JP6839121B2 - ソース注入型ミキサ - Google Patents

ソース注入型ミキサ Download PDF

Info

Publication number
JP6839121B2
JP6839121B2 JP2018050701A JP2018050701A JP6839121B2 JP 6839121 B2 JP6839121 B2 JP 6839121B2 JP 2018050701 A JP2018050701 A JP 2018050701A JP 2018050701 A JP2018050701 A JP 2018050701A JP 6839121 B2 JP6839121 B2 JP 6839121B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
port
transmission line
source
transistor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018050701A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019165287A (ja
Inventor
裕史 濱田
裕史 濱田
照男 徐
照男 徐
秀之 野坂
秀之 野坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2018050701A priority Critical patent/JP6839121B2/ja
Priority to PCT/JP2019/006468 priority patent/WO2019181344A1/ja
Priority to US16/981,991 priority patent/US11171607B2/en
Publication of JP2019165287A publication Critical patent/JP2019165287A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6839121B2 publication Critical patent/JP6839121B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03DDEMODULATION OR TRANSFERENCE OF MODULATION FROM ONE CARRIER TO ANOTHER
    • H03D7/00Transference of modulation from one carrier to another, e.g. frequency-changing
    • H03D7/12Transference of modulation from one carrier to another, e.g. frequency-changing by means of semiconductor devices having more than two electrodes
    • H03D7/125Transference of modulation from one carrier to another, e.g. frequency-changing by means of semiconductor devices having more than two electrodes with field effect transistors
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03DDEMODULATION OR TRANSFERENCE OF MODULATION FROM ONE CARRIER TO ANOTHER
    • H03D7/00Transference of modulation from one carrier to another, e.g. frequency-changing
    • H03D7/14Balanced arrangements
    • H03D7/1425Balanced arrangements with transistors
    • H03D7/1466Passive mixer arrangements
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04LTRANSMISSION OF DIGITAL INFORMATION, e.g. TELEGRAPHIC COMMUNICATION
    • H04L25/00Baseband systems
    • H04L25/02Details ; arrangements for supplying electrical power along data transmission lines
    • H04L25/0264Arrangements for coupling to transmission lines
    • H04L25/0278Arrangements for impedance matching
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03DDEMODULATION OR TRANSFERENCE OF MODULATION FROM ONE CARRIER TO ANOTHER
    • H03D2200/00Indexing scheme relating to details of demodulation or transference of modulation from one carrier to another covered by H03D
    • H03D2200/0041Functional aspects of demodulators
    • H03D2200/0043Bias and operating point
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03DDEMODULATION OR TRANSFERENCE OF MODULATION FROM ONE CARRIER TO ANOTHER
    • H03D2200/00Indexing scheme relating to details of demodulation or transference of modulation from one carrier to another covered by H03D
    • H03D2200/0041Functional aspects of demodulators
    • H03D2200/0066Mixing
    • H03D2200/0074Mixing using a resistive mixer or a passive mixer

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Computer Networks & Wireless Communication (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Microwave Amplifiers (AREA)
  • Amplifiers (AREA)

