JP6834558B2 - 腐食モニタリング用測定モジュール、腐食モニタリング用測定方法、腐食モニタリングシステム、及び、腐食モニタリング方法 - Google Patents

腐食モニタリング用測定モジュール、腐食モニタリング用測定方法、腐食モニタリングシステム、及び、腐食モニタリング方法 Download PDF

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Description

本発明は、腐食モニタリング用測定モジュール、腐食モニタリング用測定方法、腐食モニタリングシステム、及び、腐食モニタリング方法に関する。
鋼材をはじめとする各種の金属材料が曝される腐食環境や、大気中での金属材料の腐食挙動をモニタリングするために、従来、以下の特許文献1に開示されているようなACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサが用いられている。また、近年では、かかるACMセンサを、様々なケースや部材の内部に設置して、腐食挙動を測定する試みもなされている(例えば、以下の特許文献2〜4を参照。)。
特開2001−201451号公報 特開2012−93157号公報 特開2012−189475号公報 特開2012−189476号公報
近年、様々な環境での金属材料の腐食挙動を明らかにすることが行われるようになっている。例えば、海水の飛沫や融雪剤を含む水しぶきなど、塩化物イオンを含む液体の飛沫が付着する環境(以下では、「飛沫付着環境」ともいう。)においても、各種の金属材料の腐食挙動を明らかにすることが求められている。
ここで、上記のような飛沫付着環境では、金属材料が濡れた状態で進行する腐食と、金属材料が濡れた状態から乾燥していく際に進行する腐食と、が繰り返される。そのため、飛沫付着環境下での金属材料の腐食挙動を正確に測定するためには、まずは金属材料の腐食が進行する環境をモニタリングで明らかにすることが重要となる。
上記特許文献1及び特許文献2に開示されているようなACMセンサは、結露や降雨、降雪等による濡れた状態と、乾燥した状態とを、腐食電流の測定によってモニタリングすることが可能な測定機器である。一般に、濡れた状態のうち、降雨及び降雪(以下、総称して「降水」という。)は、気象データによって分離可能であるが、ACMセンサによる分離が望ましい。また、ACMセンサを飛沫付着環境に設置しただけでは、結露による濡れ状態と液体飛沫による濡れ状態とを、正確に分離することができないという問題が生じた。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、飛沫付着環境において腐食環境をより正確にモニタリングすることが可能な、腐食モニタリング用測定モジュール、腐食モニタリング用測定方法、腐食モニタリングシステム、及び、腐食モニタリング方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサを備え、前記センサのうち、第一のセンサは、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されており、前記センサのうち、第二のセンサは、前記センサ面が下方に向いた状態で設置されており、前記センサのうち、第三のセンサは、前記センサ面への塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部が前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設けられており、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されている、腐食モニタリング用測定モジュールが提供される。
絶縁体基材と、所定の間隔を介して互いに離隔するように前記絶縁体基材の表面に埋設された、2つの、測定対象である金属材料からなる電極と、を有しており、前記電極間に交流電流を流してインピーダンスを計測するセルを更に備え、前記セルは、前記電極が上方に向いた状態で設置されていることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサのうち、第一のセンサを、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、第二のセンサを、前記センサ面が下方に向いた状態で設置し、第三のセンサは、前記センサ面への前記塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部を前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設け、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、前記センサにより、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、腐食モニタリング用測定方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサを備え、前記センサのうち、第一のセンサは、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されており、前記センサのうち、第二のセンサは、前記センサ面が下方に向いた状態で設置されており、前記センサのうち、第三のセンサは、前記センサ面への塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部が前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設けられており、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されており、前記センサの前記電流の計測結果を用いて、計測された電流が前記塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかを判別する演算処理装置と、を備える腐食モニタリングシステムが提供される。
前記演算処理装置は、前記第二のセンサによる計測結果を参照し、前記第二のセンサが計測した電流値が所定の閾値以上であった場合に、計測された電流は、前記結露に起因するものと判断してもよい。
前記演算処理装置は、前記第一のセンサによる計測結果と、前記第二のセンサによる計測結果と、前記第三のセンサによる計測結果と、を比較し、前記第一のセンサが計測した電流値が所定の閾値以上であり、かつ、前記第二のセンサが計測した電流値、及び、前記第三のセンサが計測した電流値が所定の閾値未満である場合に、計測された電流は、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものと判断してもよい。
前記演算処理装置は、前記第一のセンサによる計測結果と、前記第二のセンサによる計測結果と、前記第三のセンサによる計測結果と、を比較し、前記第一のセンサが計測した電流値、及び、前記第三のセンサが計測した電流値が所定の閾値以上であり、かつ、前記第二のセンサが計測した電流値が所定の閾値未満である場合に、計測された電流は、前記降水に起因するものと判断してもよい。
