JP6845782B2 - リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤、該リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタ用正極およびリチウムイオンキャパシタ、並びにリチウムイオンキャパシタの製造方法およびリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法 - Google Patents

リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤、該リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタ用正極およびリチウムイオンキャパシタ、並びにリチウムイオンキャパシタの製造方法およびリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法 Download PDF

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本発明は、リチウムイオンキャパシタ(特に負極活物質に黒鉛を用いるリチウムイオンキャパシタ)に用いられるプリドープ剤に関するものである。詳しくは、特定の組成を有するチタン酸リチウムを主成分とすることによって、従前のような金属リチウム箔を用いることなく、通常の充電操作(エージング)だけでプリドープに必要なリチウムイオンを発生させることができるプリドープ剤に関するものである。また、リチウムイオンキャパシタの減容(小型化、薄膜化)を行うことができるプリドープ剤に関するものである。
さらに、このプリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタ用正極、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオンキャパシタの製造方法、リチウムイオンキャパシタのプリドープ方法に関するものである。
リチウムイオンキャパシタは、電気二重層キャパシタに比べて高エネルギー密度であるという特徴を有することから、近年急速に実用化が行われている。そして、このリチウムイオンキャパシタの1つに、黒鉛を負極活物質に用いた黒鉛系のリチウムイオンキャパシタがある。
係る黒鉛系リチウムイオンキャパシタは、他のリチウムイオンキャパシタに比べて電圧やエネルギー密度を高くすることができるという利点がある一方、負極活物質に用いられる黒鉛には初期段階では正極との電位差を発生させるためのリチウムイオンが存在しない。
従って、黒鉛系リチウムイオンキャパシタについては、製造時に予めリチウムイオンを黒鉛にドープしておくプリドープという処理(操作)を必要とする。
そして、このプリドープの方法としては現在、以下の(1)〜(3)の方法が公知なものとなっている。
(1)リチウム供給源として金属リチウム箔を全ての負極に貼り合わせた後、正極と負極を複数積層して電極を形成し、その後電解液を注入して放置することによって金属リチウムからリチウムイオンを放出(溶出)させて負極活物質内にリチウムイオンをドープする方法(図4)。
(2)正極と負極を複数積層して形成した電極の上部に金属リチウム箔を配置した後、電解液を注入して放置することによって金属リチウムからリチウムイオンを電極(負極)の上方から下方に向かって放出(溶出)させて各負極の負極活物質内にリチウムイオンをドープする、いわゆる垂直プリドープ法と呼ばれる方法(図5)。
(3)集電体に穴を開けた金属箔を用い、正極と負極を複数積層した電極の中に一定の間隔で金属リチウム箔を配置した後、電解液を注入して放置することによって金属リチウムからリチウムイオンを放出(溶出)させるとともに、リチウムイオンを金属箔の穴を通じて各負極の負極活物質内にドープする、いわゆる水平プリドープ法と呼ばれる方法(図6、7)。
しかしながら、これら(1)〜(3)に示す従前のプリドープ方法は、それぞれ以下の問題点がある。
まず(1)の方法は、プリドープが完了するまで数日から数十日という期間を必要とすることから、実用性に乏しいという問題がある。また、金属リチウム箔は最も薄いものでも30μm程度の厚みがあることから、多積層する各負極に係る金属リチウム箔を貼り合わせると最終製品であるリチウムイオンキャパシタの体積が増大してしまい、結果的に体積エネルギー密度が低下してしまうという問題がある。さらに、プリドープ処理が完了する際には金属リチウム箔のほとんどがリチウムイオンになって溶出してしまうことから、最終製品であるリチウムイオンキャパシタは無駄な空間が多く発生してしまうという問題もある。
次に(2)の方法は、電極(負極)の上方から下方に向かってリチウムイオンを放出(溶出)させてプリドープを行うことから、金属リチウム箔の近傍に位置する負極の上部については効果的なプリドープが行われることになるが、リチウムイオンが電極(負極)の下方に十分行き渡らない場合には金属リチウム箔から離れている負極の下部については十分なプリドープが行われないことになり、均一なプリドープ処理ができない恐れがあるという問題がある。
次に(3)の方法は、(2)の方法に比べて均一なプリドープ処理が可能になるという利点はあるが、穴を開けた金属箔と金属リチウム箔を一定の間隔で配置しなければならないことから、リチウムイオンキャパシタの体積が増大してしまい、結果的に体積エネルギー密度が低下してしまうという問題がある。また、リチウムイオンを万遍なく通過させる必要があることから、金属箔に開ける穴の精度が要求されることになり、その結果金属箔の作製にコストがかかってしまうという問題もある。
さらに、上記の(1)〜(3)のプリドープ方法は、いずれも禁水性の金属リチウムを用いることから、リチウムイオンキャパシタの作製においてはドライルームなどの設備が必要となり、設備が大掛かりになるという課題がある。また、プリドープ処理が途中で終わってしまい、リチウムイオンキャパシタ内に金属リチウムが残ってしまう危険性という問題もある。
そこで、近年、金属リチウム箔を用いないプリドープ方法が提案されている(特許文献1、2)。
具体的には、特許文献1には、特定の組成を持つリチウム金属複合酸化物をプリドープ剤として用い、係るプリドープ剤を正極活物質に混合して初回充電の電圧をかける(エージングする)ことによってプリドープを行う技術が開示されている(特許文献1の[請求項1]、[請求項8]、[請求項11]〜[請求項13]参照)。
特許文献2には、特定の組成を持つ有機硫黄化合物をプリドープ剤として用い、係るプリドープ剤を電解液または正極活物質に混合して初回充電の電圧をかける(エージングする)ことによってプリドープを行う技術が開示されている(特許文献2の[請求項1]、[請求項5]、[請求項7]、[請求項11]、[請求項12]参照)。また、特許文献2に記載されているプリドープ剤は、M成分(リチウムまたはナトリウム)が金属イオンとして放出(溶出)した後、酸化物となって正極に保護被膜を形成することが記載されている(特許文献2の[0024]、[0032]参照)。
特開2016−12620号公報 特開2014−199723号公報
しかしながら、特許文献1のプリドープ剤は、初回充電の電圧を4.5Vまで上げなければならない(特許文献1の[請求項11]、[請求項12]参照)ところ、一般的なリチウムイオンキャパシタにおいては電圧が4.3V以上になってしまうと電解液の酸化分解が始まってしまうことから、リチウムイオンキャパシタの劣化が早くなってしまうという問題がある。
また、特許文献2のプリドープ剤は、M成分放出(溶出)後の酸化物が正極を保護することはできても、係る保護被膜はリチウムイオンキャパシタ全体から見ると抵抗を増大させる要素となってしまうという問題がある。
今般、本願発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の組成を持つチタン酸リチウムを正極活物質に混合することによって、従前のような金属リチウム箔を用いることなく、通常の充電電圧による操作(エージング)だけでプリドープに必要なリチウムイオンを発生させることができ、プリドープ処理を行うことができるという知見を得るに至った。
また、係るチタン酸リチウムをプリドープ剤として用いることによって、リチウムイオンキャパシタの減容(小型化、薄膜化)を行うことができるという知見を得るに至った。