Description

本発明は、高周波電気信号を扱う回路技術、特に周波数変換機能を有するミキサに関するものである。
ミキサは、周波数変換機能を有する電子回路である。具体的には、高周波信号(RF(Radio Frequency)信号)もしくは中間周波信号(IF(Intermediate Frequency)信号)に局部発振信号(LO(Local Oscillator)信号)を乗算することにより、IF信号もしくはRF信号に周波数を変換する。通常、RF信号の周波数はIF信号の周波数よりも高い。RF信号からIF信号に周波数変換する場合をダウンコンバージョン、IF信号からRF信号に周波数変換する場合をアップコンバージョンと呼称する。ミキサは、ヘテロダイン方式を採用している携帯端末等の無線通信機器やスペクトラムアナライザ等の高周波計測器に必須の高周波部品である。
ミキサには様々な回路構成が提案されている。主に、ダイオードを用いたものと、電界効果トランジスタ(FET)等のトランジスタを用いたものに分類される。トランジスタを用いた構成では、ダイオードには実現できない増幅作用を利用することによって、周波数変換時に利得を有するような周波数変換が実現できる。ミキサから出力される周波数変換後のRF信号もしくはIF信号の電力を、ミキサに入力される周波数変換前のIF信号もしくはRF信号の電力で規格化した値は、変換利得と呼称される。また、周波数変換に増幅作用を用いているミキサは能動ミキサ、増幅作用を用いていないミキサは受動ミキサと呼称される。
通常のダイオードを用いたミキサや、受動ミキサ(レジスティブミキサ等、非特許文献1参照)では、その変換利得の上限値はシングルエンド構成の場合、1/π2〜−10dBと小さい。一方、能動ミキサでは、トランジスタの増幅機能を用いることで、−10dBよりも高い変換利得を有するようなミキサが実現可能である。周波数変換前の信号の電力レベルが小さいような場合には、ミキサの変換利得は高いことが望ましい。このため、能動ミキサはしばしば高周波システムにおいて用いられる。
能動ミキサは、LO信号をトランジスタのどの端子に入力するかで、ゲート注入型ミキサ、ドレイン注入型ミキサ、ソース注入型ミキサの3種類に分類される。以下の説明では、簡単のためにアップコンバージョン動作時の場合を述べる。言うまでもなく、3種類のミキサのどれも、アップコンバージョン、ダウンコンバージョンの両方に使用可能である。また、簡単のために、トランジスタとしてFETを用いる場合を説明する。バイポーラトランジスタを用いる場合には、以下の説明において、ゲートをベースに、ドレインをコレクタに、ソースをエミッタに言い換えればよい。
ゲート注入型ミキサは、ソース接地FETのゲートにIF信号とLO信号の2信号を入力し、ドレインからRF信号を取り出す形態である。3種類のミキサの中で最もよく用いられる形態である。ゲート注入型ミキサでは、ソース接地増幅器の増幅作用を用いた周波数変換が行われ、その変換利得は一般的には大きい。ただし、ゲート注入型ミキサでは、IF信号とLO信号の2つの信号を1つの端子に入力するため、IF信号とLO信号のアイソレーションが確保できない。これにより、ミキサのIF端子からLO信号が漏洩し、高周波システムを構成するミキサのIF端子より前段の部品に悪影響(例えばIF増幅器等のバイアスを変調してしまう等)を与える場合がある。IF信号とLO信号のアイソレーションを確保するためには、ミキサ本体回路とは別に、ミキサのゲート入力部に、アイソレーション機能を有するコンバイナもしくはダイプレクサを必要とする。
ドレイン注入型ミキサは、ソース接地FETのゲートにIF信号を入力し、ドレインにLO信号を入力し、同じくドレインからRF信号を取り出す形態である。ドレイン注入型ミキサもゲート注入型ミキサと同様に、ソース接地FETの利得を利用しており、高い変換利得を有する。ただし、LO信号とRF信号のアイソレーションを確保するためには、ミキサのドレイン端子に、アイソレーション機能を有するコンバイナやダイプレクサを付加する必要がある。LO信号がRF端子に漏洩した場合、無線システムのRF端子からLO漏洩信号が不要輻射として装置外に出力されてしまい、他の一般の無線機器に悪影響を及ぼす。
ソース注入型ミキサは、LO信号をFETのソースに入力し、IF信号をFETのゲートに入力し、RF信号をFETのドレインから出力する形態である。ゲート注入型ミキサおよびドレイン注入型ミキサと異なり、ソース注入型ミキサは、RF,LO,IFの全ての信号をFETの異なる端子に入出力するため、FETのドレインとゲートとソース間に備わるアイソレーション特性を利用することができる。このため、ソース注入型ミキサは、ゲート注入型ミキサおよびドレイン注入型ミキサの場合に必要となるアイソレーション確保用のコンバイナもしくはダイプレクサが不要となり、回路が小型化できるという利点がある。
ソース注入型ミキサの報告例は、ゲート注入型ミキサおよびドレイン注入型ミキサと比較して非常に少ない。非特許文献1はRF信号の周波数帯が20GHz付近でのソース注入型ミキサの報告例である。この非特許文献1によると、用いたFETの電流利得遮断周波数が70GHzとRF周波数よりも十分高いにもかかわらず、ソース注入型ミキサの変換利得は、−10dB以下とやや低いものになっている。
このように、従来のソース注入型ミキサでは、変換利得がゲート注入型ミキサやドレイン注入型ミキサと比較して小さいという課題があった。
Mohammad Madihian,et al.,"A Monolithic AlGaAdInGaAs Upconverter IC for K-Band Wireless Networks",IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,VOL. 43,NO. 12,1995
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来よりも大きな変換利得を実現することができるソース注入型ミキサを提供することを目的とする。
本発明のソース注入型ミキサは、トランジスタと、IF信号が入力されるIFポートと前記トランジスタのゲート間に挿入され、前記IFポートのインピーダンスと前記IFポートから見た前記ゲートのインピーダンスとを合わせるIF整合回路と、一端が前記トランジスタのソースに接続され他端が接地された、LO信号の周波数における電気長の四分の一よりも短いショートスタブと、前記LO信号が入力されるLOポートと前記トランジスタのソース間に挿入され、前記LOポートのインピーダンスと前記LOポートから見た前記ソースのインピーダンスとを合わせるLO整合回路と、RF信号が出力されるRFポートと前記トランジスタのドレイン間に挿入され、前記RFポートのインピーダンスと前記RFポートから見た前記ドレインのインピーダンスとを合わせるRF整合回路とを備え、前記LO整合回路は、一端が前記トランジスタのソースに接続された第1の伝送線路と、一端が前記第1の伝送線路の他端に接続され、他端が前記LOポートに接続された第2の伝送線路と、一端が前記第1、第2の伝送線路の接続点に接続され、他端が接地された第1の容量素子とから構成され、前記第1の伝送線路は、信号線路と、前記信号線路と接地との間に周期的に設けられた複数の第2の容量素子とから構成され、前記信号線路に前記第2の容量素子を設ける周期は、前記LO信号の周波数における四分の一波長よりも短い値に設定されていることを特徴とするものである。
また、本発明のソース注入型ミキサの1構成例(第2の実施例)において、前記信号線路に前記第2の容量素子を設ける周期は、前記LO信号の周波数における四分の一波長の1/10以下の値に設定されている。
