JP6848362B2 - ラクチド回収方法 - Google Patents
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Description
また、本発明者は、ポリ乳酸を解重合することにより生成するラクチドをガス状化して回収する方法を先に提案したが(特願2015−240041号、特願2016−015501号、特願2016−007553号参照)、上記のような配管詰まり等についての検討はしていなかった。
本発明の他の目的は、ラクチド回収ライン中の配管洗浄を、ラクチド回収プロセスを停止することなく行なえるラクチド回収方法を提供することにある。
前記凝縮ラインは、冷却温度が順次低くなるように、複数の凝縮器が直列に配列しており、これらの凝縮器によって前記ガス混合物から、ラクチドの捕集及びラクチド以外の不純物の分離を行うことを特徴とするラクチド回収方法が提供される。
(1)前記ラクチドが、ポリ乳酸の解重合により生成したものであること。
(2)前記ガス混合物を、乳酸オリゴマー成分を除去するための気液分離塔を通して、前記凝縮ラインに連続的に導入すること。
(3)前記複数の凝縮器として、第1の凝縮器、第2の凝縮器及び第3の凝縮器がこの順に配置されていること。
(4)0.1〜8KPaAの真空度範囲で前記ガス混合物を真空引きすること。
(5)第1の凝縮器での熱交換温度が60〜140℃に設定していること。
(6)前記凝縮ラインは、前記ガス混合物を該凝縮ラインに導入するための導入ラインと、真空引きのための真空ポンプに連なる終結ラインとを含み、更に、該導入ラインと該終結ラインとの間に切替バルブを介して枝分かれした並列ラインを有しており、該並列ラインには、それぞれ少なくとも最も下流側に位置する凝縮器を含むように少なくとも1つの凝縮器が設けられており、
前記並列ラインの枝分かれしている流路のそれぞれに、切替バルブを介して真空引き洗浄ラインが連結されていること。
(7)前記ガス混合物を前記並列ラインの枝分かれしている一方の流路に流して、ラクチドの回収を行い、同時に前記並列ラインの枝分かれしている他方の流路に連なる前記真空引き洗浄ラインを動作させて真空洗浄を行うこと。
(8)前記導入ラインに第1の凝縮器が配置され、前記並列ラインの枝分かれした流路のそれぞれに残りの凝縮器が配置されていること。
また、用いるポリ乳酸は、少量の共重合単位が組みこまれているもの、例えば、50モル%以上が乳酸単位であることを条件として、ラクチドと共重合可能なラクトン類、環状エーテル類、環状アミド類、各種アルコール類、カルボン酸類などに由来する単位を含んでいてもよい。
また、キャリヤ樹脂は、ラクチドを含んだポリ乳酸に比して溶融粘度が高いことから、これをある程度以上の量で使用してポリ乳酸と溶融混合することにより、押出機のシリンダー内面とスクリューとの間の空隙を溶融混合物が充満した状態を維持しながら、該溶融混合物をスクリュー搬送することができる。即ち、キャリヤ樹脂の使用により、シリンダー内面とスクリューとの間の空隙が常にシールされている状態を保持することが可能となり、これにより、ベント室3の減圧を効果的に行うことができる。
また、溶融粘度が低いキャリヤ樹脂の場合においても、PLAの解重合温度より高い熱分解温度を有する樹脂(PET・PC・PSなど)であれば、それ自体が熱分解することがないため、ポリ乳酸、及び、その解重合物をスクリュー搬送(前走)させることができ、適用することが可能である。
即ち、押出機1のシリンダーを覆うように設けられているヒーター(図示せず)によりシリンダー内部が加熱され、シリンダー内部を走行しているスクリューにより、撹拌及び搬送されながら、溶融混合が行われ、250℃以上の温度でポリ乳酸を解重合することとなる。押出機1としては、通常、2本以上のスクリューを備えた2軸押出機が使用され、シリンダー内部を250℃〜350℃に加熱して溶融混合が行われ、この溶融混合に伴い、ポリ乳酸の解重合が始まり、ポリ乳酸の低分子量化が進行していくこととなる。
また、このベント室3の天井壁17は、傾斜構造を有しており、この傾斜した部分に覗き窓19が取り付けられており、この覗き窓19からベント室3の内部、特に第1のスクリュー搬送路11の状態を常時観察できるようになっている。
さらに、上記の覗き窓19の下方端部は、第1のスクリュー搬送路11から上方に立ち上がっている側壁13の外側部分にまで延びており、その下側には、還流液の受け槽21が設けられている。即ち、この受け槽21は、上記の側壁13によって第1のスクリュー搬送路11とは区画されており、還流液がスクリュー搬送路11に混ざらないようになっている。
