JP6838889B2 - 耐チッピング性に優れるポリマー微粒子含有塗料組成物 - Google Patents

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本発明は、耐チッピング性に優れた、塗料組成物に関するものである。
車両が走行した際に砂利や小石を跳ね上げ、これが車両外面の底部、ロッカー部、あるいは、ドアー下部等に塗装された塗膜に衝突し、塗膜にスリキズや斑点状塗膜剥離等が発生する、所謂“チッピング現象”が生じる場合がある。その結果、塗膜外観が低下すると共に、塗膜剥離部分から錆が発生する等の課題があった。
特許文献1〜4では、ポリオール成分と架橋剤と樹脂粒子とを有する塗料組成物が開示されており、耐チッピング性を改善しているが、その性能は十分ではなかった。
また、特許文献1〜4の塗料組成物には、酸化チタンなどの各種の顔料が使用されているが、その表面処理剤と耐チッピング性との相関について、記載されていない。
一方、特許文献5には、ポリオールを主成分とする硬化性樹脂組成物に、ポリマー微粒子を分散させることにより、得られる硬化物の靱性や耐衝撃性を改善する技術が開示されている。
特開2002−155236号公報 特開2003−211085号公報 特開2005−023303号公報 特開2005−015516号公報 WO2014−196607号パンフレット
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、ポリオールを主成分とする塗料組成物であって、耐チッピング性に優れる塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、ポリオール(A)、コアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ブロックドウレタンよりなる群から選択される1種以上の硬化剤(C)、酸化チタン(D)を含有する塗料組成物において、(B)成分のコア層をジエン系ゴムとし、(D)成分をシリカで表面処理された酸化チタンとすることにより前記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
1)すなわち、本願発明は、ポリオール(A)100質量部に対して、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)1〜100質量部、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ブロックドウレタンよりなる群から選択される1種以上の硬化剤(C)0.1〜100質量部、シリカで表面処理された酸化チタン(D)10〜300質量部を含有する塗料組成物に関する。
2)さらに、(A)ポリオールは、ポリエステルポリオールおよび/またはアクリルポリオールであることが好ましい。
3)さらに、(A)ポリオールは、ポリエステルポリオールであることが好ましい。
4)さらに、前記ジエン系ゴムは、ブタジエンゴム、および/または、ブタジエン−スチレンゴムであることが好ましい。
5)さらに、前記ジエン系ゴムは、ブタジエンを50〜100%含有するモノマー成分を重合してなる重合体であることが好ましい。
6)さらに、(B)成分は、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、よりなる群から選択される1種以上のモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することが好ましい。
7)さらに、(B)成分は、水酸基を含有するシェル層を有することが好ましい。
8)さらに、(B)成分は、水酸基を有するモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することが好ましい。
9)さらに、(B)成分のシェル層中の水酸基の含有量は、0.05〜3.5mmol/gであることが好ましい。
10)さらに、(C)成分の硬化剤は、メラミン樹脂であることが好ましい。
11)さらに、(B)成分は、該塗料組成物中で1次粒子の状態で分散していることが好ましい。
12)好ましくは、(A)成分100質量部に対して、更に、有機溶剤1〜1000質量部を含有する塗料組成物である。
13)好ましくは、車両用中塗り塗料である。
14)好ましくは、車両用チッピングプライマーである。
15)好ましくは、前記いずれかの塗料組成物を塗装して得られる車両用複層塗膜である。
本発明の塗料組成物は、耐チッピング性に優れる。
以下、本発明の塗料組成物について詳述する。
本発明の塗料組成物は、ポリオール(A)100質量部と、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)1〜100質量部と、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ブロックドウレタンよりなる群から選択される1種以上の硬化剤(C)0.1〜100質量部と、シリカで表面処理された酸化チタン(D)10〜300質量部、を含有する。
<ポリオール(A)>
本発明の塗料組成物のバインダー樹脂として、ポリオール(A)を使用する。ポリオール(A)は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。本発明の塗料組成物を構成する全ポリオール成分の平均水酸基価は、1〜200mgKOH/gである事が好ましく、2〜180mgKOH/gである事がより好ましく、5〜170mgKOH/gである事が更に好ましく、30〜160mgKOH/gである事が特に好ましい。1未満では、得られる塗膜の硬度が低下する場合がある。200より大きいと、得られる塗膜の耐チッピング性が低下する場合がある。
なお、水酸基価は、JIS K 1557−1の規格に基づいた測定方法により得られる。
本発明の(A)成分の数平均分子量は、GPCにおけるポリスチレン換算において、60〜50000であることが好ましく、300〜30000がより好ましく、500〜20000が更に好ましく、1000〜6000が特に好ましい。60未満では、得られる塗膜の耐チッピング性が低下する場合がある。50000より大きいと、得られる塗膜の硬度が低下する場合がある。
(A)成分は、末端に活性水素を2個以上有する化合物であり、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類等を挙げることができる。塗料組成物から得られる塗膜の機械物性、耐候性、被塗物への密着性、の観点から、ポリエステルポリオール類やアクリルポリオール類が好ましく、ポリエステル
ポリオール類がより好ましい。
脂肪族アルコールは、二価アルコール、三価以上のアルコール(三価アルコール、四価アルコール等)のいずれであってもよく、二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類(特に炭素数が1〜6程度のアルキレングリコール類)、このアルキレングリコール類の2分子以上(例えば、2〜6分子程度)の脱水縮合物(ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等)等が挙げられる。三価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール等(特に炭素数が3〜10程度の三価アルコール)が挙げられる。四価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等が挙げられる。また、単糖、オリゴ糖、多糖等の糖類が挙げられる。
芳香族アルコールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール類;ジヒドロキシビフェニル等のビフェニル類;ハイドロキノン、フェノールホルムアルデヒド縮合物等の多価フェノール類;ナフタレンジオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA等のジオール類;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類;単糖、オリゴ糖、多糖等の糖類;ソルビトール;アンモニア、エチレンジアミン、尿素、モノメチルジエタノールアミン、モノエチルジエタノールアミン等のアミン類;などの1種又は2種以上の活性水素を含有する開始剤の存在下、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を開環重合して得られるランダム又はブロック共重合体等、及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えばマレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、アゼライン酸等の多塩基酸およびその酸無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等の多価アルコールとを、エステル化触媒の存在下、150〜270℃の温度範囲で重縮合させて得られる重合体が挙げられる。更に、ε−カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合物やポリカーボネートジオールやヒマシ油等の活性水素を2個以上有する活性水素化合物等が挙げられる。また、特開2012−568号公報の0018〜0048の段落、特表2013−535311号公報の0040〜0059の段落に例示される各種のポリエステルポリオールが使用できる。
ポリオレフィン型ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールやその水添物等が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやヒドロキシブチル(メタ)アクリレートやビニルフェノール等の水酸基含有モノマーと、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の汎用モノマーと、エチレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレート等の反応性乳化剤との共重合体、及びその混合物等が挙げられる。また、特開2012−568号公報の0080〜0085および0111〜0123の段落、特表2013−535311号公報の0030〜0039の段落に例示される各種のアクリルポリオールが使用できる。
