JP6843754B2 - ピオベルジン及びピオケリンに特異的な新規なタンパク質 - Google Patents

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Description

I. 背景
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P. aeruginosa)は、主に組織損傷と関連して急性感染を引き起こす日和見病原体である。緑膿菌は、遺伝障害の嚢胞性線維症を有する患者の留置デバイス及び肺組織上にバイオフィルムを形成する。バイオフィルム感染は、従来の抗生物質療法で処置することが困難である。しかし、鉄が緑膿菌による適切なバイオフィルム形成に必須であるということが実証され、従って鉄取り込み系は抗シュードモナス属療法のための可能性のある標的である。
緑膿菌は、分泌された鉄結合シデロホアのピオケリン及びピオベルジンを使用することにより宿主環境から鉄を除去することができる。ピオベルジン(Pvd)は、ペプチド連結ヒドロキサメート型及びカテコラート型リガンドであり、そしてピオケリン(Pch)は、サリチラート及びシステインの2つの分子の誘導体化結合体であり、そしてフェノール、カルボキシラート、及びアミンリガンド官能基を有する。Pvd及びPchは両方とも、いくらかの相乗作用を示しながら緑膿菌病原性における役割を示した。いずれのシデロホアも生成できない二重欠損変異体は、2つのシデロホアのうちの1つのみを生成することができないいずれの単一欠損変異体よりも病原性をかなり多く減衰された(非特許文献1)。さらに、ピオベルジンは、いくつかの病原性因子に加えてピオベルジン自体の産生を制御するシグナル伝達分子として作用する;一方で、緑膿菌の病原性に関して、第二鉄に加えて、第一鉄及び亜鉛のような二価金属を得るための系の一部であり得るということが提案されている(Viscaら、1992年)。
3つの構造的に異なるピオベルジン型又は群は、いくつかの緑膿菌株から:緑膿菌ATCC15692(非特許文献2)から、緑膿菌ATCC27853(非特許文献3)から及び天然単離菌 緑膿菌R(非特許文献4)から同定されている。さらに、88の臨床単離菌及び2つの上述した収集株に対する生物学的比較調査により、参照株:緑膿菌 ATCC 15692 (I型Pvd又はPvd I)、緑膿菌 ATCC 27853 (II型Pvd又はPvd II)及び臨床単離菌 緑膿菌R及びpa6 (III型Pvd又はPvd III)に従って、3つの異なる系統に特異的なピオベルジン媒介鉄取り込み系が明らかとなった(非特許文献5;非特許文献6)。
各ピオベルジン型は、側鎖が異なる3つのメンバー(サブタイプ)を有し、これは、スクシニル、スクシンアミド又はa-ケトグルタリル、すなわちPvdI型スクシニル、PvdI型スクシンアミド、PvdI型α-ケトグルタリル、PvdII型スクシニル、PvdII型スクシンアミド、PvdII型α-ケトグルタリル、PvdIII型スクシニル、PvdIII型スクシンアミド及びPvdIII型α-ケトグルタリルである。
各緑膿菌株は1つのPvd型を発現し、すなわち、緑膿菌ATCC15692はI型Pvdを発現し、緑膿菌ATCC27853はII型Pvdを発現し、そして緑膿菌R及びpa6はIII型Pvdを発現し、それにより各Pvd型はそれぞれの型の3つ全てのメンバーを含み、そして上記各株はピオケリンも発現する。
Takase et al., Infection and immunity, Apr.2000, p.1834-1839 Briskot et al., 1989, Liebigs Ann Chem, p.375-384 Tappe et al., 1993, J.Prakt-Chem., 335, p.83-87 Gipp et al., 1991, Z. Naturforsch, 46c, p.534-541 Cornells et al., 1989, Infect Immun., 57, p.3491-3497 Meyer et al., 1997, Microbiology, 143, p.35-43
この点について、我々は、緑膿菌の病原性に不可欠である標的としてピオベルジン及びピオケリンを同定し、そして本明細書に開示されるように、上記標的に対して、すなわち、各型について側鎖の異なる3つのメンバー(サブタイプ)を含むPvd(PvdI s、Pvd I sa、Pvd I αKG、Pvd II s、Pvd II sa、Pvd II αKG、Pvd III s、Pvd III sa、Pvd III αKG)さらにはPchに対して、そして全ての場合において、従来の抗生物質により共用される強い選択的圧力を生じることなく、遊離シデロホアに対して、さらには鉄を結合したシデロホアに対して特異的な阻害剤を開発した。さらに、我々は、遊離ピオケリンと鉄負荷ピオケリンとを区別する阻害剤を選択した。
本発明は、Pieris AG, Sanofi-Aventis及びSanofi-Pasteur Inc.に代わって行われた活動の結果としてなされたものであり、これらは、既存の共同研究契約に関係するものであり、そして共同研究契約の範囲内でなされたものであった。
II. 定義
以下のリストは、本明細書を通して使用される用語、句、及び略語を定義する。ここでリストに記載されそして定義される全ての用語は、全ての文法形態を包含することを意図される。
本明細書で使用される「ピオベルジン」は、鉄欠乏成長条件下でグラム陰性細菌緑膿菌により産生され、そして鉄に対して高い親和性を有する蛍光性シデロホアを意味する。ピオベルジンは、3つの構造部分から構成される:ジヒドロキシキノリン発色団、側鎖及び可変ペプチド鎖。ペプチド鎖部分は、受容体認識及び結合に関与する。それらのペプチド鎖が異なる3つの異なるPvdが同定されている(I〜III型)。ピオベルジン型のサイズ及びアミノ酸組成は、各種に対して、さらにはピオベルジン認識特異性に対して独特である。3つの緑膿菌株が区別され得、それぞれ異なるピオベルジン型(I〜III型、図1)及び同族FpvA受容体を産生する。
本明細書で使用される「ピオケリン」は、フェノール、カルボキシラート、及びアミンリガンド官能基を有し、緑膿菌により産生され、かつ第二鉄を可溶化する、サリチラート及びシステインの2つの分子のチアゾリン誘導体化結合体を意味する。ピオケリンは、フェノラートを保有するがヒドロオキサマート部分もカテコラート部分も保有しない構造的に独特なシデロホアである(図1を参照のこと)。
本明細書で使用される「検出可能な親和性」は、一般的に少なくとも約10-5M又はそれ未満の親和性定数を有する選択された標的に結合する能力を意味する。より低い親和性は、一般的にはELISAのような一般的な方法で測定不可能であり、従って重要性は二次的である。
本開示のタンパク質(例えば、ヒトリポカリン2のムテイン)又はその融合ポリペプチドの選択された標的(この場合、ピオベルジン又はピオケリン)に対する本明細書で使用される「結合親和性」は、当業者に公知の多数の方法により測定され得る(そしてそれにより、ムテイン−リガンド複合体のKD値が決定され得る)。このような方法としては、限定されないが、蛍光滴定、直接ELISA、競合ELISA、等温滴定熱量計(ITC)のような熱量測定法、及び表面プラズモン共鳴(BIAcore)が挙げられる。このような方法は当該分野で十分確立されており、その例は以下にも詳述される。
各結合剤とそのリガンドとの間の複合体形成が、各結合パートナーの濃度、競合物(competitor)の存在、使用される緩衝系のpH及びイオン強度、並びに解離定数KDの決定に使用された実験方法(例えば、2、3例を挙げると、蛍光滴定、直接ELISA、競合ELISA又は表面プラズモン共鳴)又はさらに実験データの評価に使用される数学アルゴリズムのような多くの様々な因子により影響を受けることも示される。
従って、KD値(各結合剤とその標的/リガンドとの間に形成された複合体の解離定数)が、所定のリガンドに関する特定のムテインの親和性を決定するために使用される方法及び実験設定に依存して、特定の実験範囲内で変化し得るということも当業者に明らかである。これは、例えば、KD値が表面プラズモン共鳴(Biacore)により決定されたか、競合ELISAにより決定されたか、又は「直接ELISA」により決定されたかに依存して、測定されたKD値又は許容差範囲にわずかな偏差が存在し得るということを意味する。
本明細書で使用される「ムテイン」、「変異した」実体(タンパク質でも核酸でも)、又は「変異体」は、天然に存在する(野生型)核酸又はタンパク質「参照」骨格と比較して、1つ又はそれ以上のヌクレオチド又はアミノ酸の交換、欠失、又は挿入を指す。上記用語はまた、本明細書に記載されるムテイン及び変異体のフラグメントを含む。本開示のムテイン、そのフラグメント又は変異体は、好ましくは、本明細書に記載されるピオベルジン又はピオケリンに結合する機能を保持する。
本開示のムテインに関連して本明細書で使用される用語「フラグメント」は、N末端及び/又はC末端が短縮された、すなわち、N末端及び/又はC末端アミノ酸の少なくとも1つを欠いている、全長成熟ヒトリポカリン2から誘導されたタンパク質又はペプチドに関する。このようなフラグメントは、成熟ヒトリポカリン2の一次配列の少なくとも10、より多く例えば20又は30又はそれ以上の連続したアミノ酸を含み得、そして通常は、成熟ヒトリポカリン2のイムノアッセイにおいて検出可能である。一般に、本開示のムテインの、又は本開示に従う組み合わせの、又は本明細書に記載される融合タンパク質の、対応するタンパク質リガンドに関して本明細書で使用される用語「フラグメント」は、N末端及び/又はC末端が短縮されたタンパク質又はペプチドリガンドに関し、これらは本開示に従うムテインにより認識及び/又は結合される全長リガンドの能力を保持している。
本明細書で使用される用語「変異誘発」は、成熟ヒトリポカリン2の所定の配列位置に天然に存在するアミノ酸が、各天然ポリペプチド配列におけるこの特定の位置に存在しない少なくとも1つのアミノ酸で置換され得るように、事件条件が選択されることを意味する。用語「変異誘発」はまた、1つ又はそれ以上のアミノ酸の欠失又は挿入による配列セグメントの長さの(さらなる)改変を含む。従って、例えば、選択された配列位置における1つのアミノ酸が一続きの3つのランダム変異により置き換えられ、野生型タンパク質の各セグメントの長さと比較して2つのアミノ酸残基の挿入をもたらすことは本開示の範囲内である。このような挿入又は欠失は、本開示において変異誘発にかけられ得るペプチドセグメントのいずれかにおいて互いに独立して導入され得る。
用語「ランダム変異誘発」は、予め決められた単一アミノ酸(変異)は特定の配列位置に存在しないが、少なくとも2つのアミノ酸は変異誘発の間に予め規定された配列位置に特定の確率で組み込まれ得るということを意味する。
「同一性」は、配列の類似性又は関係を測定する特性である。本開示において使用される用語「配列同一性」又は「同一性」は、 - 問題の配列を有する本開示のポリペプチド
の配列の(相同)アライメントに従って - これらの2つの配列のうちのより長い方における残基の数に関して、対になった同一の残基のパーセンテージを意味する。配列同一性は、同一であるアミノ酸残基の数を残基の総数で割り、商に100を掛けることにより測られる。
用語「相同性」は、本明細書においてその通常の意味で使用され、そして同一のアミノ酸に加えて、本開示のポリペプチド(例えば、本開示のいずれかのムテイン)の線状アミノ酸配列における等価な位置における保存的置換(例えば、グルタミン酸残基のアスパラギン酸残基による交換)とみなされるアミノ酸も含む。
配列相同性又は配列同一性のパーセンテージは、本明細書では、例えば、プログラムBLASTP, バージョンblastp 2.2.5 (2002年11月16日;Altschul, S. F. et al. (1997) Nucl. Acids Res. 25, 3389-3402を参照のこと)を使用して決定することができる。この実施態様において、相同性のパーセンテージは、好ましくは野生型タンパク質骨格を対比較の参照として使用して、プロペプチド配列を含むポリペプチド配列全体のアライメント(マトリックス:BLOSUM 62;ギャップコスト:11.1;10-3に設定されたカットオフ値)に基づく。これは、BLASTPプログラムの出力における結果として示される「陽性のもの(positives)」(相同アミノ酸)の数を、アライメントのためのプログラムにより選択されたアミノ酸の総数で割ったパーセンテージとして計算される。
詳細には、野生型ヒトリポカリン2と異なるムテインのアミノ酸配列のアミノ酸残基が、野生型ヒトリポカリン2のアミノ酸配列における特定の位置に対応するかどうかを決定するために、当業者は、手動により、又はBLAST2.0(これは、Basic Local Alignment Search Tool又はClustalWを表す)又は配列アライメントを生じるために適したいずれかの他の適切なプログラムのようなコンピュータープログラムによりいずれかで、当該分野で周知の手段及び方法、例えばアライメントを使用することができる。従って、野生型ヒトリポカリン2は、「対象配列」又は「参照配列」として役立ち得るが、本明細書に記載される野生型ヒトリポカリン2と異なるムテインのアミノ酸配列は「クエリー配列」として役立つ。用語「参照配列」及び「野生型配列」は本明細書において交換可能に使用される。
「ギャップ」は、アミノ酸の付加又は欠失の結果であるアライメントにおける空欄である。従って、正確に同じ配列の2つのコピーは100%同一性を有するが、保存の程度がより低い配列、及び欠失、付加、又は置換を有する配列は、より低い程度の配列同一性を有し得る。当業者は、いくつかのコンピュータプログラムが、標準的なパラメーターを使用して配列同一性を決定するために利用可能であることを認識する、例えば、Blast (Altschul, et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25, 3389-3402)、Blast2 (Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215, 403-410)、及びSmith-Waterman (Smith, et al. (1981) J. Mol. Biol. 147, 195-197)。
本開示において使用される用語「変異体」は、例えば置換、欠失、挿入又は化学修飾による、アミノ酸配列の改変を含むタンパク質又はペプチドの誘導体に関する。いくつかの実施態様において行われるこのような改変は、タンパク質又はペプチドの機能性を減少させない。このような変異体は、1つ又はそれ以上のアミノ酸が、それらの各D−立体異性体により、又は天然に存在する20のアミノ酸以外のアミノ酸、例えば、オルニチン、ヒドロキシプロリン、シトルリン、ホモセリン、ヒドロキシリジン、ノルバリンにより置き換えられているタンパク質を含む。しかし、このような置換はまた、保存的であってもよく、すなわち、アミノ酸残基は、化学的に類似したアミノ酸残基で置き換えられる。保存的置換の例は、以下の群のメンバー間での置換である:1)アラニン、セリン、及びスレオニン;2)アスパラギン酸及びグルタミン酸;3)アスパラギン及びグルタミン;4)アルギニン及びリジン;5)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、及びバリン;並びに6)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン。
「天然配列」ヒトリポカリン2は、天然由来の対応するポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するヒトリポカリン2を意味する。従って、天然配列ヒトリポカリン2は、それぞれ天然に存在するヒトリポカリン2のアミノ酸配列を有する。このような天然配列ポリペプチドは、天然から単離できるか、又は組み換え若しくは合成手段により製造され得る。用語「天然配列」ポリペプチドは、詳細には、天然に存在する切断又は分泌された形態のヒトリポカリン2、ヒトリポカリン2の選択的スプライシングされた形態のような天然に存在する変異体及び天然に存在する対立遺伝子変異体を包含する。ポリペプチド「変異体」は、天然配列ポリペプチドと少なくとも約50%、60%、70%、80%又は少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する生物学的に活性なポリペプチドを意味する。このような変異体としては、例えば、1つ又はそれ以上のアミノ酸残基がポリペプチドのN末端又はC末端において付加又は欠失されているポリペプチドが挙げられる。一般に、変異体は、天然配列ポリペプチドと、少なくとも約80%を含めて少なくとも約70%、例えば少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性又は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を含めて少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有する。
本開示に従って使用される場合の用語「位置」は、本明細書に示されるアミノ酸配列内のいずれかのアミノ酸の位置又は本明細書に示される核酸配列内のヌクレオチドの位置を意味する。1つ又はそれ以上のムテインのアミノ酸配列位置の文脈において本明細書で使用される用語「対応する」又は「対応すること」を理解するために、対応する位置は、前のヌクレオチド/アミノ酸の数のみによって決定されるものではない。従って、本開示に従う所定のアミノ酸の置換され得る位置は、(変異体又は野生型)ヒトリポカリン2における他所のアミノ酸の欠失又は付加によって変化し得る。同様に、本開示に従う所定のヌクレオチドの置換され得る位置は、プロモーター及び/又はいずれかの他の調節配列又は遺伝子(エクソン及びイントロンを含む)を含むムテイン又は野生型ヒトリポカリン2 5’-非翻訳領域(UTR)における他所の欠失又は付加されたヌクレオチドによって変わり得る。
従って、本開示に従う対応する位置については、好ましくは、当然のことながら、ヌクレオチド/アミノ酸の位置は、類似した隣接するヌクレオチド/アミノ酸と示された数で異なり得るが、交換、欠失、又は付加されていてもよい上記隣接するヌクレオチド/アミノ酸はもまた、1つ又はそれ以上の対応する位置に含まれる。
さらに、本開示に従う参照骨格に基づくムテインにおける対応する位置については、好ましくは、当然のことながら、ヌクレオチド/アミノ酸の位置は、たとえそれらが示された番号で異なっていても、ムテイン又は野生型ヒトリポカリン2の他所の位置に構造的に対応している。
非天然標的について本明細書で使用される用語「有機分子」又は「小有機分子」は、少なくとも2つの炭素原子を含むが、好ましくは7又は12個より多くない回転可能な炭素結合を含み、100と2000ダルトンとの間、好ましくは100と1000ダルトンの間の範囲の分子量を有し、そして場合により1つ又は2つの金属原子を含む有機分子を示す。
本明細書で使用される語「検出する」、「検出」、「検出可能」又は「検出すること」は、定量的及び定性的レベルの両方で、さらにはそれらの組み合わせで理解される。従って、これは、目的の分子の定量的、半定量的、及び定性的な測定を含む。
「被験体」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。用語「哺乳動物」は、本明細書において哺乳動物として分類されるいずれかの動物を指すために使用され、これらとしては、限定することなく、2〜3の例示的な例を挙げると、ヒト、家畜及び農業用動物並びに、動物園、スポーツ又はペット動物、例えば、ヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ラット、ブタ、類人猿、例えばカニクイザル等が挙げられる。好ましくは、本明細書における哺乳動物はヒトである。
「有効量」は、有益な又は所望の結果を達成するために十分な量である。有効量は、1回又はそれ以上の投与で投与され得る。
「サンプル」は、任意の被験体から採取された生物学的サンプルとして定義される。生物学的サンプルとしては、限定されないが、血液、血清、尿、糞便、精液、又は組織が挙げられる。
III. 図面の説明
図1は、緑膿菌シデロホアの構造を示す。図1A〜Cは、3つの緑膿菌ピオベルジンの構造を示す。図1A:Pvd I型の構造(Birskotら, 1989を参照のこと); 図1B:Pvd II型の構造(Birskotら, 1989を参照のこと); 図1C:Pvd III型の構造(Gippら, 1991); 図1D:発色団部分に結合したRは、スクシニル、スクシンアミド又はα-ケトグルタリル側鎖であり得る;及び 図1E:ピオケリンの構造(Brandelら、2011)。 図2は、リポカリンムテイン配列番号16に結合するPvd I s(+Fe)(図2A)、リポカリンムテイン配列番号36に結合するPvd II s(+Fe)(図2B)、リポカリンムテイン配列番号53に結合するPvd III (+Fe)(図2C)及び配列番号62に結合するピオケリン (+Fe)(図2D)についての表面プラズモン共鳴による結合速度(on-rate)及び解離速度(off-rate)の典型的な測定を提供する。さらに、ネガティブコントロールリポカリン配列番号64への1200nM(ピオケリンについて200nM)での各シデロホアの結合が存在しないことが図2E-Hに示される。 図2-1の続き。 図3は、表面プラズモン共鳴により決定したリポカリンムテイン配列番号35についての例となる特異性及び交差反応性を示す。ピオベルジンIIスクシニル、スクシンアミド及びα-ケトグルタリルへの特異的結合が実証され、一方で、I型及びIII型のピオベルジン、ピオケリン、エンテロバクチン及びデフェロキサミンへの結合が存在しないことが示される。2 μMという高い濃度が全ての検体について使用される。 図4は、増殖阻害アッセイからの例となるデータを示す。図4A:Pvd I特異的ムテイン配列番号16は、ムテインを用いない対照培養増殖と比較して、Pvd I特異的緑膿菌株(ATCC27853)の増殖阻害を示す。 図4B:Pvd II特異的ムテイン配列番号19及び36は、ムテインを用いない対照培養増殖と比較して、Pvd II特異的緑膿菌株(ATCC15692)の増殖阻害を示す。配列番号36は、配列番号19と比較してより高い結合親和性を有し、そしてより大きな増殖阻害を示す。 図4C:Pvd III特異的ムテイン配列番号53は、ムテインを用いない対照培養増殖と比較して、Pvd III特異的緑膿菌株(ATCC33360)の増殖阻害を示す。 図4D:Pch特異的ムテイン配列番号62は、ムテインを用いない対照培養増殖と比較して、鉄取り込みをPchに依存しているPvd Iノックアウト緑膿菌株(ATCC15692 ΔpvdA)の増殖阻害を示す。10μMリポカリンムテインがアッセイにおいて適用された。 図5は、マウスにおける緑膿菌誘導肺感染モデルにおいて、細菌負荷の1時間前及び細菌負荷時の配列番号19の投与が、マウスにおいて用量依存性様式で感染の発生を防止することを示す。有意な予防効果が、配列番号19 at 200μg/マウスから開始して、2000μg/マウスでの最大効果で観察された。 図6は、結晶化のために発現された、位置1に開始メチオニン、位置2にリジン、位置3〜8にヘキサヒスチジンタグ、位置9〜15にアミノ酸DYDIPTTのリンカー領域(配列番号132)、位置16〜22にタバコエッチ病ウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位ENLYFQG(配列番号133)、続いて位置23から前方へ目的のムテインのアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を示す。 図7は、配列番号31 − Pvd-Fe複合体構造を示す。非対称単位からの2つの配列番号31分子、すなわちA鎖及びB鎖の重ね合わせ。 図8は、配列番号31及びPvd-Fe相互作用を示す。非対称単位からの2つの分子が重ね合わせられる。Pvd-Feと相互作用する側鎖が示される。 図9はPvd組成を示す。鉄結合に関与する酸素は枠で囲まれる。
IV. 本開示の詳細な説明
本開示は、ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに対して結合特異性を有するポリペプチドを提供し、ここでポリペプチドは、ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに検出可能な親和性で結合するhNGALムテインを含む。
本明細書で使用される用語「ヒトリポカリン2」又は「ヒトLcn 2」又は「ヒトNGAL」又は「hNGAL」は、SWISS-PROT/UniProtデータバンク受入番号P80188を有する成熟ヒト好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)を指す。本開示のヒトリポカリン2ムテインはまた、本明細書において「hNGALムテイン」と指定され得る。SWISS-PROT/UniProtデータバンク受入番号P80188で示されるアミノ酸配列は、好ましい「参照配列」として使用され得、より好ましくは配列番号1で示されるアミノ酸配列は参照配列として使用される。
いくつかの実施態様において、ピオベルジン (I型、II型又はIII型)又はピオケリンに検出可能な親和性で結合するhNGALムテインは、天然システイン残基の、別のアミノ酸、例えばセリン残基による少なくとも1つのアミノ酸置換を含み得る。いくつかの他の実施態様において、ピオベルジン又はピオケリンに検出可能な親和性で結合するムテインは、野生型hNGALの1つ又はそれ以上のアミノ酸を置換する1つ又はそれ以上の非天然システイン残基を含み得る。さらなる特定の実施態様において、本開示に従うhNGALムテインは、天然アミノ酸のシステイン残基による少なくとも2つのアミノ酸置換を含み、それにより、1つ又はそれ以上のシステイン架橋を形成する。いくつかの実施態様において、上記システイン架橋は、少なくとも2つのループ領域を接続し得る。これらの領域の定義は、Flower (Flower, 1996,前出、Flowerら、2000、前出)及びBreustedtら(2005、前出)に従って本明細書において使用される。
いくつかの実施態様において、本開示のhNGALムテインはエンテロバクチンに結合しない。
一局面において、本開示は、ピオベルジン又はピオケリンに少なくとも検出可能な親和性で結合する様々なhNGALムテインを含む。この意味で、ピオベルジン又はピオケリンは、参照野生型hNGALの非天然リガンドとみなされ、ここで、「非天然リガンド」は、生理的条件下で野生型ヒトリポカリン2に結合しない化合物を指す。特定の配列位置において1つ又はそれ以上の変異を用いて野生型hNGALを操作することにより、本発明者らは、非天然リガンド、ピオベルジン又はピオケリンに対する高い親和性及び高い特異性が可能であるということを実証した。いくつかの実施態様において、野生型lヒトリポカリン2上の特定の配列位置をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又はさらに多くのヌクレオチドトリプレットにおいて、ランダム変異誘発が、ヌクレオチドトリプレットのサブセットによるこれらたの位置での置換により行われ得る。
さらに、本開示のムテインは、hNGALの線状ポリペプチド配列の特定配列位置に対応する配列位置のうち、少なくともいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12を含むいずれか1つ又はそれ以上において、例えばヒトNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置28、34、36、39〜42、44〜47、49、52、54〜55、65、68、70、72〜75、77、79〜81、87、96、100、103、106、108、123、125、127、132、134、141及び145において変異したアミノ酸残基を有し得る。
本開示のムテインは、変異したアミノ酸配列位置の外側に、「親」タンパク質骨格(例えばhNGAL)の野生型(天然)アミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施態様において、本開示に従うhNGALムテインはまた、変異が少なくとも本質的に ムテインの結合活性及び折り畳みを阻止も妨害もしないかぎり、配列位置に1つ又はそれ以上のアミノ酸変異を保有し得る。このような変異は、確立された標準的な方法(Sambrook、J. et al. (2001) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、3rd Ed.、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY)を使用してDNAレベルで非常に容易に達成することができる。アミノ酸配列の変更の説明に役立つ例は、挿入又は欠失、さらにはアミノ酸置換である。このような置換は保存的であってもよく、すなわち、アミノ酸残基は、特に極性に加えてサイズに関して化学的に類似した特性のアミノ酸残基で置き換えられる。保存的置換の例は、以下の群のメンバー間での置換である:1)アラニン、セリン、及びスレオニン;2)アスパラギン酸及びグルタミン酸;3)アスパラギン及びグルタミン;4)アルギニン及びリジン;5)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、及びバリン;並びに6)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン。他方で、非保存的変更をアミノ酸配列に導入することも可能である。さらに、単一のアミノ酸残基を置き換える代わりに、それらの欠失又は挿入が安定な折り畳まれた/機能的なムテインを生じる限り、ヒトリポカリン2の一次構造の1つ又はそれ以上の連続したアミノ酸を挿入又は欠失のいずれかをすることも可能である(例えば、短縮されたN末端及びC末端を有するhNGALムテイン)。このようなムテインにおいて、例えば、1つ又はそれ以上のアミノ酸残基が、ポリペプチドのN末端又はC末端に付加されるか欠失される。一般に、このようなムテインは、成熟hNGALのアミノ酸配列と、少なくとも約80%を含めて少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し得る。説明に役立つ例として、本開示はまた、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列の4つのアミノ酸残基(G-N-I-K;位置95〜98;配列番号130)が欠失されている(例えば、配列番号46)上で定義されたhNGALムテインを包含する。
本明細書に開示されるhNGALムテインのアミノ酸配列は、他のリポカリンと配列同一性を比較した場合、成熟hNGAL(配列番号1)に対して高い配列同一性を有する。この一般的な状況において、本開示のムテインのアミノ酸配列は、天然野生型hNGALのアミノ酸配列と少なくとも実質的に類似しているが、ただしアミノ酸の付加又は欠失の結果であるギャップ(以下で定義される)がアライメントにおいて存在する可能性がある。成熟hNGALの配列と実質的に類似している本開示のムテインの各配列は、いくつかの実施態様において、成熟hNGALの配列に対して、少なくとも70%の同一性又は配列相同性、少なくとも75%の同一性又は配列相同性、少なくとも80%の同一性又は配列相同性、少なくとも82%の同一性又は配列相同性、少なくとも85%の同一性又は配列相同性、少なくとも87%の同一性又は配列相同性、又は少なくとも95%の同一性又は配列相同性を含む少なくとも90%の同一性又は配列相同性を有するが、ただし変更された位置又は配列が保持され、そして1つ又はそれ以上のギャップが可能である。
結合特異性は絶対的ではなく、相対的特性であるので、本明細書で使用される場合、本開示のムテインは、その標的と1つ又はそれ以上の参照標的との間を区別できる場合、標的(例えばピオベルジン又はピオケリン)に「特異的に結合する」。「特異的結合」は、
例えば、ウェスタンブロット、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、FACS、IHC及びペプチドスキャンに従って決定され得る。
一実施態様において、本開示のムテインは、そのN末端及び/又はそのC末端において、ムテインの血清半減期を延長するタンパク質ドメインである融合パートナーに融合される。さらなる特定の実施態様において、タンパク質ドメインは免疫グロブリンのFc部分、免疫グロブリンのCH3ドメイン、免疫グロブリンのCH4ドメイン、アルブミン結合ペプチド、又はアルブミン結合タンパク質である。
