図1は、実施例1の系統設備管理計画システムの構成例を示す図である。
系統設備管理計画システムは、系統設備管理計画装置1、設備情報管理装置3、及び経営資源情報管理装置4から構成される。各装置は、通信ネットワーク2を介して互いに接続される。
系統設備管理計画装置1は、演算装置10、記憶装置20、通信装置30、入力装置40、表示装置50を含む。
演算装置10は、記憶装置20に記憶されたプログラムを実行する。演算装置10がプログラムにしたがって処理を実行することによって特定の機能を実現する機能部として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、演算装置10が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
記憶装置20は、メモリ等であり、演算装置10が実行するプログラム及びプログラムが使用する情報を格納する。また、記憶装置20は、プログラムが一時的に使用するワークエリアを含む。
通信装置30は、通信ネットワーク2を介して他の装置と接続するための通信機能を有する。
入力装置40は、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル、及び音声指示装置等の装置である。表示装置50は、例えば、ディスプレイ装置、プリンタ、及び音声出力装置等の装置である。
実施例1では、系統設備管理計画装置1は、単一の計算機として実現しているが、通信ネットワーク2を介して接続された複数の計算機を用いて実現してもよい。
設備情報管理装置3は、電力系統を構成する設備の耐用操作回数、操作実行回数、耐用年数、導入時期等の設備寿命、及びスペックに関する情報を含む設備情報を管理する。設備情報管理装置3は、例えば、EAM(Enterprise Asset Management)システムである。
経営資源情報管理装置4は、電力系統を構成する設備の導入機器及び更新機器の在庫状況及び調達が可能な時期等の機器の調達に関する情報、並びに、設備の修繕及び設置等の作業に必要な部品及び人員の確保状況及び確保可能時期等の設備の作業手配に関する情報を含む経営資源情報を管理する。経営資源情報管理装置4は、例えば、ERP(Enterprise Resource Planning)システムである。
ここで、系統設備管理計画装置1が有する機能部及び情報について説明する。
実施例1の記憶装置20は、系統構成情報111、系統母構成情報112、系統構成推移情報113、運用予測情報114、及び設備操作情報115を含む。
系統構成情報111は、現在の電力系統の構成を管理するための情報である。系統構成情報111は、現在の電力系統、例えば、送電系統を構成する設備、設備のスペック、設備間の接続関係等の情報を含む。
系統母構成情報112は、現在の系統構成を基準として生成された系統母構成を管理するための情報である。ここで、系統母構成は、計画期間において、設備単位の系統構成の変更を行う場合に、電力系統に含めることができる設備の集合である。より具体的には、系統母構成は、設備の情報、設備の変更時期、及び系統構成内において排他的な設備の組合せの情報を一要素とする集合である。系統母構成情報112のデータ構造は図3を用いて説明する。なお、計画期間は、設備管理計画を生成する期間であり、例えば、10年に設定される。
系統構成推移情報113は、系統母構成情報112に基づいて生成された、計画期間の始点(現在)から終点まで系統構成の推移を管理するための情報である。系統構成推移情報113には、計画期間内の日時及び系統構成の情報の組が時系列順に連結された情報を含む。系統構成推移情報113のデータ構造は図5を用いて説明する。
以下の説明では、日時及び系統構成の情報の組が時系列順に連結された情報を系統構成パターンと記載する。
運用予測情報114は、系統構成に含まれる発電機の発電計画値である発電量及び系統構成における負荷の予測値である負荷量等の電力系統の運用予測を管理するための情報である。運用予測情報114のデータ構造は図6を用いて説明する。
設備操作情報115は、最適潮流計算部105によって算出された設備の操作に関する情報である。設備操作情報115のデータ構造は図7を用いて説明する。