本発明の塗料組成物中の構成成分としての(A)成分の含有量は、該塗料組成物の全量の10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、25質量%以上が特に好ましい。10質量%未満では、得られる塗膜の耐チッピング性が低下する場合がある。また、該塗料組成物から無機成分を除いた全質量に対して、(A)成分の含有量は、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、35質量%以上が更に好ましく、40質量%以上が特に好ましい。25質量%未満では、得られる塗膜の耐チッピング性が低下する場合がある。
本発明の塗料組成物に含まれる全バインダー樹脂の総量に対する(A)成分の使用量は、50質量%以上であることが好ましく70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。50質量%未満では、塗膜の耐チッピング性が十分ではない場合がある。
(A)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
<(A)成分以外のバインダー樹脂>
本発明では、(A)成分以外のバインダー樹脂として、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、などを必要に応じて使用することができる。
(A)成分以外のバインダー樹脂の使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、3〜20質量部が特に好ましい。
<ポリマー微粒子(B)>
本発明の塗料組成物は、(A)成分100質量部に対して、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)1〜100質量部を使用する。(B)成分の添加により、得られる塗膜は耐チッピング性に優れる。
得られる塗料組成物の取扱いやすさと、得られる塗膜の耐チッピング性改良効果のバランスから、(A)成分100質量部に対して、(B)成分は1〜100質量部が好ましく、2〜70質量部がより好ましく、3〜50質量部が更に好ましく、4〜20質量部が特に好ましい。
ポリマー微粒子の粒子径は特に限定されないが、工業的生産性を考慮すると、体積平均粒子径(Mv)は10〜2000nmが好ましく、30〜600nmがより好ましく、50〜400nmが更に好ましく、100〜200nmが特に好ましい。なお、ポリマー粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
(B)成分は、本発明の組成物中において、その粒子径の個数分布において、前記数平均粒子径の0.5倍以上、1倍以下の半値幅を有することが、得られる塗料組成物が低粘度で取扱い易い為に好ましい。
上述の特定の粒子径分布を容易に実現する観点から、(B)成分の粒子径の個数分布において、極大値が2個以上存在することが好ましく、製造時の手間やコストの観点から、極大値が2〜3個存在することがより好ましく、極大値が2個存在することが更に好ましい。特に、体積平均粒子径が10nm以上150nm未満のポリマー微粒子10〜90質量%と、体積平均粒子径が150nm以上2000nm以下のポリマー微粒子90〜10質量%を含むことが好ましい。
(B)成分は塗料組成物中で1次粒子の状態で分散していることが好ましい。本発明における、「ポリマー微粒子が塗料組成物中で1次粒子の状態で分散している」(以下、一次分散とも呼ぶ。)とは、ポリマー微粒子同士が実質的に独立して(接触なく)分散していることを意味し、その分散状態は、例えば、塗料組成物の一部をメチルエチルケトンのような溶剤に溶解し、これをレーザー光散乱による粒子径測定装置等により、その粒子径を測定することにより確認できる。
前記粒子径測定による体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の値は、特に制限されないが、3以下であることが好ましく、2.5以下がより好ましく、2以下が更に好ましく、1.5以下が特に好ましい。体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)が3以下であれば、良好に分散していると考えられる。逆に、3を超えた粒度分布を有する塗料組成物は、得られる塗膜の耐チッピング性が低い場合がある。
なお、体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)は、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)を用いて測定し、MvをMnで除することによって求めることができる。
また、ポリマー微粒子の「安定な分散」とは、ポリマー微粒子が、連続層中で凝集したり、分離したり、沈殿したりすることなく、定常的に通常の条件下にて、長期間に渡って、分散している状態を意味し、また、ポリマー微粒子の連続層中での分布も実質的に変化せず、また、これらの組成物を危険がない範囲で加熱することで粘度を下げて攪拌したりしても、「安定な分散」を保持できることが好ましい。
(B)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
ポリマー微粒子の構造は、2層以上のコアシェル構造を有することが必須である。また、コア層を被覆する中間層と、この中間層をさらに被覆するシェル層とから構成される3層以上の構造を有することも可能である。
以下、各層について具体的に説明する。
≪コア層≫
コア層は、本発明の塗料組成物を塗装して得られる塗膜の耐チッピング性を高める為に、ゴムとしての性質を有する弾性コア層であることが好ましい。ゴムとして性質を有するためには、本発明の弾性コア層は、ゲル含量が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。なお、本明細書でいうゲル含量とは、凝固、乾燥により得られたクラム0.5gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置した後に不溶分と可溶分を分別したときの、不溶分と可溶分の合計量に対する不溶分の比率を意味する。
弾性コア層に用いるジエン系ゴムを構成する共役ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエン系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐チッピング性改良効果が高い点、および、マトリックス樹脂との親和性が低い為にコア層の膨潤による経時での粘度上昇が起こり難い点から、1,3−ブタジエンを用いるブタジエンゴム、または、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合体であるブタジエン−スチレンゴムが好ましく、ブタジエンゴムがより好ましい。また、ブタジエン−スチレンゴムは、屈折率の調整により得られる塗膜の透明性を高めることができ、より好ましい。
上記共役ジエン系モノマーは、コア層の50〜100質量%の範囲であることが好ましく、70〜100質量%の範囲であることがより好ましく、90〜100質量%の範囲であることが更に好ましい。共役ジエン系モノマーの含有量が、50質量%未満では得られる塗膜の耐チッピング性が低下する傾向がある。
上記共役ジエン系モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどのビニルアレーン類;アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーなどが挙げられる。これらのビニル系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくはスチレンである。
上記共重合可能なビニル系モノマーはコア層の0〜50質量%の範囲で含むことができる。
本発明において、コア層のガラス転移温度(以下、単に「Tg」と称する場合がある)は、塗装して得られる塗膜の耐チッピング性を高める為に、0℃以下であることが好ましく、−20℃以下がより好ましく、−40℃以下が更に好ましく、−60℃以下であることが特に好ましい。
また、コア層の体積平均粒子径は0.03〜2μmが好ましいが、0.05〜1μmがさらに好ましい。体積平均粒子径が0.03μm未満のものを安定的に得ることは難しい場合が多く、2μmを超えると塗膜の耐熱性や耐チッピング性が悪くなる恐れがある。なお体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
コア層は、ポリマー粒子全体を100質量%として40〜97質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜93質量%が更に好ましく、80〜90質量%が特に好ましい。コア層が40質量%未満では塗装して得られる塗膜の耐チッピング性改良効果が低下する場合がある。コア層が97質量%よりも大きいとポリマー微粒子が凝集し易くなり、塗料組成物が高粘度となり取り扱い難い場合がある。
本発明において、コア層は単層構造であることが多いが、多層構造であってもよい。また、コア層が多層構造の場合は、各層のポリマー組成が各々相違していてもよい。
≪中間層≫
本発明では、必要により、中間層を形成させてもよい。特に、中間層として、以下のゴム表面架橋層を形成させてもよい。得られる塗膜の耐チッピング性改良効果の点から、中間層として、以下のゴム表面架橋層を含有することが好ましい。
中間層が存在する場合、コア層100質量部に対する中間層の割合は、0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましく、1〜5質量部が特に好ましい。
前記ゴム表面架橋層は、同一分子内にラジカル重合性二重結合を2以上有する多官能性モノマー30〜100質量%、及びその他のビニルモノマー0〜70質量%からなるゴム表面架橋層成分を重合してなる中間層ポリマーからなり、本発明の塗料組成物の粘度を低下させる効果、ポリマー微粒子(B)の(A)成分への分散性を向上させる効果も有する。また、コア層の架橋密度を上げたり、シェル層のグラフト効率を高める効果も有する。
前記多官能性モノマーの具体例としては、ブタジエンは含まれず、アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレート等のアリルアルキル(メタ)アクリレート類;アリルオキシアルキル(メタ)アクリレート類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等が例示されるが、好ましくはアリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートである。本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