別の実施態様において、本開示のムテインは、ムテインの血清半減期を延長する化合物に結合される。より好ましくは、ムテインは、ポリアルキレングリコール分子、ヒドロエチルスターチ(hydroethylstarch)、免疫グロブリンのFc部分、免疫グロブリンのCH3ドメイン、免疫グロブリンのCH4ドメイン、アルブミン結合ペプチド、及びアルブミン結合タンパク質からなる群より選択される化合物に結合される。
さらに別の実施態様において、本開示は、本明細書に開示されるムテインをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。本開示は、上記核酸分子を含有する宿主細胞を包含する。
ピオベルジンに特異的なムテイン
緑膿菌分離株の研究は、これまでに、ピオベルジンを3つの異なる型に分類するのに役立った(Meyer et al.、Use of Siderophores to Type Pseudomonads:The Three Pseudomonas Aeruginosa Pyoverdine Systems、Microbiology、1997;vol. 143 no. 1 35-43)。それぞれ緑膿菌分離株のおおよそ42%が、Pvd I型と同一のピオベルジン系を有し、緑膿菌分離株の42%は、Pvd II型と同様に挙動するが、緑膿菌分離株の16%はPvd III型に属する(Cornelis et al.、1989a;表4)。各型は、スクシニル、スクシンアミド又はa-ケトグルタリルである側鎖が異なる3つのメンバー(サブタイプ)を有する、すなわち、Pvd I型スクシニル、Pvd I型スクシンアミド、Pvd I型a-ケトグルタリル、Pvd II型スクシニル、Pvd II型スクシンアミド、Pvd II型a-ケトグルタリル、Pvd III型スクシニル、Pvd III型スクシンアミド及びPvd III型a-ケトグルタリル。
異なる型のピオベルジンを産生する緑膿菌に対処するために、本開示は、異なる型のピオベルジンに特異的なhNGALムテインを提供する。本開示はまた、このようなムテインの有用な適用、本明細書に記載されるピオベルジン結合hNGALムテインの製造方法、さらにはこのようなムテインを含む組成物を提供する。本開示のピオベルジン結合hNGALムテイン、さらにはその組成物は、サンプル中のピオベルジンを検出する方法において、又は被験体におけるピオベルジンの結合方法において使用され得る。本開示により提供される使用に伴うこれらの特徴を有するこのようなhNGALムテインは以前に記載されていなかった。
ピオベルジンは天然野生型hNGALに結合しなかったが、hNGALの天然リガンドエンテロバクチンは、hNGALの杯(calyx)に高親和性でドッキングする。従ってピオベルジンは、病原性因子であり、かつhNGAL認識を逃れるステルスシデロホアであり、緑膿菌が感染を確立することを可能にする(Peek et al.、Pyoverdine、the Major Siderophore in Pseudomonas aeruginosa、Evades NGAL Recognition、Interdisciplinary Perspectives on Infectious Diseases、2012)。
従って、ヒト好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)(ヒトリポカリン2とも呼ばれる)から誘導されたムテインを提供することが本開示の目的であり、このムテインは、天然野生型hNGALと対照的に、ピオベルジンに対して高い特異性を有する。
例となるピオベルジンに特異的なムテイン。
一局面において、本開示は、Pvd I型、Pvd II型又はPvd III型のようなピオベルジンの1つの型に特異的な、新規な特異的結合ヒトリポカリン2(ヒトLcn2又はhNGAL)ムテインに関する。
本開示の一実施態様は、約200nM又はそれ以下、例えば約150nM又はそれ以下のKDにより測定される親和性のような検出可能な親和性を有する、ピオベルジンの1つの型に結合することができるムテインに関する。
一局面において、本開示は、鉄と複合体化したPvd I型に、例えば、実施例6に本質的に記載されるアッセイにおいてBiacore T200機器で測定して、KD 約20nM又はそれ以下、例えば15nM又はそれ以下で結合することができるhNGALムテインを提供する。
いくつかのさらなる実施態様において、本開示の1つ又はそれ以上のhNGALムテインは、錯化した鉄を含むか又は含まない、Pvd I型スクシニル、Pvd I型スクシンアミド及びPvd I型a-ケトグルタリルに、例えば、実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにより測定した場合、約200nM又はそれ以下のIC50値により測定された親和性で結合することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、ピオベルジンI型スクシニルにより媒介される鉄取り込みを、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式において約150nM又はそれ以下のIC50値で阻害することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、実施例8に本質的に記載されるアッセイにおいてPvd I株の細菌増殖を阻害することができる。
これに関して、本開示はポリペプチドに関し、該ポリペプチドはhNGALムテインを含み、そして該hNGALは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、配列位置28、36、39〜41、46、49、52、54〜55、59、65、68、70、72〜75、77、79〜81、87、96、100、103、106、125、127、132、134及び136において、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又はさらにより多くの変異したアミノ酸残基を含み、そしてここで該ポリペプチドは、Pvd I型スクシニル、Pvd I型スクシンアミド及びPvd I型a-ケトグルタリルを含むPvd I型に結合する。
いくつかの実施態様において、本開示のPvd-I型-結合hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置36、40〜41、49、52、68、70、72-73、77、79、81、96、100、103、106、125、127、132及び134のいずれか1つ又はそれ以上において、以下の変異したアミノ酸残基の1つ又はそれ以上を含む:Leu 36 → Asn、Thr、Val、Trp又はPhe;Ala 40 → Gly、Asn、Thr又はPhe;Ile 41 → Arg、Ala、Thr、Phe又はTrp;Gln 49 → Ile、Leu、Vla、Ala又はPro;Tyr 52 → Met、Trp又はPro;Ser 68 → Asp、Vla又はGlu;Leu 70 → Gln、Trp、Asp又はThr;Arg 72 → Trp、Ala、Ser、Leu、Pro又はGlu;Lys 73 → Asp、Leu、Ala、Glu又はAsn;Asp 77 → Arg、Leu、Tyr、Ser、Gln、Thr、Ile又はAsn;Trp 79 → Gln、Asp、Ser、Arg、Met又はGlu;Arg 81 → Gln、Gly、Ile、Glu、His又はAsp;Asn 96 → His、Ile、Gly、Tyr又はAsp;Tyr 100 → Lys、Glu、Asn、Ser、Phe又はTyr;Leu 103 → Lys、Pro、Gln、His、Asp、Tyr、Glu、Trp又はAsn;Tyr 106 → His、Gln又はPhe;Lys 125 → Arg、Ser、Trp、Tyr、Val又はGly;Ser 127 → Trp、Asn、Ala、Thr、Tyr、His、Ile、Val又はAsp;Tyr 132 → Trp、Asn、Gly又はLys;及びLys 134 → Asn、His、Trp、Gly、Gln又はAsp。いくつかの実施態様において、本開示のhNGALムテインは、成熟hNGALのこれらの配列位置に、2つ若しくはそれ以上、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、若しくはさらに多く、又は全ての変異したアミノ酸残基を含む。
さらに、本開示に従うPvd-I型-結合hNGALムテインはまた、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の置換を含む:Gln 28 → His;Lys 46 → Glu;Thr 54 → Vla又はAla;Ile 55 → Vla;Lys 59→ Arg;Asn 65 → Asp又はGln;Ile 80 → Thr;Cys 87 → Ser又はAsn;及びThr 136 → Ala。
いくつかのさらなる実施態様において、Pvd I型に結合する本開示のhNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下のアミノ酸置換を含む:
Gln 28 → His;Leu 36 → Asn;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Ile;Tyr 52
→ Met;Ser 68 → Val;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Asp;Asp 77→ Leu;Trp 79 → Gln;Arg 81 → Gln;Cys 87 → Ser;Asn 96 → His;Tyr 100 → Lys;Leu 103 → His;Tyr 106 → His;Lys 125 → Arg;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → Asp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Thr;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Phe;Gln 49 → Leu;Tyr 52 → Trp;Leu 70 → Trp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Leu;Asp 77→ Tyr;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Gly;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ile;Tyr 100 → Glu;Leu 103 → His;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Trp;Ser 127 → Asn;Tyr 132 → Asn;Lys 134 → Gln;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Lys;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Ala;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Asn;Ile 41 → Arg;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Thr;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Ala;Asp 77 →
Arg;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Tyr;Tyr 100 → Lys;Leu 103 → Pro;Tyr 106 → Phe;Lys 125 → Ser;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → Gly;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Val;Tyr 52 → Met;Ser 68
→ Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Phe;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Phe;Ile 41 → Phe;Gln 49 → Ala;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Trp;Arg 72 → Leu;Lys 73 → Asn;Asp 77 → Gln;Trp 79 → Glu;Arg 81 → His;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Tyr;Leu 103 → Tyr;Tyr 106 → His;Lys 125 → Val;Ser 127 → His;Tyr 132 → Lys;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Asp;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Asp;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Gly;
Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Asp 77 → Thr;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Glu;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Asp;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Asp;Asp 77 → Val;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Asn;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Vla;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Leu;Tyr 52 → Met;Ser 68
→ Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Thr 54 → Val;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Lys 46 → Glu;Gln 49 → Leu;Tyr 52
→ Met;Thr 54 → Ala;Ile 55 → Vla;Lys 59 → Arg;Ser 68 → Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Lys 74 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Glu;Ser 87 → Asn;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → sER;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;
Leu 36 → Trp;Asn 39 → Asp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Thr 54 → Val;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;Thr 136 → Ala;
Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Pro;Thr 54
→ Val;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;Thr 136 → Ala;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Lys 46 → Glu;Gln 49 → Leu;Tyr 52
→ Met;Thr 54 → Ala;Ile 55 → Vla;Lys 59 → Arg;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Lys 74 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Glu;Ser 87 → Asn;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → sER;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;又は
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Lys 46 → Glu;Gln 49 → Leu;Tyr 52
→ Met;Thr 54 → Ala;Ile 55 → Vla;Lys 59 → Arg;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Lys 74 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Glu;Ser 87 → Asn;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → sER;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His。
残りの領域、すなわち、配列位置28、36、39〜41、46、49、52、54〜55、59、65、68、70、72〜75、77、79〜81、87、96、100、103、106、125、127、132、134及び136と異なる領域において、本開示のhNGALムテインは、変異したアミノ酸配列位置の外側の野生型(天然)アミノ酸配列を含み得る。
さらなる特定の実施態様において、本開示に従うムテインは、配列番号2〜18又はそれらのフラグメント若しくは変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
本開示のPvd-I型-結合hNGALムテインのアミノ酸配列は、配列番号2〜18からなる群より選択される配列に対して、少なくとも95%の同一性を含めて、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90% の同一性のような高い配列同一性を有し得る。
本開示はまた、配列番号2〜18からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するhNGALムテインの構造的相同体を含み、この構造的相同体は、上記hNGALムテインに関して、約60%より高い、好ましくは65%より高い、70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、92%より高い、そして最も好ましくは95%より高いアミノ酸配列相同性又は配列同一性を有する。
本開示に従うPvd-I型-結合hNGALムテインは、ヒトリポカリン2の天然に存在する形態の変異誘発を用いて得ることができる。変異誘発のいくつかの実施態様において、置換(substitution)(又は置き換え(replacement))は、保存的置換である。それにもかかわらず、ムテインがPvd I型に結合するその能力を保持するかぎり、かつ/又はその結果置換された配列に対して同一性を有し、ここで成熟ヒトリポカリン2のアミノ酸配列(SWISS-PROTデータバンク受入番号P80188)に対して少なくとも60%、例えば少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくはそれより高い同一性であるかぎり、非保存的置換又は以下の例となる置換からの1つ若しくはそれ以上を含むいずれの置換も想定される。
別の局面において、本開示は、鉄と複合体化したPvd II型に、例えば、実施例6に本質的に記載されるアッセイにおいてBiacore T200機器により測定した場合に、約20 nM又はそれ以下、例えば5 nM又はそれ以下のKDで結合するhNGALムテインを提供する。
いくつかのなおさらなる実施態様において、本開示の1つ又はそれ以上のhNGALムテインは、複合体化した鉄を含むか又は含まない、Pvd II型スクシニル、Pvd II型スクシンアミド及びPvd II型a-ケトグルタリルに、例えば実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにおいて測定した場合に、約200 nM又はそれ以下のIC50値で結合することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、ピオベルジンII型スクシニルにより媒介される鉄取り込みを、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式で約150 nM又はそれ以下のIC50値で阻害することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、実施例8に本質的に記載されるアッセイにおいてPvd II系統の細菌増殖を阻害することができる。
いくつかの他の実施態様において、ムテインは、実施例10に本質的に記載されるアッセイにおいて、ピオベルジンII型を発現する緑膿菌染色の増殖を阻害又は減少させることができる。
これに関して、本開示はポリペプチドに関し、該ポリペプチドはhNGALムテインを含み、そして該hNGALは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又はさらにより多くの変異したアミノ酸残基を、配列位置28、36、40〜41、49、52、54、65、68、70、72-75、77、79、81、87、96、100、103、106、125、127、132及び134に含み、そしてここで該ポリペプチドはPvd II型に結合する。
いくつかの実施態様において、本開示のPvd-II型-結合hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置36、40〜41、49、52、68、70、72〜73、77、79、81、87、96、100、103、106、125、127、132及び134のいずれか1つ又はそれ以上において、以下の変異したアミノ酸残基の1つ又はそれ以上を含む:Leu 36 → Asn、Ile又はVal;Ala 40 → Glu、Gly、Asn、Thr又はHis;Ile 41 → Arg、Val又はThr;Gln 49 → Gly、Ala又はPro;Tyr 52 → Asn、Gly、Trp又はPro;Ser 68 → Asp、Arg又はGlu;Leu 70 → Arg又はTrp;Arg 72 → His、Ile、Ala、Ser又はGly;Lys 73 → Asn、Met、Pro、Phe、Gln又はArg;Asp 77 → His、Ile、Met、Lys、Gly又はAsn;Trp 79 → Ser、Tyr、Ala、Asp、Phe又はTrp;Arg 81 → Glu、Ser、Tyr又はAsp;Asn 96 → Met、Ile、Arg、Asp、Lys、Asn又はAla;Tyr 100 → Lys、Glu、Asn、Ser、Phe又はTyr;Leu 103 → Thr、Ile、Gln、Gly、Met、His、Trp又はVal;Tyr 106 → Met、Gln、Ala、Ile、Asn、Gly、Met又はPhe;Lys 125 → Ala、Ile又はAsn;Ser 127 → Lys、Arg、Ser、Met、Asp又はAsn;Tyr 132 → Met、Phe、Asn、Ala、Ile、Gly又はVal;及びLys 134 → Trp又はTyr。いくつかの実施態様において、本開示のhNGALムテインは、2つ又はそれ以上の、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、若しくはさらにより多く、又は全ての変異したアミノ酸残基を成熟hNGALのこれらの配列位置に含む。
さらに、本開示に従うPvd-II型-結合hNGALムテインはまた、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の置換を含み得る:Gln 28 → His;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Asp又はGln及びCys 87 → Ser。
いくつかのさらなる実施態様において、Pvd II型に結合する本開示のhNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と非アックして以下のアミノ酸置換を含む:
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Met;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ile;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Met;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Ile;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Pro;Asp 77 → Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ser;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Met;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Ala;Lys 125 → Lys;Tyr 132 → Val;Lys 134 → Trp;Gln 28 → His;Ala 40 → Asn;Gln 49 → Ala;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Gln;Asp 77 → Met;Trp 79 → Ala;Arg 81 → Tyr;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Arg;Tyr 100 → Pro;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Ile;Lys 125 → Lys;Ser 127 → Met;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Ala 40 → His;Gln 49 → Ala;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Gly;Lys 73 → Arg;Asp 77 → His;Trp 79 → Trp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Arg;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Ph
e;Lys 125 → Ala;Ser 127 → Asp;Tyr 132 → Asn;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Asn;Ala 40 → Gly;Ile 41 → Arg;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Arg;Leu 70 → Trp;Arg 72 → Asn;Lys 73 → Gln;Asp 77 → Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Thr;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Asn;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Met;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Tyr;
Gln 28 → His;Leu 36 → Vla;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Gly;Tyr 52
→ Gly;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Gly;Lys 73 → Arg;Asp 77 → Gly;Trp 79 → Trp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Trp;Leu 103 → Ile;Tyr 106 → Gly;Lys 125 → Lys;Ser 127 → Asn;Tyr 132 → Val;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Val;Tyr 106 → Met;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Val;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Phe;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Gly;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Trp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → His;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Phe;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Phe;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Val;Tyr 106 → Met;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Phe;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Val;Tyr 106 → Met;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;又は
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp。
残りの領域、すなわち配列位置28、36、40〜41、49、52、54、65、68、70、72〜75、77、79、81、87、96、100、103、106、125、127、132及び134と異なる領域において、本開示のhNGALムテインは、変異したアミノ酸配列位置の外側の野生型(天然)アミノ酸配列を含み得る。
さらなる特定の実施態様において、本開示に従うムテインは、配列番号19〜37又はそのフラグメント若しくは変異体からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
本開示のPvd-II型-結合hNGALムテインのアミノ酸配列は、配列番号19〜37からなる群より選択される配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%の同一性のような、少なくとも95%の同一性を含む高い配列同一性を有し得る。
本開示はまた、配列番号19〜37からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するhNGALムテインの構造的相同体を含み、この構造的相同体は、該hNGALムテインに関して、約60%より高い、好ましくは65%より高い、70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、92%より高い、そして最も好ましくは95%より高いアミノ酸配列相同性又は配列同一性を有する。