また、本発明のソース注入型ミキサの1構成例(第2の実施例)において、前記IF整合回路は、一端が前記トランジスタのゲートに接続され、他端が開放されたオープンスタブと、一端が前記トランジスタのゲートに接続された第3の伝送線路と、一端が前記第3の伝送線路の他端に接続された第4の伝送線路と、一端が前記第3、第4の伝送線路の接続点に接続され、他端が接地された第3の容量素子と、一端が前記第4の伝送線路の他端に接続され、他端が前記IFポートに接続された第4の容量素子とから構成され、前記RF整合回路は、一端が前記トランジスタのドレインに接続された第5の伝送線路と、一端が前記第5の伝送線路の他端に接続され、他端が接地された第5の容量素子と、一端が前記トランジスタのドレインに接続され、他端が前記RFポートに接続された第6の容量素子とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明のソース注入型ミキサは、トランジスタと、IF信号が入力されるIFポートと前記トランジスタのゲート間に挿入され、前記IFポートのインピーダンスと前記IFポートから見た前記ゲートのインピーダンスとを合わせるIF整合回路と、一端が前記トランジスタのソースに接続され他端が接地された、LO信号の周波数における電気長の四分の一よりも短いショートスタブと、前記LO信号が入力されるLOポートと前記トランジスタのソース間に挿入され、前記LOポートのインピーダンスと前記LOポートから見た前記ソースのインピーダンスとを合わせるLO整合回路と、RF信号が出力されるRFポートと前記トランジスタのドレイン間に挿入され、前記RFポートのインピーダンスと前記RFポートから見た前記ドレインのインピーダンスとを合わせるRF整合回路とを備え、前記LO整合回路は、一端が前記トランジスタのソースに接続された第1の伝送線路と、一端が前記第1の伝送線路の他端に接続された第1の容量素子と、一端が前記第1の容量素子の他端に接続され、他端が前記LOポートに接続された第2の伝送線路とから構成され、前記IF整合回路は、一端が前記トランジスタのゲートに接続され、他端が開放されたオープンスタブと、一端が前記トランジスタのゲートに接続された第3の伝送線路と、一端が前記第3の伝送線路の他端に接続された第4の伝送線路と、一端が前記第3、第4の伝送線路の接続点に接続され、他端が接地された第2の容量素子と、一端が前記第4の伝送線路の他端に接続され、他端が前記IFポートに接続された第3の容量素子とから構成され、前記RF整合回路は、一端が前記トランジスタのドレインに接続された第5の伝送線路と、一端が前記第5の伝送線路の他端に接続され、他端が接地された第4の容量素子と、一端が前記トランジスタのドレインに接続され、他端が前記RFポートに接続された第5の容量素子とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明のソース注入型ミキサの1構成例(第1、第2の実施例)は、前記トランジスタのゲートにゲートバイアス電圧を印加するゲートバイアス回路と、前記トランジスタのドレインにドレインバイアス電圧を印加するドレインバイアス回路とを、さらに備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、LO信号の周波数における電気長の四分の一よりも短いショートスタブをトランジスタのソースに付加し、LOポートのインピーダンスとLOポートから見たソースのインピーダンスとを合わせるLO整合回路を設けることにより、ショートスタブの持つインダクタンスに起因するミキサの変換利得の低下を回避することができ、IF信号(LO信号)の周波数が高い場合でも大きな変換利得を得ることができる。
また、本発明では、LO整合回路を、第1の伝送線路と第2の伝送線路と第1の容量素子とから構成し、第1の伝送線路を、信号線路と、信号線路と接地との間に周期的に設けられた複数の第2の容量素子とから構成し、信号線路に第2の容量素子を設ける周期を、LO信号の周波数における四分の一波長よりも短い値に設定することにより、通常の伝送線路よりも十分に低いインピーダンスの第1の伝送線路を実現することができ、LO整合回路の動作帯域を拡張することができる。その結果、本発明では、ミキサの変換利得のLO信号周波数依存性を更に改善することができる。
図1は、従来のソース注入型ミキサの構成を示すブロック図である。 図2は、従来のソース注入型ミキサおよび本発明のソース注入型ミキサの負荷線を示す図である。 図3は、ソース接地FETの小信号利得に与えるソースインダクタンスの影響を説明する図である。 図4は、本発明に係るソース注入型ミキサの構成を示すブロック図である。 図5は、本発明の第1の実施例に係るソース注入型ミキサの構成を示す回路図である。 図6は、本発明の第1の実施例に係るソース注入型ミキサのドレイン・ソース間電圧およびゲート・ソース間電圧の時間波形を示す図である。 図7は、本発明の第1の実施例に係るソース注入型ミキサのソース電流の時間波形を示す図である。 図8は、従来のソース注入型ミキサと本発明の第1の実施例に係るソース注入型ミキサの変換利得を示す図である。 図9は、本発明の第2の実施例に係るソース注入型ミキサの構成を示す回路図である。 図10は、本発明の第2の実施例に係る疑似低インピーダンス伝送線路の構成を示すブロック図である。 図11は、薄膜マイクロストリップ線路およびMIM容量素子の構造を示す断面図である。 図12は、本発明の第1の実施例に係るソース注入型ミキサと本発明の第2の実施例に係るソース注入型ミキサの変換利得を示す図である。
[発明の原理]
ここでは、上記で述べた、ソース注入型ミキサの変換利得が小さい原因について述べ、その原因を取り除くことでソース注入型ミキサの変換利得を向上させる本発明の原理について説明する。
まず、従来のソース注入型ミキサの動作原理を簡単に述べる。図1に従来のソース注入型ミキサの概要を示す。ソース注入型ミキサは、FET(電界効果トランジスタ)100と、入力端子がIFポート107に接続され、出力端子がFET100のゲート(G)に接続されたIF整合回路101と、FET100のゲートにゲートバイアス電圧を印加するゲートバイアス回路102と、入力端子がLOポート108に接続され、出力端子がFET100のソース(S)に接続されたLO整合回路103と、一端がFET100のソースに接続され、他端が接地されたショートスタブ104と、入力端子がFET100のドレイン(D)に接続され、出力端子がRFポート109に接続されたRF整合回路105と、FET100のドレインにドレインバイアス電圧を印加するドレインバイアス回路106とから構成される。
ソース注入型ミキサでは、ドレインバイアス回路106によりFET100のドレインをFET100の飽和領域までバイアスし、ゲートバイアス回路102によりFET100のゲートをFET100の閾値付近にバイアスする。FET100のソースには、LO信号の周波数において四分の一波長となるショートスタブ104が取り付けられている。このショートスタブ104によってFET100のソースは直流では接地されるが、LO信号の周波数では開放となり、自由に電圧を印加することができるようになる。
