図1に示されるように、一実施形態に係る伝送器1は、プロセッサ10と、電流制御部20と、電流出力部30と、電流入力部40とを備える。プロセッサ10と電流制御部20とは、互いに接続されており、データを入力したり出力したりしうる。電流制御部20は、電流出力部30及び電流入力部40それぞれと接続されている。プロセッサ10は、伝送器1の外部に設けられているセンサ3と接続されている。伝送器1は、センサ3を含んでもよい。
電流出力部30及び電流入力部40はそれぞれ、接続回路58と接続されている。つまり、電流出力部30及び電流入力部40は、接続回路58を介して、互いに接続されている。伝送器1は、出力端子52をさらに備えてよい。この場合、電流出力部30は、出力端子52で接続回路58と接続されてよい。伝送器1は、入力端子54をさらに備えてよい。この場合、電流入力部40は、入力端子54で接続回路58と接続されてよい。接続回路58は、単なる配線であってよいし、抵抗器を含んでもよい。接続回路58は、出力端子52から流れてくる電流を、そのままの大きさで入力端子54に流す。つまり、出力端子52と入力端子54とが接続回路58を介して接続されていることによって、電流出力部30が出力した電流がそのまま電流入力部40に入力される。
電流出力部30は、外部装置2と接続されてもよい。この場合、電流出力部30は、外部装置2に電流信号を出力しうる。電流入力部40は、外部装置2と接続されてもよい。この場合、電流入力部40は、外部装置2から電流信号の入力を受け付けうる。伝送器1は、通知端子56をさらに備えてよい。この場合、電流制御部20は、通知端子56で外部装置2と接続されてよい。
伝送器1は、センサ3から取得した測定データに基づく電流信号を出力する。外部装置2は、伝送器1から取得した電流信号に基づいて、センサ3の測定データを取得しうる。一方、外部装置2は、測定データの補正値に関する情報等を、伝送器1に対して電流信号として出力しうる。伝送器1は、外部装置2から取得した電流信号に基づいて、測定データの補正値に関する情報等を取得する。測定データの補正値に関するデータは、外部装置2が取得した温度データ又は圧力データ等であってよい。
伝送器1を含むシステムが特に安全を求められる用途(安全計装システム)で用いられる場合に、安全度水準(SIL:Safety Integrity Level)の取得が求められることがある。SILを取得するには、伝送器1には自機の異常又は故障を検出し、上位システムに警報する構成が求められる。特に、制御ループで電流出力(ループ出力)を監視し、異常がないことを確認する構成を備えることは重要なポイントとなる。SILの要件を満たすために、伝送器1の信頼性又は安全性の向上が求められている。
プロセッサ10は、センサ3から測定データを取得し、測定データを処理する。プロセッサ10は、測定データに基づいて電流制御部20に制御情報を出力する。電流制御部20を制御するための制御情報は、設定データともいう。プロセッサ10は、RS485等の規格に基づいてセンサ3と通信してよい。
プロセッサ10は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用的な集積回路によって構成されてよい。プロセッサ10は、所定のプログラムを実行することによって、伝送器1の種々の機能を実現してよい。プロセッサ10は、記憶部を有してよい。伝送器1は、プロセッサ10とは別個の構成部として記憶部を備えてもよい。記憶部は、伝送器1の動作に用いられる各種情報、又は、伝送器1の機能を実現するためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、プロセッサ10のワークメモリとして機能してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。
電流制御部20は、電流出力部30に制御情報を出力する。電流出力部30は、制御情報に基づく電流信号を出力する。電流出力部30における電流信号の出力を制御するための制御情報は、出力データともいう。伝送器1は、電流出力部30が電流信号を外部に出力するための出力端子52をさらに備えてよい。伝送器1は、出力端子52で外部装置2と接続されてよい。電流出力部30が外部装置2と接続されている場合、外部装置2は、電流信号によって特定されるデータを、伝送器1から取得しうる。
電流制御部20は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の特定の処理に特化した集積回路によって構成されてよい。電流制御部20は、プロセッサ10と同一又は類似の記憶部を有してよい。
電流出力部30は、D/Aコンバータ(DAC)32と、電流生成部34とを備えてよい。電流出力部30は、電流制御部20からの出力データをデジタル信号として取得する。DAC32は、出力データをアナログ信号に変換する。電流生成部34は、アナログ信号に変換された出力データに基づいて、出力端子52から出力する電流信号を生成する。つまり、電流出力部30は、出力データに基づく電流信号を出力しうる。電流出力部30が出力データに基づいて出力する電流信号は、第1電流信号ともいう。第1電流信号は、例えば4〜20mAのアナログ電流信号であってよい。DAC32と電流生成部34とは、一体に構成されてよい。