前記演算処理装置は、前記腐食モニタリング用測定モジュールが設置されている場所の気象情報データを取得し、取得した当該気象情報データに基づき、計測された電流が前記降水に起因するものと判断してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサのうち、第一のセンサを、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、第二のセンサを、前記センサ面が下方に向いた状態で設置し、第三のセンサは、前記センサ面への前記塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部を前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設け、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、前記センサにより、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測し、演算処理装置により、前記センサによる前記電流の計測結果から、計測された電流が、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかを判別する、腐食モニタリング方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、塩化物イオンを含む液体の飛沫が付着する環境(飛沫付着腐食環境)において腐食環境をより正確に測定することが可能となる。更に、本発明によれば、飛沫付着環境において測定対象とする金属材料の腐食挙動をより正確にモニタリングすることが可能となる。
本発明の実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールの構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールの構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおけるセンサの構造を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおけるセンサの構造を模式的に示した説明図である。 測定プローブによる測定結果の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおける第三のセンサの構成の一例を説明するための説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおける第三のセンサの構成の一例を説明するための説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールの測定結果について説明するための説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおける交流インピーダンス法のセルの構造を模式的に示した説明図である。 交流インピーダンス法のセルによる測定結果の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリングシステムの全体構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る腐食モニタリングシステムが備える演算処理装置の構成の一例を模式的に示したブロック図である。 同実施形態に係る演算処理装置が備える測定データ処理部の構成の一例を模式的に示したブロック図である。 同実施形態に係る測定データ処理部における腐食環境の状態判定処理を説明するための説明図である。 同実施形態に係る演算処理装置の出力結果の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る演算処理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(腐食モニタリング用測定モジュールについて)
以下では、図1A〜図7を参照しながら、本発明の実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュール、センサ、更に、交流インピーダンス法による測定に用いられるセルについて、詳細に説明する。
図1A及び図1Bは、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールの構成を模式的に示した説明図である。図2A及び図2Bは、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおけるセンサの構造を模式的に示した説明図である。図3は、測定プローブによる測定結果の一例を模式的に示した説明図である。図4A及び図4Bは、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおける第三のセンサの構成の一例を説明するための説明図である。図5は、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールの測定結果について説明するための説明図である。図6は、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュールにおける交流インピーダンス法のセルの構造を模式的に示した説明図である。図7は、交流インピーダンス法のセルによる測定結果の一例を模式的に示した説明図である。
先だって言及したように、本実施形態では、塩化物イオンを含む液体の飛沫が付着する環境(飛沫付着環境)に着目している。塩化物イオンを含む液体は、例えば、塩化物イオンの濃度が3%以上である海水の飛沫や融雪剤を含む水しぶきなど、腐食性を有する液体である。飛沫付着環境では、金属材料が濡れた状態で進行する腐食と、金属材料が濡れた状態から乾燥していく際に進行する腐食と、が繰り返される。そのため、飛沫付着環境での金属材料の腐食挙動を正確に測定するためには、まずは、腐食環境のモニタリングが必要である。更には、進行している腐食が、濡れた状態で進行する腐食と、乾燥していく際に進行する腐食と、のどちらに該当しているのかを、正確に分離し、それぞれの腐食速度(又は腐食速度の指標)を求めることが望ましい。本発明者らが鋭意検討を行った結果、以下で詳述するような腐食モニタリング用測定モジュール(以下、単に「測定モジュール」とも称する。)に想到した。
<腐食モニタリング用測定モジュールの全体構成について>
本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュール(測定モジュール)10は、3以上のセンサを備え、飛沫付着環境に暴露されて、腐食環境をモニタリングするために用いられる測定モジュールである。本実施形態に係る測定モジュール10は、更に望ましくは、交流インピーダンス法による測定に使用されるセルをも備え、測定対象である金属材料の腐食挙動をモニタリングするために用いられる。
ここで、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュール10が暴露される飛沫付着環境は、特に限定されるものではないが、塩化物を含む液体の飛沫が付着する環境である。例えば、海水や融雪剤を含む水などの飛沫が付着する腐食環境(例えば、砂浜や海岸の近傍、融雪剤が散布される降雪地帯などに位置する腐食環境等)を挙げることができる。そして、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュール10は、塩化物を含む液体の塩化物イオンの濃度が質量換算で1%以上であるような厳しい腐食環境においても、正確なモニタリングが可能である。