さらに、プリドープ処理と同時にリチウムイオンキャパシタ内の水分除去を行うことができるという知見を得るに至った。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、リチウムイオンキャパシタ(特に負極活物質に黒鉛を用いるリチウムイオンキャパシタ)に用いられるプリドープ剤の提供を目的とするものである。
また、このプリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタ用正極およびリチウムイオンキャパシタ、リチウムイオンキャパシタの製造方法およびリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤は、Li TiO (1.5≦2.3、2.7≦3.5)で表され、Liの一部が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または水素から選ばれる一種以上の元素で置換されている化合物を主成分とすることを特徴とする。
本発明の請求項2に係るリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤は、TiO(3.5≦e≦4.5、3.7≦f≦4.8)で表される化合物を主成分とすることを特徴とする。
本発明の請求項3に係るリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤は、Liの一部がアルカリ金属またはアルカリ土類金属または水素から選ばれる一種以上の元素で置換されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係るリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baのいずれかであることを特徴とする。
本発明の請求項5に係るリチウムイオンキャパシタ用正極は、本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤を正極活物質に含有したことを特徴とする。
本発明の請求項6に係るリチウムイオンキャパシタ用正極は、リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤の含有量が、正極活物質とリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤の合計質量に対して1〜60質量%であることを特徴とする。
本発明の請求項7に係るリチウムイオンキャパシタは、本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤と、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、セパレータと、電解液を備えることを特徴とする。
本発明の請求項8に係るリチウムイオンキャパシタは、負極活物質が、リチウムイオンを吸蔵可能な炭素系材料または珪素系材料の少なくとも一方であることを特徴とする。
本発明の請求項9に係るリチウムイオンキャパシタの製造方法は、正極活物質に活性炭を用いる正極と、セパレータと、負極活物質に黒鉛を用いる負極と、本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤と、電解液とを備え、初回充電を行うことによって、リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤から負極活物質にリチウムイオンをドープすることを特徴とする。
本発明の請求項10に係るリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法は、正極活物質に活性炭を用いる正極と、セパレータと、負極活物質に黒鉛を用いる負極と、本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤と、電解液とを備えたリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法であって、初回充電することによって、リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤から負極活物質にリチウムイオンをドープすることを特徴とする。
本発明の請求項11に係るリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法は、初回充電における電圧が、1.2〜3.8Vであることを特徴とする。
本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤によれば、特定の組成を有するチタン酸リチウムを主成分としているので、通常の充電操作(エージング)でプリドープに必要なリチウムイオンを発生させることができ、従前のような金属リチウム箔を用いることなくプリドープを行うことができる。
また、以下の化学反応式に示すとおり、係るチタン酸リチウムからリチウムイオンが放出(溶出)される駆動力としてプロトンが作用するが、リチウムイオンキャパシタ内に水分が存在している場合には、その水分に起因するプロトンが当該反応によって消費されることにより、プリドープ処理と同時にリチウムイオンキャパシタ内の水分除去を行うことができる。
LiTiO + aH → aLi + HTiO
LiTiO + cH → cLi + HTiO
LiTiO + eH → eLi + HTiO
Li4−xTiO + (4−x)H → (4−x)Li + H4−xTiO
Li2−yTiO + (2−y)H → (2−y)Li + H2−yTiO
なお、リチウムイオンを放出(溶出)させるためのプロトンは、水分に起因するものに限らない。例えば、カルボキシル基をもつ化合物、アミノ基を持つ化合物、芳香族化合物などが挙げられる。
さらに、リチウムイオンキャパシタに用いる負極活物質の中には、初回充電時に吸蔵したリチウムイオンの一部が放電時に放出されないという現象を生じるもの、すなわち、不可逆容量を持つものがあるが、本発明のリチウムイオンキャパシタ用を正極に添加すれば、このような負極活物質を用いた場合でも該プリドープ剤から供給されるリチウムイオンによって不可逆容量を補うことができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタ用正極およびリチウムイオンキャパシタによれば、本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤を用いているので金属リチウム箔や穴を開けた金属箔を用いる必要がなくなり、その結果、リチウムイオンキャパシタの体積エネルギー密度を向上させることができる。また、リチウムイオンキャパシタの減容化(小型化、薄膜化)を行うことができる。また、特許文献2のような正極への被膜形成の問題も防止することができる。
さらに、金属リチウム箔や穴を開けた金属箔を用いる必要がないことから、リチウムイオンキャパシタの製造工程を簡略化でき、製造コストを下げることができる。
本発明の請求項3、4に係るリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤によれば、Liの一部を特定の元素に置換することによって、基本構造(組成)から派生する様々な組成のものを用いることができる。
本発明の請求項6に係るリチウムイオンキャパシタ用正極によれば、リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤の含有量を正極活物質とリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤の合計質量に対して特定の範囲とすることによって、負極活物質に十分なリチウムイオンを供給することができる。
本発明の請求項8に係るリチウムイオンキャパシタによれば、負極活物質にリチウムイオンを吸蔵可能な炭素系材料および/または珪素系材料を用いているので、プリドープ剤から放出(溶出)されたリチウムイオンを吸蔵してリチウムイオンキャパシタの電圧を高めることができる。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタの製造方法によれば、本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤を用いているので、通常の充電操作(エージング)を行うだけでプリドープを行うことができる。また、従前の金属リチウム箔を用いるリチウムイオンキャパシタの製造において必要となるドライルームなどの設備が不要となり、設備を簡素化することができる。また、特許文献2のような正極への被膜形成を防止することができ、リチウムイオンキャパシタ全体の抵抗が増大することを防止することができる。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法によれば、通常の充電操作(エージング)を行うだけでプリドープを行うことができる。また、プリドープする際の電圧を特定の範囲の電圧とすることによって、電解液の劣化をさせることなくプリドープを行うことができる。