本開示に従うPvd-II型-結合hNGALムテインは、ヒトリポカリン2の天然に存在する形態の変異誘発を用いて得ることができる。変異誘発のいくつかの実施態様において、置換(又は置き換え)は、保存的置換である。それにもかかわらず、ムテインがPvd I型に結合するその能力を保持するかぎり、かつ/又はその結果置換された配列に対して、成熟ヒトリポカリン2のアミノ酸配列(SWISS-PROTデータバンク受入番号P80188)に対して少なくとも60%、例えば少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくはそれより高い同一性である同一性を有するかぎり、非保存的置換又は以下の例となる置換からの1つ若しくはそれ以上を含むいずれの置換も想定される。
さらに別の局面において、本開示は、例えば、実施例6に本質的に記載されるBiacore T200機器により測定された場合に、鉄と複合体化したPvd III型に約20nM又はそれ以下、例えば10nM又はそれ以下のKDで結合するhNGALムテインを提供する。
いくつかのなおさらなる実施態様において、この開示の1つ又はそれ以上のhNGALムテインは、鉄と複合体化している及び複合体化していないPvd III型スクシニル、Pvd III型スクシンアミド及びPvd II型a-ケトグルタリルに、例えば実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにより測定した場合、約200 nM又はそれ以下のIC50値により測定される親和性で結合することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式で約150 nMのIC50値で、ピオベルジン III型により媒介される鉄取り込みを阻害することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、実施例8に本質的に記載されるアッセイにおいてPvd III株の細菌増殖を阻害することができる。
これに関して、本開示はポリペプチドに関し、ここで該ポリペプチドはhNGALムテインを含み、そして該hNGALは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又はさらに多くの変異したアミノ酸残基を、配列位置28、36、40〜42、45〜47、49、52、65、68、70、72〜73、77、79、81、87、96、100、103、105〜106、125、127、132、134及び145に含み、そしてここで該ポリペプチドはPvd III型に結合する。
いくつかの実施態様において、本開示のPvd-III型-結合hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置36、40〜41、49、52、68、70、72〜73、77、79、81、96、100、103、106、125、127、132及び134のいずれか1つ又はそれ以上において、以下の変異したアミノ酸残基の1つ又はそれ以上を含む:Leu 36 → Phe又はGlu;Ala 40 → Trp、Leu又はArg;Ile 41 → Met、Arg、Ala、Leu又はTrp;Gln 49 → His、Ile、Arg、Lys、Met又はPro;Tyr 52 → Asn、Tyr、Arg、Ser又はMet;Ser 68 → Asp、Asn、Glu又はGln;Leu 70 → Lys、Asn又はArg;Arg 72 → Leu、Arg、Gln又はTyr;Lys 73
→ His、Leu、Ala、Pro、Gln又はTyr;Asp 77 → Ala、Ile、Lys、Gln又はArg;Trp 79 → Ser又はAsp;Arg 81 → His、Ala、Ser又はVal;Asn 96 → Met、Ile、Arg、Gly、Leu又はVal;Tyr 100 → Ala、Ile、Asn、Pro又はAsp;Leu 103 → Gln、Gly、Phe又はPro;Tyr 106 → Glu;Lys 125 → Trp又はThr;Ser 127 → Val、His、Ile、Phe又はAla;Tyr
132 → Phe;及びLys 134 → Trp、Gln又はGlu。いくつかの実施態様において、本開示のhNGALムテインは、2つ若しくはそれ以上、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、若しくはさらにより多くの、又は全ての変異したアミノ酸残基を、成熟hNGALのこれらの配列位置に含む。
さらに、本開示に従うPvd-III型-結合hNGALムテインはまた、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して以下の置換を含み得る:Gln 28 → His;Leu 42 → Arg;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Asp 47 → Asn;Asn 65 → Asp;Cys 87 → Ser;Ser 105 → Pro及びThr 145 → Pro。
いくつかのさらなる実施態様において、Pvd III型に結合する本開示のhNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下のアミノ酸置換を含む:
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Trp;Ile 41 → Met;Gln 49 → His;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Lys;Arg 72 → Gln;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → His;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ile;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Trp;Ser 127 → His;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Gln;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Arg;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Ile;Tyr 52 → Tyr;Ser 68 → Gln;Leu 70 → Asn;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Leu;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ser;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Arg;Tyr 100 → Ile;Leu 103 → Pro;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Thr;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Glu;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Leu;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Arg;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Leu;Lys 73 → Tyr;Asp 77→ Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ala;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ala;Leu 103 → Phe;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Trp;Ser 127 → Ala;Lys 134 → Glu;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Trp;Ile 41 → Arg;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Ser;Ser 68 → Asn;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Pro;Asp 77→ Arg;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ser;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Met;Tyr 100 → Pro;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Trp;Ser 127 → Phe;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Glu;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Lys;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Gln;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Ala;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → Gln;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → Arg;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Vla;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Lys;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → Tyr;Asp 77→ Gln;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → -;Tyr 100 → Glu;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Leu 42 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 47 → Asn;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;Thr 145 → Pro;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Leu 42 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 47 → Asn;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;Thr 145 → Pro;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;又は
Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Leu 42 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp。
残りの領域、すなわち、配列位置28、36、40〜42、45〜47、49、52、65、68、70、72〜73、77、79、81、87、96、100、103、105〜106、125、127、132、134及び145と異なる領域において、本開示のhNGALムテインは、変異したアミノ酸配列位置の外側に野生型(天然)アミノ酸配列を含み得る。
さらなる特定の実施態様において、本開示に従うムテインは、配列番号38〜53からなる群より選択されるアミノ酸配列又はそのフラグメント若しくは変異体を含む。
本開示のPvd-III型-結合hNGALムテインのアミノ酸配列は、配列番号38〜53からなる群より選択される配列に対して、少なくとも95%同一性を含めて、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%の同一性のような高い配列同一性を有し得る。
本開示はまた、配列番号38〜53からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するhNGALムテインの構造的相同体を含み、この構造的相同体は、上記hNGALムテインに関して、約60%より高い、好ましくは65%より高い、70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、92%より高い、そして最も好ましくは95%より高いアミノ酸配列相同性又は配列同一性を有する。
本開示に従うPvd-III型-結合hNGALムテインは、ヒトリポカリン2の天然に存在する形態の変異誘発を用いて得ることができる。変異誘発のいくつかの実施態様において、置換(又は置き換え)は保存的置換である。それにもかかわらず、ムテインがPvd I型に結合するその能力を保持するかぎり、かつ/又はその結果置換された配列に対して同一性を有し、ここで成熟ヒトリポカリン2のアミノ酸配列(SWISS-PROTデータバンク受入番号P80188)に対して少なくとも60%、例えば少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくはそれより高い同一性であるかぎり、非保存的置換又は以下の例となる置換からの1つ若しくはそれ以上を含むいずれの置換も想定される。
ピオベルジンに特異的なムテインの利用
ピオベルジンは、緑膿菌のようなシュードモナス菌の主要なシデロホアである。インビトロ実験は、フェリトランスフェリン(ferritransferrin)からの鉄放出における緑膿菌ピオベルジンの潜在的役割を示したが、鉄について競合するピオベルジンの能力は、ごく最近になって実証された(Meyer et al.、1996、Infection and Immunity、64、p.518-523)。病原性の親株から増殖された変異体においてピオベルジン産生がなかったことは、これらの変異体の病原性の喪失と相関しており、そして野生型株に起源を有する相同ピオベルジンが補給された場合に病原性が回復されたということが、熱傷マウスモデルを使用して観察された。さらに、異種ピオベルジンの補給は、後者の変異体の病原性を回復しなかった。従って、感染の間に所定の緑膿菌単離株により使用されるピオベルジン媒介鉄取り込み系の正確な知識は、例えば、ピオベルジン生合成又はピオベルジン媒介鉄輸送を遮断することによる、細菌鉄代謝を介した緑膿菌感染の処置の新しい方法を開発するための必要条件と思われる。
従って、本開示のピオベルジン結合ムテインの多数の可能な利用は薬剤にある。1つのさらなる局面において、本開示は、ピオベルジン(I型、II型又はIII型)をサンプル中で検出するため、さらには診断の各方法のための、本明細書に開示されるピオベルジン結合ムテインの使用に関する。
本開示はまた、ピオベルジン(I型、II型又はIII型)との複合体形成について記載される1つ又はそれ以上のピオベルジン結合ムテインの使用を含む。
従って、本開示の別の局面において、開示されるムテインは、ピオベルジン(I型、II型又はIII型)の検出に使用される。このような使用は、適切な条件下で1つ又はそれ以上の上記ムテインを、ピオベルジンを含有することが疑われるサンプルと接触させ、それにより、ムテインとピオベルジン(I型、II型又はIII型)との間の複合体の形成を可能にする工程、及び適切なシグナルにより複合体を検出する工程を含み得る。
検出可能なシグナルは、上で説明されるように、標識により、又は結合、すなわち複合体形成それ自体に起因する物理的特性の変化により生じ得る。一例は表面プラズモン共鳴であり、その値は、金フォイルのような表面上に固定された結合パートナーの結合の間に変化する。
本明細書に開示されるピオベルジン結合ムテインはまた、ピオベルジン(I型、II型又はIII型)の分離のために使用され得る。このような使用は、適切な条件下で1つ又はそれ以上の上記ムテインを、ピオベルジン(I型、II型及び/又はIII型)を含有すると推定されるサンプルと接触させ、それによりムテインとピオベルジン(I型、II型又はIII型)との間の複合体の形成を可能にする工程、及びサンプルから複合体を分離する工程を含み得る。
ピオベルジンの検出、さらにはピオベルジン(I型、II型又はIII型)の検出のための開示されたムテインの使用において、ムテイン及び/若しくはピオベルジン又はそのドメイン若しくはフラグメントは、適切な固相に固定化され得る。
なお別の局面において、本開示は、本開示に従うピオベルジン結合ムテインを含む診断又は分析キットを特徴とする。
診断におけるそれらの使用に加えて、さらに別の局面において、本開示は、被験体におけるピオベルジン(I型、II型又はIII型)の結合及び/又は被験体における緑膿菌の増殖を阻害若しくは減少させるための、本開示のピオベルジン結合ムテイン又はこのようなムテインを含む組成物の使用を包含する。
さらに別の局面において、本開示は、被験体においてピオベルジン(I型、II型又はIII型)を結合する方法を特徴とし、該方法は、有効量の、本開示の1つ若しくはそれ以上のピオベルジン結合ムテイン又はこのようなムテインを含む1つ若しくはそれ以上の組成物を、該被験体に投与することを含む。
さらに別の局面において、本開示は、被験体における緑膿菌の増殖を阻害又は減少させる方法を含み、該方法は、有効量の、本開示の1つ若しくはそれ以上のピオベルジン結合ムテイン又はこのようなムテインを含む1つ若しくはそれ以上の組成物を、該被験体に投与することを含む。
ピオケリンに特異的なムテイン
さらに、本開示は、ピオケリンに結合するhNGALムテイン及びそれらの有用な利用を提供することにより、ピオケリンの代替の阻害剤の必要性を満たす。従って、本開示はまた、本明細書に記載されるピオケリン結合ムテインを製造及び使用する方法、さらにはサンプル中のピオケリンを検出する方法又は被験体においてピオケリンを結合する方法において使用され得る組成物を提供する。本開示により提供される使用に伴うこれらの特徴を有するこのようなhNGALムテインは以前に記載されていなかった。
例となるピオケリンに特異的なムテイン
一局面において、本開示は、例えば、実施例6に本質的に記載されるアッセイにおいてBiacore T200機器により測定された場合に、約20nM又はそれ以下、例えば1nM又はそれ以下のKDで、鉄と複合体化したピオケリンに結合するhNGALムテインに関する。
いくつかのなおさらなる実施態様において、本開示の1つ又はそれ以上のhNGALムテインは、例えば、実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにより測定した場合に、約500nM又はそれ以下のIC50値により測定される親和性で、鉄と複合体化したピオケリンに結合することができる。
いくつかのなおさらなる実施態様において、本開示の1つ又はそれ以上のhNGALムテインは、例えば、実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにより測定した場合に、約200nM又はそれ以下のIC50値により測定される親和性で、鉄と複合体化していないピオケリンに結合することができる。
いくつかのなおさらなる実施態様において、本開示の1つ又はそれ以上のhNGALムテインは、例えば、実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにより測定した場合に、約200nM又はそれ以下のIC50値により測定される親和性で、鉄と複合体化した及び鉄と複合体化していないピオケリンに結合することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式において約150nM又はそれ以下のIC50値で、ピオケリンにより媒介される鉄取り込みを阻害することができる。
いくつかの実施態様において、ムテインは、実施例8に本質的に記載されるアッセイにおいてPvd Iノックアウト(ΔpvdA)の細菌増殖を阻害することができる。
これに関して、本開示はポリペプチドに関し、ここで該ポリペプチドはhNGALムテインを含み、そして該hNGALは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又はさらにより多くの、変異したアミノ酸残基を、配列位置28、34、36、40〜41、44〜46、49、52、54、65、68、70、72〜74、77、79〜81、87、96、100、103、106、108、123、125、127、132、134及び141に含み、そしてここで該ポリペプチドはピオケリンに結合する。
いくつかの実施態様において、本開示のピオケリン結合hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置36、40〜41、49、52、68、70、72〜73、77、79、81、87、96、100、103、106、125、127、132及び134のいずれか1つ又はそれ以上において、以下の変異したアミノ酸残基の1つ又はそれ以上を含む:Leu 36 → His、Met又はVal;Ala 40 → Ile、Gln、Tyr又はPhe;Ile 41 → Leu、His又はTrp;Gln 49 → His、Arg、Ser又はAla;Tyr 52 → Leu、Trp又はPro;Ser 68 → Asp又はHis;Leu 70 → Arg又はTrp;Arg 72 → His、Ile、Ala、Ser又はGly;Lys 73 → Asn、Met、Pro、Phe、Gln又はArg;Asp 77 → Arg、Thr、Pro又はAsp;Trp 79 → Ala、Arg、Lys又はAsp;Arg 81 → Thr、Ile又はTrp;Asn 96 → Met、Asn、Pro又はAla;Tyr 100 → Gly、His又はGlu;Leu 103 → Gly、Met、His又はGln;Tyr 106 → Met、Gly、Arg又はTrp;Lys 125 → Trp、Phe、Gly又はLeu;Ser 127 → Arg、Trp、Asp又はIle;Tyr 132 → Ala、Glu又はThr;及びLys 134 → Leu、Val、Asn又はPhe。いくつかの実施態様において、本開示のhNGALムテインは、成熟hNGALのこれらの配列位置に、2つ又はそれ以上、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又はなおより多くの、又は全ての変異したアミノ酸残基を含む。
さらに、本開示に従うピオケリン結合hNGALムテインはまた、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の置換を含み得る:Gln 28 → His;Val 34 → Leu;Glu 44 → Gly;Asp 45 → Gly;Lys → Arg又はTyr;Asn 65 → Asp;Ile 80 → Thr;Cys 87 → Ser;Leu 94 → Phe;Val 108 → Ala;Phe 123 → Ser及びThr 141 → Ala。
いくつかのさらなる実施態様において、ピオケリンに結合する本開示のhNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下のアミノ酸置換を含む:
Gln 28 → His;Ala 40 → Ile;Ile 41 → Leu;Gln 49 → His;Tyr 52 → Leu;Ser 68 → His;Leu 70 → Thr;Arg 72 → Lys;Lys 73 → Trp;Asp 77→ Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → His;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Met;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → His;Tyr 106 → Met;Lys 125→ Trp;Ser 127 → Asp;Tyr 132 → Glu;Lys 134 → Leu;
Gln 28 → His;Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Asp 77→ His;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe;Gln 28 → His;Leu 36 → Met;Ala 40 → Phe;Ile 41 → His;Gln 49 → Ser;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → His;Leu 70 → Pro;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Lys;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Gly;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Trp;Lys 125→ Gly;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Thru;Lys 134 → Val;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Tyr;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Ala;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 →Trp;Lys 73 → Arg;Asp 77→ Arg;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Trp;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Pro;Tyr 100 → Glu;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Arg;Lys 125→ Leu;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Vla 34 → Leu;Leu 36 → Met;Ala 40 → Phe;Ile 41 → His;Gln 49 → Ser;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → His;Leu 70 → Pro;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Lys;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Gly;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Trp;Phe 123 → Ser;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Thru;Lys 134 → Val;Thr 141 → Ala;
Gln 28 → His;Leu 36 → Met;Ala 40 → Phe;Ile 41 → His;Gln 49 → Ser;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → His;Leu 70 → Pro;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Lys;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Gly;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Trp;Phe 123 → Ser;Lys 125→ Gly;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Thru;Lys 134 → Val;
Gln 28 → His;Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Asp 77→ Leu;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;T
yr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe;
Gln 28 → His;Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Glu 44 → Gly;Lys 46 → Tyr;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Lys 74 → Glu;Asp 77 → His;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;Leu 94 → Phe;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Val 108 → Ala;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe;又は
Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Asp 77→ Leu;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe。
残りの領域、すなわち配列位置28、34、36、40〜41、44-46、49、52、54、65、68、70、72〜74、77、79〜81、87、96、100、103、106、108、123、125、127、132、134及び141と異なる領域において、本開示のhNGALムテインは、変異したアミノ酸配列位置の外側に野生型(天然)アミノ酸配列を含み得る。
さらなる特定の実施態様において、本開示に従うムテインは、配列番号54〜63からなる群より選択されるアミノ酸配列又はそのフラグメント若しくは変異体を含む。
本開示のピオケリン結合hNGALムテインのアミノ酸配列は、配列番号54〜63からなる群より選択される配列に対して、少なくとも95%の同一性を含めて、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%のような高い配列同一性を有し得る。
本開示はまた、配列番号54〜63からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するhNGALムテインの構造的相同体を含み、この構造的相同体は、該hNGALムテインに関して、約60%より高い、好ましくは65%より高い、70%より高い、75%より高い、80%より高い、85%より高い、90%より高い、92%より高い、そして最も好ましくは95%より高いアミノ酸配列相同性又は配列同一性を有する。
本開示に従うピオケリン結合hNGALムテインは、ヒトリポカリン2の天然に存在する形態の変異誘発を用いて得ることができる。変異誘発のいくつかの実施態様において、置換(又は置き換え)は保存的置換である。それにもかかわらず、ムテインがPvd I型に結合するその能力を保持するかぎり、かつ/又はその結果置換された配列に対して同一性を有し、ここで成熟ヒトリポカリン2のアミノ酸配列(SWISS-PROTデータバンク受入番号P80188)に対して少なくとも60%、例えば少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくはそれより高い同一性であるかぎり、非保存的置換又は以下の例となる置換からの1つ若しくはそれ以上を含むいずれの置換も想定される。
2. ピオケリンに特異的なムテインの利用
ピオケリン(Pch)は、緑膿菌により産生及び分泌される鉄を同化する2つの主要なシデロホアのうちの1つである。これは細胞外媒体中で鉄をキレート化し、そしてそれを特定の外部膜輸送体FptAを介して細胞に輸送する。PchはZn(II) (p[H] 7.4にてpZn = 11.8)及びCu(II)(p[H] 7.4にてpCu = 14.9)のような二価金属を強くキレート化し、そして主に1:2(M2+/Pch)複合体を形成する。シデロホアは、鉄(III)往復に費やされるだけでなく、微生物における微量金属ホメオスタシスにおいて他の特定の生物学的役割を示す可能性が高い。