本実施形態に係る測定モジュール10は、図1A及び図1Bに模式的に示したように、以下で詳述する少なくとも3種のセンサ101を有している。センサ101のうち、第一のセンサ101aは、センサ面11aが上方に向いた状態で設置されており、第二のセンサ101bは、センサ面11bが下方に向いた状態で設置されている。そして、第三のセンサ101cは、センサ面11cの周囲又は上方の少なくとも何れかに、センサ面11cへの塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、センサ面11cへの降水の付着は許容する飛沫遮断部107が設けられており、センサ面11cが上方に向いた状態で設置されている、
これら第一のセンサ101a、第二のセンサ101b、及び、第三のセンサ101cは、互いに共通する構造を有している。これらセンサ101a〜101cの詳細な構造については、以下で改めて説明する。
かかる第一のセンサ101a、第二のセンサ101b、及び、第三のセンサ101cが、それぞれ適切に動作することで、本実施形態に係る測定モジュール10では、飛沫付着環境の濡れ状態が、結露、飛沫、降水の何れによるものかを、正確に分離していくことが可能となる。
また、本実施形態に係る測定モジュール10には、上記のようなセンサ101以外に、測定対象として着目する金属材料の腐食挙動の測定が可能な、交流インピーダンス法による測定に使用されるセルが、1又は複数設けられていることが好ましい。かかる交流インピーダンスによる測定に使用されるセルの詳細な構造についても、以下で改めて説明する。
以上のような構造を有する測定モジュール10は、第一のセンサのセンサ面11aに塩化物イオンを含む液体の飛沫が付着するように(換言すれば、第一のセンサのセンサ面11aが塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向と対向するように)設置される。一方、第二のセンサは、雨もしくは雪(降水)、及び、塩化物イオンを含む液体の飛沫が付着しないように、センサ面11bを下方に向けて設置されている。この理由についても、以下で改めて説明する。各センサ101a〜101cは、図1A及び図1Bに模式的に示したように、ホルダ13a〜13c等を適宜利用して暴露試験装置の架台PLに設置された上で、水平面に対して所定の角度θで傾斜するように飛沫付着環境に暴露されてもよいし、水平に(すなわち、θ=0度で)飛沫付着環境に暴露されてもよい。測定モジュール10を飛沫付着環境に暴露する際の傾斜度合いは、例えば、図1Aに示したような架台PLの傾斜角度θにより調整可能である。
以上、図1A及び図1Bを参照しながら、本実施形態に係る測定モジュール10の全体構造について、簡単に説明した。
<センサ101の共通構造について>
以下では、図2A〜図3を参照しながら、第一のセンサ101a、第二のセンサ101b、第三のセンサ101cに共通する構造について、詳細に説明する。
第一のセンサ101a、第二のセンサ101b、第三のセンサ101cは、結露、飛沫の付着、降水に起因する飛沫付着環境の濡れ状態を分離するためのセンサであり、図2A及び図2Bに示したような共通構造を有している。
かかるセンサ101は、図2A及び図2Bに模式的に示したように、金属材料Sと、金属材料Sの一方の面(濡れ状態で水膜が形成されるセンサ面11として機能する側の面)上に、金属材料Sの表面が露出する金属部102を有している。また、センサ101は、センサ面11の金属部102以外の部位には、絶縁体層103と、それぞれの絶縁体層103上に設けられた導電体層105と、を有している。導電体層105は、金属材料Sとは異質の金属材料で構成されている。かかるセンサ面11は、水膜が形成されると、異種金属間腐食により金属部102と導電体層105との間に腐食電流が発生する。
ここで、絶縁体層103の素材については、金属材料Sと、導電体層105と、の間を電気的に絶縁することが可能なものであれば、任意の素材を用いることが可能である。このような素材として、例えば、各種ドーパントがドープされていない状態のSiO等といった、各種の酸化物を挙げることができる。また、金属材料S及び導電体層105の素材についても、導電体であれば特に限定されるものではなく、金属材料Sは、鉄や鋼、導電体層105は、銀(Ag)などの公知の金属を用いることが可能である。金属材料Sの金属部及び導電体層105のそれぞれからは、公知の導電性ペーストEPを介して導線LWが引き出され、これら導線LWは、無抵抗電流計等の公知の計測器に接続されている。かかる構造を有するセンサ101において、例えば、金属材料Sの表面の露出部(すなわち、金属部)がアノード(陽極)として機能するとともに、導電体層105がカソード(陰極)として機能し、水膜が形成されると、無抵抗電流計等の公知の計測器の検出結果(例えば、電流値)が、測定結果として出力される。なお、金属材料S及び導電体層105の素材の組合せによっては、金属材料Sの表面の露出部がカソード(陰極)、導電体層105がアノード(陽極)として機能する場合がある。
一方、かかるセンサ101において、乾燥状態(結露、飛沫、降水等に由来する水分等が付着していない状態)である場合には、センサ面上で金属材料Sと導電体層105とは、絶縁体層103により電気的に絶縁されたままの状態となっている。そのため、金属材料Sの金属部と導電体層105との間には電位は発生せず、電流は計測されない。
センサ面上に、金属材料Sと導電体層105とを導通させる、雨、雪、露、塩化物を含む液体の飛沫等に起因する水分などが付着し、水膜を形成した場合(具体的には、図2Bに示したような金属材料Sが露出した谷部(すなわち、金属部102)に上記水分が付着した場合)には、金属材料Sと導電体層105との間が電気的に接続されてしまう。これにより、金属材料Sと導電体層105との間に電位差が生じ、ガルバニック電流が発生し、無抵抗電流計等の計測器によって測定され、結露、飛沫、降水の何れかに起因する濡れ状態にあることが検出される。
すなわち、本実施形態に係るセンサ101は、いわゆるACMセンサである。
以上説明したようなセンサ101では、上記のように、金属材料Sと導電体層105との間に流れるガルバニック電流が測定される。ここで、ACMセンサでは、図3に模式的に示したように、ある閾値以上の電流が測定された場合に、濡れ状態にあると判断される。電流がほとんど測定されない(所定の第2の閾値未満の電流が測定される)場合には、乾燥状態にあると判断される。ここで、本実施形態において、「降水」状態とは、雨や雪のみならず、水分を含有するみぞれや雹などが降っている状況をも含むものとする。また、濡れ状態と、乾燥状態と、を区別するための電流閾値については、特に限定されるものではないが、例えば1μA程度である。
<第一のセンサ、第二のセンサ、第三のセンサの設置方法について>
以上説明したような共通構造を有するセンサ101は、例えば、図1Aに模式的に示したような形態で暴露試験装置の架台PLに設置される。以下では、図1A〜図2B、図4A〜図5を参照しながら、センサ101の設置について、詳細に説明する。
上記のようなセンサ101のセンサ面に水膜が生じる原因として、本実施形態で着目している飛沫付着環境では、(1)降水(雨、雪、みぞれ、雹等も含む。)に起因する場合、(2)海水等の塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因する場合、(3)気温等、温度の変化によって生じる結露に起因する場合、の3つの場合が考えられる。そのため、より正確な金属材料の腐食挙動を測定するためには、各センサ101によって測定される電流値が、上記3種類の要因の何れに該当するのかを、正確に判別できることが望まれる。