実施例1の演算装置10は、情報取得部101、系統母構成生成部102、系統構成生成部103、系統構成判定部104、最適潮流計算部105、系統構成差分抽出部106、及び評価部107として機能する。記憶装置20には、前述の各機能部を実現するプログラムが格納される。
情報取得部101は、通信ネットワーク2を介して、設備情報管理装置3から設備情報を取得し、また、経営資源情報管理装置4から経営資源情報を取得する。情報取得部101は、運用者が入力装置40を用いて入力した、運用者が決定した電力系統の運用方針を示す変更計画情報を取得する。変更計画情報には、電力系統を構成する設備の変更時期等が含まれる。さらに、情報取得部101は、運用予測情報114から、系統構成生成部103によって生成された系統構成に含まれる発電機の発電量及び負荷の負荷量を取得する。
系統母構成生成部102は、情報取得部101によって取得された設備情報、経営資源情報、及び変更計画情報に基づいて、現在の系統構成を基準とする系統母構成を生成する。系統母構成生成部102は、生成された系統母構成の情報を系統母構成情報112として記憶装置20に格納する。
系統構成生成部103は、系統母構成情報112に基づいて系統構成パターンを生成し、生成された系統構成パターンの情報を系統構成推移情報113として記憶装置20に格納する。
系統構成判定部104は、系統構成パターンに含まれる系統構成が運用可能な系統構成であるか否かを判定する。より具体的には、系統構成判定部104は、系統構成パターンに含まれる系統構成に対し、情報取得部101が取得した発電量及び負荷量を設定し、選択された系統構成が判定基準を満たしているかを判定する。例えば、発電所から需要家まで送電ができるか否か、電力供給における系統安定度の観点から問題がないか否か、系統構成の特定の範囲において単一の設備故障等によって供給支障が生じるか否か、等が判定される。系統構成判定部104は系統構成推移情報113に判定結果を格納する。
最適潮流計算部105は、系統構成パターンに含まれる系統構成に対して最適潮流計算を実行する。より具体的には、最適潮流計算部105は、系統構成パターンに含まれる系統構成に対して情報取得部101が取得した発電量及び負荷量を設定し、系統構成の母線電圧、発電機出力、送電容量等の制約の下で送電損失等の目的関数を最小にする演算処理を実行する。また、最適潮流計算部105は、演算が正常に完了したか否かを示す情報を系統構成推移情報113に格納し、演算によって算出された系統構成における変圧器のタップ位置及び調相設備の投入量等、設備の操作(パラメータ制御)に関する情報を、設備操作情報115に格納する。
系統構成差分抽出部106は、現在の系統構成と、系統構成パターンに含まれる系統構成との間の設備単位の差分を抽出する。なお、最適潮流計算部105によって計画期間にわたって問題が生じなかった系統構成が比較対象となる。
評価部107は、設備操作情報115に格納される設備の操作に関する情報を取得し、系統構成パターンの設備操作に関する評価を行う。また、評価部107は、系統構成差分抽出部106によって抽出された設備単位の差分に基づいて、系統構成パターン毎の設備単位での更新、増設、統合、及び廃止等、系統構成の変更に伴って生じるコストを算出する。また、評価部107は、評価結果及びスコアに基づいて選択された系統構成パターンを設備管理計画として表示装置50に表示する。
系統構成パターンの設備操作に関する評価は、設備の寿命等を評価するパラメータを用いて行われる。例えば、累積の送電損失量、系統構成内の各変圧器のタップの累積切替え回数、系統構成内の調相設備の累積切替え回数、又は重み付け含むそれらの組合せ等に基づいて行われる。
図2は、実施例1の系統構成の一例を示す図である。
実施例1の系統構成情報111には、図2に示すような送電系統の構成に関する情報が格納される。具体的には、設備の種別、設備のスペック、設備間の接続関係等の情報が系統構成情報111に含まれる。
図2に示す送電系統は、発電機G、変圧器Tr1、Tr2、Tr3、調相設備SC1、及び負荷Lから構成される。なお、系統構成情報111は、運用者等によって定義された情報である。
図3は、実施例1の系統母構成情報112のデータ構造の一例を示す図である。図4は、実施例1の系統母構成情報112の概念を示す図である。
系統母構成情報112は、識別番号301、設備ID302、変更時期303、及び排他関係304から構成されるエントリを含む。一つのエントリは一つの設備に対応する。