従って、本開示のピオケリンに対して結合親和性を有するムテインの多数の可能な適用は薬剤にある。1つのさらなる局面において、本開示は、サンプル中のピオケリンを検出するため、さらには診断の各方法のための本明細書に開示される上記ムテインの使用に関する。
本開示はまた、ピオケリンとの複合体形成について記載されるピオケリンに対する結合親和性を有する1つ又はそれ以上のムテインの使用を含む。
従って、本開示の別の局面において、開示されたムテインは、ピオケリンの検出に使用される。このような使用は、1つ又はそれ以上の上記ムテインを、適切な条件下で、ピオケリンを含有することが疑われるサンプルと接触させ、それによりムテインとピオケリンとの間の複合体形成を可能にする工程、及び適切なシグナルにより複合体を検出する工程を含み得る。
検出可能なシグナルは、上で説明されるように、標識により、又は結合、すなわち複合体形成それ自体に起因する物理的特性の変化により生じ得る。一例は表面プラズモン共鳴であり、その値は、金フォイルのような表面上に固定化された結合パートナーの結合の間に変化する。
本明細書に開示されるムテインはまた、ピオケリンの分離に使用され得る。このような使用は、1つ又はそれ以上の上記ムテインを、適切な条件下で、ピオケリンを含有することが疑われるサンプルと接触させ、それによりムテインとピオケリンとの間の複合体形成を可能にする工程、及びサンプルから複合体を分離する工程を含み得る。
ピオケリンの検出のため、さらにはピオケリンの分離のための、開示されるムテインの使用において、ムテイン及び/若しくはピオケリン又はそのドメインもしくはフラグメントは、適切な固相上に固定され得る。
従って、例えばサンプル中の、ピオケリンのような分子の存在又は不在は、さらにはその濃度又はレベルが決定され得る。
さらに別の局面において、本開示は、本開示に従うピオケリンに対する結合親和性を有するムテインを含む診断又は分析キットを特徴とする。
診断におけるそれらの使用に加えて、さらに別の局面において、本開示は、被験体におけるピオケリンの結合のため、かつ/又は被験体における緑膿菌の増殖を阻害若しくは減少させるための、本開示の上記ムテイン又は上記ムテインを含む組成物の使用を包含する。
さらに別の局面において、本開示は、被験体においてピオケリンを結合する方法を特徴とし、該方法は、治療有効量の、本開示のピオケリンに対して結合親和性を有する1つ若しくはそれ以上のムテイン又は該ムテインを含む1つ若しくはそれ以上の組成物を、該被験体に投与することを含む。
さらに別の局面において、本開示は、被験体において緑膿菌の増殖を阻害又は減少させる方法を含み、該方法は、治療有効量の、本開示のピオケリンに対して結合親和性を有する1つ若しくはそれ以上のムテイン又は上記ムテインを含む1つ若しくはそれ以上の組成物を、該被験体に投与することを含む。
C. ピオベルジン結合ムテイン及び/又はピオケリン結合ムテイン並びにムテインの組み合わせを含む組成物
緑膿菌は、環境に広く分布した細菌種であり、嚢胞性線維症のような素因になる状態を有する患者において非常に重篤な感染症を引き起こすることができる。緑膿菌は、その鉄(III)の必要性を満たすために2つの主要なシデロホア、ピオベルジン(Pvd)及びピオケリン(Pch)を合成する。増殖のバイオフィルム様式は、持続的な緑膿菌感染のために決定的と考えられており(Costertonら、1999;Singhら、2000)、そしてPvd及びPch遺伝子の二重発現が、正常バイオフィルム発生のために必要である(Baninら.、2005)。
緑膿菌が、全てその病原性において役割を果たす多くの一連の病原性因子を生じることを考慮すると、緑膿菌病原性を有効に阻害するための好ましい方策は、いくつかの病原性因子を標的とすることである。
この目的のために、本開示は、被験体においてピオベルジンI型、II型、III型及び/又はピオケリンを結合するための、(i)ピオベルジンI型に特異的な第一のムテイン若しくはそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的な第二のムテイン若しくはそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的な第三のムテイン若しくはそのポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに特異的な第四のムテイン若しくはそのポリペプチドの使用を包含する。このような使用は、有効量の(i)ピオベルジンI型に特異的な第一のムテイン若しくはそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的な第二のムテイン若しくはそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的な第三のムテイン若しくはそのポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに特異的な第四のムテイン若しくはそのポリペプチドを、被験体に投与する工程を含む。本開示はまた、(i)ピオベルジンI型に特異的な第一のムテイン若しくはそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的な第二のムテイン若しくはそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的な第三のムテイン若しくはそのポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに特異的な第四のムテイン若しくはそのポリペプチドの、被験体におけるピオケリン及び/又はピオベルジンを介した緑膿菌により鉄取り込みを防止するか又は減少させるための使用を企図する。同様に、本開示は、(i)ピオベルジンI型に特異的な第一のムテインもしくはそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的な第二のムテイン若しくはそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的な第三のムテイン若しくはそのポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに特異的な第四のムテイン若しくはそのポリペプチドの、被験体における緑膿菌感染及び/又はバイオフィルムの処置又は軽減のための使用を開示する。いくつかのさらなる実施態様において、緑膿菌感染は急性感染でも慢性感染でもよい。
第一、第二、第三及び/若しくは第四のムテイン又はそのポリペプチドは、同時に、併用して又は連続してを含めて、組み合わせて投与され得る。いくつかの実施態様において、第一、第二、第三及び/若しくは第四のムテイン又はそのポリペプチドは、投与され得る組成物中に含まれ得る。組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容しうるアジュバント、希釈剤又は担体とともに、有効量の第一、第二、第三及び/又は第四のムテイン又はそのポリペプチドを活性成分として含み得る。第一、第二、第三及び/若しくは第四のムテイン又はそのポリペプチドはまた、個々の間隔を含めて互いに独立して、独立した時点で投与され得る。
いくつかの実施態様において、本開示において使用されるピオベルジン(I型、II型又はIII型)に特異的なムテインは、ピオベルジン(それぞれI型、II型又はIII型)に、検出可能な親和性で、すなわち、約100nM、約50nM、約25nM又は約15nMを含めて少なくとも200nMの解離定数で結合することができる。いくつかの実施態様において、本開示において使用されるピオケリンに特異的なムテインは、検出可能な親和性で、すなわち、約100nM、約50nM、約25nM又は約15nMを含めて少なくとも200nMの解離定数で、ピオケリンに結合することができる。いくつかのさらなる好ましい実施態様において、本開示に従う組み合わせのムテインは、それぞれ、ピオベルジン(I型、II型又はIII型)又はピオケリンに、ピオベルジン(それぞれI型、II型又はIII型)又はピオケリンについて少なくとも約10nM、約1nM、約0.1nM、約10pM、又はさらにより低い解離定数で結合する。従って、本開示は、(i)ピオベルジンI型(Pvd I s、sa、aKG +/-Fe)に対して検出可能な親和性を有するhNGALのムテイン、(ii)ピオベルジンII型(Pvd II s、sa、aKG +/-Fe)に対して検出可能な親和性を有するhNGALのムテイン、(iii)ピオベルジンIII型(Pvd III s、sa、aKG +/-Fe)に対して検出可能な親和性を有するhNGALのムテイン、及び/又は(iv)ピオケリン(Pch +/- Fe)に対して検出可能な親和性を有するhNGALのムテインの組み合わせを提供する。
ピオベルジンについて検出可能な親和性を有するhNGALに関するさらならる詳細は、本開示のセクションAに見出され得る。
特に好ましい実施態様において、ピオベルジンI型に特異的なムテインは、配列番号2〜18のいずれか1つにおいて示される。特に好ましい実施態様において、ピオベルジンII型に特異的なムテインは、配列番号19〜37のいずれか1つにおいて示される。特に好ましい実施態様において、ピオベルジンIII型に特異的なムテインは、配列番号38〜53のいずれか1つにおいて示される。
ピオケリンに対して検出可能な親和性を有するhNGALムテインのさらなる詳細は、本開示のセクションBに開示されている。
特に好ましい実施態様において、ピオケリンに特異的なムテインは、配列番号54〜63のいずれか1つにおいて示される。
本開示はまた、以下のうちの少なくとも1つを含む組成物に関し:(i)ピオベルジンI型に特異的な第一のムテイン又はそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的な第二のムテイン又はそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的な第三のムテイン又はそのポリペプチド、及び(iv)ピオケリンに特異的な第四のムテイン又はそのポリペプチド、この組成物は、ピオベルジンI型、II型、III型及び/又はピオケリンを結合する方法において使用され得る。
本開示は、第一のムテイン若しくはそのポリペプチド若しくは組成物、第二のムテイン若しくはそのポリペプチド若しくは組成物、第三のムテイン若しくはそのポリペプチド若しくは組成物、及び/又は第四のムテイン若しくはそのポリペプチド若しくは組成物の組み合わせに関する。これらのムテインのうちの1つは、所定の非天然標的としてのピオベルジン(I型、II型又はIII型)に検出可能な親和性で結合する。これらのムテインのうちの1つは、所定の非天然標的としてのピオケリンに検出可能な親和性で結合する。従って各ムテインは、所定の非天然標的としてそれぞれピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに結合する。用語「非天然標的」は、生理的条件下で対応するリポカイン(野生型hNGAL)に結合しない化合物を指す。例えば、第一のムテイン又はそのポリペプチド若しくは組成物は、ピオベルジンの1つの型(I型、II型又はIII型)又はピオケリンに結合し得、そして第二、第三又は第四のムテイン又はそのポリペプチド若しくは組成物は、それぞれピオケリン又は別の型のピオベルジンに結合し得、又はその逆である。第一、第二、第三及び/又は第四のムテイン又はそのポリペプチド若しくは組成物の組み合わせは、様々な形態及び配向で提供され得る。
さらに別の局面において、本開示は、被験体においてピオベルジンI型、II型、III型及び/又はピオケリンを結合する方法を特徴とし、該方法は、以下の少なくとも1つを含む有効量の組成物を被験体に投与することを含む:(i)ピオベルジンI型に特異的なムテイン又はそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的なムテイン又はそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的なムテイン又はそのポリペプチド、及び(iv)ピオケリンに特異的なムテイン又はそのポリペプチド。いくつかの実施態様において、このような組成物は、(i)〜(iv)のうちの2つ又はそれ以上、例えば3つ又は全てさえも含む。
さらに別の局面において、本開示は、被験体において緑膿菌の増殖を阻害する型又は減少させるための方法を含み、該方法は、以下のうちの少なくとも1つを含む有効量の組成物を該被験体に投与することを含む:(i)ピオベルジンI型に特異的なムテイン又はそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的なムテイン又はそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的なムテイン又はそのポリペプチド、及び(iv)ピオケリンに特異的なムテイン又はポリペプチド。いくつかの実施態様において、このような組成物は、(i)〜(iv)の2つ又はそれ以上、例えば3つ又は全てさえも含む。
本開示はまた、(i)ピオベルジンI型に特異的な第一のムテイン若しくはそのポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的な第二のムテイン若しくはそのポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的な第三のムテイン若しくはそのポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに特異的な第四のムテイン若しくはそのポリペプチドの、ピオベルジンI型、II型、III型及び/又はピオケリンとの複合体形成のための使用を含む。
従って、本開示の別の局面において、開示されたムテイン又はポリペプチドは、ピオベルジン及びピオケリンの検出のために使用され得る。このような使用は、1つ又はそれ以上の上記ムテイン又はポリペプチドを、適切な条件下で、ピオベルジン及び/又はピオケリンを含有することが疑われるサンプルと接触させ、それにより、それぞれムテイン若しくはぽ英ペプチドとピオベルジンとの間、かつ/又はムテインとピオケリンとの間の複合体形成を可能にする工程、及び適切なシグナルにより複合体を検出する工程を含み得る。
検出可能なシグナルは、上で説明したように標識により、又は結合、すなわち複合体形成それ自体に起因する物理的特性の変化により生じ得る。一例は表面プラズモン共鳴であり、その値は金フォイルのような表面上に固定された結合パートナーの結合の間に変化する。
本明細書に開示されるムテイン又はポリペプチドはまた、ピオベルジン及び/又はピオケリンの分離のために使用され得る。このような使用は、1つ又はそれ以上の上記ムテインを、適切な条件下で、ピオベルジン及び/又はピオケリンを含有することが疑われるサンプルと接触させ、それによりそれぞれムテインとピオベルジンとの間、かつ/又はムテインとピオケリンとの間の複合体形成を可能にする工程、並びにサンプルから複合体を分離する工程を含み得る。
ピオベルジン及び/又はピオケリンの検出、さらにはピオベルジン及び/又はピオケリンの分離のための開示されたムテイン又はポリペプチドの使用において、ムテイン並びに/若しくはピオベルジン及びピオケリン又はそれらのドメイン若しくはフラグメントは、適切な固相に固定化され得る。
従って、例えばサンプル中のピオベルジン及び/又はピオケリンの存在又は不在、さらにはその濃度又はレベルが決定され得る。
別の局面において、本開示はキット・オブ・パーツ(kit of parts)を提供する。キットは、1つ又はそれ以上の容器に、別々に又は混合物で、ピオベルジンI型に特異的なムテイン若しくはポリペプチド若しくはその組成物、ピオベルジンII型に特異的なムテイン若しくはポリペプチド若しくはその組成物、ピオベルジンIII型に特異的なムテイン若しく
はポリペプチド若しくはその組成物、及び/又はピオケリンに特異的なムテイン若しくはポリペプチド若しくはその組成物を含む。いくつかのさらなる好ましい実施態様において、キットは、ピオベルジンI型に特異的な第一のムテイン若しくはポリペプチド若しくはその組成物を含む第一の容器、ピオベルジンII型に特異的な第二のムテイン若しくはポリペプチド若しくはその組成物を含む第二の容器、ピオベルジンIII型に特異的な第三のムテイン若しくはポリペプチド若しくはその組成物を含む第三の容器、及び/又はピオケリンに特異的な第四のムテイン若しくはポリペプチド若しくはその組成物を含む第四の容器を含む。いくつかの実施態様において、キットは、それらと一体化して、又は1つ若しくはそれ以上の別々の書類として、容器又はキット及びムテイン又はそのポリペプチドの使用に関する情報をさらに含む。キットは、いくつかの実施態様において、希釈剤中の再構成のために製剤化された1つ又はそれ以上の組成物を含み得る。このような希釈剤、例えば滅菌希釈剤はまた、例えば容器内でキットに含まれ得る。
D. 本開示のムテイン
ピオベルジン又はピオケリンに結合する本開示のムテインの文脈において本明細書で使用される場合、用語「に特異的な」は、ムテインがそれぞれピオベルジン若しくはピオケリンに特異的である(directed to)か、ピオベルジン若しくはピオケリンに結合するか、又はピオベルジン若しくはピオケリンと反応するということを含む。従って、特異的である、結合する、又は反応することは、ムテインがそれぞれピオベルジン又はピオケリンに特異的に結合するということを含む。この文脈において用語「特異的に」は、本明細書に記載されるように、ムテインがピオベルジンタンパク質又はピオケリンタンパク質と反応するが、本質的に別のタンパク質とは反応しないということを意味する。用語「別のタンパク質」は、本明細書に開示されるムテインが特異的であるピオベルジン又はピオケリンと密接に関連するか又は相同であるタンパク質を含めて、いずれかの非ピオベルジン又は非ピオケリンタンパク質を含む。しかし、定義「被験体」の文脈において記載されるもののようなヒト以外の種由来のピオベルジン又はピオケリンタンパク質、フラグメント及び/又は変異体は、用語「別のタンパク質」により排除されない。用語「本質的に結合しない」は、本開示のムテインが、別のタンパク質に結合しない、すなわち、30%、好ましくは20%、より好ましくは10%より低い、特に9、8、7、6又は5%より低い交差反応性を示すということを意味する。本明細書において上で定義されるようにムテインが特異的に反応するか否かは、とりわけ、本開示のリポクリン(lipoclin)ムテインのピオベルジン又はピオケリンとの反応及び上記ムテインと他のタンパク質との反応を比較することにより、容易に試験することができる。「特異的結合」はまた、例えば、ウェスタンブロット、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、FACS、IHC及びペプチドスキャンに従って決定され得る。
本開示に従うムテインのアミノ酸配列は、別のリポカリンとの配列同一性と比較した場合、ヒトリポカリン2に対して高い配列同一性を有する(上も参照のこと)。この一般的な文脈において、本開示に従う組み合わせのムテインのアミノ酸配列は、対応するリポカリン(野生型hNGAL)のアミノ酸配列に少なくとも実質的に類似している。本開示に従う組み合わせのムテインの各配列は、成熟hNGALの配列に対して、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも85%、少なくとも87%、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性を含むように、成熟hNGALの配列に実質的に類似している。これに関して、当然ながら本開示のムテインは、相対的に、ムテインをそれぞれピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに結合することができるようにする、本明細書に記載されるような置換を含有し得る。典型的に、hNGALのムテインは、hNGALの天然配列と比較して、hNGALのリガンド結合部位の開放端において4つのループにおけるアミノ酸の1つ又はそれ以上の変異を含む。上で説明したように、これらの領域は、ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンについてのムテインの結合特異性を決定する際に必須である。ムテイン油ダイhNGAL又はその相同体は、N末端領域並びに/又は天然結合ポケットの反対に位置するβ−バレル構造の末端に配置される3つのペプチドループBC、DE、及びFGにおけるいずれかの配列位置に1、2、3、4又はそれ以上の変異したアミノ酸残基を有し得る。
本開示に従うムテインは、対応する天然hNGALと比較して、1つ又はそれ以上、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20もの置換を含むが、ただし、このようなムテインは、それぞれピオベルジン又はピオケリンに結合する事ができるべきである。例えば、ムテインは、hNGALの異なる位置に対応する位置(すなわち対応する位置)において置換を有し得る。いくつかの実施態様において、本開示に従う組み合わせのムテインは、アルギニン残基による天然アミノ酸の、2、3、4、5、又はさらにそれ以上を含めて、少なくとも2つのアミノ酸置換を含む。従って、本明細書に記載されるタンパク質「参照」骨格の核酸は、それぞれピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに結合することができるムテインを生成する目的で変異誘発にかけられる。
また、本開示のムテインは、そのN末端又はC末端に、好ましくはC末端に、ムテインの生物学的活性(それぞれその標的、例えばピオベルジン又はピオケリンへの結合)に影響を及ぼさない、Strep-tag、例えば、Strep IIタグのような異種アミノ酸配列を含み得る。
詳細には、野生型hNGALと異なるムテインのアミノ酸配列のアミノ酸残基が野生型hNGALのアミノ酸配列における特定の位置に対応するかどうかを決定するために、当業者は、当該分野で周知の手段及び方法、例えば、手動で又はBLAST2.0(これは、Basic Local Alignment Search Toolを表す)若しくはClustalWのようなコンピュータプログラム又は配列アライメントを生成するために適したいずれかの他の適切なプログラムをのいずれかを使用することによるアライメントを使用することができる。従って、野生型hNGALは「対象配列」又は「参照配列」として役立つが、本明細書に記載される野生型hNGALと異なるムテインのアミノ酸配列は「クエリー配列」として役立つ。用語「参照配列」及び「野生型配列」は本明細書において交換可能に使用される。
いくつかの実施態様において、置換(又は置き換え)は保存的置換である。それにもかかわらず、ムテインがそれぞれピオベルジンI型、II型、III型若しくはピオケリンに結合するその能力を保持するかぎり、かつ/又はその結果置換された配列に対して同一性を有し、ここで「元の」配列に対して少なくとも60%、例えば少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%若しくはそれより高い同一性であるかぎり、非保存的置換又は以下に列挙される例となる置換からの1つ若しくはそれ以上を含むいずれの置換も想定される。
保存的置換は、一般的には、変異しようとするアミノ酸に従ってリストに記載された以下の置換であり、それぞれに保存的と考慮され得る1つ又はそれ以上の置換が続く:Ala → Gly、Ser、Val;Arg → Lys;Asn → Gln、His;Asp → Glu;Cys → Ser;Gln → Asn;Glu → Asp;Gly → Ala;His → Arg、Asn、Gln;Ile → Leu、Val;Leu → Ile、Val;Lys → Arg、Gln、Glu;Met → Leu、Tyr、Ile;Phe → Met、Leu、Tyr;Ser → Thr;Thr → Ser;Trp → Tyr;Tyr → Trp、Phe;Val → Ile、Leu。他の置換も許容され、そして実験的に、又は他の公知の保存的又は非保存的置換に従って決定され得る。さらなる方向付けとして、以下の8つの群は、それぞれ互いについての保存的置換を規定すると典型的にみなされ得るアミノ酸を含有する:
アラニン(Ala)、グリシン(Gly);
アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu);
アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln);
アルギニン(Arg)、リジン(Lys);
イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val);
フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp);
セリン(Ser)、スレオニン(Thr);及び
システイン(Cys)、メチオニン(Met)
このような置換が生物学的活性の変化を生じる場合、以下のような、又はアミノ酸クラスを参照して以下にさらに記載されるような、より実質的な変化が導入され得、そして生成物は所望の特徴についてスクリーニングされる。このようなより実質的な変化の例は:Ala → Leu、Ile;Arg → Gln;Asn → Asp、Lys、Arg、His;Asp → Asn;Cys → Ala;Gln → Glu;Glu → Gln;His → Lys;Ile → Met、Ala、Phe;Leu → Ala、Met、ノルロイシン;Lys → Asn;Met → Phe;Phe → Val、Ile、Ala;Trp → Phe;Tyr → Thr、Ser;Val → Met、Phe、Alaである。
hNGALの生物学的特性の実質的な改変は、(a)例えばシート若しくはらせん構造のような、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性の変化、又は(c)側鎖の体積の維持に対するそれらの効果において有意に異なる置換を選択することにより達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられる:(1)疎水性:ノルロイシン、メチオニン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン;(2)中性親水性:システイン、セリン、スレオニン;(3)酸性:アスパラギン酸、グルタミン酸;(4)塩基性:アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン;(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:グリシン、プロリン;及び(6)芳香族:トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを必要とする。hNGALの適切なコンホメーションの維持に関与しないいずれのシステイン残基も、分子の酸化的安定性を改善し、かつ異常な架橋を防止するために、一般的にはセリンで置換され得る。逆に、システイン結合はその安定性を改善するために付加され得る。
上で考察された挿入を含むいずれの変異も、核酸、例えばDNAレベルで確立された標準的方法を使用して非常に容易に達成され得る。アミノ酸配列の変更の説明に役立つ例は、挿入又は欠失、さらにはアミノ酸置換である。このような置換は保存的であってもよく、すなわち、アミノ酸残基は、特に極性にくわ得てサイズに関して、化学的に類似した特性のアミノ酸残基で置き換えられる。保存的置換の例は、以下のグループのメンバー間での置換である:1)アラニン、セリン、及びスレオニン;2)アスパラギン酸及びグルタミン酸;3)アスパラギン及びグルタミン;4)アルギニン及びリジン;5)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、及びバリン;並びに6)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン。他方で、アミノ酸配列において非保存的変更を導入することも可能である。さらに、単一のアミノ酸残基を置き換える代わりに、hNGALの一次構造の1つ又はそれ以上の連続したアミノ酸を、これらの欠失又は挿入が安定な折り畳まれた/機能的ムテインを生じるかぎり、挿入又は欠失することも可能である。
アミノ酸配列の改変は、特定の制限酵素の切断部位を組み込むことにより変異したhNGAL遺伝子又はその部分のサブクローニングを簡素化するために、単一アミノ酸位置の定方向突然変異誘発を含む。さらに、これらの変異はまた、ピオベルジン又はピオケリンのような所定の標的についてのムテインの親和性をさらに改善するために組み込まれ得る。さらに、折り畳み安定性、血清安定性、タンパク質抵抗性若しくは水溶性を改善するか又は必要な場合は凝集傾向を減少させるためのようなムテインの特定の特徴を調節するために変異が導入され得る。例えば、天然に存在するシステイン残基は、ジスルフィド結合形成を防止するために他のアミノ酸に変異され得る。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ビオチン、ペプチド若しくはタンパク質のような他の化合物への結合のため、又は天然に存在しないジスルフィド連結の形成のために、他のアミノ酸配列位置をシステインに意図的に変異させることも可能である。生成されたチオール部分は、例えば反応性ムテインの血清半減期を増加させるために、ムテインをPEG化又はHES化するために使用され得る。
例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ビオチン、ペプチド若しくはタンパク質のような他の化合物への結合のため、又は天然に存在しないジスルフィド連結の形成のために、他のアミノ酸配列位置をシステインに変異させることも可能である。
いくつかの実施態様において、上記部分のうちの1つが本開示のムテインに結合される場合、アミノ酸側鎖への結合は有利であり得る。適切なアミノ酸側鎖は、hNGALのアミノ酸配列中に存在し得るか、又は変異誘発により導入されてもよい。適切な結合部位が変異誘発を介して導入される場合、1つの可能性は、システイン残基による適切な位置でのアミノ酸の置換である。
ヒトリポカリン2のムテインに関して、ヒトリポカリン2ムテインを含むリポカリンのアミノ酸配列にシステイン残基を導入するような変異の例となる可能性は、ヒトNGALの野生型配列の配列位置14、21、60、84、88、116、141、145、143、146又は158に対応する配列位置のうちの少なくとも1つへのシステイン(Cys)残基の導入を含む。本開示のヒトリポカリン2ムテインが、SWISS-PROT/UniProtデータバンク受入番号P80188の配列と比較して、システインが別のアミノ酸残基で置き換えられている配列を有するいくつかの実施態様において、対応するシステインは、配列に再導入され得る。説明に役立つ例として、アミノ酸位置87のシステイン残基は、このような場合、SWISS-PROT受入番号P80188の配列に元々存在していたシステインに戻すことにより導入され得る。アミノ酸位置14、21、60、84、88、116、141、145、143、146及び/又は158のいずれかの側部における生成されたチオール部分は、例えば、各ヒトリポカリン2ムテインの血清半減期を増加させるために、ムテインをPEG化又はHES化するために使用され得る。
別の実施態様において、本開示に従うムテインに上記化合物のうちの1つを結合するための適切なアミノ酸側鎖を提供するために、人工アミノ酸が変異誘発により導入され得る。一般に、このような人工アミノ酸は、より反応性であるように、従って所望の化合物への結合を容易にするように設計される。人工tRNAを介して導入され得るこのような人工アミノ酸の一例は、パラ-アセチルフェニルアラニンである。
本明細書に開示されるムテインのいくつかの適用について、それらを融合タンパク質の形態で使用することが有利かもしれない。いくつかの実施態様において、本開示のムテインは、タンパク質、タンパク質ドメイン又はペプチド、例えばシグナル配列及び/又は親和性タグに、そのN末端又はそのC末端で融合される。
Strep-tag(R)若しくはStrep-tag(R)II(Schmidt、T.G.M. et al. (1996) J. Mol. Biol.