そこで、本実施形態に係る測定モジュール10では、図2A及び図2Bに模式的に示したような共通構造を有するセンサ101を以下のようにして設置することで、上記3種類の要因の特定を可能なようにしている。
すなわち、本実施形態に係る測定モジュール10では、図1A及び図1Bに模式的に示したように、第一のセンサ101aとして、図2A及び図2Bに模式的に示した共通構造を有するセンサ101が、センサ面11aを上方に向けて設置される。一方、第二のセンサ101bとして、図2A及び図2Bに模式的に示した共通構造を有するセンサ101が、センサ面11bを下方に向けて設置される。
更に、本実施形態に係る測定モジュール10では、第三のセンサ101cとして、図2A及び図2Bに示したような共通構造を有し、かつ、後述する飛沫遮断部107によりセンサ面11cが保護されたセンサ101が、第一のセンサ101aと同様にセンサ面11cを上方に向けて設置される。
ここで、図1A、図1B、図4A及び図4Bに模式的に示した飛沫遮断部107は、塩化物イオンを含む液体の飛沫のセンサ面11cへの付着を防止しつつ、降水、又は、結露のセンサ面11cへの付着は許容するものであり、センサ面11cの周囲又は上方の少なくとも何れかに設けられている。かかる飛沫遮断部107の素材については、特に限定されるものではなく、液体飛沫を遮断することができる素材であれば、公知の任意の素材を用いることが可能である。例えば、かかる飛沫遮断部107の素材は、アクリル板等、日光等を遮らない透明な素材であることが好ましい。また、飛沫遮断部107の具体的な構造についても特に限定されるものではなく、測定モジュール10の大気中への暴露状況(例えば、水平に載置されるのか、傾斜して載置されるのか等)、液体飛沫の発生源の方向、暴露環境における平均的な風向等の各種測定環境条件に応じて、適宜決定すればよい。
例えば、暴露試験では、測定モジュール10を海水の飛沫が飛来する方向に向け、センサ面が上方を向くように傾斜させて試験片を設置する。このような場合、図4A及び図4Bに示すように、センサ面11c全体を覆う飛沫遮断部107を、センサ面11cと略平行に設ければ、センサ面11cへの飛沫の付着を防止することができる。更に、図4A及び図4Bに示したように、飛沫遮断部107が、例えば4つの保持部材109によってセンサ面11cの上部に保持されることで、センサ面11cの上方及び下方は開放されるため、降水がセンサ面11cに掛かり、かつ、センサ面11cから降水を容易に排水することもできる。
図1A及び図1Bに模式的に示したように、第二のセンサ101bのセンサ面11bには、降水、塩化物を含む液体の飛沫は付着せず、結露のみが付着しうる。従って、第二のセンサ101bには、図5に模式的に示したように、上記3つの要因のうち、結露に起因する電流しか発生しない。
また、図1A、図1B、図4A及び図4Bに模式的に示したように、第三のセンサ101cには、センサ面11cの上方又は周囲の少なくとも何れかに飛沫遮断部107が設けられているため、センサ面11cには、塩化物イオンを含む液体の飛沫は付着せず、降水、結露のみが付着しうる。従って、第三のセンサ101cには、図5に模式的に示したように、上記3つの要因のうち、降水に起因する電流、又は、結露に起因する電流が発生する。
更に、図1A及び図1Bに模式的に示したように、第一のセンサ101aは、センサ面11aが飛沫付着環境に何ら制限なく暴露されているため、図5に模式的に示したように、上記3つの要因の全てに起因する電流が発生する。
このようにして各センサ101a〜101cを適切に配置し、どのセンサから電流が検出されたかに着目することで、本実施形態に係る測定モジュール10では、上記3種類の要因の特定が可能となる。
<交流インピーダンス法による測定に使用されるセルの構成について>
次に、図6及び図7を参照しながら、本実施形態に係る測定モジュール10に対して、上記センサ101と共に実装されることが好ましい交流インピーダンス法による測定に使用されるセル(以下、「インピーダンス測定用セル」とも称する。)について、詳細に説明する。なお、図6では、上段に示した構造をA−A切断線で切断した場合の断面を、下段に模式的に示している。
本実施形態に係るインピーダンス測定用セルは、腐食挙動のモニタリングの対象である金属材料を用いて形成された1対の電極を有しており、かかる電極と、付着した水分と、で形成される電気回路に、交流電流を流して周波数を変化させながらインピーダンスを測定するためのセルである。
かかるインピーダンス測定用セル121は、所定の材質からなる絶縁体基材123と、所定の間隔を介して互いに離隔するように絶縁体基材123の表面に埋設された、2つの測定対象である金属材料Sと、を有している。かかるインピーダンス測定用セル121は、2つの金属材料Sが電極125として機能し、電極125間に交流電流を流しながら、インピーダンスが計測される。
絶縁体基材123は、電極125として機能する金属材料Sを保持するものである。図6に模式的に示したように、絶縁体基材123には、上記金属材料Sが埋設されており、絶縁体基材123の表面に金属材料Sの表面が露出するようになっている。かかる絶縁体基材123は、飛沫付着環境においても金属材料Sを保持し続けるために、飛沫付着環境においても劣化しない素材で形成されていることが好ましい。このような素材は、特に限定されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等といった、公知のフッ素系樹脂等を用いることが好ましい。
電極125として機能する金属材料Sは、上記絶縁体基材123中に、所定の間隔dを介して互いに離隔するように埋設されており、その表面が絶縁体基材123の表面に露出している。また、絶縁体基材123に埋没している側の金属材料Sの端面のそれぞれには、導電ペースト(図示せず。)等を適宜用いて、導線LWが装着されており、かかる導線LWの一端は、ポテンショスタット及び周波数特性分析器(Frequency Response Analyzer:FRA)を含む計測器に接続されている。このように、本実施形態に係るインピーダンス測定用セル121は、いわゆる交流インピーダンス法による腐食速度の指標(1/R)等の測定に用いられるセルである。
一対の電極125は、離隔距離dを挟んで対向しており、電極125間に導電性を有する物質(例えば、降水、結露、塩化物を含む液体の飛沫等に起因する水分など)が付着し、水膜が形成されると、電気回路が発生してインピーダンスが計測されるようになる。ここで、発生する電気回路のインピーダンスは、金属材料Sの腐食状態に応じて変化するため、測定されるインピーダンスの時間変化に着目することで、金属材料Sの腐食速度の指標(1/R)を評価することが可能となる。
なお、絶縁体基材123中に埋設される金属材料Sからなる電極125の大きさについては、特に限定されるものではないが、絶縁体基材123の表面に露出する電極125の面積が絶縁体基材123の表面積に対して小さすぎる場合には、正確な測定が困難となる可能性があり、露出する電極125の面積が大きすぎる場合には、電極125の腐食が局部的に生じる結果電流分布密度が不均一となり、正確な電気化学測定が困難となる可能性がある。また、2つの電極125の面積の差が大きい場合には、正確なインピーダンス測定が困難となる可能性があるため、2つの電極125の面積は、ほぼ等しくすることが好ましい。電極125の大きさは、上記のような現象が生じないように適切に設定すればよいが、例えば、絶縁体基材123の大きさ(直径)が30mm〜40mm程度である場合に、電極125の大きさは、10mm四方程度とすればよい。また、電極125の厚みについても、特に限定するものではないが、絶縁体基材123の厚みが例えば10mm〜15mm程度である場合に、5mm程度とすればよい。