識別番号301は、系統母構成情報112内のエントリを一意に識別するための番号を格納するフィールドである。
設備ID302は、設備を識別するための識別情報を格納するフィールドである。設備ID302には、設備の種別が区別できるような識別情報が格納される。例えば、「Tr」は変圧器の識別情報を表し、「SC」は調相設備の識別情報を表す。
変更時期303は、設備の変更時期を示す値を格納するフィールドである。変更時期303に日時のみが格納される場合、当該値は設備の使用停止日を示す。変更時期303に等号又は不等号及び日時が格納される場合、当該値は設備の使用停止日又は使用開始日のいずれかを示す。
排他関係304は、系統構成に含める設備の排他的な組合せを格納するフィールドである。排他関係304には、識別番号301の値が設定される。
なお、図3に示す系統母構成情報112は、図4に示すような図として表すことができる。
図5は、実施例1の系統構成推移情報113のデータ構造の一例を示す図である。
系統構成推移情報113は、行列形式のデータであり、列は系統構成パターンの識別情報に対応し、行は計画期間の任意の日時、判定結果、及び演算結果に対応する。
一つの列の内、点線で囲った部分が一つの系統構成パターンを表す。図5に示す系統構成パターンは、現在、「2020年6月28日」、「2025年10月1日」、「2028年10月1日」の日時の系統構成を連結した情報である。
各系統構成パターンに対応する列には、判定結果及び演算結果を格納する行が存在する。判定結果の行には、判定基準を満たすか否かを示す値が格納される。演算結果の行には、最適潮流計算の演算が正常に完了したか否かを示す値が格納される。
後述するように、判定基準を満たさない系統構成パターンに対しては最適潮流計算が実行されないため、当該系統構成パターンに対応する列の演算結果の行は空欄となる。
図6は、実施例1の運用予測情報114のデータ構造の一例を示す図である。
運用予測情報114は、日時601、発電量602、及び負荷量603から構成されるエントリを含む。実施例1では、発電機及び負荷が一つである電力系統であるため、一つのエントリには発電量602及び負荷量603が一つずつ含まれる。発電量602及び負荷量603は、電力系統に含まれる発電機及び負荷の数に応じて適宜増減できる。
日時601は、計画期間内の任意の日時を格納するフィールドである。発電量602は、発電計画に基づく発電量を格納するフィールドである。負荷量603は、負荷量を格納するフィールドである。発電計画及び負荷予測は、運用者等によって与えられる値である。
なお、系統構成を生成する日時の幅、並びに、発電量及び負荷量を設定する日時の幅は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
図7は、実施例1の設備操作情報115のデータ構造の一例を示す図である。
設備操作情報115は、日時701及び操作項目702から構成されるエントリを含む。一つのエントリが任意の日時の設備の操作方法群に対応する。
日時701は、計画期間内の日時を格納するフィールドである。操作項目702は、各設備の操作内容を格納するフィールドである。操作項目702には、調相設備の投入量及び変圧器のタップ位置等を設定する項目が含まれる。
なお、操作項目702には、系統構成情報111に含まれる同一種別の設備の数だけ列が含まれる。
図8は、実施例1の系統設備管理計画装置1が実行する事前評価処理の一例を説明するフローチャートである。事前評価処理では、発電量及び負荷量を考慮した、計画期間における設備管理計画が生成される。
情報取得部101は、通信装置30を介して、設備情報管理装置3から設備情報を取得し、経営資源情報管理装置4から経営資源情報を取得する(ステップS101)。
次に、情報取得部101は、入力装置40を用いて入力された、運用者の意図した運用方針に基づく設備単位の系統構成の変更計画情報を取得する(ステップS102)。変更計画情報には、例えば、系統構成の変更前後で設備の数の増加を禁止する情報を含めることができる。当該情報を含む変更方針の場合、設備及び代替設備が系統構成に含まれること、複数の代替設備が系統構成に含まれること等が禁止される。