255、753-766)、myc-タグ、FLAG-タグ、His6-タグ若しくはHA-タグのような親和性タグ又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼのようなタンパク質もまた、組み換えタンパク質の容易な検出及び/又は精製を可能にし、適切な融合パートナーのさらなる例である。最後に、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は黄色蛍光タンパク質(YFP)のような発色又は蛍光特性を有するタンパク質はもまた、本開示のムテインに適した融合パートナーである。
一般に、本開示のムテインをいずれかの適切な化学物質又は酵素で標識することは可能であり、これは直接的又は間接的に、化学的、物理的、光学的又は酵素的反応で検出可能な化合物又はシグナルを生じる。物理反応及び同時に光学反応/マーカーの例は、照射の際の蛍光放射又は放射性標識を使用した場合のX線放射である。アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びβ-ガラクトシダーゼは、発色性反応生成物の形成を触媒する酵素標識(及び同時に光学標識)の例である。一般に、抗体(免疫グロブリンのFc部分における糖部分でもっぱら使用されるものを除く)に一般的に使用される全ての標識は、本開示のムテインへの結合にも使用され得る。本開示のムテインはまた、例えばこのような薬剤の所定の細胞、組織若しくは器官への標的化送達のため、又は周囲の正常細胞に影響を及ぼすことなく、細胞、例えば腫瘍細胞を選択的に標的化するために、いずれかの適切な治療活性薬剤と結合され得る。このような治療活性薬剤の例としては、放射性核種、毒素、有機小分子、及び治療用ペプチド(例えば、細胞表面受容体のアゴニスト/アンタゴニストとして作用するペプチド、又は所定の細胞標的上のタンパク質結合部位について競合するペプチド)が挙げられる。しかし、本開示のムテインはまた、アンチセンス核酸分子、小さな干渉RNA、マイクロRNA又はリボザイムのような治療活性核酸と結合され得る。このような結合体は、当該分野で周知の方法により製造され得る。
上で示されたように、本開示のムテインは、いくつかの実施態様において、ムテインの血清半減期を延長する部分に結合され得る(これに関しては、PCT公開WO 2006/56464を参照のこと。ここではこのような結合体ストラテジーがCTLA-4に対して結合親和性を有するヒト好中球ゼラチナーゼ関連リポカリンのムテインを参照して記載される)。血清半減期を延長する部分は、2,3の例を挙げると、ポリアルキレングリコール分子、ヒドロキシエチルデンプン、脂肪酸分子、例えばパルミチン酸(Vajo & Duckworth 2000、Pharmacol.
Rev. 52、1-9)、免疫グロブリンのFc部分、免疫グロブリンのCH3ドメイン、免疫グロブリンのCH4ドメイン、アルブミン結合ペプチド、又はアルブミン結合タンパク質、トランスフェリンであり得る。アルブミン結合タンパク質は、細菌アルブミン結合タンパク質、抗体、ドメイン抗体(例えば米国特許第6,696,245号を参照のこと)を含む抗体フラグメント、又はアルブミンに対して結合活性を有するムテインであり得る。従って、本開示のムテインの半減期を延長するための適切な結合パートナーは、アルブミン結合タンパク質、例えば、細菌アルブミン結合ドメイン、例えば連鎖球菌プロテインGの1つ(Koenig、T.、& Skerra、A. (1998) J. Immunol. Methods 218、73-83)。結合パートナーとして使用され得るアルブミン結合ペプチドの他の例は、例えば、米国特許出願第2003/0069395号又はDennisらに記載されるように(配列番号131;Dennis、M. S.、Zhang、M.、Meng、Y. G.、Kadkhodayan、M.、Kirchhofer、D.、Combs、D. & Damico、L. A. (2002) J Biol Chem 277、35035-35043)Cys-Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Cysコンセンサス配列を有するものであり、ここでXaa1はAsp、Asn、Ser、Thr、又はTrpであり;Xaa2はAsn、Gln、His、Ile、Leu、又はLysであり;Xaa3はAla、Asp、Phe、Trp、又はTyrであり;そしてXaa4はAsp、Gly、Leu、Phe、Ser、又はThrである。
他の実施態様において、アルブミン自体(Osborn、B.L. et al.、2002、J. Pharmacol. Exp. Ther. 303、540-548)、又はアルブミンの生物学的に活性なフラグメントは、本開示のムテインの結合パートナとして使用され得る。用語「アルブミン」は、ヒト血清アルブミン又はウシ血清アルブミン又はラットアルブミンのような全ての哺乳動物アルブミンを含む。アルブミン又はそのフラグメントは、米国特許第5,728,553号又は欧州特許出願第EP 0 330 451号及び同第EP 0 361 991号に記載されるように組み換えにより製造され得る。組み換えヒトアルブミン(Recombumin(R)) Novozymes Delta Ltd.(Nottingham、UK)は、ムテインの半減期を延長するために本開示のムテインに結合又は融合され得る。
アルブミン結合タンパク質が抗体フラグメントである場合、それはドメイン抗体であり得る。ドメイン抗体(dAb)は、最適な安全性及び有効性結果プロフィールを生じるように生物物理学的特性及びインビボ半減期の正確な制御を可能にするように操作される。ドメイン抗体は、例えばDomantis Ltd. (Cambridge、UK and MA、USA)から市販されている。
本開示のムテインの血清半減期を延長するための部分としてトランスフェリンを使用して、非グリコシル化トランスフェリンのN若しくはC末端又はその両方にムテインを遺伝子的に融合することができる。非グリコシル化トランスフェリンは14〜17日の半減期を有し、そしてトランスフェリン融合タンパク質は、同様に延長された半減期を有する。トランスフェリン担体はまた、高いバイオアベイラビリティ、生体内分布及び循環安定性をもたらす。この技術は、BioRexis (BioRexis Pharmaceutical Corporation、PA、USA)から市販されている。タンパク質安定剤/半減期延長パートナーとしての使用のための組み換えヒトトランスフェリン(DeltaFerrinTM)はまた、Novozymes Delta Ltd. (Nottingham、UK)から市販されている。
免疫グロブリンのFc部分が、本開示のムテインの血清半減期を延長する目的のために使用される場合、Syntonix Pharmaceuticals、Inc (MA、USA)から市販されているSynFusionTM技術が使用され得る。このFc融合技術の使用は、長時間作用性生物薬剤の生成を可能にし、そして例えば、薬物動態、可溶性、及び生産効率を改善するために抗体のFc領域に連結されたムテインの2つのコピーから成り得る。
本開示のムテインの半減期を延長するさらに別の代替は、ムテインのN末端又はC末端に長い非構造化可動性グリシン豊富配列(例えば、約20〜80個の連続したグリシン残基を有するポリグリシン)を融合することである。例えば、WO2007/038619に開示されるこのアプローチは「rPEG」(組み換えPEG)とも呼ばれる。
ポリアルキレングリコールが結合パートナーとして使用される場合、ポリアルキレングリコールは、置換されていても、無置換でも、線状でも分枝でもよい。これは活性化ポリアルキレン誘導体でもよい。適切な化合物の例は、WO 99/64016、米国特許第6,177,074号若しくはインターフェロンに関連して米国特許第6,403,564号に記載されるような、又はPEG修飾アスパラギナーゼ、PEG-アデノシンデアミナーゼ(PEG-ADA)若しくはPEG-スーパーオキシドジスムターゼ(例えば、Fuertges et al. (1990) The Clinical Efficacy of Poly(Ethylene Glycol)-Modified Proteins J. Control. Release 11、139-148を参照のこと)のような他のタンパク質について記載されるような、ポリエチレングリコール(PEG)分子である。ポリエチレングリコールのようなこのようなポリマーの分子量は、約300〜約70.000ダルトンの範囲に及び得、例えば、約10.000、約20.000、約30.000又は約40.000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールが含まれる。さらに、例えば米国特許第6,500,930号又は同第6,620,413号に記載されるように、デンプン又はヒドロキシエチルデンプン(HES)のような炭水化物オリゴマー及びポリマーは、血清半減期延長の目的のために本開示のムテインに結合され得る。
さらに、本明細書に開示されるムテインは、酵素活性又は他の分子に対する結合親和性のような本開示のムテインの新しい特徴を付与し得る部分に融合され得る。適切な融合パートナーの例は、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、プロテインGのアルブミン結合ドメイン、プロテインA、抗体フラグメント、オリゴ体化ドメイン又は毒素である。
特に、本明細書に開示されるムテインを、別個の酵素活性部位と、得られた融合タンパク質の両方の「成分」が所定の治療標的に対して一緒に作用するように、融合することが可能である。ムテインの結合ドメインは、疾患を引き起こす標的に結合し、酵素ドメインが標的の生物学的機能を止めることを可能にする。
本開示はまた、本開示のムテインをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子(DNA及びRNA)に関する。遺伝コードの縮重は、特定のコドンの同じアミノ酸を特定する他のコドンによる置換を許容するので、本開示は、本明細書に記載されるムテインをコードする特定の核酸分子に限定されないが、機能的ムテインをコードするヌクレオチド配列を含む全ての核酸分子を包含する。これに関して、本開示は、配列番号65〜126に示される本開示のいくつかのムテインをコードするヌクレオチド配列を提供する。
本開示の一実施態様において、方法は、ヒトNGAL(配列番号2)の線状ポリペプチド配列の配列位置28、34、36、39〜42、44〜47、49、52、54〜55、65、68、70、72-75、77、79〜81、87、96、100、103、106、108、123、125、127、132、134、141及び145に対応する配列位置の少なくとも1つ、又はさらにそれ以上をコードするヌクレオチドトリプレットにおいて核酸分子を変異誘発にかけることを含む。
本開示はまた、実験的変異誘発の示された配列位置の外側にさらなる変異を含む、本開示のムテインをコードする核酸分子を含。このような変異はしばしば許容されるか、又は、例えば、それらがムテインの改善された折り畳み有効性、血清安定性、熱安定性又はリガンド結合親和性に寄与する場合、有利であることが判明し得る。
本出願において開示される核酸分子は、この核酸分子の発現を可能にするように制御配列に「作動可能に連結され」得る。
DNAのような核酸分子は、それが転写及び/又は翻訳調節に関する情報を含有する配列エレメントを含む場合、「核酸分子を発現することができる」又は「ヌクレオチド配列の発現を可能にする」ことができると言及され、そしてこのような配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に「作動可能に連結される」。作動可能な連結は、調節配列エレメント及び発現させようとする配列が、遺伝子発現を可能にするやり方で接続されている連結である。遺伝子発現に必要な調節領域の正確な性質は、種間で変化し得るが、一般にこれらの領域はプロモーターを含み、これは原核生物において、プロモーターそれ自体、すなわち転写の開始を誘導するDNAエレメント、さらにはRNAに転写された場合に、翻訳の開始のシグナル伝達をするDNAエレメントの両方を含有する。このようなプロモーター領域は、通常は、転写及び翻訳の開始に関与する5’非コード配列、例えば-35/-10ボックス並びに原核生物におけるShine-Dalgarnoエレメント又は真核生物におけるTATAボックス、CAAT配列、及び5’-キャッピングエレメントを含む。これらの領域はまた、エンハンサー又はリプレッサーエレメント、さらには天然ポリペプチドを宿主細胞の特定の区画に標的化するための翻訳されたシグナル及びリーダー配列を含み得る。
さらに、3’非コード配列は、転写終結、ポリアデニル化などに関与する調節エレメントを含有し得る。しかし、これらの終結配列が特定の宿主細胞において十分に機能的でない場合、それらはその細胞で機能的なシグナルで置換され得る。
従って、本開示の核酸分子は、プロモーター配列のような調節配列を含み得る。いくつかの実施態様において、本開示の核酸分子は、プロモーター配列及び転写終結配列を含む。適切な原核生物プロモーターは、例えばtetプロモーター、lacUV5プロモーター又はT7プロモーターである。真核生物細胞における発現に有用なプロモーターの例は、SV40プロモーター又はCMVプロモーターである。
本開示の核酸分子はまた、ベクター又はプラスミド、ファージミド、ファージ、バキュロウイルス、コスミド若しくは人工染色体のようないずれかの他の種類のクローニングビヒクルの一部であり得る。
一実施態様において、核酸分子は、ナナフシ(phasmid)に含まれる。ナナフシベクターは、ナナフシベクターは、目的のcDNAに融合された、M13若しくはf1のようなテンペレント(temperent)ファージ、又はその機能的部分の遺伝子間領域をコードするベクターを示す。このようなファージミドベクター及び適切なヘルパーファージ(例えば、M13K07、VCS-M13又はR408)での細菌宿主細胞の重複感染後に、インタクトなファージ粒子が産生され、それにより、コードされる異種cDNAの、ファージ表面上に提示されるその対応するポリペプチドへの物理的カップリングを可能にする(例えば、Lowman、H.B. (1997) Annu. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26、401-424、又はRodi、D.J.、and Makowski、L. (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 10、87-93を参照のこと)。
このようなクローニングビヒクルは、上記の調節配列及び本明細書に記載されるムテインをコードする核酸のほかに、発現に使用される宿主細胞と適合性の種由来の複製及び制御配列、さらには形質転換又はトランスフェクトされた細胞での選択可能な表現型を付与する選択マーカーを含み得る。多数の適切なクローニングベクターが当該分野で公知であり、市販されている。
本明細書に記載されるムテインをコードするDNA分子、及び特に、ムテインのようなコード配列を含有するクローニングベクターは、遺伝子を発現することができる宿主細胞に形質転換され得る。形質転換は標準的な技術を使用して行われ得る。従って、本開示はまた、本明細書に開示される核酸分子を含有する宿主細胞に関する。
形質転換された宿主細胞は、本開示の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の発現に適した条件下で培養される。適切な宿主細胞は、大腸菌(E. coli)若しくは枯草菌(Bacillus subtilis)のような原核生物細胞、又は出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、SF9若しくはHigh5昆虫細胞、不死化哺乳動物細胞株(例えば、HeLa細胞又はCHO細胞)若しくは初代哺乳動物細胞のような真核生物細胞であり得る。
本開示はまた、本明細書に記載されるムテイン又はポリペプチドの製造のための方法に関し、ここでムテイン若しくはポリペプチド、ムテイン若しくはポリペプチドのフラグメント又はムテイン若しくはポリペプチド及び別のタンパク質の融合タンパク質は、遺伝子操作方法を用いてムテイン又はポリペプチドをコードする核酸から開始して製造される。この方法は、インビボで行うことができ、ムテイン又はポリペプチドは、例えば、細菌又は真核生物宿主生物において産生され、次いでこの宿主生物又はその培養物から単離される。例えば、インビトロ翻訳系を使用することにより、タンパク質をインビトロで製造することも可能である。
ムテイン又はそのポリペプチドをインビボで製造する場合、このようなムテイン又はポリペプチドをコードする核酸は、組み換えDNA技術(既に上で概説した)を用いて適切な細菌又は真核生物宿主生物に導入される。この目的のために、宿主細胞は、最初に、本明細書に記載されるムテインをコードする核酸を含むクローニングベクターを用いて、確立された標準的方法を使用して形質転換される。次いで、宿主細胞を、異種DNAの発現、従って対応するポリペプチドの合成の発現を可能にする条件下で培養する。その後、ポリペプチドを細胞から又は培地から回収する。
いくつかの実施態様において、本出願において開示されるDNAのような核酸分子は、本開示の融合タンパク質の発現を可能にするために、本開示の別の核酸分子に「作動可能に連結され」得る。これに関して、作動可能な連結は、第一の核酸分子の配列エレメント及び第二の核酸分子の配列エレメントが、単一のポリペプチドとしての融合タンパク質の発現を可能にするやり方で接続されている連結である。
さらに、いくつかの実施態様において、Cys 76とCys 175との間の天然に存在するジスルフィド結合は、本開示のhNGALムテインにおいて除去され得る。従って、このようなムテインは、還元性の酸化還元環境を有する細胞区画において、例えばグラム陰性細菌の細胞質において産生され得る。
本開示のムテインが分子内ジスルフィド結合を含む場合、新生ポリペプチドを、適切なシグナル配列を使用して酸化性酸化還元環境を有する細胞区画に方向づけることが好ましいかもしれない。このような酸化性環境は、E. coliのようなグラム陰性細菌の周辺質により、グラム陽性細菌の細胞外環境において、又は真核細胞の小胞体の管腔において提供され得、そして通常は構造的ジスルフィド結合の形成が好ましい。
しかし、宿主細胞、好ましくはE. coliの細胞質ゾルにおいて本開示のムテイン又はそのポリペプチドを産生することも可能である。この場合、ムテイン又はポリペプチドは、可溶性かつ折り畳まれた状態で直接得られても、封入体の形態で回収され、その後インビトロで再生されてもよい。さらなる選択肢は、酸化性細胞内環境を有する特定の宿主株の使用であり、これは従って細胞質ゾルにおけるジスルフィド結合の形成を可能にし得る(Venturi et al. (2002) J. Mol. Biol. 315、1-8.)。
しかし、本明細書に記載されるムテイン又はポリペプチドは、必ずしも遺伝子操作の使用によってのみ生成又は製造されるわけではないかもしれない。むしろ、このようなムテイン又はポリペプチドはまた、Merrifield固相ポリペプチド合成のような化学合成により、又はインビトロでの転写及び翻訳によっても得ることができる。例えば、分子モデリングを使用して有望な変異を同定し、次いで所望の(設計された)ポリペプチドをインビトロで合成し、ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンについての結合活性を調べることが可能である。タンパク質の固相及び/又は液相合成のための方法は当該分野で周知である(例えば、Bruckdorfer、T. et al. (2004) Curr. Pharm. Biotechnol. 5、29-43を参照のこと)。
別の実施態様において、本開示のムテイン又はポリペプチドは、当業者に公知の十分に確立された方法を使用してインビトロ転写/翻訳により製造され得る。
当業者は、本開示により検討されるムテイン又はそのポリペプチドを製造するために有用な方法を理解するが、そのタンパク質又は核酸配列は本明細書に明示的に開示されない。概略として、アミノ酸配列のこのような修飾は、例えば、特定の制限酵素の切断部位を組み込むことにより変異したhNGAL遺伝子又はその部分のサブクローニングを単純化するために、単一のアミノ酸位置の定方向変異誘発を含む。さらに、これらの変異はまた、その標的(例えば、それぞれピオベルジン又はピオケリン)に対するムテインの親和性をさらに改善するために組み込まれ得る。さらに、折り畳み安定性、血清安定性、タンパク質抵抗性若しくは水溶性を改善するため又は必要な場合は凝集傾向を低減するためのように、ムテインの特定の特徴を調節するために変異が導入され得る。例えば、天然に存在するシステイン残基は、ジスルフィド架橋形成を防止するために他のアミノ酸に変異され得る。
本明細書に開示されるムテイン又はポリペプチド及びそれらの誘導体は、抗体又はそのフラグメントに類似した多くの分野において使用され得る。例えば、ムテインは、酵素、抗体、放射性物質又は生化学的活性若しくは規定された結合特徴を有するいずれかの他の基で標識するために使用され得る。そうすることにより、それらの各標的若しくは結合体又はそれらの融合タンパク質は、検出され得るかそれらと接触され得る。さらに、本開示のムテイン又はそのポリペプチドは、確立された分析方法(例えば、ELISA又はウェスタンブロット)を用いて、又は顕微鏡検査若しくは免疫センサー(immunosensorics)により化学構造を検出するために役立ち得る。これに関して、検出シグナルは、適切なムテイン結合体若しくは融合タンパク質の使用により直接的に、又は抗体を介して結合したムテインの免疫化学的検出により間接的に生成され得る。
本開示のさらなる目的、利点及び特徴は、以下の実施例及び添付のその図面を調査することで当業者に明らかとなり、これらは、限定することを意図されない。従って、当然のことながら、本開示は例となる実施例及び任意の特徴により具体的に開示されるが、本明細書において開示されるそれらにおける開示の改変及び変形は当業者により当てにされ(resorted)得、そしてこのような改変及び変形は本開示の範囲内とみなされる。
V. 実施例
実施例1:緑膿菌シデロホアの精製及びビオチン化
緑膿菌は、ピオベルジンの3つの群、すなわち、ピオベルジンI型、ピオベルジンII型及びピオベルジンIII型を産生する。各群は、スクシニル、スクシンアミド又はα-ケトルグルタリルである側鎖が異なる3つの形態を有する。さらに緑膿菌はピオケリンを産生する。全部で10のシデロホアがFe3+としての鉄を複合体化し得る。
目的のムテインの選択及びスクリーニングのために、シデロホアはビオチン化され得る。ビオチン化は、ピオベルジンIスクシニル変異体についてスクシニル側鎖で、ピオベルジンIIスクシニル変異体についてL-オルニチン側鎖で、そしてピオベルジンIIIスクシニル変異体について主にグリシン側鎖で行われた。ピオケリンはフェノール環でビオチン化された。
実施例2:緑膿菌シデロホアに特異的に結合するムテインの選択
成熟hNGALのランダム変異誘発により生成されたhNGALベースのライブラリーを、緑膿菌の異なるシデロホアに特異的に結合するムテインの選択のために使用した。ビオチン化され鉄負荷されたPvd Iスクシニル、Pvd IIスクシニル、及びPvd IIIスクシニルさらにはビオチン化された非鉄負荷ピオケリンを、独立ファージディスプレイ及び選択プロセスにおいて使用した。
これらのライブラリからの2x1012のファージミドを、200nM又は500nM又は1μMビオチン化標的とともにインキュベートした。ニュートラアビジン又はストレプトアビジンでコーティングされた常磁性ビーズを、標的/ファージミド複合体を捕捉するために使用し、その後これらを磁石を用いて単離した。未結合ファージミドを、PBST又はPBSでビーズを洗浄することにより除去した。結合したファージミドを、最初に300μl 70mMトリエチルアミンで10分間、直後に上清を100μl 1M Tris-Cl pH 6.0で溶出した。1回の中間洗浄サイクルの後に、残りのファージミドを100mMグリシンpH2.2で10分間溶出し、直後に50μl 0.5M Tris塩基で中和した。両方の溶出フラクションをプールし、そして再増幅のためにE. coli XL1-ブルー培養物4 mlを感染するために使用した(OD550 0.45-0.6)。撹拌下で30分間インキュベーションした後、細菌を5000xg2分間の遠心分離により集め、1 ml 2xYT培地に再懸濁し、そして3つの大きなLB/Amp寒天プレートにプレーティングした(10 g/l bacto tryptone、5 g/l酵母抽出物、5 g/l NaCl、pH 7.5、15 g/l寒天、100 μg/mlアンピシリン)。プレートを終夜32℃でインキュベートした。感染した細胞を、100 μg/mlアンピシリン(2xYT/Amp)を補充した50 ml 2xYT培地を使用して寒天プレートからこすり取った。50 ml 2xYT/Amp培地に、OD550 0.08に達するように適切な体積の細菌懸濁液を播種した。培養物をOD550 0.5に達するまで37℃で振盪(160 rpm)にてインキュベートし、次いでヘルパーファージ(1.5x1011 pfu)とともに15分間穏やかに撹拌しながら、そして45分間振盪にて37℃で感染させた。その後、ヘルパーファージに感染した細菌を選択するためにカナマイシンを最終濃度70 μg/mlまで加えた。最後に、pIII-hNGALムテインの発現を、25 ng/mlアンヒドロテトラサイクリンを加えることにより誘導した。
24℃で15時間インキュベートした後、培養上清を遠心分離(5000xg 20分間)により清澄化した。その後、上清20 mlを細孔径0.22 μmを有するポリエーテルスルホンメンブレンに通した。ろ液に、20%(質量/体積) PEG-8000及び15%(質量/体積) NaClを含有する水溶液5 mlを加え、そして穏やかに混合した。この溶液を30分間氷上でインキュベートした後、20分間4℃及び5000xgで遠心分離した。ファージミドを含有するペレットを、200 mMホウ酸、160 mM NaCl及び1 mM EDTAを含有する緩衝液1 mlに溶解した。不溶性粒子を遠心分離(5000xg 5分間)により除去した。上清を新鮮なチューブに移し、そして20%(質量/体積) PEG-8000及び15%(質量/体積) NaClを含有する水溶液200 μlと混合した。溶液を30分間氷上でインキュベートし、そして沈殿したファージミドを続けて遠心分離(5000xg 5分間)により集めた。ファージミドを、50 mMベンズアミジンを補充したPBSに再懸濁し、そして次の回のファージミド選択に使用した。
4つの連続したラウンドの選択を行った。異なる洗浄条件を適用した:i) 4回の全ての選択ラウンドにおいて各洗浄工程について1 ml PBS/T 5分インキュベーションで8回、ii)
洗浄サイクル数をラウンド1から4まで増加させる iii) 高速洗浄工程を5分のインキュベーション洗浄工程で変更し、洗浄工程数をラウンドごとに増加させた。
ファージミドDNAを、第四の選択ラウンドの出力で感染させたE.coli細胞から製造し、そしてhNGALムテインカセットを、BstX1を用いたDNAの消化及び標準的な方法(Sambrook et al.、(1989) Molecular cloning:a laboratory manual)を使用したアガロースゲル電気泳動によるその後の精製により単離した。hNGALムテインカセットを、同様にカットされたベクター中に挿入し、これはテトラサイクリンプロモーターの制御下でのhNGALムテインの細菌産生を可能にする。CaCl2-コンピテント TG1-F’細胞を、ライゲーション混合物を用いて形質転換し、そしてLB/Ampプレートにプレーティングした。
Pvd I、Pvd II、Pvd III及びPch特異的ムテインの最適化のために、追加のライブラリを、ムテイン配列番号4、配列番号6、配列番号19、配列番号20、配列番号42、配列番号55、配列番号56そしてその後配列番号8、配列番号12及び配列番号45に基づいて生成した。ライブラリーを、選択された位置の偏向した無作為化又はエラープローンポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの方法のいずれかを使用して生成した。ムテインの選択を。増加したストリンジェンシーを用いた事以外は記載されたように行った。
真核生物細胞における発現を容易にするために、潜在的N-グリコシル化部位(Asn-X-Ser/Thr)を除去した。
さらに、安定性についてさらに最適化するために変異を導入した。
実施例3:ハイスループットELISAスクリーニングを使用した、各緑膿菌シデロホアに特異的に結合するムテインの同定
個々のコロニーを使用して2xYT/Amp培地に播種し、そして定常期まで終夜(14〜18時間)増殖させた。続いて、50 μl 2xYT/Ampを定常期培養物から播種し、そして3時間37℃でインキュベートし、ついでOD595 0.6〜0.8に達するまで22℃にシフトした。ムテイン生成物を、1.2 μg/mlアンヒドロテトラサイクリンを補充した10 μl 2xYT/Ampを加えることにより誘導した。培養物を22℃で翌日までインキュベートした。PBS/T中5%(質量/体積)BSA 40 μlを加えて1時間25℃でインキュベートした後、培養物はスクリーニングアッセイの準備ができた。
単離されたムテインの各シデロホア標的への特異的結合を、ニュートラアビジン及びストレプトアビジンの1:1混合物(PBS中5 μg/ml)を終夜4℃でマイクロタイタープレート上