≪シェル層≫
ポリマー微粒子の最も外側に存在するシェル層は、シェル形成用モノマーを重合したものであるが、ポリマー微粒子(B)成分と(A)成分との相溶性を向上させ、本発明の塗料組成物、又はその塗膜中においてポリマー微粒子が良好に分散することを可能にする役割を担うシェルポリマーからなる。
このようなシェルポリマーは、好ましくは前記コア層及び/又は中間層にグラフトしている。なお、以下、「コア層にグラフトしている」という場合、このコア層に中間層が形成されている時には、中間層にグラフトしている態様も含むものとする。より正確には、シェル層の形成に用いるモノマー成分が、コア層を形成するコアポリマー(中間層を含む場合は、勿論、中間層を形成する中間層ポリマーも意味する。以下、同じ)にグラフト重合して、実質的にシェルポリマーとゴムポリマーとが化学結合していることが好ましい(前記ゴムポリマーが中間層を有する場合は、勿論、中間層ポリマーと化学結合していることも好ましい)。即ち、好ましくは、シェルポリマーは、コアポリマー(中間層を有する場合は、中間層が形成されたコアポリマーの意味。以下、同じ)の存在下に前記シェル形成用モノマーをグラフト重合させることで形成され、このようにすることで、このコアポリマーにグラフト重合されており、コアポリマーの一部又は全体を覆っている。この重合操作は、水性のポリマーラテックス状態で調製され存在するコアポリマーのラテックスに対して、シェルポリマーの構成成分であるモノマーを加えて重合させることで実施できる。
シェル層形成用モノマーとしては、(B)成分の塗料組成物中での相溶性及び分散性の点から、例えば、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。これらシェル層形成用モノマーは、単独で用いてもよく、適宜組み合わせて用いてもよい。
塗膜やポリマー中で(B)成分が凝集せずに良好な分散状態を維持するために、(A)成分と化学結合させる観点から、シェル層形成用モノマーとして、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、アミノ基、イミド基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、環状エステル、環状アミド、ベンズオキサジン基、及びシアン酸エステル基からなる群から選ばれる1種以上を含有する反応性基含有モノマーを含有することが好ましく、水酸基を有するモノマーが好ましい。
(B)成分のシェル層中の水酸基の含有量は、0.05〜3.5mmol/gが好ましく、0.1〜2.0mmol/gがより好ましく、0.2〜1.0mmol/gが更に好ましく、0.3〜0.7mmol/gが特に好ましい。シェル層中の水酸基の含有量が、0.05mmol/g未満であると、ポリオールに対する相溶性が不十分で塗料組成物の粘度が高くなる場合がある。また、塗料組成物を塗装して得られる塗膜の耐チッピング性が低下する場合がある。シェル層中の水酸基の含有量が、3.5mmol/gを超えると、重合系が不安定となり、凝集・凝固が起こる場合がある。
水酸基を有するモノマーは、シェル層の形成に使用することが好ましく、シェル層のみに使用することがより好ましい。
また、シェル層形成用モノマーとして、ラジカル重合性二重結合を2個以上有する多官能性モノマーを使用すると、塗料組成物中においてポリマー微粒子の膨潤を防止し、また、塗料組成物の粘度が低く取扱い性がよくなる傾向がある為好ましい。
多官能性モノマーは、シェル形成用モノマー100質量%中に、例えば、0〜20質量%含まれていてもよく、1〜20質量%含まれていることが好ましく、より好ましくは、5〜15質量%である。
前記芳香族ビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のビニルベンゼン類が挙げられる。
前記ビニルシアンモノマーの具体例としては、アクリロニトリル、又はメタクリロニトリル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記水酸基を有するモノマーの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ直鎖アルキル(メタ)アクリレート(特に、ヒドロキシ直鎖C1−6アルキル(メタ)アクリレート);カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート;α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル等のヒドロキシ分岐アルキル(メタ)アクリレート、二価カルボン酸(フタル酸等)と二価アルコール(プロピレングリコール等)とから得られるポリエステルジオール(特に飽和ポリエステルジオール)のモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
前記エポキシ基を有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニルモノマーが挙げられる。
前記ラジカル重合性二重結合を2個以上有する多官能性モノマーの具体例としては、上述の多官能性モノマーと同じモノマーが例示されるが、好ましくはアリルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートである。これらのモノマー成分は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。シェル層は、上記モノマー成分の他に、他のモノマー成分を含んで形成されてもよい。
シェル層のグラフト率は、70%以上(より好ましくは80%以上、さらには90%以上)であることが好ましい。グラフト率が70%未満の場合には、塗料組成物の粘度が上昇する場合がある。なお、本明細書において、グラフト率の算出方法は下記の通りである。
先ず、ポリマー微粒子を含有する水性ラテックスを凝固・脱水し、最後に乾燥してポリマー微粒子のパウダーを得る。次いで、ポリマー微粒子のパウダー2gをメチルエチルケトン(MEK)100gに23℃で24時間浸漬した後にMEK可溶分をMEK不溶分と分離し、さらにMEK可溶分からメタノール不溶分を分離する。そして、MEK不溶分とメタノール不溶分との合計量に対するMEK不溶分の比率を求めることによってグラフト率を算出する。
≪ポリマー微粒子の製造方法≫
(コア層の製造方法)
本発明で用いるポリマー微粒子を構成するコア層の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、例えばWO2005/028546号公報に記載の方法を用いることができる。
(シェル層および中間層の形成方法)
中間層は、中間層形成用モノマーを公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。コア層を構成するゴム弾性体をエマルジョンとして得た場合には、ラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましい。
シェル層は、シェル層形成用モノマーを、公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。コア層、または、コア層を中間層で被覆して構成されるポリマー粒子前駆体をエマルジョンとして得た場合には、シェル層形成用モノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましく、例えば、WO2005/028546号パンフレットに記載の方法に従って製造することができる。
乳化重合において用いることができる乳化剤(分散剤)としては、ジオクチルスルホコハク酸やドデシルベンゼンスルホン酸などに代表されるアルキルまたはアリールスルホン酸、アルキルまたはアリールエーテルスルホン酸、ドデシル硫酸に代表されるアルキルまたはアリール硫酸、アルキルまたはアリールエーテル硫酸、アルキルまたはアリール置換燐酸、アルキルまたはアリールエーテル置換燐酸、ドデシルザルコシン酸に代表されるN−アルキルまたはアリールザルコシン酸、オレイン酸やステアリン酸などに代表されるアルキルまたはアリールカルボン酸、アルキルまたはアリールエーテルカルボン酸などの各種の酸類、これら酸類のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩などのアニオン性乳化剤(分散剤);アルキルまたはアリール置換ポリエチレングリコールなどの非イオン性乳化剤(分散剤);ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体などの分散剤が挙げられる。これらの乳化剤(分散剤)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー粒子の水性ラテックスの分散安定性に支障を来さない限り、乳化剤(分散剤)の使用量は少なくすることが好ましい。また、乳化剤(分散剤)は、その水溶性が高いほど好ましい。水溶性が高いと、乳化剤(分散剤)の水洗除去が容易になり、最終的に得られる塗膜への悪影響を容易に防止できる。
乳化重合法を採用する場合には、公知の開始剤、すなわち2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを熱分解型開始剤として用いることができる。
また、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキサイドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物といった過酸化物と、必要に応じてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコースなどの還元剤、および必要に応じて硫酸鉄(II)などの遷移金属塩、さらに必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物などを併用したレドックス型開始剤を使用することもできる。
レドックス型開始剤系を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができ、重合温度を広い範囲で設定できるようになり好ましい。中でもクメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物をレドックス型開始剤として用いることが好ましい。前記開始剤の使用量、レドックス型開始剤を用いる場合には前記還元剤・遷移金属塩・キレート剤などの使用量は公知の範囲で用いることができる。またラジカル重合性二重結合を2以上有するモノマーを重合するに際しては公知の連鎖移動剤を公知の範囲で用いることができる。追加的に界面活性剤を用いることができるが、これも公知の範囲である。
