JP6846258B2 - 有機電界発光素子用材料及びこれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子用材料及びこれを用いた有機電界発光素子 Download PDF

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Description

本発明はコラニュレン化合物を有機電界発光素子用材料として使用した有機電界発光素子に関するものであり、詳しくは、有機化合物を含む発光層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイスに関するものである。
一般に、有機電界発光素子(以下、有機EL素子という)は、その最も簡単な構造としては発光層及び該層を挟んだ一対の対向電極から構成されている。すなわち、有機EL素子では、両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入され、これらが発光層において再結合し、光を放出する現象を利用する。
近年、有機薄膜を用いた有機EL素子の開発が行われるようになった。特に、発光効率を高めるため、電極からキャリアー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行い、芳香族ジアミンからなる正孔輸送層と8-ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体(Alq3)からなる発光層とを電極間に薄膜として設けた素子の開発により、従来のアントラセン等の単結晶を用いた素子と比較して大幅な発光効率の改善がなされたことから、自発光・高速応答性といった特徴を持つ高性能フラットパネルへの実用化を目指して進められてきた。
また、素子の発光効率を上げる試みとして、蛍光ではなく燐光を用いることも検討されている。芳香族ジアミンからなる正孔輸送層とAlq3からなる発光層とを設けた素子をはじめとした多くの素子が蛍光発光を利用したものであったが、燐光発光を用いる、すなわち、三重項励起状態からの発光を利用することにより、従来の蛍光(一重項)を用いた素子と比べて、3〜4倍程度の効率向上が期待される。そして、蛍光発光材料としてクマリン誘導体やベンゾフェノン誘導体を発光層とすることが検討されてきたが、極めて低い輝度しか得られなかった。また、三重項状態を利用する試みとして、燐光発光材料としてユーロピウム錯体を用いることが検討されてきたが、これも高効率の発光には至らなかった。近年では、特許文献1に挙げられるように発光の高効率化や長寿命化を目的に燐光発光材料としてイリジウム錯体等の有機金属錯体を中心に研究が多数行われている。
WO01/041512 A1 特開2001-313178号公報 特開2007-55959号公報 特開2016-162982号公報 US2015/0060830 A1
Org. Lett., Vol. 6, No. 9, 2004, 1397-1400
高い発光効率を得るには、前記ドーパント材料と同時に、使用するホスト材料が重要になる。ホスト材料として提案されている代表的なものとして、特許文献2で紹介されているカルバゾール化合物の4,4'-ビス(9-カルバゾリル)ビフェニル(CBP)が挙げられる。CBPはトリス(2-フェニルピリジン)イリジウム錯体(Ir(ppy)3)に代表される緑色燐光発光材料のホスト材料として使用した場合、CBPは正孔を流し易く電子を流しにくい特性上、電荷注入バランスが崩れ、過剰の正孔は電子輸送層側に流出し、結果としてIr(ppy)3からの発光効率が低下する。
有機EL素子で高い発光効率を得るには、両電荷(正孔・電子)注入輸送特性においてバランスがとれたホスト材料が必要である。更に、電気化学的に安定であり、高い耐熱性と共に優れたアモルファス安定性を備える化合物が望まれており、更なる改良が求められている。
特許文献2、3、4、5および非特許文献1においては、以下に示すようなコラニュレン化合物が開示されている。
Figure 0006846258
しかしながら、コラニュレン環とインドロカルバゾール環が結合したコラニュレン化合物を用いた有機EL素子の有用性を示すものではない。
有機EL素子をフラットパネルディスプレイ等の表示素子に応用するためには、素子の発光効率を改善すると同時に駆動時の安定性を十分に確保する必要がある。本発明は、上記現状に鑑み、高効率かつ高い駆動安定性を有した実用上有用な有機EL素子及びそれに適する化合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、インドロカルバゾール環とコラニュレン環が結合したコラニュレン化合物を有機EL素子に用いることで優れた特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記一般式(1)で表されるコラニュレン化合物からなる有機電界発光素子用材料である。
Figure 0006846258
ここで、環Aは式(1a)で表される芳香族炭化水素環であり、環Bは式(1b)で表される複素環であり、環A及び環Bはそれぞれ隣接する環と任意の位置で縮合し、Arは置換若しくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3〜30の芳香族複素環基、又は該芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基の芳香族環が2〜6つ連結して構成される連結芳香族基であり、Rは独立に炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数3〜12の芳香族複素環基であり、a、b、cは置換数を表し、aおよびcは、各々独立して0〜3の整数であり、bは1〜2の整数である。
一般式(1)で表される有機電界発光素子用化合物には、一般式(2)〜(7)で表される化合物がある。
Figure 0006846258
上記一般式(2)〜(7)において、Ar、R、aは一般式(1)と同意である。