でコーティングすることにより試験した。プレートを1時間PBST中2% BSAでブロッキングした後、選択に使用した各ビオチン化したシデロホア標的をコーティングされたマイクロタイタープレート上にPBS/T中1.5〜2.5μg/mlの濃度で捕捉した。同じやり方でビオチン化アルドステロンでコーティングされたプレートを、スクリーニングにおいてネガティブコントロールとして使用した。続いて、BSA-ブロックした培養物20 μlを、捕捉された標的又はアルドステロンのいずれかを含有するコーティングしたマイクロタイタープレートに加え、そして1時間25℃でインキュベートした。結合したムテインを、西洋ワサビペルオキシダーゼと結合された抗T7抗体(Merck KgaA、Darmstadt)又は西洋ワサビペルオキシダーゼと結合された抗Streptag抗体(IBA、Boettingen)とともに1時間インキュベートした後に検出した。定量のために、QuantaBlu蛍光発生ペルオキシダーゼ基質20 μlを加え、そして励起波長320 nm及び発光波長430 nmで蛍光を検出した。次いで各シデロホア標的に特異的に結合するムテインを配列決定した。
増加した親和性及び安定性を有するムテインを選択するために、i) 減少した抗原濃度及び/又はii)非ビオチン化標的との競合及び/又はiii)標的プレートに加える前に65℃若しくは70℃でのスクリーニング上清のインキュベーション及び/又はiv)逆スクリーニング形式の使用を用いて行い、ムテインであり、抗Streptag抗体でコーティングされたマイクロタイタープレート上のStreptagを介して捕捉されており、そして異なる濃度のビオチン化標的を加えてextravidin-HRP (Sigma Aldrich、St. Louis、MO)を介して検出した。
実施例4:ムテインの発現
C末端配列SAWSHPQFEK(配列番号127を有し;SAリンカー及びStrep-tag(R)II、WSHPQFEK (配列番号128)を含む独特のムテインをE. coliにおいて2YT-Amp培地中で発現させて、発現後のムテインをStreptactinアフィニティクロマトグラフィー及び分取サイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製した。
実施例5:ELISAベースの設定で決定された可溶性緑膿菌シデロホアに対するムテインの親和性
ムテインの溶液結合を「溶液結合ELISA」によりアッセイした、この原理は以下のとおりである:一定濃度の試験したムテインを、可変濃度のリガンド(Pvd I s、sa、aKG +/-Fe / Pvd II s、sa、aKG +/-Fe / Pvd III s、sa、aKG +/-Fe / Pch +/-Fe)とともに1時間インキュベートした。この溶液でのプレインキュベーション後に、ムテイン/リガンド混合物のアリコートを、Neutravidinを介して固定化されたビオチン化Pvd I s (+Fe)、Pvd II s (+Fe)、Pvd III s (+Fe)又はPchを有するELISAプレートに移して、遊離ムテインの残留濃度を測定した。遊離(非リガンド結合)ムテインの濃度を定量的ELISA設定により決定した。
詳細には、蛍光測定に適した384ウェルプレート(Greiner FLUOTRACTM 600、黒色平底、高結合)を、PBS中5 μg/mlの濃度のニュートラアビジン20 μlで終夜4℃にてコーティングした。洗浄後に、ニュートラアビジン被覆ウェルを、0,1% Tween 20及び2% BSA (PBS-T/BSA)を含有するブロッキング緩衝液100 μlで1時間室温にてブロックした。再び洗浄した後、ブロッキング緩衝液中1μg/mLの濃度で20 μlビオチン化ピオベルジン又はピオケリンを1時間室温にて加え、そして過剰な試薬を除去した。
固定濃度のムテインを、変動する濃度のリガンド(Pvd I s、sa、aKG +/-Fe / Pvd II s、sa、aKG +/-Fe / Pvd III s、sa、aKG +/-Fe / Pch +/-Fe)を含む溶液中で、PBS-T/BSA中でピコモル濃度範囲まで1:3比で段階希釈で下げられた適切な出発濃度を使用してインキュベートした。室温で1時間のインキュベーション後に、反応混合物20 μlを、ビオチン化ピオベルジン又はピオケリンが固定されている384ウェルプレートに移して、未結合(遊離)ムテインを20分間室温で捕捉した。ELISA読み出し結果の絶対遊離ムテイン濃度への変換を可能にするために、可変濃度のムテインを含む標準曲線をPBS-T/BSA中で準備し、そして同じELISAプレートで同様に20分間インキュベートした。
残留上清を廃棄し、そして20μl HRP標識抗hNGAL抗体をPBS-T/BSA中所定の最適濃度にて加え、そして1時間室温でインキュベートした。抗hNGAL抗体を、ムテインの混合物を用いたウサギの免疫により得、続いてキット(EZ-link Plus Activated Peroxidase、Thermo
Scientific)を使用して製造者の指示に従ってHRPにカップリングし、抗体-HRP結合体を得た。洗浄後に、20 μl蛍光発生HRP基質(QuantaBlu、Thermo)を各ウェルに加え、そして15〜60分間反応を進行させた。プレート上の全てのウェルの蛍光強度を蛍光マイクロプレートリーダー(Tecan又はMolecular Devices)を使用して読み取った。データを評価するために、遊離ムテイン濃度、c(ムテイン)遊離、を標準曲線結果に基いて計算し、そしてリガンド濃度c(リガンド)に対してプロットした。リガンド/ムテイン複合体の形成が50%だけブロックされたリガンド濃度(IC50)を得るために、c(ムテイン)遊離 = c(ムテイン)合計/(1+c(リガンド)/IC50))に従って、合計トレーサー濃度c(ムテイン)合計及び自由パラメーターとしてのIC50値を用いて、単一部位結合モデルを用いて非線形回帰により曲線をフィッティングした。曲線フィッティングを、GraphPad Prism 4ソフトウェアを使用して行った。
得られたIC50値を表1A〜Dにまとめる。それぞれ各Pvd群の全てのサブタイプに結合したビオチン化されかつ鉄を負荷されたPvd Iスクシニル、Pvd IIスクシニル及びPvd IIIスクシニルに対してムテインを選択した、すなわち、鉄イオンと複合体化したか又は複合体化していないPvd Iスクシニル、-スクシンアミド、-α-ケトグルタリルと同様の親和性で結合した、ビオチン化されかつ鉄を負荷されたPvd Iスクシニルに対して選択されたムテイン、鉄イオンと複合体化したか又は複合体化していないPvd IIスクシニル、-スクシンアミド、-α-ケトグルタリルと同様の親和性で結合した、ビオチン化されかつ鉄を負荷されたPvd IIスクシニルに対して選択されたムテイン、及び鉄イオンと複合体化したか又は複合体化していないPvd IIIスクシニル、-スクシンアミド、-α-ケトグルタリルと同様の親和性で結合した、ビオチン化されかつ鉄を負荷されたPvd IIIスクシニルに対して選択されたムテイン。選択されたムテインの大部分は、鉄イオンと複合体化したか又は複合体化していない各群の全てのサブタイプに対して同程度の親和性で結合した。
ビオチン化非鉄負荷ピオケリンに対する選択は、非鉄負荷ピオケリンに好ましく結合するリポカリンムテイン、例えば、2〜3桁のnM親和性で鉄負荷Pchに結合し、非鉄負荷Pchに弱い親和性で結合するか又は全く結合しないリポカリンムテイン配列番号56及び57、並びに鉄負荷ピオケリンに好ましく結合する配列番号55のようなリポカリンムテインを生じた。
配列番号56の親和性最適化は、非鉄負荷Pchに改善された親和性で結合し、そしてさらに鉄負荷Pchには結合しないか又は弱い親和性で結合するリポカリンムテインを生じたが、一方で配列番号55の親和性最適化は、非鉄負荷Pchに対して75倍より大きく改善された親和性で、しかしまた鉄負荷Pchに対して一桁nMの親和性で結合するリポカリンムテインを生じた。
従って、リポカリンムテイン選択及び最適化を用いて、4つのみの異なるムテインが、鉄イオンと複合体化してもしていなくても、緑膿菌シデロホアの10種全てのサブタイプに結合するために十分である(Pvd I s、sa、αKG +/- Fe;. Pvd II s、sa、αKG +/- Fe;Pvd III s、sa、αKG +/- Fe;Pch +/- Fe)ということを達成した。
ハイスループット親和性ランク付けのために、同じアッセイを使用したがより少ない異なるリガンド濃度を用いた。
実施例6:Biacoreで決定された緑膿菌シデロホアに対するムテインの親和性
表面プラズモン共鳴(SPR)ベースのアッセイにおいて、Biacore T200機器(GE Healthcare)を使用して、鉄イオンと複合体化したピオベルジンIスクシニル、-スクシンアミド、-α-ケトグルタリル又は鉄イオンと複合体化したピオベルジン IIスクシニル、-スクシンアミド、-α-ケトグルタリル又は鉄イオンと複合体化したピオベルジンIIIスクシニル、-スクシンアミド、-α-ケトグルタリルに対するムテインの結合親和性を測定した。ピオベルジン及びネガティブコントロール(配列番号64)に対する結合について選択されたムテインを、適切に過剰なEZ-Link NHS-PEG4-Biotin (Thermo、カタログ番号21329)を適用して2時間室温でビオチン化し、続いて、Zebaスピン脱塩プレート(Thermo、カタログ番号21329)を使用して製造者の指示に従って未反応ビオチンを分離した。
SPR親和性アッセイにおいて、ビオチン化ムテイン及びネガティブコントロールを、Biotin CAPture Kit (GE Healthcare)を使用してセンサーチップCAP上に捕捉した:センサーチップCAPは、ssDNA oligoで予め固定化されている。未希釈Biotin CAPture Reagent (相補的ss-DNA oligoと結合されたストレプトアビジン)を、2μl/分の流量で300秒間アプライした。続けて、1μg/ml〜100μg/mLのビオチン化ムテイン又はネガティブコントロールを、300秒間5μl/分の流量でアプライした。参照チャネルにBiotin CAPture Reagentのみをロードした。
結合親和性を決定するために、各Pvdの代表(スクシニル、スクシンアミド、-α-ケトグルタリル +Feを含むPvd I、II、III)の4〜5の希釈物をHBS-EP+緩衝液(GE Healthcare)中5〜2000nMの範囲の濃度で調製し、そして準備したチップ表面にアプライした。30μl/分の流量でアプライして、単一サイクル又は複数サイクル動力学アプローチを、120〜180秒のサンプル接触時間及び900〜2400秒の解離時間を用いて使用した。ネガティブコントロール配列番号64に結合がないことを、高濃度(例えば、1200 nM)の各Pvdを使用して確認した。リガンド固定後に、単一サイクル動力学を使用した分析のために、全部で4〜5つの濃度のPvdを、連続して昇順でアプライした後、解離をモニタリングした。複数サイクル動力学を使用した分析のために、Pvdの4つの希釈物をアプライし、その後それぞれ解離期が続いた。全ての測定を25℃で行った。センサーチップCAP表面の再生は、0.25 M NaOHを含む6 M Gua-HClの注入、続いてラニングバッファでの追加の洗浄、及び120秒の安定化期で達成された。データを、Biacore T200評価ソフトウェア(V1.0)で評価した。二重参照を使用した。1:1結合モデルを使用して生データをフィッティングした。
リポカリンムテインの選択のための得られた速度定数を表2A〜Cにまとめる。リポカリンムテインは、nM以下から低一桁nMの範囲で各Pvd群の全てのサブタイプに対して各Pvd群結合について生成することができた。しかし、野生型hNGAL Fe-エンテロバクチンの天然リガンドは、Pvd特異的リポカリンムテインにより結合されない。
さらに、各ピオベルジンサブグループ(I、II、III)及びMMP-9に属していない様々なシデロホアに対する結合のないことが、高濃度(≧1 μM)の以下の検体を固定化ムテインにアプライすることにより上記のアッセイを使用して確認された:Fe-エンテロバクチン、デフェロキサミン、ピオケリン、それぞれの他のサブグループからのピオベルジン、MMP-9 pro型(proform)及び活性化MMP-9。この分析の概略を表3に示す。
ムテイン配列番号62とPch +Feとの相互作用についての速度定数及び得られるKDの決定のために、ムテイン又はネガティブコントロール配列番号64を、標準的アミン化学を使用してCM5チップの表面に固定化した: チップの表面を、EDC及びNHSを使用して活性化した。その後、10 mMアセテートpH 4.0中の5 μg/mLのムテイン又はネガティブコントロール溶液を、流量10 μl/分で約2000 RUの高い固定化レベルが達成されるまでアプライした。残留活性化基をエタノールアミンでクエンチした。参照チャネルを、エタノールアミンの後にEDC/NHSで処理した(ブランク固定化)。
親和性を決定するために、ピオケリン(+Fe)の5つの希釈をHBS-P+緩衝液中で調製し、そして準備したチップ表面にアプライした。結合アッセイを、接触時間180秒、解離時間1200〜1800秒で流量30 μl/分でアプライして行った。測定を25℃で行った。固定化ムテイン表面の再生は、10 mM Gly-HCl pH 1.5 (120秒)の3回の連続した注入、続いてランニングバッファでの追加の洗浄及び安定化期により達成された。データをBiacore T200評価ソフトウェア(V1.0)で評価した。二重参照を使用した。1:1結合モデルを使用して生データをフィッティングした。
配列番号62について得られた速度定数を表2Dに示す。
同じアッセイを使用して、ピオケリンと異なるシデロホアへの結合及びMMP-9への結合がないことを、高濃度(≧1 μM)の以下の検体を固定化ムテイン配列番号62にアプライすることにより確認した:Fe-エンテロバクチン、デフェロキサミン、ピオベルジン、MMP-9
pro型及び活性化MMP-9。結果の概略を表3に示す。
実施例7:緑膿菌シデロホアへのムテイン結合の機能性試験;鉄取り込みの阻害
生きた細菌における機能性い鉄取り込み阻害を決定するために、緑膿菌シデロホアに結合する用量範囲濃度のリポカリンムテインを、96ウェルプレートにおいて、1時間Tris.HCl 50 mM pH 8.0緩衝液中100 nMの放射性鉄負荷シデロホアとともにインキュベートした後、最終濃度OD=1、595 nmで細菌とともに30分間インキュベートした。その後、細菌をセルハーベスターを用いて、ポリエチレンイミン溶液5%でプレインキュベートした96ウェルプレートGF/Bフィルターに通してろ過し、そしてTris緩衝液で3回洗浄した。ろ過及び乾燥後に、計数前にシンチラントカクテル30 μlを各フィルターウェルに加えた。鉄負荷ピオベルジンに、シデロホアを15分間、4対1の比のピオベルジン及び鉄イオンを含むTris緩衝液中の55Fe-Cl3とともに最終溶液200 μMでインキュベートした。ピオケリンに放射性鉄を負荷するために、55FeCl3の溶液40 μlをHCl 0.5 N中0.25 mMで、ピオケリン 1 mMメタノール溶液に加えた。15分のインキュベーション時間後に、940 μl Tris HCl 50 mM pH 8.0を加えて、ピオケリンと鉄との間の2対1の比を有する20 μM 55Fe-Pch溶液を得た。細菌を以下のように準備した:単離されたクローンを播種したMueller Hinton培地中の終夜培養物10 mlを遠心分離し、そして洗浄したペレットを、スクシネート媒体25 mlに再懸濁し、そして振盪下で2時間インキュベートした。並行して、バックグラウンド鉄取り込みレベルとして使用するため、Mueller Hinton培地20 mlに終夜培養物5 mlを播種し、そして振盪下で2時間インキュベートした。次いで25 ml細菌培養物を遠心分離し、そして対応する培地で洗浄した後、OD = 1のアッセイにおける最終濃度を有するように、ペレットをTris.HCL 50 mM pH8.0緩衝液に再懸濁し、そして595 nmでのODを測定した。
取り込みのパーセンテージを、各濃度点について計算し、そして阻害を社内のソフトウェアで計算した。この計算のために、鉄取り込みの最大レベルは、いずれのリポカインムテインも含まない最小スクシネート培地で得られた値に基づき、そしてバックグラウンド値は、シデロホア受容体が発現されない濃縮Mueller Hinton培地において得られる。
実施例8:緑膿菌シデロホアに結合するムテインの機能性試験;増殖阻害
細菌増殖阻害を、緑膿菌シデロホアに結合するムテインを、透明底を有する黒色96ウェルプレートにおいて595 nmでの最終OD 0.05で希釈されたMS細菌培養物を用いて、微量元素溶液及び0.1 mg/ml BSAを補充されたChelex処理スクシネート培地中でインキュベートすることにより決定した。プレートを、20分毎に振盪しそしてThermo Labsystem製のIEMS Reader MFにおいて595 nmでのODを読み取りながら、終夜37℃でインキュベートした。増殖阻害は、図4AにおいてPvd I株及びPvd I特異的ムテイン配列番号16について、図4BにおいてPvd II株及びPvd II特異的ムテイン配列番号19及び配列番号36について、図4CにおいてPvd III株及びPvd III特異的ムテイン配列番号53について、並びに図4Dにおいて増殖のための鉄取り込みをピオケリンに依存するPvd Iノックアウト(ΔpvdA)株及びピオケリン特異的ムテイン配列番号62について例示的に示される。対照はリポカリンムテインのない細菌増殖である。
実施例9:ムテインの安定性評価
全体的安定性についての一般的指標として溶融温度を決定するために、シデロホア特異的ムテイン(配列番号13〜18;26、31〜36;47〜53;58〜62)をPBS(Gibco)中1 mg/mlのタンパク質濃度で、キャピラリーnanoDSC機器(CSC 6300、TA Instruments)を使用して1℃/分でスキャンした(25〜100℃)。溶融温度(Tm)を、一体化されたNano Analyzeソフトウェアを使用して表示されたサーモグラムから計算した。
リポカリンムテイン(配列番号13〜18;26、31〜36;47〜53;58〜62)について得られた溶融温度に加えて溶融開始を以下の表5A〜Dに記載する。全てのPvd群さらにはpchについて、70℃の範囲のTmを有するリポカリンムテイン(各Pvd型及びpchについて最良のリポカリンムテインは68〜74℃の範囲であった)を分子の良好な安定性を示すと選択することができた。
貯蔵及び凍結/回答安定性を評価するために、ムテインをPBS中1mg/mlの濃度で1週間3
7℃でインキュベートするか、又は3回の凍結/解凍サイクルにかけた。定量的ELISA設定で活性ムテインを測定した。モノマータンパク質を分析用サイズ排除クロマトグラフィーにおいて測定した。配列番号16、36、53、62についての例となるデータを表6に示す。
タンパク質活性をアッセイするために、以下のELISAを適用した:蛍光測定に適した384ウェルプレート(Greiner FLUOTRACTM 600、黒色平底、高結合)を、ニュートラアビジン(Thermo Scientific)20μLを用いてPBS中5μg/mlの濃度で終夜4℃にてコーテイングした。洗浄した後、ニュートラアビジン被覆ウェルを、100 μlブロッキングバッファ(0.1% 体積/体積 Tween-20を含有するPBS中2% 質量/体積 BSA)で1時間ブロックした。再び洗浄した後、ビオチン化し、かつ鉄を負荷したピオベルジンIスクシニル、ピオベルジンIIスクシニル、ピオベルジンIIIスクシニル又はビオチン化ピオケリン20μlを、ブロッキングバッファ中1 μg/mlの濃度で加えた。プレートを洗浄し、そして適切に希釈されたタンパク質標準、ストレス無負荷参照サンプル又はストレス負荷サンプル20 μlをELISAプレートに移し、そしてインキュベートした。プレートに結合したタンパク質を定量するために、ELISAプレートを洗浄し、残留上清を破棄し、そして20μl HRP-標識抗hNGAL抗体を、ブロッキングバッファ中所定の最適濃度で加え、そしてインキュベートした。洗浄後に、20μl蛍光発生HRP基質(QuantaBlu、Pierce)を各ウェルに加え、そして反応を20〜30分間進行させた。プレート上の全てのウェルの蛍光強度を、蛍光マイクロプレートリーダー(Tecan)を使用して読み取った。
他に述べられていなければ、全てのインキュベーション工程は、1時間室温で行われ、そして各インキュベーション工程の後にプレートを100μl PBS-T緩衝液(PBS、0.05% Tween 20)で5回Biotek ELx405選択CW洗浄機を使用して洗浄した。
上記のELISAのために、典型的に0.008〜500 ng/mLの範囲に及ぶ11の希釈を含む較正曲線を準備し、そして較正曲線の線形範囲内の3つの異なる独立した希釈を各サンプルについて準備した。場合により1%ヒト又はマウス血漿を補充されたブロッキングバッファを希釈に使用した。
較正曲線を、4パラメーターロジスティク(4PL)非線形回帰モデルを使用してフィッティングし、そして試験されたサンプルについての活性タンパク質濃度を計算するために使用した。決定された活性タンパク質濃度を、同じ濃度及び同じマトリックスで貯蔵されたストレス無負荷サンプルに対して参照した。
分析用サイズ排除クロマトグラフィーを、Agilent HPLCシステムで2つのSuperdex 75 5/150 GLカラム(GE Healthcare)を連続で用いて溶離液としてPBS(Gibco)を使用して0.3 mL/分の流量で行った。
血漿中の貯蔵安定性を評価するために、ムテインを0.5 mg/mlの濃度で1週間 37℃にてヒト、マウス及びラット血漿中でインキュベートした。活性ムテインを定量的ELISA設定で記載されるように測定した。
全ての試験したリポカリンムテインは、全ての試験した条件下で安定であることがわかった。
実施例10:マウスモデルにおけるリポカリンムテインのインビボ効力
マウスにおける緑膿菌誘導肺感染における静脈内(i.v.)投与後の配列番号19の予防的効果を調べた。
配列番号19を感染の1時間前、そして感染の時点で投与した。肺細菌負荷を感染24時間後に評価した。
この研究に使用した株は緑膿菌(ATCC27853)であった。PBS/15%グリセロール中-80℃で貯蔵された緑膿菌から開始して、終夜培養をMueller-Hintonブロスにおいて振盪下37℃にて行い、続いて増殖の対数期の終わりまでさらに継代培養(100μl終夜培養物 + MHB 100ml)を行った。培養物を2回洗浄し、そしてリン酸緩衝化食塩水に再懸濁した後、1E+09 CFU/mlで凍結した。各実験について、新鮮なバイアルを解凍し、そして生存数により種菌を確認した。
Janvier laboratories、(Route des chenes secs、53940 Le Genest Saint Ile、France)から購入した7〜8週齢の雄性Swissマウス(5匹の動物/群)を、使用前に少なくとも5日間順化させた。動物を22±2℃の温度に相対湿度40〜70%及び12〜15回の換気/時で維持した。光サイクル12/12時間:点灯午前7〜午後7(通常サイクル)。温度及び相対湿度派生を継続的に記録した。動物をケージあたり5匹収容し、それらに水及び標準的飼料(AO4 C標準飼料(SAFE))にアクセスさせた。全ての実験を、Sanofi R&D (CEPAL)の倫理委員会の承認を得て行った。
肺感染を、50μl NaCl 0.9%中緑膿菌の1.E+07 CFU/マウスを用いた雄性Swissマウスの鼻腔内チャレンジにより誘導した。
200、400、1000又は2000μg/マウスの濃度の配列番号19を、感染1時間前及び感染の時点でi.v.ボーラス投与した。
感染24時間後に、動物を安楽死させ、そして肺ホモジネートからの細菌数を決定し、そして平均±標準誤差(sem.)としてlog10 CFU/mlで表した。
統計解析をSAS v9.2を使用して行った。Excelソフトウェア2003を図式表示のために使用した。ビヒクルに対する配列番号19用量の比較を、分散の片側解析、続いてDunnett検定(ZAR J.H.、<<Biostatistical Analysis>>、Prentice Hall International Editions、
4eme edition、1999.;C.W. Dunnett、「A multiple comparison procedure for comparing several treatments with a control」、J. Amer. Statist. Assoc.、50 (1955)、pp. 1096-1121、1955)を用いて評価した。
マウスにおける緑膿菌誘導肺感染モデルにおいて、配列番号19を、細菌チャレンジの1時間前及びその時点に投与し、そして配列番号19はマウスにおいて感染の発症を用量依存性様式で防止した。有意な予防効果が、200μg/マウスで開始して、2000μg/マウスでの最大効果で配列番号19について観察された。
実施例11:結晶化
Pvd-Feとの複合体における配列番号31タンパク質の3次元構造を決定するために、以下の手順を適用した。
図6に示されるタンパク質配列を、pET-24aプラスミドにクローン化し、そしてN末端タグ化6His-TEVプロテアーゼ認識部位構築物として発現させた。
プラスミドを使用して、BL21(DE3) Star E.coli細胞を形質転換し、そして得られたクローンをOvernight Express Instant TB培地(Novagen)に播種し、そして200 RPM撹拌しながら18℃で最終OD600 4.7での47時間のインキュベーション後に細胞を採取した。細胞ペレットを、500mM NaCl、10mMイミダゾール、1mM MgCl2、1mM TCEP、5%グリセロール及び20mM Tris pH 7.4を含有する緩衝液中に再懸濁し、そして標準的超音波処理手順により溶解した。得られた抽出物を低速遠心分離により清澄化し、そして上清を1回(throw)22 nmメンブレンろ過した後、100 mM NaCl、10mMイミダゾール、100 mM HEPES pH 8緩衝液で予め平衡化したNi NTA (Qiagen) 5 mlカラムにロードした。タンパク質をイミダゾール10mM〜300mMの線形グラジエントにより溶出し、そしてさらに、100 mM NaCl、10mMイミダゾール、100 mM HEPES pH 8緩衝液に対して終夜透析した。タンパク質を20 mg/mlまで濃縮し、そしてゲルろ過Superdex 75カラム(GE)にロードした。得られたタンパク質を100 mM NaCl、10 mM HEPES pH 8緩衝液に対して終夜TEVプロテアーゼ(1/50比)の存在下で透析して6His N末端タグを除去し、続いてネガティブNi NTA精製工程を上記のように行って切断されたタンパク質を分離した。最終タンパク質を100 mM NaCl、50 mM HEPES pH 7.5中12 mg/mlまで濃縮し、アリコートに分けて、液体窒素中で急速冷凍し、そしてさらなる使用のために-80℃で貯蔵した。
結晶化のために、タンパク質を10倍高いモル濃度のPvd-Feとともに終夜インキュベートし、そしてSBS形式プレートで行われる結晶化スクリーニングのためにプレーティングし、ここでは100 nLタンパク質液滴を、蒸気拡散シッティングドロップ形式実験で20℃と4℃において結晶化スクリーニング溶液100nLと混合した。多数の結晶化ヒットが検出され、そして結晶化条件を、十分な回折x線品質の結晶を得るためにさらに最適化した。
結晶回折品質を、シンクロトロンx線源を使用して評価し、そして最良の回折結晶を20%
PEG3350及び0.2M LiSO4条件下で20℃にて得た。最良の結晶を、液体窒素での急速凍結よりもむしろPEG3350濃度を35%に増加させることにより凍結保護し、そして1.8Åデータ・セットを100K温度で収集した。
X線データをMOSFLMにより処理し、そしてタンパク質構造を、探索モデルとしてpdb 1LKEを使用する分子置換法により決定し、そして構造モデルを、Rfree=0.233 - R=0.200品質、P41212、非対称ユニットあたり2つの三元系タンパク質複合体まで精密化した。
タンパク質構造は、非対称ユニットに存在する両方のムテインタンパク質に結合したPvd-Feを有する古典的リポカリン骨格を示す、図7。Pvd-Fe結合に関与するアミノ酸残基を解析し、図8に示した。直接Feに結合するPvdの酸素を同定し、図9に示した。
本発明は、ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに対して結合特異性を有するポリペプチドに関し、ここで該ポリペプチドは、ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに検出可能な親和性で結合するhNGALムテインを含む。
一実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の位置28、34、36、39〜42、44〜47、49、52、54〜55、65、68、70、72〜75、77、79〜81、87、96、100、103、106、108、123、125、127、132、134、141及び145に対応する1つ又はそれ以上の位置に変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、上記ムテインは実施例6に本質的に記載されるアッセイにおいてBiacore T200機器により測定された場合に、約20nM又はそれ以下のKDで鉄と複合体化したピオベルジンI型に結合することができる。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、鉄と複合体化したか又はしていないPvd
I型スクシニル、Pvd I型スクシンアミド及びPvd I型a-ケトグルタリルに、実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにおいて測定された場合に、約200 nM又はそれ以下のIC50値により測定された親和性で結合することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、ピオベルジンI型により媒介される鉄取り込みを、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式において約150 nM又はそれ以下のIC50値で阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、実施例8に本質的に記載さっるアッセイにおいて、Pvd I株の細菌増殖を阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の位置28、36、39〜41、46、49、52、54〜55、59、65、68、70、72〜75、77、79〜81、87、96、100、103、106、125、127、132、134及び136に対応する1つ又はそれ以上の位置において変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の変異したアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを含む:Leu 36