重合に際しての重合温度、圧力、脱酸素などの条件は、公知の範囲のものが適用できる。また、中間層形成用モノマーの重合は1段で行なっても2段以上で行なっても良い。例えば、弾性コア層を構成するゴム弾性体のエマルジョンに中間層形成用モノマーを一度に添加する方法、連続追加する方法の他、あらかじめ中間層形成用モノマーが仕込まれた反応器に弾性コア層を構成するゴム弾性体のエマルジョンを加えてから重合を実施する方法などを採用することができる。
<硬化剤(C)>
本発明の塗料組成物は、(A)成分100質量部に対して、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ブロックドウレタンよりなる群から選択される1種以上の硬化剤(C)を0.1〜100質量部含有することが必須である。
得られる塗膜の平滑性および耐チッピング性の観点から、メラミン樹脂またはブロックドウレタンが好ましく、メラミン樹脂がより好ましい。
(C)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜100質量部であり、0.5〜70質量部が好ましく、2〜50質量部がより好ましく、5〜40質量部が特に好ましい。0.1質量部未満では、硬化が十分ではない場合があり、100質量部より多いと、得られる塗膜の耐チッピング性が低くなる場合がある。
(C)成分は、(A)成分の水酸基と反応して、本発明の塗料組成物を硬化し得る化合物である。
メラミン樹脂としては、例えば、メラミンとアルデヒドとの反応で得られる部分メチロール化メラミン樹脂又は完全メチロール化メラミン樹脂を挙げることができる。前記アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられ、ホルムアルデヒドが好ましい。
前記部分又は完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を、適当なアルコールによって、部分的に又は完全にエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂も使用可能である。
エーテル化に用いられる前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。
メラミン樹脂の平均分子量は、400〜6,000が好ましく、500〜4,000がより好ましく、600〜2,000がさらに好ましい。
また、特開2012−568号公報の0049〜0058の段落に例示される各種のメラミン樹脂が使用できる。
メラミン樹脂は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
(C)成分として、メラミン樹脂を使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸;モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、モノ2−エチルヘキシルリン酸、ジ2−エチルヘキシルリン酸等のアルキルリン酸エステル;これらの酸とアミン化合物との塩等を触媒として使用することができる。
ポリイソシアネートとしては、従来公知のポリイソシアネート化合物が用いられる。従来公知のポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物や、これ以外のポリイソシアネート化合物を用いることができる。ジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環式ジイソシアネート化合物、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、芳香族ジイソシアネート化合物等を用いることができる。ジイソシアネート化合物を除くポリイソシアネート化合物としては、例えば脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネート化合物の2量体又は3量体;これらのポリイソシアネート化合物と多価アルコール等とをイソシアネート基過剰の条件でウレタン化反応させてなるプレポリマーなどが挙げられる。
また、WO2015−196607号パンフレットの0042〜0049の段落に例示される各種のポリイソシアネートが使用できる。ポリイソシアネートは単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
前記ブロックドウレタンは、前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤でブロック化した化合物である。
ブロック剤でマスクしたブロックイソシアネートは、加熱(例えば、130−160℃)や湿気によりブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生する。従って、ブロックイソシアネートは、(A)成分と組み合わせて、加熱または湿気硬化型の1液型塗料組成物として使用できる。
前記ブロック剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、オキシム類、トリアゾール類、カプロラクタム類等が挙げられる。
アルコール類の好ましい例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、ラウリルアルコール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等を挙げることができる。フェノール類の好ましい例としては、キシレノール、ナフトール、4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール等を挙げることができる。オキシム類の好ましい例としては、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンオキシム、メチルエチルケトオキシム、2−ヘプタノンオキシム等が挙げられる。その他、3,5−ジメチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール等を好適に用いることができる。これらのなかでも、メタノール、キシレノール、メチルエチルケトオキシムが好ましい。
ブロックイソシアネートは単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
<シリカで表面処理された酸化チタン(D)>
本発明の塗料組成物は、(A)成分100質量部に対して、シリカで表面処理された酸化チタン(D)を10〜300質量部含有することが必須である。
(D)成分の酸化チタンは、本発明の塗料組成物を塗装して得られる塗膜の隠ぺい力を付与することを目的として使用する。
(B)成分と(D)成分を組合せた本発明の塗料組成物は、耐チッピング性に優れる。耐チッピング性を改良する機構は不明であるが、本発明の(D)成分は、(B)成分であるコアシェル構造を有するポリマー微粒子の耐チッピング性改良効果を低下させない着色顔料である。(B)成分であるコアシェル構造を有するポリマー微粒子は、塗料組成物のバインダー樹脂中で分散させて耐チッピング性を改良しているが、種々の着色顔料や体質顔料が存在すると、(B)成分が凝集しやすい傾向があり、(B)成分の凝集により、耐チッピング性改良効果が発現し難い場合がある。本発明の(D)成分は、表面処理剤としてシリカを使用することにより、(B)成分の良分散を維持することで、耐チッピング性改良効果が発現すると考えられる。
(D)成分の酸化チタンの製法としては特に限定されないが、通常の硫酸法、塩素法によって製造されるもの等を挙げることができる。
(D)成分の酸化チタンの結晶構造としては特に限定されないが、ルチル型やアナターゼ型を挙げることができ、得られる塗膜の耐候性の観点からルチル型が好ましい。
(D)成分の酸化チタンの平均粒子径としては特に限定されないが、得られる塗膜の隠ぺい性の観点から、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましく、0.2〜0.3μmが特に好ましい。
(D)成分は、表面処理剤としてシリカを使用することが必須であるが、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛などの金属酸化物、又は、ポリジメチルシロキサンやシランカップリング剤等の有機珪素化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等の有機チタン化合物、等を表面処理剤として併用使用したものも使用可能である。
(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、10〜300質量部であり、20〜250質量部が好ましく、30〜200質量部がより好ましく、50〜150質量部が特に好ましい。10質量部未満では、塗装して得られる塗膜の隠ぺい力が十分ではない場合があり、300質量部より多いと、得られる塗膜の耐チッピング性が低くなる場合がある。
本発明の塗料組成物に含まれる全顔料の総量に対する(D)成分の使用量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。30質量%未満では、塗膜の耐チッピング性や隠ぺい力が十分ではない場合がある。(D)成分は単独で用いても良く2種以上併用しても良い。
<(D)成分以外の顔料>
本発明では、顔料として、(D)成分以外の着色顔料、体質顔料、光輝性顔料などを必要に応じて使用することができる。
(D)成分以外の着色顔料としては、表面無処理の酸化チタン、シリカ以外の表面処理剤を使用した酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン(アンスラキノン)系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
体質顔料としては、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
光輝性顔料としては、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
(D)成分以外の顔料の使用量は、(A)成分100質量部に対して、1〜150質量部が好ましく、3〜130質量部がより好ましく、5〜110質量部が特に好ましい。
<その他の配合成分>
本発明では、必要に応じて、その他の配合成分を使用することができる。その他の配合成分としては、溶剤、乳化剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、沈降防止剤等が挙げられる。