また、本発明は、基板上に、陽極、有機層及び陰極が積層されてなる有機電界発光素子において、上記の有機電界発光素子用材料を含む有機層を有することを特徴とする有機電界発光素子である。
上記の有機電界発光素子用材料を含む有機層が、発光層、電子輸送層、および正孔阻止層からなる群れから選ばれる少なくとも一つの層であること、又は燐光発光ドーパントを含有する発光層であることが好ましく、燐光発光ドーパントを含む場合、その発光波長が550nm以上の発光極大波長を有することが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用材料は、コラニュレン環と、一つ以上のインドロカルバゾールが結合した構造をとる。このような構造的特徴を有するコラニュレン化合物は、電子注入輸送性に影響を与える最低空軌道(LUMO)がコラニュレン環全体に広く分布することから、コラニュレン環に結合させた置換基の種類・数を変えることで、素子の電子注入輸送性が高いレベルで制御できる。一方で、インドロカルバゾール環上には、正孔注入輸送性に影響を与える最高被占軌道(HOMO)が広く分布しており、インドロカルバゾール基上の置換基の種類・数を変えることで、素子の正孔注入輸送性が高いレベルで制御できる。このような特性を有することから、本発明の材料は、両電荷(正孔・電子)注入輸送特性においてバランスがとれたホスト材料等として優れたものであり、これを有機EL素子に使用することで素子の駆動電圧の低減ならびに高い発光効率を達成できる。
また、本発明の有機電界発光素子用材料は、良好なアモルファス特性と高い熱安定性を示すと同時に励起状態で極めて安定であることから、これを用いた有機EL素子は駆動寿命が長く実用レベルの耐久性を有する。
有機EL素子の一構造例を示す断面図である。
本発明の有機電界発光素子用材料は、前記一般式(1)で表されるコラニュレン化合物である。このコラニュレン化合物は、コラニュレン環と、一つ以上のインドロカルバゾール環が結合した構造を有する。
一般式(1)において、環Aは式(1a)で表される芳香族炭化水素環であり、環Bは式(1b)で表される複素環であり、環A及び環Bはそれぞれ隣接する環と任意の位置で縮合する。環A及び環Bを含む6環の縮合環はインドロカルバゾール環であり、中央に5員環構造を有する6環の縮合環はコラニュレン環である。
a、b、cは置換数を表し、aおよびcは0〜3の整数であり、bは1〜2の整数であり、好ましくはaおよびcが0であり、bが1である。
インドロカルバゾール環は、コラニュレン環を構成する6員環の1つに結合するが、bが2である場合は2つのインドロカルバゾール環はそれぞれ別の6員環に結合する。
Arは置換若しくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3〜30の芳香族複素環基、又は該芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基の芳香族環が2〜6つ連結して構成される連結芳香族基である。
Rは独立に炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数3〜12の芳香族複素環基である。
Ar、Rが、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、又は連結芳香族基である場合について、説明する。なお、Rは炭素数の範囲がArより狭いので、上記Rの炭素数の範囲を超える具体例は、Arの例と解される。
未置換の芳香族炭化水素基の具体例としてはベンゼン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、テトラフェニレン、フルオランテン、ピレン、クリセン等の芳香族炭化水素化合物から水素を除いて生じる基が挙げられ、好ましくはベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナントレン、又はトリフェニレンから水素を除いて生じる基である。
未置換の芳香族複素環基の具体例としてはピリジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、ナフチリジン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、アクリジン、アゼピン、トリベンゾアゼピン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾホスホール、ジベンゾボロール、カルバゾール等の芳香族複素環化合物から水素を除いて生じる連結基が挙げられ、好ましくはピリジン、ピリミジン、トリアジン、キナゾリン、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェン、カルバゾールから水素を除いて生じる基である。
Rが炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基である場合の具体例としては、メチル、エチル、ヘキシル等のアルキル基が挙げられる。
本明細書において、芳香族炭化水素化合物又は芳香族複素環化合物の芳香族環が単結合で複数連結した芳香族化合物から水素を除いて生じる基を連結芳香族基という。連結芳香族基は、芳香族環が2〜6つ連結されて構成される基であり、連結される芳香族環は同一でも異なっていてもよく、芳香族炭化水素基と芳香族複素環基の両者が含まれてもよい。連結される芳香族環の数は2〜4が好ましく、より好ましくは2又は3である。連結芳香族基を構成する各芳香族基の炭素数は、Arが、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基である場合の炭素数の範囲内であり、合計の炭素数は60以下、好ましくは40以下であることがよい。