次に、系統母構成生成部102は、設備情報、経営資源情報、及び変更計画情報、並びに、系統構成情報111に基づいて、系統母構成を生成し、系統母構成情報112として記憶装置20に保存する(ステップS103)。系統母構成の生成方法については図9を用いて説明する。
次に、系統構成生成部103は、系統構成情報111及び系統母構成情報112に基づいて、計画期間における系統構成パターンを生成する(ステップS104)。系統構成パターンの生成方法については図10を用いて説明する。
次に、系統構成生成部103は、系統構成推移情報113に登録された系統構成パターンの中からターゲット系統構成パターンを選択する(ステップS105)。
次に、系統構成判定部104は、情報取得部101によって運用予測情報114から取得された発電量及び負荷量に基づいて、ターゲット系統構成パターンに含まれる各系統構成に対して判定処理を実行する(ステップS106)。
系統構成の判定処理では、系統構成判定部104は、系統構成に発電量及び負荷量を設定し、当該系統構成が基準を満たしているかを判定する。なお、系統構成の判定処理は公知の技術を用いればよいため詳細な説明を省略する。なお、系統構成判定部104は、基準を満たさない系統構成が検出された場合、処理が実行されていない系統構成に対して判定処理を実行しなくてもよい。
ターゲット系統構成パターンに含まれる全ての系統構成が判定基準を満たす場合、系統構成判定部104は、系統構成推移情報113のターゲット系統構成パターンに対応する列の判定結果の行に「true」を設定する。ターゲット系統構成パターンに含まれる少なくとも一つの系統構成が判定基準を満たさない場合、系統構成判定部104は、系統構成推移情報113のターゲット系統構成パターンに対応する列の判定結果の行に「fault」を設定する。
次に、系統構成判定部104は、全ての系統構成パターンの処理が完了したか否かを判定する(ステップS107)。
全ての系統構成パターンの処理が完了していないと判定された場合、系統構成判定部104は、ステップS105に戻る。
全ての系統構成パターンの処理が完了したと判定された場合、系統構成判定部104は、事前評価処理を終了する。
図9は、実施例1の系統母構成生成部102が実行する処理の一例を説明するフローチャートである。
系統母構成生成部102は、系統構成情報111を参照し、現在の系統構成に含まれる設備であって、変更が可能な設備の中からターゲット設備を選択する(ステップS201)。変更が可能な設備を示す情報は、例えば、変更計画情報に含まれる。また、系統構成情報111に予め変更が可能な設備を示す情報を追加してもよい。
このとき、系統母構成生成部102は、空の系統母構成情報112を生成する。系統母構成生成部102は、系統母構成情報112にエントリを追加し、追加されたエントリの識別番号301に値を設定する。また、系統母構成生成部102は、追加されたエントリの設備ID302及び変更時期303に、ターゲット設備の情報を設定する。追加されたエントリの変更時期303には、設備情報及び変更計画情報に基づいて決定された変更時期が設定される。
次に、系統母構成生成部102は、設備情報に基づいて、ターゲット設備の代替設備を決定する(ステップS202)。
具体的には、系統母構成生成部102は、ターゲット設備と同種の設備であって、ターゲット設備のスペックと同等のスペックである設備及びターゲット設備のスペックと異なるスペックである設備を代替設備として決定する。このとき、系統母構成生成部102は、系統母構成情報112に代替設備の数だけエントリを追加し、追加されたエントリの識別番号301に値を設定する。系統母構成生成部102は、追加されたエントリの設備ID302に代替設備の識別情報を設定する。
次に、系統母構成生成部102は、ターゲット代替設備を選択する(ステップS203)。
次に、系統母構成生成部102は、設備情報、経営資源情報、及び変更計画情報に基づいて、ターゲット代替設備の変更時期を決定する(ステップS204)。具体的には以下のような処理が実行される。
変更計画情報にターゲット設備の変更予定時期が含まれる場合、系統母構成生成部102は、変更予定時期、調達が可能な時期、及び人員確保時期の中から変更が可能になる時期をターゲット代替設備の変更時期に決定する。変更計画情報にターゲット設備の変更予定時期が含まれない場合、系統母構成生成部102は、ターゲット設備の寿命、調達が可能な時期、及び人員確保時期の中から変更が可能になる時期をターゲット代替設備の変更時期に決定する。