<溶剤>
本発明の塗料組成物は、有機溶剤を媒体とする溶剤系塗料であってもよく、水を媒体とする水性塗料であってもよいが、貯蔵安定性の観点から、溶剤系塗料であることが好ましい。塗装時の環境への負荷が少ない点から、水性塗料である事が好ましい。
前記有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、石油系溶媒等の炭化水素系溶剤;トリクロロエチレン等のハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシブチルアセテート、ブチルプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;エーテル系溶剤;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤が例示される。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
有機溶剤を使用する場合、その使用量は、(A)成分100質量部に対して、1〜1000質量部が好ましく、10〜700質量部がより好ましく、50〜400質量部が特に好ましい。
<乳化剤>
本発明の塗料組成物は、乳化剤としては、周知一般のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子系界面活性剤、反応性界面活性剤等を使用できる。これらの中で、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤が、コストと乳化安定性の点で好ましい。
前記の、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、としては、特表2013−535311号公報の0277〜0280の段落に例示される各種の乳化剤が使用できる。
乳化剤を使用する場合、その使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましく、0.2〜2質量部が特に好ましい。
<塗料組成物の製法>
本発明の塗料組成物は、(A)成分を主成分とする塗料組成物中に、ポリマー微粒子(B)を含有する組成物であり、耐チッピング性の観点から、好ましくは、ポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した組成物である。
このような、ポリマー微粒子(B)を1次粒子の状態で分散させた組成物を得る方法は、種々の方法が利用できるが、例えば水性ラテックス状態で得られたポリマー微粒子を(A)成分と接触させた後、水等の不要な成分を除去する方法、ポリマー微粒子を一旦有機溶剤に抽出後に(A)成分と混合してから有機溶剤を除去する方法等が挙げられるが、WO2005/028546号パンフレットに記載の方法を利用することが好ましい。その具体的な製造方法は、順に、ポリマー微粒子(B)を含有する水性ラテックス(詳細には、乳化重合によってポリマー微粒子を製造した後の反応混合物)を、20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、ポリマー粒子を凝集させる第1工程と、凝集したポリマー微粒子(B)を液相から分離・回収した後、再度有機溶媒と混合して、ポリマー微粒子(B)の有機溶媒溶液を得る第2工程と、有機溶媒溶液をさらに(A)成分と混合した後、前記有機溶媒を留去する第3工程とを含んで調製されることが好ましい。
(A)成分は、23℃で液状であると、前記第3工程が容易となる為、好ましい。「23℃で液状」とは、軟化点が23℃以下であることを意味し、23℃で流動性を示すものである。
上記の工程を経て得た、(A)成分にポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した組成物に、更に(A)成分、(C)成分、(D)成分、及び、前記その他配合成分の各成分を、必要により更に追加混合する事により、ポリマー微粒子(B)が1次粒子の状態で分散した本発明の塗料組成物が得られる。
一方、塩析等の方法により凝固させた後に乾燥させて得た、粉体状のポリマー微粒子(B)は、3本ペイントロールやロールミル、ニーダー等の高い機械的せん断力を有する分散機を用いて、(A)成分中に再分散することが可能である。この際、(A)成分と(B)成分は、高温で機械的せん断力を与えることで、効率良く、(B)成分の分散を可能にする。分散させる際の温度は、50〜200℃が好ましく、70〜170℃がより好ましく、80〜150℃が更に好ましく、90〜120℃が特に好ましい。温度が50℃よりも小さいと、十分に(B)成分が分散しない場合があり、200℃よりも大きいと、(A)成分や(B)成分が熱劣化する場合がある。
<塗膜>
本発明には、上記塗料組成物を被塗物上に塗装して得られる塗膜が含まれる。ポリマー微粒子が一次粒子の状態で分散している塗料組成物の場合には、これを塗装することによって、ポリマー微粒子が均一に分散した塗膜を容易に得ることができる。また、ポリマー微粒子が膨潤し難く、塗料組成物の粘性が低いことから、塗膜を作業性よく得ることができる。
<塗布方法>
本発明の塗料組成物の塗付方法としては特に限定は無いが、刷毛、ローラー、エアースプレー、エアレススプレーなどの公知の塗布方法により行うことができる。
<被塗物>
前記被塗物としては、特に制限されず、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができる。なかでも、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
また、上記被塗物の素材としては、特に限定されず、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス鋼、ブリキ、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等を挙げることができる。なかでも、金属材料及びプラスチック材料が好適である。
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよく、さらに、その上に塗膜が形成されているものであってもよい。
塗膜が形成された被塗物としては、基材に必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜が形成されたもの、該下塗り塗膜の上に中塗り塗膜が形成されたものなどを挙げることができる。なかでも、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体が好ましく、カチオン電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体がより好ましい。
<用途>
本発明の塗料組成物は、車両用、工業用、建築用、土木用、防食用、の各種の用途に使用できるが、塗装して得られる塗膜が耐チッピング性に優れることから、車両用塗料として使用する事が好ましい。また、取扱い性の点から、一液型の塗料組成物であるのが好ましい。
車両用塗料として使用する場合、本発明の塗料組成物は、電着塗装(好ましくはカチオン電着塗装)による下塗り塗膜層、チッピングプライマー層、中塗り塗膜層、ベースコート層、クリヤーコート層、の複層塗膜の各層に使用できるが、塗装して得られる塗膜が耐チッピング性に優れることから、チッピングプライマー層、中塗り塗膜層、ベースコート層として使用する事が好ましく、中塗り塗膜層として使用する事がより好ましい。
複層塗膜の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、特開平10−216617号公報に記載の、4コート3ベーク塗装、3コート2ベーク塗装、4コート1ベーク塗装、3コート1ベーク塗装、等の各種の方法を挙げることができる。
以下、実施例および比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例および比較例において「部」および「%」とあるのは、質量部または質量%を意味する。
評価方法
先ず、実施例および比較例によって製造した塗料組成物の評価方法について、以下説明する。
[1]平均粒子径の測定
水性ラテックスに分散しているポリマー微粒子の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定した。脱イオン水で希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水の屈折率、およびそれぞれのポリマー微粒子の屈折率を入力し、計測時間600秒、Signal Levelが0.6〜0.8の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
[2](B)成分のコア層のガラス転移温度の計算
塗料組成物中の(B)成分のコア層のガラス転移温度は、数式(1)よりケルビン温度(K)で計算し、セルシウス温度(℃)へ換算した。その際に用いた各非架橋性モノマーのホモポリマーのTgは次の値を使用した:ブタジエン 188K、スチレン 373K、ブチルアクリレート 219K。
1/Tg=Σ(Mi/Tgi) (1)
(式中、Miは(B)成分のコア層を構成する非架橋性モノマーi成分の重量分率、Tgiは非架橋性モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。)
[3]粘度の測定
組成物の粘度は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV−II+Pro型を用いて測定した。スピンドルCPE−41を使用し、25℃で、Shear Rate(ずり速度)が10(s-1)における粘度を測定した。
1.コア層の形成
製造例1−1;ポリブタジエンゴムラテックス(R−1)の調製
耐圧重合機中に、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、硫酸第一鉄・7水和塩(FE)0.001質量部、及び、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)1.55質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(BD)100質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から3、5、7時間目それぞれに、PHP0.025質量部を投入した。また、重合開始4、6、8時間目それぞれに、EDTA0.0006質量部、及びFE0.003質量部を投入した。重合15時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴムを主成分とするポリブタジエンゴムラテックス(R−1)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.08μmであった。