本発明のプリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタと、従前のプリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタを比較した断面模式図(図1(a)は本発明のプリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタの断面模式図、図1(b)は従前のプリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタ断面模式図)である。 本発明のプリドープ剤を用いたリチウムイオンキャパシタの一の実施形態を示す断面模式図である。 実施例1と実施例2のプリドープ剤のX線回折チャート(図3(a)は実施例1のプリドープ剤のX線回折チャート、図3(b)は実施例2のプリドープ剤のX線回折チャート)である。 金属リチウム箔を用いる最も基本的な従前のリチウムイオンキャパシタを示す断面模式図である。 従前のプリドープ方法(垂直プリドープ法)を用いるリチウムイオンキャパシタを示す断面模式図である。 従前のプリドープ方法(水平プリドープ法、穴を開けた金属リチウム箔を使用)を用いるリチウムイオンキャパシタを示す断面模式図である。 従前のプリドープ方法(水平プリドープ法で電極の積層数が多い場合、穴を開けた金属リチウム箔を使用)を用いるリチウムイオンキャパシタを示す断面模式図である。
(基本構造)
本発明のプリドープ剤は、組成式(基本構造)がLiTiO(1.5≦a≦4.5、2.7≦b≦4.8)で表される化合物を主成分とすることを特徴とするものである。このように本発明は、特定の組成を持つチタン酸リチウムをプリドープ剤とすることによって、従前のような金属リチウム箔を用いることなく、通常の充電操作(エージング)だけでプリドープに必要なリチウムイオンを発生させることができるのである。また、係るプリドープ剤として用いることによって、リチウムイオンキャパシタの減容(小型化、薄膜化)を行うことができるのである。
そして、上記の組成式を有するチタン酸リチウムの中でも、LiTiO(1.5≦c≦2.3、2.7≦d≦3.5)で表される化合物(いわゆる213型のチタン酸リチウム)、またはLiTiO(3.5≦e≦4.5、3.7≦f≦4.8)で表される化合物(いわゆる414型のチタン酸リチウム)の少なくとも一方を主成分とするものであることが好ましい。具体的には、X線回折ピークにおいて、414型のチタン酸リチウムは、最強ピーク(=相対強度100%のピーク)が2θ=43.7±0.3°の領域にあり、代表的なその他ピークが2θ=33.1±0.3°の領域にある。また、213型のチタン酸リチウムは、最強ピーク(=相対強度100%のピーク)が2θ=18.5±0.3°の領域にあり、代表的なその他ピークが20.7±1.0°の領域にある。従って、本発明のプリドープ剤は、これら領域のうち2θ=18.5±0.3°、43.7±0.3°のいずれかにピークがある化合物を主成分とするものであることが好ましい。
なお、本発明のプリドープ剤は、上記の組成式に示すとおり、414型のチタン酸リチウムの基本組成(LiTiO)や213型のチタン酸リチウムの基本組成(LiTiO)だけでなく、リチウムおよび酸素の組成比が上記基本組成の組成比から多少増減しているものであっても、本発明の技術的効果を発現するものとなる。具体的には、後記する実施例を例にすると、414型の基本組成のチタン酸リチウム(実施例1)や213型の基本組成のチタン酸リチウム(実施例2)の他に、上記基本組成の組成比から多少増減しているチタン酸リチウム(実施例32〜35)なども本発明の技術的効果を発現するものとなる。
そして、さらにその中でもLiTiO(3.5≦e≦4.5、3.7≦f≦4.8)で表される化合物(いわゆる414型のチタン酸リチウム)を主成分とするものであることが好ましい。これは、Liのモル比が高い程、プリドープの効果が高くなるためである。
なお、本発明における「主成分とする」とは、上記のLi/Ti(モル比)の組成で表される化合物以外のLi化合物やTi化合物が存在してもよいという意である。このようなLi化合物やTi化合物としては、例えば表面に存在するLiOH、LiCO、TiOなどが挙げられる。
また、本発明におけるLi/Ti(モル比)は1.5〜4.5の範囲内であるが、上記した組成式で表される化合物とは異なる組成を持つ化合物が存在してもよいとの意でもある。
そして、具体的には、上記の基本構造で表される組成の化合物の含有率(純度)が65%以上、より好ましくは78%以上、最も好ましくは86%以上のものである。含有率(純度)については、上記した414型または213型のチタン酸リチウムのX線回折ピークと、LiTi12、TiO、LiCOなどの不純物のX線回折ピークの強度比から算出することになる。また、不純物の含有量が少ない場合(含有量が数%以下の場合)や不純物が非晶質の不純物相である場合においては、X線回折ピーク比に加えて、ラマン分光法や光電子分光法にて414型または213型のチタン酸リチウムのピークと、不純物のピークの強度比から算出することになる。なお、後記する実施例のプリドープ剤に関しては、不純物が存在しないように留意して作製していることから、含有率(純度)は略100%(正確には99〜99.5%)となっている。
本発明のプリドープ剤は、後記するとおり、リチウムイオンキャパシタの正極活物質に含有されて使用されることから、プリドープ剤の粒径が大きいと作製した正極の平滑性が悪化し、微小短絡やリチウムイオンキャパシタの劣化を引き起こしてしまうという問題がある。
従って、本発明のプリドープ剤の粒径は、正極の膜厚より小さいことが必須であり、具体的には、100〜1μmであることが好ましく、さらに30〜1μmであることがより好ましく、10〜2.5μmであることが最も好ましい。
また、プリドープ剤の粉体抵抗が高いと、リチウムイオンキャパシタの抵抗が高くなり急速充放電性能が悪化するという問題がある。
従って、本発明のプリドープ剤の粉体抵抗は、1.0×10Ω・cm未満であることが好ましい。
なお、粉体抵抗については、本発明のプリドープ剤に炭素質材料を被覆および/または混合することによっても1.0×10Ω・cm未満に下げることができる。
(アルカリ金属、アルカリ土類金属、水素)
本発明のプリドープ剤は、Liの一部を他の元素に置換することもできる。そして、このような置換に用いられる元素としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、水素から選ばれる一種以上の元素を挙げることできる。具体的には、414型のチタン酸リチウムの場合にはLi4−xTiOで表される化合物(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属または水素、0<x<4)を挙げることでき、213型のチタン酸リチウムの場合にはLi2−yTiOで表される化合物(Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属または水素、0<y<2)を挙げることできる。
なお、アルカリ金属とアルカリ土類金属については、安全性とコストの点からNa、K、Mg、Ca、Sr、Baを用いることが好ましい。
(リチウムイオンキャパシタ用正極、リチウムイオンキャパシタ、プリドープ方法)
本発明のプリドープ剤は、リチウムイオンキャパシタの正極活物質に含有すること、特に負極活物質に黒鉛を用いるリチウムイオンキャパシタの正極活物質に含有することによって、その技術的効果を発現するものとなる。
具体的には、本発明のプリドープ剤1を含有した正極活物質2を有する正極3と、負極活物質4(特に黒鉛)を有する負極5と、セパレータ6と、端子7を、図1(a)に示すように積層して筐体8に収納し、筐体8内に電解液9を注入することによって、リチウムイオンキャパシタを作製し、その後、初回充電(プリドープ処理)をすることによってリチウムイオンキャパシタを使用可能な状態とする。