上記連結芳香族基の具体例としては、ビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル、フェニルナフタレン、ジフェニルナフタレン、フェニルアントラセン、ジフェニルアントラセン、ジフェニルフルオレン、ビピリジン、ビピリミジン、ビトリアジン、ビスジベンゾフラン、ビスジベンゾチオフェン、フェニルピリジン、フェニルピリミジン、フェニルトリアジン、フェニルカルバゾール、フェニルジベンゾフラン、ジフェニルピリジン、ジフェニルトリアジン、ビスジベンゾフラニルベンゼン等から水素を除いて生じる基が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又は連結芳香族基は、置換基を有してもよく、置換基を有する場合、好ましい置換基としては、炭素数1〜30のジアリルアミノ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又はアセチル基である。より好ましくは、炭素数1〜30のジアリルアミノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜2のアルコキシ基、又はアセチル基である。本明細書において、炭素数の計算には、置換基の炭素数を含むと理解される。
ここで、上記連結芳香族基は、2価の基の場合、例えば、下式で表わされ、直鎖状、又は分岐状で連結されてもよい。
Figure 0006846258
(Ar1〜Ar6は置換又は未置換の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環)
一般式(1)で表されるコラニュレン化合物には、一般式(2)〜(7)で表される化合物がある。上記一般式(2)〜(7)において、Ar、R、aは一般式(1)と同意である。
一般式(1)で表されるコラニュレン化合物は、目的とする化合物の構造に応じて原料を選択し、公知の手法を用いて合成することができる。
Chem Commun,2012,48,p6298−6300に示される合成例を参考にして以下の反応式により中間体Aを合成することができる。この中間体Aを使用してインドロカルバゾール基等の置換基を結合させて目的の化合物とすることができる。
Figure 0006846258
一般式(1)で表されるコラニュレン化合物の具体例を以下に示すが、本発明の有機電界発光素子用材料はこれらに限定されない。
Figure 0006846258
Figure 0006846258
Figure 0006846258
Figure 0006846258
Figure 0006846258
本発明の有機電界発光素子用材料(本発明の化合物又は一般式(1)で表わされる化合物又はコラニュレン化合物ともいう。)は、基板上に、陽極、複数の有機層及び陰極が積層されてなる有機EL素子の少なくとも1つの有機層に含有させることにより、優れた有機電界発光素子を与える。含有させる有機層としては、発光層、電子輸送層又は正孔阻止層が適する。ここで、発光層に使用する場合は、蛍光発光、遅延蛍光発光又は燐光発光性のドーパントを含有する発光層のホスト材料として使用することができるほか、本発明の化合物を蛍光及び遅延蛍光を放射する有機発光材料として使用することができる。蛍光および遅延蛍光を放射する有機発光材料として使用する場合、励起一重項エネルギー、励起三重項エネルギーの少なくとも何れか一方が本発明の化合物よりも高い値を有する他の有機化合物をホスト材料として使用することが好ましい。本発明の化合物は、燐光発光ドーパントを含有する発光層のホスト材料として含有させることが特に好ましい。
次に、本発明の有機電界発光素子用材料を用いた有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、基板上に積層された陽極と陰極の間に、少なくとも一つの発光層を有する有機層を有し、且つ少なくとも一つの有機層は、本発明の有機電界発光素子用材料を含む。有利には、燐光発光ドーパントと共に本発明の有機電界発光素子用材料を発光層中に含む。
次に、本発明の有機EL素子の構造について、図面を参照しながら説明するが、本発明の有機EL素子の構造は何ら図示のものに限定されるものではない。
図1は本発明に用いられる一般的な有機EL素子の構造例を示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を各々表わす。本発明の有機EL素子では発光層と隣接して励起子阻止層を有してもよく、また、発光層と正孔注入層との間に電子阻止層を有してもよい。励起子阻止層は発光層の陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。本発明の有機EL素子では、基板、陽極、発光層及び陰極を必須の層として有するが、必須の層以外の層に、正孔注入輸送層、電子注入輸送層を有することがよく、更に発光層と電子注入輸送層の間に正孔阻止層を有することがよい。なお、正孔注入輸送層は、正孔注入層と正孔輸送層のいずれか又は両者を意味し、電子注入輸送層は、電子注入層と電子輸送層のいずれか又は両者を意味する。
なお、図1とは逆の構造、すなわち、基板1上に陰極7、電子輸送層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、この場合も、必要により層を追加したり、省略したりすることが可能である。
−基板−
本発明の有機EL素子は、基板に支持されていることが好ましい。この基板については、特に制限はなく、従来から有機EL素子に慣用されているものであればよく、例えば、ガラス、透明プラスチック、石英などからなるものを用いることができる。
−陽極−
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In23−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
−陰極−
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
−発光層−
発光層は、陽極及び陰極のそれぞれから注入された正孔及び電子が再結合することにより励起子が生成した後、発光する層であり、発光層には有機発光材料とホスト材料を含む。
発光層が蛍光発光層である場合、蛍光発光材料は少なくとも1種の蛍光発光材料を単独で使用しても構わないが、蛍光発光材料を蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を含むことが好ましい。