また、本実施形態に係るインピーダンス測定用セル121において、一対の金属材料Sからなる電極125の離隔距離dの大きさは、例えば、0.3mm〜4mm程度であることが好ましい。本発明者らによる検討の結果、離隔距離dの大きさを0.3mm〜4mm程度とすることで、インピーダンス測定用セル121の交流インピーダンス法による測定結果から算出される腐食速度の指標(1/R)は、金属材料Sを用いた電極の腐食状態の変化から算出した腐食速度とほぼ同じ値を示すようになることが明らかとなり、着目する金属材料Sについて、より簡便に腐食速度を特定することが可能となる。
離隔距離dの大きさが0.3mm未満である場合には、飛沫付着環境などの厳しい腐食環境下では、電極125間に形成された腐食生成物によって電気的に導通してしまい、正確なインピーダンス測定を行うことが困難となる可能性が高い。一方、離隔距離dの大きさが4mmを超える場合には、離隔部分に降水、結露又は塩化物を含む液体の飛沫等が付着した場合であっても電極間が水膜で覆われず、一対の電極125が電気的に導通しない状況が生じて、正確なインピーダンス測定を行うことが困難となる可能性が高い。一対の電極125間の離隔距離dの大きさは、例えば、0.5mm以上であることがより好ましく、1mm以上であることが更に好ましい。一対の電極125間の離隔距離dの大きさは、更に一層好ましくは2mm以上である。離隔距離dの大きさの上限は、3mm以下であることがより好ましい。
また、本実施形態に係る測定モジュール10において測定対象となる金属材料Sは、特に限定されるものではなく、鉄、銅、亜鉛等といった合金元素を含有しない各種の純金属からなる板状のものであってもよいし、各種の合金元素を含有する合金金属からなる板状のものであってもよい。
図6に示したような構造を有するインピーダンス測定用セル121は、本実施形態に係る測定モジュール10に、金属材料Sからなる電極125が露出した状態で装着される。
図6に示したような構造を有するインピーダンス測定用セル121は、絶縁体基材123の表面が水平面と略平行となるように保持された場合には、電極として機能する金属材料Sの表面に、水膜が厚く形成される可能性がある。そのため、インピーダンス測定用セル121は、絶縁体基材123の表面が水平面に対して傾斜するように保持することが好ましい。
以上、図6を参照しながら説明したような構造を有するインピーダンス測定用セル121により、金属材料S間のインピーダンスRが随時測定される結果、図7に示したような腐食速度を、その指標となる(1/R)の時間変化でモニタリングすることが可能となる。
ここで、本実施形態に係る測定モジュール10に装着される上記のようなインピーダンス測定用セル121は、合金元素を含まない一対の金属材料Sで形成されたインピーダンス測定用セル121と、合金元素を含む一対の金属材料Sで形成されたインピーダンス測定用セル121と、で構成されていることが好ましい。それぞれのインピーダンス測定用セル121による測定結果を比較することで、図7に模式的に示したように、合金元素の有無による腐食挙動の違いを明瞭にすることが可能となる。その結果、飛沫付着環境において、金属材料Sに含有させることが有効な合金元素を特定することが可能となる。更に、インピーダンス測定用セル121を構成する金属材料の選択によっては、種類が異なる金属Aと金属Bとの相対的な優劣や、組成が異なる合金Cと合金Dとの相対的な優劣を評価することもできる。
以上、図6及び図7を参照しながら、本実施形態に係る測定モジュール10に対して、上記センサ101と共に実装されることが好ましいインピーダンス測定用セル121について、詳細に説明した。
このようなインピーダンス測定用セル121がセンサ101と共に設置されることで、濡れ状態と金属材料の腐食挙動と、の対比を、より正確に行うことが可能となる。
以上、図1A〜図7を参照しながら、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュール10について、詳細に説明した。
なお、本実施形態に係る測定モジュール10には、上記のセンサ101及びインピーダンス測定用セル121以外にも、例えば、いわゆる抵抗法による腐食速度算出法で用いられるような測定プローブや、公知の電気化学測定プローブや、液体飛沫の付着量を測定するための各種センサや、気象条件を測定するための測定センサ等、その他のセンサ群が適宜実装されていてもよい。
(腐食モニタリングシステムについて)
次に、図8〜図12を参照しながら、以上説明したような本実施形態に係る腐食モニタリングシステムについて、詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係る腐食モニタリングシステムの全体構成を模式的に示した説明図である。図9は、本実施形態に係る腐食モニタリングシステムが備える演算処理装置の構成の一例を模式的に示したブロック図であり、図10は、本実施形態に係る演算処理装置が備える測定データ処理部の構成の一例を模式的に示したブロック図である。図11は、本実施形態に係る測定データ処理部における腐食環境の状態判定処理を説明するための説明図であり、図12は、本実施形態に係る演算処理装置の出力結果の一例を模式的に示した説明図である。図13は、本実施形態に係る演算処理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
<腐食モニタリングシステムの全体構成について>
本実施形態に係る腐食モニタリングシステム1は、図8に模式的に示したように、腐食モニタリング用測定モジュール10と、演算処理装置20と、を主に備える。
ここで、本実施形態に係る腐食モニタリングシステム1が備える腐食モニタリング用測定モジュール10は、図1〜図7を参照しながら説明したものと同様のものであるため、以下では詳細な説明は省略する。
演算処理装置20は、腐食モニタリング用測定モジュール10に設置されているそれぞれのセンサ101a〜101cによる測定処理を制御するとともに、各センサ101a〜101cによる測定結果を用いて所定の演算処理を行うことで、金属材料の腐食状況(主に濡れ状態)に関する各種の情報を算出する装置である。
具体的には、かかる演算処理装置20は、測定モジュール10のそれぞれのセンサ101a〜101cによる電流の計測結果を用いて、計測された電流が、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかを判別することができる。
また、測定モジュール10において、上記センサ101a〜101cに加えてインピーダンス測定用セル121が設けられている場合、演算処理装置20は、インピーダンス測定用セル121によるインピーダンスの計測結果を用いて、着目する金属材料Sの腐食速度の指標(1/R)を算出するとともに、腐食速度の指標(1/R)の増大が、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものか、を、正確に対応づけることができる。
以下では、図9〜図13を参照しながら、かかる演算処理装置20の構成について、詳細に説明する。
<演算処理装置の構成について>
本実施形態に係る演算処理装置20は、図9に模式的に示したように、測定制御部201と、データ取得部203と、測定データ処理部205と、結果出力部207と、表示制御部209と、記憶部211と、を主に備える。