これに対して、従前のリチウムイオンキャパシタは、図1(b)や図4〜7に示すように、金属リチウム箔10や穴を開けた金属箔(銅箔)11や穴を開けた金属箔(アルミ箔)12を必要とする。つまり、金属リチウム箔10についてはプリドープ処理によって溶けた後にはその分の空間が存在することになり、その結果従前のリチウムイオンキャパシタについては、体積エネルギー密度が低下してしまうのである。また、穴を開けた金属箔(銅箔)11や穴を開けた金属箔(アルミ箔)12については、穴を開ける加工をしなければならないことから製造工程が複雑、煩雑になり、製造コストも高くなってしまうのである。
従って、本発明のプリドープ剤は、従前のような金属リチウム箔や穴を開けた金属箔を用いることがないので、リチウムイオンキャパシタの体積エネルギー密度を向上させることができ、またリチウムイオンキャパシタの減容化(小型化、薄膜化)を行うことができるのである。
なお、本発明のプリドープ剤をリチウムイオンキャパシタの正極活物質に含有する形態については、正極活物質と混合する形態や正極活物質の表面に担持する形態、あるいは正極活物質と導電助剤などを混合して電極(正極)の形状にした後、係る電極の表面に本発明のプリドープ剤を塗布する形態など、各種の形態を採用することができる。
また、本発明のプリドープ剤を正極活物質に含有して初回充電(エージング)をすると、本発明のプリドープ剤であるチタン酸リチウムはリチウムイオンキャパシタ内の水分などに起因するプロトンと以下に示すような反応を起こすことになる。
LiTiO + aH → aLi + HTiO
LiTiO + cH → cLi + HTiO
LiTiO + eH → eLi + HTiO
Li4−xTiO + (4−x)H → (4−x)Li + H4−xTiO
Li2−yTiO + (2−y)H → (2−y)Li + H2−yTiO
そして、係る反応によって発生したリチウムイオン(Li)は、キャパシタ内を移動することになり、最終的に黒鉛などの負極活物質内に留まることによってドープが完了することになるのである。また、上記に示す反応が起こることから、プリドープ処理と同時にリチウムイオンキャパシタ内の水分除去を行うこともできるのである。
なお、リチウムイオン(Li)を発生させるためのプロトンは、水分由来のものに限らない。例えば、カルボキシル基をもつ化合物、アミノ基を持つ化合物、芳香族化合物などが挙げられる。更に具体例を示すと、ステアリン酸、安息香酸、安息香酸メチル、コハク酸、コハク酸イミド、アミノ酸、ビニレンカーボネート、ジアルキルピロカーボネートなどが挙げられるが、カルボキシル基、アミノ基、芳香族化合物という特徴を持てば、これらに限定されない。
また、本発明のプリドープ剤については、プリドープ処理においてかける電圧をエージングと言われる通常の電圧にすることができる。具体的には、本発明のプリドープ剤については、電圧を1.2〜3.8Vという通常の充電作業時と同等の低い電圧にしても上記の反応を起こさせること(リチウムイオン(Li)を発生させること)ができ、プリドープ処理を行うことができるのである。
従って、本発明のプリドープ剤は、初回充電の際に同時にプリドープ処理を行うことができることになる。また、従前のプリドープ剤(特許文献1のプリドープ剤)のように、高い電圧(4.5V)をかける必要がないので電解液の酸化分解など電解液を劣化させることなくプリドープを行うことができることになる。
なお、本発明のプリドープ剤の含有量については、特に限定されるものではないが、正極活物質とプリドープ剤の合計質量に対して1〜60質量%とすることが好ましく、その中でも5〜46質量%とすることがより好ましく、さらにその中でも10〜30質量%とすることがさらに好ましい。
また、本発明のプリドープ剤を、リチウムイオンキャパシタに用いる(リチウムイオンキャパシタの正極活物質に含有する)場合には、負極活物質にリチウムイオンを吸蔵可能な炭素系材料または珪素系材料の少なくとも一方を用いることが好ましい。このような炭素系材料または珪素系材料としては、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、シリコン、一酸化珪素などが挙げられる。
(プリドープ剤の製造方法)
本発明のプリドープ剤の製造方法は、組成式(基本構造)がLiTiO(1.5≦a≦4.5、2.7≦b≦4.8)で表される化合物を高純度、且つ、簡便に得ることができる点から、焼成時の温度を550〜950℃の範囲として1回焼成することによって製造することが好ましく、その中でも焼成時の温度を750〜900℃の範囲にすることが好ましく、最も好ましくは800〜850℃として、1〜3時間焼成(1回焼成)することによって製造することが好ましい。
(リチウムイオンキャパシタの製造方法)
また、本発明のリチウムイオンキャパシタの製造方法は、正極活物質に活性炭を用いる正極と、セパレータと、負極活物質に黒鉛を用いる負極と、本発明のプリドープ剤と、電解液を備え、初回充電を行うことによって、本発明のプリドープ剤から負極活物質にリチウムイオンをドープすることによって製造するものである。
次に、本発明を実施例、比較例、作製例、比較作製例に基づいて詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1:LiTiOの合成)
まず、硫酸チタニル(テイカ製TM結晶)を水に溶かし、300g/Lの水溶液を作製した。
次に、作製した水溶液を濃度28質量%のアンモニア水でpH7.5まで中和することによってオルソチタン酸を析出させた。
次に、作製したオルソチタン酸を濾過、洗浄したのち、水を用いてスラリー化し、これに炭酸リチウム(FMC社製)をLi/Ti(モル比)が4.0/1.0になるように調整して混合することによって混合液を作製した。
次に、作製した混合液を、スプレードライヤーを用いて乾燥することによって粉体を作製した。
最後に、作製した粉体を大気中で825℃、2時間焼成することによって実施例1のプリドープ剤(組成式:LiTiO)を作製した。
(実施例2:LiTiOの合成)
Li/Ti(モル比)が2.0/1.0になるように調整した以外は、実施例1と同様にして実施例2のプリドープ剤(組成式:LiTiO)を作製した。
(実施例3:LiTiO低温焼成物の合成)
焼成温度を550℃にした以外は、実施例2と同様にして実施例3のプリドープ剤(組成式:LiTiO、実施例2の低温焼成物)を作製した。
(実施例4:Li3.8Na0.2TiOの合成)
まず、硫酸チタニル(テイカ製TM結晶)を水に溶かし、300g/Lの水溶液を作製した。
次に、作製した水溶液を濃度28質量%のアンモニア水でpH7.5まで中和することによってオルソチタン酸を析出させた。
次に、作製したオルソチタン酸を濾過、洗浄したのち、水を用いてスラリー化し、これに炭酸リチウム(FMC社製)と炭酸ナトリウム(シグマアルドリッチ製)をLi/Na/Ti(モル比)が3.8/0.2/1.0になるように調整して混合することによって混合液を作製した。
次に、作製した混合液を、スプレードライヤーを用いて乾燥することによって粉体を作製した。
最後に、作製した粉体を大気中で825℃、2時間焼成することによって実施例4のプリドープ剤(Li3.8Na0.2TiO)を作製した。
(実施例5:Li3.80.2TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸カリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例4と同様にして、実施例5のプリドープ剤(Li3.80.2TiO)を作製した。
(実施例6:Li3.80.2TiOの合成)
実施例1のプリドープ剤(LiTiO)410gを0.1mol/LのHCl水溶液142.9mlに浸漬し、攪拌しながら12時間保持したのち、濾過、洗浄、乾燥することによって、実施例6のプリドープ剤(Li3.80.2TiO)を作製した。
(実施例7:Li3.8Mg0.2TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸マグネシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例4と同様にして、実施例7のプリドープ剤(Li3.8Mg0.2TiO)を作製した。
(実施例8:Li3.8Ca0.2TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化カルシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例4と同様にして、実施例8のプリドープ剤(Li3.8Ca0.2TiO)を作製した。