系統母構成生成部102は、ターゲット代替設備に対応するエントリの変更時期303に決定された変更時期を設定する。
なお、系統構成を変更する場合に、ターゲット設備及びターゲット代替設備を一時的に併存させる必要がある場合、ターゲット設備の寿命又は変更時期と、ターゲット代替設備の変更時期とがオーバーラップするように変更時期が決定される。以上がステップS204の処理の説明である。
次に、系統母構成生成部102は、全ての代替設備について処理が完了したか否かを判定する(ステップS205)。
全ての代替設備について処理が完了していないと判定された場合、系統母構成生成部102は、ステップS203に戻る。
全ての代替設備について処理が完了したと判定された場合、系統母構成生成部102は、ターゲット設備に排他属性が設定されているか否かを判定する(ステップS206)。
ここで、排他属性は、変更後の系統構成にターゲット設備及び代替設備が併存すること、及び変更後の系統構成に複数の代替設備が併存することを禁止する属性である。排他属性を示す情報は、例えば、変更計画情報に含まれる。
ターゲット設備に排他属性が設定されていないと判定された場合、系統母構成生成部102は、ステップS208に進む。
ターゲット設備に排他属性が設定されていると判定された場合、系統母構成生成部102は、代替設備に排他関係を設定する(ステップS207)。その後、系統母構成生成部102は、ステップS208に進む。
具体的には、系統母構成生成部102は、代替設備に対応するエントリに、ターゲット設備及び他の代替設備に対応するエントリの識別番号301を設定する。
ステップS208では、系統母構成生成部102は、変更可能な全ての設備の処理が完了したか否かを判定する(ステップS208)。
変更可能な全ての設備の処理が完了していないと判定された場合、系統母構成生成部102は、ステップS201に戻る。
変更可能な全ての設備の処理が完了したと判定された場合、系統母構成生成部102は、処理を終了する。
図10は、実施例1の系統構成生成部103が実行する処理の一例を説明するフローチャートである。ここでは、現在から計画期間の終点までを時間間隔Tで区切り、時間間隔T毎の系統構成が生成されるものとする。
系統構成生成部103は、系統構成推移情報113及び日時を示す変数tを初期化する(ステップS301)。
具体的には、系統構成生成部103は、日時tに現在の日時(計画期間の始点)を設定する。また、系統構成生成部103は、系統構成推移情報113に、現在から計画期間までの各日時に対応する行を含む列を一つ追加する。系統構成生成部103は、追加された列の現在の日時に対応する列の現在の行に、現在の系統構成を設定する。
なお、計画期間において生成する日時を決定する方法としては、予め、具体的な日時を入力する方法、及び時間間隔を入力する方法が考えられる。例えば、10年間の計画期間において、夏の任意の日時及び冬の任意の日時の系統構成を生成する場合、系統構成パターンには20個の系統構成が含まれることになる。
系統構成生成部103は、系統構成推移情報113に含まれる各列を処理データとして記憶装置20にコピーする(ステップS302)。
次に、系統構成生成部103は、記憶装置20にコピーされた処理データの中からターゲット処理データを選択する(ステップS303)。
次に、系統構成生成部103は、ターゲット処理データの日時が日時tに対応する行に設定された系統構成をターゲット系統構成として選択する(ステップS304)。
次に、系統構成生成部103は、ターゲット系統構成の変更方法を決定し、新規系統構成を生成する(ステップS305)。
例えば、ターゲット系統構成に含まれる変圧器を廃止する変更方法の場合、系統構成生成部103は、ターゲット系統構成から変圧器を削除することによって新規系統構成を生成する。ターゲット系統構成に含まれる変圧器を代替設備に更新又は統合する変更方法の場合、系統構成生成部103は、系統母構成情報112を参照し、ターゲット系統構成に含まれる変圧器を新規変圧器に置き換えることによって新規系統構成を生成する。なお、代替設備を選択する場合、系統構成生成部103は、日時t及び設備の変更時期に基づいて、変更前後の設備の稼働時間がオーバーラップするように代替設備を選択する。