プロセッサ10と電流制御部20と電流出力部30とは、センサ3から取得した測定データを電流信号に変換し、外部装置2に出力する。つまり、伝送器1は、測定データに基づく電流信号を電流出力部30に出力させることによって、外部装置2に測定データを伝送する。
電流入力部40は、電流信号の入力を受け付ける。電流入力部40が入力を受け付ける電流信号は、第2電流信号ともいう。電流入力部40は、第2電流信号に基づくデータを生成する。第2電流信号に基づくデータは、入力データともいう。電流入力部40は、入力データを電流制御部20に出力する。電流制御部20は、電流入力部40から入力データを取得する。伝送器1は、電流入力部40に電流信号を入力する入力端子54をさらに備えてよい。伝送器1は、入力端子54で外部装置2と接続されてよい。電流入力部40が外部装置2と接続されている場合、伝送器1は、外部装置2から入力データを取得しうる。
電流入力部40は、A/Dコンバータ(ADC)42と、変換部44とを備えてよい。電流入力部40は、入力端子54で電流信号の入力を受け付ける。変換部44は、入力端子54に入力された電流信号を電圧信号に変換する。変換部44で電流信号から変換された電圧信号は、アナログ信号であるといえる。変換部44は、例えば電気抵抗に流れる電流を電気抵抗の両端の電圧に変換する回路を含んでもよいし、オペアンプ等によって構成される回路を含んでもよい。ADC42は、変換部44で電流信号から変換された電圧信号をデジタル信号に変換し、電流制御部20に出力する。つまり、電流入力部40は、デジタル信号の入力データを電流制御部20に出力しうる。ADC42と変換部44とは、一体に構成されてよい。
電流制御部20は、電流入力部40から取得した入力データをプロセッサ10に出力する。つまり、プロセッサ10は、電流制御部20を介して、電流入力部40から入力データを取得する。プロセッサ10は、取得した入力データに基づいて、測定データを処理する。例えば、入力データは、測定データの補正値に関するデータを含んでよい。プロセッサ10は、入力データに含まれる補正値に関するデータに基づいて測定データを補正してよい。プロセッサ10は、補正した測定データに基づいて、電流制御部20に出力する設定データを生成してよい。
電流制御部20と、電流出力部30及び電流入力部40との間におけるデータの入出力は、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)等のデジタル通信によって実現されてよい。
伝送器1が測定データを外部装置2に対して伝送するための電流信号は、計装用標準信号であってよい。計装用標準信号は、電流の大きさが第1所定値以上且つ第2所定値以下の所定範囲内に制御されている電流信号であってよい。第1所定値は、例えば4mAであってよい。第2所定値は、例えば20mAであってよい。
外部装置2は、センサ3の測定データを監視する機器であってよいし、センサ3の測定データを収集するデータロガー等の機器であってもよい。外部装置2は、伝送器1を管理したり、伝送器1の状態を監視したりする機器であってもよい。
センサ3は、例えば、pHセンサであってよい。この場合、pHセンサの測定データを計装用標準信号に変換する伝送器1は、液変換器又は変換器ともいう。センサ3は、pHセンサに限られず、他の種々のセンサであってよい。
電流出力部30は、回路の異常等に起因して、プロセッサ10からの設定データに基づく電流信号を出力端子52から出力できないことがある。電流入力部40は、回路の異常等に起因して、入力端子54に入力される電流信号の受け付けができなかったり、入力端子54に入力される電流信号に基づくデータを電流制御部20に出力できなかったりすることがある。
第1電流信号が第2電流信号として電流入力部40に入力される場合、電流入力部40は、第1電流信号に基づく入力データを生成する。第1電流信号に基づく入力データは、内部入力データともいう。伝送器1において異常又は故障等が発生していない場合、内部入力データは、設定データと同一のデータ、又は、設定データに対して所定値未満の差を有するデータであるものとする。言い換えれば、内部入力データと設定データとの差の絶対値が所定値未満である場合、伝送器1において異常又は故障等が発生していないものとする。
一方、内部入力データと設定データとの差の絶対値が所定値以上である場合、伝送器1に異常又は故障等が発生しているものとする。例えば、電流制御部20から電流出力部30に出力される出力データ、又は、電流入力部40から電流制御部20に出力される入力データが誤りを含む場合、設定データと内部入力データとの差の絶対値が所定値以上になりうる。電流出力部30が実際に出力している電流信号と、設定データに基づいて出力されるべき電流信号とが異なっている場合、設定データと内部入力データとの差の絶対値が所定値以上になりうる。電流入力部40が生成した入力データが電流入力部40に実際に入力された電流信号に基づくデータとは異なっている場合、設定データと内部入力データとの差の絶対値が所定値以上になりうる。