また、FET100のゲートは、IF整合回路101によりLO信号の周波数におけるインピーダンスが低くなるように設計されている。このため、LO信号の周波数において、LOポート108から見たFET100はゲート接地FETとして働く。ゲート接地FETの入力インピーダンスは、純抵抗値(FET100のトランスコンダクタンスgmの逆数に等しい値)となっている。この状態で、LO整合回路103を介してFET100のソースにLO信号を印加すると、LO信号によってFET100のソース電位が変調され、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびドレイン・ゲート間電圧Vgsが共に変調される。
LO信号によってFET100のソース電位Vsが増加すると、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびドレイン・ゲート間電圧Vgs共に減少し、LO信号によってFET100のソース電位Vsが低下すると、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびドレイン・ゲート間電圧Vgs共に増加する。したがって、FET100のドレイン・ソース間電流Ids−ドレイン・ソース間電圧Vds曲線上に、従来のソース注入型ミキサの負荷線(動作領域)を描くと、図2の領域Aのようになる。
この負荷線A上では、LO信号の印加に伴い、FET100のドレイン・ソース間電流Idsが変化するため、FET100のトランスコンダクタンスgmがLO信号によって変化している。このとき、ゲートに印加されるIF信号についてのミキサの動作を考える。通常、IF信号の周波数はLO信号の周波数よりも低いため、FET100のソースに付加されるショートスタブ104は、IF信号の周波数に関してはほぼ短絡となる。
したがって、IF信号の周波数において、FET100はソース接地FETとして働く。前記のようにFET100のトランスコンダクタンスgmがLO信号により変化するので、IFポート107から見て、ソース接地FETのトランスコンダクタンスgmがLO信号の周波数によって時々刻々と変化し、ドレインに増幅出力されるIF信号の大きさがLO信号によって変調される。こうして、FET100のドレインには、IF信号とLO信号の乗算結果がRF信号として出力される。以上が従来のソース注入型ミキサの動作原理である。
しかしながら、従来のソース注入型ミキサでは、IF信号の周波数の上昇に伴って、変換利得が著しく低下してしまうという問題がある。この変換利得の低下は、FET100のソースに付加されるショートスタブ104の持つインダクタンスに起因する。一般に、ソース接地FETのソースにインダクタンスを付加すると、FETの利得が減少することが知られている。
図3は、ソース接地FETのソースにショートスタブを付加し、そのショートスタブの長さを変化させたときのソース接地FETの最大有能電力利得をプロットした図である。ここでは、FETとしてゲート幅20μmのInP−HEMT(High Electron Mobility Transistor)を仮定し、ショートスタブの特性インピーダンスを50Ω、長さをLssとした。ショートスタブの長さLssが増加すると、ソース接地FETの最大有能電力利得は顕著に低下することが判る。
前記のように、ソース注入型ミキサは、ソース接地FETのトランスコンダクタンスgmの変化、すなわち利得の変化を利用したミキサである。したがって、ソース接地FETの利得低下は、ソース注入型ミキサの変換利得の低下を引き起こす。図3から分かるように、IF信号が低周波の場合には、変換利得の低下はほとんどない。その理由は、DC(Direct Current)付近の低いIF信号の周波数においては、FETのソースのショートスタブのインダクタンスは無視できるほど小さいからである。
しかしながら、例えば、100GHz以上のRF周波数を用いた高速無線システムにおいては、そのデータレート拡大のために無線通信に使用する帯域を広くとることが多いため、必然的にIF信号の周波数も高くなる。このため、FETのソースのショートスタブのインダクタンスに起因する、ソース注入型ミキサの変換利得低下は大きな問題となる。
以上述べたように、従来のソース注入型ミキサでは、FETのソースにLO電圧振幅を与えるために、LO信号の周波数における長さが四分の一波長となるショートスタブが必要であり、このショートスタブが有するインダクタンスの影響によって、利得が低下するという問題があった。
本発明では、この問題を解決するために、次に述べるように、FETのソースに電圧振幅を与えるのではなく、電流振幅を与えてミキサを動作させる。これにより、ショートスタブの長さを四分の一波長よりも十分短くし、FETのソースインダクタンスを従来よりも小さくすることを提案し、変換利得を向上する手段を提供する。
図4に、本発明に係るソース注入型ミキサの概念図を示す。本発明のソース注入型ミキサは、FET1と、IF信号が入力されるIFポート8とFET1のゲート(G)間に挿入され、IFポート8のインピーダンスとIFポート8から見たFET1のゲートのインピーダンスとを合わせるIF整合回路2と、FET1のゲートにゲートバイアス電圧VGを印加するゲートバイアス回路3と、LO信号が入力されるLOポート9とFET1のソース(S)間に挿入され、LOポート9のインピーダンスとLOポート9から見たFET1のソースのインピーダンスとを合わせるLO整合回路4と、一端がFET1のソースに接続され、他端が接地された伝送線路であるショートスタブ5と、RF信号が出力されるRFポート10とFET1のドレイン(D)間に挿入され、RFポート10のインピーダンスとRFポート10から見たFET1のドレインのインピーダンスとを合わせるRF整合回路6と、FET1のドレインにドレインバイアス電圧VDを印加するドレインバイアス回路7とから構成される。
本発明に係るソース注入型ミキサは、FET1のソースに付加するショートスタブ5の長さがLO信号の周波数における電気長の四分の一よりも十分短く、さらにショートスタブ5の短縮化によって低下したソースのインピーダンスとの整合をとるために、LOポート9のインピーダンス(通常は50Ω)から非常に低いインピーダンスに変換されるようにLO整合回路4を設計したことを特徴とする。以下に本発明の動作原理を述べる。
FET1のソースに付加するショートスタブ5の長さを、LO信号の周波数における四分の一波長よりも十分短く、例えば十分の一程度まで短くすると、ショートスタブ5のインピーダンスは誘導性の非常に低いものとなる。この誘導性の低インピーダンスに整合をとるようにLO整合回路4を設計すると、LO信号はその電力を損なわないままFET1のソースとショートスタブ5との交点(図4のP点)に到着する。P点のインピーダンスが低いので、ミキサ駆動に十分な電力のLO信号を投入すると、LOポート9からP点には大きな電流が流れ込む。
従来のソース注入型ミキサの構成では、ショートスタブ104の長さが四分の一波長だったため、LOポート108から見たP点のインピーダンスはFET100のトランスコンダクタンスgmの逆数(通常は50Ωに設計される)となっており、P点にはLO信号に応じた電圧が励振されていた。
本発明では、上記のように、P点のインピーダンスを低く設定するので、P点における電圧Vpの振幅が小さく、代わりに大きな電流がP点に流れ込む。本発明の構成において、キルヒホッフの法則から、P点に流れ込む電流の総和は0でなければならない。したがって、P点にFET1側から流れ込む電流は、LOポート9側からP点に流れ込む電流ILOと大きさが同じでなければならない。