(実施例9:Li3.8Sr0.2TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例4と同様にして、実施例9のプリドープ剤(Li3.8Sr0.2TiO)を作製した。
(実施例10:Li3.8Ba0.2TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化バリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例4と同様にして、実施例10のプリドープ剤(Li3.8Ba0.2TiO)を作製した。
(実施例11:Li1.6Na2.4TiOの合成)
Li/Na/Ti(モル比)が1.6/2.4/1.0になるように調整した以外は実施例4と同様にして、実施例11のプリドープ剤(Li1.6Na2.4TiO)を作製した。
(実施例12:Li1.62.4TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸カリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例11と同様にして、実施例12のプリドープ剤(Li1.62.4TiO)を作製した。
(実施例13:Li1.62.4TiOの合成)
実施例1のプリドープ剤(LiTiO)410gを0.1mol/LのHCl水溶液1.71Lに浸漬し、攪拌しながら12時間保持したのち、濾過、洗浄、乾燥することによって、実施例13のプリドープ剤(Li1.62.4TiO)を作製した。
(実施例14:Li1.6Mg2.4TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸マグネシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例11と同様にして、実施例14のプリドープ剤(Li1.6Mg2.4TiO)を作製した。
(実施例15:Li1.6Ca2.4TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化カルシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例11と同様にして、実施例15のプリドープ剤(Li1.6Ca2.4TiO)を作製した。
(実施例16:Li1.6Sr2.4TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例11と同様にして、実施例16のプリドープ剤(Li1.6Sr2.4TiO)を作製した。
(実施例17:Li1.6Ba2.4TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化バリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例11と同様にして、実施例17のプリドープ剤(Li1.6Ba2.4TiO)を作製した。
(実施例18:Li1.9Na0.1TiOの合成)
Li/Na/Ti(モル比)が1.9/0.1/1.0になるように調整した以外は実施例4と同様にして、実施例18のプリドープ剤(Li1.9Na0.1TiO)を作製した。
(実施例19:Li1.90.1TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸カリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例18と同様にして、実施例19のプリドープ剤(Li1.90.1TiO)を作製した。
(実施例20:Li1.90.1TiOの合成)
実施例2のプリドープ剤(LiTiO)310gを0.1mol/LのHCl水溶液90.9mlに浸漬し、攪拌しながら12時間保持したのち、濾過、洗浄、乾燥することによって、実施例20のプリドープ剤(Li1.90.1TiO)を作製した。
(実施例21:Li1.9Mg0.1TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸マグネシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例18と同様にして、実施例21のプリドープ剤(Li1.9Mg0.1TiO)を作製した。
(実施例22:Li1.9Ca0.1TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化カルシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例18と同様にして、実施例22のプリドープ剤(Li1.9Ca0.1TiO)を作製した。
(実施例23:Li1.9Sr0.1TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例18と同様にして、実施例23のプリドープ剤(Li1.9Sr0.1TiO)を作製した。
(実施例24:Li1.9Ba0.1TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化バリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例18と同様にして、実施例24のプリドープ剤(Li1.9Ba0.1TiO)を作製した。
(実施例25:Li1.2Na0.8TiOの合成)
Li/Na/Ti(モル比)が1.2/0.8/1.0になるように調整した以外は実施例4と同様にして、実施例25のプリドープ剤(Li1.2Na0.8TiO)を作製した。
(実施例26:Li1.20.8TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸カリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例25と同様にして、実施例26のプリドープ剤(Li1.20.8TiO)を作製した。
(実施例27:Li1.20.8TiOの合成)
実施例2のプリドープ剤(LiTiO)310gを0.1mol/LのHCl水溶液727.3mlに浸漬し、攪拌しながら12時間保持したのち、濾過、洗浄、乾燥することによって、実施例27のプリドープ剤(Li1.20.8TiO)を作製した。
(実施例28:Li1.2Mg0.8TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて炭酸マグネシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例25と同様にして、実施例28のプリドープ剤(Li1.2Mg0.8TiO)を作製した。
(実施例29:Li1.2Ca0.8TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化カルシウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例25と同様にして、実施例29のプリドープ剤(Li1.2Ca0.8TiO)を作製した。
(実施例30:Li1.2Sr0.8TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化ストロンチウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例25と同様にして、実施例30のプリドープ剤(Li1.2Sr0.8TiO)を作製した。
(実施例31:Li1.2Ba0.8TiOの合成)
炭酸ナトリウムに替えて水酸化バリウム(シグマアルドリッチ製)を用いた以外は実施例25と同様にして、実施例31のプリドープ剤(Li1.2Ba0.8TiO)を作製した。
(実施例32:Li4.5TiO4.8の合成)
Li/Ti(モル比)が4.5/1.0になるように調整した以外は実施例1と同様にして、実施例32のプリドープ剤(Li4.5TiO4.8)を作製した。
(実施例33:Li3.5TiO3.7の合成)
Li/Ti(モル比)が3.5/1.0になるように調整した以外は実施例1と同様にして、実施例33のプリドープ剤(Li3.5TiO3.7)を作製した。
(実施例34:Li2.3TiO3.5の合成)
Li/Ti(モル比)が2.3/1.0になるように調整した以外は実施例1と同様にして、実施例34のプリドープ剤(Li2.3TiO3.5)を作製した。
(実施例35:Li1.5TiO2.7の合成)
Li/Ti(モル比)が1.5/1.0になるように調整した以外は実施例1と同様にして、実施例35のプリドープ剤(Li1.5TiO2.7)を作製した。