電流制御部20は、設定データと内部入力データとの比較に基づいて、伝送器1において異常又は故障等が発生しているか判定しうる。電流制御部20は、設定データと内部入力データとの差に基づいて判定してよい。この場合、電流制御部20は、設定データと内部入力データとが異なる場合に、伝送器1において異常又は故障等が発生していると判定してよい。電流制御部20は、設定データと内部入力データとの差の絶対値が所定値以上である場合に、伝送器1において異常又は故障等が発生していると判定してもよい。
仮に、プロセッサ10において異常又は故障等が発生した場合、プロセッサ10が電流制御部20に対して設定データを出力できなくなりうる。電流制御部20は、プロセッサ10から新たな設定データを取得できなくなった場合でも、最後に取得した設定データに基づく出力データを電流出力部30に出力してよい。このようにすることで、伝送器1は、電流信号を出力し続けうる。
プロセッサ10は、伝送器1における異常又は故障等の発生を検出するための設定データとして、測定データに基づかない設定データを出力してもよい。このようにすることで、プロセッサ10が測定データを取得しているか否かにかかわらず、伝送器1は、異常又は故障等の発生を検出しうる。
電流制御部20は、伝送器1において異常又は故障等が発生していると判定した場合、外部装置2に対して伝送器1における異常又は故障等の発生を通知する信号を出力してよい。伝送器1における異常又は故障等の発生を通知する信号は、故障信号又はFAIL信号ともいう。
電流制御部20は、伝送器1の異常又は故障等を検出した場合、通知端子56から外部装置2に対して故障信号を出力してよい。外部装置2は、伝送器1から故障信号を取得することによって、伝送器1に異常又は故障等が発生していることを把握しうる。外部装置2は、故障信号に基づいて、DCSのユーザ等に対して異常又は故障等に関して報知してよい。外部装置2は、ブザーの鳴動又は回転灯の発光等の種々の手段による報知を実行してよい。電流制御部20と外部装置2とを接続する配線は、リレーを備えてよい。電流制御部20は、リレーの開閉を制御することによって、外部装置2に対する故障信号の出力を制御してよい。
電流制御部20は、電流出力部30が外部装置2に接続されている場合、電流出力部30に、計装用標準信号に含まれる電流の大きさの範囲外の電流を出力させることによって、外部装置2に対して、伝送器1に異常又は故障等が発生していることを通知してもよい。この場合、電流制御部20は、第1所定値未満の大きさ又は第2所定値を超える大きさの電流を、電流出力部30に出力させてよい。電流制御部20は、例えば4mA未満の大きさ又は20mAを超える大きさの電流を電流出力部30に出力させてよい。電流制御部20が電流出力部30に出力させる電流の大きさは、例えば、0mA若しくは3.6mA又は20.4mA等であってよいが、これらに限られず、種々の値であってもよい。電流出力部30は、第1所定値未満の大きさの電流を、バーンダウンによって出力してもよい。電流出力部30は、第2所定値を超える大きさの電流を、バーンアップによって出力してもよい。
電流制御部20は、外部装置2に対して故障信号を出力するとともに、電流出力部30に対して、出力する電流の大きさを0mAにするように指示する信号を出力してよい。出力する電流の大きさを0mAにするように指示する信号は、クリア信号ともいう。電流出力部30は、クリア信号に基づいて、出力する電流の大きさが0mAとなるように制御する。その結果、外部装置2は、伝送器1に異常又は故障等が発生していることを把握しうる。
電流制御部20がリレーの開閉によって故障信号の出力を制御する場合、電流制御部20からクリア信号を出力する配線は、電流制御部20とリレーとを接続する配線から分岐してよい。この場合、電流制御部20は、リレーの開閉による故障信号の出力と、電流出力部30に対するクリア信号の出力とをあわせて実行しうる。このようにすることで、電流制御部20は、伝送器1に異常又は故障等が発生していることを、より確実に外部装置2に通知しうる。その結果、伝送器1の信頼性又は安全性が高められうる。
本実施形態に係る伝送器1において、出力端子52と入力端子54とが接続回路58を介して接続されていることによって、第1電流信号がそのまま第2電流信号として電流入力部40に入力される。このようにすることで、電流入力部40は、第1電流信号に基づく内部入力データを電流制御部20に出力しうる。その結果、電流制御部20は、内部入力データを取得し、設定データと内部入力データとの比較に基づいて、伝送器1において異常又は故障等が発生しているか判定しうる。