このため、本発明では、FET1のソースに電圧を発生させることなく、FET1のドレイン・ソース間電流が大きく変調されることになる。この電流変化を担うのは、本発明においては、LO信号のゲートへの漏洩分である。ゲートに漏洩したLO信号が、上記の、キルヒホッフの法則が満足されるために必要となるドレイン・ソース間電流の大きな変化を与えるのである。FET1はトランスコンダクタンスgmを有するので、LO信号の漏洩による、少ないゲート電圧の変化で大きなドレイン電流の変化を引き起こすことができる。
以上から、本発明では、ドレイン・ソース間電圧Vdsは変調されず、ゲート電圧の変調のみでドレイン・ソース間電流Idsが変化する。そのため、FET1のドレイン・ソース間電流Ids−ドレイン・ソース間電圧Vds曲線上に、本発明のソース注入型ミキサの負荷線(動作領域)を描くと、図2の領域Bのようになる。図2のBの領域においてもAの領域と同様に大きなトランスコンダクタンスgmの変化が得られるため、ミキサ動作を行うことができる。
さらに、本発明では、FET1のソースに付加されるショートスタブ5の長さが従来よりも短いため、そのインダクタンスも小さく、結果として図3および上記で述べたようなソースインダクタンスの影響によるミキサの変換利得の低下を回避することができ、結果としてIF信号の周波数が高くても大きな変換利得を得ることができる。
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図5は本発明の第1の実施例に係るソース注入型ミキサの構成を示す回路図であり、図4と同一の構成には同一の符号を付してある。図5は図4の具体例を示している。ここでは、本発明の第1の実施例として、ショートスタブ5の長さをLO信号の周波数における電気長0.0275とした場合について述べる。LO信号の周波数を240GHz、IF信号の周波数を40〜70GHz、RF信号の周波数を280〜310GHzとした。また、FET1として、ゲート幅40μmのInP−HEMTを用いた。
FET1のソースと接地との間には、特性インピーダンス60Ω、LO信号の周波数における電気長0.0275の伝送線路であるショートスタブ5が接続されている。
LO整合回路4は、一端がFET1のソースに接続された伝送線路40と、一端が伝送線路40の他端に接続された容量素子41と、一端が容量素子41の他端に接続され、他端がLOポート9に接続された伝送線路42とから構成される。
LO整合回路4に用いた伝送線路、容量素子の素子値は次のとおりである。まず、FET1のソースに、特性インピーダンス40Ω、電気長0.25の伝送線路40を接続する。この伝送線路40の他端に容量値9fFの容量素子41を接続する。さらに、容量素子41の他端とLOポート9との間に、特性インピーダンス40Ω、電気長0.2の伝送線路42を接続する。
ゲートバイアス回路3は、一端がFET1のゲートに接続された500Ωの抵抗30と、一端が抵抗30の他端に接続され、他端にゲートバイアス電圧VGが印加される1000Ωの抵抗31と、一端が抵抗30,31の接続点に接続され、他端が接地された容量値1pFの容量素子32とから構成される。
IF整合回路2は、一端がFET1のゲートに接続され、他端が開放された伝送線路であるオープンスタブ20と、一端がFET1のゲートに接続された伝送線路21と、一端が伝送線路21の他端に接続された伝送線路22と、一端が伝送線路21,22の接続点に接続され、他端が接地された容量素子23と、一端が伝送線路22の他端に接続され、他端がIFポート8に接続された容量素子24とから構成される。
IF整合回路2に用いた伝送線路、容量素子の素子値は次のとおりである。まず、FET1のゲートには、特性インピーダンス50Ω、LO信号の周波数における電気長0.2のオープンスタブ20が接続される。また、FET1のゲートには、特性インピーダンス57Ω、LO信号の周波数における電気長1.25の伝送線路21が接続される。伝送線路21の他端には、特性インピーダンス41Ω、LO信号の周波数における電気長0.23の伝送線路22が接続される。伝送線路21,22の接続点と接地との間には、容量値35fFの容量素子23が接続される。伝送線路22と他端とIFポート8との間には、容量値200fFの容量素子24が接続される。
ドレインバイアス回路7は、一端がFET1のドレインに接続され、他端にドレインバイアス電圧VDが印加される伝送線路70と、一端が伝送線路70の他端に接続され、他端が接地された容量素子71とから構成される。伝送線路70は、特性インピーダンスが50Ω、LO信号の周波数における電気長が0.25である。容量素子71の容量値は300fFである。
RF整合回路6は、一端がFET1のドレインに接続された伝送線路60と、一端が伝送線路60の他端に接続され、他端が接地された容量素子61と、一端がFET1のドレインに接続され、他端がRFポート10に接続された容量素子62とから構成される。伝送線路60は、特性インピーダンが40Ω、LO信号の周波数における電気長が0.26である。容量素子61の容量値は33fF、容量素子62の容量値は10fFである。
ドレインバイアス回路7によりFET1のドレイン電圧は、FET1の飽和領域である1.2Vにバイアスされている。ゲートバイアス回路3によりFET1のゲート電圧は、FET1の閾値電圧である、−0.45Vにバイアスされている。
図5の構成のソース注入型ミキサに、LO信号として周波数が241GHz、電力値が5dBmの信号を入力し、IF信号として周波数が60GHz、電力値が−30dBmの信号を入力したときの、FET1のドレイン・ソース間電圧Vdsおよびゲート・ソース間電圧Vgsの時間波形のシミュレーション結果を図6に示す。上記の発明の原理で述べたように、LO信号によってFET1のドレイン・ソース間電圧Vdsはほとんど変調されていないが、ゲート・ソース間電圧VgsはLO信号の漏洩信号によって±0.2V程度変調されていることが判る。
また、FET1のソースから流れ出すソース電流Isの時間波形を図7に示す。図7によれば、±12mAの電流振幅が得られていることが判る。FET1の直流動作時において、ドレイン・ソース間電圧Vds=1.2Vで流れるドレイン・ソース間電流Idsはおよそ30mAであるから、±12mAのソース電流Isの振幅は電流量としては非常に大きいことが判る。
図8に、図1に示した従来のソース注入型ミキサと本実施例のソース注入型ミキサの変換利得のIF信号周波数に対する依存性を示す。図8の80は従来のソース注入型ミキサの変換利得を示し、81は本実施例のソース注入型ミキサの変換利得を示している。ここでは、LO信号の周波数を241GHzとし、IF信号の周波数を40〜70GHz、LO信号の電力を5dBm、IF信号の電力を−20dBmとした。従来のソース注入型ミキサの構成としては、FET100のソースに付加するショートスタブ104の長さをLO信号の周波数における電気長の四分の一とし、LO整合回路103としてFET100のソースのインピーダンスと整合をとったものを用いた。
図8から判るように、従来のソース注入型ミキサでは、本実施例のソース注入型ミキサよりも変換利得が低く、さらにIF信号の周波数の増加と共に変換利得が大きく低下することが判る。従来のソース注入型ミキサの特性が図8のようになる理由は、上記の発明の原理で述べたように、IF信号の周波数が高い場合、ショートスタブ104のインダクタンスの影響によりソース接地FETの利得が低下し、その影響によって変換利得が低下するからである。
本実施例では、ショートスタブ5の長さを従来よりも格段に短くし、FET1の動作を電圧動作ではなく電流動作に変更することによって、従来よりも格段に変換利得を大きく向上させることができる。