測定制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。測定制御部201は、本実施形態に係る腐食モニタリング用測定モジュール10に設けられた各種のセンサ101a〜101cやインピーダンス測定用セル121における測定処理を統括的に制御する。この際、測定制御部201は、後述する記憶部211等に格納されている各種の設定条件等を参照することが可能である。これにより、測定モジュール10に設けられた各センサ101a〜101cや、インピーダンス測定用セル121は、適切な測定条件で各種の測定データを取得することが可能となる。この測定制御部201は、後述するデータ取得部203と互いに連携しながら、測定モジュール10から所定の時間間隔で出力される各種測定データを、データ取得部203に取得させる。
データ取得部203は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。データ取得部203は、本実施形態に係る測定モジュール10に設けられた各種の測定プローブから出力された測定データを、どの測定プローブから出力されたものであるかを互いに区別しながら取得する。データ取得部203は、測定モジュール10から各種の測定データを取得すると、取得した測定データを、後述する測定データ処理部205に出力する。また、データ取得部203は、測定モジュール10から取得した各種の測定データを、後述する結果出力部207に出力して、ユーザに提供するようにしてもよい。更に、データ取得部203は、測定モジュール10から取得した各種の測定データに対して、当該測定データを取得した日時等に関する時刻情報を関連付けた上で、履歴情報として後述する記憶部211に格納してもよい。
測定データ処理部205は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。測定データ処理部205は、データ取得部203から出力された各種の測定データを用い、かかる測定データに対して各種の演算処理を行う処理部である。
かかる測定データ処理部205が適切に機能することで、測定モジュール10のそれぞれのセンサ101a〜101cにより計測された電流が、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかが、適切に判別される。
また、インピーダンス測定用セル121によるインピーダンスの計測結果が利用可能な場合、測定データ処理部205は、得られたインピーダンスの計測結果を用いて、着目する金属材料Sの腐食速度の指標(1/R)を算出するとともに、腐食速度の指標(1/R)の増大をもたらした腐食が、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものか、の対応付けを実施する。
また、測定データ処理部205は、必要に応じて、例えばインターネット等の各種ネットワークを利用し、ネットワーク上に設けられた各種のサーバ等から、気象データなどの腐食モニタリングに有用な各種のデータを取得することも可能である。
測定データ処理部205は、各種の測定データに対するデータ処理によって、金属体Sの腐食挙動に関する各種の情報を生成すると、生成した情報を、結果出力部207に出力する。また、測定データ処理部205は、生成した各種の情報に対して、当該情報を生成した日時等に関する時刻情報を関連付けた上で、履歴情報として後述する記憶部211に格納してもよい。
かかる測定データ処理部205の詳細な構成については、以下で改めて説明する。
結果出力部207は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。結果出力部207は、データ取得部203が取得した各種の測定データや、測定データ処理部205により生成された金属体Sの腐食挙動に関する各種の情報を、表示制御部209に出力する。これにより、金属体Sの腐食挙動に関する各種の情報が、ディスプレイ等の表示部(図示せず。)に出力されることとなる。また、結果出力部207は、得られた各種の情報を、外部に設けられた各種サーバ等の装置に出力してもよい。
表示制御部209は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。表示制御部209は、結果出力部207から伝送された、金属体Sの腐食挙動に関する各種の情報を、演算処理装置20が備えるディスプレイ等の出力装置や演算処理装置20の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、測定システム1の利用者は、着目している金属材料Sの腐食に関する各種の情報を、その場で把握することが可能となる。
記憶部211は、例えば本実施形態に係る演算処理装置20が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。記憶部211には、本実施形態に係る演算処理装置20が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部211は、測定制御部201、データ取得部203、測定データ処理部205、結果出力部207、表示制御部209等が、自由にリード/ライト処理を実行することが可能である。
[測定データ処理部の構成について]
次に、図10〜図12を参照しながら、本実施形態に係る演算処理装置20が備える測定データ処理部205の構成について、詳細に説明する。なお、以下では、測定モジュール10に対して、インピーダンス測定用セル121が設けられる場合を例に挙げて、測定データ処理部205の構成を説明するが、測定モジュール10がインピーダンス測定用セル121を有していない場合、以下の測定データ処理部205におけるインピーダンス測定結果を用いた各種処理は実施されない。
本実施形態に係る測定データ処理部205は、図10に示したように、腐食状況判断部221と、腐食速度算出部223と、を主に備える。
腐食状況判断部221は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。腐食状況判断部221は、測定モジュール10が有する第一のセンサ101a、第二のセンサ101b、第三のセンサ101cのそれぞれで測定された測定データを用いて、それぞれのセンサ101a〜101cにより計測された電流が、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかを判断する。
先だって図1A、図1B、図4及び図5を参照しながら説明したように、本実施形態に係る測定モジュール10では、各センサ101a〜101cで電流が検出される際の状況が、互いに相違するようになっている。従って、各センサ101a〜101cで検出される同一時刻での電流の検出値がどのような値を有しているかに応じて、計測された電流が、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかを判断することができる。
例えば、腐食状況判断部221は、第二のセンサ101bによる計測結果を参照し、計測された電流値が所定の閾値以上であった場合に、計測された電流は、結露に起因するものと判断することができる。
また、腐食状況判断部221は、第一のセンサ101aによる計測結果と、第二のセンサ101bによる計測結果と、第三のセンサ101cによる計測結果と、を比較して、(a)第一のセンサ101aが計測した電流値が所定の閾値以上であり、かつ、(b)第二のセンサ101bが計測した電流値、及び、第三のセンサ101cが計測した電流値が所定の閾値未満である場合に、計測された電流は、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものと判断することができる。