発光層における蛍光発光材料としては、一般式(1)で表されるコラニュレン化合物を用いることができるが、多数の特許文献等により知られているので、それらから選択することもできる。例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリジン化合物、8-キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体、希土類錯体、遷移金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体等が挙げられる。好ましくは縮合芳香族化合物、スチリル化合物、ジケトピロロピロール化合物、オキサジン化合物、ピロメテン金属錯体、遷移金属錯体、ランタノイド錯体が挙げられ、より好ましくはナフタセン、ピレン、クリセン、トリフェニレン、ベンゾ[c]フェナントレン、ベンゾ[a]アントラセン、ペンタセン、ペリレン、フルオランテン、アセナフソフルオランテン、ジベンゾ[a,j]アントラセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]ナフタセン、ヘキサセン、アンタントレン、ナフト[2,1-f]イソキノリン、α-ナフタフェナントリジン、フェナントロオキサゾール、キノリノ[6,5-f]キノリン、ベンゾチオファントレン等が挙げられる。これらは置換基としてアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基を有していてもよい。
発光層における蛍光ホスト材料としては、一般式(1)で表されるコラニュレン化合物を用いることができるが、多数の特許文献等により知られているので、それらから選択することもできる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が使用できるが特に限定されるものではない。
前記蛍光発光材料を蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を含む場合、蛍光発光ドーパントが発光層中に含有される量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲にあることがよい。
通常、有機EL素子は、陽極、陰極の両電極より発光物質に電荷を注入し、励起状態の発光物質を生成し、発光させる。電荷注入型の有機EL素子の場合、生成した励起子のうち、一重項励起状態に励起されるのは25%であり、残り75%は三重項励起状態に励起されると言われている。Advanced Materials 2009, 21, 4802-4806.に示されているように、特定の蛍光発光物質は、項間交差等により三重項励起状態へとエネルギーが遷移した後、三重項−三重項消滅あるいは熱エネルギーの吸収により、一重項励起状態に逆項間交差され蛍光を放射し、熱活性化遅延蛍光を発現することが知られている。本発明の有機EL素子でも遅延蛍光を発現することができる。この場合、蛍光発光及び遅延蛍光発光の両方を含むこともできる。但し、発光の一部或いは部分的にホスト材料からの発光があってもよい。
発光層が遅延蛍光発光層である場合、遅延発光材料は少なくとも1種の遅延発光材料を単独で使用しても構わないが、遅延蛍光材料を遅延蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を含むことが好ましい。
発光層における遅延蛍光発光材料としては、一般式(1)で表されるコラニュレン化合物を用いることができるが、公知の遅延蛍光発光材料から選択することもできる。例えば、スズ錯体、インドロカルバゾール誘導体、銅錯体、カルバゾール誘導体等が挙げられる。具体的には、以下の非特許文献、特許文献に記載されている化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
1)Adv. Mater. 2009, 21, 4802-4806、2)Appl. Phys. Lett. 98, 083302 (2011)、3)特開2011-213643号公報、4)J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 14706-14709。
遅延発光材料の具体的な例を示すが、下記の化合物に限定されるものではない。
Figure 0006846258
前記遅延蛍光発光材料を遅延蛍光発光ドーパントとして使用し、ホスト材料を含む場合、遅延蛍光発光ドーパントが発光層中に含有される量は、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.01〜10%の範囲にあることがよい。
発光層における遅延蛍光ホスト材料としては、一般式(1)で表されるコラニュレン化合物を用いることができるが、コラニュレン以外の化合物から選択することもできる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体、アリールシラン誘導体等が使用できるが特に限定されるものではない。
発光層が燐光発光層である場合、発光層は燐光発光ドーパントとホスト材料を含む。燐光発光ドーパント材料としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金及び金から選ばれる少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体を含有するものがよい。
好ましい燐光発光ドーパントとしては、Ir等の貴金属元素を中心金属として有するIr(ppy)3等の錯体類、Ir(bt)2・acac3等の錯体類、PtOEt3等の錯体類が挙げられる。これらの錯体類の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されない。
Figure 0006846258
前記燐光発光ドーパントが発光層中に含有される量は、2〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲にあることがよい。
発光層が燐光発光層である場合、発光層におけるホスト材料としては、本発明のコラニュレン化合物を用いることが好ましい。しかし、コラニュレン化合物を発光層以外の他の何れかの有機層に使用する場合は、発光層に使用する材料はコラニュレン化合物以外の他のホスト材料であってもよい。また、カルボラン化合物と他のホスト材料を併用してもよい。更に、公知のホスト材料を複数種類併用して用いてもよい。
使用できる公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有し、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高いガラス転移温度を有する化合物であることが好ましい。
このような他のホスト材料は、多数の特許文献等により知られているので、それらから選択することができる。ホスト材料の具体例としては、特に限定されるものではないが、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8‐キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体、ポリシラン系化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が挙げられる。
発光層は蛍光発光層、遅延蛍光発光層あるいは燐光発光層のいずれでもよいが、燐光発光層であることが好ましい。
−注入層−
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、正孔注入層と電子注入層があり、陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。注入層は必要に応じて設けることができる。
−正孔阻止層−
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
正孔阻止層には本発明のコラニュレン化合物を用いることが好ましいが、コラニュレン化合物を他の何れかの有機層に使用する場合は、公知の正孔阻止層材料を用いてもよい。また、正孔阻止層材料としては、後述する電子輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。
−電子阻止層−
電子阻止層とは、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料から成り、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔が再結合する確率を向上させることができる。
電子阻止層の材料としては、後述する正孔輸送層の材料を必要に応じて用いることができる。電子阻止層の膜厚は好ましくは3〜100nmであり、より好ましくは5〜30nmである。
−励起子阻止層−
励起子阻止層とは、発光層内で正孔と電子が再結合することにより生じた励起子が電荷輸送層に拡散することを阻止するための層であり、本層の挿入により励起子を効率的に発光層内に閉じ込めることが可能となり、素子の発光効率を向上させることができる。励起子阻止層は発光層に隣接して陽極側、陰極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。
励起子阻止層の材料としては、一般式(1)で表されるコラニュレン化合物を用いることができるが、他の材料として、例えば、1,3−ジカルバゾリルベンゼン(mCP)や、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラトアルミニウム(III)(BAlq)が挙げられる。
−正孔輸送層−
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。使用できる公知の正孔輸送材料としては一般式(1)で表されるカルボラン化合物を用いることが好ましいが、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。使用できる公知の正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を用いることが好ましく、芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
−電子輸送層−
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる場合もある)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。電子輸送層には本発明のコラニュレン化合物を用いることが好ましいが、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明は勿論、これらの実施例に限定されるものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、種々の形態で実施することが可能である。
以下に示すルートにより有機電界発光素子用材料となるコラニュレン化合物を合成した。なお、化合物番号は、上記化学式に付した番号に対応する。
実施例1(合成例)
次の反応式に従い化合物2を合成した。
Figure 0006846258
窒素雰囲気下、コラニュレン 5.0 g(0.0199 mol)、N−ヨードスクシンイミド 4.5 g(0.0199 mol)、AuCl3 302 mg(0.998 mmol)、1,2−ジクロロエタンを400 mL加え、室温で一晩撹拌した。その後、析出した結晶をろ取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製を行い、中間体Aを5.3 g(0.014 mol、収率70%)得た。