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図9は本発明の第2の実施例に係るソース注入型ミキサの構成を示す回路図であり、図5と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例のソース注入型ミキサは、FET1と、IF整合回路2と、ゲートバイアス回路3と、LO整合回路4aと、ショートスタブ5と、RF整合回路6と、ドレインバイアス回路7とから構成される。
上記のように、本発明においては、FET1のソースに接続される、四分の一波長よりも十分短いショートスタブ5の影響により著しく低下したソースのインピーダンスとLOポート9のインピーダンス(通常は50Ω)との整合をとる必要がある。このような低いインピーダンスと50Ωとの間の整合は、通常の伝送線路を用いた整合回路では、その動作帯域が狭くなってしまう。
そこで、本実施例では、通常の伝送線路よりも十分に低いインピーダンスの疑似低インピーダンス伝送線路を用いた多段整合回路によって動作帯域を拡張する。
IF整合回路2とゲートバイアス回路3とショートスタブ5とRF整合回路6とドレインバイアス回路7については第1の実施例で説明したとおりである。
本実施例のLO整合回路4aは、一端がFET1のソースに接続された伝送線路43と、一端が伝送線路43の他端に接続され、他端がLOポート9に接続された伝送線路44と、一端が伝送線路43,44の接続点に接続され、他端が接地された容量素子45とから構成される。伝送線路43は、特性インピーダンスが10Ωで、241GHzにおける電気長が0.08である。伝送線路44は、特性インピーダンスが30Ωで、241GHzにおける電気長が0.125である。容量素子45の容量値は21fFである。
本実施例で用いた10Ωの伝送線路43は、通常の半導体プロセスでは実現することが難しいので、次のような疑似低インピーダンス伝送線路によって等価的に10Ωの特性インピーダンスを有する伝送線路を実現した。
疑似低インピーダンス伝送線路は、集積回路プロセスで通常用いられるMIM(Metal-Insulator-Metal)容量素子を用いて、疑似的に低インピーダンスの線路を実現するものである。信号の伝播経路に直列に挿入された通常の伝送線路46(信号線路)に、図10のように周期的に伝送線路46と接地との間にMIM容量素子47を装荷することで、疑似低インピーダンス伝送線路が形成できる。
この疑似低インピーダンス伝送線路は、次のように説明できる。伝送線路46の特性インピーダンスZは、伝送線路46の単位長さあたりの容量(信号線路と接地との間に並列に挿入される容量)をC、伝送線路46の単位長さあたりのインダクタンス(信号線路に直列に挿入される容量)をLとすると、式(1)のように記述できる。
つまり、伝送線路46と接地との間にMIM容量素子47を装荷することで、式(1)の分母のCの値を大きくすることができるので、伝送線路46の特性インピーダンスを低くすることができる。
伝送線路46の所望の特性インピーダンスを作り出すための装荷容量値の計算による導出方法を述べる。まず、MIM容量素子47が付与される前の既知の伝送線路46の特性インピーダンスZknownは、伝送線路46の単位長さあたりの容量をC、インダクタンスをLとすれば、式(1)と同様に式(2)のように記述できる。
同様に、特性インピーダンスZXの低インピーダンス伝送線路を形成するために必要となる単位長さあたりの装荷容量をCXとすれば、特性インピーダンスZXは次のように記述できる。
式(2)、式(3)をCXについて解くと、次式が得られる。
この式(4)に示すCXが、本実施例に係る特性インピーダンスZXの低インピーダンス伝送線路を形成するために必要な単位長さあたりの装荷容量である。式(4)の中のCは、上記のとおり伝送線路46の単位長さあたりの既知の容量値である。この容量値Cは、伝送線路46の形状から決まる値であり、計算により別途求めることができる。
伝送線路46としては、例えば薄膜マイクロストリップ線路を用いることができる。図11(A)に薄膜マイクロストリップ線路の構造を示す。伝送線路46(薄膜マイクロストリップ線路460)は、薄膜誘電体461と、この誘電体461の表面に形成された金属からなる信号線路462と、誘電体461の裏面に形成されたグランドの金属層463とから構成される。図11(B)に伝送線路46(薄膜マイクロストリップ線路460)に周期的に装荷されるMIM容量素子47の構造を示す。MIM容量素子47は、グランドの金属層463を一方の電極とする。つまり、MIM容量素子47は、スルーホール464を介して信号線路462と電気的に接続された電極となる金属層465と、この金属層465と対向する電極となる金属層463と、金属層463と465との間の誘電体461とから構成される。
本実施例では、伝送線路46上に周期的にMIM容量素子47を配することによる疑似線路によって等価的に伝送線路46の特性インピーダンスを小さくしている。この時、MIM容量素子47とこれに隣接するMIM容量素子47との間に挟まれる伝送線路46は、その長さが四分の一波長を超えるとトランスのようにインピーダンス変換素子の働きを持ち始めてしまい、上記の議論は成り立たなくなる。
低インピーダンス伝送線路を形成するためには、MIM容量素子47とこれに隣接するMIM容量素子47との間に挟まれる伝送線路46の長さを四分の一波長よりも十分小さくすることが必要である。具体的には、MIM容量素子47の装荷周期を、MIM容量素子47とこれに隣接するMIM容量素子47との間にある伝送線路46の、所望の設計周波数(LO信号の周波数)における四分の一波長の1/10以下程度に設定すれば、前記のようなトランス様のインピーダンス変換作用を持たせることなく、本実施例に係る疑似低インピーダンス伝送線路を実現可能である。
本実施例では、伝送線路46(薄膜マイクロストリップ線路460)における信号線路462の金属厚さを2μm、グランドの金属層463の厚さを1μmとした。信号線路462とグランドの金属層463との間の薄膜誘電体461の誘電率としては、薄膜誘電体461がBCB(ベンゾシクロブテン)であることを想定して2.7とした。また、信号線路462の幅を12μmとし、信号線路462の長さ15μm毎に信号線路462とグランドの金属層463との間に0.8fF/μmのMIM容量素子47を装荷した。こうして、図10に示した疑似低インピーダンス伝送線路により、特性インピーダンスが10Ωの伝送線路43を実現することができる。
本実施例では、以上の疑似低インピーダンス伝送線路の効果によって、広帯域にLO整合をとることができ、結果として、ソース注入型ミキサの変換利得のLO信号周波数依存性を改善することができる。
図12に第1の実施例と本実施例のソース注入型ミキサの変換利得を示す。図12の120は第1の実施例のソース注入型ミキサの変換利得を示し、121は本実施例のソース注入型ミキサの変換利得を示している。低インピーダンスのLO整合回路4aによって、本実施例に係るミキサは、第1の実施例よりもLO信号周波数の変化に対する依存性が小さい変換利得を実現できることが判る。
本発明は、高周波回路技術に適用することができる。
1…FET、2…IF整合回路、3…ゲートバイアス回路、4,4a…LO整合回路、5…ショートスタブ、6…RF整合回路、7…ドレインバイアス回路、8…IFポート、9…LOポート、10…RFポート、20…オープンスタブ、21,22,40,42〜44,60,70…伝送線路、23,24,32,41,45,61,62,71…容量素子、30,31…抵抗、47…MIM容量素子。