製造例1−2;ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)の調製
耐圧重合機中に、製造例1−1で得たポリブタジエンゴムラテックス(R−1)を固形分で7質量部、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、および硫酸第一鉄・7水和塩(FE)0.001質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(BD)93質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.02質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10質量部を投入し重合を開始した。重合開始から24時間目まで3時間おきに、それぞれ、PHP0.025質量部、EDTA0.0006質量部およびFE0.003質量部を投入した。重合30時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴム粒子を含むラテックス(R−2)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.20μmであった。
製造例1−3;ポリブタジエンゴムラテックス(R−3)の調製
製造例1−1において、コア層のモノマー成分として<ブタジエン(BD)100質量部>の代わりに<ブタジエン(BD)99.6質量部とt−ドデシルメルカプタン0.4質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、ポリブタジエンゴムラテックス(R−3)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.08μmであった。
製造例1−4;スチレン−ブタジエンゴムラテックス(R−4)の調製
製造例1−1において、コア層のモノマー成分として<ブタジエン(BD)100質量部>の代わりに<ブタジエン(BD)76質量部とスチレン24質量部>を用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、スチレン−ブタジエンゴムラテックス(R−4)を得た。得られたラテックスに含まれるスチレン−ブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.08μmであった。
2.ポリマー微粒子の調製(シェル層の形成)
製造例2−1;コアシェルポリマーラテックス(L−1)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、製造例1−2で調製したポリブタジエンゴムラテックス(R−2)256質量部(ポリブタジエンゴム粒子85質量部を含む)、及び、脱イオン水61質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004質量部、FE0.001質量部、及びSFS0.1質量部を加えた後、トリアリルシアヌレート(TAIC)2質量部、及びクメンヒドロパーオキサイド(CHP)0.03質量部を添加し60分間攪拌した。その後、グラフトモノマー(メチルメタクリレート(MMA)8質量部、スチレン(ST)2質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)5質量部)、及び、クメンヒドロパーオキサイド(CHP)0.05質量部の混合物を90分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.04質量部を添加し、さらに2時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマーを含む水性ラテックス(L−1)を得た。モノマー成分の重合転化率は99%以上であった。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
製造例2−2;コアシェルポリマーラテックス(L−2)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、製造例1−2で調製したポリブタジエンゴムラテックス(R−2)241質量部(ポリブタジエンゴム粒子80質量部を含む)、及び、脱イオン水71質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。EDTA0.004質量部、FE0.001質量部、及びSFS0.2質量部を加えた後、グラフトモノマー(MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部)、及び、CHP0.06質量部の混合物を120分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.04質量部を添加し、さらに2時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマーを含む水性ラテックス(L−2)を得た。モノマー成分の重合転化率は99%以上であった。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
製造例2−3;コアシェルポリマーラテックス(L−3)の調製
製造例2−2において、ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)241質量部(ポリブタジエンゴム粒子80質量部を含む)の代わりに製造例1−1で調製したポリブタジエンゴムラテックス(R−1)256質量部(ポリブタジエンゴム粒子85質量部を含む)を用い、グラフトモノマーとして<MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部>の代わりに<ST13質量部、4HBA2質量部>を用いたこと以外は製造例2−2と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−3)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.09μmであった。
製造例2−4;コアシェルポリマーラテックス(L−4)の調製
製造例2−2において、グラフトモノマーとして<MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部>の代わりに<MMA18質量部、ST2質量部>を用いたこと以外は製造例2−2と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−4)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
製造例2−5;コアシェルポリマーラテックス(L−5)の調製
製造例2−2において、グラフトモノマーとして<MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部>の代わりに<MMA17質量部、ST2質量部、4HBA1質量部>を用いたこと以外は製造例2−2と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−5)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
製造例2−6;コアシェルポリマーラテックス(L−6)の調製
製造例2−1において、ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)256質量部(ポリブタジエンゴム粒子85質量部を含む)の代わりに製造例1−1で調製したポリブタジエンゴムラテックス(R−1)256質量部(ポリブタジエンゴム粒子85質量部を含む)を用いたこと以外は製造例2−1と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−6)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.09μmであった。
製造例2−7;コアシェルポリマーラテックス(L−7)の調製
製造例2−1において、ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)256質量部(ポリブタジエンゴム粒子85質量部を含む)の代わりに製造例1−3で調製したポリブタジエンゴムラテックス(R−3)256質量部(ポリブタジエンゴム粒子85質量部を含む)を用いたこと以外は製造例2−1と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−7)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.09μmであった。
製造例2−8;コアシェルポリマーラテックス(L−8)の調製
製造例2−1において、グラフトモノマーとして<MMA8質量部、ST2質量部、4HBA5質量部>の代わりに<MMA10.5質量部、ST2質量部、4HBA2.5質量部>を用いたこと以外は製造例2−1と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−8)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
製造例2−9;コアシェルポリマーラテックス(L−9)の調製
製造例2−2において、ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)241質量部(ポリブタジエンゴム粒子80質量部を含む)の代わりにポリブタジエンゴムラテックス(R−2)262質量部(ポリブタジエンゴム粒子87質量部を含む)を用い、グラフトモノマーとして<MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部>の代わりに<MMA5.25質量部、ブチルアクリレート(BA)5.25質量部、4HBA2.5質量部>を用いたこと以外は製造例2−2と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−9)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