窒素雰囲気下、中間体A 2.0 g (0.00531 mol)、中間体B 2.12 g(0.00638 mol)ヨウ化銅0.1 g(0.531 mmol)、リン酸三カリウム4.5 g (0.0212 mol)、trans-1,2-シクロヘキサンジアミン0.76 mL (0.00638 mmol)、1,4-ジオキサンを30 mL加え、115℃で一晩撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後に、析出した結晶をろ取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、化合物2を1.91 g(3.29 mmol、収率62%)得た(APCI-TOFMS, m/z 581 [M+H]+)。
上記合成例に準じて、化合物2の他に、化合物5、14、15、16、25、74、75及び76を合成した。また、比較のための化合物H-1、H-2及びr1を合成した。
Figure 0006846258
実施例2
膜厚110nmのITOからなる陽極が形成されたガラス基板上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度4.0×10-5Paで積層した。まず、ITO上に正孔注入層としてHAT-CNを25nmの厚さに形成し、次に正孔輸送層としてNPDを45nmの厚さに形成した。次に、電子阻止層としてHT-1を10nmの厚さに形成した。そして、ホスト材料としての化合物2とドーパントとしてのIr(piq)2acacとを異なる蒸着源から、共蒸着し、40 nmの厚さに発光層を形成した。
この時、Ir(piq)2acacの濃度が6.0wt%であった。更に、正孔阻止層としてET-1を10nmの厚さに形成した。次に電子輸送層としてET-2を27.5nmの厚さに形成した。そして電子輸送層上に電子注入層としてLiFを1nmの厚さに形成した。最後に、電子注入層上に、陰極としてAlを70nmの厚さに形成し、有機EL素子を作製した。
実施例3〜10
実施例2における発光層のホスト材料として、化合物1に代えて、化合物5、14、15、16、25、74、75及び76を用いた以外は実施例2と同様にして有機EL素子を作成した。
比較例1〜3
実施例2における発光層のホスト材料としてH-1、H-2、r1を用いた以外は実施例2と同様にして有機EL素子を作成した。
実施例で使用した化合物を次に示す。
Figure 0006846258
作製した有機EL素子の輝度、駆動電圧、発光効率、輝度半減寿命を表1に示す。表中で輝度、駆動電圧、発光効率は駆動電流20mA/cm2時の値であり、初期特性である。LT95は、初期輝度3700cd/m2時に輝度が初期輝度の95%まで減衰するまでにかかる時間であり、寿命特性である。
Figure 0006846258
また、上記実施例及び比較例で作製された有機EL素子は、これに外部電源を接続し直流電圧を印加したところ、いずれも極大波長620nmの発光スペクトルが観測され、Ir(pic)2acacからの発光が得られていることがわかった。
表1から、一般式(1)で表される化合物をホスト材料として使用すると、初期特性および寿命特性が著しく伸長することがわかる。
1 基板、2 陽極、3 正孔注入層、4 正孔輸送層、5 発光層、6 電子輸送層、7 陰極

Claims (10)

  1. 一般式(1)で表されるコラニュレン化合物からなることを特徴とする有機電界発光素子用材料。
    Figure 0006846258
    (ここで、環Aは式(1a)で表される芳香族炭化水素環であり、環Bは式(1b)で表される複素環であり、環A及び環Bはそれぞれ隣接する環と任意の位置で縮合し、Arは置換若しくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の炭素数3〜30の芳香族複素環基、又は該芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基の芳香族環が2〜6つ連結して構成される連結芳香族基であり、Rは独立に炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数3〜12の芳香族複素環基であり、a、b、cは置換数を表し、aおよびcは、各々独立して0〜3の整数であり、bは1〜2の整数である。)
  2. 一般式(1)において、bが1である請求項1に記載の有機電界発光素子用材料。
  3. 一般式(2)〜(7)のいずれかで表される請求項2に記載の有機電界発光素子用材料。
    Figure 0006846258
    (ここで、Ar、R、aは一般式(1)と同意である。)
  4. 一般式(2)〜(7)中のaが、0である請求項3に記載の有機電界発光素子用材料。
  5. 一般式(3)〜(5)のいずれかで表される請求項3に記載の有機電界発光素子用材料。
  6. 一般式(2)〜(7)中のArが、置換若しくは未置換の炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、又は該芳香族炭化水素基及び該芳香族複素環基から選ばれる芳香族環が2〜6つ連結して構成されている連結芳香族基である請求項3〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子用材料。
  7. 基板上に、陽極、有機層及び陰極が積層されてなる有機電界発光素子において、請求項1〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子用材料を含む有機層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
  8. 有機電界発光素子用材料を含む有機層が、発光層、電子輸送層、および正孔阻止層からなる群れから選ばれる少なくとも一つの層である請求項7に記載の有機電界発光素子。
  9. 有機電界発光素子用材料を含む有機層が、燐光発光ドーパントを含有する発光層である請求項7に記載の有機電界発光素子。
  10. 燐光発光ドーパントの発光波長が550nm以上に発光極大波長を有する請求項9に記載の有機電界発光素子。



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