→ Asn、Thr、Val、Trp又はPhe;Ala 40 → Gly、Asn、Thr又はPhe;Ile 41 → Arg、Ala、Thr、Phe又はTrp;Gln 49 → Ile、Leu、Vla、Ala又はPro;Tyr 52 → Met、Trp又はPro;Ser 68 → Asp、Vla又はGlu;Leu 70 → Gln、Trp、Asp又はThr;Arg 72 → Trp、Ala、Ser、Leu、Pro又はGlu;Lys 73 → Asp、Leu、Ala、Glu又はAsn;Asp 77 → Arg、Leu、Tyr、Ser、Gln、Thr、Ile又はAsn;Trp 79 → Gln、Asp、Ser、Arg、Met又はGlu;Arg 81 → Gln、Gly、Ile、Glu、His又はAsp;Asn 96 → His、Ile、Gly、Tyr又はAsp;Tyr 100 → Lys、Glu、Asn、Ser、Phe又はTyr;Leu 103 → Lys、Pro、Gln、His、Asp、Tyr、Glu、Trp又はAsn;Tyr 106 → His、Gln又はPhe;Lys 125 → Arg、Ser、Trp、Tyr、Val又はGly;Ser 127 → Trp、Asn、Ala、Thr、Tyr、His、Ile、Val又はAsp;Tyr 132 → Trp、Asn、Gly又はLys;及びLys 134 → Asn、His、Trp、Gly、Gln又はAsp。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して以下の置換を含む:Gln 28 → His;Lys 46 → Glu;Thr 54 → Vla又はAla;Ile 55 → Vla;Lys 59→ Arg;Asn 65 → Asp又はGln;Ile 80 → Thr;Cys 87 → Ser又はAsn;及びThr 136 → Ala。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟ヒトNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置28、36、39〜41、46、49、52、54〜55、59、65、68、70、72〜75、77、79〜81、87、96、100、103、106、125、127、132、134及び136において、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21個の変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下のアミノ酸置換のセットのうちの1つを含む:
Gln 28 → His;Leu 36 → Asn;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Ile;Tyr 52
→ Met;Ser 68 → Val;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Asp;Asp 77→ Leu;Trp 79 → Gln;Arg 81 → Gln;Cys 87 → Ser;Asn 96 → His;Tyr 100 → Lys;Leu 103 → His;Tyr 106 → His;Lys 125 → Arg;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → Asp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Thr;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Phe;Gln 49 → Leu;Tyr 52
→ Trp;Leu 70 → Trp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Leu;Asp 77→ Tyr;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Gly;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ile;Tyr 100 → Glu;Leu 103 → His;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Trp;Ser 127 → Asn;Tyr 132 → Asn;Lys 134 → Gln;Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Lys;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Ala;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Asn;Ile 41 → Arg;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Thr;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Ala;Asp 77 →
Arg;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Tyr;Tyr 100 → Lys;Leu 103 → Pro;Tyr 106 → Phe;Lys 125 → Ser;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → Gly;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Val;Tyr 52 → Met;Ser 68
→ Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Phe;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Phe;Ile 41 → Phe;Gln 49 → Ala;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Trp;Arg 72 → Leu;Lys 73 → Asn;Asp 77 → Gln;Trp 79 → Glu;Arg 81 → His;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Tyr;Leu 103 → Tyr;Tyr 106 → His;Lys 125 → Val;Ser 127 → His;Tyr 132 → Lys;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Asp;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Asp;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Asp 77 → Thr;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Asn;
Leu 103 → Glu;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Asp;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Asp;Asp 77 → Val;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Asn;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Vla;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Leu;Tyr 52 → Met;Ser 68
→ Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;
Gln 28 → His;Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Thr 54 → Val;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Lys 46 → Glu;Gln 49 → Leu;Tyr 52
→ Met;Thr 54 → Ala;Ile 55 → Vla;Lys 59 → Arg;Ser 68 → Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Lys 74 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Glu;Ser 87 → Asn;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → sER;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;
Leu 36 → Trp;Asn 39 → Asp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Pro;Tyr 52
→ Pro;Thr 54 → Val;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;Thr 136 → Ala;
Leu 36 → Trp;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Pro;Thr 54
→ Val;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Gln;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Ser;Trp 79 → Ser;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → His;Lys 125 → Tyr;Ser 127 → Thr;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Asn;Thr 136 → Ala;
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Lys 46 → Glu;Gln 49 → Leu;Tyr 52
→ Met;Thr 54 → Ala;Ile 55 → Vla;Lys 59 → Arg;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Lys 74 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Glu;Ser 87 → Asn;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → sER;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His;又は
Gln 28 → His;Ala 40 →Gly;Ile 41 → Trp;Lys 46 → Glu;Gln 49 → Leu;Tyr 52
→ Met;Thr 54 → Ala;Ile 55 → Vla;Lys 59 → Arg;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Val;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Glu;Lys 73 → Leu;Lys 74 → Glu;Lys 75 → Glu;Asp 77 → Arg;Trp 79 → Met;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Glu;Ser 87 → Asn;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → sER;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Tyr;Tyr 132 → Trp;Lys 134 → His。
別の実施態様において、hNGALムテインは、配列番号2〜18又はそのフラグメント若しくは変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、実施例6に本質的に記載されるアッセイにおいてBiacore T200により測定された場合に、鉄と複合体化したピオベルジンII型に約20 nM又はそれ以下のKDで結合することができる。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、鉄と複合体化しているか又はいていないPvd II型スクシニル、Pvd II型スクシンアミド及びPvd II型a-ケトグルタリルに、実施例5に本質的に記載されるELISAアッセイにおいて測定される場合、約200 nM又はそれ以下のIC50値により測定される親和性で結合することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、ピオベルジンII型により媒介される鉄取り込みを、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式で約150 nM又はそれ以下のIC50値で阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、実施例8において本質的に記載さっるアッセイにおいてPvd II株の細菌増殖を阻害することができる。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、実施例9に本質的に記載されるアッセイにおいて、ピオベルジンII型を発現する緑膿菌株の増殖を阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の位置28、36、40〜41、49、52、54、65、68、70、72〜75、77、79、81、87、96、100、103、106、125、127、132及び134に対応する1つ又はそれ上の位置において変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の変異したアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを含む:Leu 36
→ Asn、Ile又はVal;Ala 40 → Glu、Gly、Asn、Thr又はHis;Ile 41 → Arg、Val又はThr;Gln 49 → Gly、Ala又はPro;Tyr 52 → Asn、Gly、Trp又はPro;Ser 68 → Asp、Arg又はGlu;Leu 70 → Arg又はTrp;Arg 72 → His、Ile、Ala、Ser又はGly;Lys 73 → Asn、Met、Pro、Phe、Gln又はArg;Asp 77 → His、Ile、Met、Lys、Gly又はAsn;Trp 79
→ Ser、Tyr、Ala、Asp、Phe又はTrp;Arg 81 → Glu、Ser、Tyr又はAsp;Asn 96 → Met、Ile、Arg、Asp、Lys、Asn又はAla;Tyr 100 → Lys、Glu、Asn、Ser、Phe又はTyr;Leu 103 → Thr、Ile、Gln、Gly、Met、His、Trp又はVal;Tyr 106 → Met、Gln、Ala、Ile、Asn、Gly、Met又はPhe;Lys 125 → Ala、Ile又はAsn;Ser 127 → Lys、Arg、Ser、Met、Asp又はAsn;Tyr 132 → Met、Phe、Asn、Ala、Ile、Gly又はVal;及びLys 134 → Trp又はTyr。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の置換を含む:Gln 28 → His;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Asp又はGln及びCys 87 → Ser。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟ヒトNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置28、36、40〜41、49、52、54、65、68、70、72〜75、77、79、81、87、96、100、103、106、125、127、132及び134において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21個の変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインは、天然野生型hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して以下のアミノ酸置換のセットのうちの1つを含む:
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 5
2 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Met;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ile;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Met;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Ile;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52
→ Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Pro;Asp 77 → Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ser;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Met;Tyr 100 → Ser;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Ala;Lys 125 → Lys;Tyr 132 → Val;Lys 134 → Trp;Gln 28 → His;Ala 40 → Asn;Gln 49 → Ala;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ser;Lys 73 → Gln;Asp 77 → Met;Trp 79 → Ala;Arg 81 → Tyr;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Arg;Tyr 100 → Pro;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Ile;Lys 125 → Lys;Ser 127 → Met;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Ala 40 → His;Gln 49 → Ala;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Gly;Lys 73 → Arg;Asp 77 → His;Trp 79 → Trp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Arg;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Phe;Lys 125 → Ala;Ser 127 → Asp;Tyr 132 → Asn;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Asn;Ala 40 → Gly;Ile 41 → Arg;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Arg;Leu 70 → Trp;Arg 72 → Asn;Lys 73 → Gln;Asp 77 → Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Asp;Tyr 100 → Thr;Leu 103 → Trp;Tyr 106 → Asn;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Met;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Tyr;
Gln 28 → His;Leu 36 → Vla;Ala 40 →Thr;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Gly;Tyr 52
→ Gly;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Gly;Lys 73 → Arg;Asp 77 → Gly;Trp 79 → Trp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Trp;Leu 103 → Ile;Tyr 106 → Gly;Lys 125 → Lys;Ser 127 → Asn;Tyr 132 → Val;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Val;Tyr 106 → Met;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Val;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Phe;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Gly;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Trp;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → His;Tyr 106 → Met;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Phe;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Gln
;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Phe;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Val;Tyr 106 → Met;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Glu;Ile 41 → Val;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Pro;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Arg 72 → His;Lys 73 → Asn;Asp 77→ Asn;Trp 79 → Phe;Arg 81 → Glu;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Lys;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Val;Tyr 106 → Met;Lys 125 → Asn;Ser 127 → Lys;Tyr 132 → Gly;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;
Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp;又は
Leu 36 → Val;Ala 40 → Thr;Ile 41 → Ile;Gln 49 → Gly;Tyr 52 → Asn;Thr 54 → Ala;Asn 65 → Gln;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Ile;Lys 73 → Arg;Asp 77→ His;Trp 79 → Tyr;Arg 81 → Asp;Cys 87 → Ser;Leu 103 → Thr;Tyr 106 → Gln;Lys 125 → Ile;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ile;Lys 134 → Trp。
別の実施態様において、hNGALムテインは、配列番号19〜37又はそのフラグメント若しくは変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
別の実施態様において、上記ムテインは、鉄と複合体化したピオベルジンIII型に、実施例6に本質的に記載されるアッセイにおいてBiacore T200機器により測定して約20 nM又はそれ以下のKDで結合することができる。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、鉄と複合体化しているか又はしていないPvd III型スクシニル、Pvd III型スクシンアミド及びPvd III型a-ケトグルタリルに、実施例5に本質的に記載されるアッセイにおいて測定された場合に、約200 nM又はそれ以下のIC50値により測定された親和性で結合することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、ピオベルジンIII型により媒介される鉄取り込みを、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式において約150 nM又はそれ以下のIC50値で阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、実施例8において本質的に記載されるアッセイにおいてPvd III株の細菌増殖を阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の位置28、36、40〜42、45〜47、49、52、65、68、70、72〜73、77、79、81、87、96、100、103、105〜106、125、127、132、134及び145に対応する1つ又はそれ以上の位置において変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の変異したアミノ酸残基の少なくとも1つを含む:Leu 36 → Phe又はGlu;Ala 40 → Trp、Leu又はArg;Ile 41 → Met、Arg、Ala、Leu又はTrp;Gln 49 → His、Ile、Arg、Lys、Met又はPro;Tyr 52 → Asn、Tyr、Arg、Ser又はMet;Ser 68 → Asp、Asn、Glu又はGln;Leu 70 → Lys、Asn又はArg;Arg 72 → Leu、Arg、Gln又はTyr;Lys 73 → His、Leu、Ala、Pro、Gln又はTyr;Asp 77 → Ala、Ile、Lys、Gln又はArg;Trp 79 → Ser又はAsp;Arg 81 → His、Ala、Ser又はVal;Asn 96 → Met、Ile、Arg、Gly、Leu又はVal;Tyr 100 → Ala、Ile、Asn、Pro又はAsp;Leu 103 → Gln、Gly、Phe又はPro;Tyr 106 → Glu;Lys 125 → Trp又はThr;Ser 127 → Val、His、Ile、Phe又はAla;Tyr 132 → Phe;及びLys 134 → Trp、Gln又はGlu。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の置換を含む:Gln 28 → His;Leu 42 → Arg;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Asp 47 → Asn;Asn 65 → Asp;Cys 87 → Ser;Ser 105 → Pro及びThr 145 → Pro。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟ヒトNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置28、36、40〜42、45〜47、49、52、65、68、70、72〜73、77、79、81、87、96、100、103、105〜106、125、127、132、134及び145において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21個の変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して以下のアミノ酸置換のセットのうちの1つを含む:
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Trp;Ile 41 → Met;Gln 49 → His;Tyr 52 → Asn;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Lys;Arg 72 → Gln;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → His;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ile;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Trp;Ser 127 → His;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Gln;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Arg;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Ile;Tyr 52 → Tyr;Ser 68 → Gln;Leu 70 → Asn;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Leu;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ser;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Arg;Tyr 100 → Ile;Leu 103 → Pro;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Thr;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Glu;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Leu;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Arg;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Leu;Lys 73 → Tyr;Asp 77→ Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ala;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Gly;Tyr 100 → Ala;Leu 103 → Phe;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Trp;Ser 127 → Ala;Lys 134 → Glu;
Gln 28 → His;Leu 36 → Phe;Ala 40 → Trp;Ile 41 → Arg;Gln 49 → Pro;Tyr 52 → Ser;Ser 68 → Asn;Leu 70 → Arg;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Pro;Asp 77→ Arg;Trp 79 → Ser;Arg 81 → Ser;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Met;Tyr 100 → Pro;
Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Glu;Lys 125→ Trp;Ser 127 → Phe;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Glu;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Lys;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Gln;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Ala;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → Gln;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Thr;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → Arg;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Vla;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Gln 49 → Lys;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → Tyr;Asp 77→ Gln;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → -;Tyr 100 → Glu;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Leu 42 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 47 → Asn;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;Thr 145 → Pro;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Leu 42 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 47 → Asn;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;Thr 145 → Pro;
Gln 28 → His;Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;A
sn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp;又は
Leu 36 → Glu;Ala 40 → Leu;Ile 41 → Ala;Leu 42 → Arg;Gln 49 → Met;Tyr 52 → Met;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Glu;Leu 70 → Arg;Lys 73 → His;Asp 77→ Lys;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Vla;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Leu;Tyr 100 → Asp;Leu 103 → Gln;Ser 105 → Pro;Tyr 106 → Glu;Ser 127 → Val;Tyr 132 → Phe;Lys 134 → Trp。
別の実施態様において、ポリペプチドは、配列番号38〜53又はそのフラグメント若しくは変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、実施例6に本質的に記載されるアッセイにおいてBiacore T200機器により測定された場合に、約20 nM又はそれ以下のKDで、鉄と複合体化したピオケリンに結合することができる。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、実施例5に本質的に記載されるアッセイにおいて測定した場合に、約500 nM又はそれ以下のIC50値により測定される親和性で、鉄と複合体化したピオケリンに結合することができる。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、鉄と複合体化していないピオケリンに、実施例5に本質的に記載されるアッセイにおいて測定された場合に約200 nM又はそれ以下のIC50値により測定される親和性で結合することができる。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、鉄と複合体化しているか又はしていないピオケリンに、実施例5に本質的に記載されるアッセイにおいて測定された場合に約200 nM又はそれ以下のIC50値により測定された親和性で結合することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、ピオケリンにより媒介される鉄取り込みを、実施例7に本質的に記載される競合ELISA形式において約150 nM又はそれ以下のIC50値で阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、Pvd Iノックアウト(ΔpvdA)の細菌増殖を、実施例8に本質的に記載されるアッセイにおいて阻害することができる。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の位置28、34、36、40〜41、44〜46、49、52、54、65、68、70、72〜74、77、79〜81、87、96、100、103、106、108、123、125、127、132、134及び141に対応する1つ又はそれ以上の位置に変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の変異したアミノ酸残基の少なくとも1つを含む:Leu 36 → His、Met又はVal;Ala 40 → Ile、Gln、Tyr又はPhe;Ile 41 → Leu、His又はTrp;Gln 49 → His、Arg、Ser又はAla;Tyr 52 → Leu、Trp又はPro;Ser 68 → Asp又はHis;Leu 70 → Arg又はTrp;Arg 72 → His、Ile、Ala、Ser又はGly;Lys 73 → Asn、Met、Pro、Phe、Gln又はArg;Asp 77 → Arg、Thr、Pro又はAsp;Trp 79 → Ala、Arg、Lys又はAsp;Arg 81 → Thr、Ile又はTrp;Asn 96 → Met、Asn、Pro又はAla;Tyr 100 → Gly、His又はGlu;Leu 103 → Gly、Met、His又はGln;Tyr 106 → Met、Gly、Arg又はTrp;Lys 125
→ Trp、Phe、Gly又はLeu;Ser 127 → Arg、Trp、Asp又はIle;Tyr 132 → Ala、Glu又はThr;及びLys 134 → Leu、Val、Asn又はPhe。
別の実施態様において、hNGALムテインのアミノ酸配列は、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下の置換を含む:Gln 28 → His;Val 34 → Leu;Glu 44 → Gly;Asp 45 → Gly;Lys → Arg又はTyr;Asn 65 → Asp;Ile 80 → Thr;Cys 87 → Ser;Leu 94 → Phe;Val 108 → Ala;Phe 123 → Ser及びThr 141 → Ala。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟ヒトNGALの線状ポリペプチド配列(配列番号1)の配列位置28、34、36、40〜41、44〜46、49、52、54、65、68、70、72〜74、77、79〜81、87、96、100、103、106、108、123、125、127、132、134及び141において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21個の変異したアミノ酸残基を含む。
別の実施態様において、hNGALムテインは、成熟hNGALの線状ポリペプチド配列と比較して、以下のアミノ酸置換のセットのうちの1つを含む:
Gln 28 → His;Ala 40 → Ile;Ile 41 → Leu;Gln 49 → His;Tyr 52 → Leu;Ser 68 → His;Leu 70 → Thr;Arg 72 → Lys;Lys 73 → Trp;Asp 77→ Ile;Trp 79 → Ser;Arg 81 → His;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Met;Tyr 100 → Asn;Leu 103 → His;Tyr 106 → Met;Lys 125→ Trp;Ser 127 → Asp;Tyr 132 → Glu;Lys 134 → Leu;
Gln 28 → His;Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Asp 77→ His;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe;Gln 28 → His;Leu 36 → Met;Ala 40 → Phe;Ile 41 → His;Gln 49 → Ser;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → His;Leu 70 → Pro;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Lys;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Gly;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Trp;Lys 125→ Gly;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Thru;Lys 134 → Val;
Gln 28 → His;Leu 36 → Val;Ala 40 → Tyr;Ile 41 → Trp;Gln 49 → Ala;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Arg;Arg 72 →Trp;Lys 73 → Arg;Asp 77→ Arg;Trp 79 → Asp;Arg 81 → Trp;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Pro;Tyr 100 → Glu;Leu 103 → Gln;Tyr 106 → Arg;Lys 125→ Leu;Ser 127 → Arg;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Asn;
Gln 28 → His;Vla 34 → Leu;Leu 36 → Met;Ala 40 → Phe;Ile 41 → His;Gln 49 → Ser;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → His;Leu 70 → Pro;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Lys;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Gly;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Trp;Phe 123 → Ser;Lys 125 → Gly;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Thru;Lys 134 → Val;Thr 141 → Ala;
Gln 28 → His;Leu 36 → Met;Ala 40 → Phe;Ile 41 → His;Gln 49 → Ser;Tyr 52 → Pro;Ser 68 → His;Leu 70 → Pro;Arg 72 → Trp;Lys 73 → Ala;Asp 77→ Ala;Trp 79 → Lys;Ile 80 → Thr;Arg 81 → Ile;Cys 87 → Ser;Asn 96 → Ala;Tyr 100 → Gly;Leu 103 → Met;Tyr 106 → Trp;Phe 123 → Ser;Lys 125→ Gly;Ser 127 → Trp;Tyr 132 → Thru;Lys 134 → Val;
Gln 28 → His;Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Asp 77→ Leu;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe;
Gln 28 → His;Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Glu 44 → Gly;Lys 46 → Tyr;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Lys 74 → Glu;Asp 77 → His;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;Leu 94 → Phe;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Va
l 108 → Ala;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe;又は
Leu 36 → His;Ala 40 → Gln;Ile 41 → Trp;Asp 45 → Gly;Lys 46 → Arg;Gln 49 → Arg;Tyr 52 → Trp;Asn 65 → Asp;Ser 68 → Asp;Leu 70 → Asp;Arg 72 → Ala;Lys 73 → Ile;Asp 77→ Leu;Trp 79 → Arg;Arg 81 → Thr;Cys 87 → Ser;Tyr 100 → His;Leu 103 → Gly;Tyr 106 → Gly;Lys 125→ Phe;Ser 127 → Ile;Tyr 132 → Ala;Lys 134 → Phe。
別の実施態様において、ポリペプチドは、配列番号54〜63又はそのフラグメント若しくは変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
別の実施態様において、ポリペプチドは、配列番号2〜63又はそのフラグメント若しくは変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、野生型hNGALの1つ又はそれ以上のアミノ酸を置換する1つ又はそれ以上の非天然システイン残基を含む。
別の実施態様において、上記hNGALムテインは、天然システイン残基の別のアミノ酸による少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
別の実施態様において、上記別のアミノ酸はセリン残基である。
別の実施態様において、hNGALムテインは、有機分子、酵素標識、放射性標識、着色標識、蛍光標識、発色標識、発光標識、ハプテン、ジゴキシゲニン、ビオチン、細胞分裂阻害薬、毒素、金属錯体、金属、及びコロイド金からなる群より選択される化合物に結合される。
別の実施態様において、hNGALムテインは、そのN末端及び/又はそのC末端において、タンパク質又はタンパク質ドメイン若しくはペプチドである融合パートナーに融合される。
別の実施態様において、hNGALムテインは、ポリペプチドの血清半減期を延長する化合物に結合される。
別の実施態様において、ポリペプチドは、ポリアルキレングリコール分子、ヒドロエチルデンプン、免疫グロブリンのFc部分、免疫グロブリンのCH3ドメイン、免疫グロブリンのCH4ドメイン、アルブミン結合ペプチド、及びアルブミン結合タンパク質からなる群より選択される、血清半減期を延長する化合物を含む。
別の実施態様において、ポリアルキレングリコールは、ポリエチレン(PEG)又はその活性化誘導体である。
別の実施態様において、本明細書において言及されるポリペプチドのいずれかをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が包含される。
別の実施態様において、核酸分子は、上記核酸分子の発現を可能にするために調節配列に作動可能に連結される。
別の実施態様において、核酸分子は、ベクター中又はファージミドベクター中に含まれる。
別の実施態様において、本明細書に記述されるもののうちのいずれか1つの核酸分子を含有する宿主細胞が包含される。
別の実施態様において、本明細書に記載されるポリペプチドのいずれかを製造する方法が包含され、ここでポリペプチドは、遺伝子操作方法を用いてポリペプチドをコードする核酸から開始して製造される。
別の実施態様において、ポリペプチドは、細菌又は真核生物宿主生物において産生され、そしてこの宿主生物又はその培養物から単離される。
別の実施態様において、(i)ピオベルジンI型に特異的なポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的なポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的なポリペプチド、及び(iv)ピオケリンに特異的なポリペプチドからなる群より選択される1つ又はそれ以上のポリペプチドを含む組成物が包含される。
別の実施態様において、組成物は、(i)ピオベルジンI型に特異的なポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的なポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的なポリペプチド、及び(iv)ピオケリンに特異的なポリペプチドからなる群より選択される2つ又はそれ以上のポリペプチドを含む。
別の実施態様において、組成物は、(i)ピオベルジンI型に特異的なポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に特異的なポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に特異的なポリペプチド、及び(iv)ピオケリンに特異的なポリペプチドからなる群より選択される3又は4つのポリペプチドを含む。
別の実施態様において、組成物は、ピオベルジンI型に特異的なポリペプチドを含む。
別の実施態様において、組成物は、ピオベルジンII型に特異的なポリペプチドを含む。
別の実施態様において、組成物は、ピオベルジンIII型に特異的なポリペプチドを含む。
別の実施態様において、組成物は、ピオケリンに特異的なポリペプチドを含む。
別の実施態様において、上記組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容しうるアジュバント、希釈剤又は担体をさらに含む。
別の実施態様において、被験体においてピオベルジンI型、II型、III型及び/又はピオケリンを結合する方法は、該被験体に、有効量の本明細書で記述される組成物のいずれかを投与することを含む。
別の実施態様において、被験体において緑膿菌の増殖を阻害するか又は減少させるための方法が包含され、該方法は、有効量の、本明細書に記述されるもののいずれかの組成物を該被験体に投与することを含む。
別の実施態様において、別々に又は混合して1つ又はそれ以上の容器、及び本明細書で記述されるもののいずれかの組成物を含むキットが包含される。
別の実施態様において、被験体においてピオベルジンI型、II型、III型及び/又はピオケリンを結合するための、(i)ピオベルジンI型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチドの使用が包含される。
別の実施態様において、被験体においてピオケリン及び/又はピオベルジンを介する緑膿菌による鉄取り込みを予防するか又は減少させるための、(i)ピオベルジンI型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチドの使用が包含される。
別の実施態様において、被験体における緑膿菌バイオフィルム感染の処置又は軽減のための、(i)ピオベルジンI型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチドの使用が包含される。
別の実施態様において、緑膿菌バイオフィルム感染は急性又は慢性感染である。
別の実施態様において、上記第一、第二、第三及び/又は第四のポリペプチドは、同時に、併用して、又は連続してを含めて、組み合わせて投与される。
別の実施態様において、上記第一、第二、第三及び/又は第四のポリペプチドは、独立した時点で個々の間隔でを含めて互いに独立して投与される。
別の実施態様において、(i)ピオベルジンI型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(ii)ピオベルジンII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、(iii)ピオベルジンIII型に結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチド、及び/又は(iv)ピオケリンに結合することができる本明細書で記述されるいずれかのポリペプチドに従うポリペプチドを含む組み合わせ。
本明細書に例示的に記載される実施態様は、本明細書に具体的に開示されていないいずれの要素、限定の存在しない場合に適切に実施され得る。従って、例えば、用語「含むこと(comprising)」、「含むこと(including)」、「含有すること(containing)」などは、広く、かつ限定なしに解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される用語及び表現は、説明の用語として使用されるのであり、限定するものではなく、そして上記用語及び表現の使用において、示され記載される特徴又はその部分のいずれの等価物も排除する意図はないが、様々な改変が特許請求される本発明の範囲内であるということが認識される。従って、当然のことながら、本発明の実施態様は、好ましい実施態様及び任意の特徴により具体的に開示されたが、その改変及び変形は、当業者に用いられ得、そしてこのような改変及び変形が本発明の範囲内とみなされる。本明細書において記載される全ての特許、特許出願、教科書及び同業者による論評の対象となる刊行物は、参照によりそれら全体として加入される。さらに、参照により本明細書に加入される参考文献における用語の定義又は使用が、本明細書に提供されるその用語の定義と矛盾するか又は反する場合、本明細書において提供されるその用語の定義が適用され、参考文献におけるその用語の定義は適用されない。全体的な開示内に入るより狭い種類及び亜属分類もそれぞれ、本発明の部分を形成する。これは、削除された物が具体的に本明細書で列挙されているかどうかにかかわらず、属からのいずれかの主題を除く条件又は負の限定を伴う本発明の一般的記述を含む。さらに、特徴がMarkushグループの用語に関して記載される場合、当業者は、その開示はまた、それによりMarkushグループの個々のメンバー又はメンバーのサブグループの関しても記載されるということを認識する。さらなる実施態様は、以下の特許請求の範囲から明らかとなる。

Claims (14)

  1. ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに対する結合特異性を有するヒト好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(hNGAL)ムテインであって、該hNGALムテインは、ピオベルジンI型、II型、III型又はピオケリンに検出可能な親和性で結合し、
    前記ムテインが、配列番号2、4〜16、18〜20、26〜37、39、42〜53及び55〜63からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する
    前記 hNGALムテイン。
  2. 前記ムテインが、鉄と複合体を形成したピオベルジンまたはピオケリンと、約200 nM以下のKD値により測定される親和性で結合することができる、請求項1に記載のムテイン。
  3. 前記ムテインが、配列番号2、4〜16、18〜20、26〜37、39、42〜53及び55〜63からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する、請求項1に記載のムテイン。
  4. 前記ムテインが、配列番号2、4〜16、18〜20、26〜37、39、42〜53及び55〜63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のムテイン。
  5. 請求項1に記載のムテインをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  6. 請求項に記載の核酸分子を含有する宿主細胞。
  7. 請求項1に記載のムテインの製造方法であって、ここで該ムテインは、遺伝子操作法を用いて該ムテインをコードする核酸から開始して製造される、上記方法。
  8. 請求項1に記載の1つ以上のムテインを含む、組成物。
  9. 被験体においてピオベルジンI型、II型、III型及び/又はピオケリンを結合するため
    の請求項に記載の組成物。
  10. 請求項に記載の組成物を含む、キット。
  11. 請求項1に記載のムテインを含む薬剤。
  12. 請求項1に記載のムテインを含む、被験体におけるピオケリン及び/又はピオベルジンを介した緑膿菌による鉄取り込みを防止又は減少するための、医薬組成物。
  13. 請求項1に記載のムテインを含む、被験体における緑膿菌バイオフィルム感染の処置又は軽減のための薬剤。
  14. 請求項1に記載の2つ以上のムテインの組み合わせ製品。
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