なお、設備が複数の場合、各設備の変更方法の組合せの数だけ新規系統構成が生成される。ただし、各新規系統構成が異なるように生成される。
なお、前述した新規系統構成の生成方法は、一例であってこれに限定されない。
次に、系統構成生成部103は、ターゲット処理データの日時(t+T)に対応する行に新規系統構成を設定することによって、新規系統構成パターンを生成する(ステップS306)。生成された新規系統構成が複数存在する場合、複数の新規系統構成パターンが生成される。
次に、系統構成生成部103は、系統構成推移情報113に新規系統構成パターンを追加する(ステップS307)。
具体的には、系統構成生成部103は、ターゲット処理データに対応する列を系統構成推移情報113から削除し、新規系統構成パターンに対応する列を追加する。当該処理は、ターゲット処理データに対応する列に、新規系統構成パターンに対応する列を上書きする処理である。
次に、系統構成生成部103は、全てのターゲット処理データの処理が完了したか否かを判定する(ステップS308)。
全てのターゲット処理データの処理が完了していないと判定された場合、系統構成生成部103は、ステップS303に戻る。
全てのターゲット処理データの処理が完了したと判定された場合、系統構成生成部103は、日時tを更新する(ステップS309)。
具体的には、系統構成生成部103は、日時tに時間Tを加算し、新たな日時に設定する。
次に、系統構成生成部103は、日時tが計画期間の終点を経過するか否かを判定する(ステップS310)。
日時tが計画期間の終点を経過しないと判定された場合、系統構成生成部103は、ステップS302に戻る。
日時tが計画期間の終点を経過すると判定された場合、系統構成生成部103は、処理を終了する。このとき、系統構成生成部103は、系統構成推移情報113の各列に判定結果及び演算結果の行を追加する。また、系統構成生成部103は、必要に応じて系統構成推移情報113の列を入れ替える。
図11A及び図11Bは、実施例1の系統設備管理計画装置1が実行する設備管理計画生成処理の一例を説明するフローチャートある。図12は、実施例1の系統設備管理計画装置1によって表示される画面の一例を示す図である。
設備管理計画生成処理は、事前評価処理が完了した後に開始される。
系統構成生成部103は、系統構成推移情報113を参照し、各列の判定結果の行の値が「true」である系統構成パターンの中からターゲット系統構成パターンを選択する(ステップS401)。
次に、系統構成生成部103は、ターゲット系統構成パターンに含まれる系統構成の中からターゲット系統構成を選択する(ステップS402)。ここでは、時系列順に系統構成が選択されるものとする。
次に、情報取得部101は、運用予測情報114から、ターゲット系統構成に基づいて運用される期間のある時点における、ターゲット系統構成に含まれる発電機の発電量及び負荷の負荷量を取得する(ステップS403)。
次に、最適潮流計算部105は、ターゲット系統構成の情報、発電量、及び負荷量に基づいて、最適潮流計算を実行する(ステップS404)。最適潮流計算は公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
次に、最適潮流計算部105は、最適潮流計算の演算が収束したか否かを判定する(ステップS405)。
最適潮流計算の演算が収束していないと判定された場合、最適潮流計算部105は、系統構成推移情報113を更新し(ステップS407)、ステップS410に進む。
具体的には、最適潮流計算部105は、系統構成推移情報113を参照し、ターゲット系統構成パターンに対応する列の演算結果の行に「fault」を設定する。
最適潮流計算の演算が収束したと判定された場合、最適潮流計算部105は、設備操作情報115に、演算結果として出力される設備の操作に関する情報を保存する(ステップS406)。
次に、系統構成生成部103は、ターゲット系統構成パターンに含まれる全ての系統構成の処理が完了したか否かを判定する(ステップS408)。
ターゲット系統構成パターンに含まれる全ての系統構成の処理が完了していないと判定された場合、最適潮流計算部105は、ステップS402に戻る。
ターゲット系統構成パターンに含まれる全ての系統構成の処理が完了したと判定された場合、最適潮流計算部105は、系統構成推移情報113を更新する(ステップS409)。