Claims (5)

  1. トランジスタと、
    IF信号が入力されるIFポートと前記トランジスタのゲート間に挿入され、前記IFポートのインピーダンスと前記IFポートから見た前記ゲートのインピーダンスとを合わせるIF整合回路と、
    一端が前記トランジスタのソースに接続され他端が接地された、LO信号の周波数における電気長の四分の一よりも短いショートスタブと、
    前記LO信号が入力されるLOポートと前記トランジスタのソース間に挿入され、前記LOポートのインピーダンスと前記LOポートから見た前記ソースのインピーダンスとを合わせるLO整合回路と、
    RF信号が出力されるRFポートと前記トランジスタのドレイン間に挿入され、前記RFポートのインピーダンスと前記RFポートから見た前記ドレインのインピーダンスとを合わせるRF整合回路とを備え
    前記LO整合回路は、
    一端が前記トランジスタのソースに接続された第1の伝送線路と、
    一端が前記第1の伝送線路の他端に接続され、他端が前記LOポートに接続された第2の伝送線路と、
    一端が前記第1、第2の伝送線路の接続点に接続され、他端が接地された第1の容量素子とから構成され、
    前記第1の伝送線路は、
    信号線路と、
    前記信号線路と接地との間に周期的に設けられた複数の第2の容量素子とから構成され、
    前記信号線路に前記第2の容量素子を設ける周期は、前記LO信号の周波数における四分の一波長よりも短い値に設定されていることを特徴とするソース注入型ミキサ。
  2. 請求項記載のソース注入型ミキサにおいて、
    前記信号線路に前記第2の容量素子を設ける周期は、前記LO信号の周波数における四分の一波長の1/10以下の値に設定されていることを特徴とするソース注入型ミキサ。
  3. 請求項または記載のソース注入型ミキサにおいて、
    前記IF整合回路は、
    一端が前記トランジスタのゲートに接続され、他端が開放されたオープンスタブと、
    一端が前記トランジスタのゲートに接続された第3の伝送線路と、
    一端が前記第3の伝送線路の他端に接続された第4の伝送線路と、
    一端が前記第3、第4の伝送線路の接続点に接続され、他端が接地された第3の容量素子と、
    一端が前記第4の伝送線路の他端に接続され、他端が前記IFポートに接続された第4の容量素子とから構成され、
    前記RF整合回路は、
    一端が前記トランジスタのドレインに接続された第5の伝送線路と、
    一端が前記第5の伝送線路の他端に接続され、他端が接地された第5の容量素子と、
    一端が前記トランジスタのドレインに接続され、他端が前記RFポートに接続された第6の容量素子とから構成されることを特徴とするソース注入型ミキサ。
  4. トランジスタと、
    IF信号が入力されるIFポートと前記トランジスタのゲート間に挿入され、前記IFポートのインピーダンスと前記IFポートから見た前記ゲートのインピーダンスとを合わせるIF整合回路と、
    一端が前記トランジスタのソースに接続され他端が接地された、LO信号の周波数における電気長の四分の一よりも短いショートスタブと、
    前記LO信号が入力されるLOポートと前記トランジスタのソース間に挿入され、前記LOポートのインピーダンスと前記LOポートから見た前記ソースのインピーダンスとを合わせるLO整合回路と、
    RF信号が出力されるRFポートと前記トランジスタのドレイン間に挿入され、前記RFポートのインピーダンスと前記RFポートから見た前記ドレインのインピーダンスとを合わせるRF整合回路とを備え、
    前記LO整合回路は、
    一端が前記トランジスタのソースに接続された第1の伝送線路と、
    一端が前記第1の伝送線路の他端に接続された第1の容量素子と、
    一端が前記第1の容量素子の他端に接続され、他端が前記LOポートに接続された第2の伝送線路とから構成され、
    前記IF整合回路は、
    一端が前記トランジスタのゲートに接続され、他端が開放されたオープンスタブと、
    一端が前記トランジスタのゲートに接続された第3の伝送線路と、
    一端が前記第3の伝送線路の他端に接続された第4の伝送線路と、
    一端が前記第3、第4の伝送線路の接続点に接続され、他端が接地された第2の容量素子と、
    一端が前記第4の伝送線路の他端に接続され、他端が前記IFポートに接続された第3の容量素子とから構成され、
    前記RF整合回路は、
    一端が前記トランジスタのドレインに接続された第5の伝送線路と、
    一端が前記第5の伝送線路の他端に接続され、他端が接地された第4の容量素子と、
    一端が前記トランジスタのドレインに接続され、他端が前記RFポートに接続された第5の容量素子とから構成されることを特徴とするソース注入型ミキサ。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のソース注入型ミキサにおいて、
    前記トランジスタのゲートにゲートバイアス電圧を印加するゲートバイアス回路と、
    前記トランジスタのドレインにドレインバイアス電圧を印加するドレインバイアス回路とを、さらに備えることを特徴とするソース注入型ミキサ。
JP2018050701A 2018-03-19 2018-03-19 ソース注入型ミキサ Active JP6839121B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018050701A JP6839121B2 (ja) 2018-03-19 2018-03-19 ソース注入型ミキサ
PCT/JP2019/006468 WO2019181344A1 (ja) 2018-03-19 2019-02-21 ソース注入型ミキサ
US16/981,991 US11171607B2 (en) 2018-03-19 2019-02-21 Source injection mixer