製造例2−10;コアシェルポリマーラテックス(L−10)の調製
製造例2−2において、ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)241質量部(ポリブタジエンゴム粒子80質量部を含む)の代わりに製造例1−1で調製したポリブタジエンゴムラテックス(R−1)250質量部(ポリブタジエンゴム粒子83質量部を含む)を用い、グラフトモノマーとして<MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部>の代わりに<MMA8質量部、BA8質量部、4HBA1質量部>を用いたこと以外は製造例2−2と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−10)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.09μmであった。
製造例2−11;コアシェルポリマーラテックス(L−11)の調製
製造例2−2において、ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)241質量部(ポリブタジエンゴム粒子80質量部を含む)の代わりに製造例1−4で調製したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(R−4)250質量部(スチレン−ブタジエンゴム粒子83質量部を含む)を用い、グラフトモノマーとして<MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部>の代わりに<MMA8質量部、BA8質量部、4HBA1質量部>を用いたこと以外は製造例2−2と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−11)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.09μmであった。
製造例2−12;コアシェルポリマーラテックス(L−12)の調製
製造例2−2において、ポリブタジエンゴムラテックス(R−2)241質量部(ポリブタジエンゴム粒子80質量部を含む)の代わりにポリブタジエンゴムラテックス(R−2)262質量部(ポリブタジエンゴム粒子87質量部を含む)を用い、グラフトモノマーとして<MMA14質量部、ST2質量部、4HBA4質量部>の代わりに<MMA6質量部、BA6質量部、4HBA1質量部>を用いたこと以外は製造例2−2と同様にして、コアシェルポリマーの水性ラテックス(L−12)を得た。得られた水性ラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.21μmであった。
製造例2−13;コアシェルポリマーラテックス(L−13)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、及びモノマーの添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水182質量部、EDTA0.006質量部、FE0.0015質量部、SFS0.6質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)0.01質量部を仕込み、窒素気流中で撹拌しながら60℃に昇温した。次にコア層用モノマー(BA87質量部、アリルメタクリレート(ALMA)4.4質量部)、及び、CHP0.13質量部の混合物を3時間要して滴下した。また、前記のモノマー混合物の添加とともに、SDSの5質量%水溶液20質量部を3時間にわたり連続的に追加した。モノマー混合物添加終了から1時間撹拌を続けて重合を完結し、アクリルポリマー微粒子を含むラテックスを得た。引き続き、そこに、グラフトモノマー(MMA2質量部、BA8質量部、St2質量部、4HBA1質量部)、及び、CHP0.07質量部の混合物を120分間かけて連続的に添加した。添加終了後、CHP0.07質量部を添加し、さらに2時間撹拌を続けて重合を完結させ、コアシェルポリマー微粒子を含むラテックス(L−13)を得た。モノマー成分の重合転化率は99%以上であった。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマー微粒子の体積平均粒子径は0.29μmであった。
3.ポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M)の調製
製造例3−1;分散物(M−1)の調製
25℃の1L混合槽にメチルエチルケトン(MEK)132gを導入し、撹拌しながら、前記製造例2−1で得られたコアシェルポリマーの水性ラテックス(L−1)を132g(ポリマー微粒子40g相当)投入した。均一に混合後、水200gを80g/分の供給速度で投入した。供給終了後、速やかに撹拌を停止したところ、浮上性の凝集体および有機溶媒を一部含む水相からなるスラリー液を得た。次に、一部の水相を含む凝集体を残し、水相360gを槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にMEK160gを追加して均一に混合し、コアシェルポリマーを均一に分散した分散体を得た。この分散体に、(A)成分であるPPT300(A−1:三井化学製、アクトコール T−300)80gを混合した。この混合物から、回転式の蒸発装置で、MEKを除去した。このようにして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−1)を得た。
製造例3−2;分散物(M−2)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−2)を用いたこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−2)を得た。
製造例3−3;分散物(M−3)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−3)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPG1000(A−2:三井化学製、アクトコール D−1000)120gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−3)を得た。
製造例3−4;分散物(M−4)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−4)を用いたこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−4)を得た。
製造例3−5;分散物(M−5)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−5)を用いたこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−5)を得た。
製造例3−6;分散物(M−6)の調製
製造例3−1において、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりに40gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−6)を得た。
製造例3−7;分散物(M−7)の調製
製造例3−1において、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPEG400(A−3:和光純薬工業製、平均分子量約400のポリエチレングリコール)80gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−7)を得た。
製造例3−8;分散物(M−8)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−6)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPEG400(A−3)80gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−8)を得た。
製造例3−9;分散物(M−9)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−7)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPEG400(A−3)80gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−9)を得た。
製造例3−10;分散物(M−10)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−8)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPEG400(A−3)80gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−10)を得た。
製造例3−11;分散物(M−11)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−9)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりに60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−11)を得た。
製造例3−12;分散物(M−12)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−3)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPG1000(A−2)60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−12)を得た。
製造例3−13;分散物(M−13)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−10)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPG1000(A−2)60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−13)を得た。
製造例3−14;分散物(M−14)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−11)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPG1000(A−2)60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−14)を得た。