具体的には、最適潮流計算部105は、系統構成推移情報113を参照し、ターゲット系統構成パターンに対応する列の演算結果の行に「true」を設定する。
次に、評価部107は、系統構成推移情報113を参照し、演算結果の行の値が「tr
ue」である系統構成パターンの中からターゲット系統構成パターンを選択する(ステップS410)。
本実施例では、判定結果の行及び演算結果の行の値が「true」である系統構成パターンが、運用者に提示する設備管理計画情報となる。
次に、系統構成差分抽出部106は、現在の系統構成及びターゲット系統構成パターンに含まれる各系統構成の設備単位の差分を抽出する(ステップS411)。
次に、評価部107は、抽出された差分に基づいて、ターゲット系統構成に含まれる系統構成について、現在の系統構成からターゲット系統構成に含まれる系統構成に変更する場合に生じるコストを算出する(ステップS412)。このとき、評価部107は、各系統構成のコストの合計値をターゲット系統構成パターンのコストとして算出する。評価部107は、系統構成パターンのコストを記憶装置20に保存する。
コストの算出方法は、金額、作業量、人数、及び作業時間等を変数とする数式を用いて算出する方法が考えられる。なお、本実施例は、コストの算出方法に限定されない。
次に、評価部107は、ターゲット系統構成に含まれる系統構成について、設備操作に関する評価を行う(ステップS413)。
具体的には、評価部107は、設備操作情報115からターゲット系統構成に含まれる系統構成の設備操作に関する情報を取得する。評価部107は、取得した情報に基づいて、各系統構成の設備操作に関する評価を行う。例えば、評価部107は、操作回数、操作によって変更するパラメータの変更量等を評価する。評価部107は、評価結果を記憶装置20に保存する。なお、評価部107は評価結果をスコアに換算してもよい。
次に、評価部107は、演算結果の行の値が「true」である全ての系統構成パターンの処理が完了したか否かを判定する(ステップS414)。
演算結果の行の値が「true」である全ての系統構成パターンの処理が完了していないと判定された場合、評価部107は、ステップS410に戻る。
演算結果の行の値が「true」である全ての系統構成パターンの処理が完了したと判定された場合、評価部107は、演算結果の行の値が「true」である系統構成パターンを設備管理計画情報として表示するための表示情報を生成する(ステップS415)。その後、評価部107は、設備管理計画生成処理を終了する。
本実施例の表示装置50には、表示情報に基づいて図12に示すような画面1200が表示される。ここで、画面1200について説明する。
画面1200は、指標入力欄1210、系統構成パターンリスト欄1220、及び系統構成表示欄1230を含む。
指標入力欄1210は、系統構成パターンを選択するための指標を入力する欄である。本実施例の指標入力欄1210には「コスト」又は「評価」のいずれかが入力される。
指標入力欄1210に「コスト」が入力された場合、演算装置10は、系統構成パターンのコストに基づいて推奨順位を決定し、推奨順位が高い系統構成パターンを所定の数だけ選択する。指標入力欄1210に「評価」が入力された場合、演算装置10は、系統構成パターンの評価結果に基づいて推奨順位を決定し、推奨順位が高い系統構成パターンを所定の数だけ選択する。
なお、選択する系統構成パターンの数は予め設定されており、適宜変更することができる。なお、推奨順位は運用者に推奨する系統構成パターンの順番を示す。
系統構成パターンリスト欄1220は、評価部107によって選択された系統構成パターンのリストを表示する欄である。系統構成パターンリスト欄1220は、順位1221及び系統構成パターンID1222から構成されるエントリを含む。一つのエントリが一つの系統構成パターンに対応する。順位1221は、系統構成パターンの推奨順位を格納するフィールドである。本実施例では、推奨順位が高い順にエントリがソートされる。系統構成パターンID1222は、系統構成パターンの識別番号を格納するフィールドである。系統構成パターンID1222には、系統構成推移情報113における列の番号が格納される。
運用者はカーソル等を用いて確認又は適用する系統構成パターンを選択する。図12では、順位1221が「1」のエントリが選択された状態を示す。
