色の各色光を出力させ、前記合成色光として、前記赤色、前記緑色、及び前記青色の各前記単色光を同じ諧調値で合成したグレーの色光を出力させ、
前記行列算出部は、前記赤色に対する赤色変換行列、前記青色に対する青色変換行列、前記緑色に対する緑色変換行列、及び前記グレーに対するグレー変換行列をそれぞれ算出する
ことを特徴とする校正装置。 - 請求項3又は請求項4に記載の校正装置において、
前記光源部は、さらに、前記表示装置において黒色の画像光を出力させ、
前記行列算出部は、各前記単色光、及び前記合成色光の前記測定値を、前記黒色の前記画像光に対する前記測定値で減算し、各前記単色光、及び前記合成色光の前記分光基準値を、前記黒色の前記画像光に対する前記分光基準値で減算した後、各前記単色光及び前記合成色光に対する前記変換行列を算出する
ことを特徴とする校正装置。 - 分光測定器で測定された測定値を所定の色座標値に色変換する変換行列を算出する校正方法であって、
光源部からの均一光を校正対象となる前記分光測定器で分光測定した時の測定値を取得する測定値取得ステップと、
前記均一光を校正基準器で測定した際の測定結果である分光基準値を取得する基準値取得ステップと、
前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、前記変換行列を算出する行列算出ステップと、を実施し、
前記測定値取得ステップ及び前記基準値取得ステップでは、前記光源部から、前記均一光として、複数種の単色光、及び複数種の前記単色光のいくつかを合成した合成色光にそれぞれ切り替え、かつ、前記均一光の階調値を変更して、それぞれの前記単色光及び前記合成色光のそれぞれの前記階調値に対する、前記分光測定器による前記測定値、及び前記校正基準器による前記分光基準値を取得し、
前記行列算出ステップでは、前記測定値及び前記分光基準値に基づいて、各前記単色光及び前記合成色光のそれぞれについての前記変換行列を算出する
ことを特徴とする校正方法。 - コンピューターにより読み取り実行可能な校正プログラムであって、
前記コンピューターに、請求項6に記載の校正方法を実施させる
ことを特徴とする校正プログラム。 - 請求項2および請求項2を引用する請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の校正装置により算出された前記変換行列が記録される記録部と、
複数の波長に対する分光画像を撮像する撮像部と、
前記変換行列を用いて前記分光画像の所定位置の色を補正する色補正部と、
を備えることを特徴とする分光カメラ。
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