更には、腐食状況判断部221は、第一のセンサ101aによる計測結果と、第二のセンサ101bによる計測結果と、第三のセンサ101cによる計測結果と、を比較して、(c)第一のセンサ101aが計測した電流値、及び、第三のセンサ101cが検出した電流値が所定の閾値以上であり、かつ、(d)第二のセンサ101bが計測した電流値が所定の閾値未満である場合に、計測された電流は、降水に起因するものと判断することができる。
また、腐食状況判断部221は、測定モジュール10が飛沫付着環境に暴露されている場所の気象情報データを取得し、取得した気象情報データに基づき、計測された電流が雨又は雪に起因するものと判断することも可能である。
更に、腐食状況判断部221は、第一のセンサ101aによる計測結果と、第二のセンサ101bによる計測結果と、第三のセンサ101cによる計測結果と、を比較して、全てのセンサ101a〜101cにおいて、所定の閾値未満の電流値しか検出されていない場合に、測定モジュール10は、乾燥状態にあると判断することができる。
より具体的には、例えば図11に一例を示したように、腐食状況判断部221は、各測定時刻について、第二のセンサ101bで閾値以上の電流が検出されたか否かを判断する(判定1)。第二のセンサ101bで閾値以上の電流が検出されている場合(判定1−YES)には、腐食状況判断部221は、該当する測定時刻で検出された電流は、主に結露に起因するものと判断することができる。
一方、第二のセンサ101bで閾値以上の電流が検出されていない場合(判定1−NO)には、腐食状況判断部221は、各測定時刻について、第三のセンサ101cで閾値以上の電流が検出されたか否かを判断する(判定2)。第三のセンサ101cで閾値以上の電流が検出されている場合(判定2−YES)には、腐食状況判断部221は、該当する測定時刻で検出された電流は、主に、降水に起因するものと判断することができる。
一方、第三のセンサ101cで閾値以上の電流が検出されていない場合(判定2−NO)には、腐食状況判断部221は、該当する測定時刻で検出された電流は、主に、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものと判断することができる。
腐食状況判断部221は、このようにして、各測定時刻における測定データの電流検出値がどのような原因によるものかを判断すると、得られた判断結果を、後述する腐食速度算出部223に出力する。また、腐食状況判断部221は、得られた判断結果を、結果出力部207に出力してもよい。
腐食速度算出部223は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。腐食速度算出部223は、インピーダンス測定用セル121によるインピーダンスの計測結果を用いて、着目する金属材料Sの腐食速度の指標(1/R)を算出するとともに、腐食速度の指標(1/R)の増大をもたらした腐食が、塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものか、の対応付けを実施する。
より具体的には、腐食速度算出部223は、インピーダンス測定用セル121によるインピーダンスの計測結果を用いて、得られたインピーダンスの逆数を随時算出していくことで、着目する金属材料Sの相対的な腐食速度の指標(1/R)を算出することができる。また、腐食速度算出部223は、腐食状況判断部221から出力された判断結果を参照して、着目している測定時刻での腐食状況判断部221の判断結果を特定し、算出された腐食速度の指標(1/R)の増大をもたらした腐食が、塩化物を含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものか、の対応付けを行う。
腐食速度算出部223が上記のような処理を実施することで、例えば図12に模式的に示したように、算出された腐食速度の指標(1/R)の増大をもたらした腐食が、塩化物を含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものか、を明瞭に特定することが可能となる。また、図12に示したような処理結果を、ディスプレイ等に直接表示させることで、腐食モニタリングシステム1の利用者は、腐食速度と腐食要因との対応付けを、容易に把握することが可能となる。
腐食速度算出部223は、このようにして、各測定時刻における腐食速度の指標(1/R)や腐食要因との対応付けを実施すると、得られた結果を、結果出力部207に出力する。
以上、本実施形態に係る演算処理装置20の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
<演算処理装置のハードウェア構成について>
次に、図13を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理装置20のハードウェア構成について、詳細に説明する。図13は、本発明の実施形態に係る演算処理装置20のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理装置20は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理装置20は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、中心的な処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、又はリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理装置20内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理装置20の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。更に、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。ユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理装置20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプなどの表示装置や、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理装置20が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理装置20が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、演算処理装置20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、及び外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理装置20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、又は、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)又は電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を演算処理装置20に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理装置20は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線もしくは無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、社内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。