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018050701A JP6839121B2 (ja) 2018-03-19 2018-03-19 ソース注入型ミキサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019165287A JP2019165287A (ja) 2019-09-26
JP6839121B2 true JP6839121B2 (ja) 2021-03-03

Family

ID=67986102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018050701A Active JP6839121B2 (ja) 2018-03-19 2018-03-19 ソース注入型ミキサ

Country Status (3)

Country Link
US (1) US11171607B2 (ja)
JP (1) JP6839121B2 (ja)
WO (1) WO2019181344A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022172404A1 (ja) * 2021-02-12 2022-08-18
US11817826B2 (en) * 2021-11-08 2023-11-14 Electronics And Telecommunications Research Institute Frequency mixer including non-linear circuit
JPWO2023157073A1 (ja) * 2022-02-15 2023-08-24
TWI847326B (zh) * 2022-10-26 2024-07-01 瑞昱半導體股份有限公司 多電晶體架構的混頻電路

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59176909A (ja) * 1983-03-25 1984-10-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd マイクロ波ミキサ回路
JPH07235836A (ja) * 1994-02-24 1995-09-05 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 周波数変換回路
JP3141936B2 (ja) * 1998-05-08 2001-03-07 日本電気株式会社 周波数コンバータ
US8249541B2 (en) * 2005-11-23 2012-08-21 Telefonaktiebolaget L M Ericsson (Publ) Subharmonically pumped mixer
EP2133992B1 (en) * 2007-03-30 2017-10-25 Mitsubishi Electric Corporation Semiconductor chip and high frequency circuit
WO2014087886A1 (ja) * 2012-12-03 2014-06-12 三菱電機株式会社 広帯域増幅器

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019181344A1 (ja) 2019-09-26
US20210111674A1 (en) 2021-04-15
US11171607B2 (en) 2021-11-09
JP2019165287A (ja) 2019-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6839121B2 (ja) ソース注入型ミキサ
JP4206589B2 (ja) 分布増幅器
US7609115B2 (en) Input circuitry for transistor power amplifier and method for designing such circuitry
Kumar et al. Distributed power amplifiers for RF and microwave communications
US4390851A (en) Monolithic microwave amplifier having active impedance matching
US9780746B1 (en) N-stacked field effect transistor based traveling wave power amplifier for monolithic microwave integrated circuits
Jung et al. Efficient 60-GHz power amplifier with adaptive AM-AM and AM-PM distortions compensation in 65-nm CMOS process
US7528649B2 (en) Method for designing input circuitry for transistor power amplifier
Pan Wideband MESFET microwave frequency multiplier
US11469715B2 (en) Power amplifier circuit
JP6533977B2 (ja) 半導体装置
Belmecheri et al. A large signal GaN HEMT transistor based on the angelov model parameters extraction applied to single stage low noise amplifier
Axelsson et al. Highly linear gallium nitride MMIC LNAs
US11239798B2 (en) Distribution mixer
CN112929000B (zh) 功率放大电路
Ahn et al. Effects of source and load impedance on the intermodulation products of GaAs FETs
Alim et al. Effect of different separation frequencies of the two-tone input signal on the output power of GaN on SiC HEMT
KR20230073861A (ko) 바이어스 회로 및 이를 갖는 초고주파 증폭기
Ojewande et al. Negative resistance amplifier circuit using GaAsFET modelled single MESFET
Chau et al. Design of a 75-85 GHz Driver Amplifier in 0.1-μm Gallium Arsenide pHEMT Technology
Angelov et al. Nonlinear active device modeling
Hagen et al. A Method for Improved Phase Characteristics in a GaN PA for Supply Modulation
Poole et al. Design and characterization of a negative resistance Common Emitter InP Double Heterojunction Bipolar Transistor subcircuit for millimeter wave and submillimeter wave applications
Gopal et al. Extraction of S parameter from EEHEMT nonlinear model of HJFET for X band
Lehna et al. Novel output combiner for three-way Doherty Power Amplifiers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6839121

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150