本実施形態に係る伝送器1は、測定データの処理及び汎用的な処理を実行するプロセッサ10と、電流出力部30及び電流入力部40を制御しつつ伝送器1に異常又は故障等が発生しているか判定する電流制御部20とを備える。このようにすることで、プロセッサ10の負荷が軽減されうる。例えば、プロセッサ10が実行する処理の数が低減されうる。また、プロセッサ10で判定処理を実行するためのプログラムが省略されることによって、プロセッサ10の記憶部の空き容量が増加しうる。その結果、プロセッサ10における汎用的な処理の実行が妨げられにくい。また、プロセッサ10を構成するCPU等のスペックが低くされうる。その結果、コストが低減されうる。
本実施形態に係る伝送器1において、プロセッサ10における異常若しくは故障等の発生、又は、負荷増大による性能の低下等にかかわらず、電流制御部20が電流出力部30及び電流入力部40を制御しうる。このようにすることで、電流信号の出力が継続されうる。その結果、伝送器1の信頼性又は安全性が高められうる。
図2に示されるように、変換部44は、電流出力部30と出力端子52との間に接続されてよい。出力端子52は、外部装置2等の他の装置に接続されず終端されている。この場合、変換部44は、第1電流信号を電圧信号に変換し、ADC42に出力する。出力端子52は、外部装置2に接続されていてもよい。この場合、変換部44は、第1電流信号をそのまま出力端子52から外部装置2に出力させつつ、第1電流信号を電圧信号に変換し、ADC42に出力してよい。ADC42は、変換部44から取得した電圧信号に基づくデータを電流制御部20に出力する。つまり、ADC42は、第1電流信号に基づく内部入力データを電流制御部20に出力する。電流制御部20は、内部入力データを取得し、設定データと内部入力データとの比較に基づいて、伝送器1において異常又は故障等が発生しているか判定しうる。変換部44が電流出力部30と出力端子52との間に接続されることで、出力端子52と入力端子54とが接続回路58等によって接続されなくとも、電流制御部20は、内部入力データを取得しうる。このようにすることで、伝送器1における故障判定が実行されやすくなる。その結果、伝送器1の信頼性又は安全性が高められうる。
図3に示されるように、電流入力部40は、第1変換部441と、第2変換部442と、選択部46とを備えてよい。第1変換部441及び第2変換部442は、図1〜3に示されている変換部44と同一又は類似に構成され、電流信号を電圧信号に変換してよい。選択部46は、第1変換部441及び第2変換部442から電圧信号を取得する。選択部46は、第1変換部441から取得した電圧信号、及び、第2変換部442から取得した電圧信号のいずれか一方を選択し、ADC42に出力する。
選択部46が第1変換部441から取得した電圧信号をADC42に出力する場合、第1変換部441及びADC42はそれぞれ、図2に例示されている変換部44及びADC42と同一又は類似に機能しうる。この場合、電流入力部40は、第1電流信号に基づく内部入力データを電流制御部20に出力しうる。その結果、出力端子52と入力端子54とが接続されなくとも、電流制御部20は、内部入力データを取得し、出力データと内部入力データとの比較に基づいて、伝送器1において異常又は故障等が発生しているか判定しうる。
選択部46が第2変換部442から取得した電圧信号をADC42に出力する場合、電流入力部40は、外部装置2から入力端子54を介して取得した電流信号に基づくデータを入力データとして電流制御部20に出力する。外部装置2が出力した電流信号に基づくデータは、外部入力データともいう。つまり、電流制御部20は、外部入力データを入力データとして取得しうる。
伝送器1が選択部46を備えることによって、電流制御部20は、外部装置2からの電流信号に基づく外部入力データと、第1電流信号に基づく内部入力データとを容易に選択して取得しうる。このようにすることで、外部装置2からのデータ入力と伝送器1の故障検出とが両立されうる。
本実施形態に係る伝送器1において、電流制御部20が内部入力データを取得し、設定データと比較することによって、伝送器1に異常又は故障等が発生しているか容易に判定されうる。
設定データ、出力データ及び入力データは、nビット(n:自然数)の2進数で表されるデジタル信号として入出力されるものとする。この場合、設定データ、出力データ及び入力データは、0から2^n−1(^はべき乗演算子)の範囲の値をとりうる。つまり、これらの最小値及び最大値はそれぞれ、0及び2^n−1である。
プロセッサ10は、測定データに基づく大きさの電流を電流出力部30に出力させるための制御情報として設定データを生成し、電流制御部20に出力する。設定データの最小値及び最大値はそれぞれ、電流出力部30に出力させる電流の大きさの最小値及び最大値に対応づけられうる。例えば、プロセッサ10は、電流出力部30に最大値の電流を出力させる場合、設定データとして2^n−1を出力する一方で、電流出力部30に最小値の電流を出力させる場合、設定データとして0を出力する。