以上、本実施形態に係る演算処理装置20の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 腐食モニタリングシステム
10 腐食モニタリング用測定モジュール
20 演算処理装置
101 センサ
102 金属部
103 絶縁体層
105 導電体層
107 飛沫遮断部
121 インピーダンス測定用セル
123 絶縁体基材
125 電極
201 測定制御部
203 データ取得部
205 測定データ処理部
207 結果出力部
209 表示制御部
211 記憶部
221 腐食状況判断部
223 腐食速度算出部
S 金属材料

Claims (9)

  1. 金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサを備え、
    前記センサのうち、第一のセンサは、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されており、
    前記センサのうち、第二のセンサは、前記センサ面が下方に向いた状態で設置されており、
    前記センサのうち、第三のセンサは、前記センサ面への塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部が前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設けられており、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されている、腐食モニタリング用測定モジュール。
  2. 絶縁体基材と、所定の間隔を介して互いに離隔するように前記絶縁体基材の表面に埋設された、2つの、測定対象である金属材料からなる電極と、を有しており、前記電極間に交流電流を流してインピーダンスを計測するセルを更に備え、
    前記セルは、前記電極が上方に向いた状態で設置されている、請求項1に記載の腐食モニタリング用測定モジュール。
  3. 金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサのうち、
    第一のセンサを、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、
    第二のセンサを、前記センサ面が下方に向いた状態で設置し、
    第三のセンサは、前記センサ面への前記塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部を前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設け、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、
    前記センサにより、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、腐食モニタリング用測定方法。
  4. 金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサを備え、
    前記センサのうち、第一のセンサは、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されており、
    前記センサのうち、第二のセンサは、前記センサ面が下方に向いた状態で設置されており、
    前記センサのうち、第三のセンサは、前記センサ面への塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部が前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設けられており、前記センサ面が上方に向いた状態で設置されており、
    前記センサの前記電流の計測結果を用いて、計測された電流が前記塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかを判別する演算処理装置と、
    を備える、腐食モニタリングシステム。
  5. 前記演算処理装置は、
    前記第二のセンサによる計測結果を参照し、前記第二のセンサが計測した電流値が所定の閾値以上であった場合に、計測された電流は、前記結露に起因するものと判断する、請求項4に記載の腐食モニタリングシステム。
  6. 前記演算処理装置は、
    前記第一のセンサによる計測結果と、前記第二のセンサによる計測結果と、前記第三のセンサによる計測結果と、を比較し、
    前記第一のセンサが計測した電流値が所定の閾値以上であり、かつ、前記第二のセンサが計測した電流値、及び、前記第三のセンサが計測した電流値が所定の閾値未満である場合に、計測された電流は、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものと判断する、請求項4又は5に記載の腐食モニタリングシステム。
  7. 前記演算処理装置は、
    前記第一のセンサによる計測結果と、前記第二のセンサによる計測結果と、前記第三のセンサによる計測結果と、を比較し、
    前記第一のセンサが計測した電流値、及び、前記第三のセンサが計測した電流値が所定の閾値以上であり、かつ、前記第二のセンサが計測した電流値が所定の閾値未満である場合に、計測された電流は、前記降水に起因するものと判断する、請求項4〜の何れか1項に記載の腐食モニタリングシステム。
  8. 前記演算処理装置は、
    前記腐食モニタリング用測定モジュールが設置されている場所の気象情報データを取得し、
    取得した当該気象情報データに基づき、計測された電流が前記降水に起因するものと判断する、請求項4〜6の何れか1項に記載の腐食モニタリングシステム。
  9. 金属材料からなる基材のセンサ面上に、前記基材が露出する金属部と、前記基材のセンサ面上の前記金属部以外の部位に設けられた絶縁体層と、前記絶縁体層上に設けられた、前記基材とは異種の金属材料からなる導電体層と、を有しており、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測する、3以上のセンサのうち、
    第一のセンサを、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、
    第二のセンサを、前記センサ面が下方に向いた状態で設置し、
    第三のセンサは、前記センサ面への前記塩化物イオンを含む液体の飛沫の付着を防止し、かつ、前記センサ面への降水の付着は許容する飛沫遮断部を前記センサ面の周囲又は上方の少なくとも何れかに設け、前記センサ面が上方に向いた状態で、かつ、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫が飛来する方向に向けて設置し、
    前記センサにより、前記金属部と前記導電体層との間に流れる電流を計測し、
    演算処理装置により、前記センサによる前記電流の計測結果から、計測された電流が、前記塩化物イオンを含む液体の飛沫に起因するものか、降水に起因するものか、又は、結露に起因するものかを判別する、腐食モニタリング方法。
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