製造例3−15;分散物(M−15)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−12)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPG1000(A−2)60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−15)を得た。
製造例3−16;分散物(M−16)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−9)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPG1000(A−2)60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−16)を得た。
製造例3−17;分散物(M−17)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−10)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPT1500(A−4:三井化学製、アクトコール T−1500)60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−17)を得た。
製造例3−18;分散物(M−18)の調製
製造例3−1において、コアシェルポリマーの水性ラテックスとして(L−1)の代わりに(L−13)を用い、(A)成分であるPPT300(A−1)80gの代わりにPPG1000(A−2)60gを混合したこと以外は製造例3−1と同様にして、ポリオールにポリマー微粒子が分散した分散物(M−18)を得た。
製造例3−1〜18で得たポリマー微粒子が分散した分散物(M−1〜18)に関し、表1に、「分散物(M)中の(B)成分の含有量(質量%)」、「(B)成分のコア層の組成(質量部)」、「(B)成分の中間層の組成(質量部)」、「(B)成分のシェル層の組成(質量部)」、「(B)成分の粒子径(μm)」「(B)成分のコア層のTg(℃)」、「(B)成分のシェル層中の水酸基の含有量」、「分散物(M)の25℃での粘度(Pa・s)」を記載する。
Figure 0006838889
(実施例1〜16、比較例1〜11)
表2に示す処方にしたがって、「ポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M)」以外の各成分をそれぞれ計量し、よく混合した。これにガラスビーズを加え、ペイントシェーカーを用いて30分間分散し、顔料を分散させた。
顔料分散後、表2に示す処方にしたがって、「ポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M)」を最後に添加し、よく混合して塗料組成物を得た。
表2の各組成物を用いて、以下の方法で、塗膜を作成し、耐チッピング性を測定した。結果を表2に示す。
<塗膜形成方法>
表2の各組成物を、硬化塗膜が20μmとなる様に、寸法:150×100×0.8mmのSPCC鋼板上に塗布し、170℃×30分の条件で硬化させ、硬化塗膜を得た。
<耐チッピング性>
上記の硬化塗膜の試験片を、塗膜側を表側にして45°に固定し、重量500gのステンレス製M4ナット(3種)を20mm内径のパイプを通じて、高さ2mより落下させ、塗膜面の損傷度を目視で以下の基準により評価した。試験温度は23℃及び−20℃とした。
<耐チッピング性の評価基準>
ナットが衝突した塗膜エリアの内、塗膜の剥離面積が、1:10%未満、2:10%以上30%未満、3:30%以上70%未満、4:70%以上90%未満、5:90%以上(数値が小さい程、耐チッピング性に優れる)。試験結果を表2に示す。
なお、表2及び表3中の各種配合剤は、以下に示すものを使用した。
<ポリオール(A)>
A−1:PPT300(三井化学製、アクトコール T−300)
A−2:PPG1000(三井化学製、アクトコール D−1000)
A−3:PEG400(和光純薬工業製、平均分子量約400のポリエチレングリコール)
A−4:PPT1500(三井化学製、アクトコール T−1500)
<溶剤>
シクロヘキサノン(和光純薬工業製)
<メラミン樹脂>
CYMEL 303(オルネクス製、メチル化メラミン樹脂)
<触媒>
CYCAT 602(オルネクス製、p−トルエンスルホン酸のアミン中和物)
<消泡剤>
BYK−1794(ビックケミー製)
<レベリング剤>
BYK−3550(ビックケミー製)
<酸化チタン>
≪シリカで表面処理された酸化チタン≫
TITANIX JR−806(テイカ製、シリカとアルミナで表面処理した硫酸法ルチル型酸化チタン、平均粒子径:0.25μm)
TITANIX JR−701(テイカ製、シリカとアルミナと酸化亜鉛で表面処理した硫酸法ルチル型酸化チタン、平均粒子径:0.27μm)
TITANIX JR−805(テイカ製、シリカとアルミナで表面処理した硫酸法ルチル型酸化チタン、平均粒子径:0.29μm)
CR−90(石原産業製、シリカとアルミナで表面処理した塩素法ルチル型酸化チタン、平均粒子径:0.25μm)
≪シリカ以外で表面処理された酸化チタン≫
TITANIX JR−603(テイカ製、アルミナとジルコニアで表面処理した硫酸法ルチル型酸化チタン、平均粒子径:0.28μm)
CR−97(石原産業製、アルミナとジルコニアで表面処理した塩素法ルチル型酸化チタン、平均粒子径:0.25μm)
<ポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M)>
M−1〜M−18:前記製造例3−1〜18で得られた分散物
Figure 0006838889
表2から、本発明の(B)成分と(D)成分を組合せる事により、本発明の塗料組成物を塗装して得た塗膜は、耐チッピング性に優れることが判る。なお、表2の塗料組成物中に含まれる(A)成分量は、ポリオールとして添加した成分と、ポリマー微粒子の分散物(M)に含まれる成分とを加算した量である。
(実施例17〜24、比較例12〜16)
表3に示す処方にしたがって、「ポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M)」以外の各成分をそれぞれ計量し、よく混合した。これにガラスビーズを加え、ペイントシェーカーを用いて30分間分散し、顔料を分散させた。
顔料分散後、表3に示す処方にしたがって、「ポリマー微粒子(B)が分散した分散物(M)」を最後に添加し、よく混合して塗料組成物を得た。
表3の各組成物を用いて、表2と同様の方法で塗膜を作成し、以下の方法で耐チッピング性を測定した。なお、耐チッピング性の評価基準は表2と同様である。結果を表3に示す。
<耐チッピング性>
硬化塗膜の試験片を、塗膜側を表側にして45°に固定し、重量200gまたは500gの真鍮製M4ナット(3種)を20mm内径のパイプを通じて、高さ2mより落下させ、塗膜面の損傷度を目視で以下の基準により評価した。試験温度は23℃とした。
Figure 0006838889
表3から、本発明の塗料組成物を塗装して得た塗膜は、耐チッピング性に優れることが判る。なお、表3の塗料組成物中に含まれる(A)成分量は、ポリオールとして添加した成分と、ポリマー微粒子の分散物(M)に含まれる成分とを加算した量である。

Claims (14)

  1. ポリオール(A)100質量部に対して、コア層がジエン系ゴムであるコアシェル構造を有するポリマー微粒子(B)1〜100質量部、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ブロックドウレタンよりなる群から選択される1種以上の硬化剤(C)0.1〜100質量部、シリカで表面処理された酸化チタン(D)10〜300質量部を含有し、
    前記ジエン系ゴムが、ブタジエンゴム、および/または、ブタジエン−スチレンゴムである、塗料組成物。
  2. (A)ポリオールが、ポリエステルポリオールおよび/またはアクリルポリオールであることを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
  3. (A)ポリオールが、ポリエステルポリオールであることを特徴とする請求項2に記載の塗料組成物。
  4. 前記ジエン系ゴムが、ブタジエンを50〜100%含有するモノマー成分を重合してなる重合体であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. (B)成分が、芳香族ビニルモノマー、ビニルシアンモノマー、(メタ)アクリレートモノマー、よりなる群から選択される1種以上のモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の塗料組成物。
  6. (B)成分が、水酸基を含有するシェル層を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の塗料組成物。
  7. (B)成分が、水酸基を有するモノマー成分を、コア層にグラフト重合してなるシェル層を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の塗料組成物。
  8. (B)成分のシェル層中の水酸基の含有量が、0.05〜3.5mmol/gであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の塗料組成物。
  9. (C)成分の硬化剤が、メラミン樹脂であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の塗料組成物。
  10. (B)成分が、該塗料組成物中で1次粒子の状態で分散していることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の塗料組成物。
  11. (A)成分100質量部に対して、更に、有機溶剤1〜1000質量部を含有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の塗料組成物を用いてなる車両用中塗り塗料。
  13. 請求項1から11のいずれか一項に記載の塗料組成物を用いてなる車両用チッピングプライマー。
  14. 請求項1から11のいずれか一項に記載の塗料組成物を塗装して得られる車両用複層塗膜。
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