電流制御部20は、プロセッサ10から取得した設定データに基づく出力データを生成し、電流出力部30に出力する。電流制御部20は、設定データそのものを出力データとして電流出力部30に出力してもよい。
電流出力部30は、出力データに基づいて出力する電流の大きさを制御する。出力データの最小値及び最大値はそれぞれ、電流出力部30が出力する電流の大きさの最小値及び最大値に対応づけられうる。例えば、電流出力部30は、出力データとして2^n−1を取得した場合、最大値の電流を出力する一方で、出力データとして0を取得した場合、最小値の電流を出力する。
電流出力部30は、出力データに基づいて出力する電流の大きさを制御する。電流出力部30から実際に出力される電流の大きさは、電流出力部30の特性によって、プロセッサ10が電流出力部30に出力させようとしていた電流の大きさと異なりうる。電流制御部20は、電流出力部30の特性に基づいて設定データを較正し、較正結果を出力データとして電流出力部30に出力してもよい。
電流出力部30の特性は、電流出力部30が取得する出力データと、電流出力部30から出力される電流の実測値との間の関係を含んでよい。電流制御部20は、電流出力部30の特性に基づいて、設定データを較正してよい。出力データと実測値との間の関係は、テーブル又は関数等によって表されていてもよい。出力データと実測値との間の関係が例えば一次関数で表されている場合、電流制御部20は、一次関数の切片及び傾きそれぞれに対応する値として、ZERO値及びGAIN値を設定してよい。電流制御部20は、ZERO値及びGAIN値に基づく積和の演算を実行することによって、設定データを較正し、出力データを生成してよい。
電流入力部40は、入力を受け付けた電流の大きさに基づいて入力データを生成する。電流入力部40は、入力を受け付ける電流の大きさの最小値及び最大値を設定してよい。入力データの最小値及び最大値はそれぞれ、電流入力部40が入力を受け付ける電流の大きさの最小値及び最大値に対応づけられうる。例えば、電流入力部40は、設定した最大値と入力を受け付けた電流の大きさとが一致する場合、入力データとして2^n−1を生成する一方で、設定した最小値と入力を受け付けた電流の大きさとが一致する場合、入力データとして0を生成する。
電流制御部20は、電流入力部40から入力データを取得する。電流制御部20は、取得した入力データそのものをプロセッサ10に出力してよい。電流入力部40で生成される入力データは、電流入力部40の特性によって、電流入力部40に実際に入力される電流の大きさに対応づけられるデータとは異なりうる。電流制御部20は、電流入力部40の特性に基づいて、電流入力部40から取得した入力データを較正してよい。電流制御部20は、較正結果を入力データとしてプロセッサ10に出力してもよい。
電流入力部40の特性は、電流入力部40に入力される電流の実測値と、電流入力部40で生成される入力データとの間の関係を含んでよい。電流制御部20は、電流入力部40の特性に基づいて、入力データを較正してよい。実測値と入力データとの間の関係は、テーブル又は関数等によって表されていてもよい。実測値と入力データとの間の関係が例えば一次関数で表されている場合、電流制御部20は、一次関数の切片及び傾きをそれぞれ、ZERO値及びGAIN値として設定してよい。電流制御部20は、ZERO値及びGAIN値に基づく積和の演算を実行することによって、入力データを較正してよい。
データの較正に関する処理は、パターン化された演算等の特定の処理を含みうる。電流制御部20は、特定の処理に特化したFPGA等で構成されていることによって、プロセッサ10よりも、データの較正に関する処理を効率よく実行しうる。電流制御部20がデータの較正に関する処理を実行することで、プロセッサ10の負荷が軽減されうる。その結果、伝送器1は、全体として効率よく動作しうる。
仮に、プロセッサ10からの設定データに基づいて電流出力部30が出力した電流がそのまま電流入力部40に入力される場合、プロセッサ10が取得する入力データは、設定データと一致しうる。つまり、内部入力データは、設定データと一致しうる。伝送器1において異常又は故障等が発生していない場合、電流制御部20は、プロセッサ10から取得する設定データ、及び、電流入力部40から取得する入力データの少なくとも一方を較正することによって、設定データと入力データとを一致させうる。逆に、電流制御部20は、設定データと入力データとが一致しなかったり、設定データと入力データとの差が所定値以上であったりする場合、伝送器1において異常又は故障等が発生したと判定しうる。例えば、電流制御部20は、第1電流信号がそのまま第2電流信号として電流入力部40に入力される場合において、設定データと入力データとの差が所定値未満であるか判定してよい。電流制御部20は、設定データと入力データとの差が所定値未満である場合、伝送器1において異常又は故障等が発生していないと判定してよい。電流制御部20は、設定データと入力データとの差が所定値以上である場合、伝送器1において異常又は故障等が発生していると判定してよい。判定に用いられる所定値は、故障判定値又は判定値ともいう。故障判定値は、設定データの値にかかわらず設定されてよいし、設定データの値に基づいて設定されてもよい。故障判定値は、例えば、設定データの値に所定の係数を乗じた値に設定されてよい。所定の係数は、例えば3%であったり、5%であったりしてよいが、これらの値に限られない。