また、適宜配置される落とし込みスクリュー25は、ベント室3内に選択的に設けられているものであり、第1搬送スクリュー23aと係合しており且つ搬送スクリュー23aとは逆方向(ニップ位置では同方向)に回転するように設けられている。
このように、落とし込みスクリュー25は、樹脂塊30を第1のスクリュー搬送路11に戻すための戻し部材として機能し、これにより、樹脂塊30の成長を抑制し、樹脂塊30の成長による不都合を有効に防止することができる。
また、スクリュー搬送路11から浮いてしまった樹脂塊30をスクリュー搬送路11に戻すことができる限り、落とし込みスクリュー25以外の部材を戻し部材として用いることもできる。例えば、第1搬送スクリュー23a,23bにより搬送されている溶融混合物からガス状化して捕集管15に流れるラクチドの流路を阻害しないように、第1搬送スクリュー23a及び/または23bの上方を覆うようにプレート状の戻し部材や、スクリュー羽根の代わりに楕円形状の羽根が複数配列されている回転シャフトなども戻し部材として好適に使用することができる。
即ち、ポリ乳酸、解重合用触媒及びキャリヤ樹脂を含む溶融混合物を、第1のスクリュー搬送路11により押出機1からベント室3に導入していき、ラクチドのガス状化を連続して行っていくと、覗き窓19の面で結露による液滴31(即ち、還流液)を生じる場合がある。この液滴31が第1のスクリュー搬送路11に滴下すると、この搬送路11を走行している第1搬送スクリュー23a,23bの表面或いはシリンダー壁27の内表面を覆うように液膜が形成されてしまい、溶融混合物がスリップし易くなり、結果として、前述した樹脂塊30を生成し易くなってしまう。
また、液滴31の第1のスクリュー搬送路11への落下は、ラクチドの気化と液化の繰り返しをもたらし、ラクチドのラセミ化を促進させ、得られるラクチドの光学的純度を低下させるが、上記のような構造のベント室3では、このような不都合も有効に回避することができる。
このようにしてラクチドの回収を行う本発明において、ベント室3内は、真空ポンプ7による真空引きによって0.1〜8KPaAの圧力に保持され、これにより加熱されたラクチドがベント室3内でガス化され、ガス状化ラクチドが捕集管15から捕集装置5内に導入されて、凝縮ラインAから回収される。例えば、ベント室3内の圧力が、上記範囲よりも低いと、真空度が高すぎるため、樹脂塊が多くできることとなり、ベントアップしやすくなってしまい、上記範囲よりもベント室3内の圧力が高いと、真空度が低すぎるため、ラクチドの沸点降下が不十分であり、ラクチドガス化が不十分となり、回収効率が低下する傾向がある。また、このような回収作業は、ベント室3内の圧力変動を極力抑制して行うことが必要である。具体的には、圧力変動が±1KPaA内に抑制されることが望ましい。この圧力変動が過度に大きいと、溶融樹脂混合物中に含まれるラクチドの沸点変化が大きくなり、その結果、ベントアップが生じやすくなったり、あるいは、回収効率の低下の原因となる。
従って、ベント室3からのガス状混合物の気液分離塔51及び凝縮ラインAへの供給を効率よく行うため、気液分離塔51及び凝縮ラインAはベント室3よりも高い位置に設置されていることが好適である。
上記の第2の凝縮器73a、73b及び第3の凝縮器75a、75bは、それぞれ図2における第2の凝縮器73、第3の凝縮器75に相当する。
同様にして、他方の並列ラインXbにおいては、切替バルブMから延びている連結ライン83bには、切替バルブMbが設けられており、この連結ライン83bは、第2の凝縮器73bに連なっている。また、第2の凝縮器73bは、連結ライン85bにより、第3の凝縮器75bに連なっており、第3の凝縮器75bからは、切替バルブVに連なる終結ライン87bが延びている。この終結ライン87bには、切替バルブMb’が設けられている。
また、並列ラインXa中の切替バルブMa’及び、並列ラインXb中の切替バルブMb’には、調圧バルブ103、真空チャンバー105、及びフィルター111を備え、且つクリーニング用真空ポンプ107を備えた排気ライン109が連結されている。
このような並列ラインXa、Xb、クリーニングガス導入ライン101及び、排気ライン109に設けられている各種バルブは、いずれも図示されていないバルブ制御措置によってその開閉がされており、これにより、一方の並列ラインXaに第1の凝縮器71から排出されたガス混合物が流れて、第2の凝縮器73a及び第3の凝縮器75aでの冷却により、低分子量化合物が除去されるときには、他方の並列ラインXbには、例えば室温以上、好ましくは50℃以上に加熱されたクリーニングガスが流されて、配管等の洗浄が行われるようになっている。