(比較例1:LiTiの合成)
まず、硫酸チタニル(テイカ製TM結晶)を水に溶かし、300g/Lの水溶液を作製した。
次に、作製した水溶液を濃度28質量%のアンモニア水でpH7.5まで中和することによってオルソチタン酸を析出させた。
次に、作製したオルソチタン酸を濾過、洗浄したのち、水を用いてスラリー化し、これに炭酸リチウム(FMC社製)をLi/Ti(モル比)が0.5/1.0になるように調整して混合することによって混合液を作製した。
次に、作製した混合液を、スプレードライヤーを用いて乾燥することによって粉体を作製した。
最後に、作製した粉体を還元雰囲気(10%水素、90%窒素)中で950℃、2時間焼成することによって比較例1のプリドープ剤(組成式:LiTi)を作製した。
(比較例2:LiTi12の合成)
Li/Ti(モル比)が0.8/1.0になるように調整し、作製した粉体を大気中で750℃、2時間焼成した以外は比較例1と同様にして、比較例2のプリドープ剤(LiTi12)を作製した。
(比較例3:HTiOの合成)
実施例1のプリドープ剤(LiTiO)10gを0.1mol/LのHCl水溶液2.86Lに浸漬し、攪拌しながら12時間保持したのち、濾過、洗浄、乾燥することによって、比較例2のプリドープ剤(HTiO)を作製した。
(比較例4:HTiOの合成)
実施例2のプリドープ剤(LiTiO)10gを0.1mol/LのHCl水溶液1.82Lに浸漬し、攪拌しながら12時間保持したのち、濾過、洗浄、乾燥することによって、比較例3のプリドープ剤(HTiO)を作製した。
(比較例5:LiMnOの合成)
まず、硫酸マンガン(林純薬工業製)を水に溶かし、300g/Lの水溶液を作製した。
次に、作製した水溶液を濃度28質量%のアンモニア水でpH7.5まで中和することによって水酸化マンガンを析出させた。
次に、作製した水酸化マンガンを濾過、洗浄したのち、水を用いてスラリー化し、これに炭酸リチウム(FMC社製)をLi/Mn(モル比)が6.0/1.0になるように調整して混合することによって混合液を作製した。
次に、作製した混合液を、スプレードライヤーを用いて乾燥することによって粉体を作製した。
最後に、作製した粉体を大気中で875℃、2時間焼成することによって比較例5のプリドープ剤(組成式:LiMnO)を作製した。
(比較例6:LiAlOの合成)
まず、水酸化アルミニウム(シグマアルドリッチ社製)と水酸化リチウム(FMC社製)をLi/Al(モル比)が5.0/1.0になるように秤量して、水に加えて混合することによって混合液を作製した。
次に、作製した混合液を、スプレードライヤーを用いて乾燥することによって粉体を作製した。
最後に、作製した粉体を大気中で925℃、2時間焼成することによって比較例6のプリドープ剤(組成式:LiAlO)を作製した。
(比表面積の測定)
次に、各実施例および各比較例のプリドープ剤について、窒素吸着測定装置(マウンテック社製)を用いて比表面積の測定を行った。結果を以下の表1に示す。
その結果、実施例3(低温焼成物)以外の実施例については、全て比表面積が小さいチタン酸リチウムとなっており、プリドープ剤としての機能発現に問題ないレベルであることが確認できた。また、実施例3のプリドープ剤についても、比表面積は30m/gであり、プリドープ剤として支障のないレベルであることが確認できた。
(粒径の測定)
次に、各実施例および各比較例のプリドープ剤について、レーザー回折散乱測定装置(日機装製)を用いて粒径の測定を行った。このとき、分散媒としては水を用い、超音波で30秒間分散したものを測定試料として用いた。結果を以下の表1に示す。
その結果、実施例1〜35については、全て粒径が10μm以下になっており、電極の平滑性に悪影響を及ぼさないレベルであった。一方、比較例6については、粒径が100μmより大きいことから電極の平滑性が悪化し、リチウムイオンキャパシタの特性にも悪影響を及ぼすレベルであった。
(粉体抵抗の測定)
次に、各実施例および各比較例のプリドープ剤を10kNの力で圧縮したのち、粉体抵抗測定システム(三菱ケミカルアナリテック社製)を用いて粉体抵抗の測定を行った。結果を以下の表1に示す。
その結果、実施例1〜35については、全て粉体抵抗が1.0×10Ω・cm未満になっており、リチウムイオンキャパシタの特性に悪影響を及ぼさないレベルであった。一方で、比較例1〜6については、全て粉体抵抗が1.0×10Ω・cmを超えるものとなっており、リチウムイオンキャパシタの特性に悪影響を及ぼすレベルであった。
Figure 0006845782
(X線回折分析)
実施例1と実施例2のプリドープ剤について、X線回折分析を行った。結果を図3に示す。
その結果、いずれのプリドープ剤についてもチタン酸リチウムに起因するピーク(図3中の★印)があることが確認できた。具体的には、実施例1のプリドープ剤については、414型のチタン酸リチウムに起因する最強ピーク(=相対強度100%のピーク)が2θ=43.7±0.3°の領域にあり、代表的なその他ピークが33.1±0.3°の領域にあることが確認できた。実施例2のプリドープ剤については213型のチタン酸リチウムに起因する最強ピーク(=相対強度100%のピーク)が2θ=18.5±0.3°の領域にあり、その他ピークが20.7±1.0°の領域にあることが確認できた。
(リチウムイオンキャパシタの作製およびプリドープ処理)
次に、作製した実施例および比較例のプリドープ剤を用いてリチウムイオンキャパシタを作製し、プリドープ処理を行った。
(作製例1)
(正極の作製)
まず、正極活物質として活性炭(クラレ製YP-50F)、プリドープ剤として実施例1のプリドープ剤(LiTiO)、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業製デンカブラック)を用い、これらに結着剤であるポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ製KFポリマー♯7208)に加え、プラネタリーミキサーを用いて混練した。
なお、このときのプリドープ剤の含有量については、以下の計算式で示すように、正極活物質とプリドープ剤の合計質量に対して5%になるように調整した。
プリドープ剤の含有量(%)=プリドープ剤の質量÷(正極活物質の質量+プリドープ剤の質量)×100
さらに、(正極活物質+プリドープ剤)/導電助剤/結着剤の質量比については、77/9/14になるように調整した。つまり、正極活物質/プリドープ剤/導電助剤/結着剤の質量比については、73/4/9/14になるように調整した。
次に、作製した混練物に分散媒としてN-メチル-2-ピロリドン(キシダ化学製)を加え、粘度調整することによって正極用塗料を作製した。
最後に、作製した正極用塗料を集電体であるエッチングアルミ箔(日本蓄電器工業製JCC-20CB)に両面塗布し、130℃で5分乾燥したのち、3cm×4cmのサイズに切り抜くことによって正極を作製した。
(負極の作製)
まず、負極活物質として黒鉛(日本黒鉛工業製CGB−20)、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業製デンカブラック)を用い、これらを増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(第一工業製薬製H−1496B)の1質量%水溶液に加えて、プラネタリーミキサーを用いて混練した。
次に、作製した混練物に結着剤であるスチレンブタジエンゴム(JSR製)を加えることによって負極用塗料を作製した。なお、負極活物質/導電助剤/増粘剤/結着剤の質量比は、95/1/1/3とした。
最後に、作製した負極用塗料を集電体である銅箔(福田金属箔粉工業製)に両面塗布し、100℃、5分乾燥したのち、3.3cm×4.3cmのサイズに切り抜くことによって負極を作製した。
(リチウムイオンキャパシタの作製)
上記にて作製した正極、負極、セパレータ(日本高度紙工業製)を図2に示すように積層した後、アルミラミネートケースに収納した。
次に、電解液である1M LiPF in EC/DEC=1/2(キシダ化学社製)を注液した後、真空封止することによって作製例1のリチウムイオンキャパシタを作製した。
なお、作製例1のリチウムイオンキャパシタの正極の電気容量は16.4mAh、負極の電気容量は163.5mAhであり、電気容量は16.4mAh、正負極の容量比(負極/正極)は10であった。
(プリドープ処理)
次に、作製した作製例1のリチウムイオンキャパシタを、充放電測定装置(北斗電工製)を用いて、25℃の環境下において1Cの充電レート(1.37mA/cmの電流密度)で3.8Vまで充電した後、3時間保持することによってプリドープ処理を施した。