電流制御部20は、伝送器1において異常又は故障等が発生していると判定した場合、故障信号を外部装置2に出力してよい。電流制御部20と外部装置2とは、故障信号を出力する信号線によって接続されていてよい。電流制御部20は、伝送器1において異常又は故障等が発生していると判定した場合、故障信号を出力する信号線をアサートしてよい。電流制御部20は、伝送器1において異常又は故障等が発生していないと判定した場合、故障信号を出力する信号線をネゲートしてよい。信号線がアサートされている状態は、オン状態ともいう。信号線がネゲートされている状態は、オフ状態ともいう。信号線は、オン状態において、所定の閾値以上の電圧が印加され、オフ状態において、所定の閾値未満の電圧が印加されている状態であってよい。信号線は、オン状態において、所定の閾値未満の電圧が印加され、オフ状態において、所定の閾値以上の電圧が印加されている状態であってもよい。
以下、設定データ、出力データ及び入力データは、16ビットの2進数で表されるものとする。この場合、その最小値及び最大値はそれぞれ、0x0000及び0xFFFFと表されるものとする。電流出力部30が出力する電流の大きさの最小値及び最大値はそれぞれ、0mA及び24mAであるものとする。電流入力部40が入力を受け付ける電流の大きさとして設定されている最小値及び最大値はそれぞれ、0mA及び24mAであるものとする。
電流制御部20は、設定データとして0x0000及び0xFFFFをそれぞれ取得した場合において、電流出力部30が出力する電流の大きさが0mA及び24mAとなるように、設定データを較正し、較正結果を出力データとして電流出力部30に出力する。電流制御部20は、電流入力部40に入力された電流の大きさが0mA及び24mAである場合に、入力データがそれぞれ0x0000及び0xFFFFとなるように、入力データを較正し、較正結果をプロセッサ10に出力する。
例えば、プロセッサ10が設定データとして0x1554を出力すると仮定する。0x1554で表される設定データは、電流出力部30に2mAの電流を出力させることに対応する。電流制御部20は、故障判定値として0x2000を設定していると仮定する。一方で、電流制御部20がプロセッサ10に対して入力データとして0x2AA8を出力すると仮定する。0x2AA8で表される入力データは、電流入力部40に4mAの電流が入力されることに対応する。
これらの仮定において、設定データと入力データとの差は、0x1554であり、故障判定値未満である。電流制御部20は、設定データと入力データとの差が故障判定値未満であることに基づき、伝送器1において異常又は故障等が発生していないと判定する。
仮に、電流制御部20がプロセッサ10に対して入力データとして0x3FFCを出力する場合、設定データと入力データとの差は、0x2AA8であり、故障判定値以上である。電流制御部20は、設定データと入力データとの差が故障判定値以上であることに基づき、伝送器1において異常又は故障等が発生していると判定する。
設定データと入力データとの比較は、パターン化された演算等の特定の処理を含みうる。電流制御部20は、特定の処理に特化したFPGA等で構成されていることによって、プロセッサ10よりも、データの比較に関する処理を効率よく実行しうる。電流制御部20がデータの比較に関する処理を実行することで、プロセッサ10の負荷が軽減されうる。その結果、伝送器1は、全体として効率よく動作しうる。
電流制御部20が設定データ及び入力データを較正することによって、デジタル信号の最小値及び最大値はそれぞれ、電流信号の最小値及び最大値に対応づけられる。つまり、電流制御部20は、設定データ及び入力データを較正することによって、電流信号に対応づけられるデジタル信号のスケールを合わせているともいえる。このようにすることで、DAC32又はADC42等の変換特性にかかわらず、電流制御部20は、電流信号に対応づけられたデジタル信号として、設定データ及び入力データを処理しうる。その結果、電流制御部20は、より高い精度で伝送器1における異常又は故障等の発生を判定しうる。
電流出力部30がDAC32を有する場合、DAC32が電流制御部20から出力データを取得する。電流制御部20から出力される出力データがnビットのデジタル信号である場合、DAC32は、nビットのデジタル信号をアナログ信号に変換するように構成されていてよい。DAC32は、mビット(m:自然数、m≠n)のデジタル信号をアナログ信号に変換するように構成されていてもよい。m<nが成り立つ場合、DAC32は、nビットの出力データのうち、下位の(n−m)ビットを切り捨て、上位のmビットを残すことによって構成される、mビットのデジタル信号をアナログ信号に変換してよい。m>nが成り立つ場合、DAC32は、nビットの出力データの下位ビットとして(n−m)ビットの0を加えることによって構成される、mビットのデジタル信号をアナログ信号に変換してよい。