系統構成表示欄1230は、運用者によって選択された系統構成パターンに含まれる系統構成を表示するための欄である。系統構成表示欄1230には、現在から計画期間の終点までの系統構成が時系列順に表示される。
なお、評価部107はコストを算出する処理及び設備操作に関する評価を行う処理を実行したが、いずれか一方の処理のみを実行してもよい。
<具体例>
次に、具体例を用いて系統設備管理計画システムの一連の処理の流れを説明する。
系統設備管理計画装置1は、設備情報管理装置3及び経営資源情報管理装置4から設備情報及び経営資源情報を取得し(ステップS101)、入力装置40を用いて入力された変更計画情報を取得する(ステップS102)。
系統設備管理計画装置1は、系統構成情報111、設備情報、経営資源情報、及び変更計画情報に基づいて、計画期間における系統母構成を生成し、系統母構成の情報を系統母構成情報112として記憶装置20に記録する(ステップS103)。
系統設備管理計画装置1は、系統母構成情報112を用いて、計画期間における系統構成パターンを生成し、系統構成推移情報113に記録する(ステップS104)。
系統設備管理計画装置1は、ターゲット系統構成パターンを選択し(ステップS105)、ターゲット系統構成パターンに含まれる各系統構成が判定基準を満たしているか否かを判定する(ステップS106)。
系統設備管理計画装置1は、全ての系統構成が判定基準を満たしている系統構成パターンの中からターゲット系統構成パターンを選択し(ステップS401)、ターゲット系統構成パターンに含まれる系統構成に対して最適潮流計算を実行する(ステップS404)。最適潮流計算が収束した場合、系統設備管理計画装置1は、設備操作情報115に演算結果を保存する(ステップS406)。
系統設備管理計画装置1は、系統構成の最適潮流計算が正常に終了した系統構成パターンを提示対象の系統構成パターンとして記憶装置20に記録する(ステップS409)。すなわち、電力供給に問題が生じない系統構成パターンとして記録される。
一方、系統設備管理計画装置1は、少なくとも一つの系統構成の最適潮流計算が正常に終了していない系統構成パターンを非提示対象の系統構成パターンとして記録する(ステップS407)。
系統設備管理計画装置1は、推奨順位を決定するための指標として、提示対象として設定された系統構成パターンのコストを算出し(ステップS412)、また、当該系統構成パターンの設備操作の評価を行う(ステップS413)。
系統設備管理計画装置1は、コスト等の指標に基づいて、運用者に対して電力供給に問題が生じない系統構成パターンを設備管理計画情報として提示する(ステップS415)。
なお、系統設備管理計画装置1は、設備情報及び経営資源情報を取得しなくてもよい。代替設備を決定する場合、系統設備管理計画装置1は、ターゲット設備の種別に基づいて代替設備を選択する方法が考えられる。代替設備の変更時期を決定する場合、系統設備管理計画装置1は、変更計画情報に基づいて変更時期を決定する方法が考えられる。
なお、系統設備管理計画装置1は、ステップS107の判定結果がYESの場合、ステップS412の処理を実行してもよい。これによって、系統設備管理計画装置1の演算量を削減しつつ、有効な系統構成パターンを設備管理計画情報として提示できる。
なお、系統設備管理計画装置1は、最適潮流計算の演算が複数回連続で収束しない場合に、ステップS405の処理結果をNOとするような判定を行ってもよい。これによって、可能な限り多くの系統構成パターンを提示できる。
以上で説明したように、系統設備管理計画装置1は、系統母構成に基づいて、計画期間における系統構成の組合せを系統構成パターンとして生成できる。すなわち、計画期間において実現可能な系統構成の組合せが効率的に生成される。また、系統設備管理計画装置1は、系統構成パターンに含まれる系統構成に対して、判定処理及び最適潮流計算を実行することによって、運用者の要求を満たし、かつ、運用可能な系統構成パターンを特定できる。また、系統設備管理計画装置1は、系統構成パターンのコスト及び評価結果に基づいて推奨順位が付与された系統構成パターンを設備管理計画情報として提示することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。