(作製例2〜48)
正極の作製において、正極活物質/プリドープ剤/導電助剤/結着剤の質量比およびプリドープ剤の含有量を表2に示すとおりにした以外は作製例1と同様にして、作製例2〜48のリチウムイオンキャパシタを作製するとともにプリドープ処理を行った。なお、作製例43のリチウムイオンキャパシタについては、プリドープ処理を1Cの充電レートで1.2Vまで充電した後、3時間保持することによって行った。
(作製例49)
正極の作製において、正極活物質/プリドープ剤/導電助剤/結着剤の質量比およびプリドープ剤の含有量を表2に示すとおりにし、且つ、負極の電気容量を81.8mAhとした以外は作製例1と同様にして、作製例49のリチウムイオンキャパシタを作製するとともにプリドープ処理を行った。なお、正負極の容量比(負極/正極)は5であった。
Figure 0006845782
(比較作製例1)
正極の作製において、プリドープ剤を用いず、正極活物質/導電助剤/結着剤の質量比を77/9/14とした以外は作製例1と同様にして、比較作製例1のリチウムイオンキャパシタを作製し、作製例1のプリドープ処理と同様の操作を行った。
(比較作製例2)
(正極の作製)
プリドープ剤を用いず、正極活物質/導電助剤/結着剤の質量比を77/9/14とし、集電体としてアルミニウムエキスパンドメタル(宝泉社製)を用いた以外は作製例1と同様にして正極を作製した。
(負極の作製)
集電体として銅エキスパンドメタル(宝泉社製)を用いた以外は作製例1と同様にして負極を作製した。
(リチウムイオンキャパシタの作製)
作製した正極、負極と、セパレータ(日本高度紙工業製)、0.032gの金属リチウム箔1枚を図6に示すように積層する以外は作製例1と同様にして比較作製例2のリチウムイオンキャパシタを作製した。
(プリドープ処理)
次に、作製した比較作製例2のリチウムイオンキャパシタを25℃の環境下において、1日静置することによって、垂直プリドープ法によるプリドープ処理を施した。
(比較作製例3)
プリドープ処理において、10日静置する以外は比較作製例2と同様にしてリチウムイオンキャパシタを作製し、プリドープ処理を行った。
(比較作製例4)
プリドープ処理において、20日静置する以外は比較作製例2と同様にしてリチウムイオンキャパシタを作製し、プリドープ処理を行った。
(比較作製例5)
0.016gの金属リチウム箔を2枚用い、図7に示すように積層した以外は比較作製例2と同様にして比較作製例5のリチウムイオンキャパシタを作製し、プリドープ処理を行った。
(比較作製例6)
0.016gの金属リチウム箔を2枚用い、図7に示すように積層した以外は比較作製例3と同様にして比較作製例6のリチウムイオンキャパシタを作製し、プリドープ処理を行った。
(比較作製例7)
0.016gの金属リチウム箔を2枚用い、図7に示すように積層した以外は比較作製例4と同様にして比較作製例7のリチウムイオンキャパシタを作製し、プリドープ処理を行った。
(比較作製例8〜14)
正極の作製において用いるプリドープ剤、正極活物質/プリドープ剤/導電助剤/結着剤の質量比、プリドープ剤の含有量を表2に示すとおりにした以外は作製例1と同様にして比較作製例8〜14のリチウムイオンキャパシタを作製し、プリドープ処理を行った。
なお、比較作製例12、14のリチウムイオンキャパシタについては、1Cの充電レートで4.5Vまで充電した後、1時間保持することによってプリドープ処理を行った。
(リチウムイオンキャパシタの評価)
次に、各作製例および各比較作製例のリチウムイオンキャパシタについて、以下の項目について評価を行った。
(充電深度(理論値)の算出)
以下の計算式によって、作製した各リチウムイオンキャパシタの充電深度(理論値)を算出した。ここで、充電深度とは、プリドープ剤から放出されたLiによって、負極の容量の何%を充電できたかを示す値である。
充電深度(%)=プリドープ剤のLi含有量(mol)÷負極活物質のLi吸蔵量(mol)×100
(セル電圧および抵抗の測定)
作製した各リチウムイオンキャパシタのプリドープ後の電圧と直流抵抗を、抵抗計(日置電機製)を用いて測定した。
(キャパシタ特性(放電容量および容量維持率)の評価)
作製した各リチウムイオンキャパシタについて、キャパシタ特性(放電容量および容量維持率)の評価を行った。
具体的には、充放電測定装置(北斗電工製)を用いて、25℃の環境下において、2.2〜3.8Vの範囲で充放電を行った。また、充放電レートは1Cと100Cで行い、充放電レート1Cにおける充放電試験を行うことによって初期充電容量の評価を行い、充放電レート100Cにおける充放電試験を行うことによって急速充電時の充電容量の評価を行った。なお、充放電レート1Cの際の電流密度は1.37mA/cmであり、充放電レート100Cの際の電流密度は137mA/cmであった。
さらに、1Cと100Cの放電容量から以下の計算式によって容量維持率を算出した。
容量維持率(%)=100Cの放電容量(mAh)÷1Cの放電容量(mAh)×100
(水分除去効果の評価)
リチウムイオンキャパシタは、キャパシタ内の水分が多い場合、多量のガスが発生することによって、セル(リチウムイオンキャパシタ)の体積が増えることになる。そこで、プリドープ処理前後のセル体積を測定することによって、本発明のプリドープ剤の水分除去効果を評価した。
具体的には、アルキメデスの原理に基づいてセルを純水に浸漬したときの質量からプリドープ処理前後のセルの体積を測定し、以下の式から算出することによって評価した。
セル体積変化ΔV(ml)=プリドープ処理後のセル体積(ml)−プリドープ処理前のセル体積(ml)
各作製例および比較作製例についての結果を表3に示す。
Figure 0006845782
その結果、本発明(実施例)のプリドープ剤を正極に含有することによって、以下のリチウムイオンキャパシタを得ることができることが確認できた。
(1)従前のように金属リチウム箔を用いることなく、通常の充電操作(エージング)の処理を行うだけで、充電深度を高くすることができ、さらに、設計通りの放電容量を発現させることができる。さらに、セル抵抗が上がらないので実用的な容量維持率を有するリチウムイオンキャパシタを得ることができる。具体的には、充電深度10%以上、放電容量16.4mAhを発現し、さらに、100Cにおける充電容量(急速充電性)が従前の金属リチウム箔を用いるリチウムイオンキャパシタよりも優れており、また、係るレート特性を1Cにおける充電容量(初期充電容量)を実用的な範囲で維持しながら実現できることから、実用的な容量維持率を有するリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
また、リチウムイオンキャパシタ内の水分除去を行うことができる。
(2)プリドープ剤としてLiの一部がアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素などで置換されたもの(実施例4〜31)を用いた作製例15〜42のリチウムイオンキャパシタについても、充電深度10%以上、放電容量16.4mAhを発現し、さらに、42〜55%の容量維持率を有するリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
(3)作製例43のリチウムイオンキャパシタについては、プリドープ処理時のセル電圧が1.2Vであっても、充電深度10%以上、放電容量16.4mAhを発現し、さらに、86%の高容量維持率を有するリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
(4)プリドープ剤としてLiTiOおよびLiTiOの基本組成からリチウム比率を増減させたもの(実施例32〜35)を用いた作製例44〜47のリチウムイオンキャパシタについても、充電深度10%以上、放電容量16.4mAhを発現し、さらに、67〜76%の容量維持率を有するリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
(5)プリドープ剤としてLiTiOおよびLiTiOを併用したもの(実施例48)を用いた作製例48のリチウムイオンキャパシタについても、76%の容量維持率を有するリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
(6)作製例49のリチウムイオンキャパシタについては、正負極容量比を5にすることによって、プリドープ剤の含有量を12%にした場合であっても充電深度を62%にすることができ、57%の容量維持率を有するリチウムイオンキャパシタを得ることができる。