電流入力部40がADC42を有する場合、電流制御部20は、ADC42から入力データを取得する。ADC42は、変換部44から取得したアナログ信号をnビットのデジタル信号に変換し、nビットのデジタル信号を電流制御部20に出力するように構成されていてよい。ADC42は、アナログ信号をkビット(k:自然数、k≠n)のデジタル信号に変換し、kビットのデジタル信号を入力データとして電流制御部20に出力するように構成されていてもよい。k<nが成り立つ場合、電流制御部20は、kビットの入力データの下位ビットとして(n−k)ビットの0を加えることによって構成されるnビットのデジタル信号を入力データとみなしてよい。k>nが成り立つ場合、電流制御部20は、kビットの入力データのうち、下位の(k−n)ビットを切り捨て、上位のnビットを残すことによって構成される、nビットのデジタル信号を入力データとみなしてよい。電流制御部20は、nビットの設定データとnビットの入力データとを比較してよい。
電流制御部20は、プロセッサ10から取得したnビットの設定データと、ADC42から取得したkビットの入力データとを比較してよい。n≠kである場合、電流制御部20は、ビット数を揃えて、設定データと入力データとを比較してよい。例えば、n>kである場合、電流制御部20は、nビットの設定データの下位の(n−k)ビットを切り捨て、上位のkビットを残すことによって構成される、kビットのデジタル信号と、kビットの入力データとを比較してよい。また、電流制御部20は、nビットの設定データと、kビットの入力データの下位ビットとして(n−k)ビットの0を加えることによって構成される、nビットのデジタル信号とを比較してよい。n<kである場合、電流制御部20は、n>kである場合と類似に、設定データと入力データとを比較してよい。
電流制御部20は、設定データのビット数と入力データのビット数が異なる場合において、最上位ビット(MSB:Most Significant Bit)で揃えることによって、設定データと入力データとを比較しうる。このようにすることで、電流制御部20において、比較の機能を実現する回路の規模が小さくされうる。
伝送器1は、図4のフローチャートに例示されている手順に沿って、異常又は故障等が発生しているか判定しうる。
電流制御部20は、プロセッサ10から設定データを取得する(ステップS101)。
電流制御部20は、設定データに基づいて出力データを生成し、電流出力部30に出力する(ステップS102)。電流制御部20は、設定データそのものを出力データとして出力してよい。電流制御部20は、設定データを較正し、較正結果を出力データとして出力してよい。一方で、電流出力部30は、電流制御部20から出力データを取得する(ステップS201)。ステップS102からステップS201に向かう矢印付きの破線は、出力データの流れを表している。
電流出力部30は、出力データに基づく第1電流信号を生成し、出力する(ステップS202)。電流出力部30は、ステップS202の後、図4のフローチャートの手順を終了する。一方で、電流入力部40は、第2電流信号として、電流出力部30からの第1電流信号の入力を受け付ける(ステップS301)。電流入力部40は、図2又は図3に例示されている構成によって、第1電流信号の入力を受け付けているものとする。ステップS202からステップS301に向かう矢印付きの破線は、電流信号の流れを表している。
電流入力部40は、入力された第1電流信号に基づいて入力データを生成し、電流制御部20に出力する(ステップS302)。電流出力部30は、ステップS302の後、図4のフローチャートの手順を終了する。電流制御部20は、電流入力部40から入力データを取得する(ステップS103)。ステップS302からステップS103に向かう矢印付きの破線は、入力データの流れを表している。電流制御部20は、入力データを較正してよいし、入力データを較正せずにそのまま用いてもよい。
電流制御部20は、設定データと入力データとの差を算出する(ステップS104)。
電流制御部20は、設定データと入力データとの差が故障判定値以上であるか判定する(ステップS105)。
電流制御部20は、設定データと入力データとの差が故障判定値以上であると判定した場合(ステップS105:YES)、故障信号を出力する(ステップS106)。
電流制御部20は、設定データと入力データとの差が故障判定値以上でないと判定した場合(ステップS105:NO)、ステップS106の手順をスキップして図4のフローチャートの手順を終了する。つまり、電流制御部20は、設定データと入力データとの差が故障判定値未満である場合、故障信号を出力しない。