また、切替バルブMaのクリーニングガス導入ライン101側が閉じられ、さらに、切替バルブMa’の排気ライン109側が閉じられている。従って、第1の凝縮器71を出たガス混合物は、切替バルブMから、第2の凝縮器73aを通って低分子量化合物が除去され、さらに、第3の凝縮器75aを通ってさらに低分子量の化合物が除去され、切替バルブVを通り、フィルター93を通って、真空ポンプ7より排気される。
従って、この状態でクリーニング用真空ポンプ107を作動させると、所定のガス源からクリーニングガスが導入ライン101を通って、並列ラインXb内に流れ込み、連結ライン83b、第2の凝縮器73b、連結ライン85b、第3の凝縮器75b、終結ライン87bから、バルブMb’を通って、排気ライン109に流れ、真空チャンバー105、フィルター111の順に通り、クリーニング用真空ポンプ107から排出される。
すなわち、図5に示されているように、切替バルブMが並列ラインXb側に開放され(並列ラインXa側が閉じられている)、且つ、切替バルブVは並列ラインXb側に開放された状態(並列ラインXa側が閉じられた状態)に制御されている。
また、切替バルブMbのクリーニングガス導入ライン101側が閉じられ、さらに、切替バルブMb’の排気ライン109側が閉じられている。従って、第1の凝縮器71を出たガス混合物は、切替バルブMから、第2の凝縮器73bを通って低分子量化合物が除去され、さらに、第3の凝縮器75bを通ってさらに低分子量の化合物が除去され、切替バルブVを通り、フィルター93を通って、真空ポンプ7より排気される。
従って、この状態でクリーニング用真空ポンプ107を作動させると、所定のガス源からクリーニングガスが導入ライン101を通って、並列ラインXa内に流れ込み、連結ライン83a、第2の凝縮器73a、連結ライン85a、第3の凝縮器75a、終結ライン87aから、バルブMa’を通って、排気ライン109に流れ、真空チャンバー105、フィルター111の順に通り、クリーニング用真空ポンプ107から排出される。
3:ベント室
5:捕集装置
7:真空ポンプ
15:捕集管
51:気液分離塔
71:第1の凝縮器
73(73a、73b):第2の凝縮器
75(75a、75b):第3の凝縮器
101:クリーニングガス導入ライン
109:排気ライン
111:フィルター
A:凝縮ライン
Xa、Xb:並列ライン
Claims (8)
- ラクチドを含む樹脂混合物を減圧下に保持し、該樹脂混合物中に含まれるラクチドをガス化し、ガス状ラクチドを含むガス混合物を真空引きしながら、凝縮ラインに導入してラクチドを回収する方法において、
前記凝縮ラインは、冷却温度が順次低くなるように、複数の凝縮器が直列に配列しており、これらの凝縮器によって前記ガス混合物から、ラクチドの捕集及びラクチド以外の不純物の分離を行うために、前記ガス混合物を該凝縮ラインに導入するための導入ラインと、真空引きのための真空ポンプに連なる終結ラインとを含み、更に、該導入ラインと該終結ラインとの間に切替バルブを介して枝分かれした並列ラインを有しており、該並列ラインには、それぞれ少なくとも最も下流側に位置する凝縮器を含むように少なくとも1つの凝縮器が設けられており、
前記並列ラインの枝分かれしている流路のそれぞれに、切替バルブを介して真空引き洗浄ラインが連結されていることを特徴とするラクチド回収方法。 - 前記ラクチドが、ポリ乳酸の解重合により生成したものである請求項1に記載のラクチド回収方法。
- 前記ガス混合物を、乳酸オリゴマー成分を除去するための気液分離塔を通して、前記凝縮ラインに連続的に導入する請求項2に記載のラクチド回収方法。
- 前記複数の凝縮器として、第1の凝縮器、第2の凝縮器及び第3の凝縮器がこの順に配置されている請求項1〜3の何れかに記載のラクチド回収方法。
- 0.1〜8KPaAの真空度範囲で前記ガス混合物を真空引きする請求項1〜4の何れかに記載のラクチド回収方法。
- 第1の凝縮器での熱交換温度を60〜140℃に設定している請求項4または5に記載のラクチド回収方法。
- 前記ガス混合物を前記並列ラインの枝分かれしている一方の流路に流して、ラクチドの回収を行い、同時に前記並列ラインの枝分かれしている他方の流路に連なる前記真空引き洗浄ラインを動作させて真空洗浄を行う請求項1〜6に記載のラクチド回収方法。
- 前記導入ラインに第1の凝縮器が配置され、前記並列ラインの枝分かれした流路のそれぞれに残りの凝縮器が配置されている請求項7に記載のラクチド回収方法。
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