一方、比較例のプリドープ剤および比較作製例のリチウムイオンキャパシタについては、以下の結果となった。
(1)プリドープ剤を用いない比較作製例1のリチウムイオンキャパシタでは、そもそもプリドープ処理ができないため、放電容量が著しく低く(1C:5.1mAh、100C:2.3mAh)なってしまった。
(2)従前のように金属リチウム箔を用いた比較作製例2〜7のリチウムイオンキャパシタでは、1日静置しただけではプリドープが不十分であり、電池特性の評価自体を行うことができなかった。また、金属リチウム箔を1枚用いたタイプ(比較作製例2〜4)ではプリドープ処理が完了するまでに20日以上を要し、金属リチウム箔を2枚用いたタイプ(比較作製例5〜7)ではプリドープ処理が完了するまでに10日以上を要することになった。さらに、比較作製例2〜7のリチウムイオンキャパシタにおいては、プリドープ処理が完了したもの(比較作製例4、6、7)でも、プリドープ後のセル抵抗が高く、且つ、ガス発生が多いために、Liイオンの移動距離が長くなり容量維持率が低くなってしまった(7〜16%)。
すなわち、比較作製例のリチウムイオンキャパシタは、作製例のリチウムイオンキャパシタと比べて金属リチウム箔の厚み分だけセルの体積が大きく、さらに、ガス発生も多いためにプリドープ後のセル体積も大きくなる。一方、比較作製例のリチウムイオンキャパシタの容量維持率は、上記のとおり、作製例のリチウムイオンキャパシタに比べて低いことから、従前のリチウムイオンキャパシタ(比較作製例のリチウムイオンキャパシタ)では体積エネルギー密度が著しく低下してしまうことが確認できた。
(3)プリドープ剤として1モル中におけるLiの比率が低い、LiTiやLiTi12(比較例1、2)を用いた比較作製例8、9のリチウムイオンキャパシタでは、プリドープ剤の含有量を47%、56%という高い含有量にしなければ本発明のプリドープ剤と同等の効果を発現させることができなかった。
(4)プリドープ剤としてLiを含有しない、HTiOおよびHTiO(比較例3、4)を用いた比較作製例10、11のリチウムイオンキャパシタでは、プリドープ処理ができないため放電容量が低く、容量維持率も低くなってしまった。
(5)プリドープ剤としてチタン酸リチウムではない、LiMnO(比較例5)やLiAlO(比較例6)を用いた比較作製例12〜14のリチウムイオンキャパシタでは、プリドープ処理をするためにはセル電圧を高電圧(4.5V)にしなければならず(比較作製例12、14)、その際に電解液が分解してしまった。そして、比較作製例12、14のリチウムイオンキャパシタについては、セル抵抗が上がり、容量維持率が低下してしまうという結果となった。
また、プリドープ処理時の電圧を本発明のプリドープ剤と同じ3.8Vにした場合(比較作製例13)については、電解液の分解は抑制できたが、プリドープ剤から発生するリチウムイオンが少ないことから、プリドープ処理が不十分となり、初期の放電容量と容量維持率が低下してしまうという結果となった。更に、比較作製例14では、プリドープ剤(比較例6)の粒径が100μmより大きいことから、正極の表面に凹凸が発生してしまった。
以上のことから、特定の組成を有する本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤は、リチウムイオンキャパシタに用いることによって(特に、正極に含有することによって)、通常の充電操作(エージング)だけでプリドープに必要なリチウムイオンを発生させることができ、従前のような金属リチウム箔を用いることなくプリドープを行うことができることが分かった。
また、本発明のリチウムイオンキャパシタは、本発明のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤を用いているため、金属リチウム箔を用いる必要がなくなり、その結果、リチウムイオンキャパシタの体積エネルギー密度を向上させることができることが分かった。従って、リチウムイオンキャパシタの減容化(小型化、薄膜化)を行うことができることが分かった。
さらに、プリドープ処理と同時にリチウムイオンキャパシタ内の水分除去を行うことができることが分かった。
本発明のプリドープ剤は、リチウムイオンキャパシタに用いることができる。
1 プリドープ剤
2 正極活物質
3 正極
4 負極活物質
5 負極
6 セパレータ
7 端子
8 筐体
9 電解液
10 金属リチウム箔
11 穴を開けた金属箔(銅箔)
12 穴を開けた金属箔(アルミ箔)
C リチウムイオンキャパシタ

Claims (11)

  1. Li TiO (1.5≦2.3、2.7≦3.5)で表され
    Liの一部が、
    アルカリ金属またはアルカリ土類金属または水素から選ばれる一種以上の元素で置換されている化合物を主成分とすることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤。
  2. TiO(3.5≦e≦4.5、3.7≦f≦4.8)で表される化合物を主成分とすることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤。
  3. Liの一部が、
    アルカリ金属またはアルカリ土類金属または水素から選ばれる一種以上の元素で置換されていることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤。
  4. 前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属が、
    Na、K、Mg、Ca、Sr、Baのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤を正極活物質に含有したことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ用正極。
  6. 前記リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤の含有量が、
    前記正極活物質と前記リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤の合計質量に対して1〜60質量%であることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオンキャパシタ用正極。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤と、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、セパレータと、電解液を備えることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  8. 前記負極活物質が、リチウムイオンを吸蔵可能な炭素系材料または珪素系材料の少なくとも一方であることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  9. 正極活物質に活性炭を用いる正極と、セパレータと、負極活物質に黒鉛を用いる負極と、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤と、電解液とを備え、初回充電を行うことによって、前記リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤から前記負極活物質にリチウムイオンをドープすることを特徴とするリチウムイオンキャパシタの製造方法。
  10. 正極活物質に活性炭を用いる正極と、セパレータと、負極活物質に黒鉛を用いる負極と、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤と、電解液とを備えたリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法であって、初回充電することによって、前記リチウムイオンキャパシタ用プリドープ剤から前記負極活物質にリチウムイオンをドープすることを特徴とするリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法。
  11. 前記初回充電における電圧が、1.2〜3.8Vであることを特徴とする請求項10に記載のリチウムイオンキャパシタのプリドープ方法。
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