図4のフローチャートに例示されている手順において、電流制御部20が出力データ及び入力データの較正を実行していた。出力データは、電流出力部30において較正されてもよい。つまり、出力データは、設定データそのままで電流出力部30に出力され、電流出力部30によって較正されてもよい。電流出力部30は、出力データの較正結果に基づいて電流信号を出力してよい。また、入力データは、電流入力部40において較正されてもよい。つまり、入力データは、電流入力部40で生成され、さらに較正され、電流制御部20に出力されてもよい。電流制御部20は、電流入力部40から較正された入力データを取得し、そのままプロセッサ10に出力してよい。電流出力部30及び電流入力部40がデータを較正することによって、電流制御部20において、較正に関する回路が省略されうる。その結果、電流制御部20の機能を実現する回路の規模が小さくされうる。
図5に示されるように、伝送器1は、電流制御部20と電流出力部30との間に接続されている第1絶縁部61をさらに備えてよい。伝送器1は、電流制御部20と電流入力部40との間に接続されている第2絶縁部62をさらに備えてよい。伝送器1は、第1変換部441と選択部46との間に接続されている第3絶縁部63をさらに備えてよい。伝送器1は、電流制御部20と通知端子56との間に接続されている第4絶縁部64をさらに備えてよい。第1絶縁部61、第2絶縁部62、第3絶縁部63及び第4絶縁部64は、絶縁部ともいう。絶縁部は、接続されている構成を互いに電気的に絶縁しうる。絶縁部は、例えばフォトカプラ等であってもよい。
第3絶縁部63は、図2に示されている構成において、変換部44とADC42との間に接続されていてよい。第3絶縁部63は、絶縁アンプ等で構成されてもよい。
第4絶縁部64は、リレー等で構成されてもよい。第4絶縁部64がリレーである場合、リレーが開状態であることによって、電流制御部20と外部装置2とが絶縁されうる。
電流制御部20は、電流信号を出力したり取得したりする構成と絶縁されることによって、電流信号又は電圧信号のノイズによる影響を受けにくくなる。その結果、電流制御部20の信頼度及びノイズ耐性が高められうるとともに、伝送器1全体としての信頼性又は安全性が高められうる。
電流制御部20は、電流出力部30に出力データを出力する場合、誤り検出手段を付加したデータを出力してよい。電流制御部20は、電流入力部40から入力データを取得する場合、誤り検出手段を付加したデータを取得してよい。誤り検出手段は、例えばCRC(Cyclic Redundancy Check)符号又はパリティ符号等の誤り検出符号であってよい。
電流出力部30は、誤り検出手段が付加されているデータを処理し、出力データに復号する機能を実現する回路を含んでよい。電流出力部30は、出力データに付加されている誤り検出符号に基づいて、出力データの誤りを検出してよい。電流出力部30は、出力データの誤りを検出した場合、電流制御部20に対して、訂正した出力データを再度出力するように要求してよい。電流制御部20は、電流出力部30からの要求に応じて、訂正した出力データを再度出力してよい。電流出力部30がDAC32を備える場合、DAC32は、誤り検出手段が付加されているデータを処理する機能を有してよい。
電流入力部40は、誤り検出手段を付加したデータを生成する機能を実現する回路を含んでよい。電流制御部20は、入力データに付加されている誤り検出符号に基づいて、入力データの誤りを検出してよい。電流制御部20は、入力データの誤りを検出した場合、電流入力部40に対して、訂正した入力データを再度出力するように要求してよい。電流入力部40は、電流制御部20からの要求に応じて、訂正した入力データを再度出力してよい。電流入力部40がADC42を備える場合、ADC42は、誤り検出手段を付加する機能を有してよい。
電流制御部20と電流出力部30及び電流入力部40との間で入出力されるデータに誤り検出手段が付加されることによって、入出力されるデータの信頼性又は安全性が高められうる。このようにすることで、設定データと入力データとの比較に基づく、伝送器1における異常又は故障等の発生の判定精度が高められうる。その結果、伝送器1全体としての信頼性又は安全性が高められうる。信頼性又は安全性の向上によって、伝送器1はSILの条件を満たしやすくなる。つまり、伝送器1がSILを取得しやすくなる。
誤り検出手段に関する処理は、パターン化された演算等の特定の処理を含みうる。電流制御部20は、特定の処理に特化したFPGA等で構成されていることによって、プロセッサ10よりも、誤り検出手段に関する処理を効率よく実行しうる。電流制御部20が誤り検出手段に関する処理を実行することで、プロセッサ10の負荷が軽減されうる。例えば、電流制御部20と電流出力部30又は電流入力部40との間で訂正したデータをやり取りできることによって、プロセッサ10におけるデータ訂正の負荷が軽減されうる。その結果、伝送器1は、全体として効率よく動作しうる。
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。